説明

タワーを現地で形成するための装置、複合部分、および方法

【課題】大型発電風力タービンタワーの現地形成を可能にする装置及び方法を提供する。
【解決手段】間に隙間214を有する内側積層板220および外側積層板230は、どちらも基質材および織物層を含む。内部空洞254を有する複数のチューブ252が、内側積層板220と外側積層板230の隙間214の中に位置している。複数のチューブ252によって占有されていない隙間の中に同心配置の全長に沿って強化材250が配置され、複合部分120をもたらす。複数の引張り部材256が複数のチューブ252に通されて、複合部分120のそれぞれにポストテンションを与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にタワーに関し、より具体的にはタワーの現地形成を可能にする装置、方法および複合部分に関する。
【背景技術】
【0002】
大型の発電風力タービンは、ますます高くなっている。しかし、一定の高さを超えると、標準的なスチールパイプ製のタワーは、経済的でない、すなわち、さらなる高さを構築するコストが、より高高度のより優れた風況の利益に勝ることになると実証されている。このことが、より高いタワーを達成する代替のタワー技術の研究を促す。
【0003】
モジュール化またはパネル化されたコンクリートのタワーは、材料が低コストのうえに実地/現地での組立てが可能なため、風力タービンタワー産業の新しい傾向になっている。コンクリートは、圧縮に対する優れた選択肢として知られているが、張力に耐えるように特別な取扱いをしなければならない。一般に、コンクリートを強化するのに、鉄筋およびポストテンションケーブルが使用される。さらに、コンクリート部分を形成するとき、必要とされる公差を満たすために、スチール製の型が使用される。スチール製の型は、2mm以内の厳しい公差を維持しなければならない。結果として、スチール製の型は、タワーの複合部分向けのモジュールまたはパネルの50〜100回の成形の後に交換する必要がある。さらなる難点として、一般にコンクリートは、スチール製のタワーより約4〜5倍重く、タワーを支持するための大きい基礎を構築しなければならないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7811495号公報明細書
【発明の概要】
【0005】
したがって、上記難点の影響を受けない装置、複合部分、および現地でタワーを形成する方法が望まれる。
【0006】
本開示の例示的実施形態によれば、タワーの複合部分を現地で形成する方法が提供される。この方法には、複合シェルの構築が含まれる。構築するステップは、内側積層板と外側積層板の同心配置を形成するステップを含み、同心配置は、強化層を収容するのに適した隙間を含む。内側積層板および外側積層板を形成するステップは、織物層に基質材を与えるステップと、基質材および織物層を硬化するステップとを含む。複数のチューブが複合シェルの隙間に配置され、複数のチューブは、内部空洞を含み、複合シェルの全長にわたる。次に、複数のチューブによって占有されていない複合シェルの隙間が、強化材の量で満たされる。最終的に、複合シェルと強化材が一緒に接合され、タワーの複合部分が現地で形成される。
【0007】
本開示の別の例示的実施形態によれば、タワーの複合部分が提供される。タワーの複合部分は、内側積層板と外側積層板の同心配置を含む。内側積層板および外側積層板は、基質材および織物層を含む。同心配置は、強化層を収容するのに適した全長および隙間を含む。複合部分は、内部空洞を有する複数のチューブを含み、複数のチューブは、隙間の中に同心配置の全長に沿って位置する。複数のチューブによって占有されていない同心配置の隙間に強化材が配置され、タワーの複合部分の現地形成が可能になる。
【0008】
本開示の別の例示的実施形態によれば、タワー複合部分を現地で形成するための装置が提供される。この装置は、複数の取外し可能な型と、複数の取外し可能な型の上に構成して配置された内側積層板と外側の積層板の同心配置を含む。内側積層板および外側積層板は、基質材および織物層を含む。内側積層板と外側積層板の同心配置は、強化層を収容するのに適した隙間を含む。基質材を硬化させる際、内側積層板および外側積層板は、複数の取外し可能な型から取り出される。隙間に強化材が追加されて、タワーの複合部分が現地で形成される。
【0009】
本発明の他の特徴および利点が、好ましい実施形態の以下のより詳細な説明から、本発明の原理を一例として示す添付図面とともに解釈されて明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本開示の実施形態の、現地で構築されるタワーの図である。
