説明

タスク管理システムおよびセキュリティ管理支援システム

【課題】企業等の階層構造を有する組織体において、上位部署もしくはその担当者からトップダウンで展開されるタスクの指示や実施状況の管理等を可能とするタスク管理システムを提供する。
【解決手段】タスク管理サーバ100とクライアント端末400とからなるタスク管理システム1であって、タスク管理サーバ100は、タスクを新たに作成し、タスクの指示を受けた各担当者の単位で作業の進捗率およびステータスの管理を行うタスク進捗を作成して、タスクおよびタスク進捗の情報をデータベースに登録し、更新するタスク操作部111と、データベースに登録されたタスク進捗のうち、ユーザに関連するタスク進捗を取得して出力するタスク情報取得部112と、タスクの実施状況を算出して出力する実施状況管理部120と、タスク管理システム1を利用するユーザおよび部署とその階層構造の情報をデータベースに保持して管理する管理部130とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タスク管理の技術に関し、特に、企業等の組織体においてトップダウンで作業が指示されるタスクを管理するタスク管理システムに適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
企業等における業務の流れをコンピュータシステムにより制御・管理するワークフロー管理においては、作業単位をタスクとして各部門・部署や担当者に割り当て、その進捗状況などを管理するということが行われる。このようなワークフロー管理によって管理される業務は、一般的に、ワークフローやタスクの生成が、実業務の発生元である下位部門・下位部署や実担当者によって行われ、上位部門・上位部署や上長などに対して申請され承認されるというように、組織の階層構造における下位から上位に向けての一連の業務の流れ、すなわち上り方向のベクトルを有する業務である。
【0003】
ワークフロー管理においては、一般的に、予め定義されたワークフローの各タスクに対して静的もしくはワークフローの実行状況に応じて動的に担当者が割り当てられる。このとき、例えば、特開平8−95877号公報(特許文献1)に記載されているように、あるタスクを複数の担当者に同報的に割り当てることも可能であるし、特開2007−179251号公報(特許文献2)に記載されているように、タスクを割り当てられた担当者が、他の担当者にタスクを委任することも可能である。一般的にはこれら各タスクの進捗状況を管理することによりワークフロー全体の進捗状況を判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−95877号公報
【特許文献2】特開2007−179251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方で、企業等の階層構造の組織においては、例えば、マネジメント層から直近の下位部署に対して一斉同報的に作業の実施を指示し、当該下位部署がさらに直近の下位部署に同様の指示を展開して階層構造の末端の担当者にまで作業指示が届く、というようにトップダウンで上位から下位に組織の階層構造に応じてタスクが1対多で増幅されて指示される、すなわち下り方向のベクトルを有する業務も多い。
【0006】
このような業務における各タスクの進捗管理は、上記のようなワークフロー管理の仕組みで対応することが難しい場合が多く、現状ではまだ電話や電子メール等で個別に確認して手作業により集計しているケースも多い。また、組織の階層構造が深くなるほど、進捗を確認する対象の下位部署や担当者の数が1対多で累積的に増幅されるため、タスクの進捗や実績を管理するのはより煩雑となる。
【0007】
そこで本発明の目的は、企業等の階層構造を有する組織体において、上位部署もしくはその担当者からトップダウンで展開されるタスクの指示や実施状況の管理等を可能とするタスク管理システムを提供することにある。本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0009】
本発明の代表的な実施の形態によるタスク管理システムは、階層構造を有する複数の部署からなる組織体における、前記部署の階層構造の上位の担当者から配下の下位の担当者に対しての作業実施の指示であるタスクの情報を保持し、前記タスクの実施状況の管理を行うタスク管理サーバと、前記タスク管理サーバにネットワーク経由で接続するクライアント端末とからなるタスク管理システムであって、以下の特徴を有するものである。
【0010】
すなわち、前記タスク管理システムにおいて、前記タスク管理サーバは、前記クライアント端末を介した前記各部署におけるユーザからの要求により、前記部署の階層構造における前記ユーザの配下の1または複数の担当者に対して指示する前記タスクを新たに作成し、前記タスクの指示を受けた各担当者の単位で前記タスクに係る作業の進捗率およびステータスの管理を行うタスク進捗を作成して、前記タスクおよび前記タスク進捗の情報を前記データベースに登録し、また、前記クライアント端末を介した前記各部署におけるユーザからの要求により、前記データベースに登録された前記タスクおよび前記タスク進捗の内容を修正して更新するタスク操作部と、前記クライアント端末を介した前記ユーザからの要求により、前記データベースに登録された1つ以上の前記タスク進捗のうち、前記ユーザに関連する前記タスク進捗の情報を取得して出力するタスク情報取得部と、前記クライアント端末を介した前記ユーザからの要求により、前記ユーザに指示された前記タスクについての実施状況を算出して出力する実施状況管理部と、当該タスク管理システムを利用する前記ユーザおよび前記部署とその階層構造の情報を前記データベースに保持して管理する管理部とを有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0012】
本発明の代表的な実施の形態によれば、企業等の階層構造を有する組織体において、部署の階層構造における配下の担当者に対して作業を指示するタスクを作成し、当該タスクの指示を受けた担当者単位で当該タスクに係る作業の進捗率およびステータス等の管理を行うタスク進捗を作成して、これらの情報をデータベースに保持して管理することで、組織の階層構造に基づいてタスクの指示を容易に行い、また、タスクの実施率の算出やタスクの情報の参照範囲の制限などを含む実施状況の管理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1であるタスク管理システムの構成例の概要を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態のタスク管理システムが適用される企業等における一般的な組織の階層構造の一部について例を示す図である。
【図3】本発明の一実施の形態のタスク管理システムにおいて管理されるタスクの概念を説明する図である。
【図4】本発明の一実施の形態のタスク管理システムにおけるタスク(タスク進捗)の状態遷移図の例である。
【図5】本発明の実施の形態1におけるユーザ・部署DBのテーブルの構成例を示した図である。
【図6】(a)、(b)は、本発明の実施の形態1におけるタスクDBのテーブルの構成例および具体的なデータの例を示した図である。
【図7】(a)、(b)は、本発明の実施の形態1におけるタスク進捗DBのテーブルの構成例および具体的なデータの例を示した図である。
【図8】本発明の実施の形態1におけるユーザに関連するタスクの情報を表示するトップ画面の例を示した図である。
【図9】本発明の実施の形態1におけるタスクを新規作成する画面の例を示した図である。
【図10】本発明の実施の形態1におけるタスク進捗の進捗状況(ステータス)を更新する画面の例を示した図である。
【図11】本発明の実施の形態1におけるタスク進捗の実施状況を横比較した結果を表示する画面の例を示した図である。
【図12】本発明の実施の形態1におけるタスク進捗の実施状況を下比較した結果を表示する画面の例を示した図である。
【図13】本発明の実施の形態1におけるタスク進捗の実施率を算出する処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図14】本発明の実施の形態1におけるタスク進捗の実施状況を横比較する際の処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態1におけるタスク進捗の実施状況を下比較する際の処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図16】本発明の実施の形態2であるセキュリティ管理支援システムの構成例の概要を示す図である。
【図17】本発明の実施の形態2であるセキュリティ管理支援システムを利用したセキュリティ管理業務の流れの概要を示した図である。
【図18】本発明の実施の形態2における資産DBのテーブルの構成例を示した図である。
【図19】本発明の実施の形態2における管理策DBのテーブルの構成例を示した図である。
【図20】本発明の実施の形態2における計画策定DBのテーブルの構成例を示した図である。
【図21】本発明の実施の形態2における診断DBのテーブルの構成例を示した図である。
【図22】本発明の実施の形態2における現状のセキュリティレベルの診断結果を表示するセキュリティ診断画面の例を示した図である。
【図23】本発明の実施の形態2における現状のセキュリティレベルの診断結果を部署毎に比較して表示する部署比較画面の例を示した図である。
【図24】本発明の実施の形態2における現状のセキュリティレベルの診断結果を管理策カテゴリ毎に比較して表示するレーダーチャート画面の例を示した図である。
【図25】本発明の実施の形態2における目標セキュリティレベルの値とこれまでのセキュリティレベルの値とを比較して表示する経年予実比較画面の例を示した図である。
【図26】本発明の実施の形態2における現状のセキュリティレベルの診断結果を管理策毎に詳細に表示する診断明細照会画面の例を示した図である。
【図27】本発明の実施の形態2における現状のセキュリティレベルの診断結果を資産毎に詳細に表示する診断明細照会(詳細)画面の例を示した図である。
【図28】本発明の実施の形態2における自部署のセキュリティレベルの目標を設定する自部署目標設定画面の例を示した図である。
【図29】本発明の実施の形態2における下位部署のセキュリティレベルの目標を設定する下位部署目標設定画面の例を示した図である。
【図30】本発明の実施の形態2における計画策定画面の例を示した図である。
【図31】本発明の実施の形態2における自部署のセキュリティ対策の診断結果を入力する診断明細入力画面の例を示した図である。
【図32】本発明の実施の形態2における自部署のセキュリティ対策の診断結果を資産毎に入力する診断明細入力(詳細)画面の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0015】
<概要>
以下では、まず、本発明の一実施の形態であるタスク管理システムにおけるタスクおよびタスクの階層構造について概要を説明する。図2は、タスク管理システムが適用される企業等の一般的な組織の階層構造の一部について例を示す図である。例えば、最高情報セキュリティ責任者(CISO)をトップに営業本部、情報システム本部、業務本部が配下に組織されている。各本部には責任者として本部長が存在する。
【0016】
また、営業本部の配下には、例えば営業一部、二部が組織され、それぞれに責任者として部長が存在する。さらに、営業一部、二部にはそれぞれ一般従業員として2人の従業員が在籍する。同様に、情報システム本部の配下には、例えば情報システム部、基盤システム部が組織され、それぞれに責任者として部長が存在する。さらに、情報システム部には一般従業員として2人の従業員が在籍する。
【0017】
ここで、上位組織がCISOで共通である営業本部、情報システム本部、業務本部は同一階層の組織である。同様に、営業一部、二部はそれぞれ上位組織が営業本部で共通あり同一階層の組織である。また、情報システム部、基盤システム部は上位組織が情報システム本部であり同一階層の組織である。なお、図2の例では、業務本部および基盤システム部には配下の下位部署および在籍する従業員が存在しない。
【0018】
図3は、タスク管理システムにおいて管理されるタスクの概念を説明する図である。ここでのタスクとは、組織の階層構造における上位の担当者から配下の下位の担当者に対しての作業実施の指示であり、このような上位部署からトップダウンで展開されるタスクの例として、図3では、企業でのセキュリティ管理における管理策として企業全体での実施が必要である「PC資産管理台帳の更新」という作業を、図2の組織階層におけるCISOがタスクとして指示した場合を例としている。
【0019】
CISOは、当該タスクの起点となり、まず、配下の組織の担当者である営業本部本部長、情報システム本部本部長、業務本部本部長に「PC資産管理台帳の更新」というタスク(T1)を指示している。すなわち、タスク(T1)では、指示者はCISOであり3人の各本部長は指示受け者である。このように、複数の担当者に同報的にタスクを指示することができる。なお、タスクの起点である担当者(CISO)が指示したタスク(T1)は元タスクとして識別される。
