説明

ソリッドステートオブジェクト位置検出機

【課題】オブジェクト位置検出機を提供する。
【解決手段】閉ループに配置された複数の電極を備え、かつ、前記閉ループに近接したオブジェクトを容量的に検出するよう構成されたタッチセンサを備えたオブジェクト位置検出機である。このタッチセンサに結合されたプロセッサは、サンプル間の閉ループについての第1方向における相対移動量を決定し、サンプル間の閉ループについての第1方向における前記相対移動量が前記方向における所定量を超えている場合には、相対移動情報を、第1方向とは逆の第2方向での相対移動量の情報として与える。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
デジタル情報処理デバイスのユーザインターフェースにおける情報やオプションは、多くの場合、押しボタン又は他の物理な制御機器によって容易に処理可能とするには多すぎることが多い。具体的には、ドキュメントとデータのスクロール、メニュー項目の選択、及びボリューム制御のような連続的な数値のコントロールは、押しボタンと一般的なポインティングデバイスによって制御することが困難である場合がある。これらの押しボタンとポインティングデバイスは、どこまで移動可能か又はオプションの数をいくつまで選択可能かに関して、本質的に制限がある。例えば、コンピュータマウスは、ポインタ又はカーソルを無制限に動作可能であるが、持ち上げて及び元の位置に戻すという動作なくしては無制限にカーソルを移動することはできず、これらの状況におけるユーザビリティ(使いやすさ)が制限されている。
【0002】
この問題に対する解決方法としては、以下がのものが挙げられる。
a.データを介して操作するために又はデータを制御するために特定的に設計されている“ページアップ”と“ページダウン”及びカーソルキーのようなキー類
b.カーソルを制御する標準コンピュータポインティングデバイスを用いることによってデータを長距離でスクロールさせるために使用可能であるユーザインターフェースのスクロールバーを設けること
c.(bにおけるように)同様に制御された階層式メニュ又は選択
d.任意値域でパラメータを変動させるための“スライドバー”と“スピン制御”のような画像ユーザインターフェース構成要素
e.標準ポインティングデバイスのスクロールホイール
f.ユーザインターフェースを制御するために用いられ、大抵は“ジョグダイアル”と称されている、物理的な「ノブ」を用いた制御。ある種のノブとダイヤルにおいては、動作の方向を指示するためにクアドラチャ信号(quadrature signal)が出力される
g.光学的又は機械的に球体の動きを検知して二次元センサとなるトラックボール
h.ユーザが指をその上でスライドさせることでスクロールを行うことができる“スクロール領域”を提供することができる、キャパシタンス性の二次元オブジェクト位置センサ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらの従来技術の欠点は以下のとおりである。
a.設定されたキー:これらは一般的に電子機器や物理構造だけでなく、キーボード上にスペースを設定することが必要となる。キーを用いる場合、通常、スクロールされた情報又は実行された機能に対するユーザの制御が所定の固定値に限定される。例えば、ページアップとページダウンキーは、1ページ毎という固定された比率で、ドキュメントの切替えを可能としている。
b.ポインティングデバイスとカーソルにより制御されたスクロールバー:これらの構成要素は、データをスクロールするためには、ユーザにディスプレイ全域に長距離を動作し、及び/又は細かいコントロールが求められる。更に、これらのスクロールバーは、他の目的に使用可能であるディスプレイ上のスペースを占有している。
c.ポインタデバイス又はキーの組み合わせにより制御された階層式メニュ:これらは、ユーザが行うタスクにターゲットを合わせることが複雑であるという点に関して、スクロールバーと同様の問題を有する。まず第1にユーザは、スクリーンの縁近くの小さな目標をヒットしなければならないし、それからメニュ階層の追加の層を開始するために狭い径路に沿ってナビゲートしなければならない。通常キーの組み合わせで構成されているショートカットキーは、一般的にはあまり知られておらず、また、記憶しておくことも困難である。
d.ポインティングデバイス又はキーの組み合わせにより制御された“スライダ”と“スピン制御”:これらは、スクロールバーと階層式メニュと同様のターゲットを絞るということに関する(場合によっては、スクロールバーとメニュの場合よりさえもターゲットが小さいという点では更に悪くなっている)問題を有する。
e.マウス上の物的スクロールホイール;ユーザは、単一ストローク
ホイールで動作可能な範囲は機械的に制限されているためにこれらのホイールでかなり広範囲にスクロールすることは不可能である。これらの機械的制限は、ホイール自身の構造か、又は(ホイールのマウント又はデバイスのハウジングのような)ホイールとその近くの物的フィーチャにおけるインターフェースに起因している。基本的な指の動作の実質的な/快適な長さにおける制限により、ユーザは、1ストロークでのスクロール距離がかなり小さく限定されてしまう。更に、これらのホイールは、機械的に複雑であり、多大なスペースを占有する。
f.物的なノブ制御又は“ジョグダイアル”:これらは、比較的大きく、機械的に複雑であるという欠点を有する。スクロールホイールと同様に、ノブ又はダイアルは、これらがユーザの意図に反してアクティブになることがないように、ホイールに若干の摩擦が必要となる。更に、極めて精密に物的ノブ又はダイアルを用いることは困難であり、また、ホイールの慣性により、本質的に幅広い動作においてオーバーシュートを引き起こす可能性がある。物理的なノブ又はダイアルは、頻繁に近接する物的特性とともにノブ及びダイアルの構造又はインターフェースによって課せられた回転範囲において機械的に制限されている。
g.トラックボール:これらは、かさばる又は機械的に複雑であるという欠点を有する物的なノブと同様である。トラックボールを極めて精密に用いることは困難であり、慣性があることから、本質的に幅広い動作においてオーバーシュートを引き起こす可能性がある。更に、トラックボールは、二次元的な動作の制御を表すものであり、ユーザがその入力を一次元に限定することは困難である。最終的に、前述の入力は、トラックボールの構造とハウジング、指の動作における快適な/実際的な移動範囲の動作限界の何れかにより、又は双方によって制限されている。
h.スクロール領域:これらは、ユーザの指がスクロール領域の端に達し、指を持ち上げ、前述の領域におけるセンサに置き換え、動作を続けなければならないという物理的な限界によって制限されている。ユーザは、スクロール領域に従って長距離をスクロールするために同じ指で多くの各動作を実行しなければならない。
【0004】
従来技術の欠点は、可能な限りの配置と数値の幅広い範囲を介してスクロール、選択、及び制御変更を可能なユーザインターフェースを改善することによって是正可能である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従来技術の難点と欠点は、固体オブジェクト位置検出機における閉ループセンサによって克服されている。
【0006】
本発明は、ソリッドステートオブジェクトの位置検出機を開示している。ソリッドステートオブジェクト位置検出機は、タッチセンサの表面部に形成され、閉ループと同じ広がりを有する物理的制限を有する閉ループとして形成されたタッチセンサを含む。タッチセンサは、閉ループに近接したオブジェクトの動作を感知するために構築されている。オブジェクト位置検出機は、タッチセンサに結合されたプロセッサを含み、タッチセンサ上の動作に応じて動作を生成するためにプログラムされている。
【0007】
本発明は、又、二次元タッチセンサの表面に形成され、同一の領域を占有する触覚ガイドを有する二次元タッチセンサを含む、固体オブジェクト配置デコーダを開示している。二次元タッチセンサは、二次元タッチセンサに近接するオブジェクトの動作を感知するために構築されている。ソリッドステートオブジェクト配置は、又、二次元タッチセンサに結合されたプロセッサと二次元タッチセンサに近接するオブジェクトの動作の角度位置のような位置を指示する1変数のみをレポートするために構築されている。プロセッサは、二次元タッチセンサの動作に応じて動作を生成するためにプログラムされている。
【0008】
本発明は、ソリッドステートオブジェクト位置検出機と、ポインティング入力デバイスと、及びプロセッサを含む組み合わせを開示している。ソリッドステートオブジェクト位置検出機は、閉ループとして形成されたタッチセンサを有する。ソリッドステートオブジェクト位置検出機は、タッチセンサの表面に形成され、閉ループと同一の領域を占有する触覚ガイドを有する。タッチセンサは、閉ループに近接して配置され、ユーザの第1ポインティング入力を感知するために構築されている。タッチセンサは、閉ループに近接するオブジェクトの第1配置を感知するために構築されている。ポインティング入力デバイスは、ソリッドステートオブジェクト位置検出機に近接して配置され、ユーザの第1ポインティング入力を感知するために構築されている。プロセッサは、ソリッドステートオブジェクト位置検出機とポインティング入力デバイスに結合されている。プロセッサは、前述の第1配置に応じる少なくとも1動作と第1ポインティング入力に応じる少なくとも1動作を生成するためにプログラムされている。ポインティング入力デバイスは、マウス、タッチパッド、ポインティングスティック、スライダ、ジョイスティック、タッチスクリーン、トラックボール、又は他のソリッドステート位置検出機であり得る。
【0009】
本発明は、又、ソリッドステート位置検出機、制御入力デバイス、及びプロセッサを含む組み合わせの、他の実施形態を開示している。ソリッドステートオブジェクト位置検出機は閉ループとして形成されたタッチセンサを有する。ソリッドステートオブジェクト位置検出機は、タッチセンサの表面に形成された触覚ガイド有し、閉ループと同一領域を占有する。制御入力デバイスは、ソリッドステートオブジェクト位置検出機に近接して配置され、ユーザの第1制御入力を感知するために構築されている。プロセッサは、ソリッドステートオブジェクト位置検出機と制御入力デバイスに結合されている。プロセッサは、第1配置に応じる少なくとも1動作と第1制御入力に応じる少なくとも1動作を生成するためにプログラムされている。制御入力デバイスは、押しボタン、キー、タッチ触覚ゾーン、スクロール領域、スクロールホイール、ジョグダイアル、スライダ、タッチスクリーン、又は他のソリッドステートオブジェクト位置検出機であり得る。
【0010】
