タッチセンサの信号処理回路、およびタッチセンサ
【課題】タッチパネル上でのホバリングの検出時に、十分な感度を得ることができるようにしたタッチセンサの信号処理回路の提供。
【解決手段】この発明は、XラインX1〜X8の中から3つのラインを左側、中央、および右側のラインとして選択し、またはYラインY1〜Y8の中から3つのラインを左側、中央、および右側のラインとして選択する選択回路2と、選択回路2で選択された3つのラインのうち、左側および右側のラインのそれぞれに電圧を供給する駆動回路3と、選択回路2で選択された中央のライン上に生ずる電圧を入力し、この入力電圧を基に、中央のラインと選択回路2で選択された左側のラインとの間の静電容量と、中央のラインと選択回路2で選択された右側のラインとの間の静電容量との差に応じた電圧を出力する電圧検出回路4と、を備える。
【解決手段】この発明は、XラインX1〜X8の中から3つのラインを左側、中央、および右側のラインとして選択し、またはYラインY1〜Y8の中から3つのラインを左側、中央、および右側のラインとして選択する選択回路2と、選択回路2で選択された3つのラインのうち、左側および右側のラインのそれぞれに電圧を供給する駆動回路3と、選択回路2で選択された中央のライン上に生ずる電圧を入力し、この入力電圧を基に、中央のラインと選択回路2で選択された左側のラインとの間の静電容量と、中央のラインと選択回路2で選択された右側のラインとの間の静電容量との差に応じた電圧を出力する電圧検出回路4と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量型のタッチパネルを含むタッチセンサの信号処理回路などに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のタッチパネルを含むタッチセンサに関する発明としては、例えば特許文献1に記載される発明が知られている。
この特許文献1に記載の発明は、第1の方向に延びる複数の第1電極と、第1の方向とは異なる第2の方向に延びる複数の第2電極と、駆動回路と、検出回路と、座標位置演算回路とを有している。
【0003】
駆動回路は、複数の第1電極の中から2つの第1電極を順次選択し、当該選択された2つの第1電極の一方に基準電圧よりも高電位の電圧を、他方に基準電圧を供給する。また、検出回路は、選択した第2電極と高電位の電圧が供給された第1電極との間の静電容量Aと、選択した第2電極と基準電圧が供給された第1電極との間の静電容量Bとの間の容量差(A−B)を検出する。さらに、座標位置演算回路は、選択された第1電極および第2電極の位置と、容量差(A−B)に基づき観察者のタッチパネルへのタッチ位置を演算する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−15489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の発明によれば、観察者のタッチパネルへのタッチ位置を検出する場合には実用的である。
しかし、タッチパネル上における指の接近状態を検出すること、言い換えるとタッチパネル上でのホバリングを検出するためには十分な感度が得られないという課題がある。
そこで、本発明の目的は、タッチパネル上でのホバリングの検出時に、十分な感度を得ることができるようにしたタッチセンサの信号処理回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決して本発明の目的を達成するために、本発明は、以下のように構成される。
第1の発明は、複数の第1のラインと、前記複数の第1のラインと絶縁層を介して交差するように配置される複数の第2のラインと、を備えるタッチパネルを含むタッチセンサの信号処理回路であって、前記複数の第1のラインの中から駆動ラインと検出ラインとを少なくとも1つずつ選択し、または前記複数の第2のラインの中から駆動ラインと検出ラインとを少なくとも1つずつ選択する選択部と、前記選択部で選択された駆動ラインおよび検出ラインの中から、予め定めた駆動ラインと検出ラインとの間で形成される2つの静電容量の差を検出する容量検出部と、を備える。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において、前記選択部は、前記複数の第1のラインの中から少なくとも3つのラインを選択し、または前記複数の第2のラインの中から少なくとも3つのラインを選択する。
【0008】
第3の発明は、第2の発明において、前記容量検出部は、前記選択部で選択された少なくとも3つのラインの中から予め定めた少なくとも2つの駆動ラインに電圧をそれぞれ供給する駆動回路と、前記選択部で選択された少なくとも3つのラインの中から予め定めた検出ライン上に生ずる電圧を入力し、当該入力電圧を基に、前記検出ラインと前記選択部で選択された前記駆動ラインの中から予め定めた一の駆動ラインとの間の静電容量と、前記検出ラインと前記駆動ラインの中から予め定めた他の駆動ラインとの間の静電容量との差に応じた電圧を出力する電圧検出回路と、を備える。
【0009】
第4の発明は、第2の発明において、予め定めた静電容量を有する第1のコンデンサと第2のコンデンサとをさらに備え、前記容量検出部は、前記選択部で選択された少なくとも3つのラインの中から予め定めた駆動ラインに電圧を供給し、かつ、前記第1のコンデンサおよび前記第2のコンデンサの各一端に電圧を供給する駆動回路と、第1の入力端子と第2の入力端子とを有し、前記第1および第2の入力端子のそれぞれは、前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサとの各一端に接続され、かつ、前記第1および第2の入力端子のそれぞれに、前記選択部で選択された少なくとも3つのラインの中から予め定めた一の検出ライン上に生ずる電圧と他の検出ライン上に生ずる電圧をそれぞれ入力し、当該入力した両電圧を基に、前記駆動ラインと前記一の検出ラインとの間の容量値と、前記駆動ラインと前記他の検出ラインとの間の容量値との差に応じた電圧を出力する電圧検出回路と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
このような構成の本発明では、タッチパネル上でのホバリングの検出において、交差していない複数の第1のラインあるいは複数の第2のラインのいずれかを使用するようにした。このため、タッチパネル上のホバリングの検出時において、十分な感度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態が適用されるタッチセンサの構成を示すブロック図である。
【図2】図1の選択回路の具体的な構成を示す回路図である。
【図3】図1の駆動回路の具体的な構成を示す回路図である。
【図4】図1の電圧検出回路の具体的な構成を示す回路図である。
【図5】第1実施形態の動作を説明する図であり、(A)は状態1の動作、(B)は状態2の動作を示す。
【図6】図1のタッチパネルの具体的な構成を示す平面図である。
【図7】ライン間の電気力線の分布例を示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態が適用されるタッチセンサの構成を示すブロック図である。
【図9】図8の選択回路の具体的な構成を示す回路図である。
【図10】図8の電圧検出回路の具体的な構成を示す回路図である。
【図11】第2実施形態の動作を説明する図であり、(A)は状態1の動作、(B)は状態2の動作を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態の構成)
図1は、本発明の第1実施形態が適用されるタッチセンサの構成を示すブロック図である。
第1実施形態が適用されるタッチセンサは、図1に示すように、タッチパネル1と、選択回路2と、駆動回路3と、電圧検出回路4と、A/D変換回路5と、ホバリング検出回路6と、制御回路8と、アドレス生成回路9と、メモリ10と、ラッチ11と、を備えている。
【0013】
タッチパネル1は、ガラスなどからなる基板(図示せず)で形成され、その基板上に、例えば8本のXラインX1〜X8がX方向に所定の間隔で配置される。また、その基板上に、XラインX1〜X8と絶縁層を介して交差するように、例えば8本のYラインY1〜Y8がY方向に所定の間隔で配置される。このため、XラインX1〜X8とYラインY1〜Y8とは絶縁層を介して互いに絶縁され、かつ容量結合している。
【0014】
タッチパネル1のXラインX1〜X8とYラインY1〜Y8の平面形状を図6に示す。XラインX1〜X8のそれぞれは、図6に示すように、幅広の電極15が連なっている。また、YラインY1〜Y8のそれぞれは、図6に示すように、幅広の電極16が連なっている。
選択回路2は、メモリ10から読み出されてラッチ11に記憶される設定データを基に、タッチパネル1のXラインX1〜X8のうちから3つのラインを選択し、またはYラインY1〜Y8のうちから3つのラインを選択する。
