説明

ソーラーパネル取付構造

【課題】施工後の清掃作業性及びメンテナンス性に優れたソーラーパネル取付構造を提供する。
【解決手段】ソーラーパネル取付構造10は、磁性体である金属板で構成された屋根材11上に固着された断面L字状のアングル材である固定部材12と、固定部材12の起立部12aの上縁に取り付けられた抜き差し蝶番13を介して回動可能に保持されたソーラーパネル14と、ソーラーパネル14を屋根材11に係脱可能に固定するためソーラーパネル13と屋根材11との間に設けられた磁石式係止手段15とを備えている。固定部材12は両面粘着テープ16及び接着剤17を介して屋根材11に固着されている。磁石式係止手段15は、ソーラーパネル14下面にネジ18で取り付けられたカップ型のケーシング19と、ケーシング19内に固着されたフェライトマグネット20とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性体である金属板で葺かれた屋根にソーラーパネルを設置する際に用いられるソーラーパネル取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
金属板で葺かれた屋根にソーラーパネルを設置する際の取付構造については、従来、様々な方式が提案されているが、本願発明に関連するものとして、例えば、特許文献1記載の「屋根置き設備の設置装置」あるいは特許文献2記載の「ソーラーパネル取付装置」がある。これらの文献に記載されている装置は、所定の部材を組み合わせて屋根上に固定することによって形成された支持体上にソーラーパネルを固定するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−57397号公報
【特許文献2】特開2009−91811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2に記載された装置においては、設置後のソーラーパネルと屋根との間に若干の隙間が生じるため、施工後の時間経過に伴い、風雨などによって運ばれてきた木の葉や塵埃などが隙間に入り込んで溜まっていくことが多い。前記隙間に溜まった木の葉や塵埃などは、屋根材を汚損するので建物の外観を悪化させるだけでなく、水分を含んだ状態を維持することによって屋根材を腐食させ、雨漏りの原因となることがある。
【0005】
このような問題を防止するためには、ソーラーパネルと屋根との隙間を定期的に清掃して、木の葉や塵埃などを除去することが必要であるが、前記隙間は狭く、清掃用具などを差し込むことが難しいので、施工後における前記隙間の清掃やメンテナンスなどは殆ど行われていないのが実状である。
【0006】
一方、屋根上に設置されたソーラーパネルを持ち上げたり、取り外したりすれば、前記隙間が広がって、屋根材が露出するので、清掃やメンテナンスなどは容易となるのであるが、特許文献1,2記載の装置などにおいては、ソーラーパネルがネジなどで屋根に強固に固定されているため、取り外しが困難である。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、施工後の清掃作業性及びメンテナンス性に優れたソーラーパネル取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のソーラーパネル取付構造は、磁性体である屋根材上に固着された固定部材と、前記固定部材に蝶番を介して回動可能に保持されたソーラーパネルと、前記ソーラーパネルを前記屋根材に係脱可能に固定するため前記ソーラーパネルと前記ソーラーパネルとの間に設けられた磁石式係止手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
このような構成とすれば、屋根材上に固着された固定部材に蝶番を介して保持されたソーラーパネルは、施工後においても、磁石式係止手段を解除することにより、蝶番を中心に回動可能となるので、ソーラーパネルを起立方向へ回動させてソーラーパネルと屋根材との隙間を広げ、屋根材を露出させた状態にすれば、屋根材の清掃やメンテナンスなどを容易に行うことができる。また、前記隙間に溜まる木の葉や塵埃などの除去作業が容易となるので、定期的な清掃やメンテナンスを行うことにより、屋根材の汚損や雨漏り発生を防止することができる。
【0010】
ここで、前記蝶番として、抜き差し蝶番を用いれば、ソーラーパネル自体を固定部材から離脱させることが可能となるため、屋根材上の清掃作業性がさらに向上するだけでなく、ソーラーパネルのメンテナンスや他のソーラーパネルとの交換作業も容易となる。
【0011】
一方、前記屋根材に対する前記固定部材の固着手段として、接着剤若しくは両面粘着テープの少なくとも一方を用いれば、ネジや釘などを使用することなく固定部材を屋根材に固着することが可能となるため、取付作業が容易となり、雨漏り防止にも有効である。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、施工後の清掃作業性及びメンテナンス性に優れたソーラーパネル取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態であるソーラーパネル取付構造を示す一部省略側面図である。
【図2】図1に示すソーラーパネル取付構造を構成する抜き差し蝶番の着脱機能を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示すように、本実施形態のソーラーパネル取付構造10は、磁性体である金属板で構成された屋根材11上に固着された断面L字状のアングル材である固定部材12と、固定部材12の起立部12aの上縁に取り付けられた抜き差し蝶番13を介して回動可能に保持されたソーラーパネル14と、ソーラーパネル13を屋根材11に係脱可能に固定するためソーラーパネル13と屋根材11との間に設けられた磁石式係止手段15とを備えている。
