説明

タンパク質を複合体化するためのポリヌクレオチド骨格

本発明者らは、タンパク質に対する核酸分析方法の利用を可能とするTus-Ter相互作用を使用する。本発明者らはまた、タンパク質の機能と共に核酸骨格を有するポリマーおよびオリゴマーを作成するために、Tus-Ter相互作用を使用する。これらの方法は、分子モデリング、酵素経路反応の効率的な進行、ならびに特定のタンパク質の存在および/または量の分析に役立つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明はタンパク質-核酸複合体の領域に関する。特に、分析、合成、および治療の目的のためのこのような複合体の作成および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ヒトプロテオームを完全に特徴付けるという大きな目標には、スプライスバリアントおよび修飾を含む、すべてのヒトタンパク質に方向付けられた、特異的な親和性試薬の体系的かつ包括的な収集が必須である。多くの親和性試薬が市販されているが、それらの品質は時に疑わしく、プロテオームの一部しかカバーされない。より多くの標的を調べるためには、未知の機能のタンパク質に対する結合剤を含む、親和性試薬のパネル(panel)が幅広く利用可能である必要がある。これらの試薬を集合させるという困難な課題に加えて、これらの試薬を使用するための廉価で手軽な方法を開発するという課題がある。
【0003】
当技術分野では、プロテオームを調べるための親和性試薬を作成することが継続的に必要とされている。当技術分野には、タンパク質およびタンパク質ドメインを組み合わせるための操作可能な骨格構造に対する継続的な必要性が存在する。当技術分野には、プロテオームを調べるためのアレイに対する継続的な必要性が存在する。当技術分野には、広範囲の濃度にわたってタンパク質を定量するための方法に対して継続的な必要性が存在する。当技術分野には、タンパク質が生物活性を保持するタンパク質固定化技術に対する継続的な必要性が存在する。これらおよびその他の必要性は以下に示す通りに対処される。
【発明の概要】
【0004】
一つの態様に従って、ポリマーが提供される。ポリマーは多数のモノマーを含む。各モノマーは、融合タンパク質と核酸分子との非共有結合性の複合体を含む。融合タンパク質は、ポリペプチドおよびTusタンパク質を含み、かつ核酸分子はTer部位を含む。
【0005】
別の態様に従って、ポリマーへと集合させる方法が提供される。多数のモノマーがDNAリガーゼ酵素を用いて互いに連結される。各モノマーは、融合タンパク質と核酸分子との非共有結合性の複合体を含む。融合タンパク質は、ポリペプチドおよびTusタンパク質を含み、かつ核酸分子はTer部位を含む。
【0006】
さらに別の態様において、タンパク質-DNA複合体が提供される。複合体は融合タンパク質および核酸分子を含む。融合タンパク質はTusタンパク質および結合ポリペプチドを含む。核酸分子の第一の部分は二本鎖であり、かつ核酸分子の第二の部分は一本鎖である。第一の部分はTer配列を含み、かつ第二の部分はアドレス配列を含む。それぞれのアドレス配列は、固有の結合ポリペプチドを含む融合タンパク質と複合体化される。
【0007】
結合ポリペプチドのアレイライブラリも提供される。各結合ポリペプチドは、Ter配列に対するTusタンパク質の非共有結合性の結合を用いて基層に繋ぎ止められる。各結合ポリペプチドはTusタンパク質に融合する。各Ter配列は二本鎖および一本鎖の部分を含む核酸分子内にある。一本鎖の部分はアドレス配列を含み、二本鎖の部分はTer配列を含む。アドレス配列は、基層に付着している一本鎖のプローブに対して相補的である。
【0008】
