説明

タナプロゲト誘導体、代謝産物、及びそれらの使用

【課題】タナプロゲトの合成グルクロニド誘導体を提供すること。
【解決手段】タナプロゲト誘導体の合成代謝産物を作製する方法が提供される。これらの化合物、及び試料中のタナプロゲト代謝産物を検出するためにこれらの誘導体を使用する方法が、提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のタナプロゲト(tanaproget)の誘導体を提供する。
【背景技術】
【0002】
タナプロゲトは、現在入手可能な経口避妊薬の代替薬として避妊において使用するため
に開発されている途中の強力な非ステロイド性プロゲステロンレセプターアゴニストであ
る。避妊レジメンからのステロイドプロゲスチンの排除は、経口避妊薬の一般的な副作用
を低下させ得る。
【発明の概要】
【0003】
(発明の要旨)
本発明は、活性化合物タナプロゲトの代謝産物を提供する。これらの化合物は、タナプ
ロゲトによる治療をモニタリングするための方法及びキットにおいて有用である。
【0004】
これらの代謝産物のうち、稀少なS結合型グルクロニド抱合体、S−グルクロニドタナ
プロゲトが単離され、ここで合成された。最初は代謝産物として同定されたが、タナプロ
ゲトグルクロニドは、被験体に送達された場合、インビボでグルクロニダーゼによってタ
ナプロゲトへと酵素的に切断されるプロドラッグである。従って、本発明は、タナプロゲ
トプロドラッグとして投与するために処方されるタナプロゲトグルクロニド誘導体を提供
する。一つの実施形態において、投与は、消化管内のグルクロニダーゼ活性を最大限に活
用するため、経口経路による。
【0005】
本発明のその他の態様及び利点は、以下の発明の詳細な説明から明白になるであろう。
【0006】
(発明の詳細な説明)
本発明の誘導体は、タナプロゲトの投与後に被験体によって生成される代謝産物に対す
る生物学的等価物(bioequivalent)であると考えられる独特の合成代謝産物である。従
って、本発明の誘導体は、タナプロゲト治療のモニタリングのためのキットにおけるスタ
ンダードとして、そしてタナプロゲト代謝産物に対して特異的な抗体を作製するため、有
用である。そのような抗体は、タナプロゲト治療の効果をモニタリングし、そして研究す
るために有用である。
【0007】
さらに、本発明のタナプロゲトグルクロニド誘導体は、インビボで活性型のタナプロゲ
トへと切断されるプロドラッグとして被験体に送達され得る。従って、本発明は、本発明
のタナプロゲトグルクロニド誘導体を含有している薬学的組成物及びキット、並びにタナ
プロゲトを被験体に送達するためにそれらを使用する方法をさらに提供する。被験体には
、ヒト及び非ヒトを含む、任意の哺乳動物、好ましくは雌が含まれ得る。
【0008】
本明細書において使用される場合、「NSP−989」又は「タナプロゲト」[Wye
th]と呼ばれるPRアゴニスト化合物は、以下のコア構造を特徴とする。
【化4】

図示されたコア構造5−(4,4−ジメチル−2−チオキソ−1,4−ジヒドロ−2H
−3,1−ベンゾキサジン−6−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニト
リルの合成のための方法は、米国特許第6,436,929号、米国特許出願第11/1
13,794号(2005年4月25日出願)、並びに米国仮特許出願第60/675,
550号(2005年4月28日出願);同第60/675,551号(2005年4月
28日出願);同第60/675,599号(2005年4月28日出願);同第60/
675,737号(2005年4月28日出願);及び同第60/675,738号(2
005年4月28日出願)に記載されており、この化合物の使用もこれらに記載されてい
る。タナプロゲトを入手するためのその他の適切な合成法は、当業者には容易に明白にな
るであろう。本発明は、タナプロゲトを作製するための手段により制限されない。
【0009】
本発明は、上記コア構造のグルクロニド誘導体を提供する。本発明の誘導体は、1又は
それ以上の不斉中心を含有していてもよく、従って、光学異性体及びジアステレオ異性体
が生じ得る。以下には原子の空間的配置を顧慮せずに示されたが、本発明には、そのよう
な光学異性体及びジアステレオ異性体が含まれ;ラセミ化合物及び分離されたエナンチオ
マー的(enantiomerically)に純粋なR立体異性体及びS立体異性体も含まれ;その他の
R立体異性体及びS立体異性体の混合物、並びにそれらの薬学的に許容される塩も含まれ
る。
【0010】
一つの実施形態において、グルクロニド部分は、オキシンドール環内のN原子を通して
付着している。この誘導体は、以下の構造を特徴とし得る。
【化5】

【0011】
もう一つの実施形態において、グルクロニド部分は、オキシンドール環に結合したS原
子を通して付着している。一つの実施形態において、この誘導体は、以下の構造を特徴と
し得る。
【化6】

【0012】
他の実施形態において、これらの化合物は、以下の原子の空間的配置を有する。
【化7】

【0013】
本発明のタナプロゲトグルクロニド誘導体は、従来の技術を使用して、合成により作製
され得る。例えば、無水中性溶媒(例えば、DMF)中のタナプロゲトの溶液を、溶媒で
希釈した強塩基(例えば、水酸化ナトリウム)の溶液へと、窒素雰囲気下で滴下にて添加
し、次いで、ドライアイスを使用して冷却する。混合した後、アセトブロモ−α−D−グ
ルクロン酸エステルの溶液を添加する。次いで、反応溶液を室温にまで加温し、撹拌する
。約8〜24時間後、反応溶液を、水と有機溶媒(例えば、酢酸エチル)との間に分配す
る。水層を抽出する。合わせた有機層を、飽和塩化ナトリウム(NaCl)溶液(100
mL)で洗浄し、乾燥させ、溶媒を真空で除去する。
【0014】
又は、本発明のグルクロニド誘導体は、適切な方法を使用して酵素系において作製され
得る。
【0015】
従来の技術が、精製された粗タナプロゲト誘導体を回収するために使用され得る。一つ
の実施形態において、タナプロゲト誘導体は、本明細書において参考として援用される米
国仮特許出願第60/675,738号(2005年4月28日出願)に記載された手段
により精製され得る。もう一つの実施形態において、粗抽出物を、溶媒の勾配を用いてH
PLC逆相カラムに通過させ、粗生成物から未反応のタナプロゲト並びに出発材料及び試
薬を除去することができる。カラムの勾配において使用するための適切な溶媒は、当業者
によって容易に選択され得る。本明細書の実施例においては、アセトニトリル/メタノー
ル及びアセトニトリル/酢酸アンモニウムが、溶媒として使用された。タナプロゲト誘導
体を含有している画分が合わせられ、タナプロゲト誘導体混合物を提供するため、精製さ
れた溶媒が蒸発させられる。薄層クロマトグラフィ又は当該分野において公知のその他の
クロマトグラフィ法も、精製のために使用され得る。
【0016】
個々の誘導体を単離するため、精製された混合物は、クロマトグラフィ技術を使用した
さらなる分離に供され得る。例えば、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)が使用され
得る。分離のための適切なカラム及び条件は、本発明の開示があれば、当業者には容易に
明白になるであろう。
【0017】
もう一つの態様において、本発明は、薬学的に有効な量の1又はそれ以上の上記のよう
なタナプロゲトのグルクロニド誘導体を含む薬学的組成物、及びプロゲステロンレセプタ
ーのアゴニストとして薬学的に有効な量の1又はそれ以上の上記のようなタナプロゲトの
グルクロニド誘導体を被験体(例えば、避妊目的の場合、出産適齢期の雌、又は治療目的
の場合、他の哺乳動物)に投与することを含む処置を含む。
【0018】
単独で又は組み合わせて使用される、本発明のタナプロゲトグルクロニド化合物は、避
