説明

タイヤに内蔵されているセンサーの識別方式と識別装置

【課題】 本発明は、乗物(VI)用情報システムのセンサー(C1、C2、C3、C4)の識別方式に関する。
【解決手段】本発明は、車輪内に内蔵してある複数のセンサーを関与させていて、収集された情報を、送受信モジュール(100)に向けた、収集された情報の送信用ユニットを具えており、少なくとも1の送信/受信用アンテナ(110)を具えており、車軸の各端部が対になっている車輪、すなわち内側の車輪と外側の車輪を具えており、各車輪が送信用ユニットを具えたセンサー(CiまたはCe)を受け入れている型のシステムであり、アンテナの送信場が変化して、その作用半径内に配置してあるセンサー(CiまたはCe)を取り込みまたは除外し得るように送信アンテナ(110)の出力を変化させられることで傑出している。本発明はまた、上記に示した方式の活用を可能にする装置にも関する。乗物のタイヤから来るパラメータの識別と送信に応用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ内に内蔵されているセンサーの分野、とりわけ設置した後に、最良の条件でセンサーを区別し、その設置位置を明らかにすることを可能にする本発明の適用に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術により、圧力、温度などに関するデータを測定し、伝達するために、乗り物のタイヤ内にセンサーを配置することが知られている。
【0003】
そのために、各タイヤ内に配置してある各センサーは、従来から、同データの無線伝達のための無線周波送信機、および乗り物の車軸または車台に配置してある受信機を具えている。この受信機は、各車輪の送信機から送信された情報の信号を受信して、それをコード解読する。
【0004】
この種の装置は、EP第1419908号、US第2006/214780号、DE第10 2006 012534号、US第2005/156723号に記述されている。
【0005】
重量トラックおよびバスのような若干の乗物では、車輪は、車軸の両端に1対ずつ取り付けてある。この場合、車輪が対になっている、と言われている。このような用途では、上記のセンサー網の活用は、後述しておく欠点を呈することがあり得る。
【0006】
車輪が対になっていると、車輪に配設してある2のセンサーは、非常に近接しているので、特に複雑で費用のかかるコード化と識別の技術を活用しないで、乗物の停止中と運転中のいずれにしても、2のセンサーの送信を区別するのは困難である。
【0007】
例えば、自動調整のとき、すなわち停止中にセンサーから出る情報の管理方式の調整段階のときに、作業者が、外側のタイヤに向けた呼び出し電子モジュールによる呼び出しをするとき、2のセンサーが、意図に反して、同時に活動することがあり得る。
【0008】
また、移動運転段階のとき、車軸の同一の端部の車輪内の2のセンサーが近接しているために、走査線が衝突し合い、ならびにセンサーによって送信され、電磁波の輻射モジュールで受信される電磁波走査も同じ力であるので、それによってメッセージを受信する能力が抑制される事実により、メッセージの解読は困難になる(受信機の盲目化)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】EP第1419908号
【特許文献2】US第2006/214780号
【特許文献3】DE第10 2006 012534号
【特許文献4】US第2005/156723号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この現実を出発点として、出願者は、対になっている車輪を有する乗物のためのセンサーシステムの活用について見出した問題点を解決すべく、研究を行った。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この研究の結果、対になっている車輪だけでなく、別々の車輪内に内蔵してあるセンサーの識別方式と識別装置の着想に行き着いた。この方式と装置は、費用が殆ど掛からず、活用が極めて容易である。現存の伝達技術の変更も求められていない。
【0012】
本発明によれば、車軸の各端部に、内側車輪と外側車輪からなる、対になっている車輪を具えており、送信用ユニットを具えているセンサーが各車輪に内蔵されており、少なくとも1の送信/受信用アンテナを具えていて、収集された情報の送受信モジュールに向けての収集した情報の送信用ユニットを具えた、車輪内に内蔵されている複数のセンサーが配設してある型の乗物のための情報システム用センサーの識別方式は、アンテナの送信場が、受信データの発生源を突き止めるために、同アンテナの活動範囲内に配置してあるセンサーを取り込みまたは除外するように送信用アンテナの出力を変化できることで傑出している。
【0013】
この特性は、コード化技術を経ないでセンサーを識別できることで、極めて有利である。事実、送受信モジュールは、割り出すことによって、
1または複数の一連のデータを受信するが、受信されない(出力が弱いので)または強く受信することによって(出力が増加されて)、他の一連のデータとの関連で識別が可能である。
【0014】
したがって、EP第1419908号がセンサーの識別の解決策になるとしても、この方式と装置は、車軸の同一端部に対になっている車輪に連結してある場合の適用範囲の解決策にならない。事実、対になっている2の車輪間に存在する間隔による僅かな相違は、異なる比率または出力に必要な間隔条件を満たすのに十分ではないからである。
【0015】
