説明

セルロースフィラメントのスパンボンド不織布を製造する方法及び装置

【課題】
本発明は、セルロースフィラメントのスパンボンド不織布を製造する方法に関する。
【解決手段】
フィラメントが、紡糸口金を使用してセルロース溶媒から紡糸される。これらのセルロースフィラメントが、その後に少なくとも2つの冷却区間から構成された冷却室内に導入される。これらのフィラメントは、これらの2つの冷却区画の各々の内で異なる流速及び/又は異なる温度及び/又は異なる湿度の処理空気つまり冷却空気に接触される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロースフィラメント又は繊維のスパンボンド不織布を製造する方法に関する。この場合、フィラメントは、紡糸口金によってセルロース溶媒から紡糸される。さらに本発明は、本発明の方法を実施する装置に関する。したがってセルロースフィラメントは、セルロース溶媒から紡糸され、その結果としてセルロースを含有するフィラメントを意味する。
【背景技術】
【0002】
実際には、セルロースフィラメントからカード・ファブリックを製造する方法が公知である。プラスチックフィラメントのスパンボンド不織布に比べてセルロースフィラメントのスパンボンド不織布には、これらのセルロースフィラメントのスパンボンド不織布が比較的容易に生物学的に分解しやすいという利点がある。さらにセルロースフィラメントの不織布は、その比較的高い吸収性に起因して衛生用品で有利に使用され得る。しかしながらこれらのセルロース繊維の不織布は、不十分な強度特性しか有さないので、これらのセルロース繊維の不織布は、多くの用途に対して適さない。強度を上げるため、これらの不織布は、ポリマーと混合される。しかしながらこのポリマーとの混合には、他方ではこれらの不織布の生物学的分解が遅くなるか又は妨げられるという欠点がある。
【特許文献1】ヨーロッパ特許出願公開第1 340 843号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これに対して本発明は、冒頭で述べた種類の上述した方法の技術的な課題に基づく。この方法では、スパンボンド不織布が、生物学的に容易に分解可能であるセルロースフィラメントから製造され得る。これらのセルロースフィラメントは、高い吸収性を有し、それにもかかわらず最適な強度特性を呈する。さらに本発明は、本発明の方法を実施する上述した装置の技術的な課題に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この技術的課題を解決するため、本発明は、セルロースフィラメント又は繊維の紡糸された繊維を製造する方法を提供する。この場合、フィラメントは、紡糸口金によってセルロース溶媒から紡糸される。
【0005】
この場合、紡糸口金から出るセルロースフィラメントが、結果として少なくとも2つの冷却区画から構成された冷却室内に誘導される。
【0006】
そしてこの場合、これらの2つの冷却区画の各々の中のフィラメントが、異なる流速及び/又は異なる温度及び/又は異なる湿度の処理空気及び冷却空気に接触される。
【0007】
処理空気又は冷却空気の流速は、より好ましくは入る空気の流速を意味する。
【0008】
少なくとも2つの冷却区画がフィラメントの移動方向に沿って互いに上下に配置されている。用語である第1冷却区画は、ここでは及び以下ではフィラメントが最初に入る冷却室の冷却区画を意味する。したがって用語である第2冷却区画は、フィラメントがこの冷却区画の後に入る冷却区画を意味する。第1冷却区画は、実際には第2冷却区画の上つまり垂直方向に上に配置されている。紡糸口金が第1冷却区画の上つまり垂直方向に上に配置されていることが、本発明の範囲内である。
【0009】
本発明の特に好適な実施の形態によれば、セルロースフィラメントが、リヨセルフィラメントとして紡糸される。リヨセルフィラメントは、ここでは水と有機物質とを混合したセルロースの溶媒から紡糸される。水と第三級アミノキシドとを混合したセルロースの溶媒がセルロース溶媒として使用されることが、本発明の範囲内である。このときの第三級アミノキシドは、上述した有機物質である。好ましくはN−メチルモルフォルリン−N−オキサイド(NMMO)が、第三級アミノキシドとして使用される。