本発明は、又、1次元閉ループに配置され、第1電極に近接する第1電極と複数の第2電極を有するソリッドステートオブジェクト位置検出機を開示している。ソリッドステートオブジェクト位置検出機は、又、タッチセンサに結合されたプロセッサを含む。プロセッサは、タッチセンサにおけるユーザ入力に応じる1動作を生成する。複数第2電極において用いられた触覚回路(sensing circuitry)の複雑性は、相対位置指定のみを要するとき、複数の第2電極の少なくとも二つは電気的に接続されるか、又は一緒に配線されるように減少可能である。
【0011】
本発明は、又、ソリッドステートオブジェクト位置検出機とタッチパッドと、及びプロセッサを含む組み合わせを開示している。ソリッドステートオブジェクト位置検出機は、第1電極と、1次元閉ループに配置され、第1電極に近接する複数の第2電極とを有するタッチセンサを含んでいる。タッチパッドは、複数のX電極と複数のY電極を有する。第1電極は、複数X電極と複数Y電極の少なくとも1つに電気的に結合されている。プロセッサは、タッチセンサと入力デバイスに結合されている。プロセッサは、タッチセンサとタッチパッドの何れか少なくとも1つのユーザ入力に応じた1動作を生成する。複数第2電極に用いられた触覚回路(sensing circuitry)の複雑性は、相対位置指定のみを要するとき、複数の第2電極の少なくとも二つは電気的に接続されるか、又は一緒に配線されるように減少可能である。
【0012】
本発明は、又、1次元閉ループに近接して配置された複数の交互配置された電極を有するタッチセンサを含む、ソリッドステートオブジェクト位置検出機を開示している;各電極は、隣接する電極と交互にかみ合っている。ソリッドステートオブジェクト位置検出機は、又、タッチセンサに結合されているプロセッサを含む。プロセッサは、タッチセンサのユーザ入力に応じた動作を生成している。
【0013】
本発明は、又、閉ループに近接して配置された複数の自己挿入する電極を有するタッチセンサを含む、ソリッドステートオブジェクト位置検出機を開示している;各電極は、隣接する電極と交互にかみ合っている。ソリッドステートオブジェクト位置検出機は、又、タッチセンサに結合されているプロセッサを含む。プロセッサは、タッチセンサのユーザ入力に応じた動作を生成している。
【0014】
本発明は、閉ループを有するタッチセンサのオブジェクトから位置データを受信する過程と、1次元閉ループのオブジェクトの配置を判断するための位置データを挿入する過程を含むソリッドステートオブジェクト位置検出機におけるオブジェクトの配置を計算するための方法を開示している。本方法の挿入する過程の態様は、更に、二次的に適したアルゴリズム、補間中心アルゴリズム(centroid interpolation algorithm)、三角ウェイティングアルゴリズム、又は準三角ウェイティングアルゴリズムを含む。
【0015】
本発明は、又、オブジェクト位置検出機のタッチセンサのオブジェクトの動作を判断するための方法を開示している。この方法は、オブジェクト位置検出機のタッチセンサの閉ループのオブジェクトの第1配置のデータを受信する過程と、閉ループのオブジェクトの第2配置のデータを受信する過程と、及び第2配置と第1配置の動作を計算する過程を含む。方法は、更に動作が最大角と等しい又は、比較して大きいかを判断する過程と、前述の動作が最大角と等しいか、比較して大きいか否かに基づいて調整する過程を含む。
方法は、更に動作が最小角と等しい又は、比較して大きいかを判断する過程と、前述の動作が最小角と等しいか、比較して大きいか否かに基づいて調整する過程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ソリッドステート閉ループセンサの機能ブロック図。
【図2】ラップトップのキーボード付近の閉ループセンサの位置の説明図。
【図3】従来のポインティングデバイスに配置された閉ループセンサの説明図。
【図4】閉ループセンサの楔形電極の説明図。
【図5】閉ループセンサの稲妻型電極の説明図。
【図6】閉ループセンサの三角形電極の説明図。
【図7】閉ループセンサの直線セクションに用いられ得る方形電極の説明図。
【図8】方形の閉ループセンサに用いられ得る方形電極の説明図。
【図9】閉ループセンサの三角形電極の他の形態の説明図。
【図10】閉ループセンサのスパイラル形状電極の説明図。
【図11】閉ループセンサに用いられるパスの形状の説明図。
【図12】閉ループセンサに用いられるパスの形状の説明図。
【図13】閉ループセンサに用いられるパスの形状の説明図。
【図14】閉ループセンサに用いられるパスの形状の説明図。
【図15】閉ループセンサに用いられるパスの形状の説明図。
【図16】閉ループセンサに用いられるパスの形状の説明図。
【図17】閉ループセンサに用いられるパスの形状の説明図。
【図18】閉ループセンサのパスを規定するV型溝の断面図。
【図19】閉ループセンサのパスを規定する突出部の断面図。
【図20】閉ループセンサのパスを規定するU型溝の断面図。
【図21】閉ループセンサのパスを規定するベゼルの断面図。
【図22】閉ループセンサ上の入力オブジェクトの移動及びホストデバイスの効果の説明図。
【図23】閉ループセンサ上の入力オブジェクトの移動及びホストデバイスの効果の説明図。
【図24】メニューのナビゲートのための閉ループセンサ上での移動の説明図。
【図25】付加キーを用いた垂直ナビゲートメニュー用の閉ループセンサ上での移動の説明図。
【図26】開いたメニュー内で水平方向にナビゲートを行うための閉ループセンサ上での移動の説明図。
【図27】値の設定のコントロール用の閉ループセンサ上での移動の説明図。
【図28】タッチパッドに電気的に接続された閉ループセンサの説明図。
【図29】タッチパッドへの二つの閉ループセンサの電気的接続の一形態の説明図。
【図30】タッチパッドに電気的に接続された幾つかの閉ループセンサの説明図。
【図31】タッチパッドに電気的に接続されたインディケータ電極を備えた二つの閉ループセンサの説明図。
【図32】タッチパッドにインディケータ電極が電気的に接続された閉ループセンサからの信号のグラフ。
【図33】閉ループセンサの一例の平面図。
【図34】図33の閉ループセンサの一例の断面図。
【図35】内部開口部と4つの外部領域とを備えた閉ループセンサの一例における稲妻型電極の説明図。
【図36】オーディオコントロールのセッティングを代えるための複数の閉ループセンサの説明図。
【図37】オーディオシステム用の単一の原点に同心的に形成された2セットの閉ループセンサの説明図。
【図38】単一の原点に同心的に形成されたオーディオシステム4つの閉ループセンサの説明図。
【図39】クアドラチャフィッティングアルゴリズムを実行することによる閉ループセンサ上でのオブジェクトの位置の算出方法のフローチャート。
【図40】3つの隣接する電極からの3つのキャシタンス測定値が逆放物線に当てはめられる、第2のクアドラチャフィッティングステップにおけるグラフ。
【図41】セントロイド補間アルゴリズムを実行することによる、閉ループセンサ上のオブジェクトの位置の算出方法を示すフローチャート。
【図42】三角法による重み付けアルゴリズムを実行することによる、閉ループセンサ上のオブジェクトの位置の算出方法を示すフローチャート。
【図43】準三角法による重み付けアルゴリズムを実行することによる、閉ループセンサ上のオブジェクトの位置の算出方法を示すフローチャート。
【図44】閉ループセンサ上でのオブジェクトの相対移動を決定する方法のフローチャート。
【図45】閉ループパスに沿った移動の符号を決定するための角度成分を用いた方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の発明の詳細なる説明は、本発明の説明目的のためのものであって、これに制限されないことは当業者にとって明りょうとなるであろう。本発明の他の実施形態は、当業者にとって容易に示唆される。
オブジェクション位置検出機は、以下閉ループセンサとして称される、実質的に閉ループに沿った動作を感知するために設計されたキャパシタンス性センサ、抵抗センサ、又は誘導性センサのようなタッチ(近接)センサ(又はタッチパッド又はタッチスクリーン又はタブレット)を含んで開示している。この閉ループは、情報処理デバイスのユーザインターフェースを向上させるために使用可能である。閉ループセンサのループ領域は、触覚ガイドによって限定可能である。好適に、閉ループセンサは、物理的制限によって限定されている。入力オブジェクト(又は指又はポインタ又はペン又は針又はインプリメント)の配置は、このループに従って測定される。入力オブジェクトがこのループに従って動作するとき、信号(又は命令)は、ホストデバイスにて動作を起こすように生成されている。例えば、入力オブジェクトは、このループに従って時計回り方向に動作するとき、信号は、データ、メニュオプション、三次元モデル、又は特定の方向に旋回可能なように設定するための数値を発生させるように生成されていて、入力オブジェクトが反時計り方向に動作するとき、反対方向に旋回可能なように、信号は生成されている。ループ領域における入力オブジェクトのループ動作は、その一部のみがループに沿ったものであればよく、ループ動作により1つまたはそれ以上のループを完成させる場合は、近似的、あるいは概略的にループに沿っていればよい。正確なループは、入力オブジェクトが、センサの同じ場所に正確に終局的に戻ることを表す。しかし、センサは、入力オブジェクトが実際に繰り返し指示する位置の精度よりも更に精確に入力オブジェクトの位置をレポートすることも可能である。それ故、センサに対しては、近似的なループを、完全なループとして扱うようにできることが求められる。
【0018】
閉ループセンサは、1座標のみにおいて自然にレポートするような方法で物理的に設計可能であり、電気的に配置可能である。このドキュメントにおいて“一次元”と称されるこの単一座標設計は、閉ループセンサが本質的に1変数のみで情報を出力するという点において一次元であり、閉ループセンサ自体は、物理的に二次元以上の範囲に拡がる場合がある。例えば、閉ループセンサは、以下に記載された何れかの形式の閉ループの長さに従って調整されたキャパシタンス電極のループで構成可能である。一次元閉ループセンサの出力オブジェクトの絶対位置は、(θ)角座標のような単一座標にレポートされることが可能であり、入力オブジェクトの相対位置(又は動作)は、(角座標のような)同様なユニットとしてレポートされることが可能である。
【0019】
ホストデバイスを伴った本発明の操作は、図1のブロック図に示されている。信号は、閉ループセンサ10にて生成され、次に閉ループ径路デコーダ12によって復号される。メッセージは、メッセージジェネレータ14によって生成され、ホストデバイス16に伝送される。ホストデバイス16は、次にメッセージを変換し、ディスプレイに適切な動作を起こさせる(図示されていない)。