妊の方法、閉経前、閉経期前後、及び/又は閉経後のホルモン補充療法、並びに皮膚障害
、不正出血、発情期同期化(estrus synchronization)、子宮平滑筋腫、子宮内膜症、多
嚢胞性卵巣症候群、並びに子宮内膜、卵巣、乳房、結腸、及び前立腺の癌及び腺癌の処置
及び/又は予防において利用され得る。本発明の付加的な使用には、摂食の刺激が含まれ
る。
【0019】
「皮膚」という用語は、非制限的に、表皮、真皮、及び皮下の組織を含む、哺乳動物の
体の外皮を説明することを意味する。代表的には、皮膚には、毛包及び汗腺のようなその
他の成分が含まれ得る。皮膚障害には、例えば、ざ瘡及び多毛症が含まれる。
【0020】
「ざ瘡」という用語は、汗孔が塞がり、かつ/又はそれにより炎症を起こした任意の皮
膚障害を含むことを意味する。ざ瘡という用語には、面皰、炎症性(inflamed)丘疹、表
在性(superficial)嚢胞、及び膿ほうを含む表在性ざ瘡;並びに深在性(deep)炎症性
モジュール(modules)及び膿充満性(pus-filled)嚢胞を含む深在性ざ瘡が含まれるが
、これらに限定されない。特定のざ瘡状態には、尋常性ざ瘡、ざ瘡面皰(acne comedo)
、丘疹性ざ瘡、月経前ざ瘡、思春期前ざ瘡、毒物性ざ瘡、化粧品ざ瘡、ポマードざ瘡、ア
クネデターギカンス(acne detergicans)、アクネエクスコリー(acne excoriee)、グ
ラム陰性(gram negative)ざ瘡、しゅさ性ざ瘡、偽性毛嚢炎(pseudofolliculitis barb
ae)、毛包炎、口周囲皮膚炎、及び汗腺膿瘍(hiddradenitis suppurativa)が含まれる
が、これらに限定されない。「多毛症」という用語は、通常は過剰な発毛が起こらない身
体の区域において発毛の過成長が観察される皮膚障害を説明することを意味する。
【0021】
毛包及び皮脂腺の皮膚障害を含む多数の皮膚障害が、本発明の化合物により処置され得
る。一つの実施形態において、ざ瘡及び多毛症のような皮膚障害が、とりわけ、本発明に
より処置され得る。
【0022】
皮膚の乾燥/ひび割れ、脂漏症(seboria)、乾癬、又は脱毛症を含むその他の皮膚障
害も、本発明の化合物及び組成物を使用して処置され得る。本発明は、環境条件の影響に
対して皮膚を処置するのにも有用である。
【0023】
本発明は、薬学的に許容される担体又は賦形剤と場合により組み合わせられた、本発明
の化合物を利用した薬学的組成物も含む。その化合物が上記の用途のために利用される場
合、それらは、1又はそれ以上の薬学的に許容される担体又は賦形剤(例えば、溶媒、希
釈剤等)と組み合わせることができ、錠剤、カプセル、分散可能粉末、顆粒、例えば約0
.05〜5%の懸濁化剤を含有している懸濁物、例えば約10〜50%の糖を含有してい
るシロップ、及び例えば約20〜50%のエタノールを含有しているエリキシル等のよう
な形態で経口投与されてもよいし、又は等張媒体中の無菌の注射可能な溶液もしくは約0
.05〜5%の懸濁化剤を含有している懸濁物の形態で非経口投与されてもよい。そのよ
うな薬学的調製物は、例えば、より一般的には約5重量%と60重量%との間で担体と組
み合わせられた約25〜約90%のタナプロゲト誘導体を含有し得る。
【0024】
利用されるタナプロゲト誘導体の有効投薬量は、利用される特定のタナプロゲトグルク
ロニド誘導体、投与の様式、及び処置される状態の重症度に依って変動し得る。しかしな
がら、一般には、本発明の化合物が、必要に応じて1日1〜4回分割された用量で与えら
れるか、又は徐放性の形態で与えられるような、動物の体重1kg当たり約0.5〜約5
00mgの1日投薬量で投与される場合に、充分な結果が入手される。大部分の大型哺乳
動物にとって、全1日投薬量は、約1〜100mg、又は約2〜80mgである。内用の
ための適切な投薬形態は、固形又は液状の薬学的に許容される担体と完全に混和された約
0.5〜500mgのタナプロゲト誘導体を含む。この投薬レジメンは、最適な治療的応
答を提供するために調整され得る。例えば、治療状況の必要性により示されるように、い
くつかの分割された用量が1日に投与されてもよいし、又は用量が比例して低下してもよ
い。
【0025】
これらのタナプロゲトグルクロニド誘導体は、経口投与されてもよいし、静脈内、筋肉
内、又は皮下の経路により投与されてもよい。タナプロゲト誘導体の性質及び所望の特定
の投与形態にとって適当であるように、固形担体には、デンプン、乳糖、リン酸二カルシ
ウム、微晶質セルロース、ショ糖、及びカオリンが含まれ、液状担体には、滅菌水、ポリ
エチレングリコール、非イオン性界面活性剤、並びにトウモロコシ油、ピーナッツ油、及
びゴマ油のような食用油が含まれる。風味剤、着色剤、保存剤、並びに抗酸化剤、例えば
、ビタミンE、アスコルビン酸、BHT、及びBHAのような薬学的組成物の調製におい
て慣習的に利用されているアジュバントが、有利には含まれ得る。
【0026】
調製及び投与の容易さの見地から好ましい薬学的組成物は、固形組成物、特に、錠剤及
び硬充填カプセル又は液体充填カプセルである。タナプロゲトグルクロニド誘導体の経口
投与が、現在のところ好ましい。
【0027】
これらのタナプロゲト誘導体は、非経口的に投与されてもよいし、腹腔内に投与されて
もよい。遊離の塩基又は薬理学的に許容される塩としてのこれらのタナプロゲト誘導体の
溶液又は懸濁物は、ヒドロキシプロピルセルロースのような界面活性剤と適切に混合され
た水において調製され得る。分散物も、グリセロール、液体、ポリエチレングリコール、
及び油中のそれらの混合物において調製され得る。保管及び使用の通常の条件の下では、
これらの調製物は、微生物の増殖を防止するための保存剤を含有している。
【0028】
注射可能な使用のための適切な薬学的形態には、無菌の水性の溶液又は分散物、及び無
菌の注射可能な溶液又は分散物を即時調製するための無菌の粉末が含まれる。いずれの場
合にも、その形態は無菌でなければならず、容易に注射器を通過する(easy syringe abi
lity exits)程度に流動性でなければならない。それは、製造及び保管の条件の下で安定
していなければならず、細菌及び真菌のような微生物の汚染作用に対して保存されていな
ければならない。担体は、例えば、水、エタノール(例えば、グリセロール、プロピレン
グリコール、及び液体ポリエチレングリコール)、それらの適当な混合物、及び植物油を
含有している溶媒又は分散媒であり得る。
【0029】
本発明は、本明細書に記載されたレジメンにおいて使用するために設計された薬学的処
方物のキット又はパッケージを提供する。一つの実施形態において、これらのキットは、
とりわけ、21日、28日、30日、又は31日の周期の間の毎日経口送達のため、そし
て1日1回の経口送達のために設計されている。組成物が連続的に送達される場合には、
パッケージ又はキットは、各錠剤内に組成物を含み得る。この組成物が間欠的な中止を伴
って送達される場合には、パッケージ又はキットは、組成物が送達されない日のプラセボ
を含み得る。
【0030】
一つの実施形態において、キットは、周期の各日に摂取すべき一回経口処方物又は経口
処方剤の組み合わせ(指定された各日に摂取すべき経口錠剤を含む)を示すために組織化
され、さらなる実施形態において、1個の経口錠剤は、示された1日投薬量の組み合わせ
の各々を含有する。
【0031】
一つの実施形態において、キットは、21日、28日、30日、又は31日の周期の間
の1日投薬量の本発明の化合物の単一の相を含み得る。又は、キットは、28日、30日
、又は31日の周期のうちの最初の21日の間の1日投薬量の本発明の化合物の単一の相
を含んでいてもよい。キットは、30日又は31日の周期のうちの最初の28日の間の1
日投薬量の本発明の化合物の単一の相も含み得る。
