説明

タイル陶片浮きの修復時に於ける接着剤注入隙間の確保工法及びタイル剥離工具

【課題】本発明はタイル陶片などの浮きを修復する際に、接着剤が低圧注入器で簡単に且つ確実に充填でき、タイル陶片の貼付けモルタルとコンクリートの間の浮きを低圧注入器で簡単に且つ確実に行うことが可能となる修復時に於ける接着剤注入隙間の確保工法及びタイル剥離工具を提供することを目的とする。
【解決手段】除去した目地2に、先端に差込片51を有した所定工具5が挿入され、前記差込片51の先端をタイル陶片1の側面から貼付けモルタル3の底面に差込むと共に差込片51を回転させ、除去した目地2に沿って差込片51を移動させることにより、貼付けモルタル3とコンクリート4との間に剥離隙間Aを連続させて確保し、接着剤の回り込みを確実に且つ簡単に行えるタイル陶片浮きの修復時に於ける接着剤注入隙間の確保工法と成す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は壁面のタイル陶片浮きや石材などの浮きを修復するために、接着剤注入工程の前に行い、低圧注入器に充填された接着剤が浮き箇所全体に注入されて確実な接着強度を得るためのタイル陶片浮きの修復時に於ける接着剤注入隙間の確保工法及びタイル剥離工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タイル浮きを修復する場合、タイル陶片自体の浮き及び貼付けモルタルの浮きと、コンクリートとモルタル層の境の浮きを区別してマーキングしていた。この2種類の浮きは修復工法が異なるため区別が必要であった。この時、コンクリートとモルタル層の境の浮きを修復する場合には、グリースガンを使用すれば略確実に行えるが、タイル陶片自体の浮き及び貼付けモルタルの浮きを修復する場合には、グリースガンを使用すると多種類の問題が生じるため、殆ど使用されていないのが現状である。従って、タイル陶片自体の浮き及び貼付けモルタルの浮きを修復する工法としては、カッターを入れて浮いているタイル陶片を撤去し、新たなタイル陶片を貼付ける工法と、タイル陶片の中央に穴を開け、アンカーピンで一枚ずつ固定する工法が行われている。しかしながら、前記浮いているタイル陶片を撤去し、新たなタイル陶片を貼付ける工法は、浮いたタイル陶片を割って除去し、且つ貼付けモルタルも除去してからタイル陶片の貼着面を平らに且つきれいに仕上げ、更に新たなタイル陶片を貼着するため、手間が掛かると共に、新たなタイル陶片を貼着させてもそのタイル陶片は周囲のタイル陶片と色調が異なってしまい、修復した所が目立つものとなっていた。一方、前記タイル陶片の中央に穴を開け、アンカーピンで一枚ずつ固定する工法は、タイル陶片に穴を穿設すると共にアンカーピンをタイル陶片の表面よりも凹ませて打込み、凹み部を修復する作業が行われるため、手間が掛かると共に、アンカーピンを打込んだ箇所は近くで見ると直ぐに分かってしまい、外観を均一な色調に仕上げることは難しかった。
【0003】
このため、タイル陶片を傷つけることなく接着剤が注入される接着方法として、特開平9−217496号が提案されている。この接着方法は、複数のタイル(タイル陶片)間の下地モルタルが露出する部位から、下地モルタルを穿設し、この穿孔により形成された穿孔穴の側面から、穿孔穴に隣接するタイルの裏に接している下地モルタル(貼付けモルタル)を、穿孔穴よりも小さなカッターで切削し、この切削によりタイルと下地モルタルとの間にカッターの半径の範囲で下地モルタルが切削除去されて形成した極めて小さな隙間から、タイルの裏に接着剤を注入する。この時、穿孔穴にアタッチメントを挿入し更に接着剤の注入器を装着し、注入器から注入された接着剤をタイルと下地モルタルとの間に形成された隙間に注入するため、穿孔穴の周囲から隙間通路が図9(a)に示すように確保されてタイル(1)と下地モルタル(3)との接着が隙間通路を通って行われる。この隙間通路は、タイル(1)裏面全体に形成されるものではなく、穿孔穴の周囲だけに接着剤が回り込むものであった。尚、図9(a)は特開平9−217496号に於ける図4の右側に示す図である。
【0004】
