説明

セントラルシャッタを制御するための装置

【課題】セントラルシャッタにおいて、より正確でより迅速で且つ省エネルギのシャッタ制御を可能とする。
【解決手段】セントラルシャッタを制御するための装置であって、円環形状のブレード支持体(1)には複数のシャッタブレード(3)が旋回アーム(4)により旋回可能に支持されており、前記シャッタブレード(3)の旋回運動のための調節装置として、シャッタ開口部(2)に対して同心に前記ブレード支持体(1)には環形状のカムディスク(5)が一方向において連続的に回転可能に支持されており、該カムディスク(5)の回転が、カムの調節傾斜部(6)の前方におけるカムの谷間(8)への機械的な係合により阻止可能である形式の装置が、当該機械的な阻止のために、前記カムディスク(5)の面に対して垂直に移動可能であるストローク式ソレノイドのタペット(9、10)が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セントラルシャッタを制御するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人の先願に係るドイツ特許出願 10 2009 020 287.0 には、環形状(リング形状)のブレード支持体に複数のシャッタブレードが旋回可能に支持されている写真用セントラルシャッタ(Zentralverschluss)が記載されている。
【0003】
当該セントラルシャッタにおいてシャッタブレードは、ポット形状(鉢形状)の旋回アームの外側の底部に固定されている。旋回アームのポット形状の開口部(凹部)には、シャッタブレードの旋回軸(ピン部材)が取り付けられている。各旋回アームの外側のポット縁部には、旋回運動を作動させるための調節装置が当接係合する。
【0004】
旋回アームの旋回軸の周りには、旋回アーム内へ渦巻ばね(Spiralfeder)が取り付けられており、該渦巻ばねの一方の腕部は旋回アームに固定配置されており、該渦巻ばねの他方の自由腕部はブレード支持体に固定されている。セントラルシャッタの閉位置から開位置へのシャッタブレードの旋回時には、該渦巻ばねに張力が加えられる。
【0005】
旋回運動のための調節装置として環形状のカムディスクが設けられている。シャッタ開口部の周りのカムディスクの回転時には、カムが各々、比較的急勾配の調節傾斜部(調節立ち上がり部)を介して個々の旋回アームを該旋回アームの旋回軸の周りの回転のために持ち上げる。セントラルシャッタの完全な開放は、シャッタブレードの旋回アームが各々渦巻ばねの張力(締め付け力)のもとカムヘッド上に載置する場合に達成される。この位置においてカムディスクの回転は停止(保持)されるか又は連続的に続行することができる。保持機能の完了後に旋回アームは渦巻ばねの張力に基づいてカムヘッドから下方にカムの谷間へ、即ちセントラルシャッタの閉位置へと戻される。この位置においてもカムディスクの回転は次のシャッタ開放に至るまで停止することができる。
【0006】
カムディスクの停止(保持)のために二腕式のラッチ部材(Klinken)が設けられており、これらのラッチ部材は、同様にブレード支持体に旋回可能に支持されている。ラッチ部材は、該ラッチ部材の一方の腕部を用いてカムとカムの間の谷間へ下降して入り込み、該ラッチ部材の端面を用いてカム傾斜部との当接によりカムディスクの更なる回転を阻止(ブロック)する。ラッチ部材の他方の端部に係合する電気制御式の引き付け且つ押し出し用の電磁石(Zug- und Schubmagnet)を用い、ラッチ部材が保持位置(保持機能)から引き出されるか又はこの保持位置へ押し入れられる。
【0007】
カムディスクの駆動のためにバネ力蓄積器が設けられており、該バネ力蓄積器は、予め張力が加えられた後に、一方向において、連続する迅速なカムディスクの回転をもたらす。カム傾斜部におけるラッチ部材の当接力(Anlagekraefte)は、蓄積されたバネ力に応じて極めて大きいものである。ラッチ部材をカム傾斜部から外すためには、それに応じて強い磁力が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ラッチ部材をカム傾斜部から外すときに発生する摩擦力は、カムディスクの解放(リリース)時の不均等な遅れをもたらし、それにより不正確なシャッタ制御をもたらすことになる。ラッチ部材のレバーは、カムディスクの解放のために比較的大きな行程を進まなくてはならない。従って短いシャッタ時間の設定は困難であるか又はむしろ制限されることになる。不可欠な強い磁力を発生させるためには大きな電流値が必要とされるが、このような電流値では電気的なエネルギー蓄積器の容量に負担がかかり、その稼働時間を制限することになる。
