説明

タッチセンサ装置及びこれを備えた電子機器

【課題】表面型静電容量方式タッチセンサの検出精度を向上し得るタッチセンサ装置等を提供する。
【解決手段】本発明のタッチセンサ装置1Aは、人体4が接触又は近接すると人体4との間に静電容量を形成するタッチパネル2と、直流電圧を出力するバッテリ(電池)等を有するとともに前記直流電圧を交流電圧に変換してタッチパネル2から出力する電源部と、前記交流電圧の基準電位となる基準電位部と、基準電位部に電気的に接続されるとともに人体4が接触するリストストラップ11及びケーブル9と、電源部から人体4へ流れる電流を検出する電流検出部と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面型静電容量方式のタッチセンサ装置、これを備えた電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチセンサ装置は、指やペンなどを用いて指し示された位置座標、又は指し示す動作の有無を検出する装置であり、通常、液晶ディスプレイ(以下「LCD(Liquid Crystal Display)」という。)やプラズマディスプレイ(以下「PDP(Plasma Display Panel)」という。)等の面表示装置と組み合わせて用いられる。
【0003】
タッチセンサ装置の出力をコンピュータに入力し、コンピュータによって表示装置の表示内容を制御したり機器を制御したりすることにより、使い勝手の良いマンマシン・インターフェイスが実現される。現在はゲーム機、携帯情報端末、券売機、ATM(Automated Teller Machine)、カーナビゲーションなど、日常生活において広く利用されている。そして、コンピュータの高性能化やネットワーク接続環境の普及とともに、電子機器で供給されるサービスが多様化し、これに伴いタッチセンサ装置を備えた表示装置のニーズが拡大し続けている。
【0004】
タッチセンサ装置の方式として、静電容量方式、抵抗膜方式、赤外線方式、超音波方式、電磁誘導方式などが知られている。タッチセンサ装置の中でも、静電容量方式のタッチセンサ装置は、様々な厚さのガラスやプラスチックを通して指の接触を感知することで、工業用製品や白物家電などの多くのアプリケーション領域において堅牢性を発揮している。ただし、タッチするものは、指や、指と同等の静電容量を形成する導電性のものに限られる。
【0005】
静電容量方式タッチセンサ装置は、更に投影型(Projected capacitive型)と表面型(Surface capacitive型)とに分類される。
【0006】
投影型は、X−Y透明電極をマトリクス形状で形成した方式である。X−Y透明電極に指が近づくと、電極間の静電容量が増加し、X−Yのラインの静電容量の変化をコントローラが検知し、指の位置を検出する。
【0007】
投影型は、ガラス基板の両面にXY電極が形成されている。そのガラス基板の両面に透明電極を形成するために、透明導電層を二層成膜する必要がある。これに加え、透明電極をマトリクス形状にするために、透明導電層をパターニングする必要があり、製造工程数が多い。また、XY電極数が多い上に、XY電極の各々に対応する端子を必要とするため、それらの端子数も多い。
【0008】
更に、透明電極の代表的な材料としてITO(indium tin oxide)が挙げられるが、液晶パネルやタッチパネル市場が伸びているため、ITOの需要が高まっている。特にITOを構成するインジウムは希少金属であり、高価である。また、ITOは蒸着により、成膜するので、製造タクトタイムが長く、一度に大量生産することができない。よって、ITOフィルムメーカの増産が追いつかずに、ITOフィルムの供給不足に陥り、透明電極部材の価格が高騰しつつある。結果として、投影型は製造コストが高くなってしまうという欠点がある。
【0009】
これに対し、表面型は、後述するように、絶縁性基板の表面に透明導電層を一層成膜するだけであるので、投影型に比較して構造がシンプルで製造コストを抑えることができる。
【0010】
すなわち、一般の表面型は、絶縁性基板と、その表面に形成された均一な透明導電層と、その上面に形成された薄い絶縁層(保護層)とで構成する。このタッチセンサ装置を駆動する際は、その透明導電層の四隅に交流電圧を印加する。指でタッチセンサを触れると、透明導電層と指によって形成される静電容量を介して、指に微小電流が流れる。この電流は、透明導電層の四隅のそれぞれから指がタッチ(指が接触)した点へ流れる。そして、信号処理回路が、それぞれの電流の和からタッチの有無を検出する。また、それぞれの電流の比から、タッチ位置の座標を計算する。このような表面型に関する技術については、例えば次の特許文献1〜6に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4293734号明細書
【特許文献2】特表昭56−500230号公報
【特許文献3】特開2001−099609号公報
【特許文献4】特開2005−269090号公報
【特許文献5】特開2007−264923号公報
【特許文献6】特許第3864512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、表面型静電容量方式のタッチセンサ装置には、次のような課題があった。
【0013】
表面型静電容量方式タッチセンサ装置を携帯機器に組み込んだ場合、すなわちモバイル環境下においては、接触位置を検出するタッチセンサ機能のS/N(信号対雑音比)が低下することにより、タッチセンサ機能の感度及び位置精度が劣化する。更に、周囲の環境が変化すると接触感度及び位置検出精度も影響を受けやすい。
【0014】
そこで、本発明の目的は、表面型静電容量方式のタッチセンサ装置の位置検出精度を向上し得るタッチセンサ装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係るタッチセンサ装置は、
人体が接触又は近接すると当該人体との間に静電容量を形成する第一の人体接触部と、
この第一の人体接触部との間に交流電圧を出力する電源部と、
この電源部から前記人体へ流れる電流を検出する電流検出部と、
前記交流電圧の基準電位となる基準電位部と、
この基準電位部に電気的に接続されるとともに前記人体が接触する第二の人体接触部と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、検出電流の流れる閉ループに寄生インピーダンスを含まないことから、検出電流を増加できるとともにノイズや周囲の影響を抑制できるので、検出電流による検出位置精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態1のタッチセンサ装置を搭載した携帯機器を示す斜視図である。
【図2】図1の携帯機器の断面模式図である。
【図3】実施形態1のタッチセンサ装置の等価回路図である。
【図4】実施形態1のタッチセンサ装置における動作の電圧波形を示すグラフである。
【図5】図5[1]は、表面型静電容量方式のタッチセンサ装置の一般的な動作原理を示す等価回路図である。図5[2]は、実施形態1のタッチセンサ装置が解決する課題を示す等価回路図である。
【図6】タッチに伴う電流に対する寄生インピーダンスの影響についての計算結果を示すグラフである。
【図7】図7[1]は、実施形態1のタッチセンサ装置の動作原理を示す等価回路図である。図7[2]は、実施形態1のタッチセンサ装置におけるタッチに伴う電流の測定結果を示すグラフである。
【図8】実施形態2のタッチセンサ装置を搭載した携帯機器を示す斜視図である。
【図9】図8の携帯機器の断面模式図である。
【図10】図10[1]は、実施形態3のタッチセンサ装置を搭載した携帯機器を示す平面模式図である。図10[2]は、図10[1]におけるI−I’線断面模式図である。
【図11】図11[1]は、実施形態4のタッチセンサ装置を搭載した携帯機器を示す平面模式図(背面側)である。図11[2]は、図11[1]におけるII−II’線断面模式図である。
【図12】実施形態6のタッチセンサ装置を搭載した携帯機器を示す斜視図である。
【図13】実施形態7のタッチセンサ装置を搭載した携帯機器のバックライト部分を示す断面模式図である。
【図14】実施形態8のタッチセンサ装置を搭載したカーナビゲーションと自動車の内装とを示す斜視図である。
【図15】実施形態9のタッチセンサ装置を搭載した携帯機器を示す斜視図である。
【図16】図16[1]は、実施形態9の携帯機器のタッチスイッチ部分を示す平面模式図である。図16[2]は、図16[1]におけるIII−III’線断面模式図である。
【図17】実施形態10のタッチセンサ装置を内蔵したLCDを示す分解斜視図である。
【図18】図17のLCDの平面模式図である。
【図19】実施形態10のタッチセンサ装置の各部の電圧を示すタイミングチャートである。
【図20】実施形態11のタッチセンサ装置における対向基板を示す平面模式図である。
【図21】図20におけるIV−IV’線断面模式図である。
【図22】実施形態11のタッチセンサ装置の各部の電圧を示すタイミングチャートである。
【図23】実施形態12のタッチセンサ装置における対向基板を示す平面模式図である。
【図24】図23におけるV−V’線断面模式図である。
【図25】実施形態13のタッチセンサ装置を搭載したLCDの平面模式図である。
【図26】図25におけるVI−VI’線断面模式図である。
【図27】図27[1]は、一般的なタッチセンサ装置の動作原理を示す等価回路図である。図27[2]は、実施形態14のタッチセンサ装置の動作原理を示す等価回路図である。
【図28】実施形態5のタッチセンサ装置を搭載した携帯機器を示す斜視図である。
【図29】図28におけるペンの平面図及びそのA―A’線縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明者は、実際に表面型静電容量方式のタッチセンサ装置を作製し、特に携帯(モバイル)用とした場合の本質的な課題を見出した。その詳細については以下の実施形態において説明するが、その課題を要約すると次のようになる。モバイル環境下においては、タッチセンサ機能のS/N(信号対雑音比)が低下し、タッチセンサ機能の検出感度(以下単に感度という)及び位置精度が劣化する。更に、周囲の環境が変化すると、その感度及び位置精度も影響を受けやすい。
【0019】
その第一の原因は、回路の基準電位ノードがアースに対して浮いているため、形成された回路の基準電位ノードとアースとの間の第一の寄生インピーダンスの影響により、タッチに伴う信号成分が減少するためである。回路の基準電位ノードがアースに対して浮いている理由は、携帯機器等の場合は、一般的に電源プラグをACコンセントに接続せずに、内蔵しているバッテリから電力を供給するために、回路の基準電位ノードがアースに接続されないことによる。従って、周囲環境の変化とは、回路の基準電位ノードとアースとの間のインピーダンスの変化である。特に、回路の基準電位ノードは筐体に覆われるのが一般的であり、筐体が絶縁性であると、特に、回路の基準電位ノードとアースとの間のインピーダンスが高くなる。
【0020】
その第二の原因は、人体がアースに対して浮いているため、形成された人体とアースとの間の第二の寄生インピーダンスの影響により、タッチに伴う信号成分が減少するためである。人体がアースに対して浮いている理由は、通常の生活では人体をアースに落とすことがないためである。第二の寄生インピーダンスは、第一の寄生インピーダンスと直列に接続される関係にあり、第一の寄生インピーダンスと同様に周囲環境の変化に応じて変化しやすい。
【0021】
つまり、第一及び第二の寄生インピーダンスの存在によって検出電流が減少し、かつ、第一及び第二の寄生インピーダンス(浮遊インピーダンス)が不安定であることから感度及び位置精度が劣化するのである。
【0022】
上記課題を解決する目的を達成するため、本発明は、表面型静電容量方式のタッチセンサ機能であって、インピーダンス面と、前記インピーダンス面と電気的に接続された電流検出回路と、バッテリで駆動する手段とを有するものにおいて、前記電流検出回路の基準電位ノードと人体とを低インピーダンスで接続するための手段を有することを特徴としている。このとき、前記電流検出回路の基準電位ノードと人体とを接続することで、前記電流検出回路の基準電位ノードとアースとの間のインピーダンス及び人体とアースとの間のインピーダンスを無視できることを特徴としている。ここで、基準電位ノードとアースとの間のインピーダンスは容量性であってもよい。
【0023】
本発明によれば、回路の基準電位ノードと人体とを低インピーダンスで電気的に接続することで、モバイル(携帯機器使用)環境下におけるタッチに伴う信号のS/Nの低下を抑制できる。したがって、モバイル環境下においても、タッチセンサ機能の感度及び位置精度に優れたタッチセンサ機能を提供できる。その理由は、人体は導電性であるため基準電位ノードを低インピーダンスで人体と接続することにより、携帯機器の浮いている回路の基準電位ノードをタッチ部と同一電位にすることができるためである。以上の効果が得られる理由や作用の詳細は実施形態とともに後述する。以下、本発明の好適な実施形態の複数例について、図面を参照して具体的に説明する。
