説明

タイマ装置

【課題】 電気機器の使用時間に応じて、記録媒体度数の減算率を変更し、電気機器使用時間の長いユーザの負担を低減するタイマ装置を提供する。
【解決手段】 電流センサ6はテレビの電源が入っているか否かを検出し、電源が入っている時に単位時間毎にカード度数を減算し、電源オン時間を積算する。積算時間が所定の時間を超えた後は度数減算率を変更する。これにより多数時間テレビを視聴するユーザの負担を低減することができる。また、時計ICを内蔵して日付が変わる毎に元の度数減算率に変更する、あるいは、24時間カウンタを内蔵し24時間毎に元の度数減算率に変更することで優遇する時間を1日単位に収めることが可能となる。減算率の設定テーブルは任意に変更できる。また、表示部3には現在の料率や総視聴時間が表示されて、後どのくらいの時間テレビ視聴をすれば料率変更されるのかを容易に判断できるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院やホテル等においてテレビやビデオ等の各種電気機器を有料で使用する際に、磁気カードやICカード等の記録媒体を用いて電気機器の利用料金の精算処理を行なうタイマ装置に関し、特に記録媒体に利用可能度数を記録し、これをタイマ本体に挿入して各種電気機器を利用できるようにした電気機器接続型タイマ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、病院等において、入院患者が病室に設置された電気機器、例えばテレビの視聴料金を精算する技術として、磁気カードもしくはICカード方式のタイマを用いたものがある。この方式では、テレビの利用可能度数を予め記録したカードをタイマに挿入し、カードに記録された利用可能度数に応じた所定時間内での視聴を可能としている。具体的には、テレビが電源オンされてからの視聴時間をタイマで計測し、その時間に応じてカードの利用可能度数を減算し、残り度数が無くなったときは、テレビの視聴を不可能な状態にする。
【0003】
ところで、入院患者の中には1日に少ない時間しかテレビを視聴しない者もいれば、1日に数時間以上テレビを視聴する者もいる。1日に多数時間テレビを視聴する者はカード度数減算が早く、利用料金の負担が大きくなっていた。そこで多数時間テレビを視聴する者の負担を低減することが望まれており、例えばUHF帯受信時のみ無料視聴を可能とするプリペイドカード式タイマ装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−130726号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のプリペイドカード式タイマ装置では、テレビの利用時間に関係なく無料視聴となり、さらに有料視聴の場合は従来のタイマ装置と同様に一定時間ごとに度数減算を行うため、長時間テレビを視聴する者の負担を低減するものではなかった。
【0005】
本発明では、電気機器の使用時間に応じて、カード度数の減算率を変更し、電気機器の1日の使用時間が長い者の負担を低減するタイマ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、利用可能度数が記録された記録媒体が挿入され、当該記録媒体の記録データを読み書きするリーダライタ、電気機器に対する電源の接続をオン/オフするスイッチ手段と、電気機器に電源が接続されているとき、電気機器が稼動しているか否かを検出するセンサ手段と、リーダライタに利用可能度数の残が有る記録媒体が挿入されたときスイッチ手段をオンし、記録媒体に利用可能度数の残が無くなったときスイッチ手段をオフするスイッチ制御手段と、電気機器が稼動している単位時間毎に所定の度数減算値を前記記録媒体の利用可能度数から減算する度数減算手段と、を備えたタイマ装置であって、前記電気機器の稼働時間を積算する積算手段と、前記稼働時間の複数の時間範囲の各時間範囲に対応する度数減算値とを記憶したテーブルが設定される記憶手段と、前記度数減算手段に対して、前記積算手段が積算している稼働時間が属する時間範囲に対応する度数減算値を設定する度数減算値設定手段と、日付が変わったとき、または、前記スイッチ手段をオンしたのち一定時間が経過する毎に、前記積算手段が積算する稼動時間をリセットするリセット手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この発明では、電気機器の稼働時間を積算して、積算した時間が属する時間範囲に応じた度数減算値を設定する。また、日付が変わる毎、または記録媒体を挿入して一定時間経過毎に積算時間をリセットして元の度数減算値の設定に戻す。