【0010】
本発明の好適な実施の形態は、溶媒中のセルロースの濃度が0.5〜25重量%、1〜22重量%であることを特徴とする。セルロースの濃度は、好ましくはここでは1.5%〜21重量%、非常に好ましくは2〜20重量%である。
【0011】
第1冷却区画に供給される空気の流速が、第2冷却区画に供給される空気の流速より小さいことが、本発明の範囲内である。本発明の推奨される実施の形態によれば、第2冷却区画に供給される空気の流速に対する第1冷却区画に供給される空気の流速の比は、1:10〜1:1、好ましくは1.5:10〜6:10及び好ましくは1.5:10〜4.5:10である。
【0012】
本発明の方法の好適な別の実施の形態によれば、第1冷却区画に入る冷却空気の温度は、第2冷却空気に入る冷却空気の温度より高い。第1冷却区画に供給される冷却空気の温度は、18〜80℃であり、第2冷却区画に供給される冷却空気の温度は、18℃〜35℃である。
【0013】
1つの実施の形態によれば、第2冷却区画に入る冷却空気の湿度は、60〜100%の相対湿度である。しかしながらこれらの冷却区画内に供給されるこの冷却空気の湿度は、周囲の空気から引き込まれる湿度に一致する。(相対湿度>100%の)ミストが、第1冷却区画及び/又は第2冷却区画内に導入されることも、本発明の範囲内である。
【0014】
冷却室内で冷却後のフィラメントが、空気力学的に延伸され、その後に設置装置上に設置されることが望ましい。空気力学的な延伸は、実際には冷却室の下流に配置された延伸装置内で実施される。設置は、好ましくは設置スクリーンコンベヤ上で実施される。
【0015】
本発明の特に好適な実施の形態は、フィラメントのセルロースの少なくとも一部が凝固するように、フィラメントが設置装置上に設置される前に処理されることを特徴とする。凝固を作るためのフィラメントの処理は、好ましくは空気力学的な延伸後で設置前に実施される。この処理は、実際には水を多く含む媒体で、さらに好ましくは水及び/又は蒸気で及び/又は水を多く含む溶媒で及び/又は水を多く含む混合物で実施される。水を多く含む溶媒は、ここでは特に水中の有機物質の溶媒、好ましくは水を多く含むNMMO溶媒を意味する。水を多く含む溶媒によるこの処理は、好ましくは噴霧処理として実施される。この場合、適切なスプレーヘッド又は水噴霧器が実際に使用される。上述したフィラメントの処理が本発明にしたがう装置上で好適に実施される位置を以下でさらに詳しく説明する。
【0016】
本発明の方法の特に好適な実施の形態は、フィラメントを設置した後に形成された不織布のウェビングが水を多く含む媒体で処理つまり洗浄されてその後に脱水される。この場合の水を多く含む媒体も、より好ましくは水及び/又は蒸気及び/又は水を多く含む溶媒及び/又は水を多く含む混合物を意味する。水又は水を多く含むNMMO溶媒は、好ましくは水を多く含む媒体又は洗浄液として使用される。フィラメントが空気及び水を透過できる設置スクリーンコンベヤ上に設置されて不織布のウェビングを形成し、そして不織布のウェビングとしてさらに搬送されることが、本発明の範囲内である。その後に不織布のウェビングが、コンベヤ上でつまり設置スクリーンコンベヤの下流に配置されたスクリーンコンベヤ上で水を多く含む媒体で処理/洗浄される。不織布のウェビングがこのような洗浄処理後に脱水されることが、本発明の範囲内である。脱水は、実際には真空ステーション内の真空処理として及び/又は圧搾システム内で不織布のウェビングを圧搾することによって実施される。推奨される実施の形態によれば、不織布のウェビングが、水を多く含む媒体で場合ごとに繰り返し処理されてその後に脱水される。好適な別の実施の形態によれば、水を多く含む媒体による処理及び引き続く脱水は、少なくとも3回実施される。洗浄そして脱水による最後の処理の後に、不織布のウェビングが乾燥され、その後にこの不織布のウェビングが巻かれることが実際に推奨される。不織布のウェビングを乾燥する前の不織布のウェビングが、特に好適なウォータージェット固化(water jet compaction)による別の実施の形態にしたがって不織布のウェビングに特定の特徴を設定するために固化されることも、本発明の範囲内である。さらに特定の不織布特性を持たせるため、艶出し加工も、不織布のウェビングを乾燥する前にこの不織布のウェビングに対して適用され得る。
