説明

セロトニン再取り込み阻害剤としてのフェニル−ピペラジン誘導体

【課題】セロトニン再取り込み阻害剤としての化合物の提供。
【解決手段】化合物は下式で表わされる、情動障害、例えばうつ病、全般性不安障害、パニック障害及び強迫性障害を含む不安障害の治療に有用なフェニルピペアジン誘導体。


[式中、XはO、Sを、pは0、1〜8を、qは0、1〜4を、sは0、1〜5を、R はC1−6アルキルを、R及びRはハロゲン、シアノ、ニトロ、置換アルキル等の置換基を有する。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セロトニン再取り込み阻害剤であり、そしてそれ自体、たとえばうつ病及び不安の治療に有効である新規化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(以下、SSRIsと呼称する。)はうつ病、特定の型の不安及びソーシャルホビアの治療で最初に選ばれる治療薬になった。というのはこれが古典的な三環系抗うつ剤に比べて有効で、十分に許容され、そして好ましい安全性プロフィールを有するからである。
【0003】
しかしながら、うつ病に対する臨床研究で、SSRIに非応答がかなりあり、すなわち30%にまで達することが示されている。抗うつ剤中の他の、時折無視 されファクターは服従であって、これは薬物治療を続ける患者の自発性にかなり強い影響を与える。
【0004】
第一にSSRIsの治療効果に遅れがある。時折、治療の最初の数週間の間でさえ症状が悪化する。第二に性機能障害はすべてのSSRIsに共通する副作用である。これらの課題に取り組むことなく、うつ病及び不安障害の薬物治療において実際の進歩が起こるとは考えられない。
【0005】
非−応答を解決するために、精神科医はしばしば拡大対策を利用する。抗うつ剤治療の拡大は抗躁鬱病薬、たとえば炭酸リチウム又はトリヨードチロシンの共投与又は電気ショックの使用によって達成することができる。
【0006】
セロトニン再取り込みを阻害する化合物と5-HT1Aレセプターアンタゴニストの組み合わせ投与の効果は、いくつかの研究で評価された(Innis, R.B. 等, Eur.J. Pharmacol., 1987, 143, p195-204及びGartside, S.E., Br. J. Pharmacol.1995, 115, p1064-1070, Blier, P. 等, Trends Pharmacol. Sci. 1994, 15, 220) 。これらの研究において、5-HT1Aレセプターアンタゴニストがセロトニン再取り込みを阻害剤によって誘発される5−HT神経伝達への最初の抑制を廃止し、5−HT伝達の即座の増加及び一層迅速な開始を生じるであろうことを見出した。
【0007】
いくつかの特許出願明細書が出願され、この特許出願はうつ病の治療のために5−HT1Aアンタゴニストとセロトニン再取り込み阻害剤の組み合わせの使用を対象にしている(欧州特許(A2)第687472号及び第714663号明細書参照)。
【0008】
末端5−HTの増加への別の研究は、5−HT1Bオートレセプターの遮断によるものであった。ラットでの微量透析実験は、シタロプラムによる海馬5−HTの増加がGMC2−29,実験用5−HT1Bレセプターアンタゴニストによって増強されることを明確に示した。
【0009】
SSRIs及び5−HT1Bアンタゴニスト又は半アゴニストの組み合わせを対象とするいくつかの特許出願明細書も出願された(国際特許出願(WO)第97/28141号明細書、欧州特許(A)第701819号明細書及び国際特許出願(WO)第99/13877号明細書)。
【0010】
セロトニン再取り込み阻害剤と5−HT2Cアンタゴニスト又は逆の作動性効果を有する化合物(5−HT2Cレセプターでマイナスの効果を有する化合物)の組み合わせは微量透析実験で測定したように末端領域で5−HTのレベルのかなりの増加を提供することは以前に見出されていた(国際特許出願(WO)第01/41701号明細書)。これは臨床現場で及びセロトニン再取り込み阻害剤(SRI)の治療効果の拡大又は増強で抗うつ効果の一層短い開始を示唆させるであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は情動障害、たとえばうつ病、全般性不安障害、パニック障害及び強迫性障害を含む不安障害の治療用セロトニン再取り込み阻害剤である化合物を提供する。この化合物のいくつかは国際特許出願(WO)第01/41701号明細書によれば抗うつ活性の一層早い開始を示唆させるであろうセロトニン再取り込み阻害剤及び5−HT2Cレセプターモジュレーションの組み合わせ効果も有する。
【0012】
本発明によって含まれる2〜3の化合物は、すでに国際特許出願(WO)第01/49681号及び第02/59108号明細書に開示されている。しかしながら国際特許出願(WO)第01/49681号明細書の化合物は何ら治療上の又は生物学的活性を有するものとして記載されていない。国際特許出願(WO)第02/59108号明細書の化合物は、メラノコルチンレセプターアゴニストとして治療活性を有する本発明の化合物と異なる化合物の合成における中間体として記載されている。ある化合物、1−(2−フェノキシフェニル)ピペラジン(これは本発明に含まれる)は代謝障害の治療に有用であるとして米国特許第4,064,245号明細書に開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の要旨
本発明は一般式I
【0014】
【化3】


{式中、
YはN、C又はCHであり、
XはO又はSを示し、
mは1又は2であり、
pは0,1,2,3,4,5,6,7又は8であり、
qは0,1,2,3又は4であり、
sは0,1,2,3,4又は5であり、
点線は任意の結合を示し、
各R1 は独立してC1-6 −アルキルによって表わされる群から選ばれるか又は
同一の炭素原子に結合する2つのR1 は3〜6員のスピロ結合された環状アルキルを形 成することができ、
各R2 は独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ル、C1- 6 −アル(キ/ケニ/キニ)ルオキシ、C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ルスルファニ ル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ル、ハロ−C1-6 −ア ル(キ/ケニ/キニ)ル、ハロ−C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ルオキシ、C3-8 − シクロ(キ/ケニ)ル、C3-8 −シクロアル(キ/ケニ)ル−C1-6 −アル(キ/ケニ /キニ)ル、アシル、C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ルオキシカルボニル、C1-6 − アル(キ/ケニ/キニ)ルスルホニル、又は−NRx y ,−NRx CO−C1-6 −ア ル(キ/ケニ/キニ)ルより成る群から選ばれ、
各R3 は独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、、C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ル、C 1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ルオキシ、C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ルスルファ ニル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ル、ハロ−C1-6 − アル(キ/ケニ/キニ)ル、ハロ−C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ルオキシ、C3-8 −シクロ(キ/ケニ)ル、C3-8 −シクロアル(キ/ケニ)ル−C1-6 −アル(キ/ケ ニ/キニ)ル、C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ルスルホニル、アリール、C1-6 −ア ル(キ/ケニ/キニ)ルオキシカルボニル、アシル、−NRx CO−C1-6 −アル(キ /ケニ/キニ)ル、−CONRx y 又は−NRx y より成る群から選ばれるか、
又は2つの隣接するR3 置換基は一緒になって
【0015】
【化4】


