タッチスクリーン、タッチパネル及びそれを備える表示装置
【課題】タッチスクリーンにおいて、各引き出し配線、および各検出配線にかかる余分な寄生容量を同時に低減した技術を提供することを目的とする。
【解決手段】 この発明に係るタッチスクリーンは、ベース基板に、列方向に延在した複数の検出用列配線と行方向に延在した複数の検出用行配線とが立体的に交差する様に配設された検出エリアと、外部装置に対して電気的に接続可能に設けられた端子と、複数の検出用行配線および検出用列配線と端子とを電気的に接続する複数の引き出し配線と、を有するタッチスクリーンであって、複数の引き出し配線は互いに近接して引き回されて配置され、近接配置された複数の引き出し配線の最も外側の引き出し配線の更に外側に沿って設けられ、一端が端子と電気的に接続されたダミー引き出し配線を備え、さらに、検出エリアの外周は、引き出し配線またはダミー引き出し配線によって隣接して囲まれていることを特徴とする。
【解決手段】 この発明に係るタッチスクリーンは、ベース基板に、列方向に延在した複数の検出用列配線と行方向に延在した複数の検出用行配線とが立体的に交差する様に配設された検出エリアと、外部装置に対して電気的に接続可能に設けられた端子と、複数の検出用行配線および検出用列配線と端子とを電気的に接続する複数の引き出し配線と、を有するタッチスクリーンであって、複数の引き出し配線は互いに近接して引き回されて配置され、近接配置された複数の引き出し配線の最も外側の引き出し配線の更に外側に沿って設けられ、一端が端子と電気的に接続されたダミー引き出し配線を備え、さらに、検出エリアの外周は、引き出し配線またはダミー引き出し配線によって隣接して囲まれていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、タッチスクリーン、タッチパネル及びそれを備える表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
指などによるタッチを検出してその位置座標を特定するタッチパネルは、優れたユーザーインターフェース手段の一つとして注目されており、抵抗膜方式や静電容量方式などの種々の方式によるタッチパネルが製品化されている。
【0003】
静電容量方式の一つとして、タッチセンサが内蔵されるタッチスクリーンの前面側を数mm厚程度のガラス板等の保護板で覆った場合でもタッチ検出が可能なPCT(Projected Capacitive Touchscreen)方式がある。この方式は保護板を前面に配置できるので堅牢性に優れる点、手袋装着時でもタッチ検出が可能である点、可動部が無いため長寿命である点などの利点を有している。
【0004】
このPCT方式のタッチスクリーンは、一対のセンサキャパシタを備えている。これらのセンサキャパシタの静電容量は、物理量が作用しない状態では互いに等しく、物理量の作用に伴って互いに相反する増減関係で変化するように構成されている。従って、これらのセンサキャパシタの静電容量の差を電圧に変換することで、PCT方式のタッチスクリーンに作用している物理量を精度よく検出することができる。
【0005】
一般的に、センサキャパシタは、検出用行配線および検出用列配線によって形成されるが、理想的には、物理量が作用しない状態での一対のセンサキャパシタの静電容量は等しくなるように製造されるのが望ましい。しかしながら、タッチパネルを液晶表示パネルなどの表示装置と組み合わせて使用する場合において、タッチスクリーンの最も外側の検出用配線、及び最も外側の引き出し配線と、液晶表示パネルなどの表示装置の間に寄生容量が余分に形成されるため、タッチスクリーンに物理量が作用していない状況でも、これらのセンサキャパシタの静電容量にオフセットが生じる。このような物理量の作用とは無関係に存在する静電容量のオフセットと、物理量の作用に伴って生じる静電容量の差は、PCT方式のタッチスクリーンの出力電圧において区別することは困難であり、物理量の検出誤差を生じる原因となってしまう。そこで、一対のセンサキャパシタの静電容量のオフセットを低減する方法が提案されている。
【0006】
特許文献1に開示のタッチパネルを構成するタッチスクリーンは、複数の引き出し配線からなる配線束の最も外側の両側の引き出し配線のうちの少なくとも一方の引き出し配線であって、当該引き出し配線のさらに外側端に沿って設けられ一端が端子と電気的に接続されたダミー引き出し配線とを有するタッチスクリーンと、タッチスクリーンにて発生した静電容量を検出する静電容量回路と、検出用配線と静電容量検出回路との接続を順次に選択し、非選択の検出配線を所定電位となるように接続するスイッチ回路とを備えたものである。ここで、ダミー引き出し配線は、所定電位となるように接続されるため、静電容量のオフセットを抑制することが可能となることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−257178号公報(第5頁10行〜17行、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の方法では、最も外側の引き出し配線の余分な寄生容量のみ低減できる構成であり、検出用配線に対しては考慮されていなかったので、最も外側の検出用配線にかかる寄生容量を十分に低減できず、前記課題の完全な解決には至っていなかった。
【0009】
本発明は、上記のような問題点を鑑みてなされたものであり、各引き出し配線、および各検出配線にかかる余分な寄生容量を同時に低減した技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係るタッチスクリーンは、ベース基板に、列方向に延在した複数の検出用列配線と行方向に延在した複数の検出用行配線とが立体的に交差する様に配設された検出エリアと、外部装置に対して電気的に接続可能に設けられた端子と、複数の検出用行配線および検出用列配線と端子とを電気的に接続する複数の引き出し配線と、を有するタッチスクリーンであって、複数の引き出し配線は互いに近接して引き回されて配置され、近接配置された複数の引き出し配線の最も外側の引き出し配線の更に外側に沿って設けられ、一端が端子と電気的に接続されたダミー引き出し配線を備え、さらに、検出エリアの外周は、引き出し配線またはダミー引き出し配線によって隣接して囲まれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係るタッチスクリーンは、上記のように構成したことにより、引き出し配線、および各検出用配線にかかる余分な寄生容量を同時に低減できるので、引き出し配線および検出用配線を含めた静電容量検出回路に接続される配線の静電容量の偏差を抑制することができ、検出感度偏差を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1に係わるタッチスクリーンの構成を模式的に示した平面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係わるタッチスクリーンの部分拡大図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係わるタッチスクリーンの部分拡大図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係わるタッチスクリーンの部分拡大図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係わるタッチスクリーンの構成を模式的に示した斜視断面図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係わるタッチパネルの全体構成を模式的に示した図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係わるタッチパネルにおける静電容量検出・タッチ座標算出系の構成を示すブロック図である。
【図8】実施の形態1に係るタッチパネルにおけるスイッチ回路20を示す回路図である。
【図9】本発明の実施の形態1に係わる液晶表示装置の断面を模式的に示した構成図である。
【図10】本発明の実施の形態1に係わる各引き出し配線と接地容量との関係を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態1に係わる各列方向束配線と接地容量との関係を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態1に係わる各引き出し配線と接地容量との関係を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態1に係わる各行方向束配線と接地容量との関係を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態2に係わるタッチスクリーンの引き出し配線及びダミー引き出し配線の部分拡大図である。
【図15】本発明の実施の形態2に係わるタッチスクリーンの平面図である。
【図16】本発明の実施の形態2に係わる図15で示したタッチスクリーンの部分拡大図である。
【図17】本発明の実施の形態2に係わるタッチスクリーンの各引き出し配線と接地容量との関係を示す図である。
【図18】本発明の実施の形態2に係わるタッチスクリーンの各引き出し配線と接地容量との関係を示す図である。
【図19】本発明の実施の形態2に係わるタッチスクリーンの各引き出し配線と静電容量との関係を示す図である。
【図20】本発明の実施の形態2に係わる図19で示したタッチスクリーンの比較例の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
まず、本発明の全体構成について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、この発明の実施の形態1に係るタッチスクリーンの構成を模式的に示す平面図である。また、図2は、タッチスクリーン1の検出用列配線2及び検出用行配線3の構成をより理解し易くするために、検出用配線を透視して模式的に拡大化して示した部分拡大面図である。また、図3は、引き出し配線9、10及びダミー引き出し配線11の構成をより理解し易くするために図1中に符号Bで示した点線で区画した領域を拡大化して模式的に示した部分拡大図である。図4は、タッチスクリーン1の検出エリア8の外周に隣接する引き出し配線が無い領域を、拡大化して模式的に示した図である。具体的には、図1中の検出エリア8であって紙面左上の角部分の領域の部分拡大図である。
【0014】
以下、図1、図2、図3及び図4を参照して、タッチスクリーン1の構成について説明する。特記する場合を除いて、全体構成は全ての実施の形態において共通である。なお、同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものであり、このことは明細書の全文において共通することである。
【0015】