【0020】
各タスクのステータスは、タスクの指示受け者の単位で管理される。タスク(T1)の指示受け者である営業本部本部長は、当該タスクをさらに配下の組織の担当者である営業一部部長、二部部長に再指示(以下では「再アサイン」と記載する場合がある)して展開している。従って、タスク(T1)について営業本部本部長が指示受け者となっている部分についてはステータスは「指示済」となっている。このように、タスクにおけるタスクの指示受け者毎のステータスの管理単位をこれ以降「タスク進捗」と呼ぶものとする。
【0021】
営業本部本部長と同様に、情報システム本部本部長も配下の組織の担当者である情報システム部部長、基盤システム部部長にタスクを再アサインしており、情報システム本部本部長が指示受け者となっているタスク進捗のステータスは「指示済」となっている。一方、業務本部本部長は配下の組織および担当者が存在しないため、タスク(T1)は自身で実施する必要がある。業務本部本部長はタスク(T1)を再アサインしておらず、自身でも未だ作業着手していないため、タスク進捗のステータスは「未指示」となっている。なお、タスク進捗のステータスについては後述する。
【0022】
営業本部本部長から営業一部部長、二部部長に再アサインされたタスク(T2)は、タスク(T1)を親タスクとした子タスクとして識別される。また、タスク(T2)について、指示者は営業本部本部長であり2人の各部長は指示受け者である。タスク(T2)の指示受け者である営業一部部長は、当該タスクをさらに配下の担当者である営業一部#1、#2に再アサインしている。また、図3の例ではさらに、営業一部部長自身もPC資産を有しており「PC資産管理台帳の更新」の作業を実施する必要があることから、自分自身にもタスクを指示している。従って、営業一部部長が再アサインしたタスク(T4)の指示受け者には、営業一部#1、#2に加えて営業一部部長自身も含まれる。
【0023】
また、タスク(T2)の指示受け者である営業二部部長は、当該タスクを配下の担当者(営業二部#1、#2)に未だ再アサインしておらず、自身でも作業着手していないため、タスク進捗のステータスは「未指示」となっている。この場合、営業二部部長は、原則として当該タスクを配下の担当者に再アサインすることも自身で実施することも可能である。自身で実施した場合にはもはや当該タスクを再アサインすることはできなくなる。このように、タスクの階層構造は組織の階層構造に基づいて構成されるが、同一の構成になるとは限らない。
【0024】
タスク(T4)では、営業一部#1はタスク(T4)を再アサインしておらず、自身でも未だ作業着手していないため、タスク進捗のステータスは「未指示」となっている。また、営業一部#2は「PC資産管理台帳の更新」の作業を全て完了しているため、タスク進捗のステータスは「完了」となっている。また、営業一部部長は「PC資産管理台帳の更新」の作業を着手しているが未完了であるため、タスク進捗のステータスは「未完了」となっている。
【0025】
その他のタスク(T3、T5)やタスク進捗についても上記と同様であるため説明は省略する。なお、図中において各タスク(タスク進捗)の指示者・指示受け者の名称に付されている括弧内の文字(「A」〜「L」)は、それぞれの担当者のユーザIDを表しているものとする。
【0026】
図4は、タスク(タスク進捗)の状態遷移図の例である。タスクが指示者から指示受け者に対して指示(もしくは再アサイン)されたとき、指示受け者におけるタスク進捗のステータスの初期状態は未指示(S1)である。この状態では、指示受け者は当該タスクについて再アサインしておらず、自身での実施も未着手である。
【0027】
ステータスが未指示(S1)の状態では、指示受け者は、上述したように、原則として当該タスクを配下の担当者に再アサインすることも、自身で作業を実施することも可能である。当該タスクを再アサインした場合は、当該指示受け者におけるタスク進捗のステータスは指示済(S3)に遷移する。指示済(S3)に遷移したタスク進捗は、当該タスク進捗に係る作業を指示受け者が実施することはもはやできないため、これ以上ステータスが遷移することはない。
【0028】
なお、タスクは原則として配下の担当者に再アサインすることができるが、指示者から「再アサイン不可」の指定が付されて指示されたタスクの場合は、再アサインすることはできない。すなわち、自身が作業を実施しなければならない。配下の担当者が存在しない末端の指示受け者の場合も実質的には再アサイン不可である。これらのタスク進捗については、指示済(S3)のステータスに遷移することはできない。
【0029】
一方、ステータスが未指示(S1)の状態から指示受け者がタスク進捗のステータスに「未完了」を指定した場合は、タスク進捗のステータスは未完了(S2)に遷移する。なお、タスク進捗のステータスに「未完了」を指定する代わりに、当該タスク進捗に係る作業が一部実行された旨の進捗率(例えば「50%」など)を指定することで未完了(S2)に遷移させてもよい。また、新たに指示されたタスクが再アサイン不可の場合は、必然的に指示受け者自身が実施することになるため、ステータスは自動的に未指示(S1)から未完了(S2)に遷移する。このときの進捗率は0%である。
【0030】
ステータスが未完了(S2)の状態で、タスク進捗のステータスに「未完了」を指定した場合(もしくは作業の進捗率を更新した場合)は、タスク進捗のステータスは未完了(S2)で不変である。なお、タスク進捗のステータスに「未指示」を指定する(もしくは作業の進捗率に0%を指定する)と、ステータスを未指示(S1)に戻すことも可能である。
【0031】
また、ステータスが未完了(S2)の状態で、作業実施が不能である等の事情により、当該タスクを配下の担当者に再アサインすることも可能である。この場合、ステータスは指示済(S3)に遷移する。また、ステータスが未完了(S2)の状態で、タスク進捗のステータスに「完了」を指定した場合(もしくは作業の進捗率に100%を指定した場合)は、タスク進捗のステータスは完了(S4)に遷移して終了する。すなわち、ステータスが完了(S4)になったタスク進捗のステータスはこれ以上変更されることはないため、当該タスク進捗の指示受け者が確かに作業を行ったということの証跡の情報とすることができる。
【0032】
このように、本実施の形態のタスク管理システムでは、上位部署からトップダウンで展開するタスクを組織階層の構造に基づいて再アサインにより展開可能とし、展開した階層毎に親タスク、子タスクとして管理する。各階層のタスクでは、指示受け者単位でタスク進捗としてステータスを管理する。
【0033】
<実施の形態1>
[システム構成]
以下では、本発明の実施の形態1であるタスク管理システムについて説明する。図1は、本発明の実施の形態1であるタスク管理システムの構成例の概要を示す図である。タスク管理システム1は、例えば、タスク管理サーバ100およびデータベースと、タスク管理サーバ100にインターネットや社内LAN等のネットワークを介して接続されたクライアント端末400から構成される。
【0034】
タスク管理サーバ100は、コンピュータシステムからなるサーバ機器によって構成され、例えば、タスク実施管理部110、実施状況管理部120、管理部130などを有する。これら各部はソフトウェアプログラムとして実装され、例えば、タスク管理サーバ100上の図示しないWebサーバプログラムと連携してクライアント端末400からの処理要求を受けて所定の処理を行い、クライアント端末400に対して処理結果の画面を提示する等の処理を行う。
【0035】
タスク実施管理部110は、例えば、タスク操作部111、タスク情報取得部112を有する。タスク操作部111は、クライアント端末400を介したユーザからの要求によるタスクの新規作成(指示)、再アサインといった処理を行い、当該タスクの情報をその階層構造の情報とともにデータベースに登録する。また、対象のタスクの指示を受けた指示受け者の単位でタスクの進捗率やステータスを管理するタスク進捗をデータベースに登録する。また、タスクおよびタスク進捗の内容の修正、進捗状況の更新などの操作を行い、データベースを更新する。
【0036】
タスク情報取得部112は、クライアント端末400を介したユーザからの要求により、対象のユーザに関連するタスク進捗の情報(当該ユーザが指示もしくは再アサインしたタスクおよび当該ユーザが指示されたタスクにおける当該ユーザに係るタスク進捗)をデータベースから取得して出力する。
【0037】
実施状況管理部120は、クライアント端末400を介したユーザからの要求により、タスクの階層構造に基づいて、当該ユーザが指示されたタスクについての実施状況(実施率や未実施者など)を算出して出力する。また、管理部130は、タスク管理システム1を利用するユーザおよび部署とその階層構造の情報、その他のシステム的な情報などをデータベースに保持して管理する機能を実現する。また、ユーザの情報を利用してユーザのログイン時の認証なども行う。なお、上記各部の構成はあくまで一例であり、さらに上記以外の各部を有していてもよいし、また、上記各部の一部または全部がまとめられていたり、さらに細かく分けられたりしていてもよい。
【0038】
タスク管理サーバ100は、さらに例えば、ユーザ・部署DB210、タスクDB260、タスク進捗DB270の各データベースを有する。ユーザ・部署DB210は、タスク管理システム1を利用する企業等の組織におけるユーザおよび部署とその階層構造などの情報を保持する。タスクDB260は、タスク管理システム1によって管理されているタスクおよびその階層構造の情報を保持する。
【0039】
タスク進捗DB270は、タスクDB260に保持・管理されている各タスクについて指示受け者(タスク進捗)単位でのステータス等の情報を保持する。なお、これら各データベースは、タスク管理サーバ100が直接保持する構成でもよいし、別のデータベースサーバ等に保持してネットワーク経由でアクセスする構成としてもよい。これら各データベースの詳細については後述する。
【0040】
クライアント端末400は、ユーザ(各部署の担当者など)に対してタスク管理サーバ100の各機能を利用するためのユーザインタフェースを提供する機器であり、PCや携帯端末などにより構成される。例えば図示しないWebブラウザを有し、タスク管理サーバ100上の図示しないWebサーバプログラムとネットワーク経由により連携して、上記機能を実行するための指示を行ったり、実行結果の画面をユーザに提示したりする。
【0041】
[データベース構成]
図5は、ユーザ・部署DB210のテーブルの構成例を示した図である。ユーザ・部署DB210は、タスク管理システム1を利用する企業等のユーザや部署およびその階層構造等を保持するデータベースであり、例えば、会社テーブル211、部署テーブル212、所属部署テーブル213、担当ロールテーブル214、ロールテーブル215、ユーザテーブル216のテーブルから構成される。なお、図中のテーブル間の矢印は、例えば、A→Bである場合に、A:B=1:nの関係(A has many Bs)にあることを示している。
【0042】
会社テーブル211は、例えば、会社ID、会社名などの会社の属性に関する項目を有する。部署テーブル212は、例えば、部署ID、会社ID、上位部署ID、部署名、場所などの各部署の属性に関する項目を有する。上位部署IDの項目を有することにより、各部署の階層構造を保持・把握することができる。ロールテーブル215は、例えば、ロールID、会社ID、ロール名などの項目を有する。ロール名は、例えば、「CISO」、「各部署セキュリティ管理者」、「一般社員」など、ユーザに割り当てられるロール(役割)の種別である。ユーザのロールに応じて利用可能な機能を制限してもよい。
【0043】
ユーザテーブル216は、例えば、ユーザID、会社ID、パスワード、ユーザ名、メールアドレスなどの各ユーザの属性に関する項目を有する。ユーザがタスク管理システム1にログインする際の認証に使用されるデータや、認証結果などの情報も保持する。所属部署テーブル213は、例えば、ユーザID、部署IDなどの項目を有し、ユーザが所属する部署の情報を保持する。部署が階層構造となっていることから、ユーザが所属する部署も複数の階層(例えば「○○部××課」など、直接所属する部署とその上位部署)にわたる場合がある。
【0044】
また、担当ロールテーブル214は、例えば、ユーザID、ロールIDなどの項目を有し、ユーザが担当するロールの情報を保持する。一人のユーザが複数のロールを担当しているという場合もある。これらのユーザ・部署DB210の各テーブルの情報は、例えば、システム管理者や人事担当者等によって、管理部130により予め登録され、また更新などの管理が行われる。
【0045】
図6(a)、(b)は、タスクDB260のテーブルの構成例および具体的なデータの例を示した図である。タスクDB260は、タスク管理システム1によって管理されているタスクおよびその階層構造の情報を保持するデータベースであり、例えば、タスクテーブル261、カテゴリテーブル262のテーブルから構成される。
