説明

タッチセンサ及びタッチセンサ内蔵液晶ディスプレイ

【課題】適切な電圧に設定するリセット信号を駆動するためのドライバICを不要にし、ドライバICとその実装コストを低減し、設計の自由度を向上させるタッチセンサ及びタッチセンサ内蔵液晶ディスプレイを提供する。
【解決手段】直列に接続された第1薄膜トランジスタ及び第2薄膜トランジスタと、ゲート端子が第1ゲート信号に接続され、ドレイン端子が前記第1薄膜トランジスタのゲートと参照容量の一方の端部とカップリング容量の一方の端部に接続され、ソース端子が第1リセット信号に接続される第3薄膜トランジスタと、ゲート端子が第2のゲート信号に接続され、ドレイン端子が前記第1薄膜トランジスタのゲートと参照容量の一方の端部とカップリング容量の一方の端部に接続され、ソース端子が第2リセット信号に接続される第4薄膜トランジスタと、を備えることを特徴とするタッチセンサ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトTFTを用いたタッチセンサ及びタッチセンサ内蔵液晶ディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン、タブレットPC、カーナビゲーションに見られるように、タッチパネル機能を組み合わせたディスプレイに対する市場の要望が強くなっている。このタッチパネル機能を組み合わせたディスプレイを実現するために、LCD等のディスプレイ上に透明のタッチスクリーンパネル(TSP)が設置されている。
【0003】
しかし、LCD等のディスプレイ上に外装したTSP方式ではシステムのコストが上がってしまうと同時に、システムの厚みの増大及びディスプレイの画質が低下する等の問題が発生する。
【0004】
上述したディスプレイ上に外装したTSP方式での問題に対応するものとして、例えば、特許文献1のタッチセンサ、これを有する液晶表示パネル及びタッチセンサのセンシング方法が提案されている。この特許文献1では、ディスプレイに内蔵したTSP方式が開示されている。
【0005】
特許文献1では、薄膜トランジスタ(TFT)の光学センサとアンプTFTを用いた光学センサをディスプレイに内蔵したTSP方式が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−282501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1においては、ノードNgを適切な電圧に設定するためにリセット信号Vrndは2値の電圧が必要となり、またそのリセット信号Vrndはゲート信号GLnのタイミングに合わせて切り替えなければならない。従って、リセット信号Vrndを駆動するためにゲート信号を発生するのと同様のスキャン機能を持ったドライバICが必要になり、ドライバIC及びその実装のため、コスト上昇するという問題があった。また、リセット信号Vrndのタイミングはゲート信号毎に変わるので、リセット信号Vrndは必ず水平ライン毎に必要となり、信号ラインの配置方法が限定されてしまい、タッチセンサ設計の自由度が制限されるという問題があった。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、適切な電圧に設定するリセット信号を駆動するためのドライバICを不要にし、ドライバICとその実装コストを低減し、設計の自由度を向上させるタッチセンサ及びタッチセンサ内蔵液晶ディスプレイを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施の形態に係るタッチセンサは、直列に接続された第1薄膜トランジスタ及び第2薄膜トランジスタと、ゲート端子が第1ゲート信号に接続され、ドレイン端子が前記第1薄膜トランジスタのゲートに接続され、ソース端子が第1リセット信号に接続される第3薄膜トランジスタと、ゲート端子が第2のゲート信号に接続され、ドレイン端子が前記第1薄膜トランジスタのゲートに接続され、ソース端子が第2リセット信号に接続される第4薄膜トランジスタと、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、前記第1リセット信号から前記第3薄膜トランジスタに供給される固定電圧が、前記第2リセット信号から前記第4薄膜トランジスタに供給される固定電圧より低くてもよい。
【0011】