本実施の形態に係わるタッチスクリーンは、図1に示すように、(1)列方向(図1中のy方向に相当)に伸在し且つ所定の第1ピッチで行方向(図1中のx方向に相当)に繰り返し配列された複数の検出用列配線2と、(2)行方向xに伸在し且つ所定の第2ピッチで列方向yに繰り返し配列された複数の検出用行配線3とを、備えている。そして、所定本数の検出用列配線2は、その各々の上端及び下端に於いて、接続用配線4により、共通に電気的に接続されて、一束の列方向束配線6を構成している。同様に、所定本数の検出用行配線3は、それぞれ、その左端及び右端に於いて、接続用配線5により、共通に電気的に接続されて、一束の行方向束配線7を構成している。
【0016】
更に、所定本数の列方向束配線6が行方向xに平行配列されており、同様に、所定本数の行方向束配線7も列方向yに平行配列されている。従って、所定本数の列方向束配線6及び所定本数の行方向束配線7の立体的交差によって、タッチスクリーン1は、所定数のエリアに立体的に分割されている。これら複数の列方向束配線6と複数の行方向束配線7とで構成される領域は、タッチスクリーンとして機能させるためのタッチを検出するための検出領域であり、これを検出エリア8と呼ぶ。
【0017】
この様な構成にすると、検出用列配線及び検出用行配線の配線密度が大きくなるため、後述するタッチ容量の値を大きな値として確保することが出来る。
【0018】
そして、図2に例示する様に、各検出用列配線2は、(1)列方向yに対して傾斜角度45°で斜めに傾斜した第1傾斜部分2aSと、列方向yに平行で且つ第1傾斜部分2aSに繋がった第1平行部分2aPとが、列方向yに沿ってジグザグ状に繰り返されて配設されて成るジグザグパターンの第1金属配線2aと、(2)列方向yを軸として第1金属配線2aに線対称な構成を有する第2金属配線2bとの一組から成る。
【0019】
同様に、各検出用行配線3は、(3)行方向xに対して傾斜角度45°で斜めに傾斜した第2傾斜部分3aSと、行方向xに平行で且つ第2傾斜部分3aSに繋がった第2平行部分3aPとが、行方向xに沿ってジグザグ状に繰り返されて配設されて成るジグザグパターンの第3金属配線3aと、(4)行方向xを軸として第3金属配線3aに線対称な構成を有する第4金属配線3bとの一組から成る。
【0020】
しかも、複数の検出用列配線2の内の任意の1本の検出用列配線と、複数の検出用行配線3の内の任意の1本の検出用列配線とが立体的に交差して成る各エリアに於いて、以下の様な位置関係が成立する。
【0021】
即ち、各エリア内に属する第1金属配線2aの2つの第1傾斜部分2aSの内で一方の傾斜部分2aS1は、その中点(中心部)に於いて、当該エリア内に属する第3金属配線3aの2つの第2傾斜部3aSの内の一方の傾斜部分3aS1と、その中点(中心部)に於いて、常に立体的に直交している。更に、当該エリア内に属する第1金属配線2aの2つの第1傾斜部分2aSの内で他方の傾斜部分2aS2は、その中点(中心部)に於いて、当該エリア内に属する第4金属配線3bの2つの第2傾斜部3bSの内の一方の傾斜部分3bS1と、その中点(中心部)に於いて、常に立体的に直交している。加えて、当該エリア内に属する第2金属配線2bの2つの第1傾斜部分2bSの内で一方の傾斜部分2bS1は、その中点(中心部)に於いて、当該エリア内に属する第3金属配線3aの2つの第2傾斜部3aSの内の他方の傾斜部分3aS2と、その中点(中心部)に於いて常に立体的に直交している。更に、当該エリア内に属する第2金属配線2bの2つの第1傾斜部分2bSの内で他方の傾斜部分2bS2は、その中点(中心部)に於いて、当該エリア内に属する第4金属配線3bの2つの第2傾斜部3bSの内の他方の傾斜部分3bS2と、その中点(中心部)に於いて立体的に常に直交している。この様な傾斜部分同士の直交関係の設定により、当該エリア内の各平行部分2aP,2bP,3aP及び3bPの行方向xに沿っての寸法は、最小値化される。
【0022】
図2に示した以上の構成の採用により、検出用列配線2と検出用行配線3の配線間で発生する寄生容量の値を最小化することが可能となる。更に、本構成によって、検出用列配線2及び検出用行配線3が存在しない箇所を平面視したときの当該箇所の全面積を、本構成を採用しない場合よりも格段に少なくすることが出来るため、指等の指示体と検出用列配線2との間の静電容量及び指示体と検出用行配線3との間の静電容量から成るタッチ容量を各エリアで均一に検出することが可能となる。
【0023】
そして、本構成のタッチスクリーン1の行方向x及び列方向yの各々が、タッチスクリーン1に装着される表示パネル(例えばLCDパネル)の画素パターンの行方向及び列方向と平行となる様に、上記表示パネルをタッチスクリーン1に装着するときには、検出用列配線2及び検出用行配線3の各ジグザグパターン2a,2b,3a,3bが、画素パターンの行方向及び列方向の各々の配列方向に対して45°の角度で傾斜した斜め方向に、各画素に対して配置されることとなり、各画素の一部を均一に覆うこととなる結果、表示パネルが出射した表示光がタッチスクリーン1を通り抜ける際の透過率を均一化することが出来、モワレ現象の発生を少なくすることが可能となる。
【0024】
図1に示す様に、列方向束配線6及び行方向束配線7は、それぞれ、引き出し配線8,9によって、端子12に接続されている。なお、図1では、列方向束配線6及び行方向束配線7(以下、それぞれの配線群6,7を共に「束配線」と言う。)や引き出し配線、端子の図示化を一部省略している。また、束配線の本数及びその配線ピッチ、並びに、束配線を構成する検出配線の本数、配線幅及び配線ピッチは、タッチパネルのタッチ位置(タッチ座標値)の要求分解能から適宜に選択される。
【0025】
ここでは、列方向束配線及び行方向束配線の本数をそれぞれm、nとして、説明の便宜上、列方向束配線をWc(0)、Wc(1)、・・・、Wc(m-1)、Wc(m)、行方向束配線をWr(0)、Wr(1)、・・・、Wr(n-2)、Wr(n-1)とする。またこれと対応して、列方向束配線Wc(0)、Wc(1)、・・・、Wc(m-2)、Wc(m-1)の引き出し配線をLc(0)、Lc(1)、・・・、Lc(m-2)、Lc(m-1)とし、行方向束配線Wr(0)、Wr(1)、・・・、Wr(n-2)、Wr(n-1)の引き出し配線をLr(0)、Lr(1)、・・・、Lr(n-2)、Lr(n-1)、とする。
【0026】
このような引き出し配線は端子12から配線束になって引き回されることになるが、例えば図1に示すように、端子12をタッチスクリーンの下辺に配置し、列方向束配線に接続される引き出し配線Lc(0)、Lc(1)、・・・、Lc(m-2)、Lc(m-1)を左右にそれぞれ同数接続し、引き出し配線Lr(0)、Lr(1)、・・・、Lr(n-2)、Lr(n-1)を右端から接続するとすれば、引き出し配線束中の最も内側の配線はLc(m/2 - 1)及びLc(m/2)、最も外側の配線はLr(0)となる。
【0027】
本実施の形態では、最も内側の引き出し配線Lc(m/2 - 1)及びLc(m/2)は検出エリア8の外周に沿って検出用列配線Wc(m/2 - 1)及びWc(m/2)の接続用配線に接続される。図3に示すように、それ以外の引き出し配線、たとえば引き出し配線Lr(n-3)は、内側に隣接する引き出し配線Lr(n-2)が行方向束配線Wr(n-2)の接続用配線に接続するまで、引き出し配線Lr(n-2)に沿い、さらにその引き出し配線Lr(n-3)が接続される行方向束配線Wr(n-3)の接続用配線まで検出エリアの外周に沿うように設けられる。また、最外引き出し配線Lr(0)のさらに外側にダミー引き出し配線11を設け、ダミー引き出し配線11は、内側に隣接する最も外側の引き出し配線Lr(0)が接続される行方向束配線Wr(0)の接続用配線まで引き出し配線Lr(0)に沿うように設けられる。ダミー引き出し配線11は、端子12に接続される。
【0028】
また、検出エリア8の外周に隣接する引き出し配線が無い領域では、図4に示されるように、検出エリア8の外周に隣接してダミー引き出し配線11が布設されている。さらに、ダミー引き出し配線11は端子12に接続されている。
【0029】
従って、最も外側の列方向束配線6及び行方向束配線の更に外側には、必ず、引き出し配線、もしくはダミー引き出し配線11が、検出エリア8の外周を囲うように隣接して配置されている。
【0030】
次に、図5を参照して、タッチスクリーン1の層構成を記載する。タッチスクリーン1の上面層は、透明なガラス材料又は透明な樹脂から成る透明基板13(以下「ベース基板13」と記載する。)であり、ベース基板13の裏面上には、ITO等の透明配線材料もしくはアルミニウム等の金属配線材料から成る複数本の検出用列配線2が形成される。
【0031】
ここでは、図示の便宜上、各検出用列配線2は、既述したジグザグパターンの構造を有する様に、図示されてはいない。更に、ベース基板13の裏面上には、全検出用列配線2を被覆する様に、シリコン窒化膜又はシリコン酸化膜等の透明な層間絶縁膜14が形成され、層間絶縁膜14の裏面上に、ITO等の透明配線材料もしくはアルミニウム等の金属配線材料から成る複数本の検出用行配線3が形成される。ここでも、図示の便宜上、各検出用行配線3は、既述したジグザグパターンの構造を有する様に、図示されてはいない。
【0032】
本実施の形態では、検出用列配線2および検出用行配線3をアルミニウム系合金とその窒化層との多層構造を用いた。
【0033】
アルミニウム系合金を用いることで配線抵抗を小さくでき、かつ反射率の小さいアルミニウム系合金の窒化層との多層構造にすることでタッチスクリーンの透過率を大きくすることができる。
【0034】
尚、検出用列配線2と検出用行配線3との配設位置を逆に設定して、ベース基板13の裏面上に検出用行配線3を形成し、層間絶縁膜14の裏面上に検出用列配線2を形成しても良い。また、ダミー引き出し配線が検出用行配線と同層の配線のみの構成、検出用列配線と同層の配線のみの構成、両方が混在する構成にしてもよい。
【0035】
図6は、本実施の形態に係るタッチパネルの全体構成を模式的に示した図である。タッチスクリーン1の各端子12(図6には図示せず。)に、FPC(Flexible Printed Circuit)17の対応する端子が、ACF(Anisotropic Conductive Film)等を用いることにより実装される。このFPC17を介して、タッチスクリーン1の束配線の端部とコントローラ基板18とが電気的に接続されることにより、図1〜図5に例示したタッチスクリーン1は、タッチパネルの主要構成要素として機能する。又、コントローラ基板18には、(1)複数の検出用列配線2の各々及び複数の検出用行配線3の各々を順次に選択するスイッチ回路(図示せず。)と、(2)上記スイッチ回路により選択された検出用列配線2と指示体との間に形成される静電容量及び上記選択スイッチ回路により選択された検出用行配線と指示体との間に形成される静電容量から成るタッチ容量の検出結果に基づいて、指示体のタッチ位置のタッチスクリーン1上に於けるタッチ座標の算出処理を行う検出処理回路19とが、搭載されている。
【0036】
そして、検出処理回路19によって算出された指示体のタッチ位置のタッチスクリーン1上に於けるタッチ座標の値は、検出座標データとして、外部のコンピュータ(図示せず。)等に出力される。
【0037】
図7は、本実施の形態に係るタッチパネルに於ける静電容量検出・タッチ座標算出系の回路構成を示すブロック図である。
