説明

センタ局、遠隔リモート観測システム及びそれらに用いる観測結果再生方法

【課題】 測定情報の欠落なく、頭出し時間の大幅な短縮を実現可能とし、具備するメモリの小容量化を実現可能なセンタ局を提供する。
【解決手段】 センタ局(2)は、ある状態を測定しかつ当該測定結果を記録する複数のセンサ局(1)各々をリモート制御し、複数のセンサ局(1)各々で記録している測定情報を受信して分析・解析することで所望の結果を表示するための再生処理を行う。センタ局(2)は、複数のセンサ局(1)各々から受信した前記測定情報を一時格納するメモリ(21)と、自局の操作を行う操作者が指示する再生速度指示情報及びメモリ(21)の使用状況を基に再生処理に必要な情報量を算出する算出手段(読出しタイミング生成部24)とを有し、算出した再生処理に必要な情報量に基づいてセンサ局(1)各々から測定情報を必要量のみ収集し、収集した測定情報をメモリ(21)から逐次読出して処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセンタ局、遠隔リモート観測システム及びそれらに用いる観測結果再生方法に関し、特に複数のセンサ局にて観測した結果をセンタ局にて再生する遠隔リモート観測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記の遠隔リモート観測システムとしては、図3に示すような構成のシステムがある。この遠隔リモート観測システムの動作を図4に示す。図3において、遠隔リモート観測システムは、複数のセンサ局(A〜C)3−A〜3−Cと、センタ局4とから構成されている。
【0003】
図3においては、一例として電波の探知システムを示している。センサ局3−A〜3−C各々は、無線局5が発する電波の発射位置を特定するために到来電波の方向を測定する。センタ局4は、再生処理として、それらセンサ局3−A〜3−Cをリモート制御するとともに、センサ局3−A〜3−Cが測定した測定情報(以下、到来方向検知情報とする)を受信し、複数の到来方向検知情報を同時に表示することで電波の発射位置を表示・探知する。尚、この再生処理の再生速度は、遠隔リモート観測システムの操作者によって可変とする。
【0004】
センサ局3−A〜3−Cは、ある無線局5が発射した電波を検知すると、その測定結果(電波の到来方向や強度、電波の質、そして復調音声等)を到来方向検知情報として自局内に記録している。遠隔リモート観測システムの操作者は、当該無線局5の監視のため、センタ局4にて、センサ局3−A〜3−Cからの到来方向検知情報を収集・一時格納した後、それら情報の再生処理を行う。
【0005】
センタ局4は、センサ局3−A〜3−Cからの到来方向検知情報の再生処理を行う際、センサ局3−A〜3−C各々に記録されている到来方向検知情報を通信回線を経由して一旦収集しかつメモリ41に格納し、メモリ41への全ての到来方向検知情報の格納が完了した後、再生処理を開始している。
【0006】
遠隔観測シテスムとしては、下記の特許文献1に開示されたシステム等がある。特許文献1に開示されたシステムでは、被観測装置が観測装置からの制御命令にしたがって収集した情報を、観測装置からの制御にしたがって編集している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−055653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した遠隔リモート観測システムでは、センサ局3−A〜3−C並びにセンタ局4が一般的に数10kmから数100km離れた場所に設置され、かつ専用線等の狭帯域な通信回線で接続されており、測定時間に比例して増大する到来方向検知情報の収集に非常に多くの時間を要する。
【0009】
そのため、遠隔リモート観測システムでは、再生処理を開始してから、その再生処理の結果を実際に操作者へ表示するまでに膨大な時間が必要となる。加えて、遠隔リモート観測システムでは、これらセンサ局3−A〜3−Cに記録された全ての到来方向検知情報を格納するために、センタ局4に具備するメモリ41として大容量のものが必須となり、結果として経済性にも欠ける部分がある。
【0010】
そこで、本発明の目的は上記の問題点を解消し、測定情報の欠落なく、頭出し時間の大幅な短縮を実現することができ、センタ局に具備するメモリの小容量化を実現することができるセンタ局、遠隔リモート観測システム及びそれらに用いる観測結果再生方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によるセンタ局は、ある状態を測定しかつ当該測定結果を記録する複数のセンサ局各々をリモート制御し、前記複数のセンサ局各々で記録している測定情報を受信して分析・解析することで所望の結果を表示するための再生処理を行うセンタ局であって、
前記複数のセンサ局各々から受信した前記測定情報を一時格納するメモリと、自局の操作を行う操作者が指示する再生速度指示情報及び前記メモリの使用状況を基に前記再生処理に必要な情報量を算出する算出手段とを備え、
前記算出手段にて算出した前記再生処理に必要な情報量に基づいて前記複数のセンサ局各々から前記測定情報を必要量のみ収集するともに、収集した前記測定情報を前記メモリから逐次読出して処理している。
【0012】
本発明による遠隔リモート観測システムは、上記のセンタ局を含むことを特徴とする。
【0013】
