説明

センサ

【課題】車体の開口部、該開口部を開閉するドアのうちの一方に設けられ、前記ドアの開閉を阻止する異物を検出するセンサに関し、エンドキャップの構造を簡単にできるセンサを提供することを課題とする。
【解決手段】センサ50の長手方向と直交する断面は、内側電極59と、該内側電極59と空間を介して配置され、前記内側電極59方向に可撓可能な第1外側電極61,第2外側電極63と、第1外側電極61,第2外側電極63間に配置された絶縁体65とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の開口部、該開口部を開閉するドアのうちの一方に設けられ、一端側がECUに接続され、前記ドアの開閉を阻止する異物を検出するセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
図5に示すように、車体1の側壁に沿って移動可能に設けられ、車体1の側壁に形成された開口3を開閉するスライドドア5には、閉方向(図において矢印A方向)での前側の上下方向に沿って、スライドドア5の閉時に、スライドドアの前面部と開口3の縁部との間に異物が存在することを検出する長尺の挟み込み検知用のセンサ7が設けられる。
【0003】
図6を用いてセンサ7の構造の一例を説明する。チューブ状のセンサ7の一方の端部側の開口には、エンドキャップ9が挿入される。
【0004】
センサ7は、潰れると信号を発するセンサ部11と、前述したスライドドア5に形成された被取付部(例えば、ヘミング部)に取り付けられる断面形状が略U字形の取付部13とからなっている。
【0005】
センサ部11は、スチレン系の軟質導電樹脂でなる断面C字形の外側電極15と、取付部13のセンサ部11側の端部に設けられ、外側電極15の開口から外側電極15内に進出する接合部17と、接合部17上に形成され、スチレン系の軟質導電樹脂でなる内側電極19とからなっている。更に、外側電極15と内側電極19には、それぞれ、金属線でなる電極線21,23が長手方向に沿って埋設されている。
【0006】
エンドキャップ9側の電極線21と電極線23とは、エンドキャップ9に形成された穴を通って外部に露出している。そして、外部に露出した電極線21と電極線23とは、抵抗25を介して、電気的に接続されている。
【0007】
次に、図7を用いて、上記構成のセンサ7の電気的接続を説明する。センサ7のエンドキャップ9と反対側の電極線21と電極線23とは、ECU(Electronic Control Unit:自動車用デバイスの制御用マイクロコンピュータユニット)25に接続されている。
【0008】
また、電極線21と、電極線23とにはバッテリー27が接続され、通常は、外側電極15を流れた電流は抵抗25を通っている。
【0009】
そして、センサ7の外側電極15が異物に接触し、外側電極15が内側電極19に接触し短絡すると、電流は抵抗25を介さずに流れるために、電流値が変化する。ECU25は、この電流値の変化を検出し、異物の挟み込み検知する(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第3788934号公報
【特許文献2】特開2010−15696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、上記構成のセンサ7において、エンドキャップ9に抵抗25を配置するので、エンドキャップ9の構造が複雑になる問題点がある。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その課題は、エンドキャップの構造を簡単にできるセンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
課題を解決する請求項1に係る発明は、車体の開口部、該開口部を開閉するドアのうちの一方に設けられ、前記ドアの開閉を阻止する異物を検出するセンサにおいて、その長手方向と直交する断面は、内側電極と、該内側電極と空間を介して配置され、前記内側電極方向に可撓可能な複数の外側電極と、該外側電極間に配置された絶縁体と、とを有することを特徴とするセンサである。
【0014】
請求項2に係る発明は、前記センサの一端側がECUに接続され、前記内側電極のECU側の端部と、前記複数の外側電極のうちの1つの外側電極のECU側の端部とは、抵抗を介して電気的に接続されていることを特徴とする請求項1記載のセンサである。
【0015】
