説明

ソリッドタイヤの製造方法

【課題】複数の弾性部を有するソリッドタイヤの生産効率を高めることが容易なソリッドタイヤの製造方法を提供する。
【解決手段】ソリッドタイヤにおいて、ホイールと走行面を有する第1弾性部との間には、第2弾性部が設けられている。このソリッドタイヤの製造方法は、第1弾性部を成形する第1成形工程と、第2弾性部を成形する第2成形工程とを含む。第1成形工程では、第1弾性部の原料21を注入した円筒状をなす金型31をその周方向へ回転させる。この第1成形工程における金型は、その回転軸線Cの方向を水平方向に沿うようにして回転される。第2成形工程では、第1弾性部を成形した金型内に、ホイールを配置するとともに第2弾性部の原料を注入して第2弾性部を成形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば搬送用車輪等のソリッドタイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ソリッドタイヤは、無人搬送車、フォークリフト等の産業車両の車輪、自動倉庫、立体駐車場、各種製造設備等に備えられる搬送用車輪、ジェットコースター、観覧車等の遊戯装置等に備えられる車輪等として利用されている(特許文献1参照)。こうしたソリッドタイヤは、ホイールとそのホイールの外周面を被覆する弾性部とを備えており、その弾性部はソリッドタイヤの耐久性、耐衝撃性等の性能に大きく寄与する重要な部位である。こうした弾性部の性能を高めるために、その弾性部を高硬度弾性層及び低硬度弾性層の二層から構成したソリッドタイヤが提案されている(特許文献2参照)。特許文献2のソリッドタイヤは、弾性部の原料を注入した金型を縦型遠心成形機に固定し、その金型の回転に伴う遠心力によって弾性部を成形している。
【特許文献1】特開2004−161042号公報
【特許文献2】特開平08−40008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献2においてはソリッドタイヤの弾性部を成形するに際して、金型はその回転軸線の方向を鉛直方向に沿うようにして回転されている。このとき、弾性部の原料は、金型の回転に伴う遠心力によって、金型の底面上に沿って流動した後に、金型の内周壁に沿って上方に流動する。こうした原料の流動は、金型内の底面上に原料が付着して残留し易い。そして、金型の底壁上に残留した原料は、金型内において不要物を生成してしまう。このように、複数の弾性部を有するソリッドタイヤは、性能を高めることができるものの、原料から不要物が生成し易い。このため、金型等から不要物を取り除く作業に手間を要する結果、ソリッドタイヤの生産効率の低下を招いてしまう。
【0004】
本発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の弾性部を有するソリッドタイヤの生産効率を高めることが容易なソリッドタイヤの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明のソリッドタイヤの製造方法は、ホイールと走行面を有する第1弾性部との間に第2弾性部が設けられたソリッドタイヤの製造方法において、前記第1弾性部の原料を注入した円筒状をなす金型をその周方向へ回転させることにより、前記第1弾性部を成形する第1成形工程と、前記第1弾性部を成形した金型内に、前記ホイールを配置するとともに前記第2弾性部の原料を注入して前記第2弾性部を成形する第2成形工程とを含み、前記第1成形工程における前記金型は、その回転軸線の方向を水平方向に沿うようにして回転されることを要旨とする。
【0006】
この方法によれば、第1成形工程における金型は、その回転軸線の方向を水平方向に沿うようにして回転されるため、第1弾性部の原料は、円筒状をなす金型の内周壁に沿って流動する。このため、金型内の内周壁以外の部位に対して、第1弾性部の原料が付着し難い。よって、金型内において第1弾性部の原料から不要物が生成されることを抑制することができる結果、そうした不要物を取り除く作業の手間を軽減することができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のソリッドタイヤの製造方法において、前記第1成形工程は、前記金型を駆動ローラに接触させて、同駆動ローラの回転駆動により、前記金型を回転させる工程であることを要旨とする。
【0008】
この方法によれば、金型は、それに接触する駆動ローラによって回転されるため、金型を回転駆動させるに際して、金型に駆動軸を連結するといった手間を省略することができる。このため、第1成形工程を簡略化することができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のソリッドタイヤの製造方法において、前記第1成形工程は、前記駆動ローラと同駆動ローラに並設されたローラとに前記金型を載置して同金型を回転させる工程であることを要旨とする。
【0010】
