タッチパネル
【課題】各種電子機器に用いられるタッチパネルに関し、取扱いが容易で、安定した電気的接続が得られ、確実な操作が可能なものを提供することを目的とする。
【解決手段】上導電層3の両端及びこれと直交方向の下導電層4の両端から延出する、一対の上電極15Aと15B及び下電極16Aと16Bの端部を並列に配列すると共に、これらに端部が接続された配線基板18の、上配線パターン19Aと19Bの上面、及び下配線パターン20Aと20Bの下面のみを、略L字状の上カバーシート21と下カバーシート22で覆うことによって、全体の厚さが薄く折曲し易くなっているため、機器への装着時の取扱いが容易で、安定した電気的接続が得られ、確実な操作が可能なタッチパネルを得ることができる。
【解決手段】上導電層3の両端及びこれと直交方向の下導電層4の両端から延出する、一対の上電極15Aと15B及び下電極16Aと16Bの端部を並列に配列すると共に、これらに端部が接続された配線基板18の、上配線パターン19Aと19Bの上面、及び下配線パターン20Aと20Bの下面のみを、略L字状の上カバーシート21と下カバーシート22で覆うことによって、全体の厚さが薄く折曲し易くなっているため、機器への装着時の取扱いが容易で、安定した電気的接続が得られ、確実な操作が可能なタッチパネルを得ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に各種電子機器の操作に用いられるタッチパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やカーナビ等の各種電子機器の高機能化や多様化が進むに伴い、液晶等の表示素子の前面に光透過性のタッチパネルを装着し、このタッチパネルを通して背面の表示素子の表示を視認しながら、指やペン等でタッチパネルを押圧操作することによって、機器の各機能の切換えを行うものが増えており、視認性に優れ操作の確実なものが求められている。
【0003】
このような従来のタッチパネルについて、図4〜図6を用いて説明する。
【0004】
なお、これらの図面のうち断面図は、構成を判り易くするために厚さ方向の寸法を拡大して表している。
【0005】
図4は従来のタッチパネルの分解平面図、図5は同配線基板の分解斜視図であり、同図において、1は光透過性の上基板、2は同じく光透過性の下基板で、上基板1の下面には酸化インジウム錫等の光透過性の上導電層3が、下基板2の上面には同じく下導電層4が各々形成されている。
【0006】
そして、下導電層4上面には絶縁樹脂によって、複数のドットスペーサ(図示せず)が所定間隔で形成されると共に、上導電層3の両端からは銀等の一対の上電極5Aと5Bが、これと直交方向の下導電層4の両端からは一対の下電極6Aと6Bが各々延出し、その端部が上基板1と下基板2下端に交互に導出されている。
【0007】
また、7は上基板1下面または下基板2上面の外周に形成された略額縁状のスペーサで、このスペーサ7の上下面または片面に塗布形成された接着層(図示せず)によって、上基板1と下基板2の外周が貼り合わされ、上導電層3と下導電層4が所定の間隙を空けて対向している。
【0008】
さらに、8はフィルム状の配線基板で、上方の幅の大きな接続部8Aと下方の幅の小さな配線部8Bから形成されると共に、上面には銅や銀等の複数の上配線パターン9Aと9Bが、下面には複数の下配線パターン10Aと10Bが各々交互に形成されている。
【0009】
なお、下配線パターン10Aと10Bは、貫通孔内に銀等が充填されたスルーホール10C等によって、配線部8B下端では上配線パターン9Aや9Bと同様に、上面に導出されている。
【0010】
また、11はフィルム状の上カバーシート、12は同じく下カバーシートで、図5や図6の断面図に示すように、上下方向が配線基板8よりやや短い寸法に形成されると共に、この上カバーシート11と下カバーシート12が、配線基板8の上下端だけを露出させ、配線基板8の上面と下面全面を覆うように貼付されている。
【0011】
さらに、この配線基板8の上端が、上基板1と下基板2下端の間に挟持されると共に、合成樹脂内に導電粒子を分散した異方導電接着剤(図示せず)等によって、上配線パターン9Aと9Bが上電極5Aと5Bに、下配線パターン10Aと10Bが下電極6Aと6Bに各々接着接続されて、タッチパネルが構成されている。
