説明

ゼロヘッドスペースのための容器挿入物

液体組成物を収容するために好適な容器であると共に該容器(3)の首部(2)に位置する挿入物(1)を含む容器(3)であって、該容器(3)が液体組成物を充填された場合に、この挿入物(1)の下方にゼロヘッドスペースが存在する容器(3)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にゼロヘッドスペースを有する容器に関する。より具体的には、本発明は、容器内のゼロヘッドスペースを達成する挿入物に関する。
【背景技術】
【0002】
液体組成物が消費者用のパッケージに包装されると、通常、封止され得る前に、容器の上部に空気が閉じ込められる。容器(ヘッドスペース)の上部に閉じ込められた空気は結果的に気泡を生じ、これは、ボトルを回転させるか、又はその向きを変えた場合に、ボトル内の組成物を分離させる。容器内の液体組成物内に特定のデザインがつくられた場合、気泡は、輸送中にデザインに損傷を与える恐れがある。ヘッドスペースは一般的に、空気が容器の上部に残留することを防ぐために、容器を十分な量の組成物で「一杯にする」ことによって低減することができる。しかしながら、この技法は自動化することが困難であり、そのため典型的には手で行わなければならない。加えて、「一杯にする」ことで、多くの場合、液体組成物が溢れる結果となり、これは費用がかかり、かつ容器内の液体製品の全体的な品質を危険に晒す。
【0003】
ヘッドスペースを排除するための既知の方法は、液体入り容器に通気孔をつけることである。1つの技法は、内部圧力が所定の閾値に達したときに、密閉部の通気開口部を持ち上げ、開くために使用される、ゴムの断片、金属のバネ、及び/又は柔軟なフィルム(典型的には塩化ビニル)を含む、圧力システムを含む。通気孔を開ける方法は、操作可能にするために、空気を逃す液体の種類に大きく依存する。これはまた、デザインの選択肢を制限し、液体組成物の最適な分配を妨げる。別の技法は、密閉部内に精巧な通路を提供することであり、これによって気体はシステムから出るが、液体の流出は最小限となる。ピンオリフィスシステムと称されることがある第3のシステムは、ゴム、金属、又は塑性隔膜の1つ以上の小さな開口部を利用するが、これが材料を、気体に対して透過性にする。通常、容積移送式ポンプ、又はピストンシステムと称される更に別のシステムは、ピストン又はポンプを上げることによって、組成物を容器の上部に押し上げる機構を利用する。しかしながら、前述の方法のいずれも、容器からヘッドスペースを効果的に排除しない。
【0004】
一般的に、前述の方法は、気体に通気材料を強制的に通過させる、ポンプ又は容器の圧迫によって、充填の後に気体を手動で排出することを必要とする。これらの方法は、気体の不完全な排出に対して脆弱であり、多くの場合、気体の容器への逆流を生じる。特に、可撓性の容器の圧迫によって気体が排出される場合、容器を圧迫されていない位置に戻したときに、いくらかの気体が容器内へと移動して戻る傾向がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、包装中にゼロヘッドスペースをつくり、同時に気体の容器内への再導入を防ぐ、密閉部に対する必要性が依然として存在する。消費者が、パッケージの内容物を、同じ密閉部から容易に分配することを可能にする必要性もまた存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、液体組成物を収容するために好適な容器であると共に容器の首部に位置する挿入物を含む容器を提供することによって前述の必要性を満たし、この容器が液体組成物を充填された場合に、この挿入物の下方にゼロヘッドスペースが存在する。
【0007】
本発明は、特定の実施形態に関連して説明されるが、これらの実施形態に限定されるものではないことが理解される。逆に、本発明は、本発明の意図及び範囲内に含まれ得る、全ての代替実施形態、修正実施形態、及び等価実施形態を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
添付の図面は、本発明の実施形態を例示し、上記に与えられた本発明の概要、及び以下に示される「発明を実施するための形態」と共に、本発明を説明するために役立つ。
【図1】液体組成物、及び本明細書において記載される挿入物を含む、容器の側正面図。
【図2】本明細書における容器の挿入物として利用されるバルブの拡大透視図。
【図3】図2に図示されるバルブの平面図。
【図4】図2に図示されるバルブの側面図。
【図5】本明細書において記載される分配アセンブリによる、液体組成物を含む容器の拡大側面図。
【図6】液体組成物、及び本発明の実施形態によるバルブの挿入を含む、容器の上部の拡大側面図。
【図7】容器の首部に挿入された際のバルブを通じた液体組成物の移動を例示する、液体組成物を含む容器の上部の拡大側面図。
【図8】挿入後の、バルブの面の両側における実質的な均衡を例示する、液体組成物を含む容器の上部の拡大側面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書は、本発明を特に指摘し、明確に請求する請求項により結論とするが、本発明は以下の記載からよりよく理解されるであろうと考えられる。
