説明

セーフティボックス

【課題】非使用時には容易に持ち運びできかつ使用時には相当の重量を付与でき、施錠及び解錠の操作が容易で鍵を紛失するおそれが無く、強制的な持ち去り行為に対する対抗手段を備えたセーフティボックスを提供する。
【解決手段】収納部12と重錘部11とをもつ本体筐体10と、収納部12は、本体筐体10の一部を形成する収納部筐体12aと、対象物品を収納する収納部空間12bと、開閉可能な収納部蓋12cと、収納部蓋12cを閉状態に保持するための電気錠14と、所定の情報を入力されることにより電気錠14の施錠及び解錠を制御する制御装置17と、を備え、重錘部11は、本体筐体10の一部を形成する重錘部筐体11aと、重錘物を収納する重錘部空間11bと、重錘部空間11b内に重錘物を充填又は排出するための開口11c,11dと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海や山のアウトドアでのレジャー等の際に貴重品を収納するために用いるセーフティボックスに関し、特に、非使用時には容易に持ち運び可能なセーフティボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アウトドアでのレジャーの際に、財布、携帯電話、免許証等の貴重品の保管に困ることがよくある。例えば、海水浴や登山等では、貴重品を身につけることが困難な場合、拠点となる場所に貴重品を置いたまま、泳いだり登攀したりすることがある。このようなときに参加者が交替で貴重品を見張らなければならないと、全員で楽しむことができなくなる。特許文献1では、防水の貴重品携帯用ポーチを提示しているが、どのようにコンパクトなものであっても身につけるものである以上、動きの妨げとなる等の支障は避けられない。
【0003】
そこで、特許文献2では、蓋付きの開口部を有し貴重品と重量物とを収納する携帯用収納体を提示している。使用時には海水、砂、石等を重量物として収納し、収納体を持ち運び難くすることにより盗難防止を図るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−10022号公報
【特許文献2】特開2004−129706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2の携帯用収納体は、蓋と収納体を一般的な手動式の錠で連結しロックするものであるので、少なくとも鍵は身につけておく必要がある。また、鍵を紛失すると解錠できなくなるという問題がある。また、収納体の重量にも拘わらずこれを持ち去ろうとする行為に対する対抗策は考慮されていない。
【0006】
本発明は、上記の従来技術の問題点に鑑み、非使用時には容易に持ち運びでき、使用時には相当の重量を付与できるセーフティボックスであって、施錠及び解錠の操作が容易であり、鍵を紛失するおそれが無く、強制的な持ち去り行為に対する対抗手段を備えたものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するべく、本発明は以下の構成を提供する。括弧内の数字は、後述する図面中の符号であり、参考のために付する。
本発明によるセーフティボックスは、錘部(11)と収納部(12)とを設けられた本体筐体(10)を有し、前記重錘部(11)は、前記本体筐体(10)の一部を形成する重錘部筐体(11a)と、前記重錘部筐体(11a)で囲まれ重錘物を収納するための重錘部空間(11b)と、前記重錘部空間(11b)内に重錘物を充填又は排出するための開口(11c,11d)と、を備え、前記収納部(12)は、前記本体筐体(10)の一部を形成する収納部筐体(12a)と、前記収納部筐体(12a)で囲まれ対象物品を収納するための収納部空間(12b)と、前記収納部空間(12b)を閉鎖するための開閉可能な収納部蓋(12c)と、前記収納部蓋(12c)を閉状態に保持するための電気錠(14)と、所定の情報を入力されることにより前記電気錠(14)の施錠及び解錠を制御する制御装置(17)と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