【0012】
そして、このように構成されたタッチパネルが、接着剤等によって液晶等の表示素子の前面に貼付されて、電子機器に装着されると共に、配線基板8が下方へ折曲され、上配線パターン9Aと9B、下配線パターン10Aと10Bの下端が、接続用コネクタや半田付け等によって機器の電子回路(図示せず)に電気的に接続される。
【0013】
以上の構成において、タッチパネル背面の表示素子の表示を視認しながら、上基板1上面を指或いはペン等で押圧操作すると、上基板1が撓み、押圧された箇所の上導電層3が下導電層4に接触する。
【0014】
そして、電子回路から配線基板8の上配線パターン9Aや9B、下配線パターン10Aや10Bを介して、上電極5Aと5B及び下電極6Aと6B、すなわち上導電層3両端及びこれと直交方向の下導電層4両端へ順次電圧が印加され、これらの電圧比によって、押圧された箇所を電子回路が検出し、機器の様々な機能の切換えが行われるように構成されている。
【0015】
なお、このようなタッチパネルの配線基板8は、厚さ20〜30μm前後の配線基板8の上下面に、10〜15μm前後の厚さで上配線パターン9Aや9B、下配線パターン10Aや10Bを形成した後、厚さ10〜15μm前後の上カバーシート11と下カバーシート12を、上下端を除き配線基板8の上面と下面全面を覆うように貼付して形成されている。
【0016】
そして、交互に配列された上配線パターン9Aや9B、下配線パターン10Aや10Bの間隔は、コネクタ等に接続される下端に比べ、異方導電接着剤等によって上電極5Aや5B、下電極6Aや6Bに接着接続される上端は、安定した接続が保持できるように、大きな間隔で配列されているため、下方の配線部8Bに比べ、上方の接続部8Aは幅寸法が大きく形成されている。
【0017】
このため、電子機器に装着し配線基板8を下方へ折曲する際には、上下面の全面に上カバーシート11と下カバーシート12が貼付され、厚さも幅寸法も大きな箇所の接続部8Aは、折曲が行いづらく、また、機器への装着後も、接続部8Aの弾性復帰力によって、配線基板8の上端、つまり上電極5Aや5B、下電極6Aや6Bとの接着接続部に、応力がかかった状態で保持が行われるものであった。
【0018】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2005−11312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、上記従来のタッチパネルにおいては、機器への装着時に配線基板8の折曲が行いづらく、また装着後も、上電極や下電極との接着接続部に、応力がかかった状態で配線基板8が保持されるため、使用される周囲の条件、特に高温や高湿な環境で使用された場合等には、配線基板8と上基板1や下基板2の電気的接続が不安定なものになる場合があるという課題があった。
【0020】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、取扱いが容易で、安定した電気的接続が得られ、確実な操作が可能なタッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために本発明は、上導電層の両端及びこれと直交方向の下導電層の両端から延出する、一対の上電極及び下電極の端部を並列に配列すると共に、これらに端部が接続された配線基板の上配線パターン上面、及び下配線パターン下面を、略L字状の上下カバーシートで覆ってタッチパネルを構成したものであり、上電極と下電極との接続部近傍の配線基板は、上配線パターン上面と下配線パターン下面のみが上下カバーシートで覆われ、全体の厚さが薄く折曲し易くなっているため、機器への装着時の取扱いが容易で、安定した電気的接続が得られ、確実な操作が可能なタッチパネルを得ることができるという作用を有するものである。
【発明の効果】
【0022】
以上のように本発明によれば、取扱いが容易で、確実な操作が可能なタッチパネルを実現することができるという有利な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図3を用いて説明する。