しかしながら、図9(b)の時や図9(c)の時には隙間通路が途絶えてしまうため、タイル(1)と下地モルタル(3)との接着が充分に行われない場合も多く生じ、確実な接着注入作業を行うことは困難であった。このことは特開平9−217496号の段落番号「0056」に、カートリッジから所望の圧力で接着剤を2次注入する必要性が記載されている。又、仮に1次注入において注入があまり良く行われなかった部分にも接着剤が注入できるようになると、記載されているが、実際には、エアー抜きがないため、ある程度接着剤が穿孔穴の周囲に注入されたとしても注入後、接着剤が戻されてしまうため、タイル裏面全体に接着剤が充填されることはないのが現状である。又、特開平9−217496号は、複数のタイル間から下地モルタル(3)が露出する深目地仕上げのタイルに対する接着方法であり、下地モルタル(3)とタイル(1)との間に接着剤を注入して、深目地仕上げのタイル(1)を前記下地モルタル(3)に接着する方法であるため、本発明のような目地埋めされたタイル陶片(1)に対する修復方法と異なり、貼付けモルタル(3)とコンクリート(4)間の浮きを接着剤で修復することは不可能であり、且つそのような記載もない。
【0005】
上記以外に、タイル自体を除去せず且つ新たなタイルを貼付けることなく、タイル自体の浮きの修復工法或いはタイル剥落防止工法としては、本発明者が特願2006−202762或いは特願2006−252208で提案したところである。この工法に於いて、浮きが発見されたタイル陶片の上からハンマーなどで軽く叩き、タイル陶片の裏面へ接着剤が回り易くするための工法は行われていたが、現実としては、タイル陶片の裏面全体に接着剤を確実に回り込ませることは難しく、常時、確実に回り込ませて行える接着方法はないのが現状であり、浮いたタイル陶片の裏面を剥落することなく肌分けして剥離させる方法や発想は従来にはないものであった。
【特許文献1】特開平9−217496号公報
【特許文献2】特願2006−202762号公報
【特許文献3】特願2006−252208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は壁面や天井面などのタイル陶片浮きや石材などの浮きを修復する際に、接着剤が低圧注入器で簡単に且つ確実に充填でき、タイル陶片の貼付けモルタルとコンクリートの間の浮きを低圧注入器で簡単に且つ確実に行うことが可能となるタイル陶片浮きの修復時に於ける接着剤注入隙間の確保工法及びタイル剥離工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記現状に鑑み成されたものであり、特には特願2006−202762或いは特願2006−252208で提案した工法に於ける接着剤注入工程の前工程であり、つまり、除去した目地に、先端に差込片を有した所定工具が挿入され、前記差込片の先端をタイル陶片の側面から貼付けモルタルの底面に差込むと共に差込片を回転させ、除去した目地に沿って差込片を移動させることにより、貼付けモルタルとコンクリートとの間に剥離隙間を連続させて確保し、接着剤の回り込みを確実に且つ簡単に行えるタイル陶片浮きの修復時に於ける接着剤注入隙間の確保工法と成す。この時、2枚以上のタイル陶片に渡る場合には、除去した目地の上下端辺にサンダーで分離溝を入れ、除去された目地から所定工具を挿入して、その貼付けモルタルとコンクリートとの間に剥離隙間を確保すると良い。尚、本発明で言う「タイル陶片」は、単に陶磁器製タイルだけを指すのではなく、外壁や内壁などの貼着面に貼着されるものを指し、例えば、レンガ,外壁タイル,石板などの総称として用いるものとする。
【0008】
又、他の発明であるタイル剥離工具として、タイル陶片の側面から貼付けモルタルの底面に差込み且つタイル陶片と貼付けモルタルを若干持上げて剥離隙間が確保される差込片と、該差込片の端部に固定すると共に目地の幅よりも細い連結軸と、その連結軸の端部に固定する棒状の支柱と、該支柱の連結軸側の端部に突設する打撃片とから少なくとも構成する。また前記差込片の先端及び両側に刃部を形成し、支柱の他端に棒状の把持部を取付けたものとしても良い。
【発明の効果】
【0009】