(式中、
WはO又はSであり、
R’及びR”は水素又はC1-6 −アルキルである。)
より成る群から選ばれたフェニル環に縮合されたヘテロ環を形成するか、
又は2つの隣接するR3 置換基は一緒になってヘテロ原子1、2又は3個を含む縮合され たヘテロ芳香族系を形成し、
x 及びRy のそれぞれは独立して水素、C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ル、C3-8 − シクロアル(キ/ケニ)ル、C3-8 −シクロアル(キ/ケニ)ル−C1-6 −アル(キ/ ケニ/キニ)ル又はアリールより成る群から選ばれるか又は
x 及びRy はこれらが結合する窒素原子と一緒になって3〜7員の環を形成し、この環 は場合により別のヘテロ原子1個を含む。}
で表わされる化合物又はその薬学的許容し得る酸付加塩を提供する。
【0016】
本発明はまた化合物が1−(2−フェノキシフェニル)−ピペラジンでない上記化合物を提供する。
【0017】
本発明はまた化合物が、
1−[2−(2−メトキシフェノキシ)フェニル]ピペラジン、
1−[2−(2、6−ジメトキシフェノキシ)フェニル]−[1,4]−ジアゼパン、
1−{2−[3−(ジメチルアミノ)フェノキシ]フェニル}ピペラジン、
1−[2−(4−メチルフェノキシ)フェニル]ピペラジン、
1−[2−(3−メチルフェノキシ)フェニル]ピペラジン、
1−[2−(3−クロロフェノキシ)フェニル]ピペラジン、
1−[2−(3−メトキシフェノキシ)フェニル]ピペラジン及び
1−(2−フェノキシフェニル)−ピペラジンでない、
上記化合物を提供する。
【0018】
本発明は医薬として使用される上記化合物を提供する。
【0019】
本発明は上記化合物又は薬学的に許容し得る酸付加塩及び少なくとも1個の薬学的に許容し得るキャリヤー又は希釈剤を含有する薬学的調合物を提供する。
【0020】
本発明は上記化合物又はその薬学的に許容し得る酸付加塩を情動障害、たとえばうつ病、全般性不安障害、パニック障害及び強迫性障害を含む不安障害の治療用医薬の製造に使用する方法を提供する。
【0021】
本発明はヒトを含めた動物生体における情動障害、たとえばうつ病、全般性不安障害、パニック障害及び強迫性障害を含む不安障害の治療方法において、上記化合物又はその薬学的に許容し得る酸付加塩の治療上有効な量を投与することを特徴とする、上記治療方法を提供する。
【0022】
発明の詳細な説明
好ましい本発明の実施態様はpが0である場合である。
【0023】
好ましい本発明の実施態様はmが1又は2である場合である。
【0024】
好ましい本発明の実施態様はR2 がトリフルオロメチル又はC1-6 −アルキルである場合である。
【0025】
好ましい本発明の実施態様はR3 がハロゲン、C1-6 −アルコキシ、C1-6 −スルファニル、C1-6 −アルキル、ヒドロキシ又はトリフルオロメチルより成る群から選ばれる場合である。
【0026】
具体的に好ましい本発明の実施態様は、本発明の化合物が次のいずれかの化合物:
1−[2−(2−トリフルオロメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン、
1−[2−(4−ブロモフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン、
1−{2−[4−(メチルスルファニル)フェニルスルファニル]フェニル}ピペラジン、
1−[2−(4−ヒドロキシフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン、
1−[2−(2、4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン、
1−[2−(3、5−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン、
1−[2−(2、6−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン、
1−[2−(2、5−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン、
1−[2−(2−トリフルオロメチルフェニルスルファニル)フェニル]−[1,4]−ジアゼパン、
1−[2−(3−メチルフェニルスルファニル)フェニル]−[1,4]−ジアゼパン、1−[2−(4−ブチルフェノキシ)フェニル]ピペラジン、
1−[2−(4−メトキシフェノキシ)フェニル]ピペラジン、
2−(4−メチルフェニルスルファニル)フェニル−1−ピペラジン、
1−[2−(4−クロロフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン、
1−[2−(4−メトキシフェニルスルファニル)−4−クロロフェニル]ピペラジン、
1−[2−(4−メトキシフェニルスルファニル)−4−メチルフェニル]ピペラジン、
1−[2−(4−メトキシフェニルスルファニル)−5−メチルフェニル]ピペラジン、
1−[2−(4−フルオロフェニルスルファニル)−5−メチルフェニル]ピペラジン、
1−[2−(4−メトキシフェニルスルファニル)−5−トリフルオロメチルフェニル]ピペラジン、
1−[2−(4−クロロフェニルスルファニル)フェニル]−3−メチルピペラジン、
1−[2−(4−クロロフェニルスルファニル)フェニル]−3、5−ジメチルピペラジン、
4−[2−(4−メチルフェニルスルファニル)フェニル]−3、6−ジヒドロ−2H−ピリジン、
4−[2−(4−メトキシフェニルスルファニル)フェニル]−3、6−ジヒドロ−2H−ピリジン又は
4−[2−(4−メチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペリジン
又はその薬学的に許容し得る塩である場合である。
【0027】
置換基の定義
ハロゲンはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素を示す。
【0028】
表現“C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ル”はC1-6 −アルキル基、C2-6 アルケニル基又はC2-6 アルキニル基を意味する。表現“C3-8 −シクロアル(キ/ケニ)ル”はC3-8 −シクロアルキル−又はシクロアルケニル−基を意味する。
【0029】
用語“C1-6 アルキル”は、炭素原子1〜6個を有する分枝状又は線状アルキル基を示し、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、1-ブチル、2-ブチル、2-メチル-2- プロピル及び2-メチル-1- プロピルを含むがこれらに限定されない。
【0030】
同様に、用語“C2-6 アルケニル及びC2-6 アルキニル”夫々は、少なくとも1個の二重結合及び三重結合夫々を含めて、炭素原子2〜6個を有する基を示し、エテニル、プロペニル、ブテニル、エチニル、プロピニル及びブチニルを含むがこれらに限定されない。
【0031】
用語“C3-8 シクロアルキル”は炭素原子3〜8個を有する単環状又は二環状炭素環を示し、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を含むがこれらに限定されない。
【0032】
用語“C3-8 シクロアルケニル”は炭素原子3〜8個を有しかつ二重結合1個含む単環状又は二環状炭素環を示す。
【0033】
用語“C3-8 −シクロアル(キ/ケニ)ル−C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ル、C3-8 −シクロアル(キ/ケニ)ル及びC1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ル”は上記に定義された通りである。
【0034】
用語“C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ルオキシ、C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ルスルファニル、ヒドロキシ−C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ル、ハロ−C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ル、ハロ−C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ルオキシ、C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ルスルホニル等”はC1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ルが上記に定義された通りであるような基を示す。
