説明

タイヤ試験装置及びタイヤ試験方法

【課題】タイヤのフラットスポットの評価(発生量評価、回復評価)を効率よく、高精度に行うことができるタイヤ試験装置及びタイヤ試験方法を提供する。
【解決手段】第1のタイヤスピンドル14を移動手段1404により走行位置に移動させ、第1のタイヤスピンドル14に装着されたタイヤTを、回転駆動されるドラム12に荷重を掛けて押し付けて予備走行し、タイヤのユニフォーミティ成分を測定する。第1のタイヤスピンドル14をフラットスポット生成位置に位置させ、表面温度が上昇したタイヤTを第1の擬似路面18に押し当て、タイヤTにフラットスポットS1を生成する。第1のタイヤスピンドル14を走行位置に位置させ、再び、回転駆動されるドラム12に荷重を掛けて押し当て、フラットスポットが生成されたタイヤを回復走行させ、タイヤのユニフォーミティ成分を測定してタイヤのフラットスポットの回復を評価する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ試験装置及びタイヤ試験方法に関し、さらに詳しくは、タイヤのユニフォーミティ測定機能とタイヤのフラットスポット生成機能を備えてなるタイヤ試験装置及びタイヤ試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
路面上を転動するタイヤは、複数種類のゴムやコード補強材などで造られた複合材製品であるため、製造されたタイヤごとのユニフォーミティ(寸法や剛性や重量分布などの均一性)にバラツキが生じる。このため、製造後のタイヤは、タイヤユニフォーミティ測定装置(タイヤ試験装置)を用いて測定された結果により良品または不良品に選別される。
この種のタイヤユニフォーミティ測定装置は、通常、表面が平滑な回転ドラムを路面の代用として用い、予め決められた測定条件下で、被測定用のタイヤを、回転駆動される回転ドラムの外周面に荷重を掛けて押し付け、回転するタイヤに発生する力の大きさや力の変動の大きさ、外径変動の大きさをユニフォーミティ値として測定するものである(特許文献1、2参照)。
【0003】
ユニフォーミティ値としては、タイヤの径方向における軸力の変動量であってタイヤの上下方向力の変動量を表すRFV(Radial Force Variation)、タイヤの幅方向の変動量を表すLFV(Lateral Force Variation)、タイヤ接線方向の変動量を表すTFV(Tractive Force Variation)、タイヤの1周分におけるタイヤ表面の外径の変動量を表すRRO(Radial Run Out)などがあり、これらユニフォーミティ値はタイヤの均一性を評価する尺度となる。
【0004】
ところで、自動車を高速走行させると、タイヤのトレッド面が40℃〜60℃程度に上昇し、タイヤがこのような状態にある自動車を比較的長時間停車させ、タイヤを冷却させると、タイヤの接地部位にフラットスポットが発生する。ただし、自動車を再び走行させれば、タイヤの表面部の温度上昇に伴いフラットスポットはなくなり、タイヤは元の状態に回復される。
しかしながら、フラットスポットが発生したタイヤは自動車の走行初期時に振動源となり、乗り心地の悪化の要因となる。
従って、タイヤのフラットスポットの発生量評価、回復評価は、タイヤの特性を評価する上で比較的優先順位の高い評価項目となっている。
【0005】
タイヤのフラットスポットの回復評価を可能にした従来のタイヤ試験装置では、回転可能に支持されたスピンドル軸にタイヤを装着し、このタイヤを回転駆動されるドラムに押し当てて一定の時間予備走行させることでタイヤの表面温度を40℃〜60℃の温度に上昇させる。そして、この状態のタイヤのユニフォーミティを測定し、初期のユニフォーミティ値を得る。
その後、この温度上昇したタイヤの初期ユニフォーミティの波形から、周上の一箇所を決定し、回転を停止させた前記ドラムの周面に一定時間押し付けて、タイヤの周面にフラットスポットを生成する。
そして、フラットスポットの生じたタイヤをドラムに押し付けた状態でドラムを再度回転して一定時間回復走行させ、タイヤの表面温度の上昇と共にタイヤのフラットスポットを回復させる。この時のフラットスポットの回復の評価は、回復走行時に定期的に測定したユニフォーミティ値と、前記の初期のユニフォーミティ値とを比較して行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−84310号公報
【特許文献2】特開2007−276697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
フラットスポットの生成方法には、上述したように、予備走行で表面温度を上昇させたタイヤをスピンドル軸に取り付けたままドラムに押し付けることによりドラムでフラットスポットを生成する方法1の他に、予備走行で表面温度を上昇させたタイヤをスピンドル軸から取り外し、フラットスポット生成用治具を用いてフラットスポットを生成する方法2がある。
上記方法2では、一度外したタイヤを再度スピンドル軸に取り付けた時、初期状態と全く同じ状態に取り付けることは困難であり、その影響がフラットスポットの評価(発生量評価、回復評価)結果に大きく影響することになる。したがって、フラットスポットの評価においては、上記方法1の方が好ましい。
【0008】