【0032】
さらなる実施形態において、キットは、21日、28日、30日、又は31日の周期の
間の1日投薬量の本発明の化合物及びエストロゲンの単一の組み合わせ相を含み得る。又
は、キットは、28日、30日、又は31日の周期のうちの最初の21日の間の1日投薬
量の本発明の化合物及びエストロゲンの単一の組み合わせ相を含んでいてもよい。キット
は、30日又は31日の周期のうちの最初の28日の間の1日投薬量の本発明の化合物及
びエストロゲンの単一の組み合わせ相も含み得る。
【0033】
もう一つの実施形態において、28日キットは、1日投薬量単位の本発明の化合物の第
1相(14日目〜28日目);1日投薬量単位のエストロゲンの第2相(1日目〜11日
目)を含むことができ;場合によって、周期の残りの日のための経口的かつ薬学的に許容
されるプラセボの第3相を含んでいてもよい。
【0034】
さらなる実施形態において、28日キットは、1日投薬量単位の本発明の化合物の第1
相(14日目〜21日目);1日投薬量単位のエストロゲンの第2相(1日目〜11日目
)を含むことができ;場合によって、周期の残りの日のための経口的かつ薬学的に許容さ
れるプラセボの第3相を含んでいてもよい。もう一つの実施形態において、28日キット
は、1日投薬量単位の本発明の化合物の第1相(18日目〜21日目);1日投薬量単位
のエストロゲンの第2相(1日目〜7日目)を含むことができ;場合によって、28日周
期のうちの残りの0〜9日の各々のための経口的かつ薬学的に許容されるプラセボの第3
相を含んでいてもよい。
【0035】
もう一つの実施形態において、28日キットは、1日投薬量単位の本発明の化合物の第
1相(21日目);22〜24日目のための3日間の1日投薬量単位のエストロゲンの第
2相を含むことができ;場合によって、25〜28日目の各々のための4日間の1日投薬
量単位の経口的かつ薬学的に許容されるプラセボの第3相を含んでいてもよい。
【0036】
さらにもう一つの実施形態において、上記レジメンの薬学的に活性な各成分の1日投薬
量は、それが送達される特定の各相において固定され続ける。記載された1日用量単位が
、記載された順序で、第1相に続いて第2相及び第3相が順番に送達されることがさらに
好ましい。各レジメンの遵守の促進を補助するために、キットは、周期の最終日のための
記載されたプラセボを含有していてもよい。
【0037】
経口使用のための薬学的薬剤の投薬において使用するための多数のパッケージ又はキッ
トが、当該分野において公知である。一つの実施形態において、パッケージは、28日周
期の各日のための表示(indicator)を有し、ラベル付きブリスターパッケージ(labeled
blister package)、ダイヤルディスペンサー(dial dispenser)パッケージ、又はボト
ル(bottle)であり得る。
【0038】
(代謝産物及びその使用)
本発明のタナプロゲトグルクロニド誘導体は、被験体におけるタナプロゲト又はタナプ
ロゲトプロドラッグ(例えば、S−グルクロニドタナプロゲト化合物)による治療をモニ
タリングするのに有用である。さらに、本発明は、タナプロゲト及びそのプロドラッグに
よる治療をモニタリングするのに有用なその他のタナプロゲト代謝産物を提供する。試薬
及び/又はスタンダードとして使用される場合、上記タナプロゲト代謝産物化合物は、例
えば、放射タグ、蛍光タグ、又は比色タグにより標識され得る。
【0039】
一つの実施形態において、本発明は、さらに、酵素的又は合成的に作製され得る、単離
されたタナプロゲト代謝産物を提供する。そのような代謝産物は、タナプロゲトグルクロ
ニド誘導体の中から選択され得る。その他の適切な代謝産物は、タナプロゲトコア構造お
よび任意の置換を含んでおり、例えば、チオカルボニル基上に位置するスルフェート部分
を有するタナプロゲト;ピロール環上に位置するヒドロキシ基を有するタナプロゲト;フ
ェニルピロール環上に位置するヒドロキシ基を有するタナプロゲト;及びチオカルボニル
基の代わりのカルバメートを有するタナプロゲトを含む。
【0040】
1又はそれ以上のこれらのタナプロゲト代謝産物は、試料中のタナプロゲト代謝産物の
存在を検出するための方法において、スタンダードとして、即ち比較目的のために役立ち
得る。「試料」とは、本明細書において使用される場合、例えば、個体から単離された組
織もしくは液体(血漿、血清、脳脊髄液、尿、リンパ液、涙、唾液、及び組織切片が挙げ
られるがこれらに限定されない)、又はインビトロ細胞培養物構成要素から単離された組
織もしくは液体のような生物学的試料、並びに環境からの試料をさす。
【0041】
もう一つの実施形態において、1又はそれ以上のタナプロゲト代謝産物は、試料中のタ
ナプロゲト代謝産物の存在を検出するために使用される抗体を作製するために使用され得
る。適切には、抗体は、タナプロゲト誘導体に対して特異的なモノクローナル抗体又はポ
リクローナルの抗体である。一つの望ましい実施形態において、そのような抗体は、本発
明のタナプロゲト誘導体に選択的に結合し、その代謝産物をタナプロゲト及びその他の代
謝産物から区別する。
【0042】
「抗体」という用語には、本明細書において使用される場合、タナプロゲト及び/又は
その代謝産物と特異的に反応性であるそれらの断片、例えば、Fv断片及びF(ab)2
断片が含まれることが意図される。
【0043】
本発明のタナプロゲト誘導体に対して特異的な抗体は、本発明の誘導体を抗原として標
準的な技術を使用して調製され得る。例えば、Sambrook, Molecular Cloning: A Laborat
ory Manual, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, NYを参照のこと。
【0044】
タナプロゲト代謝産物の特異的な部位に対するポリクローナル抗体及びモノクローナル
抗体は、イムノアッセイ又は治療薬物モニタリング(TDM)キットの開発のために使用
され得る。そのようなアッセイには、直接型、阻害型、競合型、もしくはサンドイッチ型
のイムノアッセイ(ELISAもしくはその他のアッセイ系)、RIA(ラジオイムノア
ッセイ)、固相型もしくは液相型のアッセイ、又は自動化されたアッセイ系が含まれるが
、これらに限定されない。
【0045】
競合型アッセイが使用される場合、抗体のための競合剤は、アッセイプレートに結合し
た本発明のタナプロゲト誘導体、又は標識された誘導体、例えば、蛍光標識された誘導体
、放射標識された誘導体、もしくはトリチウム標識された誘導体であり得る。
【0046】
望まれる場合、キットは、本発明の方法を促進するために使用され得る。本発明のキッ
トは、適当に標識されたトレーサー、抗体、スタンダード、使用説明書、及びパッケージ
ングを含み得る。トレーサーのための標識は、任意の適切な標識、例えば、放射標識、蛍
光標識、又は比色(calorimetric)標識であり得る。便利である場合、キットの成分は、
凍結乾燥形態であり得る。
【0047】
本発明のアッセイ手順は、正確かつ再現性のある結果を与えるために、標準的な生物学
的分析(bioanalytical)装置を使用して迅速かつ単純に実施され得るという利点を有す
る。また、全血が、抽出の必要なしに使用され得る。
【0048】
本発明は、試料(例えば、血液又は尿)中のタナプロゲト代謝産物の量を検出するのに
適したアッセイキットも提供する。一つの実施形態において、キットは、試料中のタナプ
ロゲト代謝産物から医薬品(pharmaceutical)を置換する結合競合剤;及びその医薬品と
結合するが、結合競合剤とは有意に結合しない抗体を含む。
【0049】
以下の実施例は、本発明を例示するために提供され、その範囲を制限するものではない
。特定の試薬及び条件が以下の実施例において概説されるが、改変がなされてもよく、そ