【0015】
屋根材11に対する固定部材12の固着手段として、固定部材12の起立部12aと直角をなす固定部12bの下面と、屋根材11の表面との間に両面粘着テープ16及び接着剤17を介在させている。両面粘着テープ16は、屋根材11に対する固定部材12の初期固定手段としての機能を発揮し、接着剤17は固定部材12を屋根材11に強力に固着する機能を果たしている。
【0016】
磁石式係止手段15は、ソーラーパネル14の下面との間に弾性体23を介在させ、開口部を下に向けた状態でネジ18によって取り付けられたカップ型のケーシング19と、ケーシング19内に固着された円環状のフェライトマグネット20とを備えている。ソーラーパネル14の下面に固定された磁石式係止手段15のケーシング19開口部に露出しているフェライトマグネット20を屋根材11に近づければ、磁力によってフェライトマグネット20が屋根材11に吸着され、ソーラーパネル14は屋根材11との間に隙間21を置いて、略平行を保った状態で固定される。
【0017】
前述したように、屋根材11上に固着された固定部材12に抜き差し蝶番13を介して回動可能に保持されたソーラーパネル14は磁石式係止手段15によって固定されているので、風雨などによってソーラーパネル14が浮き上がったり、飛ばされたりすることはなく、安定した状態に保たれる。
【0018】
一方、ソーラーパネル14の抜き差し蝶番13と対向する部分を持ち上げたり、屋根材11とフェライトマグネット20との隙間をこじ開けたりすることによって、磁石式係止手段15を解除すると、図1に示すように、ソーラーパネル14は抜き差し蝶番13を中心に回動可能となる。従って、ソーラーパネル14を起立方向22へ回動させてソーラーパネル14と屋根材11との隙間21を広げ、屋根材11を露出させた状態にすれば、屋根材11の清掃やメンテナンスなどを容易に行うことができる。
【0019】
また、ソーラーパネル14を起立方向22へ回動させることにより、隙間21に溜まっている木の葉や塵埃などの除去作業が容易となるので、定期的な清掃やメンテナンスを行うことにより、屋根材11の汚損や雨漏り発生を防止することができる。
【0020】
また、本実施形態において使用している抜き差し蝶番13は、図2に示すように、一方の羽根13aに固定された支軸13cに対して他方の羽根13bが着脱可能である。抜き差し蝶番13が図2(a)に示す状態を保っているとき、ソーラーパネル14は抜き差し蝶番13を中心に回動可能に保持されているが、ソーラーパネル14を抜き差し蝶番13の支軸13cと平行方向にスライドさせると、図2(b)に示すように、羽根13aの支軸13cから羽根13bが離脱するので、ソーラーパネル14自体を固定部材12から離脱させることができ、これと逆の操作を行えば、ソーラーパネル14を固定部材12に取り付けることができる。
【0021】
図2(b)に示すように、抜き差し蝶番13を分離させることにより、固定部材12からソーラーパネル14を離脱させれば、ソーラーパネル14によって覆われていた部分の屋根材14の清掃作業性が向上するだけでなく、ソーラーパネル14自体のメンテナンスや他のソーラーパネルとの交換作業も容易となる。
【0022】
さらに、屋根材11に対する固定部材12の固着手段として、両面粘着テープ16及び接着剤17を用いたことにより、ネジや釘などを使用したり、屋根材11に孔を開設したりすることなく固定部材12を屋根材11に固着することができるため、取付作業は極めて容易であり、施工後の雨漏り防止にも有効である。
【0023】
本実施形態においては、屋根材11が、磁性体である金属板で形成されているため、磁石式係止手段15のフェライトマグネット20を直接屋根材11に吸着させることができるが、屋根材が磁性体でない場合、前記屋根材上において磁石式係止手段15と対向する領域に、磁性体である金属板などを固着すれば、磁石式係止手段15による固定を行うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明のソーラーパネル取付構造は、磁性体である金属板で葺かれた屋根を備えた建築物に対するソーラーパネルの設置技術として広く利用することができる。
【符号の説明】
【0025】
10 ソーラーパネル取付構造
11 屋根材
12 固定部材
12a 起立部
12b 固定部
13 抜き差し蝶番
13a,13b 羽根
13c 支軸
14 ソーラーパネル
15 磁石式係止手段
16 両面粘着テープ
17 接着剤
18 ネジ
19 ケーシング
20 フェライトマグネット
21 隙間
22 起立方向
23 弾性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性体である屋根材上に固着された固定部材と、前記固定部材に蝶番を介して回動可能に保持されたソーラーパネルと、前記ソーラーパネルを前記屋根材に係脱可能に固定するため前記ソーラーパネルと前記屋根材との間に設けられた磁石式係止手段とを備えたことを特徴とするソーラーパネル取付構造。
【請求項2】
前記蝶番として、抜き差し蝶番を用いた請求項1記載のソーラーパネル取付構造。
【請求項3】
前記屋根材に対する前記固定部材の固着手段として、接着剤若しくは両面粘着テープの少なくとも一方を用いた請求項1または2記載のソーラーパネル取付構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−162894(P2012−162894A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23038(P2011−23038)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(396026570)株式会社栄住産業 (21)
【Fターム(参考)】