説明

タイヤ、及び、タイヤの製造方法

【課題】タイヤ骨格部材が樹脂材料で形成されている場合でも、リム組みされた状態での内圧保持性能の高いタイヤ、及び、このタイヤの製造方法を提供する。
【解決手段】タイヤ骨格部材17のビード部12の表面には、リム20のビードシート部21、及びリムフランジ22に当接するように、チェーファー24が形成されている。チェーファー24は、少なくとも、ビード部12の表面で、リム20のビードシート部21及びリムフランジ22に当接する位置に形成されており、リム20にタイヤ10が組み付けられると、リム20に密着してタイヤ10内の気体充填空間を密閉する。チェーファー24の弾性率は、タイヤ骨格部材17の弾性率よりも低くなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくともビード部を構成する樹脂材料からなるタイヤ骨格部材を備えたタイヤ、及び、このタイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ゴム、有機繊維材料、及びスチール部材で形成されているタイヤが知られている。近年、軽量化、生産性、リサイクルのし易さの観点から、熱可塑性エラストマー(TPE)や熱可塑性樹脂等の熱可塑性高分子材を、タイヤ骨格部材とすることが求められている。また、軽量化の観点からは、熱硬化性樹脂材料をタイヤ骨格部材とすることが求められている。このため、例えば特許文献1には、熱可塑性エラストマーでビードコアを覆ってタイヤ骨格部材を形成することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平03−143701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、熱可塑性材料自体の剛性が高いので、リムフィット性が充分でない。このため、タイヤをリム組みしてタイヤ内に気体(空気)を充填しても、必要な内圧を長時間にわたって維持することが難しいという問題がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して成されたものであり、タイヤ骨格部材が熱可塑性材料で形成されている場合でも、リム組みされた状態での内圧保持性能の高いタイヤ、及び、このタイヤの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明のタイヤは、樹脂材料からなり、少なくともビード部を有するタイヤ骨格部材と、前記タイヤ骨格部材の少なくとも前記ビード部のリムとの密着部に設けられ、前記タイヤ骨格部材よりも弾性率が低い樹脂材料からなるチェーファーと、を備えている。
【0007】
ここで、本願の樹脂材料は、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、熱硬化性樹脂等をいい、加硫ゴムを含まない材料である。なお、熱可塑性材料には、電子線架橋、紫外線架橋によって硬化する熱可塑性材料を含んでいる。
また、樹脂材料からなるチェーファーについても、同様に、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、熱硬化性樹脂等を主たる材料とするチェーファーをいい、通常のゴム製タイヤでいうところの、一般的なゴムチェーファーに対応するものである。なお、チェーファーを構成する材料と、タイヤ骨格部材を構成する材料は、同種の材料であってもよいし、異種の材料であってもよい。
【0008】
請求項1に記載の発明では、タイヤのリム組み(タイヤとリムとの組み付け)を行うと、チェーファーがリムに密着し、タイヤ内に気体充填空間が構成される。チェーファーは、タイヤ骨格部材よりも弾性率が低いので、タイヤ骨格部材自体をリムに密着させた場合と比較して、チェーファーとリムとの密着部分におけるシール性が高くなる。したがって、タイヤ(ビード部)とリムとの間からは、気体充填空間内に充填された気体(空気)が抜け難いので、リム組みされた状態でのタイヤの内圧保持性能を向上させることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明のタイヤは、前記チェーファーの弾性率が、0.5Mpa以上、50Mpa以下であること、を特徴とする。
【0010】
チェーファーの弾性率が0.5Mpa未満の場合には、リムに密着する部分の圧縮クリープ性が充分でなく、リムとの間に隙間ができてしまうことが考えられ、チェーファーの弾性率が50Mpa超の場合には、リムに密着する部分の圧縮変形が充分に得られず、リムとの間に隙間ができてしまうことが考えられるため、チェーファーの弾性率は、0.5Mpa以上、50Mpa以下であることが好ましい。
【0011】
請求項3に記載の発明のタイヤは、前記チェーファーが、サイド部にまで延びていること、を特徴とする。
【0012】
ここで、本明細書でのサイド部とは、ビード部からトレッド端までのことをいう。ここで、トレッド端とは、タイヤをJATMA YEAR BOOK(2009年度版、日本自動車タイヤ協会規格)に規定されている標準リムに装着し、JATMA YEAR BOOKでの適用サイズ・プライレーティングにおける最大負荷能力(内圧−負荷能力対応表の太字荷重)に対応する空気圧(最大空気圧)の100%を内圧として充填し、最大負荷能力を負荷したときのタイヤ幅方向最外の接地部分を指す。なお、使用地又は製造地においてTRA規格、ETRTO規格が適用される場合は各々の規格に従う。
