説明

タイルカーペットの製造方法

【課題】廃タイルカーペットの裏打ち樹脂で形成されたバッキング層シートの表面は凹凸が激しく、公知の接着樹脂、及び接着方法では、特に凸部分には接着樹脂が薄くしか塗布できず、接着不良が生じる問題があった。
【解決手段】バッキング層3表面、または前記表面パイル層の裏面に、前記接着樹脂を畝状に塗布し接着剤層4を形成する工程と、加圧ロールで畝状に塗布された前記接着樹脂を加圧し平坦化させることにより、強固に表面パイル層とバッキング層を接着させることができ、さらにリサイクル材料の使用比率を高くするタイルカーペットとすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畝状に接着樹脂を塗布し、加圧し平坦化させることにより、表面に凹凸のある、カーペット廃材を粉砕して得られたリサイクル樹脂組成物を主成分とするバッキング層シートでも、低塗布量で、強固に表面パイル層とバッキング層を接着させることができ、さらにリサイクル材料の使用比率を高くすることができるタイルカーペットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カーペットの製造の際には裁断端材が多く発生し、また一般家庭やオフィス等から廃棄処分に供されるカーペットの量も膨大なものになる。従来このようなカーペット廃材は、焼却処理されることが多かった。しかるに、塩化ビニル樹脂からなるバッキング剤で裏打ちされたタイルカーペットを焼却処理すると、有害物質が発生しやすいという問題があった。また、近年、地球環境保護の観点から、カーペット廃材を回収してリサイクル利用することが強く要請されている。このような社会的要請に応えるべく、塩化ビニル樹脂を含むカーペット廃材をリサイクル利用した新たなカーペットが開発されている。
【0003】
例えば、使用済みのタイルカーペットのバッキング層から産出された塩ビを主体とする合成樹脂を含むチップ状或は細片状の小片(ペレット)を集合させ、加熱処理を施しながら加圧処理を行いつつ所定の厚みと幅とを有する長尺状のシート状物に成型し、従来の接着樹脂で接着し、再生タイルカーペット用のバッキング層とする技術が知られている。(特許文献1参照)。
【0004】
また、塩化ビニル系樹脂を有するタイルカーペット廃棄物を粉砕機に通して粉砕し篩に通した微粉末を、バンバリーミキサーに通して混合し、エクストルダーに通して加熱溶融し、カレンダーに通してシート状に圧延した繊維樹脂混合裏材を積層して、公知の塩化ビニル系樹脂ペーストゾルのファーストバッキングの塗布層を介して表面パイル層の裏面に貼り合わす技術も知られている。(特許文献2参照)
【0005】
一方、表面パイル層とバッキング層を積層一体化させる方法として、各層を強固に一体化するために、接着樹脂が低粘度塩化ビニルプラスチゾルであって、前記低粘度塩化ビニルプラスチゾルの25℃のときの粘度が900mPa・s以下である接着樹脂を表面パイル層に加圧ロールで加圧しながら全面に塗布することを特徴とする加工方法も知られている。(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2009−95521号公報
【特許文献2】特開2004−267263号公報
【特許文献3】特開2005−2541号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1.2の技術においては、廃タイルカーペットの裏打ち樹脂を利用する場合、廃タイルカーペットの裏打ち樹脂で形成されたバッキング層シートの表面は凹凸が激しく、公知の接着樹脂、及び接着方法では、特に凸部分には接着樹脂が薄くしか塗布できず、接着不良が生じる問題があった。それを解消するために全体的に塗布する接着樹脂の量を多くする必要があり、経済的に不利があった。さらに、バッキング層の凹凸を減少させるために、廃タイルカーペットの裏打ち樹脂の量を少なくせざるを得なく、リサイクル比率の小さいタイルカーペットとなっている。
【0007】
