説明

タッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置及びその製造方法

【課題】 低反射でコントラストが高く、視認性の高いタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 透明タッチパネルの下側に液晶ディスプレイを備えたタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置において、液晶ディスプレイの下面に下側偏光板が配置され、上側光学位相差フィルムの光軸と上側偏光板の偏光軸とのなす角度が約45゜であり、下側光学位相差フィルムの光軸と液晶ディスプレイから発せられた直線偏光のうち装置表面から出射させたい直線偏光とのなす角度が約45゜であり、上側光学位相差フィルムの光軸と下側光学位相差フィルムの光軸の角度が約90゜であり、液晶ディスプレイから発せられた直線偏光のうち装置表面から出射させたい直線偏光と上側偏光板の偏光軸とのなす角度が90°である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術の分野】本発明は、屋内での蛍光灯などの反射光や屋外での外光に起因する反射光を抑え、コントラストが高く、視認性の高いタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、タッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置の構成としては、透明タッチパネル1の下側に液晶ディスプレイ2を備え、透明タッチパネル1は可動側シート20と固定側シート21とが空間層7を介して配置されており、液晶ディスプレイ2の上下面には上側偏光板8並びに下側偏光板9が配置されているものがある(図17参照)。
【0003】また、コントラストを高めるために、液晶ディスプレイ2の上面に上側偏光板8を配置するかわりに、透明タッチパネル1の可動側シート20の上面に上側偏光板8を配置したものもある(図18参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構成のようなタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置では、図19に示すような蛍光灯504などのある部屋や図20に示すような屋外においては、タッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置を有する携帯用パーソナルコンピュータ502又は携帯用端末機500にペン503又は501により入力作業を行うとき、液晶ディスプレイ装置の透明タッチパネル1の空間層と固定側シートの上面に施された固定電極部との界面および透明タッチパネル1の最上面の2ケ所での光の反射があるため、表示画面が非常に見にくいものであった。これは、屈折率の低い媒体から高い媒体へ光が通過する際、その屈折率の差が大きいほど界面での光の反射が起こるためである。
【0005】透明タッチパネル1の可動側シート20の上面に上側偏光板8を配置する構成の場合、上側偏光板8上面を梨地状に形成して反射光を防ぐ方法もあるが、十分に反射光を抑えることができない。
【0006】従って、本発明の目的は、上記問題点を解決することにより、蛍光灯などのある部屋や屋外においても、低反射でコントラストが高く、視認性の高いタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置及びその製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するため、本発明は、透明タッチパネル(1)の下側に液晶ディスプレイ(2)を備えたタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置において、可視領域の中心波長の入射光に対し1/4波長の位相遅れを与えるとともに下面に可動電極部(3)を備える上側光学位相差フィルム(4)と、上記可視領域の上記中心波長の入射光に対し1/4波長の位相遅れを与えるとともに上面に固定電極部(5)を備える下側光学位相差フィルム(6)とが空間層(7)を介して配置された上記透明タッチパネル(1)の上面に上側偏光板(8)が配置され、上記液晶ディスプレイ(2)の下面に下側偏光板(9)が配置され、上記上側光学位相差フィルム(4)の光軸と上記上側偏光板(8)の偏光軸とのなす角度が約45゜であり、上記下側光学位相差フィルム(6)の光軸と上記液晶ディスプレイ(2)から発せられた直線偏光のうち装置表面から出射させたい直線偏光とのなす角度が約45゜であり、上記上側光学位相差フィルム(4)の光軸と上記下側光学位相差フィルム(6)の光軸の角度が約90゜であり、上記液晶ディスプレイ(2)から発せられた直線偏光のうち装置表面から出射させたい直線偏光と上記上側偏光板(8)の偏光軸とのなす角度が90°であるように構成した。そして、本発明の第1態様によれば、上記下側光学位相差フィルム(6)に上記固定電極部(5)が直接形成されているように構成した。
【0008】また、本発明の第2態様によれば、上記固定電極部(5)と上記下側光学位相差フィルム(6)との間に光学等方性を有するガラス基板(11)を備え、光学等方性を有するガラス基板(11)に上記固定電極部(5)が直接形成されているように構成した。
【0009】また、本発明の第3態様によれば、上記固定電極部(5)と上記下側光学位相差フィルム(6)との間に光学等方性フィルム(12)を備え、光学等方性フィルム(12)に上記固定電極部(5)が直接形成されているように構成した。
【0010】上記本発明の第1態様において、上記上側光学位相差フィルム(4)および上記下側光学位相差フィルム(6)の熱変形温度が150℃以上であるように構成した。
【0011】また、本発明の第1態様において、上記上側光学位相差フィルム(4)および上記下側光学位相差フィルム(6)の熱変形温度が170℃以上であるように構成した。
【0012】上記本発明の第2態様において、上記上側光学位相差フィルム(4)の熱変形温度が150℃以上であるように構成した。
【0013】また、本発明の第2態様において、上記上側光学位相差フィルム(4)の熱変形温度が170℃以上であるように構成した。
【0014】上記本発明の第3態様において、上記上側光学位相差フィルム(4)および上記光学等方性フィルム(12)の熱変形温度が150℃以上であるように構成した。
【0015】また、本発明の第3態様において、上記上側光学位相差フィルム(4)および上記光学等方性フィルム(12)の熱変形温度が170℃以上であるように構成した。
【0016】また、本発明の各態様において、上記透明タッチパネル(1)と上記液晶ディスプレイ(2)との間に光学等方性を有する透明樹脂板(16)が配置されているように構成した。
【0017】また、本発明の第3態様において、上記光学等方性フィルム(12)と上記下側光学位相差フィルム(6)との間に光学等方性を有する透明樹脂板(16)が配置されているように構成した。
【0018】また、本発明の各態様において、上記上側光学位相差フィルム(4)の厚みが50μm以上150μm以下であるように構成した。
【0019】また、本発明の各態様において、上記固定電極部(5)が直接形成されている部材および上記液晶ディスプレイ(2)またはこれらとこれらの間の全ての部材が、透明粘着剤層または透明再剥離シートによって全面的に貼着されているように構成した。
【0020】また、本発明のタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置は、上記上側偏光板(8)の上面に、透湿性が少なく寸法安定性に優れた透明フィルム(22)が貼り合わされているように構成した(第4態様:固定電極部を下側光学位相差フィルムに直接形成、第5態様:固定電極部をガラス基板に直接形成、第6態様:固定電極部を光学等方性フィルムに直接形成)。
【0021】また、本発明の第4〜6態様において、上記上側偏光板(8)の上面に貼り合わせた上記透明フィルム(22)の上面に低反射処理層(23)を有するように構成した。
【0022】また、本発明の第4〜6態様において、上記上側偏光板(8)の上面に貼り合わせた上記透明フィルムの上面に防汚処理層(24)を有するように構成した。
【0023】また、本発明の第4〜6態様において、上記上側偏光板(8)の上面に貼り合わせた上記透明フィルムの上面にハードコート処理層(25)を有するように構成した。
【0024】そして、本発明は、以上のようなタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置を製造するタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置の製造方法において、上記上側光学位相差フィルム(4)のフィルム素材中の残留溶剤除去のための熱処理を施したのちに上記フィルム素材上に上記可動電極部(3)の透明導電膜を直接形成する工程、リード線形成の際の寸法誤差を小さくするための熱処理を施したのちに上記可動電極部(3)のリード線を形成する工程、リード線を形成したインキのバインダーの硬化および溶剤除去の熱処理を施す工程を経て可動側シートを得、上記下側光学位相差フィルム(6)のフィルム素材中の残留溶剤除去のための熱処理を施したのちに上記フィルム素材上に上記固定電極部(5)の透明導電膜を直接形成する工程、リード線形成の際の寸法誤差を小さくするための熱処理を施したのちに上記固定電極部(5)のリード線を形成する工程、リード線を形成したインキのバインダーの硬化および溶剤除去の熱処理を施す工程を経て固定側シートを得、上記可動側シートと上記固定側シートを貼り合わせ、次いで上記可動側シートの上記上側光学位相差フィルム(4)の上面に上記上側偏光板(8)を貼り合わせたのちに加圧脱泡処理を施し、上記固定側シートを液晶ディスプレイと貼り合せてタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置を製造するように構成した。
【0025】また、本発明は、上記タッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置を製造するタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置の製造方法において、上記上側光学位相差フィルム(4)のフィルム素材中の残留溶剤除去のための熱処理を施したのちに上記フィルム素材上に上記可動電極部(3)の透明導電膜を直接形成する工程、リード線形成の際の寸法誤差を小さくするための熱処理を施したのちに上記可動電極部(3)のリード線を形成する工程、リード線を形成したインキのバインダーの硬化および溶剤除去の熱処理を施す工程を経て可動側シートを得、光学等方性を有するガラス基板(11)上に上記固定電極部(5)の透明導電膜を直接形成する工程、上記固定電極部(5)のリード線を形成する工程、リード線を形成したインキのバインダーの硬化および溶剤除去の熱処理を施す工程を経て固定側シートを得、上記可動側シートと上記固定側シートを貼り合わせ、次いで上記可動側シートの上記上側光学位相差フィルム(4)の上面に上記上側偏光板(8)を貼り合わせたのちに加圧脱泡処理を施し、上記固定側シートを間に上記下側光学位相差フィルム(6)を介して液晶ディスプレイと貼り合せてタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置を製造するように構成した。