【0013】
このように、チェーファーをサイド部まで延出させることにより、ビード部からサイド部に至る部分を保護することができ、縁石こすりなどによるタイヤ骨格部材の損傷を抑制することができる。なお、トレッド近くやトレッド内側にまでチェーファーが延びていてもよい。
【0014】
請求項4に記載の発明のタイヤは、前記チェーファーの前記サイド部に対応する部分の厚みは、0.2mm以上、4.0mm以下であること、を特徴とする。
【0015】
チェーファーのサイド部に対応する部分の厚みが、0.2mm未満の場合には、縁石こすりなどによるタイヤ骨格部の損傷に対する保護効果が少なく、4.0mm超の場合には、タイヤの重量増加を招いてしまうため、チェーファーのサイド部に対応する部分の厚みは、0.2mm以上、4.0mm以下であることが好ましい。
【0016】
請求項5に記載の発明のタイヤは、前記チェーファーが、前記ビード部の前記気体充填空間内側まで延びていること、を特徴とする。
【0017】
このように、チェーファーをビード部の気体充填空間内側まで延出させることにより、ビード部のタイヤ外側にだけチェーファーを設けた場合に比べ、リム組み時に、チェーファーのエッジのめくれを抑制することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明のタイヤの製造方法は、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のタイヤの製造方法であって、樹脂材料からなり、少なくともビード部を構成するタイヤ骨格部材を成形し、チェーファー形成用金型内のキャビティに、前記タイヤ骨格部材の少なくとも前記ビード部を収容すると共に、前記チェーファー形成用金型の分割面を非閉止状態として前記タイヤ骨格部材よりも弾性率が低い樹脂材料からなるチェーファー用材料を前記チェーファー形成用金型内に射出し、前記チェーファー形成用金型を完全閉止して前記射出されたチェーファー用材料を圧縮して、チェーファーを形成するものである。
【0019】
本発明のタイヤの製造方法では、まず、タイヤ骨格部材を成形し、このタイヤ骨格部材の少なくともビード部をチェーファー形成用金型内のキャビティに収容する。このとき、チェーファー形成用金型の分割面は非閉止状態としておく。ここで、分割面が非閉止状態とは、分割されたチェーファー形成用金型が、分割面でわずかに開いている状態をいい、0.1mm〜4.0mm程度の開きを意味する。
【0020】
次に、タイヤ骨格部材よりも弾性率が低いチェーファー用材料を、チェーファー形成用金型内に射出する。そして、チェーファー形成用金型を完全閉止して、射出されたチェーファー用材料を圧縮して、チェーファーを形成する。
【0021】
このように、射出後にチェーファー用材料を圧縮して、チェーファーを形成することにより、チェーファー用材料の分子配向を生じにくくすることができる。また、形成されるチェーファーの残留応力、変形も減少させることができる。
【0022】
請求項7に記載の発明のタイヤの製造方法は、前記ビード部を前記チェーファー形成用金型内に収容する際に、前記チェーファー形成用金型内のキャビティに、前記ビード部に接して前記ビード部の位置を保持する保持治具を配置すること、を特徴とする。
【0023】
このように、保持治具でタイヤ骨格部材のビード部を保持することにより、チェーファー用材料の射出時に、ビード部のキャビティ内での位置ずれを防止することができる。
【0024】
請求項8に記載の発明のタイヤの製造方法は、前記チェーファー用材料の射出後、前記チェーファー形成用金型の完全閉止前に、前記保持治具を前記キャビティ内から退場させること、を特徴とする。
【0025】
このように、保持治具をキャビティ内から退場させた後に、チェーファー形成用金型を完全閉止すると、キャビティ内に射出されたチェーファー用材料が圧縮され、保持治具が配置されていた部分に入り込む。これにより、保持治具が配置されていた部分についても、穴をあけることなく、チェーファーを形成することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、タイヤ骨格部材が樹脂材料で形成されていても、内圧保持性能の高いタイヤを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施形態に係る、(A)は空気入りタイヤの断面図であり、(B)は空気入りタイヤをリムに装着したときの部分拡大斜視断面図である。
【図2】第1実施形態で用いる金型で、(A)はビードコアに当接するジグが設けられた位置での断面図であり、(B)はビードコアに当接するジグが設けられていない位置での部分拡大断面図である。
【図3】第1実施形態で形成したタイヤ骨格部材で、(A)はビードコアが埋設されている状態の部分斜視図であり、(B)はビードコアを描かないで示した部分斜視図である。
【図4】第1実施形態で形成したタイヤ骨格部材の、(A)はタイヤ内側から見た側面図であり、(B)は(A)の部分拡大図である。
【図5】第1実施形態の、分割状態にあるチェーファー用金型の断面図である。
