説明

ゼロ次放出改変固体投与形

本発明は、水溶性医薬物質の送達のための固体投与形を含む。固体投与形は、医薬物質および疎水性物質を含有するマトリックスコア、並びに、親水性孔形成剤および疎水性ポリマーを含有する被覆を含む。投与形は、溶解すると、ゼロ次放出プロフィールを示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は、ゼロ次放出速度での幅広い水溶性医薬物質の投与に適する、放出改変(modified release)固体投与形、および、それらの製造方法に関する。より具体的には、本発明は、放出改変被覆に包まれた、メチルフェニデート塩酸塩を含有するマトリックスコアを有する放出改変錠剤に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
当分野で周知の放出改変投与形は、それらの薬物含有物を、薬物が水性溶液(例えば、インビトロ溶解)または胃腸液(インビボ)と接触した後、徐々に、長期間にわたり放出する。これらの投与形は、即時放出の投与形と比較して長期間にわたり所望の薬物濃度がインビボで維持され、より少ない頻度の投与を可能にするので、様々な疾患の処置に望ましい。
【0003】
多くの放出延長製剤では、薬物放出の速度は最初に急速に上昇し、減速した薬物放出が続く。このタイプの薬物放出は、一次放出と分類される。そのような製剤は、長期間にわたる血流中の薬物の均一な濃度レベルをもたらし得ない。
【0004】
ゼロ次放出投与形も、当分野で知られている。用語「ゼロ次放出」「ゼロ次溶解」または「ゼロ次速度」は、所定の期間中に投与形中の薬物濃度と無関係に均一またはほぼ均一である、水性環境と接触した後の固体投与形からの薬物放出の速度を表す。ゼロ次放出投与形は、通常、あまり持続しないか、または、より不均一な放出の投与形と比較して、低減された投与頻度を可能にし、かくして、患者のコンプライアンスを改善する。ゼロ次放出の投与形は、一般的に、最大の治療価値を最小の副作用でもたらす。そのような投与形は有利であるが、水溶性の高い医薬物質は、「薬物ダンピング(dose dumping)」として知られる現象を起こしやすいので、そのような投与形に製剤化するのは困難である。この投与形は、薬物を高濃度で迅速に放出する可能性があり、効果的に薬物を血流中に「ダンピング」(放出)し、患者に過剰投与する可能性がある。
【0005】
被覆されたマトリックスシステムは、様々な活性物質のゼロ次放出を達成するための努力の中で考案された。Woodall et al., "Matrix Tablets Containing a Zero Order Dissolution Profile," The AAPS Journal, Vol. 7, No.2, Abstract W5253 (2005) は、3%または5%の重量増加のエチルセルロースで被覆した圧縮マトリックス錠剤について、ゼロ次動態を報告している。Porter et al., "Modified Release Matrix Tablets Coated with a Modified-Release Film Coating: Comparison of Regular Tablets with a Mini-tablet Multiparticulate System," AAPS PharmSci, Vol. 4, No. 4, Abstract T3352 (2002) は、水性エチルセルロース分散物(SURELEASE(商標))で被覆され、水溶性ポリマーシステム(OPADRY(商標))で改変された、クロルフェニラミンマレイン酸塩およびHPMCを含有するマトリックスコアを記載しており、それは、ゼロ次動態を示すと報告されている。
【0006】
放出改変投与形のマトリックスコアは、しばしば、湿式造粒工程により製造される。湿式造粒は、薬物および他の成分を粉末化し、結合剤を準備し、結合剤を粉末化した成分と混合して湿った塊を形成させ、湿った塊を粗く篩にかけ、湿った塊を乾燥させて顆粒を形成させ、顆粒を篩にかけ、篩にかけた顆粒を滑沢剤または他の補助剤と混合し、混合物を押し出し、固体投与形の形態に圧縮することを含み得る。湿式造粒は、多くの工程および重大な資本設備を必要とする、高価で時間のかかる方法である。
【0007】
米国特許第6,673,367号は、様々な造粒方法により製造された、持続放出被覆で被覆されたビーズからのメチルフェニデートの制御放出を報告している。あるいは、メチルフェニデートHClを Lactose DT、Methocel、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよび場合により Eudragit L 100-55 と混合し、直接的に非被覆錠剤に圧縮する。
【0008】
メチルフェニデートおよびメチルフェニデート塩酸塩は、小児の最も一般的な精神医学的障害である、注意欠陥障害(ADD)の処置に処方される覚醒剤である。この障害は、不注意と衝動を特徴とし、多動性(ADHD)並びに認知および学習の問題を伴って存在することがある。メチルフェニデートの作用メカニズムは、神経終末のトランスポーターでの高レベルの細胞外ドーパミンおよびノルエピネフリンの取込みを遮断することを含むと考えられている。この薬物は、運動技能よりも精神活動に対して顕著な効果を有する、中枢神経系の穏やかな刺激剤である。
【0009】
メチルフェニデートの常套の形態は、成人および小児において、ピーク血中レベルを1ないし3時間で示し、2ないし4時間の半減期を有すると報告された。Ritalin(商標)などの即時放出特徴を有するメチルフェニデート製剤は、小児が適切な用量を8ないし12時間の期間にわたって確実に受容するように、典型的には午前および午後に投与される。このことは、学校での投与を必要とし、それは、患者のコンプライアンスおよび潜在的な誤投与を改善するために回避されるのが好ましい。患者のコンプライアンスは、小児が学校で服薬することを禁止するか、または、看護師がいる時間中のみの投与を求める学校では、問題であり得る。また、薬物の血流中への急速な放出は、その日のうち短時間の最大薬物量とその後減少する薬物量をもたらす。薬物が本質的に一貫して一日中小児に影響を与えるように、実質的に均一な薬物放出がより好ましい。
【0010】
メチルフェニデートの持続放出形態(Ritalin(商標) SR)は、購入できるが、早朝の行動管理においてあまり効果的ではなく、Ritalin(商標)などの即時放出投与形ほど効果的ではないと報告されている。
【0011】
メチルフェニデート使用の有害な副作用には、高血圧、頻拍、狭心症、関節痛、運動障害、発熱、発疹または蕁麻疹、血小板減少、霧視または他の視覚の変化、痙攣、筋痙攣、トゥレット症候群、中毒性精神病または体重減少が含まれる。小児におけるメチルフェニデートの長期的影響は十分に確立されていない。従って、そのような副作用を回避するために、学校にいる時間にわたって血流中のより一貫した血漿濃度を維持することが望まれる。また、副作用のリスクをさらに限定するために、薬物の使用を、それが最も必要とされる時間に制限することも望ましい。
【0012】
1日1回の投与のために、6ないし10時間の放出を伴うメチルフェニデート塩酸塩または他の水溶性薬物のゼロ次放出の経口投与形への要望がある。
【発明の概要】
【0013】
発明の要旨
簡潔に述べると、本発明は、マトリックスコアおよび放出改変被覆を含む固体投与形を対象とする。マトリックスコアは、疎水性物質および水溶性医薬物質を含む。放出改変被覆は、マトリックスコアを包み、疎水性ポリマーおよび親水性孔形成剤を含む。固体投与形は、対象への投与後、少なくとも4時間の期間にわたり、医薬物質をゼロ次速度で放出する能力がある。
【0014】
本発明の他の態様は、疎水性物質、約2ないし14重量%の水溶性医薬物質、場合によって増量剤、場合によって放出改変剤、場合によって滑沢剤、および、場合によって流動剤(glidant)を混合し、混合物を形成させ;そして、混合物を圧縮することによる、固体投与形の製造方法を対象とする。
【0015】
本発明のまた他の実施態様は、疎水性物質、水溶性医薬物質、場合によって増量剤、場合によって放出改変剤、場合によって滑沢剤、および場合によって流動剤を混合することにより混合物を形成させ、混合物を圧縮してマトリックスコアを形成させ、マトリックスコアを被覆してマトリックスコアを包むバリア被覆を形成させ、バリア被覆を乾燥し、バリア被覆されたマトリックスコアを放出改変被覆で被覆し、放出改変被覆を乾燥させて固体投与形を形成させることによる、固体投与形の製造方法を対象とする。バリア被覆は、水溶性ポリマーを含み、放出改変被覆は疎水性ポリマーおよび親水性孔形成剤を含む。固体投与形は、対象への投与後、少なくとも4時間の期間にわたり、医薬物質をゼロ次速度で放出する能力がある。
【0016】
本発明のなお他の実施態様は、疎水性物質、水溶性医薬物質、場合によって増量剤、場合によって放出改変剤、場合によって滑沢剤、および、場合によって流動剤を混合して混合物を形成させ、混合物を圧縮してマトリックスコアを形成させ、マトリックスコアを包む放出改変被覆でマトリックスコアを被覆し、放出改変被覆を乾燥させて固体投与形を形成させることによる、固体投与形の製造方法を対象とする。放出改変被覆は、疎水性ポリマーおよび親水性孔形成剤を含む。固体投与形は、対象への投与後、少なくとも4時間の期間にわたり、医薬物質をゼロ次速度で放出する能力がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図面の簡単な説明
【図1A】図1Aは、実施例1に記載の通り、非被覆マトリックスコア錠剤について、溶解したメチルフェニデート塩酸塩の割合を、時間の関数として示すグラフである。
【0018】
【図1B】図1Bは、ln(100−%溶解したメチルフェニデート塩酸塩)の時間の関数としてのプロットであり、非被覆錠剤について、一次薬物放出を示す。
【0019】
【図2A】図2Aは、実施例1に記載の通り、(エチルセルロース:ヒプロメロース−70:30)被覆錠剤について、溶解したメチルフェニデート塩酸塩の割合を、時間の関数として示すグラフである。
【0020】
【図2B】図2Bは、ln(100−%溶解したメチルフェニデート塩酸塩)の時間の関数としてのプロットであり、(エチルセルロース:ヒプロメロース−70:30)被覆錠剤について、ゼロ次薬物放出を示す。
【0021】
【図3】図3は、実施例2に記載の通り、非被覆マトリックスコア錠剤について、溶解したメチルフェニデート塩酸塩の割合を、時間の関数として示すグラフである。
【0022】
【図4A】図4Aは、実施例2に記載の通り、ベヘン酸グリセリルを含有する(エチルセルロース:ヒプロメロース−70:30)被覆錠剤について、溶解したメチルフェニデート塩酸塩の割合を、時間の関数として示すグラフである。
【0023】
【図4B】図4Bは、ln(100−%溶解したメチルフェニデート塩酸塩)の時間の関数としてのプロットであり、ベヘン酸グリセリルを含有する6%および8%の被覆錠剤について、ゼロ次薬物放出を示す。
【0024】
【図5A】図5Aは、実施例3に記載の通り、(エチルセルロース:ヒプロメロース−80:20)被覆錠剤について、溶解したメチルフェニデート塩酸塩の割合を、時間の関数として示すグラフである。
