説明

センサノードシステムおよび送信端末

【課題】可動電極を持つセンサ素子で振動を検出する場合でも、送信端末の小型化を実現する。
【解決手段】センサ素子14として、接地電位が印加される可動電極14Mと、この可動電極14Mと対向して固定された固定電極14P,14Nとを有し、振動に応じた可動電極14Mの揺動により、接地電位GNDに対して正負に変化する検知信号を固定電極14P,14Nから出力する回路素子を用い、この可動電極14Mを、基板Pに実装された蓄電素子CVの上端に位置する当該蓄電素子CVの接地電極GNに対して、揺動自在に支持するとともに電気的に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサネットワーク技術に関し、特にナノワット級で動作するセンサ回路を備え、サブ平方センチメートルの領域に設置可能なセンサノード技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種のデータを検知するセンサに通信機能やデータ処理機能を付加して高機能なセンサノードを構成し、さらにこれらセンサノードでネットワークを構築するセンサネットワーク技術の研究が進んでいる。
このセンサネットワーク技術では、センサノードの小型化・軽量化を目的として、データを検知して受信装置へ送信するための回路構成を半導体チップで実現した送信端末が注目されている。
【0003】
このような送信端末は、物や人などの様々な対象に取り付けられることで、その対象の各種状態を示すデータを検知して、無線信号により受信装置へ送信することができる。このため、受信装置で受信したこれら検知データを、インターネットなどのネットワークを介して収集することで、様々なサービスを実現することができ、いわゆるユビキタスネットワークサービスを実現することができる。例えば、装置に取り付けた送信端末でその振動周波数や加速度を検知するとともに、受信装置でこれら検知データを収集して提供することにより、ネットワークを介して遠隔地で装置の動作状態を把握でき、有用な保守・整備サービスを広い範囲で提供することが可能となる。
【0004】
図15は、従来のセンサノードシステムの構成を示すブロック図である(例えば、特許文献1など参照)。センサノードシステム500は、送信端末50と受信装置60で構成される。送信端末50で検知したデータは無線電波を介して受信装置60に送信される。無線電波は、比較的微弱な無線信号であり、数十cmから数十m離れた距離を通信できる。
送信端末50は、センサ素子51、センサ回路52、A/D変換部53、CPU54、メモリ部55、無線部56、および電源部57により構成され、電源部57から各ブロックへ電力が供給されている。電源部57は、例えば振動エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機構や2次電池等で構成されており、長時間の動作が実現可能なように工夫されている。
【0005】
センサ素子51から得られた差動の電圧信号は、センサ回路52の差動増幅器AMPで増幅された後、後段のA/D変換部53でA/D変換され、CPU54によりメモリ部55へ検知データとして保存される。その後、検知データはCPU54により所定のタイミングでメモリ部55から読み出され、無線部56から無線電波により受信装置60へ送信される。
【0006】
図16は、センサ素子およびセンサ回路の構成を示す回路図である。センサ素子51は、電源電位VDDと接地電位GNDとの間に逆方向で並列接続された2つの振動センサ51A,51Bから構成されている。振動センサ51Aは、外部振動により互いに逆方向に容量値が変化する2つの可変容量素子CP1,CN1の直列接続からなり、振動センサ51Bは、外部振動により互いに逆方向に容量値が変化する2つの可変容量素子CP2,CN2からなる。
【0007】
図17は、振動センサの構成例である。振動センサ51A,51Bは、MEMS(Micro Electro Mechanical System)プロセスによりシリコンチップ上に構成された微細な櫛歯構造からなり、可動電極51Mと2つの固定電極51P,51Nとを有している。
これら振動センサ51A,51Bにおいて、外部振動で可動電極51Mが振動することにより、固定電極51P,51Nとの距離が変化して、可動電極51Mと固定電極51P,51Nと間の容量CP,CNの大きさが変化する。この際、固定電極51Pと固定電極51Nとの中間に可動電極51Mが配置されているため、これら容量CP,CNは差動的に変化する。
【0008】
したがって、ノードN51を介して固定電極51Pへ電源電位VDDを印加し、ノードN52を介して固定電極51Nへ接地電位GNDを印加した場合、VDDとGNDの中間電位を中心として外部振動に応じて電圧が上下に変化する電圧信号が、可動電極51MのノードN53からセンサ回路52へ出力される。この際、振動センサ51A,51Bは、電源電位VDDと接地電位GNDとの間に逆方向で並列接続されていることから、同一外部振動に対して互いに逆位相の電圧信号がセンサ回路52へ出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−024551号公報
【特許文献2】特許3899110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような従来技術では、外部から与えられた振動を検出するセンサ素子は、微細な櫛歯構造を有するため、MEMSプロセスを用いて作製する必要があり、製造コストが上昇するという問題があった。製造コストを抑えるために、エッチングやプレス等の材料加工技術を用いてセンサ素子を作製することが可能である。この場合、センサ素子において、可動電極を揺動自在に支持する構造として、専用の支柱を基板に立設し、この支柱の上端に可動電極を揺動自在に支持する支持構造が必要となる。