本発明の一実施の形態に係るタッチセンサ内蔵液晶ディスプレイは、画素トランジスタをそれぞれ有する複数の画素と、タッチセンサであって、直列に接続された第1薄膜トランジスタ及び第2薄膜トランジスタ、ゲート端子が第1ゲート信号に接続され、ドレイン端子が前記第1薄膜トランジスタのゲートと参照容量の一方の端部とカップリング容量の一方の端部に接続され、ソース端子が第1リセット信号に接続される第3薄膜トランジスタ、及び、ゲート端子が第2ゲート信号に接続され、ドレイン端子が前記第1薄膜トランジスタのゲートと参照容量の一方の端部とカップリング容量の一方の端部に接続され、ソース端子が第2リセット信号に接続される第4薄膜トランジスタをそれぞれ有する複数のタッチセンサと、を含むことを特徴とする。
【0012】
また、前記第1リセット信号から前記第3薄膜トランジスタに供給される固定電圧が、前記第2リセット信号から前記第4薄膜トランジスタに供給される固定電圧より低くてもよい。
【0013】
また、前記タッチセンサの前記第1ゲートライン又は前記第2ゲートラインが前記画素に接続されるゲートラインと共有されてもよい。
【0014】
また、前記タッチセンサの前記第1リセット信号又は第2リセット信号が前記第1薄膜トランジスタ、前記第2薄膜トランジスタ及び前記参照容量にそれぞれが接続される直流電圧線と共有されてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、適切な電圧に設定するリセット信号を駆動するためのドライバICを不要にし、ドライバICとその実装コストを低減し、設計の自由度を向上させるタッチセンサ及びタッチセンサ内蔵液晶ディスプレイを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係るタッチセンサを含む液晶表示装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係るタッチセンサを含む液晶表示装置を示す概略平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る液晶表示装置に内蔵されるタッチセンサを示す回路図である。
【図4】図3の回路図におけるタイミングチャートを示す図である。
【図5】タッチセンサを示す回路図である。
【図6】図5の回路図におけるタイミングチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[本発明に至る経緯]
上述した特許文献1の図11に示すタッチパネルの回路図を改良したタッチパネルの回路図を図5に示し、図5に示したタッチパネルの回路動作を図6に示す。
【0018】
図5は、LCDパネル部に内蔵されるタッチセンサ200を示す回路図である。図5に示すように、LCDパネル部に内蔵されるタッチセンサ200は、参照容量Cref、カップリング容量Cc、及びアンプ薄膜トランジスタ(以下、「TFT」という)1、リードTFT2、フォトTFT3を備え、さらに、積分器210を備える。
【0019】
タッチセンサ200において、TFT1及びTFT2は直列に接続される。TFT1のゲートはTFT3のドレイン端子に接続され、ドレイン端子はTFT2を介してセンサラインSLに接続され、ソース端子は電源電圧Vddに接続される。TFT2のゲート端子は第1ゲート信号GLn−1に接続され、ドレイン端子はセンサラインSLに接続され、ソース端子はTFT1を介して電源電圧Vddに接続される。TFT3のゲート端子は第2ゲート信号GLnに接続され、ドレイン端子はTFT1のゲート端子であるノードVgwに接続され、ソース端子はリセット信号Vrndに接続される。ノードVgwは参照容量Crefの一方の端部及びカップリング容量Ccの一方の端部にも接続される。参照容量Crefのもう一方の端部は固定電圧Vcsに接続され、カップリング容量Ccのもう一方の端部は、第2ゲート信号GLnに接続される。積分器210は、オペアンプOP、コンデンサC、スイッチSWを備える。オペアンプOPのマイナス端子−にセンサラインSLが接続され、プラス端子+に基準電圧Vrefが接続される。オペアンプOPにコンデンサC及びスイッチSWが並列に接続される。積分器210は、センサラインSLを通じて供給される読出し電流Iroに対応する電圧Voutを出力する。したがって、タッチセンサ200は、積分器210から出力される電圧Voutの電圧レベルに基づいてタッチ領域とノータッチ領域とを判断している。
【0020】
[回路動作]
次に、図5で説明したタッチセンサの回路動作について図6を参照して説明する。図6は、図5のタッチパネルの回路動作におけるタイミングチャートを示す図である。