【0024】
〔実施形態1〕
図1は、本実施形態1のタッチセンサ装置を搭載した携帯機器を示す斜視図である。図2は、図1の携帯機器の断面模式図である。図3は、本実施形態1のタッチセンサ装置の等価回路図である。以下、図1乃至図3に基づき説明する。
【0025】
本実施形態1のタッチセンサ装置1Aは、人体4が接触又は近接すると人体4との間に静電容量25を形成する第一の人体接触部(2)と、第一の人体接触部(2)との間で交流電圧を出力する電源部(27)と、電源部(27)から人体4へ流れる電流を検出する電流検出部(29)と、前記交流電圧の基準電位となる基準電位部(15,16)と、基準電位部(15,16)に電気的に接続されるとともに人体4が接触する第二の人体接触部8と、を備えたことを特徴とする。
【0026】
ここでいう第二の人体接触部8と人体4との接触には、直接接触する場合の他に、静電容量などの低インピーダンスを介して接触する場合や、導電性部材を介して間接的に接触する場合も含まれるものとする。第二の人体接触部と人体とが低インピーダンスを介して接触する場合の具体例としては、第二の人体接触部が導電性筺体であるとき、その導電性筺体を薄い絶縁膜で覆った場合などが挙げられる。
【0027】
また、「基準電位部」とは回路のグランド(GND)のことをいい、「アース」とは大地のことをいい、「接地」とはアースに接続することをいうものとする。したがって、基準電位部の電位とアースの電位とは、必ずしも一致しない。
【0028】
関連技術のタッチセンサ装置では、電源部→人体接触部→人体→寄生インピーダンス→アース(接地電位)→寄生インピーダンス→基準電位部、という閉ループで電流が流れ、この電流を検出していた。しかし、寄生インピーダンスでの電圧降下が大きいために電流が流れにくいこと、及び不安定な寄生インピーダンスが周囲の影響を受けて変動すること等のため、電流の検出精度が低下していた。これに対し、タッチセンサ装置1Aでは、電源部(27)→第一の人体接触部(2)→人体4→第二の人体接触部8→基準電位部(15,16)、という閉ループで電流が流れ、この電流を検出する。そのため、閉ループ中に寄生インピーダンスを含まないことから、電流が増加するとともに寄生インピーダンスの変動やノイズの影響が抑制されるので、電流の検出精度が向上する。
【0029】
第一の人体接触部(2)は、人体4が接触又は近接する導電膜から成るインピーダンス面(39)と、インピーダンス面(39)に設けられるとともに前記交流電圧が印加される複数の電極38a〜38dとを有する。電流検出部(29)は、複数の電極38a〜38dに流れる電流をそれぞれ検出する複数の電流検出回路29a〜29dを有する。電源部(27)は、直流電圧を出力するバッテリ17を有するとともに前記直流電圧を前記交流電圧に変換して第一の人体接触部(2)から出力する。
【0030】
タッチセンサ装置1Aは、電子機器(10A)に組み込まれている。第二の人体接触部8は、基準電位部(15,16)に接続された導線(9)と、導線(9)に接続された導体(11)とを有する。
【0031】
本実施形態1では、電子機器(10A)は携帯機器10A、第一の人体接触部(2)はタッチパネル2、インピーダンス面(39)は透明導電層39、電源部(27)は交流電圧源27、基準電位部(15,16)は基準電位配線15及び基準電位ノード16、電流検出部(29)は電流検出回路29a〜29d、導線(9)はケーブル9、導体(11)はリストストラップ11で、それぞれ実現されている。以下に、更に詳しく説明する。
【0032】
[構成の説明]
図2に示すように、携帯機器10Aは、バッテリ17を搭載し、回路の基準電位ノード16がACコンセントを介してアース(接地電位)に接続されてないことが一般的である。ここで、「基準電位ノード」とは、グランド(GND)のノードであり、回路上で0Vの電位を示す。また、「AC(Alternating Current)コンセント」は、家電製品などの電気器具のプラグを接続する電力供給用の差し込み口である。日本における単相交流100V用のACコンセントでは、細長い差し込み口が二つのあるものが主流であるが、その一方の差し込み口がアースになっている。また、二つの差し込み口の下に、接地極用の丸い差し込み口を有するアース付コンセントというものもある。
【0033】
図2に示すように、タッチパネル2の周辺の上面と、携帯機器10Aの筐体3の内部とが接着されることで、タッチパネル2が支持されている。ここで、筐体3の材質はプラスチックとした。プラスチックは、高分子化合物から成り、可塑性を有し、絶縁体である。また、タッチパネル2の下側に、表示装置としてLCD5が設けられている。図2においては、タッチパネル2とLCD5の間を離しているが、LCD5とタッチパネル2との間に接着フィルムを使って、これらをラミネート加工などで貼り合わせてもよい。その場合は、LCD5とタッチパネル2との間に空気層が入らないので、LCD5からタッチパネル2への光の透過率を高められるという利点がある。
【0034】
LCD5は、CRT(Cathode Ray Tube)やPDPなど他の表示装置に比べて薄くて軽いので、携帯機器に搭載するのに適している。LCD5に用いる液晶パネルは、二枚のガラス板の間に液晶を封入し、電圧をかけることによって液晶分子の向きを変え、光の透過率を増減させることで画像を表示する構造になっている。液晶を照明するために、液晶パネルの背面にバックライトが設けられている。二枚のガラス基板は、一般にTFT(thin film transistor)基板と対向基板とからなる。このように、背面からの面状のバックライト光を液晶パネルで変調し画像を表示する透過型のLCDを例にとって説明したが、前述のTFT基板上に反射板となる金属電極を形成し、周囲光を表示に利用する反射型LCDとしてもよい。また、その反射板に網点状に微細な穴を開けることにより、透過・反射兼用とした半透過型LCDとしてもよい。
【0035】
タッチパネル2には、絶縁性基板41上にスパッタ法などにより透明導電層39が形成されたものを用いた。ここで、透明導電層39の材料は、ITO(Indium tin oxide:インジウムスズ酸化物)とした。ここで、透明導電層39の厚みを10〜300nmとし、そのシート抵抗を100〜1000Ωとした。
【0036】
透明導電層39(図3)が形成されたタッチパネル2とメイン基板19とは離れているために、電気信号を伝達する配線(FPC7)が形成されている。ここでは、空間的制約のために配線や基板を曲げる必要がある箇所があるために、フレキシブルプリント基板(以下「FPC(Flexible Printed Circuits)」という。)を用いた。FPC7は、柔軟性があり大きく変形させることが可能なプリント基板であり、厚みが12〜50μmのフィルム状の絶縁性基板の上に接着層を形成し、更にその上に厚み12〜50μm程度の導体箔を形成した構造である。FPC7の端子部やハンダ部以外には、絶縁体を被せて保護している。
【0037】
透明導電層39の四隅には、それぞれ異方性導電性フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)などの導電性の接着材料を介して、FPC7の端子部(図3:電極38a〜38d)が接続されている。あるいは、透明導電層39の四隅に、金属から成る電極を形成してもよい。この場合の金属は、銀やチタンなどの、ITOに対して接触抵抗が低い材料が好ましい。また、金属から成る配線を形成し、透明導電層39の外周を引き廻してもよい。
【0038】
更に、透明導電層39を被覆する絶縁性の保護層37を形成する。ここで、保護層37の厚みを0.1〜1mmと厚くし、タッチした指23と透明導電層39との間に十分な静電容量25を形成しながらも、堅牢性を高めた。
【0039】
透明導電層39から引き出されたFPC7のもう一方の端子部は、メイン基板19上のコネクタを介して、タッチセンサ装置1A用のコントローラ21の入力側に接続されている。メイン基板19は、液晶パネル、バックライトなどから成るLCDモジュールと、コネクタを介して接続されている(図示せず)。バッテリ17は、コネクタを使わずにメイン基板19と接続されている。バッテリ17とメイン基板19との間は、正電源電圧+3〜+15V、負電源電圧−15〜−3V及び、基準電圧0Vの配線が接続されている。
【0040】
バッテリ17にはリチウムイオン二次電池を用いている。リチウムイオン二次電池は、電解質中のリチウムイオンが電気伝導を担い、かつ金属リチウムを電池内に含まず、充電を行うことにより繰り返し使用することができる。あるいは、電解質にポリマーを使用したリチウムポリマ二次電池を用いても良い。なお、バッテリ17としては、蓄電池(storage battery)、乾電池(dry battery)、太陽電池、燃料電池等の独立して電力を供給できる電池電源であればいずれも用いることができる。
【0041】
また、メイン基板19は、表面実装基板から成り、マイクロコントローラやフラッシュメモリを内蔵したチップ、ディスプレイのインターフェース用IC、電源制御IC、タッチセンサ装置1A用のコントローラ21、発振回路ICの主要な機能を持つチップなどを実装している。あるいは、コントローラ21をFPC7上などに設けた薄型プリント配線基板上に、メイン基板19を実装してもよい。
【0042】
各チップの基準電位ノード16(図3)は、まとめられて、バッテリ17から供給される基準電位配線15と接続されている。
【0043】
図3はタッチセンサ装置1Aの機能に関する等価回路図である。タッチセンサ装置1A用のコントローラ21は、四つの電流検出回路29a〜29dなどから成り、透明導電層39の四隅の夫々に電極38a〜38dを介して電気的に接続されている。また、発振回路ICの出力端子(交流電圧源27)が透明導電層39の四隅に電気的に接続されている。ここで、交流電圧は、正弦波とし、その振幅を0.5〜2V、その周波数を20〜200kHzとした。
【0044】
電流検出回路29a〜29dは、前段である電流―電圧変換回路と後段であるAC−DC変換回路から成る(図示せず)。そして、AC−DC変換回路の出力端子は、マイクロコントローラに内蔵されたアナログ−デジタル変換回路に入力されている。アナログ−デジタル変換回路はサンプルホールド回路を備えている。携帯機器10Aの組み込みシステムにはタッチセンサ機能の専用のプログラムが内蔵され、そのタッチセンサ機能がマイクロコントローラによって制御されている。
【0045】
図2を参照すると、メイン基板19上の基準電位配線15と、携帯機器10Aの筐体3の一部に設けたジャック13とを、ケーブル6によって接続している。ここで、図1を参照すると、ケーブル6,9は、金属などの導体を線状に引き伸ばし、この導体を芯として端部を除き絶縁体を被せて保護している。筐体3の外部にもジャック13などの端子を設け、リストストラップ11のケーブル9の端部にバナナプラグなどのプラグ12を設ける。
【0046】
あるいは、筐体3の外部の端子をピンなどにして、リストストラップ11のケーブル9の端部に付けたワニ口クリップで、このピンを挟んで接続してもよい。ここで、バナナプラグ又はワニ口クリップの導電性部分の材料は金メッキとする。また、リストストラップ11は、人体4の手首に巻く部分に導電繊維を織込んだ伸縮性の高いバンドとし、脱着自在な面状ファスナが付いており、プッシュホックで確実に装着しながらも、容易に脱着できる。
【0047】
ここで、リストストラップ11と筐体3のジャック13とをケーブル9を介して接続したときに、人体4とジャック13との電位差が大きい場合に、人体4に流れる電流が大きくなるおそれがある。そこで、100k〜10MΩの電流制限用の抵抗器を、ケーブル9に内蔵してもよい。
【0048】
第二の人体接触部の他の具体例として、イヤホンやヘッドフォンを利用してもよい。イヤホンは耳に差し込むものであり、ヘッドフォンは両耳に当てるものである。イヤホンやヘッドフォンは、そもそも携帯機器から出力される電気信号を、耳に接近したスピーカを用いて、音波に変換する装置である。これらは、通常、コネクタ(ジャック13とプラグ12など)を用いて機器と分離できるようになっている。例えば、イヤホンやヘッドフォンに対して、音波に関する電気信号を通す導線の他に、回路の基準電位配線15もケーブル9の中を通し、耳やその周りの人体と接する部分を導電性にする。
【0049】
同じく他の具体例として、ストラップを利用してもよい。ストラップは、携帯機器の重量がそれなりにあり、衝撃により壊れやすいものであるために、落下防止のために手首等に通すものである。また、その種類はショートストラップとネックストラップとがあり、ショートストラップの多くは手首又は指を通すが、ネックストラップは首にかけて使用する。携帯機器に付いているストラップ用の穴(ストラップホール)に、細い輪を通して使用する。ここで、ストラップホールの部分と回路の基準電位配線15とを接続するとともに、導電繊維を織込んだストラップを用いて、人体とストラップとを電気的に接続する。このようにして、回路の基準電位ノード16を、導電性のストラップを介して、人体と接続する。
【0050】
[動作の説明]