【0026】また、本発明は、上記タッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置を製造するタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置の製造方法において、上記上側光学位相差フィルム(4)のフィルム素材中の残留溶剤除去のための熱処理を施したのちに上記フィルム素材上に上記可動電極部(3)の透明導電膜を直接形成する工程、リード線形成の際の寸法誤差を小さくするための熱処理を施したのちに上記可動電極部(3)のリード線を形成する工程、リード線を形成したインキのバインダーの硬化および溶剤除去の熱処理を施す工程を経て可動側シートを得、光学等方性フィルム(12)のフィルム素材中の残留溶剤除去のための熱処理を施したのちに上記フィルム素材上に上記固定電極部(5)の透明導電膜を直接形成する工程、リード線形成の際の寸法誤差を小さくするための熱処理を施したのちに上記固定電極部(5)のリード線を形成する工程、リード線を形成したインキのバインダーの硬化および溶剤除去の熱処理を施す工程を経て固定側シートを得、上記可動側シートと上記固定側シートを貼り合わせ、次いで上記可動側シートの上記上側光学位相差フィルム(4)の上面に上記上側偏光板(8)を貼り合わせたのちに加圧脱泡処理を施し、上記固定側シートを間に上記下側光学位相差フィルム(6)を介して液晶ディスプレイと貼り合せてタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置を製造するように構成した。
【0027】また、本発明のタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置の製造方法において、上記各フィルム素材中の残留溶剤除去のための熱処理を150℃以上でおこなうように構成した。
【0028】また、本発明のタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置の製造方法において、リード線形成の際の寸法誤差を小さくするための熱処理を100℃以上130℃未満でおこなうように構成した。
【0029】また、本発明のタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置の製造方法において、リード線を形成したインキのバインダーの硬化および溶剤除去の熱処理を100℃以上150℃未満でおこなうように構成した。
【0030】また、本発明のタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置の製造方法において、加圧脱泡処理を40〜80℃、4〜9kg/cm、10〜120分行おこなうように構成した。
【0031】また、本発明のタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置の製造方法において、可動電極部(3)および固定電極部(5)の少なくとも一方に予め電極引き出し部分を設けておき、上記可動側シートと上記固定側シートを貼り合わせたのちに異方導電接着剤を介してコネクター(40)と120℃以上170℃未満で圧着するように構成した。
【0032】本発明に係るタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置は、以上のような構成及び作用からなるので、以下のような効果を奏する。
【0033】すなわち、上側偏光板の偏光軸と上側光学位相差フィルムの光軸とのなす角度を約45゜に配置することにより、円偏光あるいは略円偏光となって透明タッチパネルの空間層に入り、反射された円偏光あるいは略円偏光が再び上側光学位相差フィルムを通過して上側偏光板の透過軸と垂直の直線偏光になるため、反射光が抑えられる。ここで、上側偏光板8の偏光軸(又は吸収軸)とは、フィルム素材の延伸方向に平行な軸のことである。上側偏光板8を通る光は偏光され、吸収軸と直交する方向のみの直線偏光として上側偏光板8より出射する。なお、吸収軸と直交する軸を透過軸と呼ぶ。この上側偏光板8について直線偏光を透過させるには、透過軸と方向が一致するようにしなければならない。方向が一致しない直線偏光は上側偏光板8を透過することができない。
【0034】また、下側光学位相差フィルムの光軸を上側光学位相差フィルムの光軸に対して約90゜の角度になるように、さらに液晶ディスプレイから発せられた直線偏光のうち装置表面から出射させたい直線偏光に対して約45゜の角度になるように透明タッチパネルと液晶ディスプレイとの間に配置することで、観察者側から見たときの表示画面の色付きを抑え、コントラストの高い、色付きのない表示画面が得られる。なお、上記液晶ディスプレイから発せられた直線偏光のうち装置表面から出射させたい直線偏光は、上記上側偏光板の偏光軸と90°の角度をなす関係にある。
【0035】さらに、タッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置は、その最上面に低反射処理を施すことにより最上面での光の反射が抑えられる。
【0036】以上の改善により、本発明にかかる透明タッチパネルを備えた液晶ディスプレイは、蛍光灯などのある部屋や屋外においても反射が少なく、高コントラストで非常に視認性の良い表示画面を得ることができる。
【0037】本発明は、以上のような構成及び作用からなるので、上側偏光板およびその背後の各層により屋内での蛍光灯などの反射光や屋外での外光に起因する反射光を抑え、コントラストが高く、視認性の高いタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置が得られる。
【0038】さらに、上側偏光板の上面に透明フィルムを貼付けた場合には、透明フィルムによって以下のような効果を奏する。すなわち、上側偏光板の上面に透明フィルムを貼り合わせることにより、表面の耐久性が良くなり、ペンや指入力等でも上側偏光板の表面が傷つくのを防ぐことができる。また、上側偏光板の上面に透明フィルムを貼り合わせることにより、上側偏光板の表面より吸湿することを防ぎ、それによる上側偏光板の収縮や膨張、ひずみを抑えることができるため、上側偏光板に貼り合わせた上側光学位相差フィルムのリタデーション値の変化を抑え、色ムラも発生せず、さらに反射防止機能を損なうこともない。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明における種々の実施形態にかかるタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置及びその製造方法を詳細に説明する。
【0040】図1は本発明における第1実施形態に係る抵抗膜方式のタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置(透過型TN)を示す断面図である。図2は図1の上記液晶ディスプレイ装置の分解斜視図であり、図3は図1の上記液晶ディスプレイ装置の概略断面図であり、図4は図1の上記液晶ディスプレイ装置において外光の反射が抑制される状態を説明するための説明図であり、図5はバックライト導光板の説明図である。
【0041】また、図6は本発明の第2実施形態に係るタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置(透過型STN)を示す断面図である。
【0042】また、図7は、本発明の第3実施形態に係るタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置(反射型STN)を示す断面図である。
【0043】図8は、本発明の上記実施形態に係るタッチ入力方式液晶ディスプレイ装置(TN)における透過軸方向および光軸方向の説明図である。
【0044】図9は、第1実施形態の変形例に係るタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置(透過型TN)を示す断面図である。
【0045】図10は、第3実施形態の変形例に係るタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置(反射型STN)を示す断面図である。
【0046】図中、1は上記透明タッチパネル、2は液晶ディスプレイ、3は可動電極部、4は上側光学位相差フィルム、5は固定電極部、6は下側光学位相差フィルム、7は空間層、8は上側偏光板、9は下側偏光板、10はスペーサ、11はガラス基板、12は光学等方性フィルム、13はバックライト導光板、14は光学補償位相差板、15は反射板、16は透明樹脂板をそれぞれ示す。
【0047】上記バックライト導光板13の一般的な構造であるエッジライト面発光装置を図5に示す。図5中、13aは線光源、13cは導光板、13dは光反射板、13eは光散乱層、13bは拡散シートを表す。線光源13aより導光板13c内に導かれた光は導光板13cの下面に形成された光散乱層13eおよび光反射板13dによって導光板13cの前面(図5では上面)より光が出射される。さらに、導光板13cの上面に設置された拡散シート13bにより導光板13cより出射した光を全体的に均一に面発光させる。
【0048】可動電極部3は、可撓性を有する透明導電膜3aやリード線3b等により構成される。可動電極部3を形成する材料としては、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化カドミウム、若しくは、インジウムチンオキサイト(ITO)等の金属酸化物、これらの金属酸化物を主体とする複合膜、金、銀、銅、錫、ニッケル、アルミニウム、又は、パラジウムなどがある。
【0049】上側光学位相差フィルム4は、直線偏光を分解した互いに直交する2成分の偏光に時間的な位相のズレを与えることにより、直線偏光を円偏光あるいは略円偏光に変える機能を持ち、一方の偏光を可視領域の中心波長の入射光に対し1/4波長だけ位相を遅らせる機能を持たせた透明のフィルムのことである。すなわち、この上側光学位相差フィルム4を用いることにより、直線偏光を分解した互いに直交する2成分の偏光の一方が、可視領域の中心波長約550nmの1/4波長つまり約138nmの位相遅れを生ずる。この場合、直交する2成分の偏光の振幅が等しければ円偏光となり、そうでなければ楕円偏光となる。なお、ここで、「可視領域の中心波長約550nm」としたのは、一例として、可視領域の中心波長を約550nmとしたのであり、このように約550nmとしたのは、以下の理由による。すなわち、可視領域の中心波長を人間の視感度曲線との関係で考えると、人間の可視光領域は約400nm〜700nmであるが、その中で視感度のピークは約550nmにあるため、この約550nmの波長での光反射を抑えることにより、人間の目で反射を感じないようにすることができるためである。
【0050】上記上側光学位相差フィルム4は、タッチパネルのペンや指の入力部としての機能も兼ねているため、入力を容易にするために可撓性を備えていなければならない。
【0051】また、上側光学位相差フィルム4は、可動電極部3の形成および回路形成の際に高温処理されるので、使用するフィルム素材に150℃以上の耐熱性が要求される。熱変形温度が低い(言い換えれば後述するように150℃未満の)フィルム素材では、2成分の偏光の位相遅れの値であるリタデーション値が高温処理によって変化し、本発明の上記実施形態に係るタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置の構成では、表示画面の視認性が劣る。ところが、熱変形温度が高い(言い換えれば後述するように150℃以上の)フィルム素材ほど高温処理時のリタデーション値の変化が実用上無視できる程度まで小さくなることがわかった。このような材料としては、150℃以上の熱変形温度を有する一軸延伸された高分子フィルム、たとえば、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ノルボルネン系樹脂、又は、ポリスルホンなどである。特に、フィルム素材としては、170℃以上の熱変形温度を有する一軸延伸されたポリアリレート、ポリエーテルスルホン、又は、ポリスルホンフィルムなどが好ましい。