【0015】
駆動回路3は、所定の電圧を生成し、これらの電圧を選択回路2で選択された3のラインのうち、中央に位置するラインを除く、左右のラインに駆動電圧として供給する。
電圧検出回路4は、選択回路2で選択された3つのラインのうち、中央のライン上に生ずる電圧を入力し、この電圧を基に、中央のラインと、この中央のラインの両隣に位置するラインとの間で形成される2つの静電容量の差に応じた電圧を出力する。
【0016】
A/D変換回路5は、電圧検出回路4の出力電圧をA/D変換し、このA/D変換した電圧をホバリング検出回路6に出力する。
ホバリング検出回路6は、A/D変換回路5でA/D変換された電圧検出回路4の出力電圧を基に、タッチパネル1上における指の接近状態を検出する。
制御回路8は、タッチパネル1上のホバリングを検出するときに、駆動回路3、電圧検出回路4、アドレス生成回路9、およびラッチ11を後述のようにそれぞれ制御する。
【0017】
アドレス生成回路9は、制御回路8からの指示に基づき、メモリ10に格納される選択回路2の動作を制御するための設定データを読み出すためのアドレスを生成する。
メモリ10は、タッチパネル1上のホバリングを検出するときの動作手順に従って予め定めてある、選択回路2が行うラインの選択と接続の制御に係る設定データを格納する。その設定データは、具体的には選択回路2の後述のスイッチをオンオフ制御するデータである。
ラッチ11は、選択回路2の後述のスイッチをオンオフ制御する場合に、メモリ10から読み出される設定データを一時的に記憶する。
【0018】
次に、図1の選択回路2の具体的な構成について、図2を参照して説明する。
選択回路2は、図2に示すように、スイッチ部21−1〜21−8と、スイッチ部22−1〜22−8と、デコーダ23−1〜23−8と、デコーダ24−1〜24−8と、接続ライン25〜29と、を備えている。
スイッチ部21−1〜21−8は、XラインX1〜X8ごとに設けられている。そして、スイッチ部21−1〜21−8のそれぞれは、自己のXラインと、電圧検出回路4、駆動回路3、およびグランド電圧VSSのうちのいずれかとの接続を、接続ライン25〜29を介して行う。
【0019】
スイッチ部22−1〜22−8は、YラインY1〜Y8ごとに設けられている。そして、スイッチ部22−1〜22−8のそれぞれは、自己のYラインと、電圧検出回路4、駆動回路3、およびグランド電圧VSSのうちのいずれかとの接続を、接続ライン25〜29を介して行う。
このため、スイッチ部21−1〜21−8およびスイッチ部22−1〜22−8のそれぞれは、5つのスイッチSW11〜SW15を備えている。ただし、スイッチSW11は、不使用とする。
【0020】
スイッチSW12は、電圧検出回路4の入力端子とXラインX1〜X8およびYラインY1〜Y8のうちの1つのラインとの接続のために使用する。スイッチSW13は、駆動回路3の出力端子33とXラインX1〜X8およびYラインY1〜Y8のうちの1つのラインとの接続のために使用する。スイッチSW14は、駆動回路3の出力端子34とXラインX1〜X8およびYラインY1〜Y8のうちの1つのラインとの接続のために使用する。スイッチSW15は、XラインX1〜X8およびYラインY1〜Y8のうちの1つのラインをグランド電圧VSSに接続するために使用する。
【0021】
デコーダ23−1〜23−8は、スイッチ部21−1〜21−8に対応して設けている。そして、デコーダ23−1〜23−8のそれぞれは、メモリ10から読み出されてラッチ11に記憶される設定データに応じて、スイッチ部21−1〜21−8のそれぞれが備えるスイッチSW12〜SW15のオンオフ制御を行う。
デコーダ24−1〜24−8は、スイッチ部22−1〜22−8に対応して設けている。そして、デコーダ24−1〜24−8のそれぞれは、メモリ10から読み出されてラッチ11に記憶される設定データに応じて、スイッチ部22−1〜22−8のそれぞれが備えるスイッチSW12〜SW15のオンオフ制御を行う。
【0022】
次に、図1の駆動回路3の具体的な構成について、図3を参照して説明する。
駆動回路3は、図3に示すように、第1駆動回路31と、第2駆動回路32と、2つの出力端子33、34とを備えている。
第1駆動回路31は、スイッチSW1とスイッチSW2を直列に接続し、スイッチSW1の一端に高電位の電源電圧VDD(例えば3.3V)を印加し、スイッチSW2の一端に低電位の電源電圧VSS(例えば0V)を印加している。そして、スイッチSW1、SW2をオンオフ制御することにより、電源電圧VDDと電源電圧VSSとを出力端子33から選択的に出力する。
【0023】
第2駆動回路32は、スイッチSW3とスイッチSW4を直列に接続し、スイッチSW3の一端に電源電圧VDDを印加し、スイッチSW4の一端に電源電圧VSSを印加している。そして、スイッチSW3、SW4をオンオフ制御することにより、電源電圧VDDと電源電圧VSSとを出力端子34から選択的に出力する。
【0024】
次に、図1の電圧検出回路4の具体的な構成について、図4を参照して説明する。
電圧検出回路4は、図4に示すように、オペアンプOP4と、積分コンデンサCfと、スイッチSW10と、を備えている。
オペアンプOP4の反転入力端子(−)には入力電圧が入力され、オペアンプOP4の非反転入力端子(+)はVCOMに接続されている。また、オペアンプOP4の反転入力端子と出力端子との間には、積分コンデンサCfとスイッチSW10との並列回路が接続されている。
【0025】
(第1実施形態の動作)
次に、第1実施形態において、タッチパネル1上でのホバリングを検出する場合の動作について、図面を参照して説明する。
第1実施形態の動作の説明に先立って、本発明に係るホバリングの検出を採用するようにした理由について、図6を参照して説明する。図6(A)は図5の符号aの部分の断面図、図6(b)は図5の符号bの部分の断面図である。
図6(A)に示すように、XラインX1を駆動ライン(駆動電極)として使用し、YラインY2を検出ライン(センス電極)して使用する場合には、XラインX1の電極15からYラインY2の電極16に向かう電気力線がXラインX1とYラインY2が隣接するパネル表面付近の狭い領域に集中する。
【0026】
これに対して、図6(B)に示すように、YラインY1を駆動ライン(駆動電極)として使用し、YラインY2を検出ライン(センス電極)して使用する場合には、YラインY1の電極15からYラインY2の電極16に向かう電気力線は電極の表面に集中することなく、広く分布する。
そこで、本発明では、同一方向に配列されるXラインX1〜X8を駆動ラインと検出ラインの双方に使用し、あるいは同一方向に配列されるYラインY1〜Y8を駆動ラインと検出ラインの双方に使用することにより、タッチパネル上でのホバリングの検出感度の向上を図るようにしたものである。
【0027】
次に、第1実施形態のタッチパネル1上でのホバリングの検出動作について、図面を参照して説明する。
第1実施形態では、タッチパネル1上でのホバリングの検出のときの動作手順に従って予め定めてある、選択回路2の選択と接続の制御に係るデータが、メモリ10に予め格納されている。
すなわち、メモリ10には、予め定めてある動作手順に応じて作成した、選択回路2のスイッチ部21−1〜21−8およびスイッチ部22−1〜22−8のそれぞれのスイッチSW12〜SW15をオンオフ制御するためのデータが格納されている。
【0028】
そして、タッチパネル1上におけるホバリングの検出動作が開始されると、制御回路8は、選択回路2の動作の制御に必要な設定データをメモリ10から読み出すためのアドレスの生成を、アドレス生成回路9に指示する。この指示により、アドレス生成回路9はそのアドレスを生成し、この生成アドレスにより必要な設定データが、メモリ10からラッチ11に読み出される。
【0029】
ラッチ11に記憶される設定データに応じて、選択回路2は、タッチパネル1のXラインX1〜X8のうちから3つのラインを選択し、またはYラインY1〜Y8のうちから3つのラインを選択する。例えば、3つのラインとしてYラインY1〜Y3を選択する。
また、選択回路2は、その選択したYラインY1〜Y3のラインのうち、中央に位置するラインY2を除く、左右のラインY1、Y3を駆動回路3の出力端子と接続する。さらに、選択回路2は、その選択したYラインY1〜Y3のラインのうち、中央に位置するラインY2を電圧検出回路4の入力端子と接続する。
【0030】
このため、デコーダ24−1がスイッチ部22−1のスイッチSW14をオンとし、デコーダ24−2がスイッチ部22−2のスイッチSW12をオンとし、デコーダ24−3がスイッチ部22−3のスイッチSW13をオンとする。
この結果、選択回路2で選択されたYラインY1〜Y3と、駆動回路2の出力端子および電圧検出回路4の入力端子との関係は、図5に示すようになる。図5において、C1はYラインY2とYラインY3との間の静電容量であり、C2はYラインY2とYラインY1との間の静電容量である。
