説明

タンクの設置方法及びその方法を実施したタンク用基礎構造

【課題】 種々の大きさのタンクの設置を容易にすると共に、ベース枠や支柱に打設されるコンクリートの養生期間を不要として、工期を短縮すること。
【解決手段】 油液を貯留するタンクを地盤を掘削した穴に埋設する方法において、ベース部材11と2本の支柱部材12を有しコ字状を呈する、プレ加工された鉄筋コンクリート製のベース枠10を用意し、地盤にタンクTを埋設する穴を掘り、該穴内にベース枠10を少なくとも1対平行に配置し、対向するベース部材11の間にベース鉄筋30を配設し、ベース部材11上に枕枠20を載置し、ベース鉄筋30にコンクリートを打設してベース盤を形成し、枕枠20上にタンクTを載置固定し、穴を埋め戻し、地表にコンクリート舗装を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガソリンや石油、その他の油液を貯留するタンクを地中に設置するためのタンクの設置方法及びその方法を実施したタンク用基礎構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にガソリン給油所においては、円筒状の密閉容器として形成された複数の地下タンクを埋設し、これらの地下タンク内にガソリン、軽油、灯油等の油液を個別に貯留するようにしている。
【0003】
従来のタンクの埋設は、地盤を所定の深さ掘削して、型枠を組むと共に配筋してコンクリートを打設してベースを形成し、その上にタンクを設置し、コンクリート支柱を打設するものが多用され、コンクリートの養生に日数を要していた。
前記地下タンクの埋設に際しては、工期短縮を図って埋設の容易化を目的に、本出願人は、改良されたタンクの埋設方法を提案した(特許文献1)。
【0004】
しかし、近年の給油所は大型化を背景に、地下タンクの容量も大きくなっている。そのため、上記方法では、地下タンク埋設に関してはタンク容量への対応が必ずしも容易でなく、タンクユニットの運搬に困難を来したり、またベース枠や支柱の配筋打設や養生に数日を要し、なお改良の余地があった。
【0005】
さらに地上においてベース枠にタンク枕枠を取付けてバンドでタンクをタンク枕枠に固着してタンクユニットを埋設する穴内の地業上に設置してコンクリートをベース枠や枕枠に流し込み、その固化前に穴を埋め戻してコンクリート養生期間を不要としたものも知られている(特許文献2)。
しかしながら、かかる公知技術もタンク容量への対応は充分でなく、汎用性がなかった。
【特許文献1】特開昭61−196077号公報
【特許文献2】特公平4−52345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記のような問題に鑑みなされたもので、汎用性があって種々のタンク容量に容易に対応できると共に、工期短縮を可能としたタンク設置方法及びその方法を実施したタンク用基礎構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、油液を貯留するタンクを地盤を掘削した穴に埋設するタンク設置方法において、ベース部材11と2本の支柱部材12を有しコ字状を呈するように加工された鉄筋コンクリート製のベース枠10を用意し、地盤にタンクTを埋設する穴を掘り、該穴内にベース枠10を少なくとも1対平行に配置し、対向するベース部材11の間にベース鉄筋30を配設し、ベース部材11上に枕枠20を載置し、ベース鉄筋30にコンクリートを打設してベース盤を形成し、枕枠20上にタンクTを載置固定し、穴を埋め戻し、地表にコンクリート舗装を形成するようにしている。
【0008】
また、本発明のタンク用基礎構造によれば、地中にタンクを設置するためのタンク用基礎構造において、掘削された穴の底面にベース部材11と2本の支柱部材12を有しコ字状を呈するように加工された鉄筋コンクリート製のベース枠10が少なくとも1対配設され、ベース部材11の間に鉄筋コンクリート製のベース盤が形成され、ベース部材11上に枕枠20が載置固定され、この枕枠上にタンクTを支持するようにしている。
【0009】
なお、ベース枠は縦方向に接続でき、タンクの長さ変化に対応できるようにするのが好ましい。
ベース枠、ベース鉄筋は、横方向にフレキシブルであり、タンクの幅の変化に対応できるようにするのが好ましい。
複数タンクを設置する場合、隣接するタンクに対してベース枠を共用するとよい。
タンク埋設時に砂袋を用いると、リサイクルがしやすい。
【発明の効果】
【0010】
(a) 本発明によれば、ベース枠は予め工場で加工されているので、施工現場での養生を要せず、タンク設置の工期を短縮できる。
(b) ベース枠は縦方向(長手方向)に連設でき、タンクの長さ変化に容易に対応することができる。
(c) ベース枠、ベース鉄筋は横方向にフレキシブルであり、タンクの幅の変化に容易に対応することができる。
(d) 複数タンクを隣接設置する場合、ベース枠を共用することができる。
(e) ベース盤のコンクリート打設後は、これにタンク荷重が掛からないので、ベース盤の養生を待つことなく、穴の埋め戻しができ、工期を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施形態を図1を参照して説明する。本発明において、ベース枠10及び枕枠20が用意される。これらのベース枠10及び枕枠20は、鉄筋コンクリート製で、工場で一体的にあらかじめ加工され、施工現場での養生を要しない。
【0012】
ベース枠10は、ベース部材11及びその両端部から垂直に立設された1対の支柱部材12を有し、外観がコ字状を呈している。ベース部材11の少なくとも1側面に、複数の突起部材13が設けられ、該部材13は好ましくは鉄筋で形成され、また、支柱部材12の上端部には、複数本の所定長さの延出鉄筋14が設けられている。なお、後記の図6のタンクを横方向に隣接設置する場合は、ベース部材11の両側に突起部材13が設けられる。
【0013】