この方法によれば、駆動ローラの回転駆動により回転される金型は、回転するローラによっても支持される。このため、更に安定した状態で金型を回転させることができるようになる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の弾性部を有するソリッドタイヤの生産効率を高めることが容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明のソリッドタイヤの製造方法を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1(a)及び図1(b)に示すように、ソリッドタイヤは、円筒状のホイール11と、そのホイール11の外周に設けられるトレッド部12とから構成されている。トレッド部12は、円環状をなすとともに走行面を有する第1弾性部13と、第1弾性部13よりも縮径した円環状をなすとともにホイール11と第1弾性部13との間に設けられた第2弾性部14とを備えている。このソリッドタイヤは、トレッド部12を第1弾性部13及び第2弾性部14から構成して、それぞれ異なる物性を発揮させることで、単一の弾性部から構成したソリッドタイヤよりも各種性能が高められている。本実施形態の第2弾性部14は、第1弾性部13よりも硬く形成されている。こうした第1弾性部13及び第2弾性部14では、硬さの度合いに応じて、異なる性能が発揮され易くなる。すなわち、第1弾性部13は、トレッド部12の緩衝性、グリップ性等の性能を高める一方で、第2弾性部14は、トレッド部12の耐久性、耐荷重性等の性能を高めるように構成されている。
【0013】
第1弾性部13及び第2弾性部14は、各種エラストマーから構成することができる。エラストマーとしては、ウレタン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、シリコーンゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリルゴム、天然ゴム等が挙げられる。各種エラストマーは、単独であってもよいし、複数種を組み合わせてもよい。各種エラストマーの中でも、第1弾性部13及び第2弾性部14の物性を調整し易く、トレッド部12の性能を高めることが容易であるという観点から、ウレタン系エラストマーが好適である。
【0014】
次に、ソリッドタイヤの製造方法について詳細に説明する。ソリッドタイヤの製造方法は、第1弾性部13を成形する第1成形工程と、第2弾性部14を成形する第2成形工程とを含む。
【0015】
第1弾性部13及び第2弾性部14の原料は、流動性を有する状態からエラストマーへ変化する原料を適宜選択することができる。具体的には、硬化性樹脂、硬化性ゴム等が挙げられ、上述した理由から、ウレタン系エラストマーの原料であるポリウレタンプレポリマーを含むことが好適である。ポリウレタンプレポリマーは、ポリオールとイソシアネートとの重合反応を所定の段階まで進行させたポリマーである。こうしたポリウレタンプレポリマーは、重合反応の進行に伴って硬化されることにより、ポリウレタン系エラストマーの成形体を得ることができる。
【0016】
ポリウレタンプレポリマーを構成するポリオールとしては、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)等のエーテル系ポリオール、アジペート系ポリオール、ポリカプロラクトン系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール等のエステル系ポリオール等が挙げられる。ポリウレタンプレポリマーを構成するイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、p−フェニレンジイソシアネート(PPDI)等が挙げられる。これらポリオール及びイソシアネートから構成されるポリウレタンプレポリマーは、単独種を使用してもよく、複数種のポリウレタンプレポリマーをブレンドして使用してもよい。
【0017】
ポリウレタンプレポリマーには、その硬化反応を促進するとともに、第1弾性部13及び第2弾性部14の物性を制御するために、鎖延長剤(硬化剤)を配合することが好適である。鎖延長剤としては、例えば3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン(MOCA)等のジアミン類、1,4−ブタンジオール(1,4BD)、ハイドロキノンジオキシエチルエーテル(HQEE)等のジオール類等が挙げられる。
【0018】