【0020】
ホストデバイス16は、処理システムである。以下に処理システムの1実施例が記載されている。しかし、処理システムに接続されている正確な構造とデバイスとは、異なる場合がある。
【0021】
処理システムは、中央処理ユニット(CPU)を有する。CPUは、アプリケーション又は処理を実行するためのメモリに記録された命令を行うプロセッサ、マイクロプロセッサ、プロセッサ及び/又はマイクロプロセッサの何れの組み合わせである。CPUは、メモリバス及び入力/出力(I/O)バスに接続されている。
【0022】
リードオンリーメモリ(ROM)のような不揮発性メモリは、メモリバスを介してCPUに接続されている。ROMは、初期化のための命令と他のシステムのコマンドを記録する。当業者であれば、CPUによって書き出し不可能である何れのメモリも、ROMとしての機能のために使用される場合があることを理解するであろう。
【0023】
ランダムアクセスメモリ(RAM)のような揮発性メモリも又、メモリバスを介してCPUに接続されている。RAMは、実行された処理によって行われた処理及び操作されたデータのための命令を記録する。当業者であれば、フラッシュ、DRAM及びSRAMのようなメモリの他の形式も又、揮発性メモリとして使用可能であり、このメモリキャッシュと他のメモリデバイスも又、メモリバスに接続可能であることが理解するであろう。
【0024】
周辺デバイス、例えば、記録デバイス、ディスプレイ、I/Oデバイス、ネットワーク接続デバイス等は、I/Oバスを介してCPUに接続されている。記録デバイスは、メディアへの処理のためのデータと命令を記録する。記録デバイスの若干の実施例は、読み/書き可能なコンパクトディスク(CD)と磁気ディスクドライブを含む。ディスプレイは、モニタ又は他の視覚ディスプレイであり、データをディスプレイに変換する関連したドライバである。I/Oデバイスは、キーボード、ポインティングデバイス、又はユーザによってデータを入力するために使用可能である他のデバイスである。ネットワークデバイスは、モデム、イーサーネット“カード”、又は処理システムをネットワークに接続する他のデバイスである。当業者であれば、処理システムに含まれ、接続されている正確な構成とデバイスは、処理システムが実行する操作によって変更可能であることが理解されるだろう。
【0025】
閉ループセンサ(又は若干の閉ループセンサ)は、ホストデバイスと任意の他の入力デバイスとともに用いられるのに好都合である何れの場所に配置可能である。ホストシステムは、コンピュータ、ラップトップ、又は携帯コンピュータ、キーボード、ポインティングデバイス、入力デバイス、ゲームデバイス、オーディオシステム又はビデオシステム、サーモスタット、ノブ又はダイアル、電話、携帯電話、又は他の何れの同様のデバイスであり得る。例えば、閉ループセンサは、図2に示されたようにキーボードの近くのラップトップに配置可能である。ラップトップのベース20は、キーボード22と、タッチパッド(又はタッチスクリーン)24、及び閉ループセンサ26を有して記載されている。他の形態での配置は、従来のコンピュータ又はキーボードに閉ループセンサを配置し、接続する過程を含む図3は、従来のポインティングデバイス28に配置された閉ループセンサ26を示す。従来のポインティングデバイス28は、図示されていない左右クリックボタンのような他の特性を有する可能性がある。
【0026】
本発明の閉ループセンサは、又、スタンドアローンデバイスとして実装可能であり、又は別のデバイスとして、タッチパッド又はポインティングスティックのような他のポインティング入力デバイスとともに使用可能である。本発明の閉ループセンサは、プロセッサ又はセンサのようなそれ自体のリソースを使用可能であるか、あるいは、他のデバイスとリソースを共有するものである。閉ループセンサは、キャパシタンスタッチ、抵抗タッチ、誘導タッチ又は(ペン又はスタイラスのような)近似式センサである可能性がある。キャパシタンスセンサは、好適に求められ、以下に説明されている。
【0027】
閉ループセンサは、スタンドアローンデバイスとして実装可能であり、何れの電子機器においても、1つまたはそれ以上のノブ、スライダ、又はスウィッチに代えて使用可能である。仮想のノブの“カレント”設定を示す視覚的なフィードバック、例えば閉ループ領域を取り巻く発光ダイオード(LED)のリングを設けることが求められる場合もある。エッチアスケッチ(Etch-A-SketchTM)タイプの電子おもちゃに、単一ポジション検出器を用いて2つの閉ループセンサを、あるいは、二つのポジション検出器にそれぞれ一つの閉ループセンサを配して実装することも可能である。他の数多くのおもちゃと消費財は、現在、本発明から利点を得られる同様の方法で使用されたノブを有する。
【0028】
閉ループセンサは、閉ループ径路に構築された(例えば、簡単なくさび形又はパイ形式、稲妻又はジグザグ設計、三角形、外向きの渦巻き形、又は同様の)種々の形式又は設計の電極(又はセンサパッド)を有する。くさび形電極を有する閉ループセンサ30は、図4に示され、一方、稲妻形ボルト形電極を有する閉ループセンサ34は、図5に示されている。センサパターンは、電極間に連続的な挿入を行うことが可能なように設計可能である。センサパターンは、又、幾つかの電極間で相互にユーザの入力信号の拡散を助けるよう、電極のインタリーブが行うように設計可能である。
【0029】
図4は、閉ループキャパシタンスセンサ30における楔(又はパイ)形電極を示している。入力オブジェクトが第1電極31上にあるとき、第1電極31のみがキャパシタンスにおける最も大きな変化を感知する。入力オブジェクトは、電極32から33へと時計回りに移動するので、第1電極31によって登録された信号は、第2電極によって登録された信号が増殖するに従って徐々に減衰していく。入力オブジェクトが第3電極33の方向に時計回りに更に移動するにつれて、第1電極31の信号は消滅し、第3電極が入力オブジェクト等を拾い出し始める。標準線形センサとほぼ同様の方法で電極を処理することによって、又、閉ループの真正な始まり又は終わりがないことを考慮入れることで、楔形センサを有するオブジェクト位置検出機(detector)は、入力オブジェクト位置を精確に補間可能である。
【0030】
図5は、閉ループセンサ34における稲妻形の電極を表している。稲妻形設計は近接する電極をインタリーブ配置することによって多くの電極を介して入力オブジェクトに関連した信号を拡散することを補助する。稲妻形電極の閉ループセンサの信号は、入力オブジェクトの実際の位置に最も近傍にある電極が最大信号を有し、その近接する電極は次に大きな信号を有し、更に離れた電極は、小さな、又はごくわずかな信号を有するような方法で拡散されている。しかし、同様の電極サイズと数での稲妻形センサと楔形センサを比較すると、稲妻形センサの入力オブジェクトは、一般的に楔形センサにおけるより、もっと多くの電極と結合する。これは、稲妻形センサは、入力オブジェクトの位置に関して、楔形センサよりも情報量が多く、この効果が入力オブジェクト位置のセンサの解像度と精密度を高める補助になることを意味する。最良の結果を得るためには、稲妻形センサは、センサの入力オブジェクトが常に1電極以上を網羅するように形状に十分なギザギザの切れ目が付けられなくてはならない。この電極設計のインタリーブ配置は、楔形センサと同様の解像度と精密度を得ながら、かつ、電極と電極との間隔を、楔形センサにける間隔よりも大きくすることができることを示す。このような交互にかみ合わされた電極設計における1つの電極から次の電極へのスペーシングは、予想される入力オブジェクトよりもかなり大きくなる場合がある。
【0031】
他の実施例は、図6に示されているように三角形電極を有する閉ループセンサ35である。この場合、奇数番号の三角形電極(例、37,39)は、閉ループ領域の外縁側が幅広く、内側の縁は狭くなっている一方、偶数番号の三角形電極(例、36,38)は、その逆となっている。閉ループセンサの周りにおけるオブジェクトの入力角度を計算するために、他の閉ループセンサに使用されたものと同様の補間アルゴリズムが用いられることが可能である。入力オブジェクトは、その幅が、少なくとも2つの偶数番号電極(例、36,38)間の間隔と少なくとも2つの奇数番号電極(例、37,39)の間隔よりも広い限り、偶数番号の電極と奇数番号の電極の形状における違いは、ループに沿っての位置の計算においてほぼ補償することができる。入力オブジェクトの径方向の位置、又は閉ループセンサ領域の内縁と外縁との間の位置を計算するために偶数番号電極の総キャパシタンスCEVENと、同様に、奇数番号電極の総キャパシタンスCODDとが計算されなくてはならない。径方向の位置は、CODD /(CEVEN+CODD)によって求められる。閉ループセンサの半径情報のみが必要である場合、必要は電極セットは二つだけとなる。この場合、奇数番号電極を電気的に接続あるいは配線することが可能であり、偶数番号電極を電気的に接続あるいは配線することが可能である。三角形型設計を行うことで、径方向の位置に関して、自己補償的効果が得られる。このような三角形型設計にしたことで、入力オブジェクトが閉ループセンサの内縁から外縁へ移動する場合、奇数番号電極(例、37,39)の信号が増大し、偶数番号電極(例、36,38)が減少するようになる。これらの特性の効果は、径方向位置の決定が容易になる。
【0032】
図6に示されたように奇数番号電極(例37,39)の領域は、偶数番号電極(例、36,38)の領域よりも大きい。これは、同じタイプの入力に対して、奇数番号電極(例、37,39)が偶数番号電極(例、36,38)より大きな信号を生成し、径方向位置に関して、外側エッジ側の信号を大きなものとする、簡単なCODD /(CEVEN+CODD)の計算式が得られる。径方向位置を計算するとき、閉ループセンサにおいて径方向位置が外縁にバイアスされることを避けるために多くの方法がある。例えば、奇数番号電極(例、37,39)、又は偶数番号(例、36,38)、又は両方の何れかの信号は、径方向位置を計算する前に、そのサイズに基づき、スケーリングがなされるか、あるいは、径方向位置を、電極のサイズに応じて調整することができる。このようにアンバランスな信号の効果は、閉ループセンサ35の円形という形状に起因するものであり、例えば、三角形電極の直線センサにおいては、容易に同一サイズの三角形電極を用いることができる。
【0033】
