説明

ソルダーレジスト用重合性組成物及びソルダーレジストパターンの形成方法

【課題】赤外領域における遮光性と硬化性の双方が良好なソルダーレジスト用重合性組成物を提供する。
【解決手段】赤外線遮蔽材、重合開始剤、及び、重合性化合物を含有するソルダーレジスト用重合性組成物である。赤外線遮蔽材としては、赤外線吸収色素、又は、チタンブラック等の金属含有無機顔料が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソルダーレジスト形成用の重合性組成物及びソルダーレジストパターンの形成方法に関し、特に、固体撮像素子におけるソルダーレジストの形成に好適に使用しうるソルダーレジスト用重合性組成物及びそれを用いたソルダーレジストパターンの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ソルダーレジスト等の永久パターンを形成する場合、目的とする部材上に感光層を形成するに際しては、液状の感光性組成物をスピンコート法、スクリーン印刷法、スプレー印刷法を用いて塗膜を形成させ乾燥させる方法、仮支持体上に感光性組成物を塗布し、乾燥することにより感光層を有する積層フィルムとし、これを真空ラミネーターやロールラミを用いて部材上に感光層のみを転写する方法が用いられている。ソルダーレジスト等の永久パターンを形成する方法としては、例えば、永久パターンが形成されるシリコンウエハ上、配線されたシリコンウエハ上、或いは、銅張積層板等の基体上に、前記の方法で感光層を形成し、該積層体における感光層に対して露光を行い、露光後、感光層を現像してパターンを形成させ、その後、硬化処理等を行うことにより永久パターンを形成する方法等が知られている。
【0003】
前記永久パターンの形成は、半導体チップとプリント基板の間に介装されるパッケージ基板にも適用される。前記パッケージ基板は、近年、より一層の高密度化が求められており、配線ピッチの狭幅化やソルダーレジスト層の高強度化、絶縁性の向上、薄膜化などが進んでいる。このため、繰り返しの冷熱衝撃耐性(サーマルサイクルテスト耐性、TCT耐性)がより強く求められ、また、バイアの小径化も求められており、テーパー形状のなめらかさが実装性の観点から求められている。
このようなソルダーレジスト形成用の感光性組成物は、利便性の観点から、保存安定性に優れる必要もある。
【0004】
一方、携帯電話や、デジタルカメラ、デジタルビデオ、監視カメラ等に使用される固体撮像素子(イメージセンサ)は、半導体素子の製造技術を用いて集積回路化された光電変換素子である。近年、固体撮像素子は、携帯電話、及びデジタルカメラの小型化、軽量化にともなってより一層の小型化が望まれている。
固体撮像素子の小型化の為に、貫通電極の応用、及びシリコンウエハを薄膜化する手法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。シリコンウエハを研磨して薄膜化することで小型化は実現できるが、シリコンウエハの薄膜化により、800nm以下の光の遮光性は維持されるが、波長800nm以上の光を透過し易くなってきた。固体撮像素子に使用されるフォトダイオードは、800nm以上1200nm以下の光にも反応してしまうために、800nm以上の光の透過により画質が低下してしまうという新たな問題が生じることがわかった。
【0005】
固体撮像素子の構成は、フォトダイオードの一方に隣接して、カラーフィルタ及びレンズがあり、カラーフィルタ或いはレンズ付近には赤外カットフィルタが存在して、800−1200nmの光を遮断しているが、カラーフィルタの反対側には、金属配線及びソルダーレジストなどが存在する。金属配線間などはソルダーレジストで埋められることが多いが、携帯電話やデジタルカメラ等の内部に入ってくる漏れ光などの赤外光を遮断できない問題があった。そこで、従来、赤外線に対する遮光性に乏しいソルダーレジストの外側にさらに赤外線遮光性の層を設け、赤外線遮光性を確保する手段が講じられるが、一般的に、ソルダーレジスト上は配線などにより段差が存在するために、赤外線遮光性層材料を段差のある基板表面に均一の膜厚で塗布することが難しく、薄い部分が存在するとそこから光が透過してしまう問題があった。
【0006】
赤外線遮光性層を所望の部分のみに設けるためには、感光性を有し、露光によるパターニングが可能なフォトリソグラフィーの性能を有することが好ましい。フォトリソグラフィーを有する遮光性の感光性組成物としては、LCDカラーフィルタの形成に用いられるカーボンブラックを使用したブラックレジストが挙げられるが、カーボンブラックは、可視域の遮光性は高いものの赤外域での遮光性は低く、このようなブラックレジストをソルダーレジストとして適用しようとする場合、赤外域での必要な遮光性を確保する量のカーボンブラックを添加すると、可視域の遮光性が非常に高くなりすぎ、通常、画像形成に用いられる、高圧水銀灯、KrF,ArFなどの露光に用いられる可視域より短波の光を遮光してしまい、光硬化性が十分に得られないという問題がある。
また、現状では、ソルダーレジストを塗布法により形成した後に、赤外線遮光性層を別に設けるため、ソルダーレジストの形成と赤外線遮光性層の形成において、複数回の塗布、露光、現像、後加熱など工程が必要であり、工程が煩雑でありコストアップの要因ともなるため改善が望まれていた。
そこで、ソルダーレジスト自体に遮光性をもたせることが試みられ、例えば、黒色着色剤と、黒色以外の着色剤と、多官能エポキシ化合物とを含有する黒色ソルダーレジスト組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、この組成物は、黒色以外の着色剤と併用することで黒色着色剤の含有量を低く抑えることを特徴するものであり、遮光性、特に、赤外領域での遮光性と硬化性との両立という観点からは実用上不充分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−194396号公報
【特許文献2】特開2008−257045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、赤外領域における遮光性と硬化性の双方が良好なソルダーレジスト用重合性組成物及びそれを用いたソルダーレジストパターンの形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、赤外線遮蔽材をソルダーレジストに組み入れることで、ソルダーレジスト層自体が優れた赤外線に対する遮蔽性を確保でき、且つ、硬化性も十分得られることを見出し、本発明を完成した。
本発明のソルダーレジスト用重合性組成物は、赤外線遮蔽材、重合開始剤、及び、重合性化合物を含有する。
ここで、赤外線遮蔽材としては、チタンブラック等の金属含有無機顔料や赤外線吸収性と安定性とに優れた赤外線吸収色素が好ましい。本発明のソルダーレジスト用重合性組成物における重合性化合物は、ラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物のいずれであってもよく、両者を併用してもよい。また、重合性化合物は、分子内に複数の重合性基を有する多官能重合性化合物であってもよい。
【0010】
本発明のソルダーレジスト用重合性組成物は、さらにバインダーポリマーを含有してもよい。このようなソルダーレジスト用重合性組成物は、ソルダーレジスト形成性の観点から、固形分濃度が30質量%以上80質量%以下であり、粘度が10mPa・s以上3000mPa・s以下の範囲にあることが好ましい。
本発明のソルダーレジスト用重合性組成物を用いて形成した硬化膜は赤外線遮蔽性に優れており、本発明の重合性組成物によれば、例えば、膜厚20μmの硬化膜を形成したとき、該硬化膜の波長800−1200nmの光の透過率が10%以下であり、また、可視光領域の透過性が良好であり、より具体的には、該硬化膜の波長800−1200nmにおける光学濃度(OD値)の最低値が、該硬化膜の波長300−450nmにおける光学濃度の最低値の3倍未満である硬化膜を形成しうる。
また、得られた硬化膜は絶縁性に優れることが必要であり、形成された硬化膜の絶縁性の目安としては、絶縁破壊電圧が1MV/cm以上であることが好ましい。なお、絶縁破壊電圧の測定方法は、フォーディメンションズ製水銀プローバ、及び、横川ヒューレットパッカード製のHP4285ALCRメーターを用いて、I−V測定により評価でき、本発明においては、この方法で測定した結果により評価される。
【0011】
上記本発明のソルダーレジスト用重合性組成物は、薄膜でも十分な赤外線遮蔽性を有し、高解像度のパターンを形成しうることから、固体撮像素子に使用されるソルダーレジストの形成に好適である。
また、本発明のソルダーレジストパターンの形成方法は、基板上に、前記本発明のソルダーレジスト用重合性組成物を含有する感光層を形成する工程と、該感光層をパターン露光して、露光部を硬化させる工程と、未硬化の感光層を現像により除去してパターン状の赤外線遮蔽性硬化膜を形成する工程と、をこの順で有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、赤外領域における遮光性と硬化性の双方が良好なソルダーレジスト用重合性組成物及びそれを用いたソルダーレジストパターンの形成方法を提供することができ、該ソルダーレジスト用重合性組成物は、特に固体撮像素子のソルダーレジスト形成に好適である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のソルダーレジスト用重合性組成物(以下、単に、重合性組成物と称することがある)について詳細に説明する。
本明細書では、重合性組成物の全固形分とは、重合性組成物の総質量から溶剤を除いた成分の総質量のことを指す。
(ソルダーレジスト用重合性組成物)
本発明の重合性組成物は、少なくとも赤外線遮蔽材、重合開始剤、及び、重合性化合物を含有し、必要に応じ、バインダーポリマーと、フィラー、エラストマー、その他の成分を含有してなる。
なお、本明細書において、「アクリル」及び「メタクリル」のいずれか或いは双方を表す場合、「(メタ)アクリル」と表記することがある。
【0014】
<赤外線遮蔽材>
本発明に使用される赤外線遮蔽材としては、800−1200nmに吸収を有する化合物であり、且つ、露光に用いられる光の透過性が良好であることが好ましい。そのような観点から、本発明における赤外線遮蔽材は、赤外線吸収色素、及び、赤外線吸収性金属含有無機顔料から選択されることが好ましい。
本発明において赤外線遮蔽材として使用できる赤外線吸収色素としては、シアニン色素、フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、インモニウム色素、アミノウム色素、キノリウム色素、ピリリウム色素、Ni錯体色素などの金属錯体色素、さらに、下記一般式(I)〜一般式(III)で表される色素などを挙げることができる。
(一般式(I)で表される色素)
まず、赤外線遮蔽材として好適に用いうる一般式(I)で表される赤外線吸収色素について説明する。一般式(I)で表される色素は、シアニン色素に包含される。
【0015】
【化1】

【0016】
前記一般式(I)中、Z及びZは、それぞれ独立に、縮環してもよい5員又は6員の含窒素複素環を形成する非金属原子団を表し、R及びRは、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、又はアラルキル基を表す。Lは5個から9個のメチン基が二重結合で共役するように結合してなる構造を含む連結基であり、a及びbは、それぞれ0又は1であり、Xは対アニオンを表す。
【0017】
及びZは、それぞれ独立に、縮環してもよい5員又は6員の含窒素複素環を形成する非金属原子団を表し、ここで、Z及びZが形成する含窒素複素環およびその縮環としては、例えば、オキサゾール環、イソオキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ナフトオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ナフトチアゾール環、インドレニン環、ベンゾインドレニン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ナフトイミダゾール環、キノリン環、ピリジン環、ピロロピリジン環、フロピロール環、インドリジン環、イミダゾキノキサリン環、およびキノキサリン環等が挙げられる。含窒素複素としては5員環が好ましく、5員の含窒素複素環にベンゼン環又はナフタレン環縮合している態様がさらに好ましい。より具体的には、インドレニン環およびベンゾインドレニン環が最も好ましい。
【0018】
含窒素複素環及びそれに縮合している環は、置換基を有していてもよい。導入可能な置換基としては、メチル、エチル、プロピル等のアルキル基、メトキシ、エトキシ等のアルコキシ基、フェノキシ、p−クロロフェノキシ等のアリールオキシ基、塩素、臭素、フッ素等のハロゲン原子、エトキシカルボニル等のアルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基及びその塩、カルボキシル基及びその塩などが挙げられる。
【0019】
及びRは、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、又はアラルキル基を表し、なかでも、アルキル基が好ましく、アルキル基としては、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。アルキル基に導入可能な置換基としては、塩素、臭素、フッ素等のハロゲン原子、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等のアルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、スルホ基及びその塩、カルボキシル基及びその塩などが挙げられる。
アルケニル基としては、置換基を有していてもよい、炭素数2〜10のアルケニル基が好ましく、例えば、2−ペンテニル、ビニル、アリル、2−ブテニル及び1−プロペニルが挙げられる。アルケニル基に導入可能な置換基としては、前記アルキル基に導入可能な置換基と同様のものが挙げられる。
アラルキル基としては、置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル及びフェネチルが含まれる。アラルキル基に導入可能な置換基としては、前記Z及びZに導入かのとして挙げたものと同様の置換基が挙げられる。
【0020】
Lは5個から9個のメチン基が二重結合で共役するように結合してなる構造を含む連結基であり、メチン基の数としては、7個又は9個が好ましく、7個がより好ましい。
メチン基はメチン基同士が結合して5又は6員環を形成してもよい。又、メチン基は置換基を有していてもよい。置換基を有するメチン基は中央の(メソ位の)メチン基であることが好ましい。置換基の例としては、メチル基、エチル基、メトキシ基、フェノキシ基、ハロゲン原子(Cl、Br、F)、アリール基(フェニル、ナフチルを含み、置換基を有していてもよい。置換基としては、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、フェノキシ、Cl、Br、F、エトキシカルボニル、シアノ、ニトロ等である)、−NR、−OR、−SR、−SO、ヒドロキシル基又はケトンが挙げられる。ここでR及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、又は、アリール基を表す。アルキル基、アリール基の例としては、前記したのと同義である。
【0021】
一般式(I)中、a及びbは、それぞれ0又は1である。
Xは対アニオンを表す。アニオンの例としては、ハライドイオン(Cl、Br、I)、p−トルエンスルホン酸イオン、エチル硫酸イオン、PF、BF、及び、ClO等を挙げることができる。なお、一般式(I)で表される色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合には、Xは存在しない。例えば、カルボキシル基のようにアニオン性置換基がNと分子内塩を形成するときには、見かけ上Xは存在しない態様をとる。
(一般式(II)で表される色素)
次に、赤外線遮蔽材として好適に用いうる一般式(II)で表される赤外線吸収色素について説明する。一般式(II)で表される色素は、スクアリリウム色素に包含されるジヒドロペリミジンスクアリリウム化合物である。
【0022】
【化2】

【0023】
前記一般式(II)中、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、及びR17は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はヘテロ環基を表し、R10とR11、R12とR13、R14とR15、及びR16とR17の1組以上は、互いに結合し5員又は6員の環構造を形成してもよい。Xは酸素原子、又は−NR18を、Xは酸素原子又は−NR19を、Xは酸素原子又は−NR20を、Xは、酸素原子又は−NR21を表し、R18、R19、R20、及びR21は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はヘテロ環基を表し、R18とR10、R19とR11、R20とR16、及びR21とR17の1組以上は、互いに連結して5員又は6員の環構造を形成してもよい。R22、R23及びR24は、それぞれ独立に水素原子又は1価の基を表し、nは、それぞれ独立に、1から3の整数を、mは0から6の整数を表す。nが2又は3を表すとき、複数存在するR22、R23又はR24は、互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0024】
一般式(II)において、R10〜R21がアルキル基を表す場合のアルキル基としては、炭素数1から20、より好ましくは1から12のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、へキシル、ウンデシル)が挙げられ、ハロゲン原子(F、Cl、Br)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル)、ヒドロキシル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、フェノキシ、イソブトキシ)又はアシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ、ブチリルオキシ、ヘキシリルオキシ、ベンゾイルオキシ)、スルホ基(塩でもよい)、カルボキシル基(塩でもよい)等で置換されていてもよい。
10〜R21がシクロアルキル基を表す場合のシクロアルキル基としては、シクロペンチル、シクロヘキシルを挙げることができる。
10〜R21がアリール基を表す場合のアリール基としては、6から12の炭素数のものが好ましく、フェニル基又はナフチル基が挙げられる。アリール基は、置換していてもよい。置換基としては、炭素数1から8のアルキル基(例えば、メチル、エチル、ブチル)、炭素原子数1から6のアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、p−クロロフェノキシ)、ハロゲン原子(F、Cl、Br)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル)、アミノ基(例えば、メチルアミノ、アセチルアミノ、メタンスルホンアミド)、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基(塩でもよい)およびスルホ基(塩でもよい)が含まれる。
【0025】
10〜R21がアラルキル基を表す場合のアラルキル基としては、7から12の炭素数を有するアラルキル基が好ましく(例えば、ベンジル、フェニルエチル)、置換基(例えば、メチル、メトキシ、クロル原子)を有していてもよい。
10〜R21がヘテロ環基を表す場合のヘテロ環基としては、チエニル、フリル、ピロリル、ピラゾリル、ピリジル、インドリル等を挙げることができる。
22〜R24で表される1価の基としては、上記アリール基で述べた置換基を挙げることが出来る。
10とR11、R12とR13、R14とR15、R16とR17、R18とR10、R19とR11、R20とR16、及び、R21とR17、の1組以上は、互いに連結して5員又は6員の環構造を形成してもよく、環構造としては、シクロペンタン又はシクロヘキサン環が挙げられる。
mは0または1〜6の整数を表し、混合物であってもよい。
【0026】
(一般式(III)で表される色素)
次に、赤外線遮蔽材として好適に用いうる一般式(III)で表される赤外線吸収色素について説明する。一般式(III)で表される色素は、インドアニリン色素に包含される。
【0027】
【化3】