【0031】
次に、駆動回路3および電圧検出回路4は、図5(A)に示す「状態1」の動作と図5(B)に示す「状態2」の動作とを行う。
「状態1」の動作では、図5(A)に示すように、駆動回路3のスイッチSW1、SW4がオン、SW2、SW3がオフとなり、電圧検出回路4のスイッチSW10がオンになる。また、「状態2」の動作では、駆動回路3のスイッチSW1、SW4がオフ、SW2、SW3がオンとなり、電圧検出回路4のスイッチSW10がオフとなる。
【0032】
この結果、電圧検出回路4からは次式で示す出力電圧Voutが出力される。
Vout=VCOM+{(C1−C2)/Cf}×VDD・・・(1)
電圧検出回路4から出力される出力電圧Voutは、A/D変換回路5でA/D変換される。このA/D変換された出力電圧Voutに基づき、ホバリング検出回路6は、タッチパネル1上における指の接近状態を検出する。
【0033】
YラインY1〜Y8と、駆動回路3および電位検出回路4との接続状態を順に変更し、その変更するたびに、駆動回路3および電位検出回路4を動作させて電位検出回路4から出力電圧Voutを出力するようにすることにより、タッチパネル1上のホバリングのY座標を検出する。同様の動作をXラインX1〜X8についても行うことにより、タッチパネル1上のホバリングのX座標を検出する。以上によりホバリングのX,Y座標を検出することができる。
以上のように、第1実施形態では、同一方向に配列されるラインを駆動ラインと検出ラインの双方に使用することにより、タッチパネル上でのホバリングの検出を行うようにしたので、その検出感度を向上することができる。
【0034】
(第1実施形態の変形例)
上記の実施形態では、YラインY1〜Y8のうち3つのYラインY1〜Y3を選択し、このうちYラインY1、Y3を駆動ラインとして選択し、YラインY2を検出ラインとして選択する場合について説明した。
しかし、例えば、YラインY1〜Y8のうち5つのYラインY1〜Y5を選択し、このうちYラインY1、Y2、Y4、Y5を駆動ラインとして選択し、YラインY3を検出ラインとして選択するようにしても良い。
【0035】
(第2実施形態の構成)
図8は、本発明の第2実施形態が適用されるタッチセンサの概略構成を示すブロック図である。
第2実施形態が適用されるタッチセンサは、図8に示すように、タッチパネル1と、選択回路2Aと、駆動回路3と、電圧検出回路4Aと、A/D変換回路5と、ホバリング検出回路6と、制御回路8Aと、アドレス生成回路9と、メモリ10と、ラッチ11と、オフセット調整用の静電容量回路12と、を備えている。
【0036】
このように、第2実施形態は、図1に示す第1実施形態の構成を基本とし、図1の選択回路2、電圧検出回路4、および制御回路8を、図8に示すように、選択回路2A、電圧検出回路4A、および制御回路8Aに置き換え、かつ静電容量回路12を追加したものである。
ここで、第2実施形態は、第1実施形態の構成要素と共通する部分があり、この共通の構成要素には同一符号を付してその説明はできるだけ省略する。
【0037】
選択回路2Aは、図9に示すように構成し、図1に示す選択回路2と同様に、スイッチ部21−1〜21−8およびスイッチ部22−1〜22−8のそれぞれは、5つのスイッチSW11〜SW15を備えている。ただし、スイッチSW14は、不使用とする。
スイッチSW11は、電圧検出回路4の入力端子44とXラインX1〜X8およびYラインY1〜Y8のうちの1つのラインとの接続のために使用する。スイッチSW12は、電圧検出回路4の入力端子45とXラインX1〜X8およびYラインY1〜Y8のうちの1つのラインとの接続のために使用する。スイッチSW13は、駆動回路3の出力端子33とXラインX1〜X8およびYラインY1〜Y8のうちの1つのラインとの接続のために使用する。
【0038】
デコーダ23−1〜23−8は、スイッチ部21−1〜21−8に対応して設けている。そして、デコーダ23−1〜23−8のそれぞれは、メモリ10から読み出されてラッチ11に記憶される設定データに応じて、スイッチ部21−1〜21−8のそれぞれが備えるスイッチSW11〜SW13およびスイッチ15のオンオフ制御を行う。
デコーダ24−1〜24−8は、スイッチ部22−1〜22−8に対応して設けている。そして、デコーダ24−1〜24−8のそれぞれは、メモリ10から読み出されてラッチ11に記憶される設定データに応じて、スイッチ部22−1〜22−8のそれぞれが備えるスイッチSW11〜SW13およびスイッチ15のオンオフ制御を行う。
【0039】
電圧検出回路4Aは、図10に示すように、後述の入力電圧を積分する積分回路41と、後述の入力電圧を積分する積分回路42と、積分回路41の出力電圧と積分回路42の出力電圧との差分を求める演算をする減算回路43と、2つの入力端子44、45と、を備えている。
積分回路41は、図10に示すように、オペアンプOP1と、積分コンデンサCfと、スイッチSW6と、を備えている。
オペアンプOP1の反転入力端子(−)には入力電圧が入力され、オペアンプOP1の非反転入力端子(+)には電圧VCOM(VDD/2)が印加される。また、オペアンプOP1の反転入力端子と出力端子との間には、積分コンデンサCfとスイッチSW6との並列回路が接続されている。
【0040】
積分回路42は、図10に示すように、オペアンプOP2と、積分コンデンサCfと、スイッチSW5と、を備えている。
オペアンプOP2の反転入力端子には入力電圧が入力され、オペアンプOP2の非反転入力端子には電圧VCOM(VDD/2)が印加される。また、オペアンプOP2の反転入力端子と出力端子との間には、積分コンデンサCfとスイッチSW5との並列回路が接続されている。
減算回路43は、図10に示すように、オペアンプOP3と、4つの抵抗R1〜R4と、を備えている。
【0041】
オペアンプOP3の反転入力端子には、積分回路42の出力が抵抗R2を介して供給され、オペアンプOP3の非反転入力端子には、積分回路41の出力が抵抗R1を介して供給される。また、オペアンプOP3の非反転入力端子は、抵抗R3を介してVCOMに接続されている。そして、オペアンプOP2の反転入力端子と出力端子との間には、帰還抵抗として抵抗R4が接続されている。
【0042】
静電容量回路12は、図8に示すように、それぞれが予め定めた静電容量値を有するオフセット調整用のコンデンサCR1、CR2と、スイッチSW7、SW8とを備えている。
コンデンサCR1の一端側は電圧検出回路4の入力端子44に接続され、コンデンサCR1の他端側はスイッチSW7を介して駆動回路3の出力端子34に接続されている。また、コンデンサCR2の一端側は電圧検出回路4の入力端子45に接続され、コンデンサCR2の他端側はスイッチSW8を介して駆動回路3の出力端子34に接続されている。
【0043】
第2実施形態では、タッチパネル1上のホバリングを検出するときに、後述のように、上記の第1実施形態とは選択回路2Aの動作手順が異なる。
このため、メモリ10には、タッチパネル1上のホバリングを検出するときの動作手順に従って予め定めてある、選択回路2Aが行うラインの選択と接続の制御に係る設定データを格納する。その設定データは、具体的には選択回路2Aの後述のスイッチをオンオフ制御するデータである。
制御回路8Aは、タッチパネル1上のホバリングを検出するときに、駆動回路3、電圧検出回路4A、アドレス生成回路9、ラッチ11、および静電容量回路12を後述のようにそれぞれ制御する。
【0044】
(第2実施形態の動作)
次に、第2実施形態において、タッチパネル1上におけるホバリングを検出する場合の動作について、図面を参照して説明する。
第2実施形態では、タッチパネル1上におけるホバリングの検出のときの動作手順に従って予め定めてある、選択回路2Aの選択と接続の制御に係るデータが、メモリ10に予め格納されている。
すなわち、メモリ10には、予め定めてある動作手順に応じて作成した、選択回路2Aのスイッチ部21−1〜21−8およびスイッチ部22−1〜22−8のそれぞれのスイッチSW11〜SW13およびスイッチSW15をオンオフ制御するためのデータが格納されている。
【0045】
そして、タッチパネル1上におけるホバリングの検出動作が開始されると、制御回路8Aは、選択回路2Aの動作の制御に必要な設定データをメモリ10から読み出すためのアドレスの生成を、アドレス生成回路9に指示する。この指示により、アドレス生成回路9はそのアドレスを生成し、この生成アドレスにより必要な設定データが、メモリ10からラッチ11に読み出される。
【0046】
ラッチ11に記憶される設定データに応じて、選択回路2Aは、タッチパネル1のXラインX1〜X8のうちから3つのラインを選択し、またはYラインY1〜Y8のうちから3つのラインを選択する。例えば、3つのラインとしてYラインY1〜Y3を選択する。