次に、本実施形態1のタッチセンサ装置1Aの動作について、図3を中心に詳細に説明する。
【0051】
交流電圧源27から透明導電層39に正弦波が印加され、透明導電層39が均一な電圧に保たれる。指23が保護層37の表面をタッチ(接触)すると、保護層37を介して、人体4と透明導電層39との間に5〜50pFの静電容量25が形成される。また、人体4は導電性であるため、指23のタッチにより形成された静電容量25が人体4の電位に接続される。
【0052】
携帯機器10Aの電力はバッテリ17から供給されているので、当然のことながら携帯機器10Aは電源コードによってACコンセントと接続されていない。このために、回路の基準電位ノード16は、ACコンセントを介して、アースに接続されていない。したがって、そのままでは、回路の基準電位ノード16はアースに対して浮いていることになる。
【0053】
ここでは、図1に示すように、導電性のリストストラップ11を操作者の左手首に装着し、リストストラップ11のケーブル9のプラグ12を、携帯機器10Aの筐体3のジャック13に挿入する。ジャック13は筐体3内で回路の基準電位配線15と接続されているので、回路の基準電位ノード16と人体4とが電気的に接続される。前述のとおり、人体4は導電性であるので、浮いている回路の基準電位ノード16は人体4の電位になる。したがって、電源コードがACコンセントに挿入されていなくても、回路の基準電位ノード16を一定電位に固定することができる。
【0054】
図3を参照すると、回路の基準電位ノード16及び静電容量25が人体4に接続された閉回路が形成され、透明導電層39を介して、タッチした指23に微弱電流(タッチに伴う電流)が流れる。ここで、透明導電層39において、タッチに対応する位置からそれぞれの隅までの抵抗をRa〜Rdとする。ここで、前述の通り、タッチに伴う静電容量25が5〜50pFであり、交流電圧源27の周波数が20〜200kHzであるので、タッチに伴う静電容量25のインピーダンスは数百kΩである。一方、透明導電層39のシート抵抗は100〜1000Ωであり、透明導電層39の隅から隅まで(1辺)の抵抗はタッチパネル2のサイズにも依存するが、例えば数kΩである。したがって、透明導電層39の抵抗に対して、タッチに伴う静電容量25のインピーダンスが3桁以上高い。したがって、この閉回路における支配的なインピーダンスは、タッチに伴う静電容量25であり、タッチに伴う電流の量は、タッチに伴う静電容量25、及び交流電圧源27の振幅に依存することがわかる。
【0055】
タッチに伴う電流は、透明導電層39を介して電流検出回路29a〜29dに夫々電流Ia〜Idとして分流する。電流Ia〜Idの比率は透明導電層39の抵抗Ra〜Rdに応じて変化し、抵抗Ra〜Rdはタッチパネル2上のタッチした指23の位置に応じて変化する。
【0056】
また、タッチ位置に関する演算の一例は次式となる。
x=k1+k2・(Ib+Ic)/(Ia+Ib+Ic+Id) (式1)
y=k1+k2・(Ia+Ib)/(Ia+Ib+Ic+Id) (式2)
ここで、xはタッチ位置のx座標、yはy座標である。k1及びk2は定数である。
【0057】
また、電流Ia〜Idは、図3に示した電流検出回路29a〜29dで検出される電流である。つまり、電流Iaは電流検出回路29a、電流Ibは電流検出回路29b、電流Icは電流検出回路29c、電流Idは電流検出回路29dで、それぞれ検出された電流である。
【0058】
次に、上記図1乃至図3に、下記図4乃至図7加え、更に詳しく説明する。
【0059】
図4に、本実施形態1のタッチセンサ装置における動作の電圧波形を示す。図4を参照すると、タッチの検出期間を3msecとし、タッチの検出期間の周期を60Hzとした。このとき、1周期は概16msecであるが、タッチの検出期間は3msecであるので、残りの概13msecは休止期間とした。
【0060】
図4に示す、Vinは交流電圧源27の出力波形であり、Voutは電流−電圧変換回路の出力波形である。ここで、Vinの周波数を100kHzとし、振幅を2Vとした。タッチが存在して無い場合は、Voutの振幅はほぼ0Vであるが、タッチが存在している場合は、Voutの振幅は6Vというように、タッチの存在の有無によって、明確な電圧変化がある。電流−電圧変換回路の出力は交流電圧なので、その後段のAC−DC変換回路によって交流電圧を直流電圧に変換する。更に、AC−DC変換回路の直流電圧出力はアナログ信号であるので、その後段のアナログ−デジタル変換回路によってアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0061】
ここで、サンプリングレートは1k〜200kサンプル/秒とし、垂直分解能は8〜16ビットとした。サンプルホールド回路の制御端子へ入力される信号がLowからHighに変化した時に、サンプリングを開始する。このパルス信号の周期を60Hzとする。変換されたデジタル信号を基にマイクロコントローラによって信号処理することにより、タッチの存在の感知、タッチ位置に関する演算、及びオペレーティングシステム上でのマウスイベント、を実行する。このようにして、アナログ−デジタル変換からマウスイベントまでの処理が60Hzで実行される。このように、マイクロコントローラ制御によって自動運転ができる。
【0062】
次に、本実施形態1の課題、及び本実施形態1の効果が得られる理由や作用の詳細について述べる。なお、便宜上、タッチの位置(座標)までは検出せず、タッチの存在のみを感知する静電容量スイッチを例にとって説明する。また、一般の携帯機器の構成要素を説明する場合も、携帯機器10Aの構成要素と同じ部分は同じ符号を使用する。図5[1]は、図3の表面型タッチセンサ装置の一般的な動作原理を示す等価回路図であり、回路の基準電位ノード16がACコンセントを介してアース35に接続されている場合である。まず、図3を参照すると、透明導電層39には交流電圧(振幅Vin)が印加されている。タッチに伴い、指23を含む人体4と透明導電層39との間で静電容量25が形成される。すると、図5[1]に示すように、静電容量25が人体4を介してアース35に接続される。これは、人体4に接地効果があることによる。ただし、人体4とアース35との間には寄生インピーダンスが存在する。その寄生インピーダンスをインピーダンスZbとする。
【0063】
このとき、静電容量25からなる容量性のインピーダンスを、図5[1]の等価回路に示すようにZとすると、回路の基準電位ノード16とインピーダンスZとがアース35及びインピーダンスZbを介して接続され、閉回路が形成される。そして、この閉回路のインピーダンスはタッチに伴う容量性のインピーダンスZと寄生する容量性のインピーダンスZbとからなり、これらの合成インピーダンスに交流電圧Vinが印加され、電流(振幅Io)が生じる。
【0064】
図5[2]は、本実施形態1が解決する課題を示す等価回路図である。一般の携帯機器は搭載したバッテリ17から電力が供給されるが、バッテリ17を充電する場合はバッテリ17が充電器を介してACコンセントに接続される。そして、携帯機器を携帯して使用する場合には、バッテリ17はACコンセントから外されるので、回路の基準電位ノード16がACコンセントを介して、アース35に接続されない。このように、一般の携帯機器では、バッテリ17を搭載しているので、回路の基準電位ノード16がアース35に接続されない場合がある。
【0065】
そして、図5[1]と同様に、タッチに伴いインピーダンスZが形成され、インピーダンスZがアース35に接続される。一方、回路の基準電位ノード16はアース35に直接接続されないために、基準電位ノード16とアース35との間に浮遊容量などから成る容量性の寄生インピーダンスZaが形成される。すなわち、基準電位ノード16はインピーダンスZaを介して接地されている。ここで、インピーダンスZaとインピーダンスZbとの合成インピーダンスを、インピーダンスZpとする。図5[2]の閉回路において、インピーダンスZ,Zpは直列関係にあり、これらの合成インピーダンスは(Z+Zp)である。したがって、図5[2]の閉回路に流れる電流(振幅I)はI=Vin/(Z+Zp)となる。なお、人体4と基準電位ノード16との間にも寄生インピーダンスが存在するが、その寄生インピーダンスの成分は等価回路によってインピーダンスZa,Zbに含まれていると考えることができる。
【0066】
図6は、閉回路のインピーダンスと電流との関係を計算し、グラフ化したものである。導出した式は次のとおりである。
I/Io=1/(Zp/Z+1) (式3)
【0067】
図6の横軸はインピーダンスZpとインピーダンスZとの比Zp/Zである。縦軸はタッチに伴う信号、すなわち図5[2]における電流Iと図5[1]における電流Ioとの比I/Ioをパーセントで表記している。ここで、交流電圧の周波数fを100kHzとした。インピーダンスZと比べてインピーダンスZpが無視できなくなる大きさになると電流Iが影響を受けて減少するため、図示するようにI/Ioが減少している。
【0068】
タッチに伴う電流は、タッチセンサ機能の信号成分に相当するので、タッチに伴う電流が減少すれば、タッチセンサ機能のS/Nが低下する。したがって、タッチセンサ機能の感度が劣化する。同様にタッチされた位置の検出における位置精度が劣化する。すなわち、図6に示したように、寄生するインピーダンスZpが大きくなると、感度と位置精度が劣化する。また、回路を覆う筐体の導電性によっても、インピーダンスZpが変化する。回路の周囲の環境が変化すると、インピーダンスZpが変化する。更に、携帯機器を携帯し、移動することにより周囲の環境が絶えず変化するため、インピーダンスZpが変化する。このように、周囲の環境や使用状況によってインピーダンスZpが変化するため、タッチセンサ機能の感度及び位置精度が不安定なものになってしまう。
【0069】
図7[1]は本実施形態1の動作原理を示す等価回路図である。表面型であって、モバイル用としてバッテリ17を搭載しており、回路の基準電位ノード16がアースに対して浮いている。図5[1][2]と同様に、タッチに伴い静電容量25が形成され、静電容量25の一方が人体4に接続される。本実施形態1では、図5[2]と異なり、さらに静電容量25の他方についてはアースに対して浮いている回路の基準電位ノード16が低インピーダンスで人体4に接続される。人体4は導電性があるので、図7[1]の回路の基準電位ノード16は人体4と接続されることで、浮いている回路の基準電位ノード16も人体4の電位になる。
【0070】
このようにして、インピーダンスZpが減少し、これによって閉回路のインピーダンスが減少する。ここで、図7[1]においては、インピーダンスZpがほぼ0として、図示していない。インピーダンスZに対して図7[1]のインピーダンスZpは十分に小さいので、無視することができ、従って図6において、グラフの横軸であるZp/(Zp+Z)はほぼ0となる。このとき、図6において、電流変化量は減少しないことがわかる。したがって、表面型のモバイル用としての閉回路に流れるタッチに伴う電流変化量の減少を抑制できる。
【0071】
本実施形態1の効果を確認するために、次に示す(a)〜(c)の各構成においてタッチに伴う電流を測定した。(a)は、回路の基準電位配線15がACコンセントを介してアース35に接続されている場合である(図5[1])。(b)は、バッテリ駆動とし、回路の基準電位ノード16が浮いている場合である(図5[2])。(c)は、バッテリ駆動とし、回路の基準電位ノード16と人体4とが接続されている場合である(図7[1])。
【0072】
そして、交流電圧源27の振幅を1Vとし、周波数を100kHzとし、電流−電圧変換回路の出力を測定した。この測定で、測定系のアースの影響を受けないようにするために、バッテリを内蔵するマルチメータを測定器として用いた。出力の測定結果を基に、タッチに伴う電流を計算した結果を図7[2]に示す。
【0073】
図7[2]からわかるように、(a)5.3μA、(b)3.8μA、(c)5.5μAと顕著な差が見られた。(a)の電流値を基準Ioとし、(b)、(c)の電流値をIとすると、(b)ではI/Io=72%と顕著に減少し、本発明の課題にあたる。一方、本発明の(c)ではI/Io=103%とほぼ100%であり、バッテリ駆動においても回路の基準電位ノード16を人体4に接続すれば、タッチに伴う電流減少を抑えることができることを確認した。
【0074】
また、図6の曲線(式3)において、Zp/Zが十分に小さい場合は、Zp/Zの増加に対してI/Ioの減少が緩やかであるが、Zp/Zが0.4より大きくなると、図に示した直線I/Io=―0.24・Ln(Zp/Z)+0.5に沿って、I/Ioが急減に減少する。したがって、I/Ioの減少を抑えるために、Zp/Zは0.4以下であることが好ましい。このときのZpを次のように算出した。タッチの存在を感知するのに、必要な容量を3pFとし、タッチに伴う容量C=3pFとすると、Z=1/w/Cより、Z=531kΩとなる。ここで、w(=2πf)は角周波数である。Z=531kΩをZp/Z≦0.4に代入すると、Zp≦212kΩとなる。
【0075】