【0028】
一般式(III)中、R30は、−CONHR35、−SONHR35、−NHSO35、−NHCOR35、−NHCONHR35、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、又は、スルホ基を表し、R31は水素原子、アルキル基、−NHSO35、又は−NHCOR35を表し、R35はアルキル基、アリール基又は、ヘテロ環基を表す。R32は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、又はハロゲン原子を表し、複数存在するR32は互いに同じであっても異なっていてもよい。nは0から3の整数を表す。R33及びR34は、それぞれ独立にアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表し、R33とR34、R32とR33、及びR32とR34の1組以上は、互いに結合し5員又は6員の環構造を形成してもよい。
【0029】
一般式(III)において、R30〜R35がアルキル基を表す場合のアルキル基としては、炭素数1から20、より好ましくは1から12のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、へキシル、ウンデシル)が挙げられる。また、アルキル基は、ハロゲン原子(F、Cl、Br)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル)、ヒドロキシル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、フェノキシ、イソブトキシ)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ、ブチリルオキシ、ヘキシリルオキシ、ベンゾイルオキシ)、カルボキシル基(塩でもよい)又はスルホ基(塩でもよい)等で置換されていてもよい。
【0030】
30〜R35がアリール基を表す場合のアリール基としては、6から12の炭素数のものが好ましく、フェニル基又はナフチル基が挙げられる。アリール基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、炭素数1から8のアルキル基(例えば、メチル、エチル、ブチル)、炭素原子数1から6のアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、p−クロロフェノキシ)、ハロゲン原子(F、Cl、Br)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル)、アミノ基(例えば、メチルアミノ、アセチルアミノ、メタンスルホンアミド)、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基又はスルホ基が含まれる。
30〜R35がアラルキル基を表す場合のアラルキル基としては、7から12の炭素数を有するアラルキル基が好ましく(例えば、ベンジル、フェニルエチル)、置換基(例えば、メチル、メトキシ、クロル原子、カルボキシル、スルホ)を有していてもよい。
【0031】
35がヘテロ環基を表す場合のヘテロ環としては、ピリジン、1,3−チアゾール、1,3,4−トリアゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、1,2,4−チアジアゾール等を挙げることができる。
30及びR32がハロゲン原子を表す場合のハロゲン原子としては、F、Br、Clである。
32がアルコキシ基を表す場合のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、フェノキシ、イソブトキシ等が挙げられる。
32がアミノ基を表す場合のアミノ基としては、メチルアミノ、アセチルアミノ、メタンスルホンアミド等が挙げられる。
33とR34、R32とR33、及びR32とR34の1組以上は、互いに結合し5員又は6員の環構造を形成してもよく、R33とR34とは、互いに結合し、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン又はピロリジン環などの環を形成してもよい。
また、R32とR33、及びR32とR34の1組以上は、互いに結合し5員又は6員の環構造、例えば、ジュロリジン、テトラヒドロキノリン環を形成してもよい。
【0032】
32がアルコキシ基を表す場合のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシなどを挙げることができる。
32がアミノ基を表す場合のアミノ基としては、−NHCOR35、−NHSO35、−NHCONHR35、−NHCOOR35、−NHR35(R35は前述と同義)及び−NHを挙げることができる。
30及びR32がハロゲン原子を表す場合のハロゲン原子としては、F、Cl、Brを挙げることができる。
【0033】
前記一般式(I)〜一般式(III)で表される色素は、特開平11−109126号公報に詳細に記載されており、ここに記載の化合物を本発明に好適に使用しうる。本発明において赤外線遮蔽材として使用しうる色素の具体例としては、同公報段落番号〔0021〕〜〔0033〕に記載の化合物が挙げられる。
これらの色素をソルダーレジスト用重合性組成物に適用する場合、通常、有機溶媒又は水に溶解して用いることが、重合形成に用いるモノマーに直接溶解して用いてもよい。また、前記色素は固体微粒子の状態で用いてもよい。固体微粒子の状態で用いる場合には、公知の分散機により均一分散して用いられる。
【0034】
本発明において赤外線遮蔽材として使用しうる色素は市販品としても入手可能であり、例えば、以下の市販色素が好適に挙げられる。
FEW Chemicals社製 S0345、S0389、S0450、S0253、S0322、S0585、S0402、S0337、S0391、S0094、S0325、S0260、S0229、S0447、S0378、S0306、S0484
American Dye Source,Inc.製 ADS795WS、ADS805WS、ADS819WS、ADS820WS、ADS823WS、ADS830WS、ADS850WS、ADS845MC、ADS870MC、ADS880MC、ADS890MC、ADS920MC、ADS990MC、ADS805PI、ADSW805PP、ADS810CO、ADS813MT、ADS815EI、ADS816EI、ADS818HT、ADS819MT、ADS819MT、ADS821NH、ADS822MT、ADS838MT、ADS840MT、ADS905AM、ADS956BP、ADS1040P、ADS1040T、ADS1045P、ADS1040P、ADS1050P、ADS1065A、ADS1065P、ADS1100T、ADS1120F
【0035】
山本化成株式会社製 YKR−4010、YKR−3030、YKR−3070、YKR−5010、YKR−3090、MIR−327、MIR−371、SIR−159、PA−1005、MIR−369、MIR−379、SIR−128、PA−1006、YKR−2080、MIR−370、YKR−3040、YKR−3081、SIR−130、MIR−362、YKR−3080、SIR−132、PA−1001
林原生物化学研究所製 NK−123、NK−124、NK−1144、NK−2204、NK−2268、NK−3027、NKX−113、NKX−1199、NK−2674、NK−3508、NKX−114、NK−2545、NK−3555、NK−3509、NK−3519
【0036】
これら色素のなかでも、耐熱性の観点から、フタロシアニン色素、ナフタロシアニン系色素、前記一般式(I)で表される色素、前記一般式(II)で表される色素、前記一般式(III)で表される色素及び金属錯体色素が好ましい。
フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素としては、λmaxが900nm以上1200nm以下であるものがより好ましい。市販品の好適な例としては、山本化成(MIR−370、YKR−3040、YKR−3081、MIR−3081、MIR−362、YKR−3080)、日本触媒(イーエクスカラーIR−906、イーエクスカラーIR−910)が挙げられる。
また、一般式(I)〜一般式(III)で表される色素のなかでも、一般式(II)で表されるスクアリリウム色素が好ましく、吸収波長の観点から、特許第3690707号公報に記載の、一般式(1)で表されるジヒドロペリミジンスクアリリウム化合物がより好ましいものとして挙げられる。
【0037】
これらの赤外線吸収色素は、単独で使用してもよいが、800−1200nmにおける良好な遮光性を発現させる目的で、これらのうち目的に応じた2種以上を混合して使用してもよい。
【0038】
本発明において赤外線遮蔽材として使用できる赤外線吸収性の金属含有無機顔料としては、例えば、亜鉛華、鉛白、リトポン、酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄、沈降性硫酸バリウムおよびバライト粉、鉛丹、酸化鉄赤、黄鉛、亜鉛黄(亜鉛黄1種、亜鉛黄2種)、ウルトラマリン青、プロシア青(フェロシアン化鉄カリ)、ジルコングレー、プラセオジムイエロー、クロムチタンイエロー、クロムグリーン、ピーコック、ビクトリアグリーン、紺青(プルシアンブルーとは無関係)、バナジウムジルコニウム青、クロム錫ピンク、陶試紅、サーモンピンク等が挙げられ、さらに、黒色顔料として、Co、Cr、Cu、Mn、Ru、Fe、Ni、Sn、Ti及びAgからなる群より選ばれた1種又は2種以上の金属元素を含む金属酸化物、金属窒素物或いはそれらの混合物などを用いることができる。
赤外線遮蔽材として用いられる無機顔料の粒径は、平均一次粒径が5nm〜0.01mmであることが好ましく、分散性、遮光性、経時での沈降性の観点から平均一次粒径が10nm〜1μmであることが好ましい。
【0039】
これら赤外線吸収顔料のなかでも、波長800−1200nmの赤外領域での遮蔽性が良好であることから、窒化チタンを含有する黒色顔料であるチタンブラックが好ましい。
本発明において好適な赤外線遮蔽材として用いうるチタンブラックは、公知の手法により得ることができ、また、市販品としては、例えば、石原産業株式会社製、赤穂化成株式会社製、株式会社ジェムコ社製、三菱マテリアル株式会社製、及び、三菱マテリアル電子化成株式会社製のチタンブラックを使用してもよい。
【0040】
本発明の重合性組成物に用いられる赤外線遮蔽材としては、赤外域の遮光性を有すると共に、フォトリソ性発現のために、一般に、フォトリソグラフィーによるパターニングにおいて露光光源として用いられる波長200−450nmの光透過性が良好であること、即ち、紫外域から可視域において低遮光性であることが必要となる。
赤外線遮蔽性と可視光透過性のバランスについて述べれば、例えば、本発明の重合性組成物により厚さ20μmの硬化膜を形成したとき、該硬化膜の赤外域である波長800−1200nmにおける光学濃度(OD値)の最低値が、該硬化膜の波長300−450nmにおける光学濃度の最低値の3倍未満であることが好ましく、より好ましくは2倍以下であり、最も好ましくは1.5倍以下である。
ちなみに、金属を含有しない顔料であるカーボンブラックを、金属含有無機顔料であるチタンブラックに変えて等量用いた場合、波長800−1200nmにおける光学濃度(OD値)の最低値は、該硬化膜の波長300−450nmにおける光学濃度の最低値の3倍またはそれ以上の値となる。
このような遮光条件を達成しうる赤外線遮蔽材としては、前記した赤外線吸収色素、及び、チタンブラックなどの金属含有無機顔料が挙げられるが、耐熱性、露光によるパターン形成性の観点からチタンブラック等の金属含有無機顔料が最も好ましい。
【0041】
本発明においてチタンブラックとは、チタン原子を有する黒色粒子を指す。好ましくは低次酸化チタンや酸窒化チタン等である。チタンブラック粒子としては、分散性向上、凝集性抑制などの目的で、必要に応じ、表面を修飾した粒子を用いてもよい。
表面修飾法としては、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、及び、酸化ジルコニウムから選択される1種以上により表面を被覆する方法が挙げられ、また、特開2007−302836号公報の段落番号〔0010〕〜〔0027〕に示されるような撥水性物質により表面処理してもよい。
また、前記チタンブラックは、分散性、着色性等を調整する目的でCu、Fe、Mn、V、Ni等の複合酸化物、酸化コバルト、酸化鉄、カーボンブラック、アニリンブラック等の、チタンブラック以外の黒色顔料の1種あるいは2種以上と組み合わせて使用してもよく、この場合、顔料の50質量%以上をチタンブラック粒子が占めることが好ましい。
【0042】
チタンブラックの製造方法としては、二酸化チタンと金属チタンの混合体を還元雰囲気で加熱し還元する方法(特開昭49−5432号公報)、四塩化チタンの高温加水分解で得られた超微細二酸化チタンを、水素を含む還元雰囲気中で還元する方法(特開昭57−205322号公報)、二酸化チタンまたは水酸化チタンをアンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭60−65069号公報、特開昭61−201610号公報)、二酸化チタンまたは水酸化チタンにバナジウム化合物を付着させ、アンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭61−201610号公報)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
チタンブラックに代表される金属含有無機顔料粒子の粒子径は特に制限は無いが、分散性、着色性の観点から、3〜2000nmであることが好ましく、更に好ましくは10〜500nmである。
チタンブラックに代表される金属含有無機顔料の比表面積は、とくに限定がないが、かかる金属含有無機顔料を撥水化剤で表面処理した後の撥水性が所定の性能となるために、BET法にて測定した値が通常5〜150m/g程度、特に20〜100m/g程度であることが好ましい。
【0044】
(分散剤)
本発明において赤外線遮蔽材として金属含有無機顔料を用いる場合には、重合性組成物中での分散性、分散安定性向上を目的として、公知の分散剤により分散して用いてもよい。
【0045】
本発明に用いうる分散剤としては、高分子分散剤〔例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン、及び顔料誘導体等を挙げることができる。
高分子分散剤は、その構造から更に直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子に分類することができる。
高分子分散剤は顔料の表面に吸着し、再凝集を防止するように作用する。そのため、顔料表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子が好ましい構造として挙げることができる。
一方で、顔料誘導体は顔料表面を改質することで、高分子分散剤の吸着を促進させる効果を有する。
【0046】
顔料表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子としては、例えば、特開平3−112992号公報、特表2003−533455号公報等に記載の末端にりん酸基を有する高分子、特開2002−273191号公報等に記載の末端にスルホン酸基を有する高分子、特開平9−77994号公報等に記載の有機色素の部分骨格や複素環を有する高分子、特開2008−29901号公報等に記載の片末端に水酸基又はアミノ基を有するオリゴマー又はポリマーと酸無水物で変性して製造される高分子などが挙げられる。また、特開2007−277514号公報に記載の高分子末端に2個以上の顔料表面へのアンカー部位(酸基、塩基性基、有機色素の部分骨格やヘテロ環等)を導入した高分子も分散安定性に優れ好ましい。
【0047】
顔料表面へのアンカー部位を有するグラフト型高分子としては、例えば、特開昭54ー37082号公報、特表平8−507960号公報、特開2009−258668公報等に記載のポリ(低級アルキレンイミン)とポリエステルの反応生成物、特開平9−169821号公報等に記載のポリアリルアミンとポリエステルの反応生成物、特開平10−339949号、特開2004−37986号公報等に記載のマクロモノマーと、窒素原子モノマーとの共重合体、特開2003−238837号公報、特開2008−9426号公報、特開2008−81732号公報等に記載の有機色素の部分骨格や複素環を有するグラフト型高分子、特開2010−106268号公報等に記載のマクロモノマーと酸基含有モノマーの共重合体等が挙げられる。特に、特開2009−203462号公報に記載の塩基性基と酸性基を有する両性分散樹脂は、顔料分散組成物の分散性、分散安定性、及び顔料分散組成物を用いた重合性組成物が示す現像性の観点から特に好ましい。
【0048】
顔料表面へのアンカー部位を有するグラフト型高分子をラジカル重合で製造する際に用いるマクロモノマーとしては、公知のマクロモノマーを用いることができ、東亜合成(株)製のマクロモノマーAA−6(末端基がメタクリロイル基であるポリメタクリル酸メチル)、AS−6(末端基がメタクリロイル基であるポリスチレン)、AN−6S(末端基がメタクリロイル基であるスチレンとアクリロニトリルの共重合体)、AB−6(末端基がメタクリロイル基であるポリアクリル酸ブチル)、ダイセル化学工業(株)製のプラクセルFM5(メタクリル酸2−ヒドロキシエチルのε−カプロラクトン5モル当量付加品)、FA10L(アクリル酸2−ヒドロキシエチルのε−カプロラクトン10モル当量付加品)、及び特開平2−272009号公報に記載のポリエステル系マクロモノマー等が挙げられる。これらの中でも、特に柔軟性且つ親溶剤性に優れるポリエステル系マクロモノマーが、顔料分散組成物の分散性、分散安定性、及び顔料分散組成物を用いた重合性組成物が示す現像性の観点から特に好ましく、更に、特開平2−272009号公報に記載のポリエステル系マクロモノマーで表されるポリエステル系マクロモノマーが最も好ましい。
【0049】
顔料表面へのアンカー部位を有するブロック型高分子としては、特開2003−49110号公報、特開2009−52010号公報等に記載のブロック型高分子が好ましい。
【0050】
本発明に用いうる分散剤は、市販品としても入手可能である。
具体的には、多くの種類の化合物を使用可能であり、例えば、BYKChemie社製「Disperbyk−101(ポリアミドアミン燐酸塩)、107(カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、130(ポリアミド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和ポリカルボン酸)、BASFジャパン株式会社製「EFKA4047、4050〜4010〜4165(ポリウレタン系)、EFKA4330〜4340(ブロック共重合体)、4400〜4402(変性ポリアクリレート)、5010(ポリエステルアミド)、5765(高分子量ポリカルボン酸塩)、6220(脂肪酸ポリエステル)、6745(フタロシアニン誘導体)、6750(アゾ顔料誘導体)」、味の素ファンテクノ社製「アジスパーPB821、PB822、PB880、PB881」、共栄社化学社製「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合体)」、楠本化成社製「ディスパロンKS−860、873SN、874、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル)、DA−703−50、DA−705、DA−725」、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン重縮合物)」、「ホモゲノールL−18(高分子ポリカルボン酸)」、「エマルゲン920、930、935、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン86(ステアリルアミンアセテート)」、アビシア社製「ソルスパース5000(フタロシアニン誘導体)、22000(アゾ顔料誘導体)、13240(ポリエステルアミン)、3000、17000、27000(末端部に機能部を有する高分子)、24000、28000、32000、38500(グラフト型高分子)」、日光ケミカル者製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)」、川研ファインケミカル(株)製 ヒノアクトT−8000E等が挙げられる。
【0051】
これらの分散剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明においては、特に、顔料誘導体と高分子分散剤とを組み合わせて使用することが好ましい。また、本発明に用いうる分散剤は、前記顔料表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子と伴に、アルカリ可溶性樹脂と併用して用いても良い。アルカリ可溶性樹脂としては、(メタ)アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等、並びに側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を変性した樹脂が挙げられるが、特に(メタ)アクリル酸共重合体が好ましい。また、特開平10−300922号公報に記載のN位置換マレイミドモノマー共重合体、特開2004−300204号公報に記載のエーテルダイマー共重合体、特開平7−319161号公報に記載の重合性基を含有するアルカリ可溶性樹脂も好ましい。
【0052】
分散性、現像性、沈降性の観点から、好ましくは、以下に示す樹脂が好ましく、特に、分散性の観点から、側鎖にポリエステル鎖を有する高分子分散剤が好ましく、また、分散性と、フォトリソグラフィー法により形成されたパターンの解像性の観点から、酸基とポリエステル鎖とを有する樹脂が好ましい。分散剤における好ましい酸基としては、吸着性の観点から、pKaが6以下の酸基が好ましく、特にカルボン酸、スルホン酸、リン酸が好ましい。
【0053】
以下に、本発明において好ましく用いられる分散樹脂について説明する。
好ましい分散樹脂は、分子内に、水素原子を除いた原子数が40〜10000の範囲であり、ポリエステル構造、ポリエーテル構造、及びポリアクリレート構造から選択されるグラフト鎖を有するグラフト共重合体であり、下記式(11)〜式(15)のいずれかで表される構造単位を含むグラフト共重合体である。
特に、本発明の好ましい態様である下記式(11)〜式(15)のいずれか1つで表される構造単位を含むグラフト共重合体を重合性組成物に用いた場合には、グラフト鎖の親水性がさらに向上する。これによりグラフト共重合体の現像性がさらに向上し、優れた分散性と現像での残渣低減が高い次元で両立できる。
【0054】
【化4】