【0052】このように、上側光学位相差フィルム4のフィルム素材として150℃以上の熱変形温度を有するフィルム素材を用いる理由、さらに170℃以上の熱変形温度を有することが好ましい理由について以下に詳細に説明する。
【0053】まず、上側光学位相差フィルム4のフィルム素材として、150℃以上の熱変形温度を有するフィルム素材を用いる理由を以下に説明する。
【0054】一般に、上側光学位相差フィルム4のフィルム素材の熱変形温度以上の熱を上側光学位相差フィルム4のフィルム素材に加えると、その熱により上側光学位相差フィルム4のフィルム素材は変形、歪みなどの劣化を起こす。その場合、上側光学位相差フィルム4は1/4波長の位相差(リタデーション)を保つことができなくなり、その結果、反射を抑えたり、正確な画像を得たりすることができなくなる。したがって、本実施形態で上側光学位相差フィルム4に対して行われる後述する各熱処理の温度によって、使用できるフィルム素材が限定されることになる。
【0055】なお、上側光学位相差フィルム4のフィルム素材の熱変形温度が低く(例えば150℃未満)ても、その低い熱変形温度未満の温度で上記熱処理すればその熱による上側光学位相差フィルム4のフィルム素材の変形、劣化は起きないが、その場合、当然、上記熱処理する意味がなくなる、すなわち、後述するような上記熱処理で得られる数々の効果が得られなくなる。 上側光学位相差フィルム4を製造するときの熱処理について、工程順、すなわち熱処理(1)から熱処理(3)の順に以下に説明する。
【0056】熱処理(1)
通常は、液晶ディスプレイ装置の上側光学位相差フィルム4を多数枚連続して製造するため、1枚又は任意の枚数の上側光学位相差フィルム4に対応する1枚のフィルム素材を連続的に連結したロール状のフィルム素材が用意されている。このようなロール状のフィルム素材に、可動電極部3の一部を構成する透明導電膜を形成する前に、上記フィルム素材中の残留溶剤を除去するため、できるだけ高温で熱処理を所定時間行う必要がある。これは、フィルム素材中に残留溶剤が存在すると、透明導電膜をフィルム素材に安定して形成することが不可能となる為である。よって、フィルム素材中の残留溶剤を除去したのち、優れた安定性を持ち且つ高強度を持つ透明導電膜をフィルム素材に形成するためには、150℃以上の高温の下で所定時間だけ残留溶剤を除去する熱処理を行ったのち、透明導電膜をフィルム素材上に成膜する必要が有る。この理由は、150℃未満の温度下では残留溶剤を十分に除去することができず、優れた安定性及び高強度を持つ透明導電膜をフィルム素材上で形成することは到底できない。したがって、上記フィルム素材中の残留溶剤除去のため、上記フィルム素材すなわち上側光学位相差フィルム4の熱変形温度は150℃以上である必要がある。
【0057】熱処理(2)
上記したように透明導電膜を上記フィルム素材に形成した後、上記ロール状のフィルム素材に対して、すでに形成された上記透明導電膜に接続される所望の回路を形成するために、まず、上記ロール状のフィルム素材を枚葉に裁断して、上側光学位相差フィルム4用のフィルム素材シートとする。そして、このフィルム素材シートに対して、必要に応じて、回路形成の際の寸法誤差をできるだけ小さくするための加熱処理を行う。この加熱処理は、100℃以上130℃未満で約1時間行うことが望ましい。したがって、フィルム素材の熱変形温度が130℃以上である必要があり、好ましくは150℃以上あれば十分である。
【0058】熱処理(3)
フィルム素材シートに対する回路形成時には、上記透明導電膜に接続される上記所望の回路を形成したインキのバインダーの硬化および溶剤の除去のために、高温乾燥を行う。この高温乾燥は100℃以上150℃未満で30〜60分行う。したがって、フィルム素材の熱変形温度は150℃以上である必要がある。
【0059】このように上記した熱処理(1)から(3)の各種の熱処理を行なうため、上側光学位相差フィルム4のフィルム素材としては、150℃以上の熱変形温度を有する一軸延伸された高分子フィルム、例えばポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、又は、ノルボルネン系樹脂などが挙げられる。上記フィルム素材としては、特に、170℃以上の熱変形温度を有する一軸延伸されたポリアリレート、ポリエーテルスルホン、又は、ポリスルホンフィルムなどが好ましい。上記したようにフィルム素材の熱変形温度が150℃以上あれば、各種熱処理に対応できるが、透明導電膜形成前に170℃以上に熱処理を行うことにより、透明導電膜の結晶化(すなわち高強度)が十分に行われるため、さらに安定な透明電極を得ることができる。170℃以上に熱処理を行うためには、フィルム素材の熱変形温度も熱処理温度以上の170℃以上である必要がある。
【0060】また、上側光学位相差フィルム4のフィルムの厚みは50μm以上150μm以下が好ましい。上側光学位相差フィルム4の厚みが150μmを超えると、上側偏光板8と合わせた総厚が厚くなり指やペンでの入力が重くなって文字が綺麗に入力できなくなる。また、上側光学位相差フィルム4の厚みが50μm未満だとフィルム自体に腰が無くなり、また回路形成時にフィルム皺や波打ちが発生し上側偏光板8との貼り合わせも困難となる。よって、上側光学位相差フィルム4の厚さは、50μm以上150μm以下が好ましい。より好ましくは75μm以上125μm以下である。上側光学位相差フィルム4の厚みとして75μm以上125μm以下であることが、より好ましい理由は、上記厚みが50μm以上75μm未満の範囲ではフィルムに腰ができ、フィルム皺は発生しなくなるが、なだらかな山や谷が形成されている波打ちを完全には消すことはできない。上側光学位相差フィルム4の厚みを75μm以上とすることにより波打ちを完全に消すことができる。また、厚みが125μm以上150μm未満でもペンや指による入力は軽くなり綺麗に文字を入力することはできるが、125μmより薄くすれば格別に綺麗に文字を入力することができるためである。
【0061】また、図1,6,7,9,10中に描かれた部材19は、可動電極3と固定電極5に挟まれた空間層7の周囲の部分は両電極3,5を支持する上側光学位相差フィルム4と、固定電極部5を直接形成する基材とを接着する両面テープ19である。上記両面テープ19の代わりに粘着材でもよい。粘着材又は両面テープ19で使用する粘着剤としては、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系、又は、それらの共重合体等が有り、両面テープとしては例えば日東電工製532等を用いるのが良い。
【0062】固定電極部5は、可動電極部3と同様に、透明導電膜5aやリード線5b等により構成される。固定電極部5を形成する材料としては、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化カドミウム、若しくは、インジウムチンオキサイト(ITO)等の酸化物、これらの金属酸化物を主体とする複合膜、金、銀、銅、錫、ニッケル、アルミニウム、アルミニウム、又は、パラジウムなどがある。
【0063】固定電極部5を直接形成する基材としては、上記第1実施形態では下側光学位相差フィルム6(図1参照)を用いる。
【0064】これに対して、上記第2実施形態は、固定電極部5を直接形成する基材として光学等方性を有する透明ガラス基板11(図6参照)を用いている。
【0065】また、上記第3実施形態は、固定電極部5を直接形成する基材として透明光学等方性フィルム12(図7参照)を用いている。
【0066】上記第2実施形態及び第3実施形態の基材も、上側光学位相差フィルム4と同様に、固定電極部5の形成及び回路形成の際に、高温処理される。
【0067】下側光学位相差フィルム6の材料として要求される特性は、上記第1実施形態のように固定電極部5の一部を構成する透明導電膜をその上に設ける場合と、上記第2,3実施形態のように固定電極部5の一部を構成する透明導電膜をその上に設けない場合とで異なるため、以下に区別して説明する。
【0068】まず、上記第1実施形態のように固定電極部5の一部を構成する透明導電膜をその上に設ける場合、すなわち、下側光学位相差フィルム6に、透明導電膜を含む固定電極部5を直接形成する場合は以下のような特性が要求される。
【0069】下側光学位相差フィルム6の材料としては、150℃以上の熱変形温度を有する一軸延伸された透明な高分子フィルム、例えばポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、又は、ノルボルネン系樹脂などが挙げられる。これは、熱変形温度が150℃未満になると、タッチパネル作成時の熱処理によりタッチパネルの液晶表示視認部分でリタデーション変化が起こり、十分に低反射効果を得ることができなくなるためである。また、リタデーション変化により画素を構成するために必要な光を出射させられなかったり、逆に画素を構成するために不要な光を射出させてしまい、正確な画像を形成することができなくなるためでもある。固定電極部5を直接形成する下側光学位相差フィルム6に行なう熱処理とは、上記上側光学位相差フィルム4について述べたときのような各熱処理(1)〜(3)である。また、下側光学位相差フィルム6の材料は、上側光学位相差フィルム4同様、170℃以上の熱変形温度を有することが透明導電膜の結晶化を十分行なうえでより好ましい。
【0070】次に、上記第2,3実施形態のように透明導電膜をその上に設けない場合、すなわち、上記第2実施形態のように透明導電膜を含む固定電極部5が光学等方性を有するガラス基板11に形成されている場合や、上記第3実施形態のように透明導電膜を含む固定電極部5が光学等方性フィルム12に形成されている場合は、以下のような特性が要求される。
【0071】透明導電膜の設けられてない下側光学位相差フィルム6の材料としては、130℃以上の熱変形温度を有する一軸延伸された透明な高分子フィルム、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ノルボルネン系樹脂、又は、ポリスルホンなどが挙げられる。この場合は、上記上側光学位相差フィルム4の製造について述べたときのような各熱処理(1)〜(3)は関係ないので、150℃以上の熱変形温度を持つ必要はない。しかし、それでも130℃以上の熱変形温度は必要である。それは、熱変形温度が130℃未満だと、リタデーション値が経時的に変化するおそれがあるためである。
【0072】一方、固定電極部5を形成する光学等方性フィルム12としては、150℃以上の熱変形温度を有する未延伸の高分子フィルム、例えば、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、又は、ノルボルネン系樹脂等が好ましい。これは、光学等方性フィルム12は位相差値を有していないので、その点の問題はないが、それでも上記上側光学位相差フィルム4の製造について述べたときのような各熱処理(1)〜(3)を行なうので、それに耐えうる150℃以上の熱変形温度が必要であるためである。