【0021】
図6において、第2ゲート信号GLnがON状態になると、ノードVgwはTFT3を介して高リセット信号Vrndhが充電され、その後、第2ゲート信号GLnがΔVg=Vgh−Vgl低下することによって、カップリング容量Ccのダウンカップリング効果によりΔVg×Cc/(Cref+Cc)低下する。ここで、TFT寄生容量の影響は無視している。この期間をタッチセンサのリセット期間とする。
【0022】
その後、第2ゲート信号GLnがOFF状態である約1フレーム期間において、TFT3に光が当たっていない場合、ノードVgwは保持されるが、光が当たっている場合、TFT3のフォト電流により放電される。この期間をタッチセンサの積分期間とする。
【0023】
その後、約1フレーム期間後に第1ゲート信号GLn−1がON状態になると、TFT2のソース端子及びドレイン端子間が通電状態となり、ノードVgwの電圧によって制御されたTFT1のソース電流及びドレイン電流で決まる読み出し電流IroがセンサラインSLに流れる(図5参照)。この期間をタッチセンサの読み出し期間とする。
【0024】
以上説明したように、リセット期間と積分期間にリセット信号Vrndを高リセット信号Vrndhと低リセット信号Vrndlに変化させているのは、リセット期間には、ノードVgwをTFT1で制御して適切な電圧に設定するために高リセット信号Vrndhが必要であり、そして、積分期間には、TFT3の適切な保持及びフォト電流を実現するために、TFT3のソース電圧である低リセット信号Vrndlを低い値に設定しなければならないためである。このために、リセット信号Vrndは2値の電圧が必要となり、またその2値の電圧をゲート信号GLnのタイミングに合わせて切り替えなければならない。従って、リセット信号Vrndを駆動するためにゲート信号を発生させるのと同様のスキャン機能を持ったドライバICが必要になる。これは、ドライバIC及びその実装のためのコスト上昇を招いてしまう。また、リセット信号Vrndのタイミングはゲートライン毎に変わるので、リセット信号Vrndは必ず水平ライン毎に必要となり、信号ラインの配置方法が限定されてしまう。これはセンサ設計の自由度を制限してしまう。
【0025】
そこで、本発明者は、リセット信号Vrndを駆動させるドライバICを不要にし、ドライバICとその実装コストの削減を実現することができ且つ設計の自由度を向上したタッチセンサ及びタッチセンサを含む液晶表示装置の発明に至った。
【0026】
本発明の実施形態に係るタッチセンサ及びタッチセンサを含む液晶表示装置においては、リセット信号Vrndを駆動させるドライバICを不要にし、ドライバICとその実装コストの削減を実現することができ、また、リセット信号Vrndの固定電圧は全てのセンサ画素に対して同一の電圧になるので、水平方向のみならず、垂直方向からの入力も可能になり、設計の自由度が向上することができる。
【0027】
以下、図1〜図4を参照して、本発明の実施形態に係るタッチセンサ及びタッチセンサを含む液晶表示装置について説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施形態に係るタッチセンサ100を含む液晶表示装置500を示すブロック図である。図1に示すように、本発明の実施形態に係るタッチセンサ100を含む液晶表示装置500は、LCDモジュール部520と、バックライト装置530と、を備える。
【0029】
LCDモジュール部520は、DC/DCコンバータ521、共通電極電圧発生部(Vcom発生部)522、γ電圧発生部523、LCDパネル部524、タイミングコントローラ529、及びバックライト装置530から構成され、外部から入力される画像データに応じた画像を表示する。LCDパネル部524は、複数のゲート線GLおよび複数のデータ線DLの交差点に設けられた複数の画素528で構成される。複数のゲート線GLはゲートドライバ部525に、複数のデータ線DLはデータドライバ部562に接続される。各画素は、薄膜トランジスタ527及び液晶キャパシタCLC1を含み構成される。薄膜トランジスタ527のゲート端子がゲート線GLに接続され、ソース端子がデータ線DLに接続され、ドレイン端子が液晶キャパシタCLC1に接続され、ゲートドライバ部525から出力するゲート信号に応答してデータドライバ部562から出力するデータ信号が液晶キャパシタCLC1に充電される。液晶キャパシタCLC1の他端は対向基板にある共通電極541に接続されており、共通電極541にはVcom発生部522から出力する電圧Vcomが入力される。