【0055】
式(11)〜式(15)において、X、X、X、X、X、および、Xはそれぞれ独立に水素原子或いは1価の有機基を表す。合成上の制約の観点から、好ましくは水素原子、或いは炭素数1から12のアルキル基であり、水素原子或いはメチル基であることがより好ましく、メチル基が特に好ましい。
式(11)〜式(15)において、Y、Y、Y、Y、および、Yはそれぞれ独立に2価の連結基であり、特に構造上制約されない。具体的には、下記の(Y−1)から(Y−20)の連結基などが挙げられる。下記構造において、Aは式(11)〜式(15)におけるY、Y、Y、Y、又はYの左末端基との結合を意味し、Bは、式(11)〜式(15)におけるY、Y、Y、Y、又はYの右末端基との結合を意味する。下記に示した構造のうち、合成の簡便性から、(Y−2)、(Y−13)であることがより好ましい。
【0056】
【化5】

【0057】
式(11)〜式(15)において、Z、Z、Z、Z、およびZは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基であり、特に、構造は限定されないが、具体的には、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、ヘテロアリールチオエーテル基、アミノ基などが挙げられる。この中でも、特に分散性向上の観点から、立体反発効果を有することが好ましく、炭素数5から24のアルコキシ基が好ましく、その中でも、特に炭素数5から24の分岐アルコキシ基或いは炭素数5から24の環状アルキルオキシ基が好ましい。
式(11)〜式(15)において、n、m、p、q、および、rはそれぞれ1から500の整数であり、好ましくは、3から100の整数であり、さらに好ましくは、5から50の整数である。
式(11)および式(12)において、jおよびkは、それぞれ独立に、2〜8の整数を表す。式(11)および式(12)におけるjおよびkは、それぞれ独立に、分散安定性、現像性の観点から、4〜6の整数が好ましく、5が最も好ましい。
【0058】
式(15)中、Rは水素原子又は1価の有機基を表し、特に構造上限定はされないが、好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基であり、さらに好ましくは、水素原子、アルキル基である。該Rがアルキル基である場合、該アルキル基としては、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基、炭素数3〜20の分岐状アルキル基、又は炭素数5〜20の環状アルキル基が好ましく、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基がより好ましく、炭素数1〜6の直鎖状アルキル基が特に好ましい。
また、式(15)中のRとしては特定樹脂中に構造の異なるRが2種以上含まれていても良い。
【0059】
前記式(11)で表される構造単位としては、分散安定性、現像性の観点から、下記式(1A)で表される構造単位であることがより好ましい。
また、前記式(12)で表される構造単位としては、分散安定性、現像性の観点から、下記式(2A)で表される構造単位であることがより好ましい。
【0060】
【化6】

【0061】
式(1A)中、X、Y、Z及びnは、式(11)におけるX、Y、Z及びnと同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(2A)中、X、Y、Z及びmは、式(12)におけるX、Y、Z及びmと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0062】
本発明に使用される特定樹脂における、式(11)〜式(15)のいずれかで表される構造単位の量(式(11)〜式(15)のいずれか1つで表される構造単位が複数種含まれる場合はその総量)は、質量換算で、特定樹脂の総質量に対し10%〜90%の範囲であることが好ましく、30%〜70%の範囲であることがより好ましい。この範囲内であると二酸化チタン粒子の分散性が高く、重合性組成物にした際の現像性がさらに良好になる。また、本発明に使用される特定樹脂としては、2種以上の構造が異なるグラフト共重合体の組み合わせであってもよい。
【0063】
式(15)中、Rは、水素原子又は1価の有機基を表し、特に構造上限定はされないが、好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基であり、さらに好ましくは、水素原子、アルキル基である。また、特定樹脂中に構造の異なるRが2種以上存在していてもよい。例えば、式(15)により表される構造単位中に複数のRが存在する場合、複数のRは同じでも異なっていてもよく、或いは、特定樹脂中の式(15)により表される構造単位は同じでも、異なっていてもよい。
具体例として、以下に示す化合物が挙げられる。なお、下記例示化合物中、各構造単位に併記される数値は、当該構造単位の含有量〔質量%:適宜、(wt%)と記載〕を表す。
【0064】
【化7】

【0065】
【化8】

【0066】
【化9】

【0067】
【化10】

【0068】
【化11】

【0069】
【化12】

【0070】
【化13】

【0071】
【化14】

【0072】
【化15】

【0073】
【化16】

【0074】
【化17】

【0075】
【化18】

【0076】
【化19】

【0077】
【化20】

【0078】
【化21】

【0079】
【化22】

【0080】
【化23】

【0081】
【化24】

【0082】
【化25】

【0083】
【化26】

【0084】
【化27】

【0085】
【化28】

【0086】
【化29】

【0087】
【化30】

【0088】
【化31】

【0089】
【化32】

【0090】
【化33】

【0091】
【化34】

【0092】
【化35】

【0093】
【化36】

【0094】
【化37】

【0095】
【化38】

【0096】
【化39】

【0097】
赤外線遮蔽材として無機顔料を用いる場合には、まず、顔料と、分散剤と、適切な溶剤とにより顔料分散組成物を調整した後、重合性組成物に配合することが分散性向上の観点から好ましい。
なお、赤外線遮蔽材として、無機顔料や赤外線吸収色素を用いる場合においても、所望の分光透過率を実現すべく、既存の赤、青、緑、黄色、シアン、マゼンタ、グレーなどの色相を有する有機顔料及び前記赤外線遮蔽材として例示した以外の色素から適宜選択して組み合わせて用いてもよい。
【0098】
このような有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 1、2、3、4、5、6、7、9、10、14、17、22、23、31、38、41、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、52:1、52:2、53:1、57:1、60:1、63:1、66、67、81:1、81:2、81:3、83、88、90、105、112、119、122、123、144、146、149、150、155、166、168、169、170、171、172、175、176、177、178、179、184、185、187、188、190、200、202、206、207、208、209、210、216、220、224、226、242、246、254、255、264、270、272、279、
C.I.Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214
C.I.Pigment Orange 2、5、13、16、17:1、31、34、36、38、43、46、48、49、51、52、55、59、60、61、62、64、71、73
C.I. Pigment Green 7、10、36、37、58
C.I.Pigment Blue 1、2、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、66、79、79のCl置換基をOHに変更したもの、80
C.I.Pigment Violet 1、19、23、27、32、37、42
C.I.Pigment Brown 25、28等を挙げることができる。
【0099】
そのような顔料分散組成物中における分散剤の含有量としては、顔料分散組成物中の着色剤(黒色顔料及び他の着色剤を含む)の全固形分質量に対して、1質量%〜90質量%が好ましく、3質量%〜70質量%がより好ましい。
【0100】
<重合開始剤>
本発明の重合性組成物に用いる重合開始剤としては、光、熱のいずれか或いはその双方により重合性化合物の重合を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、光で重合を開始させる場合、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するものが好ましい。
また、熱で重合を開始させる場合には、150℃〜250℃で分解する開始剤が好ましい。
【0101】
本発明に用いうる重合開始剤としては、少なくとも芳香族基を有する化合物であることが好ましく、例えば、(ビス)アシルホスフィンオキシド又はそのエステル類、アセトフェノン系化合物、α−アミノケトン化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ケタール誘導体化合物、チオキサントン化合物、オキシムエステル化合物、 ヘキサアリールビイミダゾール化合物、トリハロメチル化合物、アゾ化合物、有機過酸化物、ジアゾニウム化合物、ヨードニウム化合物、スルホニウム化合物、アジニウム化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ケタール誘導体化合物、メタロセン化合物等のオニウム塩化合物、有機硼素塩化合物、ジスルホン化合物などが挙げられる。
感度の観点から、オキシムエステル化合物、アセトフェノン系化合物、α−アミノケトン化合物、トリハロメチル化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、及び、チオール化合物が好ましい。
以下、本発明に好適な重合開始剤の例を挙げるが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0102】
アセトフェノン系化合物としては、具体的には、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−トリル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、及び、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オンなどが挙げられる。なかでも好ましく用いられる2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オンは、商品名「イルガキュア−907(BASF社製)」として、また、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノンは、商品名「イルガキュア−379(BASF社製)」として、入手可能である。
【0103】
トリハロメチル化合物として、より好適には、すくなくとも一つのモノ、ジ、又はトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体、具体的には、例えば、2,4,6−トリス(モノクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2―n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2,4−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンジルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
【0104】
ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公平6−29285号公報、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号等の各明細書に記載の種々の化合物、具体的には、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル))4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイジダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
【0105】
オキシムエステル化合物としては、J.C.S.Perkin II(1979)1653−1660、J.C.S.Perkin II (1979)156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202−232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報、特表2004−534797号公報記載の化合物が挙げられ、市販品としては、BASF社製 IRGACURE OXE 01(1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)])、IRGACURE OXE 02(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム))等が好適なものとして挙げられる。
さらに、特開2007−231000公報、及び、特開2007−322744公報に記載される環状オキシム化合物も好適に用いることができる。
最も好ましい例として、特開2007−269779公報に示される特定置換基を有するオキシム化合物や、特開2009−191061公報に示されるチオアリール基を有するオキシム化合物が挙げられる。
以下、本発明の重合性組成物に好ましく用いられるオキシム系光重合開始剤について、詳細に説明する。
本発明に好適に用いられるオキシム系光重合開始剤としては、上記したBASF社製 IRGACURE OXE 01、およびOXE 02以外に、下記式(1)で表される化合物が好ましい開始剤として挙げられる。なお、下記式(1)で表される化合物は、オキシム部位におけるN−O結合が(E)体のオキシム化合物であっても、(Z)体のオキシム化合物であっても、(E)体と(Z)体との混合物であってもよい。
【0106】
【化40】

【0107】
(式(1)中、R及びBは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。)
前記Rで表される一価の置換基としては、一価の非金属原子団であることが好ましい。前記一価の非金属原子団としては、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環基、アルキルチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基等が挙げられる。また、これらの基は、1以上の置換基を有していてもよい。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
置換基としてはハロゲン原子、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、アルキル基、アリール基等が挙げられる。
【0108】
置換基を有していてもよいアルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクダデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、1−エチルペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−エチルヘキシル基、フェナシル基、1−ナフトイルメチル基、2−ナフトイルメチル基、4−メチルスルファニルフェナシル基、4−フェニルスルファニルフェナシル基、4−ジメチルアミノフェナシル基、4−シアノフェナシル基、4−メチルフェナシル基、2−メチルフェナシル基、3−フルオロフェナシル基、3−トリフルオロメチルフェナシル基、及び、3−ニトロフェナシル基が例示できる。
【0109】
置換基を有していてもよいアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、具体的には、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o−、m−及びp−トリル基、キシリル基、o−、m−及びp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、並びに、オバレニル基が例示できる。
【0110】
置換基を有していてもよいアシル基としては、炭素数2〜20のアシル基が好ましく、具体的には、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、4−メチルスルファニルベンゾイル基、4−フェニルスルファニルベンゾイル基、4−ジメチルアミノベンゾイル基、4−ジエチルアミノベンゾイル基、2−クロロベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、2−メトキシベンゾイル基、2−ブトキシベンゾイル基、3−クロロベンゾイル基、3−トリフルオロメチルベンゾイル基、3−シアノベンゾイル基、3−ニトロベンゾイル基、4−フルオロベンゾイル基、4−シアノベンゾイル基、及び、4−メトキシベンゾイル基が例示できる。
【0111】
置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましく、具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、及び、トリフルオロメチルオキシカルボニル基が例示できる。
【0112】
置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基として具体的には、フェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルオキシカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルオキシカルボニル基、2−クロロフェニルオキシカルボニル基、2−メチルフェニルオキシカルボニル基、2−メトキシフェニルオキシカルボニル基、2−ブトキシフェニルオキシカルボニル基、3−クロロフェニルオキシカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルオキシカルボニル基、3−シアノフェニルオキシカルボニル基、3−ニトロフェニルオキシカルボニル基、4−フルオロフェニルオキシカルボニル基、4−シアノフェニルオキシカルボニル基、及び、4−メトキシフェニルオキシカルボニル基が例示できる。
【0113】
置換基を有していてもよい複素環基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子若しくはリン原子を含む、芳香族又は脂肪族の複素環が好ましい。
具体的には、チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ナフト[2,3−b]チエニル基、チアントレニル基、フリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H−ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、インドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサニリル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基、及び、チオキサントリル基が例示できる。
【0114】
置換基を有していてもよいアルキルチオカルボニル基として具体的には、メチルチオカルボニル基、プロピルチオカルボニル基、ブチルチオカルボニル基、ヘキシルチオカルボニル基、オクチルチオカルボニル基、デシルチオカルボニル基、オクタデシルチオカルボニル基、及び、トリフルオロメチルチオカルボニル基が例示できる。
【0115】
置換基を有していてもよいアリールチオカルボニル基として具体的には、1−ナフチルチオカルボニル基、2−ナフチルチオカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルチオカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルチオカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルチオカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルチオカルボニル基、2−クロロフェニルチオカルボニル基、2−メチルフェニルチオカルボニル基、2−メトキシフェニルチオカルボニル基、2−ブトキシフェニルチオカルボニル基、3−クロロフェニルチオカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルチオカルボニル基、3−シアノフェニルチオカルボニル基、3−ニトロフェニルチオカルボニル基、4−フルオロフェニルチオカルボニル基、4−シアノフェニルチオカルボニル基、及び、4−メトキシフェニルチオカルボニル基が挙げられる。
【0116】
前記Bで表される一価の置換基としては、アリール基、複素環基、アリールカルボニル基、又は、複素環カルボニル基を表す。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
【0117】
なかでも、特に好ましくは以下に示す構造である。
下記の構造中、Y、X、及び、nは、それぞれ、後述する式(2)におけるY、X、及び、nと同義であり、好ましい例も同様である。
【0118】
【化41】

【0119】
前記Aで表される二価の有機基としては、炭素数1〜12のアルキレン基、シクロヘキシレン基、アルキニレン基が挙げられる。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
なかでも、Aとしては、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、無置換のアルキレン基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基)で置換されたアルキレン基、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基)で置換されたアルキレン基、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基、スチリル基)で置換されたアルキレン基が好ましい。
【0120】
前記Arで表されるアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、また、置換基を有していてもよい。置換基としては、先に置換基を有していてもよいアリール基の具体例として挙げた置換アリール基に導入された置換基と同様のものが例示できる。
なかでも、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、置換又は無置換のフェニル基が好ましい。
【0121】
式(1)においては、前記Arと隣接するSとで形成される「SAr」の構造が、以下に示す構造であることが感度の点で好ましい。なお、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。
【0122】
【化42】

【0123】
オキシム化合物は、下記式(2)で表される化合物であることが好ましい。
【0124】
【化43】

【0125】
(式(2)中、R及びXは各々独立に一価の置換基を表し、A及びYは各々独立に二価の有機基を表し、Arはアリール基を表し、nは0〜5の整数である。)
式(2)におけるR、A、及びArは、前記式(1)におけるR、A、及びArと同義であり、好ましい例も同様である。
【0126】
前記Xで表される一価の置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、複素環基、ハロゲン原子が挙げられる。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
【0127】
これらの中でも、Xとしては、溶剤溶解性と長波長領域の吸収効率向上の点から、アルキル基が好ましい。
また、式(2)におけるnは、0〜5の整数を表し、0〜2の整数が好ましい。
【0128】
前記Yで表される二価の有機基としては、以下に示す構造が挙げられる。なお、以下に示される基において、「*」は、前記式(2)において、Yと隣接する炭素原子との結合位置を示す。
【0129】
【化44】