【0073】このように、上記第1,3実施形態では、下側光学位相差フィルム6や光学等方性フィルム12を用いることにより、第2実施形態で光学等方性を有するガラス基板11を用いる場合と比較して、透明タッチパネル1の全体の厚みが薄くなり、タッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置の薄型化や軽量化が可能となる。例えば、固定電極部5を光学等方性を有するガラス基板11に形成した上記第2実施形態の場合と、下側光学位相差フィルム6を用いた上記第1実施形態の場合又は光学等方性フィルム12を用いた上記第3実施形態の場合とでは、光学等方性を有するガラス基板11では厚さ0.7mmに対し、下側光学位相差フィルム6又は光学等方性フィルム12では厚さを0.075mmにすることができ、固定電極用の基材としては上記第1実施形態又は上記第3実施形態の場合は、第2実施形態の場合の約10分の1の厚みになる。一方、第2実施形態の場合のように光学等方性を有するガラス基板11を用いた場合には、第1実施形態又は上記第3実施形態の場合と比較して、指やペンなどの押圧の安定性、耐久性がより安定する。
【0074】また、第1実施形態の変形例として、第1実施形態において薄型化よりも光学等方性を有するガラス基板11と同様の押圧の安定性、耐久性を優先させる場合には、透明タッチパネル1と液晶ディスプレイ2との間に光学等方性を有する透明樹脂板16を配置するとよい(図9参照)。
【0075】また、第3実施形態の変形例として、第3実施形態においても薄型化よりも光学等方性を有するガラス基板11と同様の押圧の安定性、耐久性を優先させる場合には、光学等方性フィルム12と下側光学位相差フィルム6との間に光学等方性を有する透明樹脂板16を配置するとよい(図10参照)。
【0076】上記各変形例での光学等方性を有する透明樹脂板16の材料としては、たとえば、ポリカーボネート系、アクリル系、ポリスチレン系などの透明性に優れる樹脂が用いられる。光学等方性を有する透明樹脂板16の厚みは例えば0.3〜5.0mmである。0.3mm未満になると、押圧の安定性、耐久性が悪くなるため、繰り返し入力により窪みなどの変形を生じやすい。また、5.0mmを超えると、ガラスよりも重くなり、携帯機器としては有効でない。
【0077】一方、対向配置された可動電極部3と固定電極部5との間に多数のスペーサー10が形成されており、指やペンなどで上側光学位相差フィルム4の上から押圧することにより、スペーサー10の無い領域で可動電極部3が固定電極部5に接触して入力が行われる。
【0078】なお、図中のスペーサー10は、わかりやすいように誇張して描かれており、実際には目で認識することが困難になっている。実際の一例として、各スペーサー10の高さは1〜15μm、各スペーサー10である円柱の外径は30〜100μm、そして、スペーサー10は0.1mm〜10mmの間の一定値の間隔で配列されている。
【0079】上側光学位相差フィルム4の上面には、上側偏光板8を配置するが、その偏光軸は上側光学位相差フィルム4の光軸に対し約45゜傾けて配置する。ここに約45゜とは、直線偏光を円偏光あるいは略円偏光に変えさせるためであり、±3゜まで許容される。このように配置することにより、直交する2成分の偏光の振幅が等しくなり、上側光学位相差フィルム4を通過した直線偏光が円偏光あるいは略円偏光になる。
【0080】ここで、上側偏光板8の偏光軸が上側光学位相差フィルム4の光軸に対して45゜に対して±3゜まで許容される理由について説明する。
【0081】上側偏光板8の偏光軸が上側光学位相差フィルム4の光軸に対して正確に45°の角度をなすように配置されていない場合には、上側光学位相差フィルム4に入射した直線偏光は円偏光に変わらず、楕円偏光となる。
【0082】その後、反射によって戻ってきた円偏光は再び上側光学位相差フィルム4を通ることにより上側光学位相差フィルム4の上面より直線偏光として出射するが、反射によって戻ってきた楕円偏光は上側光学位相差フィルム4の上面より直線偏光に近い楕円偏光として出射する。完全な直線偏光の場合、この後、上側偏光板8の透過軸(スリットのようなもの)に直交するので、上側偏光板8の上面より出射せず、その結果、反射光を抑えることができる。一方、上記のように完全な直線偏光にならなかった場合、上側偏光板8の透過軸に直交する成分については出射を止められるが、上側偏光板8の透過軸に一致する成分は上側偏光板8の上面より出射する。つまり、余分な反射が残る。
【0083】ただ、上側偏光板8の偏光軸が上側光学位相差フィルム4の光軸に対して正確に45°の角度にならなくとも±3゜以内であれば、ほとんど円偏光(すなわち略円偏光)と同じであり、最終的に上側偏光板8の上面(液晶ディスプレイ装置上面)から出射する反射光は無視できる。
【0084】次に、上側偏光板8の材料としては、一般的には、ポリビニルアルコールに、ヨウ素又は染料などの二色性色素を含浸せて延伸させ、表裏両面にトリアセチルセルロースのようなセルロース系の保護膜を被覆した可撓性のある厚み200μmの偏光板を用いる。そのような上側偏光板8としては、例えば、「日東電工製HEG1425DU」が挙げられる。
【0085】また、上側偏光板8の上面に低反射処理を施して低反射処理層を形成してもよい。低反射処理方法としては、フッ素樹脂やシリコン樹脂などの低屈折率樹脂を用いた低反射材料を塗布したり、金属の多層膜を形成したり、低反射フィルムを貼り付けたりする方法がある。ここで、一般に、タッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置の全反射のうち、約4%がタッチパネル表面の反射であり、この反射を1%未満に抑える処理のことを、上記低反射処理と呼んでいる。
【0086】指やペンなどによる押圧による摩耗から上側偏光板8や上側光学位相差フィルム4を保護するため、上側偏光板8の上にアクリル樹脂、シリコン樹脂、又は、UV硬化樹脂などによるハードコート処理層を形成してもよい。
【0087】透明タッチパネル1および上側偏光板8をこのような構成に配置することにより、以下のようにして外部から入射した光に起因する反射光を抑えることができる。
【0088】観察者側からの入射光は上側偏光板8を通り直線偏光となる。この直線偏光が上側偏光板8の偏光軸に対し光軸を約45゜傾けた中心波長の入射光に対し1/4波長の位相遅れを与える上側光学位相差フィルム4を通過すると、直線偏光は互いが直交し振幅の等しい2つの偏光成分に分かれ、その一方の偏光成分が1/4波長の位相遅れを生じる。その結果、直線偏光から円偏光又は略円偏光に変わる。そして、最も界面での屈折率の差が大きい空間層7と固定電極部5の界面で反射された円偏光又は略円偏光は、再び上側光学位相差フィルム4を通過する。上側光学位相差フィルム4を通過した光は、円偏又は略円偏光光から直線偏光に変わるが、その際、直線偏光が最初に上側偏光板8を通った直線偏光に対して90゜変化し、上側偏光板8の透過軸に対してほぼ垂直の直線偏光となるため光が通過しなくなる。したがって、反射光が抑えられるのである。
【0089】ここでいう略円偏光は極めて円偏光に近い状態である。上側偏光板8の偏光軸に対して上側光学位相差フィルム4の光軸が45゜角度をなすときに円偏光となり、それ以外で楕円偏光となる。本発明の上記実施形態では、上記角度について±3゜の許容差をもって上側偏光板8と上側光学位相差フィルム4とを配置するので、ここで「円偏光又は略円偏光」に変わるという場合の「略円偏光」は、この±3゜の許容範囲にある楕円偏光である。なお、上記上側光学位相差フィルム4の光軸とは、原材料となる上側光学位相差フィルム4のフィルム素材の延伸方向に平行な軸のことである。
【0090】また、上側偏光板8の偏光軸(又は吸収軸)は、フィルム素材の延伸方向に平行な軸のことである。上側偏光板8を通る光は偏光され、吸収軸と直交する方向のみの直線偏光として上側偏光板8より出射する。
【0091】なお、吸収軸と直交する軸を透過軸と呼ぶ。この上側偏光板8について直線偏光を透過させるには、透過軸と方向が一致するようにしなければならない。方向が一致しない直線偏光は上側偏光板8を透過することができない。
【0092】液晶ディスプレイ2から発せられた直線偏光は、もともとバックライトからの光が上記で説明したように偏光板(この場合は下側偏光板)で直線偏光に変わり、その後、液晶ディスプレイ2を通ることによって、たとえばノーマリーホワイト表示モードの場合、しきい値電圧以下では上側偏光板8の透過軸と一致するように出射し、しきい値電圧を超えると上側偏光板8の透過軸と一致しないように出射したものである。なお、ノーマリーブラック表示モードの場合、逆にしきい値電圧を超えると上側偏光板8の透過軸と一致するように出射し、しきい値電圧以下では上側偏光板8の透過軸と一致しないように出射する。
【0093】また、上側偏光板8の偏光軸と同様に、下側偏光板9の偏光軸(又は吸収軸)は、フィルム素材の延伸方向に平行な軸のことである。下側偏光板9を通る光は偏光され、吸収軸と直交する方向のみの直線偏光として下側偏光板9より出射する。
【0094】また、観察者側から液晶ディスプレイ装置の表示画面を見たときの色付きを抑えるために、透明タッチパネル1の上側光学位相差フィルム4と液晶ディスプレイ2との間に中心波長の入射光に対し1/4波長の位相遅れを与える下側光学位相差フィルム6を配置する。より好ましくは、液晶ディスプレイ2の上面全面に下側光学位相差フィルム6を透明粘着剤等を介して貼り合わせると、表示画面の色付きを抑えるだけでなくさらに効果的に反射光を抑えることができる。
【0095】このとき、上側光学位相差フィルム4の光軸と下側光学位相差フィルム6の光軸は約90゜になるように配置しておく。ここに約90゜とは、下側光学位相差フィルム6を通過後の円偏光あるいは略円偏光を上側光学位相差フィルム4にて直線偏光に変えさせるためであり、±3゜まで許容される。
【0096】さらに、液晶ディスプレイ2から発せられた直線偏光のうち装置表面から出射させたい直線偏光に対して、下側光学位相差フィルム6の光軸が約45゜になるように配置する。ここに約45゜とは、直線偏光を円偏光あるいは略円偏光に変えさせるためであり、±3゜まで許容される。なお、上面に固定電極部5を備えた下側光学位相差フィルム6を用いた構成の場合は、表示画面の色付きを抑えるとともに透明タッチパネル1の一部ともなっているので、新たに光学位相差フィルムを付加する必要はない。また、上記液晶ディスプレイ2から発せられた直線偏光のうち装置表面から出射させたい直線偏光は、上記上側偏光板8の偏光軸と90°の角度をなす関係にある。
【0097】液晶ディスプレイ2に用いられる液晶表示方式としては、透過型および反射型TN液晶表示方式や透過型および反射型STN表示方式などがあるが、いずれの液晶表示方式においても、液晶ディスプレイ2から発せられた直線偏光のうち装置表面から出射させたい直線偏光に対して、下側光学位相差フィルム6の光軸とのなす角度が約45゜になるように下側光学位相差フィルム6を配置すればよい。
【0098】透過型及び反射型STN液晶表示方式の場合、液晶ディスプレイ2の構成として液晶セル2aの他に、図10に示すように、一般的に表示画面の色付きをなくし、コントラストを高めるための光学補償用位相差板14が液晶セル2aの上面に配置されている。