別の局面は標的分子を測定する方法である。標的分子は2つの異なる結合ポリペプチドによって結合される。第一および第二の結合ポリペプチドは混合物を形成するために標的分子と混合される。各結合ポリペプチドは、Tusタンパク質との融合タンパク質の一部であり、かつTusタンパク質は、二本鎖部分および一本鎖部分を含むDNA分子に結合する。二本鎖の部分はTer配列を含み、かつ一本鎖の部分は、結合ポリペプチドに固有に対応するタグ配列を含む。架橋オリゴヌクレオチドは、相補的なDNA一本鎖が二本鎖を形成する条件下において混合物に加えられる。架橋オリゴヌクレオチドは第一および第二の部分を含む。第一の部分は第一の結合ポリペプチドのタグ配列に相補的であり、かつ第二の部分は第二の結合ポリペプチドのタグ配列に相補的である。架橋オリゴヌクレオチドの第一の部分と第二の部分は0〜6ヌクレオチド離れている。DNAリガーゼが混合物に加えられる;リガーゼは、ニックの入った二本鎖DNA分子の5'末端と3'末端をつなぎ合わせる。第一および第二のタグ配列と連結接合部とを含む連結された分子を増幅して、増幅された分析物DNA鎖を形成する。分析物DNA鎖の混合物中の量を測定するためにアッセイが実施される。分析物DNA分子の量は標的分子の量と関連する。
【0009】
酵素を基層に付着させるための方法も提供される。核酸分子は、共有結合性または非共有結合性の結合によって基層に付着される。核酸分子はTer配列を含む。核酸分子は、Tusタンパク質と酵素とを含む融合タンパク質との複合体を前もって形成しているかまたはその後形成する。
【0010】
多様なタンパク質-DNA複合体のアレイライブラリを形成するための方法も提供される。一本鎖プローブを含む一つまたは複数の基層と、多様なタンパク質-DNA複合体のライブラリとを一緒に混合する。各複合体は融合タンパク質および核酸分子を含む。融合タンパク質はTusタンパク質および結合ポリペプチドを含む。核酸分子の第一の部分は二本鎖であり、かつ核酸分子の第二の部分は一本鎖である。第一の部分はTer配列を含み、かつ第二の部分はアドレス配列を含む。それぞれのアドレス配列は、固有の結合ポリペプチドを含む融合タンパク質と複合体化される。一本鎖プローブはそれぞれ、核酸分子内のアドレス配列に相補的である少なくとも6ヌクレオチドの配列を含む。混合されると同時にタンパク質-DNA複合体は、ハイブリダイゼーションによって、相補配列を有する一本鎖プローブに結合する。
【0011】
ポリマーへと集合させる方法が提供される。第一および第二の融合タンパク質を、予め第三の融合タンパク質に結合させた核酸分子と混合する。核酸分子は少なくとも3つのTer部位を含む。各融合タンパク質はポリペプチドおよびTusタンパク質を含む。第一および第二の融合タンパク質は、ポリペプチドとして第一および第二のscFvフラグメントを含む。第三の融合タンパク質は、ポリペプチドとして免疫グロブリン分子のFcフラグメントを含む。
【0012】
最後に、ポリマーへと集合させる別の方法が提供される。ポリマーは多数の融合タンパク質を含む。核酸分子は多数の融合タンパク質と混合される。各融合タンパク質はポリペプチドおよびTusタンパク質を含む。核酸分子は、所望の数の融合タンパク質を結合するために十分な数のTer部位を含む。
【0013】
本明細書を読めば当業者に明らかになるこれらおよびその他の態様は、核酸の洗練された分析および合成技術を用いてタンパク質分子を操作するための道具および試薬を当技術分野に提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1A〜1B:開示の流れ図。(図1A)DNA指向性(DNA-directed)固定化は自己集合タンパク質チップを作成するために用いることができる。緑色蛍光タンパク質(GFP)またはscFvモノクローナル抗体のいずれかとのTusタンパク質の融合物(示す通り)は、Tus融合物:TerB-ZipCode複合体を作成するために、Ter配列および付加的な約21ntの長さの一本鎖DNAである「ZipCode」を含むオリゴヌクレオチドと共にインキュベートすることができる。取り込まれなかったTerBを除去した後、この複合体は、固体表面[Affymetrixチップ(商標)(示す通り)またはLuminex(商標)型のビーズ]に固定化した相補ZipCode(cZipCode)に結合させることができる。複合体をアレイの基層に共有結合性に結合させるためにDNAリガーゼが用いられ得る。(図1B)近接連結アッセイ(PLA)反応および近接プローブの形成。