【0130】
なかでも、高感度化の観点から、下記に示す構造が好ましい。
【0131】
【化45】

【0132】
さらにオキシム化合物は、下記式(3)で表される化合物であることが好ましい。
【0133】
【化46】

【0134】
(式(3)中、R及びXは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表し、nは0〜5の整数である。)
式(3)におけるR、X、A、Ar、及び、nは、前記式(2)におけるR、X、A、Ar、及び、nとそれぞれ同義であり、好ましい例も同様である。
【0135】
以下好適に用いられるオキシム化合物の具体例(O−1)〜(O−10)を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0136】
【化47】

【0137】
オキシム化合物は、350nm〜500nmの波長領域に極大吸収波長を有するものであり、360nm〜480nmの波長領域に吸収波長を有するものであることが好ましく、365nm及び455nmの吸光度が高いものが特に好ましい。
【0138】
オキシム化合物は、365nm又は405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、3,000〜300,000であることが好ましく、5.000〜300,000であることがより好ましく、10000〜200,000であることが特に好ましい。
化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いることができるが、具体的には、例えば、紫外可視分光光度計(Varian社製Carry−5 spcetrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
【0139】
光重合開始剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の重合性組成物における光重合開始剤の含有量は、重合性組成物の全固形分に対して0.01質量%〜30質量%が好ましく、0.1質量%〜20質量%がより好ましく、0.1質量%〜15質量%が特に好ましい。
【0140】
<増感剤>
本発明のレジスト形成用重合性組成物は、重合開始剤のラジカル発生効率の向上、感光波長の長波長化の目的で、増感剤を含有してもよい。本発明に用いることができる増感剤としては、前記した光重合開始剤に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものが好ましい。本発明に用いることができる増感剤としては、以下に列挙する化合物類に属しており、且つ300nm〜450nmの波長領域に吸収波長を有するものが挙げられる。
【0141】
好ましい増感剤の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ330nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
例えば、多核芳香族類(例えば、フェナントレン、アントラセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、9,10−ジアルコキシアントラセン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、チオキサントン類(イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、クロロチオキサントン)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、フタロシアニン類、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、アクリジンオレンジ、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)、ケトクマリン、フェノチアジン類、フェナジン類、スチリルベンゼン類、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン類、カルバゾール類、ポルフィリン、スピロ化合物、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、チオキサントン、ミヒラーズケトンなどの芳香族ケトン化合物、N−アリールオキサゾリジノンなどのヘテロ環化合物などが挙げられる。
更に欧州特許第568,993号明細書、米国特許第4,508,811号明細書、同5,227,227号明細書、特開2001−125255号公報、特開平11−271969号公報等に記載の化合物等などが挙げられる。
【0142】
増感剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の重合性組成物における増感剤の含有量は、重合性組成物の全固形分に対して0.1質量%〜5質量%が好ましく、0.5質量%〜2質量%がより好ましい。この範囲であると、より良好な形状のパターンが得られる。
【0143】
<重合性化合物>
本発明の重合性組成物には重合性化合物を含有する。ここで用いられる重合性化合物としては、酸、ラジカル、及び、熱の少なくとも1種により反応する官能基(本明細書では、このような官能基を「重合性基」と称することがある)を分子内に有する化合物であればいずれを用いてもよく、好ましくは、分子内にこれら重合性基を2基以上有する多官能重合性化合物であることが好ましい。
本発明に好適に用いられる、酸、ラジカル、及び、熱の少なくともいずれかに反応する重合性の官能基を有する重合性化合物としては、不飽和エステル官能基、不飽和アミド基、ビニルエーテル基、アリル基等のエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和基含有化合物;スチレン基、エポキシ基、オキセタン基などの環状エーテル基を有する環状エーテル化合物;メチロール化合物、ビスマレイミド化合物、シアネート化合物、ベンゾシクロブテン化合物、ビスアリルナジイミド化合物、及びベンゾオキサジン化合物などが挙げられる。
【0144】
本発明に好ましく用いることができる重合性化合物としては、一般的なラジカル重合性化合物が挙げられ、当該産業分野においてエチレン性不飽和二重結合を有する化合物として広く知られる化合物を特に限定無く用いることができる。
これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。但し、後述のバインダーポリマーとは構造が異なる化合物である。
モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、及び単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。
【0145】
また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
【0146】
不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー、等がある。また、これらの化合物のEO変性体、又は、PO変性体も挙げられる。
【0147】
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等、およびこれらのEO変性体、PO変性体が挙げられる。
【0148】
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
【0149】
その他のエステルの例として、例えば、特公昭51−47334号公報、特開昭57−196231号公報に記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号公報、特開昭59−5241号公報、特開平2−226149号公報に記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報に記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
【0150】
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
【0151】
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(E)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
【0152】
CH=C(R)COOCHCH(R)OH (E)
〔ただし、R及びRは、各々独立に、H又はCHを示す。〕
【0153】
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた重合性組成物を得ることができる。
【0154】
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
【0155】
また、重合性モノマーとして、カプロラクトン構造を有する多官能性単量体を用いることも好ましい。
カプロラクトン構造を有する多官能性単量体としては、その分子内にカプロラクトン構造を有する限り特に限定されるものではないが、例えば、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセロール、トリメチロールメラミン等の多価アルコールと、(メタ)アクリル酸およびε−カプロラクトンをエステル化することにより得られる、ε−カプロラクトン変性多官能(メタ)アクリレートを挙げることができる。なかでも下記式(i)で表されるカプロラクトン構造を有する多官能性単量体が好ましい。
【0156】
【化48】

【0157】
(式(i)中、6個のRは全てが下記式(ii)で表される基であるか、または6個のRのうち1〜5個が下記式(ii)で表される基であり、残余が下記式(iii)で表される基である。)
【0158】
【化49】

【0159】
(式(ii)中、Rは水素原子またはメチル基を示し、mは1または2の数を示し、「*」は結合手であることを示す。)
【0160】
【化50】

【0161】
(式(iii)中、Rは水素原子またはメチル基を示し、「*」は結合手であることを示す。)
【0162】
このようなカプロラクトン構造を有する多官能性単量体は、例えば、日本化薬(株)からKAYARAD DPCAシリーズとして市販されており、DPCA−20(上記式(i)〜(iii)においてm=1、式(ii)で表される基の数=2、Rが全て水素原子である化合物)、DPCA−30(同式、m=1、式(ii)で表される基の数=3、Rが全て水素原子である化合物)、DPCA−60(同式、m=1、式(ii)で表される基の数=6、Rが全て水素原子である化合物)、DPCA−120(同式においてm=2、式(ii)で表される基の数=6、Rが全て水素原子である化合物)等を挙げることができる。
【0163】
本発明において、ラジカル重合性化合物を添加する場合、硬化感度の観点から、2個以上のエチレン性不飽和結合を含有する多官能重合性化合物を用いることが好ましく、3個以上の含有することが更に好ましい。中でも(メタ)アクリル酸エステル構造を2個以上含有することが好ましく、3個以上含有することがより好ましく、4個以上含有することが最も好ましい。
また、硬化感度、および、未露光部の現像性の観点からは、EO変性体を含有する化合物が好ましく、硬化感度、および、露光部強度の観点からは、ウレタン結合を含む化合物も好ましく用いられる。さらに、パターン形成時の現像性の観点からは、酸基を有する化合物が好ましく用いられる。
【0164】
以上の観点より、本発明における重合性化合物としては、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレートEO変性体、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートEO変性体、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートEO変性体などが好ましく挙げられ、また、市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(以上、山陽国策パルプ社製)、DPHA−40H(日本化薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(以上、共栄社製)が好ましい。
【0165】
なかでも、ビスフェノールAジアクリレートEO変性体、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートEO変性体、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートEO変性体などが、市販品としては、DPHA−40H(日本化薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社製)がより好ましい。
また、酸基を有するエチレン性不飽和化合物類も好適であり、市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製のカルボキシル基含有3官能アクリレートであるTO−756、及びカルボキシル基含有5官能アクリレートであるTO−1382などが挙げられる。
重合性化合物の含有量は、本発明の重合性組成物の全固形分に対して、3質量%以上80質量%以下であることが好ましく、5質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。
また、重合性化合物は2種以上を使用することが可能である。
【0166】
<熱架橋剤>
本発明のソルダーレジスト用重合性組成物は、更に、熱架橋剤を含むことが好ましい。前記熱架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記重合性組成物を用いて形成される感光層の硬化後の膜強度を改良するために、現像性等に悪影響を与えない範囲で、例えば、1分子内に少なくとも2つのオキシラン基を有するエポキシ化合物、1分子内に少なくとも2つのオキセタニル基を有するオキセタン化合物を用いることができる。
前記1分子中に少なくとも2つのオキシラン基を有するエポキシ化合物としては、例えば、ビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂(「YX4000;ジャパンエポキシレジン社製」等)又はこれらの混合物、イソシアヌレート骨格等を有する複素環式エポキシ樹脂(「TEPIC;日産化学工業社製」、「アラルダイトPT810;BASFジャパン社製」等)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポトートYDF−170;東都化成株式会社製)、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾ−ルノボラック型エポキシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂(例えば、低臭素化エポキシ樹脂、高ハロゲン化エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂など)、アリル基含有ビスフェノールA型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジフェニルジメタノール型エポキシ樹脂、フェノールビフェニレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(「HP−7200、HP−7200H;DIC株式会社製」等)、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(ジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジグリシジルアニリン、トリグリシジルアミノフェノール等)、グリジジルエステル型エポキシ樹脂(フタル酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステル等)ヒダントイン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ジシクロペンタジエンジエポキシド、「GT−300、GT−400、EHPE3150;ダイセル化学工業製」等、)、
【0167】
イミド型脂環式エポキシ樹脂、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、グリシジルフタレート樹脂、テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂、ナフタレン基含有エポキシ樹脂(ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、4官能ナフタレン型エポキシ樹脂、市販品としては「ESN−190、ESN−360;新日鉄化学社製」、「HP−4032、EXA−4750、EXA−4700;DIC株式会社製」等)、フェノール化合物とジビニルベンゼンやジシクロペンタジエン等のジオレフィン化合物との付加反応によって得られるポリフェノール化合物と、エピクロルヒドリンとの反応物、4−ビニルシクロヘキセン−1−オキサイドの開環重合物を過酢酸等でエポキシ化したもの、線状含リン構造を有するエポキシ樹脂、環状含リン構造を有するエポキシ樹脂、α―メチルスチルベン型液晶エポキシ樹脂、ジベンゾイルオキシベンゼン型液晶エポキシ樹脂、アゾフェニル型液晶エポキシ樹脂、アゾメチンフェニル型液晶エポキシ樹脂、ビナフチル型液晶エポキシ樹脂、アジン型エポキシ樹脂、グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂(「CP−50S、CP−50M;日油株式会社製」等)、シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートとの共重合エポキシ樹脂、ビス(グリシジルオキシフェニル)フルオレン型エポキシ樹脂、ビス(グリシジルオキシフェニル)アダマンタン型エポキシ樹脂などが挙げられるが、これらに限られるものではない。これらのエポキシ樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0168】
また、1分子中に少なくとも2つのオキシラン基を有する前記エポキシ化合物以外に、β位にアルキル基を有するエポキシ基を少なくとも1分子中に2つ含むエポキシ化合物を用いることができ、β位がアルキル基で置換されたエポキシ基(より具体的には、β−アルキル置換グリシジル基など)を含む化合物が特に好ましい。
β位にアルキル基を有するエポキシ基を少なくとも含むエポキシ化合物は、1分子中に含まれる2個以上のエポキシ基のすべてがβ−アルキル置換グリシジル基であってもよく、少なくとも1個のエポキシ基がβ−アルキル置換グリシジル基であってもよい。
【0169】
β位にアルキル基を有するエポキシ基を含むエポキシ化合物は、室温における保存安定性の観点から、前記重合性組成物中に含まれる前記エポキシ化合物全量中における、全エポキシ基中のβ−アルキル置換グリシジル基の割合が、30%以上であるのが好ましく、40%以上であるのがより好ましく、50%以上であるのが特に好ましい。
β−アルキル置換グリシジル基としては、特に制限は無く、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、β−メチルグリシジル基、β−エチルグリシジル基、β−プロピルグリシジル基、β−ブチルグリシジル基、などが挙げられ、これらの中でも、前記重合性組成物の保存安定性を向上させる観点、及び合成の容易性の観点から、β−メチルグリシジル基が好ましい。
【0170】
β位にアルキル基を有するエポキシ基を含むエポキシ化合物としては、例えば、多価フェノール化合物とβ−アルキルエピハロヒドリンとから誘導されたエポキシ化合物が好ましい。
また、β−アルキルエピハロヒドリンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、β−メチルエピクロロヒドリン、β−メチルエピブロモヒドリン、β−メチルエピフロロヒドリン等のβ−メチルエピハロヒドリン;β−エチルエピクロロヒドリン、β−エチルエピブロモヒドリン、β−エチルエピフロロヒドリン等のβ−エチルエピハロヒドリン;β−プロピルエピクロロヒドリン、β−プロピルエピブロモヒドリン、β−プロピルエピフロロヒドリン等のβ−プロピルエピハロヒドリン;β−ブチルエピクロロヒドリン、β−ブチルエピブロモヒドリン、β−ブチルエピフロロヒドリン等のβ−ブチルエピハロヒドリン;などが挙げられる。これらの中でも、前記多価フェノールとの反応性及び流動性の観点から、β−メチルエピハロヒドリンが好ましい。
【0171】
多価フェノール化合物としては、1分子中に2以上の芳香族性水酸基を含有する化合物であれば、特に制限は無く、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール化合物、ビフェノール、テトラメチルビフェノール等のビフェノール化合物、ジヒドロキシナフタレン、ビナフトール等のナフトール化合物、フェノール−ホルムアルデヒド重縮合物等のフェノールノボラック樹脂、クレゾール−ホルムアルデヒド重縮合物等の炭素数1〜10のモノアルキル置換フェノール−ホルムアルデヒド重縮合物、キシレノール−ホルムアルデヒド重縮合物等の炭素数1〜10のジアルキル置換フェノール−ホルムアルデヒド重縮合物、ビスフェノールA−ホルムアルデヒド重縮合物等のビスフェノール化合物−ホルムアルデヒド重縮合物、フェノールと炭素数1〜10のモノアルキル置換フェノールとホルムアルデヒドとの共重縮合物、フェノール化合物とジビニルベンゼンの重付加物などが挙げられる。これらの中でも、例えば、流動性及び保存安定性を向上させる目的で選択する場合には、前記ビスフェノール化合物が好ましい。
【0172】
β位にアルキル基を有するエポキシ基を含むエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAのジ−β−アルキルグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジ−β−アルキルグリシジルエーテル、ビスフェノールSのジ−β−アルキルグリシジルエーテル等のビスフェノール化合物のジ−β−アルキルグリシジルエーテル;ビフェノールのジ−β−アルキルグリシジルエーテル、テトラメチルビフェノールのジ−β−アルキルグリシジルエーテル等のビフェノール化合物のジ−β−アルキルグリシジルエーテル;ジヒドロキシナフタレンのジ−β−アルキルグリシジルエーテル、ビナフトールのジ−β−アルキルグリシジルエーテル等のナフトール化合物のβ−アルキルグリシジルエーテル;フェノール−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル;クレゾール−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル等の炭素数1〜10のモノアルキル置換フェノール−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル;キシレノール−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル等の炭素数1〜10のジアルキル置換フェノール−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル;ビスフェノールA−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル等のビスフェノール化合物−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル;フェノール化合物とジビニルベンゼンの重付加物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル;などが挙げられる。
【0173】
これらの中でも、下記一般式(D−1)で表されるビスフェノール化合物、及びこれとエピクロロヒドリンなどから得られる重合体から誘導されるβ−アルキルグリシジルエーテル、及び下記一般式(D−2)で表されるフェノール化合物−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテルが好ましい。
【0174】
【化51】