また、選択回路2Aは、その選択したYラインY1〜Y3のラインのうち、中央に位置するラインY2を駆動回路3の出力端子33と接続する。さらに、選択回路2は、その選択したYラインY1〜Y3のラインのうち、中央に位置するラインY2を除く左右のラインY1、Y3を電圧検出回路4の入力端子44、45と接続する。
【0047】
このため、デコーダ24−1がスイッチ部22−1のスイッチSW11をオンとし、デコーダ24−2がスイッチ部22−2のスイッチSW13をオンとし、デコーダ24−3がスイッチ部22−3のスイッチSW12をオンとする。
この結果、選択回路2で選択されたYラインY1〜Y3と、駆動回路2の出力端子および電圧検出回路4の入力端子との関係は、図11に示すようになる。図11において、C1はYラインY2とYラインY3との間の静電容量であり、C2はYラインY2とYラインY1との間の静電容量である。
【0048】
次に、駆動回路3および電圧検出回路4Aは、図11(A)に示す「状態1」の動作と図11(B)に示す「状態2」の動作とを行う。
「状態1」の動作では、図11(A)に示すように、駆動回路3のスイッチSW1、SW4がオン、SW2、SW3がオフとなり、電圧検出回路4のスイッチSW5、SW6がオンになり、静電容量回路12のスイッチSW7、SW8はオンとなる。
【0049】
このため、駆動回路3により、YラインY2には高電位の電源電圧VDD(例えば3.3V)が印加され、コンデンサCR1、CR2の一端には低電位の電源電圧VSS(例えば0V)が印加される。またSW5、SW6がオンになることにより、オペアンプOP1、OP2はボルテージフォロワとなり、YラインY1、Y3は電圧VCOMに駆動される。これにより、静電容量C1、C2が充電されるとともにコンデンサCR1、CR2が充電される。そして、YラインY1、Y2上の電圧が、オペアンプOP1、OP2のそれぞれの反転入力端子に印加される。
【0050】
その後、「状態2」の動作では、図11(B)に示すように、駆動回路3のスイッチSW1、SW4がオフ、SW2、SW3がオンとなり、電圧検出回路4AのスイッチSW5、SW6がオフとなる。このため、静電容量C1、C2、C3、C4に充電された電荷の一部が積分回路41、42の積分コンデンサCfに移動し、オペアンプOP1の出力端子には、以下の(2)式のような出力電圧Vout1が現れ、オペアンプOP2の出力端子には、以下の(3)式のような出力電圧Vout2が現れる。
Vout1=VCOM+{(C1−CR2)/Cf}×VDD・・・(2)
Vout2=VCOM+{(C2−CR1)/Cf}×VDD・・・(3)
【0051】
オペアンプOP3では、オペアンプOP1の出力電圧とオペアンプOP2の出力電圧の差を求める演算が行われる。この結果、電圧検出回路4Aの出力電圧Voutは、以下の(4)式のようになる。
Vout=VCOM+{(C1−C2−CR1+CR2)/Cf}×VDD・・・(4)
なお、CR1=CR2に調整することにより、出力電圧Voutは次式となる。
Vout=VCOM+{(C1−C2)/Cf}×VDD・・・(4’)
電圧検出回路4Aの出力電圧Voutは、A/D変換回路5でA/D変換される。このA/D変換された出力電圧Voutに基づき、ホバリング検出回路6は、タッチパネル1上における指の接近状態を検出する。
【0052】
YラインY1〜Y8と、駆動回路3および電位検出回路4Aとの接続状態を順に変更し、その変更するたびに、駆動回路3および電位検出回路4Aを動作させて電位検出回路4Aから出力電圧Voutを出力するようにすることにより、タッチパネル1上のホバリングのY座標を検出する。同様の動作をXラインX1〜X8についても行うことにより、タッチパネル1上のホバリングのX座標を検出する。以上によりホバリングのX,Y座標を検出することができる。
以上のように、第2実施形態では、同一方向に配列されるラインを駆動ラインと検出ラインの双方に使用することにより、タッチパネル上でのホバリングの検出を行うようにしたので、その検出感度を向上することができる。
【0053】
(第2実施形態の変形例)
上記の実施形態では、YラインY1〜Y8のうち3つYラインY1〜Y3を選択し、このうちYラインY2を駆動ラインとして選択し、YラインY1、Y3を検出ラインとして選択する場合について説明した。
しかし、例えば、YラインY1〜Y8のうち5つのYラインY1〜Y5を選択し、このうちをYラインY3を駆動ラインとして選択し、YラインY1、Y2、Y4、Y5を検出ラインとして選択するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明のタッチセンサの信号処理回路は、タッチセンサに適用できる上に、そのタッチセンサを含む表示装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1・・・タッチパネル
2、2A・・・選択回路
3・・・駆動回路
4、4A・・・電圧検出回路
5・・・A/D変換回路
6・・・ホバリング検出回路
8、8A・・・制御回路
9・・・アドレス生成回路
10・・・メモリ
11・・・ラッチ
12・・・静電容量回路
21−1〜21−8、22−1〜22−8・・・スイッチ部
23−1〜23−8、24−1〜24−8・・・デコーダ
25〜29・・・接続ライン
SW1〜SW6・・・スイッチ
SW11〜SW15・・・スイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量型のタッチパネルを含むタッチセンサの信号処理回路などに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のタッチパネルを含むタッチセンサに関する発明としては、例えば特許文献1に記載される発明が知られている。
この特許文献1に記載の発明は、第1の方向に延びる複数の第1電極と、第1の方向とは異なる第2の方向に延びる複数の第2電極と、駆動回路と、検出回路と、座標位置演算回路とを有している。
【0003】
駆動回路は、複数の第1電極の中から2つの第1電極を順次選択し、当該選択された2つの第1電極の一方に基準電圧よりも高電位の電圧を、他方に基準電圧を供給する。また、検出回路は、選択した第2電極と高電位の電圧が供給された第1電極との間の静電容量Aと、選択した第2電極と基準電圧が供給された第1電極との間の静電容量Bとの間の容量差(A−B)を検出する。さらに、座標位置演算回路は、選択された第1電極および第2電極の位置と、容量差(A−B)に基づき観察者のタッチパネルへのタッチ位置を演算する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−15489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の発明によれば、観察者のタッチパネルへのタッチ位置を検出する場合には実用的である。
しかし、タッチパネル上における指の接近状態を検出すること、言い換えるとタッチパネル上でのホバリングを検出するためには十分な感度が得られないという課題がある。
そこで、本発明の目的は、タッチパネル上でのホバリングの検出時に、十分な感度を得ることができるようにしたタッチセンサの信号処理回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決して本発明の目的を達成するために、本発明は、以下のように構成される。
第1の発明は、複数の第1のラインと、前記複数の第1のラインと絶縁層を介して交差するように配置される複数の第2のラインと、を備えるタッチパネルを含むタッチセンサの信号処理回路であって、前記複数の第1のラインの中から駆動ラインと検出ラインとを少なくとも1つずつ選択し、または前記複数の第2のラインの中から駆動ラインと検出ラインとを少なくとも1つずつ選択する選択部と、前記選択部で選択された駆動ラインおよび検出ラインの中から、予め定めた駆動ラインと検出ラインとの間で形成される2つの静電容量の差を検出する容量検出部と、を備える。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において、前記選択部は、前記複数の第1のラインの中から少なくとも3つのラインを選択し、または前記複数の第2のラインの中から少なくとも3つのラインを選択する。
【0008】
第3の発明は、第2の発明において、前記容量検出部は、前記選択部で選択された少なくとも3つのラインの中から予め定めた少なくとも2つの駆動ラインに電圧をそれぞれ供給する駆動回路と、前記選択部で選択された少なくとも3つのラインの中から予め定めた検出ライン上に生ずる電圧を入力し、当該入力電圧を基に、前記検出ラインと前記選択部で選択された前記駆動ラインの中から予め定めた一の駆動ラインとの間の静電容量と、前記検出ラインと前記駆動ラインの中から予め定めた他の駆動ラインとの間の静電容量との差に応じた電圧を出力する電圧検出回路と、を備える。