請求項1のように除去した目地(2)に、先端に差込片(51)を有した所定工具(5)が挿入され、差込片(51)の先端をタイル陶片(1)の側面から貼付けモルタル(3)の底面に差込むと共に差込片(51)を回転させ、除去した目地(2)に沿って差込片(51)を移動させることにより、貼付けモルタル(3)とコンクリート(4)との間が肌分けされて剥離隙間(A)を連続して確保できるものとなると共に差込片(51)によって持上げられる力がタイル陶片(1)を割るまでの大きな力にはならないため、貼付けモルタル(3)の底面全体に剥離隙間(A)が確保出来るものとなる。従って、片手で注入器(注射器)を軽く押すだけで接着剤が剥離隙間(A)に滲み込むように充填され、タイル陶片(1)の貼付けモルタル(3)浮きの修復が容易に且つ確実に行えるものとなる。また、本発明は浮きタイル陶片(1)が複数個に連続した修復工事が行われる際、熟練技能を有しないアルバイトや初心者であっても、タイル陶片(1)の貼付けモルタル(3)の底面が肌分けされて剥離隙間(A)を連続して確保する工程が容易に行えるものとなる。
【0010】
請求項2のように2枚以上のタイル陶片(1)に渡る浮きを修復する場合に、除去した目地(2)の少なくとも上下端の目地(2)に予めサンダーで分離溝を入れ、除去した目地(2)から所定工具(5)を挿入して、貼付けモルタル(3)とコンクリート(4)との間に剥離隙間(A)を確保させることにより、タイル陶片(1)の剥離が必要箇所だけに留まり、確実な作業が効率良く行えるものとなる。
【0011】
請求項3に示すようにタイル陶片(1)の側面から貼付けモルタル(3)の底面に差込み且つタイル陶片(1)と貼付けモルタル(3)が若干持上げられて剥離隙間(A)を確保する差込片(51)と、該差込片(51)の端部に固定すると共に目地(2)の幅よりも細い連結軸(52)と、その連結軸(52)の端部に固定する棒状の支柱(53)と、該支柱(53)の連結軸(52)側の端部に突設する打撃片(54)とから少なくとも構成することにより、タイル陶片(1)の貼付けモルタル(3)が差込片(51)によって適宜な力で持上げられ、貼付けモルタル(3)とコンクリート(4)との間が確実に肌分れされ、貼付けモルタル(3)の底面全体に剥離隙間(A)が確実に確保されるものとなる。
【0012】
請求項4に示すように差込片(51)の先端及び両側に刃部(51a)を形成することにより、差込片(51)が貼付けモルタル(3)の底面に、より簡単に差込んでタイル陶片(1)と貼付けモルタル(3)を若干持ち上げることが可能なものとなる。
【0013】
請求項5のように支柱(53)の他端に棒状の把持部(55)を取付けることにより、タイル剥離工具の操作が安定すると共にタイル陶片(1)の貼付けモルタル(3)の浮きが大きな場合には、把持部(55)を回転し且つ該把持部(55)と支柱(53)を握って腕力で移動させるだけで剥離隙間(A)が確保可能なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1〜図5は本発明の接着剤注入隙間の確保工法の実施形態を示す図であり、この図に示す主な番号について説明する。(1)はタイル陶片であり、(2)はタイル陶片(1)の周辺に設けた目地である。(3)はタイル陶片(1)をコンクリート(4)に固定するための貼付けモルタルである。(5)は除去した目地(2)から挿入して、タイル陶片(1)の貼付けモルタル(3)とコンクリート(4)との間に剥離隙間(A)を確保するための金属製の所定工具である。
【0015】
図6〜図8は本発明のタイル剥離工具の実施形態を示す図であり、この構成は、タイル陶片(1)の側面から貼付けモルタル(3)の底面に差込み且つタイル陶片(1)と貼付けモルタル(3)を若干持上げて剥離隙間(A)が確保される差込片(51)と、該差込片(51)の端部に固定すると共に目地(2)の幅よりも細い丸棒や角棒の連結軸(52)と、その連結軸(52)の端部に固定する棒状の支柱(53)と、該支柱(53)の連結軸(52)側の端部に突設すると共に前記差込片(51)と平行に配置した打撃片(54)と、前記支柱(53)の他端に取付けた棒状の把持部(55)とから成されている。
【0016】
