説明

タイルユニットのプレセット

【課題】
本発明は、紙貼りタイルユニットの弊害を除去して簡単かつ廉価に製造できるタイルユニットのプレセットであって、所定の目地幅を確保し、必要に応じてタイルの目地合わせのためのタイルの設置位置修正が簡単に行なえるタイルユニットのプレセットである。
【解決手段】
少なくとも複数のタイルを一定方向に並べて、タイル間を所定の目地幅をもって連設するタイルユニットのプレセットであり、該タイルの裏面に糸状部材を配してタイルの溝部の位置で接着剤によって接着するタイルユニットのプレセットを提供するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のタイルを配設した建築用のタイルユニットのプレセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建築用資材としてのタイルは多用されており、その施工方法は例えば壁にタイルを固定するに際して、モルタル等のベースに一つずつタイルを並べて装着する方法が古くよりとられており、一つずつ目地を合わせてきれいに装着するには時間と極めて高度のテクニックを必要とする。
それゆえ、古くから作業時間の短縮と装着時におけるタイルの並びをきれいに揃えるために予め所定の目地幅で並べた複数のタイルを一度に壁や床面等に装着するために種々の方策が採られている。
まず、現在最も多用されているのは複数のタイルを所定の目地幅で並べてこの上に紙製のシート地を接着部材を介して接着する所謂紙貼りのプレセット方法である。
【0003】
この方法では、まず紙貼りでプレセットしたタイルユニットを壁等に装着し、下地材の接着剤やモルタル、コンクリート等が固化した後にこの紙をはがすことによって、タイル面を表に出すものである。
しかし、この方法はタイル面が当初紙によって隠れることから、目地ずれ等の施工不良が生じた場合には紙をはがした後に始めて発見でき、そのときには、モルタルやコンクリート又は接着剤が既に硬化しており、この後にタイルを取り外して補修することは極めて困難であった。
更に紙貼りタイルユニットでは、モルタルやコンクリート又は接着剤が固化した後に剥がせることを前提に、通常「デンプン糊」が使われるが、この糊は3ヶ月以上長期保管された場合には、容易に紙がはがれなくなる場合がある。
【0004】
又、保管状況によって、逆に保管時にタイルが紙から剥がれる恐れもあった。
更には、その製造時においては、タイルに接着部材例えば「デンプン糊」などで接着する際には、所定の接着強度を得るために長時間の乾燥時間が必要であり、タイルユニット製造に時間がかかる点を有するものであった。 その他、該紙張りタイルユニットのプレセットを使用した場合には、剥離した紙を回収し、その廃棄処理などが必要となる欠点もあった。
又、タイル表面の紙剥がしには多量の水と労力を必要とし、作業現場の養生も必要となる。
特にタイル表面の水洗方法によって、タイル表面に糊の後が残る場合があり、これをきれいに清掃するのには手間が掛かると共に完全に取り除くことができない場合もあった。
【0005】
この他、例えば紙貼りのタイルユニットは保管時や運搬時にこの紙がよれてしまうことがあり、よれた紙のタイル同士の間隔は必要な所定の目地間隔を維持していないものであって、この様なタイルユニットを所定の目地間隔できれいに張ることは極めて困難であった。
特に、壁等へのタイルユニットの装着には墨をうってタイルの装着位置を特定し、該壁面に接着部材を塗布した上で、該墨の部分にタイルユニットの例えば上辺部分を沿わせて接着する方法は多用されており、この場合には紙貼りのタイルユニットでは例えば上辺の一致は確認できるが、このタイル自体がきっちりと目地に沿って接着しているかどうか及び各タイル間の目地幅が所定の間隔かどうかは紙をはがす時点である接着剤が固まった後でなければ行なえないものである。
【0006】
以上のように紙貼りタイルユニットは欠点を有しながらも、現状としては多用されているものである。
これに対して、近時少しずつ紙張りに代えてネットを用いてタイルユニットをプレセットするものも使用され始めている。
まず、特開2000−96802号(特許文献1)は、タイルの施工効率の向上と共にタイル剥離を防止するためのタイル直張りネットを提供するものであると共に「デンプン糊」の紙剥離時の残余による汚れ等の防止を図るものである。
更に、ネットとタイルの接着面積を増し、タイルの部分的脱落を防止しするために特開2005−256486号(特許文献2)に係るタイルユニット及び更に「デンプン糊」の紙剥離時の残余による汚れ等の防止を図るためにタイル前面に接着されたネットを用いる特開2007−56582号(特許文献3)に示すネットを用いるタイルユニットも提示されている。
【0007】
又、ネットの硬さからくる目地間隔の調整が難しい点を解消するためにタイル施工時にタイルのずれを微調整可能としたネットを用いたタイルユニットが特開2005−256487号(特許文献4)に示されている。
更に、特開2006−83536号(特許文献5)はネット又はシート地の連結体によってタイルを連設したタイルユニットを用いるものもある。
【特許文献1】特開2000−96802号
【特許文献2】特開2005−256486号
【特許文献3】特開2007−56582号
【特許文献4】特開2005−256487号
【特許文献5】特開2006−83536号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上の様に、最も多用される紙貼りのタイルユニットの欠点を解消するために各種のネットを用いたタイルユニットが多用され始めている。
まず、特許文献1及び特許文献2に関しては、ネットでタイルユニットを構成する場合、予めタイル間隔を所定の目地間隔で配置した状態を固定するためにネット地を用いるものであるが、ネット地自体は直交する二方向に対してネット地の糸状を有するニ軸方向のネット地からなる構成であって所定の目地幅を確保した上でタイル剥離を防止するために、このネットの目は細かく構成しており、密な状態で糸状が交差したネット地を用いるものである。
【0009】
更に、特許文献3は、ネットの網目が2乃至4軸構成で製造されているのもあり、又ネットの糸状の間隔は5乃至20ミリを予定しているものであって密な状態での糸状の交差が必要である。
したがって、ネット地製造のためのコストがかかるばかりでなく、タイルとのプレセットに際してはネット全体に接着するものであって、接着剤の使用量も多大となるものであった。