請求項3に係る発明は、前記抵抗は、前記ECUの基板に設けられることを特徴とする請求項2記載のセンサである。
【0016】
請求項4に係る発明は、前記内側電極の幅は、前記外側電極間の幅より広く、前記外側電極の前記内側電極と対向する面には、前記絶縁体との接触部分に沿って、前記内側電極方向に突出する突部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のセンサである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1−4に係る発明によれば、内側電極と、該内側電極と空間を介して配置され、前記内側電極方向に可撓可能な複数の外側電極と、該外側電極間に配置された絶縁体と、とを有することにより、複数の外側電極を2つの電極群、即ち、第1外側電極、第2外側電極となるように分割し、センサの一方の側から第1外側電極と第2外側電極とを電気的に直列に接続し、センサの他方の側で、第2外側電極と内側電極とを抵抗を介して接続し、第1外側電極、第2外側電極、内側電極に電流を流すことで、第1外側電極から内側電極に流れる電流の電流値が、外側電極が内側電極に接触する時と、接触しない時とで変化するセンサとなる。
【0018】
よって、センサの一方の側に抵抗を設け、センサの他方の側にエンドキャップを設けることにより、エンドキャップの構造を簡単にできる。
【0019】
請求項4に係る発明によれば、前記内側電極の幅は、前記外側電極間の幅より広く、前記外側電極の前記内側電極と対向する面には、前記絶縁体との接触部分に沿って、前記内側電極方向に突出する突部が形成されていることにより、外側電極は確実に内側電極に接触する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施の形態のセンサの斜視図である。
【図2】図1に示すセンサの長手方向と直交する方向の断面図である。
【図3】図1に示すセンサの電気的接続を説明する図である。
【図4】図4を概念的に示した図である。
【図5】スライドドアに異物を検出するセンサが設けられた車輌の説明図である。
【図6】図5に示すセンサの構造の一例を説明する図である。
【図7】図6に示すセンサの電気的接続を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1−図4を用いて説明する。図1は実施の形態のセンサの斜視図、図2は図1に示すセンサの長手方向と直交する方向の断面図、図3は図1に示すセンサの電気的接続を説明する図、図4を概念的に示した図である。
【0022】
最初に、図1,図2を用いて本実施形態のセンサの構造を説明する。
【0023】
センサ50は、潰れると信号を発するセンサ部51と、スライドドアに取り付けられる断面形状が略U字形の取付部53とからなっている。
【0024】
センサ部51は、スチレン系の軟質導電樹脂でなる断面C字形の外側電極部55と、取付部53のセンサ部51側の端部に設けられ、外側電極部55の開口から外側電極55内に進出する接合部57と、接合部57上に形成され、スチレン系の軟質導電樹脂でなる内側電極59とからなっている。
【0025】
断面形状が略C字形の外側電極部55は、内側電極59と空間を介して配置され、内側電極59方向に可撓可能な第1外側電極61と、第2外側電極63と、第1外側電極61と、第2外側電極63間に配置された絶縁体65とからなっている。
【0026】
また、絶縁体65側の第1外側電極61の端部の内側電極59と対向する面には、内側電極59方向に突出する第1突部61aが形成され、絶縁体65側の第1外側電極61の端部の外部に露出した面には、外部方向に突出する第2突部61bが形成されている。同様に、絶縁体65側の第2外側電極63の端部の内側電極59と対向する面には、内側電極59方向に突出する第1突部63aが形成され、絶縁体65側の第2外側電極63の端部の外部に露出した面には、外部方向に突出する第2突部63bが形成されている。
【0027】
また、内側電極59の長手方向の幅Wは、第1外側電極61と第2外部電極63との間の幅wより広く設定されている。
【0028】
そして第1外側電極61と、第2外側電極63と、内側電極59には、それぞれ、金属線でなる電極線71,73,79が長手方向に沿って埋設されている。
【0029】
エンドキャップ側の電極線71と電極線73とは、電気的に接続されている。即ち、センサ50の一方の側から、第1外側電極61と第2外側電極63とは電気的に直列に接続されている。
【0030】