しかしながら、このような支持構造では、可動電極を支持するための専用の支柱を基板に立設する必要がある。このため、当該支柱を基板に固定するための専用の領域を基板上に確保する必要があることから、基板面積が増大する要因となり、結果として送信端末を小型化できないという問題点があった。特に、送信端末自体の大きさを、人の爪に装着できるよう、サブ平方センチメートル程度まで縮小する場合、支柱が占める面積の割合は、決して小さいものではない。
【0011】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、可動電極を持つセンサ素子で振動を検出する場合でも、送信端末の小型化を実現できるセンサノード技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的を達成するために、本発明にかかるセンサノードシステムは、外部から与えられた振動を検出して無線電波を送信する送信端末と、無線電波の受信により送信端末での振動の検出結果を取得する受信装置とを備えるセンサノードシステムにおいて、送信端末に、接地電位が印加される可動電極と、この可動電極と対向して固定された固定電極とを有し、振動に応じた可動電極の揺動により、接地電位に対して正負に変化する検知信号を固定電極から出力するセンサ素子と、センサ素子からの検知信号に応じて容量素子を充電し、当該充電電圧がしきい値電圧を上回った場合に、振動の検出を示す制御信号を出力するセンサ素子信号検出回路と、動作電力を蓄電する蓄電素子と、センサ素子信号検出回路からの制御信号に応じて、蓄電素子の動作電力により動作して無線電波を送信する無線回路とを設け、可動電極を、基板に実装された蓄電素子の上端に位置する当該蓄電素子の接地電極に対して、揺動自在に支持するとともに電気的に接続するようにしたものである。
【0013】
この際、基板のうち可動電極の下方の領域に電子回路部品を実装するようにしてもよい。
【0014】
また、本発明にかかる送信端末は、外部から与えられた振動を検出して無線電波を送信する送信端末と、無線電波の受信により送信端末での振動の検出結果を取得する受信装置とを備えるセンサノードシステムで用いられる送信端末であって、接地電位が印加される可動電極と、この可動電極と対向して固定された固定電極とを有し、振動に応じた可動電極の揺動により、接地電位に対して正負に変化する検知信号を固定電極から出力するセンサ素子と、センサ素子からの検知信号に応じて容量素子を充電し、当該充電電圧がしきい値電圧を上回った場合に、振動の検出を示す制御信号を出力するセンサ素子信号検出回路と、
動作電力を蓄電する蓄電素子と、センサ素子信号検出回路からの制御信号に応じて、蓄電素子の動作電力により動作して無線電波を送信する無線回路とを備え、可動電極を、基板に実装された蓄電素子の上端に位置する当該蓄電素子の接地電極に対して、揺動自在に支持するとともに電気的に接続するようにしたものである。
【0015】
この際、基板のうち可動電極の下方の領域に電子回路部品を実装するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、基板に対して可動電極を揺動自在に支持する専用の支柱が不要となるため、当該支柱を基板に固定するための専用の領域を削減することができ、結果として送信端末の小型化を実現できる。したがって、送信端末自体の大きさを、サブ平方センチメートル程度まで縮小することができ、送信端末を人の爪に装着することが可能となる。
このため、利用者が送信端末を装着していることを意識することなく、利用者の活動を検出することができる。これにより、この送信端末を用いたセンサノードシステムにより、生活習慣病予防のための活動量をモニタするための健康管理システムや、家電の電源を自動的にオフするなどの電気機器制御システムなどを、極めて容易に実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施の形態にかかるセンサノードシステムおよび送信端末の構成を示すブロック図である。
【図2】ダイオードの構成例である。
【図3】センサ素子およびゼロパワーセンサ回路の構成例を示す回路図である。
【図4】ゼロパワーしきい値回路の構成例を示す回路図である。
【図5A】可動電極の支持構造(側面図)を示す説明図である。
【図5B】可動電極の支持構造(A−A断面図)を示す説明図である。
【図5C】可動電極の支持構造(B−B断面図)を示す説明図である。
【図6】ゼロパワーセンサ回路および制御回路の動作を示す信号波形図である。
【図7】ゼロパワーセンサ回路および制御回路の他の動作を示す信号波形図である。
【図8】無線部の動作を示す説明図である。
【図9】第2の実施の形態にかかるセンサノードシステムおよび受信装置の構成を示すブロック図である。
【図10】第2の実施の形態にかかるセンサノードシステムの動作を示す説明図である。
【図11】第3の実施の形態にかかるセンサノードシステムおよび受信装置の構成を示すブロック図である。
【図12】第3の実施の形態にかかるセンサノードシステムの動作を示す説明図である。
【図13】第4の実施の形態にかかるセンサノードシステムおよび受信装置の構成を示すブロック図である。
【図14】第4の実施の形態にかかるセンサノードシステムの動作を示す説明図である。
【図15】従来のセンサノードシステムの構成を示すブロック図である。
【図16】センサ素子およびセンサ回路の構成を示す回路図である。
【図17】振動センサの構成例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるセンサノードシステムおよび送信端末について説明する。図1は、第1の実施の形態にかかるセンサノードシステムおよび送信端末(センサノード)の構成を示すブロック図である。
