セルロース多孔質粒子の製造方法
【課題】様々な物質の吸着体として利用可能な多孔質のセルロース粒子を液―液分散を利用せず、安全かつ簡便に少量の溶媒でセルロース粒子を形成させ、かつセルロース粒子形成のための操作パラメータを幅広い範囲で変更できる製造方法を提供する。
【解決手段】セルロースおよびイオン液体を含む溶液を、気中にて液滴状とした後、セルロース非溶解性の溶媒と接触させて凝固させ、セルロースの多孔質粒子を形成することを特徴とするセルロース多孔質粒子の製造方法。この製造方法によって製造されたセルロース多孔質粒子は、様々な物質の吸着体として好適に用いることが可能である。
【解決手段】セルロースおよびイオン液体を含む溶液を、気中にて液滴状とした後、セルロース非溶解性の溶媒と接触させて凝固させ、セルロースの多孔質粒子を形成することを特徴とするセルロース多孔質粒子の製造方法。この製造方法によって製造されたセルロース多孔質粒子は、様々な物質の吸着体として好適に用いることが可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセルロースを用いた多孔質粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セルロース多孔質粒子は酸、塩基性溶媒に耐性があり、修飾することで様々な置換基を付加させることができるため、様々な物質の吸着体として利用されている。セルロース多孔質粒子は吸着特性に優れ、械的強度が比較的大きいことから、LDLコレステロール吸着体(特許文献1,2)や、工業的に利用可能な抗体医薬品精製用吸着体(特許文献3)への応用も注目されている。しかしながら、セルロースを溶解できる溶媒はあまりなく、セルロース粒子を製造する際、チオシアン酸カルシウム水溶液など毒性が高い溶液に溶解される工程を介するものが一般的である(特許文献4)。しかしながら、このような製造方法によってセルロース多孔質粒子を製造するには、腐食性や安全性の面で、取扱いが困難であり、設備化が容易ではないのが現状である。
【0003】
一方で、近年、不揮発性かつ広い温度域で液体となる特徴を持つイオン液体が注目されている。イオン液体は主に、機能性溶媒やイオニクスデバイス、ポリペプチドなど生体由来材料の溶媒として適用されている。近年、このイオン液体は、セルロースも溶解することがわかり、繊維の製造などに適用されている(特許文献5)。
【0004】
しかしながら、様々な物質の吸着体として利用可能なセルロース多孔質粒子を製造するためには、その内部構造を制御することと等、多くの課題が残されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2928589号
【特許文献2】特許第2925249号
【特許文献3】WO08/146906号公報
【特許文献4】特開昭55−44312号公報
【特許文献5】特開2008−248466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、様々な物質の吸着体として利用可能な多孔質セルロース粒子をチオシアン酸カルシウムなどの毒性が高い溶媒を使わず、安全かつ簡便に製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題に対して鋭意検討を行った結果、イオン液体にセルロースを溶解させ、気中にて液滴状とした後、イオン液体に混和可能であるセルロース非溶解性の溶媒と接触、セルロースを凝固させることで、セルロース多孔質粒子を得る工程を含む製造方法によって上記課題が解決することを見出し本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち本発明は、セルロースおよびイオン液体を含む溶液を、気中にて液滴状とした後、イオン液体に混和可能であるセルロース非溶解性の溶媒と接触させてセルロースを凝固させ、セルロースの多孔質粒子を形成することを特徴とするセルロース多孔質粒子の製造方法に関する。
【0009】
また本発明は、セルロースおよびイオン液体を含む溶液に、さらに水またはアルコールより選択される1種以上を添加することを特徴とするセルロース多孔質粒子の製造方法に関する。
【0010】
また本発明は、水またはアルコールより選択される1種以上を、イオン液体との合計量に対して2重量%以上、20重量%以下添加することを特徴とする前記製造方法に関する。
【0011】
また本発明は、セルロースおよびイオン液体を含む溶液を液滴状にするための機器に振動を与えつつ、セルロースおよびイオン液体を含む溶液を液滴状にすることを特徴とする前記製造方法に関する。
【0012】
また本発明は、上記機器の振動数を50Hz以上、500Hz以下にすることを特徴とする前記製造方法に関する。
【0013】
また本発明は、セルロースが、再生セルロース、結晶性セルロース、酢酸セルロースから選択される1種以上であることを特徴とする前記製造方法に関する。
【0014】
また本発明は、イオン液体がイミダゾリウム塩であることを特徴とする前記製造方法に関する。
【0015】
また本発明は、イミダゾリウム塩を構成するカチオンが、1,3-ジアルキルイミダゾリウム、1,2,3−トリアルキルイミダゾリウムより選択されることを特徴とする前記製造方法に関する。
【0016】
また本発明は、イミダゾリウム塩を構成するアニオンが、塩素イオン、酢酸イオン、硝酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、CF3SO2-、(CF3SO2)2N-、CF3CO2-から選択される1種以上であることを特徴とする前記製造方法に関する。
【0017】
また本発明は、セルロース非溶解性の溶媒として、水、有機溶剤またはそれらの2種以上で均一に混和した溶剤より選択され、イオン液体に混和可能であることを特徴とする前記製造方法に関する。
【0018】
また本発明は、有機溶剤が、アルコール類、グリコール類、アセトニトリル、アセトン、酢酸エチル、ヘキサン、グリセリン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフランであることを特徴とする前記製造方法に関する。
【0019】
また本発明は、アルコール類が、1-オクタノール、1-ヘプタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-メチル−1−ブタノール、3−メチル1−ブタノール、2−メチル‐2‐ブタノール、3‐メチル‐2‐ブタノール、n−ブタノール、イソブタノール、2-ブタノール、sec-ブタノール、2−メチル−2−プロパノール(tert-ブタノール)、1−プロパノール、2−プロパノール、エタノール、メタノールからなる群より選択される1種以上であることを特徴とする前記製造方法に関する。
【0020】
また本発明は、グリコール類が、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコールからなる群より選択されることを特徴とする前記製造方法に関する。
【0021】
また本発明は、前記製造方法により製造したセルロース多孔質粒子に関する。
【0022】
また本発明は、粒子が中心部まで網目状構造を有することを特徴とする前記セルロース多孔質粒子に関する。
【0023】
また本発明は、細孔径が25nm以上1500nm以下であることを特徴とする、前記セルロース多孔質粒子に関する。
【発明の効果】
【0024】