【0024】
なお、これらの図面のうち断面図は、構成を判り易くするために厚さ方向の寸法を拡大して表している。
【0025】
また、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0026】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態によるタッチパネルの分解平面図、図2は同配線基板の分解斜視図であり、同図において、1はポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート、ガラス等の光透過性の上基板、2はガラスまたはアクリル、ポリカーボネート等の光透過性の下基板で、上基板1の下面には酸化インジウム錫や酸化錫等の光透過性の上導電層3が、下基板2の上面には同じく下導電層4が、スパッタ法等によって各々形成されている。
【0027】
そして、下導電層4の上面にはエポキシやシリコン等の絶縁樹脂によって複数のドットスペーサ(図示せず)が所定間隔で形成されると共に、上導電層3の両端からは銀やカーボン等の一対の上電極15Aと15Bが、これと直交方向の下導電層4の両端からは一対の下電極16Aと16Bが各々延出し、その端部は上基板1と下基板2下端に導出され、各々並列に配列されている。
【0028】
また、7は額縁状でポリエステルやエポキシ等のスペーサで、この上基板1下面または下基板2上面の外周に形成されたスペーサ7の、上下面または片面に形成されたアクリルやゴム等の接着剤(図示せず)によって、上基板1と下基板2の外周が貼り合わされ、上導電層3と下導電層4が所定の間隙を空けて対向している。
【0029】
さらに、18は厚さ20〜30μm前後でポリイミドやポリエチレンテレフタレート等のフィルム状の配線基板で、上方の幅の大きな接続部18Aと下方の幅の小さな配線部18Bから形成されると共に、上面には厚さ10〜15μm前後で銅や銀、カーボン等の複数の上配線パターン19Aと19Bが、下面には同じく複数の下配線パターン20Aと20Bが、各々上端が並列に配列して形成されている。
【0030】
なお、下配線パターン20Aと20Bは、貫通孔内に銀等が充填されたスルーホール20C等によって、配線部18Bで上配線パターン19Aや19Bと同様に、上面に導出されると共に、配線部18B下端では、上配線パターン19Aと19B、下配線パターン20Aと20Bが交互に配列されている。
【0031】
また、21は厚さ10〜15μm前後でポリイミドやポリエチレンテレフタレート等のフィルム状の上カバーシート、22は同じく下カバーシートで、図2や図3の断面図に示すように、上下方向が配線基板18よりやや短い寸法に各々形成されると共に、上カバーシート21は上方の右半分のみの接続部21Aと、下方の配線部18Bと同じ幅の配線部21Bから形成され、下カバーシート22は上方の左半分のみの接続部22Aと、下方の配線部18Bと同じ幅の配線部22Bから形成されている。
【0032】
そして、この略L字状の上カバーシート21が、上下端だけを露出させて配線基板18の上面を覆うように、下カバーシート22が同じく配線基板18の下面を覆うように、各々配線基板18の上下面に貼付されている。
【0033】
つまり、配線基板18の配線部18Bは下端を除いて、上下面の全面が上カバーシート21と下カバーシート22の接続部21Aと22Aに覆われているが、接続部18Aは全面ではなく、右半分の上配線パターン19Aと19Bの上面のみを接続部21Aに覆われ、左半分の下配線パターン20Aと20Bの下面のみを接続部22Aに覆われるように構成されている。
【0034】
すなわち、接続部18Aの上配線パターン19Aと19B下方の、配線基板18下面は下カバーシート22に覆われておらず、下配線パターン20Aと20B上方の、配線基板18上面は上カバーシート21に覆われていないため、上下面の全面が覆われている場合に比べ、全体の厚さが薄く、配線基板18が撓み易いようになっている。
【0035】
なお、下カバーシート22下面の、下端とスルーホール20C下方には、ポリイミド等によって同じ厚さの補強部(図示せず)が設けられ、コネクタ等への挿入時や配線基板18の折曲時の強度を保つようになっている。