さらに、特許文献3の技術においては、900mPa・s以下と低粘度の接着剤を用いることにより、各層への含浸が向上し各層の接着性は良くなるが、表面の凹凸が激しい、廃タイルカーペットの裏打ち樹脂で形成されたバッキング層シートに、該低粘度の接着剤を用いると、凸部分に塗布された接着剤が凹部分へ流れ、凸部分には接着剤が塗布されてない状態となり、接着不良が生じる問題があった。
【0008】
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、表面の凹凸が激しい、カーペット廃材を粉砕して得られたリサイクル樹脂組成物を主成分とするシートをバッキング層とする場合においても、低塗布量で、強固に表面パイル層とバッキング層を接着させることができ、さらにリサイクル材料の使用比率を高くすることができるタイルカーペットの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意検討の結果、所定の粘度の接着樹脂を畝状に塗布し、加圧し平坦化させることにより、表面に凹凸のある、カーペット廃材を粉砕して得られたリサイクル樹脂組成物を主成分とするバッキング層シートでも、低塗布量で、強固に表面パイル層とバッキング層を接着させることができ、さらにリサイクル材料の使用比率を高くすることができることを見出し本発明に到達した。前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0010】
[1]基布にパイルが植設されたパイル布帛からなる表面パイル層と、樹脂組成物からなるバッキング層を、接着樹脂で積層一体化させるタイルカーペットの製造方法において、前記バッキング層表面、または前記表面パイル層の裏面に、前記接着樹脂を畝状に塗布し接着剤層を形成する工程と、加圧ロールで畝状に塗布された前記接着樹脂を加圧し平坦化させながら、前記表面パイル層と前記バッキング層を貼り合わせ、乾燥する工程を含むことを特徴とするタイルカーペットの製造方法。
【0011】
[2]前記樹脂組成物からなるバッキング層が、カーペット廃材を粉砕して得られたリサイクル樹脂組成物を主成分とすることを特徴とする前項1に記載のタイルカーペットの製造方法。
【0012】
[3]前記接着樹脂が粘度3000cps〜35000cpsの塩化ビニル樹脂からなるペーストゾル、ホットメルト系のEVA樹脂等から選ばれる少なくとも一種の接着用樹脂を用いることを特徴とする前項1または2に記載のタイルカーペットの製造方法。
【0013】
[4]前記接着剤層において、畝の高さが0.5mm〜1.5mm、畝の巾が0.5mm〜2.0mm、畝の間隔が0.5mmm〜2.0mmmに接着剤層を形成することを特徴とする前項1ないし4に記載のタイルカーペットの製造方法。
【0014】
[5]前記接着樹脂を200〜800g/m塗布し前記接着剤層を形成することを特徴とする前項1ないし4に記載のタイルカーペットの製造方法。
【発明の効果】
【0015】
[1]の発明では、接着樹脂を畝状に塗布し接着剤層を形成することにより、表面に凹凸のある、カーペット廃材を粉砕して得られたリサイクル樹脂組成物を主成分とするバッキング層シート表面、及びバックステッチの繊維束(縫い目)により凹凸のある、前記表面パイル層の裏面にも所望の接着剤樹脂量を塗布することが可能となり、結果低塗布量の接着樹脂での複合一体化が可能となる。さらに、加圧ロールで畝状に塗布された前記接着樹脂を加圧し平坦化させることにより、接着面全体に接着樹脂が行き渡り強固な接着力となる。その結果、凹凸の激しい表面を有するシートをバッキング層として用いることが可能となる。
【0016】
[2]の発明では、脂組成物からなるバッキング層が、カーペット廃材を粉砕して得られたリサイクル樹脂組成物を主成分とすることから、地球環境保護に十分に貢献できるタイルカーペットを製造することが可能となる。さらに、[1]の発明を用いることにより、多量のリサイクル樹脂組成物を含むシートをバッキング層として用いることが可能となり、リサイクル比率が高く、地球環境保護に十分に貢献できるタイルカーペットを製造することが可能となる。
【0017】