【0038】
図7において、図6に示す検出処理回路19は、スイッチ回路20,静電容量検出回路21、タッチ位置算出回路22、を含み、これら各構成要素20,21,22を制御する検出制御回路23が設けられる。また、静電容量検出回路21の検出端にはバッファ回路24の入力端が接続される。ここで例えば、静電容量検出回路として、RC時定数により発振周期変化を検出する弛張発振器を用いる場合には、抵抗素子と容量素子との接続点が検出端となる。また定電流を容量素子へ充電する時間を発振周期とする場合には、定電流源と容量素子との接続点が検出端となる。
【0039】
各列方向束配線6の一端は、引き出し配線Lc(0)、・・・、Lc(m-1)、端子12を介してスイッチ回路20に接続され、行方向束配線7の一端は、引き出し配線Lr(0)、・・・、Lr(n-1)、端子12を介してスイッチ回路20に接続されている。
【0040】
そして、スイッチ回路20は、図8に示すように、列方向束配線6及び行方向束配線7の各束配線毎に2:1に接続を切替えるアナログ・マルチプレクサ回路27を含む。列方向束配線6及び行方向束配線7の各束配線は、それと対応したスイッチ回路20のアナログ・マルチプレクサ回路27により、静電容量検出回路21の検出端またはバッファ回路24の出力端との接続が切替えられる。なお、アナログ・マルチプレクサ回路27もスイッチ回路と称することがある。
【0041】
このように、スイッチ回路20を構成するアナログ・マルチプレクサ回路27は、検出制御回路23から出力される制御信号の指示に応じてその接続を選択し、列方向束配線6及び行方向束配線7のなかから1束配線ずつ、静電容量検出回路21との接続を順次切り替える。すなわち、静電容量回路21との接続が選択された1つの束配線が選択束配線として検出対象となるが、それ以外の非選択束配線はバッファ回路24の出力に接続される。
【0042】
そして、静電容量検出回路21から出力される各束配線に対応した静電容量検出結果は後段のタッチ座標算出回路22に入力され、静電容量検出結果に基づいて指示体のタッチ座標が算出される。このタッチ座標算出には、所定閾値を超える検出値となる束配線がある場合に、これと隣接する束配線の検出値も用いて、束配線の間の座標を補間演算して求める。このタッチ座標算出においては、各束配線に対応した検出値の偏差が小さいことが望ましい。そのため、バッファ回路24は静電容量検出回路21の検出端に現れる電位をバッファリングして、非選択束配線に印加する。
【0043】
これにより、選択束配線と非選択束配線をほぼ同電位とすることで、両束配線の間に形成されるカップリング容量の影響を低減することができる。同様に、選択束配線に接続される引き出し配線とそれ以外の束配線に接続される引き出し配線との間のカップリング容量の影響も低減される。
【0044】
図9は、本実施の形態に係る液晶表示装置の縦断面構成を示す図である。液晶表示パネル41は、ガラス基板上にカラーフィルタ、ブラックマトリックス、透明電極、及び配向膜が形成されて成るカラーフィルタ基板44と、ガラス基板上にスイッチング素子であるTFT(薄膜トランジスタ)等が形成されて成るTFTアレイ基板46と、両基板44,46間に挟持されたTN液晶から成る液晶層45と、粘着層47によりTFTアレイ基板46の後面側に粘着された偏光板48とを備えている。更に、カラーフィルタ基板44の前面上には、粘着層43により、偏光板42が粘着されている。又、液晶表示パネル41の背面側には、光源であるバックライト49が配設されている。
【0045】
他方で、本実施の形態に係るタッチスクリーン1が、粘着層40により、液晶表示パネル41の前面側の偏光板42に粘着されている。
【0046】
TFTアレイ基板46には、外部のドライバ回路(図9に図示せず。)から、表示する画像に応じた信号が入力され、それに応じて、画素毎に形成されたTFTによるスイッチング素子を介して、液晶層45の印加電圧を制御して、その液晶分子の配列方向を変化させる。バックライト49からの入射光は、偏光板48を通過して直線偏光の光となり、液晶層45を通過することにより表示する画像信号に応じて振動方向が曲げられて、カラーフィルタ基板44に形成されたカラーフィルタを通過することにより三原色の光に分離され、更に前面側の偏光板42を通過することで、画像信号に応じた光強度を有する光となる。そして、更に、偏光板42を通過した光がその前面にあるタッチスクリーン1を通過して表示光として使用者に視認される。
【0047】
この様にして、画像信号に応じてバックライト49からの光の透過率を制御することで、液晶表示装置は所望の表示を行う。又、タッチスクリーン1を含むタッチパネルは、実施の形態1と同様に、静電容量検出結果の変化に基づきタッチ座標を算出して、そのタッチ座標を出力する。
【0048】
このとき、タッチスクリーン1では、束配線を複数の検出用配線から構成して、検出用配線の間のスリット状開口部の面積を大きく設定することで、表示光の透過率の低下を抑制しているので、偏光板42を通過した光の殆どはタッチスクリーン1を通過して表示光となる。このため、タッチスクリーン1が液晶表示パネル41の前面に配設されていても、表示輝度を殆ど低下させることがない。
【0049】
なお、STN液晶等のTN液晶以外の液晶を用いても、本実施の形態と同様に、液晶表示装置を構成することが可能である。
【0050】
本実施の形態では、表示装置として液晶表示装置を記載したが、有機又は無機のEL表示装置やPDP装置等の他方式の表示装置であっても、同様に本実施の形態で記載したタッチパネルを備える表示装置を構成することが可能である。
【0051】
つぎに、本実施の形態に係る効果を説明する。
液晶表示パネルの前面側の偏光板に粘着されたタッチパネルにおいて、本実施の形態によるダミー引き出し配線11が設けられていなければ、最も外側の引き出し配線には片側に引き出し配線が無く、さらに最も外側の束配線の片側にも束配線が無いため、隣接配線とのカップリング容量が生じない分、液晶表示パネルの対向電極や金属フレーム等とのカップリング容量(以下、接地容量と記す。)が生じ、余分な寄生容量となる。
【0052】
本実施の形態ではダミー引き出し配線11を設けたことによって、最も外側の引き出し配線が、それ以外の引き出し配線と同様に両側でカップリング容量を形成するため、引き出し配線の接地容量の偏差が低減される。さらに、最も外側の束配線の外側には、必ず引き出し配線もしくはダミー引出し配線が配置されており、それ以外の束配線と同様に両側でカップリング容量を形成するため、束配線の接地容量の偏差が低減される。
【0053】
図10〜図13に本実施の形態のタッチパネルを供えた表示装置において、引き出し配線と束配線をそれぞれ独立に効果を確認するため、3次元容量抽出シミュレータ用いて接地容量を計算した結果を示す。なお、比較例としてダミー引き出し配線11が設けられていない場合の計算結果も併せて示した。また、例として行方向束配線6を42本(m=42)、列方向束配線7を32本(n=32)に設定した。また、計算において、すべての引き出し配線の面積が一定となるように、各引き出し配線の幅を調整した。また、検出用列配線2をベース基板13の裏面上に、検出用行配線3とダミー引き出し配線11を層間絶縁膜14の裏面上に設定した。また、ダミー引き出し配線11の形状は図3に示すようなベタパターンに設定した。
【0054】
図10は列方向束配線6に接続される、各引き出し配線Lc(0)、・・・、Lc(41)の接地容量を示している。ダミー引き出し配線11の有無によらず、ほぼ一定値となっている。本実施の形態においては、列方向束配線6に接続されるすべての引き出し配線は、ダミー引き出し配線11が無くても両側に引き出し配線があるため、接地容量の偏差が生じない。
【0055】
図11は各列方向束配線Wc(0)、・・・、Wc(41)の接地容量を示している。最も外側の列方向束配線Wc(0)とWc(41)の接地容量は、ダミー引き出し配線11が無ければ増加するが、ダミー引き出し配線11が配置されることによって、それ以外の列方向束配線と同程度まで低減され、接地容量の偏差を小さくできることが判る。
【0056】
図12は行方向束配線7に接続される、各引き出し配線Lr(0)、・・・、Lr(31)の接地容量を示している。ダミー引き出し配線11が無ければ、引き出し配線Lr(9)から外側に向かって接地容量が増加し、最も外側の引き出し配線Lr(0)で増加量が最大となるが、これらの引き出し配線はダミー引き出し配線11が配置されることによって、引き出し配線Lr(9)より内側の引き出し配線と同程度まで低減され、接地容量の偏差を小さくできることが判る。
【0057】
図13は各行方向束配線Wr(0)、・・・、Wr(31)の接地容量を示している。最も外側の列方向束配線Wr(0)とWr(31)の接地容量は、ダミー引き出し配線11が無いと増加する。ただし、図1のようにWr(31)の外側の一部には引き出し配線が配置されているため、接地容量がWr(0)ほど増加しない。増加した接地容量は、ダミー引き出し配線11が配置されることによって、それ以外の列方向束配線と同程度まで低減され、接地容量の偏差を小さくできることが判る。
【0058】
また、検出用列配線2とダミー引き出し配線11をベース基板13の裏面上に、検出用行配線3を層間絶縁膜14の裏面上に設定した場合でも、上記同様の効果が得られた。
【0059】
また、検出用行配線3をベース基板13の裏面上に、検出用列配線2とダミー引き出し配線11を層間絶縁膜14の裏面上に設定した場合でも、上記同様の効果が得られた。
【0060】
本実施の形態ではダミー引き出し配線11を設けたことによって、最も外側の引き出し配線は、ダミー引き出し配線11と内側の引き出し配線とに挟まれる。そのため、最外側の引き出し配線と、それより内の引き出し配線とを比較した場合に、それぞれに加わる接地容量はほぼ等しくなる。また、最も外側の束配線のさらに外側には、必ず引き出し配線もしくはダミー引出し配線が配置されており、それ以外の束配線と同様に両側でカップリング容量を形成するため、束配線の接地容量の偏差が低減される。
【0061】
以上の通り、本実施の形態に記載した構造を採用することによって、引き出し配線および検出用配線を含めた静電容量検出回路に接続される配線の静電容量の偏差を抑制することができ、検出感度偏差を抑えることが可能となる。
【0062】
さらに、本実施の形態のタッチスクリーンを用いることで、隣接間の静電容量のオフセットを無くしたタッチスクリーンを用いることができ、駆動電圧が相互容量、すなわち行列配線間容量と既知の基準容量によって容量分割された電圧が差動増幅器の入力に印加される容量測定回路を適用する場合、検出誤差のないタッチパネル機能を有した表示装置を得ることができる。
【0063】
また、タッチスクリーンを表示パネルと貼り付けて一体化して表示装置を構成したので、従来必要であったタッチスクリーンの保持機構を無くすことができ、装置全体を薄くすることが可能となる。また、タッチスクリーンと表示パネルとが一体化して構成されるので、タッチスクリーンと表示パネルとの間隙にゴミ等が混入することによって生じる表示への悪影響を防止することができる。
【0064】
実施の形態2.
