説明

センサ装置

【課題】本発明は、振動子における共振振動の周波数を変化させることができる構成を実現することを目的とする。
【解決手段】そして、この目的を達成するために本発明は、振動子11と、モニタ回路12と、フィルタ回路13と、振動制御回路14と、駆動回路15とを少なくとも有する振動子駆動制御回路ループ16と、前記振動子駆動制御回路ループ16内における信号が基準信号として入力されると共に前記振動子11の振動周波数と同期した信号を生成し出力する位相同期回路17と、前記位相同期回路17の出力信号周波数が前記基準信号に対して独立となるよう切り替える切替回路21とを具備し、前記フィルタ回路13が、前記位相同期回路17の出力信号周波数に応じてその通過周波数帯域を可変させるセンサ装置としたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、航空機、船舶、ロボット、その他各種電子機器等に用いられるセンサ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種のセンサ装置は、図3に示すごとく、振動子1と、モニタ回路2と、フィルタ回路3と、振動制御回路4と、駆動回路5とを少なくとも有する振動子駆動制御回路ループ6と、前記振動子駆動制御回路ループ6内における信号が基準信号として入力されると共に前記振動子1の振動周波数と同期した信号を生成し出力する位相同期回路7とを備えている。そして、前記位相同期回路7の出力信号周波数は前記基準信号により決定され、さらに前記位相同期回路7の出力信号周波数に応じて前記フィルタ回路3の応答性が決定される構成としていた。
【0003】
なお、この出願に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2008−527340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来のセンサ装置では、前記振動子1を、あらかじめ定められた固定の共振周波数でしか共振振動させることができないことが問題となっていた。
【0006】
すなわち、上記従来の構成においては、前記位相同期回路7の出力信号周波数が前記基準信号により決定されてしまうため、この出力信号周波数に応じてその応答性が決定される前記フィルタ回路3の通過周波数帯域も固定となってしまい、その結果として、あらかじめ定められた固定の周波数でしか前記振動子1を共振振動させることができなくなってしまっていた。
【0007】
そこで本発明は、振動子における共振振動の周波数を変化させることができる構成を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、この目的を達成するために本発明は、振動子と、モニタ回路と、フィルタ回路と、振動制御回路と、駆動回路とを少なくとも有する振動子駆動制御回路ループと、前記振動子駆動制御回路ループ内における信号が基準信号として入力されると共に前記振動子の振動周波数と同期した信号を生成し出力する位相同期回路と、前記位相同期回路の出力信号周波数が前記基準信号に対して独立となるよう切り替える切替回路とを具備し、前記フィルタ回路が、前記位相同期回路の出力信号周波数に応じてその通過周波数帯域を可変させるセンサ装置としたものである。
【発明の効果】
【0009】
このような構成とすることにより、前記位相同期回路の出力信号周波数を前記基準信号とは独立して変化させることが可能となるため、前記フィルタ回路の通過周波数帯域を所望の帯域にすることができ、その結果として、前記振動子における共振振動の周波数を変化させることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1におけるセンサ装置を示す電気回路図
【図2】位相同期回路の構成を示す電気回路図
【図3】従来のセンサ装置を示す電気回路図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1におけるセンサ装置について図面を参照しながら説明する。本実施の形態におけるセンサ装置は、図1に示すごとく、振動子11と、モニタ回路12と、フィルタ回路としてのバンドパスフィルタ13と、振動制御回路14と、駆動回路15とを少なくとも有する振動子駆動制御回路ループ16を備えている。
【0012】
具体的には、前記駆動回路15から出力される駆動信号により振動する振動子11と、前記振動子11からの振動振幅に応じたモニタ信号を検出し増幅するモニタ回路12と、前記モニタ回路12により増幅されたモニタ信号が入力されると共に、このモニタ信号における周波数成分の内、前記振動子11を振動させるのに用いる周波数以外を除去するバンドパスフィルタ13と、このバンドパスフィルタ13により特定の周波数がカットされた状態のモニタ信号の振幅を一定にすることにより前記振動子11の駆動振幅を一定にする振動制御回路14と、この振動制御回路14により振幅が一定にされたモニタ信号が入力され、前記駆動信号を出力する駆動回路15とを少なくとも有する振動子駆動制御回路ループ16とを備えている。
【0013】
なお、当該振動子駆動制御回路ループ16内に他の回路が介在する構成であっても構わない。
【0014】
そして、前記振動子駆動制御回路ループ16内における信号が基準信号として入力されると共に前記振動子11の振動周波数と同期した信号を生成し出力する位相同期回路17を備えている。