【図6】第1実施形態のチェーファー用金型にタイヤ骨格部材半体をセットした状態を示す断面図である。
【図7】第1実施形態のチェーファー用金型が非閉止されている状態を示す断面図である。
【図8】第1実施形態のチェーファー用金型にチェーファー用樹脂が注入されている状態を示す断面図である。
【図9】第1実施形態のチェーファー用金型が完全閉止されている状態を示す断面図である。
【図10】第1実施形態のチェーファー用金型を開いて、タイヤ骨格部材半体を取り出し可能な状態を示す断面図である。
【図11】第1実施形態のチェーファーが形成されたタイヤ骨格部材半体の斜視図である。
【図12】第1実施形態のビード構成部分の凹凸例(A)〜(C)を示す断面図である。
【図13】第2実施形態に係る、(A)は空気入りタイヤの断面図であり、(B)は空気入りタイヤをリムに装着したときの部分拡大斜視断面図である。
【図14】第2実施形態のチェーファー用金型にタイヤ骨格部材半体をセットした状態を示す断面図である。
【図15】第2実施形態のチェーファー用金型が非閉止されている状態を示す断面図である。
【図16】第2実施形態のチェーファー用金型にチェーファー用樹脂が注入されている状態を示す断面図である。
【図17】第2実施形態のチェーファー用金型が完全閉止されている状態を示す断面図である。
【図18】第2実施形態のチェーファー用金型を開いて、タイヤ骨格部材半体を取り出し可能な状態を示す断面図である。
【図19】第2実施形態のチェーファーが形成されたタイヤ骨格部材半体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、実施形態を挙げ、本発明の実施の形態について説明する。
【0029】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態について説明する。図1(A)(B)に示すように、本実施形態の空気入りタイヤ10は、リム20のビードシート部21及びリムフランジ22に接触する1対のビード部12と、ビード部12からタイヤ径方向外側に延びるサイド部14と、一方のサイド部14のタイヤ径方向外側端と他方のサイド部14のタイヤ径方向外側端とを連結するクラウン部16と、を有するタイヤ骨格部材17を備えている。
【0030】
タイヤ骨格部材17は、環状とされており、樹脂材料で形成されている。樹脂材料としては、ゴム様の弾性を有する熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー(TPE)、熱硬化性樹脂等を用いることができる。本実施形態では、タイヤ骨格部材17が、樹脂材料の1つである熱可塑性材料で形成される場合について説明する。
【0031】
タイヤ骨格部材17は、一つのビード部12、一つのサイド部14、及び半幅のクラウン部16が一体としてモールド等で成形された同一形状の円環状のタイヤ骨格部材半体17Aを互いに向かい合わせてタイヤ赤道面部分で接合することで形成されている。なお、タイヤ骨格部材17は、2つの部材を接合して形成するものに限らず、3以上の部材を接合して形成してもよく、1対のビード部12、1対のサイド部14、及びクラウン部16を一体で成形したものであってもよい。また、タイヤ骨格部材17(例えば、ビード部12、サイド部14、クラウン部16等)に、補強材(高分子材料や金属製の繊維、コード、不織布、織布等)を埋設配置し、補強材でタイヤ骨格部材17を補強してもよい。
【0032】
熱可塑性材料からなるタイヤ骨格部材半体17Aは、例えば、真空成形、圧空成形、インジェクション成形、メルトキャスティング等で成形することができ、ゴムで成形(加硫)する場合に比較して、製造工程を大幅に簡略化でき、成形時間も短縮可能である。
【0033】
また、本実施形態では、タイヤ骨格部材半体17Aは左右対称形状、即ち、一方のタイヤ骨格部材半体17Aと他方のタイヤ骨格部材半体17Aとが同一形状とされているので、タイヤ骨格部材半体17Aを成形する金型が1種類で済むメリットも有している。
【0034】
なお、タイヤ骨格部材17は、単一の熱可塑性材料で構成されていても、従来一般のゴム製の空気入りタイヤと同様に、タイヤ骨格部材17の各部位毎(サイド部14、クラウン部16、ビード部12など)に異なる特徴を有する熱可塑性材料を用いてもよい。
【0035】
熱可塑性材料としては、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー(TPE)等を用いることができる。なお、走行時に必要とされる弾性と製造時の成形性等を考慮すると、熱可塑性エラストマーを用いることが好ましい。
【0036】
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、JIS K6418に規定されるアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、エステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、熱可塑性ゴム架橋体(TPV)、若しくはその他の熱可塑性エラストマー(TPZ)等が挙げられる。
【0037】
また、熱可塑性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
【0038】
