説明

タッチスクリーン装置

【課題】縮小化を図ると共に、防水性を高めたタッチスクリーン装置を提供する。
【解決手段】タッチスクリーン装置10は、操作者の入力操作を検知するタッチセンサ12と、タッチセンサの一面を覆うカバー11と、タッチセンサに電気的に接続された回路基板13と、を備える。タッチセンサは開口12aを有している。回路基板は開口を通っている。これにより、タッチセンサ上に形成する第1接着材14を平面的かつ一体的に形成することができる。すなわち、カバー、タッチセンサ、筐体及び第1接着材の間における隙間の形成を防止することができ、タッチスクリーン装置の防水性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイへの接触により入力操作するタッチスクリーン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯型電子機器において、多機能化に伴う表示画面の大型化及び高度情報表示化が携帯性を損なうことのない大きさを維持しながら進行している。同時に、多様な機能に利便性を兼ね備えるべく、入出力インタフェースの利便性が追求されている。そこで、これらの要求に応えるため、表示画面に接触することで入力操作を実施するタッチスクリーン装置を有する電子機器が増加している(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の電子機器は、押圧された位置を検出する検出面の一端に検出面よりも低くなった段差部が形成され、電圧を供給するための配線部材が段差部に取り付けられたタッチパネルを、画像を表示する表示手段の前面に設け、検出面の押圧によって各種の操作が入力される電子機器であり、段差部に設けられ、配線部材の取り付け部分を覆って保護するとともに、検出面と略面一になって段差部を埋める保護部材と、検出面を露呈させるための透明領域と、保護部材を覆い隠す不透明領域とを有し、検出面と保護部材の表面とに貼り付けられて検出面を装飾するシート部材と、シート部材と略同一の形状に形成された開口を有する筐体と、筐体に設けられ、シート部材の表面と筐体の外面とを略面一にして開口を塞ぐようにタッチパネルを筐体に取り付けるための取付部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−176261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下の分析は、本発明の観点から与えられる。
【0006】
図5〜図11に、本発明が解決しようとする課題を説明するための図面を示す。
【0007】
図5は、第1背景技術に係るタッチスクリーン装置の概略斜視図である。図6に、図5に示すタッチスクリーン装置の概略平面図を示す。図7に、図6に示すVII−VII線における概略断面図を示す。図8に、図6に示すVIII−VIII線における概略断面図を示す。図9は、第2背景技術に係るタッチスクリーン装置の概略斜視図である。図10に、図9に示すタッチスクリーン装置の概略平面図を示す。図11に、図10に示すXI−XI線における概略断面図を示す。図5、図6、図9及び図10は、例えば、タッチスクリーン装置を備える電子機器において、電子機器の内部側(ディスプレイモジュール側)からタッチスクリーン装置の内側(カバー側)を見た図面である。図5、図6、図9及び図10において、図7、図8及び図11に示す筐体の図示は省略してある。図5〜図7及び図9〜図11において、ディスプレイモジュールの図示は省略してある。図5において第2接着材の図示は省略してあり、図9において第4接着材の図示は省略してある。
【0008】
第1背景技術に係るタッチスクリーン装置50は、カバー51と、タッチセンサ52と、タッチセンサ52の端部に電気的に接続された回路基板53と、カバー51を筐体56に接合するための第1接着材54と、カバー51とタッチセンサ52とを接合する第2接着材55と、ディスプレイモジュール57と、を備える。
【0009】
第1背景技術に係るタッチスクリーン装置50においては、カバー51の輪郭は、タッチセンサ52の輪郭よりも大きく、タッチセンサ52の外側で筐体56と接合されている。したがって、第1接着材54は、タッチセンサ52及び回路基板53を取り囲むように、周囲においてカバー51上に形成されている。すなわち、筐体56は、タッチセンサ52ではなく、第1接着材54を介してカバー51と接合されている。このため、カバー51は、タッチセンサ52と接合するための領域と、筐体56と接合するための領域(接合しろ)とを必要とし、筐体56と接合するために図8に示す長さLに相当する分サイズを大きくせざるを得ない。
【0010】