しかしながら、上記方法1では、スピンドル軸にタイヤを装着したタイヤを回転駆動されるドラムに押し当てて一定時間予備走行させることでタイヤの表面温度を上昇させる工程と、前記ドラムの回転を停止させこの温度上昇したタイヤを前記ドラムに一定時間押し付けてフラットスポットを生成する工程と、前記ドラムを回転駆動させフラットスポットの生じたタイヤをドラムに押し付けて一定時間回復走行させる工程との3つの工程をドラムを用いて行うため、1本のタイヤのフラットスポット評価には、タイヤ試験装置のドラムを2時間以上占有してしまう。
その結果、タイヤ試験装置の試験効率が悪く、生産性も低くなり、試験コストも上昇するという問題があった。
【0009】
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、タイヤのフラットスポット評価を効率よく、高精度に行うことができるタイヤ試験装置及びタイヤ試験方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明のタイヤ試験装置は、回転駆動されるドラムと、被試験用のタイヤが着脱可能に装着されるタイヤスピンドルと、前記タイヤスピンドルに装着されたタイヤにフラットスポットを生成する擬似路面と、前記タイヤスピンドルに装着されたタイヤを前記ドラムに押し当てる走行位置と、前記タイヤを前記擬似路面に押し当てるフラットスポット生成位置とに前記タイヤスピンドルを移動させる移動手段と、前記走行位置での前記タイヤのユニフォーミティ成分を測定するユニフォーミティ測定手段とを備えることを特徴とする。
また、本発明のタイヤ試験装置は、回転駆動されるドラムと、被試験用のタイヤが着脱可能に装着され前記ドラムの周囲の異なった箇所に前記ドラムの軸線と軸線を平行させて配置された複数のタイヤスピンドルと、前記各タイヤスピンドル毎に設けられタイヤにフラットスポットを生成する複数の擬似路面と、前記各タイヤスピンドルに装着されたタイヤを前記ドラムに押し当てる走行位置と、前記タイヤを前記擬似路面に押し当てるフラットスポット生成位置と、前記タイヤを前記ドラムと前記擬似路面との双方から離したタイヤ交換位置とに、前記各タイヤスピンドルを移動させる移動手段と、前記走行位置での前記各タイヤのユニフォーミティ成分を測定するユニフォーミティ測定手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のタイヤ試験方法は、回転駆動されるドラムと、被試験用のタイヤが着脱可能に装着されるタイヤスピンドルと、前記タイヤスピンドルに装着されたタイヤにフラットスポットを生成する擬似路面とを設け、前記タイヤスピンドルを移動させ前記タイヤを前記ドラムに押し当てて予備走行させタイヤのユニフォーミティ成分を測定する予備走行工程と、前記タイヤスピンドルを移動させ前記予備走行後のタイヤを前記擬似路面に押し当てて当該タイヤにフラットスポットを生成するフラットスポット生成工程と、前記タイヤスピンドルを移動させ前記フラットスポットが生成された前記タイヤを前記ドラムに再度押し当てて回復走行させ、タイヤのユニフォーミティ成分を測定してタイヤのフラットスポットの回復を評価する回復走行工程と、前記タイヤスピンドルに対して前記フラットスポットが回復された後の試験済みタイヤを試験前のタイヤに交換するタイヤ交換工程とを備えることを特徴とする。
また、本発明のタイヤ試験方法は、回転駆動されるドラムと、被試験用のタイヤが着脱可能に装着される複数のタイヤスピンドルと、前記各タイヤスピンドルに装着されたタイヤのそれぞれにフラットスポットを生成する複数の擬似路面とを設け、前記タイヤスピンドル毎に前記タイヤを前記ドラムに押し当てて予備走行させタイヤのユニフォーミティ成分を測定する予備走行工程と、前記タイヤスピンドル毎に前記予備走行後のタイヤを前記擬似路面に押し当てて当該タイヤにフラットスポットを生成するフラットスポット生成工程と、前記タイヤスピンドル毎に前記フラットスポットが生成された前記タイヤを前記ドラムに再度押し当てて回復走行させ、タイヤのユニフォーミティ成分を測定してタイヤのフラットスポットの回復を評価する回復走行工程と、前記タイヤスピンドル毎に前記フラットスポットが回復された後の試験済みタイヤを試験前のタイヤに交換するタイヤ交換工程を備え、前記予備走行工程、前記フラットスポット生成工程、前記回復走行工程及び前記タイヤ交換工程が前記各タイヤスピンドル毎に時間をずらして実行されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかるタイヤ試験装置及びタイヤ試験方法によれば、タイヤのフラットスポット評価(発生量評価、回復評価)を効率よく、高精度に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明かかるタイヤ試験装置の第1の実施の形態を示す概略正面図である。
【図2】本発明かかるタイヤ試験装置の第2の実施の形態を示す概略正面図である。
【図3】第2の実施の形態のタイヤ試験装置を用いてタイヤのフラットスポットの評価試験を行う場合の説明用タイムテーブルである。
【図4】本発明かかるタイヤ試験装置の第3の実施の形態を示す概略正面図である。
【図5】本発明かかるタイヤ試験装置の第4の実施の形態を示す概略平面図である。
【図6】本発明かかるタイヤ試験装置の第5の実施の形態を示す概略正面図である。
【図7】本発明かかるタイヤ試験装置の第6の実施の形態を示す概略正面図である。
【図8】本発明かかるタイヤ試験装置の第7の実施の形態を示す概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施の形態)
本発明にかかるタイヤ試験装置の第1の実施の形態について、図1を参照して詳細に説明する。