更にネット地はタイル全体をほぼ覆うようにしてタイル間の所定の目地間隔を固定化して、不必要なずれ等を防ぐために用いられるものであり、壁などへの接着時における目地間隔の調整は極めて微妙な程度でしか調整できないものであった。
係る場合に特許文献4は、係る微調整をより確実に行なえるように、ネットの糸状の一部に切断部を有するものである。
【0010】
したがって、係る場合にもネット地である点や接着剤の使用量などにおいて少なくともコストが多く掛かっているものであると共にネット地に切断部を形成することが必要となり、より以上の手数や作業工程、コストの負担が必要となるものである。
以上より、タイルユニットの製造に手間が掛かると共にコストが必然的に高くなることは避けられないものであった。
次に特許文献5に関しては、前記同様にネット又はシート状の連結体を用いるものであり、前記各先行技術と同様の課題を有しているものであって、これらの範疇を超えるものではない。
【0011】
以上より、少なくとも前記した紙貼りタイルユニットの弊害を除去することができると共に、簡単かつ廉価に製造でき、本来の目的である所定の目地幅が確保できると共にタイルユニットのプレセットの提供が望まれるものである。
更に壁などに設置する場合に墨などで設置位置を特定した上で接着剤を壁面に塗布して墨位置に合わせて設置する場合にあっては、タイルの目地をきれいにかつきっちりと合わせることができると共に必要に応じた修正が簡単に行なえるタイルユニットのプレセットの提供が望まれるものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
係る課題を解決するため、本発明に係る請求項1記載の発明は少なくとも複数のタイルを一定方向に並べて、タイル間を所定の目地幅をもって連設するタイルユニットのプレセットであって、該タイルの裏面に糸状部材を配すると共に該糸状部材がタイルの溝部に位置する箇所で接着剤によって接着するタイルユニットのプレセットを提供するものであって、係る発明によって前記各課題を見事に解決するものである。
又、請求項2に係る発明は、少なくとも複数のタイルを縦方向に並べて、タイル間を所定の目地幅をもって連設するタイルユニットのプレセットであって、該タイルの裏面に糸状部材を配するものであり、該タイルの両端方向にそれぞれ一列ずつ糸状部材をタイル間に亘って配設すると共に、上部の端部方向から下部のタイルの反対側の端部に向けて一列ずつ糸状部材をタイル間に亘って配設し、該糸状部材がタイルの溝部に位置する箇所で接着剤によって接着するタイルユニットのプレセットからなり、係る発明においても同様に前記各課題を解決できる。
【0013】
更に、請求項3に係る発明の様にタイルの裏面に糸状部材を配して該タイルの両端方向及び中央部にそれぞれ一列ずつ糸状部材をタイル間に亘って配設すると共に上部の端部方向から下部のタイルの反対側の端部に向けて一列ずつ糸状部材をタイル間に亘って配設し、該糸状部材がタイルの溝部に位置する箇所で接着剤によって接着するタイルユニットのプレセットでもよい。
更に、請求項4に係る発明の様にタイルの裏面に糸状部材を配するものであり、該タイルの両端方向に少なくともそれぞれ一列ずつ糸状部材をタイル間に亘って配設し、該糸状部材のタイルの溝部との交差位置で接着剤によって接着するタイルユニットのプレセットでもよい。
これらの場合、請求項5に係る発明の様に縦方向に複数のタイルを並べると共に該タイルと平行に横方向に少なくとも2列のタイルを並べて、それぞれのタイルに糸状部材を配した上で、該糸状部材がタイルの溝部に位置する箇所で接着剤によって接着するタイルユニットのプレセットによって所定幅のタイルユニットの提供が可能となり、前記各課題を解決できる。
【0014】
又、請求項6に係る発明の様に複数のタイルを馬踏み目地に配して並べるタイルユニットのプレセットであってもよい。
更には、請求項7に係る発明の様に横方向に平行に並べた少なくとも二列のタイルの溝部に沿って、該溝部に糸状部材を配設し、タイルの溝部の糸状部同士が交差する箇所で接着剤によって接着するタイルユニットのプレセットでもよい。
これらの他、請求項8に係る発明の様に少なくとも複数の出隅用タイルの出隅の位置を合わせて一定方向にタイル間を所定の目地幅をもって並べ、該出隅用タイルの裏面に糸状部材を配するものであり、該並べた出隅用タイルの並び方向に糸状部材を配し、該それぞれの出隅用タイルの各溝部で糸状部材を接着剤によって接着するタイルユニットのプレセットでも、或いは請求項9に係る発明の様に出隅用タイルを馬踏み目地に配したタイルユニットのプレセットでもよい。
【0015】
更に、請求項10に係る発明の様にこれらの場合に出隅用タイルに代えて、入隅用タイルに用いたタイルユニットのプレセットでもよいものである。
以上の各発明において、請求項11に係る発明の様に該糸状部材のタイルの溝部での接着剤による接着が、該溝部内において接着するものであるタイルユニットのプレセットでもよく、請求項12に係る発明の様にこの糸状部材への接着剤の塗布がドット状の塗布であるものであっても、或いは請求項13に係る発明の様にビート状の塗布によるものであり、近接する糸状部材を一緒に一つのビート状塗布位置において接着するものでもよい。
特に請求項14に係る発明の様に接着剤がホットメルト接着剤を用いるものであってもよい。
更には、請求項15に係る発明の様に糸状部材が多数本の繊維状の素材を束ねて構成したものでも、請求項16に係る発明の様に多数本の繊維状の素材を縒った紐により構成したものでも、更には、請求項17に係る発明の様に糸状部材がポリエステル系繊維により構成するものであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
以上のように構成したことから、本発明は、壁等に接着剤などに装着するに際してタイル目地をきっちりと視認することができると共に必要に応じて目地間隔の調整やタイルのずれなどを簡単にかつ確実に修正できることとなる。
特に縦方向に複数段連設することができ上段のタイルの位置を合わせることによって簡単に下段に続く複数列のタイルを所定の目地間隔できれいに壁等に装着できるものである。
更に、従来の例えば紙貼りタイルのような紙剥がしの段階における手間や紙の除去更には剥がしきれない紙の残余などの弊害を全て除去できる。
又、該タイルユニットのプレセットの製造に際しては、糸状部材を接着剤で所定位置に接着すればよく、極めて低コストにかつ簡単に製造できるものである。