【0046】
タスクテーブル261は、例えば、タスクID、タスクタイトル、期日、作成日、カテゴリID、親タスクID、元タスクID、指示者ユーザIDなどのタスクの属性に関する項目を有する。ここでのタスクとは、図3に示したタスクの階層構造における各階層のタスク(例えばT1〜T5)を指し、このタスク毎にタスク操作部111によってユニークなタスクIDが割り振られる。親タスクIDや元タスクIDの項目を有することにより、上述したタスクの階層構造を保持・把握することができる。なお、図6(b)は、図3に示したタスクの階層構造を例とした場合のタスクテーブル261の具体的なデータの例を示している。
【0047】
カテゴリテーブル262は、例えば、カテゴリID、カテゴリ名などの、タスクのカテゴリの種類を表すための項目を有する。カテゴリ名は、例えば、「セキュリティ対策」や「月次報告」などである。
【0048】
図7(a)、(b)は、タスク進捗DB270のテーブルの構成例および具体的なデータの例を示した図である。タスク進捗DB270は、タスクDB260に保持・管理されている各タスクについての指示受け者(タスク進捗)単位でのステータス等の情報を保持するデータベースであり、例えば、タスク進捗ID、タスクID、指示受け者ユーザID、進捗率、ステータスID、完了フラグ、完了日、再アサインフラグ、コピーフラグなどのタスク進捗の属性に関する項目を有する。
【0049】
タスク進捗毎にタスク操作部111によってユニークなタスク進捗IDが割り振られ、タスクID、指示受け者ユーザIDの項目を有することで、属するタスクおよび指示受け者を把握することができる。このタスク進捗毎に、進捗率や図4に示したステータスの状況を保持・管理する。
【0050】
完了フラグの項目は、タスク進捗の完了・未完了を容易に判断可能とするため、ステータスIDが完了(S4)を示すものを「完了」とし、それ以外のステータスのものを「未完了」とする。また、再アサインフラグの項目は、「再アサイン不可」の指定が当該タスク進捗の指示者からされているか否かを示すフラグであり、コピーフラグの項目は、再アサインする際にタスクの内容をコピーすることが指示者から許可されているか否かを示すフラグである。
【0051】
ステータステーブル272は、例えば、ステータスID、ステータス名などの、タスク進捗のステータスの種類を表すための項目を有する。ステータス名は、図4に示した各ステータスの名称をそれぞれ保持する。なお、図7(b)は、図3に示したタスクの階層構造を例とした場合のタスク進捗テーブル271の具体的なデータの例を示している。ステータスIDの項目には、便宜上、ステータスIDの値ではなくステータステーブル272のステータス名の値で変換したものを示している。
【0052】
[タスク実施管理]
以下では、ユーザがクライアント端末400を介してタスク管理サーバ100にアクセスし、タスクの新規作成(指示)、再アサインや、内容の修正、進捗状況の更新などのタスクについての操作を行う際の処理内容について説明する。
【0053】
ユーザがクライアント端末400からタスク管理サーバ100にログインすると、タスク実施管理部110のタスク情報取得部112は、タスクDB260およびタスクDB270を参照して、例えば、図8に示すような、当該ユーザに関連するタスクの情報を表示するトップ画面を生成してクライアント端末400上に表示する。
【0054】
図8では図2、図3における営業本部本部長がログインした際の画面例を示している。この画面では、「未処理タスク一覧」として、当該ユーザが指示受け者となっているタスクのタスク進捗であり、かつステータスが未指示(S1)もしくは未完了(S3)のものの一覧が表示されている。未処理タスク一覧に表示されたタスク(タスク進捗)は、当該ユーザによる実施もしくは再アサインの処理を要するものである。また、これに付随して、「指示受け一覧」ボタンを押下すると、図示しないが、当該ユーザが指示受け者となっている、完了(S4)や指示済(S2)も含んだ全てのタスク進捗の一覧を表示することが可能である。
【0055】
同様に、「処理待ちタスク一覧」として、当該ユーザが指示者となっているタスクに含まれるタスク進捗であり、かつステータスが未指示(S1)もしくは未完了(S3)のものの一覧が表示されている。処理待ちタスク一覧に表示されたタスク(タスク進捗)は、当該ユーザが指示を行い、指示受け者(配下の担当者)による実施もしくは再アサインの処理を要するものである。また、これに付随して、「指示一覧」ボタンを押下すると、図示しないが、当該ユーザが指示者となっているタスクに含まれるタスク進捗であり、完了(S4)や指示済(S2)も含んだ全てのタスク進捗の一覧を表示することが可能である。
【0056】
このように、ログインしたユーザによって参照することができるタスク(タスク進捗)の範囲を制限しているが、ユーザの権限(部署やロール等)によって参照することができる範囲(部署、ユーザや、組織階層など)が拡大可能なように制御することも可能である。
【0057】
図8の画面において、「新規作成」ボタンを押下することによって、当該ユーザが起点となって新たにタスクを作成して指示することができる。図9は、タスクを新規作成する画面の例を示した図である。
【0058】
図9の画面において、ユーザはタスク名やカテゴリ、内容、担当者(指示受け者)などの情報を設定してタスクを新たに作成することができる。担当者を指定する際には、プルダウンメニューやリスト等によりユーザ・部署DB210に保持されている組織の階層構造の情報を提供することができ、容易に組織の階層構造に沿ったタスクの指示を行うことができる。このとき例えば、自身が属する部署および配下の部署に属する担当者のみがプルダウンメニューに表示されるように制御することでタスクの指示範囲を制限することができる。
【0059】
さらに、タスクの作成時に、当該タスクの担当者(指示受け者)がさらに配下の担当者にタスクを再アサインすることを許可するか否か、および許可する場合に、指示受け者がタスクを再アサインする際に当該画面で指定したタスクの内容をコピーして再アサインすることを許可するか否かを指定することができる。タスク操作部111は、これらの設定内容に従ってタスクDB260およびタスク進捗DB270に新たにタスクおよびタスク進捗を作成する。
【0060】
また、図8の画面において、「未処理タスク一覧」に表示されたタスク進捗の「進捗更新」ボタンを押下することによって、当該タスク進捗のステータスを更新することができる。図10は、タスク進捗の進捗状況(ステータス)を更新する画面の例を示した図である。図10の画面において、ユーザは、当該タスク進捗に係る実作業の進捗状況に応じて進捗率やステータスを入力することができる。タスク操作部111は、入力内容に従ってタスク進捗DB270の内容を更新する。
【0061】
さらに、当該タスク進捗が指示者によって再アサイン不可の指定がされていない場合は、「再アサイン」ボタンが押下可能となっており、これを押下することによってユーザは当該タスクの実施を配下の担当者に再アサインすることができる。このとき、図9に示したタスクの新規作成時の画面と同様な画面が表示され、タスクの内容や再アサインする担当者を設定することができる。
【0062】
なお、当該タスク進捗に指示者によってタスク内容のコピー不可の指定がされていなかった場合は、タスクの再アサインを行う画面において、期日や内容などの情報が再アサインするタスクにそのまま引き継がれて設定される。タスク操作部111は、設定内容に従ってタスクDB260およびタスク進捗DB270に新たに再アサインしたタスクおよびタスク進捗を作成する。
【0063】
図10の画面においてタスクの進捗率を100%としてステータスを完了(S4)とした場合は、当該タスク進捗は図8の「未処理タスク一覧」から消える。また、タスクを再アサインしてタスク進捗のステータスを指示済(S2)とした場合は、当該タスク進捗は図8の「未処理タスク一覧」から消え、「処理待ちタスク一覧」に新たに表示される。
【0064】
また、図8の画面において、「処理待ちタスク一覧」に表示されたタスク進捗の「修正」ボタンを押下することによって、再アサインした当該タスク進捗の内容を修正することができる。このとき、図9に示したタスクの新規作成時の画面と同様な画面が表示され、内容や期日などの情報を修正することができる。また、組織の人事異動等に伴って担当者が変更になる場合は指示受け者である担当者を変更することも可能である。タスク操作部111は、修正内容に従ってタスク進捗DB270の内容を更新する。
【0065】
また、図8の画面において、「処理待ちタスク一覧」に表示されたタスク進捗の「削除」ボタンを押下することによって、再アサインした当該タスク進捗を削除(指示を取り消し)することもできる。タスク操作部111は、指定されたタスク進捗をタスク進捗DB270から削除する。
【0066】
この際、削除したタスク進捗と同じタスクIDを有するタスク進捗が他に存在しない場合、すなわち、当該タスク進捗が属する子タスクに含まれるタスク進捗が全て削除された場合は、タスク操作部111は、タスクDB260およびタスク進捗DB270を参照して当該子タスクを指示した親タスクのタスク進捗を特定し、そのステータスを指示済(S2)から未指示(S3)に更新することによって再アサインがされなかったものとする。
【0067】
[タスク実施状況管理]
以下では、ユーザがクライアント端末400を介してタスク管理サーバ100にアクセスし、タスクの階層構造に基づいた実施状況(実施率や未実施者など)の情報を参照する際の処理内容について説明する。
【0068】
上述の図8の画面において、「未処理タスク一覧」に表示されたタスク進捗の「実施状況」ボタンを押下することによって、ユーザは当該タスク進捗の実施状況を、同じ指示者から対象のタスクの指示・再アサインを受けた他の担当者に係るタスク進捗との間で比較(横比較)することができる。図11は、タスク進捗の実施状況を横比較した結果を表示する画面の例を示した図である。
【0069】
図11の画面では、営業本部本部長がCISOから指示されたタスクについて、CISOから当該タスクについて同様に指示を受けた情報システム本部本部長、業務本部本部長との間でタスク進捗の実施率を比較(横比較)して表示している。これにより、自身に指示されたタスク(タスク進捗)の実施状況を、階層的に横の部署の他の担当者に係るタスク進捗の実施状況と比較して進捗状況を判断することができる。
【0070】
ここでの実施率(%および件数)は、実施状況管理部120が、対象のタスク進捗に対して、タスクの階層構造における自身を含む下位に属する全てのタスク進捗について、例えば、
実施率=(完了(S4)の件数)/
(未指示(S1)or未完了(S2)or(完了S4)の件数) …式(1)
の式によって算出する。実施状況管理部120における実施率の算出処理の詳細については後述する。
【0071】
また、上述の図8の画面において、「処理待ちタスク一覧」に表示されたタスク進捗の「実施状況」ボタンを押下することによって、ユーザは当該タスク進捗の実施状況を、自身が再アサインにより指示した配下の担当者に係るタスク進捗の間で比較(下比較)することができる。図12は、タスク進捗の実施状況を下比較した結果を表示する画面の例を示した図である。図12の画面では、営業本部本部長が指示したタスクについて、指示受け者である営業一部部長および営業二部部長の間で式(1)によって算出したタスク進捗の実施率を比較(下比較)して表示している。
【0072】
図12に示す下比較の場合は、図11に示す横比較の場合と異なり、自身の配下の部署に係る実施状況の確認であるため、例えば、図12における「未完了/未実施者」の項目のような未完了者や未実施者の具体的な情報など、さらに詳細な情報を参照可能とするよう参照権限を強化してもよい。また、担当者がさらに再アサインによって配下の担当者にタスクを指示している場合は、それらのタスク進捗についても式(1)によって実施率を算出してタスクの階層毎に表示するようにしてもよい。
【0073】
[タスク実施状況管理(処理フロー)]
図13は、タスク進捗毎の実施率を算出する処理の流れの例を示すフローチャートである。あるタスク進捗の実施率は、上述したように、例えば、対象のタスク進捗について、タスクの階層において自身を含む下位に属する全てのタスク進捗を対象に式(1)の計算を行って求めることができる。このタスク進捗実施率算出処理は、上述したタスク実施状況の横比較、下比較のいずれにおいても利用される。
【0074】
図13において、実施状況管理部120は、事前に実施率の分子および分母となる値を初期化しておく。その後、実施率の算出対象となるタスク進捗(タスク進捗ID)を入力パラメータとしてタスク進捗実施率算出処理を開始すると、まず、対象のタスク進捗のステータスが指示済(S2)であるか否かを確認する(S101)。
【0075】