【図2】本開示の実施形態の図1に示されたタワーの、ライン2−2に沿って得られた複合部分の断面図である。
【図3】本開示の実施形態の複合シェルの斜視図である。
【図4】本開示の実施形態の複合部分の斜視カッタウェイ断面図である。
【図5】本開示の実施形態の複合部分を形成するための装置の斜視図である。
【図6】本開示の実施形態の図5に示された装置のライン6−6に沿って得られた部分の断面図である。
【図7】本開示の実施形態のライン7−7に沿って得られた部分の断面図である。
【図8】本開示の実施形態のタワーを現地で形成する方法の流れ図である。図面の全体にわたって、可能性な限り、同じ参照番号は同じ部品を表すように使用されることになる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
従来技術の難点に苦しまない装置、複合部分、および現地でタワーを形成する方法が提供される。これらの装置、複合部分および方法により、現地でタワーを組み立てるための、費用対効果が大きく、容易に運送可能な手段が提供される。
【0012】
図1は、装置500(例えば図5を参照されたい)、複合部分120、および本開示で説明される方法を使用して形成されるタワー104の実施形態を示す。風力タービンタワーのタワー104は、発電機(図1には示されていない)を収容するナセル102を含む。タワー104の高さは、当技術分野で既知の係数および条件に基づいて選択されており、100メートル以上までの高さに延ばすことができる。風力タービン100は、望ましい風況を有する地域へのアクセスをもたらす任意の地形上に設置され得る。地形は、大幅に変化する可能性があり、山岳地帯または沖合の位置を含み得るがこれらに限定されない。風力タービン100は、回転ハブ110に取り付けられた1つまたは複数の回転翼108を含むロータ106も備える。図1に示された風力タービン100は3つの回転翼108を含んでいるが、本開示によって必要とされる回転翼108の数に対する特別な制限はない。
【0013】
図1に示されるように、風向112は、タワー104のロータ106の方に向けられる。風向112は、タワー104の風向112の反対側の部分に対して圧縮力124をもたらす。風向112の経路のタワー104の部分上に、張力122が直接存在する。張力122および圧縮力124は、風向112次第で変化し、推定の張力および圧縮力は、現場にタワー104を設置する前の風調査に基づいて計算される。
【0014】
タワー104は、複数の複合部分120を積み重ねて接合することにより、現地で形成される。複数の複合部分120も現地で形成される。一実施形態では、複合部分120のそれぞれの高さ160は、おおよそ5メートルからおおよそ50メートルまで、またはおおよそ10メートルからおおよそ40メートルまで、またはおおよそ15メートルからおおよそ25メートルまでである。一実施形態では、複合部分120のそれぞれの高さ160は同一である。別の実施形態では、各複合部分120の高さ160は、1つの複合部分120が第2の複合部分120とは別の高さを有するように変化される。さらに別の実施形態では、タワー104は、全体のタワー高さを構成する1つの複合部分120から形成される。図1に示されるように、タワー104は、隣接した複合部分120を、複数の引張り部材256(破線で示されている)および/または複数の接続手段128で接合することにより形成される。一実施形態では、接続手段128は、タワー104を形成するために複数の複合部分120を接合して固定するように適切な支持をもたらすのに必須ではない。接続手段128は、複合部分120を取り付けることができる任意の適切な構成要素である。接続手段128の実例には、L字形フランジ、垂直方向オスメス継手、グラウト、および他の任意の適切な接続デバイスがあるが、これらに限定されない。
【0015】
図2は、図1に示されたタワーのライン2−2に沿って得られた複合部分120の断面図であり、複合部分120は現地で形成される。タワー104の複合部分120は、それぞれが内側積層板220と外側積層板230の同心配置を含む。内側積層板220および外側積層板230は、基質材820および織物層734を含む(図7を参照されたい)。内側積層板220と外側の積層板230の同心配置は、全長216および隙間214を含む(図3を参照されたい)。図2に示されるように、複合部分120は、それぞれが内部空洞254を有する複数のチューブ252も含む。複数のチューブ252が、隙間214の中に、内側積層板220と外側積層板230によってもたらされた複合部分120の同心配置の全長216に沿って位置している(図3を参照されたい)。基質材820および織物層734が硬化された後、複数のチューブ252によって占有されていない同心配置の隙間214に強化材250が配置され、それによって複合部分120が現地で形成され得る。