【0017】
併せて、糸状部材によって所定の目地間隔をきっちりと保持することができる。
特に、従来のネット地を用いたタイルユニットに対して低コスト及び簡単な製造の優位性は極めて高いものであり、更にはネット地を用いたタイルユニットは、タイル間隔を一定に保つことを大前提としており、タイルの壁などへの設置に際する微調整は殆んどできないものであり、仮にこれを幾分可能とする特許文献4に示す先行技術においても製造コストが高額となるばかりでなく製造手間が掛かるものでしかない。
更には、切断面は有するが全体構成としてネット地によってほぼ所定の配置状態として製造されており、微細なタイルの位置修正は可能であるが大きく修正する場合にはもはや修正はきかないものである。
【0018】
特に、ネット地はその保管状態などでネット地自体がゆがんでしまった場合にはもはやタイルの位置修正はできないものであり、使用することができないのに対して、本発明に係るタイルユニットのプレセットであればこの様な場合であっても何らゆがむことはないばかりでなく仮に糸状部材がゆがんでも簡単にタイル位置の修正ができるものである。
更に、本発明に係るタイルユニットのプレセットを用いることによって、各種のタイル例えば各種の大きさや出隅タイル等の各種のタイルに対して用いることができると共に、必要な各種の大きさや形状のプレセット例えば400ミリ×300ミリのプレセットや馬踏み目地等のプレセットを簡単に各種製造でき、更には所定の目地間隔をきっちりと保持できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明に係るタイルユニットの一例を示す図であり、タイル1の裏面を視認する図である。
タイル1の裏面には裏足部10とこの裏足部10の間の溝部11を有し、接着剤による接着やモルタル等によって固着する場合には、該溝部11と裏足部10との凹凸形状によってきっちりと、かつずれることなく固着することができるものである。
本発明においては、複数のタイル1をその裏面を上にして、所定の目地幅が得られる様に並べて、その裏面に連設したタイル1に亘って糸状部材3を配し、該糸状部材3をタイル1の溝部11にてホットメルト接着剤などの接着剤2によって接着することによって、タイルユニットのプレセット形状を構成するものである。
【0020】
したがって、本図構成においては縦方向に6個即ち六段並べたタイル1をまず該タイル1の両端方向にそれぞれ一列ずつ糸状部材3をタイル1間に亘って配設し、更に上部のタイル1の端部方向から下部のタイル1の反対側の端部に向けて一列ずつ糸状部材3をタイル間に亘って配設し、該糸状部材3がタイル1の溝部11に位置する箇所で接着剤2によって接着するものである。
係る構成をとることによって、糸状部材3と接着剤2でタイル1を連設することができると共に該溝部11で接着剤2によって接着することにより、タイル1から不必要な突出部を極力なくすことができると共に溝部11において接着部分2を保護できるものである。
従って、接着部分の保護できると共に、簡単に製造でき、更には壁面への接着剤による接着やモルタルやコンクリートに正しく装着させることを可能にすることができる。
【0021】
従って、溝部11間に配した糸状部材3によってタイルユニットのプレセットを構成することから従来のネットによるプレセットと比較して、タイル1の柔軟な修正が可能である反面、所定の目地幅はきっちりと確保できるものとなる。
特に、例えば壁面に墨などでタイルの上辺部分の設置位置を明示し、該墨の上から接着剤を壁面に塗着し、更に該墨などの線に合わせてタイルユニットのプレセットを装着することによってきっちりとかつ所定の目地間隔を有して設置できる。
この場合、目地ずれなどがあっても簡単に修正ができるものである。
【0022】
尚、溝部11部分において接着することによって、接着部分を溝内11において行なうことができるが、例えば溝からの接着剤2のはみ出しはできるだけ少ないものが望ましい。
最適には溝部11内において糸状部材3が接着剤2によって接着しており、溝部11外部には接着剤2が出ていない構成が望ましいものであり、これによりタイル1の裏面には不必要な突出部をなくすことができ、壁等に本タイルユニットのプレセットを接着する際に、壁にきっちりと貼付することを可能とする。
反面、例えば糸状部材3を接着するための接着剤2等が該溝部11内から外部に若干出ている場合であっても、壁に塗布した接着剤層の厚さやモルタルの厚さ等を調整することによって壁等にきっちりと接着できるものである。
従って、少なくとも接着剤2で糸状部材3が溝部11で接着していればよいものである。
【0023】
次に、糸状部材3としてはポリエステル系繊維やポリエステル系樹脂材による糸状部材であればよく、この他ナイロン繊維、グラスウール繊維や、カーボン繊維、或いはスチール系繊維等を用いたものであってもよい。
少なくとも糸状部材3を形成でき、更にタイル1を所定目地間隔で確保可能な糸状部材3であればよい。
又、糸状部材3は一本の繊維状のものを含む糸状のもののほか、多数本の繊維状の素材を束ねて糸状部材を構成したもの、繊維束、繊維を縒った紐であってもよい。
又、幅狭の帯状のものも糸状部材に該当する。
これらの場合、糸状部材3に前述のように多種の素材から任意の素材を選択して使用できるものであり、極めて使い勝手の良いものとなる。
以上のように、本構成とすることによって極めて少ない部材で構成できると共に、簡単に構成でき、ネット素材とは異なり極めて簡単かつ低廉に製造できるものである。
【0024】
次に、本発明に係る糸状部材3は、基本的に極めて細いものであり、そもそもそれほど目立つものではなく、目地部分等において外部から目立つことはほとんどないものである。
従って、壁等に接着剤で接着した場合であっても、糸状部材3は接着剤中に埋没し、外部から殆んど見分けがつかない程度のものとなる。
したがって該タイルユニットを壁や床面、或いは塀等に配した場合でも、殆んど目立つことはなく極めてきれいなタイルの装着を可能とする。
更には空目地にも対応できるものである。
これに対して従来のネットによるプレセットに用いるネット地は一定の太径のネットを用いるものであって、その点でそもそも全く異なるものであり、更には設置段階においてもネット地がどうしても目地部分に透けてしまい、美観を損ねるものであることから、更に目地処理がどうしても必要になり、施工処理手数や時間或いはコストが掛かってしまう欠点を有する。