タイヤ試験装置は、図1に示すように、回転駆動される1つのドラム12と、被試験用のタイヤTが着脱可能に装着される第1のタイヤスピンドル14と、タイヤTにフラットスポットS1(図2参照)を生成する第1の擬似路面18を含んで構成される。
【0015】
ドラム12は、支持基台1202上で水平方向に延在する回転軸1204を介して回転可能に支持されている。また、ドラム12は支持基台1202に設けられた駆動装置1206により回転駆動される。
また、第1の擬似路面18は、ドラム12の軸線と直交する方向に配置され、ドラム12に対向して配置されている。
第1のタイヤスピンドル14は、ドラム12と第1の擬似路面18との間に配置され、第1のタイヤスピンドル14の軸線とドラム12の軸線とは平行している。すなわち、第12の疑似路面18は、ドラム12の軸線と直交する方向でタイヤスピンドル14よりもドラム12から離れた箇所に配置されている。
【0016】
第1のタイヤスピンドル14は、ドラム12と第1の擬似路面18との間に配置された支持台1402に回転可能に支持されている。
ドラム12の支持基台1202の第1のタイヤスピンドル14側に第1の基台22が設けられ、支持台1402は、この第1の基台22上に設けられた案内部2202上に、ドラム12と第1の擬似路面18に対して接近及び離間する方向に移動可能に載置されている。
また、第1の基台22には、第1のタイヤスピンドル14を走行位置とフラットスポット生成位置とタイヤ交換位置とに移動させる移動手段1404が設けられている。
走行位置では、第1のタイヤスピンドル14に装着されたタイヤTがドラム12に所定の荷重を掛けた状態で押し当てられる。
また、フラットスポット生成位置では、第1のタイヤスピンドル14に装着されたタイヤTが第1の擬似路面18に所定の荷重を掛けた状態で押し当てられる。
また、タイヤ交換位置では、第1のタイヤスピンドル14に装着されたタイヤTがドラム12と第1の擬似路面18の双方から離される。
なお、タイヤスピンドル14には、タイヤTのユニフォーミティ成分RFVやLFV、TFVを測定するユニフォーミティ測定手段1406が設けられ、RROは、外付けのレーザー測定器で測定をする。
なお、移動手段1404には、雌ねじが形成され回転不能かつ直線移動可能に支持された雌ねじ部材を支持基台1402に連結し、前記雌ねじに螺合させた雄ねじ部材の正逆転により支持基台1402を往復直線運動させるなど、従来公知の様々な機構が採用可能である。
【0017】
第1の擬似路面18は第1の基台22上に立設した支持部材1802に設けられている。この第1の擬似路面18がタイヤTと接する面の形状は、ドラム12がタイヤTと接する面の形状と同一に形成されている。
具体的には、第1の擬似路面18は、ドラム12の外周面と同一の曲率で形成されている。これにより、予備走行後の加熱されたタイヤTをドラム12に押し付けてフラットスポットS1を生成する状態を、第1の擬似路面18を用いて再現できるようにしている。
また、第1の擬似路面18は、ドラム12の熱伝導率と同等もしくは一定の差(10%未満)を有する熱伝導率の材料から構成されていることが好ましい。第1の擬似路面18の熱伝導率をこのように設定すると、予備走行後の加熱されたタイヤTをドラム12に押し付けてフラットスポットS1を生成した状態を再現する上で有利となる。
【0018】
さらに、支持部材1802には、第1の擬似路面18がタイヤTと接する面の温度を調節する温度調節手段1804が設けられている。この温度調節手段1804により、第1の擬似路面18がタイヤTと接する面の温度を任意の温度、例えば室温や室温より低い温度または室温−10℃の温度などに調節することで、フラットスポットの生成時間を短縮し、タイヤ試験に費やす時間を短縮する上で有利となる。
【0019】
次に、第1の実施の形態に示すタイヤ試験装置を用いてタイヤのフラットスポットの評価試験を行う場合について説明する。
まず、ドラム12を駆動装置1206により回転駆動し、この状態で、支持台1402を含む第1のタイヤスピンドル14を移動手段1404によりドラム12方向に移動する。そして、第1のタイヤスピンドル14を走行位置に位置させ、第1のタイヤスピンドル14に装着されたタイヤTをドラム12の外周面に一定の荷重を掛けて押し付け、一定の時間、例えば45分間予備走行する(予備走行工程)。これにより、タイヤTの表面温度は、例えば40℃〜60℃に上昇する。予備走行工程の実行時で温度上昇後、タイヤTのユニフォーミティ成分RFVやLFV、TFVをユニフォーミティ測定手段1406により測定し、RROは外付けしたレーザー測定器で測定し、初期データを得る。
予備走行工程が終了したならば、支持台1402を含む第1のタイヤスピンドル14を移動手段1404によりドラム12から離間する方向に移動する。そして、第1のタイヤスピンドル14をフラットスポット生成位置に位置させ、表面温度が上昇したタイヤTを静止した状態で第1の擬似路面18に一定の時間、例えば60分、一定の荷重を掛けて押し当てタイヤTにフラットスポットS1を生成する(フラットスポット生成工程)。そして、従来公知の様々な方法によりフラットスポットS1の発生量を評価する。
【0020】
フラットスポット生成工程が終了したならば、支持台1402を含む第1のタイヤスピンドル14を移動手段1404により第1の擬似路面18から離間する方向に移動する。そして、第1のタイヤスピンドル14を走行位置に位置させ、再び、速度Aで回転駆動されるドラム12に一定の時間、例えば30分一定の荷重を掛けて押し当て、フラットスポットの回復走行を実行する(回復走行工程)。