【0025】
【図5B】図5Bは、ln(100−%溶解したメチルフェニデート塩酸塩)の時間の関数としてのプロットであり、(エチルセルロース:ヒプロメロース−80:20)4%放出改変被覆錠剤について、ゼロ次薬物放出を示す。
【0026】
【図6】図6は、実施例4に記載の通り、95:5エチルセルロース:ヒプロメロース被覆錠剤について、溶解したメチルフェニデート塩酸塩の割合を、時間の関数として示すグラフである。
【0027】
【図7】図7は、実施例5に記載の通り、(エチルセルロース:ヒプロメロース−70:30)、4%ヒプロメロース密封被覆錠剤について、溶解したメチルフェニデート塩酸塩の割合を、時間の関数として示すグラフである。
【図8】図8は、実施例5に記載の通り、(エチルセルロース:ヒプロメロース−70:30)、4%ヒプロメロース密封被覆錠剤について、溶解したメチルフェニデート塩酸塩の割合を、時間の関数として示すグラフである。
【0028】
【図9】図9は、実施例5に記載の通り、(エチルセルロース:トリアセチン:ヒプロメロース−70:3.5:26.5)、4%ヒプロメロース密封被覆錠剤について、溶解したメチルフェニデート塩酸塩の割合を、時間の関数として示すグラフである。
【0029】
【図10】図10は、実施例6に記載の通り、非被覆マトリックスコア錠剤についての、硬度の関数としての破砕性のグラフであり、0.80%は、100回転におけるUSPの限界値である。
【図11】図11は、実施例6に記載の通り、非被覆マトリックスコア錠剤についての、硬度の関数としての破砕性のグラフであり、0.80%は、100回転におけるUSPの限界値である。
【0030】
【図12】図12は、実施例6に記載の通り、様々な圧縮力下で形成される様々な硬度の非被覆マトリックスコア錠剤についての、時間の関数としての、溶解したメチルフェニデート塩酸塩の割合のグラフである。
【図13】図13は、実施例6に記載の通り、様々な圧縮力下で形成される様々な硬度の非被覆マトリックスコア錠剤についての、時間の関数としての、溶解したメチルフェニデート塩酸塩の割合のグラフである。
【0031】
【図14】図14は、実施例8に記載の通り、メチルフェニデート塩酸塩の外被覆錠剤についての、時間の関数としての、溶解したメチルフェニデート塩酸塩の割合のグラフである。
【図15】図15は、実施例8に記載の通り、メチルフェニデート塩酸塩の外被覆錠剤についての、時間の関数としての、溶解したメチルフェニデート塩酸塩の割合のグラフである。
【0032】
発明の詳細な説明
本発明は、溶解の際にゼロ次動態を示す、メチルフェニデートまたはその塩などの水溶性の高い医薬成分の放出改変固体投与形を提供する。そのような投与形は、1日2回の投与の必要性を排除し、患者のコンプライアンスの見込みを改善し、投与後6ないし10時間の有効期間にわたる実質的に一貫した薬物投与量を確立する。それは、また、投与形の不適当な溶解による用量ダンピングおよび偶発的過投与のリスクを防止または最小化する。万一、投与形の被覆が破裂した場合には、コアからの薬物放出は、マトリックス中の疎水性物質により依然として制御される。さらに、固体投与形は、最低限の工程および設備を要して、環境条件下で容易に製造できる。
【0033】
本発明の固体投与形は、マトリックスコア、場合によってバリア被覆、および、放出改変被覆を含む。マトリックスコアは、水溶性医薬活性物質、疎水性物質、および、場合によって補助剤、例えば、増量剤、放出改変剤、滑沢剤、流動剤などを含む。バリア被覆が存在しないならば、放出改変被覆はマトリックスコアを包む。放出改変被覆は、疎水性ポリマー、親水性孔形成剤、および、場合によって可塑剤を含む。用語「孔形成剤」には、使用環境で放出改変被覆から溶解、抽出または浸出できる物質が含まれる。
【0034】
本発明のある実施態様では、固体投与形は、マトリックスコアを包むバリア被覆を含む。バリア被覆(本明細書において密封被覆とも記載される)は、水溶性ポリマーを含み、マトリックスコア中の医薬活性物質と放出改変被覆との間のバリアとして働く。実施例3にさらに記載する通り、そのようなバリアは、常套の保存条件下に置かれるマトリックス錠剤並びに錠剤の放出改変被覆の完全性を維持するのに有効であることが見出された。
【0035】
本発明の固体投与形は、溶解の際に、医薬物質のゼロ次放出を提供する。投与形が胃腸液または他の流体に曝されると、その流体は放出改変被覆を通って拡散し、親水性孔形成剤を溶解して放出改変被覆中に孔またはチャネルを形成する。流体はバリア被覆(もしあれば)およびマトリックスコアを通って拡散し続け、マトリックスコアに包埋された医薬物質を溶解する。医薬物質は、放出改変被覆中の孔を通って投与形から出て行く。
【0036】
マトリックスコアには、医薬活性物質、疎水性物質、並びに、場合によって増量剤、放出改変剤、滑沢剤および流動剤が含まれる。マトリックスコア内の医薬活性物質は、任意の水溶性の医薬的に活性な化合物であり得る。本発明において適するそのような活性物質の例には、抗ヒスタミン剤、抗生物質、抗結核剤、コリン作用薬、抗ムスカリン剤、交感神経模倣薬、交感神経遮断薬、自律神経作用薬、鉄剤、止血剤、心臓の薬物、降圧薬、血管拡張剤、非ステロイド性抗炎症剤、オピエートアゴニスト、抗痙攣薬、精神安定剤、刺激薬、バルビタール系薬剤、鎮静剤、去痰剤、制吐剤、胃腸薬、重金属アンタゴニスト、抗甲状腺剤、尿生殖器平滑筋弛緩剤およびビタミン類が含まれる。適する水溶性活性物質には、アバカビル硫酸塩、アシクロビル、アミノカプロン酸、アレンドロン酸ナトリウム、アミトリプチリン塩酸塩、アンフェタミン、アセトアミノフェン、アロプリノール、アモキシシリン、アテノロール、アトロピン硫酸塩、アジスロマイシン、バルサラジド、ベナゼプリル塩酸塩、ビソプロロールフマル酸塩、ブプロピオン塩酸塩、ブホルミン、カラシクロビル(calacyclovir)、カプトプリル、セフプロジル、セチリジン塩酸塩、シメチジン、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、クロルフェニラミンマレイン酸塩、クロルプロマジン塩酸塩、クロミプラミン塩酸塩、クロニジン塩酸塩、クロピドグレル重硫酸塩、クロキサシリンナトリウム、コデインリン酸塩、コルヒチン類、シクロホスファミド、ジエチルカルバマジンクエン酸塩、ジルチアゼム、ドキシサイクリン、ドキセピン、DL−メチオニン、エプロサルタン、エタンブトール塩酸塩、エトスクシミド、エリスロマイシン、フェキソフェナジン、硫酸鉄、フルオキセチン塩酸塩、フルバスタチン、フォシノプリルナトリウム、ガバペンチン、ヒドララジン塩酸塩、ヒドロコドン酒石酸水素塩、ヒドロキシジン塩酸塩、ヒドロキシウレア、インジナビル硫酸塩、イソニアジド、一硝酸イソソルビド、ラクトビオン酸塩、ラミブジン、レバミソール塩酸塩、レボフロキサシン、リシノプリル、ロサルタンカリウム、メトホルミン塩酸塩、メチルフェニデート、メチルフェニデート塩酸塩、メトプロロール酒石酸塩、ミノサイクリン塩酸塩、モンテルカストナトリウム、ナプロキセンナトリウム、ネオスチグミン臭化物、ニコチンアミド、ナイアシン、ニフルチモックス、ノルトリプチリン塩酸塩、オランザピン、塩化オキシブチニン、ペニシラミン、ペニシリンVカリウム、フェニトインナトリウム、フェンホルミン、プラミペキソール、プラバスタチンナトリウム、塩化カリウム、プリマキンリン酸塩、プロメタジン、プロメタジン塩酸塩、プロプラノロール塩酸塩、プロポキシフェン塩酸塩、プソイドエフェドリン塩酸塩、ピリドスチグミン臭化物、ピリドキシン塩酸塩、キナプリル塩酸塩、クエチアピン、ラミプリル、ラニチジン塩酸塩、レボキセチン、リセドロン酸ナトリウム、ロシグリタゾンマレイン酸塩、シルデナフィル、バルプロ酸ナトリウム、サルブタモール硫酸塩、スタブジン、スマニロール(sumanirole)、スマトリプタンコハク酸塩、テラゾシン塩酸塩、テトラサイクリン塩酸塩、チモロールマレイン酸塩、トラマドール塩酸塩、バラシクロビル塩酸塩、バンコマイシン、ベンラファキシン塩酸塩、ベラパミル塩酸塩、ワルファリンナトリウムまたはそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。メチルフェニデートおよびメチルフェニデート塩酸塩を含むその塩などの水溶性の高い薬物は、本発明の投与形から最も利益を受ける。医薬物質は、非被覆マトリックスコアの総重量の約2重量%ないし約25重量%、好ましくは約4重量%ないし約16重量%、そして、より好ましくは約5重量%ないし約11重量%の量で存在する。
【0037】
マトリックスコア内の疎水性物質は、放出速度遅延剤として作用する。疎水性物質は、任意の非膨潤性の疎水性物質であり得る。適する疎水性物質の非限定的な例には、グリセリド(例えば、ベヘン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル(glyceryl palmitostearate)またはトリ酢酸グリセリル)、水素化ヒマシ油、水素化植物油、水に不溶性のセルロース(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、アシル化セルロース、ジアシル化セルロース、トリアシル化セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、ニトロセルロース、二酢酸セルロース、または、三酢酸セルロース)、蝋または蝋様物質(例えば、カルナウバ蝋、セチルエステル蝋、蜜蝋、カスターワックス、陽イオン性乳化蝋、セトリミド乳化蝋、乳化蝋、微結晶性蝋、非イオン性蝋、非イオン性乳化蝋、パラフィン、石油蝋、石油セレシン蝋、鯨蝋、白蝋または黄蝋)、脂肪、油、脂肪酸、乳化剤、加工デンプン、脂肪アルコール、タンパク質(例えば、ゼイン)、セラック、または、ポリマー(例えば、ポリオレフィン、ポリウレタン、塩化ポリビニル、ポリビニルアセテート、アクリル酸ポリマー、メタクリル酸ポリマー)が含まれる。これらおよび他の適する疎水性物質は、Kibbe, Authur H., Handbook of Pharmaceutical Excipients, 3d Ed. (2000) および Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed. (1990) に記載されており、出典明示により本明細書の一部とする。好ましくは、疎水性物質は、AQUALON(商標) T10 EC などのエチルセルロースおよび/または COMPRITOL(商標) 888 ATO などのベヘン酸グリセリルである。疎水性物質は、非被覆マトリックスコアの総重量の約10重量%ないし約50重量%、好ましくは約12重量%ないし約40重量%、そして、より好ましくは約19重量%ないし約30重量%の量で存在する。
【0038】