【0025】
併せてネットの厚み分だけどうしてもタイルが厚くなるものであり、特にタイル裏側全体においてネットを有するものであることから、全体的にきわめて厚みを有するタイルとして取り扱わなければならなくなるという欠点が出てしまう。
更に、本発明における糸状部材3においては必要に応じて任意の色の着色のある糸状繊維を用いることができるものであり、タイルの色に合わせる場合や下地の色に合わせるなどを行うことによって、糸状部材3自体を接着剤等と合わせ、外部から一切視認できなくすることも可能である。
或いは、この糸状部材3自体を極めて装飾性の高いものとすることもできる。
例えば、下地にタイルを接着する特段の色彩を有する接着剤や下地材の色に合わせた素材の選択も充分に可能である。
【0026】
次に該糸状部材3は接着剤2によってタイル1裏面の溝部11で接着するが、接着剤2を使用することによって極めて簡単にかつ少量で接着できると共に低廉な接着を可能とする。
接着剤2としては、例えばホットメルト接着剤が最適である。
特に、ホットメルト接着剤は短時間に硬化することができるものであり、紙貼りの「デンプン糊」を用いたような極めて長時間の乾燥時間等は不要となる。
ホットメルト接着剤としては、例えばEVA系のホットメルトやSBR、エチレン系、或いはオレフィン系、ポリウレタン系等のホットメルトが該当すると共にこれらに限らずポリアミド系等であってもよい。
又、これらのフォーム(発泡)タイプであってもよい。
又、ポリウレタン系のイソシアネート湿気硬化型のホットメルトを用いるとタイル裏面に多少の水分があっても接着することが可能である。
【0027】
尚、セラミックタイルの材質には各種あると共にばらつきも存在することから、必要に応じてプライマーを塗布した上でホットメルトを用いるものであってもよい。
更に接着剤2に関してはホットメルト接着剤に限定されず他の接着剤でもよいものであり、例えば熱硬化性接着剤や二液反応型接着剤、或いは乾燥型接着剤、湿気硬化型接着剤、光硬化型接着剤等であってもよい。
例えば、ウレタン樹脂系接着剤やエポキシ樹脂系接着剤、ゴム系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、特殊シリコーン変成ポリマー系接着剤、変成シリコーン樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、酢酸ビニール樹脂系接着剤等が該当する。
この場合例えば接着の強度を高めるためにプライマーを用いたものでも、或いは糸状部材3の表面を酸化させ、或いは表面処理することによって接着性を高めるものであってもよい。
尚、粘度の高いものが望ましいが、これに限定されるものではない。
【0028】
次に、タイル1に関しては建築用の各種タイルを用いるものであればよく少なくともタイル裏面に溝部11を有していればよい。
従って、各種の材質のものであっても、又各種の大きさを有するもの例えば45.2丁タイプ(45ミリ×95ミリのタイル)や45.4丁タイプ(45ミリ×195ミリのタイル)、50.2丁タイプ(50ミリ×100ミリのタイル)等又は出隅タイル等、あるいは特殊形状のタイルであってもよい。
更にタイル1の厚みに関しても、うす物等の7乃至8ミリ程度のもののほか中厚タイルやその他の各種の厚みを有するものであってもよい。
【0029】
図2は、ベース台板5にタイル1を配設し、該台板5に糸張りピン6を配置し、該ピン6を用いて糸状部材3をタイル裏面に配置する一例を示す図である。
本図に示すように糸状部材3をピン6に絡めてタイル裏面に配した上でホットメルト接着剤2をドット状に塗布して糸状部材3をタイル1の溝部11で接着する。
又、ホットメルト接着剤2をドット状に塗布してからタイル裏面の溝部11に押し込むようプレス工程を有するものであってもよい。
例えば単にホットメルト接着剤或いはその他の接着剤2を溝部11内に定置させるためのプレスに限らずホットプレスやコールドプレスであってもよい。
この後不要な糸状部材3を切断することによってタイルのプレセットを製造できる。
【0030】
本図においては45.4丁タイプのタイルを縦方向に6個、横方向に二列並べて、タイル1の所定の目地間隔をあけて配置可能なベース台5に配置した上で、ベース台5の周辺部分に糸状部材3をかけまわし可能な糸張りピン6を配置した一例である。
従って、一般的に多用されている300ミリ×400ミリのタイルユニットのプレセットを製造するには45.4丁タイプのタイル計12個を図2のように縦方向に6個、横方向に二列並べてこれらを糸状部材で連設して接着することによって簡単に製造することができると共にかつ的確な所定の目地間隔を有するタイルユニットの該プレセットを簡単にかつ低コストで製造できることとなる。
この場合の糸状部材の巻回方法は、まずベース台5の六段タイルを並列した両端部方向のタイル1の両端部に二本ずつの糸張りピン6を有するものであり、そのうちの一本の糸張りピン6は該タイルの端部の延長線上にあり、更にそのタイル端部から外方向に位置した箇所にそれぞれ一本の糸張りピン6を有するものである。
【0031】
更に横方向に二列並列するタイル間において該タイル1の端部方向の延長線上にそれぞれ糸張りピン6を有するものである。
この場合の二列並列する最も外に位置する糸張りピン6に糸状部材3を掛け回した上で該糸状部材3を該タイル1の対向する即ち6つ並べた反対方向のタイル1であって二列並列するタイル間の他のタイル列の延長線上の糸張りピン6に掛け回し、更には対向する6つ並べた反対方向のタイル1の糸張りピン6に掛け回し、更に二列並列する隣のタイル列の対向する即ち6つ並べた反対方向のタイル1の外側に位置した糸張りピン6に掛け回した後その隣の糸張りピン6を掛け回し、その上で最初の糸張りピン6に更に掛けまわすことによって構成できる。
この場合二列併設した隣のタイル列においてもこれと対照的又は同様に糸状部材の掛け回しを行なうことによって本構成に糸状部材3を掛け回せる。
尚、この掛け回しは一例であって、所謂一筆書き状に糸状部材3を任意に掛け回すものであってもよく、掛け回しの順序は任意に設定するものであればよい。
【0032】
図3は、前記ベース台板5を用いて、タイル裏面に糸状部材3を配した上で接着剤2によって接着した上で不要な糸状部材の突出部分を切断した状態を示す図である。