【0016】
図3は、強化材250が隙間214に堆積される前の、内側積層板220と外側積層板230の同心配置を強調表示する複合シェル300の部分的斜視図である。示されるように、図3では、内側積層板220と外側積層板230の全長216にわたる複数のチューブ252が、内側積層板220と外側積層板230の間の同心配置によって形成された隙間214の中に位置している。内蔵された複数のチューブ252のそれぞれが、複数の緊張材または引張り部材256を収容するための内部空洞254を含む(図4を参照されたい)。一実施形態では、複数のチューブ252は、耐久性のある金属またはプラスチックから構築される。複数のチューブ252の材料の一例にはポリ塩化ビニル(PVC)管があるが、これに限定されない。一実施形態では、チューブ252は、隙間214の厚さ316にほぼ等しい外径を有する。別の実施形態では、チューブは、隙間214の厚さ316未満の外径を有する。別の実施形態では、チューブ252の直径は、おおよそ25.4ミリメートル(1インチ)からおおよそ101.6ミリメートル(4インチ)まで、あるいはおおよそ38.1ミリメートル(1.5インチ)からおおよそ88.9ミリメートルまで、あるいはおおよそ50.8ミリメートル(2インチ)からおおよそ76.2ミリメートル(3インチ)までである。
【0017】
複数のチューブ252の数および間隔は、計算されたタワー条件104に基づいて求められる。タワー条件を求めるために、いくつかのステップが採用される。第1のステップは、強化材250の圧縮能力に基づいて設計タワーの強化材の厚さを求めることである。第2のステップでは、タワー位置の地域で行なわれた風調査から一般に求められる、タワー部分の風上方向の合計張力を計算する。第3のステップでは、合計の張力および引張り部材の直径に基づいて、複合材料の引張り応力に対する引張り部材256の数を計算する。最後のステップで、計算された数の引張り部材256を隙間214の周囲のまわりに均一に配置して必要な支持をもたらす。一実施形態では、複合部分120のチューブ252の数は、計算されたタワー条件104に基づいて、おおよそ8本からおおよそ30本、またはおおよそ10本からおおよそ25本、またはおおよそ12本からおおよそ20本である。
【0018】
図4に示されるように、引張り部材256は、単一より線、強化材のバー、または織ってある、巻いてある、もしくは一緒に編まれた強化材の複数のより線である。一実施形態では、複数の引張り部材256は、ステンレス鋼などであるがこれに限定されない金属から選択される。一実施形態では、引張り部材256は、腐食抑制グリースでコーティングして押出し成型のプラスチック保護外装で覆われた多重より線から選択される。引張り部材256は、おおよそ3ミリメートル(おおよそ1/8インチ)からおおよそ50ミリメートル(おおよそ2インチ)まで、あるいはおおよそ3ミリメートル(おおよそ1/8インチ)からおおよそ30ミリメートル(おおよそ1インチ)まで、あるいはおおよそ3ミリメートル(おおよそ1/8インチ)からおおよそ10ミリメートル(おおよそ3/8インチ)まで、およびその間のすべてのサブ範囲であるが、複合部分120およびタワー104を形成するのに必要な張力次第で、より薄いかまたはより厚いことがある。一実施形態では、引張り部材256は、非束縛であって、強化材250に対して自由に動くことができる。引張り部材256の数、引張り部材256のサイズ、および引張り部材256用固定点は、タワー104用の強化材250の計算された引張り応力に従って計画される。一実施形態では、引張り部材256の数は、複合部分120のチューブ252の数と同一である。
【0019】
図4は、本開示の実施形態の複合部分120の斜視カッタウェイ断面図である。強化材250は、内側積層板220と外側積層板230の間に挟まれている。強化材250は、内側積層板220と外側積層板230の間の隙間214に注入されるか、あるいは隙間214を充填するかまたは占有する。強化材250の実例には、コンクリート、セラミック材料、木(バルサ)、コア材料(Webcore)、ならびにポリ塩化ビニル(PVC)、ウレタン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびそれらの組合せなどであるがこれらに限定されない材料から作製された発泡体材料があるが、これに限定されない。