マトリックスコアは、また、医薬物質のマトリックスコアからの放出速度を改変する放出改変剤を含み得る。例示的な放出改変剤には、親水性セルロース(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ヒプロメロースフタル酸塩、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースまたはヒドロキシメチルプロピルセルロース);糖(例えば、プルラン、デキストラン、スクロース、グルコース、フルクトース、マンニトール、ラクトース、マンノース、ガラクトースまたはソルビトール);多糖(例えば、ポリデキストロース、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアー、アルギン酸塩、ポリソルベート、キサンタンガムまたはカルボキシメチルヒドロキシプロピルグアー)、ポリビニルピロリドンおよびゼインが含まれるがこれらに限定されない。好ましい放出改変剤には、高粘度ヒドロキシプロピルセルロース(KLUCEL(商標) HXF)および低粘度ヒドロキシプロピルセルロース(KLUCEL(商標) EF)が含まれる。含まれるとき、放出改変剤は、非被覆マトリックスコアの総重量の約40重量%まで、約5重量%ないし約20重量%、約3重量%ないし約17重量%、好ましくは約4重量%ないし約14重量%、そして、より好ましくは約5重量%ないし約10重量%の量で存在する。いくつかの実施態様では、放出改変剤は、約10重量%ないし約17重量%の量で存在する。
【0039】
本発明の固体投与形のマトリックスコアは、少なくとも1種の医薬的に許容し得る増量剤を補助剤として含み得る。本明細書で使用される用語「増量剤」は、通常の医薬製造に使用される増量剤または結合剤を意味し、粉末状物質の流動および圧縮を助長し、固体投与形に強度を与える補助剤を含む。以下のものは、本発明のマトリックスコアで使用するのに適する増量剤の非限定的な例である:結晶セルロース、クエン酸ナトリウム、リン酸二カルシウム、コロイド状二酸化ケイ素、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、ラクチトール、デキストロース、アカシア、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デンプンおよびアルファ化デンプン、いくつかの実施態様では、PROSOLV(商標) HD90 などの結晶セルロースが好ましい。増量剤は、非被覆マトリックスコアの総重量の約75%までの量で存在できる。マトリックスコア中の増量剤の含有量は、活性物質の負荷量、活性物質の溶解度および所望の放出プロフィールなどの様々な要因に基づいて、増加または減少し得る。増量剤が含まれるとき、増量剤は、一般的に、約50%ないし約75%、好ましくは約50重量%ないし約70重量%、そして、より好ましくは約50重量%ないし約65重量%、または、約50重量%ないし約58重量%の量で存在し得る。
【0040】
本発明の固体投与形のマトリックスコアは、さらに、少なくとも1種の医薬的に許容し得る滑沢剤を補助剤として含み得る。用語「滑沢剤」は、本明細書で使用されるとき、マトリックスを製造するのに使用される装置内の動いている部分に、例えばダイおよびパンチなどに、表面被覆として適用されると、摩擦、発熱および摩耗を低減する補助剤を含む。適する滑沢剤には、個別に、または組合せて、グリセリド(例えば、ベヘン酸グリセリル(例えば、Compritol(商標) 888 ATO)、トリミリスチン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、トリ酢酸グリセリル);ステアリン酸、並びに、ステアリン酸マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、亜鉛およびナトリウムを含む、その塩;水素化植物油(例えば、Sterotex(商標));コロイド状シリカ;タルク;蝋;ホウ酸;安息香酸ナトリウム;酢酸ナトリウム;フマル酸ナトリウム;DL−ロイシン;ポリエチレングリコール(例えば、Carbowax(商標) 4000 および Carbowax(商標) 6000);オレイン酸ナトリウム;ラウリル硫酸ナトリウム;およびラウリル硫酸マグネシウムが含まれる。滑沢剤は、より好ましくは、ステアリン酸塩、例えばステアリン酸カルシウムおよびステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリルフマル酸ナトリウム、固体ポリエチレングリコール類、ラウリル硫酸ナトリウムおよびこれらの混合物からなる群から選択される。ステアリン酸マグネシウムは、特に好ましい滑沢剤である。存在するとき、マトリックスコア中の滑沢剤の量は、非被覆マトリックスコアの総重量の約0.5重量%ないし約5重量%、好ましくは約0.5重量%ないし約3重量%、より好ましくは約1重量%ないし約2重量%である。
【0041】
マトリックスコアは、また、マトリックスの形成に使用されるホッパを通る混合物の流動を改善する流動剤を含み得る。適する流動剤には、コロイド状二酸化ケイ素(例えば Cab-O-Sil(商標), M5)、ケイ酸アルミニウム、タルク、粉末状セルロース、三ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素、カオリン、モノステアリン酸グリセロール、金属ステアリン酸塩、例えばステアリン酸マグネシウム、二酸化チタンおよびデンプンが含まれる。コロイド状二酸化ケイ素は、好ましい流動剤である。存在するとき、マトリックスコアの流動剤の量は、非被覆マトリックスコアの総重量の約1重量%ないし約10重量%、好ましくは約2重量%ないし約7重量%、そして、より好ましくは約2重量%ないし約4重量%である。
【0042】
着色剤、香味料、甘味料および安定化剤などの、マトリックスコアで使用するための他の補助剤は、医薬分野で知られており、本発明の組成物において使用できる。
【0043】
いくつかの実施態様では、マトリックスコアは、約10ないし約50重量%の疎水性物質、約2ないし約25重量%の水溶性医薬物質、約5重量%までの滑沢剤、約75重量%までの増量剤、約25重量%までの放出改変剤、および、約10重量%までの流動剤を含む。いくつかの他の実施態様では、マトリックスコアは、約12ないし約40重量%の疎水性物質、約4ないし約16重量%の水溶性医薬物質、約0.5ないし約3重量%の滑沢剤、約50ないし約70重量%の増量剤、約5ないし約20重量%の放出改変剤、および、約7重量%までの流動剤を含む。また他の実施態様では、マトリックスコアは、約19ないし約30重量%の疎水性物質、約5ないし約11重量%の水溶性医薬物質、約1ないし約2重量%の滑沢剤、約50ないし約58重量%の増量剤、約10ないし約17重量%の放出改変剤、および、約4重量%までの流動剤を含む。
【0044】
固体投与形のバリア被覆は、含まれるならば、水溶性ポリマーおよび場合によって抗粘着剤(anti-tacking agent)または場合によって粘性増強剤を含む。バリア被覆の水溶性ポリマーは、いかなる水溶性ポリマーであってもよく、好ましくは、高度に水溶性のポリマーである。バリア被覆としての使用に適する物質には、ヒプロメロース、ヒプロメロースフタル酸塩、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレングリコール、アクリル酸ポリマー、酢酸ビニルコポリマー、多糖、メタクリル酸コポリマー、または、無水マレイン酸/メチルビニルエーテルコポリマーが含まれる。ある実施態様では、バリア被覆は、ヒプロメロースを含有する。存在するとき、バリア被覆は、非被覆マトリックスコアの総重量の約2.0重量%ないし約6.0重量%、好ましくは約3重量%ないし約5重量%、より好ましくは、約3.5重量%ないし約4.5重量%の重量増加となる量で使用される。
【0045】
いくつかの実施態様では、バリア被覆は、適用中の被覆の凝集を低減するために、抗粘着剤を含み得る。バリア被覆中で使用するための抗粘着剤の非限定的な例には、タルク、モノステアリン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、および、これらの混合物が含まれる。存在するとき、バリア被覆中の抗粘着剤の量は、バリア被覆の総重量を基準として約5重量%ないし約50重量%である。
【0046】
バリア被覆中で使用するための他の補助剤、例えば粘性改変剤が、医薬分野で知られており、本発明の組成物で使用できる。
【0047】
放出改変被覆は、疎水性ポリマー、親水性孔形成剤、および、場合によって可塑剤および抗粘着剤を含む。いかなる疎水性ポリマーも固体投与形の放出改変被覆中で使用できる。非膨潤性ポリマーが好ましい。本発明の放出改変被覆で使用するのに適する疎水性ポリマーには、エチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、ニトロセルロース、塩化ポリビニル、ポリビニルアセテート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、例えば、Eudragit(商標) (Rohm Pharma, Darmstadt, Germany から入手できるアンモニオメタクリレートコポリマー)、塩化ポリビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリトリメチルアンモニオエチルメタクリレートまたはこれらのブロックポリマーもしくはコポリマーが含まれるがこれらに限定されない。疎水性ポリマーは、放出改変被覆の総重量の約5重量%ないし約70重量%、好ましくは約20重量%ないし約60重量%、そして、より好ましくは約25重量%ないし約55重量%の量で存在する。
【0048】
エチルセルロースは、放出改変被覆で使用するのに好ましい疎水性ポリマーである。エチルセルロースは、エチルセルロース、適する可塑剤および安定化剤を含有する標準的なエチルセルロース分散物であり得る。エチルセルロース分散物の適するグレードの例は、West Point, Pa. の Colorcon, Inc. から、商品名 SURELEASE(商標)で入手でき、それは、約25重量%の固体を含有する。
【0049】
いかなる親水性孔形成剤も、放出改変被覆中で使用でき、それは、固体または液体であり得る。適する孔形成剤には、ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、または、ポリアルキレングリコール)、セルロースまたはセルロースエーテル(例えば、ヒプロメロース、ヒプロメロースフタル酸塩、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースまたはヒドロキシメチルプロピルセルロース)、タンパク質、タンパク質誘導体、糖(例えば、プルラン、デキストラン、スクロース、グルコース、フルクトース、マンニトール、ラクトース、マンノース、ガラクトースまたはソルビトール)、多糖(例えば、ポリデキストロース、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアー、アルギン酸塩、キサンタンガムまたはカルボキシメチルヒドロキシプロピルグアー)、アルカリ金属塩(例えば、炭酸リチウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、リン酸カリウム、酢酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウム)が含まれるがこれらに限定されない。親水性孔形成剤は、放出改変被覆の総重量の約30重量%ないし約95重量%、好ましくは約40重量%ないし約80重量%、そして、より好ましくは、約45重量%ないし約75重量%の量で存在する。