【0008】
請求項2に記載の発明は、上記発明において、前記記憶手段に前記テーブルを設定する設定手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
この発明では、時間範囲、および、それぞれの時間範囲における度数減算率、を任意に設定することができる設定手段を備えている。
【0010】
請求項3に記載の発明は、上記発明において、積算された前記電気機器の稼働時間、および度数減算値を表示する表示部を備えたことを特徴とする。
【0011】
この発明では、電気機器の総稼動時間と現在の度数減算率を表示する表示部を備え、ユーザに対して稼働時間を知らせて度数減算率の変更までの時間を示す。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、テレビの累積視聴時間に応じて度数減算率を変更できるため、1日に多数時間テレビを視聴する者の利用料金の負担を低減することができる。また、最初に視聴を開始してから一定時間が経過する毎、もしくは日付が変わる毎に累積視聴時間をリセットし、元の度数減算率に変更するので優遇する時間を1日単位に収めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は本発明の実施形態であるテレビカードタイマをテレビに接続した全体図である。テレビカードタイマ100はテレビ103の本体右側面に固定されている。テレビカードタイマ100はAC100V出力コンセントを備えており、テレビ103の電源プラグをテレビカードタイマ100内の出力コンセントに接続している。テレビカードタイマ100の電源プラグは病院等のAC100Vコンセントに接続する。テレビカードタイマ100前面にはカード挿入口101が備えられており、ユーザがテレビカードをカード挿入口101に挿入する。テレビカードタイマ100にはリモコン102が接続されており、ユーザがカード挿入口101に残度数が有るカードを挿入したときに、リモコン102を操作することでテレビ103の電源をオンオフしたり、チャンネルや音量を自由に変更することができる。
【0014】
図2は本発明の実施形態であるテレビカードタイマのブロック図である。挿入したテレビカードに記録されているデータを読み取ったり、データを書き換えるカードリーダライタ1、カードを排出する取り出しボタン2、カードの残利用度数等を表示する表示部3、テレビカードタイマ全体を制御する制御部4、制御部4に従って電力を外部テレビに供給する電源制御リレー5、テレビの電源が入っているか否かを検出する電流センサ6、および日付や時刻を管理する時計IC7を備えている。
【0015】
ユーザがカードを挿入すると、制御部4はカードリーダライタ1からカードのデータを読み取り、残度数を調べる。残度数が有れば電源制御リレー5から100V出力コンセントに電源を供給して、テレビ103に電源を供給する。ユーザがテレビの電源をオンすると、電流センサ6が電源オンを検出して制御部4は電源を入れた時間を積算していく。テレビの電源オンしている間、所定の時間経過する毎にカードの度数を減算する。制御部4にはメモリが内蔵されており、カード度数減算を減算する割合等の設定やテレビの電源を入れた積算時間等を記憶する。表示部3は挿入したカードの残利用度数の他、テレビの電源を入れた積算時間やカードの利用度数を減算する割合を表示する。
【0016】
図3はテレビカードタイマ全体のメイン処理を示したフローチャートである。ユーザがテレビカードを挿入すると(s1)、カードリーダライタ1でカードデータを読み取り、電源制御リレー5からテレビに電源が供給される(s2)。その後、メモリを初期化し(s3)、経過時間処理(s4)と度数減算処理(s5)を実行する。メモリ初期化はテレビの電源を入れた積算時間と度数減算率の設定をリセットする。経過時間処理および度数減算処理については後に詳しく述べる。その後、カード取り出しボタンが押されたかどうかを判断し(s6)、押されていない場合はさらにカードの残度数をカードリーダライタ1を介して調べ(s7)、カード利用可能度数が有れば経過時間処理と度数減算処理を繰り返す。取り出しボタンが押されている場合、あるいは取り出しボタンが押されていなくてもカード利用可能度数が無ければ電源制御リレー5からテレビへの電源供給を遮断し(s8)、テレビカードを排出する(s9)。その後は初期の動作に戻る。
【0017】
図4は経過時間処理と度数減算処理を示したフローチャートである。同図(A)は経過時間処理を表したフローチャートである。内蔵した時計ICをチェックし(s10)、日付が変わった場合は(s11)テレビの電源を入れた積算時間をリセットする(s12)。その後メイン処理動作に戻る。