第1成形工程においては、図2(a)及び図2(b)に示される円筒状の金型31を用いて第1弾性部13を成形する。本実施形態の金型31は、円筒状をなす本体部32と、円板状をなし、同本体部32の開口を閉塞する一対の閉塞部33とを備え、その本体部32及び一対の閉塞部33に囲まれる領域がキャビティとして構成されている。図2(b)に示すように、そのキャビティ内には、第1弾性部13の原料21が注入されている。この金型31は図示しない締結部材を用いて、閉塞部33が本体部32に固定されるように構成されている。具体的には、閉塞部33の略中央には貫通孔が設けられるとともに、その貫通孔に挿入された図示しないボルトをナットに螺合することで、閉塞部33が本体部32に締着されている。なお、第1弾性部13の原料21を注入するに際しては、本体部32の内周壁以外の部位に原料21ができるだけ付着しないようにすることが好ましい。原料21は、例えば前記貫通孔から注入してもよいし、本体部32の中央付近に注入孔を貫設してその注入孔から注入してもよい。
【0019】
第1成形工程においては、第1弾性部13の原料21を注入した金型31が、その周方向へ回転されることにより、第1弾性部13が成形される。この金型31の回転は、図2(a)及び図2(b)に示される回転軸線Cの方向を、水平方向に沿うようにして実施される。こうした金型31の回転に伴って、第1弾性部13の原料21は、本体部32の内周壁に沿って流動する。このため、本体部32の内周壁以外の金型31内に、第1弾性部13の原料21が付着し難い。そして、金型31の回転に伴う遠心力によって原料が円環状をなすことで、第1弾性部13が成形される。なお、本実施形態では、回転軸線Cが水平方向に一致させて、金型31を回転させている。重力方向と直交する水平面に対する回転軸線の角度は、例えば10度以内に設定することが好適である。
【0020】
第1弾性部13を成形するに際しては、第1弾性部13の原料21を、必要に応じて金型31内にて加熱又は冷却してもよい。こうした加熱又は冷却は、金型31の熱伝導を利用して行うことができる。例えば、第1弾性部13の原料21として、熱硬化性の原料を用いた場合には、金型31を図示しないヒータ等の加熱手段を用いて加熱することにより、その硬化反応を開始及び促進させることができる。
【0021】
図2(a)に示すように、第1成形工程における金型31は、回転駆動する駆動ローラ34に接触されており、この駆動ローラ34の回転駆動により回転される。本実施形態の駆動ローラ34は、金型31の回転軸線Cの方向に沿って延びる長尺状をなし、一対の閉塞部33の外周壁に当接するように構成されている。また、この駆動ローラ34は、金属材料からなる軸部を弾性材料からなる外周部により被覆されて構成されている(図示省略)。こうした弾性材料からなる外周部によって、駆動ローラ34に接触される金型31の滑りが抑制されている。このように構成された駆動ローラ34は、その駆動力が金型31に伝達され易く、金型31の回転数を高めることが容易である。従って、金型31の回転によって働く遠心力を高めることが可能となる結果、第1弾性部13の偏肉を抑制することができる。なお、駆動ローラ34は、図示しないモータに連結され、そのモータによって回転駆動されるように構成されている。
【0022】
本実施形態の駆動ローラ34の側方には、従動ローラ35が並設されている。そして、駆動ローラ34及び従動ローラ35に金型31を載置して金型31を回転している。このように従動ローラ35を用いて金型31を回転させることにより、例えば従動ローラ35以外の支持具により金型31を支持させた場合よりも、金型31の回転に伴う抵抗が低減され、より安定した状態で回転されるようになる。なお、本実施形態の従動ローラ35は、前記駆動ローラ34と同様に、金型31の回転軸線Cの方向に沿って延びる長尺状をなし、弾性材料からなる外周部によって被覆されている。
【0023】
図3に示すように、駆動ローラ34の回転駆動を利用して金型31を回転させる方法によれば、金型31を駆動ローラ34の長さ方向に沿って複数配置して、それら複数の金型31を同時に回転させることができる。一般にソリッドタイヤは、複数が1セットとして使用されるため、第1成形工程において複数の第1弾性部13を同時に実施できることは、品質の安定化という観点から極めて有効である。
【0024】
図4(a)に示すように、第1成形工程が完了した金型31内には、内周壁に密着した状態で第1弾性部13が成形されている。なお、本実施形態の第1成形工程では、第1弾性部13を完全に硬化させずに、半硬化の状態で完了させている。
【0025】
第2成形工程では、図4(b)に示すように第1弾性部13を成形した金型31を、第1成形工程における回転軸線Cが鉛直方向に沿うように静置して、その金型31内の中央部位にホイール11を配置する。このホイール11の外周面には、第2弾性部14との接合力を確保するという観点から、接着剤を塗布しておくことが好ましい。次いで、金型31内における第1弾性部13とホイール11との間に、第2弾性部14の原料を注入して第2弾性部14を成形する。すなわち、第2弾性部14は、第1弾性部13、ホイール11、及び閉塞部33により囲まれた領域に、第2弾性部14の原料を充填することにより成形される。なお、第2弾性部14を成形するに際して、上述した第1成形工程と同様に、第2弾性部14の原料を必要に応じて加熱又は冷却してもよい。また、第2弾性部14を成形するに際して、第2弾性部14の原料を上記領域に均等に充填するという観点から、第1成形工程と同様にして金型31を回転させてもよい。金型31を回転させる際には、ホイール11と第1弾性部13との間隔を一定に維持するために、例えば閉塞部33を固定する締結部材等を利用して金型31をキャビティの中央部位に固定する。