【0030】
外部から入力された画像データ、同期信号より、タイミングコントローラ529においてデータドライバ制御信号、ゲートドライバ制御信号を生成し、データドライバ部525、ゲートドライバ部562にそれぞれ入力する。また、γ電圧発生部523で生成したγ電圧をデータドライバ部562へ出力し、DC/DCコンバータ521で生成した直流電圧Vgh,Vglがゲートドライバ部525に入力される。
【0031】
LCDパネル部524には、複数のタッチセンサ100が内蔵される。本発明の実施形態に係るタッチセンサ100は、例えば、参照容量Cref、カップリング容量Cc、及びアンプTFT1、リードTFT2、フォトTFT3、リセットTFT4を備える。各タッチセンサ100は、各画素に隣接して形成され、対向基板に設けられたブラックマトリクスによってフォトTFT3以外は遮光されている。
【0032】
フォトTFT3は、LCDパネル部524をタッチする動作が発生するときに変化する外部光量に反応して動作する。タッチパネルとしては、外部光反応とバックライト光反射の2方式がある。外部光反応方式では、タッチされた領域では、外部光量が減少するため、フォトTFT3には、光電流がほとんど流れない。しかし、ノータッチ(タッチされていない)領域では外部光量が減少しないことから、フォトTFT3には光電流が多く流れる。一方、バックライト光反射方式では、タッチされた領域では、バックライト光の反射によって光電流が流れ、ノータッチ領域では反射光がないことから、フォトTFT3には光電流は流れない。(図4、図6のノードVgwの変化はバックライト光反射方式の場合の例である。)
【0033】
タッチセンサ100に入力する電源電圧Vdd,高リセット信号Vrndh,低リセット信号VrndlはDC/DCコンバータ521で生成し、タッチセンサ100に入力される。センサラインSLはデータドライバ部562に接続される。データドライバ部562は積分回路、A/D変換回路を備え、センサラインSLから入力した読出し電流Iroをディジタルデータに変換したセンサ信号を出力する。センサ信号はタイミングコントローラ529に入力し、タイミングコントローラ529内でタッチデータを生成し、LCDモジュール部520から出力する。
【0034】
バックライト装置530は、光源531であるLEDまたは冷陰極管と、それを駆動するドライバ回路532で構成される。
【0035】
次に、図1に示したLCDパネル部524のタッチセンサ100を複数の画素528に対して配置する一例について図2を参照して説明する。図2は、本発明の実施形態に係るタッチセンサ100を含む液晶表示装置500を示す概略平面図である。図2に示すように、タッチセンサ100を含む液晶表示装置500は、画像を表示する複数の画素P1〜P4と、接触を感知する複数のタッチセンサ100を含む。複数の画素部P1〜P4は、マトリックス構造からなり、各画素は、複数のカラー画素を含む。例えば、画素部は、第1方向に互いに隣接するように配列された赤色画素R、緑色画素G、及び青色画素Bを含む。例えば、第1方向は水平方向であってもよい。
【0036】
複数の画素部は、複数の第1画素列(Hi,Hi+1)と複数の第2画素列(Vq,…,Vq+3)を含む。以下、第1画素列は水平列といい、第2画素列は垂直列という。
【0037】
例えば、n番目水平列(Hi)は、n−1番目ゲート配線GLn−1と電気的に接続された画素部を含み、n+1番目水平列(Hi+1)はn番目ゲート配線GLnと電気的に接続された画素部を含む。ここで、「n」は自然数である。図2に示したように、タッチセンサ100は、垂直列の第1画素部P1及び第2画素部P2と垂直列の第3画素部P3及び第4画素部P4との間の領域に配置される。
【0038】
次に、タッチセンサ100の回路図について説明する。図3は、本発明の実施形態に係る液晶表示装置に内蔵されるタッチセンサ100を示す回路図である。図3に示す液晶表示装置500に内蔵されるタッチセンサ100は、参照容量Cref、カップリング容量Cc、及びアンプTFT1、リードTFT2、フォトTFT3、リセットTFT4を備え、さらに、積分器110を備える。なお、本実施形態に係る液晶表示装置に内蔵されるタッチセンサ100は、図5に示したタッチセンサ200とはTFT1、TFT2、参照容量Cref及び積分器110が同様の機能を有するため、これらの構成説明は省略する。