【0099】一般的なTN液晶表示の場合、図8に示すように、バックライト導光板13から出射された光は偏光板9を通過して直線偏光となる。この直線偏光がしきい値電圧以下で液晶ディスプレイ2を通過すると90゜ねじれた直線偏光となる。さらに、下側光学位相差フィルム6を通過した直線偏光は円偏光となり上側光学位相差フィルム4により再び直線偏光に戻る。このとき、2枚の光学位相差フィルムの光軸の角度が約90゜となるため、この直線偏光の方向はノーマリーホワイト表示モードの場合は上側偏光板8の偏光軸と直交する。つまり、透過軸と一致する。したがって、この直線偏光は偏光板8を通過して、観察者に光が届くことができるのである。
【0100】また、以上のような構成のタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置においては、固定電極部(5)が直接形成されている部材および液晶ディスプレイ2またはこれらとこれらの間の全ての部材を表示面の領域外において両面接着テープによって貼着してもよいが、より好ましくは、透明粘着剤層または透明再剥離シートによって全面的に貼着する。なお、透明粘着剤層および透明再剥離シートのいずれか一方のみによって全ての部材間が貼着されてもよいし、透明粘着剤層によって貼着される部材間と透明再剥離シートによって貼着される部材間とが混在していてもよい。
【0101】透明粘着剤層は、一般の透明な粘着剤を塗布したものである。粘着剤としては、アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、又は、ゴム系樹脂などがある。透明再剥離シートは、透明な高分子粘着剤をゲルシートに形成したものである。高分子粘着剤としては、ウレタン系、アクリル系、又は、天然高分子材料系などがある。透明粘着剤層または透明再剥離シートによって、固定電極部(5)が直接形成されている部材と液晶ディスプレイ2との間の空気層を排除でき、しかもこれらの透明粘着剤層や透明再剥離シートの屈折率は空気より大きく、下側光学位相差フィルム6、光学等方性を有するガラス基板11、光学等方性フィルム12、光学等方性を有する透明樹脂板16、液晶ディスプレイ2を構成するガラス板などの部材の屈折率に近いので、透明粘着剤層や透明再剥離シートとこれらの部材との界面での光の反射を押さえ、最終的に両面接着テープを用いた場合などの空気層を有する構造より透過率が高くなる。さらに、透明粘着剤層や透明再剥離シートの屈折率が上記した各部材の屈折率に近いので、透明粘着剤層や透明再剥離シートと各部材との界面での光の屈折を押さえ、画面表示に影が出来ない。
【0102】また、透明再剥離シートによって貼着されている部材同士は、垂直方向に働く引き離しの力や水平方向へのズレの力には強く、端部からめくるように双方を引き離すと容易に分離するという特徴を有する。したがって、実装後における通常の使用状態では剥離の心配はなく、メンテナンス時などには簡単に剥がすことができる。なお、透明再剥離シートの粘着力は、度重なる脱着によっても低下しないことは言うまでもない。また、高分子粘着剤としてウレタン系のものを使用する場合には、透明再剥離シートが吸水性および吸気性を兼ね備えた材料となるため、実装したときに、部材間に混入した気泡を透明再剥離シートが室温にて吸収し、最終的には特別な処置なしで気泡のない製品を得ることができる。なお、特別な処置とは、たとえば透明タッチパネル1表面の端部から圧力を加えながらロールを移動し気泡を追い出す処置などである。このような特別な処置は光学等方性を有するガラス基板11を用いた透明タッチパネル1の場合には適用できず、上記室温での気泡吸収作用が極めて有用となる。
【0103】次に、タッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置の製造方法について詳しく説明する。
【0104】(タッチパネル1の上側光学位相差フィルム4)上側光学位相差フィルム4は、未延伸の状態のフィルム素材を一軸延伸させることにより所定の位相差を持たせることができる。本実施形態では、フィルム素材の光軸方向であるx方向の屈折率と、x方向に直交するy方向の屈折率と、フィルム素材の厚さ方向すなわちx方向とy方向に直交するz方向の屈折率とを制御して、視感度の最も大きい波長である一例としての約550nmの可視光において1/4波長の位相差を持たせたロール状のフィルム素材を得、これを上側光学位相差フィルム4に用いる。なお、下側光学位相差フィルム6に位相差を持たせる場合も、上側光学位相差フィルム4と同様である。
【0105】(タッチパネル1の可動電極部3)上側光学位相差フィルム4用のロール状フィルム素材上に、可動電極部3の一部の透明導電膜を形成させるが、その方法としてはスパッタ、蒸着、又は、CVD法がある。透明導電膜を形成する前には、フィルム素材中の残留溶剤を除去するためできるだけ高温処理を行う必要がある。残留溶剤が存在すると、安定な透明導電膜を形成することが不可能な為である。残留溶剤の除去後に透明導電膜の成膜を行うが、透明導電膜をさらに安定的に且つ高強度を持たせるためには、150℃以上の高温下で成膜する必要が有る。したがって、熱変形温度が150℃未満であるフィルム素材では、150℃以上の熱により変形、歪みなどの劣化を起こし、1/4波長の位相差を保つことができない。また、150℃未満の熱処理では残留溶剤の除去が不充分となり安定な高強度の透明導電膜を得ることができない。従って、透明導電膜を形成するフィルム素材は、フィルム素材中の残留溶剤を除去のため150℃以上の高温処理を行うため、熱変形温度が150℃以上のフィルム素材で無ければならない。
【0106】この様にして作られた上側光学位相差フィルム4用の透明導電膜付きフィルム素材は、上記したように通常ロール状であるため、回路形成のための所定の大きさに裁断して枚葉のフィルム素材シートにする。ただし、1枚のフィルム素材シートは、一個分のタッチパネル1の場合もあるが、これに限らず、任意の個数分のタッチパネル1となっている場合もある。
【0107】裁断されたフィルム素材シートは、必要に応じて、回路形成の際の寸法誤差をできるだけ小さくするための加熱処理を行う。加熱処理は、100℃以上130℃未満で約1時間行うことが望ましい。その後、可動電極部3の残りの一部であるリード線等の回路形成を行う。回路形成方法はスクリーン印刷、オフセット印刷、ロールコーター、又は、ディスペンサー等がある。回路形成に用いるインキとしては、熱硬化性樹脂からなるバインダー中に導電性を持つ金属微粒子を分散させたインキを用い、印刷適性をよくするために溶剤を加えて粘度調整される。導電性インキに用いられる金属微粒子としては、銀、ニッケル、銅、又は、金などが用いられる。バインダーの硬化および溶剤の除去のため高温乾燥を行う。乾燥温度は100℃以上150℃未満で30〜60分行う。使用するインキにあわせて適宜乾燥条件を調整する。回路形成時の熱処理で1/4波長の位相差が変化しないフィルム素材を選定しておくのはいうまでもない。
【0108】1枚のフィルム素材シートに対して多丁パターン(つまりタッチパネル数個分を設けるということ)で回路形成を行うと、短時間で大量の回路形成フィルムが作製でき、効率的である。
【0109】なお、上記ロール状フィルムの裁断および回路形成においては、上側光学位相差フィルム4の有する光軸の方向ことを考える必要がある。なぜなら、液晶表示方式にはTN、STN方式等さまざまがあり、この方式によって液晶ディスプレイから捩れて出射する直線偏光と表示画面の辺とがなす角度が異なる。当然、この直線偏光と一定の角度をなすように配置される上側光学位相差フィルム4の光軸は、その上側光学位相差フィルム4の辺に対して液晶表示毎に違った角度をなす。しかし、必ずしも液晶ディスプレイ2から捩れて出射する直線偏光と表示画面の辺とは45゜にならず、その場合、上側光学位相差フィルム4の光軸もその上側光学位相差フィルム4の辺に対し平行にならないにもかかわらず、ロール状の上側光学位相差フィルム4の光軸方向と延伸方向は平行である。したがって、タッチパネル1の部材として配置する状態の上側光学位相差フィルム4の光軸にその上側光学位相差フィルム4の辺に対して所定の角度を持たせるために以下のようにする。一つは、回路形成のための裁断に角度をもたせる方法である。例えば、透明タッチパネル1の上側光学位相差フィルム4の光軸が上側光学位相差フィルム4の辺に対して30°の角度でなければならないのであれば、回路形成のための裁断をする時も裁断後の枚葉フィルム素材シートの辺をロール状のフィルム素材の辺に対して30゜の角度をつけて所定の大きさの長方形状に裁断し、その後、回路をパターンを普通に印刷形成する。あるいは、パターンのレイアウトに角度を持たせる方法である。例えば、回路を印刷形成する場合、回路印刷形成用の版のパターンレイアウトを全体に30゜角度をつければロール状のフィルム素材は延伸方向に対して垂直に裁断することができる(もちろん、後者の場合には枚葉フィルム素材シートとパターンのレイアウトとが角度を持っているので、後述のタッチパネル1に配置する状態の1個分のフィルム素材シートを得るときに回路形成後に角度をもたせて裁断する必要がある。)
【0110】また、回路形成においては透明導電膜とリード線等とが不要な接触(すなわち不要な重複)をしないようにする必要があり、通常、回路形成前に透明導電膜を所定の形状にパターニング処理をしておく。パターニング方法としては、印刷レジスト法、フォトリソ法、あるいは、直接、透明導電膜をパターン印刷する方法等がある。
【0111】(タッチパネル1の固定電極部5)一方、固定電極部5の形成は可動電極部3とほぼ同様の工程で回路形成を行う。光学等方性フィルム12あるいは光学等方性を有するガラス基板11を下側光学位相差フィルム6と固定電極部5の間に配置する場合は、固定電極部5を直接形成する対象である光学等方性フィルム12あるいは光学等方性を有するガラス基板11は光軸を持たないので、これらについて裁断や回路形成の際に角度をつける必要はない。また、下側光学位相差フィルム6に固定電極部5を直接する場合は、上側光学位相差フィルム4に可動電極部3を設けるのと全く同様である。インキ材料は可動電極部3で用いるインキと同様のものを使用することができる。バインダーの硬化および溶剤の除去のため高温乾燥を行う。乾燥温度は100℃以上150℃未満で30〜60分行う(下側光学位相差フィルム6に固定電極部5を直接設ける場合、回路形成時の熱処理で1/4波長の位相差が変化しない上側光学位相差フィルムを選定しておくのはいうまでもない)。
【0112】(タッチパネル1の絶縁確保)回路形成の後、上記可動電極部3を直接形成された可動側シート(上側光学位相差フィルム4)と固定電極部5を直接形成された固定側シート(光学等方性フィルム12、あるいは光学等方性を有するガラス基板11、下側光学位相差フィルム6)を組み合わせてタッチパネル1にする前に、上下の部材間でリード線および電極が接触して絶縁不良にならないようにするため、さらには回路の金属酸化防止のため、可動電極部側と固定電極部側の少なくとも一方に絶縁層を形成する。絶縁層を形成する方法は、回路形成と同じく、印刷レジスト法、スクリーン印刷、オフセット印刷、ロールコーター、又は、ディスペンサー等がある。材料は、絶縁性を有する熱硬化樹脂等を用いる。
【0113】また、タッチパネル1の上記可動電極部3の上記透明導電膜と上記固定電極部5の上記透明導電膜間の絶縁を確保するために、また、ペンや指等でタッチパネル1の上面を押したり離したりしたときの導通のON,OFFをスムーズに行うために、上記可動電極部3の上記透明導電膜と上記固定電極部5の上記透明導電膜間に多数のスペーサー10の形成を行なう。スペーサー10の形成面は、固定電極部側及び可動電極部側のうち少なくとも一方の透明導電膜の電極面に形成される。スペーサー10の形成法としては、直接、任意のスペーサー10の形状に形成するスクリーン印刷、オフセット印刷、又は、ディスペンサー法等などがある。また、全面的に形成した被膜をスペーサー形状にパターン化するフォトリソ法、又は、印刷レジスト法等がある。スペーサー形状は特に限定はされないが、入力不可部をなくすため、均一な入力を行うため同一形状で一定の間隔で配列するのが望ましい。点状に形成する場合はスペーサー径は小さくかつ高さは低くするのが望ましい。一例としては、スペーサー径は30〜100μm、高さは1〜15μm、スペーサーピッチは0.1〜10mmで縦横に直交する複数の線の交点にのるような配列パターンを、タッチパネル1の辺に対して全体に0〜90゜回転させて形成することができる。