本図のように構成することによって、図1に示すタイルユニットを製造することもできるものであり、糸状部材3によりタイル間の間隔は所定の目地間隔即ち目地幅を有することができ、所定の目地間隔をきっちりと正確に保持できるものである。
特に、糸状部材3を用いることから、本発明に係るタイルユニットを壁等に設置の際には目地間隔の微妙な調整や修正などを簡単にかつ確実に行なうことができる。
【0033】
例えば墨等で壁のタイル設置位置の上辺位置を特定した後、接着剤等を壁に塗布した後に、該タイルユニットの上辺を合わせて壁に設置するに際して、糸状部材3によって例えは六段形成の本発明に係るタイルユニットの二段目以下は糸状部材3によって簡単に所定の目地間隔で吊るすことができ、この吊るした状態によって目地を的確に示した状態で接着剤を塗布した壁に接着できるものである。
即ち糸状部材3でタイル1が連接するものであり、所謂垂直方向においてはぶらさがった状態であって、垂直方向の所定の目地間隔はずれが極めて少なく設置できるものとなる。
更にタイル表面には何らの遮りもないものであることから目地の微細なずれや全体のバランスを簡単に視認することができ、更には簡単にタイル1の位置の調整が行なえるものとなる。
【0034】
図4は、図2乃至図3に示す接着剤2のドット状の塗布に代えてビート状(線状)の塗布を行った場合の一例を示す図である。
この様に接着剤2を塗布することによって、更に強度な接着力を発揮することができる。
図5は、図3に示すタイルユニットのプレセットの糸状部材3の配置状態に加え、更に横方向に二列連設したそれぞれのタイル1の溝部11に沿って、該溝部11内に糸状部材3を配設し、更にタイル1の両端方向にそれぞれ一列ずつ糸状部材3をタイル間に亘って配設し、更に上部の端部方向から下部のタイル1の反対側の端部に向けて一列ずつ糸状部材をタイル間に亘って配設し、該糸状部材3が交差するタイル1の溝部11においてホットメルト接着剤等の接着剤2で接着した一例を示す図であり、一般的に多用される300ミリ×400ミリのタイルユニットのプレセットの製造例の一例を示す。
【0035】
本図においても、糸状部材3によるタイル間の間隔は所定の目地間隔即ち目地幅を有するものであり、所定の目地間隔をきっちりと正確に保持できるものである。
特にこのようなプレセットは45.4丁タイプのタイルであれば、一つのタイル1の大きさが45ミリ×195ミリであり、目地間隔を5ミリととれば、一般的に多用される300ミリ×400ミリ(実寸295ミリ×395ミリで目地間隔5ミリ)のタイルユニットのプレセットが簡単にかつ正確に製造できるものである。
【0036】
図6は、図5におけるタイル1への配設状況に代えて、タイル1の裏の三条の溝部11のうち中央の溝部11にのみ該溝部11に沿って溝部11内に糸状部材3を配設した一例を示す図である。
この様に構成しても横方向に目地間隔で連設するタイル同士が所定間隔で確保でき、タイルユニットのプレセットの提供ができる。
図7は、図6に示すタイルユニットのプレセットを製造するに際してベース台板5にタイル1を配置し、更にベース台板5の糸張りピン6によって糸状部材3を配置し、さらに必要箇所においてホットメルト接着剤などの接着剤2を塗布した状態の一例を示す図である。
例えば図2に示す糸状部材3の掛け回しに更に溝部11に沿って溝部11内を糸状部材3によって掛け回すものである。
このために本図構成においては該糸状部材3を掛け回すべきタイル1の溝部11の外側延長線上にそれぞれ糸張りピン6をベース台板5に有するものである。
【0037】
尚、本図構成における糸状部材3の巻回方法即ち糸張りピン6への糸状部材3の掛け回し方法は特定の巻回方法に限らず少なくとも所定の位置に糸状部材3が掛け回し可能なように任意の糸張りピン6に対して任意の順序で糸状部材3を掛け回して製造するものであってもよい。
以上のように構成することから、簡単に製造できるものである。
なお、本図と共に図2においても、製造の工程を簡単に示すために明示した図であり、本タイルのプレセットを製造するに際しては、例えばベース台板6にタイル1を配置する工程、該配置したタイル1に糸状部材3を張り巡らす工程、必要箇所に接着剤2を塗布する工程、必要に応じて該接着剤2をタイル裏面の溝部11に押し込むようプレス工程、必要に応じて塗布した接着剤2を硬化する工程、更に不要な糸状部材3を切断する工程、これに前後してベース台板6からタイル1を取り出す工程等によって製造できるものである。
【0038】
尚、これら場合接着剤2の硬化に際してはホットプレスやコールドプレスを行うものであってもよい。
更に接着剤2をタイル裏面の溝部11に押し込む際や不要接着剤塗着部分を除去する場合、或いは製造工程において若干時間がかかり接着剤の硬化後に修正等が必要な場合において、接着剤を軟化させるなどの養生工程を有するものであってもよい。
【0039】
図8は、タイル裏面に対しての糸状部材3の配置状態の他の一例を示す図である。
本図に示す通り、更にタイル1の両端方向及び中央部にそれぞれ一列ずつ糸状部材3をタイル間に亘って配設し、更に上部の端部方向から下部のタイル1の反対側の端部に向けて一列ずつ糸状部材3をタイル間に亘って配設し、該糸状部材3がタイル1の溝部11に位置する箇所において接着剤2を塗布して製造したタイルのプレセットの一例を示す図である。
この様に構成しても極めて少ない糸状部材3と一枚のタイル1に対して数箇所乃至十数か所の接着剤2の塗布による接着によって少ない接着剤2の量等で所定間隔の目地幅を確保したタイルユニットのプレセットを製造できるものである。
尚、 接着剤2としてはもちろんホットメルト接着剤であっても他の一般的な接着剤を用いてもいずれでもよい。
【0040】
図9は、図8に示す糸状部材3の配設状態に更にタイル1の溝部11に沿って、溝部11内に糸状部材3を配した上で各糸状部材3の交差位置に接着剤2を塗布した一例を示す図である。
本図においてもタイル間に糸状部材3による間隔は所定の目地幅であり、この幅をきっちりと確保できるものである。
図10は、他の糸状部材3の配置状態の一例であり、縦方向に6個、横方向に二列並べたタイル1に該タイルの両端方向にそれぞれ一列ずつ糸状部材3をタイル間に亘って配設し、該糸状部材3のタイル1の溝部11との交差位置にホットメルト接着剤等の接着剤2を塗布して溝部11内に糸状部材3を接着した一例を示す図である。
図11は、図10の構成に加えて更に溝部11に沿って溝部11内に糸状部材3を配し、更に糸状部材3の交差位置において接着剤2で接着している一例を示す図である。
【0041】