本発明の製造方法によれば、従来使用していたチオシアン酸カルシウム溶液等を使用する必要がなく、イオン液体は分離回収可能なので、より安全に、より低コストでセルロース多孔質粒子を製造することができる。
【0025】
また本発明の製造方法によれば、セルロース溶液の温度やセルロース濃度、溶媒の種類、溶媒の濃度を変更することにより、セルロース多孔質粒子の内部構造を変化させることも可能であり、様々な物質の吸着体として利用可能なセルロース多孔質粒子を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施例1により得られた本発明のセルロース粒子のSEM写真である。
【図2】図1の中央部の高倍率SEM写真である。
【図3】図1の端部の高倍率SEM写真である。
【図4】実施例1、4、5より得られたセルロース粒子の中央部の開孔面積分布である。
【図5】実施例6より得られたセルロース粒子のSEM写真である。
【図6】図5の中央部の高倍率SEM写真である。
【図7】図5の端部の高倍率大SEM写真である。
【図8】実施例8より得られたセルロース粒子のSEM写真である。
【図9】図8の中央部の高倍率SEM写真である。
【図10】図8の端部の高倍率SEM写真である。
【図11】実施例1、6〜8より得られたセルロース粒子の中央部の開孔面積分布である。
【図12】実施例1、6、9〜10より得られたセルロース粒子の中央部の開孔面積分布である。
【図13】実施例14より得られたセルロース粒子の中央部と端部の開孔面積分布である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の製造方法では、セルロースをまず、イオン液体に溶解する。イオン液体とは、一般に、常圧100℃未満で液体であるイオン化合物である。イオン液体のカチオン部分の例は、ピリジニウム、イミダゾリウムおよびイミダゾール等が挙げられ、非環状カチオンとしては、アルキル第4級アンモニウムおよびアルキル第4級リンカチオン等が挙げられる。カチオン部分の対アニオンは、ハロゲンイオン、擬ハロゲンイオン、ハロゲンを含む有機化合物である有機ハロゲン化物イオンおよびカルボキシレート等からなる群より選択される。カルボキシレートとしては、アセテート、シトレート、マレート、マレエート、ホルメートおよびオキシレートが挙げられ、ハロゲンイオンとしては、クロリド、ブロミド、亜鉛クロリド/コリンクロリドが挙げられ、有機ハロゲン化物イオンとしては、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、CF3SO2-、(CF3SO2)2N-、CF3CO2-、3−メチル−N−ブチル−ピリジニウムクロリドおよびベンジルジメチル(テトラデシル)アンモニウムクロリドが挙げられる。
【0028】
なお、セルロースの溶解性が高いものとしては、特にイミダゾリウム塩が知られ、構成するカチオンが、1,3-ジアルキルイミダゾリウム、1,2,3-トリアルキルイミダゾリウムであるものが、良く知られている。
【0029】
本発明者らは鋭意検討の結果、これらのイオン液体のいずれかにセルロースを溶解させた後、気中に液滴を吐出させ、イオン液体と混和可能なセルロース非溶解性の液体と接触させることで、セルロース多孔質粒子を得られることを見出した。本発明が提供する製造方法によれば、界面活性剤等を使用することなくセルロース多孔質粒子が得られるため、高価なイオン液体の再利用が極めて容易となる。
【0030】
また、イオン液体の種類、組成、およびイオン液体に対して、水、アルコール類等の貧溶媒を加えることが、多孔質粒子の孔径や構造の制御の観点から好ましい。また、それらの添加により、イオン液体溶液の粘度調整を行うことも好ましい。ここで用いるイオン液体に特に限定は無いが、室温未満で液体であるものを用いることが、多孔質粒子の製造を幅広い温度域で行うことが可能となるため好ましい。操作はイオン液体の融点以上で行うことが好ましく、操作性の面からは、特に50℃以上が好ましい。50℃以下でも特に大きな問題は無いが、イオン液体へのセルロース溶解速度が遅くなる傾向にある。イオン液体に貧溶媒を添加する場合は90℃以下の操作が好ましい。90℃以上では貧溶媒の沸点以上となる場合が多い。
【0031】
本発明においてセルロース非溶解性の液体としては、水、アルコール類、グリコール類を用いることができ、好ましくは、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、sec-ブタノール、2−メチルー2−プロパノール(tert-ブタノール)、1-オクタノール、1-ヘプタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-メチル−1−ブタノール、3−メチル1−ブタノール、2−メチル‐2‐ブタノール、3‐メチル‐2‐ブタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、ジメチルスルホキシド等が好適に用いられる。また、セルロース非溶解性の液体として混合溶媒を用いてもよく、水とアルコール類、水とグリコール類、水とアセトニトリル、水とアセトン、水とグリセリン、アルコール類とグリセリン、水とジメチルスルホキシド、アルコール類とジメチルスルホキシド、アルコール類と酢酸エチル、アルコール類とヘキサン、アルコール類とアセトン、水とテトラヒドロフランの混合溶媒から多孔質粒子を得ることができ、好ましくは水とメタノール、水とエタノール、水と2−プロパノールの混合溶媒を用いる。なお、セルロース非溶解性の液体に、溶液粘度調整、セルロースの多孔質形状の制御のために界面活性剤であるポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、アルキルグリコシド等を加えてもよい。セルロース非溶解性溶媒は沸点以下、イオン液体の融点以上の温度で操作することが好ましい。イオン液体の融点以下の温度で操作するとセルロース粒子中からイオン液体が放出されにくくなるためである。
【0032】
本発明に使用可能なセルロースとしては、イオン液体に溶解するものであれば、いかなるものでも用いることができるが、製造した多孔質粒子の強度向上のためには、セルロースの重合度が高いものを用いることが望ましい。重合度が高いと、イオン液体のセルロース溶液の粘度が高くなるため、操作性の面では、重合度300〜700程度の微結晶性セルロースが好ましく、さらに好ましくは重合度300程度の微結晶性セルロースが良好である。なお、重合度の高いものを用いる場合には、貧溶媒の添加や、高温での操作がセルロース溶液の粘度を下げる観点から好ましい
セルロースの使用量は、セルロース濃度が高いものほどセルロース溶液の粘度が高くなるが、固形分含量や強度は向上するため、製品の目的に応じて選択され得る。濃度としては、セルロースの溶解した溶液100重量%に対して、2%〜20%が好ましく、さらに好ましくは3%から8%である。セルロース濃度が下限以下ではセルロースが粒子とならなかったり機械的強度が小さくなる場合があり、上限以上では粘度上昇に伴って操作性が悪くなったり吸着体としたときの吸着量が低下する場合がある。
【0033】
本発明はセルロース多孔質粒子を形成させるために、イオン液体に溶解させたセルロースを気中に吐出させ液滴化し、セルロース非溶解性の溶媒に滴下することで、セルロース粒子を得るものであるが、この液滴の生成方法については特に限定しないが、たとえば、特開昭62−191033公報に記載の方法が挙げることができる。また、シリンジを用い、シリンジ針に振動子を接触、あるいは液体部に加振しておくことでセルロース溶液を一定の大きさの液滴として吐出させることも可能である。振動子の振動数を50Hz以上、500Hz以下が好ましく、より好ましくは100Hzから300Hzである。振動数が50Hz以下であると、セルロース粒子のサイズが不均一になりやすく、300Hz以上であると液滴が微分散しやすく、粒子径の制御が容易ではない。さらに、スプレーノズルや、円盤式アトマイザー等も用いることができる。
