説明

タイヤ盗難検出装置

【課題】消費電流を低減しつつ検出精度を向上することができるタイヤ盗難検出装置を提供すること。
【解決手段】車両の傾斜角を検出し当該傾斜角を示す傾斜角信号を出力する傾斜角センサ60と、車両の各タイヤ15,25,35,45に設けられ受信信号に基づいて返信信号を送信する通信部13,23,33,43と、通信部13,23,33,43との通信を行う車体側の通信装置51,52,53,54と、傾斜角信号が第2閾値に達した場合にタイヤが盗難されたと判定すると共に、傾斜角信号が出力されると、通信装置51,52,53,54にて通信部13,23,33,43との通信を開始し、通信部13,23,33,43からの返信信号がない場合はタイヤが盗難されたと判定する制御装置とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のタイヤ盗難を検出するタイヤ盗難検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のタイヤの盗難などを検出する装置の一例として、特許文献1に示すものがあった。特許文献1に示す装置は、タイヤの内面に、温度センサ、圧力センサ、歪センサ、IDタグを設ける。また、タイヤの内面に温度センサ、圧力センサ、歪センサの各検出値とIDタグ固有のID信号を一定の時間間隔で発信する発信機を設ける。更に、発信機からの信号を受信する受信機と、この受信機の受信内容を表示する表示パネルとを備える。このようにしてタイヤの状態を常時検出している。そして、受信機にてID信号が受信できたか否かによってタイヤが盗まれた否かを検出することができる。
【特許文献1】特開2002−211219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
タイヤは、いつ盗難されるかわからないものである。したがって、特許文献1に示す装置では、タイヤの盗難を検出するために、発信機と受信機との通信を頻繁に行う必要があり消費電流が増加するという問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、消費電流を低減することができるタイヤ盗難検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1に記載のタイヤ盗難検出装置は、車両の傾斜角を検出し傾斜角を示す傾斜角信号を出力する傾斜角センサと、車両の各タイヤに設けられ受信信号に基づいて返信信号を送信するタイヤ側通信装置と、タイヤ側通信装置との通信を行う車体側通信装置と、傾斜角信号が所定の閾値に達した場合に車体側通信装置にてタイヤ側通信装置との通信を開始し、タイヤ側通信装置からの返信信号がない場合はタイヤが盗難されたと判定する制御装置とを備えることを特徴とするものである。
【0006】
このようにすることによって、傾斜角信号が所定の閾値に達した場合に車体側通信装置にてタイヤ側通信装置との通信を開始するので、車体側通信装置とタイヤ側通信装置との通信頻度を減らすことができ、消費電流を低減することができる。
【0007】
また、上記目的を達成するために請求項2に記載のタイヤ盗難検出装置は、車両の傾斜角を検出し傾斜角を示す傾斜角信号を出力する傾斜角センサと、車両の各タイヤに設けられ受信信号に基づいて返信信号を送信するタイヤ側通信装置と、タイヤ側通信装置との通信を行う車体側通信装置と、傾斜角信号が所定の閾値に達した場合はタイヤが盗難されたと判定すると共に、閾値に達しない傾斜角信号が出力された場合は車体側通信装置にてタイヤ側通信装置との通信を開始し、タイヤ側通信装置からの返信信号がない場合はタイヤが盗難されたと判定する制御装置とを備えることを特徴とするものである。
【0008】
このようにすることによって、傾斜角信号が所定の閾値に達した場合にはタイヤ盗難を検出できると共に、タイヤの盗難と判定しない(所定の閾値に達しない)程度の傾斜角信号が出力された場合でも車体側通信装置とタイヤ側通信装置との通信に基づいてタイヤ盗難を検出でき、検出精度を向上することができる。さらに、傾斜角信号が所定の閾値に達しない程度に車両が傾斜した場合に車体側通信装置にてタイヤ側通信装置との通信を開始するので車体側通信装置及びタイヤ側通信装置通信装置の消費電流を低減することができる。
【0009】
また、請求項3に示すように、制御装置は、傾斜角信号が出力されてから所定時間の間、車体側通信装置にてタイヤ側通信装置との通信を行うようにしてもよい。このようにすることによってより一層消費電流を低減することができる。
【0010】