前記構成部材について詳細に説明すると、前記差込片(51)の先端及び両側に刃部(51a)が形成されており、その断面形状としては、図8(a)に示す逆台形状や図8(b)に示す扁平な逆半円形とするのが好ましい。また差込片(51)の長さ(L)としては10mm〜35mm前後として、10mm以下になると、タイル陶片(1)1枚を持上げることが難しくなり、35mm以上になると、差込片(51)を完全に差込むまで時間が掛かると共にそれを移動させる際に大きな負荷が加わって作業性が悪くなる。前記差込片(51)の幅(W)としては、4mm又は7mmとすれば良い。この時、目地(2)の幅が5mmの時は4mmを用い、目地(2)の幅が8mmの時は7mmを用いるのが好ましいが、4mmだけを使用しても良い。前記差込片(51)の厚さ(T)としては、1mm〜2mm前後とすれば良いが、2mmのものが強度的に好ましい。前記連結軸(52)の長さ(H)としては15mm〜20mm前後として、15mm以下になるとタイル陶片(1)の表面に当たる恐れが出てくる。前記打撃片(54)は差込片(51)よりも10mm前後長くするのが好ましく、長くすることにより、差込片(51)を貼付けモルタル(3)の底面に差込む際に容易となる。尚、前記打撃片(54)は図6に示すように支柱(53)と一体成形すると良いが、図7に示すように打撃片(54)の端部を支柱(53)に螺合して一体化させても良い
【0017】
次に本発明の工法を図1、図4に基づいて説明する。予め、タイル陶片(1)を小ハンマーなどで叩いて浮きチェックを行い、タイル陶片(1)浮き及び貼付けモルタル(3)浮きと、コンクリート(4)とモルタル層との浮きを区別し、タイル陶片(1)の貼付けモルタル(3)浮きが生じている箇所の中央に図4に示すようなマーキングを付けておき、貼付けモルタル(3)浮きが生じているタイル陶片(1)の側面の目地(2)をダイヤモンドカッター等により除去すると共に除去した目地(2)の上下端辺にサンダーで分離溝を図4に示すように入れておくと良い。尚、図4に示す斜線部分の目地(2)は除去される箇所を示す。
【0018】
先ず始めに、除去した目地(2)に所定工具(5)を図3、図1(a)に示すように挿入する。この時、図3の2点鎖線のように差込片(51)の先端を、除去した目地(2)の上部に配置させる。そして差込片(51)が貼付けモルタル(3)の底面に入り込むように、打撃片(54)をハンマーなどで叩く[図1(b)参照]。すると打撃片(54)の回転に伴って差込片(51)も図3に示す矢印のように回転し且つタイル陶片(1)と貼付けモルタル(3)が若干持上げられて点線位置、つまり目地(2)と直角にする。この時、打撃片(54)も目地(2)と直角になる[図1(c)参照]。次に図2に示す白抜き矢印のように支柱(53)の端部をハンマーなどで叩き、差込片(51)を図3の矢印のように下方へ移動させ、且つ図4に示す1点鎖線の矢印のように分離溝付近まで移動させる。
【0019】
その後、把持部(55)を回転させ、差込片(51)を元の方向へ戻す[図1(d)参照]。この時、把持部(55)の回転だけで元の方向へ戻らない場合には、差込片(51)の反対面をハンマーなどで叩き、差込片(51)を目地(2)側に回転させると良い。そして差込片(51)を目地(2)から持上げれば、図4に示す3枚のタイル陶片(1)の裏面側全体に剥離隙間(A)が確保されるのである。この時、浮きが生じている箇所がタイル陶片(1)の左側、つまり、除去した目地(2)の反対側にある場合であっても剥離隙間(A)が確保されることが確認できた。尚、図4のように左右に浮き箇所がある場合には、図中の1点鎖線と同様にして、2点鎖線のように差込片(51)を差込んで移動させ、剥離隙間(A)を確保すれば良い。
【0020】
図5はコーナータイル陶片(1)の貼付けモルタル(3)浮きに対して行われる剥離作業を示す図であり、これについて説明する。先ず始めに、除去した目地(2)に、所定工具(5)の差込片(51)を上記要領で挿入し、且つ上記要領で打撃片(54)をハンマーなどで叩き、差込片(51)の先端を貼付けモルタル(3)の底面に入り込ませると共に差込片(51)全体を入り込ませる。この時、図5のように差込片(51)が挿入されることにより、連続剥離作業も容易に行えるものとなる。連続剥離作業を行う場合には、支柱(53)の端部をハンマーなどで叩き、差込片(51)を所定位置まで移動させれば良い。尚、従来に於いては、コーナータイル陶片(1)浮きの修復に剥離隙間(A)を確保し、接着剤を流し込んで修復する発想はなかった。つまり、コーナータイル陶片(1)が破損しないでコーナータイル陶片(1)を浮かせる方法がなかったためと考えられる。
【0021】