【0034】
このようにして生成したセルロース液滴は、セルロース非溶解性の溶媒に接触、沈降する際、液滴からイオン液体が溶媒に拡散していき、セルロース粒子が形成される。液―液分散を利用してセルロースを析出させることも可能であるが、セルロース析出量に対し大量の溶媒が必要となり、均一な分散を実現させるためには界面活性剤が必要である。そのため、高価なイオン液体の回収が困難となる。また、不揮発性かつ広い温度域で液体となる特徴を持つイオン液体を用いていても、イオン液体を分散させるイオン液体非溶解性液体の物理的性質により利用可能なイオン液体の温度域が限定されてしまう。しかしながら本発明においては、セルロース溶液を気中に吐出させ液滴化し、セルロース粒子を得るため、界面活性剤は不要であるのでイオン液体の回収も容易であるし、広い温度域での操作が可能である。
【0035】
その後、形成されたセルロース粒子を回収する。この方法で得られた粒子は多孔質の粒子であり、その孔の大きさはセルロース濃度、セルロース非溶解性の溶媒を変えることで制御することが可能である。
【0036】
本発明の多孔質粒子はセルロースを用いているため、吸着特性に優れ、非特異的吸着が少ないことが求められる分野において好適に用いることができる。なかでもLDL吸着やIgG等の抗体精製に好適に用いることができる。これらの用途にとって好ましい細孔径は25nm以上1500nm以下である。25nmより小さいと目的物が孔に入りづらくなり、1500nmより大きいと比表面積が小さくなる傾向がある。より好ましくは70nm以上1400nm以下、特に好ましくは100nm1300nm以下、最も好ましくは150nm以上1200nm以下である。
【0037】
本発明において、製造されるセルロース多孔質粒子の大きさは、特に限定されるものではないが、様々な物質の吸着体として利用する際には、粒径が1μmから2mm程度のものが、好適に用いられる。
【実施例】
【0038】
以下に本発明の実施形態を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない
(実施例1)
1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート(シグマ・アルドリッチ社)8gに微結晶性セルロースを0.29g溶解させ、3.5重量%とした。溶液温度を80℃とした後、10mLのシリンジより押し出し、吐出速度0.05mL/minでセルロース非溶解性の溶媒である300mLの水に滴下した。シリンジには、内径0.1mmの針を取り付け、167Hzの振動モーターにより連続的に振動を与えた。加振しておくことでセルロース溶液を一定の大きさの液滴として吐出させることが可能である。水の温度は30℃とした。滴下終了後、30℃で1時間保持し、セルロース粒子を回収した。
【0039】
回収したセルロース粒子をマイクロスコープ(キーエンス製デジタルマイクロスコープVH−6200、以下同じ)で50倍に拡大して観察したところ、平均粒子径約930μmの球状粒子になっていた。レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(堀場社製LA−950)を用いてメジアン径を測定し、平均粒子径とした。
【0040】
また、回収したセルロース粒子をエタノールで置換し、次いで2−メチル−2−プロパノールで置換し、これを凍結乾燥後、走査型電子顕微鏡(日立製作所社製,S−4800,以下「SEM」と称する)にて内部構造を解析した。その結果、セルロース粒子は図1、図2、図3に示したような多孔性の粒子であることが確認された。開孔面積はSEM写真より孔の大きさを測ることで解析した。本セルロース粒子の細孔径のメディアン径は1180nmであった。
(実施例2)
吐出流量を0.10mL/minとする以外は実施例1と同様の方法、条件によりセルロース粒子を得た。得られた粒子をデジタルマイクロスコープで観察したところ、平均粒子径約1000μmの球状粒子が得られた。また、粒子の内部構造は実施例1の粒子と同様であった。
(実施例3)
吐出流量を0.01mL/minとする以外は実施例1と同じ方法、条件によりセルロース粒子を得た。得られた粒子をデジタルマイクロスコープで観察したところ、平均粒子径約780μmの球状粒子が得られた。また、粒子の内部構造は実施例1の粒子と同様であった。
(実施例4)
セルロース濃度4%の溶液とする以外は実施例1と同様の方法、条件によりセルロース粒子を得た。SEMによる内部構造解析の結果、多孔質の粒子であることが確認された。本セルロース粒子の細孔径のメディアン径は1130nmであった。孔の大きさはセルロース濃度に依存し、セルロース濃度が高いほど開孔面積が狭い粒子が得られることが確認できた。
(実施例5)
セルロース濃度5%の溶液とする以外は実施例1と同様の方法、条件によりセルロース粒子を得た。SEMによる内部構造解析の結果、多孔質の粒子であることが確認された。開口面積は、実施例4の粒子よりもさらに狭くなっていることが確認できた。本セルロース粒子の細孔径のメディアン径は850nmであった。
【0041】
図4に実施例1と実施例4、5より得られたセルロース粒子中央部の開孔面積分布を示す。図4によれば、セルロース濃度によりセルロース粒子の開孔面積分布を制御できたことが明らかである。より具体的には、セルロース溶液におけるセルロースの濃度を高めるほど開口径の小さな孔が得られる
(実施例6)
セルロース非溶解性の溶媒をメタノールとする以外は実施例1と同様の方法、条件によりセルロース粒子を得た。SEMによる内部構造解析の結果、図5から図7に示したような多孔質の粒子であることが確認された。本セルロース粒子の細孔径のメディアン径は610nmであった。水から得られたセルロース粒子とは異なり、繊維状のセルロースがセルロース粒子を形成していた。SEM画像より同じ繊維状のセルロースで形成された粒子でも、セルロース非溶解性の溶媒の種類により開孔面積分布は異なることが確認された。
(実施例7)
セルロース非溶解性の溶媒をエタノールとする以外は実施例1と同様の方法、条件によりセルロース粒子を得た。SEMによる内部構造解析の結果、多孔質の粒子であることが確認された。本セルロース粒子の細孔径のメディアン径は730nmであった。メタノールと同様に繊維状のセルロースがセルロース粒子を形成していた。
(実施例8)
セルロース非溶解性の溶媒を2−プロパノールとする以外は実施例1と同様の方法、条件によりセルロース粒子を得た。SEMによる内部構造解析の結果、図8から図10に示したような多孔質の粒子であることが確認された。本セルロース粒子の細孔径のメディアン径は1070nmであった。繊維状のセルロースがセルロース粒子を形成していた。SEM写真より同じ繊維状のセルロースで形成された粒子でも、セルロース非溶解性の溶媒の種類により開孔面積分布は異なることが確認された。
【0042】
図11に実施例1と実施例6から実施例8より得られたセルロース粒子中央部の開孔面積分布を示す。図11によれば、セルロース非溶解性の溶媒の種類によりセルロース粒子の開孔面積分布を制御が可能となることが明らかである。より具体的には、セルロース非溶解性液体として水を用いる場合、多孔質粒子の孔径はより均一化する傾向が見られた。また、セルロース非溶解性液体としてアルコール類を用いる場合、2−プロパノール→エタノール→メタノールと親水性が高まるにつれ、多孔質粒子の孔径は小さくなった。