また、請求項4に示すように、制御装置は、傾斜角信号が出力されている間、車体側通信装置にてタイヤ側通信装置との通信を行うようにしてもよい。このようにすることによってもより一層消費電流を低減することができる。
【0011】
また、請求項5に示すように、各タイヤに設けられるものであり、各タイヤに割り当てられた識別符号を記憶する記憶装置を備え、タイヤ側通信装置は、返信信号に識別符号を含めて返信するようにしてもよい。このようにすることによって、どのタイヤが盗難されたかを把握することができる。
【0012】
さらに、請求項6に示すように、車体側通信装置は、各タイヤに設けられるタイヤ側通信装置との距離が異なるように配置することによって、車体側通信装置とタイヤ側通信装置との通信時間を異ならせることができるので、どのタイヤが盗難されたかを把握することができる。つまり、このようにすることによって、タイヤローテーションを行った場合でもどのタイヤが盗難されたかを把握することができる。
【0013】
また、請求項7に示すように、制御装置にてタイヤが盗難されたと判定された場合、タイヤの盗難を警報する警報装置を備えるようにしてもよい。このようにすることによって、ユーザーにタイヤの盗難を知らせることができる。また、このようにタイヤの盗難を警報することによって、盗難行為の継続を防止することもできる。
【0014】
また、近年、各タイヤにタイヤの空気圧を検出しその空気圧を示す空気圧信号を出力するタイヤ空気圧センサを備える車両がある。そこで、請求項8に示すように、このタイヤ空気圧センサを利用して、タイヤ側通信装置は、返信信号として空気圧信号を用いるようにしてもよい。このようにすることによって、特別な装置の追加を低減することができコストアップを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図に基づいて説明する。なお、本実施形態においては、タイヤ盗難検出装置100をタイヤ空気圧監視システムを備えた4輪乗用車に適用した例について説明するが、本発明によるタイヤ盗難検出装置100は、トラックやバス等にも適用することができる。
【0016】
図1は、本実施形態によるタイヤ盗難検出装置100の概略の構成を示す構成図である。また、図2は、タイヤ盗難検出装置100の機能ブロック図を示す。図1及び図2に示すように、タイヤ盗難検出装置においては、タイヤの空気圧を検出する空気圧検出部12,22,32,42と、電波を送受信(例えばRF(Radio Frequency)信号を送信し、LF(Low Frequency)信号を受信)する通信部13,23,33,43と、測定した空気圧を示す空気圧信号及び固有のIDコードを含む送信信号を通信部13,23,33,43にて送信する制御部11,21,31,41とからなるセンサユニットであるタイヤ空気圧センサ(以下、空気圧センサとも称する)10,20,30,40が、前後左右輪の各タイヤ15,25,35,45に設けられている。
【0017】
この空気圧センサ10,20,30,40は、例えば、タイヤバルブと一体的に構成され、タイヤのディスクホイールに取り付けられる。なお、空気圧センサ10,20,30,40として、空気圧センサに加えて、温度を測定する温度センサを設けても良い。これにより、タイヤ空気圧の状態を判定する際に、温度変化によるタイヤ空気圧の変動を考慮することが可能になる。なお、空気圧センサ10,20,30,40は、それぞれ同じ構成をなすため、図2においては、空気圧センサ10のみを図示している。
【0018】
制御装置50は、車両の車体側に設けられるものであり、制御部50a、記憶部50bなどからなり、通信装置51,52,53,54、傾斜角センサ60、警報装置70などが接続される。制御部50aは、空気圧センサ10,20,30,40からの送信信号(返信信号)を受信し、その送信信号(返信信号)に含まれる空気圧信号に基づいて各タイヤ15,25,35,45の空気圧の状態を監視すると共に、傾斜角センサ60から出力される傾斜角信号及び通信装置51,52,53,54と空気圧センサ10,20,30,40(通信部13,23,33,43)との通信に基づいて各タイヤ15,25,35,45の盗難を検出するものである。制御部50aは、各タイヤ15,25,35,45の空気圧の状態を判定するため、もしくは、各タイヤ15,25,35,45の盗難を検出するために、通信装置51,52,53,54を用いて空気圧センサ10,20,30,40に対して信号の送信を要求する送信要求信号を送信する。
【0019】