【0009】
従って本発明の基礎を成す課題は、上述したセントラルシャッタにおいて、より正確でより迅速で且つ省エネルギのシャッタ制御を可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、本発明に従い、カムディスクの面内で旋回可能なラッチ部材に代わり、カムディスクの面に対して垂直に移動されるタペットを有するストローク式ソレノイド(Hubmagnet)が設けられる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
タペットはカムディスクを阻止(ブロック)するためにカムの谷間へ挿入される。タペットのストロークについては、比較的短い厚み(高さ)をもってカムディスクに設けられたカムを効果的に阻止するために、即ちカムディスクの回転を効果的に阻止するために、極めて短い行程が必要とされるだけである。ストローク式ソレノイドは、該ストローク式ソレノイドのタペットが静止位置においては電気的な供給を伴わずに機械的なばねにより磁石から外側へ突出しており且つ阻止状態の解除(リリース)のためだけに電磁的に引き込まれるように構成することができる。このようなストローク式ソレノイドの切替作動時間は極めて短く、従ってエネルギー需要は僅かである。
【0012】
ストローク式ソレノイドの通常は円柱状ないし円筒状の金属タペットが、阻止すべきカムへの当接時にプラスチックからなるカム傾斜部(カム立ち上がり部)を損傷してしまうのであればそれは不利である。カムディスクの別の箇所におけるカム傾斜部は、絞りブレードの旋回アームの駆動のためにも用いられるので、そのような損傷は、不均等なブレードの運動を引き起こしてしまう。それに加え、機械的なバネ力蓄積器によりもたらされる、連続するカムの谷間の間における走行時間は、入り込むタペットによるカムディスクの損傷を回避するために、ストローク式ソレノイドの電気的な制御時間と極めて正確に調整(マッチング)されてなくてはならない。
【0013】
従って本発明の一展開形態では、ブレード支持体において、歯部の付けられた平坦なディスクが回転可能に支持されている。歯部傾斜部(歯部の立ち上がり部)は(形状に関して)カムディスクのカムの急勾配の調節傾斜部に適合されている。歯部の間隔(ピッチ)は、カムディスクの回転時にカムの調節傾斜部の押し込みにより歯部傾斜部がはじき出された後に、次の歯部がカムの谷間の領域へ回転して入れられるように選択されている。この歯付きディスクは金属製とすることが可能である。該歯付きディスクの歯部傾斜部は、その回転時にはカムディスクのカムの調節傾斜部に沿ってスライドし、そして次のカムの調節傾斜部の当接時には平坦な当接(Anschlag)が行われるだけであるので、互いに対する損傷が回避される。歯付きディスクは、補助的な制動手段(Hemmmittel)を伴うことなく、カムディスクの回転により連行回転される。
【0014】
カムディスクを停止(保持)するためにブレード支持体には(複数の)ストローク式ソレノイドが配設されており、該ストローク式ソレノイドのタペットは、該ブレード支持体の面に垂直に歯付きディスクの歯部と歯部の間の空所へ入り込み、そして該空所から出ていくことができる。これらのタペットは、シャッタブレードの旋回アームがカムの谷間に位置する(閉位置)か又はカムヘッド上に載置する(開位置)という回転位置において歯付きディスクと共にカムディスクが阻止可能であるように配設且つ位置決めされている。
【0015】
この展開形態の長所は、カムディスクの領域ではプラスチック面と金属面が互いに接して沿うようにスライドし、それに対してタペットの領域では、衝突時には損傷がおこりずらい金属面が互いに相互作用するということにある。
【0016】
本発明の別の一展開形態では、歯付きディスクが、同様に金属製の羽根付きディスクにより置き換えられ、該羽根付きディスクの羽根部は、歯付きディスクの歯部と同様にカムディスクのカムと係合状態にある。羽根付きディスクの羽根部の阻止のためには、ラッチヘッドを備えておりブレード支持体に旋回可能に支持された一腕式の(複数の)ラッチレバー(キャッチレバー Klinkenhebel)が設けられている。各々のラッチレバーは、片側において板ばねに当接しており、該板ばねは、該板ばねの張力によりラッチレバーのラッチヘッドを羽根付きディスクの羽根部の間の空所の方向へ押し付ける。
【0017】