又、図7と図8に示すように、矩形電極40,41を各々、利用することが可能である。他の実施例では、図9に示されているように花弁と同様に丸く、三角形電極を有する閉ループセンサ42である。図9に示された設計は、電極すべてのサイズが同様であるように三角形電極を調整することによって上述したアンバランスな信号の効果を減少するための方法である。電極形の他の実施例は、図10に示すようにらせん形電極を有する閉ループセンサ43によって示されている。
【0034】
閉ループセンサは、閉鎖形、又は実質的に閉鎖された径路(ループ)に従って調整されたセンサ電極を利用する。丸い径路が望まれるが、数種の形は使用可能である。図11から図17までは、意図された種々の形が示されている。意図された形とは、丸い、卵形、三角形、四角形、長方形、楕円、凸面多角形、凹面多角形、8の字形、らせん形、複雑な迷路のような径路等を含む。他のもっと複雑な径路は、若干の状態において可能であり、もっと望ましいし、又は適切である場合がある。追加として、ループセンサは、又、疲弊面であり得る;例えば、円柱形、円錐形、球体、又は他の3D(三次元)表面に調整されてよい。又、ループ径路は、種々のサイズの入力オブジェクトのためにおそらくペンの先ほど小さく、手ほど大きく限定可能である。
【0035】
ループ径路の定義をユーザに伝えることが望まれる。触覚ガイドと物理的制限を含む閉ループセンサの径路を決定するには、幾つかの手段を用いることが可能である。図18と図20に示されているように、物理的制限として、陥没した溝という形式で、閉ループセンサの径路を決定するために使用可能である。断面形状は、陥没した溝U形46,V形44,又は幾つかの他の形としてもよい。図19は、凸形リッジ45の形式において、物理的制限の使用を示し、一方、図21は、径路を限定するために表縁48の形式における物理的制限を示している。他の触覚オプションも又、陥没した領域、カットアウト、テキスチャ領域、(浮き出し、刻印、又は凸版のようなレーベルである)触覚レーベル、丸い突起部等を含んで企まれている。径路は、又、LCD投射、センサ又はセンサハウジング、又は透明な閉ループセンサと関連したディスプレイを変換するレーベルにプリントされた非触覚グラフィックのような非触覚方法で指示可能である。触覚ガイドは、習慣的に実行されているときが好適である。
【0036】
入力オブジェクトを閉ループ径路に沿うよう維持する一助となる触覚ガイドを有することで、特定の利点がある。そのようなガイドがない場合、ユーザがループを完全に追跡することはできないので、入力オブジェクトがループから逸脱しやすくなる。特に、ユーザの注意力は、入力オブジェクトをループ内に保持することから、ループに応じて生じた動作を監視するほうにシフトしていくので、逸脱が生じやすくなる。決定されたループからの逸脱を補償するための方法を用いたとしても(以下に記載されているが)、その結果のインターフェースは、入力オブジェクトの保持を補助するガイドを用いた場合に比較して、ユーザフレンドリーではなく、また、制御に関する修正も可能ではない。予想された入力オブジェクトに関して適切にループ径路を印付けることで、特定的な利点がある。例えば、指が使用された場合、指を保持し、ガイドするために設計された溝が使用可能である。スタイラスが使用された場合、スタイラスを保持するための溝をもっと小さくできる。手が使用された場合、もっと大きな溝が使用可能である。
【0037】
単一入力デバイスに、各々がユーザインターフェースの異なる特性を制御する複数の閉鎖パスを規定することも可能である。この場合、上述した手段の1つ、例えば複数の開口部を有するベゼル、によってユーザに容易に識別可能である各ループ径路の場所を形成することが特に望ましい。
【0038】
径路に従ってユーザの位置を復号するために多くの方法がある。センサのハードウェアは、例えば、ホストコンピュータにレポートされた座標のみが既に求められた形式であるように物理的に設計されたループ径路を伴った設計が可能である。
【0039】
幾つかのループ径路の他の形態として、従来形の二次元センサのX/Y座標は、極座標(好適にはループの中心に原点を配置する)と角度成分をユーザの位置として使用するように変換可能である。複数の閉ループを単一の二次元位置検出機に規定することが可能であり、それぞれ原点が異なる極座標を複数セット算出し、最小の径座標を生成する閉ループを選択することによってこれらのループを分離することが可能である。もっと複雑な径路に基づく復号は、又、幾何学的にもっと簡単な領域に径路を分け、何れの領域が入力を含むかを判断するために設計された種々の方法を使用することによって実行可能である。
【0040】
一旦、ループ径路のユーザの位置が上述した方法を用いて判断されると、この情報は、多くの方法によって使用可能である。一連のユーザの場所は、動作方向又は規模を復号するために削除可能である。この動作は、例えば、ユーザインターフェースが変換可能なスクロール信号又はキーストロークに変換可能である。
【0041】
好適な実施形態において、このユーザの動作は、相対的な方法でのみ変換可能である。これは、ループ径路における入力オブジェクトの絶対位置は重要ではない。これは、ループに従った精確なスタート地点に的を絞らなくてはならないことからユーザを開放するために有利であり得る。しかし、この絶対位置を用いることは時折役立つ場合がある(即ち、精確なスタート地点である)、例えば、制御されたパラメータのスタートの数値を示すこと、又は求められたパラメータを示すことが変化するためである。
【0042】
ユーザインターフェースの問題で、本発明から利便性を得ることができるものの1つは、スクロールである。スクロール問題を解決するために、閉ループセンサのユーザの位置の動作は、ユーザインターフェースに対応する方向における、現在ユーザが視認しているデータをスクロールさせる信号に(又は命令に)変換される。図22と図23は、オブジェクト位置検出機52の閉ループセンサの入力オブジェクトの動作(矢印50によって示されている)とホストデバイスの効果を表している。この開示目的のために符号52は、オブジェクト位置検出機を表している。以下に開示されているようにオブジェクト位置検出機は何れの形式でも可能である。
【0043】
入力オブジェクトが、オブジェクト位置検出機52の閉ループセンサを移動するに従って、コンピュータスクリーン54のドキュメントは、例えば、入力オブジェクトの動作の方向に従ってスクロールアップ又はスクロールダウンの何れかが行われる。例えば、図22の場合、矢印50によって示された反時計回りの動作は、ドキュメント54に矢印56によって指示されたようにスクロールアップ可能にさせることが示され、一方、図23は、オブジェクト位置検出機52の閉ループセンサの時計回りの動作で矢印58によって指示されたようにドキュメントがスクロールダウンすることを示している。
【0044】
本発明は、又、メニューを介してナビゲートすることを容易にする。図24に示されたようにオブジェクト位置検出機62の閉ループセンサの(矢印60によって示された)時計回り又は反時計回りの何れかの動作は、例えば、コンピュータスクリーン66のメニュ項目のドロップダウンを発生させ得る。この開示目的のために符号62は、オブジェクト位置検出機を表している。以下に記載されているように、オブジェクト位置検出機は、何れの形式であり得る。最も簡単な例は、メニュをナビゲートしようとする意思を示すための画像ユーザインターフェース(GUI)によって理解されたキーストローク又はその他のメッセージを、送信することで、最初にメニューの深さレベルを決定するようにナビゲートすることである。複合メニュの他の例は、閉ループセンサのループ方法を使用することによってカレントメニュ階層レベルのみを移動可能(traverse)とし、一方でメニュにおけるレベルの切り替えには別のメカニズムを用いることである。ユーザが押す物理的なスイッチ、ユーザが示唆的なジェスチャ等を打ったり又は引いたりするセンサの領域を含む、多くの適用可能なメカニズムがある。
【0045】
キーボードのシフトキーによってキーの意味を追加するのと同様に、物理的又はバーチャル“シフト”キー又はスイッチを用いて、閉ループによって制御されたユーザインターフェース構成要素に更なる機能追加(オーバーロード)が可能である。例えば、システムは、そのままの状態での経路移動をカレントアプリケーションのスクロールの制御に割り当て、キーボードの“シフト”キーを押しつづけることによって修正された状態での経路移動を、オーディオ出力のボリューム設定制御に割り当てることが可能である。これは、以下に記載されたようにモードスイッチを介して、多畳センサ又は単一センサの領域によって実現可能である。
【0046】
“シフトキー”又は他のアプリケーションキーのようなこのモードスイッチ手段は、オブジェクト位置検出機62の閉ループセンサの入力を、メニュー階層をカレントレベルに直角に移動するものとすることを可能にする。図25は、例えば、コンピュータスクリーン66のようなメニュ項目64を介して移動するためにオブジェクト位置検出機62の閉ループセンサの動作と組み合わされた“シフト”キー68のアクティベーションを示している。図25は、アクティベートされたシフトキー68を有するメニュを介して上下方向の動作(矢印74で示された)を示し、図26は、アクティベートされていないシフトキーを有する左右方向の動作(矢印76で示された)を示している。なお、シフトキー68の機能を反転させることもできる。この場合、シフトキー68を押さないことで、メニュ項目68を介して上下方向の動作が、一方、シフトキー68を押すことがメニュ層間の左右方向の動作が結果として発生する。
【0047】
オブジェクト位置検出機62の閉ループセンサは、又、コンピュータスクリーン66にメニュをより平坦な形式で表示可能にすることによって、“ディープメニュ”問題に対処している。人間は、サブメニューが意図通りに表示されているメニュー形式(図示されていない)を使用することができ、むしろ好んでこのようなメニューを使用することが研究により示されている。しかし、ユーザは、従来、そのようなリストを開く場合、カーソル精密な操作、あるいはスクロール動作を何回も行うことが要求されることがあるという点で、このような操作を用いるには難点があった。メニューに沿って無限なスクロールを許容する本発明は、比較的深いレベルのメニュを長いレベルのリストとして表示し、メニュの深さを削減可能にする。
【0048】
制御数値を増大又は減少するためにユーザによる試みを示すものとしてユーザインターフェースによって理解されたキーストローク又は他のメッセージを送信することと同様に、閉ループセンサのユーザの入力に従って“スピン制御”又はスライダのような数値設定制御を変更することもできる。図27は、ボリューム設定を制御する数値設定制御の1実施例を表す。図27に示されたように、オブジェクト位置検出機82の閉ループセンサの時計回り又は反時計回りの何れの動作でも、ボリューム制御84を例えば、コンピュータスクリーン66に(矢印86によって示された)大きくか、又は小さくするか、の何れかに設定できる。本開示の目的のために符号82はオブジェクト位置検出機を表す。以下に記載されているようにオブジェクト位置検出機は、どのような形としても得る。