【0019】
このセンサノードシステム100は、送信端末10と受信装置20とから構成されており、1つの受信装置20で複数の送信端末10からの無線電波を受信するようにしてもよい。
送信端末10は、物や人などの様々な対象に取り付けられることで、その対象の状態を検知して、無線電波により外部機器へ送信する。無線電波は、比較的微弱な無線信号であり、数十cmから数十m離れた距離を通信できる。受信装置20は、送信端末10から受信した無線電波により、対象の状態を示すデータを収集し、これらデータを通信ネットワーク(図示せず)で提供する。
【0020】
送信端末10には、主な機能部として、電源部11、蓄電回路12、センサ素子信号検出回路13、センサ素子14、および無線回路15が設けられている。
【0021】
電源部11は、例えば振動エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機構や2次電池などの電源回路からなり、発生させた電荷を蓄電回路12へ出力する機能を有している。
蓄電回路12は、電源部11から出力された電荷を蓄電して動作電源VDDを生成する機能と、得られた動作電源VDDをセンサ素子信号検出回路13へ供給する機能と、センサ素子信号検出回路13からの制御信号OUTに応じて無線回路15へ動作電源VDDを供給する機能とを有している。
【0022】
センサ素子14は、接地電位GNDが印加される可動電極14Mと、この可動電極14Mと対向して固定された固定電極14P,14Nとを有し、外部から与えられた振動に応じた可動電極14Mの揺動により、可動電極14Mと固定電極14P,14Nとの間の容量成分が変化して、接地電位GNDに対して正負に変化する検知信号BP,BNを固定電極14P,14Nから出力する機能を有している。
【0023】
センサ素子信号検出回路13は、センサ素子14から出力された検知信号BP,BNに応じて動作電源VDDからの電荷を順次蓄積することによりセンサ出力信号SOとして出力する機能と、センサ出力信号SOがしきい値電圧Vthへ到達した時点で制御信号OUTを蓄電回路12へ出力する機能とを有している。
この際、センサ出力信号SOは、対象の振動や加速度の大きさに応じて、その電圧上昇速度が変化する。したがって、センサ出力信号SOが初期電圧からしきい値電圧まで上昇する所要時間、すなわち制御信号OUTの出力間隔が、対象の振動や加速度の大きさに応じて変化することになる。
【0024】
無線回路15は、蓄電回路12から供給される動作電源VDDにより動作して、例えば当該送信端末10の識別情報などのデータを含む所定の無線電波を送信する機能を有している。このため、センサ素子14で検出した振動や加速度の大きさに応じた間隔で、無線回路15から無線電波が送信される。
この場合、無線回路15において、UWB(Ultra Wide Band)等の高周波パルスそのものを変調して送信する方式を用いてもよく、これにより低電力化無線通信が可能である。無線方式としては、UWBに限定するものではなく、これと同等またはそれ以下の低電力化が可能な無線方式を用いてもよい。
【0025】
なお、無線電波の送信期間長については、センサ素子信号検出回路13において、制御信号OUTの出力完了に応じて1つの検知期間を終了し、センサ出力信号SOを初期化するなど、次の検知期間のための初期化動作を行うようにしてもよい。あるいは、無線回路15から通知された無線電波の送信終了通知に応じて、センサ素子信号検出回路13で、上記初期化動作を行うようにしてもよい。
【0026】
[蓄電回路]
次に、図1を参照して、本実施の形態にかかる送信端末の蓄電回路について詳細に説明する。
蓄電回路12には、主な回路として、整流回路12A、蓄電素子CV、電圧検知回路12B、スイッチSW1、およびスイッチSW2が設けられている。
【0027】
整流回路12Aは、順方向で直列接続されたダイオードDP,DNからなり、ダイオードDPのアノード端子とダイオードDNのカソード端子との接続点が、電源部11に接続されている。これにより、電源部11からの電圧信号BVがダイオードDP,DNで整流され、ダイオードDPのカソード端子から出力される。
【0028】
図2は、ダイオードの構成例である。ここでは、nMOSトランジスタのソース端子をpMOSトランジスタのソース端子に接続し、nMOSトランジスタのゲート端子をpMOSトランジスタのドレイン端子に接続し、pMOSトランジスタのゲート端子をnMOSトランジスタのドレイン端子に接続することにより、nMOSトランジスタのドレイン端子をカソード端子とし、pMOSトランジスタのドレイン端子をアノード端子とするダイオードが構成されている。ダイオードDP,DNとしてこのような構成を用いることにより、ダイオードDP,DNでのリーク電流を低減できる。
【0029】
蓄電素子CVは、ダイオードDPのカソード端子と接地電位GNDとの間に接続されたコンデンサからなり、ダイオードDPで整流された電圧信号BVが、この蓄電素子CVに動作電源VDDとして蓄電される。
【0030】
電圧検知回路12Bは、動作電源VDDと接地電位GNDとの間に接続されて、動作電源VDDがセンサ素子信号検出回路13へ動作電源として供給可能な電位に達しているか否かを検知する回路である。これにより、動作電源VDDが、センサ素子信号検出回路13へ動作電源として供給可能な電位を示す下限しきい値以上に上昇している場合、電圧検知回路12Bの出力に応じてスイッチSW1がオンし、動作電源VDDがスイッチSW1を介してセンサ素子信号検出回路13へ供給される。
【0031】
スイッチSW2は、センサ素子信号検出回路13からの制御信号OUTに応じて、無線回路15に対する動作電源VDDの供給を制御するスイッチ素子である。これにより、センサ素子14の固定電極14P,14Nから出力された、逆位相の検知信号BP,BNに基づいて、センサ素子信号検出回路13で振動が検出された場合、この振動検出に応じて出力された制御信号OUTに応じてスイッチSW2がオンし、動作電源VDDがスイッチSW2を介して無線回路15へ供給される。