第2背景技術に係るタッチスクリーン装置60は、カバー61と、タッチセンサ62と、タッチセンサ62の端部に電気的に接続された回路基板63と、タッチセンサ62を筐体66に接合するための第1接着材64aと、カバー61を筐体66に接合するための第2〜第3接着材64b,64cと、カバー61とタッチセンサ62とを接合する第4接着材65と、ディスプレイモジュール57と、を備える。
【0011】
第2背景技術に係るタッチスクリーン装置60において、タッチセンサ62の輪郭はカバー61より小さい。筐体66は、タッチセンサ62及びカバー61の両方と接合されている。このため、筐体66とタッチセンサ62及びカバー61とを接合するための第1〜第3接着材64a〜64cは分離されている。第1接着材64aはタッチセンサ62の周縁に沿って形成されている。第2接着材64bは、回路基板63を囲むように形成されている。また、第2及び第3接着材64b,64cはカバー61上に形成されているのに対し、第1接着材64aは、カバー61上に配された第4接着材65及びタッチセンサ62上に形成されているので、第1接着材64aと第2及び第3接着材64b,64cの高さは一致していない。したがって、第2及び第3接着材64b,64cと、タッチセンサ62等、カバー61及び筐体66で囲まれた領域(図11に示す楕円領域)には隙間67が生じることになる。このような隙間67は、タッチスクリーン装置60の防水性を低下させることになる。また、第2及び第3接着材64b,64cを厚くして第1接着材64aの高さに合わせようとしても、第2及び第3接着材64b,64cが潰れることによって十分な密閉性を確保することはできない。
【0012】
したがって、第1背景技術及び第2背景技術に係るタッチスクリーン装置50,60は、大サイズ及び低防水性という問題を有している。
【0013】
特許文献1に記載の電子機器においても、配線部材はタッチパネルの端部に接続されている。そして、配線部材やタッチパネルに対する防水対策は何ら採られていない。したがって、特許文献1に記載の電子機器は、図9〜図11に示すタッチスクリーン装置と同様にして防水性の低い構造となっている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1視点によれば、操作者の入力操作を検知するタッチセンサと、タッチセンサの一面を覆うカバーと、タッチセンサに電気的に接続された回路基板と、を備えるタッチスクリーン装置が提供される。タッチセンサは開口を有している。回路基板は開口を通っている。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以下の効果のうち少なくとも1つを有する。
【0016】
本発明においては、タッチセンサは回路基板を取り囲むように形成されている。これにより、タッチセンサ上に形成する第1接着材を平面的かつ一体的に形成することができる。すなわち、カバー、タッチセンサ、筐体及び第1接着材の間における隙間の形成を防止することができ、タッチスクリーン装置の防水性を高めることができる。
【0017】
また、タッチセンサが回路基板を取り囲むことによって、カバーと筐体とを第1接着材及びタッチセンサを介して接合することができる。これにより、カバーと筐体と接合するための接合しろをカバー自体に形成する必要とがなく、タッチスクリーン装置の縮小化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係るタッチスクリーン装置の概略斜視図。
【図2】図1に示すタッチスクリーン装置の概略平面図。
【図3】図2に示すIII−III線における概略断面図。
【図4】図2に示すIV−IV線における概略断面図。
【図5】第1背景技術に係るタッチスクリーン装置の概略斜視図。
【図6】図5に示すタッチスクリーン装置の概略平面図。
【図7】図6に示すVII−VII線における概略断面図。
【図8】図6に示すVIII−VIII線における概略断面図。
【図9】第2背景技術に係るタッチスクリーン装置の概略斜視図。
【図10】図9に示すタッチスクリーン装置の概略平面図。
【図11】図10に示すXI−XI線における概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
上記第1視点に係るタッチスクリーン装置の好ましい形態を以下に記載する。
【0020】
上記第1視点の好ましい形態によれば、タッチスクリーン装置は、タッチセンサに対してカバーとは反対側に配されたディスプレイモジュールと、ディスプレイモジュールを収容する筐体と、筐体とタッチセンサとを接合する第1接着材と、をさらに備える。カバーは、第1接着材及びタッチセンサを介して筐体と接合されている。第1接着材は、平面的かつ一体的に形成されている。
【0021】
上記第1視点の好ましい形態によれば、第1接着材は開口を取り囲んでいる。
【0022】
上記第1視点の好ましい形態によれば、第1接着材は、枠状であると共に、タッチセンサの輪郭に沿って形成されている。
【0023】
上記第1視点の好ましい形態によれば、タッチセンサとカバーとは、同一形状及び同一の大きさを有する。