本実施形態の特徴点は、実施の形態1に係るタッチスクリーン1の構成を採用した上で、ダミー引き出し配線11がメッシュパターンで形成され、さらにベース基板13を液晶基板に貼り付ける際に、ベース基板13を接着する紫外線硬化型粘着シートを、全ての引き出し配線を覆うように設定する点にある。以下、この形態を説明する。
【0065】
図14は本実施の形態において、引き出し配線及びダミー引き出し配線の構成を理解し易くするために引き出し配線及びダミー引き出し配線を拡大化して模式的に示したタッチスクリーンの一部分の平面図である。引き出し配線は実施の形態1と同様に構成される。ダミー引き出し配線は実施の形態1ではベタパターンを形成したが、本実施の形態では図14のようにメッシュパターンを形成した。
【0066】
後述する紫外線硬化型粘着シートを硬化する処理において、基板の裏側からの紫外線を遮断しないため効率良く硬化でき、紫外線硬化型粘着シートの剥がれを抑制できる。さらに、タッチスクリーン外周で外光などによる反射を抑制でき、見栄えを改善できる。
【0067】
図15は、本実施の形態に係る表示装置に於ける紫外線硬化型粘着シート30とタッチスクリーン1の構成を模式的に示す平面図である。また、図16は、引き出し配線9、10と端子12及び粘着シール30の構成をより理解し易くするために図15において、符号Cで示した点線で囲んだ領域を拡大化して模式的に透視して示したタッチスクリーン1の一部分の平面図である。
【0068】
図15に示すように、紫外線硬化型粘着シート30は引き出し配線9、10およびダミー引き出し配線11を全て覆うように設置される。このようにすることで、引き出し配線上に紫外線硬化型粘着シートが存在する領域と空気が存在する領域での引き出し配線間の静電容量の差が生じなくなる。
【0069】
ただし、図16に示すように、引き出し配線9、10の配線立ち上がり領域31は紫外線硬化型粘着シート30に覆われなくてもよい。配線立ち上がり領域31が粘着シート30に覆われていなくても、すべての引き出し配線において引き出し配線上に空気が存在する領域が同等であるため、引き出し配線間の寄生容量差が生じないからである。
【0070】
このようにベース基板13でタッチパネルを保護する場合、ダミー引き出し配線11がメッシュパターンで形成され、さらにベース基板13を接着するための粘着シート30を全ての引き出し配線を覆うように設定することが望ましい。本実施の形態ではダミー引き出し配線11がメッシュ状であった場合について記載したが、これに限定されるものではなく、紫外線を遮断しない形状であれば良い。また、ベース基板13を接着するのに紫外線硬化型粘着シートを用いたが、紫外線硬化樹脂を充填して接着しても良い。
【0071】
つぎに、本実施の形態に係る効果を説明する。
本実施の形態ではダミー引き出し配線11をメッシュパターンにすることで、外光などにより反射を低減し、かつ紫外線硬化型粘着シール30を硬化するときに紫外線を遮断させないようにして紫外線硬化型粘着シール30を効率良く硬化できるようにしたが、ダミー引き出し配線11をメッシュパターンにした場合でも実施の形態1と同様に接地容量を低減できるか調べた。また、紫外線硬化型粘着シール30を全ての引き出し配線覆うことによって引き出し配線間の寄生容量差を生じさせないようにしたが、その効果を定量的に調べた。
【0072】
図17および図18に本実施の形態のタッチパネルを供えた表示装置において、引き出し配線の接地容量を3次元容量抽出シミュレータ用いて計算した結果を示す。なお、比較例として実施の形態1のように、ダミー引き出し配線11をベタパターンで設けた場合の計算結果も併せて示した。
【0073】
図17は列方向束配線6に接続される、各引き出し配線Lc(0)、・・・、Lc(41)の接地容量を示している。ダミー引き出し配線11がベタ状である場合と同様にメッシュ状である場合でも、接地容量がほぼ一定値となっている。
【0074】
図18は行方向束配線7に接続される、各引き出し配線Lr(0)、・・・、Lr(31)の接地容量を示している。ダミー引き出し配線11がベタ状である場合と同様にメッシュ状である場合でも接地容量がほぼ一定値となり、実施の形態1と同様に接地容量の偏差が小さくなることが判る。
【0075】
また、図19に紫外線硬化型粘着シールで引き出し配線を全て覆ったときの、行方向束配線7に接続される、各引き出し配線Lr(0)、・・・、Lr(31)の静電容量を3次元容量抽出シミュレータ用いて計算した結果を示す。
【0076】
なお、比較例として図20に示すように、紫外線硬化型粘着シートで、引き出し配線Lr(14)を含む引き出し配線Lr(14)より内側の引き出し配線が全て覆われ、引き出し配線Lr(13)を含む引き出し配線Lr(13)より外側の引き出し配線はすくなくとも紫外線硬化型粘着シートで覆われていない部分がある場合の静電容量についても併せて示した。
【0077】
紫外線硬化型粘着シートよりも空気の誘電率のほうが小さいため、比較例において、紫外線硬化型粘着シートに覆われていない(空気層に覆われている)領域にある引き出し配線間のカップリング容量が、紫外線硬化型粘着シートに覆われている領域にある引き出し配線間のカップリング容量よりも小さくなるため、静電容量が小さくなる。
【0078】
そのため、比較例において引き出し配線Lr(13)より外側の引き出しの容量は、引き出し配線Lr(14)より内側の引き出し配線と比べて小さくなり、静電容量の偏差が生じるが、紫外線硬化型粘着シートで引き出し配線を全て覆った場合の静電容量はほぼ一定値となり、静電容量の偏差は生じない。
【0079】
以上の通り、本実施の形態に記載した構造を採用することによって、効率的にベース基板を接着できることによって剥がれを抑制し、且つ、外光等による反射を抑制することで見栄えを改善し、且つ、引き出し配線の静電容量の偏差を実施の形態1と同様に抑制することによって検出感度偏差を抑えることが可能となる。
【0080】
なお、上述した実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと解されるべきである。本発明の範囲は、上述した実施形態の範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0081】
1 タッチスクリーン、2 検出用列配線、2a,2b, ジグザグパターン、
3 検出用行配線、3a,3b ジグザグパターン、4 接続用配線、5 接続用配線、
6 列方向束配線、7 行方向束配線、8 検出エリア、9,10 引き出し配線、
11 ダミー引き出し配線、12 端子、13 ベース基板、14 層間絶縁膜、
17 FPC、18 コントローラ基板、19 検出処理回路、20 スイッチ回路、
21 静電容量検出回路、22 タッチ位置算出回路、23 検出制御回路、
24 バッファ回路、27 アナログ・マルチプレクサ回路、
30 紫外線硬化型粘着シート、31 配線立ち上がり領域、41 液晶表示パネル、
44 カラーフィルタ基板、45 液晶層、46 TFTアレイ基板、47 粘着層、
48 偏光板、49 バックライト、 Lc(0)〜Lc(m−1) 列方向束配線用引き出し配線、 Lr(0)〜Lr(m−1) 行方向束配線用引き出し配線。
【技術分野】
【0001】
この発明は、タッチスクリーン、タッチパネル及びそれを備える表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
指などによるタッチを検出してその位置座標を特定するタッチパネルは、優れたユーザーインターフェース手段の一つとして注目されており、抵抗膜方式や静電容量方式などの種々の方式によるタッチパネルが製品化されている。
【0003】
静電容量方式の一つとして、タッチセンサが内蔵されるタッチスクリーンの前面側を数mm厚程度のガラス板等の保護板で覆った場合でもタッチ検出が可能なPCT(Projected Capacitive Touchscreen)方式がある。この方式は保護板を前面に配置できるので堅牢性に優れる点、手袋装着時でもタッチ検出が可能である点、可動部が無いため長寿命である点などの利点を有している。
【0004】
このPCT方式のタッチスクリーンは、一対のセンサキャパシタを備えている。これらのセンサキャパシタの静電容量は、物理量が作用しない状態では互いに等しく、物理量の作用に伴って互いに相反する増減関係で変化するように構成されている。従って、これらのセンサキャパシタの静電容量の差を電圧に変換することで、PCT方式のタッチスクリーンに作用している物理量を精度よく検出することができる。
【0005】
一般的に、センサキャパシタは、検出用行配線および検出用列配線によって形成されるが、理想的には、物理量が作用しない状態での一対のセンサキャパシタの静電容量は等しくなるように製造されるのが望ましい。しかしながら、タッチパネルを液晶表示パネルなどの表示装置と組み合わせて使用する場合において、タッチスクリーンの最も外側の検出用配線、及び最も外側の引き出し配線と、液晶表示パネルなどの表示装置の間に寄生容量が余分に形成されるため、タッチスクリーンに物理量が作用していない状況でも、これらのセンサキャパシタの静電容量にオフセットが生じる。このような物理量の作用とは無関係に存在する静電容量のオフセットと、物理量の作用に伴って生じる静電容量の差は、PCT方式のタッチスクリーンの出力電圧において区別することは困難であり、物理量の検出誤差を生じる原因となってしまう。そこで、一対のセンサキャパシタの静電容量のオフセットを低減する方法が提案されている。
【0006】