[3]の発明では、接着樹脂が粘度3000cps〜35000cpsの塩化ビニル樹脂からなるペーストゾル、ホットメルト系のEVA樹脂等から選ばれる少なくとも一種の接着用樹脂を用いることにより、表面に凹凸のある、カーペット廃材を粉砕して得られたリサイクル樹脂組成物を主成分とするバッキング層シートの凸部分に、適度な量の接着樹脂を畝状に塗布することが可能となり、さらに、加圧することにより、接着面全体に平坦化させる事が可能となる。
【0018】
[4]の発明では、塗布する接着樹脂の畝の高さが0.5mm〜1.5mm、畝の巾が0.5mm〜2.0mm、畝の間隔が0.5mmm〜2.0mmmで形成することにより、櫛状の冶具を付加することで、公知のコーティング方法で塗布することが可能で、加圧ロールで畝状に塗布された前記接着樹脂を加圧し平坦化させることにより、接着面全体に適度に接着樹脂が行き渡り強固な接着力となる。
【0019】
[5]の発明では、接着樹脂を200〜800g/m塗布し接着剤層を形成することにより、強固な接着力を発揮し、経済的にも安価で表面パイル層と、バッキング層を接着させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明のタイルカーペットの製造方法によって製造されたタイルカーペット(1)は、図1に示すように、基布にパイルが植設されたパイル布帛からなる表面パイル層(2)と、樹脂組成物からなるバッキング層(3)が接着樹脂層(4)により積層一体化されてなるものである。さらに、タイルカーペット(1)の寸法安定性のために、前記バッキング層(3)の層間或いは層上にガラス繊維又はポリエステル繊維の不織布及び織布からなる補強層(5)を挿入することも可能である。
【0021】
本発明における前記表面パイル層(2)としては、特に限定されるものではないが、例えばカーペット基材に表面にパイルが植設されたもの、タフテッドカーペット、織カーペット、編カーペット等を例示できる。但し何れのカーペットにおいても、バックステッチの繊維束(縫い目)等により裏面に凹凸が生じる。
【0022】
前記カーペット基材としては、特に限定されるものではなくどのようなものでも使用できる。例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維等の合成繊維、あるいは麻、綿、羊毛等の天然繊維等の繊維からなる糸を製編織した布地の他、各種の繊維や糸を、ニードリング等により機械的に接結したり、あるいは接着剤等により化学的に接結した不織布等を使用できる。
【0023】
前記パイル素材としては、特に限定されるものではなく、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維、レーヨン繊維等の繊維からなるもの等を好適に使用でき、その他、麻、綿、羊毛等の天然繊維からなるもの等を使用できる。更にパイル層の形成手段も特に限定されるものではなく、例えばモケット等のように経パイル織、緯パイル織等の製織によりパイル層を形成する手段、タフティングマシン等によりパイル糸を植毛してパイル層を形成する手段、編機によりパイル層を形成する手段、接着剤を用いてパイル糸を接着してパイル層を形成する手段等を例示することができる。パイル形態も特に限定されず、カットパイル、ループパイル等いずれの形態であっても良い。
【0024】
また、表面パイル層(2)の下面にパイル抜け止め用の低粘度のポリ塩化ビニル樹脂やカルボキシ変性スチレン・ブタジエン共重合体等のラテックス層(6)等を設けても良い。特に含浸性、接着性の面から低粘度のポリ塩化ビニル樹脂が好ましい。
【0025】
本発明における樹脂組成物からなるバッキング層(3)はタイルカーペットの形状を形成するもので、カーペット廃材を粉砕して得られたリサイクル樹脂組成物を主成分とすることを特徴とする。塩化ビニル樹脂が含有してなるカーペット廃材としては、特に限定されるものではないが、例えばカーペット製造時の裁断端材、一般家庭やオフィス等から出た廃棄処分に供されるカーペットなどが挙げられ、中でも塩化ビニル樹脂が裏打ちされたタイルカーペットが好適に用いられる。
【0026】
