説明

ソフト・ベント・リリーフバルブ

【課題】 圧力上昇速度を制限し、システム及びタンクにおける過度の圧力スパイクをほぼ防止するパイロット操作圧力バルブを提供すること。
【解決手段】 通常初期状態において、パイロット・リターン・スプリング(35)により、ダンピング・オリフィス(22)下流に配されるパイロット・ボール(15)がパイロット・シート(38)から離れた位置に保持されるから、システム圧力がメイン・スプリング(17)の低バイアス圧力を超えると、主要ピストン(20)は直ちに開状態となる。このパイロット操作圧力バルブは、パイロット・チャンバ(24)の動作を選択的に停止させるパイロット圧力バイパス・ポート(3)を備えてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水力システムで用いられる圧力制御バルブに関する。より詳しくは、緩やかな排出作用をもたらすソフト・ベント・リリーフバルブに関し、該リリーフバルブは水力システム中に生ずる圧力スパイク並びに液圧衝撃を除去することを可能とする。
【背景技術】
【0002】
圧力リリーフバルブは、水力システム中に組み込まれ、水力システム中の余剰の液圧を素早く解放するために用いられる。圧力リリーフバルブは、圧力流体の一部を供給タンク或いはリザーバへ解放並びに排出することで、システム内の液圧を調整する構造を備えることに特徴付けられる。
【0003】
ディファレンシャル・ピストン・リリーフバルブ或いはパイロット操作リリーフバルブといった全ての従来型のリリーフバルブは、水力システムに組み込まれると、ある重大な欠点を示す。
水力システムが作動し、水力アクチュエータ、シリンダ或いはモータが作動すると、圧力は実際上瞬時に増加することとなる。結果として、流体システムの圧力レベルにおいて鋭い水圧スパイクを生ずることとなる。このことは、水力モータに過度の急激な動力提供をもたらすこととなる。このシステムを操作限界まで酷使する問題のみならず、操作上の損失も生じせしめ、作動される装置は、急激なスタートアップ挙動を示すこととなる。
【0004】
米国特許第4,653,527号明細書(発明者:Kosarzecki)、米国特許第5,050,636号明細書(発明者:Sagawa)及び米国特許第5,381,823号明細書(発明者:DiBartolo)には、特許発明に係る他の種のリリーフバルブが開示され、これらは、「ゆっくりとした立ち上げ動作」(ソフト・スタート)を可能とすることに特徴付けられる。
これら従来のリリーフバルブいずれもが、バルブ内へ流入する圧力流体流れが内部ピストンを移動させる形態をとる。この内部ピストンは、移動に伴い、スプリングに負荷を与える。スプリングは、リリーフバルブの最大操作圧力の設定を増加させる。
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,653,527号明細書
【特許文献2】米国特許第5,050,636号明細書
【特許文献3】米国特許第5,381,823号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のリリーフバルブの一般的な技術的課題として、パイロット・オリフィスを横切る非常に大きな圧力降下によって、上述の効果を得ようとしている点が挙げられる。この圧力降下は、略入口圧力に比例して変化するものである。
高い入口圧力及び急激な圧力増加において、リリーフバルブの最大操作圧力の設定は、ゆっくりとした圧力増加を伴う低圧時よりも非常に速く増加する。技術的に適当な流れを作り出すために、Kosarzecki及びDiBartoloはともに、穴内のワイヤ或いはピンを用いて、有効スロットル径を低減させ、これにより、非常に小さな環状領域を作り出している。しかしながら、このような環状領域を通過する流れは粘度に対して非常に影響を受けやすい。
【0007】
上記の装置それぞれが備える移動可能なピストンの摩擦は、パイロット・スプリングに負荷を与え、操作圧力を増加させる際に、他の問題を生じせしめる。
移動可能なピストンは、これら従来技術に係るリリーフバルブに瞬時に生じうる低圧及び高圧に対してともにシール機能を発揮する必要がある。DiBartoloは、2つのシールを用いて、リリーフバルブを横切る最大限度の圧力降下を実現している。この結果生ずる摩擦は、劇的にリリーフバルブの性能に影響を与える。したがって、DiBartoloは、パイロット・スプリングに負荷を与えるピストンの有効面積を増加させなければならなかった。このような構造を採用することによって、システムの実際の入口圧力より非常に低い圧力から、ピストンはバルブの操作圧力設定を増加させ始めることとなる。この結果、リリーフバルブはしばしば早期に最大圧力設定に達することとなり、ダンピング効果或いは「ゆっくりとした立ち上げ挙動」(ソフト・スタート)といった特徴をともに失うこととなる。
【0008】
Kosarzeckiは、ゴム製シール材を用いることなく、スプールピストンを使用することにより、リリーフバルブの摩擦を低減している。この装置は、大幅に摩擦を低減しているものの、Kosarzeckiは、スプリングに負荷を与えるピストンに対する有効面積を主要ピストンに対する有効面積より10%大きくすることを推奨している。結果として、もし一定期間の間入口圧力が一定状態を保つならば、リリーフバルブの設定は実際の圧力よりも10%高い状態となる。更に、急激な圧力増加があった場合において、Kosarzeckiのリリーフバルブは、非常に速く閉塞し、圧力のピークを除去することができない。更にこのリリーフバルブは、「リリーフバルブの側方から正面へ向かう流体経路」に対してのみしか適用できない。即ち、リリーフバルブの側方の操作圧力がリリーフバルブ正面へ解放されることを意味する。カートリッジバルブに対して好適な流体経路は、多くの実用の面からの理由で、「リリーフバルブの側方から正面へ向かう流体経路」である。
【0009】
Sagawaによる特許発明も、ゴム製シール材を用いることなしに、スプールピストンを用いることにより、スプリングに負荷を与えるピストンの摩擦を低減するものである。しかしながら、Sagawaの特許発明は、このシステム内に異なる面積の部分を採用しており、このため、ピストンとスプールの直径は非常に高い製造精度である必要があるとともに、ピストンとスプールは非常に精度高く同心性を維持するようにしなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、パイロット操作圧力バルブに関する。本発明のバルブは圧力増加速度を制限するとともに過度のシステム圧力スパイクを略除去することが可能である。