【0049】
コンピュータ支援設計(CAD:computer aided drafting)、ソリッドモデリング、又はデータ視覚化のような二次元と三次元画像表示に関して、閉ループセンサのユーザ入力の相対動作は、ソフトウェアによって変換、回転、及び/又はモデル又はビューポートのスケーリングに直接、変換可能である。
【0050】
多くのユーザインターフェース構成要素は、閉ループセンサから利点を得る可能性がある。大部分は、スクロール、メニュ、又は数値設定制御のための制御と同様の範疇に入ることが可能である。例えば、“デスクトップ”のアイコンにおける選択は、一旦、ユーザが選択に満足した場合、対応するプログラムを開始するために与えられた手段に伴い、この方法を用いて実行可能である。このタスクは、メニュをナビゲートするためにアナログを考慮に入れることが可能である。
【0051】
画像ユーザインターフェースの構成要素の“タブ順序”に沿ったナビゲーションは、閉ループセンサで実行可能である。同様に、複数の動作アプリケーション、カレントアプリケーションによって編集された複数のドキュメント、又は特定のアプリケーションの複数モードは、この制御で実現可能である。
【0052】
限定された径路を伴った別のセンサの形態として、特別モードが本発明の閉ループセンサとして同じ機能を実行するために位置するタッチパッド形式ポインティングデバイスに実装可能である。例えば、ポインタを動かし、ユーザインターフェースにおける構成要素を選択するために、ノートブックコンピュータのタッチパッドが使用されている。タッチパッドのタップ領域を変更するための押しボタン、スイッチ、又はモードは、ループスクロールデバイスとして操作するようにタッチパッドのモードを変更するために限定可能である。ユーザは、このモードスイッチ制御をアクティベートし、次にタッチパッドの好適に丸い、おおよそ閉鎖されたループ径路に移動する。このモードが選択されている一方、この動作は、一般的なポインティング動作としてよりむしろ、スクロール動作として解釈されている。
【0053】
閉ループセンサが入力オブジェクトの数を判断できれば、他のモードスイッチ方法が可能である。例えば、閉ループセンサで2つの入力オブジェクトで丸く移動すること(両方の入力オブジェクトが反対方向に移動するとき、又は入力オブジェクトの1つが実質的に動くときとは逆に、入力オブジェクトが同じ方向に動く場合)で、データセットをスクロールさせ、一方、入力オブジェクトを一つ動かすことをポインティング動作として解釈するようにできる。閉ループセンサの柔軟な特性により、操作の基礎モードとの組み合わせで他の使用態様を用いることも可能である。
【0054】
上述したように、閉ループセンサは、又、別のタッチパッド又はタッチセンサのリソースを共有可能である。図28は、閉ループセンサ90の閉ループセンサ電極91をタッチパッド92の(8つは図示されている)Y軸電極93に接続している電気的リード線94を示している。本開示の目的のために符号90は、閉ループセンサの1例を表し、符号92は、タッチパッドの1例を表す。当業者であれば、タッチパッド92は、何れの形式、設計、構築であることが可能なことが理解されよう。タッチパッド92のX軸電極、図示されていない。リード94は、Y軸電極93又は閉ループセンサ電極91、又は両方からプロセッサの(図示されていない)Y軸センサ入力に信号を伝送する。(図示されていない)追加のリードは、(図示されていない)X軸電極を(図示されていない)X軸センサ入力に接続する。入力オブジェクトがタッチパッドに接触すると、入力は結果として、Yセンサ入力とXセンサ入力の双方の信号に変化を起こす。反対に、入力オブジェクトが閉ループセンサ90に接触すると、入力は、Xセンサ入力においてのみ変更するこのに伴い、電極によって読み込まれる。X軸信号が変更したか否かを検討することによってホストシステムは、タッチパッド92のユーザ入力と閉ループセンサ90との間を識別可能である。もし求められれば、Xセンサ入力は、Yセンサ入力の替わりに閉ループセンサに接続可能である。代替例として、追加の閉ループセンサは、又、タッチパッドのXセンサ入力に配置され、接続されることが可能である。
【0055】
図29に示されたように、タッチパッド92の電極95の1軸は、1以上の閉ループセンサを支持可能である。矢印96は、第1閉ループセンサにつながるリード線のとり得る可能な位置を示し、一方、矢印98は、第2閉ループセンサにつながるリード線のとり得る位置を示している。
【0056】
図30は、タッチパッド92に関連して動作する数個の閉ループセンサ90を有するための能力を示している。4つの別の閉ループセンサ90を単一タッチパッド92の電極に接続するためにリード線が示されている。閉ループセンサ90によって示されているように、絶対的な位置情報は必要ではないが、相対動作は必要とされ、閉ループセンサの電極は3つ以上のセンサ電極のサブセットの反復パターンとして設計可能である。同じサブセットが各閉ループセンサにおいて、多数回繰り返されたとき、センサ信号は、何れのサブセットが入力オブジェクトとインターフェースしているかを判断するためには使用できない。しかし、入力オブジェクトの位置は、サブセットにおいて判断可能であり、サブセットが次のデータサンプルが取り出される前にサブセットを超えて移動しないように十分広ければ、入力オブジェクトの相対位置付けは、平行に並んだ位置において判断可能であり、入力オブジェクトの動作を計算するために比較可能である。
【0057】
閉ループセンサが広い場合、反復サブセット(repeated subset)を用いると、そのパターンの各電極は、センサ回路を複雑にしなくとも、そのサイズを小さいままとして、適切な解像度を保持することができるという点で特に有用である。反復サブセットは、又、多くのセンサ電極を小さなサイズの間隔に入れ込むことで、センサ回路の複雑性を増大することなく、解像度を高めることができるので、精細な解像度が求められる場合に有用である。反復電極は、又、単一集積回路を有する多くの相対位置閉ループセンサを制御することが求められたときに有用である。回路に支持されなければならない独特なセンサの数が減少するからである。更に、多重センサ電極にわたる触覚回路を多重化するような独特なセンサ入力の数を更に減少させるために使用可能である。
【0058】
図31は、一つのカルテシアンタッチパッド(cartesian touch pad)が、複数閉ループセンサを制御するために使用可能である他の方法を示している。各閉ループセンサは、カルテシアンタッチパッドの第1軸に関連したセンサ入力の同じセットにリンク可能である。それ故、各閉ループセンサの対応する電極は、同センサ入力にリンクされる。各閉ループセンサは、又、カルテシアンタッチパッドの第2軸の電極の1つを区別するためにリンク可能である。これは、各閉ループセンサのループ径路に沿って別の“指示器(indicator)”を動作させ、これらの指示器を第2軸の独特なセンサ入力にリンクすることによって実現可能である。インディケータ電極は、ユーザが関連する閉ループとインターフェースするときにユーザ入力を指示する間、閉ループに近傍するどの場所においても配置可能である。
【0059】
インディケータ電極をカルテシアンタッチパッドの第2軸のセンサ入力にリンクすることで、第2軸からのセンサ入力の信号が、カルテシアンパッドが使用されたときに予期されたものと同様であれば、ホストデバイスは、カルテシアンパッドが使用されたと判断できる。例えば、一般的なキャパシタンスタッチパッドの入力オブジェクトは、センサ入力によって登録されたキャパシタンスに特徴的なパターンで変更を生じさせ、入力オブジェクトに最も近い電極に関連付けられたセンサ入力は、キャパシタンスに最大の変化が生じたことを示す。センサ入力に関連付けられた電極が入力オブジェクトから遠くなるにつれて、キャパシタンスの変化が小さくなる。入力オブジェクトから最も遠い電極に対応するセンサ入力は、変化が最小であることを示す。
【0060】
それ故、インディケータ電極が第2軸にリンクされている上述した構成では、閉ループセンサが使用されているときに指示する。例えば、ユーザが、閉ループセンサ上で、タッチパッドに結合されているインディケータ電極に入力オブジェクトを位置させている場合、インディケータ電極に関連づけられたセンサ入力は、キャパシタンスにおける大きな変更を表す。しかし、入力オブジェクトは、第2軸の隣接する電極に関連づけられたセンサ入力には、タッチパッドの入力オブジェクトと関連づけられた上述した特徴的なパターンで変化を生じさせない。それ故、ホストデバイスは、閉ループセンサが使用されていると判断し、それに応じて動作する。一実施形態において、インディケータ電極は、最小キャパシタンスの結合が入力オブジェクトと入力オブジェクトによって接触されていない閉ループセンサのインディケータ電極との間に発生するように配置され、遮蔽されている。この実施形態に伴い、第2軸のセンサ入力の重要な信号は、接触している閉ループセンサのインディケータ電極と関連付けられたセンサ入力のみから派生し、第2軸の他のセンサ入力からは、無視し得る信号が発生している。第1軸の信号は、閉ループセンサ上の位置と動作を示し、一方、第2軸の信号は、何れの閉ループセンサが使用されているかを示すであろう。
【0061】
図31は、タッチパッド92に電気的に接続されている2つの閉ループセンサ90を表す。入力オブジェクトがタッチパッド92に接触すると、入力は第2軸センサ入力の近接する1つが変化するのに伴い、センサ入力によって読み出されている(図32においてXによって区別され、符号103によって表されている)。反対に入力オブジェクトが閉ループセンサ90に接触すると、入力はインディケータ電極100に関連づけられた(図32において入力1として表されている)センサ入力における(図32においてYによって区別され、符号101によって表されている)変化として読み出される。これは、(図示されていない)プロセッサに当該機能のためにどのデバイスが使用されたかの判断を生じさせる。2つの閉ループセンサ90が示されているが、他の数個の閉ループセンサも又、タッチパッド92に接続されている場合があり、インディケータ電極も有することが可能である。これらのインディケータ電極は、矢印102により表された何れの位置にも接続可能である。
【0062】
他の実施形態において、カルテシアンタッチパッドのために設計された制御電極は、実際のタッチパッドセンサなしに閉ループセンサの集まったものを実装するために単にコスト効果の高い方法として図31に示す方法で使用可能である。