【0039】
本発明の実施形態に係るタッチセンサ100において、TFT1及びTFT2は直列に接続されている。TFT1のゲート端子はTFT3のドレイン端子に接続され、ドレイン端子はTFT2を介してセンサラインSLに接続され、ソース端子は電源電圧Vddに接続される。TFT2のゲート端子は第1ゲート信号GLn−1に接続され、ドレイン端子はセンサラインSLに接続され、ソース端子はTFT1を介して電源電圧Vddに接続される。TFT3のゲート端子は第2ゲート信号GLnに接続され、ドレイン端子はTFT1のゲート端子であるノードVgwに接続され、ソース端子は固定電圧の低リセット信号Vrndlに接続される。TFT4のゲート端子は第3ゲート信号GLn+1に接続され、ドレイン端子はノードVgwに接続され、ソース端子は固定電圧の高リセット信号Vrndhに接続される。ノードVgwは参照容量Crefの一方の端部及びカップリング容量Ccの一方の端部にも接続される。参照容量Crefのもう一方の端部は固定電圧Vcsに接続され、カップリング容量Ccのもう一方の端部は、第3ゲート信号GLn+1に接続される。積分器110は、オペアンプOP、コンデンサC、スイッチSWを備える。オペアンプOPのマイナス端子−にセンサラインSLが接続され、プラス端子+に基準電圧Vrefが接続される。オペアンプOPにコンデンサC及びスイッチSWが並列に接続される。積分器110は、センサラインSLを通じて供給される読出し電流Iroに対応する電圧Voutを出力する。したがって、積分器110から出力される電圧Voutの電圧レベルに基づいてタッチ領域とノータッチ領域とを判断する。
【0040】
本発明の実施形態に係るタッチセンサ100は、TFT3及びTFT4それぞれのドレイン端子はノードVgwに接続され、ソース端子はそれぞれの高リセット信号Vrndh及び低リセット信号Vrndlに接続され、異なるタイミングのゲート信号でそれぞれのTFT3及びTFT4を制御する。その結果、タッチセンサ100は、リセット期間のノードVgwをTFT1を制御するために適切な電圧に設定できるとともに、積分期間において、TFT3の適切な保持及びフォト電流を実現するために、TFT3のソース電圧を低い値に設定できる。
【0041】
また、タッチセンサ100は、2つ固定電圧(高リセット信号Vrndh及び低リセット信号Vrndl)のみの動作が可能になるため、スキャン機能を持ったドライバICが必要なくなる。また、全てのセンサ画素に対して、同一の電圧になるので、水平方向のみならず、垂直方向からの入力も可能になり、設計の自由度が向上する。
【0042】
[回路動作]
次に、図3に示したタッチセンサ100の回路動作について図4を参照して説明する。図4は、図3のタッチセンサ100の回路動作におけるタイミングチャート示す図である。
【0043】
図4において、第3ゲート信号GLn+1がON状態になると、ノードVgwはTFT4を介して固定電圧の高リセット信号Vrndhが充電され、その後、第3ゲート信号GLn+1がΔVg=Vgh−Vgl低下することによって、カップリング容量Ccのダウンカップリング効果によりΔVg×Cc/(Cref+Cc)低下する。ここで、TFT寄生容量の影響は無視している。この期間をタッチセンサのリセット期間とする。
【0044】
その後、第2のゲート信号GLnがOFF状態である約1フレーム期間において、TFT3に光が当たっていない場合、ノードVgwは保持されるが、光が当たっている場合、TFT3のフォト電流により放電される。この期間をタッチセンサの積分期間とする。この積分期間におけるTFT3のソース電圧は固定電圧の低リセット信号Vrndlに固定されているので、適切な保持もしくは放電動作が可能となる。
【0045】
その後、約1フレーム期間後に第1ゲート信号GLn−1がON状態になると、TFT2のソース端子及びドレイン端子間が通電状態となり、ノードVgwの電圧に応じて決まる読み出し電流IroがセンサラインSLに流れる。この期間をタッチセンサの読み出し期間とする。
【0046】
次に、第2ゲート信号GLnがON状態になった時、ノードVgwはTFT3を介して固定電圧の低リセット信号Vrndlに充電されてしまう。しかし、この充電された電圧は直後にON状態になる第3のゲート信号Gn+1によってTFT4を介して固定電圧の高リセット信号Vrndhに書き換えられるので、実際の動作上の問題は無い。
【0047】