一方、図示を省略するが、ガソリン等を貯留するタンクTを埋設するために、地盤に穴を掘削する。掘削に際しては、好ましくは多数の矢板を、穴の予定地を包囲状に打ち込み、矢板で包囲された地盤を所定深さ掘削して穴を形成する。
【0014】
掘削形成した穴内に、1対のベース枠10を対向配設する(図1の(イ))。この場合、ベース部材11は、タンクの幅に応じた間隔をおいて、穴の底面に載置されると共に、1対のベース部材11は互いに平行状態となり、また支柱部材12は直立状態となる。
【0015】
次に、互いに対向するベース部材11の間にベース鉄筋30を配設し、その両側部をベース部材11の側面の突起部材13に係止する(図1の(ロ)。
ベース鉄筋30の上にプレ加工された鉄筋コンクリート製の枕枠20を載置する。枕枠20の下部に所定長さの複数の係止鉄筋(図示せず)が設けられており、この係止鉄筋をベース鉄筋30に係止する(図1の(ハ))。
【0016】
次に、枕枠20の上にタンクTを載置し、固定部材例えばバンド(図示せず)により、枕枠20又はベース枠10に固定する(図1の(ニ)、(ホ))。
なお、図1の(ハ)、(ニ)、(ホ)の何れかの状態でベース鉄筋30にコンクリートを打設することができる。
【0017】
なお、ベース鉄筋30にコンクリートを打設してベース盤を形成し、タンクTに地上への配管(図示せず)取付け、土砂を埋め戻す。埋め戻しの土砂として、例えば砂や、山砂や砕石を袋に収納した袋入り埋め戻し土を使用するが、埋め戻し土を袋入りとすることにより、掘り起こしやリサイクル等を簡単にすることができる。
埋め戻しの後、舗装枠34内に収納した舗装鉄筋35を支柱部材12の上に載置し(図1の(ホ))、柱部材12の上端部の延出鉄筋14に、舗装枠34や舗装鉄筋35を適宜係止し、コンクリートを打設して舗装を形成すればよい。
【0018】
なお、図示を省略するが、前記従来例で説明したように、枕枠20は、その係止鉄筋を利用してベース鉄筋に固定したが、枕枠20及びベース枠10の何れか一方にボルト孔を有する係止金具を設け、他方にボルト挿通孔を設け、ボルトを前記ボルト挿通孔に挿通し、ボルト孔に螺合することにより、枕枠20をベース枠10に固定するようにしてもよい。
【0019】
以上、タンクの基本的な設置方法を実施する工程の一例について説明したが、次に、タンクのサイズや配列の異なる場合の設置方法の例について、図2乃至図5により説明する。
【0020】
図2において、コ字状のベース枠10を縦方向に連設するために、各支柱部材12にボルト孔を有するインサート15が設けられており、このインサート15はボルト受けとして利用される。
【0021】
図3に、比較的小型のタンクを設置する例が示され、コ字状のベース枠10は1対対向配置され、その間にタンクTが設置される。
【0022】
図4に、比較的大型のタンクを設置する例が示され、ベース枠10は縦方向に4基連設したものが、対向配置され、その間に比較的大型のタンクTが単槽で配置される。この場合、ジョイントプレート(図示せず)のボルト挿通孔にボルトを挿通し、各ベース枠10のインサート(図2)のボルト孔に螺合することにより、ベース枠10は縦方向に連設することができる。
【0023】
図5に、比較的大型のタンクが横方向に連設する例が示される。コ字状のベース枠10は縦方向に4基連設されたものが、さらに横方向に4列対向配置され、その間にそれぞれタンクTが配置され、いわゆる3連槽となり、より大量又は他種類の油液が貯留されることになる。この設置例では、隣接する各タンクTの間において、1列のベース枠10に、その両側のタンクTの枕枠20を設置することにより、1列のベース枠10を両側のタンクTの支持に共用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明によるタンクの設置方法の1実施形態を説明する図。
【図2】本発明におけるベース枠の1例を示す図。
【図3】本発明において小型タンクを設置する例を示す図。
【図4】本発明において大型タンクを設置する例を示す図。
【図5】本発明において大型タンクを横方向に連設する例を示す図。
【符号の説明】
【0025】
10・・・ベース枠
11・・・ベース部材
12・・・支柱部材
13・・・突起部材
14・・・延出鉄筋
20・・・枕枠
30・・・ベース鉄筋
35・・・舗装鉄筋
T・・・タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油液を貯留するタンクを地盤を掘削した穴に埋設するタンク設置方法において、ベース部材と2本の支柱部材を有しコ字状を呈するように加工された鉄筋コンクリート製のベース枠を用意し、地盤にタンクを埋設する穴を掘り、該穴内にベース枠を少なくとも1対平行に配置し、対向するベース部材の間にベース鉄筋を配設し、ベース部材上に枕枠を載置し、ベース鉄筋にコンクリートを打設してベース盤を形成し、枕枠上にタンクを載置固定し、穴を埋め戻し、地表にコンクリート舗装を形成することを特徴とするタンクの設置方法。
【請求項2】
地中にタンクを設置するためのタンク用基礎構造において、掘削された穴の底面にベース部材と2本の支柱部材を有しコ字状を呈するように加工された鉄筋コンクリート製のベース枠が少なくとも1対配設され、ベース部材の間に鉄筋コンクリート製のベース盤が形成され、ベース部材上に枕枠が載置固定され、この枕枠上にタンクを支持するようにしたことを特徴とするタンク用基礎構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−118187(P2006−118187A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−306369(P2004−306369)
【出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(000151346)株式会社タツノ・メカトロニクス (167)
【Fターム(参考)】