れらも、本発明の趣旨及び範囲に包含されるものであることを、当業者であれば認識する
であろう。
【0050】
以下の実施例は、本発明の化合物を作製するための方法を例示するものである。
【実施例1】
【0051】
(ラット肝臓ミクロソームからのタナプロゲトS−グルクロニドの調製)
タナプロゲトのグルクロニドを、雄ラット肝臓ミクロソームにおいて調製し、その構造
を、液体クロマトグラフィ(LC)/質量分析(MS)及び核磁気共鳴(NMR)分光法
によりS−グルクロニド抱合体として同定した。この代謝産物を、雄及び雌両方のラット
、イヌ、及びヒトの肝臓ミクロソームにおいても主要な代謝産物として同定し、この代謝
産物は、ラット、イヌ、及びヒトの血漿中に見出された主要な薬物関連成分でもあった。
このS−グルクロニドは、N−グルクロニドと同時に、合成によっても調製され得る。2
つの合成グルクロニドは、HPLCによって分離することが可能であり、それらの構造は
、全て、LC/MS及びNMR分光法により特徴決定した。以下のスキームにおいては、
NSP−989という用語を、タナプロゲトの代わりに使用する。
【化8】

【0052】
(A.タナプロゲトのインキュベーション及びタナプロゲトグルクロニドの抽出)
スプラーグ・ドーリーラットからの肝臓ミクロソームを、レーク(Lake)[Lake, B. I
n Biochemical Toxicology: A Practical Approach, Snell, K, Mullock, B(eds),IRL Pr
ess: England, 1987, 183-215]により記載された分画超遠心法(differential ultracen
trifugation method)をわずかに改変したものを使用して、組織内で調製した。ミクロソ
ームタンパク質及びシトクロムP450含有量は、それぞれ、ブラッドフォード(Bradfo
rd)[Bradford, MM Anal. Biochem. 1976; 72:248-254]並びにオオムラ(Omura)及び
サトウ(Sato)[Omura, T, Sato, R J. Biol. Chem. 1964; 238: 2370-2378]の方法に
より決定した。タンパク質濃度及びP450含有量は、それぞれ、50.9mg/mL及
び0.42nmol/mgタンパク質であった。酢酸アンモニウム、塩化マグネシウム、
及びウリジンジホスホグルクロン酸(UDPGA)は、シグマケミカル社(Sigma Chemic
al Company)(St.Louis,MO)より購入した。抽出及びクロマトグラフィ分析
のために使用した溶媒は、HPLCグレード又はACS試薬グレード(Mallinckrodt Bak
er,Phillipsburg,NJ)であった。
【0053】
インキュベーション(100mL)は、37℃で、0.1Mリン酸カリウムバッファー
(pH7.4)において、タナプロゲト(40μM)、UDPGA(5mM)、塩化マグ
ネシウム(10mM)、及び雄ラット肝臓ミクロソーム(1.5mg/mL)を用いて実
施した。試料を37℃で1分間プレインキュベートし、UDPGAの添加により反応を開
始させた。3時間後に反応を中止するため、氷浴を使用して試料を冷却した。未反応のタ
ナプロゲトを、ジエチルエーテルによる2回の抽出(200mL×2)により試料から除
去した。
【0054】
タナプロゲトグルクロニド及び残存している未反応のタナプロゲトを、C−18カート
リッジを使用した固相抽出及びメタノール(10mL)による溶出により抽出した。メタ
ノール溶出剤を、室温で真空下で回転式蒸発により乾燥させた。残渣を、50%アセトニ
トリルを含む水(5mL)で抽出し、15分間3500rpmで遠心分離した。上清の一
定分量(800μL)を、半調製用カラムを用いたウォーターズ(Waters)2690(登
録商標)HPLCシステムにより分析した。タナプロゲト代謝産物の分離は、フェノメネ
ックスルナ(Phenomenex Luna)TMカラム(C18、250×10mm ID、5μm粒
子サイズ)(Phenomenex,Torrance,CA)で達成し、代謝産物は、310nmでUV吸光度
をモニタリングすることにより検出した。オートサンプラーの温度は6℃、カラムは室温
に設定した。酢酸アンモニウム(10mM、pH4.5)及びアセトニトリルを、それぞ
れ移動相A及びBとして使用した。5分のポストラン再平衡化(post run re-equilibrat
ion)と共に、2mL/分の流速で、以下の勾配を利用した:0分の20%B、1分の2
0%B、10分の40%B、20分の70%B、25分の95%B、28分の95%B、
30分の20%B。これらの条件下で、15.5分目のタナプロゲトグルクロニドピーク
(M1)を、NMR分光分析のために収集した。グルクロニド抱合体ピークを含有してい
る画分を、清潔なチューブへと収集し、収集直後にドライアイスで凍結させた。全てのグ
ルクロニド画分を合わせ、アセトニトリルを回転式蒸発により除去した。グルクロニドは
、C−18カートリッジを使用した固相抽出により水性溶出液から抽出した。水(2mL
)を使用して、残留バッファーを洗浄し、50%メタノールを含む水を使用してグルクロ
ニド抱合体を溶出させた。メタノール/水溶出液を、室温で真空下で回転式蒸発により乾
燥させた。残存している水性溶液を、凍結乾燥により水を除去するため、5mLコニカル
バイアルに移した。固体残渣の乾燥を一晩続けて、さらに水分を除去した後、NMR分光
分析を行った。
【0055】
(B.HPLC/MS分析条件)
この研究においては、マイクロマスクワトロウルティマ(Micromass Quattro Ultima)
TM三連四重極質量分析計(Waters Corp.,Milford,MA)を使用した。それは、エレクトロ
スプレーイオン化(ESI)インターフェースが装備されており、正イオン化モード及び
負イオン化モードの両方で運転された。質量分析計の設定は以下の通りであった:ESI
スプレー2.5KV、コーン(cone)50V、質量分解能0.7Da±0.2Da半分の
高さにおける幅(width at half height)、脱溶媒和ガスフロー(desolvation gas flow
)900〜1000L/h、コーンガスフロー(cone gas flow)50〜80L/h、ソ
ースブロック(source block)温度80℃、脱溶媒和ガス(desolvation gas)温度25
0℃。LC/MSデータは、マイクロマスマスリンクス(Micromass MassLynx)ソフトウ
ェア(Waters Corp.、バージョン3.5及び4.0)により分析した。
【0056】
ラット肝臓ミクロソームから単離したタナプロゲトグルクロニドのクロマトグラフィ分
析のために使用した溶媒は、HPLCグレード又はACS試薬グレード(Mallinkrodt Bak
er, Phillipsburg, NJ and EMD Chemicals, Gibbstown, NJ)であった。質量分析計と連結
されたHPLCシステムは、ウォーターズアライアンス(Alliance)モデル2695TM
PLCシステムであった。それには、組み込み型のオートサンプラー及び210〜350
nmをモニタリングするために設定されたモデル996ダイオードアレイUV検出器が装
備されていた。デルタボンド(Deltabond)TMC18ガード(guard)カラム(10×2m
m)(ThermoElectron Corp.,Bellefonte,PA)と共
に、フェノメネックスルナC18(2)カラム(150×2mm、5μm)(Phenomenex
,Torrance,CA)を用いて分離を達成した。流速は、0.3mL/分であった。LC/MS
試料分析において、最初の10分までの流れは質量分析計外にそらした後、代謝産物の評
価を行った。移動相Aは、(等モル量の酢酸アンモニウム及び酢酸の0.5Mストック溶