【0010】
用語「挿入物」とは、本明細書で使用するとき、十分な圧力差の条件下で、液体組成物が通過することができ、液体組成物のために好適な容器の内部で固定され得る機構を指す。バルブは挿入物の一種である。
【0011】
用語「バルブ」とは、本明細書で使用するとき、その上に十分な圧力差が働いた場合に活性化される、通路、パイプ、入口、出口などを通じて液体、気体、又は他の物質の流れを中断若しくは制御するための装置を意味する。
【0012】
用語「実質的に平衡」とは、本明細書で使用するとき、表面の両側に働く圧力がほぼ等しい又は等しいことを意味する。実質的に平衡の条件下では、本明細書におけるバルブは密閉されたままである。圧力差の不在は、実質的な平衡を生じる。
【0013】
用語「圧力差」とは、本明細書において使用するとき、挿入物が活性化され、これによって透過性となるように、本明細書における挿入物の一方の側に働く圧力を意味する。
【0014】
用語「ゼロヘッドスペース」とは、本明細書において使用するとき、容器の内部における、挿入物の下面と、挿入物の下方に位置する液体組成物の上面との間の空間を指す。ゼロヘッドスペースを達成する際、挿入物の(下方の)下面と、液体組成物との間に空間は存在しない。
【0015】
一実施形態では、ゼロヘッドスペースを達成するために利用される挿入物はバルブ1であり、これは、容器3の首部2に効果的に挿入されるように設計される。バルブ1は典型的に、止め輪5により首部2の内壁16に結合されるか又は封止される。バルブ1は、一般的に可撓性の、弾力的な材料を含み、圧力差が働くと開いて流体を分配することができ、圧力差の相対的な不在下では液体及び気体に対して実質的に不透過性である。バルブ1は、熱可塑性プロピレン、エチレン、ウレタン、スチレン、及びこれらのハロゲン化対応物などの材料に基づいて、熱可塑性エラストマーから製作され得る。同様のバルブが、米国特許第5,439,143号及び米国再発行特許第39,520号に記載されている。更なるバルブが、イリノイ州クリスタル・レイク(Crystal lake)のリキッド・モールディング・システムズ(Liquid Molding Systems)社などの供給元から市販されている。
【0016】
図2〜4に例示されるような、バルブ1の一種は、可撓性中央面6を含むが、これは凹状の形状(外側から見た場合に)を有し、2つの互いに垂直に交差する、ほぼ同等の長さの分配スリット7を画定する。交差するスリット7は、凹状の中央面6に、4つの一般的に扇形のフラップ8を画定する。フラップ8は、可撓性容器3を圧迫することによって、又はバルブ1を容器3の首部2に挿入する際に達成され得る、十分な大きさで増加する容器圧力(圧力差)に反応して、スリット7の交点から外側に開く。
【0017】
バルブ1は、バルブ1の中央面6から外側に延びるスカート10(図4)を含む。スカート10の外側(上部)端部には薄い、環状フランジ11が存在し、これは、角度のある配向で、スカート10から周囲方向に延びる。薄いフランジ11は、大きな、遥かに厚い、周辺フランジ12で終わり、これは一般的に、V字型の横断面を有する。
【0018】
周辺フランジ12の下側表面は、止め輪5に結合され、これは上方に延びて円筒13を形成し、これは典型的に、容器3の首部2よりも僅かに長い長さを有する。円筒13は、内壁14及び外壁15を含む。円筒13の外壁15は、円筒13の外壁15を、容器3の首部2の内壁16の適合表面に封止させるための、適合手段を含んでもよい。適合手段は、糸、クランプ機構、クリップ機構、接着剤、又は封止部をつくるための当該技術分野において既知の他の手段を含み得る。
【0019】
上述のように、液体組成物を収容するパッケージ内に気体が存在する場合、パッケージの上部の気体のポケットは多くの場合、化学的に、審美的にのいずれかにおいて、又は両方において、組成物を分裂させる。懸濁又は気体カプセルとして、他の気体が液体組成物中に存在し得るが、パッケージの上部の気体のポケットは、輸送中に液体組成物を通じて移動する場合があり、これは上述の分裂を生じさせる。この問題は、ゼロヘッドスペース挿入物によって解決される。
【0020】
一実施形態では、ゼロヘッドスペースは、図5に表されるように、容器3を、液体組成物17で容器3の肩部19以上の高さ18まで充填することによって達成される。充填の際に、容器は典型的に、容器3の上部、典型的には肩部19の上、かつ首部2の中に残る、一定の体積の気体9(空気)を有する。バルブ1が首部2に挿入され、液体組成物17を置換する。図6及び7に表されるように、バルブ1は、バルブ1が自らの上方に反転させられて開くまで、首部2に降下し、容器3の内部で液体組成物17を置換する。液体組成物17は、バルブ開口部4を通じて流れ、バルブ1の上、一般的には容器3の首部2の中に蓄積する。バルブ1は、その後、バルブ1が実質的な平衡に達すると、図8に表されるようにその封止位置に戻る。バルブ1が挿入され、以上で記載された適合手段によって首部2に固定された後、キャップ(図示されない)がその後、当該技術分野において既知の様々な手段により、密閉部として容器3に適用されてもよい。
【0021】