【0114】(電極シート1個分のカット)回路形成された、可動電極部3を直接形成された可動側シート(上側光学位相差フィルム4)および固定電極部5が直接形成された固定側シート(光学等方性フィルム12、あるいは光学等方性を有するガラス基板11、下側光学位相差フィルム6)は多丁パターンの場合は、更に、所定の大きさにカットされる。固定側シートが、フィルムの場合は、トムソン型、金型、又は、カッティングプロッター等で裁断され、光学等方性を有するガラス基板11の場合は、スクライバー、又は、ブレイキングマシーン等で裁断する。特に、光学等方性を有するガラス基板11を裁断する場合は、導電膜面は硬質で刃が入りにくい為、導電膜と反対面から刃をいれることが望ましい。そうすることによりガラス断面を綺麗に裁断し、強度低下を防ぐ。
【0115】(上下の可動側シート及び固定側シートの貼り合せ)可動電極部3を直接形成された可動側シート(上側光学位相差フィルム6)と固定電極部5を直接形成された固定側シート(光学等方性フィルム12、あるいは光学等方性を有するガラス基板11、下側光学位相差フィルム6)とは、粘着材又は両面テープ19により貼り合わせられ、電極間に空間層7が形成される。多丁パターンで回路形成する場合は、上下の可動側及び固定側シートを裁断する前に予め粘着材又は両面テープ19を形成すればより工程時間を短縮でき、効率的である。粘着材又は両面テープ19を可動電極部3あるいは固定電極部5の周囲に形成して、両電極部3,5間が対向するように貼り、外圧を加えて圧着する。両面テープ19の代わりの粘着材はスクリーン印刷等で形成、両面テープは予め枠状に打ち抜いたものを用いる。これらはタッチパネル1の透視領域よりも外側で形成する。粘着材又は両面テープが透視領域内に入ると、タッチパネル端部の画像がにじんで見づらくなる。粘着剤としては、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系、又は、それらの共重合体等が有り、両面テープとしては例えば日東電工製532等を用いるのが良い。
【0116】(コネクタ−)タッチパネル1の上下の電極部3,5の接触位置(つまり入力位置)を検出するための外部取り出し部(コネクター)40を設ける。方法としては、両電極部3,5からそれぞれ電極を引き出す方法、又は、両電極部3,5のどちらか一方から電極を引き出す方法等が有る。予め、電極引き出し部分をタッチパネル1に設けておき、異方導電接着剤を介してコネクター(40)と120℃以上170℃未満で圧着するとよい。
【0117】以上がタッチパネル1の製造方法である。続いて、タッチパネル1と液晶ディスプレイ2とを組み合わせて、タッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置を製造する方法を説明する。
【0118】(上側偏光板8の貼り合せ)上記したようにして製造されたタッチパネル1の上側光学位相差フィルム4の上面に上側偏光板8を貼り合わせる。上側偏光板8の上に更に透明フィルムが配置されている場合は、上側偏光板8と透明フィルムをタッチパネル1上の上側光学位相差フィルム4に別々に貼り合わせてもよいし、予め上側偏光板8と透明フィルムを貼り合わせたものを所定のサイズにカットしてタッチパネル1上に貼り合わせても良い。これらのフィルムは全面に透明粘着材を介して接着される。上側偏光板8および透明フィルムのサイズは特に限定はされないが、通常はタッチパネル外形と同一もしくはタッチパネル外形の各辺から0.1〜1mm程度内側になるように貼り合わせる。これはタッチパネル外形よりも外側にあると、上側偏光板8や透明フィルムが外力が加わることで剥がれやすくなるからである。ただし、サイズはこれに限定はされない。
【0119】上側偏光板8を貼り合わせた後、40〜80℃、4〜9kg/cm、10〜120分加圧脱泡処理を行う。タッチパネル1上に上側偏光板8を貼ると、上側光学位相差フィルム4と上側偏光板8の間又は透明フィルムとの間に気泡が混入するためそれを除去するためであり、この操作を行うことにより気泡を分散させると共に、各フィルム間での密着性も向上させることができる。
【0120】(固定電極部5を直接形成しない下側光学位相差フィルム6の貼り合せ)固定電極部5を直接形成する固定側シートとして光学等方性フィルム12、あるいは光学等方性を有するガラス基板11を用いる場合、これらの固定側シートと液晶ディスプレイ2の間に下側光学位相差フィルム6を配置する。下側光学位相差フィルム6は液晶ディスプレイ2側の部材(液晶表示部のガラス面、又は液晶表示部上に配置された偏光板や他の光学位相差フィルム)上に粘着材を介して全面に貼り合わせるのが望ましい。下側光学位相差フィルム6は、液晶表示部上に配置される偏光板や他の光学位相差フィルムに予め貼り合わせてから液晶表示部に貼り合わせてもよいし、別々に液晶表示部に貼り合わせても良い。
【0121】貼り合わせ後、加圧脱泡処理を行うのが望ましい。40〜80℃、4〜9kg/cm、10〜120分加圧脱泡処理を行う。この操作を行うことにより気泡を分散させると共に、各フィルム間での密着性も向上させることができる。
【0122】(固定側シートの液晶ディスプレイ側への貼り合せ)固定電極部5を直接形成する固定側シートは、固定電極部5を直接形成する固定側シート上に配置された各部材とともに液晶ディスプレイ側の部材に両面テープ等で接着される。液晶ディスプレイ側の部材(上記したように下側光学位相差フィルム6が最上層となる場合もある)に直接貼り付けてもよいし、液晶ディスプレイ側の部材との間に筺体を設けてこの筺体に貼り付けてもよい。又は、透明粘着剤層、透明再剥離シートによって全面に貼り付けてもよい。
【0123】次に、本発明の第4〜6実施形態にかかるタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置及びその製造方法について説明する。
【0124】この第4実施形態では、以下のような目的でなされたものである。すなわち、上記第1〜3実施形態にかかる液晶ディスプレイ装置では、以下のような不具合が生じることがあった。
【0125】まず、上側偏光板8の表面の耐久性が良くない場合には、ペン入力等により上側偏光板8の表面が傷つき、実用性に乏しくなることがある。 また、上側偏光板8の表面より吸湿した場合には、上側偏光板8が収縮や膨張あるいはひずみを起こしやすくなり、上側偏光板8に貼り合わせた上側光学位相差フィルム4も追随してリタデーション値が部分的に変化し、観察者側から見ると色ムラが目立ち、さらに反射防止機能を損なう恐れがある。
【0126】従って、本発明の第4〜6実施形態の目的は、上記不具合を解決することにより、表面の耐久性に優れ、上側偏光板8への吸湿を防止した透明タッチパネル1とこれを用いたタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置を提供することである。
【0127】以下、図面を参照しながら本発明の第4〜6実施形態について詳細に説明する。
【0128】図11は第4実施形態に係るタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置(透過型TN)を示す断面図である。
【0129】図12は第5実施形態に係るタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置(透過型STN)を示す断面図である。
【0130】図13は第6実施形態に係るタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置(反射型STN)を示す断面図である。
【0131】図14は本発明の上記実施形態に係るタッチ入力方式液晶ディスプレイ装置(TN)における透過軸方向および光軸方向の説明図である。
【0132】図15は上記第4実施形態の変形例に係るタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置(透過型TN)を示す断面図である。
【0133】図16は第6実施形態の変形例に係るタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置(反射型STN)を示す断面図である。
【0134】図中、22は透明フィルム、23は低反射処理層、24は防汚処理層、25はハードコート処理層をそれぞれ示す。
【0135】固定電極部5を直接形成する基材としては、下側光学位相差フィルム6(第4実施形態;図11参照)あるいは光学等方性を有するガラス基板11(第5実施形態;図12参照)あるいは光学等方性フィルム12(第6実施形態;図13参照)を用いる。これらの基材も、上側光学位相差フィルム4と同様に固定電極部5の形成及び回路形成の際に、高温処理される。
【0136】また、第4実施形態において薄型化よりも光学等方性を有するガラス基板11同様の押圧の安定性、耐久性を優先させる場合には、透明タッチパネル1と液晶ディスプレイ2との間に光学等方性を有する透明樹脂板16を配置するとよい(図15参照)。第6実施形態において薄型化よりも光学等方性を有するガラス基板11同様の押圧の安定性、耐久性を優先させる場合には、光学等方性フィルム12と下側光学位相差フィルム6との間に光学等方性を有する透明樹脂板16を配置するとよい(図16参照)。光学等方性を有する透明樹脂板16の材料としては、たとえばポリカーボネート系、アクリル系、ポリスチレン系などの透明性に優れる樹脂が用いられる。その厚みは0.3〜5.0mmである。0.3mm未満になると、押圧の安定性、耐久性が悪くなるため、繰り返し入力により窪みなどの変形を生じやすい。また、5.0mmを超えると、ガラスよりも重くなり、携帯機器としては有効でない。
【0137】透明フィルム22の機能としては、透明性に優れ、透湿性が少なく寸法安定性に優れたものである。透明フィルム22の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリエーテルケトン、又は、ポリオレフィン等を用いる。その厚みは100μm以下、好ましくは80μmである。
【0138】また、上側偏光板8の上面に貼り合わせた透明フィルム22の上面に低反射処理を施した低反射処理層23を施してもよい。低反射処理層23を形成する低反射処理方法としては、フッ素樹脂やシリコン樹脂などの低屈折率樹脂を用いた低反射材料を塗布したり、金属の多層膜を蒸着等により形成したり、低反射フィルムを貼り付けたり、サンドブラスト加工やエンボス加工、マットコーティング加工、又は、エッチング加工等により表面を梨地状に処理したりする等がある。また、これらの低反射処理方法を組み合わせて行なってもよい。
【0139】また、上側偏光板8の上面に貼り合わせた透明フィルム22の上面に防汚処理を施した防汚処理層24を施してもよい。
【0140】また、指やペンなどによる押圧による摩耗から上側偏光板8の上面に貼り合わせた透明フィルム22を保護するため、ハードコート処理を施したハードコート処理層25を施してもよい。たとえば、アクリル樹脂、シリコン樹脂、UV硬化樹脂などによるハードコート処理層25を形成する。