(実施例9)
セルロース非溶解性の溶媒に水とメタノール、1:9の混合溶媒を用いた以外は実施例1と同様の方法、条件によりセルロース粒子を得た。SEMによる内部構造解析の結果、多孔質の粒子であることが確認された。本セルロース粒子の細孔径のメディアン径は750nmであった。
(実施例10)
セルロース非溶解性の溶媒に水とメタノール、3:7の混合溶媒を用いた以外は実施例1と同様の方法、条件によりセルロース粒子を得た。SEMによる内部構造解析の結果、多孔質の粒子であることが確認された。本セルロース粒子の細孔径のメディアン径は1200nmであった。
【0043】
図12に実施例1、実施例6、実施例9、実施例10より得られたセルロース粒子中央部の開孔面積分布を示す。図12によれば、セルロース非溶解性溶媒の組成を変化させることでセルロース粒子の開孔面積分布を制御が可能となることが明らかである。より具体的には、水とアルコール類との混合溶媒を用いる場合、水の割合が大きくなるほど多孔質粒子の孔径はより大きくなる傾向が見られた。
(実施例11)
1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート7.2gに対し、微結晶性セルロース0.29gを溶解させ、さらに水を0.8g加えることで溶液を調整した。水の含量は溶媒全体(1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテートと水との合計重量)に対し10重量%となる。溶液温度を60℃とした後、セルロース非溶解性の溶媒である水に滴下した。その他は実施例1と同じ方法、条件によりセルロース粒子を得た。SEMによる内部構造解析の結果、多孔質の粒子であることが確認された。
(実施例12)
溶媒全体量に対する水の含量を5重量%とした以外は実施例11と同じ方法、条件によりセルロース粒子を得た。SEMによる内部構造解析の結果、多孔質の粒子であることが確認された。
(実施例13)
1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート7.2gに対し、微結晶性セルロース0.29gを溶解させ、さらにメタノールを0.8g加えることで溶液を調整した。メタノールの含量は溶媒全体(1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテートとメタノールとの合計重量)に対し10重量%となる。その他は実施例11と同じ方法、条件によりセルロース粒子を得た。SEMによる内部構造解析の結果、多孔質の粒子であることが確認された。本セルロース粒子の細孔径のメディアン径は190nmであった。
(実施例14)
溶媒全体量に対するメタノールの含量を5重量%とした以外は実施例13と同じ方法、条件によりセルロース粒子を得た。SEMによる内部構造解析の結果、多孔質の粒子であることが確認された。本セルロース粒子の細孔径のメディアン径は400nmであった。
【0044】
図13にメタノールを5重量%加えた場合の開孔面積分布を示す。実施例4までのセルロース粒子とは異なり、粒子中央部の開孔面積分布と粒子端部の開孔面積分布に差がなく、セルロース粒子全体の孔の大きさの分布が均一な粒子を得ることが可能であった。
【技術分野】
【0001】
本発明はセルロースを用いた多孔質粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セルロース多孔質粒子は酸、塩基性溶媒に耐性があり、修飾することで様々な置換基を付加させることができるため、様々な物質の吸着体として利用されている。セルロース多孔質粒子は吸着特性に優れ、械的強度が比較的大きいことから、LDLコレステロール吸着体(特許文献1,2)や、工業的に利用可能な抗体医薬品精製用吸着体(特許文献3)への応用も注目されている。しかしながら、セルロースを溶解できる溶媒はあまりなく、セルロース粒子を製造する際、チオシアン酸カルシウム水溶液など毒性が高い溶液に溶解される工程を介するものが一般的である(特許文献4)。しかしながら、このような製造方法によってセルロース多孔質粒子を製造するには、腐食性や安全性の面で、取扱いが困難であり、設備化が容易ではないのが現状である。
【0003】
一方で、近年、不揮発性かつ広い温度域で液体となる特徴を持つイオン液体が注目されている。イオン液体は主に、機能性溶媒やイオニクスデバイス、ポリペプチドなど生体由来材料の溶媒として適用されている。近年、このイオン液体は、セルロースも溶解することがわかり、繊維の製造などに適用されている(特許文献5)。
【0004】
しかしながら、様々な物質の吸着体として利用可能なセルロース多孔質粒子を製造するためには、その内部構造を制御することと等、多くの課題が残されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2928589号
【特許文献2】特許第2925249号
【特許文献3】WO08/146906号公報
【特許文献4】特開昭55−44312号公報
【特許文献5】特開2008−248466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、様々な物質の吸着体として利用可能な多孔質セルロース粒子をチオシアン酸カルシウムなどの毒性が高い溶媒を使わず、安全かつ簡便に製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題に対して鋭意検討を行った結果、イオン液体にセルロースを溶解させ、気中にて液滴状とした後、イオン液体に混和可能であるセルロース非溶解性の溶媒と接触、セルロースを凝固させることで、セルロース多孔質粒子を得る工程を含む製造方法によって上記課題が解決することを見出し本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち本発明は、セルロースおよびイオン液体を含む溶液を、気中にて液滴状とした後、イオン液体に混和可能であるセルロース非溶解性の溶媒と接触させてセルロースを凝固させ、セルロースの多孔質粒子を形成することを特徴とするセルロース多孔質粒子の製造方法に関する。
【0009】
また本発明は、セルロースおよびイオン液体を含む溶液に、さらに水またはアルコールより選択される1種以上を添加することを特徴とするセルロース多孔質粒子の製造方法に関する。
【0010】
また本発明は、水またはアルコールより選択される1種以上を、イオン液体との合計量に対して2重量%以上、20重量%以下添加することを特徴とする前記製造方法に関する。
【0011】
また本発明は、セルロースおよびイオン液体を含む溶液を液滴状にするための機器に振動を与えつつ、セルロースおよびイオン液体を含む溶液を液滴状にすることを特徴とする前記製造方法に関する。
【0012】
また本発明は、上記機器の振動数を50Hz以上、500Hz以下にすることを特徴とする前記製造方法に関する。
【0013】
また本発明は、セルロースが、再生セルロース、結晶性セルロース、酢酸セルロースから選択される1種以上であることを特徴とする前記製造方法に関する。
【0014】
また本発明は、イオン液体がイミダゾリウム塩であることを特徴とする前記製造方法に関する。
【0015】