例えば、制御部50aは、車両が走行中は数秒から数分間隔で空気圧センサ10,20,30,40に対して送信要求信号を送信して、空気圧センサ10,20,30,40からの返信信号に含まれる空気圧信号に基づいて各タイヤ15,25,35,45の空気圧の状態を判定する。また、制御部50aは、車両が駐車中は数十分から数時間間隔で空気圧センサ10,20,30,40に対して送信要求信号を送信して、空気圧センサ10,20,30,40からの返信信号に含まれる空気圧信号に基づいて各タイヤ15,25,35,45の空気圧の状態を判定する。
【0020】
記憶部50bには、各タイヤ15,25,35,45の空気圧の状態(空気圧信号)が異常であるか否かを判定するための空気圧閾値が記憶されている。
【0021】
さらに、記憶部50bには、傾斜角センサ60の検出結果(傾斜角を示す傾斜角信号)に基づいてタイヤの盗難を判定するための閾値であり、車両は傾斜しているがタイヤの盗難と判定しない第1の傾斜角閾値(以下、第1閾値とも称する)、及び第1閾値が示す傾斜角よりも広く、車両が傾斜しておりタイヤの盗難と判定する第2の傾斜角閾値(以下、第2閾値とも称する)が記憶されている。
【0022】
すなわち、傾斜角センサ60の検出結果に基づいてタイヤの盗難を検出する場合、車両をフェリーにのせた場合や移動式立体駐車場に駐車した場合などに車両に生じる振動であっても、タイヤの盗難であると誤判定する可能性がある。このような誤判定を防止するために、第2閾値は、上述のような振動によって車両が傾斜した際に傾斜角センサ60が出力する傾斜角信号では達しない程度の値とする。そして、第1閾値は、上述のような振動によって車両が傾斜した際に傾斜角センサ60が出力する傾斜角信号でも達する程度の値とする。
【0023】
通信装置51,52,53,54は、車両の各ホイールハウスに設けられ、電波を送受信(例えばLF(Low Frequency)信号を送信し、RF(Radio Frequency)信号を受信)する。制御装置50から出力された送信要求信号は、通信装置51,52,53,54によって変調等の処理が行われ、空気圧センサ10,20,30,40に対して送信される。また、通信装置51,52,53,54によって受信された受信信号は、受信信号の増幅、復調等の処理が行なわれ、その後、制御装置50に送られる。
【0024】
また、通信装置51,52,53,54は、各通信装置51,52,53,54のアンテナのみを車両の各ホイールハウスに設け、その他の回路部などは制御装置50内部、もしくは制御装置50の近傍に設けるようにしてもよい。また通信装置51,52,53,54は、各空気圧センサ10,20,30,40に対して個別に設けずに、車両に共通の通信装置を設け、その共通の通信装置によって各空気圧センサ10,20,30,40と通信するようにしても良い。
【0025】
なお、制御装置50における、各タイヤ15,25,35,45の空気圧の状態の判定結果は、車室内のインストルメンタルパネルに設けられたディスプレイ(図示省略)に表示される。また、このディスプレイは、例えばLED等からなるウォーニングランプを有し、制御装置50によってタイヤ空気圧が所定圧以下に低下している等、タイヤ空気圧が異常と判定された場合には、ウォーニングランプを点灯させ、ドライバーにタイヤの空気圧が異常である旨を報知する。
【0026】
さらに、制御装置50は、バーコードリーダーを接続可能な外部入力端子(図示省略)を備えるようにしてもよい。バーコードリーダーは、制御装置50に接続されたとき、車両の各タイヤ15,25,35,45に設けられた各空気圧センサ10,20,30,40にそれぞれ付与されたIDコードに対応するバーコードを読み取り、その読取信号を制御装置50に入力する。これにより、IDコードを制御装置50に入力することができる。なお、IDコードを制御装置50に入力する場合、キーボードなどを用いて入力するようにしてもよい。
【0027】
傾斜角センサ60の傾斜角の検出方式に限定はなく、たとえば、重力加速度の変化を検出するセンサすなわち加速度センサや、振り子式のものを用いることができる。加速度センサには、ピエゾ抵抗型、静電容量型、磁気センサ型等が知られているがいずれの形式も用いることができる。ただし、ピエゾ抵抗型の加速度センサは抵抗体の温度特性により、また、静電容量型の加速度センサは封止ガスの温度特性により、出力される信号が温度の影響を受けやすいので、温度に基づく補正を行うようにすると好ましい。この傾斜角センサ60は、車両の傾斜角を検出して、その傾斜角を示す傾斜角信号を出力する。
【0028】
警報装置70は、スピーカーなどを備えるものであり、制御装置50(制御部50a)からの指示に基づいてブザーや音声などの警報を出力する。
【0029】