【0050】
好ましくは、孔形成剤は、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース、または、これらの塩、例えば、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒプロメロース、カルボキシメチルセルロースまたはナトリウムカルボキシメチルセルロースである。最も好ましくは、水溶性成分は、ヒプロメロース、例えば OPADRY(商標) (Colorcon, West Point, Pa. から入手できる)である。
【0051】
いくつかの実施態様では、放出改変被覆は、適用中の被覆の凝集を低減するために、抗粘着剤を含み得る。放出改変被覆中で使用するための抗粘着剤の非限定的な例には、タルク、モノステアリン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸およびこれらの混合物が含まれる。存在するとき、放出改変被覆中の抗粘着剤の量は、放出改変被覆の総重量を基準として、約5重量%ないし約50重量%である。
【0052】
ある実施態様では、放出改変被覆は、疎水性ポリマーとして SURELEASE(商標) (Colorcon から入手できる) を、孔形成剤として OPADRY(商標) (Colorcon から入手できる)を含む。SURELEASE(商標) の OPADRY(商標)に対する重量比70:30、80:20、90:10および95:5を試験したが、80%以上の SURELEASE(商標)を含む被覆は、いくつかの被覆について変動し得る放出を示した。コアを80:20より低い比のエチルセルロースおよびヒプロメロースで被覆するとき、ゼロ次特徴を有する所望の薬物放出プロフィールが達成される。
【0053】
いくつかの例では、放出改変被覆は、約5ないし約70重量%の疎水性ポリマー、約30ないし約95重量%の親水性孔形成剤、約40重量%までの可塑剤、および、50重量%までの抗粘着剤を含有する。他の例では、放出改変被覆は、約20ないし約60重量%の疎水性ポリマー、約40ないし約80重量%の親水性孔形成剤、約20ないし約35重量%の可塑剤、および、20重量%までの抗粘着剤を含む。また他の例では、放出改変被覆は、約25ないし約55重量%の疎水性ポリマー、約45ないし約75重量%の親水性孔形成剤、および、約20ないし約30重量%の可塑剤、および、10重量%までの抗粘着剤を含む。
【0054】
本発明のある実施態様では、疎水性ポリマーの親水性孔形成剤に対する重量比は、約1:1ないし約9:1、約1:1ないし約4:1、約1:1ないし約3:1、そして、好ましくは約1.25:1ないし約2.33:1である。
【0055】
実施例3の結果において、疎水性エチルセルロースおよび親水性ヒプロメロースポリマーの混合物のポリマー被覆が、フィルムのひび割れを受けやすいことが見出された。これは、保存時に溶解プロフィールの変化をもたらし得る。フィルムのひび割れは、放出改変被覆に柔軟性を与えること、かつ/または、可塑剤を添加することにより克服できる。SURELEASE(商標) および OPADRY(商標) は、両方ともいくらかの可塑剤を含有する。しかしながら、実施例3の結果により示される通り、保存条件下での被覆のひび割れを防止するために、さらなる量の少なくとも約4、5、6、7、8、9または10重量%またはそれ以上の可塑剤を添加する。錠剤被覆用のいかなる可塑剤も使用できる。例示的可塑剤は、トリアセチン、アビエチン酸メチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、アジピン酸ジイソオクチル、オレイン酸アミル、リシノール酸ブチル、安息香酸ベンジル、脂肪酸のブチルおよびグリコールエステル、炭酸ブチルジグリコール、オレイン酸ブチル、ステアリン酸ブチル、アジピン酸ジ(β−メトキシエチル)、セバシン酸ジブチル、酒石酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジヘキシル、トリエチレングリコールジ(2−エチルブチレート)、ポリエチレングリコールジ(2−エチルヘキソエート)、モノラウリン酸ジエチレングリコール、単量体ポリエチレンエステル、ロジンの水素化メチルエステル、オレイン酸メトキシエチル、ステアリン酸ブトキシエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチル、トリ酪酸グリセロール、ジペラルゴン酸トリエチレングリコール、β−(p−tert−アミルフェノキシ)エタノール、β−(p−tert.−ブチルフェノキシ)エタノール、β−(p−tert−ブチルフェノキシエチル)−アセテート、ビス(β−p−tert−ブチルフェノキシジエチル)エーテル、カンファー、石油をベースとする炭化水素、フタル酸ジアミル、(ジアミルフェノキシ)エタノール、ジフェニルオキシド、ヒドロビエチルアルコール、ベックコリン(beckolin)、クエン酸アセチルトリブチル、ポリエチレングリコール、吹込(blown)ヒマシ油、または、トリ酢酸グリセリルである。ある実施態様では、可塑剤はトリアセチンであった。存在するとき、放出被覆中の添加される可塑剤の量は、放出改変被覆の総重量の約3重量%ないし約20重量%、好ましくは約4重量%ないし約15重量%、より好ましくは約5重量%ないし約10重量%である。存在するとき、放出被覆中の総可塑剤の量は、放出改変被覆の総重量の約20重量%ないし約40重量%、好ましくは約20重量%ないし約35重量%、より好ましくは約20重量%ないし約30重量%である。
【0056】
本発明の固体投与形は、活性物質の最初の薬物放出をもたらす外被覆(overcoating)を含み得る。外被覆は、任意の医薬活性物質、水溶性ポリマー、場合によって抗粘着剤、場合によって可塑剤、場合によって安定化剤、および、場合によって粘性増強剤を含有する。外被覆は、存在するならば、放出改変被覆された、場合によりバリア被覆されたマトリックスコア錠剤に適用する。そのような活性物質の例には、任意の水に不溶性の薬物、並びに、マトリックスコアの活性物質に関して上記に列挙したものなどの任意の水溶性の薬物が含まれる。いくつかの場合では、水溶性活性物質が外被覆において好ましい。いくつかの実施態様では、外被覆内の医薬活性物質は、マトリックスコアに含まれるのと同じ活性物質である。他の実施態様では、外被覆内の医薬活性物質は、マトリックスコアに含まれる活性物質とは異なる。
【0057】
いくつかの実施態様では、活性物質はあまり水溶性ではなく、水溶性ポリマーと共に、溶液よりもむしろ懸濁液を形成する。そのような外被覆懸濁液における活性物質および任意の他の非溶解成分の粒径は、これらの成分が懸濁液中で沈降するのを最小化し、均一な懸濁液を維持するために、ミクロン範囲であり得る。
【0058】
外被覆の水溶性ポリマーは、いかなる水溶性ポリマーでもあり得、好ましくは、水溶性の高いポリマーである。外被覆中で使用するのに適する物質には、ヒプロメロース、フタル酸ヒプロメロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレングリコール、アクリル酸ポリマー、酢酸ビニルコポリマー、多糖、メタクリル酸コポリマー、または、マレイン酸無水物/メチルビニルエーテルコポリマーが含まれる。いくつかの実施態様では、外被覆はヒプロメロースを含有する。存在するとき、外被覆は、外被覆された固体投与形の総重量の約2重量%ないし約25重量%、好ましくは約4重量%ないし約12重量%、より好ましくは約5重量%ないし約6.5重量%の重量増加となる量で使用される。
【0059】
外被覆は、可塑剤を含有し得る。錠剤被覆用のいかなる可塑剤も使用できる。例示的可塑剤は、上記で外被覆について記載したものである。いくつかの実施態様では、可塑剤は、トリアセチンまたはポリエチレングリコールである。存在するとき、外被覆中の可塑剤の量は、外被覆の総重量の約5重量%ないし約30重量%である。
【0060】
いくつかの実施態様では、外被覆は、適用中の被覆の凝集を低減するために、抗粘着剤を含み得る。外被覆中で使用するための抗粘着剤の非限定的な例には、タルク、モノステアリン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸およびこれらの混合物が含まれる。存在するとき、外被覆中の抗粘着剤の量は、外被覆の総重量を基準として、約5重量%ないし約50重量%である。
【0061】
外被覆は、外被覆中の医薬活性物質の分解を最小化または防止するために、場合によって安定化剤を含み得る。外被覆中の医薬活性物質の分解を最小化する任意の医薬的に許容し得る化合物を使用できる。例えば、活性物質が酸性pHでより安定であるとき、活性物質を安定化するために、塩酸またはフマル酸などの酸性化合物を使用できる。例えば、メチルフェニデートを安定化するのに、酸を使用できる。当業者は、本発明の投与形の特定の活性物質に適する安定化剤を容易に同定できるであろう。存在するとき、外被覆中の安定化剤の量は、外被覆の総重量を基準として、約1重量%ないし約10重量%である。
【0062】
外被覆は、また、特に、外被覆が溶液としてよりもむしろ懸濁液として適用されるときに、外被覆中の活性物質の沈降を低減するために、場合によって粘性増強剤も含み得る。外被覆中の粘性増強剤の非限定的な例には、糖(デキストロース、グルコースおよびスクロース)、セルロース誘導体、例えばナトリウムまたはカルシウムカルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロース、多糖、ペクチン、寒天、カラゲナン、親水性ガム、例えばアカシアガム、グアーガム、アラビアガムおよびキサンタンガム、アルギン酸、アルギン酸塩、デキストラン、カルボマー樹脂、および、これらの混合物が含まれる。存在するとき、外被覆中の粘性増強剤の量は、外被覆の総重量を基準として、約2重量%ないし約20重量%である。
【0063】
固体投与形を本明細書に記載の通りに外被覆するとき、マトリックスコア内と同じ薬物が外被覆で使用されると、薬物放出速度はもはやゼロ次ではない。マトリックスコアと異なる薬物が外被覆で使用されると、マトリックスコア内の薬物の薬物放出速度はゼロ次であるが、外被覆中の薬物の薬物放出速度は、ゼロ次ではない。
【0064】
いくつかの例では、外被覆は、約25重量%ないし約77重量%の医薬物質、約23重量%ないし約75重量%の水溶性ポリマー、約50重量%までの抗粘着剤、約10重量%までの安定化剤、約20重量%までの粘性増強剤を含有する。他の例では、外被覆は、約36重量%ないし約45重量%の医薬物質、約55重量%ないし約64重量%の水溶性ポリマー、約5重量%までの抗粘着剤、約1重量%までの安定化剤、約2重量%までの粘性増強剤を含む。
【0065】
いくつかの実施態様では、外被覆中の水溶性ポリマーの医薬物質に対する重量比は、約0.3:1ないし約3.0:1、好ましくは約1.2:1ないし約1.8:1である。
【0066】