【0017】
この技術的な課題を解決するため、さらに本発明は、防止口金,冷却室,延伸装置及び設置装置を有し、本発明の方法を実施する装置を提供する。この場合、セルロース溶媒からのフィラメントが、紡糸口金によって紡糸され得る。この場合、冷却室が、少なくとも2つの冷却区画に分割されている。フィラメントが、異なる流速及び/又は異なる温度及び/又は異なる湿度の処理空気つまり冷却空気と共にこれらの冷却区画内に供給され得る。この装置がセルロース溶媒供給装置を有することが、本発明の範囲内である。セルロース溶媒が、このセルロース溶媒供給装置によって紡糸口金に供給される。
【0018】
紡糸口金は、実際には0.5〜9孔/cm2、好ましくは1〜8孔/cm2及び好ましくは1.5〜7.5孔/cm2の孔密度を有する。孔密度は、非常に好ましくは2〜5孔/cm2、特に好ましくは2.5〜4.5孔/cm2、例えば3.5孔/cm2の孔密度を有する。孔は、フィラメントが出る紡糸口金つまり紡糸口金のノズルプレート内の開口部を意味する。この孔の直径は、実際には約0.1〜1mmである。1つの実施の形態によれば、これらの孔つまりこれらの関連する穿孔は、ノズルプレート内に一様に分散されて配置されている。別の実施の形態によれば、穿孔は、フィラメントの特定な物理的な特徴を保証するために分散され得る。すなわち孔密度が、ノズルプレートから外側にかけて上がる。しかしながら、孔密度がノズルプレートの中心から外側の領域に向かって下がることも可能である。
【0019】
冷却室が紡糸口金つまり紡糸口金のノズルプレートに対して或る距離をあけて配置されていることが、本発明の範囲内である。モノマー抽出装置が、ノズルプレートと冷却室との間に配置されている。このモノマー抽出装置は、ノズルプレートの真下のフィラメント形成空間から空気を抽出する。その結果、フィラメントと共に漏れ出るガス、より好ましくは分解生成物等が、閉鎖系から除去される。ノズルプレートの下の空気流が、モノマー抽出装置によって有益な方法で制御され得ることも向上されている。
【0020】
推奨される実施の形態によれば、冷却室が、中間経路を介して底経路に連結されているこの場合、この底経路は、本発明の装置の延伸装置を形成する。本発明の非常に特に好適な実施の形態は、冷却室と中間経路との間の連結部分つまり移行領域が外部に対して閉鎖されてつまり外部に対して空気の供給なしに形成されていることを特徴とする。実際には、冷却室内の処理空気つまり冷却空気が、この冷却室,中間経路及び底経路の全体の領域にわたって供給されるだけであって、この底経路を除いて空気は外部から供給されない。
【0021】
中間経路は、実際には冷却室の出口から底経路の入口にかけた垂直領域内で楔形に収束する。ここでは、底経路の入口に対する中間経路が、垂直方向に楔形にこの底経路の入口の幅に収束することが、本発明の範囲内である。この中間経路の異なるピッチ角度が設定されることが望ましい。好ましくは、空気の速度が上昇され得るように、中間経路の幾何構造が変更され得る。この方法では、高温時に起こりうるフィラメントの望まない弛緩が回避され得る。
【0022】