【0036】
さらに、この配線基板18の上端が、上基板1と下基板2下端の間に挟持されると共に、エポキシやアクリル、ポリエステル等の合成樹脂内に、ニッケルや樹脂等に金メッキを施した複数の導電粒子を分散した異方導電接着剤(図示せず)等によって、上配線パターン19Aと19Bが上電極15Aと15Bに、下配線パターン20Aと20Bが下電極16Aと16Bに各々接着接続されて、タッチパネルが構成されている。
【0037】
そして、このように構成されたタッチパネルが、接着剤等によって液晶等の表示素子の前面に貼付されて、電子機器に装着されると共に、配線基板18が下方へ折曲され、上配線パターン19Aと19B、下配線パターン20Aと20Bの下端が、接続用コネクタや半田付け等によって機器の電子回路(図示せず)に電気的に接続される。
【0038】
なお、この時、配線基板18が折曲され、幅寸法の大きな接続部18Aに応力が加わるが、この箇所は上述したように、上下面の全面が上カバーシート21と下カバーシート22で覆われているのではなく、右半分の上配線パターン19Aと19Bの上面のみが接続部21Aに覆われ、左半分の下配線パターン20Aと20Bの下面のみが接続部22Aに覆われているため、全体の厚さが薄く、撓み易くなっている。
【0039】
つまり、上下面の全面が覆われている場合に比べ、比較的折曲し易いようになっているため、配線基板18下端のコネクタへの接続や半田付け等を容易に行うことができると共に、機器への装着後も、応力の少ない状態で配線基板18の保持が行えるため、上配線パターン19A、19Bと上電極15A、15Bや、下配線パターン20A、20Bと下電極16A、16Bの、安定した電気的接続が維持できるように構成されている。
【0040】
以上の構成において、タッチパネル背面の表示素子の表示を視認しながら、上基板1上面を指或いはペン等で押圧操作すると、上基板1が撓み、押圧された箇所の上導電層3が下導電層4に接触する。
【0041】
そして、電子回路から配線基板18の上配線パターン19Aや19B、下配線パターン20Aや20Bを介して、上電極15Aと15B及び下電極16Aと16B、すなわち上導電層3両端及びこれと直交方向の下導電層4両端へ順次電圧が印加され、これらの電圧比によって、押圧された箇所を電子回路が検出し、機器の様々な機能の切換えが行われるように構成されている。
【0042】
このように本実施の形態によれば、上導電層3の両端及びこれと直交方向の下導電層4の両端から延出する、一対の上電極15Aと15B及び下電極16Aと16Bの端部を並列に配列すると共に、これらに端部が接続された配線基板18の、上配線パターン19Aと19Bの上面、及び下配線パターン20Aと20Bの下面のみを、略L字状の上カバーシート21と下カバーシート22で覆うことによって、全体の厚さが薄く折曲し易くなっているため、機器への装着時の取扱いが容易で、安定した電気的接続が得られ、確実な操作が可能なタッチパネルを得ることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明によるタッチパネルは、取扱いが容易で、安定した電気的接続が得られ、確実な操作が可能なものを得ることができるという有利な効果を有し、各種電子機器の操作用として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施の形態によるタッチパネルの分解平面図
【図2】同配線基板の分解斜視図
【図3】同断面図
【図4】従来のタッチパネルの分解平面図
【図5】同配線基板の分解斜視図
【図6】同断面図
【符号の説明】
【0045】
1 上基板
2 下基板
3 上導電層
4 下導電層
7 スペーサ
15A、15B 上電極
16A、16B 下電極
18 配線基板
18A 接続部
18B 配線部
19A、19B 上配線パターン
20A、20B 下配線パターン
20C スルーホール
21 上カバーシート
22 下カバーシート
21A、22A 接続部
21B、22B 配線部