同一抗原の異なるエピトープに結合する対の近接プローブ(この場合はそれぞれTusと融合した抗体)は反応試験管内で試料と組み合わせることができる。同一の同属抗原に結合させた後、2つの近接プローブは、近接プローブ(図では1および2として識別される)が架橋オリゴヌクレオチドにハイブリダイズできるように接近させる。連結およびPCRの工程に必要な試薬を加えて、近接プローブ1および2を一つに連結して、リアルタイムPCRによって、またはDNAマイクロアレイ上のZipCodeに相補的である配列に対するハイブリダイゼーションによる多重の様式で、増幅および検出することができる新しい配列(P1-ZipCode1-ZipCode2-P2)を形成する。
【図2】抗体の構造。(左)最も単純な抗体(IgG)は、ジスルフィド結合によって相互に接続する可変領域(V領域)を含む2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖の4つのポリペプチド鎖を含む[Huston, 2001]。各V領域は、4つのフレームワーク領域によって分離される3つのCDRから構成される。CDRは可変領域の最も可変性の部分であり、それらは重要な抗原結合機能を果たす。CDR領域は、組換え、突然変異、および選択を伴う複雑な過程を介して多くの潜在的な生殖系列の配列から派生する。(右)結合抗原の機能は全抗体のフラグメントによって実施され得る。結合フラグメントの例は、抗体の単一の腕のVLおよびVHドメインからなるFvフラグメントである。(下)Fvフラグメントの2つのドメインは別々の遺伝子によってコードされるが、組換え法によってドメインを単一のタンパク質鎖(一本鎖Fv(scFv)として公知である;[Bird, 1988; Huston, 1988])として生成させることができる合成リンカーを作成する可能性が証明されている。
【図3】図3A〜3B:マウスハイブリドーマおよびファージディスプレイによる標準的なモノクローナルAbの産生。(図3A)ハイブリドーマ技術によるモノクローナル抗体の産生。選択した抗原を用いた動物の免疫化は、様々な特異性および力価を有する様々な抗体を産生するために抗体産生免疫細胞を刺激する。それぞれ、特徴的な反応性を有する不死化したハイブリドーマ細胞を産生するために、免疫細胞の収集物を腫瘍(骨髄腫)細胞と融合させる。続いて、これらのハイブリドーマ細胞を関心対象の抗原に対する反応性を有する細胞に関してインビトロにおいてスクリーニングして、特異的なクローンを限界希釈によって分離する。これらの細胞をクローン増殖によって生育させて、mAbの単一の集団を回収する。(図3B)M13バクテリオファージバイオパニング。固体支持体に付着させた「ベイト」に結合するファージを濃縮するために、連続的なパニングおよび感染のサイクルを実施する。ファージミドを大腸菌(E. coli)にて救出し、96穴ELISA(酵素結合免疫吸着測定法)に関してファージを産生するように、個々の採取物をM13ヘルパーファージの重複感染によりアッセイすることができる。
【図4】Tus:Ter複合体の構造(Kamada 1996)。複合体の4つの変異した残基の位置、ならびに許容性(permissive)および非許容性(non-permissive)表面の配向を示す。中央のDNA結合ドメインの4つのα鎖は、2つのドメイン間の主溝内にDNAらせんの背後を囲むように折れ曲がる。リングは、接近するDnaBヘリカーゼの中央のチャネルを介して通過する鎖を示す。
【図5】図5A〜5B:抗体をベースとする近接連結アッセイ(PLA)。(図5A)DNAオリゴヌクレオチド伸長物を含む抗体のペアは、異なるエピトープではあるが近接状態で互いに標的タンパク質を結合する。極めて過剰なモル濃度で加えられた特異的な架橋オリゴヌクレオチドは、隣接プローブからのオリゴヌクレオチド伸長物に速やかにハイブリダイズして、酵素的DNA連結を誘導する。続いて、連結されたDNA配列はリアルタイムPCRを用いて増幅して検出する。(図5B)標的分子に結合できず、近接状態でないプローブはそれぞれ、一つの架橋オリゴヌクレオチドにハイブリダイズして、それらを連結することを不可能にする。