【0024】
上記第1視点の好ましい形態によれば、第1接着材は1つの部材で形成されている。
【0025】
上記第1視点の好ましい形態によれば、回路基板は、タッチセンサのカバーに対向する面に接続されると共に、面とは反対側の面の方へ開口から引き出されている。
【0026】
上記第1視点の好ましい形態によれば、タッチスクリーン装置は、タッチセンサの外端と筐体との間に配された配線をさらに備える。
【0027】
本発明の第1実施形態に係るタッチスクリーン装置について説明する。図1に、本発明の第1実施形態に係るタッチスクリーン装置の概略斜視図を示す。図2に、図1に示すタッチスクリーン装置の概略平面図を示す。図3に、図2に示すIII−III線における概略断面図を示す。図4に、図2に示すIV−IV線における概略断面図を示す。図1及び図2は、例えば、タッチスクリーン装置を備える電子機器において、電子機器の内部側(ディスプレイモジュール側)からタッチスクリーン装置の内側(カバー側)を見た図面である。図1及び図2において、図3及び図4に示す筐体の図示は省略してある。図1〜図3において、図4に示すディスプレイモジュールの図示は省略してある。図1において、第2接着材の図示は省略してある。
【0028】
タッチスクリーン装置10は、入力操作する指示体を検知するタッチセンサ12と、ディスプレイモジュール17と、タッチセンサ12やディスプレイモジュール17等の電子機器の各部品を収容する筐体16と、タッチセンサ12やディスプレイモジュール17等を保護するカバー11と、タッチセンサ12と電気的に接続され、タッチセンサ12の電気出力を制御回路(不図示)に接続するための回路基板13と、タッチセンサ12と筐体16とを接合する第1接着材14と、カバー11とタッチセンサ12とを接合する第2接着材15と、操作者に対して情報を表示するディスプレイモジュール17と、を備える。
【0029】
ディスプレイモジュール17は、タッチセンサ12に対してカバー11とは反対側に配置されている。操作者は、ディスプレイモジュール17の表示をカバー11、第2接着材及びタッチセンサ12を通じて認識することになる。
【0030】
カバー11は、タッチセンサ12の一面を覆っており、好ましくは第2接着材15によりタッチセンサ12に接合されている。カバー11は、操作者がタッチセンサ12に対して入力操作できると共に、ディスプレイモジュール17の表示を認識できる透明性を有しているものであればよい。カバー11の材料としては、例えば、ガラス、樹脂等を使用することができる。カバー11は、第1接着材14及びタッチセンサ12を介して筐体16と接合されており、その他の部分で筐体16とは接合されていない。
【0031】
タッチセンサ12は、回路基板13を引き出すための開口12aを有する。開口12aは、操作者がディスプレイモジュール17の表示を視認する領域外に形成されると好ましい。タッチセンサ12の材料としては、カバー11の外形に合わせて加工可能なものであればよく、例えば、ガラス、樹脂等を使用することができる。
【0032】
回路基板13は、例えばフレキシブル基板である。回路基板13は、カバー11に対向する面においてタッチセンサ12と電気的に接続されている。そして、回路基板13は、開口12aを通じてディスプレイモジュール17の方へ引き出されている。
【0033】
タッチセンサ12とカバー11とは、後述の第1接着材14をカバー11上に形成しないですむように、又はカバー11と筐体16とを接合する別の接着材を設けないでも済むように、カバー11と同様の大きさを有すると好ましい。タッチセンサ12とカバー11は、同じ輪郭(外形)及び同じ大きさを有するとより好ましい。
【0034】
第2接着材15は、カバー11とタッチセンサ12とを接合できるものであればよい。第2接着材12は、操作者がディスプレイモジュール17の表示を認識できるように透明性を有すると好ましい。
【0035】
第1接着材14は、タッチセンサ12に平面的に接合されている。第1接着材14は、タッチセンサ12の輪郭(外形)に沿って形成され、タッチセンサ12の開口12aも取り囲んでいる。第1接着材14は、タッチセンサ12及びカバー11の輪郭と同一形状を有すると好ましい。第1接着材14は、好ましくは、切れ目のない枠状の形状を有し、一体的に形成されている。第1接着材14は、タッチセンサ12を筐体16に接合できるものであればよく、例えば、両面テープ、接着剤等を使用することができる。
【0036】
本発明のタッチスクリーン装置においては、回路基板をタッチセンサ12で取り囲んでいる。これにより、第1接着材14は、平面的に形成することができると共に、一体的に、好ましくは1つの部材で形成することができる。また、カバー11とタッチセンサ12とを同じ大きさで形成すれば、第1接着材14をカバー11上に形成する必要はなく、タッチセンサ12面のみに形成することができる。これにより、カバー11、タッチセンサ12、筐体16等で囲まれるような隙間が形成されることを防止することができ、防水性を高めることができる。