ラッチレバーの1つは、該ラッチレバーのラッチヘッドの額部が1つの羽根部を停止(保持)するように配設且つ位置決めされており、この際、羽根部の間の空所から外側へのラッチヘッドの旋回は、垂直にブレード支持体から突き出るストローク式ソレノイドのタペットにより阻止される。ストローク式ソレノイド内へタペットが引き込んだ後に、阻止されていた羽根部は該ラッチレバーのラッチヘッドの額部を下降するようにスライドし、該ラッチレバーを板ばねの作用に反して羽根付きディスクから離れる方向へ押し付ける。先に阻止されていた羽根部が該ラッチレバーのラッチヘッドを通り過ぎると直ちに、該ラッチヘッドは、張力の加えられた板ばねの作用のもと再び次の羽根部の間の空所へと押し入れられ、タペットの新たな繰り出しにより外側への旋回に対してロックされる。
【0018】
他方のラッチレバーは、羽根部の間の空所へ旋回挿入されたラッチヘッドの顎部が羽根付きディスクの1つの羽根部の更なる回転を阻止するように配設且つ位置決めされている。ここでも羽根部と羽根部の間の空所から外側への該ラッチレバーの旋回が、垂直にブレード支持体から突き出るストローク式ソレノイドのタペットにより阻止(ブロック)される。ストローク式ソレノイド内へタペットが引き込んだ後に、阻止されていた羽根部はラッチヘッドの顎部を沿うようにラッチヘッドを乗り越えてスライドし、該ラッチレバーを板ばねの作用に反して羽根付きディスクから離れる方向へ押し付ける。先に阻止されていた羽根部が該ラッチレバーのラッチヘッドを通過すると直ちに、該ラッチヘッドは、再び羽根部の間の空所へと押し入れられ、タペットの新たな繰り出しにより、羽根部のストップ(当接)のために適切な位置においてロックされる。
【0019】
介在されたラッチレバーの長所は、タペットにおける必要な保持力がラッチレバーのレバー長に応じて減少されているということにある。従ってタペットの引き込みに使われる電気的なエネルギが一段と減少されている。それに加え、阻止すべき構成部材の、タペットの誤制御により発生しうる損傷は、カムディスクの制御機構と接続状態にはない面でしか発生しない。
【0020】
ストローク式ソレノイドによるタペットの引き込み時には、当接により阻止されている構成部材とタペットとの間の摩擦力が克服されなくてはならない。これらの摩擦力は、材料に依存し、そして阻止される構成部材の当接押圧力に依存する。それに加え、比較的強い静止摩擦から比較的弱い滑り摩擦への移行が実行されなくてはならない。様々な影響が制御特性における遅れをもたらすことがありえるが、これらの遅れは、要求される短いシャッタ時間において不確実性をもたらすことになる。
【0021】
摩擦に依存する障害を減少させるために、タペットのヘッドは僅かに円錐形状にとがっている。カムディスクのカム又は歯付きディスクの歯部ないしラッチヘッドの側面部における阻止すべき面は、前記円錐体(円錐体の円錐面)に対して平行に、同様に傾斜が付けられている。この傾斜は、ブレード支持体の面に対する垂線に対し、僅かな角度で傾いていることを意味する。その際、タペットの引き込み時には、静止摩擦の克服後に、阻止されていた構成部材の旋回運動が、タペットの引き込みに対して僅かに遅れて進行するという驚くべき効果が発生する。従ってタペットは、先に阻止されていた構成部材に対して接触することなく完全に引き込むことができる。また静止摩擦の減少は、タペットヘッドがセラミック材料から製造されるか又はセラミック被覆部を有することにより達成することができる。
【0022】
本発明による制御装置の各々の実施例が図面に模式的に図示されている。以下、これらの実施例について図面を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】シャッタブレードの閉位置において、カムディスクと直接的な係合状態にあるタペットを示す図である。
【図2】シャッタブレードの開位置において、図1と同様の配置構成を示す図である。
【図3】シャッタブレードの閉位置において、カムディスクと係合状態にある歯付きディスクを示す図である。
【図4】シャッタブレードの開位置において、図3と同様の配置構成を示す図である。
【図5】シャッタブレードの閉位置において、ラッチレバーを有する羽根付きディスクを示す図である。
【図6】シャッタブレードの開位置において、図5と同様の配置構成を示す図である。
【図7】保持位置において、円錐形状のタペットヘッドを有するタペットを示す図である。
【図8】引き込み位置において、上記タペットを示す図である。
【実施例1】
【0024】