回復走行工程の実行時には、タイヤTのユニフォーミティ成分RFVやLFV、TFVをユニフォーミティ測定手段1406により測定し、RROは外付けしたレーザー測定器で測定し、この測定データと前記の初期データとを比較してタイヤのフラットスポットの回復を評価する。
回復走行工程が終了したならば、支持台1402を含む第1のタイヤスピンドル14を、移動手段1404によりタイヤ交換位置とし、フラットスポットの評価試験が終了したタイヤTは第1のタイヤスピンドル14から取り外され、評価試験がなされていないタイヤに交換される(タイヤ交換工程)。
以下、同様にして、新規なタイヤについて予備走行工程、フラットスポット生成工程、回復走行工程及びタイヤ交換工程が実行される。
【0021】
このような本実施の形態によれば、単一のドラム12と、単一のタイヤスピンドル14とに加えて、単一の擬似路面18を設け、予備走行工程、フラットスポット生成工程、回復走行工程、タイヤ交換工程の一連の工程を実行するようにした。
そのため、ドラム12を占有する時間を短縮でき、また、タイヤTをタイヤスピンドル14から取り外すことなくタイヤのフラットスポット試験を行うことができ、タイヤのフラットスポット評価を効率よく、高精度に行う上で有利となる。
また、擬似路面を任意の温度で設定できるので、フラットスポット生成を効率的に行うことも可能となる。
(第2の実施の形態)
本発明にかかるタイヤ試験装置の第2の実施の形態について、図2、図3を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施の形態の説明では、第1の実施の形態の同一または対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略しあるいは簡単に行い、第1の実施の形態と異なる点を重点に述べる。
タイヤ試験装置は、図2に示すように、回転駆動される1つのドラム12と、被試験用のタイヤTが着脱可能に装着される第1、第2の2つのタイヤスピンドル14,16と、各タイヤT毎にフラットスポットS1を生成する第1、第2の2つの擬似路面18,20を含んで構成される。
すなわち、複数のタイヤスピンドル14,16が設けられ、各タイヤスピンドル14,16毎に擬似路面18,20が複数設けられている。
なお、第2の実施の形態では、第1、第2の2つのタイヤスピンドル14,16に異なった構造(種類)のタイヤTが装着されている。
【0022】
第1のタイヤスピンドル14と第2のタイヤスピンドル16は、ドラム12を挟んでドラム12の左右両側に、それらの軸線をドラム12の回転軸1204の軸線と平行させて配設されている。
また、第1の擬似路面18は第1のタイヤスピンドル14を挟んでドラム12に対向配置され、さらに、第2の擬似路面20は第2のタイヤスピンドル16を挟んでドラム12に対向配置されている。すなわち、第1、第2の疑似路面18、20は、ドラム12の軸線と直交する方向でタイヤスピンドル14、16よりもドラム12から離れた箇所に配置されている。
なお、ドラム12と、第1のタイヤスピンドル14と、第1の擬似路面18とは前記第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0023】
第2のタイヤスピンドル16は、ドラム12と第2の擬似路面20との間に配置された支持台1602に回転可能に支持されている。
ドラム12の支持基台1202の第2のタイヤスピンドル16側に第2の基台24が設けられ、支持台1602は、この第2の基台24上に設けられた案内部2402上に、ドラム12と第2の擬似路面20に対して接近及び離間する方向に移動可能に載置されている。
また、第2の基台24には、第2のタイヤスピンドル16を走行位置とフラットスポット生成位置とタイヤ交換位置とに移動させる移動手段1604が設けられている。
走行位置では、第2のタイヤスピンドル16に装着されたタイヤTがドラム12に所定の荷重を掛けた状態で押し当てられる。
また、フラットスポット生成位置では、第2のタイヤスピンドル16に装着されたタイヤTが第2の擬似路面20に所定の荷重を掛けた状態で押し当てられる。
また、タイヤ交換位置では、第2のタイヤスピンドル16に装着されたタイヤTがドラム12と第2の擬似路面20の双方から離される。
なお、支持台1602には、タイヤTのユニフォーミティ成分RFVやLFV、TFVを測定するユニフォーミティ測定手段1606が設けられ、RROは外付けのレーザー測定器で測定をする。
【0024】
第2の擬似路面20は第2の基台24上に立設した支持部材2002に装着されている。この第2の擬似路面20がタイヤTと接する面の形状は、ドラム12のタイヤTと接する面の形状と同一に形成されている。
具体的には、第2の擬似路面20は、ドラム12の外周面と同一の曲率で形成されている。これにより、予備走行後の加熱されたタイヤTをドラム12に押し付けてフラットスポットS1を生成した状態を、第2の擬似路面20を用いて再現できるようにしている。
また、第2の擬似路面20は、ドラム12の熱伝導率と同等もしくは一定の差(10%未満)を有する熱伝導率の材料から構成されていることが好ましい。第2の擬似路面20の熱伝導率をこのように設定すると、予備走行後の加熱されたタイヤTをドラム12に押し付けてフラットスポットS1を生成した状態を再現する上で有利となる。
【0025】
さらに、支持部材2002には、第2の擬似路面20がタイヤTと接する面の温度を調節する温度調節手段2004が設けられている。この温度調節手段2004により、第2の擬似路面20がタイヤTと接する面の温度を任意の温度、例えば室温や室温より低い温度または室温−10℃の温度などに調節することで、フラットスポットの生成時間を短縮し、その試験効率を向上する上で有利となる。