図12は、図5に示す糸状部材3の配設状態において、ホットメルト接着剤等の接着剤2をドット状に塗布するのではなく、近接する糸状部材3を合わせて一緒に塗布するものであって、必要に応じてビート状即ち線状にホットメルト接着剤等の接着剤2を塗布して接着した一例を示す図である。
尚、接着剤2の塗布に際してフォーム即ちビート状の濃密クッション状に塗布するものであってもよい。
図13は、タイル1の溝部11に糸状部材3を配置した上でホットメルト接着剤等の接着剤2によって接着している状態の断面図の一例である。
本図に示すように、溝部11の溝内において糸状部材3が接着剤2によって接着しているものである。
【0042】
特にタイル1の溝部11に沿って該溝部11内に配設した糸状部材3が本図構成では溝部11の底部方向に位置し、タイル1の縦即ち6段構成のタイルに亘って掛け回した糸状部材3が溝内11部の中央部分に位置し、それぞれが接着剤2で溝部11内において接着しているものである。
この場合溝部11の幅方向には隙間を有して略楕円形状の接着剤2の接着部位によって接着しているが、この構成に限らず溝部11内の幅方向に亘って接着剤2の接着部位を有して接着するものであってもよい。
但し、接着剤2はこの溝部11内に収まることが最適であるが、これに限らず若干接着剤2部分が溝部11外部に突出しているものであってももちろんよい。
溝部11内にきっちりと収まっていれば例えばタイル1の積み重ね時のブロッキング防止を図ることが可能となる。
【0043】
尚、本図構成や図1乃至図12に示すタイル1は全て一例として一つのタイルに三列の溝部11を有する構成を示すが、この溝形状に限らず一つのタイルに二列の溝部を有するものや一列の溝部を有するもの或いは四列以上の溝部を有するものであってもよい。
少なくとも糸状部材3を配した後にホットメルト接着剤等の接着剤2によってタイル1の裏面の溝部11において接着可能なタイル裏面の溝部11を有するタイル1であればよい。
図14は、45.2丁スタイルのタイルユニットのプレセットの一例を示す図であり、300ミリ×300ミリ(実寸295ミリ×295ミリで目地間隔5ミリ)のタイルユニットに適合するように45ミリ×95ミリのタイルを三列六段並べて、糸状部材3をタイル裏面に配置してホットメルト接着部材2で糸状部材3をタイル裏面の溝部11に接着した一例を示す図である。
【0044】
本図に示す構成は、45ミリ×95ミリのタイルをタイル間隔5ミリで縦方向に六段、横方向に三列並べ、各々の縦方向の六段のタイルの裏面の両端方向にそれぞれ一列ずつ糸状部材3をタイル間に亘って配設し、更に上部の端部方向から下部のタイルの反対側の端部に向けて一列ずつ糸状部材3をタイル間に亘って配設し、これをそれぞれ三列のタイル1それぞれにおいて行なうものである。
更に横方向に三列連設したそれぞれのタイル1の溝部11に沿って平行に該溝部11内に糸状部材3を配設したものである。 この後に該糸状部材3の交差位置であってタイル裏面の溝部11において接着剤2によって接着するものである。
この様に構成することによって、300ミリ×300ミリのタイルユニットの提供が可能となる。
【0045】
尚、本図に示す糸状部材3のタイル裏面への配設状態は一例であり、この他、例えば全体に糸状部材3を交差させ、各タイル1の上段から下段にかけて糸状部材3を配した上でタイル1の列、即ち横方向に溝部に沿って糸状部材3を配した上でホットメルト接着材2を塗布したものであってもよい。
又、タイル1の六段に亘る縦方向に沿って糸状部材3を配すると共に横方向の列に沿ったタイル1の溝部11に沿って糸状部材3を配したものであってもよい。
但し、少なくとも溝部11において接着剤2で糸状部材3をタイルに接着したものであることが必要であると共にタイル間の間隔は所定の目地間隔をもって構成したものであることが必要である。
【0046】
尚、図示しないが、本図に示すタイルユニットのプレセットの製造には例えば45ミリ×95ミリのタイルを目地間隔として5ミリとって六段三列載置可能なベース台を用いて、該ベース台にタイルの裏面を上にして載置し、更に該ベース台の側辺部分に配置した糸張りピンに糸状部材3を掛けまわしてタイル裏面上に糸状部材3を配置した上で該タイル1の溝部11で接着剤2によって溝部11で接着し、更には不要な糸状部材3を切断するものである。
尚、本図は六段三列にてタイルユニットのプレセットを形成するが、例えば六段一列でも、或いは六段二列でもよいのはもちろんである。
【0047】
図15は、馬踏み目地に配したタイル1に本発明に係るタイルユニットのプレセットを用いた一例を示す図である。
この様に馬踏み目地である縦方向に連設するタイル同士の垂直方向の目地が互い違いにくるように配置したタイルユニットのプレセット、即ち縦方向のタイル1が略半分ずつずれて配置したタイルユニットのプレセットであり、本図構成は最上段において二列、二段目において半分ずつずれて三列のタイル1、三段目は更に最上段と同様に二列のタイル1、四段目は二段目と同様にタイル1が半分ずつずれて三列のタイル1となり、最下段は最上段と同様に二列のタイル1とからなるタイルユニットのプレセットである。
この様に配した場合に最上段の二列のタイル1のそれぞれの両端方向にそれぞれ一列ずつ最下段のタイル1の両端方向に向かって糸状部材3を該タイル間に亘って配設し、更に上部のそれぞれのタイル1のそれぞれの端部方向から下部のタイル1の反対側の端部に向けて一列ずつ糸状部材3をタイル間に亘って配設し、該糸状部材3がタイル1の溝部11に位置する箇所で接着剤2によって接着しているものである。
【0048】
この様に構成することによって馬踏み目地のタイルユニットのプレセットを糸状部材3と接着剤2によって製造でき、更には馬踏み目地であってもタイル間の所定の目地間隔を確保したプレセットを提供できるものである。
尚、本図の五段のタイルユニットは最上段と中央段と最下段が三列でそれぞれの間の二段は二列構成であるが、これと対を成すものとして、タイルユニットのタイル1の配列が、最上段と中央段と最下段が二列でそれぞれの間の二段は三列構成であるタイルユニットのプレセットを用いてもよい。
図16は、同じ馬踏み目地のタイルユニットのプレセットの一例であるが、図15とは異なり、最上段において三列、二段目において半分ずつずれた上でその中央部分に二列のタイル1、三段目は更に最上段と同様に三列のタイル1、四段目は二段目と同様にタイル1が半分ずつずれて二列のタイル1となり、最下段は最上段と同様に三列のタイル1とからなるタイルユニットのプレセットであり、更には、糸状部材3の配設状態の異なる他の一例を示す図である。