一実施形態では、強化材250の厚さ260は、おおよそ2.54センチメートル(1インチ)からおおよそ25.4センチメートル(10インチ)まで、またはおおよそ5.08センチメートル(2インチ)からおおよそ20.32センチメートル(8インチ)まで、またはおおよそ7.62センチメートル(3インチ)からおおよそ15.24センチメートル(6インチ)までである。図4に示されるように、引張り部材256を含む内部空洞254を有するチューブ252を、強化材250が取り巻いている。一実施形態では、強化材250が、内側積層板220と外側積層板230を連結するかまたは接着する。また、強化材250ならびに内側積層板220および外側積層板230は、タワー104上に加わるせん断力によって結合される。一実施形態では、複合部分120を構築するために使用される強化材250はコンクリートである。この実施形態では、タワー104を構築するための複合部分120の組立てに先立って、コンクリートを硬化させることができる。硬化時間は、使用されるセメントのタイプ、温度、および他の環境要因次第で変化する。一実施形態では、コンクリートは、おおよそ6日からおおよそ30日までの期間にわたって硬化される。
【0020】
図4に示されるように、内側積層板220は、少なくとも1つの織物層734および基質材820から構築される(図7を参照されたい)。内側積層板220の厚さ414は、おおよそ5.08ミリメートル(0.2インチ)からおおよそ12.7ミリメートル(0.5インチ)まで、またはおおよそ6.35ミリメートル(0.25インチ)からおおよそ11.43ミリメートル(0.45インチ)まで、またはおおよそ7.62ミリメートル(0.3インチ)からおおよそ10.16ミリメートル(0.4インチ)までである。また、外側積層板230は、少なくとも1つの織物層734または複数の織物層732と基質材820とから構築される(図7を参照されたい)。外側積層板230の厚さ416は、おおよそ5.08ミリメートル(0.2インチ)からおおよそ12.7ミリメートル(0.5インチ)まで、またはおおよそ6.35ミリメートル(0.25インチ)からおおよそ11.43ミリメートル(0.45インチ)まで、またはおおよそ7.62ミリメートル(0.3インチ)からおおよそ10.16ミリメートル(0.4インチ)までである。
【0021】
内側積層板220および外側積層板230の少なくとも1つの織物層734は、少なくとも1つのプライ、しかし、より好ましくは複数のプライ732、または複数の織物層を含む。複数のプライ732は、基質材820をしみ込ませる前に、積み重ねるか、レイアップするか、または織り交ぜる。内側積層板220および外側積層板230の複数のプライ732の配向は、0°、±45°、90°またはそれらの組合せである。一実施形態では、織物層734は、0°および90°の配向を有するプライ732から構築され、より多くのプライが、軸方向または90°の配向で設けられる。複数のプライ732のそれぞれが、複数のファイバ810を含む(図7を参照されたい)。一実施形態では、複数のプライ732は、一方向の配向を有するファイバ810、2軸配向を有するファイバ810、ファイバ810の細断マット、ファイバ810の連続ストランドマットまたはそれらの組合せを含む。複数のファイバ810は、例えば、ガラスの軽量ファイバ、炭素、炭素および黒鉛、ホウ素、アラミド、パラアラミド(例えばKevlar)、他の有機材料、およびそれらの組合せから選択されるが、それに限定されない。ファイバ810の配向および構造は、タワー104が耐えなければならない条件に基づいて決定され、様々な実施形態に応じて変化する可能性がある。一実施形態では、複数のプライ732は、外板または複数の織物層として工場であらかじめ製作され、現場へ移送して複合部分120に構成される。あらかじめ製作された外板は、軽量かつ柔軟であり、タワー104を構築するのに必要な所望のファイバ810、繊維配向、織物層732および織物層配向、ならびに強度特性を含む。
【0022】
図7に示されるように、複数のプライ732およびファイバ810は、基質材820または樹脂で取り巻くかまたは基質材820を浸透させる。一実施形態では、基質材820は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂から選択される。熱硬化性樹脂の実例には、エポキシ樹脂、ポリエステル、ビニールエステル、フェノール類、ビスマレイミド、ポリイミド、およびそれらの組合せがあるが、これに限定されない。熱可塑性樹脂の実例には、ナイロンポリスルフホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、およびそれらの組合せがあるが、これに限定されない。一実施形態では、基質材820は、エポキシ樹脂、ポリエステル、ビニールエステルおよびそれらの組合せから選択される。樹脂トランスファー成形(RTM)、樹脂フィルム注入、ならびに開放成形および真空バッグレイアップなどであるがこれに限定されない任意の適切な処理法を用いて、織物層734に基質材820を注入するかまたは浸透させる。内側積層板220または外側積層板230の織物層734に、基質材820を浸透させるかまたは注入した後、熱硬化および/または紫外線放射硬化などであるがこれに限定されない任意の適切な硬化プロセスを用いて、織物層734を硬化させる。
