説明

センサー素子、センサー素子の製造方法、センサーデバイスおよび電子機器

【課題】簡単かつ確実に、優れた検出感度を発揮することができるセンサー素子、センサー素子の製造方法およびセンサーデバイスを提供すること、また、かかるセンサーデバイスを備える信頼性の高い電子機器を提供すること。
【解決手段】本発明のセンサー素子は、通電により駆動振動する駆動用振動腕221、222と、駆動用振動腕221、222の駆動振動に伴って振動する調整用振動腕241、242と、駆動用振動腕221、222に加えられた物理量に応じて電荷を出力する検出用電極と、調整用振動腕241、242に設けられ、検出用電極に電気的に接続され、調整用振動腕241、242の振動に伴って電荷を出力する第1電極と、調整用振動腕241、242に設けられ、1対の検出用電極に電気的に接続され、調整用振動腕241、242の振動に伴って、第1電極とは逆極性となる電荷を出力する1対の第2電極とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサー素子、センサー素子の製造方法、センサーデバイスおよび電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
センサー素子としては、例えば、車両における車体制御、カーナビゲーションシステムの自車位置検出、デジタルカメラやビデオカメラ等の振動制御補正(いわゆる手ぶれ補正)等に用いられ、角速度、加速度等の物理量を検出する角速度センサー(振動ジャイロセンサー)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、特許文献に記載の角速度センサーは、2つのアームと、この2つのアームの一端同士を接続する接続部とで構成された音叉を有する。また、特許文献1に記載の角速度センサーでは、音叉が非圧電体材料で構成されており、各アームには、1対の電極間に圧電薄膜が介挿されてなる駆動部および検出部がそれぞれ設けられている。
【0003】
このような特許文献1に記載の角速度センサーでは、駆動部の1対の電極間に電圧を印加することにより、アームを屈曲振動(駆動)させる。そして、その駆動状態で、アームがその延出方向に沿った軸線まわりの角速度を受けると、コリオリ力により、アームが前述した駆動方向と直交する方向に撓み、その撓み量に応じた電荷が検出部の1対の電極から検出される。その検出された電荷に基づいて、角速度を検出することができる。
【0004】
ところで、前述したような2つのアームを有する音叉は一般に基板をエッチング加工することにより形成される。その際、その基板のエッチング異方性や加工プロセスのばらつき等により、音叉の寸法を設計通りとすることが難しい。そのため、音叉が意図しない形状となり、アームが角速度を受けていない状態でも、アームが駆動方向と異なる方向にアームが撓んでしまう場合がある。このようなアームの撓みに伴う検出部の1対の電極から生じた電荷を検出してしまうと、検出感度の低下を招くこととなる。
【0005】
そこで、特許文献1に記載の角速度センサーでは、検出部の1対の電極のうちの一方の電極を部分的に除去することにより、アームが角速度を受けていない状態における検出部の1対の電極から出力される電荷量を調整している。
しかし、特許文献1に記載の角速度センサーでは、検出部の1対の電極から出力される電荷量の調整幅が小さく、その結果、所望の調整を行うことができない場合があるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−14887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、簡単かつ確実に、優れた検出感度を発揮することができるセンサー素子、センサー素子の製造方法およびセンサーデバイスを提供すること、また、かかるセンサーデバイスを備える信頼性の高い電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本発明のセンサー素子は、基部と、
前記基部から延出され、駆動振動する駆動用振動腕と、
前記基部から延出され、前記駆動用振動腕の駆動振動に伴って振動する振動腕と、
前記駆動用振動腕に加えられた物理量に応じて信号を出力する検出用電極を含む検出部と、
前記振動腕に設けられ、前記検出用電極に電気的に接続され、前記振動腕の振動に伴って電荷を発生する第1電極と、
前記振動腕に設けられ、前記検出用電極に電気的に接続され、前記振動腕の振動に伴って前記第1電極から発生する電荷とは逆極性の電荷を発生する第2電極とを有することを特徴とする。
このように構成されたセンサー素子によれば、検出用電極に発生する電荷量に、第1電極に発生する電荷と第2電極に発生する電荷との差分を加算した値をセンサー出力として出力することができる。
【0009】
そして、第1電極または第2電極の一部または全部を除去することにより、第1電極または第2電極に発生する電荷量を小さくし、センサー出力を調整することができる。具体的には、センサー素子に物理量が加えられていない状態でのセンサー出力が所望の基準値(例えばゼロ)となるように、センサー出力を調整(補正)することができる。
特に、第1電極および第2電極が互いに逆極性となる電荷を発生するので、センサー素子に物理量が加えられていない状態でのセンサー出力が所望の基準値に対して大きい場合であっても小さい場合であっても、第1電極および第2電極のうちのいずれかの電極を選択して一部または全部を除去することにより、センサー素子に物理量が加えられていない状態でのセンサー出力を所望の基準値に調整することができる。
【0010】
また、1対の第1電極および1対の第2電極がそれぞれ駆動用振動腕とは別体の振動腕に設けられているので、1対の第1電極および1対の第2電極を駆動用振動腕に設けた構成に比し、第1電極および第2電極の電極面積を大きくすることができる。そのため、センサー出力の調整幅を大きくすることができる。
さらに、1対の第1電極および1対の第2電極がともに1つの振動腕に設けられているので、1対の第1電極および1対の第2電極を別々の振動腕に設けた構成に比し、小型化を図ることができる。
【0011】
[適用例2]
本発明のセンサー素子では、前記第1電極からの電荷および前記第2電極からの電荷を加算したものは、前記駆動用振動腕に物理量が加わっていないときに前記検出用電極から発生する電荷と逆極性であることが好ましい。
これにより、センサー素子に物理量が加えられていない状態でのセンサー出力が所望の基準値(例えばゼロ)となるように、センサー出力を調整(補正)することができる。
【0012】
[適用例3]
本発明のセンサー素子では、前記振動腕は、第1面、該第1面と反対側の第2面、および前記第1面と前記第2面とを連結する1対の側面を有し、
前記第1電極は、前記振動腕の延在方向に沿って、前記第1面および前記第2面に設けられている第1主面電極と、一方の前記側面に設けられている第1側面電極と、を含み、
前記第2電極は、前記振動腕の延在方向に沿って、前記第1面および前記第2面に前記第1電極に並んで配置されている第2主面電極と、他方の前記側面に設けられている第2側面電極と、を含むことが好ましい。
これにより、センサー素子に物理量が加えられていない状態でのセンサー出力が所望の基準値(例えばゼロ)となるように、センサー出力を調整(補正)することができる。
【0013】
[適用例4]
本発明のセンサー素子では、前記振動腕の先端部には、質量調整部が設けられていることが好ましい。
これにより、振動腕の共振周波数を調整することができる。そのため、振動腕の共振周波数を駆動用振動腕の駆動振動の周波数に近づけ、駆動用振動腕の駆動振動に伴う振動腕の振動の振幅を大きくし、それに伴って、1対の第1電極間および1対の第2電極間の電位差を大きくすることができる。その結果、センサー出力の調整幅を大きくすることができる。
【0014】
[適用例5]
本発明のセンサー素子では、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方は、前記振動腕の延出方向に沿って設けられている共通部と、前記共通部から分岐している複数の分岐部とを備えることが好ましい。
これにより、第1電極または第2電極の複数の分岐部のうちの少なくとも1つの分岐部の途中、または、共通部の途中を切断することにより、1対の第1電極間または1対の第2電極間の電位差を小さくし、センサー出力を調整することができる。