マトリックスコア、外被覆、放出改変被覆および/またはバリア被覆は、当分野で知られているさらなる常套の補助剤を含み得る。補助剤の選択と組合せにより、とりわけ、効力、バイオアベイラビリティー、クリアランス時間、安定性、安全性、溶解プロフィール、崩壊プロフィールおよび/または他の薬物動態、化学および/または物理的特性の特性に関して、改善された能力を示す固体投与形を提供できる。組成物が錠剤として製剤化される場合、選択される補助剤の組合せは、とりわけ、溶解プロフィール、硬度、破壊強度および/または破砕性の特性において、改善を示し得る錠剤を提供する。
【0067】
固体投与形は、錠剤、トローチ剤、カプレットなどを含む、様々な物理的構造または形態に製剤化できる。本発明では、マトリックスコアの特別な外形は必要ない。マトリックスコアは、球状、円柱状または円錐状の形状など、医薬産業で知られており、薬物の送達に適する任意の形状であり得る。錠剤が好ましい。
【0068】
本発明のメチルフェニデート製剤は、小児および成人に投与し得、好ましくは、約6時間の、約10時間を超えない作用期間を有する。本発明のメチルフェニデート製剤は、朝食時に摂取すべきであり、昼食時の学校または職場での投与の必要性を排除するように設計されている。患者が1日に10時間を超える処置を必要とするならば、さらなる用量の即時放出のメチルフェニデートを夕食時に摂取すべきである。患者が24時間の処置を必要とするならば、さらなる用量の本発明の製剤が夕食時に与えられるべきである。
【0069】
本発明の固体投与形は、高価な製造設備を使用せずに、環境条件下で、簡単な方法により製造される。湿式造粒などの他の方法は、より高価で、時間がかかり、より多くの補助剤を伴い、より多くの資本設備を必要とする。この方法は、容易な製造および長時間にわたる実質的に直線状の薬物放出を提供する。この方法は、疎水性物質、約4ないし14重量%の水溶性医薬物質、場合によって増量剤、場合によって放出改変剤、場合によって滑沢剤、および、場合によって流動剤を混合して混合物を形成させること、および、混合物を圧縮することを含む。ある実施態様では、混合物は、約9、10、11、12または13重量%以下の水溶性医薬物質を含む。混合物は、環境条件下で形成および/または圧縮できる。任意の常套の直接圧縮法が、マトリックスコアの製造に適する。
【0070】
投与形がバリア被覆を含むならば、マトリックスコアを、場合により抗粘着剤と混合した水溶性ポリマーで被覆し、マトリックスコアを包むバリア被覆を形成させる。被覆方法は、当分野で周知である。バリア被覆が乾燥した後、それを放出改変被覆で被覆する。一度放出改変被覆が乾燥したら、投与形を保存できる。固体投与形は、対象への投与後、少なくとも4、5、6、7、8、9または10時間の期間にわたり、医薬物質をゼロ次速度で放出する能力がある。バリア被覆を含めないならば、放出改変被覆をマトリックスコアに適用し、乾燥して固体投与形を形成させる。
【0071】
投与形が外被覆を含むものであるならば、放出改変被覆されたマトリックスコアを、水溶性医薬活性物質、水溶性ポリマー、場合によって抗粘着剤、場合によって安定化剤、および、場合によって粘性増強剤の混合物で被覆し、乾燥する。常套の被覆方法を使用できる。外被覆された投与形を保存できる。
【0072】
ある実施態様では、医薬活性物質を、疎水性物質、場合によって増量剤、場合によって放出改変剤、場合によって滑沢剤、および、場合によって流動剤と共に、V字型混合器(V-blender)または同様の混合器具に入れ、環境条件下で数分間混合する。加熱または溶媒を使用せずに、Korsch PH 106 打錠機または他の標準的錠剤化装置を環境条件下で使用して、混合物を圧縮し、マトリックスコアを形成させる。次いで、Vector Hi-coater または同等の被覆器具を使用して、マトリックスコアを場合によってバリア被覆および/または放出改変被覆で被覆する。例えば、メチルフェニデート塩酸塩を、V字型混合器中にエチルセルロースおよび珪化結晶セルロースと共に入れ、5分間混合する。その後、コロイド状二酸化ケイ素を流動剤として添加し、混合物をさらに5分間混合する。混合物を、Korsch PH 106 打錠機を使用して、環境条件下で圧縮する。次いで、得られるマトリックスコアを、Vector Hi-coaterを使用して、場合によってヒプロメロース被覆、および/または、ヒプロメロース、エチルセルロースおよび場合によってトリアセチンを含有する放出改変被覆により、被覆する。
【実施例】
【0073】
実施例
以下の非限定的実施例は、本発明をさらに例示説明するために提供する。下記の実施例で開示される技法は、本発明者らが本発明の実施において良好に機能すると見出したアプローチを表し、従って、その実施様式の実施例を構成すると考え得るものであることを、当業者は理解すべきである。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、本発明の精神と範囲から逸脱せずに、開示される特定の実施態様において多くの変更を行い、さらに同様または類似の結果を入手し得ることを理解すべきである。
【0074】
実施例1
メチルフェニデート塩酸塩を、V字型混合器中に、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよび珪化結晶セルロースと共に入れ、5分間混合した。その後、ステアリン酸マグネシウムを滑沢剤として添加し、混合物をさらに5分間混合した。次いで、Korsch PH 106 打錠機を環境条件下で使用して混合物を圧縮し、マトリックスコアを形成させた。マトリックスコアは、下表の成分を含有した。
【表1】

【0075】
メチルフェニデート塩酸塩は水溶性医薬物質であり、エチルセルロースは疎水性物質であり、高粘度ヒドロキシプロピルセルロースは放出改変剤であり、珪化結晶セルロースは増量剤であり、ステアリン酸マグネシウムは滑沢剤として使用された。
【0076】
ある実施態様では、錠剤を被覆しなかった。錠剤を0.1%ギ酸水溶液(pH2.6)中に置くことにより、錠剤の放出特徴を試験した。USPパドル器具を50rpmで使用して、錠剤を酸溶液中で混合した。総体積500mlの溶解媒体を使用した。30分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間および12時間で、各試行において溶解したメチルフェニデート塩酸塩の量を測定した。実験結果は図1Aに記載されており、それは、UV分光法により200nmで測定した。図1Bは、ln(100−%溶解したメチルフェニデート塩酸塩)の、時間の関数としてのプロットであり、非被覆マトリックスコア錠剤について、一次薬物放出を示す。
【0077】
他の実施態様では、70% SURELEASE(商標) および 30% OPADRY(商標)(%w/w固体含有量)を含む放出改変被覆でマトリックスコアを被覆した。錠剤の重量増加を基準として8重量%までの様々な量の被覆で錠剤を被覆し、いくつかの錠剤は被覆しなかった。錠剤を0.1%ギ酸水溶液(pH2.6)中に置くことにより、ゼロ次放出プロフィールを達成するために好ましい被覆の量を実験的に決定した。USPパドル器具を50rpmで使用して、錠剤を酸溶液中で混合した。総体積500mlの溶解媒体を使用した。30分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間および12時間で、各試行において溶解したメチルフェニデート塩酸塩の量を測定した。実験結果は図2Aに記載されており、それは、UV分光法により200nmで測定した。図2Bは、ln(100−%溶解したメチルフェニデート塩酸塩)の、時間の関数としてのプロットであり、被覆錠剤について、ゼロ次薬物放出を示す。
【0078】
実施例2
実施例1の製造方法に従い、マトリックスコアを製造した。マトリックスコアは、下表の成分を含有した。
【表2】

【0079】
メチルフェニデート塩酸塩は水溶性医薬物質であり、低粘度ヒドロキシプロピルセルロースは放出改変剤として使用し、ベヘン酸グリセリルは親水性物質および滑沢剤の両方として添加し、珪化結晶セルロースは増量剤であり、コロイド状二酸化ケイ素は流動剤として使用した。
【0080】
ある実施態様では、錠剤を被覆しなかった。錠剤を0.1%ギ酸水溶液(pH2.6)中に置くことにより、錠剤の放出特徴を試験した。USPパドル器具を50rpmで使用して、錠剤を酸溶液中で混合した。総体積500mlの溶解媒体を使用した。30分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間および12時間で、各試行において溶解したメチルフェニデート塩酸塩の量を測定した。実験結果は図3に記載されており、それは、UV分光法により200nmで測定した。
【0081】
他の実施態様では、70% SURELEASE(商標) および 30% OPADRY(商標)(%w/w固体含有量)を含む被覆でマトリックスコアを被覆した。錠剤の重量増加を基準として8重量%までの様々な量の被覆で錠剤を被覆し、いくつかの錠剤は被覆しなかった。錠剤を0.1%ギ酸水溶液(pH2.6)中に置くことにより、ゼロ次放出プロフィールを達成するために好ましい被覆の量を実験的に決定した。USPパドル器具を50rpmで使用して、錠剤を酸溶液中で混合した。総体積500mlの溶解媒体を使用した。30分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間および12時間で、各試行において溶解したメチルフェニデート塩酸塩の量を測定した。実験結果は図4Aに記載されており、それは、UV分光法により200nmで測定した。図4Bは、ln(100−%溶解したメチルフェニデート塩酸塩)の、時間の関数としてのプロットであり、6%および8%被覆錠剤について、ゼロ次薬物放出を示す。
【0082】
実施例3
実施例1のマトリックスコアを形成した後、80% SURELEASE(商標) および20% OPADRY(商標)(%w/w固体含有量)を含む被覆でそれらを被覆した。錠剤の重量増加を基準として8重量%までの様々な量の被覆で錠剤を被覆し、いくつかの錠剤は被覆しなかった。錠剤を0.1%ギ酸水溶液(pH2.6)中に置くことにより、ゼロ次放出プロフィールを達成するために好ましい被覆の量を実験的に決定した。USPパドル器具を50rpmで使用して、錠剤を酸溶液中で混合した。総体積500mlの溶解媒体を使用した。30分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間および12時間で、各試行において溶解したメチルフェニデート塩酸塩の量を測定した。実験結果は図5Aに記載されており、それは、UV分光法により200nmで測定した。図5Bは、ln(100−%溶解したメチルフェニデート塩酸塩)の、時間の関数としてのプロットであり、4%被覆錠剤について、ゼロ次薬物放出を示す。6%または8%ポリマー被覆を有する錠剤は、試験が12時間を超えて延長された場合、ゼロ次放出プロフィールを示すであろうと予測される。
【0083】
実施例4