ステップS101でステータスが指示済(S2)でない場合は、対象のタスク進捗は再アサインされておらず、現時点でタスクの階層構造における末端であることを示す。従って、実施率の分母に1を加算する(S102)。次に、対象のタスク進捗のステータスが完了(S4)であるか否かを確認する(S103)。ステータスが完了(S4)でない場合(すなわち未指示(S1)もしくは未完了(S3)である場合)は、対象のタスク進捗の指示受け者を未完了者のリストに追加し(S104)、ステータスが完了(S4)である場合は、実施率の分子に1を加算して(S105)、処理を終了する。
【0076】
一方、ステップS101でステータスが指示済(S2)である場合は、対象のタスク進捗は再アサインされているため、対象のタスク進捗から再アサインされたタスクの実施率を算出する。そのため、まず、タスク進捗DB270を参照して、対象のタスク進捗が属するタスク(のタスクID)を判別する(S106)。
【0077】
次に、タスクDB260を参照して、判別したタスクが親タスクとなっており、かつ、対象のタスク進捗の指示受け者が指示者となっている子タスク(のタスクID)を判別する(S107)。具体的には、タスクテーブル261において、親タスクIDと指示者ユーザIDの値が、ステップS106で取得した、タスク進捗テーブル271における対象のタスク進捗のタスクIDおよび指示受け者ユーザIDの値とそれぞれ一致する、という条件を満たすタスクを取得してこれを判別対象の子タスクとし、そのタスクIDを取得する。
【0078】
さらに、タスク進捗DB270を参照して、判別した子タスクに属するタスク進捗(のタスク進捗ID)を判別する(S108)。なお、ステップS106〜S108の一連の処理は、便宜上時系列で処理を記載しているが、タスクDB260、タスク進捗DB270を対象としたデータベースアクセスにおいて一括で処理することも可能である。
【0079】
最後に、ステップS108で判別したタスク進捗毎に、当該タスク進捗実施率算出処理を再帰的に呼び出して、タスク進捗毎の実施率を算出し(S109)、処理を終了する。上記の処理により、あるタスク進捗が指定された場合に、当該タスク進捗について、自身を含む下位に属する全てのタスク進捗を対象とした実施率の分子・分母の値を算出することができる。
【0080】
図14は、図11に示したタスク進捗の実施状況を横比較する際の処理の流れの例を示すフローチャートである。処理を開始すると、実施状況管理部120は、まず、タスク進捗DB270を参照して、対象のタスク進捗と同じタスクに属する(同じタスクIDを有する)タスク進捗(のタスク進捗ID)を判別する(S201)。この中には、対象のタスク進捗自身も含まれる。次に、判別したタスク進捗毎に、図13に示したタスク進捗実施率算出処理を呼び出して、タスク進捗毎の実施率を算出し(S202)、これを例えば図11に示すような形式で出力して(S203)、処理を終了する。
【0081】
図15は、図12に示したタスク進捗の実施状況を下比較する際の処理の流れの例を示すフローチャートである。処理を開始すると、実施状況管理部120は、対象のタスク進捗について、図13に示したタスク進捗実施率算出処理を呼び出して、対象のタスク進捗の実施率を算出する(S301)。その後、対象のタスク進捗および再アサインした下位の各タスク進捗について、ステップS302で算出した実施率と未完了者の情報を、例えば図12に示すような形式で出力して(S302)、処理を終了する。
【0082】
なお、図12および図15に示す下比較の処理では、上述したように、図11および図14に示す横比較の場合と異なり、自身の配下の部署に係る実施状況の確認であるため、ステップS301の処理で記録された未完了者の情報も出力し、当該担当者に対して直接の問い合わせ等も可能となるようにしているが、横比較の場合は、対象のユーザと階層的に横の部署の担当者(指示受け者)における実施状況のサマリーを表示するのみに制限している。
【0083】
以上に説明したように、本発明の実施の形態1であるタスク管理システムによれば、企業等の階層構造を有する組織体において、部署の階層構造における配下の担当者に対して作業を指示するタスクを作成し、さらに、当該タスクの指示を受けた担当者(指示受け者)単位で当該タスクに係る作業の進捗率およびステータス等の管理を行うタスク進捗を作成して、これらの情報をデータベースに保持して管理することができる。また、指示されたタスクを再アサインすることによりさらに下位部署に指示を展開することができ、これらのタスクをタスクの階層構造として管理することができる。
【0084】
これにより、組織の階層構造に基づいてタスクの指示・展開を容易に行い、また、組織(タスク)の階層構造に応じた形で実施率の算出や参照範囲の制限などを含む実施状況の管理を行うことが可能となる。さらに、タスク進捗の単位でステータスを遷移させて管理するため、各担当者における作業実施の証跡を容易に取得することが可能となり、監査等の際の対応を容易にすることができる。また、タスクの階層構造の情報を組織の階層構造の情報と分離して保持することで、人事異動や組織改編などの際にもタスクの担当者等を柔軟に変更して対応することができる。
【0085】
<実施の形態2>
以下では、本発明の実施の形態2であるセキュリティ管理支援システムについて説明する。
【0086】
近年、IT技術の急速な発展に伴いその重要性が高まる一方、障害や情報漏洩等が発生した場合の影響度も大きくなっており、企業において適切な情報セキュリティ対策を講じることは重要な課題となっている。しかし、企業における情報セキュリティ対策への取組みは、その効果が認識しづらく、また、ゴールが見えずどのような対策をどこまで実施すれば十分であるかが判断しづらいことから、セキュリティ対策に対して過剰投資となる場合も生じ、いわゆる「対策疲れ」の状況も生じている。
【0087】
これらの課題に対して、これまで、セキュリティ対策の状況(セキュリティレベル)やリスクを定量化することによって可視化するといった解決策が提案されてきた。これらの解決策は大きく分類して管理的(人的)アプローチと技術的アプローチに分けることができる。
【0088】
管理的アプローチとしては、例えば、企業の情報セキュリティのマネジメント体系に関する認証基準であるISMS(Information Security Management System:情報セキュリティマネジメントシステム)(ISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)/IEC(International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議)27001)を始めとするセキュリティ基準についての各種認証の取得や、種々のリスク分析の手法を用いた企業のリスク評価の実施などがある。また、技術的アプローチとしては、例えば、SIM(Security Information Management:セキュリティ統合管理ツール)やログ分析ツール等のツール類を用いたセキュリティ管理の実施などがある。
【0089】
また、これらに該当するものとして、例えば、特開2003−150748号公報には、セキュリティポリシーと、情報システムに関する情報とを所定のアプリケーションプログラミングインターフェースに基づきリスク評価用のデータ形式に変換し、変換後のセキュリティポリシー及び情報システムに関する情報に基づきリスク評価を実行し、リスク評価の結果に基づき適宜管理策が選択され、選択された管理策によってセキュリティポリシー等に変更を加えて管理策データとする技術が開示されている。このとき、管理策データを用いてセキュリティのシミュレーションを実行することで、リスク評価の結果をセキュリティポリシーの構築に反映することができる。
【0090】
このように、セキュリティレベルやリスクを定量化する手法やツールはいくつか存在するが、これらはいずれも企業の経営的視点でセキュリティ管理が行えるようなレベルには至っていない。例えば、リスク分析ツールやSIMなどは、部分的な機能しか提供しておらず、また、セキュリティレベルの把握はあくまで現状を定量化して把握するに止まり、現状のセキュリティレベルに基づく将来の目標設定や、目標を達成するために実施すべき施策の決定を支援するといったことまでは十分にできていない。また、セキュリティレベルを企業における複数の拠点や部署(階層)毎に把握・管理するということもできていない。
【0091】
特に、大規模組織では、PCやサーバなどの管理対象の資産が多く、また、拠点や部署、グループ企業などの管理対象の組織も多岐にわたるため、セキュリティ管理業務は煩雑となり運営は非常に困難である。また、部署毎の対策レベルの現状把握が難しく、部署毎での対策レベルの差も大きいため、全体最適を実現することも困難である。例えば、ISMS認証を大規模組織で取得するのは非常に困難であり、実際は部署/拠点単位で取得するケースがほとんどである。
【0092】
また、セキュリティレベルを定量化する従来の手法やツールでは、利用に際して高度な専門的知識が必要であるため、企業等の組織体においては、セキュリティレベルの定量化による評価はセキュリティ管理部門など一定のスキルを持った特定の部署が全部署の評価を一括して肩代わりして行っているのが実情である。その結果、現場の各部署(ユーザ部門)にとってはセキュリティ管理が他人事となってしまい、セキュリティ意識をユーザ部門に広く浸透させるのが困難になっている。
【0093】
これらの課題を実効的に解決するには、セキュリティ管理「業務」をシステム化することが必要である。ここでの「業務」には、例えば、情報資産の洗い出しや分類、現状のセキュリティ対策状況の把握、リスク分析、セキュリティ対策(リスク対応)の目標設定と対策状況の管理など種々のものがある。これらの中には、例えば、情報資産の洗い出しや重要度設定による分類など、ユーザ部門で実施すべき、またはユーザ部門の協力が必要な作業は多く、また、実際のセキュリティ対策自体についてもユーザ部門で実施すべき対策は多い。
【0094】
従って、特に、大規模組織においては、ユーザ部門が主体的にセキュリティ対策やセキュリティリスクについて現状を把握し、目標設定・管理を行ってセキュリティ管理業務の運営に関与できるようにすることは、企業において効率的・効果的なセキュリティ管理を実現するうえで非常に重要である。
【0095】
そこで本実施の形態のセキュリティ管理支援システムは、企業等の組織において、セキュリティ管理の対象となる情報資産に関する情報を各部署によって管理することを可能とし、また、当該情報資産についてのセキュリティ対策状況やリスクを部署毎に定量化して、各部署における現状把握と目標設定・管理を行うことを目的とするものである。
【0096】
すなわち、本実施の形態のセキュリティ管理支援システムは、企業等の組織体におけるセキュリティ管理「業務」をシステム化するものであり、この機能としては、例えば、部署毎に保護すべき情報資産についての情報をデータベース化して管理し、セキュリティ管理部門等ではなく現場(ユーザ部門)の担当者が情報を入力・更新することで分散管理する資産管理機能や、現状のセキュリティレベルやリスクレベルを定量化して部署別、対策ジャンル別など種々の切り口で把握する現状分析機能を有するものである。
【0097】
また、現状のセキュリティレベルやリスクレベルに基づく将来の目標レベルの決定や、目標レベルを達成するために実施すべき施策の決定を支援する目標管理機能などを有し、さらに、従業員に対するセキュリティ対策についての具体的な施策である管理策の実施等の各種指示や、上長による承認等の一連の業務をワークフローやタスクとして管理する業務処理機能を有する。
【0098】
ここで、企業等の組織体におけるセキュリティ管理業務は、その特性上、セキュリティ対策についての管理策の実施を全社もしくは一部の部署における組織階層全体に徹底させ、その実施状況をトラッキングすることによってセキュリティレベルやセキュリティリスクを分析・管理するというものが主である。
【0099】
従って、本実施の形態のセキュリティ管理支援システムは、このような上位部署からトップダウンで指示・展開される管理策の実施をタスクとして管理するため、上述の業務処理機能の部分に実施の形態1で示したタスク管理システムの機能を適用している。これにより、タスクを階層構造で管理し、組織の階層構造に基づいたタスク(管理策)の指示・展開や、組織の階層構造に応じた形での実施率の算出等の実施状況の管理を行うことが可能となり、セキュリティレベルやリスクレベルの定量化に資することができる。
【0100】
[システム構成]
図16は、本発明の実施の形態2であるセキュリティ管理支援システムの構成例の概要を示す図である。セキュリティ管理支援システム5は、例えば、セキュリティ管理支援サーバ500と、セキュリティ管理支援サーバ500にネットワーク経由で接続されたおよびクライアント端末400から構成される。また、後述するセキュリティ管理ツールサーバ300とネットワーク経由で連携してもよい。
【0101】
セキュリティ管理支援サーバ500は、コンピュータシステムからなるサーバ機器によって構成され、例えば、現状分析部510、目標管理部520、業務処理部530、資産管理部540、管理部550などを有する。これら各部はソフトウェアプログラムとして実装され、例えば、セキュリティ管理支援サーバ500上の図示しないWebサーバプログラムと連携して、クライアント端末400からの処理要求を受けて所定の処理を行い、クライアント端末400に対して処理結果の画面を提示したり、また、日次等のバッチ処理により所定の処理を行ったりする。