【0009】
第4の発明は、第2の発明において、予め定めた静電容量を有する第1のコンデンサと第2のコンデンサとをさらに備え、前記容量検出部は、前記選択部で選択された少なくとも3つのラインの中から予め定めた駆動ラインに電圧を供給し、かつ、前記第1のコンデンサおよび前記第2のコンデンサの各一端に電圧を供給する駆動回路と、第1の入力端子と第2の入力端子とを有し、前記第1および第2の入力端子のそれぞれは、前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサとの各一端に接続され、かつ、前記第1および第2の入力端子のそれぞれに、前記選択部で選択された少なくとも3つのラインの中から予め定めた一の検出ライン上に生ずる電圧と他の検出ライン上に生ずる電圧をそれぞれ入力し、当該入力した両電圧を基に、前記駆動ラインと前記一の検出ラインとの間の容量値と、前記駆動ラインと前記他の検出ラインとの間の容量値との差に応じた電圧を出力する電圧検出回路と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
このような構成の本発明では、タッチパネル上でのホバリングの検出において、交差していない複数の第1のラインあるいは複数の第2のラインのいずれかを使用するようにした。このため、タッチパネル上のホバリングの検出時において、十分な感度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態が適用されるタッチセンサの構成を示すブロック図である。
【図2】図1の選択回路の具体的な構成を示す回路図である。
【図3】図1の駆動回路の具体的な構成を示す回路図である。
【図4】図1の電圧検出回路の具体的な構成を示す回路図である。
【図5】第1実施形態の動作を説明する図であり、(A)は状態1の動作、(B)は状態2の動作を示す。
【図6】図1のタッチパネルの具体的な構成を示す平面図である。
【図7】ライン間の電気力線の分布例を示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態が適用されるタッチセンサの構成を示すブロック図である。
【図9】図8の選択回路の具体的な構成を示す回路図である。
【図10】図8の電圧検出回路の具体的な構成を示す回路図である。
【図11】第2実施形態の動作を説明する図であり、(A)は状態1の動作、(B)は状態2の動作を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態の構成)
図1は、本発明の第1実施形態が適用されるタッチセンサの構成を示すブロック図である。
第1実施形態が適用されるタッチセンサは、図1に示すように、タッチパネル1と、選択回路2と、駆動回路3と、電圧検出回路4と、A/D変換回路5と、ホバリング検出回路6と、制御回路8と、アドレス生成回路9と、メモリ10と、ラッチ11と、を備えている。
【0013】
タッチパネル1は、ガラスなどからなる基板(図示せず)で形成され、その基板上に、例えば8本のXラインX1〜X8がX方向に所定の間隔で配置される。また、その基板上に、XラインX1〜X8と絶縁層を介して交差するように、例えば8本のYラインY1〜Y8がY方向に所定の間隔で配置される。このため、XラインX1〜X8とYラインY1〜Y8とは絶縁層を介して互いに絶縁され、かつ容量結合している。
【0014】
タッチパネル1のXラインX1〜X8とYラインY1〜Y8の平面形状を図6に示す。XラインX1〜X8のそれぞれは、図6に示すように、幅広の電極15が連なっている。また、YラインY1〜Y8のそれぞれは、図6に示すように、幅広の電極16が連なっている。
選択回路2は、メモリ10から読み出されてラッチ11に記憶される設定データを基に、タッチパネル1のXラインX1〜X8のうちから3つのラインを選択し、またはYラインY1〜Y8のうちから3つのラインを選択する。
【0015】
駆動回路3は、所定の電圧を生成し、これらの電圧を選択回路2で選択された3のラインのうち、中央に位置するラインを除く、左右のラインに駆動電圧として供給する。
電圧検出回路4は、選択回路2で選択された3つのラインのうち、中央のライン上に生ずる電圧を入力し、この電圧を基に、中央のラインと、この中央のラインの両隣に位置するラインとの間で形成される2つの静電容量の差に応じた電圧を出力する。
【0016】
A/D変換回路5は、電圧検出回路4の出力電圧をA/D変換し、このA/D変換した電圧をホバリング検出回路6に出力する。
ホバリング検出回路6は、A/D変換回路5でA/D変換された電圧検出回路4の出力電圧を基に、タッチパネル1上における指の接近状態を検出する。
制御回路8は、タッチパネル1上のホバリングを検出するときに、駆動回路3、電圧検出回路4、アドレス生成回路9、およびラッチ11を後述のようにそれぞれ制御する。
【0017】
アドレス生成回路9は、制御回路8からの指示に基づき、メモリ10に格納される選択回路2の動作を制御するための設定データを読み出すためのアドレスを生成する。
メモリ10は、タッチパネル1上のホバリングを検出するときの動作手順に従って予め定めてある、選択回路2が行うラインの選択と接続の制御に係る設定データを格納する。その設定データは、具体的には選択回路2の後述のスイッチをオンオフ制御するデータである。
ラッチ11は、選択回路2の後述のスイッチをオンオフ制御する場合に、メモリ10から読み出される設定データを一時的に記憶する。
【0018】
次に、図1の選択回路2の具体的な構成について、図2を参照して説明する。
選択回路2は、図2に示すように、スイッチ部21−1〜21−8と、スイッチ部22−1〜22−8と、デコーダ23−1〜23−8と、デコーダ24−1〜24−8と、接続ライン25〜29と、を備えている。
スイッチ部21−1〜21−8は、XラインX1〜X8ごとに設けられている。そして、スイッチ部21−1〜21−8のそれぞれは、自己のXラインと、電圧検出回路4、駆動回路3、およびグランド電圧VSSのうちのいずれかとの接続を、接続ライン25〜29を介して行う。
【0019】
スイッチ部22−1〜22−8は、YラインY1〜Y8ごとに設けられている。そして、スイッチ部22−1〜22−8のそれぞれは、自己のYラインと、電圧検出回路4、駆動回路3、およびグランド電圧VSSのうちのいずれかとの接続を、接続ライン25〜29を介して行う。
このため、スイッチ部21−1〜21−8およびスイッチ部22−1〜22−8のそれぞれは、5つのスイッチSW11〜SW15を備えている。ただし、スイッチSW11は、不使用とする。
【0020】
スイッチSW12は、電圧検出回路4の入力端子とXラインX1〜X8およびYラインY1〜Y8のうちの1つのラインとの接続のために使用する。スイッチSW13は、駆動回路3の出力端子33とXラインX1〜X8およびYラインY1〜Y8のうちの1つのラインとの接続のために使用する。スイッチSW14は、駆動回路3の出力端子34とXラインX1〜X8およびYラインY1〜Y8のうちの1つのラインとの接続のために使用する。スイッチSW15は、XラインX1〜X8およびYラインY1〜Y8のうちの1つのラインをグランド電圧VSSに接続するために使用する。
【0021】
デコーダ23−1〜23−8は、スイッチ部21−1〜21−8に対応して設けている。そして、デコーダ23−1〜23−8のそれぞれは、メモリ10から読み出されてラッチ11に記憶される設定データに応じて、スイッチ部21−1〜21−8のそれぞれが備えるスイッチSW12〜SW15のオンオフ制御を行う。
デコーダ24−1〜24−8は、スイッチ部22−1〜22−8に対応して設けている。そして、デコーダ24−1〜24−8のそれぞれは、メモリ10から読み出されてラッチ11に記憶される設定データに応じて、スイッチ部22−1〜22−8のそれぞれが備えるスイッチSW12〜SW15のオンオフ制御を行う。
【0022】
次に、図1の駆動回路3の具体的な構成について、図3を参照して説明する。
駆動回路3は、図3に示すように、第1駆動回路31と、第2駆動回路32と、2つの出力端子33、34とを備えている。
第1駆動回路31は、スイッチSW1とスイッチSW2を直列に接続し、スイッチSW1の一端に高電位の電源電圧VDD(例えば3.3V)を印加し、スイッチSW2の一端に低電位の電源電圧VSS(例えば0V)を印加している。そして、スイッチSW1、SW2をオンオフ制御することにより、電源電圧VDDと電源電圧VSSとを出力端子33から選択的に出力する。
【0023】
第2駆動回路32は、スイッチSW3とスイッチSW4を直列に接続し、スイッチSW3の一端に電源電圧VDDを印加し、スイッチSW4の一端に電源電圧VSSを印加している。そして、スイッチSW3、SW4をオンオフ制御することにより、電源電圧VDDと電源電圧VSSとを出力端子34から選択的に出力する。
【0024】