【0049】
本図に示すように中央に位置する最上段のタイル1の両端方向から最下段のタイル1の両端方向にかけて二列に糸状部材3を並行に配設し、更に最上段の両端のタイル1の内側端部方向から最下段のタイル1の該位置に向けてそれぞれ糸状部材3を平行に配設し、更に最上段のタイル1の外部のタイル1のそれぞれの外部端部方向から最下段のタイル1のそれぞれの反対方向の外側のタイル1の外部端部に掛けて糸状部材3を配して交差状になるように糸状部材3を配した一例を示す図である。
この場合に該タイル1の裏側に糸状部材3を配しているものであって、該タイル1の溝部11に糸状部材3が位置する箇所で接着剤2によって接着しているものである。
尚、本図に示してはいないが、タイル1の溝部11に該溝部11に沿って連接するタイル1に亘って糸状部材3を配置し、更に糸状部材3の交差位置及び交差しないタイル1の端部方向の溝部11において接着剤2を塗布して接着したものであってもよい。
【0050】
図17は、出隅用タイルユニットのプレセットの一例を示す図である。
出隅用タイル1の裏面に糸状部材3を配した上で該タイル1の溝部11においてホットメルト接着剤などの接着剤2によって糸状部材3をタイル裏面に接着した一例を示す図である。
本図に示す通り、通常の平面状のタイル1に限らず出隅部のタイル1においても同様にタイルユニットのプレセットができる。
従って、例えば出隅用タイル1の目地幅が所定の間隔になるよう一定の間隔に糸張りピンを取り付けた略角部形状即ち出隅の角度の形状に沿ったベース台板を予め用意し、この上に複数個の出隅用タイルを該タイルの出隅部分即ち角部を揃えた上で、それぞれのタイル間に所定の間隔をあけた状態で一定方向に並べて載せ、更に該タイルの裏側1であってタイルの並び方向に糸状部材3を配するものである。
【0051】
この場合該糸状部材3はタイル裏側の垂直面部分15に沿ってタイル1の並び方向に一列有し、更にタイル裏側の垂直面15に直交している水平面部分16に沿って該タイル1の並び方向に一列有しているものである。
尚、本図におけるこの2つの糸状部材3はお互いに平行に配設されている。
更に、本図では計2本の糸状部材3を配するが、この他例えば一本であっても、或いは3本以上の糸状部材を配するものであってもよい。
又、タイル1の並び方向に平行に糸状部材3を配した状態を示すが、目地間隔を所定間隔で保つために少なくとも一本以上の糸状部材3が、タイルの並び方向と平行に配置されており、他の糸状部材が平行ではなく傾斜方向などに配したものであってももちろんよい。
更に、該糸状部材3はタイル裏側の溝部11において接着剤2によって接着しているものである。
【0052】
本図では一つのタイルの裏側には三列の溝部11を有しており、該それぞれの溝部11において糸状部材3との交差位置で接着しているが、これに限らず例えば任意の溝部11位置における糸状部材3との交差位置でホットメルト等の接着剤2で接着しているものであってもよい。
但し、少なくとも一つの糸状部材3と一つのタイル1においては一箇所以上で接着していることが必要である。
以上のように構成することによって出隅用タイルユニットのプレセットの提供が可能となる。
本図においては出隅用タイル1を用いた出隅用タイルユニットのプレセットを示すが、これに限らず例えば入隅用タイルを用いて前記と同様に糸状部材3を配し、該糸状部材3が該タイルの裏の溝部11に位置する箇所で接着剤2によって接着するものであってもよい。
これによって入隅用タイルのタイルユニットのプレセットの提供もできることとなる。
【0053】
図18は、出隅用タイルを馬踏み目地に配したタイルユニットのプレセットにおいて、同様に複数の出隅用タイル1の出隅部である角部を揃えて一定方向に所定の目地間隔で並べ、更に該タイルの裏側であってタイルの並び方向に糸状部材3を配するものである。
本図においては、図17と同様に更に該糸状部材3はタイル裏側の垂直面部分15に沿ってタイル1の並び方向に一列有し、更にタイル裏側の垂直面に直交している水平面部分16に沿って該タイル1の並び方向に一列有しているものである。
更に、同様に該糸状部材3はタイル裏側の溝部11において接着剤2によって接着しているものであり、一つのタイル1の裏側の三列の溝部11それぞれにおける糸状部材3との交差位置でホットメルトなどの接着剤2によって接着している。
この場合においても前記と同様糸状部材3の配置数や配置位置及び接着位置は任意に設定可能である。
以上のように、糸状部材3と接着剤2を用いて馬踏み目地に配した出隅用タイル1のタイルセットのプレセットを製造できるものである。
この他、これに限らず例えば入隅用タイルを用いて前記と同様に糸状部材3を配し、該糸状部材3が該タイルの裏の溝部11に位置する箇所でホットメルト接着剤等の接着剤2を用いて接着するものであってもよい。
これによって馬踏み目地に配した入隅用タイルのタイルユニットのプレセットの提供もできることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係るタイルユニットのプレセットの一例を示す図
【図2】本発明に係るタイルユニットのプレセットの製造工程の一例を示す図
【図3】本発明に係るタイルユニットのプレセットの他の一例を示す図
【図4】本発明に係るタイルユニットのプレセットの他の一例を示す図
【図5】本発明に係るタイルユニットのプレセットの他の一例を示す図
【図6】本発明に係るタイルユニットのプレセットの他の一例を示す図
【図7】本発明に係るタイルユニットのプレセットの製造工程の他の一例を示す図
【図8】本発明に係るタイルユニットのプレセットの他の一例を示す図
【図9】本発明に係るタイルユニットのプレセットの他の一例を示す図
【図10】本発明に係るタイルユニットのプレセットの他の一例を示す図
【図11】本発明に係るタイルユニットのプレセットの他の一例を示す図
【図12】本発明に係るタイルユニットのプレセットの他の一例を示す図
【図13】タイルの溝部に糸状部材を配置した上で接着剤により接着している状態の本発明に係るタイルユニットのプレセットの断面図の一例を示す図
【図14】本発明に係るタイルユニットのプレセットの他の一例を示す図
【図15】馬踏み目地に配したタイルに本発明に係るタイルユニットのプレセットを用いた一例を示す図