次に図3を用いて、センサ50の電気的接続を説明する。
【0031】
センサ50の一方の側で、第2外側電極63と内側電極59とは抵抗81を介して接続され、第1外側電極の電極線71と、内側電極59の電極線79とはECU83に接続されている。また、正極が第1外側電極61の電極線71に接続され、負極が内側電極59の電極線79に接続された電源85により、第1外側電極61→第2外側電極63→内側電極59に電流が流れる。
【0032】
図3に示す回路は、図4に示す回路と等価である。通常は、電流は抵抗81を通っている。そして、センサ50の第1外側電極59または第2外側電極63が異物に接触し、内側電極59に接触し短絡すると、電流は抵抗81を介さずに流れるために、電流値が変化する。ECU83は、この電流値の変化を検出し、異物の挟み込み検知して、検知結果を上位のECUへ伝達する。
【0033】
尚、本実施形態では、外側電極部55(第1外側電極61、第2外側電極63)の静電容量に基づいて、外部電極部55単独でも外側電極部55への異物の接触の有無も検出している。
【0034】
このような構成によれば、以下のような効果が得られる。
【0035】
(1) センサ50の一方の側に抵抗81を設け、センサ50の他方の側にエンドキャップを設けることにより、エンドキャップの構造を簡単にできる。
【0036】
(2) 内側電極59の長手方向の幅Wは、第1外側電極61と第2外部電極63との間の幅wより広く設定され、絶縁体65側の第1外側電極61の端部の内側電極59と対向する面には、内側電極59方向に突出する第1突部61aが、絶縁体65側の第2外側電極63の端部の内側電極59と対向する面には、内側電極59方向に突出する第1突部63aがそれぞれ形成されていることにより、第1外側電極61,第2外側電極63は確実に内側電極59に接触する。
【0037】
(3) 絶縁体65側の第1外側電極61の端部の外部に露出した面には、外部方向に突出する第2突部61bが形成されている。同様に、絶縁体65側の第2外側電極63の端部の外部に露出した面には、外部方向に突出する第2突部63bが形成されている。
【0038】
よって、絶縁体65の長手方向の幅Wを幼児の指の幅以下に設定することにより、幼児の指の挟み込みを確実に防止することできる。
【0039】
尚、本発明は、上記実施形態に限定するものではない。上記実施形態では、外側電極が2つの場合で説明を行ったが、外側電極が3つ以上あってよい、例えば、外側電極が3つの場合は、2つの外側電極を並列に電気的接続した群を本実施形態の第2外側電極とすればよい。また、外側電極が4つの場合は、2つの外側電極を並列に電気的接続した2つの群をそれぞれ本実施形態の第1外側電極、第2外側電極とすればよい。
【0040】
また、センサの抵抗をECUの基板(マイクロコンピュータが搭載された電子回路基板)に設けてもよい。
【符号の説明】
【0041】
50 センサ
59 内側電極
61 第1外側電極
63 第2外側電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の開口部、該開口部を開閉するドアのうちの一方に設けられ、前記ドアの開閉を阻止する異物を検出するセンサにおいて、
その長手方向と直交する断面は、
内側電極と、
該内側電極と空間を介して配置され、前記内側電極方向に可撓可能な複数の外側電極と、
該外側電極間に配置された絶縁体と、
とを有することを特徴とするセンサ。
【請求項2】
前記センサの一端側がECUに接続され、
前記内側電極のECU側の端部と、前記複数の外側電極のうちの1つの外側電極のECU側の端部とは、抵抗を介して電気的に接続されていることを特徴とする請求項1記載のセンサ。
【請求項3】
前記抵抗は、前記ECUの基板に設けられることを特徴とする請求項2記載のセンサ。
【請求項4】
前記内側電極の幅は、前記外側電極間の幅より広く、
前記外側電極の前記内側電極と対向する面には、前記絶縁体との接触部分に沿って、前記内側電極方向に突出する突部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−144858(P2012−144858A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2007(P2011−2007)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(590001164)シロキ工業株式会社 (610)
【Fターム(参考)】