上記のセーフティボックスにおいて、前記本体筐体(10)が動かされたことを検知するセンサ(15b,15c)と、前記センサが検知することに応じて作動する音響的又は視覚的な警報装置(16a,16b)と、を前記本体筐体(10)に設けたことが、好適である。
【0009】
上記のセーフティボックスにおいて、前記本体筐体(10)から所定の距離内に接近した人間を検知する人感センサ(15a)と、前記人感センサ(15a)が検知することに応じて作動する音響的又は視覚的な警報装置(16a,16b)と、を前記本体筐体(10)に設けたことが、好適である。
【0010】
上記のセーフティボックスにおいて、前記制御装置(17)は、前記本体筐体(10)から離隔した遠隔装置(21,22)と無線通信可能であり、前記警報装置(16a,16b)が作動したことに応じて前記遠隔装置(21,22)に対してその作動を通知する信号を送信することが、好適である。
【0011】
上記のセーフティボックスにおいて、前記制御装置(17)は、前記遠隔装置(21,22)から所定の信号を受信したことに応じて前記電気錠(14)の施錠又は解錠を制御可能であることが、好適である。
【0012】
上記のセーフティボックスにおいて、前記警報装置(16a,16b)が作動したことに応じて発信を開始する発信器を、前記本体筐体(10)に設けたことが、好適である。
【0013】
上記のセーフティボックスにおいて、前記収納部筐体(12a)と前記重錘部筐体(11a)とは分離不能であり一体的に前記本体筐体(10)を形成していることが、好適である。
【0014】
上記のセーフティボックスにおいて、前記収納部筐体(12a)と前記重錘部筐体(11a)とは互いに連結分離可能であり、前記収納部蓋(12c)は、前記収納部筐体(12a)と前記重錘部筐体(11a)の連結状態における前記収納部筐体(12a)の連結面(12e)上に設けられ、前記電気錠(14)は、前記収納部筐体(12a)と前記重錘部筐体(11a)とを連結状態に保持すると同時に前記収納部蓋(12c)を閉状態に保持することが、好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、アウトドア等での使用に適した簡易なセーフティボックスを実現する。本発明によるセーフティボックスは、本体筐体の重錘部の重錘部空間に適宜の重錘物を充填することにより、持ち運び困難な程度の重量を付与することが可能である。例えば、海水浴で使用する際には、重錘物として、水、海水、砂、石等を充填する。収納部空間には、金銭や携帯電話等の貴重品を収納する。非使用時には、重錘物を排出することにより重量を軽くし、容易に持ち運び可能となる。特に、収納部蓋を閉状態に保持する電気錠と、所定の情報を入力されることにより電気錠の施錠及び解錠を制御する制御装置とを備えたことにより、鍵を用いる必要がないため鍵を身につけたり紛失したりするおそれがない。
【0016】
また、本体筐体が動かされたことを検知するセンサと、センサが検知することに応じて作動する音響的又は視覚的な警報装置とを備えたことにより、セーフティボックスを持ち去ろうとして動かした人間に対して警告を発することができ、持ち去る意欲を削ぐことができる。
【0017】
また、本体筐体から所定の距離内に接近した人間を検知する人感センサと、人感センサが検知することに応じて作動する音響的又は視覚的な警報装置とを備えたことにより、セーフティボックスを持ち去ろうとする人間に対して警告を発することができ、持ち去ろうとする意欲を削ぐことができる。
【0018】
また、本体筐体から離隔した遠隔装置を使用者が身につけておき、その遠隔装置は無線にて制御装置と通信可能であり、警報装置が作動したことに応じて制御装置が遠隔装置に対してその作動を通知する信号を送信することにより、使用者はセーフティボックスに異変があったことを直ちに知ることができる。
【0019】
また、遠隔装置から所定の信号を受信したことに応じて制御装置が電気錠の施錠又は解錠を制御可能であることにより、使用者は、制御装置を手動操作するよりも施錠又は解錠を容易に行うことができる。
【0020】
また、収納部筐体と重錘部筐体とが分離不能であり一体的に本体筐体を形成している場合は、構造がシンプルで製造コストが安価である。
