説明

センサモジュール、及びセンサモジュールを備えたタイヤ・ホイール組立体

【課題】専用クーラントなどが注入されることによって、高湿度かつ高圧な気体によって満たされるタイヤ・ホイール組立体の内部に設置された場合でも、故障の発生確率を更に低減しつつ、架硫工程の前に、タイヤ・ホイール組立体の内部に埋め込むことが可能なセンサモジュール、及び当該センサモジュールを備えたタイヤ・ホイール組立体の提供。
【解決手段】本発明に係るセンサモジュール100は、内圧を検出する圧力センサ、無線信号を受信する受信アンテナ18、無線信号を送信する送信アンテナ44、受信アンテナ18、送信アンテナ44、圧力センサと接続され、センサモジュール100を構成する電子回路部を収容する箱体10を備え、圧力センサは、電気抵抗の変化により箱体10のひずみを検出するひずみゲージを含み、ひずみゲージは、箱体10の内壁に接着され、箱体10は、非金属の無機質材料である非金属無機質材料によって形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ・ホイール組立体の内部に設置されるセンサモジュール、及びセンサモジュールを備えたタイヤ・ホイール組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤがリムホイールに組み付けられたタイヤ・ホイール組立体に充填された空気の内圧や、タイヤ・ホイール組立体の内部の温度を常時監視するモニタリングシステムとして機能するセンサモジュールが、広く用いられている。
【0003】
具体的には、センサモジュールは、タイヤ・ホイール組立体の内部の内圧を検出する圧力センサ、温度を検出する温度センサ、無線信号を送受信する無線通信機によって構成され、タイヤ・ホイール組立体の内部に埋め込まれる、またはタイヤ・ホイール組立体の内壁に設置される。
【0004】
このようなセンサモジュールにおいて、センサモジュールを構成する電子部品を樹脂ケースに収容し、水分の浸入を防止する方法が知られている。(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2006−234481号公報(第5−6頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、建設車両などの大型のタイヤ・ホイール組立体では、内圧が高く設定されると共に、タイヤ・ホイール組立体の内部に専用クーラントなどが注入される。このようなタイヤ・ホイール組立体の転動に伴い、タイヤ・ホイール組立体の内部は、湿度が上昇し、高湿度かつ高圧な気体によって満たされる。
【0006】
このようなタイヤ・ホイール組立体の内部に、樹脂ケースを備えるセンサモジュールを設置した場合、高湿度かつ高圧な気体が樹脂ケースを透過してしまい、センサモジュールを構成する電子部品の故障確率が増大しやすい点で更なる改良が求められていた。
【0007】
また、センサモジュールは、タイヤ・ホイール組立体が成型された後に、タイヤ・ホイール組立体へ設置される工程を新たに必要とする。このため、センサモジュールの設置に伴う、新たな処理、例えば、センサモジュールを埋め込むための切削等を削減するために、タイヤ・ホイール組立体へのタイヤ・ホイール組立体の架硫工程の前に、タイヤ・ホイール組立体の内部に埋め込まれることが求められていた。
【0008】
しかしながら、樹脂ケースに収容されたセンサモジュールでは、架硫工程で用いられる高温、高圧な気体により、樹脂ケースが変形してしまうことが懸念されていた。
【0009】
そこで、本発明は、専用クーラントなどが注入されることによって、高湿度かつ高圧な気体によって満たされるタイヤ・ホイール組立体の内部に設置された場合でも、故障の発生確率を更に低減しつつ、架硫工程の前に、タイヤ・ホイール組立体の内部に埋め込むことが可能なセンサモジュール、及び当該センサモジュールを備えたタイヤ・ホイール組立体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。まず、本発明の第1の特徴は、タイヤ・ホイール組立体(タイヤ・ホイール組立体1)の内部に設置されるセンサモジュール(センサモジュール100)であって、タイヤ・ホイール組立体の内部の内圧を検出する圧力センサ(圧力センサ34)と、無線信号を受信する受信アンテナ(受信アンテナ18)と、無線信号を送信する送信アンテナ(送信アンテナ44)と、受信アンテナ、送信アンテナ、圧力センサと接続され、センサモジュールを構成する電子回路部を少なくとも収容する箱体(箱体10)を備え、圧力センサは、抵抗体の電気抵抗の変化により箱体のひずみを検出するひずみゲージ36を含み、ひずみゲージは、箱体の内壁に接着され、箱体は、非金属の無機質材料である非金属無機質材料によって形成されることを要旨とする。