液から希釈した)10mM酢酸アンモニウムを含む水(pH4.5)であり、移動相Bは
アセトニトリルであった。使用した直線移動相勾配は、以下のとおりであった:0分の1
0%B、1分の10%B、10分の15%B、35分の17.5%B、36分の25%B
、50分の30%B、55分の50%B、60分の90%B、62分の90%B、65分
の10%B、75分の10%B。
【0057】
(C.LC/MS結果)
タナプロゲトグルクロニドからは、プロトン化分子イオン及び脱プロトン化分子イオン
(それぞれ、m/z474及び472の[M+H]+及び[M−H]-)が生成し、、47
3という分子量が示された。これは、タナプロゲトより176Da大きかった。正イオン
化質量スペクトルにおけるm/z474からの176Daの欠損、及び負イオン化質量ス
ペクトルにおけるm/z472からの176Daの欠損により、タナプロゲトとしてアサ
インされるフラグメントイオンが、正イオン化モードにおいてはm/z298、負イオン
化モードにおいてはm/z296に生じた。グルクロン酸イオンフラグメントは、負イオ
ン化モードでm/z175に観察された。m/z339フラグメントイオンは、グルクロ
ン酸環のフラグメント化によるものであるようである。これらのデータは、タナプロゲト
のグルクロン酸抱合と一致していた。
【0058】
(D.NMR分光法)
重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)を、全てのNMR試料のために使用
した。ラット肝臓ミクロソームから単離された代謝産物試料のための溶解は、大気中の水
の吸収を低下させるため、アルゴン下でグローブバッグにおいて行った。代表的には、全
部で200μLのDMSO−d6のうちの一定分量50μLを使用して、真空乾燥した試
料を含有しているバイアルを濯ぎ、次いで、3mm NMRチューブへと移した。NMR
スペクトルは、500(バリアンイノバ(Varian Inova)TM装置)及び600(ブルカー
アバンス(Bruker Avance)TM装置)MHzで入手した。実験NMR研究の大部分は、バ
リアンTM3mm 1Hオブザーブ(observe)間接検出プローブが装備されたバリアンイノ
バ500TMMHz装置で実施した。1H及び13Cについての化学シフトδ(ppm)は、
内部TMS(δ0.0)に対して報告される。DMSO−d6において、1H化学シフトは
、δ2.49の残留プロトン化DMSOを基準とし、13C化学シフトは、δ39.5の内
部DMSO−d6を基準とする。15Nについての化学シフトは、液体アンモニア(δ0.
0)に対して報告され、δ112.0の外部ホルムアミドを基準とする。プロトン多重度
は、s=一重線、d=二重線、dd=二重線の二重線、及びm=多重線として報告される
。J値は、Hz単位で1H−1H結合定数として与えられる。
【0059】
1H−NMR実験のための一般的なパラメーターには、5000Hzスペクトル幅、3
2Kデータポイント、45°パルス幅、1秒リラクゼーションディレイ(relaxation del
ay)、及び試料濃度に依る32〜>1000スキャンの平均化が含まれる。ラインブロー
ドニング(Line broadening)(およそ0.5Hz)又はガウスプロセシング(gaussian
processing)ルーチンを、信号雑音比(S/N)を増加させるために使用した。13C−N
MR実験のための一般的なパラメーターには、25,000Hzスペクトル幅、64Kデ
ータポイント、45°パルス幅、1秒リラクゼーションディレイ、及び最適なS/Nを達
成するための少なくとも10,000スキャンの平均化が含まれる。さらに、2Hzのラ
インブロードニングを、S/Nを増加させるために適用した。全てのスペクトルを、25
℃で取得した。
【0060】
いくつかの型の2D NMR実験を、1H−1H及び1H−13Cの化学結合(connectivit
ies)を決定するために利用した。これらには、結合を3個隔てた(three-bond)1H−1
H化学結合の決定のためのgCOSY実験、結合1個、結合2個、結合3個、及び結合4
個を隔てた1H−13C化学結合の決定のためのgHSQC実験及びgHMBC実験、並び
にスルースペース(through-space)化学結合の決定のためのNOESY実験又はROE
SY実験が含まれた。
【0061】
新鮮に単離されたタナプロゲトグルクロニド試料を使用して数回試みたにも関わらず、
代表的には試料の純度及び濃度は低く(純度<70%、及び推定された溶液中の全量<2
0μg)、そのため、完全な2D NMRデータセットの取得が妨げられた。さらに、ミ
クロソームインキュベーション及びその後の単離工程の過程において、溶液は、(タナプ
ロゲトの硫黄が酸素に交換された)タナプロゲトのカルバメートアナログを迅速に生成さ
せる傾向があった。にも関わらず、ラット肝臓ミクロソームから単離されたタナプロゲト
グルクロニドのほぼ完全な1H及び13Cアサインメントを作成するために十分な化学シフ
ト、カップリング、及び2D NMR相関が入手された。しかしながら、グルクロニド付
着の位置を、ミクロソームに由来する試料単独からは決定することができなかった。H−
1’(5.10ppm)からC−6(161.63ppm)への、唯一の鍵となるプロト
ン−炭素ヘテロ核相関を、ラット肝臓ミクロソームインキュベーション試料のgHMBC
NMRスペクトルにおいて観察した。しかしながら、代謝産物が、N−グルクロニドで
あったとしても、又はS−グルクロニドであったとしても、この同一のクロスピークが予
想された(即ち、いずれの場合にも結合3個を隔てたカップリング)。
【実施例2】
【0062】
(合成タナプロゲトグルクロニド抱合体の調製)
【化9】

(A.HPLC/MS及びNMR分析条件)
合成化合物のためのHPLC/MSデータを、ウォーターズZQTM質量分析計に連結し
たウォーターズアライアンス2695TMHPLCを使用して取得した。一般に、以前に記
載されたようなオープンアクセス(open-access)LC/MS法[Mallis,LM,Sarkahian,A
B,Kulishoff,JM,Jr.,Watts,WL,Jr.J.Mass Spectrom.2002;37:889-896]を使用して試料を
分析した。
【0063】
CDCl3(Aldrich,Milwaukee,WIからの重水素化溶媒)に溶解
した2を除き、全てのNMR試料のために重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d
6)を使用した。NMRスペクトルは、300MHz(ブルカーDPXTM装置)、400
MHz(バリアンイノバTM装置)、500MHz(バリアンイノバTM装置)、及び600
MHz(ブルカーアバンスTM装置)で入手した。実験NMR研究の大部分を、バリアンTM
3mm 1Hオブザーブ間接検出プローブが装備されたバリアンイノバ500TMMHzの
装置で実施した。DMSO−d6における化学シフトδ(ppm)は、タナプロゲトグル
クロニドについて既に記載されたように報告する。CDCl3において、1H化学シフトは
、δ7.27の残留プロトン化CHCl3を基準とし、13C化学シフトは、δ77.7の
内部CDCl3を基準とする。15Nについての化学シフトは、タナプロゲトグルクロニド
について既に記載したようにして報告する。
【0064】
1H−NMR及び13C−NMR実験のための一般的なパラメーターは、タナプロゲトグ
ルクロニドについて既に記載したようなものである。全てのスペクトルを25℃で取得し
た。1H−1H及び1H−13Cの化学結合を決定するために使用した2D NMR実験は、
gCOSY、gHSQC、gHMBC、NOESY、及びROESYであった。
【0065】
(B.タナプロゲトの保護されたS−グルクロニド酸(2)の調製)