また本発明は、イミダゾリウム塩を構成するカチオンが、1,3-ジアルキルイミダゾリウム、1,2,3−トリアルキルイミダゾリウムより選択されることを特徴とする前記製造方法に関する。
【0016】
また本発明は、イミダゾリウム塩を構成するアニオンが、塩素イオン、酢酸イオン、硝酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、CF3SO2-、(CF3SO2)2N-、CF3CO2-から選択される1種以上であることを特徴とする前記製造方法に関する。
【0017】
また本発明は、セルロース非溶解性の溶媒として、水、有機溶剤またはそれらの2種以上で均一に混和した溶剤より選択され、イオン液体に混和可能であることを特徴とする前記製造方法に関する。
【0018】
また本発明は、有機溶剤が、アルコール類、グリコール類、アセトニトリル、アセトン、酢酸エチル、ヘキサン、グリセリン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフランであることを特徴とする前記製造方法に関する。
【0019】
また本発明は、アルコール類が、1-オクタノール、1-ヘプタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-メチル−1−ブタノール、3−メチル1−ブタノール、2−メチル‐2‐ブタノール、3‐メチル‐2‐ブタノール、n−ブタノール、イソブタノール、2-ブタノール、sec-ブタノール、2−メチル−2−プロパノール(tert-ブタノール)、1−プロパノール、2−プロパノール、エタノール、メタノールからなる群より選択される1種以上であることを特徴とする前記製造方法に関する。
【0020】
また本発明は、グリコール類が、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコールからなる群より選択されることを特徴とする前記製造方法に関する。
【0021】
また本発明は、前記製造方法により製造したセルロース多孔質粒子に関する。
【0022】
また本発明は、粒子が中心部まで網目状構造を有することを特徴とする前記セルロース多孔質粒子に関する。
【0023】
また本発明は、細孔径が25nm以上1500nm以下であることを特徴とする、前記セルロース多孔質粒子に関する。
【発明の効果】
【0024】
本発明の製造方法によれば、従来使用していたチオシアン酸カルシウム溶液等を使用する必要がなく、イオン液体は分離回収可能なので、より安全に、より低コストでセルロース多孔質粒子を製造することができる。
【0025】
また本発明の製造方法によれば、セルロース溶液の温度やセルロース濃度、溶媒の種類、溶媒の濃度を変更することにより、セルロース多孔質粒子の内部構造を変化させることも可能であり、様々な物質の吸着体として利用可能なセルロース多孔質粒子を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施例1により得られた本発明のセルロース粒子のSEM写真である。
【図2】図1の中央部の高倍率SEM写真である。
【図3】図1の端部の高倍率SEM写真である。
【図4】実施例1、4、5より得られたセルロース粒子の中央部の開孔面積分布である。
【図5】実施例6より得られたセルロース粒子のSEM写真である。
【図6】図5の中央部の高倍率SEM写真である。
【図7】図5の端部の高倍率大SEM写真である。
【図8】実施例8より得られたセルロース粒子のSEM写真である。
【図9】図8の中央部の高倍率SEM写真である。
【図10】図8の端部の高倍率SEM写真である。
【図11】実施例1、6〜8より得られたセルロース粒子の中央部の開孔面積分布である。
【図12】実施例1、6、9〜10より得られたセルロース粒子の中央部の開孔面積分布である。
【図13】実施例14より得られたセルロース粒子の中央部と端部の開孔面積分布である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の製造方法では、セルロースをまず、イオン液体に溶解する。イオン液体とは、一般に、常圧100℃未満で液体であるイオン化合物である。イオン液体のカチオン部分の例は、ピリジニウム、イミダゾリウムおよびイミダゾール等が挙げられ、非環状カチオンとしては、アルキル第4級アンモニウムおよびアルキル第4級リンカチオン等が挙げられる。カチオン部分の対アニオンは、ハロゲンイオン、擬ハロゲンイオン、ハロゲンを含む有機化合物である有機ハロゲン化物イオンおよびカルボキシレート等からなる群より選択される。カルボキシレートとしては、アセテート、シトレート、マレート、マレエート、ホルメートおよびオキシレートが挙げられ、ハロゲンイオンとしては、クロリド、ブロミド、亜鉛クロリド/コリンクロリドが挙げられ、有機ハロゲン化物イオンとしては、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、CF3SO2-、(CF3SO2)2N-、CF3CO2-、3−メチル−N−ブチル−ピリジニウムクロリドおよびベンジルジメチル(テトラデシル)アンモニウムクロリドが挙げられる。
【0028】
なお、セルロースの溶解性が高いものとしては、特にイミダゾリウム塩が知られ、構成するカチオンが、1,3-ジアルキルイミダゾリウム、1,2,3-トリアルキルイミダゾリウムであるものが、良く知られている。
【0029】
本発明者らは鋭意検討の結果、これらのイオン液体のいずれかにセルロースを溶解させた後、気中に液滴を吐出させ、イオン液体と混和可能なセルロース非溶解性の液体と接触させることで、セルロース多孔質粒子を得られることを見出した。本発明が提供する製造方法によれば、界面活性剤等を使用することなくセルロース多孔質粒子が得られるため、高価なイオン液体の再利用が極めて容易となる。
【0030】
また、イオン液体の種類、組成、およびイオン液体に対して、水、アルコール類等の貧溶媒を加えることが、多孔質粒子の孔径や構造の制御の観点から好ましい。また、それらの添加により、イオン液体溶液の粘度調整を行うことも好ましい。ここで用いるイオン液体に特に限定は無いが、室温未満で液体であるものを用いることが、多孔質粒子の製造を幅広い温度域で行うことが可能となるため好ましい。操作はイオン液体の融点以上で行うことが好ましく、操作性の面からは、特に50℃以上が好ましい。50℃以下でも特に大きな問題は無いが、イオン液体へのセルロース溶解速度が遅くなる傾向にある。イオン液体に貧溶媒を添加する場合は90℃以下の操作が好ましい。90℃以上では貧溶媒の沸点以上となる場合が多い。
【0031】
本発明においてセルロース非溶解性の液体としては、水、アルコール類、グリコール類を用いることができ、好ましくは、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、sec-ブタノール、2−メチルー2−プロパノール(tert-ブタノール)、1-オクタノール、1-ヘプタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-メチル−1−ブタノール、3−メチル1−ブタノール、2−メチル‐2‐ブタノール、3‐メチル‐2‐ブタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、ジメチルスルホキシド等が好適に用いられる。また、セルロース非溶解性の液体として混合溶媒を用いてもよく、水とアルコール類、水とグリコール類、水とアセトニトリル、水とアセトン、水とグリセリン、アルコール類とグリセリン、水とジメチルスルホキシド、アルコール類とジメチルスルホキシド、アルコール類と酢酸エチル、アルコール類とヘキサン、アルコール類とアセトン、水とテトラヒドロフランの混合溶媒から多孔質粒子を得ることができ、好ましくは水とメタノール、水とエタノール、水と2−プロパノールの混合溶媒を用いる。なお、セルロース非溶解性の液体に、溶液粘度調整、セルロースの多孔質形状の制御のために界面活性剤であるポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、アルキルグリコシド等を加えてもよい。セルロース非溶解性溶媒は沸点以下、イオン液体の融点以上の温度で操作することが好ましい。イオン液体の融点以下の温度で操作するとセルロース粒子中からイオン液体が放出されにくくなるためである。