本発明による観測結果再生方法は、ある状態を測定しかつ当該測定結果を記録する複数のセンサ局と、前記複数のセンサ局各々をリモート制御し、前記複数のセンサ局各々で記録している測定情報を受信して分析・解析することで所望の結果を表示するための再生処理を行うセンタ局とからなる遠隔リモート観測システムに用いる観測結果再生方法であって、
前記センタ局に、前記複数のセンサ局各々から受信した前記測定情報を一時格納するメモリを設け、
前記センタ局が、前記センタ局の操作を行う操作者が指示する再生速度指示情報及び前記メモリの使用状況を基に前記再生処理に必要な情報量を算出する算出処理と、前記算出処理にて算出した前記再生処理に必要な情報量に基づいて前記複数のセンサ局各々から前記測定情報を必要量のみ収集する処理とを実行し、
前記センタ局が、その収集した前記測定情報を前記メモリから逐次読出して処理している。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、上記のような構成及び動作とすることで、測定情報の欠落なく、頭出し時間の大幅な短縮を実現することができ、センタ局に具備するメモリの小容量化を実現することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態による遠隔リモート観測システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態による遠隔リモート観測システムの動作を示す図である。
【図3】本発明に関連する遠隔リモート観測システムの構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明に関連する遠隔リモート観測システムの動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。まず、本発明による遠隔リモート観測システムの概要について説明する。本発明による遠隔リモート観測システムは、ある状態(例えば、無線局が発する電波の発射位置を特定するための情報)を測定しかつその測定結果を記録する複数のセンサ局と、これら複数のセンサ局各々をリモート制御し、各センサ局で記録している測定情報を受信して分析・解析することで所望の結果を表示する(以下、再生処理とする)センタ局とからなる。
【0017】
本発明による遠隔リモート観測システムでは、センサ局において測定して記録している測定情報をセンタ局にて再生処理する際、操作者が指示する再生速度指示情報と、センタ局に各センサ局から受信する測定情報を一時格納するために具備するメモリの使用状況を元に再生処理に必要な情報量を算出し、センサ局に記録されている測定情報を必要量のみ収集すると共に、収集した情報を逐次処理することで、再生開始までの待ち時間を短縮させるとともに、センタ局で具備するメモリ容量の削減を可能としている。
【0018】
図1は本発明の実施の形態による遠隔リモート観測システムの構成例を示すブロック図である。図1において、本発明の実施の形態による遠隔リモート観測システムは、センサ局1と、センタ局2とから構成されている。尚、図1では、センサ局1のみを図示しているが、センサ局1は複数配設されているものとする。
【0019】
センサ局1は、測定情報を記録するための測定情報記録部11を備え、センタ局2からの読出量要求指示により要求に応じた量の測定情報をセンタ局2へ送信する。
【0020】
センタ局2は、センサ局1から収集した測定情報を一時的に格納するためのメモリ(小容量)21と、メモリ21へデータを書込むタイミングを作成するデータ書込み部22と、メモリ21からデータを読出すタイミングを作成するデータ読出し部23と、操作者が指定する再生速度情報とメモリ21への書込み及び読出しタイミングより把握できるメモリ21の格納状況から今後必要となる最適な必要量を検出する読出しタイミング生成部24とから構成されている。
【0021】
ここで言う最適な必要量とは、センタ局2とセンサ局1との間の通信回線種類や設置場所の距離差により生じる伝送遅延差や操作者が指示する再生速度変更に伴う再生速度ギャップ、及びメモリ21の格納状況によって決定するものである。
【0022】
図2は本発明の実施の形態による遠隔リモート観測システムの動作を示す図である。これら図1及び図2を参照して本発明の実施の形態による遠隔リモート観測システムの動作について説明する。尚、図2に示すセンサ局(A〜C)1−A〜1−Cは図1に示すセンサ局1と同様の構成となっており、センタ局2も図1に示すセンタ局2と同様の構成となっている。
【0023】
センタ局2にて操作者が再生処理を開始する際、読出しタイミング生成部24にて再生処理に必要な初期の情報量(測定情報の量)を算出し、読出量要求指示にてセンサ局1−A〜1−Cを制御する。同時に、センタ局2は、センサ局1−A〜1−Cに記録されている測定情報を収集し、それら測定情報をデータ書込み部22で作成したタイミングでメモリ21へ格納する。
【0024】
尚、初期に必要となる測定情報量とは、センタ局2とセンサ局1−A〜1−Cとの間の通信回線の種類やセンサ局1−A〜1−Cの設置場所との距離差により生じる伝送遅延差である(図2参照)。
【0025】
センタ局2は、初期分の測定情報がメモリ21へ格納できた時点で、それら測定情報をデータ読出し部23で作成したタイミングで逐次メモリ21から読出し、それら測定情報を用いて再生処理を行う。
【0026】