【0035】
ここで使用されるように、用語“C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ルオキシカルボニル”は式C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ル−O−CO−(式中、C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ルは上記に定義された通りである。)で表わされる基を示す。
【0036】
ここで使用されるように、用語“アシル”はホルミル基、C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ルカルボニル基、アリールカルボニル基、アリール -C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ルカルボニル基、C3-8 シクロアル(キ/ケニ)ルカルボニル基又はC3-8 シクロアルアル(キ/ケニ)ル- C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ルカルボニル基を示す。
【0037】
ここで使用されるように別のヘテロ原子1個を場合により有する3−7員環なる用語は、環系、たとえば1−モルホリニル、1−ピペリジニル、1−アゼピニル、1−ピペラジニル、1−ホモピペラジニル、1−イミダゾリル、1−ピロリル又は1−ピラゾリルを示し、これらのすべてはC1-6 −アルキルによってさらに置換されていてよい。
【0038】
2つの隣接するR3 置換基によって形成され、かつ主体となる環に縮合されるヘテロ環は一緒になって環、たとえば5−員の単環状環を形成することができる。この環はたとえば3H−1,2,3−オキサチアゾール、1,3,2−オキサチアゾール、1,3,2−ジオキサゾール、3H−1,2,3−ジチアゾール、1,3,2−ジチアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1H−1,2,3−トリアゾール、イソオキサゾール、オキサゾール、イソチアゾール、チアゾール、1H−イミダゾール、1H−ピラゾール、1H−ピロール、フラン又はチオフェン及び6−員の単環状環、たとえば1,2,3−オキサチアジン、1,2,4−オキサチアジン、1,2,5−オキサチアジン、1,4,2−オキサチアジン、1,4,3−オキサチアジン、1,2,3−ジオキサジン、1,2,4−ジオキサジン、4H−1,3,2−ジオキサジン、1,4,2−ジオキサジン、2H−1,5,2−ジオキサジン、1,2,3−ジチアジン、1,2,4−ジチアジン、4H−1,3,2−ジチアジン、1,4,2−ジチアジン、2H−1,5,2−ジチアジン、2H−1,2,3−オキサジアジン、2H−1,2,4−オキサジアジン、2H−1,2,5−オキサジアジン、2H−1,2,6−オキサジアジン、2H−1,3,4−オキサジアジン、2H−1,2,3−チアジアジン、2H−1,2,4−チアジアジン、2H−1,2,5−チアジアジン、2H−1,2,6−チアジアジン、2H−1,3,4−チアジアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、2H−1,2−オキサジン、2H−1,3−オキサジン、2H−1,4−オキサジン、2H−1,2−チアジン、2H−1,3−チアジン、2H−1,4−チアジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、4H−1,3−オキサチイン、1,4−オキサチイン、4H−1,3−ジオキシン、1,4−ジオキシン、4H−1,3−ジチイン、1,4−ジチイン、ピリジン、2H−ピラン又は2H−チインである。
【0039】
用語“アリール”は炭素環状芳香族系、たとえばフェニル及びナフチルを意味する。
【0040】
本発明の化合物の酸付加塩は、非毒性酸を用いて形成された本発明の化合物の薬学的に許容し得る塩である。このような有機酸塩の例は、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、コハク酸、シュウ酸、ビス- メチレンサリチル酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、マンデリン酸、ケイヒ酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、イタコン酸、グリコール酸、p- アミノ- 安息香酸、グルタミン酸、ペンゼンスルホン酸及びテオフイリン酢酸、並びに8-ハロテオフイリン類、たとえば8-ブロモ- テオフイリンとの塩である。このような無機酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルフアミン酸、リン酸及び硝酸との塩である。
【0041】
更に、本発明の化合物は溶媒和されていない形で及び薬学的に容認された溶剤、たとえば水、エタノール等々で溶媒和された形でも存在できる。一般に溶媒和された形は本発明の目的のための非溶媒和された形に相当するものと考えられる。
【0042】
本発明の化合物はいくつかのキラル中心を含有し、この様な化合物は異性体(すなわち対掌体)の形で存在する。本発明はこの様な異性体のすべて及びラセミ混合物も含めてそのすべての混合物を包含する。
【0043】
ラセミ形を、公知方法によって、たとえば光学的に活性な酸でそのジアステレオマー塩を分離し、塩基で処理して光学的に活性なアミン化合物を遊離することによって光学的対掌体に分割することができる。ラセミ化合物の光学的対掌体への他の分割法は、光学的活性なマトリックス上でのクロマトグラフィー法に基づく。本発明のラセミ化合物はまた、たとえばd- 又はl-塩(酒石酸塩、マンデル酸塩又はシヨウノウスルホン酸塩)の分別結晶によって、その光学的対掌体に分割することができる。本発明の化合物はまた、ジアステレオマー誘導体の生成によって分割することができる。
【0044】
当業者に公知の別の光学的異性体分割法を使用してもよい。この様な方法は、Jaques J. Collet A, 及び Wilen S, "Enantiomers, Racemates, and Resolutions", John Wiley 及び Sons,ニューヨーク(1981)中に記載されている。
【0045】
光学的に活性な化合物はまた、光学的に活性な出発化合物から製造することができる。
【0046】
薬学的調合物
本発明の薬学的調合物を常法で製造する。例:錠剤を、有効成分と慣用の佐剤(adjuvants) 及び(又は)希釈剤と混合し、次いで混合物を通常の打錠機で圧縮して製造する。佐剤又は希釈剤の例:コーンスターチ、ジャガイモでんぷん、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ゼラチン、乳糖、ガム等々。たとえば着色、矯味矯臭、保存の目的に常に使用され、有効成分と適合するすべての他の賦形剤又は添加物を使用することができる。
【0047】
注射用溶液は、有効成分及び可能な添加物を注射用溶剤、好ましくは滅菌水の一部中に溶解し、所望の容量に溶液を調整し、溶液を滅菌し、適するアンプル又はガラスビンに充填することによって製造する。通常使用される適する添加物、たとえば張度剤(tonicity)、保存剤、酸化防止剤等々が添加される。
【0048】
本発明の薬学的調合物又は本発明に従って製造された調合物を、すべての適する方法で、たとえば錠剤、カプセル、粉末、シロップ等の形で経口で又は注射用溶液の形で腸管外に投与することができる。この様な調合物を製造するために、従来知られている方法を使用することができ、すべての薬学的に容認されたキャリヤー、希釈剤、賦形剤又は通常従来使用される他の添加物を使用することができる。
【0049】
通常、本発明の化合物を約0.01〜100mg の量でこの化合物を含有する単位投薬形で投与するが有利である。総一日薬用量は、通常本発明の有効物質約0.05〜500mg 、もっとも好ましくは約 0.1〜50mgの範囲である。
【0050】
本発明の化合物を次の一般法によって製造する:
a)式II
【0051】
【化5】