本発明は、主要セクション内に入口を備え、また、中空円筒形状の外側ハウジングを備える。外側ハウジングは、その一端部が主要セクションにシール可能に接続する。更に、本発明のバルブは、パイロット・セクションを備える。パイロット・セクションは、チャンバとパイロット・スリーブを備える。パイロット・スリーブは、外側ハウジング内に摺動可能に配設される。更に本発明のバルブは、操作圧力調整セクションを備える。操作圧力調整セクションは、外側ハウジングの他端部と接続する。外側ハウジングの他端部は、パイロット・チャンバの他端部と隣接し、これにより、バルブの最大操作圧力を選択可能となる。
【0011】
主要チャンバは圧力流体を受け入れる。圧力流体は主要オリフィスを介して主要チャンバ内に流入し、ダンピング・オリフィスを介してパイロット・チャンバへ排出される。パイロット・ボールは下流に配され、パイロット・リターン・スプリングにより決定される通常の初期位置において、パイロット・シートから離れた位置で保持される。これにより、システム圧力が主要セクションのスプリングの低いバイアス圧力を超えたときに、主要セクションのピストンはすぐに開状態となる。
主要ピストンは、主要オリフィスの上流に配される出口ポート(2)を開状態とする。これにより、入口圧力が操作圧力を超えたとき、圧力流体をバルブから供給タンクへ戻すことが可能となる。
圧力流体は、制御オリフィスを介して、パイロット・チャンバから負荷チャンバへ流入する。これにより、バルブの操作圧力が最大圧力設定まで自動的に変化することとなる。流体圧力が比較的低いパイロット圧力を超えたとき、リリーフ・ポートはパイロット・チャンバから圧力流体を排出する。
【0012】
本発明は更に、改善されたパイロット操作圧力バルブを提供することを目的とする。この改善されたパイロット操作圧力バルブは、水力システム内の圧力流体の圧力スパイク並びに圧力増加速度を制限する。
本発明の他の目的は、水力システム用の圧力バルブを提供することであり、この圧力バルブは、システム内の圧力を制限し、システム内の圧力がバルブの最大圧力設定を超えることを防止する。
本発明の他の目的は、水力システム用の圧力バルブを提供することであり、この圧力バルブは、システム内の圧力増加速度を制限し、システム内の圧力がバルブの最大圧力設定を超えることを防止する。
本発明の他の目的は、上記特徴を実現するための様々な実施形態を提供することである。例えば、圧力リリーフバルブ、ベント・リリーフバルブ、シーケンスバルブやキックダウンバルブに係る実施形態が提供される。
【発明の効果】
【0013】
上記の従来の緩やかな立ち上げ挙動(ソフト・スタート)を実現するバルブは、直接的な圧力作用により動作するリリーフバルブである。一方、本発明は、パイロット操作リリーフバルブである。他のパイロット操作リリーフバルブのように、パイロット・チャンバ内の圧力は制御圧力よりも非常に低く保たれる。その一方で、負荷機構は常に高い圧力を生じさせる。この機構は、本発明に係るバルブの設定を変更するものであり、バルブのパイロット側にこの機構が配されることにより、既存のバルブより低い圧力を実現可能である。このことは、バルブの設定をゆっくりと変更することを可能とするとともに非常に低いヒステリシスをもたらすことを可能とする。
【0014】
本発明に組み込まれる一般的な原理は、パイロット・チャンバの圧力を制限するとともに、入口圧力の増加速度を制限することにある。これは、様々な種類のスプリングへの負荷機構を非常に低い圧力のパイロット・チャンバ内に配置し、パイロット・チャンバ・スプリングを最大圧力設定に完全に付勢することで、上記の原理の大部分を実現できる。
更に、本発明に係るバルブをゆっくりと開ける操作圧力は、バルブの入口ポートの実際の圧力に従う。システム内の圧力が急激に増加し、入口圧力がバルブの最大圧力設定を超えると、設定圧力と実際の圧力が再度等しくなるまでバルブが開き続ける。したがって、流量がバルブの容量を超えないという状況下においては、バルブの入口における圧力がバルブ自身の操作圧力設定より早く増加することはない。
【0015】
本発明は、排出機構を備えるパイロット操作リリーフバルブに関する。このリリーフバルブは、高圧水力システム内の最大圧力を制限するとともに圧力増加速度を制御する。圧力増加速度を制御することで、本発明のリリーフバルブは所望の最大システム操作圧力以上の圧力スパイク発生の可能性を最小限化する。この機能並びに本発明のバルブの構造は、米国特許第6,039,070号明細書並びに米国特許第6,119,722号明細書に開示される装置と類似する(尚、両公報はともに本発明に参考文献として組み込まれる)。
これら公報に開示される装置と異なる点は、第3のポートが好ましく追加されている点である。第3のポートは、ダンピング・オリフィスとパイロット・シートの間を水力学的体積流量が直接的に通過することを可能とする。この第3のポートを介して、内部で発生するパイロット流れは、パイロット・チャンバを流入する前に、分離経路を介してタンクへ向かうことが可能となる。
このようにバルブに排出手段を設けることにより、必然的にパイロット・セクションの流体経路を短縮することが可能となる。結果として、主要セクションのバイアス圧力によって決定される圧力設定を非常に低減可能となる。
【0016】
この第3のポートを閉塞すると、パイロット流れをパイロット・チャンバへ流入させることとなる。そして、最終的に、圧力調整セクションが決定するバルブの圧力設定が復元することとなる。
本発明に係るバルブは、中空のパイロット・ピストンを利用する。このパイロット・ピストンはパイロット・セクションを移動する。パイロット・セクションは水力学的に負荷を与えられ、パイロット・スプリングを圧縮する。これにより、バルブのリリーフ設定が増加することとなる。
このパイロット・ピストンは、(1)バルブのパイロット設定がシステムの圧力に等しくなるまで若しくは(2)パイロット・ピストンが機械的停止位置に達するまで、パイロット・スプリングを伸長し又は圧縮し続ける。この状態において、バルブはシステムの最大圧力を制限する。
【0017】
本発明の新たな特徴は、ピストン・セクションの構造であり、この特徴は様々な種類のリリーフバルブに適用可能である。本発明は、パイロット・ピストンのパイロット・ボール・ホルダを備える。パイロット・ボール・ホルダは、パイロット・ピストンが初期位置にあるとき、パイロット・シートから離れて保持される。
これにより、パイロット・セクションは通常開状態となり、主要ピストンの面に対して作用する圧力が、主要スプリングにより主要ピストンに作用する力以上の力を発生させるとすぐに、主要ピストンが開状態となることを可能とする。
【0018】