【図6】プローブ親和性およびアッセイ感度の相関関係。平衡状態にある近接プローブのペアによって結合される標的タンパク質の割合は、試薬の濃度および相互作用のKdが公知であれば、推定することができる。標的タンパク質の非存在下で見られるバックグラウンドのシグナルを考慮に入れることによって、これらの計算から様々な標的濃度におけるバックグラウンド比を上回るシグナルの推定値が与えられ、これは理論上の標準曲線を表す。バックグラウンドは、配列システムBを用いて連結して増幅した2つの連結可能なオリゴヌクレオチド[5μl中(B)-3'および(B)-5')]のインキュベート物の濃度を変化させることによって経験的に求めた。予想通り、プローブの一つの濃度を5倍に増加させるとバックグラウンドは5倍(4.57±0.62)に増加し、双方のプローブを5倍に増加させると≒25倍高いバックグラウンド(23.4±3.2倍)が得られた。この図では、記載する解離定数を有するプローブ-標的相互作用を仮定して、標準曲線が推定される。これらの推定は、PDGF-BB、トロンビン、およびインスリンの検出からの実験結果と比較する。PDGF-BBアプタマーは129±11pM(8)の報告された親和性を有し、トロンビンアプタマーは約1nM(9,10)である。SELEXアプタマーを用いたPDGF-BBおよびトロンビンデータはFredrikssonら(2)に由来する。近接連結シグナルは、各標的分子が2つのプローブによって結合される可能性が低下する点まで、標的の増加に伴って直線的に増加する。この点は、用いられる特定のプローブの親和性およびそれらの濃度に依存する。抗体に対する直接的なオリゴヌクレオチドの共有結合性のサクシニミジル4-[p-マレイミドフェニル]ブチラート結合後に(Kd ≒10nM)、近接プローブペアを形成する2つの抗インスリンモノクローナル抗体を用いることによって得られるデータも含まれる。インスリンに関する近接連結アッセイは1μl試料中30pMの感度を有し、25μl ELISAにおけるこれらの抗体を用いた検出限界は6pM(標準的なアッセイ;Mercodia, Uppsala, Sweden)または0.42pM(超高感度のアッセイ、Mercodia)である。PDGF-BB実験データが125pMの理論上の標準曲線に密接に一致するのに対して、トロンビンおよびインスリンのデータは、それぞれ、0.4および2.5nMのKdの試薬について算出された曲線に予想される結果に適合する。従って、プローブの親和性およびアッセイの分析性能は強く相関して、近接連結反応が生体分子の相互作用の親和性の推定にも利用できることを示している。さらに、方法は、タンパク質-タンパク質相互作用の阻害物質を特徴付けるために用いることができる[Gullberg 2003からの図]。
【図7】分子反転プローブ(molecular-inversion probe、MIP)。MIP遺伝子型同定は、1bpギャップを残してSNP部位の上流および下流とアニールする5'末端および3'末端を有する環状化可能なプローブを使用する(ゲノムDNAは青で示す)。ギャップの充填には、dNTPおよび非ストランド置換型(non-strand-displacing)ポリメラーゼを用いたポリメラーゼ伸長法を用いる。連結によってニックを封止して、アニールされていないおよび連結されていない過剰な環状プローブを除去するためにエキソヌクレアーゼI(3'エキソヌクレアーゼ活性を有する)を使用する。最後に、ウラシルを含む共通配列の位置においてUDGおよびNthを用いた処理によって環状化したプローブを遊離させて、得られた産物を環状プローブ上の「ビルトイン」の部位に対する共通プライマーを用いてPCR増幅する。プライマーの配向は環状化したプローブのみが増幅されることを確実にする。得られた産物をハイブリダイズして、汎用捕捉プローブのアレイで読み取る[Fan, Chee & Gunderson. Highly parallel genomic assays. Nature Reviews Genetics 7, 632-644 (August 2006)より]。