【0032】
本発明に使用可能なセルロースとしては、イオン液体に溶解するものであれば、いかなるものでも用いることができるが、製造した多孔質粒子の強度向上のためには、セルロースの重合度が高いものを用いることが望ましい。重合度が高いと、イオン液体のセルロース溶液の粘度が高くなるため、操作性の面では、重合度300〜700程度の微結晶性セルロースが好ましく、さらに好ましくは重合度300程度の微結晶性セルロースが良好である。なお、重合度の高いものを用いる場合には、貧溶媒の添加や、高温での操作がセルロース溶液の粘度を下げる観点から好ましい
セルロースの使用量は、セルロース濃度が高いものほどセルロース溶液の粘度が高くなるが、固形分含量や強度は向上するため、製品の目的に応じて選択され得る。濃度としては、セルロースの溶解した溶液100重量%に対して、2%〜20%が好ましく、さらに好ましくは3%から8%である。セルロース濃度が下限以下ではセルロースが粒子とならなかったり機械的強度が小さくなる場合があり、上限以上では粘度上昇に伴って操作性が悪くなったり吸着体としたときの吸着量が低下する場合がある。
【0033】
本発明はセルロース多孔質粒子を形成させるために、イオン液体に溶解させたセルロースを気中に吐出させ液滴化し、セルロース非溶解性の溶媒に滴下することで、セルロース粒子を得るものであるが、この液滴の生成方法については特に限定しないが、たとえば、特開昭62−191033公報に記載の方法が挙げることができる。また、シリンジを用い、シリンジ針に振動子を接触、あるいは液体部に加振しておくことでセルロース溶液を一定の大きさの液滴として吐出させることも可能である。振動子の振動数を50Hz以上、500Hz以下が好ましく、より好ましくは100Hzから300Hzである。振動数が50Hz以下であると、セルロース粒子のサイズが不均一になりやすく、300Hz以上であると液滴が微分散しやすく、粒子径の制御が容易ではない。さらに、スプレーノズルや、円盤式アトマイザー等も用いることができる。
【0034】
このようにして生成したセルロース液滴は、セルロース非溶解性の溶媒に接触、沈降する際、液滴からイオン液体が溶媒に拡散していき、セルロース粒子が形成される。液―液分散を利用してセルロースを析出させることも可能であるが、セルロース析出量に対し大量の溶媒が必要となり、均一な分散を実現させるためには界面活性剤が必要である。そのため、高価なイオン液体の回収が困難となる。また、不揮発性かつ広い温度域で液体となる特徴を持つイオン液体を用いていても、イオン液体を分散させるイオン液体非溶解性液体の物理的性質により利用可能なイオン液体の温度域が限定されてしまう。しかしながら本発明においては、セルロース溶液を気中に吐出させ液滴化し、セルロース粒子を得るため、界面活性剤は不要であるのでイオン液体の回収も容易であるし、広い温度域での操作が可能である。
【0035】
その後、形成されたセルロース粒子を回収する。この方法で得られた粒子は多孔質の粒子であり、その孔の大きさはセルロース濃度、セルロース非溶解性の溶媒を変えることで制御することが可能である。
【0036】
本発明の多孔質粒子はセルロースを用いているため、吸着特性に優れ、非特異的吸着が少ないことが求められる分野において好適に用いることができる。なかでもLDL吸着やIgG等の抗体精製に好適に用いることができる。これらの用途にとって好ましい細孔径は25nm以上1500nm以下である。25nmより小さいと目的物が孔に入りづらくなり、1500nmより大きいと比表面積が小さくなる傾向がある。より好ましくは70nm以上1400nm以下、特に好ましくは100nm1300nm以下、最も好ましくは150nm以上1200nm以下である。
【0037】
本発明において、製造されるセルロース多孔質粒子の大きさは、特に限定されるものではないが、様々な物質の吸着体として利用する際には、粒径が1μmから2mm程度のものが、好適に用いられる。
【実施例】
【0038】
以下に本発明の実施形態を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない
(実施例1)
1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート(シグマ・アルドリッチ社)8gに微結晶性セルロースを0.29g溶解させ、3.5重量%とした。溶液温度を80℃とした後、10mLのシリンジより押し出し、吐出速度0.05mL/minでセルロース非溶解性の溶媒である300mLの水に滴下した。シリンジには、内径0.1mmの針を取り付け、167Hzの振動モーターにより連続的に振動を与えた。加振しておくことでセルロース溶液を一定の大きさの液滴として吐出させることが可能である。水の温度は30℃とした。滴下終了後、30℃で1時間保持し、セルロース粒子を回収した。
【0039】
回収したセルロース粒子をマイクロスコープ(キーエンス製デジタルマイクロスコープVH−6200、以下同じ)で50倍に拡大して観察したところ、平均粒子径約930μmの球状粒子になっていた。レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(堀場社製LA−950)を用いてメジアン径を測定し、平均粒子径とした。
【0040】
また、回収したセルロース粒子をエタノールで置換し、次いで2−メチル−2−プロパノールで置換し、これを凍結乾燥後、走査型電子顕微鏡(日立製作所社製,S−4800,以下「SEM」と称する)にて内部構造を解析した。その結果、セルロース粒子は図1、図2、図3に示したような多孔性の粒子であることが確認された。開孔面積はSEM写真より孔の大きさを測ることで解析した。本セルロース粒子の細孔径のメディアン径は1180nmであった。
(実施例2)
吐出流量を0.10mL/minとする以外は実施例1と同様の方法、条件によりセルロース粒子を得た。得られた粒子をデジタルマイクロスコープで観察したところ、平均粒子径約1000μmの球状粒子が得られた。また、粒子の内部構造は実施例1の粒子と同様であった。
(実施例3)
吐出流量を0.01mL/minとする以外は実施例1と同じ方法、条件によりセルロース粒子を得た。得られた粒子をデジタルマイクロスコープで観察したところ、平均粒子径約780μmの球状粒子が得られた。また、粒子の内部構造は実施例1の粒子と同様であった。
(実施例4)
セルロース濃度4%の溶液とする以外は実施例1と同様の方法、条件によりセルロース粒子を得た。SEMによる内部構造解析の結果、多孔質の粒子であることが確認された。本セルロース粒子の細孔径のメディアン径は1130nmであった。孔の大きさはセルロース濃度に依存し、セルロース濃度が高いほど開孔面積が狭い粒子が得られることが確認できた。
(実施例5)