特に、複数の分岐部が共通部から分岐しているので、任意の分岐部を切断しても、その他の分岐部を検出用電極に対して電気的に接続された状態を維持することができる。
【0015】
[適用例6]
本発明のセンサー素子では、前記複数の分岐部は、電極幅が前記共通部側よりも先端側の方が大きいことが好ましい。
これにより、調整前(共通部または分岐部の途中を切断する前)の第1電極および第2電極の電極面積をそれぞれ大きく確保し、共通部または分岐部の途中の切断によるセンサー出力の調整幅を大きくするとともに、分岐部の途中を比較的簡単に切断することができる。
【0016】
[適用例7]
本発明のセンサー素子では、前記分岐部は、前記共通部の前記延出方向に対して傾斜していることが好ましい。
これにより、分岐部の途中を簡単に切断することができる。
[適用例8]
本発明のセンサー素子では、前記振動腕は、前記延出方向に沿って設けられている溝部を有し、
前記分岐部の少なくとも一部は、前記溝部の壁面に設けられていることが好ましい。
これにより、振動腕が圧電体材料で構成されている場合、1対の第1電極間および1対の第2電極間の電位差を大きくすることができる。そのため、センサー出力の調整幅を大きくすることができる。
【0017】
[適用例9]
本発明のセンサー素子では、前記基部から延出され、前記駆動用振動腕に加えられた物理量に応じて振動する検出用振動腕を有し、
前記検出用電極は、前記検出用振動腕に設けられていることが好ましい。
これにより、検出用電極の電極面積を大きくすることができる。そのため、センサー素子の検出感度を向上させることができる。
【0018】
[適用例10]
本発明のセンサー素子の製造方法は、
前記センサー素子は、
基部と、
前記基部から延出され、駆動振動する駆動用振動腕と、
前記基部から延出され、前記駆動用振動腕の駆動振動に伴って振動する振動腕と、
前記駆動用振動腕に加えられた物理量に応じて信号を出力する検出用電極を含む検出部と、
前記振動腕に設けられ、前記検出用電極に電気的に接続され、前記振動腕の振動に伴って電荷を発生する第1電極と、
前記振動腕に設けられ、前記検出用電極に電気的に接続され、前記振動腕の振動に伴って前記第1電極から発生する電荷とは逆極性の電荷を発生する第2電極と、を備えており、
前記第1電極または前記第2電極の一部または全部を除去することにより、前記第1電極または前記第2電極に発生する電荷量を調整する電荷調整工程とを有することを特徴とする。
このようなセンサー素子の製造方法によれば、簡単かつ確実に、優れた検出感度を発揮することができるセンサー素子を得ることができる。
【0019】
[適用例11]
本発明のセンサー素子の製造方法では、前記電荷調整工程前に、前記駆動用振動腕を通電により振動させた状態で前記検出用電極に発生する電荷を測定する工程と、その測定結果に基づいて前記振動腕の共振周波数を調整する工程とを有することが好ましい。
これにより、簡単かつ確実に、優れた検出感度を発揮することができるセンサー素子を得ることができる。
【0020】
[適用例12]
本発明のセンサーデバイスでは、本発明のセンサー素子と、
前記センサー素子を駆動させる回路、および、前記検出部からの出力を検出する回路を有することが好ましい。
これにより、安価で、優れた検出感度を有するセンサーデバイスを提供することができる。
[適用例13]
本発明の電子機器は、本発明のセンサー素子を有することを特徴とする。
これにより、優れた信頼性を有する電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係るセンサーデバイス(電子デバイス)の概略構成を示す模式的断面図である。
【図2】図1に示すセンサーデバイスの平面図である。
【図3】図1に示すセンサーデバイスに備えられたセンサー素子を示す平面図である。
【図4】(a)は、図3に示すセンサー素子の駆動用振動腕を示す拡大平面図、(b)は、(a)に示す駆動用振動腕の断面図である。
【図5】(a)は、図3に示すセンサー素子の検出用振動腕を示す拡大平面図、(b)は、(a)に示す検出用振動腕の断面図である。
【図6】(a)は、図3に示すセンサー素子の調整用振動腕を示す拡大平面図、(b)は、(a)に示す調整用振動腕の断面図である。
【図7】図3に示すセンサー素子における検出用電極、第1の調整用電極および第2の調整用電極の接続状態を示す図である。
【図8】図3に示すセンサー素子の動作を説明するための図である。
【図9】(a)は、図5に示す検出用電極の漏れ出力を示す図、(b)は、図6および図7に示す調整用電極の出力を示す図である。
【図10】図3に示すセンサー素子の特性調整方法の一例を示すフローチャートである。
【図11】図3に示すセンサー素子の特徴調整方法の一例を説明するための図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係るセンサー素子の調整用振動腕を示す拡大平面図である。
【図13】図12に示すセンサー素子の特徴調整方法の一例を説明するための図である。
【図14】本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
【図15】本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
【図16】本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明のセンサー素子、センサー素子の特性調整方法、センサーデバイスおよび電子機器を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るセンサーデバイス(電子デバイス)の概略構成を示す模式的断面図、図2は、図1に示すセンサーデバイスの平面図、図3は、図1に示すセンサーデバイスに備えられたセンサー素子を示す平面図、図4(a)は、図3に示すセンサー素子の駆動用振動腕を示す拡大平面図、図4(b)は、(a)に示す駆動用振動腕の断面図、図5(a)は、図3に示すセンサー素子の検出用振動腕を示す拡大平面図、図5(b)は、図5(a)に示す検出用振動腕の断面図、図6(a)は、図3に示すセンサー素子の調整用振動腕を示す拡大平面図、図6(b)は、図6(a)に示す調整用振動腕の断面図、図7は、図3に示すセンサー素子における検出用電極、第1の調整用電極および第2の調整用電極の接続状態を示す図、図8は、図3に示すセンサー素子の動作を説明するための図、図9(a)は、図5に示す検出用電極の漏れ出力を示す図、図9(b)は、図6および図7に示す調整用電極の出力を示す図である。
なお、以下では、説明の便宜上、図1〜7において、互いに直交する3つの軸として、x軸、y軸およびz軸を図示しており、x軸に平行な方向を「x軸方向」、y軸に平行な方向を「y軸方向」、z軸に平行な方向を「z軸方向」という。また、+z軸側を「上」、−z軸側を「下」ともいう。
【0023】
(センサーデバイス)
図1および図2に示すセンサーデバイス1は、物理量として角速度を検出するジャイロセンサーである。
このようなセンサーデバイス1は、例えば、撮像機器の手ぶれ補正や、GPS(Global Positioning System)衛星信号を用いた移動体ナビケーションシステムにおける車両などの姿勢検出、姿勢制御等に用いることができる。
このセンサーデバイス1は、図1および図2に示すように、センサー素子2と、ICチップ3と、センサー素子2およびICチップ3を収納するパッケージ4とを有する。
以下、センサーデバイス1を構成する各部を順次説明する。
【0024】
[センサー素子2]
センサー素子2は、1つの軸まわりの角速度を検出するジャイロセンサー素子である。
このセンサー素子2は、図3に示すように、基部21と、1対の駆動用振動腕221、222と、1対の検出用振動腕231、232と、1対の調整用振動腕(振動腕)241、242と、支持部25と、4つの連結部261、262、263、264と、駆動用電極群51、52と、検出用電極群53、54と、調整用電極群55、56とを有している。
【0025】
本実施形態では、基部21、1対の駆動用振動腕221、222、1対の検出用振動腕231、232、1対の調整用振動腕241、242、支持部25および4つの連結部261、262、263、264は、圧電体材料で一体的に形成されている。このような圧電体材料としては、特に限定されないが、水晶を用いるのが好ましい。これにより、センサー素子1の特性を優れたものとすることができる。
【0026】