【0026】
次に、第2の実施の形態に示すタイヤ試験装置を用いてタイヤのフラットスポットの評価試験を行う場合について説明する。
まず、ドラム12を駆動装置1206により速度Aで回転駆動し、この状態で、支持台1402を含む第1のタイヤスピンドル14を移動手段1404によりドラム12方向に移動する。そして、第1のタイヤスピンドル14を走行位置に位置させ、第1のタイヤスピンドル14に装着されたタイヤTをドラム12の外周面に一定の荷重を掛けて押し付け、一定の時間、例えば45分間予備走行する(予備走行工程)。これにより、タイヤTの表面温度は、例えば40℃〜60℃に上昇する。予備走行工程の実行時で温度上昇後、タイヤTのユニフォーミティ成分RFVやLFV、TFVをユニフォーミティ測定手段1406により測定し、RROは外付けしたレーザー測定器で測定し、初期データAを得る。
【0027】
予備走行工程が終了したならば、支持台1402を含む第1のタイヤスピンドル14を移動手段1404によりドラム12から離間する方向に移動する。そして、第1のタイヤスピンドル14をフラットスポット生成位置に位置させ、表面温度が上昇したタイヤTを第1の擬似路面18に一定の時間、例えば60分、一定の荷重を掛けて押し当てタイヤTにフラットスポットS1を生成する(フラットスポット生成工程)。
【0028】
一方、第1の擬似路面18によるタイヤTへのフラットスポットS1の生成開始に合わせて、ドラム12を駆動装置1206により速度Aとは異なる速度Bで回転駆動し、この状態で、支持台1602を含む第2のタイヤスピンドル16を移動手段1604によりドラム12方向に移動する。そして、第2のタイヤスピンドル16を走行位置に位置させ、第2のタイヤスピンドル16に装着されたタイヤTをドラム12の外周面に一定の荷重を掛けて押し付け、一定の時間、例えば45分間予備走行する(予備走行工程)。これにより、タイヤTの表面の温度は、例えば40℃〜60℃に上昇する。予備走行工程の実行時で温度上昇後、タイヤTのユニフォーミティ成分RFVやLFV、TFVをユニフォーミティ測定手段1406により測定し、RROは外付けしたレーザー測定器で測定し、初期データBを得る。
この第2のタイヤスピンドル16に装着されたタイヤTの予備走行工程は、第1のタイヤスピンドル14に装着されたタイヤTのフラットスポット生成工程中に実行される。
【0029】
予備走行工程が終了したならば、支持台1602を含む第2のタイヤスピンドル16を移動手段1604によりドラム12から離間する方向に移動する。そして、第2のタイヤスピンドル16をフラットスポット生成位置に位置させ、表面温度が上昇したタイヤTを第2の擬似路面20に一定の時間、例えば60分、一定の荷重を掛けて押し当てタイヤTにフラットスポットS1を生成する(フラットスポット生成工程)。
【0030】
第1の擬似路面18によるタイヤTへのフラットスポットS1のフラットスポット生成工程が終了したならば、支持台1402を含む第1のタイヤスピンドル14を移動手段1404により第1の擬似路面18から離間する方向に移動する。そして、第1のタイヤスピンドル14を走行位置に位置させ、再び、速度Aで回転駆動されるドラム12に一定の時間、例えば30分一定の荷重を掛けて押し当て、フラットスポットの回復走行を実行する(回復走行工程)。
回復走行工程の実行時には、タイヤTのユニフォーミティ成分RFVやLFV、TFVをユニフォーミティ測定手段1406により測定し、RROは外付けしたレーザー測定器で測定し、この測定データと前記の初期データAとを比較してタイヤのフラットスポットの回復を評価する。
【0031】
回復走行工程が終了したならば、支持台1402を含む第1のタイヤスピンドル14を、移動手段1404によりタイヤ交換位置とし、フラットスポットの評価試験が終了したタイヤTは第1のタイヤスピンドル14から取り外され、評価試験がなされていない新規なタイヤに交換される(タイヤ交換工程)。
この第1のタイヤスピンドル14に装着されたタイヤTの回復走行工程とタイヤ交換工程は、第2のタイヤスピンドル16に装着されたタイヤTのフラットスポット生成工程中に実行される。
【0032】
一方、第2の擬似路面20によるタイヤTへのフラットスポットS1のフラットスポット生成工程が終了したならば、支持台1602を含む第2のタイヤスピンドル16を移動手段1604により第2の擬似路面20から離間する方向に移動する。そして、再び、速度Bで回転駆動されるドラム12に一定の時間、例えば30分一定の荷重を掛けて押し当て、フラットスポットの回復走行を実行する(回復走行工程)。
回復走行工程の実行時には、タイヤTのユニフォーミティ成分RFVやLFV、TFVをユニフォーミティ測定手段1606により測定し、RROは外付けしたレーザー測定器で測定し、この測定データと前記の初期データBとを比較してタイヤのフラットスポットの回復を評価する。
この第2のタイヤスピンドル16に装着されたタイヤTの回復走行工程は、第1のタイヤスピンドル14に装着されたタイヤTの交換工程の終了間際から予備走行工程の前に実行される。
【0033】
回復走行工程が終了したならば、支持台1602を含む第2のタイヤスピンドル16を、移動手段1604によりタイヤ交換位置とし、フラットスポットの評価試験が終了したタイヤTは第2のタイヤスピンドル16から取り外され、評価試験がなされていない新規なタイヤに交換される(タイヤ交換工程)。