次に、図1の電圧検出回路4の具体的な構成について、図4を参照して説明する。
電圧検出回路4は、図4に示すように、オペアンプOP4と、積分コンデンサCfと、スイッチSW10と、を備えている。
オペアンプOP4の反転入力端子(−)には入力電圧が入力され、オペアンプOP4の非反転入力端子(+)はVCOMに接続されている。また、オペアンプOP4の反転入力端子と出力端子との間には、積分コンデンサCfとスイッチSW10との並列回路が接続されている。
【0025】
(第1実施形態の動作)
次に、第1実施形態において、タッチパネル1上でのホバリングを検出する場合の動作について、図面を参照して説明する。
第1実施形態の動作の説明に先立って、本発明に係るホバリングの検出を採用するようにした理由について、図6を参照して説明する。図6(A)は図5の符号aの部分の断面図、図6(b)は図5の符号bの部分の断面図である。
図6(A)に示すように、XラインX1を駆動ライン(駆動電極)として使用し、YラインY2を検出ライン(センス電極)して使用する場合には、XラインX1の電極15からYラインY2の電極16に向かう電気力線がXラインX1とYラインY2が隣接するパネル表面付近の狭い領域に集中する。
【0026】
これに対して、図6(B)に示すように、YラインY1を駆動ライン(駆動電極)として使用し、YラインY2を検出ライン(センス電極)して使用する場合には、YラインY1の電極15からYラインY2の電極16に向かう電気力線は電極の表面に集中することなく、広く分布する。
そこで、本発明では、同一方向に配列されるXラインX1〜X8を駆動ラインと検出ラインの双方に使用し、あるいは同一方向に配列されるYラインY1〜Y8を駆動ラインと検出ラインの双方に使用することにより、タッチパネル上でのホバリングの検出感度の向上を図るようにしたものである。
【0027】
次に、第1実施形態のタッチパネル1上でのホバリングの検出動作について、図面を参照して説明する。
第1実施形態では、タッチパネル1上でのホバリングの検出のときの動作手順に従って予め定めてある、選択回路2の選択と接続の制御に係るデータが、メモリ10に予め格納されている。
すなわち、メモリ10には、予め定めてある動作手順に応じて作成した、選択回路2のスイッチ部21−1〜21−8およびスイッチ部22−1〜22−8のそれぞれのスイッチSW12〜SW15をオンオフ制御するためのデータが格納されている。
【0028】
そして、タッチパネル1上におけるホバリングの検出動作が開始されると、制御回路8は、選択回路2の動作の制御に必要な設定データをメモリ10から読み出すためのアドレスの生成を、アドレス生成回路9に指示する。この指示により、アドレス生成回路9はそのアドレスを生成し、この生成アドレスにより必要な設定データが、メモリ10からラッチ11に読み出される。
【0029】
ラッチ11に記憶される設定データに応じて、選択回路2は、タッチパネル1のXラインX1〜X8のうちから3つのラインを選択し、またはYラインY1〜Y8のうちから3つのラインを選択する。例えば、3つのラインとしてYラインY1〜Y3を選択する。
また、選択回路2は、その選択したYラインY1〜Y3のラインのうち、中央に位置するラインY2を除く、左右のラインY1、Y3を駆動回路3の出力端子と接続する。さらに、選択回路2は、その選択したYラインY1〜Y3のラインのうち、中央に位置するラインY2を電圧検出回路4の入力端子と接続する。
【0030】
このため、デコーダ24−1がスイッチ部22−1のスイッチSW14をオンとし、デコーダ24−2がスイッチ部22−2のスイッチSW12をオンとし、デコーダ24−3がスイッチ部22−3のスイッチSW13をオンとする。
この結果、選択回路2で選択されたYラインY1〜Y3と、駆動回路2の出力端子および電圧検出回路4の入力端子との関係は、図5に示すようになる。図5において、C1はYラインY2とYラインY3との間の静電容量であり、C2はYラインY2とYラインY1との間の静電容量である。
【0031】
次に、駆動回路3および電圧検出回路4は、図5(A)に示す「状態1」の動作と図5(B)に示す「状態2」の動作とを行う。
「状態1」の動作では、図5(A)に示すように、駆動回路3のスイッチSW1、SW4がオン、SW2、SW3がオフとなり、電圧検出回路4のスイッチSW10がオンになる。また、「状態2」の動作では、駆動回路3のスイッチSW1、SW4がオフ、SW2、SW3がオンとなり、電圧検出回路4のスイッチSW10がオフとなる。
【0032】
この結果、電圧検出回路4からは次式で示す出力電圧Voutが出力される。
Vout=VCOM+{(C1−C2)/Cf}×VDD・・・(1)
電圧検出回路4から出力される出力電圧Voutは、A/D変換回路5でA/D変換される。このA/D変換された出力電圧Voutに基づき、ホバリング検出回路6は、タッチパネル1上における指の接近状態を検出する。
【0033】
YラインY1〜Y8と、駆動回路3および電位検出回路4との接続状態を順に変更し、その変更するたびに、駆動回路3および電位検出回路4を動作させて電位検出回路4から出力電圧Voutを出力するようにすることにより、タッチパネル1上のホバリングのY座標を検出する。同様の動作をXラインX1〜X8についても行うことにより、タッチパネル1上のホバリングのX座標を検出する。以上によりホバリングのX,Y座標を検出することができる。
以上のように、第1実施形態では、同一方向に配列されるラインを駆動ラインと検出ラインの双方に使用することにより、タッチパネル上でのホバリングの検出を行うようにしたので、その検出感度を向上することができる。
【0034】
(第1実施形態の変形例)
上記の実施形態では、YラインY1〜Y8のうち3つのYラインY1〜Y3を選択し、このうちYラインY1、Y3を駆動ラインとして選択し、YラインY2を検出ラインとして選択する場合について説明した。
しかし、例えば、YラインY1〜Y8のうち5つのYラインY1〜Y5を選択し、このうちYラインY1、Y2、Y4、Y5を駆動ラインとして選択し、YラインY3を検出ラインとして選択するようにしても良い。
【0035】
(第2実施形態の構成)
図8は、本発明の第2実施形態が適用されるタッチセンサの概略構成を示すブロック図である。
第2実施形態が適用されるタッチセンサは、図8に示すように、タッチパネル1と、選択回路2Aと、駆動回路3と、電圧検出回路4Aと、A/D変換回路5と、ホバリング検出回路6と、制御回路8Aと、アドレス生成回路9と、メモリ10と、ラッチ11と、オフセット調整用の静電容量回路12と、を備えている。
【0036】
このように、第2実施形態は、図1に示す第1実施形態の構成を基本とし、図1の選択回路2、電圧検出回路4、および制御回路8を、図8に示すように、選択回路2A、電圧検出回路4A、および制御回路8Aに置き換え、かつ静電容量回路12を追加したものである。
ここで、第2実施形態は、第1実施形態の構成要素と共通する部分があり、この共通の構成要素には同一符号を付してその説明はできるだけ省略する。
【0037】
選択回路2Aは、図9に示すように構成し、図1に示す選択回路2と同様に、スイッチ部21−1〜21−8およびスイッチ部22−1〜22−8のそれぞれは、5つのスイッチSW11〜SW15を備えている。ただし、スイッチSW14は、不使用とする。
スイッチSW11は、電圧検出回路4の入力端子44とXラインX1〜X8およびYラインY1〜Y8のうちの1つのラインとの接続のために使用する。スイッチSW12は、電圧検出回路4の入力端子45とXラインX1〜X8およびYラインY1〜Y8のうちの1つのラインとの接続のために使用する。スイッチSW13は、駆動回路3の出力端子33とXラインX1〜X8およびYラインY1〜Y8のうちの1つのラインとの接続のために使用する。
【0038】
デコーダ23−1〜23−8は、スイッチ部21−1〜21−8に対応して設けている。そして、デコーダ23−1〜23−8のそれぞれは、メモリ10から読み出されてラッチ11に記憶される設定データに応じて、スイッチ部21−1〜21−8のそれぞれが備えるスイッチSW11〜SW13およびスイッチ15のオンオフ制御を行う。
デコーダ24−1〜24−8は、スイッチ部22−1〜22−8に対応して設けている。そして、デコーダ24−1〜24−8のそれぞれは、メモリ10から読み出されてラッチ11に記憶される設定データに応じて、スイッチ部22−1〜22−8のそれぞれが備えるスイッチSW11〜SW13およびスイッチ15のオンオフ制御を行う。
【0039】
電圧検出回路4Aは、図10に示すように、後述の入力電圧を積分する積分回路41と、後述の入力電圧を積分する積分回路42と、積分回路41の出力電圧と積分回路42の出力電圧との差分を求める演算をする減算回路43と、2つの入力端子44、45と、を備えている。
積分回路41は、図10に示すように、オペアンプOP1と、積分コンデンサCfと、スイッチSW6と、を備えている。