(c)の構成において、図1に携帯機器10Aの使用例を示すように、人体4の一部に導電性のリストストラップ11を装着し、リストストラップ11のケーブル9のプラグ12を、携帯機器10Aの筐体3にあるジャック13に挿入する。ジャック13は筐体3内で回路の基準電位ノード16と接続されている。このようにして、回路の基準電位ノード16をリストストラップ11などの道具を用いて、人体4と接続する。
【0076】
本実施形態1によれば、回路の基準電位ノード16と人体4とを電気的に接続することで、モバイル環境下におけるタッチに伴う信号の減少を抑制できる。したがって、モバイル環境下においても、タッチセンサ機能の感度及び位置精度が優れたタッチセンサ装置1Aを提供できる。その理由は、人体4は導電性であるので、浮いている回路の基準電位ノード16を人体4の電位にすることができるためである。特に、本実施形態1では、基準電位配線15にケーブル9及びリストストラップ11を介して人体4を接続することにより、基準電位配線15と人体4との確実な導通が得られるので、タッチセンサ装置1Aの動作をより安定化できる。
【0077】
第2の効果は、イヤホンやヘッドフォンを利用することで、回路の基準電位ノード16と人体4とを接続するためのリストストラップ11などの専用の道具を必要としない経済的な構成とすることができる。その理由は、イヤホンやヘッドフォンは携帯機器10Aから出力される電気信号を耳の近傍で音波に変換するという本来の効果を奏しながらも、回路の基準電位配線15もケーブル9の中に入れて、耳やその周りの人体4の一部と接続できることによる。
【0078】
〔実施形態2〕
次に、本発明に係る実施形態2について、図8及び図9に基づいて説明する。以下、実施形態1と実質的に同様の構成に関しては実施形態1と同じ符号を使用し、実施形態1と異なる部分についてのみ述べる。図8は、本実施形態2のタッチセンサ装置を搭載した携帯機器を示す斜視図である。図9は、図8の携帯機器の断面模式図である。
【0079】
本実施形態2のタッチセンサ装置1Bは、携帯機器10Bに組み込まれている。第二の人体接触部は、携帯機器10Bの筺体3の表面を成す導体(3b)である。導体(3b)は、筺体3の導電性部3bによって実現されている。
【0080】
前述した実施形態1(図1及び図2)では、回路の基準電位配線15とリストストラップ11などの道具を接続して、回路の基準電位配線15を実質的に携帯機器10Aの外部に引き出している。これに対し、本実施形態2では、リストストラップ11などの道具を使用しない。つまり、筐体3の少なくとも一部にステンレス鋼やアルミニウム合金などの導電性の材料を使用することにより導電性部3bを形成し、筐体3の導電性部3bとタッチセンサ装置1Bの回路の基準電位配線15とを接続する。導電性部3bは、携帯機器10Aの背面側に設けられている。ここでは、回路の基準電位配線15の導電性の芯を、被覆保護層からむき出しにして、ハンダ部43を介して、筐体3の導電性部3bと接続した。このようにして、筐体3の一部(導電性部3b)において、その内側から外側まで回路の基準電位ノード16となる。
【0081】
一方、タッチセンサ装置1Bを搭載したPDAなどの携帯機器10Bは、操作者がタッチパネル2を指23でタッチし、もう一方の手の手のひらなどで携帯機器10Bを支持するのが一般的である。このように、筐体3を手で支持するときに、人体4の一部と筐体3の外側の部(導電性部3b)とが接触する。本実施形態2によれば、筐体3の一部を導電性部3bとし、導電性部3bを回路の基準電位配線15と電気的に接続することにより、回路の基準電位ノード16と人体4の一部とが接続され、浮いている回路の基準電位ノード16を人体4の電位にすることができる。その他の構成、作用及び効果は、実施形態1と同様である。
【0082】
〔実施形態3〕
次に、本発明に係る実施形態3について、図10に基づいて説明する。以下、実施形態2と実質的に同様の構成に関しては実施形態2と同じ符号を使用し、実施形態2と異なる部分についてのみ述べる。図10[1]は、本実施形態3のタッチセンサ装置を搭載した携帯機器を示す平面模式図である。図10[2]は、図10[1]におけるI−I’線の断面模式図である。
【0083】
本実施形態3のタッチセンサ装置1Cは、携帯機器10Cに組み込まれている。第二の人体接触部は、携帯機器10Cの筺体3の表面を成す導体(3c)である。導体(3c)は、タッチパネルの第一の人体接触部(2)の周囲を除き、筺体3の表面の全体を成す。導体(3c)は、筺体3の導電性部3cによって実現されている。
【0084】
前述の実施形態2(図8及び図9)では、筐体3の一部(背面)のみを導電性部3bとしている。これに対し、本実施形態3では、筐体3のほぼ全体を導電性部3cとし、タッチパネル2の周りの筐体3の一部のみ絶縁性部3c’とする。タッチパネル2の保護層37は絶縁性であるが、図10(b)を参照すると、保護層37の外周と筐体3の一部とが平面的に重なっており、その重なっている部分において筐体3と保護層37とが接着している。このようにして、筐体3でタッチパネル2を支持している。
【0085】
仮に、この部分(保護層37との接着部分)の筐体3が、導電性であって、回路の基準電位ノード16の電位にあるとする。すると、透明導電層39に交流電圧が印加されているので、透明導電層39と導電性の筐体3との電位差に応じて、保護層37の容量性インピーダンスを介して、導電性の筐体3に交流電流が流れる。この交流電流は、タッチに伴う信号に対してノイズ信号になることにより、タッチセンサ機能のS/Nを劣化させる。言い換えれば、透明導電層39から見た寄生容量が増加する。このように、タッチパネル2の周り部分の筐体3を導電性にすると、その部分が基準電位ノード16の電位になるので、新たな課題が生じてしまう。
【0086】
そこで、筐体3のほぼ全体を導電性部3cとしたとき、タッチパネル2の周り筐体3を絶縁性部3c’にすることで、このようなノイズ信号を小さくできる。具体的には、樹脂とステンレス鋼とを一体成形した筐体3(3c,3c’)を使う。薄い板状のステンレス鋼を型に入れ、タッチパネル2の周りの筐体部分には樹脂を流し込んで筐体3(3c,3c’)を形成する。
【0087】
また、絶縁性部3c’の距離(すなわち透明導電層39から導電性部3cまでの距離)が長くなるにつれて、ノイズ信号が小さくなる。その理由は、静電容量は絶縁体の距離に反比例することによる。一方、タッチに伴う静電容量は、保護層37の厚みが薄いほど大きくなる。したがって、回路の基準電位ノード16に保たれた導電性部3cについてはタッチパネル2からの離間距離を長くするほど、保護層37については薄くするほど、タッチセンサ機能のS/Nを高くできる。具体的には、絶縁性部3c’の距離は、保護層37の厚み0.1〜1mmに対して、10倍以上の距離が好ましい。
【0088】
また、筐体3の絶縁性部3c’は撥水性にするとよい。このとき、水が絶縁性部3c’に落ちても、水滴が小さく弾かれるように飛散する。特に、絶縁性部3c’と水滴との接触角を100°以上とすると、絶縁性部3c’上で水滴が立っているかのような球状を保つ。具体的には、絶縁性部3c’の材料としてシリコン樹脂などを用いる。
【0089】
携帯機器10Cを使用していて、筐体3に水分がかかってしまうことがありうる。水分は通常イオン性の不純物が含まれており導電性であるので、タッチパネル2の周りの筐体3を絶縁性にしても、水分が付着してしまえば、前述したタッチパネル2の周りの筐体3を導電性にした場合と、同様な課題が生じてしまう。したがって、絶縁性部3c’を撥水性にすることにより、水分がかかっても水分をはじき留まらせないことで、寄生容量を低減できる。
【0090】
また、筐体3の絶縁性部3c’を防塵性にするとよい。具体的には、材料として油脂やアクリル系などの塗料を塗る。携帯機器10Cを使用していて、筐体3に塵埃が降りかかることがありうる。塵埃は導電性の材料を含むこともありうるので、絶縁性部3c’に塵埃が付着してしまえば、前述したタッチパネル2の周りの筐体3を導電性にした場合と、同様な課題が生じてしまう。したがって、絶縁性部3c’を防塵性にすることにより、筐体3に塵埃が降りかかっても、塵埃をはじき留まらせないことで、寄生容量を低減できるという効果がある。したがって、本実施形態3により筐体3の導電性部3cを基準電位ノード16の電位にすることによる、ノイズ信号を低減できる効果がある。その他の構成、作用及び効果は、実施形態2と同様である。
【0091】
〔実施形態4〕
次に、本発明に係る実施形態4について、図11に基づいて説明する。以下、実施形態3と実質的に同様の構成に関しては実施形態3と同じ符号を使用し、実施形態3と異なる部分についてのみ述べる。図11[1]は、本実施形態4のタッチセンサ装置を搭載した携帯機器を示す平面模式図(背面側)である。図11[2]は、図11[1]におけるII−II’線の断面模式図である。
【0092】
本実施形態4のタッチセンサ装置1Dは、携帯機器10Dに組み込まれている。第二の人体接触部は、携帯機器10Dの筺体3の表面を成す導体(45)である。導体(45)は、筺体3の表面に設けられた導電膜(45)である。導電膜(45)は、導電性の接着ラベル45によって実現されている。本実施形態4では、携帯機器10Dの背面にだけ接着ラベル45が設けられている。
【0093】
前述の実施形態3(図10)では、携帯機器10Dの筐体3について、タッチパネル2の周りの部分に樹脂などの絶縁性の材料を用い、それ以外の部分にステンレス鋼、アルミニウム合金などの導電性の材料を用いる。そして、回路の基準電位配線15と筐体3の導電性部3cとを接続している。これに対し、実施形態4では、筐体3の表面の一部を導電性インクなどによって印刷された接着ラベル45にする。接着ラベル45を得る方法として、他に塗装、蒸着などがある。接着ラベル45の材料として、導電性樹脂などが用いられる。導電性樹脂の添加剤(フィラー)として、銀やカーボン、あるいはグラファイトが使われる。樹脂材料はポリエステルやアクリルが用いられる。
【0094】
本実施形態4では、筐体3の材料が導電性でなくても良い。筐体3の必要な部分だけを簡単に導電性にすることができる。携帯機器10Dを手など人体の一部で支持するために、筐体3の触れる部分だけを導電性にすればよい。そして、筐体3にスルーホール47を形成し、そこに導電性樹脂によるスルーホール電極を形成することにより、筐体3の接着ラベル45と回路の基準電位配線15とを接続する。
【0095】
他の方法として、一般にバッテリ17を交換するためなどに、筐体3に設けられる蓋(図示せず)を利用する方法がある。この方法では、蓋を表面、裏面、側面の全てを導電性にすることによって、蓋の表面と裏面が電気的に接続されるので、回路の基準電位配線15と蓋の裏面とを接続し、蓋の表面と人体とを接続すればよい。
【0096】
ステンレス鋼、アルミニウム合金などの導電性の材料に比べて、樹脂などの絶縁性の材料は製造コストが低い。この結果、本実施形態4によれば、実施形態3の効果に加えて、筐体3のそのものの材料に制約が無いうえ、第二の人体接触部(45)を低コストで製造できる。その他の構成、作用及び効果は、実施形態3と同様である。
【0097】
〔実施形態5〕
次に、本発明に係る実施形態5について、図28に基づいて説明する。以下、実施形態2と実質的に同様の構成に関しては実施形態2と同じ符号を使用し、実施形態2と異なる部分についてのみ述べる。図28は、本実施形態5のタッチセンサ装置を搭載した携帯機器を示す斜視図である。
【0098】
本実施形態5のタッチセンサ装置1Nは、携帯機器10Nに組み込まれるとともに、指示体としてのペン70を更に備えている。ペン70は、インピーダンス面としての透明導電層39に近接する先端部72と、人体4の手で握る握り部74とを有する。先端部72と握り部74とは、ともに導電性であり、かつ電気的に接続されている。先端部72は、人体4の指先と同程度の弾性を有することが好ましい。本実施形態5では、透明導電層39を被覆する絶縁性の保護層37(図3等)に、すなわちタッチパネル2の表面に、先端部72が接触することにより、透明導電層39に先端部72が近接する。
【0099】
表面型のタッチセンサの方式は、人体4の一部である指先で操作するものであるため、スタイラスと呼ばれるペンに代表される指示体で操作できない(従来型のペンは図示せず)。指先など人体の一部でしか操作できないと、次に示す課題がある。タッチパネル2の表面に指先が触れると、指の指紋や脂などの汚れが付着して、画面が見えにくくなる。また、これらの汚れによって使用者に不快感を与えるなど、衛生的な問題もある。また、脂の付着はタッチパネル2から見た浮遊容量になり、さらに、これらの脂はタッチパネル2の表面上でムラになって付着するので、浮遊容量が不均一に分布し、検出精度が低くなりうる。これらの問題を避けるためには、ペン操作ができればよい。以下、本実施形態5におけるペン70の構造を説明する。
【0100】
ペン70の先端部72と握り部(グリップ)74とを導電性とし、先端部72と握り部74とを低インピーダンスで接続した。図29を基に、ペン70の構造を説明する。ペン70の平面図及びそのA―A’線縦断面図を、図29に示す。先端部72において、表面72aにはステンレスやアルミニウムなどの導電体を用い、芯72bにはウレタンやシリコーン樹脂などの弾性体を用いる。又は、表面72aと芯72bとで素材を変えずに、先端部72全体に導電性のスポンジを用いてもよい。