【0102】
現状分析部510は、部署毎に保持する資産に対する管理策(セキュリティ対策についての具体的な施策)の実施状況についての診断結果を後述するデータベースに登録し、また、データベースに登録された診断結果に基づいて、各部署における現状のセキュリティレベルもしくはリスクレベルを管理対象のセキュリティ基準に基づいて採点し、部署別、対策ジャンル(管理策カテゴリ)別など種々の切り口(集計方法)で集計した結果をクライアント端末400に表示する現状分析機能を実現する。
【0103】
現状分析部510は、例えば、セキュリティレベル診断部511、リスク分析部512、詳細分析部513の各部から構成される。セキュリティレベル診断部511は、いわゆるベースラインアプローチによりセキュリティ対策状況(セキュリティレベル)を定量化する機能を有する。リスク分析部512は、いわゆるリスクベースアプローチによりセキュリティリスク(リスクレベル)を定量化する機能を有する。詳細分析部513は、部署別、管理策カテゴリ別、セキュリティ基準別などの種々の切り口からセキュリティレベルやリスクレベルを集計することで現状を分析し、分析結果をユーザに提示する機能を有する。
【0104】
目標管理部520は、部署毎の現状のセキュリティレベルやリスクレベルに基づく将来の目標レベルの決定や、目標レベルを達成するために実施すべき施策の決定を支援し、その結果ユーザによって当該部署に対して指定された、セキュリティレベルもしくはリスクレベルの目標レベルとその達成時期および実施すべき施策を後述するデータベースに登録または更新する目標管理機能を実現する。
【0105】
目標管理部520は、例えば、目標設定部521、計画策定部522、予実管理部523の各部から構成される。目標設定部521は、ユーザがセキュリティレベルもしくはリスクレベルの目標値を指定し、その達成期限と合わせて目標レベルとして設定・登録するための機能を有する。計画策定部522は、目標設定部521によって設定された目標レベルを達成するために必要な管理策をユーザが指定するための機能を有する。予実管理部523は、目標設定部521によって設定された目標レベルとその達成度をユーザが確認するための機能を提供する。
【0106】
業務処理部530は、従業員に対する管理策の実施等の各種指示や、上長による承認等の一連の業務をワークフローやタスクとして管理する業務処理機能を実現する。また、セキュリティ管理支援システム5にて蓄積・管理されている情報に基づいて、例えば内部監査等で必要となる項目を抽出したり、内部監査の結果を管理したりといった機能を有していてもよい。
【0107】
本実施の形態のセキュリティ管理支援システム5では、管理策の実施といった上位部署からトップダウンで指示・展開される業務をタスクとして管理するため、業務処理部530に実施の形態1のタスク管理システム1におけるタスク実施管理部110および実施状況管理部120の機能を適用している。ここで、管理策は、上述したように部署毎に保持する資産に対する具体的な施策(作業)であり、これを実施の形態1で説明したタスクとして管理するためには、例えば、対象の資産の管理者(PCの場合は各所有者、サーバ機器の場合はサーバ管理者など)に対して管理策の実施というタスクの指示を行うことになる。
【0108】
資産管理部540は、保護すべき情報資産(機密情報およびこれを保持するファイルサーバ、PCなどの機器等)についての情報をデータベース化して管理し、セキュリティ管理部門等ではなく現場(ユーザ部門)の担当者が情報を入力・更新することで分散管理する資産管理機能を実現する。
【0109】
また、管理部550は、セキュリティ管理支援システム5を利用するユーザや部署、その他のシステム的な情報などを管理する機能を実現する。さらに、ユーザのログイン時の認証なども行う。すなわち、実施の形態1のタスク管理システムにおける管理部130の機能を包含している。なお、上記各部の構成はあくまで一例であり、さらに上記以外の各部を有していてもよいし、また、上記各部の一部または全部がまとめられていたり、さらに細かく分けられたりしていてもよい。
【0110】
セキュリティ管理支援サーバ500は、さらに、ユーザ・部署DB210、資産DB220、管理策DB230、計画策定DB240、診断DB250の各データベースに加えて、実施の形態1のタスク管理システム1におけるタスクDB260、タスク進捗DB270の各データベースを有する。
【0111】
ユーザ・部署DB210は、管理部550によって登録された、セキュリティ管理支援システム5を利用する企業等のユーザや部署およびその階層等の情報を保持する。このデータベースは、実施の形態1のタスク管理システム1におけるユーザ・部署DB210と同等のものである。資産DB220は、資産管理部540によって登録された、情報資産に関する情報(重要度や管理者などを含む)を保持する。
【0112】
管理策DB230は、管理部550によって予め登録された、セキュリティ対策における管理策および対応するセキュリティ基準の情報等を保持する。計画策定DB240は、目標管理部520によって登録された、部署毎の目標レベルとこれを達成するための管理策の情報等を保持する。診断DB250は、現状分析部510等によって登録された、資産毎の管理策の実施状況についての診断結果、およびこれに基づいて現状分析部510によって作成された種々の切り口の現状分析用のサマリーを保持する。
【0113】
なお、これら各データベースは、セキュリティ管理支援サーバ500が直接保持する構成でもよいし、別のデータベースサーバ等に保持してネットワーク経由でアクセスする構成としてもよい。これら各データベースの詳細については後述する。
【0114】
セキュリティ管理ツールサーバ300は、一般的なセキュリティ管理製品やツール等、もしくは既存の社内システム等(以下では総称して「セキュリティ管理ツール」という場合がある)のサーバであり、管理対象の情報資産(特にPC)毎のセキュリティ関連の設定情報(すなわち管理策の実施状況)などを保持するサーバである。これらのセキュリティ管理ツールは、一般的に、資産管理対象のPCに導入されたプログラムによってセキュリティ関連の設定情報等を自動判別して取得し、ネットワーク経由でセキュリティ管理ツールサーバ300に送信することで、セキュリティ管理ツールサーバ300上で一元管理するものである。
【0115】
セキュリティ管理支援サーバ500の現状分析部510は、セキュリティ管理ツールサーバ300と連携して、セキュリティ管理ツールサーバ300によって収集され一元管理されている資産管理対象のPCの設定情報等を抽出し、フォーマット変換等によって診断DB250に取り込むことが可能である。これにより、情報資産の登録に係る作業を大きく軽減することができる。なお、セキュリティ管理ツールサーバ300は、連携するセキュリティ管理ツールに応じて複数種類有していてもよいし、全ての情報資産を手動で登録する場合は有していなくてもよい。また、図16に示すような独立したサーバ機器ではなく、例えば、セキュリティ管理支援サーバ500上にその機能を有していてもよい。
【0116】
クライアント端末400は、ユーザ(セキュリティ管理部門の担当者や各部署の担当者など)に対してセキュリティ管理支援サーバ500の各機能を利用するためのユーザインタフェースを提供する機器であり、PCや携帯端末などにより構成される。例えば図示しないWebブラウザを有し、セキュリティ管理支援サーバ500上の図示しないWebサーバプログラムとネットワーク経由により連携して、上記機能を実行するための指示を行ったり、実行結果の画面をユーザに提示したりする。
【0117】
[処理の流れ]
図17は、セキュリティ管理支援システム5を利用したセキュリティ管理業務の流れの概要を示した図である。まず、セキュリティ管理支援サーバ500の現状分析部510の機能を利用して、自部署および下位部署についてのセキュリティ対策状況およびセキュリティリスクの現状レベルを分析する(S401)。
【0118】
次に、目標管理部520の機能を利用して、各部署の担当者は、自部署および下位部署(下位部署が存在する場合)の目標レベルを設定する(S402)。このとき、一般的には例えば、所定の期限までに所定のセキュリティ基準(例えばISMS認証基準やいわゆる日本版SOX法(金融商品取引法)対応など)を達成することを目標として、目標レベルを数値設定する。自部署の目標レベルを設定する際に、上位部署によって目標レベルが設定されている場合には、それを下回らない(目標を達成できる)ような目標設定とする。さらに、設定された目標レベルに対して、これを達成できるように実施すべき管理策と実施期限を設定する。
【0119】
次に、各部署において設定された管理策を具体的に実施する(S403)。その後、各部署が自部署における管理策の実施状況の自己点検を行う、あるいは独立したセキュリティ監査部門が各部署における管理策の実施状況の内部監査を行い、現状分析部510の機能を利用してセキュリティ管理支援システム5に診断結果を登録・更新する(S404)。ステップS403の実施とステップS404の自己点検/内部監査を随時繰り返し、ステップS401の現状分析に戻る。このようないわゆるPDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを、例えば四半期毎に繰り返すことによってセキュリティ管理業務を運営する。なお、上記各ステップでの処理例については後述する。
【0120】
[データベース構成]
図18は、資産DB220のテーブルの構成例を示した図である。資産DB220は、セキュリティ管理の対象である情報資産に関する情報等を保持するデータベースであり、例えば、資産種別テーブル221、資産テーブル222、資産種別格納情報テーブル223、情報テーブル224、システム格納情報225のテーブルから構成される。
【0121】
資産種別テーブル221は、例えば、資産種別ID、資産種別名、資産区分などの資産の種別に関する項目を有する。資産種別は、例えば、「デスクトップPC」、「ノートPC」、「携帯端末」、「記録媒体」、「机/キャビネット」、「業務系システム」、「OA系システム」、「ネットワーク」、「組織」などの管理対象資産の小分類区分である。また、資産区分は、例えば、「PC」、「携帯端末」、「記録媒体」、「机/キャビネット」、「システム」、「ネットワーク」、「組織」などの管理対象資産の大分類区分である。
【0122】
資産テーブル222は、例えば、資産ID、管理部署ID、資産種別ID、資産名、管理者ID、利用者ID、保管場所、金額、製品名、シリアル番号、セキュリティ管理ツールキー番号などの各資産(実物資産)の属性に関する項目を有する。セキュリティ管理ツールキー番号の項目は、対象の資産がセキュリティ管理ツールサーバ300によって設定情報等を自動収集することができる資産である場合に、その情報を特定するためのキー情報を保持する項目である。
【0123】
情報テーブル224は、例えば、情報ID、管理部署ID、情報名、情報区分、管理者ID、資産価値区分(機密性、完全性、可用性)、資産価値金額(機密性、完全性、可用性)、個人情報属性、現利用者などの企業で保持している各情報の属性に関する項目を有する。情報区分は、例えば、「自社個人情報」、「顧客個人情報」、「自社重要情報(戦略情報、財務情報等)」、「自社非重要情報(その他の文書、記録等)」などの情報の分類区分である。
【0124】
また、資産価値区分は、情報資産についての一般的なリスクの評価観点である機密性(C:Confidentiality)、完全性(I:Integrity)、可用性(A:Availability)の観点から、例えば1〜3などの数値により資産価値(当該情報の重要度)を評価したものである。また、資産価値金額は、上記の資産価値を機密性、完全性、可用性の観点から金額で評価したものである。本実施の形態では、情報のリスクの高さを資産価値区分で評価することもできるし、資産価値金額で評価することもできる。これらの資産価値の情報は、例えば、各部署セキュリティ管理者などが入力する。
【0125】
資産種別格納情報テーブル223は、例えば、情報ID、資産種別IDなどの項目を有し、各情報が属する(格納されている)資産種別の情報を保持する。一つの情報が複数の資産種別に属する場合もある。また、システム格納情報テーブル225は、例えば、情報ID、資産IDなどの項目を有し、各情報がシステムに属する(格納されている)場合に、そのシステム(資産)との対応を保持する。
【0126】
すなわち、各情報資産のリスクを評価するために、本実施の形態のセキュリティ管理支援システム5では、基本的に情報と資産(現物)とを直接紐付けるのではなく、情報と資産種別とを紐付け、資産種別単位で紐付けられた情報の資産価値(重要度)に基づいてリスクを評価する。資産(現物)単位で紐付けられた情報の資産価値に基づいてリスクを評価するほうが精緻なリスク評価が可能であるが、大規模組織で資産(現物)単位で管理を行うことは多大な労力を要する。一方、資産種別単位で紐付けられた情報の資産価値に基づいてリスクを評価した場合、簡便にリスク評価をすることが可能であり、かつ実用上支障のない精度の結果を得ることができる。