【0023】
内側積層板220および外側積層板230は、同時にまたは別個に形成することができ、間に隙間214を有する同心円を形成するように配置される(図3を参照されたい)。一般に、内側積層板220は、タワー104の複合部分120に対して軸方向の補強をもたらし、外側積層板230は、タワー104の複合部分120に対して円周方向の補強をもたらす。
【0024】
図5に示されるように、本開示の別の実施形態には、タワー104の複合部分120を現地で形成するための装置500が含まれる。装置500は、複数の取外し可能な型710および720を含む。一実施形態では、取外し可能な型は、第1の円筒状のフレームおよび第2の円筒状のフレームから構成される。この実施形態では、第1および第2の円筒状のフレームは、取外し可能な型710および720を形成するために、プラスチックまたは他の適切な材料のカバーで包まれるべきである。別の実施形態では、取外し可能な型は、剛体の円筒容器から構成される。第1の取外し可能な型710および第2の取外し可能な型720は、円筒状の形状を保つ任意の適切な変形しない材料から構成される。取外し可能な型710および720用の適切な材料の実例には、金属、熱可塑性物質、およびそれらの組合せが含まれるが、これに限定されない。装置500は、内側積層板220と外側積層板230のどちらを形成するのにも同様に使用され、唯一の差は、外側積層板230を形成するのに、装置500の直径510がより大きくなることである。一実施形態では、内側積層板220および外側積層板230は、装置500を使用して別個に形成され、次いで同心に配置される。別の実施形態では、装置500は、内側積層板220と外側積層板230の両方を同時に形成するように構成することができる。
【0025】
図6は、ライン6−6に沿って得られた装置500の断面図である。装置500は、プラスチック層730を取り巻く取外し可能な型710および720を含む。最初に、プラスチック層730が、少なくとも1つの織物層734を構成する乾燥した複数のプライ732を取り巻く。一実施形態では、樹脂または基質材の820が、注入チューブ520を通って導かれ、圧力または他の適切な手段によって複数のプライ732の全体にわたって分散される。複数のプライ732および基質材820が、任意の適切な方法を用いて硬化されて、複合シェル300の内側積層板220および外側積層板230を形成する。別の実施形態では、樹脂または基質材の820を含むあらかじめ浸透されたファイバ(プリプレグ)が、装置500とともに使用される。この実施形態では、プリプレグファイバは、取外し可能な型710および720の中でレイアップされ、プリプレグを現地で硬化させるために温度を上げるように熱が加えられる。さらに別の実施形態では、装置500とともに手動レイアップ技法が用いられ、ファイバは樹脂でコーティングされ、取外し可能な型710および720を使用してin situで組み立てられる。
【0026】
内側積層板220および外側積層板230を形成するために、装置500の複数の取外し可能な型710および720上に、複数の織物層734が構成して配置される。図5に示されるように、装置500は、内側積層板220および外側積層板230を形成するために織物層734の中へ基質材820を導入するための複数の樹脂注入チューブ520を含む。織物層の中の導入された基質材820が硬化するのと同時に、内側積層板220および外側積層板230が形成される。形成された内側積層板220および外側積層板230は、複数の取外し可能な型710および720ならびにプラスチック730から取り出される。内側積層板220と外側積層板230は、図3に示されるように同心に配置される。内側積層板220と外側積層板230の同心配置に、複数のチューブ252が追加される(図3を参照されたい)。次に、タワー104の複合部分120を現地で形成するために、図2および図4に示されるように、複数のチューブ252によって占有されていない内側積層板220と外側積層板230の隙間214に、強化材250が追加される。
【0027】