【0026】
図4(b)に示すように、第2弾性部14が成形された金型31内では、ホイール11及び第1弾性部13が第2弾性部14を介して一体化されることで、上述したソリッドタイヤが製造される。なお、第2成形工程では、第1成形工程において半硬化状態の第1弾性部13も完全に硬化させる。このとき、第2弾性部14の原料と第1弾性部13の原料21とがそれらの界面部位で反応することで、第2弾性部14と第1弾性部13との接合力を確保することができる。
【0027】
次いで、金型31からソリッドタイヤを脱型することで、ソリッドタイヤが得られる一方で、その金型31は、新たなソリッドタイヤの製造に供される。また、各成形工程において原料から生成した不要物がソリッドタイヤの外面、及び金型31の内部に付着している場合には、その不要物を取り除く作業を実施する。このとき、第1成形工程では、本体部32の内周壁以外の金型31内に対して、第1弾性部13の原料21の付着が抑制されるため、その原料21からの不要物の発生が抑制される結果、例えば閉塞部33からそうした不要物を取り除く作業の手間が軽減される。
【0028】
得られたソリッドタイヤは、無人搬送車、フォークリフト等の産業車両の車輪、自動倉庫、立体駐車場、各種製造設備等に備えられる搬送用車輪、ジェットコースター、観覧車等の遊戯装置等に備えられる車輪等として利用される。このように製造されたソリッドタイヤは、第2弾性部14及び第1弾性部13に基づく異なる性能を発揮させることが容易であるため、設計の自由度を高めることができる。従って、ソリッドタイヤの用途、使用環境等に適した性能を付与することが容易である。
【0029】
本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
(1) 例えば、回転軸線Cの方向を鉛直方向に沿うようにして金型31を回転させた場合には、閉塞部33の内壁上に存在する原料がその内壁上に沿って流動した後に、重力に抗して本体部32の内周壁へ流動することになる。こうした原料の流動では、閉塞部33の内壁に原料が付着して残留し易い。本実施形態の第1成形工程における金型31は、その回転軸線Cの方向を水平方向に沿うようにして回転されるため、第1弾性部13の原料21は本体部32の内周壁に沿って流動する。このため、金型31内において本体部32の内周壁以外の部分に第1弾性部13の原料21が付着し難い。よって、金型31内において第1弾性部13の原料21から不要物が生成されることを抑制することができる。この結果、そうした不要物を金型31又はソリッドタイヤから取り除く作業の手間を軽減することができる。従って、第2弾性部14及び第1弾性部13を有するソリッドタイヤの生産効率を高めることが容易となる。また、不要物の生成が抑制されることにより、原料のロスを極力減らすことが可能であるため、歩留まりを向上させることができる。
【0030】
(2) 本実施形態の金型31は、それに接触する駆動ローラ34によって回転される。このため、金型31を回転駆動させるに際して、駆動軸を金型31に連結するといった手間を省略することができる。このため、第1成形工程を簡略化することができる結果、上述したソリッドタイヤを製造することが更に容易である。また例えば、金型31に駆動軸を連結して回転させる場合には、金型31に駆動軸を連結する連結構造を設ける必要がある。この方法によれば、そうした駆動軸の連結構造を省略することができるため、金型31自体の構造を簡素化することができる。また、図3に示すように、駆動ローラ34の回転駆動を利用して金型31を回転させる方法によれば、複数の金型31を同時に回転させることが容易である結果、第1成形工程を効率的に実施することができるとともに品質の安定化を図ることができる。
【0031】
(3) 第1成形工程では、駆動ローラ34と駆動ローラ34に並設された従動ローラ35とに金型31を載置して回転させている。この方法によれば、駆動ローラ34の回転駆動により回転される金型31は、回転する従動ローラ35によって安定した状態で回転されるようになる。このため、金型31の回転数を高めることができる結果、第1弾性部13の偏肉を抑制することができる。従って、ソリッドタイヤの品質を向上させることができる。
【0032】
なお、前記実施形態を次のように変更して構成してもよい。
・ 前記駆動ローラ34を閉塞部33に加えて本体部32に接触させて金型31を回転させてもよい。また、前記駆動ローラ34を本体部32のみに接触させて金型31を回転させてもよい。
【0033】
・ 前記駆動ローラ34を複数並設して、これら複数の駆動ローラ34によって金型31を回転させてもよい。