【0032】
[センサ素子信号検出回路]
次に、図3および図4を参照して、本実施の形態にかかる送信端末のセンサ素子信号検出回路13およびセンサ素子14について詳細に説明する。図3は、センサ素子およびゼロパワーセンサ回路の構成例を示す回路図である。図4は、ゼロパワーしきい値回路の構成例を示す回路図である。
【0033】
センサ素子14は、薄板金属などの導電性の板部材から構成された、可動電極14Mと2つの固定電極14P,14Nとを有している。
外部振動で可動電極14Mが揺動することにより、固定電極14P,14Nとの距離が変化して、可動電極14Mと固定電極14P,14Nと間の容量CP,CNの大きさが変化する。
【0034】
ここで、固定電極14Pと固定電極14Nとの中間に可動電極14Mが配置されているため、これら容量CP,CNは差動的に変化する。したがって、可動電極14Mには、接地電位GNDが印加されているため、外部振動に応じて電圧が接地電位GNDに対して正負に逆位相で変化する検知信号BP,BNが、それぞれ固定電極14P,14Nからセンサ素子信号検出回路13へ出力される。
【0035】
センサ素子信号検出回路13には、主な回路として、ゼロパワーセンサ回路13Aとゼロパワーしきい値回路13Bが設けられている。
【0036】
ゼロパワーセンサ回路13Aは、センサ素子14の固定電極14P,14Nで得られた検知信号BP,BNに応じて、電源電位VDDからの電荷を容量素子CSで順次蓄積することにより、対象の振動や加速度の大きさに応じた電圧を有するセンサ出力信号SOを出力する回路である。
【0037】
このゼロパワーセンサ回路13Aは、図3に示すように、順方向で直列接続されたダイオードD1〜D3と容量素子CSとからなり、これらが電源電位VDDと接地電位GNDとの間に直列接続されている。図3の例では、MOSトランジスタでダイオードを構成しているが、PNダイオードを用いてもよい。なお、このゼロパワーセンサ回路13Aの構成は、特許文献2に開示されているものと同等である。
【0038】
ゼロパワーセンサ回路13Aにおいて、ダイオードD1のアノード端子は、電源電位VDDに接続され、ダイオードD3のカソード端子は、接地電位に接続され、ダイオードD1のカソード端子とダイオードD3のアノード端子との間にダイオードD2が順方向で直列接続されている。また、ダイオードD3のカソード端子と接地電位GNDとの間に容量素子CSが接続されている。
【0039】
これらダイオードD1〜D3の接続点には、逆位相をなす2つの検知信号BP,BNが入力されている。これにより、センサ素子14から出力された逆位相の2つの検知信号BP,BNによりダイオードD1〜D3が交互に導通制御されて、電源電位VDDの電荷が徐々に昇圧され、ダイオードD3のカソード端子から出力された電圧信号がセンサ出力信号SOとして容量素子CSに充電される。
【0040】
ゼロパワーしきい値回路13Bは、センサ出力信号SOが振動ありを示す電位であるしきい値Vthに達しているか否かを検知する回路である。
図4の例では、PMOSトランジスタからなるトランジスタQ1のソース端子が動作電源VDDに接続され、トランジスタQ1のドレイン端子がNMOSトランジスタからなるトランジスタQ2のドレイン端子に接続され、トランジスタQ2のソース端子が接地電位GNDに接続され、トランジスタQ2のドレイン端子とソース端子との間に容量素子COが接続されている。
【0041】
また、トランジスタQ1のゲート端子に、ゼロパワーセンサ回路13Aからのセンサ出力信号SOが入力され、トランジスタQ2のゲート端子に、動作電源VDDと接地電位GNDとの間に接続された抵抗素子の分圧回路などで生成されたしきい値Vthが入力されている。また、容量素子COの両端電圧がインバータINVに入力され、その反転論理が制御信号OUTとして出力されている。
【0042】
[可動電極の支持構造]
図5A〜図5Cは、可動電極の支持構造を示す説明図であり、図5Aは側面図、図5Bは図5AのA−A断面図、図5Cは図5AのB−B断面図を示している。
前述したように、センサ素子14の可動電極14Mは、振動に応じて固定電極14P,14Nとの距離が変化するよう、空中に支持する必要がある。通常、このような構造では、基板Pに立設した支柱の上端にバネの一端を固定し、このバネの他端に可動電極14Mを接続することが考えられる。
【0043】
本実施の形態では、図5A〜図5Cに示すように、蓄電回路12の蓄電素子CVが、比較的大きな容量が必要となるため、ある程度の高さを有していることに着目し、基板Pに実装された蓄電素子CVを支柱として兼用するようにしたものである。また、本実施の形態では、可動電極14Mに接地電位GNDを印加する必要があるため、接地電極が上端に設けられている構造の容量素子を蓄電素子CVとして選択し、このような蓄電素子CVの接地電極GNで、可動電極14Mを支持するようにしたものである。これにより、可動電極14Mを支持する専用の支柱を基板Pに立設する必要がなくなるため、基板Pの面積を削減することができ、送信端末10の小型化を実現できる。また、可動電極14Mを接地電位GNDに接続するための工程も省くことができ、製造コストの削減にも繋がる。
【0044】
具体的には、図5A〜図5Cに示すように、接地電極GNに支持板14Aの一端を固定し、その先端にバネ14Bの一端を接続し、バネ14Bの他端に可動電極14Mが接続されている。支持板14Aは、薄板金属などの導電性の板部材から構成されている。