また、上記の熱可塑性材料としては、例えば、ISO75−2又はASTM D648に規定されている荷重たわみ温度(0.45MPa荷重時)が78℃以上、JIS K7113に規定される引張降伏強さが10MPa以上、同じくJIS K7113に規定される引張破壊伸び(JIS K7113)が50%以上。JIS K7206に規定されるビカット軟化温度(A法)が130℃であるものを用いることができる。
また、タイヤ骨格部材17を熱硬化性樹脂で形成する場合には、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、等を用いることができる。
【0039】
タイヤ骨格部材17のビード部12には、従来からある一般の空気入りタイヤと同様の、スチールコードからなる円環状のビードコア18が埋設されている。なお、ビード部12の剛性が確保され、リム20との嵌合に問題なければビードコア18は省略しても良い。また、ビードコア18は、有機繊維コード、有機繊維が樹脂被覆されたコード等、スチール以外のコードで形成されていても良く、更には、ビードコア18がコードではなく硬質樹脂で射出成形などで形成されたものであってもよい。
【0040】
タイヤ骨格部材17のクラウン部16には、螺旋状に巻回されたスチールのコード26からなるクラウン部補強層28が埋設されている。なお、コード26は、全体がクラウン部16に埋設されていても良く、一部分がクラウン部16に埋設されていても良い。このクラウン部補強層28は、従来のゴム製の空気入りタイヤのカーカスの外周面に配置されるベルトに相当するものである。
【0041】
クラウン部補強層28の外周側には、サイド部14を形成している熱可塑性材料よりも耐摩耗性に優れたゴムからなるトレッドゴム層30が配置されている。トレッドゴム層30に用いるゴムは、従来のゴム製の空気入りタイヤに用いられているゴムと同種のゴムを用いることが好ましい。なお、サイド部14を形成している熱可塑性材料よりも耐摩耗性に優れる他の種類の熱可塑性材料からなるトレッド層を外周部に設けても良い。
【0042】
タイヤ骨格部材17のビード部12の表面には、リム20のビードシート部21、及びリムフランジ22に当接するように、チェーファー24が形成されている。チェーファー24は、少なくとも、ビード部12の表面で、リム20のビードシート部21及びリムフランジ22に当接する位置に形成されており、リム20にタイヤ10が組み付けられると、リム20に密着してタイヤ10内の気体充填空間を密閉する。
【0043】
チェーファー24を構成するチェーファー用材料は、タイヤ骨格部材17を構成する材料よりもシール性に優れた樹脂材料とされている。樹脂材料としては、ゴム様の弾性を有する熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー(TPE)、熱硬化性樹脂等を用いることができる。チェーファー24の弾性率は、タイヤ骨格部材17の弾性率よりも低くなっている。これにより、タイヤ骨格部材17の剛性を維持しつつ、リム20との間を適切にシールすることができる。
【0044】
なお、チェーファー24弾性率は、0.5Mpa以上、50Mpa以下であることが好ましい。チェーファー24の弾性率が0.5Mpa未満の場合には、リム20に密着する部分の圧縮クリープ性が充分でなく、リムとの間に隙間ができてしまうことが考えられ、チェーファー24の弾性率が50Mpa超の場合には、リム20に密着する部分の圧縮変形が充分に得られず、リム20との間に隙間ができてしまうことが考えられるためである。
【0045】
また、チェーファー24の弾性率は、タイヤ骨格部材17の弾性率の70%以下であることがより好ましい。そして、チェーファー24の弾性率は、タイヤ骨格部材17の弾性率の50%以下であることが更に好ましく、また、チェーファー24を構成するチェーファー用材料として耐磨耗性が優れた樹脂を用いる場合には、25%以下であることがより好ましい。
【0046】
チェーファー24用の熱可塑性材料としてはオレフィン系、エステル系、アミド系、もしくはウレタン系のTPEか、一部ゴム系の樹脂を混練してあるTPVであることが好ましい。これらのチェーファー24用の熱可塑性材料としては、例えば、ISO75−2又は ASTM D648 に規定される荷重たわみ温度(0.45MPa荷重時)が75℃以上、同じく JIS K7113 に規定される引張降伏伸びが10%以上、同じく JIS K7113 に規定される引張破壊伸びが50%以上、JIS K7113 に規定されるビカット軟化温度(A法)が130℃以上であることが好ましい。
また、チェーファー24用の熱硬化性樹脂としてはフェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、等を用いることができる。
【0047】
次に、本実施形態に係るタイヤ10の製造方法について説明する。本実施形態では、射出成形によってタイヤ骨格部材半体17A(図2〜図5参照)を形成し、次に、タイヤ骨格部材半体17Aにチェーファー用材料を射出成形してチェーファー24を製造し、その後、2つのタイヤ骨格部材半体17Aを互いに向かい合わせてタイヤセンターで接合する。ここでは、熱可塑性材料で形成されたチェーファー24を例にして説明する。
【0048】