【0018】
同図(B)は度数減算処理を示したフローチャートである。テレビの電源がオンされた場合(s13)、電源がオンされてからの時間を積算する(s14)。電源オン/オフは電流センサ6で検出する。電源がオンされて単位時間が経過した時は(s15)、所定の料率、すなわちカード利用可能度数から所定の減算値を減算する(s16)。その後、それぞれの料率設定で規定した時間範囲を超えた場合は(s17)、料率を変更する(s18)。料率設定で規定した時間範囲や、単位時間あたりの度数減算値については後に述べる料率設定テーブルによって判断し、変更する。その後はメイン処理に戻る。
【0019】
上記のように一旦テレビの電源を切った場合は時間の積算をせずに、再びテレビの電源を入れた場合に、前回までの積算された時間にさらに時間を積算していく。つまり連続視聴、間隔をあけた視聴に関わらず、累積した視聴時間によって料率を変更する。
【0020】
図5は料率設定テーブルを示した図である。料率設定テーブルは制御部4内のメモリに記憶されている。同図(A)は料率設定テーブルの例のひとつである。この設定ではテレビの電源を入れた時間が2時間以内のうちは1分経過毎に1度数の減算を行う。テレビの電源を入れた時間が2時間以上となった場合、以降は1分経過毎に0.5度数減算する。このようにテレビの視聴時間が所定の時間を超えると単位時間あたりの度数減算が少なくなり、長時間テレビを視聴する者の料金負担を減らすことができる。
【0021】
同図(B)は別の設定テーブルの例である。この設定ではテレビの電源を入れた時間が2時間以内のうちは1分経過毎に1度数の減算を行う。テレビの電源を入れた時間が2時間以上であった場合、2時間以降は1分経過毎に0.5度数減算する。さらにテレビの電源を入れた時間が4時間を越えた場合は1分経過毎に0.3度数減算を行う。このように料率を複数段階変更するようにしてもよい。
【0022】
同図(C)はさらに別の設定テーブルの例を示したものである。この設定ではテレビの電源を入れた時間が2時間以内のうちは1分経過毎に1度数の減算を行う。テレビの電源を入れた時間が2時間以上であった場合、2時間以降は1分経過毎に0.5度数減算する。さらにテレビの電源を入れた時間が4時間を越えた場合は1分経過毎に0度数減算、すなわち度数減算をしないようにする。このように無料視聴を可能とする設定にしてもよい。
【0023】
同図(D)はさらに別の設定テーブルの例を示したものである。この設定ではテレビの電源を入れた時間が2時間以内のうちは1分経過毎に1度数の減算を行う。テレビの電源を入れた時間が2時間以上であった場合、2時間以降は1分経過毎に0.5度数減算する。さらにテレビの電源を入れた時間が6時間を越えた場合は1分経過毎に1度数減算、つまり元の料率に戻る。このように視聴時間が長すぎる場合には元の料率に戻すようにしてもよい。
【0024】
上述した料率設定は任意に変更することができる。変更する方法は例えば、設定用の磁気カードまたはICカードに料率設定テーブルのコード区分を書き込んでおき、カードリーダライタ1で読み取り、設定する。また、タイマ装置内の基板上に設定条件を変更するためのディップスイッチを設けて設定するようにしてもよい。あるいは、設定条件を変更するための専用リモートコントローラを設けて、料率設定テーブルを発信して設定するようにしてもよい。
【0025】
なお、上述した料率は、カードの残利用度数等を表示する表示部3に表示されている。表示部3には現在の料率とテレビの電源を入れた積算時間が表示され、テレビを視聴する者が、後どのくらいの時間テレビ視聴をすれば料率変更されるのかを容易に判断できるようになっている。
【0026】
図6は別の実施形態のテレビカードタイマのブロック図である。この実施形態におけるテレビカードタイマも図1に示したテレビカードタイマと同様にテレビ右側面に固定して使用する。この実施形態におけるテレビカードタイマは、図2で示した時計IC7に代えてデータ記憶用のROM8を備えており、他の構成は図2におけるテレビカードタイマと同様である。ROM8は図5で示した料率設定テーブルを記憶している。制御部4内のメモリはテレビの電源を入れた積算時間を記憶し、さらに最初にテレビカードが挿入されてから24時間をカウントする。この実施形態のテレビカードタイマにおいても、図3に示したメイン処理、および図4(B)に示した度数減算処理を実行し、ROM8に記憶している料率設定テーブルに基づいて料率変更を行う。
【0027】