セルロース濃度5%の溶液とする以外は実施例1と同様の方法、条件によりセルロース粒子を得た。SEMによる内部構造解析の結果、多孔質の粒子であることが確認された。開口面積は、実施例4の粒子よりもさらに狭くなっていることが確認できた。本セルロース粒子の細孔径のメディアン径は850nmであった。
【0041】
図4に実施例1と実施例4、5より得られたセルロース粒子中央部の開孔面積分布を示す。図4によれば、セルロース濃度によりセルロース粒子の開孔面積分布を制御できたことが明らかである。より具体的には、セルロース溶液におけるセルロースの濃度を高めるほど開口径の小さな孔が得られる
(実施例6)
セルロース非溶解性の溶媒をメタノールとする以外は実施例1と同様の方法、条件によりセルロース粒子を得た。SEMによる内部構造解析の結果、図5から図7に示したような多孔質の粒子であることが確認された。本セルロース粒子の細孔径のメディアン径は610nmであった。水から得られたセルロース粒子とは異なり、繊維状のセルロースがセルロース粒子を形成していた。SEM画像より同じ繊維状のセルロースで形成された粒子でも、セルロース非溶解性の溶媒の種類により開孔面積分布は異なることが確認された。
(実施例7)
セルロース非溶解性の溶媒をエタノールとする以外は実施例1と同様の方法、条件によりセルロース粒子を得た。SEMによる内部構造解析の結果、多孔質の粒子であることが確認された。本セルロース粒子の細孔径のメディアン径は730nmであった。メタノールと同様に繊維状のセルロースがセルロース粒子を形成していた。
(実施例8)
セルロース非溶解性の溶媒を2−プロパノールとする以外は実施例1と同様の方法、条件によりセルロース粒子を得た。SEMによる内部構造解析の結果、図8から図10に示したような多孔質の粒子であることが確認された。本セルロース粒子の細孔径のメディアン径は1070nmであった。繊維状のセルロースがセルロース粒子を形成していた。SEM写真より同じ繊維状のセルロースで形成された粒子でも、セルロース非溶解性の溶媒の種類により開孔面積分布は異なることが確認された。
【0042】
図11に実施例1と実施例6から実施例8より得られたセルロース粒子中央部の開孔面積分布を示す。図11によれば、セルロース非溶解性の溶媒の種類によりセルロース粒子の開孔面積分布を制御が可能となることが明らかである。より具体的には、セルロース非溶解性液体として水を用いる場合、多孔質粒子の孔径はより均一化する傾向が見られた。また、セルロース非溶解性液体としてアルコール類を用いる場合、2−プロパノール→エタノール→メタノールと親水性が高まるにつれ、多孔質粒子の孔径は小さくなった。
(実施例9)
セルロース非溶解性の溶媒に水とメタノール、1:9の混合溶媒を用いた以外は実施例1と同様の方法、条件によりセルロース粒子を得た。SEMによる内部構造解析の結果、多孔質の粒子であることが確認された。本セルロース粒子の細孔径のメディアン径は750nmであった。
(実施例10)
セルロース非溶解性の溶媒に水とメタノール、3:7の混合溶媒を用いた以外は実施例1と同様の方法、条件によりセルロース粒子を得た。SEMによる内部構造解析の結果、多孔質の粒子であることが確認された。本セルロース粒子の細孔径のメディアン径は1200nmであった。
【0043】
図12に実施例1、実施例6、実施例9、実施例10より得られたセルロース粒子中央部の開孔面積分布を示す。図12によれば、セルロース非溶解性溶媒の組成を変化させることでセルロース粒子の開孔面積分布を制御が可能となることが明らかである。より具体的には、水とアルコール類との混合溶媒を用いる場合、水の割合が大きくなるほど多孔質粒子の孔径はより大きくなる傾向が見られた。
(実施例11)
1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート7.2gに対し、微結晶性セルロース0.29gを溶解させ、さらに水を0.8g加えることで溶液を調整した。水の含量は溶媒全体(1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテートと水との合計重量)に対し10重量%となる。溶液温度を60℃とした後、セルロース非溶解性の溶媒である水に滴下した。その他は実施例1と同じ方法、条件によりセルロース粒子を得た。SEMによる内部構造解析の結果、多孔質の粒子であることが確認された。
(実施例12)
溶媒全体量に対する水の含量を5重量%とした以外は実施例11と同じ方法、条件によりセルロース粒子を得た。SEMによる内部構造解析の結果、多孔質の粒子であることが確認された。
(実施例13)
1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート7.2gに対し、微結晶性セルロース0.29gを溶解させ、さらにメタノールを0.8g加えることで溶液を調整した。メタノールの含量は溶媒全体(1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテートとメタノールとの合計重量)に対し10重量%となる。その他は実施例11と同じ方法、条件によりセルロース粒子を得た。SEMによる内部構造解析の結果、多孔質の粒子であることが確認された。本セルロース粒子の細孔径のメディアン径は190nmであった。
(実施例14)
溶媒全体量に対するメタノールの含量を5重量%とした以外は実施例13と同じ方法、条件によりセルロース粒子を得た。SEMによる内部構造解析の結果、多孔質の粒子であることが確認された。本セルロース粒子の細孔径のメディアン径は400nmであった。
【0044】
図13にメタノールを5重量%加えた場合の開孔面積分布を示す。実施例4までのセルロース粒子とは異なり、粒子中央部の開孔面積分布と粒子端部の開孔面積分布に差がなく、セルロース粒子全体の孔の大きさの分布が均一な粒子を得ることが可能であった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースおよびイオン液体を含む溶液を、気中にて液滴状とした後、イオン液体に混和可能であるセルロース非溶解性の溶媒と接触させてセルロースを凝固させ、セルロースの多孔質粒子を形成することを特徴とするセルロース多孔質粒子の製造方法。
【請求項2】
セルロースおよびイオン液体を含む溶液に、水またはアルコールより選択される1種以上を添加する請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
水またはアルコールより選択される1種以上を、イオン液体との合計量に対して2重量%以上、20重量%以下添加する請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
セルロースおよびイオン液体を含む溶液を液滴状にするための機器に振動を与えつつ、セルロースおよびイオン液体を含む溶液を液滴状にする請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
上記機器の振動数を50Hz以上、500Hz以下にする請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
セルロースが、再生セルロース、結晶性セルロース、酢酸セルロースから選択される1種以上である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
イオン液体がイミダゾリウム塩であることを特徴とする請求項1〜6記載のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