この第2のタイヤスピンドル16に装着されたタイヤTのタイヤ交換工程は、第1のタイヤスピンドル14に装着されたタイヤTの予備走行工程中に実行される。
【0034】
以下、同様にして、上述した予備走行工程、フラットスポット生成工程、回復走行工程及びタイヤ交換工程が第1、第2のタイヤスピンドル毎に時間をずらして実行される。
【0035】
このような第2の実施の形態によれば、単一のドラム12に対して、2つのタイヤスピンドル14,16と、2つの擬似路面18,20とを設け、予備走行工程、フラットスポット生成工程、回復走行工程、タイヤ交換工程の一連の工程を、各タイヤスピンドル14,16毎に時間をずらして実行するようにした。
そのため、従来のタイヤ試験装置では、1本のフラットスポット評価に135分費やされていたのに対し、本実施の形態では、図2に示すように、180分で2本のタイヤのフラットスポット評価を行え、タイヤ試験に費やす時間を大幅に短縮することが可能となる。
したがって、本実施の形態によれば、タイヤのフラットスポット評価を効率よく、高精度に行う上で有利となる。
また、タイヤスピンドルと疑似路面を複数設けたので、各タイヤスピンドル14,16毎に異なった構造(種類)のタイヤTを装着でき、予備走行工程、回復走行工程でのトラム12の回転速度を変えることにより、異なった構造(種類)のタイヤのフラットスポット評価を効率よく、高精度に同時に行うことも可能となる。
【0036】
(第3の実施の形態)
本発明にかかるタイヤ試験装置の第3の実施の形態について、図4を参照して詳細に説明する。
第3の実施の形態のタイヤ試験装置は、第2の実施の形態の変形例である。
第3の実施の形態のタイヤ試験装置は、長尺な基台62の長手方向の中間に位置して、基台62の長手方向と直交する軸線周りに回転可能に支持され、図示省略の駆動手段により回転駆動される単一のドラム64を有している。
ドラム64を挟んでドラム64の軸方向と直交する方向の両側の基台62上に、それぞれ一対ずつのブラケット66,68が基台62の長手方向に移動可能に配置されている。
一対ずつのブラケット66,68には、被試験用のタイヤTが一対ずつ着脱可能に装着される第1、第2のタイヤスピンドル70,72が回転可能に支持され、第1、第2のタイヤスピンドル70,72の軸線とドラム64の軸線は平行である。
また、第1、第2のタイヤスピンドル70,72に装着された各タイヤT毎にフラットスポットを生成する一対ずつの第1、第2の擬似路面74,76が、第1、第2のタイヤスピンドル70,72のそれぞれに装着された各タイヤTを挟んでドラム64の外周面に対向して配置されている。
なお、ドラム64、第1、第2のタイヤスピンドル70,72、第1、第2の擬似路面74,76は第2の実施の形態と符号が異なるものの、第2の実施の形態のドラム12、第1、第2のタイヤスピンドル14、16、第1、第2の疑似路面18、20と同様な構成であり、第2の実施の形態と同様な移動手段1404,1604により、走行位置、フラットスポット生成位置、タイヤ交換位置とに移動され、同様な動作がなされる。
【0037】
第3の実施の形態のタイヤ試験装置によれば、2本のタイヤTについて同時にタイヤ試験を行えるため、第2の実施の形態に比べて、タイヤ試験に費やす時間を1/2に短縮できる。
【0038】
(第4の実施の形態)
本発明にかかるタイヤ試験装置の第4の実施の形態について、図5を参照して詳細に説明する。
第4の実施の形態は、第2の実施の形態の変形例である。
第4の実施の形態が第2の実施の形態と異なる点は、第2の実施の形態のタイヤ試験装置では、ドラム12の軸線と、第1、第2のタイヤスピンドル14,16の軸線とを水平方向に延在させていたのに対して、第4の実施の形態では、ドラム84の軸線と、4つのタイヤスピンドル86の軸線を鉛直方向に延在させていることである。
【0039】
すなわち、ドラム84はその軸線を鉛直方向に向けられて配置され、不図示の支持基台で支持され、駆動軸82により鉛直軸を中心に回転駆動され、回転軸82は不図示の駆動装置により回転駆動される。
タイヤTが装着されるタイヤスピンドル86は、単一のドラム84に対して4つ設けられ、これに対応して4つの疑似路面88が設けられている。
すなわち、タイヤTが装着される第1、第2、第3、第4の4つのタイヤスピンドル86は、ドラム84の径方向外側でドラム84の周方向に等間隔離した箇所に、それらの軸線を鉛直方向に向けて配置されている。
また、ドラム84の径方向で各第1、第2、第3、第4の4つのタイヤスピンドル86の外側に、それぞれフラットスポット生成用の擬似路面88が配置されている。
【0040】
第1、第2、第3、第4の4つのタイヤスピンドル86は、それぞれ支持台90上で回転可能に支持されている。
各支持台90は、不図示の移動手段により、走行位置と、フラットスポット生成位置と、タイヤ交換位置とに個別に移動可能である。
また、各支持台90には、タイヤTのユニフォーミティ成分RFVやLFV、TFV、RROを測定するユニフォーミティ測定手段(不図示)が設けられている。
なお、ドラム84、タイヤスピンドル86、疑似路面88、移動手段、ユニフォーミティ測定手段は第2の実施の形態と符号が異なるものの、ドラム84の軸線とタイヤスピンドル86の軸線が鉛直方向に向けられている点以外は、同様な構成で同様な動作がなされる。
【0041】
このような第4の実施の形態に示すタイヤ試験装置においては、第2の実施の形態の効果に加え、タイヤ試験装置を1ドラム複数ポジション用として利用でき、複数のタイヤのフラットスポット評価試験が同時に可能になり、フラットスポット評価試験に費やす試験時間を大幅に短縮する上で有利となる。