【0015】
本実施の形態においては、前記位相同期回路17には、前記振動子駆動制御回路ループ16内における前記振動制御回路14からの出力信号が基準信号として入力され、前記位相同期回路17からは、前記振動子11の振動周波数と同期した信号が前記バンドパスフィルタ13に出力され、前記バンドパスフィルタ13の応答性が前記位相同期回路17の出力信号周波数に応じて決定される構成としている。
【0016】
更に、本実施の形態1におけるセンサ装置は、前記位相同期回路17の出力信号周波数が前記基準信号に対して独立となるよう切り替える切替回路21を具備しており、前記バンドパスフィルタ13が、前記位相同期回路17の出力信号周波数に応じてその通過周波数帯域を可変させる構成としている。
【0017】
具体的には、前記位相同期回路17は、図2に示す如く、少なくとも電圧制御発振器18と、ループフィルタ19と、位相比較器20とを有している。前記位相比較器20は2つの信号の位相を比較してその差信号を出力する回路であり、図1に示した前記振動制御回路14からの出力信号である基準信号と前記電圧制御発振器18の出力信号が入力される。前記ループフィルタ19は前記位相比較器20からの出力信号が入力され、図1に示した前記振動制御回路14の出力信号と前記電圧制御発振器18の出力信号との差信号から交流成分を減衰させるフィルタ回路である。前記切替回路21は、前記電圧制御発振器18と前記ループフィルタ19との間に介在する切替スイッチ21aと、前記切替スイッチ21aに接続された基準電圧21bとからなり、前記切替スイッチ21aが前記電圧制御発振器18の電気的接続先を前記ループフィルタ19と前記基準電圧21bの内のいずれか一方に切り替える構成としている。前記電圧制御発振器18は前記切替回路21から入力される入力電圧に応じてその周波数が可変される出力信号を出力する。前記電圧制御発振器18の出力信号は前記位相比較器20にフィードバックされるとともに、前記バンドパスフィルタ13に入力される。
【0018】
このような構成とすることにより、前記位相同期回路17の出力信号周波数を前記基準信号とは独立して変化させることが可能となるため、前記フィルタ回路としてのバンドパスフィルタ13の通過周波数帯域を所望の帯域にすることができ、その結果として、前記振動子11における共振振動の周波数を変化させることができるのである。
【0019】
また、前記振動子11の故障検知時において、前記切替回路21が、前記位相同期回路17の出力信号周波数を振動子駆動制御回路ループ16からの基準信号に対して独立となるよう切り替える構成とすることにより、前記振動子11の振動モードを複数にすることで、各振動モードにおいて前記振動子を動作させ、正常な動作を行うか否かを確認することにより、前記振動子11の故障検知を可能とすることができるのである。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明のセンサ装置は、振動子11における共振振動の周波数を変化させることができるという効果を有し、自動車、航空機、船舶、ロボット、その他各種電子機器等において有用である。
【符号の説明】
【0021】
11 振動子
12 モニタ回路
13 フィルタ回路(バンドパスフィルタ)
14 振動制御回路
15 駆動回路
16 振動子駆動制御回路ループ
17 位相同期回路
18 電圧制御発振器
19 ループフィルタ
20 位相比較器
21 切替回路
21a 切替スイッチ
21b 基準電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動子と、モニタ回路と、フィルタ回路と、振動制御回路と、駆動回路とを少なくとも有する振動子駆動制御回路ループと、
前記振動子駆動制御回路ループ内における信号が基準信号として入力されると共に前記振動子の振動周波数と同期した信号を生成し出力する位相同期回路と、
前記位相同期回路の出力信号周波数が前記基準信号に対して独立となるよう切り替える切替回路とを具備し、
前記フィルタ回路が、
前記位相同期回路の出力信号周波数に応じてその通過周波数帯域を可変させる
センサ装置。
【請求項2】
前記位相同期回路は、
少なくとも電圧制御発振器と、ループフィルタと、位相比較器とを有し、
前記切替回路は、
前記電圧制御発振器と前記ループフィルタとの間に介在する切替スイッチと、
前記切替スイッチに接続された基準電圧とからなり、
前記切替スイッチが前記電圧制御発振器の電気的接続先を
前記ループフィルタと前記基準電圧の内のいずれか一方に切り替える
請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記振動子の故障検知時において、
前記切替回路が、前記位相同期回路の出力信号周波数を前記基準信号に対して独立となるよう切り替える
請求項1に記載のセンサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−80922(P2011−80922A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−234768(P2009−234768)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】