【図8】Tus-Ter結合相互作用の様々な実用的な応用を示す。時計回りに左上から:DNA指向性固定化:ZipCode化は、DNAチップ、ビーズなどの上での自己集合を可能とする;分子ベルクロ:特異性および親和性増大のための混合アビディティーボディ(Avidity Body);タンパク質複合体のモデリング:オリゴヌクレオチドフレームワーク上でのscFv-Tusのペアについて調べる;タンパク質の定量:Tus:TerをベースとするPLAはZipCodeのmAbへの化学的コンジュゲーションを必要としない。その他の精製は特異性を高める;分子LEGO(商標):経路内および固相上でタンパク質融合分子を集合させるための固有の方法を可能とする。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
本発明者らは、Tusタンパク質とTer DANエレメントの相互作用を中心とした、相互に関連する一連の方法および製品を開発している。この相互作用は非常に強く、核酸の操作および検出技術を、多くのタンパク質の操作および検出のための技術へと転用することを可能にする。
【0016】
Tus-Ter相互作用は、タンパク質と核酸の複合体であるサブユニットを含むポリマーを作成するために用いることができる。核酸はポリマーの骨格構造を形成する。タンパク質部分は、融合部分の一つがTusタンパク質である融合タンパク質である(ハイブリッドタンパク質またはキメラタンパク質とも呼ばれる)。融合タンパク質のその他の一つまたは複数のポリペプチドは任意の所望のポリペプチドであり得る。核酸分子は、融合タンパク質を核酸に結合させるためのTer部位を含む。典型的には、それぞれのTer部位は単一のTus含有融合タンパク質を結合する。このポリマーのモノマーは、結合した融合タンパク質を有する核酸セグメントと見なすことができる。ポリマーはホモポリマーまたはヘテロポリマーのいずれであってもよい。ポリマーはブロックコポリマー、グラフトコポリマーまたはランダムコポリマーであり得る。
【0017】
ポリマーは、例えば、多数の融合タンパク質を単一の核酸分子に付着させることによって、形成され得る。または、ポリマーは多数の融合タンパク質を多数の核酸分子に付着させた後に核酸分子をつなぎ合わせることによって形成することができる。核酸分子は、ヌクレアーゼ分解に抵抗性であるヌクレオチド類似体、および核酸骨格を強化する類似体を含み得る。この点に関しては、ロックされたヌクレオチド類似体(locked nucleotide analogue)を使用することができる。Semeonov and Nikiforov, Nucleic Acids Research 2002, vol. 30, e91を参照されたい。融合タンパク質の順序付けは、例えば、連続した連結反応を用いて行うことができる。または、核酸分子の特異的な制限エンドヌクレアーゼ粘着末端は、ポリマー内のモノマーの順序を特定するための十分な情報を提供することができる。順序付けされた連結を達成するためのその他の方法を用いてよい。
【0018】
ポリマー内の核酸分子は、完全な二本鎖であってよく、または所々に一本鎖の領域が入った二本鎖、つまりニックの入った二本鎖を含んでもよい。一本鎖および二本鎖の結合のパターンはTusを含む融合タンパク質の所望の三次元立体構造を得るために用いることができる。一本鎖の領域は、典型的に、ポリマーに対して二本鎖の領域よりも高い柔軟性を与える。二本鎖は典型的には、より剛性である。ニックは、例えばニッカーゼのような酵素を用いて二本鎖の骨格を有するポリマー内に挿入することができる。または、一本鎖連結反応を用いて2つのフラグメントの間に一本鎖のニックを作ることができる。一つのこのような反応はT4 RNAリガーゼを用いる。別の選択肢は、一本鎖のニックを作るためにヘミメチル化またはヘミチオ化したDNAの制限エンドヌクレアーゼ消化を用いる。合成ヌクレオチド類似体は一本鎖のアドレス配列に用いられ得る。しかし、ヌクレオチド類似体は、典型的には、タンパク質の適切な結合を確実にするために、Ter部位自体、制限エンドヌクレアーゼ部位、およびニッカーゼ部位には用いられない。合成ヌクレオチド類似体は核酸分子に所望の特性を導入するために用いることができる。これらには、ヌクレアーゼ消化に対する抵抗性、ポリマー剛性の増大、標識、反応性部分などが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