特許文献1に開示のタッチパネルを構成するタッチスクリーンは、複数の引き出し配線からなる配線束の最も外側の両側の引き出し配線のうちの少なくとも一方の引き出し配線であって、当該引き出し配線のさらに外側端に沿って設けられ一端が端子と電気的に接続されたダミー引き出し配線とを有するタッチスクリーンと、タッチスクリーンにて発生した静電容量を検出する静電容量回路と、検出用配線と静電容量検出回路との接続を順次に選択し、非選択の検出配線を所定電位となるように接続するスイッチ回路とを備えたものである。ここで、ダミー引き出し配線は、所定電位となるように接続されるため、静電容量のオフセットを抑制することが可能となることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−257178号公報(第5頁10行〜17行、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の方法では、最も外側の引き出し配線の余分な寄生容量のみ低減できる構成であり、検出用配線に対しては考慮されていなかったので、最も外側の検出用配線にかかる寄生容量を十分に低減できず、前記課題の完全な解決には至っていなかった。
【0009】
本発明は、上記のような問題点を鑑みてなされたものであり、各引き出し配線、および各検出配線にかかる余分な寄生容量を同時に低減した技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係るタッチスクリーンは、ベース基板に、列方向に延在した複数の検出用列配線と行方向に延在した複数の検出用行配線とが立体的に交差する様に配設された検出エリアと、外部装置に対して電気的に接続可能に設けられた端子と、複数の検出用行配線および検出用列配線と端子とを電気的に接続する複数の引き出し配線と、を有するタッチスクリーンであって、複数の引き出し配線は互いに近接して引き回されて配置され、近接配置された複数の引き出し配線の最も外側の引き出し配線の更に外側に沿って設けられ、一端が端子と電気的に接続されたダミー引き出し配線を備え、さらに、検出エリアの外周は、引き出し配線またはダミー引き出し配線によって隣接して囲まれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係るタッチスクリーンは、上記のように構成したことにより、引き出し配線、および各検出用配線にかかる余分な寄生容量を同時に低減できるので、引き出し配線および検出用配線を含めた静電容量検出回路に接続される配線の静電容量の偏差を抑制することができ、検出感度偏差を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1に係わるタッチスクリーンの構成を模式的に示した平面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係わるタッチスクリーンの部分拡大図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係わるタッチスクリーンの部分拡大図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係わるタッチスクリーンの部分拡大図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係わるタッチスクリーンの構成を模式的に示した斜視断面図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係わるタッチパネルの全体構成を模式的に示した図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係わるタッチパネルにおける静電容量検出・タッチ座標算出系の構成を示すブロック図である。
【図8】実施の形態1に係るタッチパネルにおけるスイッチ回路20を示す回路図である。
【図9】本発明の実施の形態1に係わる液晶表示装置の断面を模式的に示した構成図である。
【図10】本発明の実施の形態1に係わる各引き出し配線と接地容量との関係を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態1に係わる各列方向束配線と接地容量との関係を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態1に係わる各引き出し配線と接地容量との関係を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態1に係わる各行方向束配線と接地容量との関係を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態2に係わるタッチスクリーンの引き出し配線及びダミー引き出し配線の部分拡大図である。
【図15】本発明の実施の形態2に係わるタッチスクリーンの平面図である。
【図16】本発明の実施の形態2に係わる図15で示したタッチスクリーンの部分拡大図である。
【図17】本発明の実施の形態2に係わるタッチスクリーンの各引き出し配線と接地容量との関係を示す図である。
【図18】本発明の実施の形態2に係わるタッチスクリーンの各引き出し配線と接地容量との関係を示す図である。
【図19】本発明の実施の形態2に係わるタッチスクリーンの各引き出し配線と静電容量との関係を示す図である。
【図20】本発明の実施の形態2に係わる図19で示したタッチスクリーンの比較例の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
まず、本発明の全体構成について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、この発明の実施の形態1に係るタッチスクリーンの構成を模式的に示す平面図である。また、図2は、タッチスクリーン1の検出用列配線2及び検出用行配線3の構成をより理解し易くするために、検出用配線を透視して模式的に拡大化して示した部分拡大面図である。また、図3は、引き出し配線9、10及びダミー引き出し配線11の構成をより理解し易くするために図1中に符号Bで示した点線で区画した領域を拡大化して模式的に示した部分拡大図である。図4は、タッチスクリーン1の検出エリア8の外周に隣接する引き出し配線が無い領域を、拡大化して模式的に示した図である。具体的には、図1中の検出エリア8であって紙面左上の角部分の領域の部分拡大図である。
【0014】
以下、図1、図2、図3及び図4を参照して、タッチスクリーン1の構成について説明する。特記する場合を除いて、全体構成は全ての実施の形態において共通である。なお、同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものであり、このことは明細書の全文において共通することである。
【0015】
本実施の形態に係わるタッチスクリーンは、図1に示すように、(1)列方向(図1中のy方向に相当)に伸在し且つ所定の第1ピッチで行方向(図1中のx方向に相当)に繰り返し配列された複数の検出用列配線2と、(2)行方向xに伸在し且つ所定の第2ピッチで列方向yに繰り返し配列された複数の検出用行配線3とを、備えている。そして、所定本数の検出用列配線2は、その各々の上端及び下端に於いて、接続用配線4により、共通に電気的に接続されて、一束の列方向束配線6を構成している。同様に、所定本数の検出用行配線3は、それぞれ、その左端及び右端に於いて、接続用配線5により、共通に電気的に接続されて、一束の行方向束配線7を構成している。
【0016】
更に、所定本数の列方向束配線6が行方向xに平行配列されており、同様に、所定本数の行方向束配線7も列方向yに平行配列されている。従って、所定本数の列方向束配線6及び所定本数の行方向束配線7の立体的交差によって、タッチスクリーン1は、所定数のエリアに立体的に分割されている。これら複数の列方向束配線6と複数の行方向束配線7とで構成される領域は、タッチスクリーンとして機能させるためのタッチを検出するための検出領域であり、これを検出エリア8と呼ぶ。
【0017】
この様な構成にすると、検出用列配線及び検出用行配線の配線密度が大きくなるため、後述するタッチ容量の値を大きな値として確保することが出来る。
【0018】
そして、図2に例示する様に、各検出用列配線2は、(1)列方向yに対して傾斜角度45°で斜めに傾斜した第1傾斜部分2aSと、列方向yに平行で且つ第1傾斜部分2aSに繋がった第1平行部分2aPとが、列方向yに沿ってジグザグ状に繰り返されて配設されて成るジグザグパターンの第1金属配線2aと、(2)列方向yを軸として第1金属配線2aに線対称な構成を有する第2金属配線2bとの一組から成る。
【0019】
同様に、各検出用行配線3は、(3)行方向xに対して傾斜角度45°で斜めに傾斜した第2傾斜部分3aSと、行方向xに平行で且つ第2傾斜部分3aSに繋がった第2平行部分3aPとが、行方向xに沿ってジグザグ状に繰り返されて配設されて成るジグザグパターンの第3金属配線3aと、(4)行方向xを軸として第3金属配線3aに線対称な構成を有する第4金属配線3bとの一組から成る。
【0020】
しかも、複数の検出用列配線2の内の任意の1本の検出用列配線と、複数の検出用行配線3の内の任意の1本の検出用列配線とが立体的に交差して成る各エリアに於いて、以下の様な位置関係が成立する。
【0021】