【0063】
複数の閉ループセンサが一度に操作されているか、又は閉ループセンサとタッチパッドが同時に操作されている場合において、(幾つかのセンサ入力のキャパシタンスにおける大きな変化であって他とは異なるスパイクのような)特徴的な信号形式は、どの閉ループセンサが使用されたか、又、信号が適切に分解できるか示すよう使用することができる。ホストデバイスが、どのセンサが使用されているかを判断不可能の場合では、キー押し、押しボタンクリック、タッチパッドのジェスチャ、又は他の入力によって、どのセンサが使用されているか、他の指示形式で示唆可能である。これは、ホストデバイスにどのセンサがスーパーインポーズ信号に接触しているかに関する有用な情報を抽出可能にし、又はシステムがこの情報を多重センサの同時の入力を拒否するために使用可能にする。
【0064】
指示器ループ電極を使用することに加えて、処理時間内における入出力を多重化することも、又、複数閉ループセンサの何れが入力を発生させたか判断するために使用可能である。長時間又は別のセンサ入力を介して多重送信することと回路走査するための他の方法は、実行可能である。
【0065】
本発明は、センサと同じ平面に突出部、凹部、又は表面を含むループ経路の中心部に非アクティブ領域を有することが可能である。他の例として、閉ループセンサは、又、中心に物理的な押しボタン、又は多重の押しボタンを有することが可能である。閉ループセンサは、中心に物理的なボタンのためのホールを有することが可能であるか、中心部は、1つ以上のボタンをエミュレートするために使用も可能である、1つ以上の接触感度が繊細なゾーン(アクティべーションゾーン)であり得る。閉ループセンサは、ポインティングスティック、トラックボール、小さなタッチパッド、又は中心における他のデバイスを有することが可能である。閉ループセンサは、閉ループセンサを押すことによってアクティベートされるデバイスの下方に1つ以上の物理的なボタンを有することが可能である。
【0066】
図33は、閉ループセンサ110のベゼルの中心に配置されたポインティングスティック112を有する例示的な閉ループセンサ110の上面図を表す。本開示の目的のために符号112は、典型的なポインティングスティックを表す。当業者にとって、このポインティングスティック112は、何れの形式、設計、又は構築であり得ることが理解されよう。図34は、閉ループセンサ110の横断面図を表す。ポインティングスティック112は、ベゼルの内側部分114により囲まれた閉ループセンサ110の中心に配置されている。ループ径路116は、内側部分114、又ベゼルの外側部分によって限定されている。図33の機構の1アプリケーションにおいて、ポインティングスティック112は、ラップトップコンピュータのポインティングデバイスとして利用可能であり、閉ループセンサ110は、スクロールデバイスとして利用可能である。
【0067】
図35は、例えば、ポインティングスティックをインストールするための内部開口部122と、ボタンをエミュレートするタッチセンシティブゾーン(又はアクティブゾーン)に接触可能である4外側領域124と、を有する稲妻型設計センサ120を表す。所望により、タッチ高感度ゾーンは、指と接触圧力が増すにつれて力オブジェクトが拡がる傾向がある(人間の指と同様に)場合において、コンタクト圧力を推定するように使用可能である。この追加情報は、センサの機能性を高めるために使用可能である。閉ループセンサは、多目的入出力(GPIO)ピンを制御するために使用可能な又はデータパケットにレポート可能な叩く、押す、及びその他のジェスチャを検出可能である。
【0068】
多重の閉ループセンサは、ユーザインターフェースの種々の特性を制御する各閉ループセンサ有する、単一位置検出機又は多重位置検出機に形成されたネスト化した閉ループセンサのセットとして実装可能である。このようなネスト化された閉ループセンサセットにおける入力オブジェクトの角度θ位置を判断する過程は、単一閉ループセンサにおける入力オブジェクトの角度θ位置を判断する過程と同じである。これらのネスト化した閉ループセンサは、入力デバイスとして動作可能である。これらは、又、1制御の部分として一緒に使用されることが可能である。例えば、外側ループが比較的粗い制御と関連付けられ、内側ループは、比較的精細な調整と関連付けられている。ネスト化した閉ループセンサは、又、一次元半又は二次元入力デバイスを生成するために一緒に使用可能である。例えば、ネスト化した閉ループセンサセットは、種々の半径を有する同心円閉ループセットから形成可能である。一次元半バージョンでは、位置検出機は、入力オブジェクトの概算を行うために何れの閉ループセンサが最強力の入力信号を有するかを監視する。
【0069】
二次元バージョンでは、ネスト化された閉ループセンサセットの信号が入力オブジェクトの半径r位置をもっと精確に生成するために補間されている。線形座標を計算するために使用されたこれらと同様のアルゴリズムは、半径r座標を計算するために使用可能である。半径センサ電極の設計に依り、ネスト化されたセンサの中心から更に離れたループにおいてもっと数多くのセンサ電極を収容するために、個々の電極信号のスケーリング又は重み付けを行うことが必要である場合がある。しかし、(必要であれば)そのような計数の後、位置を推定するために補間し、動作を推定するための従来の方法が使用可能である。半径r位置は、ネスト化された閉ループセンサセットにおける同心閉ループセンサの数より更に精細な解像度に知られているので、r情報は、ネスト化されたセンサにネスト化されたセットにおける閉ループセンサの実際の数よりもっと多くの閉ループセンサを物理的にエミュレートさせるために使用可能になる。ボタン、キー、ポインティングスティック、タッチスクリーン、タッチ高感度ゾーン等の前述のアプリケーションは、単一閉ループセンサで多重の閉ループセンサを有する位置検出機にも又、使用可能である。
【0070】
図36は、種々のオーディオ設定を行うために4つの閉ループセンサを有するオブジェクト検出機130を表している。4つの別の閉ループセンサが示されているけれども、何れの数の閉ループセンサも使用可能である。ボリューム制御閉ループセンサ132を1例として使用すると、ボリューム制御閉ループセンサ132の入力オブジェクトの(矢印134で示された)動作は、オーディオシステムのボリューム(図中のvolume)を大きくするか、小さくするかのどちらか一方を発生させる。同様に、オブジェクト位置検出機130の他の閉ループセンサは、バランス(図中のbalance)調整、オーディオシステムの高音域(図中のtreble)と低音域(図中のbass)のレベル調整のために使用可能である。
【0071】
多重の閉ループシステムは、他の方法に利用可能である。図37は、2つの閉ループセンサ同心円で構成されているネスト化されたセンサ(142と144)の2セットを有するオーディオシステムのための他の位置検出機140を表している。2セットのネスト化されたセンサ(142と144)の各々は、オーディオシステムのための別の機能を制御するための閉ループセンサを有する。例えば、ネスト化されたセンサセット142は、低音域のための第1閉ループセンサ146と高音域のための第2閉ループセンサ148を有する。他のネスト化された閉ループセンサ形式は、同心円に加えて考えられている。
【0072】
他の多重の閉ループシステムは、図38に示されたように同心円(又は適切な形式)に配置された4つの閉ループシステムを有するオーディオシステムのためのオブジェクト位置検出機150である。4つの別の閉ループセンサの各々は、オーディオシステムにおける別の機能を制御する。例えば、閉ループセンサ152は、ボリュームを制御し、閉ループセンサ154はバランスを制御し、閉ループセンサ156は、高音域を制御し、及び閉ループセンサ158は、低音域を制御する。
【0073】
位置アルゴリズムは、閉ループに従った位置を計算するために使用可能であり、二次あてはめ方法、重心補間方法(centroid interpolation method)、三角ウェイティング方法、準三角ウェイティング方法を含む入力オブジェクトのおおよそ円である閉ループの設計のための角座標として言い表される。閉ループセンサはキャパシタンス型センサとして実装されるとき、センサ電極のキャパシタンス測定は、好適に精度を更に高めるために(greater precision)補間アルゴリズムを用いて組み合わされている。
【0074】
好適な補間方法は、図39に示されたように二次あてはめ方法(quadratic filtering)である。この方法は、一般的に3つのステップを含む。第1“ピーク検出機”ステップにおいて、N個の電極が0からN−1まで番号が付けられ、最大キャパシタンス測定を有する電極は、電極番号iになるように判断されている。電極番号iは、初期であり、入力オブジェクトの粗い推定である。キャパシタンス測定は、各電極の非ゼロ背景キャパシタンスに対して通常、行われている。背景キャパシタンス(非入力オブジェクト)は、チップピンキャパシタンスと回路基板グラウンド層キャパシタンスのような多くの因子から生じている。これらの効果の多くはセンサによって、又時間の経過とともに異なるので、動較正アルゴリズムを用いて較正を行うことが好適である。まず第1に非入力オブジェクトが位置するとき、0≦j<Nである全ての電極のキャパシタンスC’(j)測定され;テーブルC(j)に記録される。その後、入力オブジェクトが存在するとき、電極入力オブジェクトキャパシタンスC(j)は、好適にC(j)=C’(j)−C(j)のように電極のキャパシタンスC’(j)から計算される。
【0075】
第2の“二次あてはめ(quadratic fitting)”ステップにおいて、3つの隣接する電極番号j−1,j、及びj+1により得られる3つのキャパシタンス計測は、図40のグラフに示されたように逆放物線(inverted parabola)にあてはめられている。3つの(x、y)座標点(j−1,C(j−1)),(j,C(j))、及び(j−1,C(j+1))は、周知の数学的原理によって唯一の放物線又は三角関数を限定する。閉ループセンサにおいて、電極番号付けは、電極0とN−1が近接するようにNを法として行われる。3つの電極をあてはめるパラボラのパラメータが決定されると、このパラボラの(矢印172によって示唆された)真正の数学的中心点Xが計算される。これは、数値jに近い分数であろう。この数Xは、必要であればNを法として小さく(reduce)することが可能である。
【0076】
第3に、任意の“調整”ステップにおいて、数値Xは、電極設計における非理想性に起因する何れの非線形(non-linearities)をも補償するために設計された非線形関数に適用される。どのセンサパターンも、特定的な補間アルゴリズムに関して完全に理想的な結果を生じることはないことを認識されたい。従って、入力オブジェクトがセンサ長に応じて移動するので、計算された位置は、若干の“ブレ(wobble)”を有する。