Tusタンパク質に融合するポリペプチドは、例えば、標的分子に結合する任意の所望のタンパク質、抗原、エピトープ、タグ配列、酵素、または任意の結合ポリペプチドであってよい。Tusに融合する一つのポリペプチドはscFvフラグメントであり得る。任意で、少なくとも一つのポリペプチドがscFvフラグメントであってよく、少なくとも一つのポリペプチドはFcドメインであってよい。または、少なくとも2つのポリペプチドがscFvフラグメントであり、少なくとも一つのポリペプチドがFcドメインである。ポリマーまたはオリゴマー内の2つのscFvフラグメントは同一であっても、または非同一(異なる)であってもよい;それらは同一のエピトープ、異なるエピトープ、または異なる抗原に結合し得る。融合タンパク質内にscFvフラグメントを使用するポリマーは、ネイティブの抗体構造をモデリングする、模倣する、または反復するために用いることができる。Fcドメインは、IgGA、IgGD、IgGE、IgG1、IgG2、IgG3、IgMなどの抗体の任意のアイソタイプに由来し得る。しかし、ポリペプチドがscFvである必要はない。用いることができるその他のポリペプチドには、リガンド、受容体、プロドラッグ、蛍光タンパク質、酵素が含まれる。一つの態様において、多数の酵素がTus融合タンパク質として核酸骨格上で一緒につなぎ合わされる;酵素は代謝経路または生合成経路に関与する。一つの特定の態様において、酵素は代謝または生合成経路における時間的な酵素の機能に対応してポリマー内で空間的に順序付けられる。従って、最初の酵素的転換の産物は、それが反応物である場合は第二の酵素へと「進む」ことができ、かつ第二の酵素による転換の産物は、それが反応物である場合は第三の酵素へと「進む」ことができる。「進むこと」とは、本明細書では、一つの酵素から別の酵素までの短い距離を拡散することを示すために用いられる。
【0020】
ポリマーは、多数のモノマー(DNAおよび核酸の複合体)をDNAリガーゼ酵素を用いて互いに連結させることによって作成することができる。各モノマーは融合タンパク質(ポリペプチドおよびTusタンパク質を含む)および核酸分子(Ter部位を含む)の非共有結合性の複合体を含んでもよい。いくつかのケースにおいて、いくつかの核酸分子はそれらに結合した融合タンパク質を含まないことが望ましい場合がある。モノマー内の核酸分子は5'および3'の粘着末端を有し得る。核酸分子の5'および3'の粘着末端は同一でもよくまたは異なっていてもよい。異なる末端は、モノマーの順序付けされた集合を容易にするために用いられ得る。上記のように、融合タンパク質内のポリペプチドは、代謝経路または生合成経路における酵素であり得る。酵素は、酵素経路内における酵素機能の時間的配列に対応して、ポリマー内で空間的に順序付けることができる。ポリマーは溶液中で機能してもよく、またはそれ自体が基層に繋ぎ止められてもよい。基層は、例えば、ビーズ、アレイ、クロマトグラフィーのマトリックスであり得る。基層の使用は酵素および産物の容易な分離を可能とする。核酸またはタンパク質を固体支持体に付着させるための当技術分野において公知である任意の方法を使用することができる。これらには、例えば、核酸ハイブリダイゼーション、ビオチン-アビジン、化学的結合など、共有結合性および非共有結合性の付着が含まれる。
【0021】
ポリマーは、タンパク質を一つよりも多いTer部位を含む核酸と混合することによって作成することもできる。例えば、第一および第二の融合タンパク質を、予め第三の融合タンパク質に結合させた核酸分子と混合してもよい。核酸分子は少なくとも3つのTer部位を含む。各融合タンパク質はポリペプチドおよびTusタンパク質を含む。第一および第二の融合タンパク質はポリペプチドとして第一および第二のscFvフラグメントを含む。第三の融合タンパク質はポリペプチドとして免疫グロブリン分子のFcフラグメントを含む。その他の態様において、融合タンパク質は任意のポリペプチドを含み、必ずしもscFvフラグメントまたはFcフラグメントを含むとは限らない。
【0022】