また、第2の実施の形態と同様に、タイヤスピンドル86と疑似路面88を複数設けたので、各タイヤスピンドル86毎に異なった構造(種類)のタイヤTを装着でき、予備走行工程、回復走行工程でのドラム84の回転速度を変えることにより、異なった構造(種類)のタイヤのフラットスポット評価を効率よく、高精度に同時に行うことも可能となる。
【0042】
(第5の実施の形態)
本発明にかかるタイヤ試験装置の第5の実施の形態について、図6を参照して詳細に説明する。
第5の実施の形態に示すタイヤ試験装置では、タイヤスピンドル14を挟んでドラム12に対向配置されタイヤTが接触する擬似路面30の形状が平面で形成されている。
このような第5の実施の形態に示すタイヤ試験装置においては、フラットスポット生成用の擬似路面30を平面とすることで、平面でフラットスポットが生成された状態を再現できる。
これにより、タイヤTをタイヤスピンドル14から取り外さなくとも、ドラム12を占有することなくタイヤのフラットスポット試験を行うことができ、タイヤのフラットスポット評価を効率よく、高精度に行うことができる。
第5の実施の形態は、第1〜第4の実施の形態に適用可能である。第5の実施の形態を第2〜第4の実施の形態に適用する場合には、複数の疑似路面のうちの任意の疑似路面を平面で形成し、残りの疑似路面をドラムと同じ形状で形成してもよく、あるいは、全ての疑似路面を全て平面で形成してもよい。
【0043】
(第6の実施の形態)
本発明にかかるタイヤ試験装置の第6の実施の形態について、図7を参照して詳細に説明する。
第6の実施の形態に示すタイヤ試験装置は、第1の実施の形態に遮蔽板32を加えたものである。
すなわち、タイヤスピンドル14に装着されたタイヤTとドラム12との間に、タイヤT側とドラム12側とを仕切る遮蔽板32を設けた。
遮蔽板32は、不図示の移動手段により、ドラム12のタイヤスピンドル14側が覆われる遮蔽位置(図7の実線で示す位置)と、ドラム12がタイヤスピンドル14に開放される非遮蔽位置(図7の仮想線で示す位置)に移動可能である。この場合、遮蔽板32の移動方向は鉛直方向でもよく水平方向でもよい。
このような第4の実施の形態のタイヤ試験装置によれば、第1の実施の形態の効果に加え、遮蔽板32を遮蔽位置とすることで、ドラム12が回転駆動されている場合であっても、タイヤスピンドル14に対するタイヤTの交換作業を効率よく行う上で有利となる。
第6の実施の形態は、第1〜第4の実施の形態に適用可能である。第6の実施の形態を第2〜第4の実施の形態に適用する場合には、ドラムと、タイヤスピンドルに装着されたタイヤTとの間の全ての箇所に遮蔽板32を設けてもよく、任意の箇所のみに遮蔽板32を設けてもよい。
【0044】
(第7の実施の形態)
本発明にかかるタイヤ試験装置の第7の実施の形態について、図8を参照して詳細に説明する。
第7の実施の形態に示すタイヤ試験装置は、第1の実施の形態に擬似路面18付きの遮蔽板32を加えたものである。
すなわち、第7の実施の形態に示すタイヤ試験装置では、第6の実施の形態と同様に、タイヤスピンドル14に装着されたタイヤTとドラム12との間に、タイヤT側とドラム12側とを仕切る遮蔽板32が設けられている。
遮蔽板32は、不図示の移動手段により、ドラム12のタイヤスピンドル14側が覆われる遮蔽位置(図8の実線で示す位置)と、ドラム12がタイヤスピンドル14に開放される非遮蔽位置(図8の仮想線で示す位置)に移動可能である。
さらに、遮蔽位置に位置した遮蔽板32がタイヤTと対向する箇所に、擬似路面18が設けられている。
【0045】
そして、支持台1402を含む第1のタイヤスピンドル14を移動手段1404により走行位置、フラットスポット生成位置、走行位置、タイヤ交換位置に移動させることで、予備走行工程、フラットスポット生成工程、回復走行工程、タイヤ交換工程が行われる。
走行位置では、遮蔽板32は非遮蔽位置に移動され、第1のタイヤスピンドル14に装着されたタイヤTがドラム12に所定の荷重を掛けた状態で押し当てられる。
また、フラットスポット生成位置では、遮蔽板32は遮蔽位置に移動され、第1のタイヤスピンドル14に装着されたタイヤTが所定の荷重を掛けた状態で第1の擬似路面18に押し当てられる。
また、タイヤ交換位置では、遮蔽板32は遮蔽位置に移動され、第1のタイヤスピンドル14に装着されたタイヤTは、第1の擬似路面18から離される。
【0046】
このような第7の実施の形態のタイヤ試験装置によれば、遮蔽板32と疑似路面18とが、タイヤスピンドル14に装着されたタイヤTとドラム12との間に配置されるため、タイヤ試験装置の平面的なスペースを小さくできる効果が奏される。
第7の実施の形態は、第1〜第4の実施の形態に適用可能である。第7の実施の形態を第2〜第4の実施の形態に適用する場合には、ドラムと、タイヤスピンドルに装着されたタイヤTとの間の全ての箇所に擬似路面18付きの遮蔽板32を設けてもよく、任意の箇所のみに擬似路面18付きの遮蔽板32を設けてもよい。
【符号の説明】
【0047】
T……タイヤ、12、84……ドラム、14、16、86……タイヤスピンドル、18,20、88……擬似路面、1404,1604……移動手段、1406,1606……ユニフォーミティ測定手段、1804,2004……温度調節手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動されるドラムと、
被試験用のタイヤが着脱可能に装着されるタイヤスピンドルと、
前記タイヤスピンドルに装着されたタイヤにフラットスポットを生成する擬似路面と、