タイヤ骨格部材半体17Aの製造には、図2に示すような金型40を用いる。この金型40は、ビード部12(図3参照)からタイヤセンターCL(図3参照)までを構成するタイヤ骨格部材半体17Aを成形することができるように、タイヤ外面側を成形する外金型42と、タイヤ内面側を成形する内金型44とを有する。内金型44にはビードコア固定用のジグ46が、予め設定された位置に設けられている。外金型42と内金型44との間には、タイヤ骨格部材形状のキャビティS(空間)が形成されている。
【0049】
このジグ46には、ビードコア18の寸法に応じた凹部47が形成されており、ビードコア18が金型40内に配置されたときには、ビードコア18の一部がこの凹部47に入ってタイヤ内側から支えられた状態となる。この結果、ビードコア18は、タイヤ内側方向への移動が規制されるとともに上下方向(タイヤ径方向)の移動も規制された状態となる。ジグ46は、本実施形態では、ビードコア収容位置に沿って均等間隔で12個配置されている。
【0050】
なお、ジグ46はマグネット材で形成することにより、ビードコア18をスチール等の磁性体で形成した場合には、磁力により接着させて確実に固定することができる。
【0051】
図3に示すように、ジグ46のビードコア18へのタイヤ周方向に沿った当接長さL、すなわち、タイヤ骨格部材半体17Aのタイヤ内側に形成された、熱可塑性材料の存在しない領域Aのタイヤ周方向に沿った長さLは、20mm以下であることが好ましい。これにより、破壊核の発生懸念を小さくすることができる。
【0052】
なお、ジグ46のビードコア18へのタイヤ周方向に沿った当接長さLが15mm以下であると、タイヤ骨格部材半体17Aに応力集中がより生じ難い。そして、この長さLが5mm以下であると、この効果をより更に得易い。また、この当接長さLは、ジグ46の強度上の観点で少なくとも1mm以上であることが好ましい。
【0053】
また、金型40のゲート(樹脂注入路)48は、ビードコア18が凹部47に入った状態でビードコア18のタイヤ外側を溶融状態の熱可塑性高分子材料が通過するように、形成されている。熱可塑性高分子材料は、例えば熱可塑性エラストマー(TPE)や熱可塑性樹脂である。
【0054】
ゲート48はリング状に開口したディスクゲートであり、キャビティSはリング状のゲート48に連通して中空円盤状に広がるように形成されている。なお、ゲート48はピンゲートであってもよいが、成形性の観点で、このようにディスクゲートのほうが好ましい。
【0055】
本実施形態では、まず、金型40を開き、ビードコア18のタイヤ内側部をジグ46の凹部47に入れ、金型40を閉じる。そして、ゲート48から溶融した熱可塑性材料を金型40内に注入して射出成形して、図4(A)(B)に示すような、タイヤ骨格部材半体17Aを形成する。
【0056】
この注入の際、ジグ46が設けられた位置では、熱可塑性材料は、ゲート48からビードコア18と外金型42との間を経由するように注入されるので、ビードコア18がタイヤ外側からタイヤ内側に向けて押圧される。従って、ビードコア18が受ける移動力をジグ46で充分に支えることができる。よって、ビードコア18の位置ずれを防止するためのジグ46をビードコア18にタイヤ外側から当接させない状態にして、溶融した熱可塑性材料を注入することが可能になる。
【0057】
次に、上記のようにして製造されたタイヤ骨格部材17のビード部12の表面に、チェーファー24を形成する。チェーファー24の製造には、図5に示すようなチェーファー形成用金型70を用いる。
【0058】
チェーファー形成用金型70は、外金型72、チェーファー部金型73、及び、内金型74で構成されており、チェーファー部金型73にはチェーファー用材料を注入するゲート78が形成されている。ゲート78は、タイヤ骨格部材半体17Aのビード部12のタイヤ径方向内側からチェーファー用材料を注入するように構成されている。ゲート78としては、ピンゲートをタイヤ骨格部材半体17Aの周方向に多点設けてもよいし、リング状に開口したディスクゲートを用いてもよい。
【0059】
外金型72の内金型74との分割部分には、凹部72Aが構成され、内金型74の外金型72との分割部分には、凸部74Aが構成されている。外金型72と内金型74とは、凹部72Aへ凸部74Aが嵌め込まれて閉止される。
【0060】
チェーファー部金型73の内金型74との分割部分には、凸部73Aが構成され、内金型74のチェーファー部金型73との分割部分には、凹部74Bが構成されている。チェーファー部金型73と内金型74とは、凹部74Bへ凸部73Aが嵌め込まれて閉止される。
【0061】
タイヤ骨格部材半体17Aをチェーファー形成用金型70内に収容して完全閉止すると、図9に示すように、チェーファー部金型73とタイヤ骨格部材半体17Aの間に、ゲート78に連通した設定形状のチェーファー24を形成するスペースZ1が形成される構造になっている。
【0062】
なお、チェーファー形成用金型70には、キャビティ内にチェーファー用材料が注入されたときに、キャビティ内の空気を追い出すためのガス抜き孔(図示せず)が形成されている。
【0063】