なお、US第2006/214780号とUS第2005/156723号に、出力を変える可能性についての記述があるにしても、この変化は、本発明の目的と一致しない。上記に説明したように、2のセンサーを物理的に分け隔てている僅かな間隔は、アンテナがどのような位置にあるにしても、1のアンテナで、2のセンサーの2の信号を受信することは可能ではない。
【0016】
したがって、対になっている車輪に適用する範囲では、いかなる場合にも、単一センサーで、呼び出しに適応するアンテナの出力を配置するっことは可能ではない。事実、もっとも離れたセンサーに呼び出すことのできるアンテナの出力は、必然的にもっとも近いセンサーを活性化することになる。近接した位置にあるからである。
【0017】
従来の技術では、この二重の活性化は、技術上の問題点になるのに、本発明にとって、求められている識別を開始させる信号のひとつになる。
【0018】
事実、本発明の方式は、センサーを取り込むか、除外するように、呼び出し信号の送信を確立するアンテナの出力を変更させる識別方式である。車体に連結してあり、出力が漸増するアンテナを基に、第1のセンサーに続いての2のセンサーの活性化は、内側の車輪に設置してあるセンサーと同じく、活性化された第1のセンサーを識別することを可能にする。その反対に、車体に連結してあり、その出力が漸減するアンテナを基に、2のセンサーの活性化と、その後の1のセンサーだけの活性化(したがって、信号の受信)は、内側の車輪に設置してあるセンサーと同じく、この唯一の活性化しているセンサーを識別することを可能にする。
【0019】
この方式は、センサーの適切な配置と組み合わせることができる。例えば、とりわけ有利な配置として、アンテナは、同アンテナの向きが変わっても、センサーを取り込み、または除外できるように、センサーが異なる距離に位置づけしてあるようにアンテナを配置しておく。事実、アンテナの輻射ローブが縮小すると、もっとも近いセンサーから送信された信号だけが受信され、アンテナからもっとも遠いセンサーが除外されるからである。
【0020】
この技術は、出願人が、対になっている車輪への適用として考案した方式に活用されている。収集情報の送受信モジュールで収集された情報の送信用ユニットを具えた少なくとも1のセンサーが配設してある型の乗物用情報システムのセンサーの識別方式であり、車軸の両端が対になっている車輪を具えており、同モジュールが同乗物の車体に配設してあって、アンテナを具えていて、出力が十分に弱い段階に低下すると、もっとも近いセンサー(内側のセンサー)だけが送信でき、したがって、内側の車軸のセンサーとして識別されることで傑出している。ここでは、アンテナの出力の変化で、車軸の同一端部に配置してあり、したがって、車体からの距離が異なり、故にアンテナからの距離が異なる2の車輪のセンサーを突き止めることができる。本発明の方式は、車輪のこの配置に活用できる。モジュールは、車軸毎のアンテナ、または車軸の端部毎のアンテナに配設できる。
【0021】
本発明はまた、上記に描写した方式を活用することのできる装置にも関する。この装置は、過電圧係数、したがってアンテナのゲインを変えることのできる可変抵抗器が、アンテナに配設してある、電子回路からなっていることで傑出している。アンテナが配設してある、車輪に内蔵されているセンサーが収集するデータの送受信モジュールは、乗物の移動中に機能するために乗物の車体に支承され得る。同モジュールのアンテナは、そのとき、乗物の車体に配設してある。送受信モジュールは、車庫の補修/自動調整区域内に固定してある電子呼び出しモジュールからなることができ、あるいは乗物の停止時に、運転者が使用する、車体に配設していない携帯型収納箱内に入れておくことができる。
【0022】
本発明の基本的概念は、そのもっとも基礎的形態で示しておいたので、本発明に適合する方式と装置の実現法を限定的でない例として添付図に照らして、これから記す記述を読むことによって、その他の詳細と特徴がより明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】4輪自動車のための本方式の適用が示されている。
【図2】対になっている車輪を有する乗物のための本方式の適用が示されている。
【図3】本方式を活用することのできる装置の活用法が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に示したように、乗物VIは、4つの車輪Rが具えてあり、同車輪内のそれぞれに、センサーC1、C2、C3およびC4が配置してある。乗物VIの車体には、アンテナ110が配設してある送受信モジュール100を具えている。
【0025】
図示の如く、等方性アンテナ、すなわち全方位に同等の伝播区域を有するアンテナ110は、車輪Rから異なる距離にあるように、乗物上に配置してあり、したがって、センサーC1、C2、C3およびC4から異なる距離に配置してある。本発明に従って、アンテナの伝播出力は、センサーを多くまたは少なく包含するように、伝播区域の規模を変化させるように変えてゆく。
【0026】
したがって、図示の如く、第1の伝播区域Z1は、アンテナにもっとも近いセンサーC1から来るデータを活性化し、受信できる。出力すなわちゲインを漸増させると、アンテナは、次第に遠いセンサーから出たデータを次々に活性化させ、受信する。図示の如く、第2の伝播区域Z2は、センサーC2を取り込み、次いで第3の伝播区域Z3は、センサーC3、 そして第4の伝播区域Z4は、センサーC4を取り込む。変化の度ごと に、信号または一連の追加データの存在で、その前の一連のデータより遠いセンサーから出ていることが識別できる。センサーとの距離の違いで出力が異なるように、アンテナ110が配置してあるので、各センサーを局限することによって、各一連のデータを識別できる。