前記タイヤスピンドルに装着されたタイヤを前記ドラムに押し当てる走行位置と、前記タイヤを前記擬似路面に押し当てるフラットスポット生成位置とに前記タイヤスピンドルを移動させる移動手段と、
前記走行位置での前記タイヤのユニフォーミティ成分を測定するユニフォーミティ測定手段と、
を備えることを特徴とするタイヤ試験装置。
【請求項2】
前記移動手段は、前記走行位置と前記フラットスポット生成位置とに加え、前記タイヤスピンドルに装着されたタイヤを、前記ドラムと前記擬似路面との双方から離したタイヤ交換位置に移動する、
ことを特徴とする請求項1記載のタイヤ試験装置。
【請求項3】
回転駆動されるドラムと、
被試験用のタイヤが着脱可能に装着され前記ドラムの周囲の異なった箇所に前記ドラムの軸線と軸線を平行させて配置された複数のタイヤスピンドルと、
前記各タイヤスピンドル毎に設けられタイヤにフラットスポットを生成する複数の擬似路面と、
前記各タイヤスピンドルに装着されたタイヤを前記ドラムに押し当てる走行位置と、前記タイヤを前記擬似路面に押し当てるフラットスポット生成位置と、前記タイヤを前記ドラムと前記擬似路面との双方から離したタイヤ交換位置とに、前記各タイヤスピンドルを移動させる移動手段と、
前記走行位置での前記各タイヤのユニフォーミティ成分を測定するユニフォーミティ測定手段と、
を備えることを特徴とするタイヤ試験装置。
【請求項4】
前記疑似路面は、前記ドラムの軸線と直交する方向で前記タイヤスピンドルよりも前記ドラムから離れた箇所に配置されている、
ことを特徴とする請求項1乃至4に何れか1項記載のタイヤ試験装置。
【請求項5】
前記擬似路面の前記タイヤと接する面の温度を調節する温度調節手段を備えることを特徴とする請求項1乃至4に何れか1項記載のタイヤ試験装置。
【請求項6】
前記擬似路面は、前記ドラムの熱伝導率と同等もしくは一定の差を有する熱伝導率の材料から構成されていることを特徴とする請求項1乃至5に何れか1項記載のタイヤ試験装置。
【請求項7】
前記擬似路面の前記タイヤと接する面の形状は、前記ドラムの前記タイヤと接する面の形状と同一であることを特徴とする請求項1乃至6に何れか1項記載のタイヤ試験装置。
【請求項8】
前記擬似路面の前記タイヤと接する面の形状は平面であることを特徴とする請求項1乃至6に何れか1項記載のタイヤ試験装置。
【請求項9】
前記タイヤスピンドルに装着された前記タイヤと前記ドラムとの間に、前記タイヤ側と前記ドラム側とを仕切る遮蔽板が移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1乃至8に何れか1項記載のタイヤ試験装置。
【請求項10】
前記タイヤスピンドルと前記ドラムとの間に、前記タイヤ側と前記ドラム側とを仕切る遮蔽板が移動可能に設けられ、前記遮蔽板に前記擬似路面が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3または請求項5乃至8に何れか1項記載のタイヤ試験装置。
【請求項11】
回転駆動されるドラムと、被試験用のタイヤが着脱可能に装着されるタイヤスピンドルと、前記タイヤスピンドルに装着されたタイヤにフラットスポットを生成する擬似路面とを設け、
前記タイヤスピンドルを移動させ前記タイヤを前記ドラムに押し当てて予備走行させタイヤのユニフォーミティ成分を測定する予備走行工程と、
前記タイヤスピンドルを移動させ前記予備走行後のタイヤを前記擬似路面に押し当てて当該タイヤにフラットスポットを生成するフラットスポット生成工程と、
前記タイヤスピンドルを移動させ前記フラットスポットが生成された前記タイヤを前記ドラムに再度押し当てて回復走行させ、タイヤのユニフォーミティ成分を測定してタイヤのフラットスポットの回復を評価する回復走行工程と、
前記タイヤスピンドルに対して前記フラットスポットが回復された後の試験済みタイヤを試験前のタイヤに交換するタイヤ交換工程と、
を備えることを特徴とするタイヤ試験方法。
【請求項12】
回転駆動されるドラムと、被試験用のタイヤが着脱可能に装着される複数のタイヤスピンドルと、前記各タイヤスピンドルに装着されたタイヤのそれぞれにフラットスポットを生成する複数の擬似路面とを設け、
前記タイヤスピンドル毎に前記タイヤを前記ドラムに押し当てて予備走行させタイヤのユニフォーミティ成分を測定する予備走行工程と、
前記タイヤスピンドル毎に前記予備走行後のタイヤを前記擬似路面に押し当てて当該タイヤにフラットスポットを生成するフラットスポット生成工程と、
前記タイヤスピンドル毎に前記フラットスポットが生成された前記タイヤを前記ドラムに再度押し当てて回復走行させ、タイヤのユニフォーミティ成分を測定してタイヤのフラットスポットの回復を評価する回復走行工程と、
前記タイヤスピンドル毎に前記フラットスポットが回復された後の試験済みタイヤを試験前のタイヤに交換するタイヤ交換工程を備え、
前記予備走行工程、前記フラットスポット生成工程、前記回復走行工程及び前記タイヤ交換工程が前記各タイヤスピンドル毎に時間をずらして実行される、
ことを特徴とするタイヤ試験方法。
【請求項13】
前記少なくとも一つのタイヤスピンドルに装着されるタイヤの予備走行工程と回復走行工程における前記ドラムの回転速度と、前記残りのタイヤスピンドルに装着されるタイヤの予備走行工程と回復走行工程における前記ドラムの回転速度とは異ならせる、
ことを特徴とする請求項12記載のタイヤ試験方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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