少なくとも1つのディフューザを有するより合わせ装置が、延伸装置(底経路)と設置装置との間に配置されていることが、本発明の範囲内である。本発明の特に好適な実施の形態によれば、より合わせ装置は、第1ディフューザとこの第1ディフューザに続く第2ディフューザとから構成される。ここでは周囲空気流入隙間が、第1ディフューザと第2ディフューザとの間に適切に設けられている。非常に推奨される実施の形態によれば、セルロースが凝固されるように、フィラメントが、周囲空気流入隙間を介して処理される。実際には水を多く含む媒体、好ましくは水及び/又は水を多く含むNMMOの溶媒が、周囲空気流入隙間を通じて霧状にされる。ここでは、スプレーヘッドが周囲空気流入隙間の領域内に配置されていることが望ましい。水を多く含む媒体が、この周囲空気流入隙間を通じてフィラメントの方向に沿って霧状にされる。本発明の1つの実施の形態によれば、凝固用の水を多く含む媒体が、穿孔を通じてディフューザの壁又はディフューザの複数の壁に供給される。この場合、実際にはスプレーヘッドが、この又はこれらのディフューザの壁に組み込まれる。水を多く含む媒体が、この又はこれらの壁を通じてフィラメントの方向に沿って霧状にされ得る。ディフューザのこの壁又はディフューザのこれらの壁の穿孔を通じた霧状化は、周囲空気流入隙間を通じた霧状化と併せて実施できる。
【0023】
設置装置は連続して移動する少なくとも1つのスパンボンド不織布のウェビング用の設置スクリーンコンベヤから構成される。少なくとも1つの吸引装置が、この設置スクリーンコンベヤの下に実際に設けられている。空気が、この吸引装置によってこの設置スクリーンコンベヤを通過して吸引される。この吸引装置は、実際は制御及び/又は調整され得る吸引ブロワである。
【0024】
本発明は、最適な機械的な特性、より好ましくは非常に良好な強度特性を特徴とするスパンボンド不織布が本発明の方法及び本発明の装置によってセルロースフィラメントから製造され得ることを実現することに基づく。本発明にしたがって製造されるスパンボンド不織布は、磨耗やその他の機械的な影響に対して比較的高い抵抗力を有する。それにもかかわらずこれらのセルロース繊維のスパンボンド不織布は、比較的容易にかつ僅かな経費で製造され得る。本発明にしたがって製造された不織布は、高い吸収性を有し、より好ましくは衛生用品で有利に使用され得る。さらに本発明にしたがって製造されたスパンボンド不織布は、問題なしに生物学的に分解可能である。その結果これらのスパンボンド不織布は、より好ましくは使い捨て物品として堆肥にされ得る。
【0025】
スパンボンド不織布が、ライコフィル4の方法にしたがってセルロース繊維から製造されることが、本発明の範囲内である。このライコフィル4の方法は、ヨーロッパ特許出願公開第1 340 843号明細書中に詳しく説明されている。実際にここに記されている全ての特徴が、本発明の方法又は本発明の装置にしたがって使用されてもよい。本発明の方法によって冷却室を少なくとも2つの冷却区画に分割することが、最初に特に重要である。冷却室,中間経路及び延伸装置が、閉鎖系として構成されていることがさらに多いに好ましい。この場合、空気が、単に処理空気つまり冷却空気として冷却室内に供給され、空気は好ましくは外部から供給されない。さらに特に望ましくは、より合わせ装置が少なくとも2つのディフューザに分割されていることが、本発明の範囲内である。この場合、周囲空気流入隙間が設けられている。水を多く含む媒体が、セルロースを凝固するためにこの周囲空気流入隙間を通じて実際に霧状にされる。
【0026】
以下に、本発明を唯一の実施の形態を示す概略図によってより詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図は、セルロースフィラメントのスパンボンド不織布を製造する装置を示す。これらのフィラメントは、ここでは紡糸口金1によってセルロース溶媒から紡糸される。この目的のため、セルロース溶媒が、セルロース溶媒供給装置Zから紡糸口金1に供給される。このセルロース溶媒供給装置Zは、図1中には単に全く概略的に示されている。セルロースフィラメントが、紡糸口金1からの吐出後に冷却室2内に導入される。これらのフィラメントは、冷却室2内で処理空気又は冷却空気に接触される。中間経路3が、冷却室2に続き、底経路5が、延伸装置4としてこの中間経路3に続く。より合わせ装置6が、底経路5に続く。不織布のウェビングを形成するため、フィラメントを設置するプレースメント装置が、連続して移動する設置スクリーンコンベヤ7の形態でより合わせ装置6の下に設けられている。図1中では、冷却室2内のフィラメントを冷却する処理空気又は冷却空気を供給する以外に、 外部からの空気供給が、冷却室2及び中間経路3の領域内、さらに好ましくは冷却室2と中間経路3との間の移行領域内で施されていないことが分かる。好ましくは上述した処理空気又は冷却空気の供給以外は、追加の空気が、冷却室2,中間経路3及び底経路5の装置全体にわたって外部から供給されない。この限りではこれは、いわゆる閉鎖系と呼ばれる。
