説明

タイヤホイールの清掃具

【課題】構造が簡単で且つ取付作業が容易なタイヤホイールの清掃具を提供する。
【解決手段】タイヤ1が装着されるリム5の内側にその直径方向で配置されるとともに両端部に逆方向のねじ部12aが形成された棒状体12と、一方の表面に上記棒状体の各端部に螺合し得るねじ穴を有する連結部が形成された一対の取付板13と、これら各取付板の他方の表面に固定された平面視が三角形状の清掃用ゴム板14とから構成され、タイヤホイール2への取付時にあっては、両端部に上記取付板が螺合された棒状体をリムの内側に直径方向でもって配置するとともに、この棒状体を回転させることにより両取付板を互いに離間させて、これら各取付板に固定された清掃用ゴム板をリム内周面に押し付けるようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤホイールの清掃具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、バスなどの大型車両のタイヤホイールについては汚れやすく、しかも、その清掃は結構面倒なものであった。
このような面倒な清掃作業から解放されるのを目的として、タイヤホイールを自動的に清掃し得る清掃具が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この清掃具は、図7に示すように、タイヤ51が装着されるタイヤホイール52の中央から突出された車軸側のハブ53に外嵌し得る筒状壁部61aを有する取付体61と、この取付体61の端面側に設けられた取付部61bに回転自在に吊り下げられたアーム62、このアーム62の下端に設けられたゴムバンドを短冊状に切って得られたゴム片63とから構成されたものである。
【0004】
また、上記取付体61については、ハブ53に外嵌させて取り付けた際に、ゴム片63がタイヤホイール52における所定幅のリム52aに対して適正な位置となるように、ハブ53の突出長さに応じてアーム62を保持する取付体61の端面位置を調整するために、筒状壁部61aの厚さが段階的に変化されており、またハブ53への取付けに際しては、ハブ53側に設けられたボルト54を利用しているため、その都度、ハブ53側のボルト54が取り外されていた。
【0005】
上記構成において、タイヤ51が回転すると、当然、取付体61は回転するが、アーム62は取付体61に回転自在に保持されているため、アーム62は、その自重およびゴム片63の重さにより常に垂下された状態となり、したがってゴム片63によりリム52aの内周面が自然に清掃されることになる。
【特許文献1】特開平8−169308号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の清掃具によると、リム52aに対するアーム62の位置が一定位置となるようにするために、取付体61の筒状壁部61aの厚さが変化するように加工作業が必要になるとともに、取付体61へのゴム片63の取付けに際してはアーム62を介して行われるため構造が複雑となり、全体として製作コストが高くつくという問題があり、さらに、その取付けに際しては、ハブ53側のボルト54を取り外す必要があり、その作業が面倒であった。
【0007】
そこで、本発明は、構造が簡単で且つ取付作業が容易なタイヤホイールの清掃具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明のタイヤホイールの清掃具は、タイヤが取り付けられるリムの内側に、その直径方向で配置されるとともに両端部に逆方向のおねじ部が形成された棒状体と、
一方の表面に上記棒状体の各端部に螺合し得るめねじ部を有する連結部が形成された一対の取付板と、
これら各取付板の他方の表面に固定された平面視が三角形状で且つ所定厚さの清掃用ゴム板とから構成されるとともに、
タイヤホイールへの取付時にあっては、両端部に上記取付板が螺合された棒状体をリムの内側に直径方向でもって配置するとともに、当該棒状体を回転させることにより両取付板を離間させて、清掃用ゴム板をリム内周面に押し付けるようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
上記清掃具の構成によると、棒状体の両端部にねじ部を介して三角形状の清掃用ゴム板を螺合させて取り付けるとともに、タイヤホイールへの取り付けに際しては、予め、両ゴム板の表面同士間の距離がリムの内周径よりも短くなるようにした状態でリムの内側に位置させ、そして棒状体を所定方向に回すだけで、両ゴム板同士を離間させてリムの内周面に押し付けることにより、当該清掃具をタイヤホイールに容易に取り付けることができる、また構造が非常に簡単であるため、その製作コストを安価にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[実施の形態]
以下、本発明に係るタイヤホイールの清掃具の実施の形態を、図1〜図6に基づき説明する。
【0011】
まず、タイヤホイールの構成を簡単に説明しておく。
図1および図2に示すように、タイヤ1が装着されるタイヤホイール(以下、単に、ホイールという)2は、例えばフォークリフトなどの産業車両用のもので、車軸先端部のハブ3に取り付けるための円形状の取付板4と、この取付板4の外周に所定幅で設けられた環状のリム5とから構成されている。
【0012】