モノマー複合体およびこのようなモノマー複合体のライブラリは、とりわけ、オリゴヌクレオチドアレイのような基層に付着させるために用いることができる。ライブラリは多数の多様なタンパク質-DNA複合体を含む組成物である。各複合体はTus融合タンパク質および核酸分子を含む。融合タンパク質はTusタンパク質およびscFvフラグメントを含み得る。または、Tusタンパク質は、その他のタイプのポリペプチド、特に結合ポリペプチド、特に抗原結合ポリペプチドと融合する。結合ポリペプチドは抗体分子または抗体関連物もしくは抗体誘導物である必要はない。それらは、例えば、酵素、リガンド、受容体、基質、または阻害物質であってよい。核酸分子の第一の部分は二本鎖であり、核酸分子の第二の部分は一本鎖である。第一の部分はTer配列(融合タンパク質に結合するため)を含み、かつ第二の部分はアドレス配列(基層上の核酸にハイブリダイズするため)を含む。典型的には、核酸分子上の各アドレス配列は、固有の結合ポリペプチドを含む融合タンパク質と複合体化され、即ち、結合ポリペプチドとアドレスの間に対応関係(典型的には1:1の対応関係)がある。このように1:1よりも低い割合を用いてアレイ上の2カ所の位置またはアレイの2つのメンバー上に同一の結合ポリペプチドを配置することが望まれる状況を考えることができる。2つの異なる結合ポリペプチドがこのような1:1よりも低い割合を用いて、同一の位置に付着される状況も考えられる。アドレスと結合ポリペプチドの間に対応する相関関係があることから、本明細書では1:1からのこれらの変化も固有の相関関係と見なされる。
【0023】
モノマー複合体のライブラリは、例えば液体、または凍結もしくは凍結乾燥した固体として容器に充填することができる。ライブラリは単一の組成物または分割された組成物であり得る。ライブラリは一つまたは複数の基層に既に付着していてもよく、またはまだ付着していなくてもよい。基層はライブラリと一緒に、またはライブラリとは別に提供され得る。基層は、地理的に(geographically)位置付けられた一本鎖プローブを有していてもよく、それぞれはモノマー複合体の核酸分子内のアドレス配列に相補的である少なくとも6ヌクレオチドの配列を含む。このような基層はしばしばアレイまたはチップと呼ばれる。これらは市販されている。または、ビーズまたはナノ粒子を基層として用いることができる。このような基層は固有に同定可能または検出可能な標識を有する。例えば、各ビーズは固有のバーコード、色素、色素濃縮物、または放射標識を用いて標識することができる。このような基層は、地理的に位置付けられたアレイではなく浮動するアレイを形成する。または、モノマー複合体は、蛍光標識のような基層以外の部分に結合するために用いることもできる。このような複合体は均質な相反応において用いられ得る。このような状況では、基層の場合のように、複合体は一本鎖アドレスのハイブリダイゼーションを用いてもう一つの部分に付着される。別のところで考察されるように、本明細書で用いられる「固有」は厳密な1対1の相関関係を要求しない。むしろ、2つのエレメント間の対応関係または相関関係が意図される。
【0024】
Tus-Ter複合体に存在するアドレス配列は、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも12、少なくとも14、少なくとも16、少なくとも18、少なくとも20、少なくとも22、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも28、または少なくとも30ヌクレオチドの長さであり得る。特異性は、配列の混合物の複雑性および一本鎖のハイブリダイゼーションが起こる条件に依存し得る。同様に、例えばオリゴヌクレオチドアレイ上に見られるアドレス配列の相補物は、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも12、少なくとも14、少なくとも16、少なくとも18、少なくとも20、少なくとも22、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも28、または少なくとも30ヌクレオチドの長さであり得る。
【0025】