剥離作業が完了後、従来通りの修復工程を行えば良い。例えば、接着剤が充填された注入器(注射器)を片手で軽く押せば、接着剤は剥離隙間(A)に滲み込むように充填され、タイル陶片(1)の貼付けモルタル(3)の底面全体に確実に且つ簡単に接着剤が回り込むものとなる。この結果、接着剤注入工程が容易に行えるものとなると共に接着強度も確保されるものとなるのである。このように本発明の工程を接着剤注入工程前に行うと、従来困難であった貼付けモルタル(3)浮きの修復が、低圧力であっても接着剤注入が簡単に行えるものとなるのである。又、この時、本発明のタイル剥離工具によって、若干持上げられたタイル陶片(1)は、接着剤の注入時に振動が加えられることによって元の位置に戻る。
【0022】
本発明の工程を上記の要領で行った場合の接着剤の浸透状況を確認した所、本発明者が提案した特願2007−129236よりも一層良好であることが確認された。又、タイル陶片(1)の貼付けモルタル(3)に剥離隙間(A)を確保する際、タイル陶片(1)の割れや欠けの発生は特願2007−129236と同様に生じなかった。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明工法の実施形態の要部を示す説明図である。
【図2】本発明品の使用状態の要部を示す説明図である。
【図3】本発明工法の基本の実施形態を示す正面図である。
【図4】連続剥離作業が行われる実施形態を示す正面図である。
【図5】コーナータイル陶片浮きに対する剥離作業を示す説明図である。
【図6】本発明品の実施形態を示す斜視図である。
【図7】本発明品の別実施形態を示す斜視図である。
【図8】本実施形態の差込片の刃部を示す説明図である。
【図9】従来の実施形態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0024】
1 タイル陶片
2 目地
3 貼付けモルタル
4 コンクリート
5 所定工具
51 差込片
51a 刃部
52 連結軸
53 支柱
54 打撃片
55 把持部
A 剥離隙間


【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイル陶片(1)の貼付けモルタル(3)浮きを修復するための接着剤注入工程の前工程であって、除去した目地(2)に、先端に差込片(51)を有した所定工具(5)が挿入され、前記差込片(51)の先端を前記タイル陶片(1)の側面から前記貼付けモルタル(3)の底面に差込むと共に前記差込片(51)を回転させ、除去した前記目地(2)に沿って前記差込片(51)を移動させることにより、前記貼付けモルタル(3)とコンクリート(4)との間に剥離隙間(A)が連続して確保されることを特徴とするタイル陶片浮きの修復時に於ける接着剤注入隙間の確保工法。
【請求項2】
前記タイル陶片(1)の貼付けモルタル(3)浮きが、2枚以上の前記タイル陶片(1)に渡る場合に、除去した目地(2)の少なくとも上下端の目地(2)に予めサンダーで分離溝を入れ、前記除去した目地(2)から前記所定工具(5)を挿入して、前記貼付けモルタル(3)とコンクリート(4)との間に剥離隙間(A)が確保される請求項1記載のタイル陶片浮きの修復時に於ける接着剤注入隙間の確保工法。
【請求項3】
除去した目地(2)から挿入して、タイル陶片(1)の貼付けモルタル(3)浮きの箇所に剥離隙間(A)が確保されるためのものであって、前記タイル陶片(1)の側面から前記貼付けモルタル(3)の底面に差込み且つ前記タイル陶片(1)と前記貼付けモルタル(3)を若干持上げて剥離隙間(A)が確保される差込片(51)と、該差込片(51)の端部に固定すると共に前記目地(2)の幅よりも細い連結軸(52)と、その連結軸(52)の端部に固定する棒状の支柱(53)と、該支柱(53)の前記連結軸(52)側の端部に突設する打撃片(54)とから少なくとも構成したことを特徴とするタイル剥離工具。
【請求項4】
前記差込片(51)の先端及び両側に刃部(51a)が形成された請求項3記載のタイル剥離工具。
【請求項5】
前記支柱(53)の他端に棒状の把持部(55)が取付けられた請求項3記載のタイル剥離工具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−185509(P2009−185509A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−26259(P2008−26259)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(302027664)株式会社ヤグチ技工 (14)
【Fターム(参考)】