【0011】
このような、センサモジュールによれば、受信アンテナ、送信アンテナ、圧力センサ及び電子回路部は、非金属の無機質材料である非金属無機質材料によって形成された箱体に収容されるため、タイヤ・ホイール組立体の内部が、高湿度かつ高圧な気体によって満たされる場合でも、箱体は、内部への水分の透過を充分に防止できる。
【0012】
また、センサモジュールが、架硫工程の前にタイヤ・ホイール組立体の内部に埋め込まれた場合おいても、箱体は、非金属の無機質材料である非金属無機質材料によって形成されるため、架硫工程において、高温、高圧な状況で処理をされても、箱体の内部への水分の透過を充分に防止できる。
【0013】
また、箱体は、非金属の無機質材料である非金属無機質材料によって形成されるため、受信アンテナ及び送信アンテナが無線信号を受信することを妨げることはない。
【0014】
従って、センサモジュールは、専用クーラントなどが注入されることによって、高湿度かつ高圧な気体によって満たされるタイヤ・ホイール組立体の内部に設置された場合でも、故障の発生確率を低減しつつ、架硫工程の前に、タイヤ・ホイール組立体の内部に埋め込むことが可能となる。
【0015】
本発明の第2の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、箱体には、電子回路部に必要な電力を供給する発電部(発電部48)が収容され、発電部は、箱体内部の振動により発電する圧電素子(圧電素子50)を含むことを要旨とする。
【0016】
本発明の第3の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、箱体には、電子回路部に必要な電力を供給する発電部(発電部48a)が収容され、発電部は、無線信号を受信し、磁界の変化により電力を生じるアンテナコイル(アンテナコイル54)を含むことを要旨とする。
【0017】
本発明の第4の特徴は、本発明の第1乃至3の何れか一つの特徴に係り、電子回路部には、タイヤ・ホイール組立体内部の温度を検出する温度センサ(温度センサ38)が含まれることを要旨とする。
【0018】
本発明の第5の特徴は、本発明の第1乃至4の何れか一つの特徴に係り、非金属無機質材料は、セラミック、ガラスセラミックの何れかであることを要旨とする。
【0019】
本発明の第6の特徴は、本発明の第1乃至5の何れか一つの特徴に係り、センサモジュールは、温度が、40度以上、湿度が、飽和状態、内圧が500kPa以上の環境下で利用されることを要旨とする。
【0020】
本発明の第7の特徴は、センサモジュールが内部に設置されたタイヤ・ホイール組立体であって、センサモジュールは、タイヤ・ホイール組立体の内部の内圧を検出する圧力センサと、無線信号を受信する受信アンテナと、無線信号を送信する送信アンテナと、受信アンテナ、送信アンテナ、圧力センサと接続され、センサモジュールを構成する電子回路部を少なくとも収容する箱体を備え、圧力センサは、抵抗体の電気抵抗の変化により箱体のひずみを測定するひずみゲージを含み、ひずみゲージは、箱体の内壁に接着され、箱体は、非金属の無機質材料である非金属無機質材料によって形成されるセンサモジュールセンサモジュールを備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の特徴によれば、専用クーラントなどが注入されることによって、高湿度かつ高圧な気体によって満たされるタイヤ・ホイール組立体の内部に設置した場合でも、故障の発生確率を更に低減しつつ、架硫工程の前に、タイヤ・ホイール組立体の内部に埋め込むことが可能なセンサモジュール、及び当該センサモジュールを備えたタイヤ・ホイール組立体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0023】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0024】