本発明に係るバルブは、任意の圧力設定調整を可能とする。したがって、非常に低い設定で常時システム圧力を解放し始め、この圧力解放動作は、所望の設定圧力にシステム圧力が達する前に行われることとなる。この特徴は、バルブが高い圧力設定で解放動作を行う前に油抜きポートが2回加速することを可能とするリリーフバルブに必要とされる。
主要セクションを緩やかに開状態とすること並びにリターン・オイルを複数回加速することは、システム並びにタンク輸送経路における圧力スパイクの発生可能性を最小限化することを可能とする。
典型的なリリーフバルブを用いた場合、システム圧力並びに流量の急激な増加はシステム内に衝撃波を生じせしめ、最終的に、この衝撃波はホースやフィッティングといったシステム構成要素に吸収されることとなる。
【0019】
パイロット流れが作り出されると、パイロット・スリーブが制御速度で軸方向への移動動作を開始する。このパイロット・スリーブの動作速度は、制御オリフィスの大きさ並びにパイロット・ピストン内部の液圧により決定される。制御オリフィスは調整チャンバに連通する。また、パイロット・スリーブの動作速度は、少量の全体の解放流量により制限される。
ピストンのストローク動作により、パイロット・ピストン並びにパイロット・ボールがパイロット・シートに近づく。そして、ポート(1)においてバルブの設定に対する制御を調整し始める。
パイロット・セクションへのパイロット流れが停止すると(バルブが圧力を放出したとき)、パイロット・スリーブは、調整セクションの調整螺子に対向する最初の初期位置へ復帰する。
【0020】
完全な初期位置への復帰を確保するために、ボール・ホルダとパイロット・シートの間に存するパイロット・セクションにリターン・スプリングが配される。このスプリングにより、初期位置への復帰の際に、パイロット・ピストンが戻りきらない可能性を最小限化する。パイロット・スプリングが、パイロット・ピストンを完全に初期位置まで戻すほどの長さを有していないとき、上記のような実施形態は非常に重要である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
上記の目的及び他の目的は、以下の説明により明らかとされる。本発明は、以下に図面を参照しつつ説明される。
本発明の大部分は図1の領域A及び図3の領域Bに示される。本発明は、通常開状態のパイロット・セクション(46)を備える。任意のバルブに取付け可能なパイロット・セクション(46)は摺動式パイロット・ピストンを格納する。パイロット・ピストンは例えば、パイロット・チャンバ(24)における符号(37)により示す部分のごとく形成される。通常パイロット・ボール(15)は最初、パイロット流れが通路(31)を介してパイロット・ピストン(37)内に入るまで開状態である。通路(31)を介する流れが確立されると、パイロット・スリーブ(14)と、それに伴ってパイロット・ピストン(37)がバルブの軸方向に移動する。これにより、パイロット・ボール(15)がパイロット・シート(38)に対して押付けられるとともに、パイロット・スプリング(13)及び(33)が圧縮される。パイロット・スプリング(13)及び(33)は、パイロット・スリーブ(14)が、調整ねじ(49)内の機械的係止セクション(49a)に達するまで圧縮される。パイロット・スリーブ(14)が機械的係止セクション(49a)に達するとき、最大圧力が加えられた状態になる。すなわちパイロット・スプリング(13)及び(33)がパイロット・ボール(15)に加える圧力が、ポート(1)におけるシステム圧力と等しくなる。
【0022】
パイロット・スリーブ(14)が、ねじ(49)に対して最初の位置に必ず戻るようにするために、パイロット・ピストン(37)がバルブの軸方向に移動する間、リターン・スプリング(35)によりスリーブ(14)を引き戻すような力が加えられる。このリターン・スプリング(35)はパイロット・ピストン(37)に対して直接に動作するから、バルブの設定圧力を決定するために用いられるパイロット・スプリングの力に直接的に抵抗する。
【0023】
ねじ(49)調節時に用いられる圧力設定に関わらず、バルブの閾値圧力は低い圧力に保たれる。この形態は従来技術とは異なるものである。従来技術においては、閾値圧力は、最大設定圧力にしたがって、閾値圧力と最大設定圧力の差が一定となるように調整される。全てのバルブの圧力設定に対して、初期閾値圧力は主要セクションのバイアス圧力に等しい。すなわち、パイロット・セクション(46)は開状態であることを考慮すると、主要セクション(42)のみによって、バルブの閾値圧力が決定される。
【0024】
図1及び図2に示すごとく、本発明の好適な実施形態は符号(40)により示される。パイロット操作圧力バルブ(40)は通常3つの主要な要素、すなわち主要セクション(42)、細長いパイロット・セクション(46)、圧力調整セクション(48)を備える。細長い外側ハウジング(44)は長手方向に延出するとともに、その一端部が主要セクション(42)を構成する入口体(21)の基端部にシール可能に接続する。パイロット・セクション(46)は円筒形状のパイロット・スリーブ(14)を備える。円筒形状のパイロット・スリーブ(14)は、制限された距離を長手方向に移動可能なように、外側ハウジング(44)内に摺動可能に取付けられる。円筒形状のパイロット・スリーブ(14)はまた、パイロット・チャンバ(24)の側壁の一部をなす。パイロット・スリーブ(14)は保持器(26)に接続するとともにこれから長手方向に延出する。保持器(26)は、入口体(21)にその一部として固定して保持されるとともに、入口体(21)から長手方向に延出する。圧力調整セクション(48)は外側ハウジング(44)の他端部にシール可能に接続及び螺合により固定される。図1に示すごとく、圧力調整セクション(48)はまた、パイロット・セクション(46)の他端部に位置する。
【0025】
一般的に、主要セクション(42)はシステム圧力の圧力流体を受け入れる。主要チャンバ(30)は、入口ポート(1)から主要オリフィス(18)を介して流入した流体を受け入れるとともに、ダンピング・オリフィス(22)を通じて主要チャンバからパイロット・チャンバ(24)の方向にパイロット流速で流体を流す。この流れは、保持器(26)内の長手方向の通路(27)から通路(31)を通してパイロット・チャンバ(24)に入る。主要チャンバ(30)は主要スプリング(17)を備えるとともに、主要ピストン(20)のヘッドを、図1に示すように閉じた状態で保持する。この状態において、出口ポート(2)はシールされており、入口ポート(1)に通じた流体から隔離されている。
【0026】