【0021】
また、収納部筐体と重錘部筐体とが互いに連結分離可能な場合は、分離状態とすることにより重錘部に重錘物を充填したり排出したりする操作を容易に行うことができる。さらに、収納部蓋を、収納部筐体と重錘部筐体の連結状態における収納部筐体の連結面上に設けることにより、連結状態では収納部蓋が外面に露出しないため、蓋の位置が視認できず、蓋をこじ開けるような行為から保護することができる。またさらに、電気錠を、収納部筐体と重錘部筐体とを連結状態に保持するために用いることにより、収納部蓋自体には電気錠が設けられなくとも同じ効果を得ることができる。つまり、電気錠は、連結状態を保持する役割と収納部蓋を閉じた状態に保持する役割を兼用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施例であるセーフティボックスを示した一部切り欠き斜視図である。
【図2】本発明の別の実施例であるセーフティボックスを示した斜視図である。
【図3】(a)は、本発明のさらに別の実施例であるセーフティボックスの連結状態を示した斜視図であり、(b)は分離状態を示した斜視図である。
【図4】(a)は、本発明のさらに別の実施例であるセーフティボックスの連結状態を示した斜視図であり、(b)は分離状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の各実施例を示した図面を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施例であるセーフティボックス1Aを示した一部切り欠き斜視図である。セーフティボックス1Aは、略直方体の本体筐体10を有する。本体筐体10は、セーフティボックスの筐体として、容易に破損したり破壊されたりしない程度の強度と耐久性を備えている。但し、セーフティボックスとしての重量は、重錘部11に重錘物を充填することにより得られるので、本体筐体10自体はセーフティボックスとしての重量を備える必要はなく、むしろ非使用時に持ち運びし易いように軽量である方が好適である(後述する他の実施例においても同様)。
【0024】
本実施例では、本体筐体10に、重錘部11と収納部12とが一体的に設けられている。重錘部11が下部に、収納部12が上部に設けられ、これらは区画壁13により区画されている。本体筐体10の底板10aは、左右方向に張り出しており、これらの張り出し部分に固定杭19を通して砂浜や地面に固定することにより、さらに移動困難とすることができる(後述する他の実施例においても同様)。
【0025】
重錘部11は、本体筐体10の一部を形成する重錘部筐体11aと、重錘部筐体11aにより四方の側面を囲まれた重錘部空間11bと、充填口11c及び排出口11dとを備えている。重錘部空間11bは重錘物を収納するための空間である。重錘物は、例えば、水、海水、砂、石等であり、アウトドアで容易に入手できるものを利用する。図示の例では、重錘部空間11bの上面を形成する区画壁13上に充填口11cである開口が設けられ、重錘部空間11bの下面を形成する本体筐体10の底板10aに排出口11dである開口が設けられている。充填口11c及び排出口11dの各面上での位置、形状及び大きさは、図示の例に限定されない。重錘物が液体の場合に漏出しないように、重錘部筐体11a、区画壁13、充填口11c及び排出口11dは防水性及び密閉性を具備することが好適である。
【0026】
収納部12は、本体筐体10の一部を形成する収納部筐体12aと、収納部筐体12aで囲まれた収納部空間12bと、収納部空間12bを閉鎖するための開閉可能な収納部蓋12cとを備えている。収納される対象物品は、例えば、金銭や携帯電話等の貴重品である。収納部蓋12cは、蝶番12dにより開閉される。収納部蓋12cを閉状態に保持するための電気錠14を構成する各部品が収納部蓋12cと収納部筐体12aのそれぞれに取り付けられている。電気錠14は、手動ではなく電気的に施錠及び解錠される。電気錠14は、モーター式、ソレノイド式、電磁石式等の公知のいずれの種類でもよい。
【0027】