【0127】
なお、資産区分が「システム」の資産については、資産の数が一般のPC等と比べて少なく、また保持している情報がシステムの種類に応じて特性があり、データ量も多いことから、例外的に資産(現物のシステム)と情報との紐付けを行い、資産単位でリスクの評価を行う。また、資産区分(資産種別)が「ネットワーク」や「組織」の資産については、情報を保持していないものとして、情報との紐付けは行わない。すなわち、情報の資産価値に基づいたリスクの評価は行わない。また、資産区分(資産種別)が「机/キャビネット」に該当する資産であっても、オフィスやデータセンター、倉庫などについては、情報との紐付けは行わないが、重要度の高い情報が必ず含まれているものとして取り扱う。
【0128】
これらの資産DB220の各テーブルの情報は、例えば、各部署セキュリティ管理者等によって、資産管理部540により登録され、また更新などの管理が行われる。
【0129】
図19は、管理策DB230のテーブルの構成例を示した図である。管理策DB230は、管理策および管理策が含まれるセキュリティ基準の情報等を保持するデータベースであり、例えば、セキュリティ基準テーブル231、管理策セキュリティ基準テーブル232、管理策テーブル233、リスク内容テーブル234、管理策リスク内容テーブル235、管理策実行部署テーブル236、管理策実行パターンテーブル237のテーブルから構成される。
【0130】
セキュリティ基準テーブル231は、例えば、セキュリティ基準ID、セキュリティ基準名などの項目を有し、セキュリティレベルを定量化(採点)する際のベースとし、管理目標とすることができるセキュリティ基準の情報を保持する。セキュリティ基準は、例えば、ISMS認証(ISO/IEC27001)、FISC(The Center for Financial Industry Information Systems)安全対策基準、日本版SOX法、自社のセキュリティポリシーなどである。
【0131】
管理策テーブル233は、例えば、管理策ID、管理策名、管理策内容、管理策カテゴリ、判定手段、質問文、対応有無(機密性、完全性、可用性)などの項目を有し、セキュリティ管理における個別の対策の内容を保持する。管理策カテゴリは、管理策の内容を分類するものであり、例えば、「セキュア設定」、「アクセス管理」、「電子商取引管理」、「パスワード管理」、「外部委託先管理」、「監視」などに各管理策を分類する。
【0132】
判定手段は、当該管理策が実施されているか否かの判定をユーザが行い手動で結果を入力するもの(「手動」)であるか、手動入力であっても外部・内部監査によって判定するもの(「手動(監査)」)であるか、セキュリティ管理ツールによる自動判定であるか(「自動」)を示す情報である。これにより、当該管理策の実施状況についての診断の実施(判定)もしくは診断結果の登録のいずれかがユーザ以外によって行われるものとそうでないもの、すなわち、判定結果が第三者判定によるもの(「手動(監査)」もしくは「自動」)であるか、自己判定によるもの(「手動」)であるかを識別することができる。
【0133】
また、質問文は、当該管理策の具体的な内容に相当し、当該管理策が実施できているか否かを判定するためのユーザに対する質問文(例えば「パスワードは××文字以上であるか?」など)の形式で保持される。また、対応有無の項目は、当該管理策が機密性、完全性、可用性のそれぞれの観点に対応するものであるか否かを示すフラグである。
【0134】
リスク内容テーブル234は、例えば、リスク内容ID、リスク内容、優先度などの項目を有し、想定されるリスクの内容毎にその優先度を保持する。管理策セキュリティ基準テーブル232は、例えば、管理策ID、セキュリティ基準ID、基準重み付け、文書名、条項番号などの項目を有し、セキュリティ基準の内容に含まれる管理策の情報を保持する。一つの管理策が複数のセキュリティ基準で共通に含まれる場合もある。基準重み付けの項目は、当該管理策について含まれるセキュリティ基準が異なることによる重み付け値である。また、文書名、条項番号の項目は、当該管理策がセキュリティ基準のどの部分に該当するものかを特定する情報である。
【0135】
また、管理策リスク内容テーブル235は、例えば、管理策ID、リスク内容IDなどの項目を有し、管理策に該当するリスク内容の情報を保持する。また、管理策実行部署テーブル236は、例えば、管理策ID、実行部署IDなどの項目を有し、当該管理策を実行する部署の情報を保持する。また、管理策実行パターンテーブル237は、例えば、管理策ID、資産種別ID、資産種別重み付け、管理策実行単価などの項目を有し、当該管理策がどの資産種別に適用されるか、およびその場合のインパクトの情報を保持する。資産種別重み付けの項目は、当該管理策が適用される資産種別が異なることによる重み付け値である。また、管理策実行単価の項目は、当該管理策を対象の資産種別に対して実施した場合の概算のコストであり、後述する計画策定の際のシミュレーションに用いる。
【0136】
これらの管理策DB230の各テーブルの情報は、例えば、システム管理者等によって、管理部550により予め登録され、また更新などの管理が行われる。
【0137】
図20は、計画策定DB240のテーブルの構成例を示した図である。計画策定DB240は、部署毎の目標レベルとこれを達成するための管理策の情報等を保持するデータベースであり、例えば、目標設定テーブル241、リスク目標設定テーブル242、計画策定明細テーブル243、システム計画策定明細テーブル244のテーブルから構成される。
【0138】
目標設定テーブル241は、例えば、部署ID、作成基準年月、目標達成年月、自部署設定目標セキュリティレベル、上位部署設定目標セキュリティレベルなどの項目を有し、自部署および上位部署から設定された目標セキュリティレベル(ベースラインアプローチ)と達成期限の情報を保持する。同様に、リスク目標設定テーブル242は、例えば、部署ID、作成基準年月、目標達成年月、自部署設定目標リスクレベル、上位部署設定目標リスクレベルなどの項目を有し、自部署および上位部署から設定された目標リスクレベル(リスクベースアプローチ)と達成期限の情報を保持する。
【0139】
計画策定明細テーブル243は、例えば、部署ID、資産種別ID、管理策ID、作成基準年月、目標達成年月、計画設定区分などの項目を有し、部署毎の資産種別単位(資産区分がシステムのものは含まない)での実施すべき管理策の内容と達成期限の情報を保持する。また、システム計画策定明細テーブル244は、例えば、部署ID、資産ID、管理策ID、作成基準年月、目標達成年月、計画設定区分などの項目を有し、部署毎の資産単位(資産区分がシステムのもののみ)での実施すべき管理策の内容と達成期限の情報を保持する。
【0140】
すなわち、本実施の形態のセキュリティ管理支援システム5では、実施すべき管理策の設定単位は基本的に資産(現物)ではなく資産種別である。資産(現物)単位で実施すべき管理策を設定し管理するほうが精緻なセキュリティレベルの評価が可能であるが、大規模組織で資産単位で管理を行うことは多大な労力を要するからである。なお、資産区分が「システム」のものについては、上述したとおり、資産種別単位ではなく資産(システム)単位で実施すべき管理策の設定を行う。計画策定明細テーブル243およびシステム計画策定明細テーブル244における計画設定区分の項目は、当該管理策が実施対象として選択されているか否かを示すフラグである。
【0141】
これらの計画策定DB240の各テーブルの情報は、後述する目標管理部520の予実管理部523による経年予実比較や計画策定部522によるシミュレーションの際などに用いるため、更新された場合には以前のレコードを履歴レコードとして保持する。また、これらの各テーブルの情報は、例えば、各部署の担当者等によって、目標管理部520により登録され、また更新などの管理が行われる。
【0142】
図21は、診断DB250のテーブルの構成例を示した図である。診断DB250は、資産毎のセキュリティ対策状況やセキュリティリスク、およびこれに基づいて作成された種々の切り口の現状分析用のサマリーを保持するデータベースであり、例えば、診断明細テーブル251から構成される。
【0143】
診断明細テーブル251は、例えば、資産ID、管理策ID、部署ID、判定結果、判定手段、判定結果更新日時などの項目を有し、部署毎の各資産単位での管理策の実施状況の判定結果の情報を入力・保持する。判定結果の項目は、例えば、○(実施済み)、×(未実施)、N/A(非該当)などで表される。診断明細テーブル251の情報は、判定手段の項目が「手動」もしくは「手動(監査)」の資産については、例えば、各部署の担当者等によって、現状分析部510により登録・更新される。また、判定手段の項目が「自動」の資産については、セキュリティ管理ツールサーバ300から取得した情報によって自動的に判定結果が登録・更新される。
【0144】
本実施の形態のセキュリティ管理支援システム5では、管理策の実施状況の判定結果は資産(現物)単位で入力し管理するが、大規模組織で資産単位で入力・管理を行うことは多大な労力を要するため、上述したようにセキュリティ管理ツールサーバ300から情報を取得して自動登録したり、後述するように、資産種別単位で一括して入力できるようにしたりして作業負荷を軽減している。なお、この診断明細テーブル251の情報は、後述する目標管理部520の予実管理部523による経年予実比較の際などに用いるため、更新された場合には以前のレコードを履歴レコードとして保持する。
【0145】
詳細は後述するが、ベースラインアプローチでのセキュリティレベルの採点は、例えば、管理策の総数に対する実施数の割合に重み付けをして行う。また、リスクベースアプローチでのリスクレベルの採点は、例えば、ベースラインアプローチでのセキュリティレベルの採点結果に対してさらに資産価値に基づくリスク係数を考慮して行う。なお、以上に示した各DBの構成は一例であり、他のDBやテーブル、項目を有していてもよい。
【0146】
[現状分析]
以下、図17におけるセキュリティ対策およびセキュリティリスクの現状レベルの分析(S401)での処理内容について説明する。ユーザがクライアント端末400から図示しないメイン画面等を介してセキュリティレベルの現状分析を行うよう要求すると、セキュリティ管理支援サーバ500の現状分析部510は、各DBの内容を参照して、例えば図22に示すような、現状のセキュリティレベルの診断結果を表示するセキュリティ診断画面を生成してクライアント端末400上に表示する。
【0147】
図22の例では、指定された部署について、指定された管理策カテゴリに属する各管理策についての実施状況に基づいて、指定されたセキュリティ基準毎にセキュリティレベルおよびリスクレベルを採点し、その結果を表示している。
【0148】
セキュリティレベルについては、現状分析部510のセキュリティレベル診断部511により、ベースラインアプローチによって採点を行う。各部署が保持する資産(資産テーブル222)の資産種別について、対象のセキュリティ基準によって割り当てられている各管理策(管理策実行パターンテーブル237)についての実施状況の判定結果(診断明細テーブル251)に基づいて、資産単位でのセキュリティレベルは、
セキュリティレベル=
Σ(重み付け値×判定結果○(実施済み)の管理策)×100
÷Σ(重み付け値×判定結果N/Aではない管理策) …式(2)
の式によって算出する。
【0149】
ここで、重み付け値は、例えば、管理策セキュリティ基準テーブル232の基準重み付け値と、管理策実行パターンテーブル237の資産種別重み付け値とを乗算したものであり、判定結果は診断明細テーブル251の判定結果である。また、ここで判定結果○(実施済み)とは、対象の管理策の実施指示に係るタスクが対象の部署(におけるタスクの指示者)において実施の形態1の図12、図15で示した下比較での実施率が100%となっていることを表す。
【0150】
また、Σは対象の資産について割り当てられている全ての管理策について合計することを示す。すなわち、対象の資産について割り当てられている管理策の総数と、そのうちの実施済み(判定結果○)の管理策の数との割合を重み付けして算出したものである。なお、ここでのセキュリティレベルは数値が高いほど良いことを示す。
【0151】
図22の例は、セキュリティレベルを部署単位で採点(集計)したものであり、式(2)による計算を、対象の部署が保持する全ての資産に割り当てられている管理策に対して行ったものである。対象の部署が階層の末端(現場)の部署ではない場合は、当該部署の直近の下位部署のセキュリティレベルを平均したものを用いてもよい。
【0152】
また、リスクレベルについては、現状分析部510のリスク分析部512により、リスクベースアプローチによって採点を行う。例えば、各部署が保持する資産の資産種別に保持される情報(情報テーブル224)から求められるリスク係数、および式(2)で算出したセキュリティレベルに基づいて、