塩化ビニル樹脂が裏打ちされたカーペット廃材から削り取られ、粉砕された樹脂組成物を得るための削り取り方法、粉砕手法は、特に限定されるものではないが、例えば塩化ビニル樹脂からなる裏打ち層をカーペット廃材から剥離し、この剥離した廃材を粉砕機を用いて粉砕し、得られた粉砕物を風力振動分級等で樹脂分と
繊維分に分離し(例えば特開2003−47878号公報に記載の粉砕手法を採用できる)、この分離された樹脂分をさらに微粉化(特願2004−310179号参照)する手法などが挙げられる。
【0027】
しかしながら、上記手法等で得られた再生材からなる樹脂組成物は、分離したとはいえ、カーペット廃材を構成する繊維分等が残っており、該樹脂組成物を主成分として、タイルカーペット(1)のバッキング層(3)としてのシートを形成した場合、該シートの表面は接着には不向きな凹凸の激しいものでり、その高低差は0.5mm以上に及ぶこともある。
【0028】
本発明において補強層(5)を挿入する場合、補強層(5)としてガラス繊維又はポリエステル繊維の不織布及び織布を用いることができる。前記補強層(5)は前記バッキング層(3)の層間、或いは層上に積層する事により、カーペットの形状安定性を向上させるものである。即ち、ガラス繊維又はポリエステル繊維の不織布及び織布は、高い強度及び耐熱性により、経時変化が少なく、樹脂層との接触面積が大であるので、有効にカーペットの形状を安定化することが可能である。この点から最も好適なものとしてガラス繊維からなる不織布が挙げられる。前記ガラス繊維からなる不織布の目付け量は、好ましくは15〜60g/mの範囲である。この範囲より低い目付け量では、寸法安定性の効果が不足し、またこの範囲を超える高い目付け量では、いずれも樹脂層と不織布間の層間剥離が生じ易く好ましくない。
【0029】
本発明における、前記バッキング層表面、または前記表面パイル層の裏面に塗布し、表面パイル層(2)とバッキング層(3)を接着させる接着樹脂層(4)を構成する接着樹脂は粘度3000cps〜35000cpsの塩化ビニル樹脂からなるペーストゾル、ホットメルト系のEVA樹脂等から選ばれる少なくとも一種の接着用樹脂を用いる必要がある。該範囲の粘度であれば、櫛状の冶具を付加することで、前記バッキング層表面、または前記表面パイル層の裏面にも、公知のコーティング方法で畝状に塗布することが可能で、さらに、加圧ロールで畝状に塗布された前記接着樹脂を加圧し平坦化させることにより、容易に接着面全体に適度に接着樹脂が行き渡り、適度な含浸により表面パイル層(2)とバッキング層(3)が強固に接着される。
【0030】
従来のフラットな接着樹脂のコーティングでは、コーティング後の一定高さのスキージにより、特に、凹凸のある表面を有するバッキング層(3)、または前記表面パイル層の裏面の凸部分には、薄く、少量の接着樹脂しか乗らない結果となり、その部分が接着不良となり、タイルカーペット(1)の使用中に層間剥離を起こす危険性がある。本発明における畝状に塗布する方法では、前記バッキング層(3)の表面や、前記表面パイル層の裏面の凹凸状態に関係なく、あらゆる部分に一定量の接着樹脂を塗布することができる。さらに前記一定量が塗布された畝状の接着樹脂を加圧することにより、接着面全面に適量の接着樹脂が塗布された状態になり、全面に渡り表面パイル層(2)とバッキング層(3)が強固に接着される。
【0031】
本発明における接着樹脂層(4)を形成する方法として、櫛状の冶具を付加することで、公知のコーティング方法で接着樹脂を塗布することができる。また、塗布する面は前記バッキング層(3)表面、または前記表面パイル層(2)の裏面に塗布することが可能である。例えば、図(2)に示すように、前記バッキング層(3)表面に塗布する場合は、従来のドクターナイフコーティング方式のドクターナイフを櫛状にすることによって、容易に畝状の接着樹脂層を形成することができる。また、図(3)に示すように、前記表面パイル層(2)の裏面に塗布する場合は、従来のローラーコーティング方式のローラーの表面を畝状に成型し、接着樹脂を転写することにより容易に畝状の接着樹脂層を形成することができる。
【0032】