(式中、Zは
【0052】
【化6】


を示し、R1 、R2 、R3 、m、p、q、s、X,Y及び点線は上記に定義された通りであり、R''' はt−ブチル基、メチル基、エチル基、アリル基又はベンジル基であるか又はR''' OCO2 は固体支持されたカルバメート基、たとえばWang樹脂をベースとするカルバメートリンカーである。)
で表わされる化合物のポリマーサポートから脱保護するか又は開裂させる。
b)式III
【0053】
【化7】


(式中、R1 、R2 、m、p、q、Y及び点線は上記に定義された通りである。)
で表わされる化合物を対応するジアゾニウム化合物へ化学変換し、ついで化合物HXZ(式中、X及びZは上記に定義された通りである。)と反応させる。
c)式IV
【0054】
【化8】


(式中、R2 、R3 、X,s及びqは上記に定義された通りである。)
で表わされる化合物を式(Cl−(CH2 m+1 )NH(CH2 2 Cl又は(Br−(CH2 m+1 )NH(CH2 2 Br(式中、mは上記に定義された通りである。)で表わされるアルキル化剤と反応させる。
d)式V
【0055】
【化9】


(式中、R2 、R3 、X,s及びqは上記に定義された通りであり、Gは臭素又はヨウ素である。)
で表わされる化合物を式VI
【0056】
【化10】


(式中、R1 、m及びpは上記に定義された通りである。)
で表わされる化合物と反応させる。
e)式VII
【0057】
【化11】


(式中、R1 、R2 、R3 、X,m、p、q、及びsは上記に定義された通りであり、Rは水素原子又はBOC基である。)
で表わされる化合物の脱水し、場合により同時に脱保護する。
f)式VIII
【0058】
【化12】


(式中、R1 、R2 、R3 、X,m、p、q、及びsは上記に定義された通りである。)
で表わされる化合物中の二重結合を水素化する。
【0059】
方法a)による脱保護は当業者に周知であり、テキストブックProtective Groups in Organic Synthesis T.W. Greene and P.G.M. Wuts, Wiley Interscience, (1991) ISBN 0471623016に詳述された標準法によって行う。
式IIで表わされる出発化合物(R''' =t−Bu)を下記の処理にしたがって製造する。フルオロニトロベンゼン誘導体をSawyer等, J.Org. Chem. 1998, 63, 6338 の処理にしたがってフェノール又はチオフェノールと反応させ、ついで当業者に周知の標準法も還元する。これはアルコール性溶剤中で炭素触媒に担持されたパラジウムと併せて金属ハライド塩、たとえば水素化ホウ素ナトリウムを用いて対応するアニリンに還元するか又は金属塩酸塩、たとえば塩化亜鉛又は塩化錫を用いて還元することを含む。ついで生じるアニリンをKruse 等、Recl. Trav. Chim. Pays-Bas 1998, 107, 303 の処理の変法でN−ブチルオキシカルボニルイミノジ酢酸を用いて適宜置換された3,5−ジケトピペラジンに変換させる。ついで3,5−ジケトピペラジン誘導体をたとえばボランを用いて還元して、対応するBOC保護されたピペラジンとし、ついでこれは脱保護され、その場でピペラジンとする。
【0060】
【化13】


式IIで表わされる化合物(式中、Y=CH及び任意の二重結合は還元される。)をその第三級アルコール前駆体VII(式中、RはBOC基である。)から、Hansen等、Synthesis 1999, 1925-1930 に記載されているのと同様な方法で変更されたBarton還元によって製造する。中間体の第三級アルコールを、対応する適宜置換された1−ブロモ−フェニルスルファニルベンゼン又はその対応するエステルから金属ハロゲン交換によって、ついで式IXで表わされる適当な求電子試薬をPlamer等 J. Med. Chem. 1997, 40, 1982-1989に記載されているのと同様な方法で添加して、製造する。適宜置換された1−ブロモ−フェニルスルファニルベンゼンを、Schopfer及びSchlapbach Tetrahedron 2001, 57, 3069-3073 Bates等、Org. Lett. 2002, 4, 2803-2806 及びKwong 等、Org. Lett. 2002, 4, (近刊で) にしたがって適宜置換されたチオフェノールと適宜置換されたアリールヨーダイドの反応によって文献に記載されているのと同様な方法で製造する。
対応する置換された1−ブロモ−フェノキシベンゼンをBuck等、Org. Lett. 2002, 4, 1623-1626 によって記載されているように製造することができる。
【0061】
【化14】


ポリマーサポートから、たとえば方法a)によるWang樹脂をベースとするカルバメートリンカーからの開裂を文献上公知の処理にしたがって行う(Zaragona Tetrahedron Lett.1995, 36, 8677-8678 及びConti 等、Tetrahedron Lett. 1997, 38, 2915-2918)。
【0062】
式IIで表わされる出発化合物も特許出願:国際特許出願(WO)第01/49681号明細書に記載された方法にしたがって製造することができる。ジアミン類は市場で入手されるか又は当業者に周知の方法によって合成される。η6 −1,2−ジクロロベンゼン−η5 −シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェートのような鉄錯体及び置換された同族体を、文献上公知の処理(Pearson 等、J. Org. Chem. 1996, 61, 1297-1305)にしたがって合成するか又は当業者に周知の方法によって合成する。
【0063】
【化15】