パイロット・ボール(15)は最初、リターン・スプリング(35)により保持器(26)内のシートから離れた位置に保持される。入口圧力が予め設定したバルブの操作圧力を超えると、主要オリフィス(18)を介する流体の流れにより、主要オリフィス(18)全体にわたって十分な圧力降下が起こり、主要スプリング(17)が圧縮される。このとき、圧力流体は入口ポート(1)から直接出口ポート(2)へ流れた後、より低い圧力或いは圧力ゼロでタンク或いはリザーバへ流れる。
【0027】
入口ポート(1)における圧力流体は、低いパイロット流速で、主要オリフィスを介して流れる。主要オリフィス(18)は主要ピストン(20)の一端部の中央に位置する。主要オリフィス(18)の直径は好ましくは約0.02インチとする。主要チャンバ(30)が流体で満たされているとき、チャンバ(30)の圧力は通常、ポート(1)におけるシステム圧力に等しい。圧力流体はまた、主要チャンバ(30)からダンピング・オリフィス(22)を介してパイロット・チャンバ(24)へ流れる。ダンピング・オリフィス(22)は、保持器(26)の長手方向に延出する通路(27)と同心である。続いてこの圧力流体は、通路(31)を通過する。その後、パイロット・チャンバ(24)の全体が圧力流体で満たされる。このとき、予め決められたパイロット・チャンバ圧力を超えない。予め定められるパイロット・チャンバ圧力は、リリーフ・スプリング(10)により約225psiに定められる。リリーフ・ボール(11)が細長いパイロット・スプリング・シート(12)と噛合い、リリーフ・スプリング(10)がリリーフ・ボール(11)をパイロット・スプリング・シート(12)に押付ける。
【0028】
圧力流体がパイロット・チャンバ(24)に流入してパイロット・チャンバ(24)を満たすと、チャンバ内の空気が、極少量の圧力流体とともに、ドレイン・オリフィス(3)から徐々に排出される。ドレイン・オリフィス(3)はパイロット・スリーブ(14)側面を貫通して形成される。ドレイン・オリフィス(3)の直径は好ましくは0.016インチとする。直径をこのように小さくすることにより、ドレイン・オリフィス(3)を介する流体の流速のみによって、主要ピストン(20)が開くのを防ぐことができる。間隙ギャップ(28)が、パイロット・スリーブ(14)の円筒形状の外表面と、外側ハウジング(44)の円筒形状の内表面の間に形成される。ギャップ(28)は、流体とドレイン・オリフィス(3)から排出される空気を方向付ける。これにより、この流体及び排出される空気は、バルブから環状通路(74)を通って保持器(26)内の通路(70)及び(72)からリリーフ・ポート(6)を通過する。リリーフ・ポート(6)は外側ハウジング(44)を貫通して、外側ハウジング(44)の一端部近傍に形成される。パイロット・チャンバ(24)に荷重を負荷して、バルブをポート(1)における実際の圧力に保つために必要な流速は、主要ピストン(20)を主要スプリング(17)に抗して移動させるのに必要な流速より低い。
【0029】
パイロット・チャンバ圧力が比較的低く、リリーフ・スプリング(10)により定められる圧力を超えないとき、圧力流体は、更にパイロット・チャンバ(24)から制御オリフィス(7)を通じて荷重チャンバ(32)に流入し、充填する。リリーフ・スプリング(10)はリリーフ・ボール(11)に力を負荷して、細長いパイロット・スプリング・シート(12)に噛合わせる。パイロット・チャンバ内の流体圧力が上昇するにつれて、パイロット・スリーブ(14)はリターン・スプリング(35)の圧縮力に打ち勝ち、保持器(26)に向かって移動する。これにより、パイロット・ボール(15)がパイロット・シート内の定位置に移動される。パイロット・スリーブ(14)が保持器(26)に向かって移動を続けると、パイロット・スプリング(13)に対して加わる圧縮力が増加し、パイロット・ボール(15)に対する圧力が増加する。このように十分に大きな差圧面積を設ける形態により、パイロット・ボール(15)を定位置から離れた位置に保つために主要チャンバ(30)内で必要な操作圧力はパイロット・スプリング圧力とともに増加する。この操作圧力はバルブの作動圧力を最大値まで調整する。よって、荷重チャンバ(32)内に位置するリリーフ・スプリング・ハウジング(36)がフランジ(34)と接触することにより、パイロット・ボール(15)がパイロット・シート(38)から開放されるとき、主要セクション(42)の圧力負荷により作動圧力が最小となる。一方で、パイロット圧力の上昇に伴ってフランジ(34)とパイロット・スリーブ(14)が荷重チャンバ(32)の矢印Bの方向に反対側の端部まで移動すると、バルブの最大作動圧力が達せられる。バルブへの流体の流れが止まると、リターン・スプリング(35)により、パイロット・スプリング(13)及び(33)が圧縮されて、パイロット・ピストン(37)が最初の位置に戻る。
【0030】
スリーブ(14)がパイロット・スプリングの最大先行荷重設定圧力を負荷できるまで移動するとき速度は、制御オリフィス(7)を通るときの流体の流速により決定される。更に、パイロット・チャンバ(24)内で流体圧力が増加すると、パイロット・スプリング(13)がバルブ(40)の設定圧力まで先行荷重される。バルブ(40)の設定圧力はその瞬間における入口ポート(1)の圧力に等しい。
【0031】
(例1)
本発明の好適な実施形態において、パイロット圧力の有効面積は、スリーブ(14)の開口端部(29)の面積により定義される。開口端部(29)は環状の差圧面積を定義する。スリーブ(14)の外径は0.747インチ、スリーブ(14)の内径及び保持器(26)の外径は0.500インチとする。よって差圧面積は、約0.242平方インチとなる。つまり、225p.s.iのパイロット・チャンバ圧力により、パイロット・ボール(15)を介してパイロット・ピストン(37)に対して54ポンドの力が加えられる。パイロット・ボールのシートの直径は0.092インチであるから、圧力が加えられる領域の面積は0.0066平方インチである。パイロット・スプリングが負荷する54ポンドのスプリング力により、バルブは8181p.s.iの作動圧力に設定される。実際の最大圧力はスプリング負荷により制限される。スプリング負荷は、調整ねじ(49)を用いてパイロット・スリーブ(14)が最大長さ移動するように調整したとき、パイロット・スプリング(13)及び(33)がパイロット・ボール(15)に対して加える負荷である。
【0032】