制御装置17は、電気錠14の施錠及び解錠を制御する信号を電気錠14に送る(配線の図示は省略)。制御装置17の操作部を介して所定の情報を入力することにより電気錠14を施錠又は解錠することができる。図示の例では、制御装置17はテンキーボードを操作部として具備し、例えば、施錠及び解錠の際に所定のパスワードを入力する。生体認証方式でもよいが、パスワード方式は低コストである点で好適である。
【0028】
制御装置17は、電気錠14を制御するのみでなく、後述する種々のセンサや警告装置の設定及び制御も行う機能を備えていてもよい。そのために、制御装置17は、簡易プログラムを設定可能なプログラマブルコントローラを内蔵する。また、制御装置17は、アウトドアで使用されるため防水性を有することが好適であり、例えばタッチパネルとしたり、防水用カバーを設けたりしてもよい。タッチパネルのように比較的大きな画面を備えている場合は、画面上に写真や動画を表示可能となる。また、音声出力装置(後述する警報器にも兼用してよい)を備え、音楽や音声を出力可能としてもよい。
【0029】
重錘部11に重錘物を充填する場合は、収納部蓋12cを開き、収納部空間12bの底面にある充填口11cを開いて充填する。例えば、水の場合はホースを用いてもよく、砂の場合は漏斗のような器具を用いてもよい。重錘物を排出する場合は、本体筐体10を横倒しにし、本体底面の排出口11dを開いて排出させる。セーフティボックス1Aの使用時に、悪意の有る者によって開けられて重錘物を排出させられないように、充填口11c及び排出口11dは外観上視認できない箇所及び操作し難い箇所に設けることが、好適である。
【0030】
好適には、本体筐体10が動かされた際の振動を検知する振動センサ15bと、振動センサ15bが検知することに応じて作動する音響的又は視覚的な警報装置とを、本体筐体10に取り付けることが好適である。振動センサ15bの取付位置は、適切な位置であればよい。警報装置は、例えば、アラームを鳴らす警報器16aや、点滅発光する警報灯16bである。なお、振動センサ15bの感度並びに各警報装置の警報の程度、種類及び持続時間等を、制御装置17の操作部により設定可能としてもよい。
【0031】
また、好適には、本体筐体10から所定の距離内に接近した人間を検知する人感センサ15aと、人感センサ15aが検知することに応じて作動する音響的又は視覚的な警報装置とを、本体筐体10に取り付けることが好適である。振動センサ15bの取付位置は、適切な位置であればよい。警報装置は、上記の警報器16a、警報灯16bを兼用できる。なお、人感センサ15aの感度並びに各警報装置の警報の程度、種類及び持続時間等も、制御装置17の操作部により設定可能としてもよい。
【0032】
さらに、センサの別の実施例として、リミットスイッチ15cを本体筐体の底板10aに取り付けてもよい。図1の左下の枠囲み内に、リミットスイッチ15cの作動状況を概略的に示す。本体筐体の底板10aが地面に接している状態では、リミットスイッチ15cの検知ロッド15c2がスプリングを圧縮しており、接点15c1は開状態である。本体筐体が持ち上げられて底板10aが地面から離れると、検知ロッド15c2がスプリングにより押し出され、接点15c1が閉状態となる。リミットスイッチ15cは、制御装置17と連係しており、接点15c1の開閉は制御装置により検知される。制御装置17は、リミットスイッチ15cからの信号を検知すると、上記の警報装置を作動させる。なお、リミットスイッチ15cは図示の例に限られず、公知の種々のタイプを利用できる。
【0033】
またさらに、リミットスイッチに限られず、本体筐体が移動したことを検知可能なセンサであれば、公知のいずれのタイプのセンサ(例えば、光センサ、超音波センサ等)も利用できる。
【0034】
遠隔装置21、22は、使用者が負担を感じずに身につけることができるペンダント型やブレスレット型の小型軽量機器であり、少なくとも受信機能と簡易出力機能とを備えている。簡易出力機能は、例えば、表示画面、LED、アラーム等である。制御装置17は、本体筐体10から離隔した遠隔装置21、22と無線通信可能である。例えば、制御装置17は、警報装置16a、16bが作動したことに応じて遠隔装置21、22に対してその作動を通知する信号を送信する。遠隔装置21、22は、この信号を受信すると簡易出力装置に出力する。例えば、発光したりアラームを鳴らしたりする。これにより、使用者は異変の発生を知ることができる。