【0028】
好ましくは及び例示的な実施の形態では、フィラメントはリヨセルフィラメントとして紡糸される。特に好適な実施の形態によれば、水と第三級アミノキシドとを混合したセルロースの溶媒が使用される。この第三級アミノキシドは、好ましくはN−メチルモルフォルリン−N−オキサイド(NMMO)である。この溶媒中のセルロースの濃度は、実際は2〜19重量%になる。図1中では、好適な実施の形態によれば、モノマー抽出装置11が、紡糸口金1のノズルプレート10と冷却室2との間に配置されていることが分かる。紡糸工程の間に発生する望まないガスが、このモノマー抽出装置11によってこの閉鎖系から除去され得る。ここでの抽出は、実際にはノズルプレート10とモノマー抽出装置11との間の望まない流体の乱れが回避されるように実施される。
【0029】
この例示的な実施の形態での冷却室2は、2つの冷却区画2a及び2bに分離されている。空気供給室8が、冷却室2に隣接して配置されている。この空気供給室8は、上の室区画8aと下の室区画8bとに分割されている。各々異なる対流放熱量を有する処理空気(冷却空気)が、これらの2つの室区画a,bから実際に供給され得る。好ましくは異なる温度の処理空気が、2つの室区画8a,8bから供給され得る。実際には上の室区画8aからの18℃〜80℃の温度の処理空気が、冷却室2つまり上の第1冷却区画2aに達する。好ましくは1下の室区画8bからの18℃〜35℃の温度の処理空気が、冷却室2つまり下の第2冷却区画2bに達する。本発明の特に好適な実施の形態によれば、上の室区画8aからの処理空気は、下の室区画8bから出る処理空気より高い温度を有する。しかしながら別の実施の形態によれば、特別な条件を調整するため、上の室区画8aから出る処理空気が、下の室区画8bから出る処理空気より低い温度を有してもよい。実際にはブロア9a,9bが、処理空気を供給するために室区画8a,8bの各々に連結されている。さらに、冷却区画2a,2bに供給される空気の速度つまり流速が可変である、好ましくは制御可能であることが、本発明の範囲内である。さらに、冷却区間2a,2bの各々に供給される処理空気の温度が制御可能であることが、本発明の範囲内である。
【0030】
図1中には、垂直領域内の冷却室2の出口から底経路5の入口にかけた中間経路3が、特に実際には楔形に、この例示的な実施の形態では底経路5の入口の幅に収束されている ことが示されている。好ましくはいろいろなピッチ角度の中間経路3が設定され得る。推奨される実施の形態によれば、底経路5が、垂直領域内でより合わせ装置6に向かって楔形に収束する。実際には、この底経路の経路幅は調整可能である。フィラメントが、延伸装置4(底経路5)内の空気力学的な延伸後により合わせ装置6に入る。
【0031】
好ましくは及びこの例示的な実施の形態では(特に図2参照)、より合わせ装置6は、第1ディフューザ13及びこの第1ディフューザ13に続く第2ディフューザ14から構成される。周期空気流入隙間15が、第1ディフューザ13と第2ディフューザ14との間に設けられている。好ましくは及びこの例示的な実施の形態では、セルロースが凝固する ように、より合わせ装置6を通過するフィラメントが、周囲空気流入隙間15の通過後に処理される。このことは、図1,2中には矢印12によって示されている。実際には水を多く含む媒体が、セルロースを凝固するために周囲空気流入隙間15を通じて霧状にされる。この目的のため、さらに詳しく図示しなかったスプレーヘッドが、周囲空気流入隙間15の領域内に好ましく存在する。本発明の実施の形態によれば、この凝固を促進する物質が、ディフューザ14の壁の適切な複数の開口部を通じて霧状にされてもよい。このことは、図示されていない。実際にこの場合でも、水を多く含む媒体が、セルロースを凝固するために霧状にされる。