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に各種電子機器の操作に用いられるタッチパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やカーナビ等の各種電子機器の高機能化や多様化が進むに伴い、液晶等の表示素子の前面に光透過性のタッチパネルを装着し、このタッチパネルを通して背面の表示素子の表示を視認しながら、指やペン等でタッチパネルを押圧操作することによって、機器の各機能の切換えを行うものが増えており、視認性に優れ操作の確実なものが求められている。
【0003】
このような従来のタッチパネルについて、図4〜図6を用いて説明する。
【0004】
なお、これらの図面のうち断面図は、構成を判り易くするために厚さ方向の寸法を拡大して表している。
【0005】
図4は従来のタッチパネルの分解平面図、図5は同配線基板の分解斜視図であり、同図において、1は光透過性の上基板、2は同じく光透過性の下基板で、上基板1の下面には酸化インジウム錫等の光透過性の上導電層3が、下基板2の上面には同じく下導電層4が各々形成されている。
【0006】
そして、下導電層4上面には絶縁樹脂によって、複数のドットスペーサ(図示せず)が所定間隔で形成されると共に、上導電層3の両端からは銀等の一対の上電極5Aと5Bが、これと直交方向の下導電層4の両端からは一対の下電極6Aと6Bが各々延出し、その端部が上基板1と下基板2下端に交互に導出されている。
【0007】
また、7は上基板1下面または下基板2上面の外周に形成された略額縁状のスペーサで、このスペーサ7の上下面または片面に塗布形成された接着層(図示せず)によって、上基板1と下基板2の外周が貼り合わされ、上導電層3と下導電層4が所定の間隙を空けて対向している。
【0008】
さらに、8はフィルム状の配線基板で、上方の幅の大きな接続部8Aと下方の幅の小さな配線部8Bから形成されると共に、上面には銅や銀等の複数の上配線パターン9Aと9Bが、下面には複数の下配線パターン10Aと10Bが各々交互に形成されている。
【0009】
なお、下配線パターン10Aと10Bは、貫通孔内に銀等が充填されたスルーホール10C等によって、配線部8B下端では上配線パターン9Aや9Bと同様に、上面に導出されている。
【0010】
また、11はフィルム状の上カバーシート、12は同じく下カバーシートで、図5や図6の断面図に示すように、上下方向が配線基板8よりやや短い寸法に形成されると共に、この上カバーシート11と下カバーシート12が、配線基板8の上下端だけを露出させ、配線基板8の上面と下面全面を覆うように貼付されている。
【0011】
さらに、この配線基板8の上端が、上基板1と下基板2下端の間に挟持されると共に、合成樹脂内に導電粒子を分散した異方導電接着剤(図示せず)等によって、上配線パターン9Aと9Bが上電極5Aと5Bに、下配線パターン10Aと10Bが下電極6Aと6Bに各々接着接続されて、タッチパネルが構成されている。
【0012】
そして、このように構成されたタッチパネルが、接着剤等によって液晶等の表示素子の前面に貼付されて、電子機器に装着されると共に、配線基板8が下方へ折曲され、上配線パターン9Aと9B、下配線パターン10Aと10Bの下端が、接続用コネクタや半田付け等によって機器の電子回路(図示せず)に電気的に接続される。
【0013】
以上の構成において、タッチパネル背面の表示素子の表示を視認しながら、上基板1上面を指或いはペン等で押圧操作すると、上基板1が撓み、押圧された箇所の上導電層3が下導電層4に接触する。
【0014】
そして、電子回路から配線基板8の上配線パターン9Aや9B、下配線パターン10Aや10Bを介して、上電極5Aと5B及び下電極6Aと6B、すなわち上導電層3両端及びこれと直交方向の下導電層4両端へ順次電圧が印加され、これらの電圧比によって、押圧された箇所を電子回路が検出し、機器の様々な機能の切換えが行われるように構成されている。
【0015】
なお、このようなタッチパネルの配線基板8は、厚さ20〜30μm前後の配線基板8の上下面に、10〜15μm前後の厚さで上配線パターン9Aや9B、下配線パターン10Aや10Bを形成した後、厚さ10〜15μm前後の上カバーシート11と下カバーシート12を、上下端を除き配線基板8の上面と下面全面を覆うように貼付して形成されている。
【0016】