【0077】
しかし、センサ電極パターンは、循環的に左右対称であるので、このブレは、電極間のスペースに均等に繰り返される。ブレは、入力オブジェクトが2つの電極間に位置する場所に依るのであって、入力電極が何れの電極に配置されているかに依るのではない。数学的に真正な入力オブジェクト位置がXであり、補間位置がXであれば、若干の“ブレ(wobble)”w(x)に関してX=w(X)である。w(x)は、周期的なので、位置は、X=int(X)+frac(X)のように整数部分と分数部分に関して記載可能であり、ブレは、X=int(X)+w(frac(X))のように表すことが可能である。それ故、最終的に計算された位置は、X’=int(X)+c(frac(X))=int(X)+c(w(frac(X))=int(X)+frac(X)=Xのように計算される。この分析は、0≦w(x)1を前提としているが、この前提は必ずしも真であることを要しない。やや精密な分析では、いずれの可逆周期的関数w(x)に対しても上記技術が使用できることが示される。丸いセンサの補間方法おいてアナログ調整ステップが使用可能であることが当業者には明らかであろう。
【0078】
位置X’は、0≦X’<Nの領域に収まり、電極ユニットの入力オブジェクトの角位置を表している。数字X’は、360/Nを乗算することによって、角度の単位を「°(degree)」に変換することができる。
【0079】
従来頻繁に使用された他の補間方法は、図41に示すように中心補間である。この方法は、キャパシタンス計測のカーブの数学的な中心を計算し、ピーク電極番号jをNの法に従った(j−i+N/2)に付け替えることによって閉ループセンサに適用される。これは、ピーク電極を中心計算(centroid circulation)の目的のためにセンサの近接する中心に配置することによって動作する。中心計算が位置Xを生成した後で、最終的な角入力オブジェクト位置を生成するために逆回転X’=(X+i-N/2)が適用される。
【0080】
中心方法を適用するための第2の方法は、図42に示された三角関数重み付け(trigonometric weights)を使用するものである。この方法において、分子Nは、N=sum(sin(i*2*pi/N)*C(i))として計算され、分母Dは、D=sum(sin(i*2*pi/N)*C(i))として計算される。なお、C(i)は、N電極のキャパシタンス測定値であり、iは、0からN−1までの範囲の値である。アークタンジェントatan(N,D)は、その後、求められた入力オブジェクト位置を生じる。好適に、通常、atan2(N ,D)と記載される4つの二次アークタンジェントは、一周の角位置を得るために使用される。サインとコサイン重み付け因子は、前もって計算可能であり、集計される定数である。NとDの合計は、C(i)において線形であるので、ベースライン引き算C(i)=C’(i)=C(i)をベースライン合計NとDの簡単な引き算にすることが可能である。メモリリソースがべースキャパシタンス数値のフルセットを記録するには小さすぎるとき、三角方法を使用することは、好ましい。
【0081】
上述した方法の有用な一般化は、図43に示される準三角方法を使用することである。通常のサイン、コサイン、及びアークタンジェントという三角関数に代えて、三角波のような他の周期的な関数fとfと対応する逆関数f(f,fC)が使用可能である。三角波の場合、解像度の若干の損失が生じる代わりに、線形性が大きく数学的な計算が簡単になる。解像度におけるこの損失の第1の原因は、補間に途切れを生じる三角波の不連続性のためである。
【0082】
本質的にそれ自体で閉鎖するループ径路は、センサの位置的なデータの動作を判断することにおいて興味ある課題をもたらす。データが、不連続時間でサンプルされる場合、2つの異なる時間における位置の変化は、2つの異なる方向を介して生じて得る。閉ループセンサのための動作を判断するための方法は、以下に説明され、図44に示されている。
【0083】
各サンプル期間の後に、入力オブジェクトの位置NewPosが算出され、入力オブジェクト(例えば指、スタイラス、ペン、インプリメント等)がセンサ上にあるか否かが判定される。前回のサンプル期間内に入力オブジェクトがない場合、NewPosがOldPosにコピーされる。入力オブジェクトが存在する場合、以下の方法が完遂される。センサが閉ループであるので、センサ上の任意の二点を結ぶ経路として、入力オブジェクトは二つのパスを取り得る。例えば、第1の位置(OldPos)が0度(degree)で第2の位置が90度である場合、入力オブジェクトは、0,1,2,…88,89,90度というように90度回転したという経路をとり得る一方、0,359、358…92,91、90度と、270度回転した経路をもとり得る。これを解決するために、入力オブジェクトは、連続するサンプル間で、センサの回りに180度以上回転しないという仮定がなされる。移動量の計算のために、NewPosからOldPosが引き算され、二つのサンプル間の移動量が決定される(motion=NewPos−OldPos)。その結果の移動量が180度以上である場合、入力オブジェクトは、他の経路(逆回り)で移動を行ったとみなし、移動量motionから360度が減算される。同様に、結果として得られた移動量が−180度よりも小さい場合、入力オブジェクトは、逆回りで移動したとみなし、360度が加えられる。このような「符号付き」のモジュロ360(modulo 360)が採用され、一つのサンプルから次のサンプルの移動量算出値は、結果的に制限され、例えばセンサの周りで−180度≦Motion<180度に制限される。この移動量の符号が、移動方向を与え、その絶対値が移動量の大きさを表す。いずれの場合でも、アルゴリズムは、NewPosをOldPosにコピーすることで完了する。
【0084】
この移動量を決めるアルゴリズムでは、入力オブジェクトは、二つの連続するサンプル間で−180≦Motion<180°(degree)の範囲で移動するとされ、かつ、異なるサンプリングレートや、ループの形状又はサイズの差を吸収するように一般化が可能である。閉ループの形状又はサイズを変更する場合、最大角、最小角又は最大移動距離を、閉ループパスのレイアウト及びサンプリング周期に基づいて適切に設定する。サンプリング周期が非常に長い場合、又はループパスが非常に短い場合であって、最大角、最小角、又は移動距離が、二つのサンプル間の移動経路を決定するには十分でない場合蓋然性の高い経路の推定がされる(例えば距離が短いほど蓋然性が高い)か、または、更なる情報が用いて(例えば二つ又は3つのサンプルにおける移動履歴を用いて、移動方向を推定する)推定が成される。
【0085】
この閉ループセンサの移動情報出力は、種々の手法により実施され、種々の情報、例えば絶対位置又は相対位置(即ち移動量)を含む情報が含まれる。移動量出力は、また、物理的ホイールエンコーダ(wheel encoder)がエミュレートされ、二ビットグレイコード(カドラチャ状態:quadrature stateと呼ばれることもある)を出力し、この場合、閉ループセンサは、二ビットグレイコードを使用可能どのデバイスに対しても、元のデバイスの電子回路を変更することなく追加することができる。
【0086】
ラジアル電極及びサーキュラ電極の双方を備えるが、閉ループパスを規定する物理的な束縛(触覚ガイド)のない二次元タッチセンサに実装された閉ループセンサを用いる場合、入力オブジェクトが徐々に規定されたループパスからはずれることもあり得る。この場合、角速度に対する移動距離のスケーリングが、移動の中心に対しての移動位置に依存して、変化する結果となり、この場合、算出された入力量が、ユーザの意図する移動量とは異なるものになってしまう場合がある。例えば、規定されたループパスの中心付近では小さい移動量でも大きな角速度に対応され、一方、ループパスの周辺部では、同じ小さな移動量が小さな角速度に対応する。ユーザは、通常、入力オブジェクトの絶対移動量の制御はしやすいが、予め規定された中心に対する入力オブジェクトの移動角度の制御は、上述の移動量よりは制御しにくい傾向がある。従って、中心からの距離が有用でない入力、例えばページのスクロールやボリュームコントロールに対しては、ユーザは、通常、角度よりも距離に対応付けがなされると考えがちであり、互いに同様の複数の出力を生成するにあたっては、ループパスのどの場所においても、移動量を小さくすることを好む傾向にある。
【0087】
従って、ユーザの入力オブジェクトが特定の閉ループパスに物理的に制限されていない場合、中心点に近づいたり離れたりする揺らぎがあることから、角速度に関して何らかの調整を行うことが必要である。何ら調整が成されない場合、中心点に近い場所では、所定の移動量に対して、より大きな角度変化が生成されるが、これは、人間工学的には望ましくない。幾つかの調整手法が可能であり、例えば、角速度を1/Rでスケーリングすることや、あるいは、より複雑でエラー耐性の高いスケーリング機構、例えばループパルの中心からの変位を推定してこれを補償するように中心点を代える等の方法が可能である。1/Rでスケーリングする手法の一つとして、角速度をシステムのR(中心からの距離)で除算して、中心点付近における小さな移動が大きな出力とならないようにする手法が挙げられる。
【0088】
他の方法は、図45に示される様に、角度成分のみを用いて閉ループパスに沿った移動量のサイン値を決定し、かつ、オブジェクトの絶対移動量にのみ基づいて速度を算出することである。例えば、閉ループセンサから、ある二つの連続した点がサンプリングされた場合、これらの二点間の直線距離が算出される(ピタゴラスの定理、又は極座標におけるピタゴラスの定理と等価な式から)。加えて、閉ループパスに沿ったこれら二点に対応する角度位置が、上述の手法のいずれかにより算出される。第2の点の角度が第1の点における角度から減算され、その結果のsin値が、移動方向を示すために用いられる。これにより、ユーザの入力オブジェクトの移動量と、制御対象となるパラメータの対応する変化量(たとえばスクロール距離、メニュー移動、又は設定値)と、がより自然に対応付けられる。
【0089】
閉ループセンサが環状でない、又は実質的に環状でない場合であっても、環状のセンサにおける位置算出アルゴリズムを、入力オブジェクトの位置の決定に用いることが可能であった。この場合、アルゴリズムは、入力オブジェクトが閉ループセンサの閉ループのどこにあるかを示し、ソフトウェアは、個々の電極のデザインに基づいて、正しい位置を求める。例えば、角が丸められた略方形のループを有する閉ループセンサでは、コーナーの非常に近く、あるいはコーナーにあるオブジェクトから生成された信号と、方形の直線部に沿った位置にあるオブジェクトから生成された信号と、を区別するようなソフトウェアを有するようにしてもよい。上述のアルゴリズムは、この情報を生成し、かつ補償を行うことができる。