【0101】
このように先端部72の全体又はその表面72aを指と同等の静電容量を形成し得るものとすることで、先端部72と位置検出用の透明導電層39との間での静電容量の変化を捉えられる。
【0102】
一方、先端部72の接触表面に凹凸があると、先端部72とタッチパネル2の表面とが接触したときに、先端部72とタッチパネル2の表面との実際の接触面積が小さくなる。また、タッチパネル2の表面に対してペン70に傾きが生じる場合がある。先端部72とタッチパネル2の表面とが接触したときに、先端部72の表面72aとタッチパネル2の表面との傾きが大きくなるにつれて、実際に接触する面積が小さくなる。
【0103】
これに対して、芯72bを指先と同等の弾性体にすることで、先端部72がタッチパネル2の表面に接触したときに、先端部72に反発する力が加わるので、タッチパネル2の表面に合わせて先端部72が変形する。このようにして、先端部72とタッチパネル2の表面との接触面積が大きくなるため、十分な静電容量の変化を捉えられる。
【0104】
また、ペン70を操作する手で握り部74を握ることによって、グリップ74を介して、先端部72と人体4とを低インピーダンスで接続できる。
【0105】
更に、実施形態2と同様に、携帯機器10Nの筐体3の一部分を導電性部3bとし、その導電性部3bと検出回路の基準電位ノードとを低インピーダンスで接続する。ユーザーが携帯機器10Nを支持するときに、導電性部3bを手などで触れることで、基準電位ノードと人体4とを低インピーダンスで接続できる。したがって、人体4及びペン70を介して、基準電位ノードとタッチパネル2の表面とを低インピーダンスで接続できる。このようにして、基準電位ノードをコンセントなどを介してアースに接続しなくても、タッチ部分を含む閉回路に十分な電流を流すことができる。
【0106】
以上のようにして、タッチパネル2の表面を指先で押えるのと同様の原理で、ペン操作が可能になる。本実施形態5によれば、指先操作のみならずペン操作が可能となることにより、タッチパネル2に指先が触れることが無いので、指先が触れることによる指紋や脂が付着するといった問題を避けることができる。その他の構成、作用及び効果は、実施形態2と同様である。なお、本実施形態5では、透明導電層39に先端部72が近接する構成にしているが、保護層37(図3等)を設けないことにより、透明導電層39に先端部72が接触する構成にしてもよい。
【0107】
〔実施形態6〕
次に、本発明に係る実施形態6について、図12に基づいて説明する。以下、実施形態4と実質的に同様の構成に関しては実施形態4と同じ符号を使用し、実施形態4と異なる部分についてのみ述べる。図12は、本実施形態6のタッチセンサ装置を搭載した携帯機器を示す斜視図である。
【0108】
本実施形態6のタッチセンサ装置1Eは、携帯機器10Eに組み込まれている。第二の人体接触部は、携帯機器10Eの筺体3の表面を成す導体(3e)である。導体(3e)は導電性部3eによって実現されている。
【0109】
前述の実施形態1〜4(例えば図8)では、携帯機器10Bの操作者の一方の手でタッチパネル2をタッチし、もう一方の手で携帯機器10Bを支持するような形態を想定していた。これに対し、本実施形態6は、携帯機器10Eの支持と操作を主に片手で行うものにおいて、回路の基準電位配線ノードに接続された筺体3の導電性部3eを、携帯機器10Eを支持する手が接触するように配置する。図12においては、携帯機器10Eの背面が手のひらに触れるので、携帯機器10Eの背面を導電性部3eとしている。このようにして、携帯機器10Eの支持と操作を片手で行う場合においても、タッチに伴う信号の減少を抑制することができる。その他の構成、作用及び効果は、実施形態4と同様である。
【0110】
〔実施形態7〕
次に、本発明に係る実施形態7について、図13に基づいて説明する。以下、実施形態2と実質的に同様の構成に関しては実施形態2と同じ符号を使用し、実施形態2と異なる部分についてのみ述べる。図13は、本実施形態7のタッチセンサ装置を搭載した携帯機器の一部を示す断面模式図である。
【0111】
実施形態2の図9及び本実施形態7の図13を用いて説明すると、本実施形態7の携帯機器は、LCD5と、LCD5を透過する光を発生するバックライト(51,53)と、バックライト(51,53)から発生した光を反射してLCD5へ導く導電性のフォルダ49とを有している。第一の人体接触部(2)がLCD5の表示面に設けられている。フォルダ49と基準電位部(15)とが電気的に接続されている。バックライト(51,53)は、導光板51と発光源53とによって実現されている。
【0112】
図13は、本実施形態7の携帯機器のうち、バックライト(51,53)及びその周囲のみを示している。本実施形態7では、バックライトの発光源53として冷陰極管(Cold-Cathode Fluorescent Lamp:CCFL)が用いられている。発光源53及びその電圧印加部(図示せず)はフォルダ49によって覆われており、フォルダ49は導電性である。これに、反射板(図示せず)と導光板51とが組み合わされている。導光板51は、アクリル板に白色インクで反射ドットを印刷したものである。
【0113】
しかしながら、静電容量方式のタッチセンサ装置にとって、発光源53及びその電圧印加部からの高周波電界はノイズ源となり、タッチの存在の感知及びタッチの位置の精度を劣化させるという問題がある。
【0114】
そこで、本実施形態7においては、発光源53及び電圧印加部を覆うフォルダ49も基準電位配線15に接続する。そして、基準電位配線15と人体4の一部を接続することによって、浮いているバックライトの導電性のフォルダ49を人体4に接続する。この結果、発光源53及び電圧印加部からの高周波電界を遮蔽できる。したがって、タッチに伴う信号の減少の抑制を図りながらも、高周波電界の影響を打ち消すことができるという効果がある。このようにして、タッチの存在及びタッチ位置を正確に検出することができる。その他の構成、作用及び効果は、実施形態2と同様である。
【0115】
〔実施形態8〕
次に、本発明に係る実施形態8について、図14に基づいて説明する。以下、実施形態1と実質的に同様の構成に関しては実施形態1と同じ符号を使用し、実施形態1と異なる部分についてのみ述べる。図14は、本実施形態8のタッチセンサ装置を搭載したカーナビゲーション及び自動車の内装を示す斜視図である。
【0116】
本実施形態8のタッチセンサ装置1Gは、車載機器(10G)に組み込まれている。第二の人体接触部(9,57,58,59,61)は、基準電位部に接続された導線(9)と、導線(9)に接続された導体(57,58,59,61)とを有する。導体(57,58,59,61)は、人体4が乗車中に触れる部分に設けられたものである。本実施形態8では、車載機器(10G)はカーナビゲーション10G、導線(9)はケーブル9、導体(57,58,59,61)はハンドル57、ペダル58、座席シート59及びシートベルト61の少なくとも一部で、それぞれ実現されている。以下に、更に詳しく説明する。
【0117】
カーナビゲーション10Gは、自動車を停車中にルート設定や施設名検索を操作できる電子機器である。安全のため、運転中に操作できないようになっているものが多い。カーナビゲーション10Gは、運転手がルートを確認するために車内の前方に設置され、運転手又は助手席に乗車している人間が操作する。カーナビゲーション10Gの入力デバイスとして、タッチセンサ機能を有するタッチセンサ装置1Gが用いられている。一部のカーナビゲーションでは、本体に搭載されたキーボード及びリモコン機能も使われているが、操作する際に画面表示と入力デバイスとを交互に見るなどして不便である。また、カーナビゲーション10Gは、カーオーディオなどを含めて、自動車に装備したバッテリによって駆動される。
【0118】
したがって、前述の通り、一般の表面型静電容量方式のタッチセンサ装置をカーナビゲーション10Gに用いると、タッチに伴う信号成分が減少してしまう課題がある。したがって、カーナビゲーション10Gの基準電位ノード16(図3)を人体4の一部と接続することによって、タッチに伴う信号の減少を抑制できる。このとき、乗車している人体4が接している道具を介して、基準電位ノードと人体4の一部を接続するのが好ましい。具体的な道具としては、導電性を有する、シートベルト61、ハンドル57、ペダル58、座席シート59、足マットなどがある。そして、これらの道具とカーナビゲーション10Gの基準電位ノードとをケーブル9によって接続している。
【0119】
このようにして、バッテリ駆動であるが、機器本体を手で支持しないカーナビゲーション10Gのような電子機器においても、タッチに伴う信号減少を抑制できる。また、カーナビゲーション10Gのような、バッテリ駆動であって機器本体を手で支持しない他の電子機器の例として、卓上で使用するポータブル映像再生機器、飛行機やバスの客席に取り付けるテレビ・ゲーム機などが挙げられる。その他の構成、作用及び効果は、実施形態1と同様である。
【0120】
〔実施形態9〕
次に、本発明に係る実施形態9について、図15及び図16に基づいて説明する。以下、実施形態2と実質的に同様の構成に関しては実施形態2と同じ符号を使用し、実施形態2と異なる部分についてのみ述べる。図15は、本実施形態9のタッチセンサ装置を搭載した携帯機器を示す斜視図である。図16[1]は図15の携帯機器の平面模式図、図16[2]は図16[1]におけるIII−III’線の断面模式図である。
【0121】
本実施形態9のタッチセンサ装置1Hは、人体4が接触又は近接すると人体4との間に静電容量25を形成する第一の人体接触部(2h)と、直流電圧を出力するバッテリを有するとともに前記直流電圧を交流電圧に変換して第一の人体接触部(2h)から出力する電源部(27)と、前記交流電圧の基準電位となる基準電位部(16)と、基準電位部(16)に電気的に接続されるとともに人体4が接触する第二の人体接触部(3h)と、電源部(27)から人体4へ流れる電流を検出する電流検出部(29)と、を備えたことを特徴とする。
【0122】
第一の人体接触部(2h)は、人体4が接触又は近接する導電膜から成るインピーダンス面(39)と、インピーダンス面(39)に設けられるとともに前記交流電圧が印加される複数の電極38e,38f,…とを有する。電流検出部(29)は、複数の電極38e,38f,…に流れる電流をそれぞれ検出する複数の電流検出回路29e,29d,…を有する。
【0123】
本実施形態9のタッチセンサ装置1Hは、携帯機器10Hに組み込まれている。第二の人体接触部(3h)は、携帯機器10Hの筺体3の表面を成す導体(3h)である。第一の人体接触部(2h)はタッチスイッチ2h、インピーダンス面(39)は透明導電層39、電源部(27)は交流電圧源27、基準電位部(16)は基準電位ノード16、電流検出部(29)は電流検出回路29、導体(3h)は導電性部3hによって実現されている。導電性部3hは、例えば筐体3の背面に設けられている。以下に、更に詳しく説明する。
【0124】
携帯機器10Hは、電話機能及びEメール機能などを備えている。画面表示部65の下側に、複数のキー63が縦横に配列されている。これらのキー63は、アルファベットや数などを入力する入力デバイスである表面型静電容量方式のタッチセンサ素子を構成している。各キー63を含むタッチスイッチ2hは、タッチの存在のみを感知するものであり、一般に「静電容量スイッチ」と呼ばれている。静電容量スイッチは、しきい値を設定することで動作する。これらのしきい値は、指23がキー63に置かれた時のみならず離れた時の判断にも使われる。
【0125】
図16[1]を参照すると、横長の透明導電層39が縦方向に三つ配列され、各透明導電層39に三個のキー63が横方向に配列されている。図16[2]を参照すると、透明導電層39の左右の端に電極38e,38fが形成され、電極38e,38fにそれぞれ電流検出回路29e,29fが直列に接続されている。透明導電層39は保護層37によって覆われている。このようにして、左右方向のいわゆる一次元の位置検出を行う。また、同様に、複数のキー63を縦方向にまとめてもよい。
【0126】
あるいは、各キー63を三つずつまとめず、それぞれ独立にしてもよい。例えば、キー63と同じか又は一回り大きなサイズの透明導電層を縦横に配列し、それぞれの透明導電層に電極を一つ設け、それぞれの電極と電流検出回路とを一対一の関係で接続する(図示せず)。又は、全てのキー63を一枚の透明導電層で覆って、その透明導電層の四隅に電極を設けても良い(図示せず)。この場合、他の実施形態と同様に、いわゆる2次元方向の位置検出を行う。
【0127】
ここで、携帯機器10Hの電力が内蔵したバッテリから供給されており、回路の基準電位ノード16がアースに対して浮いている。各電流検出回路29の基準電位ノード16は、バッテリの基準電位ノード16などとまとめられて、筐体3の導電性部3hを介して、操作者が携帯機器10Hを支持する際に人体4と接続される。このようにして、浮いていた回路の基準電位ノード16を人体4の電位にし、回路の基準電位ノード16から人体4までのインピーンダンスを低減することができる。したがって、タッチの存在のみを感知するタッチセンサ装置1Hにおいても、タッチに伴う信号の減少を抑制することができる。