オペアンプOP1の反転入力端子(−)には入力電圧が入力され、オペアンプOP1の非反転入力端子(+)には電圧VCOM(VDD/2)が印加される。また、オペアンプOP1の反転入力端子と出力端子との間には、積分コンデンサCfとスイッチSW6との並列回路が接続されている。
【0040】
積分回路42は、図10に示すように、オペアンプOP2と、積分コンデンサCfと、スイッチSW5と、を備えている。
オペアンプOP2の反転入力端子には入力電圧が入力され、オペアンプOP2の非反転入力端子には電圧VCOM(VDD/2)が印加される。また、オペアンプOP2の反転入力端子と出力端子との間には、積分コンデンサCfとスイッチSW5との並列回路が接続されている。
減算回路43は、図10に示すように、オペアンプOP3と、4つの抵抗R1〜R4と、を備えている。
【0041】
オペアンプOP3の反転入力端子には、積分回路42の出力が抵抗R2を介して供給され、オペアンプOP3の非反転入力端子には、積分回路41の出力が抵抗R1を介して供給される。また、オペアンプOP3の非反転入力端子は、抵抗R3を介してVCOMに接続されている。そして、オペアンプOP2の反転入力端子と出力端子との間には、帰還抵抗として抵抗R4が接続されている。
【0042】
静電容量回路12は、図8に示すように、それぞれが予め定めた静電容量値を有するオフセット調整用のコンデンサCR1、CR2と、スイッチSW7、SW8とを備えている。
コンデンサCR1の一端側は電圧検出回路4の入力端子44に接続され、コンデンサCR1の他端側はスイッチSW7を介して駆動回路3の出力端子34に接続されている。また、コンデンサCR2の一端側は電圧検出回路4の入力端子45に接続され、コンデンサCR2の他端側はスイッチSW8を介して駆動回路3の出力端子34に接続されている。
【0043】
第2実施形態では、タッチパネル1上のホバリングを検出するときに、後述のように、上記の第1実施形態とは選択回路2Aの動作手順が異なる。
このため、メモリ10には、タッチパネル1上のホバリングを検出するときの動作手順に従って予め定めてある、選択回路2Aが行うラインの選択と接続の制御に係る設定データを格納する。その設定データは、具体的には選択回路2Aの後述のスイッチをオンオフ制御するデータである。
制御回路8Aは、タッチパネル1上のホバリングを検出するときに、駆動回路3、電圧検出回路4A、アドレス生成回路9、ラッチ11、および静電容量回路12を後述のようにそれぞれ制御する。
【0044】
(第2実施形態の動作)
次に、第2実施形態において、タッチパネル1上におけるホバリングを検出する場合の動作について、図面を参照して説明する。
第2実施形態では、タッチパネル1上におけるホバリングの検出のときの動作手順に従って予め定めてある、選択回路2Aの選択と接続の制御に係るデータが、メモリ10に予め格納されている。
すなわち、メモリ10には、予め定めてある動作手順に応じて作成した、選択回路2Aのスイッチ部21−1〜21−8およびスイッチ部22−1〜22−8のそれぞれのスイッチSW11〜SW13およびスイッチSW15をオンオフ制御するためのデータが格納されている。
【0045】
そして、タッチパネル1上におけるホバリングの検出動作が開始されると、制御回路8Aは、選択回路2Aの動作の制御に必要な設定データをメモリ10から読み出すためのアドレスの生成を、アドレス生成回路9に指示する。この指示により、アドレス生成回路9はそのアドレスを生成し、この生成アドレスにより必要な設定データが、メモリ10からラッチ11に読み出される。
【0046】
ラッチ11に記憶される設定データに応じて、選択回路2Aは、タッチパネル1のXラインX1〜X8のうちから3つのラインを選択し、またはYラインY1〜Y8のうちから3つのラインを選択する。例えば、3つのラインとしてYラインY1〜Y3を選択する。
また、選択回路2Aは、その選択したYラインY1〜Y3のラインのうち、中央に位置するラインY2を駆動回路3の出力端子33と接続する。さらに、選択回路2は、その選択したYラインY1〜Y3のラインのうち、中央に位置するラインY2を除く左右のラインY1、Y3を電圧検出回路4の入力端子44、45と接続する。
【0047】
このため、デコーダ24−1がスイッチ部22−1のスイッチSW11をオンとし、デコーダ24−2がスイッチ部22−2のスイッチSW13をオンとし、デコーダ24−3がスイッチ部22−3のスイッチSW12をオンとする。
この結果、選択回路2で選択されたYラインY1〜Y3と、駆動回路2の出力端子および電圧検出回路4の入力端子との関係は、図11に示すようになる。図11において、C1はYラインY2とYラインY3との間の静電容量であり、C2はYラインY2とYラインY1との間の静電容量である。
【0048】
次に、駆動回路3および電圧検出回路4Aは、図11(A)に示す「状態1」の動作と図11(B)に示す「状態2」の動作とを行う。
「状態1」の動作では、図11(A)に示すように、駆動回路3のスイッチSW1、SW4がオン、SW2、SW3がオフとなり、電圧検出回路4のスイッチSW5、SW6がオンになり、静電容量回路12のスイッチSW7、SW8はオンとなる。
【0049】
このため、駆動回路3により、YラインY2には高電位の電源電圧VDD(例えば3.3V)が印加され、コンデンサCR1、CR2の一端には低電位の電源電圧VSS(例えば0V)が印加される。またSW5、SW6がオンになることにより、オペアンプOP1、OP2はボルテージフォロワとなり、YラインY1、Y3は電圧VCOMに駆動される。これにより、静電容量C1、C2が充電されるとともにコンデンサCR1、CR2が充電される。そして、YラインY1、Y2上の電圧が、オペアンプOP1、OP2のそれぞれの反転入力端子に印加される。
【0050】
その後、「状態2」の動作では、図11(B)に示すように、駆動回路3のスイッチSW1、SW4がオフ、SW2、SW3がオンとなり、電圧検出回路4AのスイッチSW5、SW6がオフとなる。このため、静電容量C1、C2、C3、C4に充電された電荷の一部が積分回路41、42の積分コンデンサCfに移動し、オペアンプOP1の出力端子には、以下の(2)式のような出力電圧Vout1が現れ、オペアンプOP2の出力端子には、以下の(3)式のような出力電圧Vout2が現れる。
Vout1=VCOM+{(C1−CR2)/Cf}×VDD・・・(2)
Vout2=VCOM+{(C2−CR1)/Cf}×VDD・・・(3)
【0051】
オペアンプOP3では、オペアンプOP1の出力電圧とオペアンプOP2の出力電圧の差を求める演算が行われる。この結果、電圧検出回路4Aの出力電圧Voutは、以下の(4)式のようになる。
Vout=VCOM+{(C1−C2−CR1+CR2)/Cf}×VDD・・・(4)
なお、CR1=CR2に調整することにより、出力電圧Voutは次式となる。
Vout=VCOM+{(C1−C2)/Cf}×VDD・・・(4’)
電圧検出回路4Aの出力電圧Voutは、A/D変換回路5でA/D変換される。このA/D変換された出力電圧Voutに基づき、ホバリング検出回路6は、タッチパネル1上における指の接近状態を検出する。
【0052】
YラインY1〜Y8と、駆動回路3および電位検出回路4Aとの接続状態を順に変更し、その変更するたびに、駆動回路3および電位検出回路4Aを動作させて電位検出回路4Aから出力電圧Voutを出力するようにすることにより、タッチパネル1上のホバリングのY座標を検出する。同様の動作をXラインX1〜X8についても行うことにより、タッチパネル1上のホバリングのX座標を検出する。以上によりホバリングのX,Y座標を検出することができる。
以上のように、第2実施形態では、同一方向に配列されるラインを駆動ラインと検出ラインの双方に使用することにより、タッチパネル上でのホバリングの検出を行うようにしたので、その検出感度を向上することができる。
【0053】
(第2実施形態の変形例)
上記の実施形態では、YラインY1〜Y8のうち3つYラインY1〜Y3を選択し、このうちYラインY2を駆動ラインとして選択し、YラインY1、Y3を検出ラインとして選択する場合について説明した。
しかし、例えば、YラインY1〜Y8のうち5つのYラインY1〜Y5を選択し、このうちをYラインY3を駆動ラインとして選択し、YラインY1、Y2、Y4、Y5を検出ラインとして選択するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明のタッチセンサの信号処理回路は、タッチセンサに適用できる上に、そのタッチセンサを含む表示装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1・・・タッチパネル
2、2A・・・選択回路
3・・・駆動回路
4、4A・・・電圧検出回路
5・・・A/D変換回路
6・・・ホバリング検出回路
8、8A・・・制御回路
9・・・アドレス生成回路
10・・・メモリ