即ち、各エリア内に属する第1金属配線2aの2つの第1傾斜部分2aSの内で一方の傾斜部分2aS1は、その中点(中心部)に於いて、当該エリア内に属する第3金属配線3aの2つの第2傾斜部3aSの内の一方の傾斜部分3aS1と、その中点(中心部)に於いて、常に立体的に直交している。更に、当該エリア内に属する第1金属配線2aの2つの第1傾斜部分2aSの内で他方の傾斜部分2aS2は、その中点(中心部)に於いて、当該エリア内に属する第4金属配線3bの2つの第2傾斜部3bSの内の一方の傾斜部分3bS1と、その中点(中心部)に於いて、常に立体的に直交している。加えて、当該エリア内に属する第2金属配線2bの2つの第1傾斜部分2bSの内で一方の傾斜部分2bS1は、その中点(中心部)に於いて、当該エリア内に属する第3金属配線3aの2つの第2傾斜部3aSの内の他方の傾斜部分3aS2と、その中点(中心部)に於いて常に立体的に直交している。更に、当該エリア内に属する第2金属配線2bの2つの第1傾斜部分2bSの内で他方の傾斜部分2bS2は、その中点(中心部)に於いて、当該エリア内に属する第4金属配線3bの2つの第2傾斜部3bSの内の他方の傾斜部分3bS2と、その中点(中心部)に於いて立体的に常に直交している。この様な傾斜部分同士の直交関係の設定により、当該エリア内の各平行部分2aP,2bP,3aP及び3bPの行方向xに沿っての寸法は、最小値化される。
【0022】
図2に示した以上の構成の採用により、検出用列配線2と検出用行配線3の配線間で発生する寄生容量の値を最小化することが可能となる。更に、本構成によって、検出用列配線2及び検出用行配線3が存在しない箇所を平面視したときの当該箇所の全面積を、本構成を採用しない場合よりも格段に少なくすることが出来るため、指等の指示体と検出用列配線2との間の静電容量及び指示体と検出用行配線3との間の静電容量から成るタッチ容量を各エリアで均一に検出することが可能となる。
【0023】
そして、本構成のタッチスクリーン1の行方向x及び列方向yの各々が、タッチスクリーン1に装着される表示パネル(例えばLCDパネル)の画素パターンの行方向及び列方向と平行となる様に、上記表示パネルをタッチスクリーン1に装着するときには、検出用列配線2及び検出用行配線3の各ジグザグパターン2a,2b,3a,3bが、画素パターンの行方向及び列方向の各々の配列方向に対して45°の角度で傾斜した斜め方向に、各画素に対して配置されることとなり、各画素の一部を均一に覆うこととなる結果、表示パネルが出射した表示光がタッチスクリーン1を通り抜ける際の透過率を均一化することが出来、モワレ現象の発生を少なくすることが可能となる。
【0024】
図1に示す様に、列方向束配線6及び行方向束配線7は、それぞれ、引き出し配線8,9によって、端子12に接続されている。なお、図1では、列方向束配線6及び行方向束配線7(以下、それぞれの配線群6,7を共に「束配線」と言う。)や引き出し配線、端子の図示化を一部省略している。また、束配線の本数及びその配線ピッチ、並びに、束配線を構成する検出配線の本数、配線幅及び配線ピッチは、タッチパネルのタッチ位置(タッチ座標値)の要求分解能から適宜に選択される。
【0025】
ここでは、列方向束配線及び行方向束配線の本数をそれぞれm、nとして、説明の便宜上、列方向束配線をWc(0)、Wc(1)、・・・、Wc(m-1)、Wc(m)、行方向束配線をWr(0)、Wr(1)、・・・、Wr(n-2)、Wr(n-1)とする。またこれと対応して、列方向束配線Wc(0)、Wc(1)、・・・、Wc(m-2)、Wc(m-1)の引き出し配線をLc(0)、Lc(1)、・・・、Lc(m-2)、Lc(m-1)とし、行方向束配線Wr(0)、Wr(1)、・・・、Wr(n-2)、Wr(n-1)の引き出し配線をLr(0)、Lr(1)、・・・、Lr(n-2)、Lr(n-1)、とする。
【0026】
このような引き出し配線は端子12から配線束になって引き回されることになるが、例えば図1に示すように、端子12をタッチスクリーンの下辺に配置し、列方向束配線に接続される引き出し配線Lc(0)、Lc(1)、・・・、Lc(m-2)、Lc(m-1)を左右にそれぞれ同数接続し、引き出し配線Lr(0)、Lr(1)、・・・、Lr(n-2)、Lr(n-1)を右端から接続するとすれば、引き出し配線束中の最も内側の配線はLc(m/2 - 1)及びLc(m/2)、最も外側の配線はLr(0)となる。
【0027】
本実施の形態では、最も内側の引き出し配線Lc(m/2 - 1)及びLc(m/2)は検出エリア8の外周に沿って検出用列配線Wc(m/2 - 1)及びWc(m/2)の接続用配線に接続される。図3に示すように、それ以外の引き出し配線、たとえば引き出し配線Lr(n-3)は、内側に隣接する引き出し配線Lr(n-2)が行方向束配線Wr(n-2)の接続用配線に接続するまで、引き出し配線Lr(n-2)に沿い、さらにその引き出し配線Lr(n-3)が接続される行方向束配線Wr(n-3)の接続用配線まで検出エリアの外周に沿うように設けられる。また、最外引き出し配線Lr(0)のさらに外側にダミー引き出し配線11を設け、ダミー引き出し配線11は、内側に隣接する最も外側の引き出し配線Lr(0)が接続される行方向束配線Wr(0)の接続用配線まで引き出し配線Lr(0)に沿うように設けられる。ダミー引き出し配線11は、端子12に接続される。
【0028】
また、検出エリア8の外周に隣接する引き出し配線が無い領域では、図4に示されるように、検出エリア8の外周に隣接してダミー引き出し配線11が布設されている。さらに、ダミー引き出し配線11は端子12に接続されている。
【0029】
従って、最も外側の列方向束配線6及び行方向束配線の更に外側には、必ず、引き出し配線、もしくはダミー引き出し配線11が、検出エリア8の外周を囲うように隣接して配置されている。
【0030】
次に、図5を参照して、タッチスクリーン1の層構成を記載する。タッチスクリーン1の上面層は、透明なガラス材料又は透明な樹脂から成る透明基板13(以下「ベース基板13」と記載する。)であり、ベース基板13の裏面上には、ITO等の透明配線材料もしくはアルミニウム等の金属配線材料から成る複数本の検出用列配線2が形成される。
【0031】
ここでは、図示の便宜上、各検出用列配線2は、既述したジグザグパターンの構造を有する様に、図示されてはいない。更に、ベース基板13の裏面上には、全検出用列配線2を被覆する様に、シリコン窒化膜又はシリコン酸化膜等の透明な層間絶縁膜14が形成され、層間絶縁膜14の裏面上に、ITO等の透明配線材料もしくはアルミニウム等の金属配線材料から成る複数本の検出用行配線3が形成される。ここでも、図示の便宜上、各検出用行配線3は、既述したジグザグパターンの構造を有する様に、図示されてはいない。
【0032】
本実施の形態では、検出用列配線2および検出用行配線3をアルミニウム系合金とその窒化層との多層構造を用いた。
【0033】
アルミニウム系合金を用いることで配線抵抗を小さくでき、かつ反射率の小さいアルミニウム系合金の窒化層との多層構造にすることでタッチスクリーンの透過率を大きくすることができる。
【0034】
尚、検出用列配線2と検出用行配線3との配設位置を逆に設定して、ベース基板13の裏面上に検出用行配線3を形成し、層間絶縁膜14の裏面上に検出用列配線2を形成しても良い。また、ダミー引き出し配線が検出用行配線と同層の配線のみの構成、検出用列配線と同層の配線のみの構成、両方が混在する構成にしてもよい。
【0035】
図6は、本実施の形態に係るタッチパネルの全体構成を模式的に示した図である。タッチスクリーン1の各端子12(図6には図示せず。)に、FPC(Flexible Printed Circuit)17の対応する端子が、ACF(Anisotropic Conductive Film)等を用いることにより実装される。このFPC17を介して、タッチスクリーン1の束配線の端部とコントローラ基板18とが電気的に接続されることにより、図1〜図5に例示したタッチスクリーン1は、タッチパネルの主要構成要素として機能する。又、コントローラ基板18には、(1)複数の検出用列配線2の各々及び複数の検出用行配線3の各々を順次に選択するスイッチ回路(図示せず。)と、(2)上記スイッチ回路により選択された検出用列配線2と指示体との間に形成される静電容量及び上記選択スイッチ回路により選択された検出用行配線と指示体との間に形成される静電容量から成るタッチ容量の検出結果に基づいて、指示体のタッチ位置のタッチスクリーン1上に於けるタッチ座標の算出処理を行う検出処理回路19とが、搭載されている。
【0036】
そして、検出処理回路19によって算出された指示体のタッチ位置のタッチスクリーン1上に於けるタッチ座標の値は、検出座標データとして、外部のコンピュータ(図示せず。)等に出力される。
【0037】
図7は、本実施の形態に係るタッチパネルに於ける静電容量検出・タッチ座標算出系の回路構成を示すブロック図である。
【0038】
図7において、図6に示す検出処理回路19は、スイッチ回路20,静電容量検出回路21、タッチ位置算出回路22、を含み、これら各構成要素20,21,22を制御する検出制御回路23が設けられる。また、静電容量検出回路21の検出端にはバッファ回路24の入力端が接続される。ここで例えば、静電容量検出回路として、RC時定数により発振周期変化を検出する弛張発振器を用いる場合には、抵抗素子と容量素子との接続点が検出端となる。また定電流を容量素子へ充電する時間を発振周期とする場合には、定電流源と容量素子との接続点が検出端となる。
【0039】
各列方向束配線6の一端は、引き出し配線Lc(0)、・・・、Lc(m-1)、端子12を介してスイッチ回路20に接続され、行方向束配線7の一端は、引き出し配線Lr(0)、・・・、Lr(n-1)、端子12を介してスイッチ回路20に接続されている。
【0040】
そして、スイッチ回路20は、図8に示すように、列方向束配線6及び行方向束配線7の各束配線毎に2:1に接続を切替えるアナログ・マルチプレクサ回路27を含む。列方向束配線6及び行方向束配線7の各束配線は、それと対応したスイッチ回路20のアナログ・マルチプレクサ回路27により、静電容量検出回路21の検出端またはバッファ回路24の出力端との接続が切替えられる。なお、アナログ・マルチプレクサ回路27もスイッチ回路と称することがある。