【0032】
図2は、各ディフューザ13,14が上収束部分及び下収束部分から構成されることを示す。したがって各ディフューザ13,14は、上収束部分と下収束部分との間に最も狭い地点を有する。第1ディフューザ13内では、フィラメントを延伸するために必要な空気の速度が、延伸装置5の端部で減少する。その結果、圧力が完全に回復する。この第1ディフューザ13は、発散領域18を有する。この発散領域18の側壁16,17が、フラップのように調整され得る。この方法では、発散領域18の開口角度αが設定され得る。2次空気が、第2ディフューザ14の開始時に噴射原理にしたがって周囲空気流入隙間15を通じて吸引され得る。この周期空気流入隙間15の幅は、実際には調整可能である。好ましくは、第2ディフューザ14の開口角度βも連続して調整可能である。第2ディフューザ14の高さが、調整可能に設置されていることがさらに推奨される。その結果、設置スクリーンコンベヤ7に対する第2ディフューザ14の距離aが調整され得る。原理的には、2つのディフューザ13,14に影響し、ヨーロッパ特許出願公開第1 340 843号明細書中のライコフィル4に関して記されている全ての特徴が、本願の特許請求の範囲に記載の発明による装置で実現され得る。
【0033】
本発明の好適な実施の形態によれば、冷却室2内の空気供給部及び周囲空気流入隙間15の空気流入口以外の構成部分である冷却室2,中間経路3,底経路5及びより合わせ装置6は、閉鎖系として実現される。このことは、空気が外部からこの構成部分内に実際に供給されない、さらに好ましくは冷却室2と中間経路3との間及び中間経路3と底経路5との間で実際に供給されないことを意味する。
【0034】
より合わせ装置6から出るフィラメントが、設置スクリーンコンベヤ7上に設置されて不織布のウェビングを形成する。好ましくは及びこの例示的な実施の形態では、抽出装置19が、空気及び水を透過できるこの設置スクリーンコンベヤ7の下に設置されている。この抽出装置19は、空気及び洗浄液を設置スクリーンコンベヤ7越しに下から吸引する。設置スクリーンコンベヤ7上に設置された不織布のウェビングは、引き続き洗浄ステーション16を通過する。この不織布のウェビングが、この洗浄ステーション16内で水を多く含む媒体によって洗浄される。この水を多く含む媒体は、好ましくは水及び/若しくは水を多く含むNMMO溶媒又水とNMMOとの混合物である。この不織布のウェビングは、この洗浄ステーション16の後に脱水ステーション17を通過する。この不織布のウェビングが、この脱水ステーション17内で脱水される。脱水は、真空処理によって及び/又は圧搾システム内の圧搾によって実施できる。不織布のウェビングが、その後に別の洗浄ステーション16内で再び洗浄され、その後に別の脱水ステーション17内で再び脱水されることが、本発明の範囲内である。この場合、この工程(洗浄及び脱水)は、好ましくは少なくとも3回繰り返される。この不織布のウェビングは、この後に好適な実施の形態にしたがってほぼ乾燥されて巻かれる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の装置の垂直断面図である。
【図2】図1の対象物の拡大した切り抜きAを示す。
【符号の説明】
【0036】
1 紡糸口金
2 冷却室
2a 冷却区画
2b 冷却区画
3 中間経路
4 延伸装置
5 底経路
6 より合わせ装置
7 スクリーンコンベヤ
8 空気供給室
8a 室区画
8b 室区画
9a ブロア
9b ブロア
10 ノズルプレート
11 モノマー抽出装置
12 矢印
13 第1ディフューザ
14 第2ディフューザ
15 周囲空気流入隙間
16 洗浄ステーション
17 脱水ステーション
18 発散領域
19 抽出領域
Z セルロース溶媒供給装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースフィラメントのスパンボンド不織布を製造する方法にあって、この場合、フィラメントが、紡糸口金(1)によってセルロース溶媒から紡糸される方法において、