リスクレベル=リスク係数×(100−セキュリティレベル) …式(3)
の式によって算出する。
【0153】
ここで、リスク係数は当該部署が保持する資産に保持される情報の資産価値に基づいて算出される情報のリスクの高さを示す係数であり、例えば、当該部署が保持する資産に保持される情報の情報テーブル224における資産価値区分(機密性、完全性、可用性)のそれぞれの最大値を用いる。これにより、機密性、完全性、可用性の区分毎にリスクレベルを算出する。なお、ここでのリスクレベルは数値が低いほど良いことを示す。
【0154】
本実施の形態のセキュリティ管理支援システム5では、リスク係数を情報テーブル224の資産価値区分に基づいて算出しているが、上述したように情報テーブル224の資産価値金額(機密性、完全性、可用性)の値を用いてもよいし、他のリスク評価のための指標を用いてもよい。また、本実施の形態のセキュリティ管理支援システム5では、セキュリティレベル、およびリスクレベルを上記の式(2)、式(3)を用いて比較的簡易な方法で採点しているが、他の採点方法であってもよいし、セキュリティ基準毎に異なる採点方法であってもよい。
【0155】
採点されたセキュリティレベルについては、図22に示すように、例えば、得点とともに最大幅を100%としたゲージによって表示する。また、リスクレベルについては機密性、完全性、可用性の区分毎に得点を表示する。さらに、第三者判定割合として、対象の管理策のうち第三者判定によるものの割合をゲージとともに表示する。第三者判定割合については、上述したように、例えば診断明細テーブル251の判定結果の項目が「手動(監査)」もしくは「自動」のものを第三者判定によるものとして、その数の管理策の総数に対する割合として求める。この第三者判定割合が高いものは診断結果の信頼性が高いものと判断することができる。
【0156】
図22のセキュリティ診断画面によってセキュリティ基準毎のセキュリティレベルの診断結果を参照したユーザは、さらに、例えば画面右のプルダウンメニューおよび「分析」ボタンでの操作により、対象のセキュリティ基準について種々の切り口(集計方法)での詳細分析を行うことができる。詳細分析の要求を受けたセキュリティ管理支援サーバ500は、現状分析部510の詳細分析部513により診断明細テーブル251を参照して詳細分析を行い、その結果をクライアント端末400に表示する。
【0157】
例えば、図23は、現状のセキュリティレベルの診断結果を部署毎に比較して表示する部署比較画面の例を示した図である。図23の例では、指定された部署について、その直近の下位部署毎に、指定された管理策カテゴリでのセキュリティレベルを集計し、その結果をグラフとして表示している。これにより、部署間でのセキュリティレベルの差異を把握することができる。この比較は、上位部署が各下位部署のセキュリティ対策の実施状況を把握するのに用いるとともに、下位部署が同一系列の他部署との間で実施状況を比較するのにも用いることができる。
【0158】
また、図24は、現状のセキュリティレベルの診断結果を管理策カテゴリ毎に比較して表示するレーダーチャート画面の例を示した図である。図24の例では、指定された部署について、管理策カテゴリ毎にセキュリティレベルを集計し、レーダーチャートの形式で表示している。これにより、管理策カテゴリ間でのセキュリティ対策の実施状況の差異(強み・弱み)を把握することができる。
【0159】
また、図25は、当該部署における管理策の実施状況についての計画と実績を対比(予実管理)する情報として、後述する目標設定の処理により設定された目標セキュリティレベル(将来および過去の設定履歴)の値とこれまでのセキュリティレベル(過去の診断履歴)の値とを比較して表示する経年予実比較画面の例を示した図である。図25の例では、指定された部署について、設定されたセキュリティレベルの期単位での目標値および実績値を集計し、目標値と実績値とを過去3期、当期、将来3期にわたってグラフ表示している。これにより、設定した目標のセキュリティレベルに対する達成状況を把握することができる。なお、ここでの処理は目標管理部520の予実管理部523によって行われる。
【0160】
また、図26は、現状のセキュリティレベルの診断結果を管理策毎に詳細に表示する診断明細照会画面の例を示した図である。図26の例では、指定された部署について、指定された資産種別および管理策カテゴリに該当する管理策毎の診断結果(判定結果)を実施率に基づいて集計し、表示している。ここでは、例として、「本部」を対象として、「デスクトップPC」についての「管理策1、2、3、…」の実施を配下の各課(「営業1課
、2課、…」の担当者にタスクとして指示し、その実施状況に基づいて集計された現状のセキュリティレベルの診断結果を表示している。
【0161】
下段の診断結果の表における実施率は、「本部」を対象として、対象の各管理策について実施の形態1の図12、図15で示した下比較によって算出した実施率であり、これが100%となっている場合には判定結果が○となる。
【0162】
なお、下段の診断結果の表において、判定手段が「自動」の管理策については、上述したように、セキュリティ管理ツールサーバ300から判定結果を自動取得している。また、判定結果が「詳細設定」となっている管理策については、対象の資産毎に判定結果が異なる(「全て○」や「全て×」ではない)ことを示している。これについては、画面右の「詳細」ボタンを押下することにより、資産(機器)単位での診断結果の照会画面に遷移する。
【0163】
図27は、現状のセキュリティレベルの診断結果を資産毎に詳細に表示する診断明細照会(詳細)画面の例を示した図である。図27の例では、指定された部署、資産種別、管理策について、対応する資産(機器)毎に診断結果(判定結果)を診断明細テーブル251を参照して表示している。以上の図26、図27により、個別の管理策毎、資産毎に詳細にセキュリティ対策の実施状況を把握することができる。
【0164】
[目標設定]
以下、図17における自部署および下位部署の目標レベルの設定(ステップS402)での処理内容について説明する。ユーザがクライアント端末400から図示しないメイン画面等を介してセキュリティレベルの目標設定を行うよう要求すると、セキュリティ管理支援サーバ500の目標設定部521は、例えば図28に示すような、自部署のセキュリティレベルの目標を設定する自部署目標設定画面を生成してクライアント端末400上に表示する。
【0165】
図28の例では、指定された部署について、目標設定の対象のセキュリティ基準についてのこれまでのセキュリティレベルの目標設定値と実績の経年予実比較のグラフが表示されている。このグラフは上述した図25のものと同様であり、目標管理部520の予実管理部523により生成する。ユーザは、この経年予実比較のグラフを参照しながら、次期以降の自部署の目標のセキュリティレベルを設定することができる。
【0166】
自部署の目標値の設定に際しては、後述する下位部署目標設定画面により上位部署から設定された目標値についても目標設定テーブル241の上位部署設定目標セキュリティレベルもしくはリスク目標設定テーブル242の上位部署設定目標リスクレベルを参照して合わせて表示される。自部署の目標値として設定する値は、上位部署から設定された目標値より小さい値とすることはできないなどの制限を設けてもよい。
【0167】
設定した目標値は、目標設定部521により、目標設定テーブル241の自部署設定目標セキュリティレベルもしくはリスク目標設定テーブル242の自部署設定目標リスクレベルに登録される。このとき、自部署が保持する資産およびその資産種別と管理策実行パターンテーブル237の内容とに基づいて、計画策定明細テーブル243、およびシステム計画策定明細テーブル244のエントリ、すなわち自部署が保持する資産種別(資産区分が「システム」の場合は資産)に割り当てられた管理策のエントリを作成する。
【0168】
さらに、図28の自部署目標設定画面等から、図29に示すような下位部署のセキュリティレベルの目標を設定する下位部署目標設定画面に遷移することができる。図29の例では、指定された部署の直近の下位部署について、目標設定の対象のセキュリティ基準についての現状のセキュリティレベルのグラフが表示されている。このグラフは上述した図23のものと同様であり、現状分析部510の詳細分析部513により生成する。ユーザは、この各下位部署の現状のセキュリティレベルのグラフを参照しながら、次期以降の各下位部署の目標のセキュリティレベルを設定することができる。
【0169】
下位部署の目標値の設定に際しては、前述の自部署目標設定画面により設定した自部署の目標値についても目標設定テーブル241の自部署設定目標セキュリティレベルもしくはリスク目標設定テーブル242の自部署設定目標リスクレベルを参照して合わせて表示される。設定した目標値は、対象の下位部署についての目標設定テーブル241の上位部署設定目標セキュリティレベルもしくはリスク目標設定テーブル242の上位部署設定目標リスクレベルに登録される。このように、部署毎の目標設定を、部署の階層構造を考慮した形で行うことができる。
【0170】
さらに、各部署の担当者は、図28の自部署目標設定画面によって設定した自部署の目標値を達成するために実施すべき管理策およびその実施時期を、目標管理部520の計画策定部522により、図30に示すような計画策定画面によって決定することができる。図30の例では、指定された部署について、当該部署が保持する各資産種別について目標設定の対象であるセキュリティ基準によって割り当てられている管理策を、計画策定明細テーブル243およびシステム計画策定明細244から取得して計画明細として表示している。
【0171】
ここで、図中の表における優先度は、各計画明細の静的な優先度を示し、例えば、当該計画明細に対応する管理策についての管理策セキュリティ基準テーブル232の基準重み付けの値と、管理策実行パターンテーブル237の資産種別重み付けの値とを乗算したものとする。また、対象の管理策に係るタスクについて実施の形態1の図12、図15で示した下比較により算出した実施率が表示されている。すなわち、当該実施率は、当該計画明細に対応する管理策についての、対象の部署以下の組織における全資産の数と実施済みの資産の数との割合と等価である。
【0172】
また、管理策実行パターンテーブル237から取得した、各計画明細の管理策を実施する場合の概算単価、および未実施分の数量についても表示している。なお、図30の例では、上述した優先度の値に(1−実施率)の値を乗算した値の降順で各計画明細を並べ替えて表示している。これにより、優先度が高くかつ現時点で実施率の低い計画明細が表の上位に表示されるようにすることができる。
【0173】
このように表示された各計画明細に対して、ユーザは、当該部署での実施の要否とその完了目標時期を、例えばチェックボックスやプルダウンメニューを利用して選択する。ここで選択した内容は、計画策定明細テーブル243もしくはシステム計画策定明細テーブル244の計画設定区分および目標達成年月の項目に反映される。上述したように、本実施の形態のセキュリティ管理支援システム5では、実施すべき管理策の設定単位は基本的に資産ではなく資産種別である。資産単位で実施すべき管理策を設定し管理するほうが精緻なセキュリティレベルの評価が可能であるが、大規模組織で資産単位で管理を行うことは多大な労力を要するからである。
【0174】
なお、各計画明細についての実施の要否の設定は、対象の情報資産が各階層の部署に存在するため、基本的にはタスクを指示(再アサイン)された各階層の部署で個別に行う必要がある場合もあるが、例えば「セキュリティポリシーの策定」など、各部署で個別に行うのではなく、企業全体もしくは各事業部等の単位(上位部署)で実施すれば他の部署(下位部署)は実施の必要がないという管理策もある。このような管理策については、例えば、個別に管理策カテゴリを割り当てるなどして識別可能とし、上位部署で実施されるもしくは既にされている場合には下位部署では自動的に実施されるもしくは実施されたものとして処理してもよい。
【0175】
本実施の形態のセキュリティ管理支援システム5では、さらに、計画策定に際してどの計画明細を実施すれば効果的に目標のセキュリティレベルを達成できるのかを判断するために、シミュレーションの機能を有する。実施する計画明細と完了目標時期を設定して保存ボタンを押下すると、各時期に各計画明細が実施されたとした場合の達成セキュリティレベル(シミュレーション結果)と、実施に要する概算費用(実施費用総額)を算出し、各時期の当該部署の目標セキュリティレベルと合わせて下段の表に表示する。ここで、実施費用総額は、例えば、各計画明細について、各時期において実施されている場合にはその単価に数量を乗算した値を、実施されていない場合には零を、各計画明細について合算して算出する。
【0176】
このように、当該部署で保持する資産種別に応じて対象となる計画明細の一覧が提示され、さらに、シミュレーション結果を参照しながら実施する計画明細を設定することができるため、各部署の担当者が容易に目標達成のための計画を策定することができる。