[実施形態]
本実施形態においては、(1)タイヤ・ホイール組立体の全体構成、(2)センサモジュールの詳細構成、(3)箱体の構成、(4)比較評価、(5)作用・効果、(6)変形例、(7)その他の実施形態について説明する。
【0025】
(1)タイヤ・ホイール組立体の全体構成
図1は、本発明の実施形態に係るセンサモジュール100を備えたタイヤ・ホイール組立体1のトレッド幅方向に沿った一部断面図である。図2は、本発明の実施形態におけるセンサモジュール100を拡大した斜視図であり、車両装着時におけるタイヤ・ホイール組立体の内部に配置された状態を示している。
【0026】
タイヤ・ホイール組立体1には、センサモジュール100が内部に設置される。タイヤ・ホイール組立体1は、建設車両などの大型の車両に適用されるタイヤ・ホイール組立体である。建設車両などの大型の車両は、タイヤ・ホイール組立体1も大型であるとともに、交代制の作業で24時間使い続けられる事が多いため、タイヤ・ホイール組立体1の内部は、常に高温、高圧な状況に保たれる。
【0027】
更に、タイヤ・ホイール組立体1は、内部に水及びLLCが注入されているため、高湿度かつ高圧な気体によって、タイヤ・ホイール組立体の内部が満たされる。具体的には、タイヤ・ホイール組立体には、容積に対して、1/50〜1/40ほどの水及びLLCの混合液(約50リットル)が注入されている。
【0028】
図1に示すように、タイヤ・ホイール組立体1は、一対のビード部2と、一対のサイド部3と、カーカス層4 と、ベルト層5と、トレッド部6とにより構成されるタイヤと、タイヤが固定されているリム7とにより構成される。
【0029】
ビード部2は、タイヤ周方向に沿って、リング状に形成されており、トレッド幅方向に沿って、タイヤの両端にそれぞれに備えられている。ビード部2は、タイヤをリム7に固定するための補強材である。
【0030】
サイド部3は、後述するトレッド部6を介してトレッド幅方向に沿って、タイヤの両端に形成された壁面である。
【0031】
図1、2に示すように、センサモジュール100は、サイド部3の内側に埋め込まれる。
【0032】
カーカス層4は、サイド部3を構成しており、荷重や衝撃に耐え、タイヤ構造を保持するための層である。カーカス層4のトレッド幅方向に沿った両端部は、ビード部2で折り返されている。
【0033】
ベルト層5は、タイヤ周方向に沿って、カーカス層4と後述するトレッド部6との間に配置される。
【0034】
(2)センサモジュールの詳細構成
センサモジュール100の詳細構成について、説明する。
【0035】
上述したタイヤ・ホイール組立体1は、内部にLLCが注入されているため、高湿度かつ高圧な気体によって、タイヤ・ホイール組立体の内部が満たされる。従って、センサモジュール100は、温度が、40度以上、湿度が、飽和状態(つまり、相対湿度100%)、内圧が、500kPa以上の環境下で利用される。具体的には、センサモジュール100は、温度が、25度〜90度(平均64度)、湿度が、20%〜100%、内圧が、500kPaの環境下で利用される。
【0036】
センサモジュール100は、タイヤ・ホイール組立体に充填された空気の内圧を常時監視するタイヤ・プレッシャー・モニタリングシステム(以下TPMS装置)として機能する。
【0037】
(3)箱体の構成
箱体10の詳細構成について、説明する。具体的には、(3.1)箱体の詳細構成、(3.2)箱体本体の詳細構成、(3.3)電子回路部の詳細構成について、図3乃至5を用いて説明する。図3は、本発明の実施形態に係る箱体10の一部を分解した分解斜視図である。図4は、本発明の実施形態に係る箱体10の上蓋14を取り外した場合の平面図である。
【0038】
(3.1)箱体の詳細構成
図3に示すように、センサモジュール100は、箱体10を備える。箱体10は、箱体本体12と、上蓋14と、下蓋16とにより構成される。
【0039】
箱体10は、タイヤ・ホイール組立体1の内部の内圧を検出する圧力センサ34と、無線信号を受信するコイル状の受信アンテナ18と、無線信号を送信する送信アンテナ44と、受信アンテナ18、送信アンテナ44、圧力センサ34と接続され、センサモジュール100を構成する電子回路部を少なくとも収容する。