イミダゾリウム塩を構成するカチオンが、1,3-ジアルキルイミダゾリウム、1,2,3−トリアルキルイミダゾリウムより選択される1種以上である請求項7記載の製造方法。
【請求項9】
イミダゾリウム塩を構成するアニオンが、塩素イオン、酢酸イオン、硝酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、CF3SO2-、(CF3SO2)2N-、CF3CO2-から選択される1種以上である請求項7、8いずれか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
セルロース非溶解性の溶媒として、水、有機溶剤またはそれらの2種以上で均一に混和した溶剤より選択され、イオン液体に混和可能であることを特徴とする請求項1〜9いずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
有機溶剤が、アルコール類、グリコール類、アセトニトリル、アセトン、酢酸エチル、ヘキサン、グリセリン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフランである請求項1〜10いずれかに記載の製造方法。
【請求項12】
アルコール類が、1-オクタノール、1-ヘプタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-メチル−1−ブタノール、3−メチル1−ブタノール、2−メチル‐2‐ブタノール、3‐メチル‐2‐ブタノール、n−ブタノール、イソブタノール、2-ブタノール、sec-ブタノール、2−メチル−2−プロパノール(tert-ブタノール)、1−プロパノール、2−プロパノール、エタノール、メタノールからなる群より選択される1種以上である請求項11記載の製造方法。
【請求項13】
グリコール類が、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコールからなる群より選択される1種以上である請求項11記載の製造方法。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の製造方法により製造したセルロース多孔質粒子
【請求項15】
粒子が中心部まで網目状構造を有することを特徴とする請求項14に記載のセルロース多孔質粒子。
【請求項16】
細孔径が25nm以上15000nm以下であることを特徴とする、請求項14または15のいずれか一項に記載のセルロース多孔質粒子。
【請求項1】
セルロースおよびイオン液体を含む溶液を、気中にて液滴状とした後、イオン液体に混和可能であるセルロース非溶解性の溶媒と接触させてセルロースを凝固させ、セルロースの多孔質粒子を形成することを特徴とするセルロース多孔質粒子の製造方法。
【請求項2】
セルロースおよびイオン液体を含む溶液に、水またはアルコールより選択される1種以上を添加する請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
水またはアルコールより選択される1種以上を、イオン液体との合計量に対して2重量%以上、20重量%以下添加する請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
セルロースおよびイオン液体を含む溶液を液滴状にするための機器に振動を与えつつ、セルロースおよびイオン液体を含む溶液を液滴状にする請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
上記機器の振動数を50Hz以上、500Hz以下にする請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
セルロースが、再生セルロース、結晶性セルロース、酢酸セルロースから選択される1種以上である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
イオン液体がイミダゾリウム塩であることを特徴とする請求項1〜6記載のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
イミダゾリウム塩を構成するカチオンが、1,3-ジアルキルイミダゾリウム、1,2,3−トリアルキルイミダゾリウムより選択される1種以上である請求項7記載の製造方法。
【請求項9】
イミダゾリウム塩を構成するアニオンが、塩素イオン、酢酸イオン、硝酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、CF3SO2-、(CF3SO2)2N-、CF3CO2-から選択される1種以上である請求項7、8いずれか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
セルロース非溶解性の溶媒として、水、有機溶剤またはそれらの2種以上で均一に混和した溶剤より選択され、イオン液体に混和可能であることを特徴とする請求項1〜9いずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
有機溶剤が、アルコール類、グリコール類、アセトニトリル、アセトン、酢酸エチル、ヘキサン、グリセリン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフランである請求項1〜10いずれかに記載の製造方法。
【請求項12】
アルコール類が、1-オクタノール、1-ヘプタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-メチル−1−ブタノール、3−メチル1−ブタノール、2−メチル‐2‐ブタノール、3‐メチル‐2‐ブタノール、n−ブタノール、イソブタノール、2-ブタノール、sec-ブタノール、2−メチル−2−プロパノール(tert-ブタノール)、1−プロパノール、2−プロパノール、エタノール、メタノールからなる群より選択される1種以上である請求項11記載の製造方法。
【請求項13】
グリコール類が、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコールからなる群より選択される1種以上である請求項11記載の製造方法。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の製造方法により製造したセルロース多孔質粒子
【請求項15】
粒子が中心部まで網目状構造を有することを特徴とする請求項14に記載のセルロース多孔質粒子。
【請求項16】
細孔径が25nm以上15000nm以下であることを特徴とする、請求項14または15のいずれか一項に記載のセルロース多孔質粒子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
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【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−214003(P2011−214003A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61700(P2011−61700)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】
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