チェーファー24を形成するには、まず、図6に示すように、内金型74にタイヤ骨格部材半体17Aをセットする。次に、図8に示すように、外金型72の凹部72Aへ内金型74の凸部74Aを嵌め込んで、内金型74と外金型72を閉止する。そして、チェーファー部金型73の凸部73Aを内金型74の凹部74Bへ係合させ、チェーファー部金型73と内金型74の分割面の間に隙間Mが構成される位置に配置する。隙間Mは、0.1mm〜4.0mm程度とされている。すなわち、チェーファー形成用金型70のチェーファー部金型73と内金型74の間を非閉止状態にしておき、チェーファー形成用金型70内にキャビティC1を構成する。
【0064】
この状態で、図8に示すように、ゲート78からキャビティC1内へチェーファー用材料を注入する。このとき、チェーファー用材料は、キャビティC1に沿って注入されているので、注入時にビード部12が内金型74から浮き上がる移動を抑制することができる。
【0065】
所定量のチェーファー用材料の注入を行った後、チェーファー部金型73と内金型74の分割面を当接させて、チェーファー形成用金型70を完全閉止状態にする。これにより、図9に示すように、キャビティC1が縮小されてスペースZ1となり、チェーファー用材料が圧縮され、チェーファー24が形成される。その後、図10に示すように、チェーファー形成用金型70内からタイヤ骨格部材半体17Aを取り出す。これにより、図11に示すタイヤ骨格部材半体17Aが形成される。
【0066】
このように、射出後に、チェーファー形成用金型70をわずかに開いておき、チェーファー用材料を射出した後に閉じることにより、チェーファー用材料を厚みの薄いキャビティ内へ充填することができる。
【0067】
また射出後にチェーファー用材料を圧縮することにより、チェーファー用材料の分子配向が起こり難くなり、残留応力も減少し、変形も少なくすることができる。
【0068】
次に、このチェーファー24が形成された2つのタイヤ骨格部材半体17Aを、互いに向かい合わせにタイヤセンターで突き当て、溶接用熱可塑性材料19(図1参照)を接合部位に向けて押出して、2つのタイヤ骨格部材半体17Aを接合する。これにより、ビード部12にチェーファー24が形成されたタイヤ骨格部材17(図1参照)が製造される。
【0069】
なお、本実施形態では、チェーファー24の形成後に 2つのタイヤ骨格部材半体17Aの接合を行ったが、2つのタイヤ骨格部材半体17Aの接合を先に行い、その後にチェーファー24を形成してもよい。
【0070】
その後、タイヤ骨格部材17を回転装置で回転させつつ、コード供給装置(図示せず)から排出された加熱されたコード26をタイヤ骨格部材17の外周面に螺旋状に巻き付けてクラウン部補強層28を形成する。コード26をタイヤ骨格部材17の外周面に螺旋状に巻き付けるには、タイヤ骨格部材17を回転させながら、コード供給装置をタイヤ骨格部材17の軸方向に移動させれば良い。
【0071】
なお、タイヤ骨格部材17を構成する熱可塑性材料の融点よりもコード26を高温に加熱(例えば、コード26の温度を100〜200°C程度に加熱)することで、コード26が接触した部分の熱可塑性材料が溶融し、タイヤ骨格部材17の外周面にコード26の一部または全体を埋設することができる。コード26の埋設量は、コード26の温度、コード26に作用させるテンション等によって調整することができる。
【0072】
その後、路面に接する部位にゴム材(トレッドゴム30。図1参照)を貼り付けて、耐摩耗性、耐破壊性を向上させたタイヤ10が製造される。
【0073】
以上説明したように、本実施形態では、樹脂材料からなるタイヤ骨格部材17のビード部12の表面に、タイヤ骨格部材17よりも弾性率が低いチェーファー24が形成されている。したがって、タイヤ骨格部材17の剛性を維持しつつ、チェーファー24をリムに密着させて気体充填空間内の空気を抜け難くし、タイヤ10の内圧保持性を向上させることができる。
【0074】
なお、タイヤ骨格部材半体17Aのビード部12の表面とチェーファー24との接合強度を上げるために、ビード部12の表面を凹凸形状にしてアンカー効果(アンカーを下ろしたように強固に噛み合っている効果)が得られるようにしてもよい。
【0075】
例えば、図12(A)に示すように、根元側よりもチェーファー側のほうが径の大きい逆円錐台状の凸部12Xが配列されたビード部構成部分12Mとしてもよい。なお、図12(B)に示すように、チェーファー側が単に凹凸状12Yであるビード部構成部分12Mとしても、図12(C)に示すように、チェーファー側が断面湾曲凹状12Zであるビード部構成部分12Mとしても、アンカー効果が得られる。
【0076】
このようなアンカー効果を得るための凹凸の深さは、2mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましい。2mmよりも深いと、成形品の強度が落ちることが考えられる。また、凹凸の深さが0.05mmよりも浅いと、充分なアンカー効果を得にくい。
【0077】
このような凹凸形状を形成するには、金型40の成形面に予め対応する凹凸形状を形成しておけばよい。
【0078】
また、タイヤ骨格部材半体17Aのビード部12の表面とチェーファー24との接合強度を上げるために、タイヤ骨格部材半体17Aのチェーファー24を形成する部位の表面に1層或いは2層の接着剤層を塗布してもよい。この場合、接着剤を塗布する部位の表面をサンドペーパーなどでバフ研磨しておくと接着力が向上する。また、接着力を向上させるためには、接着剤を塗布した後にある程度乾燥させておくことが好ましい。このため、接着剤を塗布する際には、湿度70%以下の雰囲気で行うことが好ましい。接着剤としては、例えばトリアジンチオール系のものであるが、塩化ゴム系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、イソシアネート系接着剤、ハロゲン化ゴム系接着剤など、特に制限はない。