・ 前記従動ローラ35を複数併設して、これら複数の従動ローラ35によって金型31を支持させてもよい。
【0034】
・ 前記従動ローラ35を用いずに、金型31に接触して支持する支持具を用いてもよい。この場合、例えば円柱状、三角柱状の支持具を金型31に当接させることにより、金型31を支持した状態であっても、駆動ロールの回転駆動により金型31を回転させることができる。
【0035】
・ 前記駆動ローラ34又は前記従動ローラ35の外周部を弾性材料から構成せずに、前記金型31の外周面に弾性部材を周設して、駆動ローラ34又は従動ローラ35に対する金型31の滑りを抑制してもよい。
【0036】
・ 前記駆動ローラ34を用いずに、回転駆動する駆動軸を例えば閉塞部33の中央に連結して、金型31を回転させてもよい。
・ 前記第1成形工程では、半硬化状態の第1弾性部13を成形しているが、第1成形工程において、完全に硬化した状態の第1弾性部13を成形してもよい。この場合、第1弾性部13の内周面に接着剤を塗布する塗布工程を実施した後に、前記第2成形工程を実施することにより、第1弾性部13と第2弾性部14との接合力を確保することができる。
【0037】
・ 前記第1成形工程と第2成形工程との間において、成形工程を実施することで、第2弾性部14と第1弾性部13との間に、第3弾性部を更に設けることもできる。なお、第3弾性部を成形する成形工程は、前記第1成形工程と同様にして実施することが好ましい。
【0038】
・ 前記実施形態のソリッドタイヤにおける第1弾性部13を、第2弾性部14よりも硬く形成することにより、第1弾性部13の耐久性等を高める一方で、第2弾性部14の緩衝性を高めるように構成してもよい。なお、硬さの基準としては、デュロメータにより測定される硬度が挙げられる。
【0039】
・ 第1弾性部13及び第2弾性部14について、硬さ以外の物性が異なるように構成してもよい。硬さ以外の物性としては、動的粘弾性、表面摩擦係数等が挙げられる。
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
【0040】
・ 前記駆動ローラは弾性材料からなる外周部により被覆されてなり、その外周部を前記金型に接触させて前記金型を回転させるソリッドタイヤの製造方法。
・ 前記ソリッドタイヤは、前記第1弾性部の硬さと前記第2弾性部の硬さとが異なるものであるソリッドタイヤの製造方法。
【0041】
・ 前記第2弾性部の原料及び前記第1弾性部の原料は、ポリウレタンプレポリマーを含み、前記ソリッドタイヤにおける前記第2弾性部及び前記第1弾性部をポリウレタンエラストマーから構成するソリッドタイヤの製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】(a)は、本実施形態のソリッドタイヤを示す側面図、(b)は、(a)の1b−1b線断面図。
【図2】(a)は、第1成形工程を説明するための概略斜視図、(b)は、(a)の2b−2b線断面図。
【図3】第1成形工程を説明するための概略斜視図。
【図4】(a)は、第1成形工程を説明するための断面図、(b)は、第2成形工程を説明するための断面図。
【符号の説明】
【0043】
11…ホイール、13…第1弾性部、14…第2弾性部、21…原料、31…金型、34…駆動ローラ、35…従動ローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホイールと走行面を有する第1弾性部との間に第2弾性部が設けられたソリッドタイヤの製造方法において、
前記第1弾性部の原料を注入した円筒状をなす金型をその周方向へ回転させることにより、前記第1弾性部を成形する第1成形工程と、
前記第1弾性部を成形した金型内に、前記ホイールを配置するとともに前記第2弾性部の原料を注入して前記第2弾性部を成形する第2成形工程とを含み、
前記第1成形工程における前記金型は、その回転軸線の方向を水平方向に沿うようにして回転されることを特徴とするソリッドタイヤの製造方法。
【請求項2】
前記第1成形工程は、
前記金型を駆動ローラに接触させて、同駆動ローラの回転駆動により、前記金型を回転させる工程であることを特徴とする請求項1に記載のソリッドタイヤの製造方法。
【請求項3】
前記第1成形工程は、
前記駆動ローラと同駆動ローラに並設されたローラとに前記金型を載置して同金型を回転させる工程であることを特徴とする請求項2に記載のソリッドタイヤの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−213407(P2008−213407A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−57276(P2007−57276)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【出願人】(000106771)シーシーアイ株式会社 (245)
【Fターム(参考)】