方法b)によるジアゾ化、ついで化合物HXZとの反応は、対応するアニリンのジアゾニウム塩を銅の水性懸濁液中にチオフェノール又はフェノールのナトリウム塩を含有する溶液に添加することによって行われる。式IIIで表わされる出発化合物を以下に略述するように製造する:
フルオロニトロベンゼン誘導体をピペラジン誘導体と溶剤、たとえばDMF、NMP、又は有機塩基、たとえばトリエチルアミンを含むその他の双極性非プロトン溶剤中で反応させ、オルトニトロフェニルピペラジン誘導体を生じさせる。中間体オルトニトロフェニルピペラジンを上述のように標準処理を用いて引き続き還元し、式IIIで表わされる出発化合物を生じさせる。
【0064】
式IVで表わされる化合物とその臭化水素酸塩又はその塩酸塩としての式(Cl−(CH2 m+1 )NH(CH2 2 Cl又は(Br−(CH2 m+1 )NH(CH2 2 Br(式中、mは上記に定義された通りである。)で表わされるアルキル化剤の反応を、Sircar等、J.,Med .Chem.1992、35、4442−4449に記載されているのと同様な方法で行う。式IVで表わされる出発化合物を式IIで表わされる出発化合物に対して上述のように製造する。
【0065】
方法d)で式Vで表わされる化合物と式VIで表わされるジアミンの反応を、Nishiyama 等、Tetrahedron Lett. 1998, 39, 617-620 に記載されているのと同様な方法で製造する。式Vで表わされる出発化合物をSchofer 等、Tetrahedron. 2001, 57, 3069-3073に記載されているのと同様な方法で製造する。
【0066】
方法e)での式VIIで表わされる化合物の脱水反応、及び任意の同時の脱保護をPalmer等、J.Med. Chem. 1997, 40, 1982-1989に記載されているのと同様な方法で行う。式VIIで表わされる出発化合物(式中、R=H)を式VIIで表わされる化合物(式中、RはBOC基(上記参照))から、メタノール中での塩酸を用いる脱保護によって行う。式VIIで表わされる化合物(式中、R=BOC)をPalmer等、J.Med. Chem. 1997, 40, 1982-1989に記載されているのと同様な方法で製造することができる。
【0067】
方法f)による二重結合の還元を、パル(Parr) 装置中で低圧(<3気圧)で接触水素化によって又は不活性溶剤、たとえばテトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン又はジエチルエーテル中でトリフルオロ酢酸中のNaBH4 からその場で製造される還元剤、たとえばジボラン又はヒドロホウ素誘導体を用いて一般に行う。式VIIIで表わされる出発化合物を方法a)に記載されているようにIIから製造する。
【0068】
実施例
分析LC−MSデータはIonSpray source 及びShimadzu LC-8A/SLC-10A LC システムを備えたPE Sciex API 150EX装置上で得られる。カラム:粒子サイズ3.5μmを有する30×4.6mm Waters Symmmetry C18 カラム;溶剤系:A=4分間で水/トリフルオロ酢酸(100:0.05)及びB=水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸(5:95:0.03);方法:4分で及び流速2mL/分で90%A対100%Bの線状勾配溶離。純度はUV(254nm)及びELSDトレースのインテグレーションによって測定される。保持時間(RT)は分で表わされる。
【0069】
分取LC−MS分離を同一の装置で行う。カラム:粒子サイズ5μmを有する50×20mmYMCODS−A;方法:7分間で及び流速22.7mL/分で80%A対100%Bの線状勾配溶離。分画コレクションは分流MS検出(split-flow MS detection) によって行う。
【0070】
1H NMRスペクトルを500.13MHz でBruker Advance DRK500 で又は250.13MHz で Bruker AC 250 装置で記録する。重水素化メチレンクロライド (99.8%D)、クロロホルム (99.8%D)又はジメチルスルホキシド (99.9%D)を、溶剤として使用する。TMS を内部基準スタンダードとして使用する。化学シフトをppm-値で表現する。次の略号をNMR シグナルの多重度について使用する:s=一重線、d=二重線、t=三重線、q=四重線、 qui=五重線、h=七重線、dd=二重 二重線、dt=二重 三重線、dq=二重 四重線、tt=三重の三重線、m=多重線及びb (broad)=幅広い一重線。
【0071】
イオンクロマトグラフィーに対して次の材料を使用する:Varian Mega Bond Elut (R) ,Chrompack cat. no. 220776 からのSCX−カラム(1g )。使用の前に、SCX −カラムを10%酢酸メタノール溶液(3mL)を用いて前調整する。照射による脱錯化のために、フィリップス社の紫外線源(300W)を使用する。固体相合成用出発ポリマーサポートとして、Wang樹脂(1.03mmol/g,Rapp−ポリマー、チュービンゲン、ドイツ)を使用する。
【0072】
中間体の製造
η6 −1,2−ジクロロベンゼン−η5 −シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート
フェロセン(167g)、無水三塩化アルミニウム(238g)及び粉末状アルミニウム(24g)を1,2−ジクロロベンゼン(500mL)に懸濁させ、窒素雰囲気下で5時間激しく攪拌しながら90℃に加熱する。混合物を室温に冷却し、水(1000mL)を氷浴上で冷却しながら少しづつ慎重に添加する。ヘプタン(500mL)及びジエチルエーテル(500mL)を添加し、混合物を室温で30分間攪拌する。混合物をジエチルエーテル(3×300mL)で抽出する。水相を濾過し、ヘキサフルオロリン酸アルミニウム水溶液(水50mL中に60g)を攪拌下で少しづつ添加する。生成物を室温で沈殿させる。3時間後、沈殿を濾過し、激しく水洗し、減圧で(50℃)乾燥させ、淡黄色粉末として目的化合物81g(21%)を生じる。1 HNMR(D6 −DMSO):5.29(s、5H);6.848(m、2H);7.07(m、2H)。
【0073】
ポリスチレン結合アミンの製造
4−[(ピペラジン−1−イル)カルボニルオキシメチル]フェノキシメチルポリスチレン
4−[(4−ニトロフェノキシ)カルボニルオキシメチル]フェノキシメチルポリスチレン(267g、235mmol)を乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(2L)に懸濁させる。N−メチルモルホリン(238.0g、2.35モル)及びピペラジン(102.0g、1.17モル)を添加し、混合物を室温で16時間攪拌する。樹脂をろ過し、N,N−ジメチルホルムアミド(2×1L)、テトラヒドロフラン(2×1L)、水(1×500mL)、メタノール(1×1L)、テトラヒドロフラン(2×1L)、ついでメタノール(1×1L)で洗浄する。最後に、樹脂をジクロロメタン(3×500mL)で洗浄し、減圧で乾燥させ(25℃、36時間)、ほとんど無色の樹脂(240.0g)を生じる。
【0074】
次のポリスチレン結合アミンを同様に製造する:
4−[(1、4−ジアゼパン−1−イル)カルボニルオキシメチル]フェノキシメチルポリスチレン
樹脂結合したη6 −アリール−η5 −シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェートの製造
4−({4−[(η6 −(2−クロロフェニル)−η5 −シクロペンタジエニル鉄(II)]ピペラジン−イル}カルボニルオキシメチル)フェノキシメチルポリスチレンヘキサフルオロホスフェート(1a−1h及び1k−1lのための中間体)
4−[(ピペラジン−1−イル)カルボニルオキシメチル]フェノキシメチルポリスチレン(115.1g、92mmol)を乾燥テトラヒドロフラン(1.9L)に懸濁させ、η6 −1,2−ジクロロベンゼン−η5 −シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート(76.0g、184mmol)を、ついで炭酸カリウム(50.9g、368mmol)を添加する。反応混合物を60℃で16時間攪拌する。室温に冷却後、樹脂をろ過し、テトラヒドロフラン(2×550mL)、水(2×250mL)、テトラヒドロフラン(2×500mL)水(2×250mL)、メタノール(2×250mL)、ジクロロメタン(2×250mL)、ついでメタノール(2×250mL)で洗浄する。 最後に、樹脂をジクロロメタン(3×500mL)で洗浄し、減圧で乾燥させ(25℃、36時間)、暗橙色の樹脂(142g)を生じる。
【0075】
次のポリスチレン結合した鉄錯体を同様に製造する:
4−({4−[(η6 −(2−クロロフェニル)−η5 −シクロペンタジエニル鉄(II)]−[1,4]−ジアゼパン−イル}カルボニルオキシメチル)フェノキシメチルポリスチレンヘキサフルオロホスフェート(1i及び1jのための中間体)
別の中間体の製造
1−t−ブトキシカルボニル−4−[2−(4−メチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン−4−オール