【0079】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態と同様の部分については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。本実施形態のタイヤ90は、チェーファーの構成のみが第1実施形態と異なり、その他の構成は第1実施形態と同一である。
【0080】
図13に示すように、本実施形態のチェーファー80は、ビード部12の内側でタイヤ内側(タイヤ内面)にまで延び、かつ、ビード部12の外側でサイド部14まで延びている。
【0081】
チェーファー80を、ビード部12のタイヤ内側(タイヤ内面)にまで延出することにより、ビード部12のタイヤ外側にだけチェーファー24を設けた場合に比べ、リム組み時におけるチェーファー80のエッジがめくれを抑制することができる。
【0082】
また、チェーファー80を、ビード部12の外側でサイド部14まで延出することにより、縁石などによってタイヤ10のサイド部14が損傷することを抑制することができる。なお、チェーファー80は、トレッド近くやトレッド内側にまで延びていてもよい。
チェーファー80のサイド部14に対応する部分の厚みは、0.2mm以上、4.0mm以下であることが好ましい。0.2mm未満の場合には、縁石こすりなどによるタイヤ骨格部の損傷に対する保護効果が少なく、2.0mm超の場合には、タイヤの重量増加を招いてしまうためである。
【0083】
なお、チェーファー80の弾性率、材料については、第1実施形態のチェーファー24と同様のものを用いることができる。
【0084】
次に、本実施形態に係るタイヤ90の製造方法について説明する。本実施形態では、第1実施形態と同様に、射出成形によってタイヤ骨格部材半体17Aを形成し、次に、タイヤ骨格部材半体17Aにチェーファー用材料を射出成形してチェーファー80を製造し、その後、2つのタイヤ骨格部材半体17Aを互いに向かい合わせてタイヤセンターで接合する。
【0085】
チェーファー24の製造には、図14に示すようなチェーファー形成用金型90を用いる。
チェーファー形成用金型90は、外金型92、チェーファー部金型93、及び、内金型94で構成されており、チェーファー部金型93にはチェーファー用材料を注入するゲート98が形成されている。ゲート98は、タイヤ骨格部材半体17Aのビード部12のタイヤ径方向内側からチェーファー用材料を注入するように構成されている。ゲート98としては、ピンゲートをタイヤ骨格部材半体17Aの周方向に多点設けてもよいし、リング状に開口したディスクゲートを用いてもよい。
【0086】
外金型92の内金型94との分割部分には、凹部92Aが構成され、内金型94の外金型92との分割部分には、凸部94Aが構成されている。外金型92と内金型94とは、凹部92Aへ凸部94Aが嵌め込まれて閉止される。
【0087】
チェーファー部金型93の内金型94との分割部分には、凸部93Aが構成され、内金型94のチェーファー部金型93との分割部分には、凹部94Bが構成されている。チェーファー部金型93と内金型94とは、凹部94Bへ凸部93Aが嵌め込まれて閉止される。
【0088】
タイヤ骨格部材半体17Aをチェーファー形成用金型90内に収容して完全閉止すると、図17に示すように、チェーファー部金型93とタイヤ骨格部材半体17Aの間に、ゲート98に連通した設定形状のチェーファー80を形成するスペースZ2がキャビティ内に形成される構造になっている。
【0089】
なお、チェーファー形成用金型70には、キャビティ内にチェーファー用材料が注入されたときに、キャビティ内の空気を追い出すためのガス抜き孔(図示せず)が形成されている。
【0090】
また、チェーファー形成用金型90には、押圧治具96が設けられている。押圧治具96は、チェーファー部金型93側からスペースZ1へ突出して、タイヤ骨格部材半体17Aのビード部12を内金型94へ押圧可能とされている。また、押圧治具96は、スペースZ1から退避してチェーファー部金型93内に収容されるように移動可能とされている。押圧治具96は、ピン形状とされ、チェーファー部金型93の周方向に沿って所定間隔で複数箇所に設けられている。
【0091】
チェーファー80を形成するには、まず、図14に示すように、内金型94にタイヤ骨格部材半体17Aをセットする。次に、図15に示すように、外金型92の凹部92Aへ内金型94の凸部94Aを嵌め込んで、内金型94と外金型92を閉止する。そして、チェーファー部金型93の凸部93Aを内金型94の凹部94Bへ係合させ、チェーファー部金型93と内金型94の分割面の間に隙間Mが構成される位置に配置する。すなわち、チェーファー形成用金型90のチェーファー部金型93と内金型94の間を非閉止状態にしておき、チェーファー形成用金型90内にキャビティC2を構成する。そして、押圧治具96で、タイヤ骨格部材半体17Aのビード部12を内金型94へ向かって押圧する。