【0035】
また、遠隔装置21、22は、制御装置17の遠隔操作キーとしての機能を備えていてもよい。この場合、遠隔装置21、22は、送信機能と簡易入力機能とを備える。簡易入力機能は、例えば、押しボタンである。そして、制御装置17は、遠隔装置21、22から所定の信号を受信したことに応じて電気錠14の施錠又は解錠を制御する。この機能は、例えば、使用者が制御装置17の操作部にパスワードを入力し終えてセーフティボックスから遠ざかる際に遠隔装置21、22を用いて施錠したり、使用者が施錠されているセーフティボックスに近づく際に遠隔装置21、22を用いて解錠したりするために用いられる。
【0036】
このように、制御装置17と遠隔装置21、22は、一方向又は双方向の通信を行えるようにする。一方向のみの通信機能は低コストである。双方向の通信機能を備えることにより、多様な利用形態が可能となる。
【0037】
遠隔装置21、22のさらに別の利用例として、セーフティボックスの各種機器の機能に異常が発生したときに、遠隔装置21、22に対してそれを知らせる信号を送ってもよい。例えば、制御装置17のCPUエラーや電源電圧低下等である。なお、この機能異常を知らせる信号は、制御装置17から自動で送信されるのみでなく、セーフティボックスの設置場所にいる関係者が、制御装置17を手動操作して送信できるようにしてもよい。
【0038】
また、遠隔装置21、22のさらに別の利用例として、遠隔装置21、22の使用者から制御装置17に対して何らかの信号(例えば、救助要請信号)を送信できるようにする。
【0039】
さらに、図示しないが、警報装置16a、16bが作動したことに応じて所定の信号の発信を開始する発信器を、本体筐体10に取り付けることが好適である。発信器が持続的に発信する信号は、遠隔装置21、22又は図示しない所定の外部受信機により受信可能とする。このような発信器により、セーフティボックスが持ち去られた際に位置を探索する手掛かりを得ることができる。
【0040】
電気錠14、制御装置17、各種センサ15a、15b及び警報装置16a、16b等のうち、電源を必要とする機器のために太陽電池18を備えることが好適である。なお、太陽電池18に替えて通常の電池を電源としてもよい。
【0041】
図1の実施例における各種センサ15a、15b及び警報装置16a、16b等は、後述する他の実施例では説明を省略するが、他の実施例においても同様に取付けることができる。
【0042】
図2は、本発明の別の実施例であるセーフティボックス1Bを示した斜視図である。図1の実施例と同じ構成要素については、同じ符号で示している。
【0043】
セーフティボックス1Bでは、重錘部11と収納部12が上下方向ではなく左右方向に並設されている。重錘部11への重錘物の充填及び排出のための開口は、底面の充填排出口11fである。この場合、1つの開口が充填及び排出に兼用されている(他の実施例でも同様に、充填口と排出口を兼用してもよい)。重錘物の充填及び排出は、セーフティボックス1Bの向きを替えて行う。収納部12の収納部蓋12cを開閉するための取っ手凹部12c1が設けられている(他の実施例でも同様に、収納部蓋12cに適宜の取っ手を設けてもよい)。
【0044】
図3(a)は、本発明のさらに別の実施例であるセーフティボックス1Cの連結状態を示した斜視図であり、(b)は分離状態を示した斜視図である。図1の実施例と同じ構成要素については、同じ符号で示している。
【0045】
セーフティボックス1Cは、重錘部11と収納部12が左右に並設されているが、重錘部11と収納部12を連結分離可能である。すなわち、収納部筐体12a重錘部筐体11aとは、互いに連結したり、分離したりできる。
【0046】