図1は、円環形状のブレード支持体1を部分的に示している。ブレード支持体1はシャッタ開口部2を包囲している。ブレード支持体1には複数のシャッタブレード3が各々旋回アーム4により旋回可能に支持(枢支)されている。旋回アーム4の一つがシャッタブレード3を装備した形で図示されている。図1の他方の旋回アーム4は(図面の見易さのために)シャッタブレード3を装備していない形で図示されている。図1においてシャッタブレード3は全体としてシャッタ開口部2を遮蔽している(閉位置)。
【0025】
シャッタブレード3の旋回運動のための調節装置として、ブレード支持体1には環形状(リング形状)のカムディスク5が、シャッタ開口部2に対して同心に、矢印方向において連続的に回転可能に支持されている。カムディスク5の各々のカムは、矢印方向において急勾配の調節傾斜部(調節立ち上がり部)6と、カムヘッド7から出発して次の調節傾斜部に至るまで(円の中心に向かって見て)凹状に弧を描いて穏やかに下降する傾斜部とを有し、従って連続する2つのカムヘッド7の間にはカムの谷間8が存在している。
【0026】
矢印方向におけるカムディスク5の回転時には調節傾斜部6が旋回アーム4を連行し、それによりシャッタブレード3がシャッタ開口部2から外側へ出ていくように旋回される。
【0027】
シャッタブレード3の閉位置の確保(ロック)のためにカムディスク5の回転は、図1に図示された位置において機械的に阻止(ブロック)されなくてはならない。そのためにブレード支持体1には(図1で見て)ブレード支持体1の下側に装着されたストローク式ソレノイド(Hubmagnet)の、カムディスク5の面に対して垂直に移動可能な第1タペット9が設けられている。第1タペット9は、繰り出された状態において、該第1タペット9がシャッタブレード3の閉位置においてカムの調節傾斜部6を直接的に阻止するように位置決めされている。第1タペット9は、非図示のストローク式ソレノイドの案内部において、該第1タペット9の軸方向に作用する機械的なばねの押圧力のもとに支持することができ、該ばねは、垂直方向の衝突損傷を回避するために、阻止すべきカムの調節傾斜部6が第1タペット9に達する前に第1タペット9をストローク式ソレノイドの非通電状態においてカムの谷間8へ押し出す。第1タペット9のこの機械的なはじき出し(突出運動)は、ストローク式ソレノイドの作動のための電気的なエネルギを節約する。
【0028】
図2は、シャッタブレード3の開位置において、図1と同様の配置構成を示している。ストローク式ソレノイドの通電により第1タペット9は引き込まれ、従ってカムディスク5は、非図示の駆動部の作用のもと矢印方向に回転することができる。先に阻止されていたカムの調節傾斜部6が引き込まれた第1タペット9を越えると直ちに、同種の第2タペット10が次のカムの谷間8へ挿入される。この第2タペット10は、旋回アーム4(の係合端)がカムヘッド7上に載置したときに該第2タペット10が次のカムの調節傾斜部6を阻止するように位置決めされている。カムヘッド7の高さと旋回アーム4の長さとは、カムの調節傾斜部6の上端部の到達時において旋回アーム4に固定されたシャッタブレード3がシャッタ開口部2を開放(開位置)するように互いに調整(マッチング)されている。
【0029】
第2タペット10を引き込んでカムディスク5の更なる回転を解放した後に各々の旋回アーム4は、各々のカムヘッド7を乗り越えて次のカムの谷間8の方向に向かう。この際の旋回アーム4の戻り運動(Ruecklauf)は、実質的に、旋回アーム4内に取り付けられた回転ばねによりもたらされる。カムヘッド7上に旋回アーム4が載置したときに起こりうる停滞(拘束 Haftung)を克服するために、補助的に第1板ばね(第1リーフスプリング)11が設けられており、該第1板ばね11は、旋回アーム4の外側への旋回時に張力が加えられる。それによりシャッタの制御は改善される。
【0030】
前に(第2タペット10により)阻止されていたカムが、引き続き引き込まれている第1タペット9(の位置)を通り過ぎると直ちに、該第1タペット9は再び次のカムの谷間8へ挿入され、従って引き続く(後続の)カムの調節傾斜部6が第1タペット9との当接によりシャッタブレード3の閉位置において阻止される。それによりシャッタサイクルが終了される。
【実施例2】
【0031】
図3に図示された実施例では、カムディスク5が環形状のディスクとして形成されており、該ディスクは、ブレード支持体1内において面一に支持されている。この際、カムは、隆起してブレード支持体1の上に位置するように形成されており、従ってブレード支持体1に旋回可能に配設された旋回アーム4は、カムと係合状態になることができる。カムディスク5のこの構成は、該カムディスク5のより簡単な回転案内とより大きな剛性とを可能にする。