【0175】
前記一般式(D−1)中、RD1は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、nは0〜20の整数を表す。
前記一般式(D−2)中、RD1は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、RD2は水素原子、又はCHを表し、nは0〜20の整数を表す。
上記一般式(D−1)及び一般式(D−2)中に、複数存在するRD1及びRD2は、互いに同じであっても異なっていてもよい。
これらβ位にアルキル基を有するエポキシ基を含むエポキシ化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また1分子中に少なくとも2つのオキシラン環を有するエポキシ化合物、及びβ位にアルキル基を有するエポキシ基を含むエポキシ化合物を併用することも可能である。
【0176】
前記エポキシ化合物の骨格としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式基含有型エポキシ樹脂、及び難溶性エポキシ樹脂から選択される少なくとも1種が好ましい。
【0177】
前記オキセタン化合物としては、例えば、ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート又はこれらのオリゴマーあるいは共重合体等の多官能オキセタン類の他、オキセタン基を有する化合物と、ノボラック樹脂、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、シルセスキオキサン等の水酸基を有する樹脂など、とのエーテル化合物が挙げられ、この他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体なども挙げられる。
【0178】
また、前記エポキシ化合物や前記オキセタン化合物の熱硬化を促進するため、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩(例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、グアナミン化合物(例えば、メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等)、S−トリアジン誘導体(例えば、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)などを用いることができる。
これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なお、前記エポキシ樹脂化合物や前記オキセタン化合物の硬化触媒、あるいは、これらとカルボキシル基の反応を促進することができるものであれば、特に制限はなく、上記以外の熱硬化を促進可能な化合物を用いてもよい。
前記エポキシ化合物、前記オキセタン化合物、及びこれらとカルボン酸との熱硬化を促進可能な化合物の前記重合性組成物の固形分中の含有量は、通常0.01〜15質量%である。
【0179】
また、前記熱架橋剤としては、特開平5−9407号公報記載のポリイソシアネート化合物を用いることができ、該ポリイソシアネート化合物は、少なくとも2つのイソシアネート基を含む脂肪族、環式脂肪族又は芳香族基置換脂肪族化合物から誘導されていてもよい。具体的には、2官能イソシアネート(例えば、1,3−フェニレンジイソシアネートと1,4−フェニレンジイソシアネートとの混合物、2,4−及び2,6−トルエンジイソシアネート、1,3−及び1,4−キシリレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアネート−フェニル)メタン、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン、イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等)、トリメチロールプロパン、ペンタリスルトール、グリセリン等の多官能アルコール、及び該多官能アルコールのアルキレンオキサイド付加体と、前記2官能イソシアネートとの付加体;ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート及びその誘導体等の環式三量体;などが挙げられる。なお、前記ポリイソシアネート化合物の市販品としては、例えば、BL317(住友バイエルウレタン社製)などが挙げられる。
【0180】
本発明の重合性組成物に用いる熱架橋剤の別の例として、前記ポリイソシアネート及びその誘導体のイソシアネート基にブロック剤を反応させて得られる化合物が挙げられる。
前記イソシアネート基ブロック剤としては、アルコール類(例えば、イソプロパノール、tert−ブタノール等)、ラクタム類(例えば、ε−カプロラクタム等)、フェノール類(例えば、フェノール、クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−sec−ブチルフェノール、p−sec−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール等)、複素環式ヒドロキシル化合物(例えば、3−ヒドロキシピリジン、8−ヒドロキシキノリン等)、活性メチレン化合物(例えば、ジアルキルマロネート、メチルエチルケトキシム、アセチルアセトン、アルキルアセトアセテートオキシム、アセトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等)などが挙げられる。これらの他、特開平6−295060号公報記載の分子内に少なくとも1つの重合可能な二重結合及び少なくとも1つのブロックイソシアネート基のいずれかを有する化合物などを用いることができる。
【0181】
また、前記熱架橋剤として、メラミン誘導体を用いることができる。該メラミン誘導体としては、例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン(メチロール基を、メチル、エチル、ブチルなどでエーテル化した化合物)などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、保存安定性が良好で、感光層の表面硬度あるいは硬化膜の膜強度自体の向上に有効である点で、アルキル化メチロールメラミンが好ましく、ヘキサメチル化メチロールメラミンが特に好ましい。
【0182】
前記熱架橋剤のソルダーレジスト用重合性組成物固形分中の含有量は、1〜50質量%が好ましく、3〜30質量%がより好ましい。該含有量を1質量%以上50質量%以下とすることで、硬化膜の膜強度の向上効果が得られ、現像性の低下や露光感度の低下等の影響が抑制される。
【0183】
<バインダーポリマー>
本発明の重合性組成物には、皮膜特性向上などの目的で、必要に応じて、更にバインダーポリマーを使用することができる。バインダーポリマーとしては線状有機ポリマーを用いることが好ましい。
【0184】
上記の線状有機ポリマーとしては、側鎖にカルボン酸を有するポリマーが好ましい。例えば特開昭59-44615号、特公昭54-34327号、特公昭58-12577号、特公昭54-25957号、特開昭59-53836号、特開昭59-71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等、並びに側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等が挙げられる。
【0185】
これらの中では特に、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体やベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーからなる多元共重合体が好適である。
このほか、2-ヒドロキシエチルメタクリレートを共重合したもの等も有用なものとして挙げられる。該ポリマーは任意の量で混合して用いることができる。
【0186】
バインダーポリマーの具体的な構成単位については、特に(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他の単量体との共重合体が好適である。ここで(メタ)アクリル酸はアクリル酸とメタクリル酸を合わせた総称であり、以下も同様に(メタ)アクリレートはアクリレートとメタクリレートの総称である。
【0187】
前記(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体としては、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物などが挙げられる。ここで、アルキル基及びアリール基の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。
前記アルキル(メタ)アクリレート及びアリール(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0188】
また、前記ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N-ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、CH=CR、CH=C(R)(COOR)〔ここで、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、Rは炭素数6〜10の芳香族炭化水素環を表し、Rは炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜12のアラルキル基を表す。〕、等を挙げることができる。
【0189】
これら共重合可能な他の単量体は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。好ましい共重合可能な他の単量体は、CH=CR、CH=C(R)(COOR)、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート及びスチレンから選択される少なくとも1種であり、特に好ましくは、CH=CR及び/又はCH=C(R)(COOR)である。
【0190】
バインダーポリマーのなかでも、側鎖に二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂を含有することで、特に露光部の硬化性と未露光部のアルカリ現像性の双方を向上させることができる。
本発明に使用しうる側鎖に二重結合を有するアルカリ可溶性バインダーポリマーは、その構造において、非画像部除去性などの諸性能を向上させるために、樹脂がアルカリ可溶となるための酸基と、少なくとも1つの不飽和二重結合を有する。このような部分構造を有するバインダー樹脂は、特開2003−262958号公報に詳細に記載され、ここに記載の化合物を本発明にも使用することができる。
これら重合性基を含有するバインダーポリマーの例を以下に示すが、分子内にCOOH基、OH基等のアルカリ可溶性基と炭素−炭素間不飽和結合とが含まれていれば、下記に限定されない。
(1)予めイソシアネート基とOH基を反応させ、未反応のイソシアネート基を1つ残し、かつ(メタ)アクリロイル基を少なくとも1つ含む化合物とカルボキシル基を含むアクリル樹脂との反応によって得られるウレタン変性した重合性二重結合含有アクリル樹脂。
(2)カルボキシル基を含むアクリル樹脂と分子内にエポキシ基及び重合性二重結合を共に有する化合物との反応によって得られる不飽和基含有アクリル樹脂。
(3)OH基を含むアクリル樹脂と重合性二重結合を有する2塩基酸無水物を反応させた重合性二重結合含有アクリル樹脂。
上記のうち、特に(1)及び(2)の樹脂が好ましい。
【0191】
本発明に用いうる側鎖に二重結合を有するバインダーポリマーの好ましい例として、側鎖にエチレン性不飽和二重結合を少なくとも1つ有する化合物、エポキシアクリレート化合物など、側鎖に重合性基を少なくとも1つ有するバインダーポリマー(以下、適宜、特定バインダー樹脂Aと称する。)が好ましく挙げられ、なかでも、側鎖にエチレン性不飽和二重結合を少なくとも1つ有する化合物がより好ましい。
【0192】
また、前記側鎖にエチレン性不飽和二重結合を少なくとも1つ有する化合物としては、更に、側鎖に酸性基を少なくとも1つ有することが好ましい。
酸性基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基等が挙げられるが、原料入手の点からカルボキシル基が好ましい。
【0193】
前記特定バインダー樹脂Aとしては、例えば、(メタ)アクリレート基又は(メタ)アクリルアミド基等の(メタ)アクリル基、カルボン酸のビニルエステル、ビニルエーテル、アリルエーテル等の各種重合性二重結合を用いることができ、具体的には、酸性基としてカルボキシル基を含有するアクリル樹脂に、環状エーテル基含有重合性化合物、例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、桂皮酸等の不飽和脂肪酸のグリシジルエステルや、脂環式エポキシ基(例えば同一分子中にシクロヘキセンオキシド等のエポキシ基)と(メタ)アクリロイル基を有する化合物等のエポキシ基含有の重合性化合物を付加させて得られる化合物等が挙げられる。また、酸性基及び水酸基を含有するアクリル樹脂に、イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基含有の重合性化合物を付加させて得られる化合物、無水物基を含有するアクリル樹脂に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を含有する重合性化合物を付加させて得られる化合物等も挙げられる。また、グリシジルメタクリレート等の環状エーテル基含有重合性化合物と(メタ)アクリロイルアルキルエステル等のビニルモノマーを共重合し、側鎖のエポキシ基に(メタ)アクリル酸を付加させて得られる化合物等も挙げられる。
これらの例は、特許第2763775号公報、特開平3−172301号公報、及び、特開2000−232264号公報等に記載される化合物が挙げられる。
【0194】
これらの中で、特定バインダー樹脂Aが、高分子化合物の酸性基の一部に環状エーテル基(例えばエポキシ基、オキセタン基を部分構造に有する基)含有重合性化合物を付加させたもの、及び高分子化合物の環状エーテル基の一部又は全部にカルボキシル基含有重合性化合物を付加させたもののいずれかから選択された高分子化合物であることが、更に好ましい。この際、酸性基と環状エーテル基を有する化合物との付加反応は触媒存在下で実施するのが好ましく、特に、その触媒が酸性化合物及び中性化合物から選択されるものであることが好ましい。
その中でも、重合性組成物の経時での現像安定性の点から、特定バインダー樹脂Aは、側鎖にカルボキシル基を含み、且つ、側鎖に、ヘテロ環を含んでもよい芳香族基及びエチレン性不飽和結合を含む高分子化合物が好ましい。
【0195】
前記ヘテロ環を含んでもよい芳香族基(以下、単に「芳香族基」と称することもある。)としては、例えば、ベンゼン環、2個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したもの等が挙げられる。
前記芳香族基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、ベンゾピロール環基、ベンゾフラン環基、ベンゾチオフェン環基、ピラゾール環基、イソキサゾール環基、イソチアゾール環基、インダゾール環基、ベンゾイソキサゾール環基、ベンゾイソチアゾール環基、イミダゾール環基、オキサゾール環基、チアゾール環基、ベンズイミダゾール環基、ベンズオキサゾール環基、ベンゾチアゾール環基、ピリジン環基、キノリン環基、イソキノリン環基、ピリダジン環基、ピリミジン環基、ピラジン環基、フタラジン環基、キナゾリン環基、キノキサリン環基、アシリジン環基、フェナントリジン環基、カルバゾール環基、プリン環基、ピラン環基、ピペリジン環基、ピペラジン環基、インドール環基、インドリジン環基、クロメン環基、シンノリン環基、アクリジン環基、フェノチアジン環基、テトラゾール環基、トリアジン環基等が挙げられる。これらの中では、炭化水素芳香族基が好ましく、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
【0196】
前記芳香族基は、置換基を有していてもよく、前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアミノ基、アルコキシカルボニル基、水酸基、エーテル基、チオール基、チオエーテル基、シリル基、ニトロ基、シアノ基、それぞれ置換基を有してもよい、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、等が挙げられる。
【0197】
前記特定バインダー樹脂Aにおける、1分子中の側鎖にエチレン性不飽和二重結合の含有量は、特に制限はないが、0.5meq/g〜3.0meq/gが好ましく、1.0meq/g〜3.0meq/gがより好ましく、1.5meq/g〜2.8meq/gが特に好ましい。前記含有量が0.5meq/g以上であると、硬化反応量が十分となって、感度向上効果が得られ、3.0meq/g以下であることにより、良好な保存安定性が維持される。
ここで、前記含有量(meq/g)は、例えば、ヨウ素価滴定により測定することができる。
【0198】
特定バインダー樹脂Aにおけるカルボキシル基は、酸基を有するラジカル重合性化合物を共重合させることにより、導入することができる。
このようなラジカル重合性化合物が有する酸基としては、例えば、カルボン酸、スルホン酸、リン酸基等が挙げられ、既述のように、カルボン酸が特に好ましい。
カルボキシル基を有するラジカル重合性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、インクロトン酸、マレイン酸、p−カルボキシルスチレン等が挙げられ、これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸、p−カルボキシルスチレンが好ましい。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0199】
特定バインダー樹脂Aにおけるカルボキシル基の含有量は、1.0meq/g〜4.0meq/gが好ましく、1.5meq/g〜3.0meq/gがより好ましい。カルボキシル基の含有量が、1.0meq/g以上となることで十分な現像性が得られ、4.0meq/g以下であるとアルカリ水現像による画像損傷が抑制され、現像性と画像強度の維持が両立される。
【0200】
本発明においてバインダーポリマーとして用いられる別の好ましい例としては、ポリイミド系樹脂(以下、適宜、特定バインダー樹脂Bと称する。)が挙げられる。ポリイミド系樹脂としては、ポリイミド樹脂、ケイ素含有ポリイミド樹脂、ポリイミドシロキサン樹脂、ポリマレイミド樹脂等が挙げられる。
本発明で使用されるポリイミド樹脂は、例えば、前駆体としてのポリアミック酸を加熱閉環イミド化することによって形成される。
ポリイミド系樹脂の合成に用いられるポリアミック酸は、通常、下記一般式(IV)で表される構造単位を主成分とする。
【0201】
【化52】

【0202】
前記一般式(IV)中、nは0〜4の整数を表す。Rは酸成分残基であり、少なくとも2個の炭素原子を含む3価または4価の有機基を表す。
耐熱性の面から、Rは環状炭化水素、芳香族環または芳香族複素環を含有し、かつ炭素数6から30の3価または4価の基が好ましい。
で表される有機基の例としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフタレン基、ペリレン基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルスルフォン基、ジフェニルプロパン基、ベンゾフェノン基、ビフェニルトリフルオロプロパン基、シクロブチル基、シクロペンチル基などから誘導された基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なかでも、Rとしては、フェニル基、シクロブチル基が好ましい。
は少なくとも2個の炭素原子を有する2価の有機基を示す。耐熱性の面から、Rは環状炭化水素、芳香族環または芳香族複素環を含有し、かつ炭素数6から30の2価の基が好ましい。
で表される二価の有機基の例としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフタレン基、ペリレン基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルスルフォン基、ジフェニルプロパン基、ベンゾフェノン基、ビフェニルトリフルオロプロパン基、ジフェニルメタン基、シクロヘキシルメタン基などから誘導された2価の基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なかでも、Rとしては、ジフェニルエーテル基、ジフェニルスルフォン基、ジフェニルプロパン基、ジフェニルメタン基が好ましい。
上記一般式(IV)で表される構造単位を主成分とするポリマーは、一般式(IV)で表される構造単位を1種のみ含む単独重合体であってもよく、互いに異なる2種以上の一般式(IV)で表される構造単位を含む共重合体であってもよい。
また、一般式(IV)で表される構造単位以外の構造単位を共重合成分として含んでいてもよい。
【0203】
本発明においてバインダーポリマーとして用いられる別の好ましい例としては、側鎖に重合性基を有するウレタン樹脂(以下、適宜、特定バインダー樹脂Cと称する。)が挙げられる。
本発明に用いられる特定バインダー樹脂Cは、その側鎖に、下記一般式(C−1)〜(C−3)で表される官能基のうち少なくとも1つを有するものが挙げられる。まず、下記一般式(C−1)〜(C−3)で表される官能基について説明する。
【0204】
【化53】

【0205】
上記一般式(C−1)において、Rl〜R3はそれぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表すが、R1としては、好ましくは、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、メチル基が、ラジカル反応性が高いことから好ましい。また、R2、R3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が、ラジカル反応性が高いことから好ましい。
【0206】
Xは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R12)−を表し、R12は、水素原子、又は1価の有機基を表す。ここで、R12は、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
【0207】
ここで、導入し得る置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられる。
【0208】
【化54】

【0209】
上記一般式(C−2)において、R4〜R8は、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表すが、R4〜R8は、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
【0210】
導入し得る置換基としては、一般式(C−1)と同様のものが例示される。また、Yは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R12)−を表す。R12は、一般式(C−1)のR12の場合と同義であり、好ましい例も同様である。
【0211】
【化55】