図3(b)の分離状態の斜視図に示すように、収納部12の収納部蓋12cは、収納部筐体12aの側面に設けられている。この側面は、収納部筐体12aと重錘部筐体11aの連結状態における連結面12eに相当する。連結状態においては、収納部筐体12aの連結面12eと重錘部筐体11aの連結面11eの各々の全面が互いに当接する。すなわち、連結状態においては、収納部蓋12cは外面には全く露出せず、視認することも触れることもできない。この収納部蓋12c自体には、直接的に施錠するための電気錠は設けられていない。但し、収納部蓋12cは、独りでに開いたりしない程度の係止手段(図示せず)は備えている。
【0047】
電気錠14は、収納部筐体12aと重錘部筐体11aとを連結状態に保持するために設けられている。具体的には、電気錠14を構成する各部品が、収納部筐体12aの連結面12eと重錘部筐体11aの連結面11eのそれぞれに取り付けられている。図示の例では、2カ所に電気錠14を設けているが、これらは連動し、いずれも制御装置17により施錠及び解錠を制御される。このように、重錘部11と収納部12が連結分離可能なセーフティボックス1Cにおいても、電気錠14が収納部蓋12cを閉状態に保持するために機能する点では、上述の図1及び図2の実施例と同様である。つまり、電気錠14は、収納部筐体12aと重錘部筐体11aとを連結状態に保持すると同時に収納部蓋12cを閉状態に保持する役割を果たしている。
【0048】
さらに、重錘部11に重錘物を充填する充填口11c及び排出する排出口11dも、重錘部筐体11aの連結面11e上に設けられている。これにより、連結状態においては、充填口11c及び排出口11dの双方とも外部から視認できず触れることもできなくなる。
【0049】
重錘部11に重錘物を充填する場合は、重錘部11と収納部12とを分離した状態で、重錘部筐体11aの連結面11eにある充填口11cを開いて充填する。また、排出する場合も分離した状態で排出口11dを開いて排出する。なお、充填口11cと排出口11dを1つの開口で兼用してもよい。この場合、重錘部11への重錘物の充填と、収納物12への対象物品の収納を、分離状態で別個に行うことができるので、取り扱いが容易で便利である。
【0050】
図4(a)は、本発明のさらに別の実施例であるセーフティボックス1Dの連結状態を示した斜視図であり、(b)は分離状態を示した斜視図である。図1の実施例と同じ構成要素については、同じ符号で示している。
【0051】
図4(b)に示すように、セーフティボックス1Dは、図3のセーフティボックス1Cと同様に重錘部11と収納部12を連結分離可能である。但し、セーフティボックス1Dでは、重錘部11と収納部12が上下方向に重ねられて配置されている。収納部筐体12aの収納部蓋12cは、収納部筐体12aの底面である連結面12e上に設けられている。収納部12に対象物品を収納する際には、収納部蓋12cのある面を横又は上に向けて開閉する。収納部蓋12c自体には、直接的に施錠するための電気錠は設けられていない。但し、収納部蓋12cは、下向きとなっても独りでに開いたりしない程度の係止手段(図示せず)は備えている。
【0052】
また、重錘部11の充填排出口11fは、重錘部筐体11aの上面である連結面11e上に設けられている。充填排出口11fは、充填口と排出口を兼ねている。
【0053】
電気錠14を構成する各部品は、収納部筐体12aの下面である連結面12e及び重錘部筐体11aの上面である連結面11eのそれぞれに取り付けられている。図4のセーフティボックス1Dも図3のセーフティボックス1Cと同様に、電気錠14は、収納部筐体12aと重錘部筐体11aとを連結状態に保持すると同時に収納部蓋12cを閉状態に保持する役割を果たしている。
【0054】
以上述べた各実施例において、セーフティボックスの外観は、制御装置等の外面に露出した機器をカバーで隠したり、通常のクーラーボックスに見えるようにしたりすることが好適である。
【0055】
本発明は、以上に説明した実施例に限定されず、その原理を用いた形態のセーフティボックスであれば本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1A、1B、1C、1D:セーフティボックス
10:本体筐体
10a:筐体底板
11:重錘部
11a:重錘部筐体
11b:重錘部空間
11c:充填口
11d:排出口
11e:連結面
11f:充填排出口
12:収納部
12a:収納部筐体