【0141】また、上記の低反射処理層23、防汚処理層24、ハードコート処理層25は、これらのうちいくつかを組み合わせて形成してもよい。
【0142】透明タッチパネル1および上側偏光板8をこのような構成に配置することにより、以下のようにして外部から入射した光に起因する反射光を抑えることができる。
【0143】観察者側から透明フィルム22を透過してきた入射光は偏光板8を通り直線偏光となる。その他の作用効果は先の実施形態と同様である。
【0144】なお、本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【0145】
【発明の効果】本発明のに係るタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置は、以上のような構成及び作用からなるので、以下のような効果を奏する。
【0146】すなわち、上側偏光板の偏光軸と上側光学位相差フィルムの光軸とのなす角度を約45゜に配置することにより、円偏光あるいは略円偏光となって透明タッチパネルの空間層に入り、反射された円偏光あるいは略円偏光が再び上側光学位相差フィルムを通過して上側偏光板の透過軸と垂直の直線偏光になるため、屋内での蛍光灯などの反射光や屋外での外光に起因する反射光を抑えられる。
【0147】また、下側光学位相差フィルムの光軸を上側光学位相差フィルムの光軸に対して約90゜の角度になるように、さらに液晶ディスプレイから発せられた直線偏光のうち装置表面から出射させたい直線偏光に対して約45゜の角度になるように透明タッチパネルと液晶ディスプレイとの間に配置することで、観察者側から見たときの表示画面の色付きを抑え、コントラストの高い、色付きのない表示画面が得られる。
【0148】さらに、タッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置は、その最上面に低反射処理を施すことにより最上面での光の反射が抑えられる。
【0149】また、上側偏光板の上面に透明フィルムを貼り合わせることにより、表面の耐久性が良くなり、ペンや指入力等でも上側偏光板の表面が傷つくのを防ぐことができる。
【0150】また、上側偏光板の上面に透明フィルムを貼り合わせることにより、上側偏光板の表面より吸湿することを防ぎ、それによる上側偏光板の収縮や膨張、ひずみを抑えることができるため、上側偏光板に貼り合わせた上側光学位相差フィルムのリタデーション値の変化を抑え、色ムラも発生せず、さらに反射防止機能を損なうこともない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係るタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置(透過型TN(Twisted Nematic))を示す断面図である。
【図2】図1の上記液晶ディスプレイ装置の分解斜視図である。
【図3】図1の上記液晶ディスプレイ装置の概略断面図である。
【図4】図1の上記液晶ディスプレイ装置において外光の反射が抑制される状態を説明するためのの説明図である。
【図5】バックライト導光板の説明図である。
【図6】第2実施形態に係るタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置(透過型STN(Super Twisted Nematic))を示す断面図である。
【図7】第3実施形態に係るタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置(反射型STN)を示す断面図である。
【図8】本発明の上記実施形態に係るタッチ入力方式液晶ディスプレイ装置(TN)における透過軸方向および光軸方向の説明図である。
【図9】上記第1実施形態の変形例に係るタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置(透過型TN)を示す断面図である。
【図10】上記第3実施形態の変形例に係るタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置(反射型STN)を示す断面図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係るタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置(透過型TN)を示す断面図である。
【図12】本発明の第5実施形態に係るタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置(透過型STN)を示す断面図である。
【図13】本発明の第6実施形態に係るタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置(反射型STN)を示す断面図である。
【図14】上記実施形態に係るタッチ入力方式液晶ディスプレイ装置(TN)における透過軸方向および光軸方向の説明図である。
【図15】上記第4実施形態の変形例に係るタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置(透過型TN)を示す断面図である。
【図16】上記第6実施形態の変形例に係るタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置(反射型STN)を示す断面図である。
【図17】従来の一般的な透明タッチパネルを備えた液晶ディスプレイ装置の一例を示す断面図である。
【図18】従来の一般的な透明タッチパネルを備えた液晶ディスプレイの別の例を示す断面図である。
【図19】図17の従来の液晶ディスプレイ装置を有する携帯用パーソナルコンピュータを蛍光灯などのある部屋で使用するときの状態を説明するための説明図である。
【図20】図18の従来の液晶ディスプレイ装置を有する携帯用端末機を屋外で使用するときの状態を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1 上記透明タッチパネル
2 液晶ディスプレイ
3 可動電極部
4 上側光学位相差フィルム
5 固定電極部
6 下側光学位相差フィルム
7 空間層
8 上側偏光板
9 下側偏光板
10 スペーサ
11 ガラス基板
12 光学等方性フィルム
13 バックライト導光板
13a 線光源
13b 拡散シート
13c 導光板
13d 光反射板
13e 光散乱層
14 光学補償位相差板
15 反射板
16 透明樹脂板
19 両面テープ
20 可動側シート
21 固定側シート
22 透明フィルム
23 低反射処理層
24 防汚処理層
25 ハードコート処理層
40 コネクター
500 携帯用端末機
501 ペン
502 携帯用パーソナルコンピュータ
503 ペン
504 蛍光灯

【特許請求の範囲】
【請求項1】 透明タッチパネルの下側に液晶ディスプレイを備えたタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置において、可視領域の中心波長の入射光に対し1/4波長の位相遅れを与えるとともに下面に可動電極部を備える上側光学位相差フィルムと、上記可視領域の上記中心波長の入射光に対し1/4波長の位相遅れを与えるとともに上面に固定電極部を備える下側光学位相差フィルムとが空間層を介して配置された上記透明タッチパネルの上面に上側偏光板が配置され、上記液晶ディスプレイの下面に下側偏光板が配置され、上記上側光学位相差フィルムの光軸と上記上側偏光板の偏光軸とのなす角度が約45゜であり、上記下側光学位相差フィルムの光軸と上記液晶ディスプレイから発せられた直線偏光のうち装置表面から出射させたい直線偏光とのなす角度が約45゜であり、上記上側光学位相差フィルムの光軸と上記下側光学位相差フィルムの光軸の角度が約90゜であり、上記液晶ディスプレイから発せられた直線偏光のうち装置表面から出射させたい直線偏光と上記上側偏光板の偏光軸とのなす角度が90°であるタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置。
【請求項2】 上記下側光学位相差フィルムに上記固定電極部が直接形成されている請求項1に記載のタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置。
【請求項3】 上記固定電極部と上記下側光学位相差フィルムとの間に光学等方性を有するガラス基板を備え、光学等方性を有するガラス基板に上記固定電極部が直接形成されている請求項1に記載のタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置。
【請求項4】 上記固定電極部と上記下側光学位相差フィルムとの間に光学等方性フィルムを備え、光学等方性フィルムに上記固定電極部が直接形成されている請求項1に記載のタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置。
【請求項5】 上記上側光学位相差フィルムおよび上記下側光学位相差フィルムの熱変形温度が150℃以上である請求項2に記載のタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置。
【請求項6】 上記上側光学位相差フィルムおよび上記下側光学位相差フィルムの熱変形温度が170℃以上である請求項2に記載のタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置。
【請求項7】 上記上側光学位相差フィルムの熱変形温度が150℃以上である請求項3に記載のタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置。
【請求項8】 上記上側光学位相差フィルムの熱変形温度が170℃以上である請求項3に記載のタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置。
【請求項9】 上記上側光学位相差フィルムおよび上記光学等方性フィルムの熱変形温度が150℃以上である請求項4に記載のタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置。
【請求項10】 上記上側光学位相差フィルムおよび上記光学等方性フィルムの熱変形温度が170℃以上である請求項4に記載のタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置。
【請求項11】 上記透明タッチパネルと上記液晶ディスプレイとの間に光学等方性を有する透明樹脂板が配置されている請求項1〜10のいずれかに記載のタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置。
【請求項12】 上記光学等方性フィルムと上記下側光学位相差フィルムとの間に光学等方性を有する透明樹脂板が配置されている請求項4,9,10のいずれかに記載のタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置。
【請求項13】 上記上側光学位相差フィルムの厚みが50μm以上150μm以下である請求項1〜12のいずれかに記載のタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置。