BuLi溶液(ヘキサン中で2.5M、120.mL、30mmol)を−78℃でアルゴン下で乾燥THF(75mL)中に1−ブロモ−2−(4−メチルフェニルスルファニル)ベンゼン(30mmol)を有する攪拌された溶液に徐々に添加する。溶液を4−オキソ−ピペリジン−1−カルボン酸−t−ブチルエステル(5.98g、30mmol)を一度に添加する前10分間攪拌する。溶液を室温まで加温させ、ついで3時間攪拌する。飽和NH4 Cl水溶液(150mL)を添加し、溶液を酢酸エチル(150mL)で抽出する。有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4 )、溶剤を減圧で蒸発させる。粗製物1をシリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィー(溶離剤;酢酸エチル/ヘプタン20:80)によって精製し、目的化合物を白色泡状物として生じる。LC/MS(m/z)399.3(MH+ )、RT=3.82、純度(UV、ELSD):98%、100%;収量:5.02g(42%)。
【0076】
1−t−ブトキシカルボニル−4−[2−(4−メチルフェニルスルファニル)フェニル]−3,5−ジオキソピペラジン(2aのための中間体)
2−(4−メチルフェニルスルファニル)アニリン(2.9g、13.5mmol)を乾燥THF(200mL)に溶解させ、窒素雰囲気下に置く。N−(t−ブトキシカルボニル)イミノジ酢酸(4.7g、20.2mmol)及びカルボニルジイミダゾール(4.2g、40.4mmol)を溶液に添加し、反応を60時間還流する。反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチル(500mL)を添加する。ついで生じる溶液を2N NaHCO3 (2×200mL)、2N HCl(2×200mL)、ついで飽和塩化ナトリウム溶液(100mL)で洗浄し、溶剤を減圧で蒸発させる。収量6.0g,107%,
1 HNMR(CDCl3 ):1.5(s、9H);2.32(s、3H);4.4−4.6(m、4H);7.02−7.18(m、3H);7.2−7.45(m、5H)。
【0077】
次の3,5−ジケトピペラジン誘導体を同様な方法で製造する:
1−t−ブトキシカルボニル−4−[2−(4−クロロフェニルスルファニル)フェニル]−3,5−ジオキソピペラジン(2bのための中間体)
1−t−ブトキシカルボニル−4−[2−(4−メトキシフェニルスルファニル)−4−クロロフェニル]−3,5−ジオキソピペラジン(2cのための中間体)
1−t−ブトキシカルボニル−4−[2−(4−メトキシフェニルスルファニル)−4−メチルフェニル]−3,5−ジオキソピペラジン(2dのための中間体)
1−t−ブトキシカルボニル−4−[2−(4−メトキシフェニルスルファニル)−5−メチルフェニル]−3,5−ジオキソピペラジン(2dのための中間体)
1−t−ブトキシカルボニル−4−[2−(4−フルオロフェニルスルファニル)−5−メチルフェニル]−3,5−ジオキソピペラジン(2fのための中間体)
1−t−ブトキシカルボニル−4−[2−(4−メトキシフェニルスルファニル)−5−トリフルオロメチルフェニル]−3,5−ジオキソピペラジン(2gのための中間体)
2−(3−メチルピペラジン−1−イル)フェニルアミン(3aのための中間体)
フルオロニトロベンゼン(7.1g、50mmol)をトリエチルアミン(10g、100mmol)を含有するDMF(100mL)に溶解させ、窒素雰囲気下に置く。この溶液に2−メチル−ピペラジン(5.5g、55mmol)を添加する。反応混合物を16時間80℃に加熱する。溶剤が減圧で半分の容量に減少する前に反応を室温に冷却する。酢酸エチル(200mL)及び氷水(250mL)を溶液に添加し、生成物をジエチルエーテル(2×200mL)で抽出する。水相を塩化ナトリウムで飽和させ、酢酸エチル(2×200mL)で抽出する。有機相を一緒にし、飽和ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムを介して乾燥させ、ろ過し、ろ液を減圧で濃縮する。生成物(10.5g)をエタノール(250mL)に溶解させる。炭上に担持されたパラジウム(10%w/w,2.2g)を溶液に添加し、溶液をパル装置中で3バールで3時間で水素化する。溶液をろ過し、溶剤を減圧で蒸発させ、アニリン生成物を生じる。収量(8.0g、83%)。
【0078】
次の中間体を同様な方法で製造する:
2−(3,5−ジメチルピペラジン−1−イル)フェニルアミン(3bのための中間体)
本発明の化合物:
例1(参考例)
1a,1−[2−(2−トリフルオロメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン
テトラヒドロフラン/ジメチルホルムアミドの1:1混合物(30mL)中に2−トリフルオロメチルチオフェノール(1.75g、9.8mmol)を有する溶液に、水素化ナトリウム(7.4mmol、鉱油中に60%)を慎重に室温で添加する(注意:水素の発生)。混合物を水素発生が停止後更に30分間攪拌する。ついで、4−({4−[(η6 −(2−クロロフェニル)−η5 −シクロペンタジエニル鉄(II)]−[1,4]−ジアゼパン−イル}カルボニルオキシメチル)フェノキシメチルポリスチレンヘキサフルオロホスフェート(3.5g、2.45mmol)を添加し、混合物を55℃で12時間攪拌する。室温に冷却後、樹脂をろ過し、テトラヒドロフラン(2×50mL)、テトラヒドロフラン/水(1:1)(2×50mL)、N,N−ジメチルホルムアミド(2×1L)、水(2×50mL)、メタノール(3×50L)、テトラヒドロフラン(3×50L)、ついでメタノール及びテトラヒドロフラン(それぞれ50mL、5回)で洗浄する。最後に樹脂をジクロロメタン(3×50mL)で洗浄し、減圧で乾燥し(25℃、12時間)、暗橙色樹脂を生じる。このようにして得られた樹脂及びピリジン/水の3:1混合物(20mL)中に1,10−フェナントロリンを有する0.5M溶液を光−透過性反応管中にいれる。懸濁液を12時間可視光線の照射下で回転によって攪拌する。樹脂をろ過し、洗浄液が無色になるまで、メタノール(2×25L)、水(2×25mL)、ついでテトラヒドロフラン(3×25mL)で洗浄し(約5回)、脱錯化が終了するまで照射操作を5回繰り返す。脱錯化が終了した後、樹脂をジクロロメタン(3×25mL)で洗浄し、減圧で乾燥し(25℃、12時間)、淡い褐色樹脂を得る。このようにして得られた樹脂100mg(77μmol)をトリフルオロ酢酸及びジクロロメタンの1:1混合物(2mL)に懸濁し、2時間室温で攪拌する。樹脂をろ過し、メタノール(1×0.5L)、ついでジクロロメタン(1×0.5mL)で洗浄する。ろ液を集め、揮発性溶剤を減圧で蒸発させる。粗生成物を分取LC−MSによって、ついでイオン交換クロマトグラフィーによって精製する。LC/MS(m/z)399(MH+ )、RT=2.39、純度(UV、ELSD):92%、100%;総収量:1mg(4%)。
【0079】
次のアリールピペラジン及びアリール[1,4]ジアゼパンを同様に製造する:
1b、1−[2−(4−ブロモフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン:LC/MS(m/z)350(MH+ )、RT=2.46、純度(UV、ELSD):75%、92%;収量:2mg(7%)。
1c、1−{2−[4−(メチルスルファニル)フェニルスルファニル]フェニル}ピペラジン:LC/MS(m/z)317(MH+ )、RT=2.39、純度(UV、ELSD):91%、100%;収量:2mg(8%)。
1d、1−[2−(4−ヒドロキシフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン:LC/MS(m/z)287(MH+ )、RT=1.83、純度(UV、ELSD):84%、100%;収量:3mg(13%)。
1e,1−[2−(2、4−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン:LC/MS(m/z)299(MH+ )、RT=2.48、純度(UV、ELSD):95%、100%;収量:4mg(17%)。
1f,1−[2−(3、5−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン:LC/MS(m/z)299(MH+ )、RT=2.51、純度(UV、ELSD):96%、100%;収量:5mg(21%)。
1g,1−[2−(2、6−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン:LC/MS(m/z)299(MH+ )、RT=2.42、純度(UV、ELSD):97%、100%;収量:4mg(17%)。
1h,1−[2−(2、5−ジメチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン:LC/MS(m/z)299(MH+ )、RT=2.46、純度(UV、ELSD):97%、100%;収量:1mg(4%)。
1i,1−[2−(2−トリフルオロメチルフェニルスルファニル)フェニル]−[1,4]−ジアゼパン:LC/MS(m/z)353(MH+ )、RT=2.46、純度(UV、ELSD):70%、96%;収量:1mg(4%)。
1j,1−[2−(3−メチルフェニルスルファニル)フェニル]−[1,4]−ジアゼパン:LC/MS(m/z)299(MH+ )、RT=2.44、純度(UV、ELSD):76%、93%;収量:1mg(4%)。
1k,1−[2−(4−ブチルフェノキシ)フェニル]ピペラジン:LC/MS(m/z)311(MH+ )、RT=2.77、純度(UV、ELSD):91%、100%;収量:4mg(17%)。
1l,1−[2−(4−メトキシフェノキシ)フェニル]ピペラジン:LC/MS(m/z)285(MH+ )、RT=2.08、純度(UV、ELSD):93%、100%;収量:4mg(18%)。
【0080】