【0040】
箱体10は、非金属の無機質材料である非金属無機質材料によって形成される。具体的には、箱体10を形成する非金属無機質材料は、セラミック又は、ガラスセラミックが用いられる。例えば、箱体10を形成する非金属無機質材料として、アルミナセラミック等が好適に用いられる。
【0041】
上蓋14及び下蓋16は、上記非金属無機質材料からなる板状の蓋である。上蓋14及び下蓋16は、箱体本体12にそれぞれ溶着されることにより、電子回路部は、箱体10の内部に封止される。具体的には、上蓋14及び下蓋16は、箱体本体12にシーム溶接、またはハンダ付けされる。
【0042】
圧力センサ34は、抵抗体の電気抵抗の変化により箱体10のひずみを検出するひずみゲージ36を含む。
【0043】
ひずみゲージ36は、箱体の内壁に接着される。具体的には、ひずみゲージ36は、上蓋14の内壁に専用の接着剤で接着される。ひずみゲージ36は、箱体本体12の内壁だけでなく、箱体本体12及び下蓋16の内壁に接着されてもよい。例えば、ひずみゲージ36は、薄い電気絶縁物のベース体36aと、ベース体36aの上に重ねられ、格子状に形成される抵抗体36bと、抵抗体36bと接続される引き出し線36cとにより構成される。
【0044】
(3.2)箱体本体の詳細構成
図4に示すように、箱体本体12は、内部に受信アンテナ18と、送信アンテナ44と、電子回路部とを少なくとも収容する。受信アンテナ18は、無線信号を受信し、コイル状に形成される。送信アンテナ44は、無線信号を受信し、コイル状に形成される。箱体本体12は、非金属無機質材料からなる基板の積層体と、非金属無機質材料からなるケースとにより構成される。
【0045】
例えば、非金属無機質材料として、セラミックが用いられる場合、箱体本体12は、セラミック基板の積層体と、セラミックからなるケースとを焼結する事により製造される。
【0046】
(3.3)電子回路部の詳細構成
電子回路部には、マイクロコンピュータ20(以下、マイコン20)と、高周波変調集積回路22(以下、RF変調IC22)と、コンデンサ24と、水晶発振器26と、低周波復調集積回路28(以下、LF復調IC28)と、温度センサ38と、電池46と、電子回路基板30とが少なくとも含まれる。
【0047】
マイコン20は、他の電子回路部を制御する。具体的には、マイコン20から他の電子回路部に情報信号が入出力される。RF変調IC22は、マイコン20から出力された信号を高周波信号に変調する。コンデンサ24は、電圧低下時の電力をサポートする。水晶発振器26は、マイコン20が起動するための基本クロックを出力する。LF復調IC28は、受信アンテナ18に入力される低周波信号を復調する。温度センサ38は、タイヤ・ホイール組立体1の内部の温度を検出する。電池46は、電子回路部に必要な電力を供給する。
【0048】
電子回路基板30には、マイコン20、RF変調IC22、コンデンサ24、水晶発振器26、LF復調IC28、温度センサ38、電池46を少なくとも含む電子部品が、配置されると共に、これらの電子部品を互いに電気的に接続する回路パターンが形成される。が含まれる。
【0049】
(4)比較評価
次に、本発明の効果を更に明確にするために、以下の比較例及び実施例に係る空気入りタイヤを用いて行った比較評価について説明する。具体的には、(4.1)評価方法、(4.2)評価結果について説明する。なお、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
【0050】
(4.1)評価方法
2種類のセンサモジュールをそれぞれ備えたタイヤ・ホイール組立体を用いて、温度に対する耐久性について評価を行った。空気入りタイヤに関するデータは、以下に示す条件において測定された。
【0051】
・ タイヤ・ホイール組立体内のクーラント :水、専用クーラント(混合比0:100、つまり専用クーラントのみ)
・ クーラント注入量/タイヤ・ホイール組立体の内部容積 :1/50(50リットル)
・ 湿度 :相対湿度100%(飽和状態)
・ 圧力 :1MPa
【0052】
(耐久性比較試験)
評価方法 :各タイヤ・ホイール組立体について、タイヤ・ホイール組立体内を設定温度(65℃、80℃、100℃)環境に保持し、各センサモジュールが、故障に至るまでの時間(寿命)を測定した。
【0053】