【0212】
上記一般式(C−3)において、R9としては、好ましくは、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、メチル基が、ラジカル反応性が高いことから好ましい。R10、R11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が、ラジカル反応性が高いことから好ましい。
【0213】
ここで、導入し得る置換基としては、一般式(C−1)と同様のものが例示される。また、Zは、酸素原子、硫黄原子、−N(R13)−、又は置換基を有してもよいフェニレン基を表す。R13としては、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、メチル基、エチル基、イソプロピル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
【0214】
次に、本発明に係る特定バインダー樹脂Cの基本骨格について説明する。
本発明に係る特定バインダー樹脂Cは、下記一般式(C−4)で表されるジイソシアネート化合物の少なくとも1種と、一般式(C−5)で表されるジオール化合物の少なくとも1種と、の反応生成物で表される構造単位を基本骨格とするポリウレタン樹脂である。
【0215】
OCN−X0−NCO (C−4)
HO−Y0−OH (C−5)
【0216】
一般式(C−4)及び(C−5)中、X0、Y0は、それぞれ独立に2価の有機残基を表す。
【0217】
上記一般式(C−4)で表されるジイソシアネート化合物、又は、一般式(C−5)で表されるジオール化合物の少なくともどちらか一方が、一般式(C−1)〜(C−3)で表される基のうち少なくとも1つを有していれば、当該ジイソシアネート化合物と当該ジオール化合物との反応生成物として、側鎖に上記一般式(C−1)〜(C−3)で表される基が導入された特定ポリウレタン樹脂が生成される。かかる方法によれば、ポリウレタン樹脂の反応生成後に所望の側鎖を置換、導入するよりも、容易に本発明に係る特定ポリウレタン樹脂を製造することができる。
【0218】
1)ジイソシアネート化合物
上記一般式(C−4)で表されるジイソシアネート化合物としては、例えば、トリイソシアネート化合物と、不飽和基を有する単官能のアルコール又は単官能のアミン化合物1当量とを付加反応させて得られる生成物がある。
ジイソシアネート化合物を得るための上記化合物の具体例については、特開2006−63550号公報の段落番号〔0034〕〜〔0040〕に記載され、該化合物を用いることができる。また、ジイソシアネート化合物として側鎖に重合性基を有する、同公報段落番号〔0042〕〜〔0049〕に記載の化合物を用いることも好ましい。
【0219】
2)ジオール化合物
上記一般式(C−5)で表されるジオール化合物としては、広くは、ポリエーテルジオール化合物、ポリエステルジオール化合物、ポリカーボネートジオール化合物等が挙げられる。
【0220】
ここで、ポリウレタン樹脂の側鎖に不飽和基を導入して特定バインダー樹脂Cを得る方法としては、前述の方法の他に、ポリウレタン樹脂製造の原料として、側鎖に不飽和基を含有するジオール化合物を用いる方法も好適である。そのようなジオール化合物は、例えば、トリメチロールプロパンモノアリルエーテルのように市販されているものでもよいし、ハロゲン化ジオール化合物、トリオール化合物、アミノジオール化合物と、不飽和基を含有するカルボン酸、酸塩化物、イソシアネート、アルコール、アミン、チオール、ハロゲン化アルキル化合物との反応により容易に製造される化合物であってもよい。これら化合物の具体的な例としては、例えば同公報段落番号〔0057〕〜〔0066〕に記載の化合物が挙げられ、本発明においても好適に使用しうる。
【0221】
更に、特定バインダー樹脂Cの合成には、上記ジオール化合物の他に、カルボキシル基を有するジオール化合物を併用することもできる。
このようなジオール化合物としては、例えば、同公報に式(17)〜(19)として記載されるものが含まれ、具体的には、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、酒石酸、N,N−ジヒドロキシエチルグリシン、N,N―ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−カルボキシ−プロピオンアミド等が挙げられる。
【0222】
このようなカルボキシル基の存在により、特定バインダー樹脂Cに水素結合性とアルカリ可溶性といった特性を付与できるため好ましい。
前記側鎖にエチレン性不飽和結合基を有するポリウレタン樹脂が、さらに側鎖にカルボキシル基を有する樹脂でることが好ましく、より具体的には、側鎖にエチレン性不飽和結合基を、当量で言えば、0.3meq/g以上、さらには0.35〜1.50meq/g含有し、且つ、側鎖にカルボキシル基を0.4meq/g以上、より好ましくは0.45〜1.00meq/g含有するポリウレタン樹脂が、本発明のバインダーポリマーとして特に好ましい。
【0223】
本発明の重合性組成物に使用しうるバインダーポリマーの重量平均分子量としては、好ましくは3、000以上であり、更に好ましくは5,000〜30万の範囲であり、最も好ましくは1万〜3万、数平均分子量については好ましくは1、000以上であり、更に好ましくは2、000〜25万の範囲である。多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1以上が好ましく、更に好ましくは1.1〜10の範囲である。
これらのバインダーポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等いずれでもよい。
【0224】
本発明で用いうるバインダーポリマーは、従来公知の方法により合成できる。合成する際に用いられる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ブチル等が挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上混合して用いられる。
重合性組成物において用いうるバインダーポリマーが、ビニル結合を有するモノマーにより合成される場合に使用されるラジカル重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤等公知の化合物が挙げられる。
【0225】
また、本発明に使用されるバインダーポリマーとしては、欧州特許993966、欧州特許1204000、特開2001−318463等に記載の酸基を有するアセタール変性ポリビニルアルコール系バインダーポリマーは、膜強度、現像性のバランスに優れており、好適である。更にこの他に水溶性線状有機ポリマーとして、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
【0226】
さらに、酸性基とエチレン性不飽和結合とを側鎖に有し、かつ、ビスフェノールA型骨格、及びビスフェノールF型骨格を有する高分子化合物や、酸性基とエチレン性不飽和結合とを有するノボラック樹脂や、レゾール樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、特開平11−240930号公報段落番号〔0008〕〜〔0027〕に記載される手法により得ることができる。
【0227】
なお、本発明の重合性組成物全固形分中のバインダー樹脂A〜樹脂Cの合計含有量は、5質量%〜80質量%が好ましく、10質量%〜70質量%がより好ましい。
含有量が上記範囲であると、露光感度が良好で、加工時間が短時間で済み、且つ、良好なTCT耐性が得られる。
【0228】
本発明におけるバインダーポリマーは、ソルダーレジスト用重合性組成物を塗布する場合の被膜形成性の向上のみならず、バインダー樹脂の種類を選択することにより、形成されるソルダーレジストの膜の強靱性や絶縁信頼性を向上させることができる。例えば、バインダーポリマーとして、エポキシアクリレート含有樹脂、ポリアミド(イミド)含有樹脂、ポリイミド前駆体、ベンジル(メタ)アクリレートモノマーと(メタ)アクリル酸モノマーとを含んで形成される共重合体、アリル(メタ)アクリレートモノマーと(メタ)アクリル酸とを含んで形成される共重合体などを選択することで、露光による硬化膜の強度が改良され、ソルダーレジスト用重合性組成物を、露光、現像して得られるソルダーレジストの強靱性、絶縁信頼性が改良される。
【0229】
<フィラー>
本発明の重合性組成物には、さらにフィラーを含んでもよい。本発明に用い得るフィラーとしては、シランカップリング剤で表面処理された球状のシリカが挙げられる。シランカップリング剤で表面処理された球状のシリカを用いることにより、重合性組成物のサーマルサイクルテスト耐性、保存安定性が向上し、例えば、サーマルサイクルテストの如き厳しい雰囲気を経た後も、パターン形成直後と同様な良好な形状を維持することが可能となる。
【0230】
なお、球状フィラーにおける「球状」とは、粒子形状が、針状、柱状、不定形ではなく、丸みを帯びていればよく、必ずしも「真球状」である必要はないが、代表的な「球状」の携帯としては「真球状」が挙げられる。
前記フィラーが球状であることは、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより、確認することができる。
【0231】
前記フィラーの一次粒子の体積平均粒径には、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05μm〜3μmが好ましく、0.1μm〜1μmがより好ましい。前記フィラーの一次粒子の体積平均粒径が上記範囲において、チクソトロピー性の発現による加工性の低下が抑制され、且つ、最大粒子径が大きくなることもないために、得られる硬化膜における異物の付着や塗膜の不均一に起因する欠陥の発生が抑制されることから有利である。
前記フィラーの一次粒子の体積平均粒径は、動的光散乱法粒子径分布測定装置により測定することができる。
前記フィラーは前述の無機顔料の分散剤、バインダーを用いることにより分散することができる。硬化性の観点から、側鎖に二重結合を有するアルカリ可溶性バインダーポリマーが特に好ましい。
【0232】
−表面処理−
次に、フィラーの表面処理について説明する。フィラーの表面処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、シランカップリング剤によりシリカを被覆する処理が好ましい。
【0233】
−シランカップリング剤−
フィラーの表面処理に用いられるシランカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アルコキシシリル基、クロロシリル基、及びアセトキシシリル基から選択される少なくとも1種の官能基(以下、「「第1官能基」とも称する。」と、(メタ)アクリロイル基、アミノ基及びエポキシ基から選択される少なくとも1種の官能基(以下、「第2官能基」とも称する。)が好ましく、第2官能基が(メタ)アクリロイル基、又はアミノ基がより好ましく、第2官能基としては(メタ)アクリロイル基がより好ましい。前記第2官能基が(メタ)アクリロイル基であると、保存安定性やTCT耐性点で、有利である。
【0234】
また、特公平7−68256号公報に記載される、第1官能基として、アルコキシシリル基、クロロシリル基、及びアセトキシシリル基から選択される少なくとも1種と、第2官能基として、イミダゾール基、アルキルイミダゾール基、及びビニルイミダゾール基から選択される少なくとも1種とを有するものも同様に好ましく用いることができる。
【0235】
前記シランカップリング剤としては、特に制限はないが、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、特公平7−68256号公報に記載されるα−[[3−(トリメトキシシリル)プロポキシ]メチル]−イミダゾール−1−エタノール、2−エチル−4−メチル−α−[[3−(トリメトキシシリル)プロポキシ]メチル]−イミダゾール−1−エタノール、4−ビニル−α−[[3−(トリメトキシシリル)プロポキシ]メチル]−イミダゾール−1−エタノール、2−エチル−4−メチルイミダゾプロピルトリメトキシシラン、及びこれらの塩、分子内縮合物、分子間縮合物等が好適に挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0236】
前記シランカップリング剤による球状のシリカの表面処理は、該球状のシリカのみに対して予め行なってもよいし(この場合を以下「前処理」とも称す。)、重合性組成物に含まれる他のフィラーの一部又は全部と合わせて行ってもよい。
前処理を行う方法としては、特に制限はなく、例えば、乾式法、水溶液法、有機溶媒法、スプレー法等の方法が挙げられる。前処理を行なう温度は、特に制限はないが、常温〜200℃が好ましい。
前処理を行なう際には触媒を加えることも好ましい。この触媒としては、特に制限はなく、例えば、酸、塩基、金属化合物、有機金属化合物等が挙げられる。
【0237】
前処理を行なう場合のシランカップリング剤の添加量は、特に制限はないが、球状のシリカ100質量部に対し、0.01質量部〜50質量部の範囲が好ましく、0.05質量部〜50質量部の範囲がより好ましい。前記添加量が上記範囲において、効果を発現するに十分な表面処理が行われ、且つ、処理後の球状のシリカの凝集に起因する取り扱い性の低下が抑制される。
【0238】
前記シランカップリング剤は、前記第1官能基が、基材表面、球状のシリカ表面、及びバインダーの活性基と反応し、更に前記第2官能基が、バインダーのカルボキシル基及びエチレン性不飽和基と反応するために、基材と感光層との密着性を向上させる作用がある。一方、前記シランカップリング剤は反応性が高いため、そのものを重合性組成物中に添加した場合には、拡散作用により、保存中に主に第2官能基が反応乃至失活してしまい、シェルフライフやポットライフが短くなることがある。
【0239】
しかし、上述したように前記球状のシリカをシランカップリング剤で前処理したものを用いれば、拡散作用が抑制されることにより、シェルフライフやポットライフの問題が大幅に改善され、一液型とすることも可能になる。更に、球状のシリカに対して前処理を施す場合には、攪拌条件、温度条件、及び触媒の使用といった条件が自由に選べるため、前処理を行わずに添加する場合に比べてシランカップリング剤の第1官能基と球状のシリカ中の活性基との反応率を著しく高めることができる。したがって、特に無電解金メッキ、無電解半田メッキ、耐湿負荷試験といった苛酷な要求特性において非常に良好な結果が得られる。また、前記前処理を行うことでシランカップリング剤の使用量を少なくすることができ、シェルフライフ及びポットライフを更に改善できる。
本発明で用いることができるシランカップリング剤で表面処理された球状のシリカとしては、例えば、電気化学工業:FB、SFPシリーズ、龍森:1−FX、東亜合成:HSPシリーズ、扶桑化学工業:SPシリーズなどが挙げられる。
【0240】
フィラーの重合性組成物全固形分中の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜60質量%が好ましい。含有量が上記範囲内であると、十分な線膨張係数の低下が達成され、且つ、形成された硬化膜の脆化が抑制され、永久パターンを用いて配線を形成した場合の配線の保護膜としての機能が十分に発現される。
【0241】
<熱硬化促進剤>
本発明のソルダーレジスト用重合性組成物には、熱架橋剤として用いられる前記エポキシ化合物や前記オキセタン化合物の熱硬化を促進するため、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩(例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、グアナミン化合物(例えば、メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等)、S−トリアジン誘導体(例えば、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なお、前記エポキシ樹脂化合物や前記オキセタン化合物の硬化触媒、あるいは、これらとカルボキシル基の反応を促進することができるものであれば、特に制限はなく、上記以外の熱硬化を促進可能な化合物を用いてもよい。
前記エポキシ化合物、前記オキセタン化合物、及びこれらとカルボン酸との熱硬化を促進可能な化合物の前記重合性組成物全固形分中の含有量は、通常0.01〜15質量%である。
【0242】
<エラストマー>
本発明の重合性組成物には、さらに、エラストマーを含むことが好ましい。
エラストマーを含有させることにより、重合性組成物をソルダーレジストに用いた際のプリント配線板の導体層との密着性をより向上させることができるとともに、硬化膜の耐熱性、耐熱衝撃性、柔軟性及び強靭性をより向上させることができる。
【0243】
本発明に用いうるエラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、アクリル系エラストマー、シリコーン系エラストマー等が挙げられる。これらのエラストマーは、ハードセグメント成分とソフトセグメント成分から成り立っており、一般に前者が耐熱性、強度に、後者が柔軟性、強靭性に寄与している。これらの中でも、ポリエステル系エラストマーが、その他素材との相溶性の点で、有利である。
【0244】
スチレン系エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー等が挙げられる。スチレン系エラストマーを構成する成分としては、スチレンのほかに、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン等のスチレン誘導体を用いることができる。具体的には、タフプレン、ソルプレンT、アサプレンT、タフテック(以上、旭化成工業(株)製)、エラストマーAR(アロン化成製)、クレイトンG、過リフレックス(以上、シェルジャパン社製)、JSR−TR、TSR−SIS、ダイナロン(以上、JSR(株)社製)、デンカSTR(電気化学社製)、クインタック(日本ゼオン社製)、TPE−SBシリーズ(住友化学(株)製)、ラバロン(三菱化学(株)製)、セプトン、ハイブラー(以上、クラレ社製)、スミフレックス(住友ベークライト(株)製)、レオストマー、アクティマー(以上、理研ビニル工業社製)等が挙げられる。
【0245】
オレフィン系エラストマーは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−ペンテン等の炭素数2〜20のα−オレフィンの共重合体であり、例えば、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)等が挙げられる。また、オレフィン系エラストマーとしては、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタンジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ブタジエン、イソプレン等の炭素数2〜20の非共役ジエンとα−オレフィンとの共重合体、及び、エポキシ化ポリブタジエンなどが挙げられる。また、オレフィン系エラストマーとしては、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体にメタクリル酸を共重合したカルボキシ変性NBR等が挙げられる。更に、オレフィン系エラストマーとしては、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴム、プロピレン−α−オレフィン共重合体ゴム、ブテン−α−オレフィン共重合体ゴム等が挙げられる。
【0246】
オレフィン系エラストマーの具体例としては、ミラストマ(三井石油化学社製)、EXACT(エクソン化学社製)、ENGAGE(ダウケミカル社製)、水添スチレン−ブタジエンラバー“DYNABON HSBR”(JSR社製)、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体“NBRシリーズ”(JSR社製)、架橋点を有する両末端カルボキシル基変性ブタジエン−アクリロニトリル共重合体の“XERシリーズ”(JSR社製)、ポリブタジエンを部分的にエポキシ化したエポキシ化ポリブダジエンの“BF−1000”(日本曹達社製)等が挙げられる。
【0247】
ウレタン系エラストマーは、低分子(短鎖)ジオール及びジイソシアネートからなるハードセグメントと、高分子(長鎖)ジオール及びジイソシアネートからなるソフトセグメントと、の構造単位からなるものである。高分子(長鎖)ジオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリ(1,4−ブチレンアジペート)、ポリ(エチレン−1,4−ブチレンアジペート)、ポリカプロラクトン、ポリ(1,6−ヘキシレンカーボネート)、ポリ(1,6−へキシレン−ネオペンチレンアジペート)等が挙げられる。高分子(長鎖)ジオールの数平均分子量は、500〜10,000であることが好ましい。低分子(短鎖)ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ビスフェノールA等が挙げられる。短鎖ジオールの数平均分子量は、48〜500であることが好ましい。ウレタン系エラストマーの具体例としては、PANDEX T−2185、T−2983N(以上、DIC株式会社製)、シラクトランE790等が挙げられる。
【0248】
ポリエステル系エラストマーは、ジカルボン酸又はその誘導体とジオール化合物又はその誘導体とを重縮合して得られるものである。ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びこれらの芳香環の水素原子がメチル基、エチル基、フェニル基等で置換された芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸、並びに、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸などが挙げられる。これらの化合物は1種又は2種以上を用いることができる。ジオール化合物の具体例として、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等の脂肪族ジオール及び脂環式ジオール、ビスフェノールA、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−プロパン、レゾルシン等が挙げられる。これらの化合物は1種又は2種以上を用いることができる。また、芳香族ポリエステル(例えば、ポリブチレンテレフタレート)部分をハードセグメント成分に、脂肪族ポリエステル(例えば、ポリテトラメチレングリコール)部分をソフトセグメント成分にしたマルチブロック共重合体を用いることができる。ポリエステル系エラストマーは、ハードセグメント及びソフトセグメントの種類、比率、並びに分子量の違い等により様々なグレードのものがある。ポリエステル系エラストマーの具体例としては、ハイトレル(デュポン−東レ社製)、ペルプレン(東洋紡績社製)、エスペル(日立化成工業社製)等が挙げられる。
【0249】
ポリアミド系エラストマーは、ポリアミドからなるハードセグメントと、ポリエーテル又はポリエステルからなるソフトセグメントと、から構成されるものであり、ポリエーテルブロックアミド型とポリエーテルエステルブロックアミド型との2種類に大別される。ポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12等が挙げられる。ポリエーテルとしては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。ポリアミド系エラストマーとして具体的には、UBEポリアミドエラストマー(宇部興産社製)、ダイアミド(ダイセルヒュルス社製)、PEBAX(東レ社製)、グリロンELY(エムスジャパン社製)、ノバミッド(三菱化学社製)、グリラックス(DIC株式会社製)等が挙げられる。
【0250】
アクリル系エラストマーは、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート等のアクリル酸エステルと、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基を有する単量体及び/又はアクリロニトリルやエチレン等のビニル系単量体とを共重合して得られるものである。アクリル系エラストマーとしては、アクリロニトリル−ブチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−ブチルアクリレート−エチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−ブチルアクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体等が挙げられる。