【請求項14】 上記固定電極部が直接形成されている部材および上記液晶ディスプレイまたはこれらとこれらの間の全ての部材が、透明粘着剤層または透明再剥離シートによって全面的に貼着されている請求項1〜13のいずれかに記載のタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置。
【請求項15】 上記上側偏光板の上面に、透湿性が少なく寸法安定性に優れた透明フィルムが貼り合わされている請求項1〜14のいずれかに記載のタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置。
【請求項16】 上記上側偏光板の上面に貼り合わせた上記透明フィルムの上面に低反射処理層を有する請求項15に記載のタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置。
【請求項17】 上記上側偏光板の上面に貼り合わせた上記透明フィルムの上面に防汚処理層を有する請求項15に記載のタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置。
【請求項18】 上記上側偏光板の上面に貼り合わせた上記透明フィルムの上面にハードコート処理層を有する請求項15に記載のタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置。
【請求項19】 透明タッチパネルの下側に液晶ディスプレイを備えたタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置であって、可視領域の中心波長の入射光に対し1/4波長の位相遅れを与えるとともに下面に可動電極部を備える上側光学位相差フィルムと、上記可視領域の上記中心波長の入射光に対し1/4波長の位相遅れを与えるとともに上面に固定電極部を備える下側光学位相差フィルムとが空間層を介して配置された上記透明タッチパネルの上面に上側偏光板が配置され、上記液晶ディスプレイの下面に下側偏光板が配置され、上記上側光学位相差フィルムの光軸と上記上側偏光板の偏光軸とのなす角度が約45゜であり、上記下側光学位相差フィルムの光軸と上記液晶ディスプレイから発せられた直線偏光のうち装置表面から出射させたい直線偏光とのなす角度が約45゜であり、上記上側光学位相差フィルムの光軸と上記下側光学位相差フィルムの光軸の角度が約90゜であり、上記液晶ディスプレイから発せられた直線偏光のうち装置表面から出射させたい直線偏光と上記上側偏光板の偏光軸とのなす角度が90°であるタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置を製造するタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置の製造方法において、上記上側光学位相差フィルムのフィルム素材中の残留溶剤除去のための熱処理を施したのちに上記フィルム素材上に上記可動電極部の透明導電膜を直接形成する工程、リード線形成の際の寸法誤差を小さくするための熱処理を施したのちに上記可動電極部のリード線を形成する工程、リード線を形成したインキのバインダーの硬化および溶剤除去の熱処理を施す工程を経て可動側シートを得、上記下側光学位相差フィルムのフィルム素材中の残留溶剤除去のための熱処理を施したのちに上記フィルム素材上に上記固定電極部の透明導電膜を直接形成する工程、リード線形成の際の寸法誤差を小さくするための熱処理を施したのちに上記固定電極部のリード線を形成する工程、リード線を形成したインキのバインダーの硬化および溶剤除去の熱処理を施す工程を経て固定側シートを得、上記可動側シートと上記固定側シートを貼り合わせ、次いで上記可動側シートの上記上側光学位相差フィルムの上面に上記上側偏光板を貼り合わせたのちに加圧脱泡処理を施し、上記固定側シートを液晶ディスプレイと貼り合せてタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置を製造するタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項20】 透明タッチパネルの下側に液晶ディスプレイを備えたタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置であって、可視領域の中心波長の入射光に対し1/4波長の位相遅れを与えるとともに下面に可動電極部を備える上側光学位相差フィルムと、上記可視領域の上記中心波長の入射光に対し1/4波長の位相遅れを与えるとともに上面に固定電極部を備える下側光学位相差フィルムとが空間層を介して配置された上記透明タッチパネルの上面に上側偏光板が配置され、上記液晶ディスプレイの下面に下側偏光板が配置され、上記上側光学位相差フィルムの光軸と上記上側偏光板の偏光軸とのなす角度が約45゜であり、上記下側光学位相差フィルムの光軸と上記液晶ディスプレイから発せられた直線偏光のうち装置表面から出射させたい直線偏光とのなす角度が約45゜であり、上記上側光学位相差フィルムの光軸と上記下側光学位相差フィルムの光軸の角度が約90゜であり、上記液晶ディスプレイから発せられた直線偏光のうち装置表面から出射させたい直線偏光と上記上側偏光板の偏光軸とのなす角度が90°であるタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置を製造するタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置の製造方法において、上記上側光学位相差フィルムのフィルム素材中の残留溶剤除去のための熱処理を施したのちに上記フィルム素材上に上記可動電極部の透明導電膜を直接形成する工程、リード線形成の際の寸法誤差を小さくするための熱処理を施したのちに上記可動電極部のリード線を形成する工程、リード線を形成したインキのバインダーの硬化および溶剤除去の熱処理を施す工程を経て可動側シートを得、光学等方性を有するガラス基板上に上記固定電極部の透明導電膜を直接形成する工程、上記固定電極部のリード線を形成する工程、リード線を形成したインキのバインダーの硬化および溶剤除去の熱処理を施す工程を経て固定側シートを得、上記可動側シートと上記固定側シートを貼り合わせ、次いで上記可動側シートの上記上側光学位相差フィルムの上面に上記上側偏光板を貼り合わせたのちに加圧脱泡処理を施し、上記固定側シートを間に上記下側光学位相差フィルムを介して液晶ディスプレイと貼り合せてタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置を製造するタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項21】 透明タッチパネルの下側に液晶ディスプレイを備えたタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置であって、可視領域の中心波長の入射光に対し1/4波長の位相遅れを与えるとともに下面に可動電極部を備える上側光学位相差フィルムと、上記可視領域の上記中心波長の入射光に対し1/4波長の位相遅れを与えるとともに上面に固定電極部を備える下側光学位相差フィルムとが空間層を介して配置された上記透明タッチパネルの上面に上側偏光板が配置され、上記液晶ディスプレイの下面に下側偏光板が配置され、上記上側光学位相差フィルムの光軸と上記上側偏光板の偏光軸とのなす角度が約45゜であり、上記下側光学位相差フィルムの光軸と上記液晶ディスプレイから発せられた直線偏光のうち装置表面から出射させたい直線偏光とのなす角度が約45゜であり、上記上側光学位相差フィルムの光軸と上記下側光学位相差フィルムの光軸の角度が約90゜であり、上記液晶ディスプレイから発せられた直線偏光のうち装置表面から出射させたい直線偏光と上記上側偏光板の偏光軸とのなす角度が90°であるタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置を製造するタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置の製造方法において、上記上側光学位相差フィルムのフィルム素材中の残留溶剤除去のための熱処理を施したのちに上記フィルム素材上に上記可動電極部の透明導電膜を直接形成する工程、リード線形成の際の寸法誤差を小さくするための熱処理を施したのちに上記可動電極部のリード線を形成する工程、リード線を形成したインキのバインダーの硬化および溶剤除去の熱処理を施す工程を経て可動側シートを得、光学等方性フィルムのフィルム素材中の残留溶剤除去のための熱処理を施したのちに上記フィルム素材上に上記固定電極部の透明導電膜を直接形成する工程、リード線形成の際の寸法誤差を小さくするための熱処理を施したのちに上記固定電極部のリード線を形成する工程、リード線を形成したインキのバインダーの硬化および溶剤除去の熱処理を施す工程を経て固定側シートを得、上記可動側シートと上記固定側シートを貼り合わせ、次いで上記可動側シートの上記上側光学位相差フィルムの上面に上記上側偏光板を貼り合わせたのちに加圧脱泡処理を施し、上記固定側シートを間に上記下側光学位相差フィルムを介して液晶ディスプレイと貼り合せてタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置を製造するタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項22】 上記各フィルム素材中の残留溶剤除去のための熱処理を150℃以上でおこなう請求項19〜21記載のタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項23】 リード線形成の際の寸法誤差を小さくするための熱処理を100℃以上130℃未満でおこなう請求項19〜22記載のタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項24】 リード線を形成したインキのバインダーの硬化および溶剤除去の熱処理を100℃以上150℃未満でおこなう請求項19〜23記載のタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項25】 加圧脱泡処理を40〜80℃、4〜9kg/cm、10〜120分行おこなう請求項19〜24記載のタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項26】 可動電極部および固定電極部の少なくとも一方に予め電極引き出し部分を設けておき、上記可動側シートと上記固定側シートを貼り合わせたのちに異方導電接着剤を介してコネクターと120℃以上170℃未満で圧着する請求項19〜25記載のタッチ入力方式の液晶ディスプレイ装置の製造方法。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図17】
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【図18】
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【図16】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2000−105669(P2000−105669A)
【公開日】平成12年4月11日(2000.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−3451
【出願日】平成11年1月8日(1999.1.8)
【出願人】(000231361)日本写真印刷株式会社 (477)
【Fターム(参考)】