実施例のタイヤ・ホイール組立体には、図3に示すような、センサモジュール100が、設置される。具体的には、センサモジュール100は、箱体10を備える。
【0054】
比較例のタイヤ・ホイール組立体に設置されるセンサモジュールは、実施例が、非金属の無機質材料である非金属無機質材料によって形成される箱体10を用いているのに対して、樹脂によって形成されるケースを用いている点で異なる。
【0055】
具体的には、実施例のセンサモジュール100において、受信アンテナ、送信アンテナ、圧力センサは、箱体10に収容される。これに対して、比較例のセンサモジュールにおいて、受信アンテナ、送信アンテナ、圧力センサは、箱体10に収容されることなく、樹脂によって形成されるケースに収容される。
【0056】
(4.2)評価結果
各センサモジュールの評価結果について、図5を参照しながら説明する。図5は、タイヤ・ホイール組立体内の設定温度に対する、寿命(単位は、時間)を示した図である。
【0057】
図5に示すように、比較例のタイヤ・ホイール組立体に備えられたセンサモジュールは、全ての設定温度下において、実施例のタイヤ・ホイール組立体に備えられたセンサモジュールと比べて、寿命が短かった。
【0058】
(5)作用・効果
以上説明したように、本実施形態によれば、受信アンテナ18、送信アンテナ44、圧力センサ34及び電子回路部は、非金属の無機質材料である非金属無機質材料によって形成された箱体10に収容されるため、タイヤ・ホイール組立体1の内部が、高湿度かつ高圧な気体によって満たされる場合でも、箱体10は、内部への水分の透過を充分に防止できる。
【0059】
また、センサモジュール100が、架硫工程の前にタイヤ・ホイール組立体1の内部に埋め込まれた場合おいても、箱体10は、非金属の無機質材料である非金属無機質材料によって形成されるため、架硫工程において、高温、高圧な状況で処理をされても、箱体10の内部への水分の透過を充分に防止できる。
【0060】
また、箱体10は、非金属の無機質材料である非金属無機質材料によって形成されるため、受信アンテナ18及び送信アンテナ44が無線信号を受信することを妨げることはない。
【0061】
従って、センサモジュール100は、専用クーラントなどが注入されることによって、高湿度かつ高圧な気体によって満たされるタイヤ・ホイール組立体1の内部に設置された場合でも、故障の発生確率を低減しつつ、架硫工程の前に、タイヤ・ホイール組立体1の内部に埋め込むことが可能となる。
【0062】
本実施形態によれば、架硫工程の前にセンサモジュール100をタイヤ・ホイール組立体1の内部に埋め込むことが可能となるため、タイヤ・ホイール組立体1が成型された後に、タイヤ・ホイール組立体1へセンサモジュール100を設置する工程を削除することができる。
【0063】
本実施形態によれば、圧力センサ34は、箱体10のひずみを検出するひずみゲージ36を含み、タイヤ・ホイール組立体1の内部の内圧を検出できる。このため、圧力センサ34は、圧力センサ34の一部をタイヤ・ホイール組立体1の内部に通じるような構成を必要としない。
【0064】
本実施形態に撚れば、受信アンテナ18、送信アンテナ44、圧力センサ34及び電子回路部は、高湿度かつ高圧な気体によって満たされる環境では、故障する可能性のある汎用の電子部品等を用いた場合でも、箱体10に収容されるため、故障の発生要因となることを抑制できる。
【0065】
本実施形態では、電子回路部には、タイヤ・ホイール組立体1の内部の温度を検出する温度センサ38が含まれるため、センサモジュール100は、タイヤ・ホイール組立体1の内部の温度を測定できる。
【0066】
本実施形態では、非金属無機質材料は、セラミック、ガラスセラミックの何れかであるため、受信アンテナ18及び送信アンテナ44は、無線信号を受信できるとともに、箱体10は、箱体10の内部への水分の透過を更に防止できる。
【0067】
本実施形態では、センサモジュール100は、温度が、40度以上、湿度が、飽和状態、内圧が500kPa以上の環境下で利用される場合でも、箱体10の内部への水分の透過を充分に防止できるため、故障の発生確率を低減できる。
【0068】
本実施形態では、センサモジュール100には、電子回路部に接続され、無線信号を送受信する受信アンテナ18、送信アンテナ44が含まれるため、センサモジュール100は、何らかの情報を送受信できる装置として機能する。