【0251】
シリコーン系エラストマーは、オルガノポリシロキサンを主成分としたものであり、ポリジメチルシロキサン系、ポリメチルフェニルシロキサン系、ポリジフェニルシロキサン系に分けられる。また、オルガノポリシロキサンの一部をビニル基、アルコキシ基等で変性したものを用いてもよい。シリコーン系エラストマーの具体例としては、KEシリーズ(信越化学社製)、SEシリーズ、CYシリーズ、SHシリーズ(以上、東レダウコーニング社製)等が挙げられる。
【0252】
また、上記のエラストマー以外に、ゴム変性したエポキシ樹脂を用いることができる。ゴム変性したエポキシ樹脂は、例えば、上述のビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等の一部又は全部のエポキシ基を、両末端カルボン酸変性型ブタジエン−アクリルニトリルゴム、末端アミノ変性シリコーンゴム等で変性することによって得られるものである。
【0253】
エラストマーの中でも、せん断密着性及び耐熱衝撃性の観点から、両末端カルボキシル基変性ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリエステル系エラストマーである水酸基を有するエスペル(エスペル1612、1620、日立化成工業社製)、エポキシ化ポブタジエンが好ましい。
【0254】
エラストマーを本発明の重合性組成物に用いる際の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、重合性組成物全固形分中に0.5質量%〜30質量%が好ましく、1質量%〜10質量%がより好ましく、3質量%〜8質量%が特に好ましい。前記含有量が好ましい範囲内であると、せん断接着性及び耐熱衝撃性を更に向上させることが可能となる点で、有利である。
【0255】
<界面活性剤>
本発明の重合性組成物には、界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤の各種界面活性剤を使用できる。
特に、フッ素系界面活性剤を含有することで、塗布液としたときの液特性(特に、流動性)をより向上させ、塗布厚の均一性や省液性をより改善することができる。
すなわち、フッ素系界面活性剤を含有する重合性組成物においては、被塗布面と塗布液との界面張力を低下させることにより被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、少量の液量で数μmから数十μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行える点で有効である。
【0256】
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は3質量%〜40質量%が好適であり、より好ましくは5質量%〜30質量%であり、特に好ましくは7質量%〜25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であると、塗布厚均一性や省液性の点で効果的であり、組成物中への溶解性も良好である。
【0257】
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F475、同F479、同F482、同F780、同F781(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)、ソルスパース20000(ルーブリゾール社製)等が挙げられる。
【0258】
また、カチオン系界面活性剤として具体的には、フタロシアニン誘導体(市販品EFKA−745(BASF社製))、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業社製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社製)、W001(裕商社製)等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤として具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商社製)等が挙げられる
【0259】
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング(株)「トーレシリコーンDC3PA」、「同SH7PA」,「同DC11PA」,「同SH21PA」,「同SH28PA」、「同SH29PA」、「同SH30PA」、「同SH8400」、東芝シリコーン株式会社製「TSF−4440」、「TSF−4300」、「TSF−4445」、「TSF−44 60」、「TSF−4452」、信越シリコーン株式会社製「KP341」、「KF6001」、「KF6002」、ビッグケミー社製「BYK323」、「BYK330」等が挙げられる。
界面活性剤は2種類以上を組み合わせてもよい。
【0260】
<その他の成分>
本発明の重合性組成物には、前記必須成分や前記好ましい添加剤に加え、本発明の効果を損なわない限りにおいて、目的に応じてその他の成分を適宜選択して用いてもよい。
併用可能なその他の成分としては、例えば、熱硬化促進剤、熱重合禁止剤、可塑剤、着色剤(着色顔料あるいは染料)などが挙げられ、更に基材表面への密着促進剤及びその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を併用してもよい。
これらの成分を適宜含有させることにより、目的とするソルダーレジストの安定性、写真性、膜物性などの性質を調整することができる。
前記熱重合禁止剤については、例えば特開2008−250074号公報の段落〔0101〕〜〔0102〕に詳細に記載されている。
前記可塑剤については、例えば特開2008−250074号公報の段落〔0103〕〜〔0104〕に詳細に記載されている。
前記着色剤については、例えば特開2008−250074号公報の段落〔0105〕〜〔0106〕に詳細に記載されている。
前記密着促進剤については、例えば特開2008−250074号公報の段落〔0107〕〜〔0109〕に詳細に記載されている。
これら公報に記載の添加剤は、いずれも本発明の重合性組成物に使用可能である。
【0261】
本発明の重合性組成物は、異物の除去や欠陥の低減などの目的で、フィルタで濾過することが好ましい。従来からろ過用途等に用いられているものであれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,6等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量を含む)等によるフィルタが挙げられる。これら素材の中でもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)が好ましい。
フィルタの孔径は、0.01〜7.0μm程度が適しており、好ましくは0.01〜2.5μm程度、さらに好ましくは0.01〜1.5μm程度である。この範囲とすることにより、後工程において均一及び平滑な着色組成物の調製を阻害する、微細な異物を確実に除去することが可能となる。
フィルタを使用する際、異なるフィルタを組み合わせてもよい。その際、第1のフィルタでのフィルタリングは、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。異なるフィルタを組み合わせて2回以上フィルタリングを行う場合は1回目のフィルタリングの孔径より2回目以降の孔径が大きい方が好ましい。また、上述した範囲内で異なる孔径の第1のフィルタを組み合わせてもよい。ここでの孔径は、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。市販のフィルタとしては、例えば、日本ポール株式会社、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)又は株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタの中から選択することができる。
第2のフィルタは、上述した第1のフィルタと同様の材料等で形成されたものを使用することができる。第2のフィルタの孔径は、0.5〜7.0μm程度が適しており、好ましくは2.5〜7.0μm程度、さらに好ましくは4.5〜6.0μm程度である。この範囲とすることにより、混合液に含有されている成分粒子を残存させたまま、混合液に混入しており、後工程でおいて均一及び平滑な重合性組成物の調製を阻害する異物を除去することができる。
例えば、第1のフィルタでのフィルタリングは、分散液のみで行い、他の成分を混合した後で、第2のフィルタリングを行ってもよい。
【0262】
このようにして得られた本発明の重合性組成物はソルダーレジストの形成に用いられるが、比較的厚みの大きい塗膜を形成するために、固形分濃度は30質量%以上80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは35質量%以上70質量%以下、最も好ましくは45%〜60%である。
また、本発明の重合性組成物の粘度は、厚膜形成性と均一塗布性の観点から、10mPa・s以上 3000mPa・s以下の範囲にあることが好ましく、より好ましくは、500mPa・s以上 1500mPa・s以下の範囲であり、最も好ましくは、700mPa・s以上1400mPa・s以下の範囲である。
【0263】
以下、本発明の重合性組成物を用いて赤外線遮蔽性を有するパターン状のソルダーレジストを形成する方法について詳述する。なお、ここでは、重合性組成物を用いて感光層(重合性組成物層)を形成する場合を例に挙げる。
【0264】
−感光層−
パターン状のソルダーレジスト(ソルダーレジストパターン)を形成するには、まず、前記本発明の重合性組成物により感光層を形成する。感光層は、前記重合性組成物を含んで形成される層であれば、特に制限はなく、膜厚、積層構造などについては、目的に応じて適宜選択することができる。
【0265】
前記感光層の形成方法としては、支持体上に、本発明の前記重合性組成物を、水又は溶剤に溶解、乳化又は分散させてなる塗布液を調製し、該塗布液を直接塗布し、乾燥させることにより形成する方法が挙げられる。
【0266】
塗布液調製用の溶剤には、特に制限はなく、前記本発明の重合性組成物の各成分を均一に溶解或いは分散しうるものであれば、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、ノルマル−プロパノール、イソプロパノール、ノルマル−ブタノール、セカンダリーブタノール、ノルマル−ヘキサノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−ノルマル−アミル、硫酸メチル、プロピオン酸エチル、フタル酸ジメチル、安息香酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びメトキシプロピルアセテート等のエステル類;トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;四塩化炭素、トリクロロエチレン、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン、塩化メチレン、モノクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキサイド、スルホラン等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、公知の界面活性剤を添加してもよい。
【0267】
塗布液を支持体上に塗布する方法には、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スピンコーター、スリットスピンコーター、ロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター等を用いて、塗布する方法が挙げられる。
また、塗膜の乾燥条件としては、各成分、溶媒の種類、使用割合等によっても異なるが、通常60℃〜150℃の温度で30秒間〜15分間程度である。
【0268】
前記感光層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、赤外線遮蔽性とソルダーレジストの機能とを考慮すれば、例えば、1μm〜100μmが好ましく、2μm〜50μmがより好ましく、4μm〜30μmが特に好ましい。
【0269】
(ソルダーレジストパターン形成方法)
本発明のソルダーレジスト用重合性組成物を用いてソルダーレジスト永久パターンを形成する方法は、露光工程を少なくとも含み、さらに、通常は、必要に応じて適宜条件を選択した現像工程、及び、その他の工程を含む。なお、本発明において「露光」とは、各種波長の光のみならず、電子線、i線などの放射線照射をも包含する意味で用いられる。
【0270】
<露光工程>
露光工程では、前記重合性組成物層により形成された感光性層を、マスクを介して露光する工程であり、本工程により、光照射された領域のみが硬化される。
露光は放射線の照射により行うことが好ましく、露光に際して用いることができる放射線としては、特に、電子線、KrF、ArF、g線、h線、i線等の紫外線や可視光が好ましく用いられる。好ましくは、KrF、g線、h線、i線が好ましい。
露光方式としては。ステッパー露光や、高圧水銀灯による露光などが挙げられる。
露光量は5mJ/cm〜3000mJ/cmが好ましく10mJ/cm〜2000mJ/cmがより好ましく、50mJ/cm〜1000mJ/cmが最も好ましい。
【0271】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基材の表面処理工程、現像工程、硬化処理工程、ポスト露光工程などが挙げられる。
【0272】
<現像工程>
露光工程に次いで、アルカリ現像処理(現像工程)を行い、露光工程における光未照射部分をアルカリ水溶液に溶出させる。これにより、光硬化した部分だけが残ってパターン状の遮光性を有するソルダーレジストが形成される。
現像液としては、下地の回路などにダメージを起さない、有機アルカリ現像液が望ましい。現像温度としては通常、20℃〜40℃であり、現像時間は10秒〜180秒である。
【0273】
現像液に用いるアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセンなどが挙げられ、その中でも有機アルカリ性化合物を濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%となるように純水で希釈したアルカリ性水溶液が使用される。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像後純水で洗浄(リンス)する。
【0274】
<硬化処理工程>
前記硬化処理工程は、必要に応じ、前記現像工程が行われた後、形成されたパターンにおける感光層に対して硬化処理を行う工程であり、この処理を行うことにより、永久パターの機械的強度が向上する。
前記硬化処理工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、全面露光処理、全面加熱処理などが好適に挙げられる。
【0275】
全面露光処理の方法としては、例えば、現像工程の後に、形成されたパターン状の感光層を有する積層体上の全面を露光する方法が挙げられる。全面露光により、感光層を形成する重合性組成物中の重合成分の硬化が促進され、前記永久パターンの硬化がさらに進行し、機械的強度、耐久性が改良される。
前記全面露光を行う装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、超高圧水銀灯などのUV露光機が好適に挙げられる。
【0276】
また、全面加熱処理の方法としては、現像工程の後に、形成されたパターン状の感光層を有する積層体上の全面を加熱する方法が挙げられる。全面加熱により、パターンの膜強度が高められる。
全面加熱における加熱温度は、120℃〜250℃が好ましく、120℃〜250℃がより好ましい。該加熱温度が120℃以上であれば、加熱処理によって膜強度が向上し、250℃以下であれば、前記重合性組成物中の樹脂の分解が生じ、膜質が弱く脆くなることを防止できる。
全面加熱における加熱時間は、3分〜180分が好ましく、5分〜120分がより好ましい。
全面加熱を行う装置としては、特に制限はなく、公知の装置の中から、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ドライオーブン、ホットプレート、IRヒーターなどが挙げられる。
【0277】
このようにして形成されたパターン状のレジストは優れた赤外線遮蔽性を有するため、その応用範囲は広い。本発明のソルダーレジスト用重合性組成物は、赤外域における遮蔽性と紫外域〜可視域における光透過性に優れるため、高解像度のパターンが形成され、且つ、形成されたパターンは(硬化膜)は、優れた赤外線遮蔽性を有するために、赤外域まで感度を有するフォトダーオードを有するデバイス、特に、固体撮像素子用のソルダーレジスト形成に有用である。
【実施例】
【0278】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
<チタンブラック分散液Aの調製>
下記組成1を、ニーダーで30分混練した後、二本ロールにて高粘度分散処理を施し、分散物を得た。この際の分散物の粘度は40000mPa・sであった。
【0279】
(組成1)
・平均一次粒径75nmチタンブラック13M−C 40部
(三菱マテリアルズ(株)製)(ピグメント ブラック35)
・例示化合物13(Mw:20000)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶剤:以下、PGMEAと称することがある)溶液(固形分40%) 12部
【0280】
得られた分散物に、下記組成2の混合物を添加し、3000rpmの条件でホモジナイザーを用いて3時間攪拌した。得られた混合溶液を、0.3mmジルコニアビーズを用いた分散機(商品名:ディスパーマット GETZMANN社製)にて4時間微分散処理を施して、チタンブラック分散液A(以下、TB分散液Aと表記する。)を得た。
この際の、混合溶液の粘度は7.0mPa・sであった。
【0281】
(組成2)
・例示化合物13(Mw:20000)のPGMEA溶液(固形分40%) 6部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 200部
【0282】
<チタンブラック分散液Bの調製>
下記組成3を、ニーダーで30分混練した後、二本ロールにて高粘度分散処理を施し、分散物を得た。この際の分散物の粘度は40000mPa・sであった。
【0283】
(組成3)
・平均一次粒径75nmチタンブラック13M−C 39部
(三菱マテリアルズ(株)製)(ピグメント ブラック35)
・アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体のPGMEA溶液(固形分40%) 8部
(アリルメタクリレート/メタクリル酸=70/30(質量比)、Mw:25000)
・ソルスパース5000(ルーブリゾール社製) 1部
【0284】
得られた分散物に、下記組成4の混合物を添加し、3000rpmの条件でホモジナイザーを用いて3時間攪拌した。得られた混合溶液を、0.3mmジルコニアビーズを用いた分散機(商品名:ディスパーマット、GETZMANN社製)にて4時間微分散処理を施して、チタンブラック分散液B(以下、TB分散液Bと表記する。)を得た。
この際の、混合溶液の粘度は7.0mPa・sであった。
【0285】
(組成4)
・アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体のPGMEA溶液(固形分40%) 8部
(アリルメタクリレート/メタクリル酸=70/30(質量比)、Mw:25000)
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 200部
【0286】
<カーボンブラック分散液Aの調製>
下記組成5を二本ロールにて高粘度分散処理を施し、分散物を得た。この際の分散物の粘度は70000mPa・sであった。
その後、この分散物に下記組成6の混合物を添加し、3000rpmの条件でホモジナイザーを用いて3時間攪拌した。得られた混合溶液を、0.3mmジルコニアビーズを用いた分散機(商品名:ディスパーマット GETZMANN社製)にて4時間微分散処理を施して、カーボンブラック分散液A(以下、CB分散液Aと表記する。)を調製した。この際の混合溶液の粘度は37mPa・sであった。
【0287】
(組成5)
・平均一次粒径15nmカーボンブラック(PigmentBlack7) 23部
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体のPGMEA45%溶液 22部
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=67/33(質量比) Mw:28000)
・ソルスパース5000(ルーブリゾール社製) 1.2部
【0288】
(組成6)
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体のPGMEA45%溶液 22部
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=67/33(質量比) Mw:28000)
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 200部
【0289】
(特定樹脂1の合成)
反応容器にシクロヘキサノン800部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら100℃に加熱して、同温度で、スチレン60.0部、メタクリル酸80.0部、メチルメタクリレート68.0部、ブチルメタクリレート62.0部、アゾビスイソブチロニトリル9.0部の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。滴下後さらに100℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル2.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、さらに100℃で1時間反応を続けて、重量平均分子量が約30000、3.44mmol/gのアクリル樹脂1の溶液を得た。
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにシクロヘキサノンを添加して特定樹脂1溶液を調製した。
【0290】
(特定樹脂2の合成)
アクリル樹脂1の溶液にグリシジルメタクリレートを10部、テトラエチルアンモニウムブロミド1部を加え、90℃で2時間攪拌し、側鎖に二重結合性基を導入した。
そして、再沈方法により、重量平均分子量が約32000、二重結合性基が3.1mmol/gの固体の特定樹脂2(特定バインダー樹脂Aに相当)を得た。
その後、特定樹脂1の合成と同様にして不揮発分が20質量%となるよう溶媒量を調整し、特定樹脂2溶液を得た。
【0291】
<実施例1〜4、比較例1、2>
下記の重合性組成物溶液Aの組成を混合し、下記のフィルタを用いてろ過して、実施例1〜4、および比較例1、2の重合性組成物を調製した。
ろ過のフィルタ:第1のフィルタとして、日本ポール社製プロファイル・スター(ポリプロピレン 濾過精度1.5μm)を用い、第2のフィルタには日本ポール社製HDCII(高密度ポリプロピレン 濾過精度6.0μm)を用いた。
【0292】
−重合性組成物溶液Aの組成−
・下記組成のシリカ分散液 79.94部
・赤外線遮蔽材(下記表1に記載の化合物) (下記表1記載の量)
・重合性化合物(下記表1に記載の化合物) 20.00部
・特定樹脂2(上記合成法で得たもの) 37.50部
・メガファックF−780 0.15部
〔DIC(株)製〕の30%メチルエチルケトン溶液
・ビスフェノールAジグリシジルエーテル 10.93部
・重合開始剤(下記表1に記載の化合物) 0.90部
・溶媒(PGMEA) 20.0部
【0293】
−シリカ分散液−
・フィラー1(SC−2500−SMJ;球状シリカ 16.99部
メタクリルシラン処理1%;一次粒子の体積平均粒径0.5μm;アドマテックス社製)
・特定樹脂2溶液(濃度20%) 62.75部
・ジシアンジアミド(硬化促進剤) 0.20部
【0294】
【表1】