図2の拡大図は本発明の詳細な構造を示す図であり、本発明の「ソフト・スタート」の実際的な機能的利点を示す。パイロット・チャンバ(24)が圧力流体でほぼ充填されると、リリーフ・ボール(11)を、定位置でシールされた状態から、パイロット・スプリング(10)に向かって移動させる流体圧力が生じる。この最大パイロット・チャンバ圧力は好ましくは225p.s.iとする。図示のように、リリーフ・ボール(11)がパイロット圧力を開放するまでパイロット・チャンバ(24)内の流体圧力が増加すると、自動的にパイロット・スプリング(13)の圧縮力が調整される。パイロット・チャンバ(24)内の圧力がパイロット圧力に達して、リリーフ・ボール(11)が定位置から移動されると、圧力流体は、パイロット・チャンバ(24)から横穴(2)を通ってパイロット・スリーブ(14)と外側ハウジング(44)の間の間隙ギャップ(28)に沿って流れる。間隙ギャップ(28)はバルブからリリーフ・ポート(6)を介して流体を排出するためのギャップである。このような形態により、パイロット・チャンバ(24)内のパイロット圧力が予め定められた有効なパイロット圧力である225p.s.i.を超えることはなくなる。圧力225p.s.i.は、パイロット・スプリング(13)を最大限先行荷重するのに適切な圧力である。この最大先行荷重は、荷重チャンバ(32)内のフランジ(34)が図2の矢印Bの方向に最大限移動されるときの最大荷重である。操作圧力とパイロット圧力の強さの比は、少なくとも約10対1であり、好ましくは25対1である。
【0033】
バルブ(40)の最大操作圧力設定を変更するためには、圧力調整セクション(48)はねじを回すようにして、バルブ(40)の長手方向或いは軸方向に移動される。これに伴ってスリーブ(24)も移動される。このスリーブの動きは、パイロット・ボール(15)とパイロット・シートの最初の距離、及びパイロット・チャンバ・スプリング(13)の潜在的な圧縮荷重と、それに比例して変化するパイロット・ボール(15)に対する荷重を変化させる。
【0034】
すなわち、本発明は、圧力増加速度を調節可能な操作圧力範囲に制限するのに加えて、バルブ及びバルブを備えるシステム内の最大圧力を制限する。このように圧力増加を制限することにより、本発明のバルブは圧力スパイクや液圧衝撃もまた防止できる。バルブが開いた状態となるときのバルブ操作圧力は、徐々に入口ポート(1)の実際の圧力に近づく。操作圧力を超えて圧力が急上昇すると、バルブが開かれて、圧力流体がポート(2)を介して排出される。バルブの操作圧力と、実際の入口圧力が再び等しくなるまで流体が排出される。更に、バルブへ流入する流体の量がバルブの許容量を超えない限り、バルブの操作圧力設定を上回って圧力が上昇することはない。
【0035】
従来のパイロット操作リリーフバルブと同様に、本発明のバルブのパイロット・チャンバ内の圧力は低い。ソフト・スタート・メカニズムのためには、パイロット・チャンバ内の圧力を低く保つことが次の3つの点において重要である。
(a)オリフィス(7)に沿った方向での圧力降下が225p.s.i.を超えない。つまり、荷重チャンバ(32)内へ一定して低圧力の流れが流れるということである。この点において、本発明の「ソフト・スタート」バルブは他のソフト・スタート・バルブと異なる。他のバルブでは、バルブの設定を決定するピストン或いはパイロット・スリーブの移動を制御するオリフィスに沿った方向における圧力の差は、最大6000p.s.i.である。オリフィス(7)を介して荷重チャンバ内へ向かう流れの流速は、バルブの設定を変更する速度を決定する。設定変更の速度は、ポート(1)における圧力増加速度に等しい。
【0036】
(b)スリーブ・セクション(46)の各端部近傍に配されるシール(60)及び(62)に対して、最大でも225p.s.iの 圧力降下しか起こらない。尚、他の形態のバルブにおいては、このような圧力降下がおよそ27倍の最大6000p.s.iに達する。この圧力降下が小さいから、従来技術の同様のバルブと比べて、本発明のバルブの摩擦とヒステリシスは非常に低い。
【0037】
(c)パイロット圧力もまたバルブの動作時における流体の損失量を決定する。ポート(1)における圧力が、バルブが制限する圧力増加速度の範囲内であると仮定すると、バルブはその設定をポート(1)における実際の圧力に調整する。この調整は、パイロット・チャンバに圧力を加えることにより行われる。パイロット・チャンバに圧力が加えられると、オリフィス(3)を介してパイロット流れが排出される。パイロット・チャンバ内の圧力が低いほど、流体の損失量が小さくなる。
【0038】
図5乃至図7は、2種類の従来技術と比べて、新たな形態がもたらす機能的改良点を示す。3ポート付ベント・リリーフバルブと本発明のバルブの比較を行ったが、例えば、リリーフバルブやシーケンスバルブのようなその他のバルブとの比較を行ってもよい。
【0039】
図5に示すごとく、本発明のソフト・スタート・メカニズムを有さない典型的な従来技術のベント圧力リリーフバルブがテストされた。図5はシステム圧力、及びポンプと標準的なスプール型ベント・リリーフバルブからなる小循環経路におけるタンクへ向かう経路の圧力を示す。曲線は、システム圧力がバルブの設定圧力に達したとき、タンクへ向かう経路及びシステムにおいて、圧力が急上昇する((52)及び(53))ことを示している。符号(50)により示すバルブの操作圧力は約2800p.s.iである。テストではまず、ベントが開いた状態のベント・リリーフバルブ・バルブに対して、低圧のポンプ流を直接タンクに流す。バルブを閉じることにより圧力を増加させ、ポンプ流がバルブの設定圧力(50)でタンクにベントが戻るようにする。開いた状態のリリーフの主要セクションにおいては圧力が増加するが、システム圧力はバルブの設定圧力を超えて急上昇する。これは、設定圧力に達するまで、バルブのパイロット・セクションが閉じられているからである。すなわち、バルブはシステム圧力の増加速度を実質的には制御しない。
【0040】
図6に示すごとく、米国特許第6,039,070号に開示される発明が、同様の流体圧力入力条件下に置かれた。このバルブの操作圧力は、符号(54)で示すように、約3000p.s.i.である。図6は符号(54)で示すシステム圧力と、ポンプとソフト・シフト式のベント・リリーフバルブ(従来技術の特許文献において開示されるバルブ)からなる小循環経路のタンクへ向かう経路の圧力を示す。この循環経路において、システム圧力の増加速度(58)は、ソフト・スタイル・リリーフバルブにより制限される結果、システムに典型的な圧力の急上昇が防止される。リリーフバルブは設定した最大圧力(54)より低い圧力(閾値圧力(56))で開き始めるから、符号(57)で示す圧力にあるタンクへ向かう経路における圧力の急上昇が低減される。閾値圧力(56)は、システム圧力の上昇を表す図の曲線において、傾きが小さくなる点として示される。圧力の急上昇が起こっても、圧力は1650p.s.i.までしか上昇しない。この圧力は意図する操作圧力(54)よりも十分に低い。符号(58)で示す圧力の増加は、一定速度で段階的な増加である。パイロット・ボールが定位置から離れると、調整圧力の上昇(58)が起きる。パイロット・チャンバ(24)内に流体が満たされると、パイロット圧力が最大まで増加する。システム・ショック及び余剰の流体圧力による損傷の全ては、米国特許第6,039,070号の発明により解決可能である。