例2(参考例)
2a,2−(4−メチルフェニルスルファニル)フェニル−1−ピペラジン塩酸塩
1−t−ブトキシカルボニル−4−[2−(4−メチルフェニルスルファニル)フェニル]−3,5−ジオキソ−ピペラジン(5.5g、13mmol)をTHF(50mL)に溶解させ、窒素雰囲気下に置く。テトラヒドロフラン中のボラン テトラヒドロフラン錯体(50mmol、1.0M)を添加し、反応を10分間還流する。過剰のボランを過剰の酢酸エチルの添加によって急冷し、反応を更に20分間還流する。メタノール(50mL、4M)中に溶解された塩化水素が添加される前に反応を室温に冷却し、反応を4.5時間還流する。反応を室温に冷却し、反応を減圧で濃縮する。化合物をエーテル/メタノール溶液の添加によってゴム状残留物から結晶化する。結晶性固体をろ過し、エーテル/メタノール(1:1)で洗浄し、白色結晶性固体を生じる。収量(2.0g、47%)
1 HNMR(D6 −DMSO):2.35(s、3H);3.18(br s、8H);6.68(d、2H);7.02(m、1H);7.18(m、1H);7.3−7.5(m、4H);MS(MH+ )285。
【0081】
次の化合物を同様に製造する:
2b,1−[2−(4−クロロフェニルスルファニル)フェニル]ピペラジン:LC/MS(m/z)305.1(MH+ )、RT=2.46、純度(UV、ELSD):71%、91%;収量:0.096g、100%。
2c、1−[2−(4−メトキシフェニルスルファニル)−4−クロロフェニル]ピペラジン:LC/MS(m/z)(MH+ )335.2、RT=2.38、純度(UV、ELSD):98%、100%;収量:0.22g、62%。
2d,1−[2−(4−メトキシフェニルスルファニル)−4−メチルフェニル]ピペラジン:LC/MS(m/z)(MH+ )315.1、RT=2.33、純度(UV、ELSD):97%、100%;収量:0.21g、56%。
2e,1−[2−(4−メトキシフェニルスルファニル)−5−メチルフェニル]ピペラジン:LC/MS(m/z)(MH+ )315.2(MH+ )、RT=2.38、純度(UV、ELSD):98%、100%;収量:2.3g、58%。
2f,1−[2−(4−フルオロフェニルスルファニル)−5−メチルフェニル]ピペラジン:LC/MS(m/z)(MH+ )303.2、RT=2.46、純度(UV):98%、100%;収量:2.1g、62%。
2g,1−[2−(4−メトキシフェニルスルファニル)−5−トリフルオロメチルフェニル]ピペラジン:LC/MS(m/z)(MH+ )369、RT=2.50、純度(UV、ELSD):96%、100%;収量:0.54g、31%。
【0082】
例3(参考例)
3a,1−[2−(4−クロロフェニルスルファニル)フェニル]−3−メチルピペラジン
2−(3−メチルピペラジン−1−イル)フェニルアミン(0.96g、5mmol)を硫酸(0.28mL、5.2mmol)を含有する水30mLに溶解させ、溶液を0℃に冷却し、硝酸ナトリウム(0.36g、5.2mmol)を添加する。反応のpHを酢酸ナトリウムでpH7に調整する前に反応を30分間攪拌する。ついでジアゾニウム塩溶液を、2M NaOH(4ml)に銅(0.3g、5mmol)を有する懸濁液中に4−クロロチオフェノールを有する溶液に滴加する。添加の後、室温に冷却する前に反応混合物を30分間60℃に加熱し、酢酸エチル(10mL)を添加する。反応混合物をろ過し、相を分離する。水相を酢酸エチル(2×10mL)で抽出する。一緒にされた有機相を乾燥し(MgSO4 )、揮発性溶剤を減圧で蒸発させる。粗製物をシリカゲルを用いてフラッシュクロマトグラフィー(溶離剤;酢酸エチル/メタノール/アンモニア96:3:1)によって精製する。純粋な生成物を無色油状物として単離する。収量(0.18g、11%)1 HNMR(CDCl3 、500MHz):1.12(d、3H);2.6−2.72(br m、2H);3.0−3.15(m、5H);6.9(m、2H);7.08(d、1H);7.15(d、1H);7.25−7.35(m、4H);MS(MH+ )319.1。
【0083】
次の化合物を同様な方法で製造する:
3b、1−[2−(4−クロロフェニルスルファニル)フェニル]−3、5−ジメチルピペラジン:LC/MS(m/z)(MH+ )333.1、RT=2.29、純度(UV、ELSD):83%、100%;収量:0.54g、31%。
【0084】
例4(参考例)
4a,4−[2−(4−メチルフェニルスルファニル)フェニル]−3、6−ジヒドロ−2H−ピリジン
濃塩酸水溶液(10mL)を酢酸(30mL)中に1−t−ブトキシカルボニル−4−[2−(4−メチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペリジン−4−オール(0.84g、2.1mmol)を有する攪拌溶液に添加する。溶液を攪拌下に一晩沸騰させ、室温に冷却し、ついで氷浴中で攪拌する。NaOH水溶液(9.1M、40mL)を徐々に添加し、不透明な溶液を酢酸エチル(2×40mL)で抽出する。一緒にされた有機相を乾燥し(MgSO4 )、揮発性溶剤を減圧で蒸発させる。粗製物(0.48g)を酢酸エチル(3.2mL)に50℃で溶解させ、EtOH(3.2mL)中にシュウ酸(0.11g)を有する溶液を徐々に添加する。目的化合物を白色シュウ酸塩として集める。1 HNMR(DMSO−d6 ):δ7.3−7.2(m、7H);7.15(m、1H);7.00(m、1H);5.6(d、1H);3.7(d、2H);3.25(t、2H);2.6(m、2H);2.3(s、3H)。LC/MS(m/z)282.2(MH+ )、RT=2.24、純度(UV、ELSD):99%、100%;収量:0.31g(40%)。
【0085】
次の誘導体を同様に製造する:
4b、4−[2−(4−メトキシフェニルスルファニル)フェニル]−3、6−ジヒドロ−2H−ピリジン
LC/MS(m/z)298(MH+ )、RT=2.00、純度(UV、ELSD):97%、100%;収量:0.28g(30%)。
【0086】
例5(本発明)
5a,4−[2−(4−メチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペリジン
クロロ−オキソ−酢酸メチル(1.37g、11.25mmol)を、乾燥CH3 CN(24mL)及びCHCl3 (12mL)の混合物中に1−t−ブトキシカルボニル−4−[2−(4−メチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペリジン−4−オール(3.00g、7.5mmol)及び4−(ジメチルアミノ)ピリジン(1.65g、13.5mmol)を有する攪拌溶液に0℃でアルゴン下に添加する。反応混合物を室温にさせ、ついで2時間攪拌する。酢酸エチル(140mL)を添加し、少量の塩をセオライトによってろ過して除去する。有機相を飽和NaHCO3 (140mL)、ブライン(140mL)で洗浄し、乾燥する(MgSO4 )。溶剤を減圧で蒸発させ、粗製物を減圧で乾燥する。この化合物をアルゴン下で乾燥トルエン(48mL)に溶解させる。Bu3 SnH(3.27g、11.25mmol)及びAIBN(0.31g、1.88mmol)を添加する。溶液をアルゴン下に90℃で2.5時間攪拌する。溶剤を減圧で蒸発させ、粗製物をシリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィー(溶離剤:10:90から20:80までのヘプタン中の酢酸エチルの段階的勾配)によって精製し、澄明な油状物として4−(2−(4−メチルフェニルスルファニル)フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(1.94g、67%)を生じる。この油状物をMeOH(9.2mL)に溶解させ、ジエチルエーテル中のHCl(2.0M)を0℃で添加する。反応混合物を室温に暖め、一晩攪拌する。目的化合物をその塩酸塩として集める。融点229−231℃。C1821NS。HClの計算値:C67.58;H6.63;N4.38.測定値:C67.33;H6.97;N4.31。LC/MS(m/z)284(MH+ )、RT=2.12、純度(UV、ELSD):96%、100%;収量:0.26g(46%)。
【0087】
ラット全脳シナプトゾームへの[ 3H]−セロトニン取り込み阻害
化合物をその5−HT再取り込み作用に関して、ラット全脳シナプトゾームへの[ 3H]−セロトニンの再取り込みを阻害するその能力を試験管内で測定することによって試験する。そのアッセイは、Hyttel, J., Psychopharmacology, 1978, 60, 13によって記載されているように行われる。
【0088】
蛍光分析によって測定された5−HT2Cレセプター効力
化合物を蛍光イメージングプレートリーダー(FLIPR)分析によって測定される5−HT2Cレセプター発現CHO細胞(Euroscreen)への効力に関して試験する。そのアッセイは、Molecular Devices Inc.のFLIPR Calcium Assay Kit のための及び Porter 等, British Journal of Pharmacology, 1999, 128, 13から変更された指示書にしたがって実施する。
【0089】
本発明の好ましい化合物は、上記アッセイで200nM(IC50)未満のセロトニン再取り込み阻害を示す。100nM未満を示す化合物がより好ましく、そして50nM未満を示す化合物が最も好ましい。特に重要な化合物は10nM未満のセロトニン再取り込み阻害を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I
【化1】