図8は、少なくとも1つの複合部分120からタワー104を現地で形成する方法の図である。最初に、ステップ803で、複数の複合シェル300が現地で構築される。複数の複合シェル300のそれぞれが、内側積層板220および外側積層板230を含む。ステップ803は、成形装置500を使用して、織物をレイアップし、含浸して硬化することによって内側積層板220および外側積層板230を形成するステップを含む。内側積層板220と外側積層板230は、その間に隙間214を生成する同心配置に形成される(図3を参照されたい)。次に、ステップ805で、複合シェル300の隙間214に、複数のチューブ252が配置されるかまたは挿入される。ステップ807で、複数のチューブ252によって占有されていない隙間214の残存部分が、強化材252で満たされる。ステップ809で、複合シェル300と強化材252を接合して複数の複合部分120を形成する。ステップ809は、一般に、強化材250の硬化を可能にするステップを含み、それによって複合シェル300と効果的に接着する。次に、ステップ811で、緊張材または引張り部材256(図1および図4を参照されたい)が、複合部分120の複数のチューブ252を通される。ステップ813で、複合部分120のうちの1つが頂部170に指定され、アダプタ132(図1を参照されたい)が、固定手段130を使用して複合部分120に固定される。頂部のアダプタ132は、構成されたタワー104(図1を参照)の頂部に取り付けられるべき揺首またはナセルなどであるがこれに限定されない、タワー設備への付着点をもたらす。ステップ815で、形成された複合部分120のうちの1つが基礎部180に指定され、基礎アダプタ126(図1を参照されたい)が、固定手段130を使用して複合部分120に固定される。次に、ステップ817で、基礎部分180が、タワー104の基礎190に対して固定される(図1を参照されたい)。ステップ819で、1つの複合部分120が、基礎部分180に対して、積み重ねられ、整列して固定される。ステップ821で、タワー104の所望の高さに到達するまで、クレーンまたは他の適切な設備を使用して、残りの複合部分120が、隣接する複合部分120に対して、積み重ねられ、整列して固定される。ステップ823で、既に形成された複合部分120に対して、頂部の複合部分170が取り付けられる。複合部分120が十分に固定された後に、ステップ825で、緊張部材256に対してポストテンションが与えられる。ポストテンションは、油圧ジャッキおよびタワー104の計算された引張り応力を克服するように所望の張力をもたらすことができる他の設備などであるがこれに限定されない任意の適切な手段によって与えられる。
【0028】
本開示の実施形態の利点の1つに、遠隔地において現地でタワーを形成する方法が含まれる。
【0029】
本開示の実施形態の別の利点には、タワーを現地で形成するための、移送が容易な品目が含まれる。
【0030】
本開示の実施形態の別の利点には、柔軟で、現地での組立てに先立って移送するのが容易な複合部分が含まれる。
【0031】
本開示の実施形態の別の利点には、大きな周期的負荷を受けるタワーの圧縮および引張りの応力に耐える現地組立ての例示的タワーがある。
【0032】
本開示の実施形態の別の利点には、高い機械的強度を有する複合部分から形成されるタワーがある。
【0033】
本開示の実施形態のさらに別の利点には、従来型のタワー構造より使用する材料が少ない軽量タワーがある。
【0034】
本開示の実施形態の別の利点には、拡張性のあるタワーがある。
【0035】
本開示の実施形態の別の利点には、従来型のタワー構造で必要とされる厳しい公差の要件なしで構築されるタワーがある。
【0036】
本開示の実施形態の別の利点には、廉価で交換可能な型を使用して形成されるタワーがある。
【0037】
本開示の実施形態のさらに別の利点には、タワーの製造、設置、および運送の費用削減がもたらされることがある。
【0038】
本発明が、好ましい実施形態を参照しながら説明されてきたが、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更がなされ得ること、および本発明の諸要素が等価物で置換され得ることが当業者には理解されよう。さらに、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく本発明の教示に特定の状況または材料を適合させるために、多くの変更形態が作製され得る。したがって、本発明は、本発明を実施するために企図された最良の様式として開示された特定の実施形態に限定されるのでなく、添付の特許請求の範囲内に入る全ての実施形態を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0039】