バネ14Bは、水平方向に沿って折れ曲がった葛折り状のバネから構成されており、例えば支持板14Aや可動電極14Mともに、薄板金属を材料としてエッチング加工や打ち抜き加工して一体に形成すればよい。ここでは、葛折り状の具体例として、矩形波状に折れ曲がった形状が例として示されているが、湾曲波状や三角波状に折れ曲がっていてもよい。また、棒状など、葛折り状以外の形状のバネを用いてもよい。
【0045】
また、可動電極14Mの両側位置には、固定電極14P,14Nがそれぞれ基板Pに立設されている。固定電極14P,14Nは、例えば薄板金属などの導電性の板部材から構成されている。この固定電極14P,14Nは、図5Cの例では、その下部が可動電極14M側に曲げ加工されて、基板Pに固定され、半田付け等により基板Pの配線パターンと電気的に接続されている。この固定電極14P,14Nは、可動電極14Mの高さ位置と同じ程度の高さを有している。
【0046】
一方、可動電極14Mは、金属板などの導電性の板部材から構成されている。可動電極14Mのうち、固定電極14P,14Nと対向する側部には、基板P側に折り曲げられており、断面コの字形状をなしている。これにより、可動電極14Mと固定電極14P,14Nの側部との対向面積を増やすことができ、振動を検出する感度を高める効果が得られる。
【0047】
また、基板Pのうち可動電極14Mの下方の領域に、送信端末10の各種の電子回路部品PTを実装してもよい。具体的には、蓄電回路12、センサ素子信号検出回路13、および無線回路15のうち、半導体素子などの小型の電子回路部品をLSIチップで実現し、可動電極14Mの下方領域に実装すればよい。これにより、基板Pの実装領域を有効に利用することができるため、基板Pの面積を削減することができ、送信端末10の小型化を実現できる。
【0048】
[第1の実施の形態の動作]
次に、図6を参照して、本実施の形態にかかる送信端末の動作について説明する。図6は、ゼロパワーセンサ回路および制御回路の動作を示す信号波形図である。
【0049】
検知期間の開始時点である時刻T0において、容量素子CSの電圧は接地電位GNDと等しいものとする。その後、一定周波数の外部振動を送信端末10に与えた場合、この外部振動に応じてセンサ素子14から出力される検知信号BP,BNの電圧が変化する。この際、1回の振動でセンサ素子14の可変容量素子CP,CNに充電される電荷は一定であることから、電荷Q=容量C×電圧Vの関係に基づき、容量Cと電圧Vとが反比例する。
【0050】
このため、1回の振動で固定電極14Pと可動電極14Mとの距離が大きくなって可変容量素子CPの容量Cが小さくなると検知信号BPの電圧が高くなり、上記距離が小さくなって可変容量素子CPの容量Cが大きくなると検知信号BPの電圧が低くなる。また、このことは、固定電極14Nと可動電極14Mとから構成される可変容量素子CNと検知信号BNとの関係についても同様である。
【0051】
ここで、図3に示したように、可変容量素子CP,CNは可動電極14Mに対して対象構造をなすことから、検知信号BP,BNは、図6に示すように、電圧が接地電位GNDに対して正負に変化する、差動的な逆位相の信号となる。なお、検出信号BP,BNの波形については、実際には外部振動の状態に応じて曲線となるが、回路動作の説明を容易とするため、図6では、検出信号BP,BNを矩形波形で示してある。
【0052】
ゼロパワーセンサ回路13AのダイオードD1〜D3は、それぞれの両端電圧差がしきい値電圧Vt以上になった時点で導通状態となる。このため、検知信号BPの電圧が電源電位VDDよりVt以上低下した時点でダイオードD1が導通し、検知信号BNの電圧が検知信号BPの電圧よりVt以上低下した時点でダイオードD2が導通し、検知信号BNの電圧が容量素子CSの電位すなわちセンサ出力信号SOの電圧よりVt以上上昇した時点でダイオードD3が導通する。
【0053】
このため、外部振動の繰り返しに応じて、ダイオードD1,D3とダイオードD2とが交互に導通することから、電源電位VDDからの電荷がダイオードD1〜D3を介して容量素子CSまで順に伝達されて充電される。
したがって、時刻T0から時刻T1までの期間ΔT1では、センサ出力信号SOの電圧がゼロパワーしきい値回路13Bのしきい値電圧に達していないため、ゼロパワーしきい値回路13Bからスイッチオフを示す制御信号OUTが出力される。一方、時刻T1に、センサ出力信号SOの電圧がゼロパワーしきい値回路13Bのしきい値電圧に達した時点で、ゼロパワーしきい値回路13Bからスイッチオンを示す制御信号OUTが出力される。これにより、時刻T0の動作開始から期間ΔT1経過後に、無線回路15に対して電源供給が行われて、無線電波が送信されることになる。
【0054】
このように、センサ出力信号SOの電圧は、検知信号BP,BNの繰り返し回数に依存する。このため、検知信号BP,BNの繰り返し速度、すなわち外部振動の周波数や加速度の大きさに応じて、センサ出力信号SOの電圧が上昇する速度が変化する。
【0055】
図7は、ゼロパワーセンサ回路および制御回路の他の動作を示す信号波形図である。図7では、図6より低い周波数の外部振動を送信端末10へ与えた場合が例として示されている。
この場合には、図6より外部振動の周波数が低いため、センサ出力信号SOの電圧が上昇する速度は遅くなり、センサ出力信号SOの電圧がゼロパワーしきい値回路13Bのしきい値に達するまでに、期間ΔT1より長い期間ΔT2を要している。
【0056】
この結果、無線回路15に対して、外部振動の周波数あるいは加速度の大きさに応じた間隔で、電源部11からスイッチSW2を介して動作電源が供給されることになる。図8は、無線回路の動作を示す説明図である。前述した図6および図7の動作で得られた期間ΔT1,ΔT2をパルス間隔として、無線電波が間欠的に送信される。無線電波の1回あたりの送信期間は、例えば1ms以下であることが望ましい。これによりさらなるμWより小さいnW(ナノワット)レベルまで低電力化が可能である。