水晶は、互いに直交するX軸(電気軸)、Y軸(機械軸)およびZ軸(光学軸)を有する。基部21、1対の駆動用振動腕221、222、1対の検出用振動腕231、232、1対の調整用振動腕241、242、支持部25および4つの連結部261、262、263、264は、例えば、Z軸が厚さ方向に存在するとともにX軸およびY軸に平行な板面を有する水晶で構成された基板をエッチング加工することにより形成することができる。かかる基板の厚さは、センサー素子2の発振周波数(共振周波数)、外形サイズ、加工性等に応じて適宜設定される。なお、以下では、基部21、1対の駆動用振動腕221、222、1対の検出用振動腕231、232、1対の調整用振動腕241、242、支持部25および4つの連結部261、262、263、264が水晶で一体的に構成されている場合を例に説明する。
【0027】
基部21は、4つの連結部261、262、263、264を介して支持部25に支持されている。4つの連結部261、262、263、264は、それぞれ、長尺形状をなし、一端が基部21に連結され、他端が支持部25に連結されている。
駆動用振動腕221、222は、それぞれ、基部21からy軸方向(+y方向)に延出している。また、駆動用振動腕221、222は、それぞれ、水晶のY軸に沿って延在している。さらに、駆動用振動腕221、222の横断面は、それぞれ、x軸に平行な1対の辺とz軸に平行な1対の辺とで構成された矩形をなしている。
【0028】
そして、駆動用振動腕221には、駆動用電極群51が設けられ、同様に、駆動用振動腕222には、駆動用電極群52が設けられている。
以下、駆動用電極群51について代表的に説明する。なお、駆動用電極群52については、駆動用電極群51と同様であるため、その説明を省略する。
駆動用電極群51は、図4(a)、(b)に示すように、駆動用振動腕221の上面に設けられた駆動用電極511と、駆動用振動腕221の下面に設けられた駆動用電極512と、駆動用振動腕221の一方(図4中の左側)の側面に設けられた駆動用電極513と、駆動用振動腕221の他方(図4中の右側)の側面に設けられた駆動用電極514とで構成されている。
【0029】
駆動用電極511および駆動用電極512は、互いに同電位となるように、図示しない配線を介して互いに電気的に接続されている。また、駆動用電極513および駆動用電極514は、互いに同電位となるように、図示しない配線を介して互いに電気的に接続されている。このような駆動用電極511、512は、図示しない配線を介して、図3に示す支持部25に設けられた端子57aに電気的に接続されている。また、駆動用電極513、514は、図示しない配線を介して、図3に示す支持部25に設けられた端子57bに電気的に接続されている。
【0030】
検出用振動腕231、232は、それぞれ、基部21からy軸方向(−y方向)に延出している。また、検出用振動腕231、232は、それぞれ、水晶のY軸に沿って延在している。さらに、検出用振動腕231、232の横断面は、それぞれ、x軸に平行な1対の辺とz軸に平行な1対の辺とで構成された矩形をなしている。
このような検出用振動腕231、232は、それぞれ、駆動用振動腕221、222に加えられた物理量に応じて振動するものである。
【0031】
そして、検出用振動腕231には、検出用電極群53が設けられ、同様に、検出用振動腕232には、検出用電極群54が設けられている。このように駆動用振動腕221、222とは別体として設けられた検出用振動腕231、232に検出用電極群53、54を設けることにより、検出用電極群53、54の検出用電極の電極面積(電極として機能する部分の面積)を大きくすることができる。そのため、センサー素子1の検出感度を向上させることができる。
【0032】
以下、検出用電極群53について代表的に説明する。なお、検出用電極群54については、検出用電極群53と同様であるため、その説明を省略する。
検出用電極群53は、図5(a)、(b)に示すように、検出用振動腕231の上面に設けられた検出用電極531、532と、検出用振動腕231の下面に設けられた検出用電極533、534とで構成されている。ここで、検出用電極531、533は、それぞれ、検出用振動腕231の幅方向での一方側(図5中の左側)に設けられ、また、検出用電極532、534は、それぞれ、検出用振動腕231の幅方向での他方側(図5中の右側)に設けられている。
【0033】
検出用電極531および検出用電極534は、互いに同電位となるように、図示しない配線を介して互いに電気的に接続されている。また、検出用電極532および検出用電極533は、互いに同電位となるように、図示しない配線を介して互いに電気的に接続されている。このような検出用電極531、534は、図示しない配線を介して、図3に示す支持部25に設けられた端子57cに電気的に接続されている。また、検出用電極532、533は、図示しない配線を介して、図3に示す支持部25に設けられた端子57eに電気的に接続されている。なお、検出用電極群54は、図示しない配線を介して、図3に示す支持部25に設けられた端子57d、57fに電気的に接続されている。
調整用振動腕241、242は、それぞれ、基部21からy軸方向(+y方向)に延出している。
【0034】
本実施形態では、基部21のx軸方向での両端部には、x軸方向に沿って1対の腕部211、212が延出しており、調整用振動腕241は、一方の腕部211の先端部から延出し、調整用振動腕242は、他方の腕部212の先端部から延出している。これにより、調整用振動腕241、242を駆動用振動腕221、222の駆動振動に伴って効率的に振動させることができる。
【0035】
また、調整用振動腕241、242は、それぞれ、水晶のY軸に沿って延在している。さらに、調整用振動腕241、242の横断面は、それぞれ、x軸に平行な1対の辺とz軸に平行な1対の辺とで構成された矩形をなしている。すなわち、調整用振動腕241、241は、それぞれ、第1面(上面)、該第1面と反対側の第2面(下面)、および前記第1面と前記第2面とを連結する1対の側面を有する。
【0036】
このような調整用振動腕241、242は、前述した駆動用振動腕221、222に対して平行となるように設けられている。すなわち、駆動用振動腕221、22および調整用振動腕241、242は、互いに平行な方向に延在している。これにより、駆動用振動腕221、22および調整用振動腕241、242等を水晶で構成した場合、駆動用振動腕221、22および調整用振動腕241、242をそれぞれ水晶のY軸に沿って延在するように構成し、駆動用振動腕221、222を効率的に振動させるとともに、簡単な構成で調整用電極群55、56の1対の調整用電極間に電位差を生じさせることができる。
【0037】
また、調整用振動腕241の先端部には、基端部よりも幅広に形成された質量部2411(錘部)が設けられている(図6(a)参照)。同様に、調整用振動腕242の先端部には、基端部よりも幅広に形成された質量部(錘部)が設けられている。これにより、調整用振動腕241、242の先端部の質量を大きくし、調整用振動腕241、242の固有振動数(共振周波数)を小さくしたり、調整用振動腕241、242の長さを抑えたりすることができる。
【0038】
また、調整用振動腕241の先端部(質量部2411)には、必要に応じて一部または全部が除去され得る質量調整用膜2412(質量調整部)が設けられている(図6(a)参照)。同様に、調整用振動腕242の先端部(質量部)には、必要に応じて一部または全部が除去され得る質量調整用膜(質量調整部)が設けられている。
これにより、調整用振動腕241、242の共振周波数をそれぞれ調整することができる。そのため、調整用振動腕241、242の共振周波数をそれぞれ駆動用振動腕221、222の駆動振動の周波数に近づけ、駆動用振動腕221、222の駆動振動に伴う調整用振動腕241、242の振動の振幅を大きくし、それに伴って、調整用電極群55、56の1対の調整用電極間の電位差を大きくすることができる。その結果、後述するセンサー出力の調整幅を大きくすることができる。
【0039】
このような質量調整用膜2412の構成材料としては、特に限定されないが、調整用振動腕241の質量の調整幅を大きくできるという観点から、調整用振動腕241の構成材料よりも比重の大きいものを用いるが好ましく、また、調整用電極群55等と一括して形成して製造プロセスを簡単化できるという観点から、調整用電極群55等と同様の構成材料(金属材料)を用いるのが好ましい。