【0128】
また、タッチセンサ装置1Hの他の用途として、エレベータの呼び出しスイッチ、自動車のフロントパネルディスプレイボタン、防犯用タッチスイッチ、自動ドア用タッチスイッチ、アミューズメント機器の入力スイッチなどがある。エレベータの呼び出しスイッチや自動ドア用タッチスイッチ等では、例えば、足元に導電性シートを敷き、それをタッチセンサ装置1Hの回路の基準電位ノード16と接続することで、本実施形態9の効果を達成することができる。その他の構成、作用及び効果は、実施形態2と同様である。
【0129】
〔実施形態10〕
次に、本発明に係る実施形態10について、図17及び図18に基づいて説明する。以下、実施形態1と実質的に同様の構成に関しては実施形態1と同じ符号を使用し、実施形態1と異なる部分についてのみ述べる。図17は、本実施形態10のタッチセンサ装置を内蔵したLCDを示す斜視図である。図18は、図17のLCDの平面模式図である。図18では、対向基板の図示を省略している。
【0130】
本実施形態10のタッチセンサ装置1Iは、対向電極112と画素電極105及び配線(104,106,108)との間に液晶(102)を挟む構造を有するLCD10Iに組み込まれて、対向電極112がインピーダンス面として兼用され、配線(104,106,108)の少なくとも一部を電気的に浮遊させる、又は、配線(104,106,108)の少なくとも一部を電気的に浮遊させたうえで、前記インピーダンス面に印加する交流電圧を配線(104,106,108)の少なくとも一部に印加するスイッチ部(116,117,118,121)を更に備えた、ことを特徴とする。
【0131】
換言すると、本実施形態10のタッチセンサ装置1Iは、対向電極112、液晶(102)及び画素電極105から成る三層構造を有するLCD10Iに組み込まれて、対向電極112がインピーダンス面として兼用され、前記インピーダンス面に印加する交流電圧を蓄積容量線108にも同時に印加する又は走査線106を電気的に浮遊させるスイッチ部(116,117,118,121)を更に備えた、ことを特徴とする。
【0132】
実施形態1では、表示装置とタッチセンサ装置とを別体として製造する。これに対して、本実施形態10では、表示装置にLCD10Iを用いて、表面型静電容量結合式のタッチセンサ装置1Iを内蔵する(図17)。後述するように、LCD10Iの対向電極112に用いる透明導電層をインピーダンス面として利用する。このようにして、タッチセンサ装置1Iの製造工程を簡略化し、製造コストを低減できる。更に、タッチセンサ装置1Iの専用の基板が不要であるので、軽量かつ薄型になる。そして、光の透過率が高く表示装置の画質が良いという効果がある。
【0133】
しかし、対向電極112は液晶素子102を介してTFT基板110に接近しているため、液晶素子102などの極めて大きな静電容量が存在する。そのため、TFT基板110上の電極及び配線(蓄積容量線108、信号線104、走査線106等)の電位によって、対向電極112とTFT基板110との間に電位差が生じることになる。したがって、インピーダンス面を兼ねる対向電極112は、極めて大きな寄生容量の影響を受ける。その結果、タッチセンサ機能のS/Nが減少することにより、タッチの存在を感知してタッチの位置を正確に検出することが困難になってしまう。
【0134】
そこで、後述するように本実施形態10では、表示期間と位置検出期間とを時間的に分割する。そして、位置検出期間において、表示領域103をその外部に対してハイインピーダンスにして、電気的にフローティングにする。あるいは、位置検出期間において、TFT基板110上の電極及び配線に、対向電極112と同じ電圧を印加する。これらの結果、表示領域103と対向電極112との間の容量結合により、表示領域103が対向電極112と同じ電位に保持される。このため、表示領域103の電位が対向電極112と同じ電位に追従するので、対向電極112に対する寄生容量の影響を極めて小さくできる。
【0135】
本実施形態10の詳細について、図18に基づいて説明する。本実施形態10では、表示領域外部から表示領域内部へ電気信号を伝えるための配線上にスイッチ素子を設けた構成としている。
【0136】
具体的には、本実施形態10では、表示領域103の外部の第2回路部(走査線駆動回路114、信号線駆動回路115等)から表示領域103の内部の第1回路部(TFT111等)へ電気信号を伝えるための配線部(後述)上にハイインピーダンススイッチ部116(第1のハイインピーダンススイッチ)、ハイインピーダンススイッチ部117(第2のハイインピーダンススイッチ)、ハイインピーダンススイッチ部118(第3のハイインピーダンススイッチ)を設けている。
【0137】
ここで、表示領域103の外部の第2回路部は、表示領域103の内部の第1回路部と同一基板上に形成されていても、外部基板上にあってもよい。表示領域103の外部の第2回路部が表示領域103の内部の第1回路部と同一基板上に設けられる場合、表示領域103の外部と外部基板とを結ぶ配線部上にハイインピーダンススイッチ部116,117,118を設けることが好ましい。具体的には、ハイインピーダンススイッチ部116,117,118が設けられる配線部は、信号線104、走査線106、蓄積容量線108、電源線(図示せず)の少なくとも1つであることが好ましい。
【0138】
また、ハイインピーダンススイッチ部116,117,118を制御するスイッチング制御回路120を備えることが好ましい。スイッチング制御回路120は、電流検出回路29が電流を検出する期間に、表示領域103の外部から表示領域103の内部へ電気信号を伝えるための配線部の少なくとも1つをハイインピーダンスに制御することが好ましい。
【0139】
ここで、ハイインピーダンススイッチ部116,117,118とスイッチング制御回路120とにより、「インピーダンス制御手段」を構成することができる。この「インピーダンス制御手段」は、TFT基板110上に形成されてもよいし、別体の制御回路基板に形成されてもよい。
【0140】
この「インピーダンス制御手段」は、接触位置を検出する検出期間中に、TFT基板110の表示領域103内の第1回路部を、表示領域103外の第2回路部に対して電気的にハイインピーダンスとすることができる。また、この「インピーダンス制御手段」は、第1回路部と第2回路部とを接続する配線部に形成されるハイインピーダンススイッチ部116,117,118と、ハイインピーダンススイッチ部116,117,118をオンオフ制御するスイッチング制御回路120と、を含むことができる。
【0141】
次に、ハイインピーダンススイッチ部116,117,118の動作について説明する。表示領域103の内部(画素マトリクス部内)の第1回路部と、表示領域103の外周部の第2回路部との間を、電気的にハイインピーダンスとするために、表示領域103の外周部は次のような構成になっている。走査線106の信号パスにはそれぞれハイインピーダンススイッチ部116が設けられており、信号線104の信号パスにはそれぞれハイインピーダンススイッチ部117が設けられており、蓄積容量線108の信号パスにはそれぞれハイインピーダンススイッチ部118が設けられている。ハイインピーダンススイッチ部116,117,118は、スイッチング制御回路120によってスイッチング制御される。これにより、表示領域103の外部から内部へ電気信号を伝えるための走査線106や信号線104をハイインピーダンスにすることが可能となる。
【0142】
位置検出期間は、垂直ブランキング期間を利用する。位置検出期間において、ハイインピーダンススイッチ部116,117,118は、図18に示すように、全てオフ状態となる。このとき、信号線104、走査線106及び蓄積容量線108は、表示領域103の外部の配線(走査線駆動回路114、信号線駆動回路115及び共通電極COMに接続されている配線)に対して、ハイインピーダンスとされる。
【0143】
また、位置検出期間において、COM−電流検出回路切り替えスイッチ部121は、電流検出回路29を含む交流電圧源27側に対して導通状態となる。図18に示すスイッチの状態において、交流電圧源27によって生成される同相の交流電圧をTFT基板110の四隅近傍にある電極130a〜130dに印加する。電極130a〜130dは異方性導電体134を介して対向電極112と電気的に接続しているので、対向電極112の四隅近傍に交流電圧が印加される。
【0144】
図19に、本実施形態10のタッチセンサ装置1Iにおける各部の電圧を示すタイミングチャートを示す。対向電極112の電圧はVc、信号線104の電圧はVd、走査線106の電圧はVg、画素電極105の電圧はVsで、それぞれ示した。走査線106の電圧Vgと画素電極105の電圧Vsとの差をVgsで示した。対向電極112、信号線104、走査線106及び画素電極105は、共通電極COM又は電流検出回路29に配線を介して電気的に接続される。共通電極COM又は電流検出回路29の切り替えには、COM−電流検出回路切り替えスイッチ部121が使用される。
【0145】
また、表示駆動期間の後に、位置検出期間がある構成としている。なお、図中には各電圧の例を示しているが、信号線104の電圧Vdは書き込む信号によって電圧が異なるため、特に数値は記入していない。図19の電圧のタイミングチャートを参照すると、位置検出期間中、各走査線106は、ハイインピーダンスであり、かつ、対向電極112と容量結合している。そのため、対向電極112の電圧振幅と同振幅で走査線106の電圧Vgが変動する。以上のように本実施形態10によれば、実施形態1と同様の作用効果を奏しながらも、位置検出期間において、画素マトリクス内部の回路(画素電極105等)が外部の回路に対してハイインピーダンスとされるため、対向電極112に交流電圧を印加する際に、対向電極112から見た寄生容量が極めて小さくなる。具体的には、関連技術では寄生容量が例えば15nFであるのに対して、本実施形態10では寄生容量が例えば100pFまで小さくなる。この結果、電流検出回路29から出力される信号のS/N比が、関連技術では例えば4×10−4であるのに対して、本実施形態10では例えば6×10−2と150倍になる。
【0146】
また、位置検出期間中は、TFT111のゲート電圧及びソース電圧がともに対向電極112の電圧振幅と同振幅で電圧が変化するために、ゲート電圧とソース電圧の相対的な差は一定となり、トランジスタのVgsは変動しない。この結果、位置検出期間の駆動による画質劣化への影響を最小限にするといった格別な効果が得られる。
【0147】
ここで、表示領域103の内部と外部とを電気的にハイインピーダンスとするハイインピーダンススイッチ部116,117,118としてnチャネル型TFTを用いている。しかし、このハイインピーダンススイッチ部は、pチャネル型のTFTでもよいし、nチャネル型とpチャネル型とを組み合わせたトランスファーゲートでもよい。その他の構成、作用及び効果は、実施形態1と同様である。
【0148】
〔実施形態11〕
次に、本発明に係る実施形態11について、図20及び図21に基づいて説明する。以下、実施形態10と実質的に同様の構成に関しては実施形態10と同じ符号を使用し又は図示を略し、実施形態10と異なる部分についてのみ述べる。図20は、本実施形態11のタッチセンサ装置を内蔵したLCDの対向基板を示す平面模式図である。図21は、図20におけるIV−IV’線の部分断面図である。
【0149】
本実施形態11のタッチセンサ装置は、インピーダンス面(201)に印加する交流電圧を対向電極112及び蓄積容量線(実施形態10参照)にも同時に印加するスイッチ部(実施形態10参照)を備えたことを特徴とする。つまり、本実施形態11は対向基板119jに特徴がある。
【0150】
実施形態10においては、LCDの対向電極112を位置検出期間中にタッチセンサとして用いて、表示領域外部に対して表示領域を電気的にハイインピーダンスにしている。この結果、対向電極112の寄生容量が低減されているものの、タッチに伴う容量と比べて、対向電極112から見た寄生容量が依然として遥かに大きい。
【0151】
これに対して、本実施形態11においては、図21を参照すると、対向電極112が下側に形成された絶縁性基板41上に、透明導電層から成る位置検出導電層201が形成されている。この位置検出導電層201を、タッチパネルの一部として利用する。更に、位置検出導電層201上に絶縁性の保護層37が形成されている、ここで、保護層37として偏光板を用いるとよい。
【0152】
図20を参照すると、位置検出導電層201の四隅にそれぞれ電極130a〜130dが形成されており、電極130a〜130dにそれぞれ電流検出回路29a〜29dが電気的に接続されている。更に、電流検出回路29a〜29dを介して、交流電圧源27が電気的に接続されている。
【0153】
ここで、実施形態10の対向電極112の透明導電層と比べて、位置検出導電層201は、TFT基板に対して遠く、タッチ箇所に対して近い。したがって、対向電極112と比べて、位置検出導電層201から見た寄生容量は低く、タッチに伴う静電容量が大きい。この結果、タッチセンサ装置のS/Nが改善される。