【0041】
このように、スイッチ回路20を構成するアナログ・マルチプレクサ回路27は、検出制御回路23から出力される制御信号の指示に応じてその接続を選択し、列方向束配線6及び行方向束配線7のなかから1束配線ずつ、静電容量検出回路21との接続を順次切り替える。すなわち、静電容量回路21との接続が選択された1つの束配線が選択束配線として検出対象となるが、それ以外の非選択束配線はバッファ回路24の出力に接続される。
【0042】
そして、静電容量検出回路21から出力される各束配線に対応した静電容量検出結果は後段のタッチ座標算出回路22に入力され、静電容量検出結果に基づいて指示体のタッチ座標が算出される。このタッチ座標算出には、所定閾値を超える検出値となる束配線がある場合に、これと隣接する束配線の検出値も用いて、束配線の間の座標を補間演算して求める。このタッチ座標算出においては、各束配線に対応した検出値の偏差が小さいことが望ましい。そのため、バッファ回路24は静電容量検出回路21の検出端に現れる電位をバッファリングして、非選択束配線に印加する。
【0043】
これにより、選択束配線と非選択束配線をほぼ同電位とすることで、両束配線の間に形成されるカップリング容量の影響を低減することができる。同様に、選択束配線に接続される引き出し配線とそれ以外の束配線に接続される引き出し配線との間のカップリング容量の影響も低減される。
【0044】
図9は、本実施の形態に係る液晶表示装置の縦断面構成を示す図である。液晶表示パネル41は、ガラス基板上にカラーフィルタ、ブラックマトリックス、透明電極、及び配向膜が形成されて成るカラーフィルタ基板44と、ガラス基板上にスイッチング素子であるTFT(薄膜トランジスタ)等が形成されて成るTFTアレイ基板46と、両基板44,46間に挟持されたTN液晶から成る液晶層45と、粘着層47によりTFTアレイ基板46の後面側に粘着された偏光板48とを備えている。更に、カラーフィルタ基板44の前面上には、粘着層43により、偏光板42が粘着されている。又、液晶表示パネル41の背面側には、光源であるバックライト49が配設されている。
【0045】
他方で、本実施の形態に係るタッチスクリーン1が、粘着層40により、液晶表示パネル41の前面側の偏光板42に粘着されている。
【0046】
TFTアレイ基板46には、外部のドライバ回路(図9に図示せず。)から、表示する画像に応じた信号が入力され、それに応じて、画素毎に形成されたTFTによるスイッチング素子を介して、液晶層45の印加電圧を制御して、その液晶分子の配列方向を変化させる。バックライト49からの入射光は、偏光板48を通過して直線偏光の光となり、液晶層45を通過することにより表示する画像信号に応じて振動方向が曲げられて、カラーフィルタ基板44に形成されたカラーフィルタを通過することにより三原色の光に分離され、更に前面側の偏光板42を通過することで、画像信号に応じた光強度を有する光となる。そして、更に、偏光板42を通過した光がその前面にあるタッチスクリーン1を通過して表示光として使用者に視認される。
【0047】
この様にして、画像信号に応じてバックライト49からの光の透過率を制御することで、液晶表示装置は所望の表示を行う。又、タッチスクリーン1を含むタッチパネルは、実施の形態1と同様に、静電容量検出結果の変化に基づきタッチ座標を算出して、そのタッチ座標を出力する。
【0048】
このとき、タッチスクリーン1では、束配線を複数の検出用配線から構成して、検出用配線の間のスリット状開口部の面積を大きく設定することで、表示光の透過率の低下を抑制しているので、偏光板42を通過した光の殆どはタッチスクリーン1を通過して表示光となる。このため、タッチスクリーン1が液晶表示パネル41の前面に配設されていても、表示輝度を殆ど低下させることがない。
【0049】
なお、STN液晶等のTN液晶以外の液晶を用いても、本実施の形態と同様に、液晶表示装置を構成することが可能である。
【0050】
本実施の形態では、表示装置として液晶表示装置を記載したが、有機又は無機のEL表示装置やPDP装置等の他方式の表示装置であっても、同様に本実施の形態で記載したタッチパネルを備える表示装置を構成することが可能である。
【0051】
つぎに、本実施の形態に係る効果を説明する。
液晶表示パネルの前面側の偏光板に粘着されたタッチパネルにおいて、本実施の形態によるダミー引き出し配線11が設けられていなければ、最も外側の引き出し配線には片側に引き出し配線が無く、さらに最も外側の束配線の片側にも束配線が無いため、隣接配線とのカップリング容量が生じない分、液晶表示パネルの対向電極や金属フレーム等とのカップリング容量(以下、接地容量と記す。)が生じ、余分な寄生容量となる。
【0052】
本実施の形態ではダミー引き出し配線11を設けたことによって、最も外側の引き出し配線が、それ以外の引き出し配線と同様に両側でカップリング容量を形成するため、引き出し配線の接地容量の偏差が低減される。さらに、最も外側の束配線の外側には、必ず引き出し配線もしくはダミー引出し配線が配置されており、それ以外の束配線と同様に両側でカップリング容量を形成するため、束配線の接地容量の偏差が低減される。
【0053】
図10〜図13に本実施の形態のタッチパネルを供えた表示装置において、引き出し配線と束配線をそれぞれ独立に効果を確認するため、3次元容量抽出シミュレータ用いて接地容量を計算した結果を示す。なお、比較例としてダミー引き出し配線11が設けられていない場合の計算結果も併せて示した。また、例として行方向束配線6を42本(m=42)、列方向束配線7を32本(n=32)に設定した。また、計算において、すべての引き出し配線の面積が一定となるように、各引き出し配線の幅を調整した。また、検出用列配線2をベース基板13の裏面上に、検出用行配線3とダミー引き出し配線11を層間絶縁膜14の裏面上に設定した。また、ダミー引き出し配線11の形状は図3に示すようなベタパターンに設定した。
【0054】
図10は列方向束配線6に接続される、各引き出し配線Lc(0)、・・・、Lc(41)の接地容量を示している。ダミー引き出し配線11の有無によらず、ほぼ一定値となっている。本実施の形態においては、列方向束配線6に接続されるすべての引き出し配線は、ダミー引き出し配線11が無くても両側に引き出し配線があるため、接地容量の偏差が生じない。
【0055】
図11は各列方向束配線Wc(0)、・・・、Wc(41)の接地容量を示している。最も外側の列方向束配線Wc(0)とWc(41)の接地容量は、ダミー引き出し配線11が無ければ増加するが、ダミー引き出し配線11が配置されることによって、それ以外の列方向束配線と同程度まで低減され、接地容量の偏差を小さくできることが判る。
【0056】
図12は行方向束配線7に接続される、各引き出し配線Lr(0)、・・・、Lr(31)の接地容量を示している。ダミー引き出し配線11が無ければ、引き出し配線Lr(9)から外側に向かって接地容量が増加し、最も外側の引き出し配線Lr(0)で増加量が最大となるが、これらの引き出し配線はダミー引き出し配線11が配置されることによって、引き出し配線Lr(9)より内側の引き出し配線と同程度まで低減され、接地容量の偏差を小さくできることが判る。
【0057】
図13は各行方向束配線Wr(0)、・・・、Wr(31)の接地容量を示している。最も外側の列方向束配線Wr(0)とWr(31)の接地容量は、ダミー引き出し配線11が無いと増加する。ただし、図1のようにWr(31)の外側の一部には引き出し配線が配置されているため、接地容量がWr(0)ほど増加しない。増加した接地容量は、ダミー引き出し配線11が配置されることによって、それ以外の列方向束配線と同程度まで低減され、接地容量の偏差を小さくできることが判る。
【0058】
また、検出用列配線2とダミー引き出し配線11をベース基板13の裏面上に、検出用行配線3を層間絶縁膜14の裏面上に設定した場合でも、上記同様の効果が得られた。
【0059】
また、検出用行配線3をベース基板13の裏面上に、検出用列配線2とダミー引き出し配線11を層間絶縁膜14の裏面上に設定した場合でも、上記同様の効果が得られた。
【0060】
本実施の形態ではダミー引き出し配線11を設けたことによって、最も外側の引き出し配線は、ダミー引き出し配線11と内側の引き出し配線とに挟まれる。そのため、最外側の引き出し配線と、それより内の引き出し配線とを比較した場合に、それぞれに加わる接地容量はほぼ等しくなる。また、最も外側の束配線のさらに外側には、必ず引き出し配線もしくはダミー引出し配線が配置されており、それ以外の束配線と同様に両側でカップリング容量を形成するため、束配線の接地容量の偏差が低減される。
【0061】
以上の通り、本実施の形態に記載した構造を採用することによって、引き出し配線および検出用配線を含めた静電容量検出回路に接続される配線の静電容量の偏差を抑制することができ、検出感度偏差を抑えることが可能となる。
【0062】
さらに、本実施の形態のタッチスクリーンを用いることで、隣接間の静電容量のオフセットを無くしたタッチスクリーンを用いることができ、駆動電圧が相互容量、すなわち行列配線間容量と既知の基準容量によって容量分割された電圧が差動増幅器の入力に印加される容量測定回路を適用する場合、検出誤差のないタッチパネル機能を有した表示装置を得ることができる。
【0063】
また、タッチスクリーンを表示パネルと貼り付けて一体化して表示装置を構成したので、従来必要であったタッチスクリーンの保持機構を無くすことができ、装置全体を薄くすることが可能となる。また、タッチスクリーンと表示パネルとが一体化して構成されるので、タッチスクリーンと表示パネルとの間隙にゴミ等が混入することによって生じる表示への悪影響を防止することができる。
【0064】
実施の形態2.