そして、調整用振動腕241には、調整用電極群55が設けられ、同様に、調整用振動腕242には、調整用電極群56が設けられている。
【0040】
以下、調整用電極群55について代表的に説明する。なお、調整用電極群56については、調整用電極群55と同様であるため、その説明を省略する。
調整用電極群55は、図6(a)、(b)に示すように、第1の調整用電極(第1電極)である調整用電極551、552、553と、第2の調整用電極(第2電極)である調整用電極554、555、556とで構成されている。
【0041】
具体的に説明すると、調整用振動腕241の上面の幅方向での一方側(図6中の左側)には、調整用電極(第1主面電極)551が設けられ、調整用振動腕241の上面の幅方向での他方側(図6中の右側)には、調整用電極(第2主面電極)554が設けられている。
本実施形態では、調整用電極551、554は、それぞれ、調整用振動腕241の延出方向に沿って延在するとともに、互いに平行となるように設けられている。これにより、後述するセンサー出力の調整において、センサー素子1に物理量が加えられていない状態でのセンサー出力が所望の基準値に対して大きい場合および小さい場合のいずれの場合に対しても、センサー出力の調整幅を大きくすることができる。
【0042】
また、調整用振動腕241の下面の幅方向での一方側(図6中の左側)には、調整用電極(第1主面電極)552が設けられ、調整用振動腕241の下面の幅方向での他方側(図6中の右側)には、調整用電極(第2主面電極)555が設けられている。
本実施形態では、調整用電極552、555は、それぞれ、調整用振動腕241の延出方向に沿って延在し、互いに平行となるように設けられている。
【0043】
また、調整用電極552は、平面視したときに、調整用電極551と重なるように形成されている。すなわち、調整用電極551および調整用電極552は、平面視したときに、互いの外形が一致するように形成されている。このように形成された調整用電極551および調整用電極552によれば、後述するように調整用電極551の一部を除去する際、その除去される部分に対応する調整用電極552の部分も同時に除去することができる。なお、同様に、調整用電極554および調整用電極555は、平面視したときに、互いの外形が一致するように形成されている。
【0044】
また、調整用振動腕241の一方(図6中の左側)の側面には、調整用電極(第1側面電極)553が設けられ、調整用振動腕241の他方の(図6中の右側)の側面には、調整用電極(第2側面電極)556が設けられている。
ここで、調整用電極553(第1の調整用電極)は、調整用電極551(第1の調整用電極)と対をなすとともに、調整用電極552(第1の調整用電極)と対をなす共通電極として機能するものである。同様に、調整用電極556(第2の調整用電極)は、調整用電極554(第2の調整用電極)と対をなすとともに、調整用電極555(第2の調整用電極)と対をなす共通電極として機能するものである。
【0045】
なお、調整用電極553は、調整用振動腕241の上面側と下面側とで分割され、調整用電極551、552に対して別々に対をなす2つの電極で構成されていてもよい。同様に、調整用電極556は、調整用振動腕241の上面側と下面側とで分割され、調整用電極554、555に対して別々に対をなす2つの電極で構成されていてもよい。
調整用電極551および調整用電極552は、互いに同電位となるように、図示しない配線を介して互いに電気的に接続されている。また、調整用電極554および調整用電極555は、互いに同電位となるように電気的に接続されている。そして、調整用電極551、552、556は、図示しない配線を介して、前述した検出用電極531、534とともに、図3に示す支持部25に設けられた端子57cに電気的に接続されている。また、調整用電極553、554、555は、図示しない配線を介して、前述した検出用電極532、533とともに、図3に示す支持部25に設けられた端子57eに電気的に接続されている。なお、調整用電極群56は、図示しない配線を介して、検出用電極群54とともに、図3に示す支持部25に設けられた端子57d、57fに電気的に接続されている。
【0046】
このように、調整用電極551〜553および調整用電極554〜556が互いに逆極性となるように検出用電極531〜534に電気的に接続されている。
このような調整用電極551〜556を有するセンサー素子1では、図7に示すように、検出用電極531、534に発生する電荷に、調整用電極551、552と調整用電極556に発生する電荷を加算した値をセンサー出力として端子57cから出力し、検出用電極532、533に発生する電荷に、調整用電極553と調整用電極554、555に発生する電荷を加算した値をセンサー出力(以下、単に「センサー出力」ともいう)として端子57eから出力することができる。
【0047】
調整用電極551、552と調整用電極556は逆極性で接続されており、互いに発生した電荷を打ち消すようになっている。また、調整用電極553と調整用電極554、555は逆極性で接続されており、互いに発生した電荷を打ち消すようになっている。
そして、調整用電極551、552の一部または全部を除去することにより、調整用電極551、552と調整用電極553に発生する電荷量を小さくすることができる。これにより、調整用電極551、552と調整用電極553に発生する電荷量と、調整用電極556と調整用電極554、555に発生する電荷量の間に差異が生じる。その差分の電荷量が、センサー出力を調整する信号(調整信号)となる。なお、ここで出力される調整信号の極性は、調整用電極556と調整用電極554、555のものとなる。
【0048】
また、調整用電極554、555の一部または全部を除去することにより、調整用電極554、555と調整用電極556に発生する電荷量を小さくすることができる。これにより、調整用電極554、554と調整用電極556に発生する電荷量と、調整用電極551、552と調整用電極553に発生する電荷量の間に差異が生じる。その差分の電荷量が、センサー出力を調整する信号(調整信号)となる。なお、ここで出力される調整信号の極性は、調整用電極551、552と調整用電極553のものとなる。
【0049】
具体的には、例えば、センサー素子1に物理量が加えられていない状態でのセンサー出力(以下、「ゼロ点出力」ともいう)がゼロとなるように、センサー出力を調整(補正)することができる。
特に、調整用電極551〜553および調整用電極554〜556が互いに逆極性となるように検出用電極531〜534に電気的に接続されているので、センサー素子2に物理量が加えられていない状態でのセンサー出力が所望の基準値に対して大きい場合であっても小さい場合であっても、調整用電極551、552および調整用電極554、555のうちのいずれかの調整用電極を選択して一部または全部を除去することにより、センサー素子2に物理量が加えられていない状態でのセンサー出力を所望の基準値に調整することができる。
【0050】
このように構成されたセンサー素子2では、端子57aと端子57bとの間に駆動信号が印加されることにより、図8に示すように、駆動用振動腕221と駆動用振動腕222とが互いに接近・離間するように屈曲振動(駆動振動)する。すなわち、駆動用振動腕221が図8に示す矢印A1の方向に屈曲するとともに駆動用振動腕222が図8に示す矢印A2の方向に屈曲する状態と、駆動用振動腕221が図8に示す矢印B1の方向に屈曲するとともに駆動用振動腕222が図8に示す矢印B2の方向に屈曲する状態とを交互に繰り返す。
【0051】
このように駆動用振動腕221、222を駆動振動させた状態で、センサー素子2にy軸まわりの角速度ωが加わると、駆動用振動腕221、222は、コリオリ力により、z軸方向に互いに反対側に屈曲振動する。これに伴い、検出用振動腕231、232は、z軸方向に互いに反対側に屈曲振動(検出振動)する。すなわち、検出用振動腕231が図8に示す矢印C1の方向に屈曲するとともに検出用振動腕232が図8に示す矢印C2の方向に屈曲する状態と、検出用振動腕231が図8に示す矢印D1の方向に屈曲するとともに検出用振動腕232が図8に示す矢印D2の方向に屈曲する状態とを交互に繰り返す。
【0052】
このような検出用振動腕231、232の検出振動により検出用電極群53、54に生じた電荷を検出することにより、センサー素子2に加わった角速度ωを求めることができる。
このとき、調整用振動腕241、242も駆動用振動腕221、222の駆動振動に伴って互いに接近・離間する方向に屈曲振動する。