11・・・ラッチ
12・・・静電容量回路
21−1〜21−8、22−1〜22−8・・・スイッチ部
23−1〜23−8、24−1〜24−8・・・デコーダ
25〜29・・・接続ライン
SW1〜SW6・・・スイッチ
SW11〜SW15・・・スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1のラインと、前記複数の第1のラインと絶縁層を介して交差するように配置される複数の第2のラインと、を備えるタッチパネルを含むタッチセンサの信号処理回路であって、
前記複数の第1のラインの中から駆動ラインと検出ラインとを少なくとも1つずつ選択し、または前記複数の第2のラインの中から駆動ラインと検出ラインとを少なくとも1つずつ選択する選択部と、
前記選択部で選択された駆動ラインおよび検出ラインの中から、予め定めた駆動ラインと検出ラインとの間で形成される2つの静電容量の差を検出する容量検出部と、
を備えることを特徴とするタッチセンサの信号処理回路。
【請求項2】
前記選択部は、
前記複数の第1のラインの中から少なくとも3つのラインを選択し、または前記複数の第2のラインの中から少なくとも3つのラインを選択することを特徴とする請求項1に記載のタッチセンサの信号処理回路。
【請求項3】
前記容量検出部は、
前記選択部で選択された少なくとも3つのラインの中から予め定めた少なくとも2つの駆動ラインに電圧をそれぞれ供給する駆動回路と、
前記選択部で選択された少なくとも3つのラインの中から予め定めた検出ライン上に生ずる電圧を入力し、当該入力電圧を基に、前記検出ラインと前記選択部で選択された前記駆動ラインの中から予め定めた一の駆動ラインとの間の静電容量と、前記検出ラインと前記駆動ラインの中から予め定めた他の駆動ラインとの間の静電容量との差に応じた電圧を出力する電圧検出回路と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載のタッチセンサの信号処理回路。
【請求項4】
予め定めた静電容量を有する第1のコンデンサと第2のコンデンサとをさらに備え、
前記容量検出部は、
前記選択部で選択された少なくとも3つのラインの中から予め定めた駆動ラインに電圧を供給し、かつ、前記第1のコンデンサおよび前記第2のコンデンサの各一端に電圧を供給する駆動回路と、
第1の入力端子と第2の入力端子とを有し、前記第1および第2の入力端子のそれぞれは、前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサとの各一端に接続され、かつ、前記第1および第2の入力端子のそれぞれに、前記選択部で選択された少なくとも3つのラインの中から予め定めた一の検出ライン上に生ずる電圧と他の検出ライン上に生ずる電圧をそれぞれ入力し、当該入力した両電圧を基に、前記駆動ラインと前記一の検出ラインとの間の容量値と、前記駆動ラインと前記他の検出ラインとの間の容量値との差に応じた電圧を出力する電圧検出回路と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載のタッチセンサの信号処理回路。
【請求項5】
前記複数の第1のラインの中から選択されるラインは、互いに隣接することを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちのいずれか1項に記載のタッチセンサの信号処理回路。
【請求項6】
前記複数の第2のラインの中から選択されるラインは、互いに隣接することを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちのいずれか1項に記載のタッチセンサの信号処理回路。
【請求項7】
前記容量検出部の検出出力を基に、前記タッチパネル上のホバリングを検出するホバリング検出部をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6のうちのいずれか1項に記載のタッチセンサの信号処理回路。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のうちのいずれか1項に記載のタッチセンサの信号処理回路を備えることを特徴とするタッチセンサ。
【請求項1】
複数の第1のラインと、前記複数の第1のラインと絶縁層を介して交差するように配置される複数の第2のラインと、を備えるタッチパネルを含むタッチセンサの信号処理回路であって、
前記複数の第1のラインの中から駆動ラインと検出ラインとを少なくとも1つずつ選択し、または前記複数の第2のラインの中から駆動ラインと検出ラインとを少なくとも1つずつ選択する選択部と、
前記選択部で選択された駆動ラインおよび検出ラインの中から、予め定めた駆動ラインと検出ラインとの間で形成される2つの静電容量の差を検出する容量検出部と、
を備えることを特徴とするタッチセンサの信号処理回路。
【請求項2】
前記選択部は、
前記複数の第1のラインの中から少なくとも3つのラインを選択し、または前記複数の第2のラインの中から少なくとも3つのラインを選択することを特徴とする請求項1に記載のタッチセンサの信号処理回路。
【請求項3】
前記容量検出部は、
前記選択部で選択された少なくとも3つのラインの中から予め定めた少なくとも2つの駆動ラインに電圧をそれぞれ供給する駆動回路と、
前記選択部で選択された少なくとも3つのラインの中から予め定めた検出ライン上に生ずる電圧を入力し、当該入力電圧を基に、前記検出ラインと前記選択部で選択された前記駆動ラインの中から予め定めた一の駆動ラインとの間の静電容量と、前記検出ラインと前記駆動ラインの中から予め定めた他の駆動ラインとの間の静電容量との差に応じた電圧を出力する電圧検出回路と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載のタッチセンサの信号処理回路。
【請求項4】
予め定めた静電容量を有する第1のコンデンサと第2のコンデンサとをさらに備え、
前記容量検出部は、
前記選択部で選択された少なくとも3つのラインの中から予め定めた駆動ラインに電圧を供給し、かつ、前記第1のコンデンサおよび前記第2のコンデンサの各一端に電圧を供給する駆動回路と、
第1の入力端子と第2の入力端子とを有し、前記第1および第2の入力端子のそれぞれは、前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサとの各一端に接続され、かつ、前記第1および第2の入力端子のそれぞれに、前記選択部で選択された少なくとも3つのラインの中から予め定めた一の検出ライン上に生ずる電圧と他の検出ライン上に生ずる電圧をそれぞれ入力し、当該入力した両電圧を基に、前記駆動ラインと前記一の検出ラインとの間の容量値と、前記駆動ラインと前記他の検出ラインとの間の容量値との差に応じた電圧を出力する電圧検出回路と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載のタッチセンサの信号処理回路。
【請求項5】
前記複数の第1のラインの中から選択されるラインは、互いに隣接することを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちのいずれか1項に記載のタッチセンサの信号処理回路。
【請求項6】
前記複数の第2のラインの中から選択されるラインは、互いに隣接することを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちのいずれか1項に記載のタッチセンサの信号処理回路。
【請求項7】
前記容量検出部の検出出力を基に、前記タッチパネル上のホバリングを検出するホバリング検出部をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6のうちのいずれか1項に記載のタッチセンサの信号処理回路。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のうちのいずれか1項に記載のタッチセンサの信号処理回路を備えることを特徴とするタッチセンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−80290(P2013−80290A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218651(P2011−218651)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(303046277)旭化成エレクトロニクス株式会社 (840)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(303046277)旭化成エレクトロニクス株式会社 (840)
【Fターム(参考)】
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