そして、交互に配列された上配線パターン9Aや9B、下配線パターン10Aや10Bの間隔は、コネクタ等に接続される下端に比べ、異方導電接着剤等によって上電極5Aや5B、下電極6Aや6Bに接着接続される上端は、安定した接続が保持できるように、大きな間隔で配列されているため、下方の配線部8Bに比べ、上方の接続部8Aは幅寸法が大きく形成されている。
【0017】
このため、電子機器に装着し配線基板8を下方へ折曲する際には、上下面の全面に上カバーシート11と下カバーシート12が貼付され、厚さも幅寸法も大きな箇所の接続部8Aは、折曲が行いづらく、また、機器への装着後も、接続部8Aの弾性復帰力によって、配線基板8の上端、つまり上電極5Aや5B、下電極6Aや6Bとの接着接続部に、応力がかかった状態で保持が行われるものであった。
【0018】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2005−11312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、上記従来のタッチパネルにおいては、機器への装着時に配線基板8の折曲が行いづらく、また装着後も、上電極や下電極との接着接続部に、応力がかかった状態で配線基板8が保持されるため、使用される周囲の条件、特に高温や高湿な環境で使用された場合等には、配線基板8と上基板1や下基板2の電気的接続が不安定なものになる場合があるという課題があった。
【0020】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、取扱いが容易で、安定した電気的接続が得られ、確実な操作が可能なタッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために本発明は、上導電層の両端及びこれと直交方向の下導電層の両端から延出する、一対の上電極及び下電極の端部を並列に配列すると共に、これらに端部が接続された配線基板の上配線パターン上面、及び下配線パターン下面を、略L字状の上下カバーシートで覆ってタッチパネルを構成したものであり、上電極と下電極との接続部近傍の配線基板は、上配線パターン上面と下配線パターン下面のみが上下カバーシートで覆われ、全体の厚さが薄く折曲し易くなっているため、機器への装着時の取扱いが容易で、安定した電気的接続が得られ、確実な操作が可能なタッチパネルを得ることができるという作用を有するものである。
【発明の効果】
【0022】
以上のように本発明によれば、取扱いが容易で、確実な操作が可能なタッチパネルを実現することができるという有利な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図3を用いて説明する。
【0024】
なお、これらの図面のうち断面図は、構成を判り易くするために厚さ方向の寸法を拡大して表している。
【0025】
また、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0026】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態によるタッチパネルの分解平面図、図2は同配線基板の分解斜視図であり、同図において、1はポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート、ガラス等の光透過性の上基板、2はガラスまたはアクリル、ポリカーボネート等の光透過性の下基板で、上基板1の下面には酸化インジウム錫や酸化錫等の光透過性の上導電層3が、下基板2の上面には同じく下導電層4が、スパッタ法等によって各々形成されている。
【0027】
そして、下導電層4の上面にはエポキシやシリコン等の絶縁樹脂によって複数のドットスペーサ(図示せず)が所定間隔で形成されると共に、上導電層3の両端からは銀やカーボン等の一対の上電極15Aと15Bが、これと直交方向の下導電層4の両端からは一対の下電極16Aと16Bが各々延出し、その端部は上基板1と下基板2下端に導出され、各々並列に配列されている。
【0028】
また、7は額縁状でポリエステルやエポキシ等のスペーサで、この上基板1下面または下基板2上面の外周に形成されたスペーサ7の、上下面または片面に形成されたアクリルやゴム等の接着剤(図示せず)によって、上基板1と下基板2の外周が貼り合わされ、上導電層3と下導電層4が所定の間隙を空けて対向している。