12b:収納部空間
12c:収納部蓋
12d:蝶番
12e:連結面
13:区画壁
14:電気錠
15a:人感センサ
15b:振動センサ
15c:リミットスイッチ
16a:警報器
16b:警報灯
17:制御装置
18:太陽電池
19:固定杭
21,22:遠隔装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重錘部(11)と収納部(12)とを設けられた本体筐体(10)を有し、
前記重錘部(11)は、前記本体筐体(10)の一部を形成する重錘部筐体(11a)と、前記重錘部筐体(11a)で囲まれ重錘物を収納するための重錘部空間(11b)と、前記重錘部空間(11b)内に重錘物を充填又は排出するための開口(11c,11d)と、を備え、
前記収納部(12)は、前記本体筐体(10)の一部を形成する収納部筐体(12a)と、前記収納部筐体(12a)で囲まれ対象物品を収納するための収納部空間(12b)と、前記収納部空間(12b)を閉鎖するための開閉可能な収納部蓋(12c)と、前記収納部蓋(12c)を閉状態に保持するための電気錠(14)と、所定の情報を入力されることにより前記電気錠(14)の施錠及び解錠を制御する制御装置(17)と、を備えたことを特徴とするセーフティボックス。
【請求項2】
前記本体筐体(10)が動かされたことを検知するセンサ(15b,15c)と、前記センサが検知することに応じて作動する音響的又は視覚的な警報装置(16a,16b)と、を前記本体筐体(10)に設けたことを特徴とする請求項1に記載のセーフティボックス。
【請求項3】
前記本体筐体(10)から所定の距離内に接近した人間を検知する人感センサ(15a)と、前記人感センサ(15a)が検知することに応じて作動する音響的又は視覚的な警報装置(16a,16b)と、を前記本体筐体(10)に設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のセーフティボックス。
【請求項4】
前記制御装置(17)は、前記本体筐体(10)から離隔した遠隔装置(21,22)と無線通信可能であり、前記警報装置(16a,16b)が作動したことに応じて前記遠隔装置(21,22)に対してその作動を通知する信号を送信することを特徴とする請求項2又は3に記載のセーフティボックス。
【請求項5】
前記制御装置(17)は、前記遠隔装置(21,22)から所定の信号を受信したことに応じて前記電気錠(14)の施錠又は解錠を制御可能であることを特徴とする請求項4に記載のセーフティボックス。
【請求項6】
前記警報装置(16a,16b)が作動したことに応じて発信を開始する発信器を、前記本体筐体(10)に設けたことを特徴とする請求項2又は3に記載のセーフティボックス。
【請求項7】
前記収納部筐体(12a)と前記重錘部筐体(11a)とは分離不能であり一体的に前記本体筐体(10)を形成していることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のセーフティボックス。
【請求項8】
前記収納部筐体(12a)と前記重錘部筐体(11a)とは互いに連結分離可能であり、前記収納部蓋(12c)は、前記収納部筐体(12a)と前記重錘部筐体(11a)の連結状態における前記収納部筐体(12a)の連結面(12e)上に設けられ、前記電気錠(14)は、前記収納部筐体(12a)と前記重錘部筐体(11a)とを連結状態に保持すると同時に前記収納部蓋(12c)を閉状態に保持することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のセーフティボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−180687(P2012−180687A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44602(P2011−44602)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(505376503)DTエンジニアリング株式会社 (8)
【Fターム(参考)】