ここで、本実施の形態におけるタイヤ盗難検出装置の処理動作について説明する。図3は、本発明の実施の形態におけるタイヤ盗難検出装置の処理動作を示すフローチャートである。なお、図3に示すフローチャートは、エンジンオフから所定時間(ドアを開けて、降車して、ドアを閉めるのに要する程度の時間)が経過した後にスタートするものである。そして、図3に示すフローチャートは、エンジンがオンされるまで所定間隔で繰り返し実行されるものである。
【0030】
まず、ステップS10では、制御部50aは、傾斜角センサ60に対して傾斜角の検出を開始することを示す信号を出力することによって、傾斜角センサ60での検出を開始する。
【0031】
ステップS20では、制御部50aは、ステップS10の処理での検出結果、すなわち、傾斜角センサ60が出力した傾斜角信号が記憶部50bに記憶されている第1閾値以上であるか否かを判定し、第1閾値以上であると判定した場合(YES)はステップS30へ進み、第1閾値以上でないと判定した場合(NO)はステップS10での処理を繰り返す。
【0032】
ステップS30では、制御部50aは、タイヤの盗難を検出するために、通信装置51,52,53,54を用いて各空気圧センサ10,20,30,40(通信部13,23,33,43)に送信要求信号を送信することによって、各空気圧センサ10,20,30,40との通信を開始する。なお、この送信要求信号を受信した各空気圧センサ10,20,30,40の制御部11,21,31,41は、空気圧検出部12,22,32,42にて検出した空気圧を示す空気圧信号及び固有のIDコードを含む返信信号を通信部13,23,33,43にて送信する。
【0033】
ステップS40では、制御部50aは、ステップS10の処理での検出結果、すなわち、傾斜角センサ60が出力した傾斜角信号が記憶部50bに記憶されている第2閾値以上であるか否かを判定し、第2閾値以上であると判定した場合(YES)はステップS60へ進み、第2閾値以上でないと判定した場合(NO)はステップS50へ進む。つまり、傾斜角信号が第1閾値には達しており第2閾値には達しない程度に車両が傾斜したか否かによって、通信装置51,52,53,54と各空気圧センサ10,20,30,40とで通信を開始するか否かを判定するためである。
【0034】
ステップS60では、制御部50aは、警報装置70に指示してブザーや音声などでタイヤの盗難が発生している旨の警報を出力する。
【0035】
一方、ステップS50へ進む場合は、傾斜角センサ60が出力した傾斜角信号が第1閾値以上であり第2閾値以上でない場合である。このような場合でも、車両は傾斜しているためタイヤが盗難される可能性がある。そこで、ステップS50では、制御部50aは、ステップS40にて送信した送信要求信号に対する各空気圧センサ10,20,30,40(通信部13,23,33,43)からの返信信号があるか否かを判定し、返信信号があると判定した場合(YES)はステップS10へ戻り、返信信号がないと判定した場合(NO)はステップS60へ進む。つまり、送信要求信号に対する返信信号がない場合、タイヤは盗難されて通信装置51,52,53,54の通信エリア外にあるとみなすことができる。したがって、このような場合は、警報装置70にてブザーや音声などでタイヤの盗難が発生している旨の警報を出力する。
【0036】
通常、通信装置51,52,53,54と各空気圧センサ10,20,30,40(通信部13,23,33,43)との通信に基づいてタイヤの盗難を検出する場合、タイヤは何時盗難されるかわからないので、常に、もしくは短い間隔で間欠的に通信装置51,52,53,54と各空気圧センサ10,20,30,40(通信部13,23,33,43)との通信を行う必要がある。しかしながら、本実施の形態においては、傾斜角信号が第1閾値に達した時点で通信装置51,52,53,54と各空気圧センサ10,20,30,40(通信部13,23,33,43)との通信を開始するので、通信によって生じる消費電流を低減することができる。
【0037】
また、誤判定を防止するために傾斜角センサ60によるタイヤ盗難の検出感度を低下させた場合であっても、傾斜角信号が第2閾値に達した場合にはタイヤ盗難を検出できると共に、タイヤの盗難と判定しない(第2閾値に達しない)程度の傾斜角信号が出力された場合すなわち傾斜角信号が第1閾値に達した場合でも通信装置51,52,53,54と各空気圧センサ10,20,30,40(通信部13,23,33,43)との通信に基づいてタイヤ盗難を検出でき、検出精度を向上することができる。
【0038】
また、本実施の形態においては、返信信号に各タイヤ固有のIDコードを含んでいるため、制御部50aは、どのタイヤが盗難されたかを把握することができる。
【0039】