実施例1のマトリックスコアが形成された後、95% SURELEASE(商標) および5% OPADRY(商標)(%w/w固体含有量)を含む被覆でそれらを被覆した。錠剤の重量増加を基準として6重量%までの様々な量の被覆で錠剤を被覆し、いくつかの錠剤は被覆しなかった。錠剤を0.1%ギ酸水溶液(pH2.6)中に置くことにより、ゼロ次放出プロフィールを達成するために好ましい被覆の量を実験的に決定した。USPパドル器具を50rpmで使用して、錠剤を酸溶液中で混合した。総体積500mlの溶解媒体を使用した。30分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間および12時間で、各試行において溶解したメチルフェニデート塩酸塩の量を測定した。実験結果は図6に記載されており、それは、UV分光法により200nmで測定した。4、5または6%ポリマー被覆を有する錠剤は、試験が12時間を超えて延長された場合、ゼロ次放出プロフィールを示すであろうと予測される。
【0084】
実施例5
実施例1に記載の通りにマトリックスコア錠剤を製造した。エチルセルロースおよびヒプロメロースの比70:30w/wの混合物でこれらを被覆した。錠剤を温度50℃のオーブンに7日間まで置いた。オーブン加熱前後の錠剤の溶解プロフィールを比較した。
【0085】
非被覆マトリックス錠剤は、一次放出動態の溶解プロフィールをもたらした。これらのマトリックス錠剤を少なくとも6重量%の総重量増加まで被覆すると、ゼロ次特徴を有するより遅い薬物溶解速度が観察された。しかしながら、被覆錠剤を50℃のオーブンに入れると、溶解速度は高まり、プロフィールの形状は一次動態に戻った。これは、錠剤の中央帯の端近くに観察されたポリマー被覆の破裂に起因し得た。被覆の破損の結果として、被覆錠剤の薬物放出プロフィールの形状は、コアマトリックスのそれの形をとった。ポリマーフィルムの破壊は、以下の1つまたはそれ以上の結果であり得る:(i)混成ポリマーフィルムの脆性;(ii)オーブン加熱および/またはインビトロ溶解中の錠剤コアの膨張;および(iii)錠剤表面の上面および下面が優先的に被覆されることに起因する、ポリマー層の厚さの非均一性。溶解プロフィールに対するこの影響は、フィルムの柔軟性を高める可塑剤のレベルを最適化することにより排除された。被覆の厚さの均一性は、錠剤の機器(tooling)の適切な設計により改善された。
【0086】
そのようなひび割れを防止する他の手段は、放出改変被覆の適用に先立ち、バリア被覆を適用することによる。先行する実施例で使用したのと同じ被覆器具を使用して、バリア被覆を、次いで放出改変被覆を適用した。錠剤を、マトリックスコアの重量増加を基準として4重量%バリア被覆で、そして、錠剤の重量増加を基準として4重量%または6重量%の放出改変被覆で被覆し、いくつかの錠剤は被覆しなかった。図8では、6%放出改変被覆錠剤を、処理しない(即ち、50℃で加熱しない)か、50℃で1日処理するか、または、50℃で7日間処理した。錠剤を0.1%ギ酸水溶液(pH2.6)中に置くことにより、ゼロ次放出プロフィールを達成するために好ましい被覆の量を実験的に決定した。USPパドル器具を50rpmで使用して、錠剤を酸溶液中で混合した。総体積500mlの溶解媒体を使用した。30分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間および12時間で、各試行において溶解したメチルフェニデート塩酸塩の量を測定した。実験結果は図7および8に記載されており、それは、UV分光法により200nmで測定した。目視観察により、全溶解過程中に被覆は無傷のままであったことが判明した。
【0087】
他の実施態様では、比1:3のエチルセルロースおよびヒプロメロースを含むマトリックスコア、放出改変被覆並びにバリア被覆を有する錠剤を上記の通りに製造し、但し、放出改変6%被覆は、エチルセルロース、トリアセチンおよびヒプロメロースを比70:3.5:26.5で含んだ。結果を図9に示す。可塑剤の放出改変被覆への添加は、50Cで処理された錠剤上の被覆の柔軟性を高めた。
【0088】
実施例6
実施例1の製造方法に従い、マトリックスコアを製造した。マトリックスコアは、下表の成分を含有した。
【表3】

【0089】
USP破砕性テスターを、100回転で、両製剤について異なる硬度値で使用して、非被覆錠剤の破砕性を試験した。結果を図10および11に示し、図中、「kP」は、キロポンド(医薬錠剤の硬度または破壊強度を表す力の単位)を示し、「kN」は、キロニュートン(圧縮力の単位)を示す。
【0090】
様々な硬度および様々な圧縮力で製造された非被覆マトリックスコア錠剤も、0.1%ギ酸水溶液(pH2.6)に入れた。USPパドル器具を50rpmで使用して、錠剤を酸溶液中で混合した。総体積500mlの溶解媒体を使用した。30分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間および12時間で、各試行において溶解したメチルフェニデート塩酸塩の量を測定した。実験結果は図12および13に記載されており、それは、UV分光法により200nmで測定した。
【0091】
実施例7
非被覆マトリックスコアを、実施例1の通りに、以下の成分を含有するように製造した。溶解すると、マトリックスコアは、本発明の他のマトリックスコアについて報告されたものと同様の溶解を示した。
【0092】
【表4】

【0093】
実施例8
バリア被覆を含むマトリックスコア錠剤を製造し、次いで、上記の実施例に記載の通りに放出改変被覆で被覆した。次いで、これらの錠剤を、外被覆溶液で外被覆し、乾燥した。外被覆された錠剤を、さらに着色料被覆で被覆し、乾燥して最終錠剤を形成させた。下記に示す成分を含有するように、製剤を製造した:
【表5】

【0094】
【表6】

【0095】
製剤EおよびFおよび製剤Cの錠剤を、0.1%塩酸水溶液(pH3.0)に入れた。USPパドル器具を50rpmで使用して、錠剤を酸溶液中で混合した。総体積500mlの溶解媒体を使用した。30分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間および12時間で、各試行において溶解したメチルフェニデート塩酸塩の量を測定した。実験結果は図14および15に各々記載されており、それは、UV分光法により200nmで測定した。
【0096】
本発明の要素または好ましい実施態様を紹介するとき、冠詞「ある(a)」「ある(an)」「その(the)」および「該(said)」は、1つまたはそれ以上の要素があることを意味すると企図している。用語「含む(comprising)」「含む(including)」および「有する(having)」は、包含的であり、列挙された要素以外のさらなる要素があり得ることを意味すると企図している。
【0097】
上記に鑑み、いくつかの本発明の目的が達成され、他の有利な結果が得られたことが理解されよう。本発明の範囲から逸脱せずに、上記の方法に様々な変更を行い得るので、上記の説明に含まれ、添付の図面に示される全ての事項は、限定的意味ではなく、例示として解釈されることを企図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性物質および水溶性医薬物質を含むマトリックスコア;および
マトリックスコアを包む放出改変被覆、ここで、放出改変被覆は、疎水性ポリマーおよび親水性孔形成剤を含む;
を含む固体投与形であって、
固体投与形が、対象への投与後、少なくとも4時間の期間にわたり、医薬物質をゼロ次放出速度で放出する能力のあるものである、投与形。
【請求項2】
バリア被覆がマトリックスコアを包み、放出改変被覆がバリア被覆を包むように、放出改変被覆とマトリックスコアとの間に水溶性バリア被覆をさらに含む、請求項1に記載の投与形。
【請求項3】
固体投与形が、対象への投与後、少なくとも5、6、7、8、9または10時間の期間にわたり、医薬物質をゼロ次放出速度で放出する能力のあるものである、請求項1または請求項2に記載の投与形。
【請求項4】
固体投与形が、対象への投与後、約6時間ないし約10時間にわたり、医薬物質をゼロ次放出速度で放出する能力のあるものである、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の投与形。
【請求項5】
水溶性医薬物質が、アバカビル硫酸塩、アシクロビル、アミノカプロン酸、アレンドロン酸ナトリウム、アミトリプチリン塩酸塩、アンフェタミン、アセトアミノフェン、アロプリノール、アモキシシリン、アテノロール、アトロピン硫酸塩、アジスロマイシン、バルサラジド、ベナゼプリル塩酸塩、ビソプロロールフマル酸塩、ブプロピオン塩酸塩、ブホルミン、カラシクロビル、カプトプリル、セフプロジル、セチリジン塩酸塩、シメチジン、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、クロルフェニラミンマレイン酸塩、クロルプロマジン塩酸塩、クロミプラミン塩酸塩、クロニジン塩酸塩、クロピドグレル重硫酸塩、クロキサシリンナトリウム、コデインリン酸塩、コルヒチン、シクロホスファミド、ジエチルカルバマジンクエン酸塩、ジルチアゼム、ドキシサイクリン、ドキセピン、DL−メチオニン、エプロサルタン、エタンブトール塩酸塩、エトスクシミド、エリスロマイシン、フェキソフェナジン、硫酸鉄、フルオキセチン塩酸塩、フルバスタチン、フォシノプリルナトリウム、ガバペンチン、ヒドララジン塩酸塩、ヒドロコドン酒石酸水素塩、ヒドロキシジン塩酸塩、ヒドロキシウレア、インジナビル硫酸塩、イソニアジド、一硝酸イソソルビド、ラクトビオン酸塩、ラミブジン、レバミソール塩酸塩、レボフロキサシン、リシノプリル、ロサルタンカリウム、メトホルミン塩酸塩、メチルフェニデート、メチルフェニデート塩酸塩、メトプロロール酒石酸塩、ミノサイクリン塩酸塩、モンテルカストナトリウム、ナプロキセンナトリウム、ネオスチグミン臭化物、ニコチンアミド、ナイアシン、ニフルチモックス、ノルトリプチリン塩酸塩、オランザピン、塩化オキシブチニン、ペニシラミン、ペニシリンVカリウム、フェニトインナトリウム、フェンホルミン、プラミペキソール、プラバスタチンナトリウム、塩化カリウム、プリマキンリン酸塩、プロメタジン、プロメタジン塩酸塩、プロプラノロール塩酸塩、プロポキシフェン塩酸塩、プソイドエフェドリン塩酸塩、ピリドスチグミン臭化物、ピリドキシン塩酸塩、キナプリル塩酸塩、クエチアピン、ラミプリル、ラニチジン塩酸塩、レボキセチン、リセドロン酸ナトリウム、ロシグリタゾンマレイン酸塩、シルデナフィル、バルプロ酸ナトリウム、サルブタモール硫酸塩、スタブジン、スマニロール、スマトリプタンコハク酸塩、テラゾシン塩酸塩、テトラサイクリン塩酸塩、チモロールマレイン酸塩、トラマドール塩酸塩、バラシクロビル塩酸塩、バンコマイシン、ベンラファキシン塩酸塩、ベラパミル塩酸塩、ワルファリンナトリウムまたはそれらの組合せを含む、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の投与形。
【請求項6】
水溶性医薬物質がメチルフェニデート塩酸塩である、請求項5に記載の投与形。
【請求項7】
疎水性物質が、グリセリド、水素化ヒマシ油、水素化植物油、水に不溶性のセルロース、蝋、蝋様物質、脂肪、油、脂肪酸、乳化剤、加工デンプン、脂肪アルコール、タンパク質、セラックまたはポリマーを含む、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の投与形。
【請求項8】
グリセリドが、ベヘン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリルまたはトリ酢酸グリセリルを含む、請求項7に記載の投与形。