本発明における接着樹脂層(4)の塗布する形状は、畝の高さ(7)が0.5mm〜1.5mm、畝の巾(8)が0.5mm〜2.0mmに設定する必要がある。この範囲を下回れば、接着力を発揮する接着樹脂を塗布することができず、接着力が低下する可能性がある。また、この範囲を上回れば、接着樹脂の塗布ムラが発生し、経済的にも不利である。さらに、畝の間隔(9)が0.5mm〜2.0mmである必要がある。この範囲を下回れば、接着樹脂の塗布ムラが発生し、経済的にも不利である。また、この範囲を上回れば、加圧した時に平坦化させることが困難で、接着力が低下する可能性がある。
【0033】
本発明における接着樹脂層(4)の塗布量は200〜800g/mであることが必要である。この範囲であれば、上記の畝状の接着樹脂層(4)の形成が可能で、加圧した時に平坦化させ、表面パイル層(2)とバッキング層(3)が強固に接着させることができる。この範囲を下回れば、畝状の接着樹脂層(4)の形成が困難で接着力が低下する可能性がある。また、この範囲を上回れば、接着樹脂の塗布ムラが発生し、表面パイル層(2)表面に凹凸が発生し、外観に不具合が生じる可能性があり、また、経済的にも不利である。
【0034】
本発明において、畝状に塗布した接着樹脂を接着樹脂層(4)とする方法として、加圧ローラーを用いて接着面全面に接着樹脂を押し拡げる。前記加圧ローラーとしては、従来のタイルカーペット加工機の最終工程部分の表面パイル層(2)と、バッキング層(3)と、及び補強層(5)を積層一体化する加圧ローラーを用いれば良く、前記粘度範囲の接着樹脂を用いれば容易に接着樹脂を押し拡げ、表面パイル層(2)と、バッキング層(3)等を積層一体化できる。
【0035】
本発明のタイルカーペットの製造方法は、前記接着樹脂を畝状に塗布し接着剤層(4)を形成する工程と、加圧ロールで畝状に塗布された前記接着樹脂を加圧し平坦化させる工程を含むものであれば、パウダー散布加工、コーティング加工、カレンダー加工等の公知の加工技術を用いることができるが、リサイクル樹脂をできるだけ多く使用するにはパウダー散布加工が好ましい。
【0036】
本発明のタイルカーペットの製造方法は、前記表面パイル層(2)と、前記バッキング層(3)を接着樹脂層(4)により積層一体化し、最後に所定形状、例えば500mm角の正方形に裁断すれば、最終製品としてのタイルカーペット(1)が得られる。
【実施例】
【0037】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0038】
<実施例1>表面パイル層として目付90g/m のポリエステル繊維の不織布(カーペット基材)に、ナイロン繊維からなるパイル糸がループパイルにタフティングされたもの(パイル目付610g/m2 )を用意し、次に、塩化ビニル樹脂を含有してなるカーペット廃材を粉砕して得られた樹脂組成物をバンバリ混練機に投入し、パウダースキャッター加工機において、厚さ2.0mmの長尺状に成型したシート状物をバッキング層として用意し、タイルカーペット加工機において、前記バッキング層を無端離型性ベルトに載せ、櫛状のドクターナイフが装備されたコーティングローラーにより、接着樹脂として、粘度20000cpsの塩化ビニル樹脂からなるペーストゾルを畝状(畝の高さが0.5mm〜1.5mm、畝の巾が0.5mm〜2.0mm、畝の間隔が0.5mm〜2.0mm)に500g/m塗布し、その上に前記表面パイル層を載せてロール圧着し、接着樹脂も加圧し、最後に500mm角の正方形に裁断し、タイルカーペットを製造した。
【0039】
<実施例2>用いる接着樹脂として、粘度8000cpsの塩化ビニル樹脂からなるペーストゾルを畝状に塗布したこと以外は実施例1と全く同様にしてタイルカーペットを得た。
【0040】
<実施例3>用いる接着樹脂として、粘度30000cpsの塩化ビニル樹脂からなるペーストゾルを畝状に塗布したこと以外は実施例1と全く同様にしてタイルカーペットを得た。
【0041】
<比較例1>接着樹脂層として、畝状ではなく、フラットな状態で塗布したこと以外は実施例1と全く同様にしてタイルカーペットを得た。
【0042】
<比較例2>用いる接着樹脂として、粘度2000cpsの塩化ビニル樹脂からなるペーストゾルを畝状に塗布したこと以外は実施例1と全く同様にしてタイルカーペットを得た。