【0053】
かかるセンサー素子1では、例えば製造時のバラツキにより駆動用振動腕221、222の横断面形状が設計通りとならない場合、センサー素子1に物理量を加えずに駆動用振動腕221、224を通電により振動させた状態において、図9(a)に示すように、検出用電極531、534および検出用電極532、533に漏れ出力Sとなる電荷が生じる。
【0054】
また、センサー素子1では、センサー素子1に物理量が加えられているか否かにかかわらず駆動用振動腕221、224の駆動振動に伴って、図9(b)に示すように、調整用電極551、552と調整用電極553に調整用出力T1となる電荷が生じ、調整用電極554、555と調整用電極556に調整用出力T2となる電荷が生じる。
調整用出力T1および調整用出力T2は互いに逆極性(逆相)である。また、調整用出力T1と調整用出力T2との合計T1+T2が漏れ出力Sを相殺することにより、センサー素子1のゼロ点出力をゼロとすることができる。
【0055】
そこで、調整用出力T1と調整用出力T2との合計T1+T2が漏れ出力Sを相殺するように、調整用電極551、552または調整用電極554、555の一部または全部を除去することにより、センサー出力を調整する。
すなわち、センサー素子1の製造方法は、調整用電極551、552または調整用電極554、555の一部または全部を除去することにより、調整用電極551、552または調整用電極554、555に発生する電荷量を調整する電荷調整工程とを有する。
【0056】
ここで、電荷調整工程(センサー素子1の特性調整方法)について具体例を挙げて説明する。なお、以下では、検出用振動腕231および調整用振動腕241、243に関する特性調整について代表的に説明するが、検出用振動腕232および調整用振動腕242、244に関する特性調整についても同様である。
図10は、図3に示すセンサー素子の特性調整方法の一例を示すフローチャート、図11は、図3に示すセンサー素子の特徴調整方法の一例を説明するための図である。
【0057】
センサー素子1の特性調整方法は、前述したセンサー素子1を用意し、センサー素子1の調整用電極551、552または調整用電極554、555の一部または全部を除去することにより、センサー素子1の特性を調整する。
前述したように漏れ出力Sが図9(a)に示すように生じるとともに調整用出力T1、T2が図9(b)に示すように生じる場合、調整用電極551、552および調整用電極554、555のうち、調整用電極551、552を選択して一部を除去することにより、センサー素子1の特性を調整する。
【0058】
なお、漏れ出力Sが図9(a)に示すものとは逆極性(逆相)となる場合には、調整用電極554、555を選択して一部を除去することにより、センサー素子1の特性を調整すればよい。また、一部を除去する調整用電極として、調整用電極551、552を選択するか、または調整用電極554、555を選択するかは、後述するステップS1の測定結果に基づいて判断すればよい。
【0059】
以下、前述したように漏れ出力Sが図9(a)に示すように生じるとともに調整用出力T1、T2が図9(b)に示すように生じる場合を代表して具体的に説明する。
かかる場合、具体的には、調整用電極551の一部または全部を除去することにより、センサー素子1の特性を調整する。なお、調整用電極552についても調整用電極551と同様に一部が除去されるが、以下では、調整用電極551について代表的に説明する。
【0060】
かかる特性調整に際しては、駆動用振動腕221、222を通電により振動させた状態で、端子57cに発生する電荷量を測定し、その測定結果に基づいて前記切断を行う。
より具体的に説明すると、図10に示すように、まず、漏れ出力(ゼロ点出力)を測定する(ステップS1)。
そして、その測定結果に基づき、粗調整が必要か否かを判断する(ステップS2)。具体的には、ゼロ点出力が第1の設定値(例えば100pA程度)以上である場合には、粗調整が必要である判断し、ゼロ点出力が第1の設定値未満である場合には、粗調整が必要でないと判断する。
【0061】
粗調整が必要であると判断した場合、粗調整を行う(ステップS3)。具体的には、例えば、図11(a)に示すように、調整用電極551の基端側の所定の位置および面積の部分を除去する。
ここで、除去される調整用電極551の位置および面積ごとに、その除去による調整用出力Tの減少量を実験や計算等により予め求めておくことにより、ステップS1で測定したゼロ点出力に基づいて、調整用電極551の除去する位置および面積を適切に決定することができる。
【0062】
また、調整用電極551の除去は、特に限定されないが、例えば、レーザーを用いて行うことができる。
また、粗調整が必要であると判断した場合、必要に応じて、質量調整用膜2412の一部または全部を除去することにより、調整用振動腕241の共振周波数を調整する。すなわち、必要に応じて、電荷調整工程前に、駆動用振動腕221、222を通電により振動させた状態で検出用電極531〜534に発生する電荷を測定する工程と、その測定結果に基づいて調整用振動腕241、242の共振周波数を調整する工程とを有する。これにより、センサー出力の調整幅を大きくすることができる。なお、図11(a)には、質量調整用膜2412の一部を除去することにより形成された質量調整用膜2412Aが図示されている。
【0063】
質量調整用膜2412の一部または全部の除去は、特に限定されないが、例えば、レーザーを用いて行うことができる。
かかる粗調整の後、再度、ステップS1に戻り、漏れ出力(ゼロ点出力)を測定する。そして、ゼロ点出力が第1の設定値未満となるまで、ゼロ点出力の測定と粗調整とが交互に繰り返されることとなる。
【0064】
一方、粗調整が必要でないと判断した場合、ステップS1での測定結果に基づき、微調整が必要か否かを判断する(ステップS4)。具体的には、ゼロ点出力が第1の設定値よりも小さい第2の設定値(例えば10pA程度)以上である場合には、微調整が必要である判断し、ゼロ点出力が第2の設定値未満である場合には、微調整が必要でないと判断する。
【0065】
微調整が必要であると判断した場合、微調整を行う(ステップS5)。具体的には、例えば、図11(b)または図11(c)に示すように、調整用電極551の先端側の所定の位置および面積の部分を除去する。なお、図11(b)は、粗調整を行わずに微調整を行った場合を図示しており、図11(c)は、粗調整を行った後に微調整を行った場合を図示している。また、図11(b)、(c)では、調整用電極551の幅方向での一部を残すように調整用電極551の一部を除去する場合を図示しているが、必要に応じて、調整用電極551の幅方向での全域に亘って除去、すなわち、調整用電極551の延在方向での途中を切断してもよい。これにより、一回の切断により調整用電極551の切断箇所よりも先端側の部分の電極としての機能を失わせることができる。
【0066】
ここで、粗調整と同様、除去される調整用電極551の位置および面積ごとに、その除去による調整用出力Tの減少量を実験や計算等により予め求めておくことにより、ステップS1で測定したゼロ点出力に基づいて、調整用電極551の除去する位置および面積を適切に決定することができる。
かかる微調整の後、再度、ステップS1に戻り、漏れ出力(ゼロ点出力)を測定する。そして、ゼロ点出力が第2の設定値未満となるまで、ゼロ点出力の測定と微調整とが交互に繰り返されることとなる。
【0067】
一方、微調整が必要でないと判断した場合、センサー素子1の特性調整を終了する。
以上説明したようなセンサー素子1の特性調整方法によれば、前述したような粗調整および微調整を必要に応じて任意に選択して行うことができるので、簡単かつ確実に、優れた検出感度を発揮することができる。
【0068】
[ICチップ3]
図1および図2に示すICチップ3は、前述したセンサー素子2を駆動する機能と、センサー素子2からの出力(センサー出力)を検出する機能とを有する電子部品である。
このようなICチップ3は、図示しないが、センサー素子2を駆動する駆動回路と、センサー素子2からの出力を検出する検出回路とを備える。
また、ICチップ3には、複数の接続端子31が設けられている。
【0069】
(パッケージ4)
図1および図2に示すように、パッケージ4は、上方に開放する凹部を有するベース部材41(ベース)と、このベース部材41の凹部を覆うように設けられた蓋部材42(リッド)とを備える。これにより、ベース部材41と蓋部材42との間には、センサー素子2およびICチップ3が収納される内部空間が形成されている。