【0037】
また、カバー11と筐体16とを第1接着材14によって接合させる場合には、カバー11に第1接着材14を接合するための接合しろを形成する必要がある。しかし、本発明によれば、カバー11は、タッチセンサ12及び第1接着材14を介して筐体16と接合されているので、新たな接合しろを形成する必要がなく、必要面積の縮小化を図ることができる。また、センサ12の外端12bと筐体16との間に形成される隙間(図4に示す楕円領域)に、センサ12に電気的に接続された配線等を収容することができ、デッドスペースの有効活用をすることができる。これにより、タッチスクリーン装置や電子機器の縮小化を図ることができる。
【0038】
本発明のタッチスクリーン装置は、上記実施形態に基づいて説明されているが、上記実施形態に限定されることなく、本発明の範囲内において、かつ本発明の基本的技術思想に基づいて、上記実施形態に対し種々の変形、変更及び改良を含むことができることはいうまでもない。また、本発明の請求の範囲の枠内において、種々の開示要素の多様な組み合わせ・置換ないし選択が可能である。
【0039】
本発明のさらなる課題、目的及び展開形態は、請求の範囲を含む本発明の全開示事項からも明らかにされる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明のタッチスクリーン装置は、携帯電話機、ノート型パソコン、ポータブルゲーム機、ポータブルオーディオ等の種々の電子機器に適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
10 タッチスクリーン装置
11 カバー
12 タッチセンサ
12a 開口
12b 外端
13 回路基板
14 第1接着材
15 第2接着材
16 筐体
17 ディスプレイモジュール
50,60 タッチスクリーン装置
51,61 カバー
52,62 タッチセンサ
53,63 回路基板
54 第1接着材
55 第2接着材
56,66 筐体
57 ディスプレイモジュール
64a〜64c 第1〜第3接着材
65 第4接着材
67 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者の入力操作を検知するタッチセンサと、
前記タッチセンサの一面を覆うカバーと、
前記タッチセンサに電気的に接続された回路基板と、を備え、
前記タッチセンサは開口を有し、
前記回路基板は前記開口を通っていることを特徴とするタッチスクリーン装置。
【請求項2】
前記タッチセンサに対して前記カバーとは反対側に配されたディスプレイモジュールと、
前記ディスプレイモジュールを収容する筐体と、
前記筐体と前記タッチセンサとを接合する第1接着材と、をさらに備え、
前記カバーは、前記第1接着材及び前記タッチセンサを介して前記筐体と接合され、
前記第1接着材は、平面的かつ一体的に形成されていることを特徴とするタッチスクリーン装置。
【請求項3】
前記第1接着材は、前記開口を取り囲んでいることを特徴とする請求項2に記載のタッチスクリーン装置。
【請求項4】
前記第1接着材は、枠状であると共に、前記タッチセンサの輪郭に沿って形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のタッチスクリーン装置。
【請求項5】
前記タッチセンサと前記カバーとは、同一形状及び同一の大きさを有することを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載のタッチスクリーン装置。
【請求項6】
前記第1接着材は1つの部材で形成されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載のタッチスクリーン装置。
【請求項7】
前記回路基板は、前記タッチセンサの前記カバーに対向する面に接続されると共に、前記面とは反対側の面の方へ前記開口から引き出されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のタッチスクリーン装置。
【請求項8】
前記タッチセンサの外端と前記筐体との間に配された配線をさらに備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のタッチスクリーン装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2013−3847(P2013−3847A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134324(P2011−134324)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】