そして、このリム5については、横断面が略直線状で且つ車体中心寄りの一端側に鍔部6aが形成されたリム本体部6と、このリム本体部6の車体外寄りの他端側に取り外し可能に設けられたタイヤ1の保持用鍔部7とから構成されるとともに、分離し得る保持用鍔部7が設けられるリム本体部6の他端側については、強度を向上させるために厚肉部6bにされており、このため、取付板4より外側のリム本体部6の内周面には環状凹部8が形成されることになり、通常、この凹部8に、水、砂、石などが溜まってしまう。
【0013】
本発明の清掃具は、上記凹部8に溜まった水、砂、石などを清掃するためのもので、以下、詳しく説明する。
図1、および図3〜図6に示すように、この清掃具11は、リム5の内側で且つ直径方向で配置されるとともに両端部の外周に互いに逆方向のねじ部(おねじ部)12aが形成された棒状体12と、一方の表面に上記棒状体12の各ねじ部12aに螺合し得るねじ穴(めねじ部)13aを有する連結部13bが設けられた平面視が二等辺三角形状の一対の取付板13と、これら各取付板13の他方の表面に固定されて当該取付板13より一回り小さくされた二等辺三角形状で且つ所定厚さ(例えば、数センチ程度)の清掃用ゴム板(合成ゴムまたは天然ゴムが用いられる)14とから構成されている。
【0014】
上記清掃具11をホイール2に取り付ける場合、まず、棒状体12の両端部に形成されたねじ部12aに、ゴム板14が固定された取付板13の連結部13bのねじ穴13aを螺嵌させて、両端部にそれぞれゴム板14を取り付ける。なお、このとき、両端部に取り付けられた両ゴム板14,14の表面(底面とも言える)同士間の距離が、リム5の内周面の直径よりも少し短くなるようにしておく。すなわち、両ゴム板14が固定された棒状体12をリム5の内側に配置し得るようにしておく。
【0015】
そして、両端部にゴム板14が取り付けられた棒状体12を、リム5の内側に配置させた後、棒状体12だけを所定方向に、すなわち取付板13が外側に移動するように回転させる。
【0016】
すると、両ゴム板14,14が棒状体12の端部側に移動されて、これら各ゴム板14の表面がリム(リム本体部でもある)5の内周面に押し付けられるため、当該清掃具11がホイール2に取り付けられる(固定される)。
【0017】
この取付状態において、ゴム板14は、その二等辺三角形の頂点がリム5の外側に向くようにされる。
この状態で、タイヤ1すなわちリム5が回転すると、当然、ゴム板14も一緒に回転することになり、リム本体部6に形成された凹部8に溜まっている水、砂、石などは、ゴム板14の上昇により持ち上げられた後、その接触部がゴム板14の傾斜側面であるため、その上昇時および下降時において、水、砂、石などが、容易にリム5の外側に導かれて地面上に落下される。
【0018】
このように、清掃具11を、真っ直ぐな棒状体12と、この棒状体12の両端部にねじ部を介して取り付けられる一対の平面視が二等辺三角形状のゴム板14とから構成したので、予め、両ゴム板14,14の表面同士間の距離がリム5の内周径よりも少し短くなるようにしておき、そして、この状態で、リム5の内側に位置させてこの棒状体12を所定方向に回すだけで、両ゴム板14,14同士を離間させてリム5の内周面に押し付けて取り付けることができるので、その取付作業を容易に行い得るとともに、構造が非常に簡単であるため、製作コストも安価にすることができる。
【0019】
特に、ホイール2が、上述したように、フォークリフトなどの産業車両用である場合には、ホイール2のリム5に形成される凹部8には、水、砂、石などが溜りやすく、そのまま放置しておくと、錆びなどが発生するとともにバルブ(空気供給口)が折損する事態を引き起こすことになるが、このような事態が発生するのを防止することができる。
【0020】
ところで、上記実施の形態においては、清掃用ゴム板14を二等辺三角形状としたが、例えば正三角形状でもよく、また任意の鋭角三角形状であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る清掃具の使用状態を示す正面図である。
【図2】同清掃具が取り付けられるリムの横断面図である。
【図3】同清掃具の取付棒の側面図である。
【図4】同清掃具におけるゴム板が固定された取付板の平面図である。
【図5】同清掃具におけるゴム板が固定された取付板の側面図である。
【図6】同清掃具におけるゴム板が固定された取付板の底面図である。
【図7】従来例の清掃具の斜視図である。
【符号の説明】
【0022】
1 タイヤ
2 タイヤホイール
3 ハブ
5 リム
6 リム本体部
8 環状凹部
11 清掃具
12 棒状体
12a ねじ部
13 取付板
13a ねじ穴
13b 連結部
14 清掃用ゴム板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤが装着されるリムの内側に、その直径方向で配置されるとともに両端部に逆方向のおねじ部が形成された棒状体と、
一方の表面に上記棒状体の各端部に螺合し得るめねじ部を有する連結部が形成された一対の取付板と、
これら各取付板の他方の表面に固定された平面視が三角形状の清掃用ゴム板とから構成されるとともに、
タイヤホイールへの取付時にあっては、両端部に上記取付板が螺合された棒状体をリムの内側に直径方向でもって配置するとともに、当該棒状体を回転させることにより両取付板を離間させて、両清掃用ゴム板をリム内周面に押し付けるようにした
ことを特徴とするタイヤホイールの清掃具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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