【0070】
ベース部材41は、平板状の板体411(板部)と、板体411の上面の外周部に接合された枠体412(枠部)とで構成されている。
このようなベース部材41は、例えば、酸化アルニウム質焼結体、水晶、ガラス等で構成されている。
図1に示すように、ベース部材41の上面(蓋部材42に覆われる側の面)には、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂等を含んで構成された接着剤のような接合部材81により、前述したセンサー素子2の支持部25が接合されている。これにより、センサー素子2がベース部材41に対して支持・固定されている。
【0071】
また、ベース部材41の上面には、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂等を含んで構成された接着剤のような接合部材82により、前述したICチップ3が接合されている。これにより、ICチップ3がベース部材41に対して支持・固定されている。
さらに、図1および図2に示すように、ベース部材41の上面には、複数の内部端子71および複数の内部端子72が設けられている。
【0072】
複数の内部端子71には、例えばボンディングワイヤーで構成された配線を介して、前述したセンサー素子2の端子57a〜57fが電気的に接続されている。
この複数の内部端子71は、図示しない配線を介して、複数の内部端子72に電気的に接続されている。
また、複数の内部端子72には、例えばボンディングワイヤーで構成された配線を介して、前述したICチップ3の複数の接続端子31が電気的に接続されている。
【0073】
一方、図1に示すように、ベース部材41の下面(パッケージ4の底面)には、センサーデバイス1が組み込まれる機器(外部機器)に実装される際に用いられる複数の外部端子73が設けられている。
この複数の外部端子73は、図示しない内部配線を介して、前述した内部端子72に電気的に接続されている。これにより、ICチップ3と複数の外部端子73とが電気的に接続されている。
【0074】
このような各内部端子71、72および各外部端子73は、それぞれ、例えば、タングステン(W)等のメタライズ層にニッケル(Ni)、金(Au)等の被膜をメッキ等により積層した金属被膜からなる。
このようなベース部材41には、蓋部材42が気密的に接合されている。これにより、パッケージ4内が気密封止されている。
【0075】
この蓋部材42は、例えば、ベース部材41と同材料、または、コバール、42アロイ、ステンレス鋼等の金属で構成されている。
ベース部材41と蓋部材42との接合方法としては、特に限定されず、例えば、ろう材、硬化性樹脂等で構成された接着剤による接合方法、シーム溶接、レーザー溶接等の溶接方法等を用いることができる。
【0076】
かかる接合は、減圧下または不活性ガス雰囲気下で行うことにより、パッケージ4内を減圧状態または不活性ガス封入状態に保持することができる。
以上説明したような第1実施形態に係るセンサーデバイス1に備えられたセンサー素子2によれば、簡単かつ確実に、優れた検出感度を発揮することができる。
また、前述したようなセンサー素子1を備えるセンサーデバイス1によれば、安価で、優れた検出感度を有する。
【0077】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図12は、本発明の第2実施形態に係るセンサー素子の調整用振動腕を示す拡大平面図、図13は、図12に示すセンサー素子の特徴調整方法の一例を説明するための図である。
【0078】
本実施形態に係るセンサー素子は、調整用振動腕の先端部の幅広部および質量調整用膜を省略するとともに、調整用振動腕の横断面形状、第1の調整用電極および第2の調整用電極の形状が異なる以外は、前述した第1実施形態に係るセンサー素子と同様である。
なお、以下の説明では、第2実施形態のセンサー素子に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図12および図13において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
【0079】
本実施形態のセンサー素子は、図12に示す調整用振動腕241Aを有する。なお、かかるセンサー素子は、図示しないが、前述した第1実施形態と同様、基部、1対の駆動用振動腕および1対の検出用振動腕を有し、また、かかる基部からは、調整用振動腕241Aと対をなす調整用振動腕も延出している。
調整用振動腕241Aの横断面は、H字状をなす。このような調整用振動腕241Aの上面の幅方向での中央部には、y軸方向に沿って形成された溝部2413が形成され、同様に、調整用振動腕241Aの下面の幅方向での中央部には、y軸方向に沿って形成された溝部2414が形成されている。
【0080】
溝部2413、2414の横断面は、それぞれ、矩形をなし、調整用振動腕241Aの側面に平行な壁面を有する。
このような調整用振動腕241Aには、調整用電極群55Aが設けられている。
この調整用電極群55Aは、調整用振動腕241Aの上面に設けられた調整用電極551A、554Aと、調整用振動腕241Aの下面に設けられた調整用電極552A、555Aと、調整用振動腕241Aの一方(図12中の左側)の側面に設けられた調整用電極553と、調整用振動腕241Aの他方(図12中の右側)の側面に設けられた調整用電極554とで構成されている。
【0081】
ここで、調整用電極551Aは、調整用振動腕241Aの上面の一方側(図12中の左側)に設けられ、調整用電極554Aは、調整用振動腕241Aの上面の他方側(図12中の右側)に設けられている。また、調整用電極552Aは、調整用振動腕241Aの下面の一方側(図12中の左側)に設けられ、調整用電極555Aは、調整用振動腕241Aの下面の他方側(図12中の右側)に設けられている。
【0082】
そして、調整用電極551A、552Aおよび調整用電極554A、555Aは、平面視したときに、調整用振動腕241Aの中心軸(中心を通り、かつ、y軸方向に延びる線分)に対して対称となるように形成されている。
なお、調整用電極552A、555Aは、図示しないが、平面視したときに、調整用電極551A、554Aと一致する形状をなしていてもよいし、調整用電極551A、554Aと異なる形状をなしていてもよい。
【0083】
以下、調整用電極551Aについて詳述する。なお、調整用電極552A、554A、555Aは、調整用電極551Aと同様であるため、その説明を省略する。
調整用電極551Aは、図12(a)に示すように、共通部60と、複数の分岐部61とを備える。
共通部60は、図示しない検出用電極に電気的に接続されている。
【0084】
また、複数の分岐部61は、共通部60から分岐するとともに調整用振動腕241の延出方向に沿って並んで設けられている。
このような調整用電極551Aは、複数の分岐部61のうちの少なくとも1つの分岐部61の途中、または、共通部60の途中を切断することにより、調整用電極551Aと調整用電極553との間の電位差を少なくし、センサー出力を調整することができる。
【0085】
特に、複数の分岐部61が共通部60から分岐しているので、任意の分岐部61を切断しても、その他の分岐部61を共通部60に対して電気的に接続した状態を維持することができる。すなわち、複数の分岐部61のうちの任意の分岐部61の分だけ調整用電極551Aの電極面積を小さくすることができる。
しかも、複数の分岐部61が調整用振動腕241Aの延出方向に沿って並んで設けられているので、切断される分岐部61の位置および数に応じて、センサー出力を簡単かつ高精度に調整することができる。
【0086】
本実施形態では、共通部60は、調整用振動腕241Aの延出方向に沿って延在し、複数の分岐部61は、共通部60の長手方向での互いに異なる複数の部位から分岐している。これにより、調整用電極551Aの構成を簡単化することができる。
本実施形態では、共通部60は、図12(a)に示すように、平面視したとき(z軸方向からみたとき)、調整用振動腕241Aの幅方向での中央部、すなわち溝部2413の底面に設けられている。また、共通部60は、幅狭に形成されている。これにより、共通部60の途中を比較的簡単に切断することができる。
【0087】