【0029】
さらに、18は厚さ20〜30μm前後でポリイミドやポリエチレンテレフタレート等のフィルム状の配線基板で、上方の幅の大きな接続部18Aと下方の幅の小さな配線部18Bから形成されると共に、上面には厚さ10〜15μm前後で銅や銀、カーボン等の複数の上配線パターン19Aと19Bが、下面には同じく複数の下配線パターン20Aと20Bが、各々上端が並列に配列して形成されている。
【0030】
なお、下配線パターン20Aと20Bは、貫通孔内に銀等が充填されたスルーホール20C等によって、配線部18Bで上配線パターン19Aや19Bと同様に、上面に導出されると共に、配線部18B下端では、上配線パターン19Aと19B、下配線パターン20Aと20Bが交互に配列されている。
【0031】
また、21は厚さ10〜15μm前後でポリイミドやポリエチレンテレフタレート等のフィルム状の上カバーシート、22は同じく下カバーシートで、図2や図3の断面図に示すように、上下方向が配線基板18よりやや短い寸法に各々形成されると共に、上カバーシート21は上方の右半分のみの接続部21Aと、下方の配線部18Bと同じ幅の配線部21Bから形成され、下カバーシート22は上方の左半分のみの接続部22Aと、下方の配線部18Bと同じ幅の配線部22Bから形成されている。
【0032】
そして、この略L字状の上カバーシート21が、上下端だけを露出させて配線基板18の上面を覆うように、下カバーシート22が同じく配線基板18の下面を覆うように、各々配線基板18の上下面に貼付されている。
【0033】
つまり、配線基板18の配線部18Bは下端を除いて、上下面の全面が上カバーシート21と下カバーシート22の接続部21Aと22Aに覆われているが、接続部18Aは全面ではなく、右半分の上配線パターン19Aと19Bの上面のみを接続部21Aに覆われ、左半分の下配線パターン20Aと20Bの下面のみを接続部22Aに覆われるように構成されている。
【0034】
すなわち、接続部18Aの上配線パターン19Aと19B下方の、配線基板18下面は下カバーシート22に覆われておらず、下配線パターン20Aと20B上方の、配線基板18上面は上カバーシート21に覆われていないため、上下面の全面が覆われている場合に比べ、全体の厚さが薄く、配線基板18が撓み易いようになっている。
【0035】
なお、下カバーシート22下面の、下端とスルーホール20C下方には、ポリイミド等によって同じ厚さの補強部(図示せず)が設けられ、コネクタ等への挿入時や配線基板18の折曲時の強度を保つようになっている。
【0036】
さらに、この配線基板18の上端が、上基板1と下基板2下端の間に挟持されると共に、エポキシやアクリル、ポリエステル等の合成樹脂内に、ニッケルや樹脂等に金メッキを施した複数の導電粒子を分散した異方導電接着剤(図示せず)等によって、上配線パターン19Aと19Bが上電極15Aと15Bに、下配線パターン20Aと20Bが下電極16Aと16Bに各々接着接続されて、タッチパネルが構成されている。
【0037】
そして、このように構成されたタッチパネルが、接着剤等によって液晶等の表示素子の前面に貼付されて、電子機器に装着されると共に、配線基板18が下方へ折曲され、上配線パターン19Aと19B、下配線パターン20Aと20Bの下端が、接続用コネクタや半田付け等によって機器の電子回路(図示せず)に電気的に接続される。
【0038】
なお、この時、配線基板18が折曲され、幅寸法の大きな接続部18Aに応力が加わるが、この箇所は上述したように、上下面の全面が上カバーシート21と下カバーシート22で覆われているのではなく、右半分の上配線パターン19Aと19Bの上面のみが接続部21Aに覆われ、左半分の下配線パターン20Aと20Bの下面のみが接続部22Aに覆われているため、全体の厚さが薄く、撓み易くなっている。
【0039】
つまり、上下面の全面が覆われている場合に比べ、比較的折曲し易いようになっているため、配線基板18下端のコネクタへの接続や半田付け等を容易に行うことができると共に、機器への装着後も、応力の少ない状態で配線基板18の保持が行えるため、上配線パターン19A、19Bと上電極15A、15Bや、下配線パターン20A、20Bと下電極16A、16Bの、安定した電気的接続が維持できるように構成されている。