【0295】
上記表1に記載の重合性化合物及び重合開始剤の詳細は以下に示すとおりである。
(重合性化合物)
M−1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)
M−2:ペンタエリスリトールトリアクリレートのコハク酸変性体
【0296】
【化56】

【0297】
なお、二本ロールで高粘度分散処理を施した分散物の粘度は、東機産業社製 型式RE550Hを用いて25℃で測定した。
また、分散機(商品名:ディスパーマット GETZMANN社製)で微分散処理を施した分散液の粘度は、東機産業社製 型式RE550Hを用いて25℃で測定した。
透過率は、島津製作所社製 型式 UV−3600を用いて測定した。
【0298】
<ソルダーレジスト用重合性組成物の評価>
得られた実施例1〜4、比較例1、2の重合性組成物を、それぞれ、シリコンウエハにスピンコート法で、膜厚が25μmになるよう塗布し、その後、ホットプレート上において120℃で2分加熱して重合性組成物層を得た。
次いで、得られた重合性組成物層を、i線ステッパーを用い、300μmのパターンを有するフォトマスクを介して露光量50〜2000mJ/cmの範囲の露光量を、50mJ/cmの刻みで変化させて照射した。
前記露光後の重合性組成物層に対し、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド2.38質量%水溶液を用い、25℃で60秒間パドル現像を行った。その後スピンシャワーにてリンスを行いさらに純水にて水洗し、赤外線遮蔽性のソルダーレジストパターンを得た。現像工程を60秒実施した際に直径300μmの円のパターンが得られた最低露光量を測定し、パターン形成性の目安とした。数値が小さい程、感度、パターン形成性が良好であると評価する。
また、同条件でガラス基板に重合性組成物をスピンコートして膜厚が25μmの感光層(重合性組成物層)塗膜を形成し、塗膜の波長1200nmの透過率を測定した。数値が低いほど赤外線遮蔽性に優れると評価する。透過率が2%以下で実用上良好な赤外線遮蔽性を示すといえる。
【0299】
【表2】

【0300】
表2の結果より、本発明のソルダーレジスト用重合性組成物によれば、高感度で微細なパターンが形成され、また、塗膜の赤外線遮蔽性に優れることがわかる。なお、赤外線遮蔽材に代えて、黒色有機顔料であるカーボンブラックを用いた比較例1及び2では、ある程度の赤外線遮蔽性を示すものの、パターン形成性に劣ることがわかる。これは、紫外〜可視域における光透過性が低いことに起因するものと考えられる。
【0301】
<実施例5〜10、比較例3、4>
−重合性組成物溶液Bの組成−
・バインダー(ZAR−2039H、日本化薬株式会社製、固形分濃度60%;ビスフェノールA型のエポキシアクリレート) 35.6部
・重合性化合物(DPHA、日本化薬株式会社製) 2.57部
・熱架橋剤(エポトートYDF−170、東都化成株式会社製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂) 3.95部
・熱架橋剤(和光純薬製 メラミン) 1.38部
・重合開始剤(イルガキュア−907、BASF社製) 0.97部
・増感剤(ジエチルチオキサントン) 0.009部
・エラストマー(エスペル1620、日立化成工業社製) 32.48部
・赤外線遮蔽材(下記表3に記載の化合物) (下記表3に記載の量)
・メガファックF−780〔DIC(株)製〕の30%メチルエチルケトン溶液 0.15部
・PGMEA(溶媒) 22.90部
・シクロヘキサノン(溶媒) 10.00部
【0302】
【表3】

【0303】
上記表3に記載の赤外線遮蔽材の詳細は以下に示すとおりである。
赤外線遮蔽材1:American Dye Source,Inc.社製 ADS 1120P(ピリリウム染料)
赤外線遮蔽材2:American Dye Source,Inc.社製 ADS 840MT(キノリニウム染料)
赤外線遮蔽材3:山本化成(株)社製 PA−1001(フタロシアニン染料)
赤外線遮蔽材4:山本化成(株)社製 SIR−132(フタロシアニン染料)
赤外線遮蔽材5:山本化成(株)社製 YKR−3040(フタロシアニン染料)
【0304】
上記で得られた実施例5〜10及び比較例3、4のソルダーレジスト用重合性組成物を、実施例1と同様に評価した。結果を下記表4に示す。
【0305】
【表4】

【0306】
表4の結果より、本発明のソルダーレジスト用重合性組成物によれば、赤外線遮蔽材としてチタンブラックを用いたものと同様に、赤外線吸収色素を用いた場合においても、高感度で微細なパターンが形成され、また、塗膜の赤外線遮蔽性に優れることがわかる。一方、赤外線遮蔽材に代えて、黒色顔料であるカーボンブラックを用いた比較例3及び4では、ある程度の赤外線遮蔽性を示すものの、パターン形成性に劣ることがわかる。これは、紫外〜可視域における光透過性が低いことに起因するものと考えられる。
【0307】
<実施例11〜15、比較例3、4>
−特定樹脂3の合成−
1,000mL三口フラスコに、1−メトキシ−2−プロパノール159gを入れ、窒素気流下、85℃まで加熱した。これに、ベンジルメタクリレート63.4g、メタクリル酸72.3g、V−601(重合開始剤:和光純薬製)4.15gの1−メトキシ−2−プロパノール159g溶液を、2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に5時間加熱して反応させた。
次いで、加熱を止め、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(30/70mol%比)の共重合体を得た。
次に、前記共重合体溶液のうち、120.0gを300mL三口フラスコに移し、グリシジルメタクリレート16.6g、p−メトキシフェノール0.16gを加え、撹拌し溶解させた。溶解後、トリフェニルホスフィン3.0gを加え、100℃に加熱し、付加反応を行った。グリシジルメタクリレートが消失したことを、ガスクロマトグラフィーで確認し、加熱を止めた。
1−メトキシ−2−プロパノール38gを加え、酸価112mgKOH/g、重量平均分子量24,000、固形分46%の特定樹脂3溶液を調製した。
【0308】
−重合性組成物溶液Cの組成−
・上記特定樹脂3溶液 45.0部
・赤外線遮蔽材(下記表5に記載の化合物・分散物) (下記表5に記載の量)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 10.7部
(商品名:KAYARAD DPHA、日本化薬(株)製)
・重合開始剤〔Irgacure OXE02(BASF社製)〕 1.50部
・エポキシ樹脂〔エポトートYDF−170(東都化成株式会社製、ビスフェノールF型)〕 5.00部
・下記の顔料分散液 35.7部
・メガファックF−780(DIC株式会社製)の30%メチルエチルケトン溶液 0.13部
・メチルエチルケトン 12.0部
【0309】
−顔料分散液の調製−
シリカ(アドマテックス(株)製、SO−C2)30部と、前記特定樹脂3溶液48.2部と、フタロシアニンブルー(C.I.Pigment Blue15:3)0.51部と、アントラキノン系黄色顔料(C.I.Pigment Yellow 24)0.14部と、ジシアンジアミド0.37部と、酢酸ノルマルプロピル59.0部と、を予め混合した後、モーターミルM−250(アイガー社製)で、直径1.0mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sにて3時間分散して調製した。
【0310】
【表5】

【0311】
なお、上記表5における「チタンブラック分散液A」は、実施例1で用いたものと同じであり、赤外線遮蔽材1〜5は前記化合物である。
赤外線遮蔽材6:特開平11−109126において化合物16として例示された下記構造のシアニン色素。
赤外線遮蔽材7:日本触媒製、IR−910(フタロシアニン色素)
【0312】
【化57】

【0313】
上記で得られた実施例11〜15のソルダーレジスト用重合性組成物を、実施例1と同様に評価した。結果を下記表6に示す。
【0314】
【表6】

【0315】
表6の結果より、本発明のソルダーレジスト用重合性組成物〔実施例11〜実施例15〕によれば、赤外線遮蔽材としてチタンブラックを用いたもののみならず、金属含有無機顔料以外の、赤外線吸収色素を用いた場合においても、高感度で微細なパターンが形成され、また、塗膜の赤外線遮蔽性に優れることがわかる。
【0316】
<実施例16>
−特定バインダー樹脂Bに相当するバインダーポリマーB(ポリイミド樹脂前駆体〜ポリアミック酸1)の合成−
<ポリアミック酸1の合成>
温度計、攪拌機、原料投入仕込み口、および窒素ガス導入口を備えた1000mlの四つ口フラスコに、DPM(4,4’−ジアミノジフェニルメタン、24.454g)および乾燥NMP(436.86ml)を入れ、乾燥窒素気流下攪拌溶解した。反応系の温度を70℃の範囲内に保ちながら、PMDA(ピロメリット酸二無水物、13.451g)およびCBDA(シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、12.095g)を添加して、24時間反応させ、ポリアミック酸1のNMP溶液を得た。得られたポリアミック酸のGPCによる分子量は、75,000であった。
【0317】
−重合性組成物溶液D−
前記重合性組成物溶液Cにおいて用いた特定樹脂3溶液を、前記バインダーポリマーB溶液に代えた以外は実施例11と同様にして、実施例16の重合性組成物溶液Dを得た。
【0318】
<実施例17>
−特定バインダー樹脂Cに相当するバインダーポリマーC(アルカリ可溶性光架橋性ポリウレタン樹脂)の合成−
500mlの三つ口フラスコに4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート50.1gとポリオキシテトラメチレングリコール(分子量=981)68.7gと2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸17.4gをジオキサン90mlに溶解した。N,N−ジエチルアニリンを0.3g添加した後、ジオキサン還流下で6時間撹拌することにより、カルボキシル基を有するポリウレタン樹脂溶液を得た。
反応終了後、酸素7容量%、窒素93容量%の混合気流下で、グリシジルアクリレート3.84g、トリフェニルホスフィン0.11g、及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.027gを加え、100℃で10時間反応することにより、バインダーポリマーC溶液を得た。
上記で得られたバインダーポリマーCの固形分の酸価は、40mgKOH/gで、固形分の臭素価は、3.4gBr/100gであった。GPC装置にて分子量を測定したところ、質量平均(ポリスチレン標準)で32,000であった。
前記酸価は、JIS K0070に準拠して測定した。ただし、サンプルが溶解しない場合は、溶媒としてジオキサン又はテトラヒドロフラン(THF)などを使用した。
前記臭素価は、JIS K2605に準拠して測定した。
前記質量平均分子量は、高速GPC装置(東洋曹達社製、HLC−802A)を使用して測定した。即ち、0.5質量%のTHF溶液を試料溶液とし、カラムはTSKgelGMHを使用し、200μlの試料を注入し、前記THF溶液で溶離して、25℃で屈折率検出器により測定した。次に、標準ポリスチレンで較正した分子量分布曲線より質量平均分子量を求めた。
【0319】
−重合性組成物溶液E−
前記重合性組成物溶液Cにおいて用いた特定樹脂3溶液を、前記バインダーポリマーC溶液に代えた以外は実施例11と同様にして、実施例17の重合性組成物溶液Eを得た。
【0320】
得られた実施例16、及び実施例17の重合性組成物を、実施例1と同様にして評価した。結果を上記表6に併記した。
表6に明らかなように、バインダーポリマーとして、特定バインダー樹脂Bに相当するポリイミド樹脂や特定バインダー樹脂Cに相当するポリウレタン樹脂を用いた場合でも、本発明のソルダーレジスト用重合性組成物は、赤外線遮蔽性とパターン形成性に優れることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線遮蔽材、重合開始剤、及び、重合性化合物を含有するソルダーレジスト用重合性組成物。
【請求項2】
前記赤外線遮蔽材が、赤外吸収色素、又は、金属含有無機顔料である請求項1に記載のソルダーレジスト用重合性組成物。
【請求項3】
前記赤外線遮蔽材が、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、下記一般式(I)で表される色素、下記一般式(II)で表される色素、及び、下記一般式(III)で表される色素から選択される少なくとも1種の赤外吸収色素である請求項1に記載のソルダーレジスト用重合性組成物。
【化1】


前記一般式(I)中、Z及びZは、それぞれ独立に、縮環してもよい5員又は6員の含窒素複素環を形成する非金属原子団を表し、R及びRは、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、又はアラルキル基を表す。Lは5個から9個のメチン基が二重結合で共役するように結合してなる構造を含む連結基であり、a、及びbは、それぞれ0又は1であり、Xは対アニオンを表す。
【化2】


前記一般式(II)中、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、及びR17は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はヘテロ環基を表し、R10とR11、R12とR13、R14とR15、及びR16とR17の1組以上は、互いに結合し5員又は6員の環構造を形成してもよい。Xは酸素原子、又は−NR18を、Xは酸素原子又は−NR19を、Xは酸素原子又は−NR20を、Xは、酸素原子又は−NR21を表し、R18、R19、R20、及びR21は、それぞれ独立に、水素原子、直鎖又は分岐アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はヘテロ環基を表し、R18とR10、R19とR11、R20とR16、及びR21とR17の1組以上は、互いに連結して5員又は6員の環構造を形成してもよい。R22、R23及びR24は、それぞれ独立に水素原子又は1価の基を表し、nは1から3の整数を、mは0から6の整数を表す。nが2又は3を表すとき、複数存在するR22、R23又はR24は、互いに同じであっても異なっていてもよい。
【化3】


一般式(III)中、R30は、−CONHR35、−SONHR35、−NHSO35、−NHCOR35、−NHCONHR35、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、又は、スルホ基を表し、R31は水素原子、アルキル基、−NHSO35、−NHCOR35を表し、R35はアルキル基、アリール基、又は、ヘテロ環基を表す。R32は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、又はハロゲン原子を表し、複数存在するR32は互いに同じであっても異なっていてもよい。nは0から3の整数を表す。R33及びR34は、それぞれ独立にアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表し、R33とR34、R32とR33、及びR32とR34の1組以上は、互いに結合し5員又は6員の環構造を形成してもよい。
【請求項4】
前記赤外線遮蔽材が、チタンブラックである請求項1又は請求項2に記載のソルダーレジスト用重合性組成物。
【請求項5】
前記重合性化合物が、ラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物からなる群より選択される1種以上である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のソルダーレジスト用重合性組成物。
【請求項6】
前記重合性化合物が、分子内に複数の重合性基を有する多官能重合性化合物である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のソルダーレジスト用重合性組成物。
【請求項7】
さらにバインダーポリマーを含有する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のソルダーレジスト用重合性組成物。
【請求項8】
固形分濃度が30質量%以上80質量%以下であり、粘度が10mPa・s以上3000mPa・s以下の範囲にある請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のソルダーレジスト用重合性組成物。
【請求項9】
膜厚20μmの硬化膜を形成したとき、該硬化膜の波長800−1200nmの光の透過率が10%以下である請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のソルダーレジスト用重合性組成物。
【請求項10】
膜厚20μmの硬化膜を形成したとき、該硬化膜の波長800−1200nmにおける光学濃度(OD値)の最低値が、該硬化膜の波長300−450nmにおける光学濃度の最低値の3倍未満である請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のソルダーレジスト用重合性組成物。
【請求項11】
膜厚20μmの硬化膜を形成したとき、該硬化膜の絶縁破壊電圧が1MV/cm以上である請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のソルダーレジスト用重合性組成物。
【請求項12】
固体撮像素子に使用されるソルダーレジストの形成に用いられる請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のソルダーレジスト用重合性組成物。
【請求項13】
基板上に、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のソルダーレジスト用重合性組成物を含有する感光層を形成する工程と、
該感光層をパターン露光して、露光部を硬化させる工程と、
未硬化の感光層を現像により除去してパターン状の赤外線遮蔽性硬化膜を形成する工程と、
をこの順で有するソルダーレジストパターンの形成方法。

【公開番号】特開2012−3225(P2012−3225A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271640(P2010−271640)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】