【0032】
この際、カムの阻止は、ブレード支持体1上で自由回転可能に支持されており鋸歯形状の歯部13を備えた歯付きディスク12を介在して行われる。歯部13のより急勾配の傾斜部(第1歯部傾斜部 Flanke)がカムの調節傾斜部6と協働する。歯部13のより平坦な(穏やかな)傾斜部(第2歯部傾斜部)は、その形状においてカムの谷間8の形状に合うよう適合されている。歯付きディスク12は、金属製であってもよい。但し、歯部13の傾斜部は、カムの調節傾斜部6とは滑り接続状態にあるだけであり、カムは通常、プラスチック材料から製造されている。従って互いに対する損傷を危惧する必要はない。
【0033】
第1タペット9の繰り出しにより、歯付きディスク12の回転は、阻止位置であって、旋回アーム4がシャッタブレード3を閉位置へ旋回した位置において歯付きディスク12の歯部13の1つがカムディスク5の回転を停止(保持)する阻止位置において阻止される。この阻止位置において第2タペット10は同様に繰り出されていることが可能であるが、その理由は、該第2タペット10が矢印方向における歯付きディスク12の回転を妨害しないためである。第1タペット9の引き込み後に歯付きディスク12は、1つの歯部13が第2タペット10に当たるまで、カムディスク5(の矢印方向の回転)により矢印方向に更に回転される。この位置において第1タペット9は、既に再び繰り出されていることが可能である。この位置においてシャッタは開放位置にある(図4)。
【0034】
第1タペット9と第2タペット10は、この実施例においては比較的離れて位置しており、それによりブレード支持体1におけるストローク式ソレノイドの組み立てが容易化される。歯部の間の異なった空所に第1タペット9と第2タペット10を配置することは、これらのタペットの時間的な制御を簡素化するが、その理由は、その都度につき阻止していないタペットを、阻止しているタペットの引き込み前に既にスタンバイ位置へもたらすことができるためである。
【実施例3】
【0035】
上述の阻止システム(ブロックシステム)の一展開形態が図5に図示されている。ここでは、周部に配設され互いに離間され且つ対称的に形成された羽根部(ギヤの歯状突部)15を備えた羽根付きディスク14がカムディスク5のカムと作用接続している。このケースでは、羽根部15は、切り替え可能な第1タペット9と第2タペット10を介して直接的に阻止されるのではなく、旋回可能に支持された一腕式(ワンアーム式ないし片持ち式)の第1ラッチレバー(第1キャッチレバー)16と第2ラッチレバー(第2キャッチレバー)17により阻止される。これらの第1ラッチレバー16と第2ラッチレバー17は、各々、額部(端面部)19と顎部(側端部)20を備えたラッチヘッド18を有する。第1ラッチレバー16と第2ラッチレバー17は(各々に対応して設けられた)第2板ばね21(複数)を介して羽根付きディスク14の方向に押し付けられ、また羽根部15を介して羽根付きディスク14から離れていく方向にも第2板ばね21に抗して押し付け可能である。しかしこの離れていく方向に関しては第1ラッチレバー16と第2ラッチレバー17は第1タペット9と第2タペット10により阻止可能となっている。
【0036】
図5に図示されたシャッタブレード3の閉位置においてカムディスク5は羽根付きディスク14を第1ラッチレバー16におけるラッチヘッド18の額部19に対して押し付けている。第1タペット9が繰り出されており、従って第1ラッチレバー16が羽根部15の押し付けのもと更に外側へ押し出されることを阻止している。第1ラッチレバー16の額部19における羽根部15の当接により阻止された羽根付きディスク14は、別の羽根部15を介してカムディスク5を阻止し、即ちカムディスク5の回転を阻止し、シャッタブレード3の閉位置において旋回アーム4を保持している。
【0037】
第2ラッチレバー17は、同様に第2タペット10により該第2タペット10の位置において更なる外側への旋回に対して阻止されるが、羽根付きディスク14の矢印方向における回転可能性を阻止してはいない。第1タペット9の引き込み後にカムディスク5が羽根付きディスク14を回転させる。この際、第1ラッチレバー16の額部19に当接する羽根部15は該額部19に沿うようにスライドし、第1ラッチレバー16を第2板ばね21の作用に抗して外側へ押し付ける。同時に他の羽根部15が第2ラッチレバー17における顎部20にぶつかり、従ってシャッタブレード3の開位置において羽根付きディスク14とカムディスク5の更なる回転を阻止する(図6)。