【図16】馬踏み目地に配したタイルに本発明に係るタイルユニットのプレセットを用いた他の一例を示す図
【図17】出隅用タイルに本発明に係るタイルユニットのプレセットを用いた一例を示す図
【図18】出隅用タイルを馬踏み目地に配した本発明に係るタイルユニットのプレセットの一例を示す図
【符号の説明】
【0055】
1 タイル
10 裏足部
11 溝部
15 垂直面部分
16 水平面部分
2 接着剤
3 糸状部材
5 ベース台板
6 糸張りピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも複数のタイル1を一定方向に並べて、タイル間を所定の目地幅をもって連設するタイルユニットのプレセットであって、
該タイル1の裏面に糸状部材3を配すると共に、
該糸状部材3がタイル1の溝部11に位置する箇所で接着剤2によって接着することを特徴とするタイルユニットのプレセット。
【請求項2】
少なくとも複数のタイル1を縦方向に並べて、タイル間を所定の目地幅をもって連設するタイルユニットのプレセットであって、
該タイル1の裏面に糸状部材3を配するものであり、
該タイル1の両端方向にそれぞれ一列ずつ糸状部材3をタイル間に亘って配設すると共に、上部タイル1の端部方向から下部のタイル1の反対側の端部に向けて一列ずつ糸状部材3をタイル間に亘って配設し、該糸状部材3がタイル1の溝部11に位置する箇所で接着剤2によって接着することを特徴とするタイルユニットのプレセット。
【請求項3】
少なくとも複数のタイル1を縦方向に並べて、タイル間を所定の目地幅をもって連設するタイルユニットのプレセットであって、
該タイル1の裏面に糸状部材3を配するものであり、
該タイル1の両端方向および中央部にそれぞれ一列ずつ糸状部材3をタイル間に亘って配設すると共に、上部タイル1の端部方向から下部のタイル2の反対側の端部に向けて一列ずつ糸状部材3をタイル間に亘って配設し、
該糸状部材3がタイル1の溝部11に位置する箇所で接着剤2によって接着することを特徴とするタイルユニットのプレセット。
【請求項4】
少なくとも複数のタイル1を縦方向に並べて、タイル間を所定の目地幅をもって連設するタイルユニットのプレセットであって、
該タイル1の裏面に糸状部材3を配するものであり、
該タイル1の両端方向に少なくともそれぞれ一列ずつ糸状部材3をタイル間に亘って配設し、該糸状部材3のタイル1の溝部11との交差位置で接着剤2によって接着することを特徴とするタイルユニットのプレセット。
【請求項5】
縦方向に複数のタイル1を並べると共に該タイル1と平行に横方向に少なくとも2列のタイル1を並べて、それぞれのタイル1に糸状部材3を配した上で、該糸状部材3がタイル1の溝部11に位置する箇所で接着剤2によって接着することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のタイルユニットのプレセット。
【請求項6】
複数のタイル1を馬踏み目地に配して並べることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のタイルユニットのプレセット。
【請求項7】
横方向に平行に並べた少なくとも二列のタイル1の溝部11に沿って、該溝部11に糸状部材3を配設し、
タイル1の溝部11の糸状部材3同士が交差する箇所で接着剤2によって接着することを特徴とする請求項5又は6のいずれかに記載のタイルユニットのプレセット。
【請求項8】
少なくとも複数の出隅用タイル1の出隅の位置を合わせて一定方向にタイル間を所定の目地幅をもって並べ、
該出隅用タイル1の裏面に糸状部材3を配するものであり、
該並べた出隅用タイル1の並び方向に糸状部材3を配し、該それぞれの出隅用タイル1の溝部11で糸状部材3を接着剤2によって接着するものであること特徴とするタイルユニットのプレセット。
【請求項9】
出隅用タイル1を馬踏み目地に配して並べたものであることを特徴とする請求項8記載のタイルユニットのプレセット。
【請求項10】
出隅用タイルに代えて、入隅用タイルに用いたことを特徴とする請求項8又は9のいずれかに記載のタイルユニットのプレセット。
【請求項11】
該糸状部材3のタイル1の溝部11での接着剤2による接着が、該溝部11内において接着するものであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のタイルユニットのプレセット。
【請求項12】
タイル1の溝部11における糸状部材3への接着剤2の塗布がドット状の塗布であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のタイルユニットのプレセット。
【請求項13】
タイル1の溝部11における糸状部材3への接着剤2の塗布がビート状の塗布によるものであり、近接する糸状部材3を一緒に一つのビート状塗布位置において接着するものであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のタイルユニットのプレセット。
【請求項14】
接着剤2がホットメルト接着剤であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のタイルユニットのプレセット。
【請求項15】
糸状部材3が多数本の繊維状の素材を束ねて構成したことを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載のタイルユニットのプレセット。
【請求項16】
糸状部材3が多数本の繊維状の素材を縒った紐により構成したことを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載のタイルユニットのプレセット。
【請求項17】
糸状部材3がポリエステル系繊維により構成することを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載のタイルユニットのプレセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−274632(P2008−274632A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−118949(P2007−118949)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(507141000)トーア株式会社 (1)
【Fターム(参考)】