また、各分岐部61は、共通部60側に幅狭に形成された幅狭部62と、共通部60とは反対側に幅広に形成された幅広部63とを有する。このように各分岐部61が幅広部63を有することにより、調整前(共通部60または分岐部61の途中を切断する前)の調整用電極551の電極面積を大きく確保し、共通部60または分岐部61の途中の切断によるセンサー出力の調整幅を大きくすることができる。また、各分岐部61が幅狭部62を有することにより、分岐部61の途中を比較的簡単に切断することができる。
【0088】
また、複数の幅狭部62は、互いに平行となるように設けられている。
また、複数の分岐部61は、互いに等しい寸法となるように形成されている。また、複数の分岐部61は、調整用振動腕241の延出方向、すなわちy軸方向に等ピッチで並んで設けられている。
また、各幅狭部62は、調整用振動腕241Aの溝部2413の底面に設けられている。これにより、各幅狭部62をレーザーで容易に切断することができる。
【0089】
特に、各幅狭部62は、調整用振動腕241Aの延出方向に対して傾斜する方向に延在している。これにより、レーザーで幅狭部62を切断する際に、レーザーをx軸方向およびy軸方向のいずれの方向に走査しても、幅狭部62を切断することができる。そのため、分岐部61の途中を簡単に切断することができる。
特に、各分岐部61の一部は、溝部2413の壁面(調整用振動腕241Aの側面に平行な壁面)に設けられている。これにより、調整用電極551A、および調整用電極553から出力される電荷を大きくすることができる。そのため、センサー出力の調整幅を大きくすることができる。
【0090】
以下、図13に基づいて、調整用電極551Aの一部または全部を除去することにより、センサー素子の特性を調整する場合を代表的に説明する。
まず、漏れ出力(ゼロ点出力)を測定する。
そして、その測定結果に基づき、粗調整が必要か否かを判断する。
粗調整が必要であると判断した場合、例えば、図13(a)に示すように、調整用電極551Aの複数の分岐部61のうち、調整用振動腕241Aの基端側に位置する分岐部61を必要数切断する。
【0091】
ここで、各分岐部61ごとに、切断による調整用出力Tの減少量を実験や計算等により予め求めておくことにより、測定したゼロ点出力に基づいて、切断する分岐部61の数や位置を適切に選択することができる。
また、分岐部61の切断は、特に限定されないが、例えば、レーザーを用いて行うことができる。
【0092】
かかる粗調整の後、再度、漏れ出力(ゼロ点出力)を測定する。そして、ゼロ点出力が第1の設定値未満となるまで、ゼロ点出力の測定と粗調整とが交互に繰り返されることとなる。
一方、粗調整が必要でないと判断した場合、測定したゼロ点出力に基づき、微調整が必要か否かを判断する。
【0093】
微調整が必要であると判断した場合、例えば、図13(b)または図13(c)に示すように、調整用電極551Aの複数の分岐部61のうち、調整用振動腕241Aの先端側に位置する分岐部61を必要数切断する。なお、図13(b)は、粗調整を行わずに微調整を行った場合を図示しており、図13(c)は、粗調整を行った後に微調整を行った場合を図示している。また、図13(b)、(c)では、分岐部61の幅狭部62を切断する場合を図示しているが、共通部60の途中を切断してもよい。これにより、一回の切断により複数の分岐部61分まとめて調整用電極551Aの電極面積を小さくすることができる。
【0094】
ここで、粗調整と同様、各分岐部61ごとに、切断による調整用出力Tの減少量を実験や計算等により予め求めておくことにより、測定したゼロ点出力に基づいて、切断する分岐部61の数や位置を適切に選択することができる。
かかる微調整の後、再度、漏れ出力(ゼロ点出力)を測定する。そして、ゼロ点出力が第2の設定値未満となるまで、ゼロ点出力の測定と微調整とが交互に繰り返されることとなる。
【0095】
一方、微調整が必要でないと判断した場合、センサー素子の特性調整を終了する。
以上説明したような第2実施形態に係るセンサー素子によっても、簡単かつ確実に、優れた検出感度を発揮することができる。
以上説明したような各実施形態のセンサーデバイスは、各種の電子機器に組み込んで使用することができる。
このような電子機器によれば、信頼性を優れたものとすることができる。
【0096】
(電子機器)
ここで、本発明の電子デバイスを備える電子機器の一例について、図14〜図16に基づき、詳細に説明する。
図14は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
【0097】
この図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部100を備えた表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このようなパーソナルコンピュータ1100には、ジャイロセンサーとして機能する前述したセンサーデバイス1が内蔵されている。
【0098】
図15は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部100が配置されている。
【0099】
このような携帯電話機1200には、ジャイロセンサーとして機能する前述したセンサーデバイス1が内蔵されている。
図16は、本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
【0100】
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部は、被写体を電子画像として表示するファインダとして機能する。
また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
【0101】
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッタボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリ1308に転送・格納される。
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示されるように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニタ1430が、デ−タ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピュータ1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、メモリ1308に格納された撮像信号が、テレビモニタ1430や、パーソナルコンピュータ1440に出力される構成になっている。
このようなディジタルスチルカメラ1300には、ジャイロセンサーとして機能する前述したセンサーデバイス1が内蔵されている。
【0102】
なお、本発明の電子機器は、図14のパーソナルコンピュータ(モバイル型パーソナルコンピュータ)、図15の携帯電話機、図16のディジタルスチルカメラの他にも、電子デバイスの種類に応じて、例えば、車体姿勢検出装置、ポインティングデバイス、ヘッドマウントディスプレイ、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンタ)、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダ、ナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ゲームコントローラー、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ等に適用することができる。
【0103】
以上、本発明のセンサー素子、センサーデバイスおよび電子機器について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
また、本発明のセンサー素子、センサーデバイスおよび電子機器では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
【0104】
また、本発明のセンサー素子、センサーデバイスおよび電子機器は、前述した各実施形態の任意の構成同士を組み合わせるようにしてもよい。
また、前述した実施形態では、調整用振動腕がx軸方向に屈曲振動する場合を例に説明したが、調整用振動腕がz軸方向に屈曲振動する場合にも本発明は適用可能である。この場合、1対の第1の調整用電極および1対の第2の調整用電極の配置および1対の検出用電極との電気的接続を調整用振動腕の圧電特性に応じて適宜設定すればよい。