無水ジメチルホルムアミド(DMF)(10mL)中のタナプロゲト(0.292g、
1.0mmol)の溶液を、およそ−70℃(ドライアイス)に冷却したDMF(50m
L)中の水素化ナトリウム(NaH)(0.052g、2.2mmol)の溶液に、窒素
雰囲気下で滴下にて添加した。10分間攪拌した後、DMF(10mL)中のアセトブロ
モ−α−D−グルクロン酸メチルエステル(0.396g、1mmol)の溶液を、滴下
にて添加した。次いで、反応溶液を室温にまで加温し、全部で24時間攪拌した。24時
間後、反応溶液を、水(100mL)と酢酸エチル(100mL)との間で分配した。水
層を、酢酸エチル(100mL)で再び抽出した。合わせた有機層を、飽和塩化ナトリウ
ム(NaCl)溶液(100mL)で洗浄し、乾燥させ(硫酸マグネシウム、MgSO4
)、溶媒を真空で除去した。粗材料の一定分量を、50〜95%アセトニトリル/水の勾
配による低圧逆相C18(RediSep/ISCO、125×25mm ID、40μ
m粒子サイズ)の条件下でクロマトグラフィに供した。75〜80%アセトニトリル/水
で溶出した画分が、タナプロゲトのS−保護された(D)−グルクロン酸誘導体(2)を
含有していた。全部でおよそ200mgの(2)を、NMR分光分析に基づき95%の純
度で入手した(単離収率32%)。全ての化学物質を、アルドリッチ(Aldrich)(Milwa
ukee,WI)より購入し、さらなる精製又は乾燥なしに使用した。
【0066】
(C.タナプロゲトのN−グルクロン酸誘導体(3)及びS−グルクロン酸誘導体(4
)の調製)
別々の反応において、無水DMF(5mL)中のタナプロゲト(0.146g、0.5
mmol)の溶液を、およそ−70℃(ドライアイス)に冷却したDMF(25mL)
中のNaH(0.027g、1.1mmol)の溶液に、窒素雰囲気下で滴下にて添加し
た。次いで、10分間攪拌した後、DMF(5mL)中のアセトブロモ−α−D−グルク
ロン酸メチルエステル(0.198g、0.5mmol)の溶液を滴下にて添加した。次
いで、反応溶液を室温にまで加温し、全部で8時間攪拌した。反応溶液を、水(100m
L)と酢酸エチル(100mL)との間で分配した。水層を、酢酸エチル(100mL)
で再び抽出した。合わせた有機層を飽和NaCl溶液(100mL)で洗浄し、乾燥させ
(MgSO4)、溶媒を真空で除去して、0.350gの粗反応材料を得た。この材料(
0.210g)の一部に、MeOH/ヒューニッヒ(Hunig's)塩基((iso−Pr)2
NEt)/H2O(5mL/2mL/2mL)の溶液を添加し、その溶液を室温で8.5
時間撹拌した。次いで、HCl(濃、およそ1.5mL)を使用して、反応溶液のpHを
2.5に調整し、10mM(水性)酢酸アンモニウム中の15〜35%アセトニトリルの
勾配によるYMC−パック(Pack)CN150×20mm、S−5μmカラムを使用した
半調製用逆相HPLCによるクロマトグラフィに供した。反復的に注入して、およそ5m
gのN−(D)−グルクロン酸誘導体(3)(タナプロゲトからの単離収率3%)及び1
5mgのS−(D)−グルクロン酸誘導体(4)(タナプロゲトからの単離収率10%)
を、NMR分析及びLC/MS分析及び比較のため、>98%の純度へと精製した。
【実施例3】
【0067】
(合成化合物のM1との比較)
ミクロソームに由来する代謝産物及び合成化合物のスペクトルデータ及びクロマトグラ
フィデータの詳細な比較から、上記代謝産物を、タナプロゲトのS−(β)−D−グルク
ロニドであると決定した。
【0068】
タナプロゲトの保護されたS−グルクロニドである合成化合物2の正イオン化モードL
C/MSスペクトル(示さず)は、614にプロトン化分子イオン[M+H]+を与え、
従って、613という分子量が示された。297Daの欠損は、[M+H−タナプロゲト
+にアサインされるm/z317を与えた。m/z257のイオンシグナルは、m/z
317−酢酸(C242)にアサインされ、m/z197に観察されたイオンは、m/
z257−酢酸(C242)にアサインされる。また、m/z155のイオンは、m/
z197−アセチル(C23O)+Hにアサインされる。S−グルクロニド4のプロトン
化及び脱プロトン化LC/MSスペクトル(示さず)は、それぞれ、474の[M+H]
+イオン及びm/z472の[M−H]-イオンを与え(3の場合と同様であった。スペク
トルは示さず)、従って、タナプロゲトのグルクロニド化が示された。4については、正
イオン化モード及び負イオン化モードの質量スペクトルにおいて、タナプロゲト、即ち、
グルクロン酸の欠損としてアサインされるイオンm/z298及びm/z296も観察さ
れる。さらに、グルクロン酸としてアサインされるm/z175のフラグメントも、負イ
オン化スペクトルにおいて検出された。
【0069】
タナプロゲトの主要な合成グルクロニド、S−グルクロニド4が、上記のNMR及び質
量スペクトルの結果からS−グルクロニドであることがここで提唱されたタナプロゲトグ
ルクロニドと同一であるか否かを確認するため、HPLC比較も行った。異なる5つの型
の逆相HPLCカラムを、2つの異なる移動相条件の下で使用した。これらの10のHP
LC条件は、試料中の主要成分及び微量成分の溶出順序の変化により証明されるような広
範囲の選択性をカバーした。2つの試料における主要ピークの保持時間を比較し、マッチ
させるため、スパイキング(spiking)実験を実施した。S−グルクロニド4であること
が決定された合成グルクロニドは、10のHPLC条件全てにおいてタナプロゲトグルク
ロニド代謝産物と同一の保持時間を有することを見出した。
【0070】
タナプロゲト内のグルクロニド化の部位を突き止めた、合成化合物3及び4における鍵
となるNMR相関を、以下に記載する。N−グルクロニド上のβ−立体化学を有するアノ
マープロトン(H−1’)についてのプロトン化学シフト及び結合定数は、6.31pp
mであり、9.5Hzの結合定数を有する二重線である。アノマー炭素(C−1’)の炭
素化学シフトは、90.2ppmである。タナプロゲトのN−グルクロニド化代謝産物の
ベンゾオキサジン−2−チオン炭素(C−6)の炭素化学シフトは、188.0ppmで
あり;これは、182.8ppmの親分子タナプロゲトにおいて観察されたベンゾオキサ
ジン−2−チオン基のチオカルボニル炭素に匹敵した。
【0071】
この分子のHMBCスペクトル(示さず)においては、4つの重要な結合3個を隔てた
相関が観察される。それらは、アノマープロトン(H−1’)からベンゾオキサジン−2
−チオン炭素(C−6)及び131.5ppmのsp2芳香族炭素(C−4)へ、並びに
それぞれ7.50ppm及び7.57ppmに観察されたプロトンH−7及びH−9から
C−4へ、である。N−グルクロニドに対してペリ位にあるプロトン(H−10)のプロ
トン化学シフトは、親分子における7.13ppmと比較して、7.80ppmへと低磁
場移動し(move downfwield)、従って、グルクロン酸基(及び、恐らく、カルボン酸部
分)のこのプロトンとの近接が示された。1H−15N gHMBC実験を、研究された全
ての化合物に対して実行したが、鍵となる窒素N−5からのシグナルは、H−10とのH
MBCクロスピークを有していたタナプロゲト(δ144.81)以外の化合物について
は観察されなかった。予想された他の窒素N−15は、タナプロゲト(δ154.99)
及び3(δ155.40)にのみ観察され、各化合物において、H−17、H−18、及
びH−19とのgHMBC相関を有していた。
【0072】
合成S−グルクロニド4上のβ−立体化学を有するアノマープロトン(H−1’)につ
いてのプロトン化学シフト及び結合定数は、5.11ppmであり、10.2Hzという
結合定数を有する二重線である。アノマー炭素(C−1’)の炭素化学シフトは、85.