【0154】
ただし、タッチに伴う静電容量に対して、位置検出導電層201から見た寄生容量の変動の方が大きいという問題がある。特に、LCDの表示内容に伴う変動が問題である。これは、液晶分子の誘電率異方性に起因するもので、表示内容によって配向が変化し、位置検出導電層201の寄生容量に作用する原理に基づいて生じる問題である。この結果、信号処理回路は、タッチの存在の有無を感知することが難しいといった問題が生じる。つまり、信号処理回路は、指のタッチで信号が変化したのか、あるいは、表示内容が変化したから信号が変化したのかを区別しにくい。
【0155】
図22に、本実施形態11におけるLCDの電極の電圧を示すタイミングチャートを示す。位置検出導電層201の電圧は、図22のVaで示した。他の電圧は、実施形態10と同様の記号が割り当てられるとともに、同様の電圧が印加されている。Vaは交流電圧源27の電圧とし、対向電極112の電圧VcにもVaと同位相・同振幅の電圧が印加されている。この結果、対向電極112が、位置検出導電層201に対する理想的なシールド層として機能するようになり、対向電極112とTFT基板との間に存在する誘電体の誘電率変動で生じる、対向電極112から見たTFT基板の静電容量の変動の影響を受けにくくなる。
【0156】
この結果、位置検出導電層201の寄生容量(より正確には寄生容量として検出される信号)が顕著に減少する。また、人体の指と位置検出導電層201とで形成される静電容量に対して、LCDの表示内容に伴う静電容量の変動の方を小さくでき、タッチの有無を正確に検出できるという効果がある。その他の構成、作用及び効果は、実施形態10と同様である。
【0157】
[実施形態12]
次に、本発明に係る実施形態12について、図23及び図24に基づいて説明する。以下、実施形態11と実質的に同様の構成に関しては実施形態11と同じ符号を使用し又は図示を略し、実施形態11と異なる部分についてのみ述べる。図23は、本実施形態12のタッチセンサ装置を内蔵したLCDの対向基板を示す平面模式図である。図24は、図23におけるV−V’線の部分断面図である。
【0158】
本実施形態12のタッチセンサ装置は、インピーダンス面(201)の表面に、インピーダンス面(201)の電位分布を設定するリニアライゼイションパタン130が設けられたことを特徴とする。つまり、本実施形態12は対向基板119kに特徴がある。前述の実施形態11において、位置検出導電層201に四隅から交流電圧を印加しただけでは、位置検出導電層201上に分布している電界曲線が湾曲してしまい不均一であり、指などのタッチ位置の検出精度の向上の妨げとなる。そこで、本実施形態12では、図23に示すように、位置検出導電層201の外周部に電極130kを形成することによって、位置検出導電層201上で、直線的な等電位線が均等な間隔で分布するようにしている。以下、位置検出導電層201の四隅の電極130a〜130d及び外周部の電極130kを総称して、リニアライゼイションパタン130とする。
【0159】
次に、リニアライゼイションパタン130の作用について説明する。リニアライゼイションパタン130によって、位置検出導電層201の部分的な領域の抵抗を低減せしめることができる。一般的に、位置検出導電層201を構成する透明導電層の抵抗に比べて、リニアライゼイションパタン130がある領域の抵抗は低い。これは、リニアライゼイションパタン130がある領域の抵抗は、位置検出導電層201の抵抗とリニアライゼイションパタン130の抵抗とを並列接続した合成抵抗と見なせるので、リニアライゼイションパタン130の抵抗の大小によらず、位置検出導電層201の抵抗よりも低くなるということである。
【0160】
このようにして、リニアライゼイションパタン130は、対応する位置検出導電層201の領域の抵抗を低減している。その目的は、指でLCDの表面をタッチしたときの容量結合で、タッチ部に対応する位置検出導電層201の領域の電位が下がっても、位置検出導電層201の外周領域を同電位に保つためである。ここで、位置検出導電層201の四隅近傍の交流電圧に対して、外周領域において電圧降下が生じるが、位置検出導電層201の四隅近傍から外周領域の任意の点までの抵抗を調整することにより、外周領域の任意の点で電圧降下を揃えている。その四隅近傍の領域から四隅に隣接する辺の任意の点までの抵抗の調節は、リニアライゼイションパタン130が設けられた低抵抗領域とリニアライゼイションパタン130が設けられていない高抵抗領域とを組み合わせることにより行われている。
【0161】
次に、リニアライゼイションパタン130の製造方法について述べる。位置検出導電層201の四隅の電極130a〜130d及び外周部の電極130kは同一工程で形成することが好ましい。材料に導電性ペーストを用いて、スクリーン印刷やディスペンスなどにより、塗布する。続いて焼成し、硬化させる。導電性ペーストは、具体的には導電性樹脂などが用いられる。導電性樹脂材料の添加剤(フィラー)として、銀やカーボン、あるいはグラファイトが使われる。樹脂材料はポリエステルやアクリルが用いられる。
【0162】
また、リニアライゼイションパタン130上にフロントシールドを設けるとよい。フロントシールドは、リニアライゼイションパタンを塩化ビニル樹脂やポリイミド等の絶縁体で挟み込む等の構成とする。タッチする面側の指以外の手のひらや、もう一方の手等とリニアライゼイションパタンとの間の寄生容量を減らす効果がある。この理由は、リニアライゼイションパタンを覆う絶縁体によって、絶縁体の厚みを厚くする、使用する材料によって比誘電率を下げることができることによる。
【0163】
また、リニアライゼイションパタンとは異なる導電層により、フロントシールドを設けることも可能である。例えば、銅箔を塩化ビニル樹脂等でサンドイッチしたシートを、四隅の電極やリニアライゼイションパタンの上面に、額縁状に形成する。タッチ面側から四隅の電極やリニアライゼイションパタンに影響を及ぼす浮遊容量を低減するために、この構成のフロントシールド内の銅箔はグランドに接続される。
【0164】
以上より、リニアライゼンションパタンを形成することによって、位置検出導電層(透明導電層)上に分布している電界曲線を矯正し、位置検出導電層(透明導電層)上で、直線的な等電位線が均等な間隔で分布する。その結果、指などのタッチ位置を正確に検出できるという効果がある。
【0165】
なお、本実施形態12において、対向電極112の上方に位置検出導電層201を設け、タッチセンサ装置を内蔵したLCDを例にとって述べたが、実施形態1〜9に示すように、LCDとタッチセンサ装置とを別体とする場合のタッチセンサ装置にも適用できる。その他の構成、作用及び効果は、実施形態11と同様である。
【0166】
[実施形態13]
次に、本発明に係る実施形態13について、図25及び図26に基づいて説明する。以下、実施形態10、12と実質的に同様の構成に関しては実施形態10、12と同じ符号を使用し、実施形態10、12と異なる部分についてのみ述べる。図25は、本実施形態13のタッチセンサ装置を内蔵したLCDの平面模式図である。図26は、図25におけるVI−VI’線の部分断面図である。図25では、対向基板の図示を省略している。
【0167】
本実施形態13のタッチセンサ装置1Lは、対向電極112、液晶素子102及び画素電極105から成る三層構造を有するLCD10Lに組み込まれている。そして、対向電極112がインピーダンス面として兼用され、画素電極105がTFT基板110に形成され、インピーダンス面(対向電極112)の電位分布を設定するリニアライゼイションパタン140がTFT基板110に設けられるとともに異方性導電体134を介してインピーダンス面(対向電極112)に電気的に接続されている。リニアライゼイションパタン140は、TFT基板110の四隅の電極140a〜140d及び外周部の電極140kから成る。
【0168】
前述の実施形態12では、リニアライゼイションパタンについて、スクリーン印刷などで導電性ペーストを用いて形成する場合、製造工程数が増加するとともに、製造装置、及び導電性ペーストなどの高価な材料を必要とする。このことは、タッチセンサ機能を内蔵したLCDについて製造コストを低減する際の妨げとなる。
【0169】
これに対して、本実施形態13においては、TFT基板110にリニアライゼイションパタン140を形成し、リニアライゼイションパタン140と対向電極112とは異方性導電体134を介して電気的に接続される。このように、TFT基板110上のリニアライゼイションパタン140と対向電極112とが異方性導電体134を介して電気的に接続されることによって、リニアライゼイションパタン140の形状に対応する対向電極112がリニアライゼイションパタン140の垂直方向にあるので、リニアライゼイションパタン140と対向電極112とは低インピーダンスで接続するが、分割されたリニアライゼイションパタン140同士は低インピーダンスで接続されない。このようにして、前述の実施形態12に示した、対向電極112(透明導電層)上に導電性ペーストでリニアライゼイションパタンを形成した構造と、同様な機能を持たせることができる。
【0170】
一方で、リニアライゼイションパタン140は、TFT基板110上で、のアルミニウム層142(TFT111のドレイン)と透明導電層143(画素電極105)との積層から成る。アルミニウム層142と透明導電層143とは、絶縁層141に形成したコンタクトホールを介して電気的に接続される。一方、TFT111は一般に成膜及びフォトリソグラフィの繰り返しなどによって形成されるが、リニアライゼイションパタン140を構成するアルミニウム層142、透明導電層143、及びコンタクトホールを形成した絶縁層141もTFT111と同時に形成できる。つまり、TFT111を形成するフォトリソグラフィのフォトマスクの設計情報に、リニアライゼイションパタン140の設計情報を加えるだけでよいので、製造工程を追加する必要が無い。
【0171】
また、TFT基板110と対向基板119とで液晶素子102を挟み込み、液晶素子102の周囲をシール(図示せず)によって封止しているが、このシールの材料を異方性導電体として、TFT基板110上に形成したリニアライゼイションパタン140を、シールを介して、対向電極112と接続してもよい。このようにすれば、異方性導電体専用のスペースを省略することができるので、LCD10Lを狭額縁化できる。以上より、タッチの位置精度の向上を図りながらも、タッチセンサ装置1Lを内蔵したLCD10Lの製造コストを低減できる。その他の構成、作用及び効果は、実施形態10、12と同様である。
【0172】
[実施形態14]
次に、本発明に係る実施形態14について、図27に基づいて説明する。以下、実施形態1と実質的に同様の構成に関しては実施形態1と同じ符号を使用し又は図示を略し、実施形態1と異なる部分についてのみ述べる。図27[1]は、一般的なタッチセンサ装置の動作原理を示す等価回路図である。図27[2]は、本実施形態14のタッチセンサ装置の動作原理を示す等価回路図である。
【0173】
上記各実施形態では、タッチセンサ装置がACコンセントに接続されない状態での使用について述べている。これに対し、本実施形態14では、タッチセンサ装置がACコンセントに接続された状態での使用について述べる。
【0174】
図27[1]に示すタッチセンサ装置1Nは、ACコンセントに接続された状態で使用される一般的なものであり、その動作原理は図5[1]の説明で述べたとおりである。基準電位ノード16はアース35に接続されている。
【0175】
図27[2]に示すタッチセンサ装置1Mにおける電源部27mは、ACコンセントから交流電圧を得て直流電圧に変換する直流安定化電源や、あるいはACコンセントから交流電圧を得てその電圧値を変える変圧器などを有する。タッチセンサ装置1Mの使用中も、回路の基準電位ノード16はアース35に接続されている。電源部27mも、他の実施形態における電源部と同様に交流電圧を出力する。つまり、タッチセンサ装置1Mは、上記各実施形態のタッチセンサ装置において電源部27(各図参照)を電源部27mに置き換えたものと同じである。
【0176】
一般的なタッチセンサ装置1NのインピーダンスZは、静電容量25によるインピーダンスZと、これに直列接続される人体4−アース35間の寄生インピーダンスZbとの、合成インピーダンスZoとなっている。これに対し、本実施形態14におけるインピーダンスは、静電容量25のインピーダンスZのみである。なぜなら、基準電位ノード16は、上記各実施形態で説明したように人体4と同電位であり、かつアース35とも同電位であるため、人体4とアース35との間の寄生インピーダンスを無視できるからである。つまり、Z<Zoが成り立つので、両者に流れる電流の関係はI>Ioとなる。
【0177】
本実施形態14のタッチセンサ装置1Mによれば、一般的なタッチセンサ装置1Nに比べて、閉ループ中のインピーダンスが減少することから電流が増加し、これにより電流の検出精度が向上する。
【0178】
以上、上記各実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細については、当業者が理解し得るさまざまな変更を加えることができる。また、本発明には、上記各実施形態の構成の一部又は全部を相互に適宜組み合わせたものも含まれる。