【0041】
図7は、ポンプ及びソフト・シフト式ベント・リリーフバルブの変更形態を備える本発明のバルブ(40)或いは(40’)についてのグラフである。ソフト・シフト式ベント・リリーフバルブの変更形態は、上記のような通常開いた状態のパイロット・セクションを有する。この形態においては、設定圧力のどのように調整しても、パイロット・ステージを開いた状態に保つことにより、閾値圧力は最低圧力に保たれる。パイロット・ステージが主要セクションのバイアス・スプリングを超えると、システム圧力(64)は符号(66)の傾きにより示される速度で増加し始める。このように低い圧力からの圧力増加速度を制御することにより、循環経路のリターン・フローの流速が急激に変化することがなくなる。したがって、ここでも、システム圧力の急上昇(68)は事実上防止できる。またタンクへ向かう経路における圧力スパイク(69)も防止可能である。
【0042】
(変更形態)
本発明の範囲内で、上記した本発明の基本構造に変更を加えることが可能である。図1及び図2は、このような変更形態の一例を示す。このベント・リリーフバルブは、外側ハウジング(44)内に第2の出口ポートを備えるとともに、パイロット・バイパス・ポート(3)を備える。パイロット・バイパス・ポート(3)と横穴通路(46)の間では流体の行き来が可能である。更に、横穴通路(46)と長手方向の通路(27)の間でも流体は通行可能である。長手方向の通路(27)はダンピング・オリフィス(22)とパイロット・チャンバ(24)の間に配される。このような形態により、主要スプリング(17)の先行荷重に基づいて、ピストン(20)の出口ポート(2)へのクラック或いは開放圧力が大幅に低減される。このバルブ(40)はダンピング・オリフィス(22)の下流に流体を排出するから、ポート(3)の第2パイロット・リリーフバルブは遠隔操作により使用されてもよい。ポート(3)を選択的に閉じることにより、バルブの設定は上記の設定最小圧力まで素早く増加する。入り口ポート(1)の圧力が更に増加すると、上記のようにしてバルブは圧力増加速度を制限する。
【0043】
図3及び図4は、ベント・リリーフバルブの変更形態を示す。この形態のリリーフバルブは、ポート(1)におけるシステム圧力をパイロット・チャンバ(24)及び出口パイロット・ポート(3)を介して開放することにより、入口セクション(42)をポート(1)からポート(2)に続く通路に対して開いた状態にする。ポート(3)をタンクに接続することにより、パイロット流れが直接リザーバ内に戻るのと同時に、入口セクション(42)はシステム圧力を開放する。システム圧力は、主要ピストン(20)に主要ピストン(17)が加える圧力に等しい。ポート(3)におけるパイロット圧力は、パイロット・ピストン(37)内に位置する一体的リリーフのリリーフ設定を超えることはない。同様に、ポート(3)における圧力はパイロット・チャンバ(24)内の圧力と同じ速度でしか減少しない。
【0044】
本発明の更に別の変更形態は、主要チャンバ(30)からピストン(20)のシーティング表面に延出する横穴を有する。この形態のバルブは主要オリフィス(18)を備えないから、入口ポートにおける圧力増加がバルブの最大圧力増加加速度を超えると、このバルブは開状態となりそのまま開状態を保つ。ピストン内に位置付けされた横穴に加わる圧力は、ポート(1)の圧力よりはるかに低いから、このバルブは一度開かれると開状態を維持する。この横穴に加わる圧力が低いのは、流体がポート(1)とポート(2)の間を移動するとき、この横穴の端部を横切る流体の流速が大きいからである。
【0045】
図2に示すごとく、これら変更形態の全てがパイロット・チャンバの反対側にリリーフバルブを備えるから、バルブの操作圧力を超えて開始圧力を増加させることなく、「ソフト・スタート」を行うことができる。
【0046】
本発明の更に別の変更形態は、外側主要ステージをパイロット操作するために不可欠な本発明の形態を有する。外側主要ステージをパイロット操作するためには、本発明の主要チャンバ(32)は従来のパイロット操作リリーフバルブの主要チャンバに接続される。本発明自体は、主要ステージなしに構築可能である。すなわち、本発明のバルブは、主要ピストン(20)、スプリング(17)、ダンピング・オリフィス(22)、及び外側ハウジング(44)内の横穴を備えなくてもよい。
【0047】
ここでは、本発明の最も実用的で好適な実施形態を説明したが、本発明の範囲内において、本発明に変更を加えることが可能であることは明らかである。したがって、本発明は、上記の実施例によっては限定されず、請求の範囲によってのみ限定され、上記の実施例と同様の全ての装置は本発明の範囲に含まれるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、圧力リリーフバルブに好適に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】ベント・リリーフバルブの形態の本発明の好適な実施形態の正面断面図である。
【図2】図1の領域Aに示す部分の拡大図である。
【図3】本発明の他の実施形態の正面断面図である。
【図4】図3に示す領域Bの拡大図である。
【図5】従来の圧力バルブの入口における流体圧力の時間プロットに対する流体圧力増加を記録したチャートである。
【図6】米国特許第603,9070号に示される圧力バルブの入口における流体圧力の時間プロットに対する流体圧力増加を記録したチャートである。
【図7】本発明の圧力バルブの入口における流体圧力の時間プロットに対する流体圧力増加を記録したチャートである。
【符号の説明】
【0050】
1・・・・入口ポート
2・・・・出口ポート
11・・・リリーフ・ボール
13・・・パイロット・スプリング
14・・・パイロット・スリーブ
15・・・パイロット・ボール
17・・・主要スプリング
18・・・主要チャンバ
20・・・主要ピストン
22・・・ダンピング・オリフィス
24・・・パイロット・チャンバ
26・・・保持器
35・・・リターン・スプリング
37・・・パイロット・ピストン
38・・・パイロット・シート
40・・・パイロット操作圧力バルブ
42・・・主要セクション
44・・・外側ハウジング
46・・・パイロット・セクション
48・・・圧力調整セクション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイロット操作圧力バルブであって、該パイロット操作圧力バルブは、
主要セクションと、