【0038】
第1ラッチレバー16のラッチヘッド18は、第2板ばね21の作用のもと再び羽根部15の間の空所へ押し入れられ、この位置において第1タペット9の繰り出しにより位置固定することができる。第2タペット10の引き込み後に、第2ラッチレバーの顎部20に当接する羽根部15は顎部20に沿うようにスライドし、そして別の羽根部15が再び第1ラッチレバー16の額部19に当接して図5に示す状態が再び確立されるに至るまで、第2ラッチレバー17を外側へ押し付ける。
【0039】
第1ラッチレバー16と第2ラッチレバー17の(外側への)押し出し時に克服すべき押し付け力は、これらのラッチレバーのレバー長により(てこの原理により)減少され、従ってシャッタブレード3の限界位置(開閉位置)の間において遥かに速い解放時間(リリース時間)が可能である。
【0040】
それに応じ、同様に第1ラッチレバー16と第2ラッチレバー17における第1タペット9と第2タペット10の保持力は減少され、従ってストローク式ソレノイドにおいて第1タペット9と第2タペット10の引き込みのために使われる電気的なエネルギーは減少される。
【0041】
第1タペット9及び第2タペット10と、直接的に阻止すべき構成部材5、12、18との間における摩擦に依存する力を減少させるために、タペットヘッド22を円錐形状に先細りに形成することが有利であり、その様子がラッチレバーの阻止の例として図7及び図8に図示されている。タペットヘッド22の形状に適合させて、阻止すべき構成部材18における該タペットヘッド22と協働(係合)する面23も傾斜されている。補助的にタペットヘッド22をセラミックコーティングするか又は載置して取り付けられるセラミック円錐形状部材として構成することも可能である。
【0042】
その際、第1タペット9の引き込み時には、タペットヘッド22と構成部材18の面23との間の静止摩擦を克服した後には、多大に加速された第1タペット9の引き込みを可能とするタペットヘッド22に対する空隙24が生じていることが見てとれる。
【符号の説明】
【0043】
1 ブレード支持体
2 シャッタ開口部
3 シャッタブレード
4 旋回アーム
5 カムディスク
6 急勾配の調節傾斜部(調節立ち上がり部)
7 カムヘッド
8 カムの谷間
9 第1タペット
10 第2タペット
11 第1板ばね
12 歯付きディスク
13 歯部
14 羽根付きディスク
15 羽根部
16 第1ラッチレバー
17 第2ラッチレバー
18 ラッチヘッド
19 ラッチヘッドの額部
20 ラッチヘッドの顎部
21 第2板ばね
22 タペットヘッド(円錐形状である)
23 構成部材面(傾斜している)
24 空隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セントラルシャッタを制御するための装置であって、
円環形状のブレード支持体(1)には複数のシャッタブレード(3)が旋回アーム(4)により旋回可能に支持されており、前記シャッタブレード(3)の旋回運動のための調節装置として、シャッタ開口部(2)に対して同心に前記ブレード支持体(1)には環形状のカムディスク(5)が一方向において連続的に回転可能に支持されており、該カムディスク(5)の回転が、カムの調節傾斜部(6)の前方におけるカムの谷間(8)への機械的な係合により阻止可能である形式の装置において、
当該機械的な阻止のために、前記カムディスク(5)の面に対して垂直に移動可能であるストローク式ソレノイドのタペット(9、10)が設けられていること
を特徴とする装置。
【請求項2】
前記タペット(9、10)には、前記ストローク式ソレノイドに支持されて軸方向に作用する機械的なばねが付設されており、該ばねには、前記ストローク式ソレノイドの通電時に前記タペット(9、10)の引き込みにより張力を付勢することができること
を特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
2つのストローク式ソレノイドが設けられており、該ストローク式ソレノイドは、該ストローク式ソレノイドのタペット(9、10)が前記シャッタブレード(3)の開位置において前記カムの調節傾斜部(6)を阻止するか、又は前記シャッタブレード(3)の閉位置において前記カムの調節傾斜部(6)を阻止するように位置決めされていること