【0179】
また、本発明は次のように構成することもできる。
<1>表面型静電容量方式のタッチセンサ装置において、インピーダンス面に形成される静電容量により、人体のタッチの存在を感知するタッチセンサ機能と、前記インピーダンス面と電気的に接続された電流検出回路とを有し、前記電流検出回路は外部の交流電源から電力を供給され、かつ前記電流検出回路の基準電位ノードと人体との間を低インピーダンスで接続する手段を有することを特徴とするタッチセンサ装置。
<2>前記タッチセンサ機能が搭載された携帯機器の筐体が導電部を有し、前記導電部と前記基準電位ノードとを低インピーダンスで接続し、操作者が前記筐体を支持する際に、人体と前記導電部とが接触するように、前記筐体上で前記導電部が配置されていることを特徴とする、<1>に記載のタッチセンサ装置。
<3>前記タッチセンサ機能が搭載された携帯機器の筐体が導電部を有し、前記導電部と前記基準電位ノードとを電気的に接続し、前記インピーダンス面を覆う絶縁性の保護層と前記インピーダンス面の周囲を囲む絶縁体との少なくともどちらか一つを有し、前記保護層又は前記周囲を囲む絶縁体の厚さに対して、前記導電部分と前記インピーダンス面との離間距離が長いことを特徴とする、<1>に記載のタッチセンサ装置。
<4>電気光学応答を行う表示素子を照明する装置の電圧印加部又は発光源を覆う導電性のフォルダを有し、前記フォルダと前記基準電位ノードとが電気的に接続されることを特徴とする、<1>に記載のタッチセンサ装置。
<5>電気光学的応答をする表示素子要素と表示素子要素に電気信号を与えるための第一の導体と表示素子要素に電気信号を与えるための第二の導体とを含み構成される面表示装置と、前記表示素子要素に電気信号を与えるためのインピーダンス面を有する対向基板と、電流検出回路とを有し、前記電流検出回路が電流を検出する時、前記第一の導体又は前記第二の導体の二者うち、一方に、前記インピーダンス面と概同一の電圧を印加し、他方をフローティングにする、又は、前記インピーダンス面と概同一の電圧を印加する制御回路と、を有することを特徴とする、<1>に記載のタッチセンサ装置。
<6>前記インピーダンス面は、リニアライゼイションパタンを有し、前記リニアライゼイションパタンの上方に、導電体が形成され、前記導電体は基準電位ノードに電気的に接続されることを特徴とする、<1>に記載のタッチセンサ装置。
<7>電気光学的応答をする表示素子要素と、前記表示素子要素に電気信号を与えるための表示装置基板と、前記表示素子要素に電気信号を与えるためのインピーダンス面を有する対向基板と、電流検出回路と、前記表示装置基板上に形成したリニアライゼイションパタンと、を有し、前記リニアライゼイションパタンと、前記インピーダンス面とは異方性導電体を介して接続されることを特徴とする、<1>に記載のタッチセンサ装置。
<8>前記基準電位ノードと人体とを接続することによって、前記基準電位ノードと人体の間のインピーダンスが減少することを特徴とする、<1>に記載のタッチセンサ装置。
【0180】
また、本発明は次のように要約することもできる。本発明の課題は、携帯機器に適し、製造コストの低減を図りながらも、タッチの有無やタッチ位置を精度よく検出可能なタッチセンサ機能を備えた面表示装置及びこれを備えた電子機器を提供することにある。本発明の解決手段は、モバイル環境下において、浮いている回路の基準電位を、人体の一部と電気的に接続し、人体の電位にする。このようにして、回路の基準電位からアースまでの寄生インピーダンスを無視することができる。
【産業上の利用可能性】
【0181】
本発明は、表示面上において指やペンなどを用いて指し示された位置座標を検出する面表示装置、又は指し示す動作の有無を検出する面表示装置に利用可能である。また、本発明の活用例として、ゲーム機、携帯情報端末、PDA、カーナビゲーション、ノートパソコン、携帯DVDプレーヤ、飛行機やバスの客席に取り付けるテレビ・ゲーム機、ファクトリ・オートメーション(FA)機器に使用されるタッチセンサ機能が挙げられる。
【符号の説明】
【0182】
1A,1B,1C,1D,1E,1G,1H,1I,1L,1M,1N タッチセンサ装置
2 タッチパネル(第一の人体接触部)
2h タッチスイッチ(第一の人体接触部)
3 筐体
3b,3c,3e,3h 筐体の導電性部(導体、第二の人体接触部)
3c’ 筐体の絶縁性部
4 人体
5 LCD
6 ケーブル
7 FPC
8 第二の人体接触部
9 ケーブル(導線、第二の人体接触部)
10A,10B,10C,10D,10E,10H,10N 携帯機器(電子機器)
10G カーナビゲーション(車載機器、電子機器)
10I,10L LCD(表示装置、電子機器)
11 リストストラップ(導体、第二の人体接触部)
12 ケーブルのプラグ
13 ジャック
15 基準電位配線(基準電位部)
16 基準電位ノード(基準電位部)
17 バッテリ(電源部)
19 メイン基板
21 コントローラ
23 指
25 タッチに伴う静電容量
27 交流電圧源(電源部)
27m 電源部
29,29a〜29f 電流検出回路(電流検出部)
35 アース(接地)
37 保護層
38a〜38f 電極(第一の人体接触部)
39 透明導電層(インピーダンス面)
41 絶縁性基板
43 ハンダ部
45 導電性の接着ラベル(導電膜、導体、第二の人体接触部)
47 スルーホール
49 導電性のフォルダ
51 導光板
53 発光源
57 ハンドル(導体、第二の人体接触部)
58 ペダル(導体、第二の人体接触部)
59 座席シート(導体、第二の人体接触部)
61 シートベルト(導体、第二の人体接触部)
63 キー
65 表示部
70 ペン(指示体)
72 先端部
72a 表面
72b 芯
74 握り部
102 液晶素子(液晶)
103 表示領域
104 信号線
105 画素電極
106 走査線
108 蓄積容量線
110 TFT基板
111 TFT
112 対向電極(透明導電層、インピーダンス面)
114 走査線駆動回路
115 信号線駆動回路
116 データ線のハイインピーダンススイッチ部(スイッチ部)
117 ゲート線のハイインピーダンススイッチ部(スイッチ部)
118 蓄積容量線のハイインピーダンススイッチ部(スイッチ部)
119,119j,119k 対向基板
120 スイッチング制御回路(スイッチ部)
120a〜120d 電極(第一の人体接触部)
121 COM−電流検出回路切り替えスイッチ部(スイッチ部)
130 リニアライゼイションパタン
130a〜130d 電極(第一の人体接触部、リニアライゼイションパタン)
130k 電極(リニアライゼイションパタン)
132 配線
134 異方性導電体
138 LCDのFPC
140 リニアライゼイションパタン
140a〜140d 電極(第一の人体接触部、リニアライゼイションパタン)
140k 電極(リニアライゼイションパタン)
141 絶縁層(パッシベーション膜及び平坦化膜)
142 アルミニウム層(ソース電極及びドレイン電極の材料)
143 透明導電層(画素電極)
201 位置検出導電層(透明導電層、インピーダンス面)
Z タッチに伴うインピーダンス
Zp 浮いている基準電位ノードとアースとの間のインピーダンス
COM 共通電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体が接触又は近接すると当該人体との間に静電容量を形成する第一の人体接触部と、
この第一の人体接触部との間に交流電圧を出力する電源部と、
この電源部から前記人体へ流れる電流を検出する電流検出部と、
前記交流電圧の基準電位となる基準電位部と、
この基準電位部に電気的に接続されるとともに前記人体が接触する第二の人体接触部と、
を備えたことを特徴とするタッチセンサ装置。
【請求項2】
前記第一の人体接触部は、前記人体が接触又は近接する導電膜から成るインピーダンス面と、このインピーダンス面に設けられるとともに前記交流電圧が印加される複数の電極とを有し、
前記電流検出部は、前記複数の電極に流れる電流をそれぞれ検出する複数の電流検出回路を有する、
ことを特徴とする請求項1記載のタッチセンサ装置。
【請求項3】
前記導電膜に前記人体が接触又は近接することによって当該導電膜と当該人体との間に形成される容量インピーダンスをZとし、前記容量インピーダンスに直列に接続される寄生インピーダンスをZpとしたとき、
Zp/Z≦0.4
が成り立つことを特徴とする請求項2記載のタッチセンサ装置。
【請求項4】
前記電源部は、直流電圧を出力するバッテリを有するとともに前記直流電圧を前記交流電圧に変換して前記第一の人体接触部から出力する、
ことを特徴とする請求項2又は3記載のタッチセンサ装置。
【請求項5】
携帯機器に組み込まれた請求項4記載のタッチセンサ装置であって、
前記第二の人体接触部は、前記携帯機器の筺体の表面を成す導体である、
ことを特徴とするタッチセンサ装置。
【請求項6】
前記導体は、前記第一の人体接触部の周囲を除き、前記筺体の表面の全体を成す、
ことを特徴とする請求項5記載のタッチセンサ装置。
【請求項7】
前記導体は、前記筺体の表面に設けられた導電膜である、
ことを特徴とする請求項5又は6記載のタッチセンサ装置。
【請求項8】
前記携帯機器は、液晶ディスプレイと、この液晶ディスプレイを透過する光を発生するバックライトと、このバックライトから発生した光を反射して前記液晶ディスプレイへ導く導電性のフォルダとを有し、
前記第一の人体接触部が前記液晶ディスプレイの表示面に設けられ、
前記フォルダと前記基準電位部とが電気的に接続された、
ことを特徴とする請求項5又は6記載のタッチセンサ装置。
【請求項9】
携帯機器に組み込まれた請求項4記載のタッチセンサ装置であって、
前記第二の人体接触部は、前記基準電位部に接続された導線と、この導線に接続された導体とを有する、
ことを特徴とするタッチセンサ装置。
【請求項10】
携帯機器に組み込まれるとともに指示体を更に備えた請求項4記載のタッチセンサ装置であって、
前記指示体は、前記インピーダンス面に接触する先端部と、前記人体の手で握る握り部とを有し、
前記先端部と前記握り部とは、ともに導電性であり、かつ電気的に接続されている、
ことを特徴とするタッチセンサ装置。
【請求項11】
前記先端部が前記人体の指先と同程度の弾性を有する、
ことを特徴とする請求項10記載のタッチセンサ装置。
【請求項12】
車載機器に組み込まれた請求項4記載のタッチセンサ装置であって、
前記導体は、前記人体が乗車中に触れる部分に設けられた、
ことを特徴とするタッチセンサ装置。
【請求項13】
対向電極と画素電極及び配線との間に液晶を挟む構造を有する液晶ディスプレイに組み込まれた請求項4記載のタッチセンサ装置であって、
前記対向電極が前記インピーダンス面として兼用され、
前記インピーダンス面に印加する前記交流電圧を前記配線の少なくとも一部にも同時に印加するスイッチ部を更に備えた、
ことを特徴とするタッチセンサ装置。
【請求項14】
対向電極と画素電極及び配線との間に液晶を挟む構造を有する液晶ディスプレイに組み込まれた請求項4記載のタッチセンサ装置であって、
前記対向電極が前記インピーダンス面として兼用され、
前記配線の少なくとも一部を電気的に浮遊させるスイッチ部を更に備えた、
ことを特徴とするタッチセンサ装置。
【請求項15】
対向電極、液晶及び画素電極を有する液晶ディスプレイに組み込まれた請求項4記載のタッチセンサ装置であって、
前記インピーダンス面に印加する前記交流電圧を前記対向電極にも同時に印加するスイッチ部を更に備えた、
ことを特徴とするタッチセンサ装置。
【請求項16】
前記インピーダンス面の表面に、当該インピーダンス面の電位分布を設定するリニアライゼイションパタンが設けられた、
ことを特徴とする請求項4記載のタッチセンサ装置。
【請求項17】
対向電極、液晶及び画素電極を有する液晶ディスプレイに組み込まれた請求項2記載のタッチセンサ装置であって、
前記対向電極が前記インピーダンス面として兼用され、
前記画素電極がTFT基板に形成され、
前記インピーダンス面の電位分布を設定するリニアライゼイションパタンが前記TFT基板に設けられるとともに異方性導電体を介して前記インピーダンス面に電気的に接続された、
ことを特徴とする請求項4記載のタッチセンサ装置。
【請求項18】
請求項4乃至11のいずれか一項記載のタッチセンサ装置を、
備えたことを特徴とする携帯機器。
【請求項19】
請求項12記載のタッチセンサ装置を、
備えたことを特徴とする車載機器。
【請求項20】
請求項1、2、13、14、15、16又は17記載のタッチセンサ装置を、
備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2010−262626(P2010−262626A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49430(P2010−49430)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(303018827)NEC液晶テクノロジー株式会社 (547)
【Fターム(参考)】