【0092】
この状態で、図16に示すように、ゲート98からキャビティC2内へチェーファー用材料を注入する。このとき、タイヤ骨格部材半体17Aのビード部12は、押圧治具96で内金型94へ押しつけられているので、ビード部12が内金型94から浮き上がる移動を抑制することができる。
【0093】
所定量のチェーファー用材料の注入を行った後、図17に示すように、押圧治具96をチェーファー部金型93内に退避させる。そして、チェーファー部金型93と内金型94の分割面を当接させて、チェーファー形成用金型90を完全閉止状態にする。これにより、図17に示すように、キャビティC2が縮小されてスペースZ2となり、チェーファー用材料が圧縮され、チェーファー80が形成される。その後、図18に示すように、チェーファー形成用金型90内からタイヤ骨格部材半体17Aを取り出す。これにより、図19に示すタイヤ骨格部材半体17Aが形成される。
【0094】
このように、射出後に、チェーファー形成用金型90をわずかに開いておき、チェーファー用材料を射出した後に閉じることにより、チェーファー用材料を厚みの薄いキャビティ内へ充填することができる。
【0095】
また射出後にチェーファー用材料を圧縮することにより、チェーファー用材料の分子配向が起こり難くなり、残留応力も減少し、変形も少なくすることができる。
【0096】
さらに、押圧治具96を用いて、タイヤ骨格部材半体17Aのビード部12を内金型94へ押しつけているので、ビード部12が内金型94から浮き上がる移動を抑制することができる。
【0097】
また、押圧治具96を退避させた後に、チェーファー形成用金型90を閉じてチェーファー用材料を圧縮することにより、押圧治具96の配置されていた部分にもチェーファー用材料を充填させることができる。
【0098】
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施でき、製造工程の順序を適宜変更することが可能である。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0099】
10 タイヤ
12 ビード部
14 サイド部
17 タイヤ骨格部材
17A タイヤ骨格部材半体
18 ビードコア
20 リム
21 ビードシート部
22 リムフランジ
24 チェーファー
70 チェーファー形成用金型
80 チェーファー
90 タイヤ
90 チェーファー形成用金型
96 押圧治具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂材料からなり、少なくともビード部を有するタイヤ骨格部材と、
前記タイヤ骨格部材の少なくとも前記ビード部のリムとの密着部に設けられ、前記タイヤ骨格部材よりも弾性率が低い樹脂材料からなるチェーファーと、
を備えた、タイヤ。
【請求項2】
前記チェーファーの弾性率は、0.5Mpa以上、50Mpa以下であること、を特徴とする請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記チェーファーが、サイド部にまで延びていること、を特徴とする請求項1または請求項2に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記チェーファーの前記サイド部に対応する部分の厚みは、0.2mm以上、4.0mm以下であること、を特徴とする請求項3に記載のタイヤ。
【請求項5】
前記チェーファーが、前記ビード部の前記気体充填空間内側まで延びていること、を特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のタイヤ。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のタイヤの製造方法であって、
樹脂材料からなり、少なくともビード部を構成するタイヤ骨格部材を成形し、
チェーファー形成用金型内のキャビティに、前記タイヤ骨格部材の少なくとも前記ビード部を収容すると共に、前記チェーファー形成用金型の分割面を非閉止状態として前記タイヤ骨格部材よりも弾性率が低い樹脂材料からなるチェーファー用材料を前記チェーファー形成用金型内に射出し、
前記チェーファー形成用金型を完全閉止して前記射出されたチェーファー用材料を圧縮して、チェーファーを形成する、タイヤの製造方法。
【請求項7】
前記ビード部を前記チェーファー形成用金型内に収容する際に、前記チェーファー形成用金型内のキャビティに、前記ビード部に接して前記ビード部の位置を保持する保持治具を配置すること、
を特徴とする請求項6に記載のタイヤの製造方法。
【請求項8】
前記チェーファー用材料の射出後、前記チェーファー形成用金型の完全閉止前に、前記保持治具を前記キャビティ内から退場させること、
を特徴とする請求項7に記載のタイヤの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2011−207435(P2011−207435A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79119(P2010−79119)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】