この場合、セルロースフィラメントが、その後に少なくとも2つの冷却区間(2a,2b)から構成された冷却室(2)内に導入され、
この場合、フィラメントは、異なる流速及び/又は異なる温度及び/又は異なる湿度の処理空気つまり冷却空気と共に両冷却区画(2a,2b)内に供給される方法。
【請求項2】
フィラメントは、リヨセルフィラメントとして紡糸される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
水と第三級アミノキシドとを混合したセルロースの溶媒がセルロース溶媒として使用される請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
セルロースの溶媒中のセルロースの濃度は、0.5〜25重量%、好ましくは1〜22重量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
第2冷却区画(2b)に供給される空気の流速に対する第1冷却区画(2a)に供給される空気の流速の比は、1:10〜1:1、好ましくは1.5:10〜6:10及び好ましくは1.5:10〜4.5:10である請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
第1冷却区画(2a)に供給される冷却空気の温度は、18〜80℃であり、第2冷却区画(2b)に供給される冷却空気の温度は、18℃〜35℃である請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
冷却後のフィラメントが、冷却室(2)内で空気力学的に延伸され、その後に設置装置上に設置される請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
セルロースが凝固されるように、設置装置上に設置する前のフィラメントが処理される請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
フィラメントを設置した後に形成された不織布のウェビングが、水の多く含む媒体で処理つまり洗浄され、その後に脱水される請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
紡糸口金(1),冷却室(2),延伸装置(4)及び設置装置を有する請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法を実施する装置にあって、この場合、フィラメントが、紡糸口金(1)によってセルロース溶媒から紡糸され得る装置において、
この場合、冷却室(2)は、少なくとも2つの冷却区画(2a,2b)に分割されていて、フィラメントは、異なる流速及び/又は異なる温度及び/又は異なる湿度の処理空気つまり冷却空気と共に冷却区画(2a,2b)の各々の内に供給される装置。
【請求項11】
紡糸口金(1)は、0.5〜9孔/cm2、好ましくは1〜8孔/cm2及び好ましくは1.5〜7.5孔/cm2の孔密度を有する請求項10に記載の装置。
【請求項12】
冷却室と延伸装置(4)との間の連結部分が、外部に対して閉鎖されているつまり外部に対して空気の供給なしに構成されている請求項10又は11に記載の装置。
【請求項13】
少なくとも1つのディフューザ(13,14)を有するより合わせ装置(6)が、延伸装置(4)と設置装置との間に配置されている請求項10〜12のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−163540(P2008−163540A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−328121(P2007−328121)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(505313830)ライフェンホイザー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシャフト・マシイネンファブリーク (13)
【Fターム(参考)】