0ppmである。このタナプロゲトのS−グルクロニド化代謝産物の誘導体化されたベン
ゾオキサジン−2−チオン炭素(C−6)の炭素化学シフトは、親分子タナプロゲトにお
いて観察されたベンゾオキサジン−2−チオン基の観察されたチオカルボニル炭素化学シ
フト(182.8ppm)から、かなり高磁場シフトした161.3ppmに観察される
。この分子のHMBCスペクトルにおいては、β−グルクロン酸のアノマープロトン(H
−1’)と、誘導体化されたベンゾオキサジン−2−チオン炭素(C−6)との間に結合
3個を隔てた相関が観察される。最後に、HMBCスペクトルにおいては、1.59pp
m及び1.70ppmに観察されたジェム−ジメチルプロトン(H−11及びH−12)
と、81.5ppmに観察されたこの基が付着している炭素(C−2)との間に結合2個
を隔てた相関が観察される。これらのデータは、タナプロゲトのベンゾオキサジン−2−
チオン(N(C=S)O)基が、S−グルクロニド化の前にチオールカルバメート(N(
C=O)S)基へと再編成されなかったことを確認する。
【0073】
タナプロゲトグルクロニド並びに2つの合成化合物3及び4から得られた1H NMR
スペクトル及びNMRデータの比較は、タナプロゲトグルクロニドがタナプロゲトのSグ
ルクロニド誘導体であるに違いないことを明らかにした。3について観察された6.31
ppmのH−1’と比較して、タナプロゲトグルクロニドについてのH1’化学シフトは
5.10ppmであり、4については5.11ppmである。また、タナプロゲトのベン
ゾオキサジン−2−チオン部分のC−6は、タナプロゲトグルクロニド及び4の両方と約
161ppmで共鳴するが、3とは188.0ppmで、タナプロゲトとは182.8p
pmで共鳴する。
【実施例4】
【0074】
(タナプロゲトグルクロニド抱合体代謝産物の酵素加水分解)
タナプロゲトグルクロニド誘導体が、患者に送達された場合、プロドラッグであること
を確認するために、ヒトの胃腸管に固有のグルクロニダーゼにより酵素的に切断されるグ
ルクロニド抱合体の能力を、以下のアッセイにおいて使用した。
【0075】
健康な女性からプールされた尿試料(4〜8hr)を、グルスラーゼ(Glusulase)(
登録商標)により加水分解した。プールされた尿の一定分量(1mL)を、0.5mLの
0.6M酢酸ナトリウムバッファーにより、pH5へと調整した。希釈した尿を、グルス
ラーゼ(登録商標)(9,000単位/mL、100μL)と混合し、温和に振とうしな
がら、37℃で1時間インキュベートした。2mLのアセトンの添加によりその反応を中
止させ、沈殿物を遠心分離により除去した。上清を、ターボバップ(TurboVap)TM(Cali
per Life Sciences,Hopkinton,MA)において窒素下で乾燥させた。残渣を、1mLの60
%メタノールを含む水で再構成し、その後、HPLC及びLC/MSにより分析したとこ
ろ、グルクロニドの親薬物タナプロゲトへの変換が確認された。グルスラーゼ(登録商標
)を添加せずに、又はグルスラーゼ(登録商標)及び10mMのサッカロラクトン(sacc
harolactone)(β−グルクロニダーゼ阻害剤)を用いて、同一の条件下で、コントロー
ルインキュベーションを実施したところ、グルクロニド抱合体のタナプロゲトへの変換は
観察されなかった。
【実施例5】
【0076】
(薬理学)
タナプロゲトグルクロニドは、主として避妊において使用するためのファーストインク
ラス(first-in-class)の非ステロイド性プロゲステロンレセプターアゴニストであるタ
ナプロゲトのプロドラッグである。T47D細胞におけるアルカリホスファターゼ(phos
phase)活性に対するタナプロゲトグルクロニドの効果を、以下のように分析する。
【0077】
(A.試薬)
培養培地:5%(v/v)チャコール処理(charkoal stripped)胎仔ウシ血清(非熱
不活化)、100U/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン、及び2m
Mグルタマックス(GlutaMax)(GIBCO,BRL)が補足されたDMEM:F12(
1:1)(GIBCO,BRL)。
【0078】
アルカリホスファターゼアッセイバッファー:I.0.2%トリトンX−100を含有
している0.1Mトリス−HCl(pH9.8)、4mM p−ニトロフェニルホスフェ
ート(Sigma)を含有している0.1Mトリス−HCl(pH9.8)。
【0079】
(B.細胞培養及び処置)
凍結T47D細胞を、37℃の水浴で解凍し、培養培地で280,000細胞/mLに
希釈する。96穴プレート(Falcon,Becton Dickinson Lab
ware)の各ウェルへ、180μlの希釈された細胞懸濁物を添加する。次いで、20
μlの培養培地で希釈した参照化合物又は試験化合物を、各ウェルへ添加する。細胞を、
5%CO2加湿雰囲気において37℃で24時間インキュベートする。ハイスループット
スクリーニングのため、各化合物の一つの濃度を、0.3μg/mLで試験する。ライブ
ラリー中の化合物の300g/molという平均分子量に基づき、その濃度はおよそ1μ
Mである。その後、活性化合物を、EC50を決定するために用量応答アッセイにおいて
試験する。
【0080】
(C.アルカリホスファターゼ酵素アッセイ)
処理の終了時に、培地をプレートから除去する。50μlのアッセイバッファーIを各
ウェルに添加する。プレートを、15分間、タイタープレートシェーカーで振とうする。
次いで、150μlのアッセイバッファーIIを各ウェルに添加する。光学濃度測定を、
405nMの試験波長で、30分間、5分間隔で行う。
【0081】
(D.用量−応答データの分析)
参照化合物及び試験化合物について、用量対酵素反応速度(勾配)に関する用量応答曲
線を作製する。平方根変換されたデータを、分散分析、並びにアゴニストモード及びアン
タゴニストモードの両方についての非直線用量応答曲線フィッティングのために使用する
。フーバー加重(Huber weighting)を使用して、外れ値の効果を下方加重(down-weight
)する。EC50値を、再変換された値から計算する。単回投与研究及び用量応答研究の両
方において、一元配置の分散分析及び非4直線(non-4 linear)用量応答分析の両方のた
め、JMPソフトウェア(SAS Institute,Inc.)を使用する。
【0082】
(E.結果)
タナプロゲトS−グルクロニドは0.1nMであり、その効力はプロゲステロンと比較
して60%であった。
【0083】
タナプロゲトは、上記実施例4に記載したような酵素加水分解実験により再生すること
が可能である。
【実施例6】
【0084】
(付加的なタナプロゲト代謝産物)
タナプロゲトグルクロニド代謝産物を入手するための実施例1に記載した方法を使用し
て、既知の技術を使用して、付加的なタナプロゲト代謝産物が、雄ラット肝臓ミクロソー
ム調製物、並びに雄及び雌のサルの肝臓ミクロソーム調製物において観察された。
【0085】
代謝産物M2は、雄ラット肝臓ミクロソーム調製物において観察された。この代謝産物
からは、m/z312の[M−H]−が生成した。不変のチオアミド基を示す、NCS−
からのm/z58の生成物イオンは、NSP−989についても観察された。m/z15