を特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ブレード支持体(1)には、前記カムディスク(5)と係合状態にあり前記カムディスク(5)により駆動可能な歯付きディスク(12)が回転可能に支持されており、該歯付きディスクの複数の歯部(13)が、回転方向において、前記カムディスク(5)のカムの調節傾斜部(6)に対応する歯部傾斜部と、カムの谷間(8)の形状に適合された形状部とを有し、そして前記ストローク式ソレノイドが該歯付きディスク(12)の阻止のために位置決めされていること
を特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
2つのストローク式ソレノイドが設けられており、該ストローク式ソレノイドは、該ストローク式ソレノイドのタペット(9、10)が前記シャッタブレード(3)の開位置において歯部傾斜部を阻止するか、又は前記シャッタブレード(3)の閉位置において歯部傾斜部を阻止するように位置決めされていること
を特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記ブレード支持体(1)には、前記カムディスク(5)と係合状態にあり前記カムディスク(5)により駆動可能であり、そして周部に配設され互いに離間され且つ対称的に形成された複数の羽根部(15)を備えた羽根付きディスク(14)が回転可能に支持されており、前記羽根部(15)はリフティングマグネットを用いて阻止可能であること
を特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記ブレード支持体(1)には、一腕式のラッチレバー(16、17)が旋回可能に支持されており、該ラッチレバーはラッチヘッド(18)を有し、該ラッチヘッドは前記羽根付きディスク(14)の羽根部(15)と当接状態にもたらすことができること
を特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記ラッチレバー(16、17)は、前記ラッチヘッド(18)が前記羽根付きディスク(14)に向かって旋回可能であるように第2板ばね(21)と連結されていること
を特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記ラッチレバー(16、17)は、前記ラッチヘッド(18)が前記羽根部(15)の間へ旋回挿入された位置において、ストローク式ソレノイドの前記タペット(9、10)により阻止可能であること
を特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
2つのラッチレバー(16、17)が設けられており、該ラッチレバーは各々、旋回位置であって、前記カムディスク(5)と係合状態にある羽根部(15)が前記カムディスク(5)を前記シャッタブレード(3)の閉位置において保持する位置において前記ラッチヘッド(18)の額部(19)が羽根部(15)を阻止するか、又は前記カムディスク(5)と係合状態にある羽根部(15)が前記カムディスク(5)を前記シャッタブレード(3)の開位置において保持する位置において前記ラッチヘッド(18)の顎部(20)が羽根部(15)を阻止するという旋回位置において阻止可能であること
を特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記タペット(9、10)のタペットヘッド(22)は、円錐形状で先細りになっていること
を特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記タペット(9、10)のタペットヘッド(22)は、セラミック表面を備えていること
を特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
阻止すべき構成部材(5、12、18)における前記タペットヘッド(22)と協働する面(23)が、前記タペットヘッド(22)の円錐形状の先細り面と平行な傾斜を有すること
を特徴とする、請求項11に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−518306(P2013−518306A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550359(P2012−550359)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000185
【国際公開番号】WO2011/091960
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(597114889)ライカ カメラ アクチエンゲゼルシャフト (11)
【Fターム(参考)】