該主要セクションから長手方向に延出し、一端部が前記主要セクションとシール可能に接続するとともに細長く形成される中空の外側ハウジングと、
パイロット・チャンバを備え、前記外側ハウジングの円筒形状の内部空間内に取り付けられるとともに前記主要セクションからその一端部が長手方向に延出する細長く形成されたパイロット・セクションと、
該パイロット・セクションの他端部において前記外側ハウジングの他端部と調整可能且つシール可能に接続するとともに調整チャンバを定義する圧力調整セクションからなり、
前記主要セクションは、該主要セクションの一端部において入口ポートと、出口ポートと、前記入口ポートの他端部とシール可能に接続する保持器と、前記主要セクション内部において摺動可能に据付けられる主要ピストンと、前記保持器と前記主要ピストンの間の中央に形成される主要チャンバ内に配されるとともに該主要チャンバの長手方向に沿って延設する主要スプリングを備え、
前記主要ピストンのヘッドは前記主要チャンバの一端部を定義するとともに前記入口ポートに隣接して配される主要オリフィスを備え、
該主要オリフィスは前記入口ポートにおいて少量の圧力流体が前記主要チャンバに流入すること並びに該主要チャンバを充填することを可能とし、
前記保持器は、長手方向に延設する通路を備え、
該通路は、その一端部にパイロット・シートを備え、その他端部にダンピング・オリフィスを備え、
該ダンピング・オリフィスは、前記主要チャンバへの流体の通過において、前記主要チャンバが、該主要チャンバ内の少量の圧力流体が前記主要チャンバから前記パイロット・チャンバへ流入することを可能とし、
前記主要スプリングは、前記主要ピストンを前記入口ポートに対してシール可能に噛合うように付勢し、これにより、前記パイロット操作圧力バルブの閾値圧力に等しい所定の入口圧力を生じせしめ、
前記主要ピストンは、前記主要スプリングの付勢方向と反対方向の軸方向の動作をすることにより、前記入口ポートを開き、これにより、圧力流体が前記入口ポートへ流入するとともに直接的に前記出口ポートを介して前記パイロット操作圧力バルブから排出されることを可能とし、
前記パイロット・セクションは、その一端部に細長いパイロット・スプリングを備え、
該パイロット・スプリングは、前記パイロット・セクション内に配された細長いパイロット・スリーブ内に配され、
該パイロット・スリーブは、前記パイロット・ピストンと反対方向に延設するとともに、該パイロット・ピストンの該パイロット・スリーブ内での摺動動作を可能とし、
前記パイロット・スリーブは、更に、パイロット・ボールを支持し、該パイロット・ボールはリターン・スプリングによって前記パイロット・シートから離れて位置し、
リターン・スプリングによって前記パイロット・シートから離れて保持されるパイロット・ボールを支持し、
前記リターン・スプリングは、前記パイロット・ピストンと前記保持器の前記一端部の間で動作し、
前記パイロット・チャンバ内の圧力が所定の最大圧力を超え、入口圧力が操作圧力まで増加したとき、前記パイロット・ピストンは、前記パイロットを移動させ、該パイロットが前記パイロット・シートを部分的にシールする位置に達し、
前記パイロット・スリーブは、前記外側ハウジング内の前記圧力調整セクションによって長手方向に位置決め可能であり、これにより、前記パイロット・スプリングの長さを変更可能とすることによって、操作圧力を可変とし、
前記パイロット・スリーブは、リリーフ・ボールによって閉塞されるとともに前記パイロット・チャンバへ向かう流体通過部分と近接した位置に配される横穴を備え、
前記リリーフ・ボールは付勢されるとともに、前記パイロット・チャンバ内で長手方向に摺動可能に位置決め可能とされ、
前記パイロット・ピストンの一端部は、リリーフ・オリフィスを備え、
該リリーフ・オリフィスは、前記パイロット・チャンバ内の少量の圧力流体を前記調整チャンバに流入させるとともに該調整チャンバを圧力流体で満たすことを可能とし、
前記調整チャンバは、前記保持器よりも大きな表面積を備え、これにより、前記パイロット・スリーブが前記パイロット・スプリングと反対方向に移動可能に付勢され、前記閾値圧力と最大操作圧力との間の操作圧力を可変とすることを特徴とするパイロット操作圧力バルブ。
【請求項2】
パイロット操作圧力バルブであって、該パイロット操作圧力バルブは、
主要セクションと、
該主要セクションから長手方向に延出し、一端部が前記主要セクションとシール可能に接続するとともに細長く形成される中空の外側ハウジングと、
パイロット・チャンバを備え、前記外側ハウジングの円筒形状の内部空間内に取り付けられるとともに前記主要セクションからその一端部が長手方向に延出する細長く形成されたパイロット・セクションと、
該パイロット・セクションの他端部において前記外側ハウジングの他端部と調整可能且つシール可能に接続するとともに調整チャンバを定義する圧力調整セクションからなり、
前記主要セクションは、該主要セクションの一端部において入口ポートと、出口ポートと、前記入口ポートの他端部とシール可能に接続する保持器と、前記主要セクション内部において摺動可能に据付けられる主要ピストンと、前記保持器と前記主要ピストンの間の中央に形成される主要チャンバ内に配されるとともに該主要チャンバの長手方向に沿って延設する主要スプリングを備え、
前記主要ピストンのヘッドは前記主要チャンバの一端部を定義するとともに前記入口ポートに隣接して配される主要オリフィスを備え、
該主要オリフィスは前記入口ポートにおいて少量の圧力流体が前記主要チャンバに流入すること並びに該主要チャンバを充填することを可能とし、
前記保持器は、長手方向に延設する通路を備え、
該通路は、その一端部にパイロット・シートを備え、その他端部にダンピング・オリフィスを備え、
該ダンピング・オリフィスは、前記主要チャンバへの流体の通過において、前記主要チャンバが、該主要チャンバ内の少量の圧力流体が前記主要チャンバから前記パイロット・チャンバへ流入することを可能とし、
前記主要スプリングは、前記主要ピストンを前記入口ポートに対してシール可能に噛合うように付勢し、これにより、前記パイロット操作圧力バルブの閾値圧力に等しい所定の入口圧力を生じせしめ、
前記主要ピストンは、前記主要スプリングの付勢方向と反対方向の軸方向の動作をすることにより、前記入口ポートを開き、これにより、圧力流体が前記入口ポートへ流入するとともに直接的に前記出口ポートを介して前記パイロット操作圧力バルブから排出されることを可能とし、
前記パイロット・セクションは、その一端部に細長いパイロット・スプリングを備え、
該パイロット・スプリングは、前記パイロット・セクション内に配された細長いパイロット・スリーブ内に配され、