100 風タービン
102 ナセル
104 タワー
106 ロータ
108 タービン翼
110 回転ハブ
112 風向
120 タワーの複合部分
122 タワーの引張られる部分
124 タワーの圧縮される部分
126 基礎アダプタ
128 取付け手段(L字形バーなど)
130 固定手段(ねじなど)
132 頂部アダプタ
134 グラウト
150 ポストテンション部材
160 複合部分の高さ
170 頂部
180 基礎部分
190 基礎
214 隙間
216 同心配置の全長
220 内側積層板
230 外側積層板
250 強化材(コンクリート)
252 複数のチューブ(引張り部材用)
254 複数のチューブの内部空洞
256 引張り部材
260 厚さ
300 複合シェル/同心配置
316 隙間の厚さ
414 内側積層板の厚さ
416 外側積層板の厚さ
500 複合部分の積層板を形成するための装置
510 装置の直径
520 樹脂(基質)注入チューブ
560 第1の取外し可能な型
562 第2の取外し可能な型
710 第1の取外し可能な型
720 第2の取外し可能な型
730 プラスチック
732 複数の織物層(プライ)/外板
734 織物層(プライ)
810 (織物層の)ファイバ
820 基質材(樹脂)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タワーの複合部分(120)であって、
内側積層板(220)と外側積層板(230)の同心配置であって、前記内側積層板(220)および前記外側積層板(230)が、
基質材(820)および
織物層(734)を含み、前記同心配置が、全長(216)および隙間(214)を含む、内側積層板(220)と外側積層板(230)の同心配置と、
内部空洞(254)を有する複数のチューブ(252)であって、前記隙間(214)の中に前記同心配置の前記全長(216)に沿って位置する複数のチューブ(252)と、
前記複数のチューブ(252)によって占有されていない前記隙間(214)の中に前記同心配置の全長(216)に沿って配置された強化材(250)とを備え、
現地で形成される、タワーの複合部分(120)。
【請求項2】
前記複合部分(120)の前記複数のチューブ(252)の前記内部空洞(254)の中に位置する複数の引張り部材(256)をさらに含む請求項1記載の複合部分(120)。
【請求項3】
単一の複合部分(120)が風力タービン(100)のタワー(104)を形成する請求項1記載の複合部分(120)。
【請求項4】
前記強化材(250)がコンクリートである請求項1記載の複合部分(120)。
【請求項5】
前記強化材(250)が、硬化と同時に、前記同心配置の内側積層板(220)および外側積層板(230)に接着する請求項1記載の複合部分(120)。
【請求項6】
前記内側積層板(220)が、タワーの前記複合部分(120)に対する軸方向の補強をもたらし、前記外側積層板(230)が、前記タワー(104)の前記複合部分(120)に対する円周方向の補強をもたらす請求項1記載の複合部分(120)。
【請求項7】
前記複合部分(120)および前記タワー(104)が現地で形成される請求項1記載の複合部分(120)。
【請求項8】
前記内側積層板(220)の厚さが、おおよそ5.08ミリメートルからおおよそ12.70ミリメートルまでであり、前記外側積層板(230)層の厚さが、おおよそ5.08ミリメートルからおおよそ12.70ミリメートルまでである請求項1記載の複合部分(120)。
【請求項9】
前記内側積層板(220)および前記外側積層板(230)の前記織物層(734)が、1方向の配向を有するファイバ(810)を備える複数のプライ(732)、2軸配向のファイバ細断マットを有するファイバ(810)、ファイバの連続ストランドマット、またはそれらの組合せを含む請求項1記載の複合部分(120)。
【請求項10】
前記内側積層板(220)および前記外側積層板(230)の前記複数のプライ(732)の配向が、0°、±45°、90°またはそれらの組合せである請求項1記載の複合部分(120)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−225151(P2012−225151A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−88878(P2012−88878)
【出願日】平成24年4月10日(2012.4.10)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】