【請求項9】
蝋が、カルナウバ蝋、セチルエステル蝋、蜜蝋、カスターワックス、陽イオン性乳化蝋、セトリミド乳化蝋、乳化蝋、微結晶性蝋、非イオン性蝋、非イオン性乳化蝋、パラフィン、石油蝋、石油セレシン蝋、鯨蝋、白蝋または黄蝋を含む、請求項7に記載の投与形。
【請求項10】
水に不溶性のセルロースが、エチルセルロース、酢酸セルロース、アシル化セルロース、ジアシル化セルロース、トリアシル化セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、ニトロセルロース、二酢酸セルロースまたは三酢酸セルロースを含む、請求項7に記載の投与形。
【請求項11】
疎水性物質が、ポリオレフィン、ポリウレタン、塩化ポリビニル、ポリビニルアセテート、アクリル酸ポリマー、メタクリル酸ポリマーおよびこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを含む、請求項7に記載の投与形。
【請求項12】
疎水性ポリマーが、エチルセルロース、酢酸セルロース、アシル化セルロース、ジアシル化セルロース、トリアシル化セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、ニトロセルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、メタクリル酸コポリマー、塩化ポリビニル、ポリビニルアセテート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート、塩化ポリビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリトリメチルアンモニオエチルメタクリレートまたはこれらのブロックポリマーもしくはコポリマーを含む、請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の投与形。
【請求項13】
疎水性ポリマーがエチルセルロースを含む、請求項12に記載の投与形。
【請求項14】
親水性孔形成剤が、ポリマー、セルロース、セルロースエーテル、タンパク質、タンパク質誘導体、糖、多糖またはアルカリ金属塩を含む、請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の投与形。
【請求項15】
親水性孔形成剤が、ヒプロメロース、フタル酸ヒプロメロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースおよびヒドロキシメチルプロピルセルロースからなる群から選択されるセルロースを含む、請求項14に記載の投与形。
【請求項16】
親水性孔形成剤がヒプロメロースを含む、請求項15に記載の投与形。
【請求項17】
親水性孔形成剤が、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシドおよびポリアルキレングリコールからなる群から選択されるポリマーを含む、請求項15に記載の投与形。
【請求項18】
親水性孔形成剤が、ポリデキストロース、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアー、アルギン酸塩、キサンタンガムおよびカルボキシメチルヒドロキシプロピルグアーからなる群から選択される多糖を含む、請求項15に記載の投与形。
【請求項19】
親水性孔形成剤が、プルラン、デキストラン、スクロース、グルコース、フルクトース、マンニトール、ラクトース、マンノース、ガラクトースおよびソルビトールからなる群から選択される糖を含む、請求項15に記載の投与形。
【請求項20】
親水性孔形成剤が、炭酸リチウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、リン酸カリウム、酢酸ナトリウムおよびクエン酸ナトリウムからなる群から選択されるアルカリ金属塩を含む、請求項15に記載の投与形。
【請求項21】
マトリックスコアが、約10ないし約50重量%の疎水性物質、約2ないし約25重量%の水溶性医薬物質、約5重量%までの滑沢剤、約75重量%までの増量剤、約25重量%までの放出改変剤、および、約10重量%までの流動剤を含む、請求項1ないし請求項20のいずれかに記載の投与形。
【請求項22】
マトリックスコアが、約12ないし約40重量%の疎水性物質、約4ないし約16重量%の水溶性医薬物質、約0.5ないし約3重量%の滑沢剤、約50ないし約70重量%の増量剤、約5ないし約20重量%の放出改変剤、および、約2ないし約7重量%の流動剤を含む、請求項20に記載の投与形。
【請求項23】
マトリックスコアが、約19ないし約30重量%の疎水性物質、約5ないし約11重量%の水溶性医薬物質、約1ないし約2重量%の滑沢剤、約50ないし約58重量%の増量剤、約10ないし約17重量%の放出改変剤および約2ないし約4重量%の流動剤を含む、請求項21に記載の投与形。
【請求項24】
マトリックスコアが、結晶セルロース、クエン酸ナトリウム、リン酸二カルシウム、コロイド状二酸化ケイ素、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、ラクチトール、デキストロース、アカシア、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デンプンまたはアルファ化デンプンを含む増量剤を含む、請求項1ないし請求項23のいずれかに記載の投与形。
【請求項25】
増量剤が結晶セルロースを含む、請求項24に記載の投与形。
【請求項26】
マトリックスコアが、親水性セルロース、糖、多糖、ポリビニルピロリドンまたはゼインを含む放出改変剤を含む、請求項1ないし請求項25のいずれかに記載の投与形。
【請求項27】
放出改変剤が、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、フタル酸ヒプロメロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースまたはヒドロキシメチルプロピルセルロースからなる群から選択される親水性セルロースを含む、請求項26に記載の投与形。
【請求項28】
放出改変剤が、プルラン、デキストラン、スクロース、グルコース、フルクトース、マンニトール、ラクトース、マンノース、ガラクトースおよびソルビトールからなる群から選択される糖を含む、請求項26に記載の投与形。
【請求項29】
放出改変剤が、ポリデキストロース、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアー、アルギン酸塩、ポリソルベート、キサンタンガムおよびカルボキシメチルヒドロキシプロピルグアーからなる群から選択される多糖を含む、請求項26に記載の投与形。
【請求項30】
マトリックスコアが、グリセリド、金属ステアリン酸塩、タルク、ステアリン酸、安息香酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸マグネシウム、水素化植物油、コロイド状シリカ、蝋、ホウ酸、酢酸ナトリウム、フマル酸ナトリウム、DL−ロイシン、オレイン酸ナトリウムまたはラウリル硫酸ナトリウムを含む滑沢剤を含む、請求項1ないし請求項29のいずれかに記載の投与形。
【請求項31】
滑沢剤が、ベヘン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、トリ酢酸グリセリルからなる群から選択されるグリセリドを含む、請求項30に記載の投与形。
【請求項32】
滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウムおよびステアリン酸アルミニウムからなる群から選択される金属ステアリン酸塩を含む、請求項30に記載の投与形。
【請求項33】
マトリックスコアが、コロイド状二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、タルク、粉末状セルロース、三ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素、カオリン、一ステアリン酸グリセロール、金属ステアリン酸塩、二酸化チタンまたはデンプンを含む流動剤を含む、請求項1ないし請求項32のいずれかに記載の投与形。
【請求項34】
放出改変被覆が、さらに可塑剤を含む、請求項1ないし請求項33のいずれかに記載の投与形。
【請求項35】
可塑剤が、トリアセチン、アビエチン酸メチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、アジピン酸ジイソオクチル、オレイン酸アミル、リシノール酸ブチル、安息香酸ベンジル、脂肪酸のブチルおよびグリコールエステル、炭酸ブチルジグリコール、オレイン酸ブチル、ステアリン酸ブチル、アジピン酸ジ(β−メトキシエチル)、セバシン酸ジブチル、酒石酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジヘキシル、トリエチレングリコールジ(2−エチルブチレート)、ポリエチレングリコールジ(2−エチルヘキソエート)、モノラウリン酸ジエチレングリコール、単量体ポリエチレンエステル、ロジンの水素化メチルエステル、オレイン酸メトキシエチル、ステアリン酸ブトキシエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチル、トリ酪酸グリセロール、ジペラルゴン酸トリエチレングリコール、β−(p−tert−アミルフェノキシ)エタノール、β−(p−tert.−ブチルフェノキシ)エタノール、β−(p−tert−ブチルフェノキシエチル)−アセテート、ビス(β−p−tert−ブチルフェノキシジエチル)エーテル、カンファー、石油をベースとする炭化水素、フタル酸ジアミル、(ジアミルフェノキシ)エタノール、ジフェニルオキシド、ヒドロビエチルアルコール、ベックコリン、クエン酸アセチルトリブチル、ポリエチレングリコール、吹込ヒマシ油またはトリ酢酸グリセリルを含む、請求項34に記載の投与形。
【請求項36】
可塑剤がトリアセチンを含む、請求項35に記載の投与形。
【請求項37】
放出改変被覆がさらに抗粘着剤を含む、請求項1ないし請求項36のいずれかに記載の投与形。
【請求項38】
放出改変被覆が、約5ないし約70重量%の疎水性ポリマー、約30ないし約95重量%の親水性孔形成剤、約40重量%までの可塑剤、および、50重量%までの抗粘着剤を含む、請求項1ないし請求項37のいずれかに記載の投与形。
【請求項39】
放出改変被覆が、約20ないし約60重量%の疎水性ポリマー、約40ないし約80重量%の親水性孔形成剤、約20ないし約35重量%の可塑剤、および、20重量%までの抗粘着剤を含む、請求項1ないし請求項38のいずれかに記載の投与形。
【請求項40】
放出改変被覆が、約25ないし約55重量%の疎水性ポリマー、約45ないし約75重量%の親水性孔形成剤、約20ないし約30重量%の可塑剤、および、10重量%までの抗粘着剤を含む、請求項1ないし請求項39のいずれかに記載の投与形。
【請求項41】
放出改変被覆が、少なくとも20重量%の可塑剤を含む、、請求項1ないし請求項38のいずれかに記載の投与形。