該パイロット・スリーブは、前記パイロット・ピストンと反対方向に延設するとともに、該パイロット・ピストンの該パイロット・スリーブ内での摺動動作を可能とし、
前記パイロット・スリーブは、更に、パイロット・ボールを支持し、該パイロット・ボールはリターン・スプリングにより前記パイロット・シールから離れて位置し、
前記リターン・スプリングは、前記パイロット・ピストンと前記保持器の前記一端部の間で動作し、
前記パイロット・チャンバ内の圧力が所定の最大圧力を超え、入口圧力が操作圧力まで増加したとき、前記パイロット・ピストンは、前記パイロットを移動させ、該パイロットが前記パイロット・シートを部分的にシールする位置に達し、
前記パイロット・スリーブは、前記外側ハウジング内の前記圧力調整セクションによって長手方向に位置決め可能であり、これにより、前記パイロット・スプリングの長さを変更可能とすることによって、操作圧力を可変とすることを特徴とするパイロット操作圧力バルブ。
【請求項3】
細長い主要セクションと、該主要セクションから長手方向に延出し、一端部が前記主要セクションとシール可能に接続するとともに細長く形成される中空の外側ハウジングと、パイロット・チャンバを備え、前記外側ハウジングの円筒形状の内部空間内に取り付けられるとともに前記主要セクションからその一端部が長手方向に延出する細長く形成されたパイロット・セクションと、該パイロット・セクションの他端部において前記外側ハウジングの他端部と調整可能且つシール可能に接続する圧力調整セクションからなり、前記主要セクションは、該主要セクションの一端部において入口ポートと、出口ポートと、前記主要セクションの他端部とシール可能に接続する保持器と、前記主要セクション内部において摺動可能に据付けられる主要ピストンと、前記保持器と前記主要ピストンの間の中央に形成される主要チャンバ内に配されるとともに該主要チャンバの長手方向に沿って延設する主要スプリングを備え、前記主要ピストンのヘッドは前記主要チャンバの一端部を定義するとともに前記入口ポートに隣接して配される主要オリフィスを備え、該主要オリフィスは前記入口ポートにおいて少量の圧力流体が前記主要チャンバに流入すること並びに該主要チャンバを充填することを可能とし、前記保持器は、長手方向に延設するダンピング・オリフィスを備え、該ダンピング・オリフィスは、前記主要チャンバへの流体の通過において、前記主要チャンバが、該主要チャンバ内の少量の圧力流体が前記主要チャンバから前記パイロット・チャンバへ流入することを可能とし、前記主要スプリングは、前記主要ピストンを前記入口ポートに対してシール可能に噛合うように付勢し、これにより、前記パイロット操作圧力バルブの最大操作圧力と等しい所定の入口圧力となり、前記主要ピストンが、前記主要スプリングの付勢方向と反対方向の軸方向の動作をすることにより、前記入口ポートを開き、これにより、圧力流体が前記入口ポートへ流入するとともに直接的に前記出口ポートを介して前記パイロット操作圧力バルブから排出されることを可能とし、前記パイロット・セクションは、その一端部に細長いパイロット・スプリングを備え、該パイロット・スプリングは、前記パイロット・チャンバ部材内に配された細長いパイロット・スリーブ内に配されてなるパイロット操作圧力バルブであって、
前記パイロット・セクションは、該パイロット・セクションの一端部から延出するとともに該パイロット・セクションに配された細長いパイロット・スリーブ内に配されるパイロット・スプリングを備え、
該パイロット・スリーブは、前記パイロット・ピストンと反対方向に延設するとともに、該パイロット・ピストンの該パイロット・スリーブ内での摺動動作を可能とし、
前記パイロット・スリーブは、更に、リターン・スプリングによって前記パイロット・シートから離れて保持されるパイロット・ボールを支持し、
前記リターン・スプリングは、前記パイロット・ピストンと前記保持器の前記一端部の間で動作し、
前記パイロット・チャンバ内の圧力が所定の最大圧力を超え、入口圧力が操作圧力まで増加したとき、前記パイロット・ピストンは、前記パイロットを移動させ、該パイロットが前記パイロット・シートを部分的にシールする位置に達し、
前記パイロット・スリーブは、前記外側ハウジング内の前記圧力調整セクションによって長手方向に位置決め可能であり、これにより、前記パイロット・スプリングの長さを変更可能とすることによって、操作圧力を可変とすることを特徴とするパイロット操作圧力バルブ。
【請求項4】
前記保持器が横穴通路を備え、
該横穴通路はシールされた状態で、パイロット・バイパス・ポートと整列し、
該パイロット・バイパス・ポートは前記外側ハウジングを横切るように形成され、
前記横穴通路は、前記パイロット・チャンバと前記ダンピング・オリフィスの入口下流の流体通過を可能とし、これにより、圧力流体が前記パイロット・バイパス・ポートから前記パイロット操作圧力バルブ外方へ排出されることを可能とし、
これにより前記パイロット操作圧力バルブの操作圧力が低減することを特徴とする請求項3記載のパイロット操作圧力バルブ。
【請求項5】
前記保持器が横穴通路を備え、
該横穴通路はシールされた状態で、パイロット・バイパス・ポートと整列し、
該パイロット・バイパス・ポートは前記外側ハウジングを横切るように形成され、
前記横穴通路は、前記パイロット・チャンバと前記ダンピング・オリフィスの入口下流の流体通過を可能とし、これにより、圧力流体が前記パイロット・バイパス・ポートから前記パイロット操作圧力バルブ外方へ排出されることを可能とし、
これにより前記パイロット操作圧力バルブの操作圧力が低減することを特徴とする請求項1記載のパイロット操作圧力バルブ。
【請求項6】
前記保持器が横穴通路を備え、
該横穴通路はシールされた状態で、パイロット・バイパス・ポートと整列し、
該パイロット・バイパス・ポートは前記外側ハウジングを横切るように形成され、
前記横穴通路は、前記パイロット・チャンバと前記ダンピング・オリフィスの入口下流の流体通過を可能とし、これにより、圧力流体が前記パイロット・バイパス・ポートから前記パイロット操作圧力バルブ外方へ排出されることを可能とし、
これにより前記パイロット操作圧力バルブの操作圧力が低減することを特徴とする請求項2記載のパイロット操作圧力バルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−239961(P2007−239961A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−66707(P2006−66707)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【出願人】(506083822)サン ハイドローリクス コーポレーション (2)
【Fターム(参考)】