【0090】
以上の記述から幾つかの利点が開示される。閉ループセンサ、又はユーザが入力オブジェクトを移動することが可能である指定されたループパスを有するタッチセンサであって、スクロール/選択/変化が、ループパスに沿った入力オブジェクトの移動によって制御されるものが開示される。例えば、入力オブジェクトの移動方向、移動距離、又は移動速度から、制御入力が得られる。閉ループセンサは、また、機械的設計や人間解剖学に制限されることなく、ユーザがドキュメント、メニュー、あるいはコントロールすべき値の範囲内で操作を行うことがかのとなる。例えば、ユーザは、入力オブジェクトを容易に閉ループセンサの周囲に連続的に動かすことができ、複数のループをセンサ領域内で描くことができ、そのループは、ユーザが疲れ切って動けなくなるまで、又はセンサの寿命がつきるまで、好きな数だけ描くことができる。
【0091】
本発明は、多くの用途があり、例えばスクロール、メニュー移動、A/V用途(早送り、巻き戻し、ズーム、パン、ボリューム、バランス等)、二次元/三次元データ表現、セレクション、ドラッグアンドドロップ、カーソル制御等に用いることができる。多くのアプリケーションにおいて、そのアプリケーション特有のエレメントを有し、このエレメントは、本発明に係る閉ループセンサを用いることで、達成される制御タイプを利用することができる。例えば、ゲームにおいては、連続的に変化を制御できることから、ステアリング、ダイヤル、又は、移動方向と移動量が用いられるその他の制御に用いることができる。他の例としては、CADプログラムにおける使用であり、この場合、ユーザは、モデルの視点の回転/変換/スケーリングが可能となり、あるいは、エレメントの色をスムーズに変化させることが可能となる。更なる例としては、テキストエディタが挙げられ、スムースで連続的に入力を変化させてそのテキストのズーム倍率を変えることができる。一般に、広範囲に値が変動するような制御やアプリケーションパラメータに対しても本発明は有用である。物理的プロセス(例えばプラットフォームの位置の制御、モータの速度制御、コンパートメントの温度やライトニングの制御)にもまた、本発明の閉ループセンサは有用である。
【0092】
以上の記述における閉ループセンサを用いることで、ユーザは、タスクにターゲットを合わせること、あるいは複雑な組み合わせ操作を覚えることから解放される。これは、アプリケーションの設計者あるいはオペレーティングシステムが、スクロールバーを減らし、また、その他の同様な表示制御を、現在のスクロール位置又は制御値の単なるインジケータに変換することでなされる。スクロールバーや同様の表示制御が単なるインジケータに変換された場合、そのサイズが小さくなり、また、これらスクロールバー等はスクリーン端部、ウィンドウの端部、その他スクリーンやウィンドウの特定の位置に表示されていたが、これらの無駄なスペースを解放することができる。加えて、スクロールバーやその他の表示制御を少なくしたことで、メニューの階層を浅くすることができ、これにより、制御や表示の複雑さを減少させることができる。
【0093】
複数の閉ループを有する単一のソリッドステートセンサを用いることで、現在のホストシステムで用いられている多種多様な制御を置き換え、ホストシステムの製造コスト及び複雑さを減少させることができる。閉ループセンサを導入することによる製造コスト及び複雑さは、閉ループセンサを既存のオブジェクト位置センサと一体化する(例えばタッチパッドやタッチスクリーン)ことで抑えることができ、既存の位置センサの電気回路への入力をそのまま利用することができるという利点がある。汎用位置センサの一部、例えば汎用位置センサのセンサ領域、電気回路、及びファームウェアあるいはドライバも、閉ループセンサを用いることでさくげんすることができ、これにより、更に必要スペースとコストを削減することができる。
【0094】
更に、容量性及び誘導性閉ループセンサ(capacitive and inductive closed-loop sensors)のソリッドステート特性により、信頼性及び耐久性が高い。このようなセンサは、シーリングが可能であり、従って、ノブやその他の物理的制御が実用的ではない環境においても使用することができる。本発明は、また、ノブやその他の物理的制御装置に比較して小さく、また、どのサイズにもカスタム化することができる。加えて、センサの動作に必要な電力は小さく、ノートブックコンピュータ、PDA、及び個人用エンタテインメントデバイスにも理想的なものとなっている。
この閉ループセンサは、また、ノブやスクロールバーでは得られない、更なる情報を得ることができる。例えば、センサ上のオブジェクトと、センサ自体との接触面積等の情報が得られる。更に、幾つかの閉ループセンサを、指とペンとの差異を検出することができ、あるいは、入力オブジェクトのその他の質感や向き等を検出することが可能である。この情報は、更に、閉ループセンサ上での「ジェスチャー」を通じてコントローラの機能を向上することができる。例えば、スクロール速度やスクロール範囲、ディスプレイの調整を、入力オブジェクトの動き又は入力オブジェクトの移動距離の関数として調整することができる。
更なるジェスチャ、例えばタッピング、所定のモーションパターンの実行、静止状態にある入力オブジェクトと移動状態にある入力オブジェクトを同時に用いること、または移動状態にある二つの入力オブジェクトをセンサのループパスに沿って二つの移動方向で動かすこと、により、それぞれホストデバイスに対して異なるアクションを指示することができる。ホストデバイスプログラムに対しての入力オブジェクトのスタート地点によって異なるアクションを伝えるようにしてもよい。例えば、センサの第1領域においてモーションが開始されるとともに第1の方向に移動することで、ディスプレイのパンニングを指示し、一方、同じ領域から逆方向にモーションを開始することで、ディスプレイのズームを指示することができる。一方、第2領域からモーションを開始することで、水平方向にスクロロールすることを要求することができ、モーションの方向がスクロール方向を指示するようにしてもよい。また、その他の領域をその他の機能に割り当てるようにするようにしてもよい。
以上、本発明を例示的実施形態を参照指定説明したが、当業者であれば、種々の変更が可能であり、本発明の範囲を超えることなく、各要素を等価物で置換可能であることが理解できよう。加えて、特定の状況や材料に対応するために、その本質的範囲から、多くの変形が可能である。従って、本発明は、本発明を実施するための特定の最良の形態に限定されることはない。本発明は、クレームの範囲内の種々の実施形態をすべて含むものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望のユーザインターフェースナビゲーションタスクを指示するための容量性オブジェクト位置検出機であって、
閉ループに配置された複数の電極を備えたタッチセンサを有し、前記タッチセンサは、前記閉ループに近接したオブジェクトを容量的に検出するよう構成されており、
前記タッチセンサに結合されたプロセッサを有し、前記プロセッサは前記タッチセンサからの信号を処理して前記閉ループに近接して移動している前記オブジェクトについての相対移動情報を提供するように構成されており、前記相対移動情報は、前記オブジェクトの第1位置と第2位置との差の形態で表され、前記相対移動情報は、前記所望のユーザインターフェースナビゲーションタスクを示すものであり、
前記プロセッサは更に、サンプル間の閉ループについての第1方向における相対移動量を決定するよう構成されており、前記サンプル間の閉ループについての前記第1方向における前記相対移動量が前記第1方向における所定量を超えている場合には、前記相対移動情報を、前記第1方向とは逆の第2方向での相対移動量の情報として与える、オブジェクト位置検出機。
【請求項2】
オブジェクト位置検出機であって、
閉ループに配置された複数のセンサ電極を有し、前記複数のセンサ電極は、前記閉ループに近接するオブジェクトを容量的に検出するよう構成されており、前記複数のセンサ電極の少なくとも一つは自己補完性を与えるようにされた形状を有し、
前記複数のセンサ電極に結合されたプロセッサを有し、前記プロセッサは前記閉ループに沿う方向及び径方向の双方についてオブジェクトの位置情報を決定するように構成されている、オブジェクト位置検出機。
【請求項3】
オブジェクト位置検出機であって、
複数のセンサ入力を有するプロセッサを有し、
閉ループに近接するオブジェクトを検出するよう構成された第1タッチセンサを有し、前記タッチセンサは前記閉ループに沿って配置された第1の複数のセンサ電極を備え、前記第1の複数のセンサ電極の第1センサ電極は前記複数のセンサ入力の第1センサ入力に結合されており、
第2の複数のセンサ電極を備えた第2タッチセンサを有し、前記第2タッチセンサは前記第2の複数のセンサ電極に近接するオブジェクトを検出するよう構成されており、
前記第2の複数のセンサ電極の第1センサ電極は、前記第1の複数のセンサ電極の前記第1センサ電極と、前記複数のセンサ入力の前記第1センサ入力と、の双方に結合されており、
前記プロセッサは、前記閉ループに近接するオブジェクトを前記第1タッチセンサが検出したことに応答して第1データを与え、かつ、前記第2の複数のセンサ電極に近接するオブジェクトを前記第2タッチセンサが検出したことに応答して第2データを与えるよう構成されている、オブジェクト位置検出機。
【請求項4】
前記第1タッチセンサは、更に、前記第1の複数のセンサ電極に近接して配置されて前記複数のセンサ入力の第2センサ入力に結合されたインディケータ電極を有し、前記インディケータ電極は前記閉ループに近接するオブジェクトを検出するよう構成されている請求項3記載のオブジェクト位置検出機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【公開番号】特開2011−23043(P2011−23043A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246302(P2010−246302)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【分割の表示】特願2003−585039(P2003−585039)の分割
【原出願日】平成15年4月10日(2003.4.10)
【出願人】(502161508)シナプティクス インコーポレイテッド (18)
【Fターム(参考)】