また、本実施形態におけるテレビカードタイマにおいても料率設定は任意に変更することができる。変更する方法は上述のように、設定用のカードに料率設定テーブルのコード区分を書き込んでおき、カードリーダライタ1で読み取る方法や、タイマ装置内の基板上に設定条件を変更するためのディップスイッチを設けて設定する方法、あるいは、設定条件を変更するための専用リモートコントローラを設けて、料率設定テーブルを発信して設定する方法等が考えられる。
【0028】
図7はこの実施形態におけるテレビカードタイマの経過時間処理を示したフローチャートである。制御部4はテレビカードが挿入されてからの時間をカウントする(s19)。最初にテレビカードが挿入されてから24時間が経過すると(s20)、テレビの電源を入れた積算時間をリセットし(s21)、24時間カウンタをリセットする(s22)。その後メイン処理動作に戻る。
【0029】
以上のように本実施形態におけるテレビカードタイマでは、テレビの電源をオンした積算時間が所定の時間を超えた後は単位時間毎の度数減算値を変更することで、長時間テレビを視聴するユーザの負担を低減することができる。減算値とそれぞれの時間範囲設定は任意に変更することができ、テレビカードタイマ運用者が意図する設定にすることができる。さらに、現在の料率やテレビを視聴した総時間をテレビカードタイマ前面に表示するため、ユーザが後どのくらいの時間視聴すれば料率変更されるのかを容易に判断できるようになっている。また、時計ICを内蔵して日付が変わる毎に元の度数減算率に変更する、あるいは、24時間カウンタを内蔵し最初にカードを挿入してから24時間毎に元の度数減算率に変更することで優遇する時間を一日単位に収めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】テレビカードタイマをテレビに接続した全体図
【図2】テレビカードタイマのブロック図
【図3】テレビカードタイマ全体のメイン処理を示したフローチャート
【図4】経過時間処理と度数減算処理を示したフローチャート
【図5】料率設定テーブル
【図6】別の実施形態におけるテレビカードタイマのブロック図
【図7】別の実施形態におけるテレビカードタイマの経過時間処理を示したフローチャート
【符号の説明】
【0031】
1−カードリーダライタ
2−取り出しボタン
3−表示部
4−制御部
5−電源制御リレー
6−電流センサ
7−時計IC
8−ROM
100−テレビカードタイマ
101−カード挿入口
102−リモコン
103−テレビ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用可能度数が記録された記録媒体が挿入され、当該記録媒体の記録データを読み書きするリーダライタと、
電気機器に対する電源の接続をオン/オフするスイッチ手段と、
電気機器に電源が接続されているとき、電気機器が稼動しているか否かを検出するセンサ手段と、
リーダライタに利用可能度数の残が有る記録媒体が挿入されたときスイッチ手段をオンし、記録媒体に利用可能度数の残が無くなったときスイッチ手段をオフするスイッチ制御手段と、
電気機器が稼動している単位時間毎に所定の度数減算値を前記記録媒体の利用可能度数から減算する度数減算手段と、
を備えたタイマ装置であって、
前記電気機器の稼働時間を積算する積算手段と、
前記稼働時間の複数の時間範囲の各時間範囲に対応する度数減算値とを記憶したテーブルが設定される記憶手段と、
前記度数減算手段に対して、前記積算手段が積算している稼働時間が属する時間範囲に対応する度数減算値を設定する度数減算値設定手段と、
日付が変わったとき、または、前記スイッチ手段をオンしたのち一定時間が経過する毎に、前記積算手段が積算する稼動時間をリセットするリセット手段と、
を備えたことを特徴とするタイマ装置。
【請求項2】
前記記憶手段に前記テーブルを設定する設定手段を備えた請求項1に記載のタイマ装置。
【請求項3】
積算された前記電気機器の稼働時間、および度数減算値を表示する表示部を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のタイマ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−20229(P2006−20229A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−198228(P2004−198228)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(000177346)三和ニューテック株式会社 (35)
【Fターム(参考)】