【請求項42】
疎水性ポリマーの親水性孔形成剤に対する重量比が、約1:1ないし約9:1である、請求項1ないし請求項41のいずれかに記載の投与形。
【請求項43】
疎水性ポリマーの親水性孔形成剤に対する重量比が、約1:1ないし約4:1である、請求項42に記載の投与形。
【請求項44】
疎水性ポリマーの親水性孔形成剤に対する重量比が、約1.25:1ないし約2.33:1である、請求項43に記載の投与形。
【請求項45】
バリア被覆が水溶性ポリマーを含む、請求項2ないし請求項44のいずれかに記載の投与形。
【請求項46】
水溶性ポリマーが、ヒプロメロース、フタル酸ヒプロメロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレングリコール、アクリル酸ポリマー、酢酸ビニルコポリマー、多糖、メタクリル酸コポリマーまたはマレイン酸無水物/メチルビニルエーテルコポリマーを含む、請求項45に記載の投与形。
【請求項47】
バリア被覆がヒプロメロースを含む、請求項45に記載の投与形。
【請求項48】
バリア被覆がさらに抗粘着剤を含む、請求項45ないし請求項47のいずれかに記載の投与形。
【請求項49】
バリア被覆が、マトリックスコアの総重量を基準として約2ないし約6重量%の重量増加で存在する、請求項2ないし請求項48のいずれかに記載の投与形。
【請求項50】
バリア被覆が、マトリックスコアの総重量を基準として約3ないし約5重量%の重量増加で存在する、請求項49に記載の投与形。
【請求項51】
バリア被覆が、マトリックスコアの総重量を基準として約3.5ないし約4.5重量%の重量増加で存在する、請求項50に記載の投与形。
【請求項52】
放出改変被覆を包む外被覆をさらに含み、外被覆が医薬物質および水溶性ポリマーを含む、請求項1ないし請求項51のいずれかに記載の投与形。
【請求項53】
医薬物質が水溶性医薬物質である、請求項52に記載の投与形。
【請求項54】
外被覆の水溶性医薬物質が、マトリックスコア中のものと同じである、請求項53に記載の投与形。
【請求項55】
水溶性ポリマーが、ヒプロメロース、フタル酸ヒプロメロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレングリコール、アクリル酸ポリマー、酢酸ビニルコポリマー、多糖、メタクリル酸コポリマーまたはマレイン酸無水物/メチルビニルエーテルコポリマーを含む、請求項52ないし請求項54のいずれかに記載の投与形。
【請求項56】
外被覆がヒプロメロースを含む、請求項55に記載の投与形。
【請求項57】
外被覆がさらに抗粘着剤を含む、請求項52ないし請求項56のいずれかに記載の投与形。
【請求項58】
抗粘着剤が、タルク、モノステアリン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、または、これらの混合物を含む、請求項57に記載の投与形。
【請求項59】
外被覆がさらに粘性増強剤を含む、請求項52ないし請求項58のいずれかに記載の投与形。
【請求項60】
粘性増強剤が、糖、セルロース誘導体、多糖、ペクチン、寒天、カラゲナン、親水性ガム、アルギン酸、アルギン酸塩、デキストラン、カルボマー樹脂またはこれらの混合物を含む、請求項59に記載の投与形。
【請求項61】
外被覆がさらに安定化剤を含む、請求項52ないし請求項60のいずれかに記載の投与形。
【請求項62】
外被覆がさらに可塑剤を含む、請求項52ないし請求項61のいずれかに記載の投与形。
【請求項63】
可塑剤が、トリアセチン、アビエチン酸メチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、アジピン酸ジイソオクチル、オレイン酸アミル、リシノール酸ブチル、安息香酸ベンジル、脂肪酸のブチルおよびグリコールエステル、炭酸ブチルジグリコール、オレイン酸ブチル、ステアリン酸ブチル、アジピン酸ジ(β−メトキシエチル)、セバシン酸ジブチル、酒石酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジヘキシル、トリエチレングリコールジ(2−エチルブチレート)、ポリエチレングリコールジ(2−エチルヘキソエート)、モノラウリン酸ジエチレングリコール、単量体ポリエチレンエステル、ロジンの水素化メチルエステル、オレイン酸メトキシエチル、ステアリン酸ブトキシエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチル、トリ酪酸グリセロール、ジペラルゴン酸トリエチレングリコール、β−(p−tert−アミルフェノキシ)エタノール、β−(p−tert.−ブチルフェノキシ)エタノール、β−(p−tert−ブチルフェノキシエチル)−アセテート、ビス(β−p−tert−ブチルフェノキシジエチル)エーテル、カンファー、石油をベースとする炭化水素、フタル酸ジアミル、(ジアミルフェノキシ)エタノール、ジフェニルオキシド、ヒドロビエチルアルコール、ベックコリン、クエン酸アセチルトリブチル、ポリエチレングリコール、吹込ヒマシ油またはトリ酢酸グリセリルを含む、請求項62に記載の投与形。
【請求項64】
外被覆が、固体投与形の総重量を基準として約2ないし約25重量%の重量増加で存在する、請求項52ないし請求項63のいずれかに記載の投与形。
【請求項65】
外被覆が、約25重量%ないし約77重量%の医薬物質、約23重量%ないし約75重量%の水溶性ポリマー、約50重量%までの抗粘着剤、約10重量%までの安定化剤、および、約20重量%までの粘性増強剤を含む、請求項52ないし請求項64のいずれかに記載の投与形。
【請求項66】
外被覆が、約36重量%ないし約45重量%の医薬物質、約55重量%ないし約64重量%の水溶性ポリマー、約5重量%までの抗粘着剤、約1重量%までの安定化剤、および、約2重量%までの粘性増強剤を含む、請求項52ないし請求項65のいずれかに記載の投与形。
【請求項67】
水溶性ポリマーの医薬物質に対する重量比が、約0.3:1ないし約3.0:1である、請求項52ないし請求項66のいずれかに記載の投与形。
【請求項68】
水溶性ポリマーの医薬物質に対する重量比が、約1.2:1ないし約1.8:1である、請求項67に記載の投与形。
【請求項69】
錠剤の形態の、請求項1ないし請求項68のいずれかに記載の投与形。
【請求項70】
固体投与形の製造方法であって、
疎水性物質、約2ないし14重量%の水溶性医薬物質、場合によって増量剤、場合によって滑沢剤、および、場合によって流動剤を混合して混合物を形成させること;および、
混合物を圧縮すること;
を含む、方法。
【請求項71】
混合物が、約9、10、11、12または13重量%以下の水溶性医薬物質を含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
混合物が、約4ないし約14重量%の水溶性医薬物質を含む、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
混合物が、約5ないし約11重量%の水溶性医薬物質を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
混合物が環境条件下で形成される、請求項70ないし請求項73のいずれかに記載の方法。
【請求項75】
混合物が環境条件下で圧縮される、請求項70ないし請求項74のいずれかに記載の方法。
【請求項76】
混合物を圧縮してマトリックスコアを形成する請求項70ないし請求項75のいずれかに記載の方法であって、マトリックスコアを被覆してマトリックスコアを包むバリア被覆を形成させ、バリア被覆を乾燥させ、バリア被覆されたマトリックスコアを放出改変被覆で被覆し、放出改変被覆を乾燥させて固体投与形を形成させる段階をさらに含み、バリア被覆が水溶性ポリマーを含み、放出改変被覆が疎水性ポリマーおよび親水性孔形成剤を含み、固体投与形が、対象への投与後、少なくとも4時間の期間にわたり、医薬物質をゼロ次速度で放出する能力のあるものである、方法。
【請求項77】
混合物を圧縮してマトリックスコアを形成する請求項70ないし請求項75のいずれかに記載の方法であって、マトリックスコアを被覆してマトリックスコアを包む放出改変被覆を形成させ、放出改変被覆を乾燥させて固体投与形を形成させる段階をさらに含み、放出改変被覆が疎水性ポリマーおよび親水性孔形成剤を含み、固体投与形が、対象への投与後、少なくとも4時間の期間にわたり、医薬物質をゼロ次速度で放出する能力のあるものである、方法。
【請求項78】
固体投与形を外被覆で被覆する段階をさらに含み、外被覆が水溶性ポリマーおよび医薬物質を含む、請求項76または請求項77に記載の方法。
【請求項79】
固体投与形の製造方法であって、
疎水性物質、約2ないし25重量%の水溶性医薬物質、場合によって増量剤、場合によって滑沢剤、場合によって流動剤を混合して混合物を形成させること;
混合物を圧縮してマトリックスコアを形成させること;
マトリックスコアを被覆して、マトリックスコアを包むバリア被覆を形成させること;
バリア被覆を乾燥させること;
バリア被覆されたマトリックスコアを放出改変被覆で被覆すること;および、
放出改変被覆を乾燥させて固体投与形を形成させること;
を含み、バリア被覆が水溶性ポリマーを含み、放出改変被覆が疎水性ポリマーおよび親水性孔形成剤を含み、固体投与形が、対象への投与後、少なくとも4時間の期間にわたり、医薬物質をゼロ次速度で放出する能力のあるものである、方法。
【請求項80】
固体投与形の製造方法であって、
疎水性物質、約2ないし25重量%の水溶性医薬物質、場合によって増量剤、場合によって滑沢剤、および、場合によって流動剤を混合して混合物を形成させること;
混合物を圧縮してマトリックスコアを形成させること;
マトリックスコアを被覆して、マトリックスコアを包む放出改変被覆を形成させること;および、
放出改変被覆を乾燥させて固体投与形を形成させること;
を含み、放出改変被覆が疎水性ポリマーおよび親水性孔形成剤を含み、固体投与形が、対象への投与後、少なくとも4時間の期間にわたり、医薬物質をゼロ次速度で放出する能力のあるものである、方法。
【請求項81】
請求項2ないし請求項69のいずれかに記載の固体投与形が製造される、請求項77または請求項79に記載の方法。
【請求項82】
請求項1ないし請求項69のいずれかに記載の固体投与形が製造される、請求項70ないし請求項81のいずれかに記載の方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公表番号】特表2009−536654(P2009−536654A)
【公表日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−509831(P2009−509831)
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/011186
【国際公開番号】WO2007/133583
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(595181003)マリンクロッド・インコーポレイテッド (203)
【氏名又は名称原語表記】Mallinckrodt INC.
【Fターム(参考)】