【0043】
<比較例3>用いる接着樹脂として、粘度60000cpsの塩化ビニル樹脂からなるペーストゾルを畝状に塗布したこと以外は実施例1と全く同様とした。
【0044】
上記のようにして得られた各タイルカーペットに対して下記評価法に基づいてバッキング層の層間剥離性、及び使用時の耐久性を調べた。その結果を表1に示す。
【0045】
(バッキング層の層間剥離強度)JISL1021B法に準拠し、各タイルカーペットの剥離強度の測定をした。30N/25mm以上を合格とした。
【0046】
(使用時の耐久性)500mm角のタイルカーペット1枚の表面上に荷重90kgを加えたチェアーキャスターを2000回転させた後、表面を観察し、表面パイル層の浮き、即ち表面パイル層とバッキング層の剥離が無ければ実際の使用に耐えうるタイルカーペットとした。
【0047】
【表1】

【0048】
表1から明らかなように、実施例1〜3のタイルカーペットは、いずれもバッキング層の層間剥離強度に優れ、使用時の耐久性においても、層間剥離は無く、十分に使用に耐えうるタイルカーペットを得た。
【0049】
これに対し、比較例1、2のタイルカーペットはバッキング層の層間剥離強度に劣り、使用時の耐久性においても、層間剥離が発生し、使用に耐えうるタイルカーペットは得られなかった。また、比較例3は加工不可となり、タイルカーペットとは成らなかった。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明における一実施形態に係るリサイクルタイルカーペットの概略断面図である。
【図2】本発明における一実施形態に係る接着樹脂層の概略断面図である。
【図3】本発明におけるもうひとつの実施形態に係る接着樹脂層の概略断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1・・・タイルカーペット 2・・・表面パイル層 3・・・バッキング層 4・・・接着樹脂層5・・・補強層 6・・・ラテックス層7・・・畝の高さ8・・・畝の巾9・・・畝の間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基布にパイルが植設されたパイル布帛からなる表面パイル層と、樹脂組成物からなるバッキング層を、接着樹脂で積層一体化させるタイルカーペットの製造方法において、前記バッキング層表面、または前記表面パイル層の裏面に、前記接着樹脂を畝状に塗布し接着剤層を形成する工程と、加圧ロールで畝状に塗布された前記接着樹脂を加圧し平坦化させながら、前記表面パイル層と前記バッキング層を貼り合わせ、乾燥する工程を含むことを特徴とするタイルカーペットの製造方法。
【請求項2】
前記樹脂組成物からなるバッキング層が、カーペット廃材を粉砕して得られたリサイクル樹脂組成物を主成分とすることを特徴とする請求項1に記載のタイルカーペットの製造方法。
【請求項3】
前記接着樹脂が粘度3000cps〜35000cpsの塩化ビニル樹脂からなるペーストゾル、ホットメルト系のEVA樹脂等から選ばれる少なくとも一種の接着用樹脂を用いることを特徴とする請求項1または2に記載のタイルカーペットの製造方法。
【請求項4】
前記接着剤層において、畝の高さが0.5mm〜1.5mm、畝の巾が0.5mm〜2.0mm、畝の間隔が0.5mm〜2.0mmに接着剤層を形成することを特徴とする請求項1ないし4に記載のタイルカーペットの製造方法。
【請求項5】
前記接着樹脂を200〜800g/m塗布し前記接着剤層を形成することを特徴とする請求項1ないし4に記載のタイルカーペットの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−34878(P2012−34878A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178342(P2010−178342)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(390014487)住江織物株式会社 (294)
【Fターム(参考)】