9及び195の生成物イオンは、代謝の部位としてのピロール環を示した。従って、代謝
産物M2は、ピロール部分にヒドロキシ基を有するヒドロキシ−NSP−989であるこ
とが提唱された。
【0086】
代謝産物M3は、雄ラット並びに雄及び雌のサルの肝臓ミクロソーム調製物において観
察された。この代謝産物からは、m/z312の[M−H]−が生成した。不変のチオア
ミド基を示す、NCS−からのm/z58の生成物イオンは、NSP−989についても
観察された。NSP−989についてはm/z220に観察された、m/z237の生成
物イオンは、フェニル環又はピロール環いずれかの酸化を示した。m/z195及び25
2の生成物イオンは、フェニル環又はピロール環の酸化と一致していた。従って、代謝産
物M3は、フェニル部分又はピロール部分にヒドロキシ基を有するヒドロキシ−NSP−
989であることが提唱された。
【0087】
代謝産物M4は、全てのインビトロ代謝試料において観察された。この代謝産物からは
、m/z280の[M−H]−が生成し、それは、NSP−989より16原子質量単位
(amu)小さかった。m/z58の生成物イオンの欠如及び分子量の16amuのシフ
トは、修飾されたチオアミド基を示した。m/z129、m/z220、及びm/z23
4に観察された生成物イオンは、NSP−989についても存在した。代謝産物M4は、
合成NSP−989−カルバメートと同一のHPLC保持時間及び生成物イオンスペクト
ル(データは示さず)も有していた。従って、代謝産物M4はNSP−989−カルバメ
ートとして同定された。
【0088】
代謝産物M6は、イヌ及びラットの肝臓ミクロソーム調製物において観察された。この
代謝産物からは、m/z344の[M−H]−が生成した。m/z80及びm/z81の
生成物イオンは、スルフェート基の存在を示した。m/z220及び234の生成物イオ
ンは、NSP−989分子の非チオカルボニル部分が不変であることを示した。従って、
代謝産物M6は、NSP−989スルフェート(6−(5−シアノ−1−メチル−1H−
ピロール−2−イル)−4,4−ジメチル−4H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−
2−スルホン酸)として同定された。
【0089】
これらの代謝産物は、グルクロニド誘導体について記載した上記の方法を使用して、ミ
クロソーム調製物から精製され得る。又は、これらの代謝産物は、慣習的な合成技術を使
用して作製されてもよい。
【0090】
この明細書において言及された特許、特許公開、及びその他の刊行物は、全て、本明細
書において参考として援用される。本発明は特定の実施形態に関して記載されたが、本発
明の精神から逸脱することなく改変がなされ得ることが、認識されるであろう。そのよう
な改変は、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タナプロゲトの合成グルクロニド誘導体。
【請求項2】
タナプロゲトが以下のコア構造を有する、請求項1に記載のタナプロゲトの合成グルク
ロニド誘導体。
【化1】

【請求項3】
化合物がタナプロゲトのS−グルクロニド誘導体である、請求項1に記載のタナプロゲ
トの合成グルクロニド誘導体。
【請求項4】
化合物がタナプロゲトのS−β−(D)−グルクロニド誘導体である、請求項3に記載
のタナプロゲトの合成グルクロニド誘導体。
【請求項5】
以下の構造を特徴とする、請求項1に記載の誘導体。
【化2】

【請求項6】
以下の構造を特徴とする、請求項1に記載の誘導体。
【化3】

【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の誘導体を含むスタンダードを含む、タナプロゲ
トによる治療をモニタリングするためのキット。
【請求項8】
試料を請求項1から6のいずれか一項に記載の誘導体と比較することを含む、タナプロ
ゲトの代謝産物を検出するための方法。
【請求項9】
タナプロゲト又はその誘導体に対して特異的である、請求項1に記載の誘導体を使用し
て作製された抗体。
【請求項10】
請求項9に記載の抗体を含む、タナプロゲトによる治療をモニタリングするためのキッ
ト。
【請求項11】
請求項9に記載の抗体との結合を検出することを含む、タナプロゲトの代謝産物を検出
するための方法。
【請求項12】
(a)酵素的に得られたタナプロゲトグルクロニド誘導体;
(b)チオカルボニル基上に位置するスルフェート部分を有するタナプロゲト;
(c)ピロール環上に位置するヒドロキシ基を有するタナプロゲト;
(d)フェニルピロール環上に位置するヒドロキシ基を有するタナプロゲト;及び
(e)チオカルボニル基上に位置するカルバメートを有するタナプロゲト
からなる群より選択されるタナプロゲト代謝産物を含む、被験体におけるタナプロゲト治
療をモニタリングするためのアッセイにおいて有用な組成物。
【請求項13】
パッケージング、及び請求項12に記載の組成物を含むスタンダードを含む、タナプロ
ゲトの代謝産物を検出するためのキット。
【請求項14】
タナプロゲトの代謝産物を検出するための方法であって、
(a)酵素的に得られたタナプロゲトグルクロニド誘導体;
(b)チオカルボニル基上に位置するスルフェート部分を有するタナプロゲト;
(c)ピロール環上に位置するヒドロキシ基を有するタナプロゲト;
(d)フェニルピロール環上に位置するヒドロキシ基を有するタナプロゲト;及び
(e)チオカルボニル基上に位置するカルバメートを有するタナプロゲト
からなる群より選択されるタナプロゲト誘導体と試料を比較することを含む、前記方法。
【請求項15】
(a)酵素的に得られたタナプロゲトグルクロニド誘導体;
(b)チオカルボニル基上に位置するスルフェート部分を有するタナプロゲト;
(c)ピロール環上に位置するヒドロキシ基を有するタナプロゲト;
(d)フェニルピロール環上に位置するヒドロキシ基を有するタナプロゲト;及び
(e)チオカルボニル基上に位置するカルバメートを有するタナプロゲト
からなる群より選択されるタナプロゲト誘導体を使用して作製された抗体。
【請求項16】
請求項15に記載の抗体を含む、タナプロゲトによる治療をモニタリングするためのキ
ット。
【請求項17】
請求項15に記載の抗体との結合を検出することを含む、タナプロゲトの代謝産物を検
出するための方法。
【請求項18】
薬学的に許容される担体及び請求項1から6のいずれか一項に記載のタナプロゲトのグ
ルクロニド誘導体を含む組成物。
【請求項19】
哺乳動物における避妊のために有用な医薬品の調製における、請求項1から6のいずれ
か一項に記載のタナプロゲトのグルクロニド誘導体又はその薬学的に許容される塩の使用


【公開番号】特開2012−121907(P2012−121907A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−44368(P2012−44368)
【出願日】平成24年2月29日(2012.2.29)
【分割の表示】特願2007−525765(P2007−525765)の分割
【原出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(309040701)ワイス・エルエルシー (181)
【Fターム(参考)】