【0057】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、センサ素子14として、接地電位が印加される可動電極14Mと、この可動電極14Mと対向して固定された固定電極14P,14Nとを有し、振動に応じた可動電極14Mの揺動により、接地電位GNDに対して正負に変化する検知信号を固定電極14P,14Nから出力する回路素子を用い、この可動電極14Mを、基板Pに実装された蓄電素子CVの上端に位置する当該蓄電素子CVの接地電極GNに対して、揺動自在に支持するとともに電気的に接続するようにしたものである。
【0058】
これにより、基板Pに対して可動電極14Mを揺動自在に支持する専用の支柱が不要となるため、当該支柱を基板Pに固定するための専用の領域を削減することができ、結果として送信端末10の小型化を実現できる。したがって、送信端末10自体の大きさを、サブ平方センチメートル程度まで容易に縮小することができ、送信端末10を人の爪に装着することが可能となる。
このため、利用者が送信端末10を装着していることを意識することなく、利用者の活動を検出することができる。これにより、この送信端末10を用いたセンサノードシステム100により、生活習慣病予防のための活動量をモニタするための健康管理システムや、後述するような、家電の電源を自動的にオフするなどの電気機器制御システムなどを、極めて容易に実現することが可能となる。
【0059】
[第2の実施の形態]
次に、図9を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかるセンサノードシステム100について説明する。図9は、第2の実施の形態にかかるセンサノードシステムおよび受信装置の構成を示すブロック図である。
ここでは、送信端末10を利用者の足の爪に装着し、利用者の歩行などに応じて発生した振動を検出し、この検出結果を受信装置20で取得する場合を例として説明する。
【0060】
本実施の形態において、受信装置20は、小型の無線端末装置からなり、主な機能部として、無線受信部21、データ処理部22、表示部23、および操作部24が設けられている。
【0061】
無線受信部21は、送信端末10から送信された無線電波を受信し、受信パルスRDに変換して出力する機能を有している。送信端末10から送信される無線電波は、前述の図7に示したように、送信端末10で検出された振動の周波数や加速度の大きさに応じて、その送信間隔が変化する。
【0062】
データ処理部22は、無線受信部21から受信パルスRDが出力された時刻を含むログデータを生成して記憶する機能を有している。
このデータ処理部22には、主な機能部として、時計部22A、データ生成部22B、および記憶部22Cが設けられている。
【0063】
時計部22Aは、タイマ回路からなり、計時した時刻データTMをデータ生成部22Bへ出力する機能を有している。
データ生成部22Bは、無線受信部21からの受信パルスRDに応じて、時計部22Aからの時刻データTMを取得し、この時刻データTMを含むログデータDTを生成する機能を有している。
記憶部22Cは、半導体メモリからなり、データ生成部22Bで生成されたログデータDTを記憶する機能と、操作部24からの出力指示信号DOUTに応じて記憶しているログデータを表示部23へ出力する機能とを有している。
【0064】
表示部23は、LCDなどの表示回路からなり、記憶部22Cから出力されたログデータを表示する機能を有している。
操作部24は、押下ボタンやスイッチなどの操作入力装置からなり、管理者の操作を検出して記憶部22Cへ出力指示信号DOUTを出力する機能を有している。
【0065】
[第2の実施の形態の動作]
次に、図10を参照して、本実施の形態にかかるセンサノードシステム100の動作について説明する。図10は、第2の実施の形態にかかるセンサノードシステムの動作を示す説明図である。
【0066】
図10に示すように、送信端末10は、利用者の足の爪に装着されており、利用者が歩行した場合、その振動を検出して無線電波を送信する。
受信装置20では、無線受信部21により、送信端末10からの無線電波を受信し、受信パルスRDを出力する。
データ生成部22Bは、無線受信部21からの受信パルスRDに応じて、時計部22Aからの時刻データTMを取得し、この時刻データTMを含むログデータDTを生成し、記憶部22Cに保存する。
【0067】
この後、管理者により操作部24が操作された場合、操作部24からの出力指示信号DOUTに応じて、記憶部22CからログデータDTが読み出され、表示部23で表示される。図10の表示例では、時刻データTMの時刻と、振動を検出した旨を示すメッセージとが、文字情報として表示されている。
この際、ログデータDTが記憶部22Cに保存された際、当該ログデータDTを表示部23で自動的に表示するようにしてもよい。また、表示部23での表示は、一定期間表示した後に自動的に表示を終了してもよい。
【0068】
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態では、受信装置20において、送信端末10からの無線電波の受信に応じて、当該受信時刻を含むログデータを記憶して表示するようにしたので、送信端末10を装着している利用者の活動を、管理者が確認することができる。
この際、ログデータにより利用者の活動有無のみを確認する場合には、データ生成部22Bにおいて、時刻データTMのみからログデータDTを生成すればよい。また、ログデータにより利用者の活動量を確認する場合には、単位時間当たりで受信した受信パルスRDの数や受信間隔を含むログデータをデータ生成部22Bで生成すればよい。
【0069】
[第3の実施の形態]