【0040】
以上の構成において、タッチパネル背面の表示素子の表示を視認しながら、上基板1上面を指或いはペン等で押圧操作すると、上基板1が撓み、押圧された箇所の上導電層3が下導電層4に接触する。
【0041】
そして、電子回路から配線基板18の上配線パターン19Aや19B、下配線パターン20Aや20Bを介して、上電極15Aと15B及び下電極16Aと16B、すなわち上導電層3両端及びこれと直交方向の下導電層4両端へ順次電圧が印加され、これらの電圧比によって、押圧された箇所を電子回路が検出し、機器の様々な機能の切換えが行われるように構成されている。
【0042】
このように本実施の形態によれば、上導電層3の両端及びこれと直交方向の下導電層4の両端から延出する、一対の上電極15Aと15B及び下電極16Aと16Bの端部を並列に配列すると共に、これらに端部が接続された配線基板18の、上配線パターン19Aと19Bの上面、及び下配線パターン20Aと20Bの下面のみを、略L字状の上カバーシート21と下カバーシート22で覆うことによって、全体の厚さが薄く折曲し易くなっているため、機器への装着時の取扱いが容易で、安定した電気的接続が得られ、確実な操作が可能なタッチパネルを得ることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明によるタッチパネルは、取扱いが容易で、安定した電気的接続が得られ、確実な操作が可能なものを得ることができるという有利な効果を有し、各種電子機器の操作用として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施の形態によるタッチパネルの分解平面図
【図2】同配線基板の分解斜視図
【図3】同断面図
【図4】従来のタッチパネルの分解平面図
【図5】同配線基板の分解斜視図
【図6】同断面図
【符号の説明】
【0045】
1 上基板
2 下基板
3 上導電層
4 下導電層
7 スペーサ
15A、15B 上電極
16A、16B 下電極
18 配線基板
18A 接続部
18B 配線部
19A、19B 上配線パターン
20A、20B 下配線パターン
20C スルーホール
21 上カバーシート
22 下カバーシート
21A、22A 接続部
21B、22B 配線部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面に上導電層及びこの上導電層の両端から延出する一対の上電極が形成された上基板と、上面に上記上導電層と所定の間隙を空けて対向する下導電層、及びこの下導電層の上記上導電層とは直交方向の両端から延出する一対の下電極が形成された下基板と、複数の上配線パターン及び複数の下配線パターンの端部が、上記上電極及び下電極の端部に接着接続された配線基板からなり、上記一対の上電極及び下電極の端部を並列に配列すると共に、これらに接続された上記上配線パターン上面、及び下配線パターン下面を略L字状の上下カバーシートで覆ったタッチパネル。
【請求項1】
下面に上導電層及びこの上導電層の両端から延出する一対の上電極が形成された上基板と、上面に上記上導電層と所定の間隙を空けて対向する下導電層、及びこの下導電層の上記上導電層とは直交方向の両端から延出する一対の下電極が形成された下基板と、複数の上配線パターン及び複数の下配線パターンの端部が、上記上電極及び下電極の端部に接着接続された配線基板からなり、上記一対の上電極及び下電極の端部を並列に配列すると共に、これらに接続された上記上配線パターン上面、及び下配線パターン下面を略L字状の上下カバーシートで覆ったタッチパネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2008−225969(P2008−225969A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−64748(P2007−64748)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]