【0177】
[自己点検/内部監査]
以下、図17における管理策の実施状況の自己点検/内部監査(S404)での処理内容について説明する。ユーザがクライアント端末400から図示しないメイン画面等を介して現在のセキュリティ対策状況についての自己点検を行うよう要求すると、セキュリティ管理支援サーバ500の現状分析部510は、例えば図31に示すような、自部署のセキュリティ対策の診断結果を入力する診断明細入力画面を生成してクライアント端末400上に表示する。
【0178】
図31の例では、上述の図12で示した診断明細照会画面と同様の画面から、指定された資産種別について管理策毎に実施率を参照して診断結果(判定結果)をプルダウンメニューで入力することができる。入力された結果は、診断明細テーブル251に反映される。なお、図30の例と同様に、対象の管理策に係るタスクについて実施の形態1の図12、図15で示した下比較により算出した実施率が表示されている。
【0179】
このように、資産単位ではなく、資産種別単位で管理策毎の診断結果を入力することで、ユーザの作業負荷を軽減することができる。一方、対象の管理策について全ての資産(機器)で判定結果が同じではなく混在する場合には、資産単位での診断結果を入力するため、画面右の「詳細」ボタンを押下することにより、資産単位での診断結果の入力画面に遷移することもできる。
【0180】
図32は、自部署のセキュリティ対策の診断結果を資産毎に入力する診断明細入力(詳細)画面の例を示した図である。図32の例では、上述の図27で示した診断明細照会(詳細)画面と同様の画面から、各資産(機器)について診断結果(判定結果)を個別にプルダウンメニューで入力することができる。入力された結果は、同様に診断明細テーブル251に反映される。なお、セキュリティ管理ツールサーバ300から判定結果を取得することが可能な資産(機器)については、自動で判定結果が診断明細テーブル251に反映されるため手動での入力は不要である。
【0181】
なお、セキュリティ監査部門が各部署における管理策の実施状況の内部監査を行う場合には、図31や図32の診断明細入力画面において、部署プルダウンメニューから監査対象の部署を選択したうえで、同様に診断結果(判定結果)を入力する。
【0182】
以上、図22〜図32を用いて本実施の形態のセキュリティ管理支援システム5での処理内容の概要について説明したが、図22〜図32で示した各種画面については、その種類や画面構成、入出力の項目や方法などのユーザインタフェースはあくまで一例であり、当然ながら他のユーザインタフェースであってもよい。
【0183】
以上に説明したように、本実施の形態のセキュリティ管理支援システム5によれば、各部署が保持する保護すべき情報資産に関する情報をデータベース上に体系的に保持・管理し、セキュリティ管理ツールとの連携や、資産種別単位でのセキュリティ対策状況の判定結果の入力および目標設定・管理を可能とすることにより、ユーザ部門が情報資産の管理を容易に行うことが可能となる。
【0184】
さらに、セキュリティレベルやリスクレベルを種々の切り口で簡易に定量化して提示することによって、部署の階層構造の中で各部署がセキュリティ対策状況の現状把握と目標設定・予実管理を容易に行うことが可能となる。このため、セキュリティ管理に要する負荷を企業内で分散して効率的・効果的なセキュリティ管理を行うことが可能となる。また、各階層の部署毎に、セキュリティ対策状況の現状や実施の成果を定量的に把握することができるため、ユーザ部門のセキュリティ対策に対する関心を高めるとともに、部署間の競争心理を高めてセキュリティ対策を推進する効果を得ることができる。
【0185】
また、管理策を実施する作業をタスクとし、実施の形態1に示したタスク管理システムの機能を適用することで、タスクを階層構造で管理し、タスクの作成、配下の部署・担当者への展開や、タスクの階層構造に基づいた形での実施率の算出等を容易に行うことが可能となる。
【0186】
これにより、例えば、タスク(管理策)カテゴリと、これに対応する管理策IDとを定義しておき、図17に示したPDCAサイクルの1診断周期におけるタスク(管理策)の実施率を、図30等に示すように診断結果の実施率に自動反映させるなどにより、タスク管理の機能を、セキュリティレベルおよびリスクレベルの定量化などを行うセキュリティ管理の機能に連携させることが可能となる。
【0187】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0188】
本発明は、企業等の組織体においてトップダウンで作業が指示されるタスクを管理するタスク管理システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0189】
1…タスク管理システム、5…セキュリティ管理支援システム、
100…タスク管理サーバ、110…タスク実施管理部、111…タスク操作部、112…タスク情報取得部、120…実施状況管理部、130…管理部、
210…ユーザ・部署DB、211…会社テーブル、212…部署テーブル、213…所属部署テーブル、214…担当ロールテーブル、215…ロールテーブル、216…ユーザテーブル、
220…資産DB、221…資産種別テーブル、222…資産テーブル、223…資産種別格納情報テーブル、224…情報テーブル、225…システム格納情報テーブル、
230…管理策DB、231…セキュリティ基準テーブル、232…管理策セキュリティ基準テーブル、233…管理策テーブル、234…リスク内容テーブル、235…管理策リスク内容テーブル、236…管理策実行部署テーブル、237…管理策実行パターンテーブル、
240…計画策定DB、241…目標設定テーブル、242…リスク目標設定テーブル、243…計画策定明細テーブル、244…システム計画策定明細テーブル、
250…診断DB、251…診断明細テーブル、
260…タスクDB、261…タスクテーブル、262…カテゴリテーブル、
270…タスク進捗DB、271…タスク進捗テーブル、272…ステータステーブル、
300…セキュリティ管理ツールサーバ、
400…クライアント端末、
500…セキュリティ管理支援サーバ、510…現状分析部、511…セキュリティレベル診断部、512…リスク分析部、513…詳細分析部、520…目標管理部、521…目標設定部、522…計画策定部、523…予実管理部、530…業務処理部、540…資産管理部、550…管理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
階層構造を有する複数の部署からなる組織体における、前記部署の階層構造の上位の担当者から配下の下位の担当者に対しての作業実施の指示であるタスクの情報を保持し、前記タスクの実施状況の管理を行うタスク管理サーバと、前記タスク管理サーバにネットワーク経由で接続するクライアント端末とからなるタスク管理システムであって、
前記タスク管理サーバは、
前記クライアント端末を介した前記各部署におけるユーザからの要求により、前記部署の階層構造における前記ユーザの配下の1または複数の担当者に対して指示する前記タスクを新たに作成し、前記タスクの指示を受けた各担当者の単位で前記タスクに係る作業の進捗率およびステータスの管理を行うタスク進捗を作成して、前記タスクおよび前記タスク進捗の情報をデータベースに登録し、また、前記クライアント端末を介した前記各部署におけるユーザからの要求により、前記データベースに登録された前記タスクおよび前記タスク進捗の内容を修正して更新するタスク操作部と、
前記クライアント端末を介した前記ユーザからの要求により、前記データベースに登録された1つ以上の前記タスク進捗のうち、前記ユーザに関連する前記タスク進捗の情報を取得して出力するタスク情報取得部と、
前記クライアント端末を介した前記ユーザからの要求により、前記ユーザに指示された前記タスクについての実施状況を算出して出力する実施状況管理部と、
当該タスク管理システムを利用する前記ユーザおよび前記部署とその階層構造の情報を前記データベースに保持して管理する管理部とを有することを特徴とするタスク管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載のタスク管理システムにおいて、
前記タスク操作部は、前記タスクを指示された前記ユーザからの要求により、指示された前記タスクの実行を、前記部署の階層構造における前記ユーザの配下の1または複数の担当者に対して再指示する子タスクを作成して、作成した前記子タスクおよび前記子タスクに係る前記タスク進捗の情報をそれらの階層構造の情報とともに前記データベースに登録することを特徴とするタスク管理システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のタスク管理システムにおいて、
前記タスク操作部は、前記クライアント端末を介した前記各部署におけるユーザからの要求により、前記タスクもしくは前記子タスクが新たに作成され、前記タスク進捗が前記データベースに新たに登録された際の前記タスク進捗の前記ステータスを未指示とし、
前記タスク進捗に係る作業が一部実行された旨の進捗率が指定された際に、前記タスク進捗の前記ステータスを未完了に更新し、
前記タスク進捗に係る前記タスクの実行が、前記部署の階層構造における前記ユーザの配下の1または複数の担当者に対して再指示された際に、前記タスク進捗の前記ステータスを指示済に更新し、
前記タスク進捗に係る作業が完了した旨が指定された際に、前記タスク進捗の前記ステータスを完了に更新することを特徴とするタスク管理システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のタスク管理システムにおいて、
前記実施状況管理部は、前記クライアント端末を介した前記ユーザからの要求により、前記ユーザに指示された前記タスクについての実施状況を算出する際に、前記ユーザに係る前記タスク進捗について、前記タスクの階層構造における自身を含む下位に属する全ての前記タスク進捗を対象として実施率を算出して出力することを特徴とするタスク管理システム。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のタスク管理システムにおいて、
前記実施状況管理部は、前記クライアント端末を介した前記ユーザからの要求により、前記ユーザに指示された前記タスクについての実施状況を算出する際に、前記タスクの指示を受けた各担当者に係る前記タスク進捗毎に、前記タスクの階層構造における自身を含む下位に属する全ての前記タスク進捗を対象とした実施率をそれぞれ算出して出力することを特徴とするタスク管理システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のタスク管理システムにおいて、
前記タスク情報取得部は、前記クライアント端末を介した前記ユーザからの要求により、前記データベースに登録された1つ以上の前記タスク進捗のうち、前記ユーザに関連する前記タスク進捗の情報を取得して出力する際に、前記ユーザが指示された前記タスクおよび前記ユーザが指示もしくは再指示した前記タスクにおける前記ユーザに係る前記タスク進捗の情報を取得して出力することを特徴とするタスク管理システム。
【請求項7】
1または複数の部署からなる組織体が保持する保護すべき情報資産についてのセキュリティレベルもしくはリスクレベルを評価して管理するセキュリティ管理支援サーバと、前記セキュリティ管理支援サーバにネットワーク経由で接続するクライアント端末とからなるセキュリティ管理支援システムであって、
前記セキュリティ管理支援サーバは、
前記クライアント端末を介した前記各部署におけるユーザからの要求により、前記部署毎に、前記部署が保持する資産についての情報を資産データベースに登録または更新する資産管理部と、
前記クライアント端末を介した前記各部署における前記ユーザからの要求により、前記部署毎に、前記部署が保持する前記資産に対する管理策の実施状況についての診断結果を診断データベースに登録し、また、前記クライアント端末を介した前記各部署における前記ユーザからの要求により、前記診断データベースの内容に基づいて、前記各部署における現状の前記セキュリティレベルもしくは前記リスクレベルを管理対象のセキュリティ基準に基づいて採点し、前記ユーザにより指定された集計方法で集計した結果を前記クライアント端末に表示する現状分析部と、
前記クライアント端末を介した前記各部署における前記ユーザからの要求により、前記部署に対して前記ユーザにより指定された、前記セキュリティレベルもしくは前記リスクレベルの目標レベルとその達成時期を計画策定データベースに登録または更新する目標管理部と、
請求項1〜6のいずれか1項に記載のタスク管理システムにおける、前記タスク操作部、前記タスク情報取得部、前記実施状況管理部、および前記管理部とを有することを特徴とするセキュリティ管理支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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