なお、本実施の形態においては、制御部50aは、傾斜角センサ60の出力した傾斜角信号が第1閾値以上である場合に、タイヤの盗難を検出するために各空気圧センサ10,20,30,40との通信を開始する例を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。制御部50aは、傾斜角センサ60の出力した傾斜角信号が少しでも車両が傾斜していることを示す傾斜角信号である場合に、タイヤの盗難を検出するために各空気圧センサ10,20,30,40との通信を開始するようにしてもよい。すなわち、制御部50aは、傾斜角センサ60から反応があった場合に、タイヤの盗難を検出するために各空気圧センサ10,20,30,40との通信を開始するようにしてもよい。
【0040】
また、本実施の形態においては、タイヤ盗難検出装置100をタイヤ空気圧監視システムを備えた4輪乗用車に適用しているため、特別な装置の追加を低減することができコストアップを低減することができるが、本発明はこれに限定されるものではい。車両の傾斜角を検出し傾斜角を示す傾斜角信号を出力する傾斜角センサ60と、車両の各タイヤ15,25,35,45に設けられ信号の受信に基づいて返信信号を送信する通信部13,23,33,43と、通信部13,23,33,43との通信を行う通信装置51,52,53,54と、傾斜角信号が所定の閾値に達した場合にタイヤが盗難されたと判定すると共に、所定の閾値に達しない傾斜角信号が出力されると、通信装置51,52,53,54にて通信部13,23,33,43との通信を開始し通信部13,23,33,43からの返信信号がない場合はタイヤが盗難されたと判定する制御装置50とを備えていれば、タイヤ空気圧監視システムを備えていない車両であっても本発明の目的を達成できるものである。
【0041】
また、上述のステップS30にて、タイヤの盗難を検出するために、各空気圧センサ10,20,30,40との通信を開始する場合、所定間隔で間欠的に通信を行うことによって、より一層消費電流を低減することができる。
【0042】
また、上述のステップS30にて、タイヤの盗難を検出するために、各空気圧センサ10,20,30,40との通信を開始する場合、この通信は傾斜角信号が出力されてから所定時間の間行うようにしてもよい。つまり、タイヤの取り外しは数秒から数分で終了するものである。したがって、このようにすることによって、タイヤの盗難を検出する必要があると考え得る間だけ通信を行うようにできるので、より一層消費電流を低減することができる。
【0043】
また、上述のステップS30にて、タイヤの盗難を検出するために、各空気圧センサ10,20,30,40との通信を開始する場合、この通信は傾斜角センサ60から傾斜角信号が出力されている間行うようにしてもよい。このようにすることによって、車両が傾斜している間だけ通信を行うようにできるので、より一層消費電流を低減することができる。
【0044】
また、通信装置51,52,53,54を共通の一つの車体側通信装置にする。そして、その通信装置を各タイヤ15,25,35,45に設けられる各通信部13,23,33,43との距離が異なるように配置するようにしてもよい。このようにすることによって、車体側通信装置と各通信部13,23,33,43との通信時間を異ならせることができるので、どのタイヤが盗難されたかを把握することができる。つまり、このようにすることによって、タイヤローテーションを行った場合でもどのタイヤが盗難されたかを把握することができる。
【0045】
また、上述の実施の形態においては、傾斜角信号が第2閾値に達した場合はタイヤ盗難であると判定する例を用いて説明したが本発明はこれに限定されるものではない。他の実施の形態として、制御装置50は、傾斜角信号が所定の閾値に達した場合に通信装置51,52,53,54にて通信部13,23,33,43との通信を開始し、通信部13,23,33,43からの返信信号がない場合はタイヤが盗難されたと判定するようにしてもよい。なお、本実施の形態における構成は、上述の実施の形態(図1、図2)と同一であるため詳しい説明は省略する。
【0046】
つまり、傾斜角センサ60から出力される傾斜角信号は、車体側の通信装置51,52,53,54とタイヤ側の通信部13,23,33,43との通信を開始するトリガのみに用いる。換言すると、傾斜角センサ60から出力される傾斜角信号は、タイヤ盗難の検出を行うか否かのトリガのみに用いる点である。
【0047】
このようにすることによって、傾斜角信号が所定の閾値に達した場合に通信装置51,52,53,54と通信部13,23,33,43との通信を開始するので、通信装置51,52,53,54と通信部13,23,33,43との通信頻度を減らすことができ、消費電流を低減することができる。
【0048】