【0069】
具体的には、センサモジュール100は、タイヤ製造番号や、タイヤ・ホイール組立体1内部の圧力に関する情報を送信するTPMS装置装置として機能できる。
【0070】
本実施形態では、電子回路部には、タイヤ・ホイール組立体1の内部の温度を検出する温度センサ38が含まれるため、センサモジュール100は、タイヤ・ホイール組立体1の内部の温度を測定できる。更に、センサモジュール100は、無線信号を送信する送信アンテナ44が含まれるため、タイヤ・ホイール組立体1の内部の温度に関する情報を送信する装置として機能できる。
【0071】
本実施形態では、センサモジュール100には、電子回路部に必要な電力を供給する電池46が含まれるため、センサモジュール100は、外部より電気の供給が不要で有るとともに、電池46を交換することで、繰り返し使用できる。
【0072】
以上説明したように、本実施形態のセンサモジュール100を備えたタイヤ・ホイール組立体1は、専用クーラントなどが注入されることによって、高湿度かつ高圧な気体によって満たされるタイヤ・ホイール組立体1の内部にセンサモジュール100を設置した場合でも、故障の発生確率を低減したセンサモジュール100を備えることができる。
【0073】
(6)変形例
上述した実施形態に係るセンサモジュール100は、以下の(6.1)変形例1、(6.2)変形例2のように変更してもよい。
【0074】
(6.1)変形例1
上述した実施形態にかかる箱体10は、電池46を収容しているが、図6に示すように、箱体本体12aは、電池46の代わりに、電子回路部に必要な電力を供給する発電部48を収容していてもよい。具体的には、発電部48は、箱体10内部の振動により発電する圧電素子50を含む。圧電素子50の両面には、電極52が備えられており、圧電素子50より生じた電力を供給する。
【0075】
これによれば、発電部48は、箱体10内部の振動により発電するため、上述した実施形態のような電池切れによる、交換作業が不要になる。つまり、センサモジュール100は、タイヤ・ホイール組立体1の架硫工程の前にタイヤ・ホイール組立体の内部に埋め込まれれば、電子部品の故障が無い限り、交換作業が不要になる。
【0076】
(6.2)変形例2
上述した実施形態にかかる箱体10は、電池46を収容しているが、図7に示すように、箱体本体12bは、電池46の代わりに、電子回路部に必要な電力を供給する発電部48aを収容していてもよい。具体的には、発電部48aは、無線信号を受信し、磁界の変化により電力を生じるアンテナコイル54を含む。
【0077】
これによれば、発電部48aは、無線信号を受信し、磁界の変化により電力を生じるため、上述した実施形態のような電池切れによる、交換作業が不要になる。つまり、センサモジュール100は、変形例1と同様の効果を得ることができる。
【0078】
(7)その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0079】
例えば、本発明の実施形態は、次のように変更することができる。
【0080】
上記実施形態において、センサモジュール100は、サイド部3の内側に沿って埋め込まれるが、これに限られず、例えば、リム7の内側に沿って設置される、又は、タイヤ内面に沿って貼り付けられてもよい。
【0081】
上記実施形態において、箱体10を形成する非金属無機質材料は、セラミック又は、ガラスセラミックが用いられるが、これに限られず、非金属無機質材料は、透磁性が非常に高く、磁気を通しやすい性質を有するものであればよい。具体的には、非金属無機質材料は、ガラス繊維によって形成されていてもよい。
【0082】
上記実施形態において、箱体10は、箱体本体12、上蓋14及び下蓋16により構成されているが、これに限られず、箱体は、底部を備える箱形の箱体本体と、上蓋14とにより構成されていてもよい。