上記のゼロヘッドスペース挿入物は、ここではバルブ1の上にある気体が、容器3内の液体組成物17に入り、分裂させることを防ぐ。これは、容器3の回転、及び液体組成物17全体にわたる泡の移動による、パターン又はデザインを含む液体組成物への損傷を防ぐために特に有用である。当然、このようなパターン及びデザインの保存は、透明の容器に包装される液体組成物に特に関連する。したがって、一実施形態では、容器3は、透明又は半透明の容器である。
【0022】
使用中、液体組成物17を容器3から放出するために、バルブ1は取り外し可能でなくてはならない、又は容器3は可撓性であってもよい。したがって、一実施形態では、バルブ1は、取り外し可能な適合手段、例えば上述された糸などによって、取り外し可能である。パーソナルケア組成物、又は他の粘稠性の低い液体組成物の場合、圧迫可能な容器が、液体組成物の放出の容易さを、著しく改善することがある。したがって、別の実施形態では、容器3は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、又はポリ(エチレンテレフタレート)(PET)などの可撓性プラスチック材料から主に作製される。このような材料は、透明、不透明、又は半透明の容器として製作され得る。上述のように、可撓性容器3の圧迫は、バルブ1を通じて、これを取り除くことなく液体組成物17を放出するために十分な圧力差を生じさせる。
【0023】
本明細書で開示される寸法及び値は、列挙された厳密な数値に狭義に限定されるものとして解釈されるべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することを意図されている。例えば、「40mm」として開示した寸法は、「約40mm」を意味することを意図したものである。
【0024】
「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、その関連部分において本明細書に参照により組み込まれ、いかなる文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを認めるものと解釈されるべきではない。本明細書中の用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文献中の同一の用語の任意の意味又は定義と相反する限りにおいては、本明細書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0025】
本発明の特定の諸実施形態を図示し、記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることは当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるような全ての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲に包含されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体組成物を収容するために好適な容器であると共に該容器の首部に位置する挿入物を含む容器であって、該容器が液体組成物を充填された場合に、前記挿入物の下方にゼロヘッドスペースが存在する容器。
【請求項2】
前記挿入物がバルブである、請求項1に記載の挿入物。
【請求項3】
前記容器が、可撓性容器である、請求項1又は2に記載の容器。
【請求項4】
前記容器が、透明又は半透明である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の容器。
【請求項5】
前記容器が、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はポリ(エチレンテレフタレート)を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の容器。
【請求項6】
前記液体組成物が、パターン又はデザインを呈する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項7】
前記液体組成物が、多相パーソナルケア組成物である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項8】
a.容器を液体組成物で、前記容器の肩部の上の高さまで充填する工程と、
b.圧力差によって前記液体組成物がバルブを通じて流れるまで前記液体組成物を置換する前記容器に、を挿入する工程と、
c.前記バルブを実質的な平衡状態で封止させる工程と、
によってゼロヘッドスペースを達成する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−534598(P2010−534598A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519281(P2010−519281)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/072423
【国際公開番号】WO2009/021094
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】