本発明の実施形態に係るタッチセンサ100では、1画素センサ設計のために、3ゲート信号が必要になる。しかし、一般にゲート信号はディスプレイのゲート信号と共用化し、センサ画素密度はディスプレイ画素密度より低く設定することが多いので問題はない。また、本発明の実施形態に係るタッチセンサ100では、固定電圧のリセット信号Vrndの線数は従来の1本から2本に増える。しかし、固定電圧のリセット信号Vrndは、直流電圧信号線、たとえば、固定電圧Vcs、固定電圧Vdd及びセンサラインSLと共用できる。
【0048】
以上説明したように、本発明の実施形態において、高リセット信号Vrndhと低リセット信号Vrndlを固定電圧にすることによって、スキャン機能を持ったドライバICが不要になり、ドライバICとその実装コストを低減できる。また、全てのセンサ画素に対して、同一の電圧になるので、水平方向のみならず、垂直方向からの入力も可能になり、設計の自由度を向上することができる。
【0049】
したがって、タッチセンサ100を備えた液晶表示装置1000において、タッチセンサ100は、2つ固定電圧(高リセット信号Vrndh及び低リセット信号Vrndl)のみの動作が可能になるため、スキャン機能を持ったドライバICが必要なくなる。また、全てのセンサ画素に対して、同一の電圧になるので、水平方向のみならず、垂直方向からの入力も可能になり、設計の自由度が向上する。
【符号の説明】
【0050】
100、200…タッチセンサ、110、210…積分器、500…液晶表示装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に接続された第1薄膜トランジスタ及び第2薄膜トランジスタと、
ゲート端子が第1ゲート信号に接続され、ドレイン端子が前記第1薄膜トランジスタのゲートと参照容量の一方の端部とカップリング容量の一方の端部に接続され、ソース端子が第1リセット信号に接続される第3薄膜トランジスタと、
ゲート端子が第2のゲート信号に接続され、ドレイン端子が前記第1薄膜トランジスタのゲートと参照容量の一方の端部とカップリング容量の一方の端部に接続され、ソース端子が第2リセット信号に接続される第4薄膜トランジスタと、
を備えることを特徴とするタッチセンサ。
【請求項2】
前記第1リセット信号から前記第3薄膜トランジスタに供給される固定電圧が、前記第2リセット信号から前記第4薄膜トランジスタに供給される固定電圧より低いことを特徴とする請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項3】
画素トランジスタをそれぞれ有する複数の画素と、
タッチセンサであって、直列に接続された第1薄膜トランジスタ及び第2薄膜トランジスタ、ゲート端子が第1ゲート信号に接続され、ドレイン端子が前記第1薄膜トランジスタのゲートと参照容量の一方の端部とカップリング容量の一方の端部に接続され、ソース端子が第1リセット信号に接続される第3薄膜トランジスタ、及び、ゲート端子が第2ゲート信号に接続され、ドレイン端子が前記第1薄膜トランジスタのゲートと参照容量の一方の端部とカップリング容量の一方の端部に接続され、ソース端子が第2リセット信号に接続される第4薄膜トランジスタをそれぞれ有する複数のタッチセンサと、
を含むタッチセンサ内蔵液晶ディスプレイ。
【請求項4】
前記第1リセット信号から前記第3薄膜トランジスタに供給される固定電圧が、前記第2リセット信号から前記第4薄膜トランジスタに供給される固定電圧より低いことを特徴とする請求項3に記載のタッチセンサ内蔵液晶ディスプレイ。
【請求項5】
前記タッチセンサの前記第1ゲートライン又は前記第2ゲートラインが前記画素に接続されるゲートラインと共有されることを特徴とする請求項3に記載のタッチセンサ内蔵液晶ディスプレイ。
【請求項6】
前記タッチセンサの前記第1リセット信号又は第2リセット信号が前記第1薄膜トランジスタ、前記第2薄膜トランジスタ及び前記参照容量にそれぞれが接続される直流電圧線と共有されることを特徴とする請求項3に記載のタッチセンサ内蔵液晶ディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−44867(P2013−44867A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181468(P2011−181468)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(598045058)株式会社サムスン横浜研究所 (294)
【Fターム(参考)】