次に、図11を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかるセンサノードシステム100について説明する。図11は、第3の実施の形態にかかるセンサノードシステムおよび受信装置の構成を示すブロック図である。
ここでは、送信端末10を利用者の足の爪に装着し、利用者の歩行などに応じて発生した振動を検出し、この検出結果を受信装置20で取得して携帯端末30へ通知する場合を例として説明する。
【0070】
本実施の形態において、受信装置20は、小型の無線端末装置からなり、主な機能部として、無線受信部21、データ処理部22、操作部24、および無線送信部25が設けられている。
無線送信部25は、記憶部22Cから出力されたログデータを、赤外線通信などの無線通信により携帯端末30へ通知する機能を有している。
なお、無線受信部21、データ処理部22、操作部24は、前述した第2の実施の形態と同様である。
【0071】
[第3の実施の形態の動作]
次に、図12を参照して、本実施の形態にかかるセンサノードシステム100の動作について説明する。図12は、第3の実施の形態にかかるセンサノードシステムの動作を示す説明図である。
【0072】
図12に示すように、送信端末10は、利用者の足の爪に装着されており、利用者が歩行した場合、その振動を検出して無線電波を送信する。
受信装置20では、無線受信部21により、送信端末10からの無線電波を受信し、受信パルスRDを出力する。
データ生成部22Bは、無線受信部21からの受信パルスRDに応じて、時計部22Aからの時刻データTMを取得し、この時刻データTMを含むログデータDTを生成し、記憶部22Cに保存する。
【0073】
この後、管理者により操作部24が操作された場合、操作部24からの出力指示信号DOUTに応じて、記憶部22CからログデータDTが読み出され、無線送信部25へ出力される。
この際、出力指示信号DOUTと並行して、無線送信部25へ動作電力を供給するスイッチSWに対して、操作部24から供給指示信号PONが出力され、無線送信部25が起動される。これにより、ログデータDTが無線送信部25から携帯端末30へ通知される。
携帯端末30は、受信装置20から通知されたログデータを受信して、画面表示する。
【0074】
[第3の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態では、受信装置20で生成したログデータを携帯端末30へ通知するようにしたので、管理者は携帯端末30でログデータを確認できる。これにより、受信装置20に表示部を設ける必要がなくなり、受信装置20の小型化や低コスト化を実現できる。
【0075】
なお、携帯端末30へ通知するログデータは、記憶部22Cで記憶しているすべてのものを通知するものとし、通知したログデータは自動消去するようにしてもよい。また、ログデータDTが記憶部22Cに保存された際、当該ログデータDTを自動的に携帯端末30へ通知するようにしてもよい。
また、本実施の形態にかかる受信装置20のうち、無線受信部21およびデータ処理部22を携帯端末30に搭載してもよい。
【0076】
[第4の実施の形態]
次に、図13を参照して、本発明の第4の実施の形態にかかるセンサノードシステム100について説明する。図13は、第4の実施の形態にかかるセンサノードシステムおよび受信装置の構成を示すブロック図である。
ここでは、送信端末10を利用者の足の爪に装着し、利用者の歩行などに応じて発生した振動を検出し、この検出結果を受信装置20で取得して、電気機器を制御する場合を例として説明する。
【0077】
本実施の形態において、受信装置20は、小型の無線端末装置からなり、主な機能部として、無線受信部21、無線送信部25、計時部26、および機器制御部27が設けられている。
【0078】
計時部26は、無線受信部21からの受信パルスRDの受信間隔の時間を計時し、計時結果CNTを出力する機能を有している。この計時部26には、主な機能部として、発振部26Aとカウンタ26Bが設けられている。
発振部26Aは、一定周波数のクロックCKを出力する機能を有している。カウンタ26Bは、発振部26AからのクロックCKをカウントし、そのカウント値を計時結果CNTとして出力する機能と、無線受信部21からの受信パルスRDに応じて、カウント値をリセットする機能とを有している。
【0079】
機器制御部27は、計時部26からの計時結果CNTに基づいて、電気機器40を制御するための制御信号を生成して出力する機能を有している。この機器制御部27には、主な機能部として、設定部27A、比較部27B、および信号生成部27Cが設けられている。なお、無線受信部21および無線送信部25は、前述した第3の実施の形態と同様である。
【0080】
設定部27Aは、予め設定された基準時間を示す基準値TSを出力する機能を有している。比較部27Bは、計時部26からの計時結果CNTを設定部27Aからの基準値TSと比較し、比較結果CMPを出力する機能を有している。信号生成部27Cは、比較部27Bからの比較結果CMPに対応する制御信号CSを生成して無線送信部25へ出力する機能を有している。
【0081】
[第4の実施の形態の動作]
次に、図14を参照して、本実施の形態にかかるセンサノードシステム100の動作について説明する。図14は、第4の実施の形態にかかるセンサノードシステムの動作を示す説明図である。
【0082】
図14に示すように、送信端末10は、利用者の足の爪に装着されており、利用者が歩行した場合、その振動を検出して無線電波を送信する。
受信装置20では、無線受信部21により、送信端末10からの無線電波を受信し、受信パルスRDを出力する。
計時部26は、発振部26AからのクロックCKをカウンタ26Bでカウントして、カウント値を計時結果CNTとして機器制御部27へ出力する。また、無線受信部21からの受信パルスRDに応じてカウント値をリセットする。したがって、無線電波を受信するたびに計時結果CNTがリセットされ、無線電波の受信間隔が長くなれば計時結果CNTが大きくなる。