本実施形態の特徴点は、実施の形態1に係るタッチスクリーン1の構成を採用した上で、ダミー引き出し配線11がメッシュパターンで形成され、さらにベース基板13を液晶基板に貼り付ける際に、ベース基板13を接着する紫外線硬化型粘着シートを、全ての引き出し配線を覆うように設定する点にある。以下、この形態を説明する。
【0065】
図14は本実施の形態において、引き出し配線及びダミー引き出し配線の構成を理解し易くするために引き出し配線及びダミー引き出し配線を拡大化して模式的に示したタッチスクリーンの一部分の平面図である。引き出し配線は実施の形態1と同様に構成される。ダミー引き出し配線は実施の形態1ではベタパターンを形成したが、本実施の形態では図14のようにメッシュパターンを形成した。
【0066】
後述する紫外線硬化型粘着シートを硬化する処理において、基板の裏側からの紫外線を遮断しないため効率良く硬化でき、紫外線硬化型粘着シートの剥がれを抑制できる。さらに、タッチスクリーン外周で外光などによる反射を抑制でき、見栄えを改善できる。
【0067】
図15は、本実施の形態に係る表示装置に於ける紫外線硬化型粘着シート30とタッチスクリーン1の構成を模式的に示す平面図である。また、図16は、引き出し配線9、10と端子12及び粘着シール30の構成をより理解し易くするために図15において、符号Cで示した点線で囲んだ領域を拡大化して模式的に透視して示したタッチスクリーン1の一部分の平面図である。
【0068】
図15に示すように、紫外線硬化型粘着シート30は引き出し配線9、10およびダミー引き出し配線11を全て覆うように設置される。このようにすることで、引き出し配線上に紫外線硬化型粘着シートが存在する領域と空気が存在する領域での引き出し配線間の静電容量の差が生じなくなる。
【0069】
ただし、図16に示すように、引き出し配線9、10の配線立ち上がり領域31は紫外線硬化型粘着シート30に覆われなくてもよい。配線立ち上がり領域31が粘着シート30に覆われていなくても、すべての引き出し配線において引き出し配線上に空気が存在する領域が同等であるため、引き出し配線間の寄生容量差が生じないからである。
【0070】
このようにベース基板13でタッチパネルを保護する場合、ダミー引き出し配線11がメッシュパターンで形成され、さらにベース基板13を接着するための粘着シート30を全ての引き出し配線を覆うように設定することが望ましい。本実施の形態ではダミー引き出し配線11がメッシュ状であった場合について記載したが、これに限定されるものではなく、紫外線を遮断しない形状であれば良い。また、ベース基板13を接着するのに紫外線硬化型粘着シートを用いたが、紫外線硬化樹脂を充填して接着しても良い。
【0071】
つぎに、本実施の形態に係る効果を説明する。
本実施の形態ではダミー引き出し配線11をメッシュパターンにすることで、外光などにより反射を低減し、かつ紫外線硬化型粘着シール30を硬化するときに紫外線を遮断させないようにして紫外線硬化型粘着シール30を効率良く硬化できるようにしたが、ダミー引き出し配線11をメッシュパターンにした場合でも実施の形態1と同様に接地容量を低減できるか調べた。また、紫外線硬化型粘着シール30を全ての引き出し配線覆うことによって引き出し配線間の寄生容量差を生じさせないようにしたが、その効果を定量的に調べた。
【0072】
図17および図18に本実施の形態のタッチパネルを供えた表示装置において、引き出し配線の接地容量を3次元容量抽出シミュレータ用いて計算した結果を示す。なお、比較例として実施の形態1のように、ダミー引き出し配線11をベタパターンで設けた場合の計算結果も併せて示した。
【0073】
図17は列方向束配線6に接続される、各引き出し配線Lc(0)、・・・、Lc(41)の接地容量を示している。ダミー引き出し配線11がベタ状である場合と同様にメッシュ状である場合でも、接地容量がほぼ一定値となっている。
【0074】
図18は行方向束配線7に接続される、各引き出し配線Lr(0)、・・・、Lr(31)の接地容量を示している。ダミー引き出し配線11がベタ状である場合と同様にメッシュ状である場合でも接地容量がほぼ一定値となり、実施の形態1と同様に接地容量の偏差が小さくなることが判る。
【0075】
また、図19に紫外線硬化型粘着シールで引き出し配線を全て覆ったときの、行方向束配線7に接続される、各引き出し配線Lr(0)、・・・、Lr(31)の静電容量を3次元容量抽出シミュレータ用いて計算した結果を示す。
【0076】
なお、比較例として図20に示すように、紫外線硬化型粘着シートで、引き出し配線Lr(14)を含む引き出し配線Lr(14)より内側の引き出し配線が全て覆われ、引き出し配線Lr(13)を含む引き出し配線Lr(13)より外側の引き出し配線はすくなくとも紫外線硬化型粘着シートで覆われていない部分がある場合の静電容量についても併せて示した。
【0077】
紫外線硬化型粘着シートよりも空気の誘電率のほうが小さいため、比較例において、紫外線硬化型粘着シートに覆われていない(空気層に覆われている)領域にある引き出し配線間のカップリング容量が、紫外線硬化型粘着シートに覆われている領域にある引き出し配線間のカップリング容量よりも小さくなるため、静電容量が小さくなる。
【0078】
そのため、比較例において引き出し配線Lr(13)より外側の引き出しの容量は、引き出し配線Lr(14)より内側の引き出し配線と比べて小さくなり、静電容量の偏差が生じるが、紫外線硬化型粘着シートで引き出し配線を全て覆った場合の静電容量はほぼ一定値となり、静電容量の偏差は生じない。
【0079】
以上の通り、本実施の形態に記載した構造を採用することによって、効率的にベース基板を接着できることによって剥がれを抑制し、且つ、外光等による反射を抑制することで見栄えを改善し、且つ、引き出し配線の静電容量の偏差を実施の形態1と同様に抑制することによって検出感度偏差を抑えることが可能となる。
【0080】
なお、上述した実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと解されるべきである。本発明の範囲は、上述した実施形態の範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0081】
1 タッチスクリーン、2 検出用列配線、2a,2b, ジグザグパターン、
3 検出用行配線、3a,3b ジグザグパターン、4 接続用配線、5 接続用配線、
6 列方向束配線、7 行方向束配線、8 検出エリア、9,10 引き出し配線、
11 ダミー引き出し配線、12 端子、13 ベース基板、14 層間絶縁膜、
17 FPC、18 コントローラ基板、19 検出処理回路、20 スイッチ回路、
21 静電容量検出回路、22 タッチ位置算出回路、23 検出制御回路、
24 バッファ回路、27 アナログ・マルチプレクサ回路、
30 紫外線硬化型粘着シート、31 配線立ち上がり領域、41 液晶表示パネル、
44 カラーフィルタ基板、45 液晶層、46 TFTアレイ基板、47 粘着層、
48 偏光板、49 バックライト、 Lc(0)〜Lc(m−1) 列方向束配線用引き出し配線、 Lr(0)〜Lr(m−1) 行方向束配線用引き出し配線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板に、列方向に延在した複数の検出用列配線と行方向に延在した複数の検出用行配線とが立体的に交差する様に配設された検出エリアと、
外部装置に対して電気的に接続可能に設けられた端子と、
前記複数の検出用行配線および検出用列配線と前記端子とを電気的に接続する複数の引き出し配線と、を有するタッチスクリーンであって、
前記複数の引き出し配線は互いに近接して引き回されて配置され、
近接配置された前記複数の引き出し配線の最も外側の引き出し配線の更に外側に沿って設けられ、一端が前記端子と電気的に接続されたダミー引き出し配線を備え、
さらに、前記検出エリアの外周は、前記引き出し配線または前記ダミー引き出し配線によって隣接して囲まれていることを特徴とするタッチスクリーン。
【請求項2】
ダミー引き出し配線はメッシュパターンで構成されることを特徴とする請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項3】
検出エリアの一部は、近接配置された複数の引き出し配線の一端側の引き出し配線に近接して囲まれ、検出エリアの残部はダミー引き出し配線により囲まれ、
さらに、近接配置された複数の引き出し配線の他端側は、ダミー引き出し配線が近接して配置された請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項4】
ダミー引き出し配線は、検出用行配線又と同層の配線、もしくは検出用列配線と同層の配線、または前記検出用行配線と同層の配線及び前記検出用列配線と同層の配線の両方を用いて構成されることを特徴とする請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項5】
検出用行配線および検出用列配線は、共にアルミニウム系合金とアルミニウム系合金の窒化層との多層構造から成ることを特徴とする請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載のタッチスクリーンと、
複数の検出用列配線の各々及び複数の検出用行配線の各々を順次に選択するスイッチ回路と、
前記スイッチ回路により選択された前記検出用列配線と前記タッチスクリーンのベース基板の表面にタッチした指示体との間に形成される静電容量、及び前記選択スイッチ回路により選択された検出用行配線と前記指示体との間に形成される静電容量から成るタッチ容量の検出結果に基づいて、前記指示体のタッチ位置の前記タッチスクリーンに於けるタッチ座標の算出処理を行う検出処理回路と、
を備えることを特徴とするタッチパネル。
【請求項7】
請求項6に記載のタッチパネルを有する表示パネルを備えることを特徴とする表示装置。
【請求項8】
タッチスクリーンが表示パネルの前面側に粘着されていることを特徴とする請求項7記載の表示装置。
【請求項9】
タッチスクリーンと表示パネルとを貼り付ける粘着シートが、前記タッチスクリーンを平面視したときに、引き出し配線のすべて覆うように貼り付けられることを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項1】
ベース基板に、列方向に延在した複数の検出用列配線と行方向に延在した複数の検出用行配線とが立体的に交差する様に配設された検出エリアと、
外部装置に対して電気的に接続可能に設けられた端子と、
前記複数の検出用行配線および検出用列配線と前記端子とを電気的に接続する複数の引き出し配線と、を有するタッチスクリーンであって、
前記複数の引き出し配線は互いに近接して引き回されて配置され、
近接配置された前記複数の引き出し配線の最も外側の引き出し配線の更に外側に沿って設けられ、一端が前記端子と電気的に接続されたダミー引き出し配線を備え、
さらに、前記検出エリアの外周は、前記引き出し配線または前記ダミー引き出し配線によって隣接して囲まれていることを特徴とするタッチスクリーン。
【請求項2】
ダミー引き出し配線はメッシュパターンで構成されることを特徴とする請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項3】
検出エリアの一部は、近接配置された複数の引き出し配線の一端側の引き出し配線に近接して囲まれ、検出エリアの残部はダミー引き出し配線により囲まれ、
さらに、近接配置された複数の引き出し配線の他端側は、ダミー引き出し配線が近接して配置された請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項4】
ダミー引き出し配線は、検出用行配線又と同層の配線、もしくは検出用列配線と同層の配線、または前記検出用行配線と同層の配線及び前記検出用列配線と同層の配線の両方を用いて構成されることを特徴とする請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項5】
検出用行配線および検出用列配線は、共にアルミニウム系合金とアルミニウム系合金の窒化層との多層構造から成ることを特徴とする請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載のタッチスクリーンと、
複数の検出用列配線の各々及び複数の検出用行配線の各々を順次に選択するスイッチ回路と、
前記スイッチ回路により選択された前記検出用列配線と前記タッチスクリーンのベース基板の表面にタッチした指示体との間に形成される静電容量、及び前記選択スイッチ回路により選択された検出用行配線と前記指示体との間に形成される静電容量から成るタッチ容量の検出結果に基づいて、前記指示体のタッチ位置の前記タッチスクリーンに於けるタッチ座標の算出処理を行う検出処理回路と、
を備えることを特徴とするタッチパネル。
【請求項7】
請求項6に記載のタッチパネルを有する表示パネルを備えることを特徴とする表示装置。
【請求項8】
タッチスクリーンが表示パネルの前面側に粘着されていることを特徴とする請求項7記載の表示装置。
【請求項9】
タッチスクリーンと表示パネルとを貼り付ける粘着シートが、前記タッチスクリーンを平面視したときに、引き出し配線のすべて覆うように貼り付けられることを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−80425(P2013−80425A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221076(P2011−221076)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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