{式中、
XはO又はSを示し、
pは0,1,2,3, 4, 5, 6, 7又は8であり、
qは0,1, 2, 3又は4であり、
sは0,1,2,3, 4又は5であり、
各R1 は独立してC1-6 −アルキルであり
各R2 は独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ル、C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ルオキシ、C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ルスルファニル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ル、ハロ−C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ル、ハロ−C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ルオキシ、C3-8 −シクロ(キ/ケニ)ル、C3-8 −シクロアル(キ/ケニ)ル−C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ル、アシル、C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ルオキシカルボニル、C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ルスルホニル、−NRx y 又は−NRx CO−C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)であり、
各R3 は独立してハロゲン、シアノ、ニトロ、C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ル、C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ルオキシ、C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ルスルファニル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ル、ハロ−C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ル、ハロ−C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ルオキシ、C3-8 −シクロ(キ/ケニ)ル、C3-8 −シクロアル(キ/ケニ)ル−C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ル、C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ルスルホニル、アリール、C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ルオキシカルボニル、アシル、−NRx CO−C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ル、−CONRx y 又は−NRx y であり、
各Rx 及びRy は独立して水素、C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ル、C3-8 −シクロアル(キ/ケニ)ル、C3-8 −シクロアル(キ/ケニ)ル−C1-6 −アル(キ/ケニ/キニ)ル又はアリールである。}
で表わされる化合物又はその薬学的許容し得る酸付加塩。
【請求項2】
pが0,1又は2である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
qが0,1又は2である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
2 がトリフルオロメチル又はC1-6 −アルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
sが1又は2である、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
各R3 が独立してハロゲン、C1-6 −アルコキシ、C1-6 −アルキルスルファニル、C1-6 −アルキル、ヒドロキシ又はトリフルオロメチルより成る群から選ばれる、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
化合物が4−[2−(4−メチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペリジン又はその薬学的に許容し得る塩である、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容し得る酸付加塩及び少なくとも1種の薬学的に許容し得るキャリヤー又は希釈剤を含有する、薬学的調合物。
【請求項9】
請求項1記載の一般式で表わされる化合物又はその薬学的許容し得る酸付加塩の治療上有効な量を投与することを含む、動物生体における情動障害の治療方法。
【請求項10】
動物生体がヒトである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
情動障害がうつ病、不安障害及び強迫性障害より成る群から選ばれる、請求項9記載の方法。
【請求項12】
不安障害が全般性不安障害及びパニック障害より成る群から選ばれる、請求項11記載の方法。
【請求項13】
pが0、1又は2である、請求項1記載の化合物又はその薬学的許容し得る酸付加塩を用いる、請求項9記載の方法。
【請求項14】
qが0、1又は2である、請求項1記載の化合物又はその薬学的許容し得る酸付加塩を用いる、請求項9記載の方法。
【請求項15】
2 がトリフルオロメチル又はC1-6 −アルキルである、請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩を用いる、請求項9記載の化合物。
【請求項16】
sが1又は2である、請求項1記載の化合物又はその薬学的許容し得る酸付加塩を用いる、請求項9記載の方法。
【請求項17】
各R3 が独立してハロゲン、C1-6 −アルコキシ、C1-6 −アルキルスルファニル、C1-6 −アルキル、ヒドロキシ又はトリフルオロメチルである、請求項1記載の化合物又はその薬学的許容し得る酸付加塩の治療上有効な量を投与することを含む、請求項9記載の方法。
【請求項18】
化合物が4−[2−(4−メチルフェニルスルファニル)フェニル]ピペリジン又はその薬学的に許容し得る塩である、請求項1記載の化合物又はその薬学的許容し得る酸付加塩の治療上有効な量を投与することを含む、請求項9記載の方法。

【公開番号】特開2007−51149(P2007−51149A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−271758(P2006−271758)
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【分割の表示】特願2003−532482(P2003−532482)の分割
【原出願日】平成14年10月2日(2002.10.2)
【出願人】(591143065)ハー・ルンドベック・アクチエゼルスカベット (129)
【Fターム(参考)】