なお、上述の実施の形態は、単独で実施することも可能であるが適宜組み合わせて実施することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態におけるタイヤ盗難検出装置の概略構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるタイヤ盗難検出装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるタイヤ盗難検出装置の処理動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
10,20,30,40 タイヤ空気圧センサ、15,25,35,45 タイヤ、11,21,31,41 制御部、12,22,32,42 空気圧検出部、13,23,33,43 通信部(タイヤ側通信装置)、50 制御装置、50a 制御部、50b 記憶部、51,52,53,54 通信装置(車体側通信装置)、60 傾斜角センサ、70 警報装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の傾斜角を検出し当該傾斜角を示す傾斜角信号を出力する傾斜角センサと、
前記車両の各タイヤに設けられ受信信号に基づいて返信信号を送信するタイヤ側通信装置と、
前記タイヤ側通信装置との通信を行う車体側通信装置と、
前記傾斜角信号が所定の閾値に達した場合に前記車体側通信装置にて前記タイヤ側通信装置との通信を開始し、当該タイヤ側通信装置からの返信信号がない場合は前記タイヤが盗難されたと判定する制御装置と、
を備えることを特徴とするタイヤ盗難検出装置。
【請求項2】
車両の傾斜角を検出し当該傾斜角を示す傾斜角信号を出力する傾斜角センサと、
前記車両の各タイヤに設けられ受信信号に基づいて返信信号を送信するタイヤ側通信装置と、
タイヤ側通信装置との通信を行う車体側通信装置と、
前記傾斜角信号が所定の閾値に達した場合はタイヤが盗難されたと判定すると共に、前記閾値に達しない傾斜角信号が出力された場合は前記車体側通信装置にて前記タイヤ側通信装置との通信を開始し、当該タイヤ側通信装置からの返信信号がない場合は前記タイヤが盗難されたと判定する制御装置と、
を備えることを特徴とするタイヤ盗難検出装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記傾斜角信号が出力されてから所定時間の間、前記車体側通信装置にて前記タイヤ側通信装置との通信を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のタイヤ盗難検出装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記傾斜角信号が出力されている間、前記車体側通信装置にて前記タイヤ側通信装置との通信を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のタイヤ盗難検出装置。
【請求項5】
前記各タイヤに設けられるものであり、当該各タイヤに割り当てられた識別符号を記憶する記憶装置を備え、前記タイヤ側通信装置は、前記返信信号に前記識別符号を含めて返信することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のタイヤ盗難検出装置。
【請求項6】
前記車体側通信装置は、各タイヤに設けられる前記タイヤ側通信装置との距離が異なるように配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のタイヤ盗難検出装置。
【請求項7】
前記制御装置にて前記タイヤが盗難されたと判定された場合、当該タイヤの盗難を警報する警報装置を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のタイヤ盗難検出装置。
【請求項8】
前記車両は、前記各タイヤに設けられ当該タイヤの空気圧を検出し当該空気圧を示す空気圧信号を出力するタイヤ空気圧センサを備えるものであり、前記タイヤ側通信装置は、前記返信信号として前記空気圧信号を用いることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のタイヤ盗難検出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−74382(P2008−74382A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−166849(P2007−166849)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】