【0083】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施形態に係る本センサモジュール100を備えたタイヤ・ホイール組立体1のトレッド幅方向に沿った一部断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るセンサモジュール100の一部を分解した分解斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る箱体10の一部を分解した分解斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る箱体10の一部を分解した分解平面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るタイヤ・ホイール組立体内の設定温度に対する、寿命を示した図である。
【図6】本発明の実施形態の変形例に係る箱体の一部を分解した分解平面図である。
【図7】本発明の実施形態の変形例に係る箱体の一部を分解した分解平面図である。
【符号の説明】
【0085】
1…タイヤ・ホイール組立体、 2…ビード部、 3…サイド部、 4…カーカス層、
5…ベルト層、 6…トレッド部、 7…リム、 10…箱体、 12…箱体本体、 14…上蓋、 16…下蓋、 18…受信アンテナ、 20…マイコン、 22…RF波変調IC、 24…コンデンサ、 26…水晶発振器、 28…LF復調IC、 30…電子回路基板、 32…リード、 34…圧力センサ、 40…基板、 44…送信アンテナ、 46…電池、 48、48a…発電部、 50…圧電素子、 100…無線通信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ・ホイール組立体の内部に設置されるセンサモジュールであって、
前記タイヤ・ホイール組立体内部の内圧を検出する圧力センサと、
無線信号を受信する受信アンテナと、
前記無線信号を送信する送信アンテナと、
前記受信アンテナ、前記送信アンテナ、前記圧力センサと接続され、前記センサモジュールを構成する電子回路部を少なくとも収容する箱体を備え、
前記圧力センサは、抵抗体の電気抵抗の変化により前記箱体のひずみを検出するひずみゲージを含み、
前記ひずみゲージは、前記箱体の内壁に接着され、
前記箱体は、非金属の無機質材料である非金属無機質材料によって形成されるセンサモジュール。
【請求項2】
前記箱体には、前記電子回路部に必要な電力を供給する発電部が収容され、
前記発電部は、前記箱体内部の振動により発電する圧電素子を含む請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項3】
前記箱体には、前記電子回路部に必要な電力を供給する発電部が収容され、
前記発電部は、無線信号を受信し、磁界の変化により電力を生じるアンテナコイルを含む請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項4】
前記電子回路部には、前記タイヤ・ホイール組立体内部の温度を検出する温度センサが含まれる請求項1乃至3の何れか一項に記載のセンサモジュール。
【請求項5】
前記非金属無機質材料は、セラミック、ガラスセラミックの何れかである請求項1乃至4の何れか一項に記載のセンサモジュール。
【請求項6】
前記センサモジュールは、温度が、40度以上、湿度が、飽和状態、内圧が500kPa以上の環境下で利用される請求項1乃至5の何れか一項に記載のセンサモジュール。
【請求項7】
センサモジュールが内部に設置されたタイヤ・ホイール組立体であって、
前記センサモジュールは、
前記タイヤ・ホイール組立体の内部の内圧を検出する圧力センサと、
無線信号を受信する受信アンテナと、
前記無線信号を送信する送信アンテナと、
前記受信アンテナ、前記送信アンテナ、前記圧力センサと接続され、前記センサモジュールを構成する電子回路部を少なくとも収容する箱体を備え、
前記圧力センサは、抵抗体の電気抵抗の変化により前記箱体のひずみを測定するひずみゲージを含み、
前記ひずみゲージは、前記箱体の内壁に接着され、
前記箱体は、非金属の無機質材料である非金属無機質材料によって形成されるセンサモジュールを備えたタイヤ・ホイール組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−145277(P2010−145277A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323879(P2008−323879)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】