この場合、例えば、図3に示すように、無線局が発する電波の発射位置を特定する場合、それら測定情報(電波の到来方向や強度、電波の質、そして復調音声等)を同時に表示することで電波の発射位置を表示・探知する。
【0027】
併せて、センタ局2にて再生処理が始まると、測定情報のメモリ21からの読出しによってメモリ21に格納されている測定情報が減少を始めるため、読出しタイミング生成24が必要量を再計算し、その結果を再度読出量要求指示にてセンサ局1A〜1−Cへ通知し、センタ局2にて必要量の測定情報を収集・格納する。
【0028】
尚、ここでの必要量とは、メモリ21から読出して減少した測定情報の量と、遠隔リモート観測システムの操作者が指示する再生速度変更に伴う再生速度ギャップを吸収するための必要量との和となる。
【0029】
この後、センタ局2では、上記の処理を繰り返し実行することで、再生処理を行う。これらの処理によって、センタ局2にて再生処理を開始してから頭出しまでに必要となる時間は、初期分の測定情報を収集・格納する時間のみとすることが可能となる。また、センタ2局に具備するメモリ21の必要容量は、初期分と、その後、センサ局1A〜1−Cから収集する測定情報を格納するための必要量のみとすることができる。
【0030】
このように、本実施の形態では、センタ局2に具備した読出しタイミング生成部24にて算出した最適かつ最小限な必要量を元にセンサ局1−A〜1−Cに記録されている測定情報を適宜収集し、即座に再生処理を開始することによって、測定情報の欠落なく、頭出し時間の大幅な短縮を実現することができ、センタ局2に具備するメモリ21の小容量化を実現することができる。
【符号の説明】
【0031】
1,1−A〜1−C センサ局
2 センタ局
11 測定情報記録部
21 メモリ
22 データ書込み部
23 データ読出し部
24 読出しタイミング生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある状態を測定しかつ当該測定結果を記録する複数のセンサ局各々をリモート制御し、前記複数のセンサ局各々で記録している測定情報を受信して分析・解析することで所望の結果を表示するための再生処理を行うセンタ局であって、
前記複数のセンサ局各々から受信した前記測定情報を一時格納するメモリと、自局の操作を行う操作者が指示する再生速度指示情報及び前記メモリの使用状況を基に前記再生処理に必要な情報量を算出する算出手段とを有し、
前記算出手段にて算出した前記再生処理に必要な情報量に基づいて前記複数のセンサ局各々から前記測定情報を必要量のみ収集するともに、収集した前記測定情報を前記メモリから逐次読出して処理することを特徴とするセンタ局。
【請求項2】
前記再生処理の初期に必要となる測定情報量が、前記複数のセンサ局との間の通信回線の種類及び前記複数のセンサ局の設置場所との距離差により生じる伝送遅延差であることを特徴とする請求項1記載のセンタ局。
【請求項3】
前記算出手段は、前記再生処理が開始された際に、前記メモリから読出して減少した測定情報の量と前記操作者が指示する再生速度変更に伴う再生速度ギャップを吸収するための必要量との和にて前記測定情報の必要量を再計算し、その結果を再度読出量要求指示にて前記複数のセンサ局へ通知して前記必要量の測定情報を収集して格納することを特徴とする請求項2記載のセンタ局。
【請求項4】
上記の請求項1から請求項3のいずれかに記載のセンタ局を含むことを特徴とする遠隔リモート観測システム。
【請求項5】
ある状態を測定しかつ当該測定結果を記録する複数のセンサ局と、前記複数のセンサ局各々をリモート制御し、前記複数のセンサ局各々で記録している測定情報を受信して分析・解析することで所望の結果を表示するための再生処理を行うセンタ局とからなる遠隔リモート観測システムに用いる観測結果再生方法であって、
前記センタ局に、前記複数のセンサ局各々から受信した前記測定情報を一時格納するメモリを設け、
前記センタ局が、前記センタ局の操作を行う操作者が指示する再生速度指示情報及び前記メモリの使用状況を基に前記再生処理に必要な情報量を算出する算出処理と、前記算出処理にて算出した前記再生処理に必要な情報量に基づいて前記複数のセンサ局各々から前記測定情報を必要量のみ収集する処理とを実行し、
前記センタ局が、その収集した前記測定情報を前記メモリから逐次読出して処理することを特徴とする観測結果再生方法。
【請求項6】
前記再生処理の初期に必要となる測定情報量が、前記複数のセンサ局との間の通信回線の種類及び前記複数のセンサ局の設置場所との距離差により生じる伝送遅延差であることを特徴とする請求項5記載の観測結果再生方法。
【請求項7】
前記算出処理において、前記再生処理が開始された際に、前記メモリから読出して減少した測定情報の量と前記操作者が指示する再生速度変更に伴う再生速度ギャップを吸収するための必要量との和にて前記測定情報の必要量を再計算し、
前記センタ局が、その計算結果を再度読出量要求指示にて前記複数のセンサ局へ通知して前記必要量の測定情報を収集して格納することを特徴とする請求項6記載の観測結果再生方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−211671(P2011−211671A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79995(P2010−79995)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】