【0083】
機器制御部27の信号生成部27Cは、比較部27Bから、計時結果CNTが基準値TSを越えたことを示す比較結果CMPが出力された場合、電気機器40の動作を停止させるための制御信号CSを生成する。この制御信号CSは、無線送信部25から電気機器40へ通知され、照明器具41、エアコン42、テレビ43、扇風機44などの電気機器40の動作が停止する。
これにより、利用者の活動が基準時間以上検出されなくなった時点で、電気機器40の動作が自動的に停止される。
【0084】
[第4の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態では、送信端末10からの振動検出結果を受信装置20で取得して、電気機器40を制御するようにしたので、利用者の活動に応じて、電気機器40の動作を自動制御することができる。また、利用者の活動が基準時間以上にわたり検出されなくなった時点で、電気機器40の動作を自動停止させるようにしたので、利用者が部屋からいなくなった場合には、当該部屋にある家電製品の動作を停止させることができ、電気使用量を節約することができる。
【0085】
なお、本実施の形態では、利用者の活動が基準時間以上にわたり検出されなくなった時点で、電気機器40の動作を自動停止させる場合を例として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、比較部27Bにおいて、計時部26からの計時結果CNTが、基準値TSより小さくなった時点で、信号生成部27Cにおいて、予め設定されている電気機器40の動作を開始させる制御信号CSを生成し、無線送信部25を介して電気機器40へ通知するようにしてもよい。これにより、利用者が部屋に戻った時点で、自動的に家電製品の動作を開始させることができる。
【0086】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0087】
100…センサノードシステム、10…送信端末、11…電源部、12…蓄電回路、12A…整流回路、12B…電圧検知回路、13…センサ素子信号検出回路、13A…ゼロパワーセンサ回路、13B…ゼロパワーしきい値回路、14…センサ素子、14A…支持板、14B…バネ、14M…可動電極、14P,14N…固定電極、15…無線回路、20…受信装置、21…無線受信部、22…データ処理部、22A…時計部、22B…データ生成部、22C…記憶部、23…表示部、24…操作部、25…無線送信部、26…計時部、26A…発振部、26B…カウンタ、27…機器制御部、27A…設定部、27B…比較部、27C…信号生成部、30…携帯端末、40…電気機器、CV…蓄電素子、GN…接地電極、P…基板、PT…電子回路部品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から与えられた振動を検出して無線電波を送信する送信端末と、前記無線電波の受信により前記送信端末での振動の検出結果を取得する受信装置とを備えるセンサノードシステムにおいて、
前記送信端末は、
接地電位が印加される可動電極と、この可動電極と対向して固定された固定電極とを有し、前記振動に応じた前記可動電極の揺動により、前記接地電位に対して正負に変化する検知信号を前記固定電極から出力するセンサ素子と、
前記センサ素子からの検知信号に応じて容量素子を充電し、当該充電電圧がしきい値電圧を上回った場合に、前記振動の検出を示す制御信号を出力するセンサ素子信号検出回路と、
動作電力を蓄電する蓄電素子と、
前記センサ素子信号検出回路からの制御信号に応じて、前記蓄電素子の動作電力により動作して前記無線電波を送信する無線回路と
を備え、
前記可動電極は、基板に実装された前記蓄電素子の上端に位置する当該蓄電素子の接地電極に対して、揺動自在に支持されているとともに電気的に接続されている
ことを特徴とするセンサノードシステム。
【請求項2】
請求項2に記載のセンサノードシステムにおいて、
前記基板のうち前記可動電極の下方の領域に電子回路部品が実装されていることを特徴とするセンサノードシステム。
【請求項3】
外部から与えられた振動を検出して無線電波を送信する送信端末と、前記無線電波の受信により前記送信端末での振動の検出結果を取得する受信装置とを備えるセンサノードシステムで用いられる前記送信端末であって、
接地電位が印加される可動電極と、この可動電極と対向して固定された固定電極とを有し、前記振動に応じた前記可動電極の揺動により、前記接地電位に対して正負に変化する検知信号を前記固定電極から出力するセンサ素子と、
前記センサ素子からの検知信号に応じて容量素子を充電し、当該充電電圧がしきい値電圧を上回った場合に、前記振動の検出を示す制御信号を出力するセンサ素子信号検出回路と、
動作電力を蓄電する蓄電素子と、
前記センサ素子信号検出回路からの制御信号に応じて、前記蓄電素子の動作電力により動作して前記無線電波を送信する無線回路と
を備え、
前記可動電極は、基板に実装された前記蓄電素子の上端に位置する当該蓄電素子の接地電極に対して、揺動自在に支持されているとともに電気的に接続されている
ことを特徴とする送信端末。
【請求項4】
請求項3に記載の送信端末において、
前記基板のうち前記可動電極の下方の領域に電子回路部品が実装されていることを特徴とする送信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−239640(P2012−239640A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112535(P2011−112535)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】