【0027】
この方式は、出力を漸減させることによるのであり、同一のままである。
【0028】
図2の略図に示した本発明の方式のもう1つの適用は、対になっている車輪に関する。乗物V2には、各車輪R内に、収集した情報100の送受信モジュールおよび収集した同情報の送信用ユニットを具えたセンサー、同モジュールが乗物V2の車体に配設してあり、車軸の各端部に近接して同車体に配置してある複数の送信用アンテナ110が具えてある、情報取得システムが具えてある。事実、従来の技術についての記述で説明したように、この適用では、送受信モジュールにとって、呼び出し信号110の送信用アンテナの輻射ローブが限定されていても、内側の車輪に配置してあるセンサーCiから出た信号を、外側の車輪に配置してあるセンサーCeと区別するのは困難である。したがって、本発明の方式に従って、アンテナ110のゲインは、伝播ローブL1が2のセンサーCiとCeを包含する規模から、伝播ローブL2がセンサーCiだけを包含する規模までに移行するまで縮小の対象になってゆく。したがって、送受信モジュールは、このアンテナから受信するデータの出所を割り出すことができる。図示していない1つの実施態様によれば、本装置は、対になっている車輪を支承する車軸毎に、単一のアンテナを含むだけである。
【0029】
図3は、低出力型であるアンテナの出力を変化させることのできる電子的組み立ての実施法を表している。
【0030】
このアンテナ200は、データの増幅段300、給電とろ過の段400および出力の変化の段500に連結してある。本発明に従って、この出力の変化の段500は、可変抵抗器510からなっており、同抵抗の制御による変化で、アンテナ200の輻射場が縮小または拡大してゆくことができる。
【0031】
図示の実施態様によれば、給電とろ過の段400は、偏光コンデンサとコンデンサを含んでいる。増幅段300は、PNBトランジスタとNPNトランジスタを含んでいる。
【0032】
上記に記述し、図示してきた本方式と本装置が限定的でなく、公表を目的としていることが理解できるであろう。もちろん、本発明の範囲から逸脱することなく、さまざまな調整、変更および改良を上記の例にもたらすことができるであろう。
【符号の説明】
【0033】
100 送受信モジュール
110 呼び出し信号
200 アンテナ
300 増幅段
400 給電とろ過の段
500 出力の変化の段
510 可変抵抗器
C センサーC
Ce 内側の車輪に配置してあるセンサー
Ci 外側の車輪に配置してあるセンサー
L ローブ
R 車輪R
V 乗物V
Z 伝播区域Z

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車軸の各端部が対になっている車輪である内側の車輪と外側の車輪を具えており、各車輪には送信用ユニットが具えてあるセンサー(CiとCe)が受け入れてあり、および少なくとも1の送信/受信用アンテナ(110)を具えた、収集した情報の送受信モジュールに向けた収集情報の送信用ユニットを具えた、車輪に内蔵してある複数のセンサーを関与させている型の乗物(V1)用情報システムのセンサー(C1、C2、C3、C4)の識別方式であり、アンテナの送信場が、同送信場の作用半径内に配置してある、接触するセンサー(CiまたはCe)を取り込みまたは除外できるように変化させるべく、送信用アンテナの出力を変化させることを特徴とする方式。
【請求項2】
センサー(C1、C2、C3、C4)のデータを受信すべきアンテナ(110)が、同諸センサーからそれぞれ異なる距離に配置してあることを特徴とする、請求項1による方式。
【請求項3】
各車軸に、対になっている車輪、すなわち内側の車輪と外側の車輪が具えてあり、各車輪には、送信用ユニットが具えてあるセンサー(CiまたはCe)が受け入れられており、出力が十分に弱いレベルになったとき、もっとも近いセンサー(Ci)だけが内側の車輪のセンサーとして識別され、送信できるようにアンテナ(110)の出力を減少させる型のものであることを特徴とする、請求項1による方式。
【請求項4】
本装置が、過電圧係数の変化で、変化が確立している可変抵抗器(510)をアンテナ(200)に関与させている電子回路からなる事実を特徴とする、請求項1による方式を活用できる装置。
【請求項5】
アンテナ(110)が乗物の車体(V1またはV2)に配設してある事実を特徴とする、請求項1による方式を活用できる装置。
【請求項6】
アンテナ(110)が、車体に配設されていない送受信モジュールの携帯用ケースに配設してある事実を特徴とする、請求項1による方式を活用できる装置。
【請求項7】
対になっている車輪を支承する車軸の各端部に近接して、車体に配置してある複数のアンテナ(110)を含んでいる事実を特徴とする、請求項5による装置。
【請求項8】
対になっている車輪を支承する車軸毎に、単一のアンテナ(110)を含んでいる事実を特徴とする、請求項5による装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−503992(P2011−503992A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532646(P2010−532646)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【国際出願番号】PCT/FR2008/052029
【国際公開番号】WO2009/068808
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(509100793)エルディーエル テクノロジー (4)
【Fターム(参考)】