【0105】
また、前述した実施形態では、H型音叉のセンサー素子に本発明を適用した場合を例に説明したが、本発明は、ダブルT型、二脚音叉、三脚音叉、くし歯型、直交型、角柱型等、種々のセンサー素子(ジャイロ素子)に適用することが可能である。
また、駆動用振動腕、検出用振動腕および調整用振動腕の数は、それぞれ、1つまたは3つ以上であってもよい。また、駆動用振動腕は、検出用振動腕を兼ねていてもよい。
【0106】
また、駆動用電極の数、位置、形状、大きさ等は、駆動用振動腕を通電により振動させることができるものであれば、前述した実施形態に限定されるものではない。
また、検出用電極の数、位置、形状、大きさ等は、物理量が加えられることによる駆動用振動腕の振動を電気的に検出することができるものであれば、前述した実施形態に限定されるものではない。
また、第1の調整用電極および第2の調整用電極の数、位置、形状、大きさ等は、第1の調整用振動腕および第2の調整用振動腕の振動に伴って生じる電荷を出力することができるものであれば、前述した実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0107】
1‥‥センサーデバイス 2‥‥センサー素子 3‥‥ICチップ(電子部品) 4‥‥パッケージ 21‥‥基部 25‥‥支持部 31‥‥接続端子 41‥‥ベース部材 42‥‥蓋部材 51‥‥駆動用電極群 52‥‥駆動用電極群 53‥‥検出用電極群 54‥‥検出用電極群 55‥‥調整用電極群 55A‥‥調整用電極群 55B‥‥調整用電極群 55C‥‥調整用電極群 55D‥‥調整用電極群 55E‥‥調整用電極群 55F‥‥調整用電極群 56‥‥調整用電極群 57a‥‥端子 57b‥‥端子 57c‥‥端子 57d‥‥端子 57e‥‥端子 57f‥‥端子 60‥‥共通部 61‥‥分岐部 62‥‥幅狭部 63‥‥幅広部 71‥‥内部端子 72‥‥内部端子 73‥‥外部端子 81‥‥接合部材 82‥‥接合部材 100‥‥表示部 211、212‥‥腕部 221‥‥駆動用振動腕 222‥‥駆動用振動腕 231‥‥検出用振動腕 232‥‥検出用振動腕 241‥‥調整用振動腕 241A‥‥調整用振動腕 242‥‥調整用振動腕 261、262、263、264‥‥連結部 411‥‥板体 412‥‥枠体 511‥‥駆動用電極 512‥‥駆動用電極 513‥‥駆動用電極 514‥‥駆動用電極 531‥‥検出用電極 532‥‥検出用電極 533‥‥検出用電極 534‥‥検出用電極 551‥‥調整用電極(第1の調整用電極) 551A‥‥調整用電極(第1の調整用電極) 552‥‥調整用電極(第1の調整用電極) 552A‥‥調整用電極(第1の調整用電極) 553‥‥調整用電極(第1の調整用電極) 554‥‥調整用電極(第2の調整用電極) 554A‥‥調整用電極(第2の調整用電極) 555‥‥調整用電極(第2の調整用電極) 555A‥‥調整用電極(第2の調整用電極) 556‥‥調整用電極(第2の調整用電極) 1100‥‥パーソナルコンピュータ 1102‥‥キーボード 1104‥‥本体部 1106‥‥表示ユニット 1200‥‥携帯電話機 1202‥‥操作ボタン 1204‥‥受話口 1206‥‥送話口 1300‥‥ディジタルスチルカメラ 1302‥‥ケース 1304‥‥受光ユニット 1306‥‥シャッタボタン 1308‥‥メモリ 1312‥‥ビデオ信号出力端子 1314‥‥入出力端子 1430‥‥テレビモニタ 1440‥‥パーソナルコンピュータ 2411‥‥先端部(質量部) 2412‥‥質量調整用膜 2412A‥‥質量調整用膜 2413、2414‥‥溝部 S‥‥漏れ出力 T‥‥調整用出力 ω‥‥角速度 A1、A2、B1、B2、C1、C2、D1、D2‥‥矢印 S1、S2、S3、S4、S5‥‥ステップ T1、T2‥‥調整用出力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
前記基部から延出され、駆動振動する駆動用振動腕と、
前記基部から延出され、前記駆動用振動腕の駆動振動に伴って振動する振動腕と、
前記駆動用振動腕に加えられた物理量に応じて信号を出力する検出用電極を含む検出部と、
前記振動腕に設けられ、前記検出用電極に電気的に接続され、前記振動腕の振動に伴って電荷を発生する第1電極と、
前記振動腕に設けられ、前記検出用電極に電気的に接続され、前記振動腕の振動に伴って前記第1電極から発生する電荷とは逆極性の電荷を発生する第2電極とを有することを特徴とするセンサー素子。
【請求項2】
前記第1電極からの電荷および前記第2電極からの電荷を加算したものは、前記駆動用振動腕に物理量が加わっていないときに前記検出用電極から発生する電荷と逆極性である請求項1に記載のセンサー素子。
【請求項3】
前記振動腕は、第1面、該第1面と反対側の第2面、および前記第1面と前記第2面とを連結する1対の側面を有し、
前記第1電極は、前記振動腕の延在方向に沿って、前記第1面および前記第2面に設けられている第1主面電極と、一方の前記側面に設けられている第1側面電極と、を含み、
前記第2電極は、前記振動腕の延在方向に沿って、前記第1面および前記第2面に前記第1電極に並んで配置されている第2主面電極と、他方の前記側面に設けられている第2側面電極と、を含む請求項1または2に記載のセンサー素子。
【請求項4】
前記振動腕の先端部には、質量調整部が設けられている請求項1ないし3のいずれか一項に記載のセンサー素子。
【請求項5】
前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方は、前記振動腕の延出方向に沿って設けられている共通部と、前記共通部から分岐している複数の分岐部とを備える請求項1ないし4のいずれか一項に記載のセンサー素子。
【請求項6】
前記複数の分岐部は、電極幅が前記共通部側よりも先端側の方が大きい請求項5に記載のセンサー素子。
【請求項7】
前記分岐部は、前記共通部の前記延出方向に対して傾斜している請求項5または6に記載のセンサー素子。
【請求項8】
前記振動腕は、前記延出方向に沿って設けられている溝部を有し、
前記分岐部の少なくとも一部は、前記溝部の壁面に設けられている請求項5ないし7のいずれか一項に記載のセンサー素子。
【請求項9】
前記基部から延出され、前記駆動用振動腕に加えられた物理量に応じて振動する検出用振動腕を有し、
前記検出用電極は、前記検出用振動腕に設けられている請求項1ないし8のいずれか一項に記載のセンサー素子。
【請求項10】
センサー素子の製造方法であって、
前記センサー素子は、
基部と、
前記基部から延出され、駆動振動する駆動用振動腕と、
前記基部から延出され、前記駆動用振動腕の駆動振動に伴って振動する振動腕と、
前記駆動用振動腕に加えられた物理量に応じて信号を出力する検出用電極を含む検出部と、
前記振動腕に設けられ、前記検出用電極に電気的に接続され、前記振動腕の振動に伴って電荷を発生する第1電極と、
前記振動腕に設けられ、前記検出用電極に電気的に接続され、前記振動腕の振動に伴って前記第1電極から発生する電荷とは逆極性の電荷を発生する第2電極と、を備えており、
前記第1電極または前記第2電極の一部または全部を除去することにより、前記第1電極または前記第2電極に発生する電荷量を調整する電荷調整工程とを有することを特徴とするセンサー素子の製造方法。
【請求項11】
前記電荷調整工程前に、前記駆動用振動腕を通電により振動させた状態で前記検出用電極に発生する電荷を測定する工程と、その測定結果に基づいて前記振動腕の共振周波数を調整する工程とを有する請求項10に記載のセンサー素子の製造方法。
【請求項12】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載のセンサー素子と、
前記センサー素子を駆動させる回路、および、前記検出部からの出力を検出する回路を有することを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項13】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載のセンサー素子を有することを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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