scFvフラグメントのような、結合ポリペプチドまたは抗原結合ポリペプチドの地理的なアレイライブラリでは、典型的には、各結合ポリペプチドはTusタンパク質とTer配列との非共有結合性の結合を用いてアレイに繋ぎ止められる。各結合ポリペプチドはTusタンパク質に融合して、融合タンパク質を形成する。各Ter配列は二本鎖および一本鎖の部分を含む核酸分子内にある。一本鎖の部分はアドレス配列を含み、かつ二本鎖の部分はTer配列を含む。アドレス配列は、基層に付着している一本鎖プローブに相補的であり、従って、アドレス配列はプローブにハイブリダイズすることができ、それによって、結合ポリペプチドのライブラリの整列が達成される。一本鎖のプローブは、非共有結合性の相互作用(例えば、ビオチン-ストレプトアビジンの相互作用)によって、または共有結合性の結合(例えば、フォトリソグラフィーを用いて作成される)によって基層に付着させることができる。
【0026】
標的分子は、scFvフラグメントのような2つの異なる標的結合ポリペプチドを用いて測定することができる。第一および第二の結合ポリペプチドは測定しようとする標的分子と混合されて、混合物を形成する。各結合ポリペプチドはTusタンパク質と共に融合タンパク質の一部であり、Tusタンパク質は、二本鎖部分および一本鎖部分を含むDNA分子に結合する。二本鎖の部分はTer配列を含み、一本鎖の部分は結合ポリペプチドに固有の(または対応する)タグ配列を含む。架橋オリゴヌクレオチドは、相補的なDNA一本鎖が二本鎖を形成する条件下において混合物に加えられる。架橋オリゴヌクレオチドは第一および第二の部分を含む。第一の部分は第一の結合ポリペプチドのタグ配列に相補的であり、第二の部分は第二の結合ポリペプチドのタグ配列に相補的である。架橋オリゴヌクレオチドの第一の部分と第二の部分は0〜6ヌクレオチド離れている。DNAリガーゼを混合物に加える;リガーゼは、ニックの入った二本鎖DNA分子の5'末端と3'末端をつなぎ合わせる。第一の抗原結合ポリペプチドのタグ配列および第二の抗原結合ポリペプチドのタグ配列の双方を含む分析物DNA鎖の混合物中の量を測定するためにアッセイが実施される。分析物DNA分子の量は標的抗原の量に関連する。架橋オリゴヌクレオチドの第一の部分と第二の部分が1〜6ヌクレオチド離れている場合、それらはギャップを形成する。ギャップは、DNAリガーゼの添加前に混合物にDNAポリメラーゼおよびデオキシヌクレオチドを添加することによって埋めることができる。DNAポリメラーゼは、二本鎖DNA分子内の7ヌクレオチド未満の一本鎖のギャップを埋める。ギャップの使用および充填反応は任意であるが、分析の特異性を高め得る。ギャップがない、即ち、架橋オリゴヌクレオチドの第一の部分と第二の部分がヌクレオチド0個離れている場合、充填反応を実施する必要はない。分析物DNA分子の検出および定量を促進するために、限定的でない例として、ポリメラーゼ連鎖反応法、ローリングサークル反応、およびリガーゼ連鎖反応を用いて、それを増幅することができる。分析物の任意の検出方法を用いてよい。別の任意の工程は、連結反応後に連結されていない分子を除去するためにエキソヌクレアーゼを用いることである。これは、典型的には検出反応におけるバックグラウンドのノイズを減少させる。
【0027】
酵素は、個々に、直列の配列で、混合物として、または順序付けられた混合物として、基層に付着させることができる。付着は核酸の中間体を介して行われる。核酸分子は、共有結合性または非共有結合性の結合によって基層に付着される。結合は、例えば、ビオチン-ストレプトアビジンの相互作用を介在とし得る。核酸分子は少なくとも一つのTer配列を含み、かつTusタンパク質および酵素を含む一つまたは複数の融合タンパク質と非共有結合性に複合体化され得る。核酸分子が一つまたは複数のTus融合タンパク質とまだ複合体化されていない場合は、基質への付着に続いて、一つまたは複数の融合タンパク質をTus-Ter結合相互作用を介して核酸分子に付着させることができる。融合タンパク質は、任意で、例えば代謝、生合成、または異化などの酵素経路において機能する酵素を含んでもよい。任意で、多数の融合タンパク質は、酵素が酵素経路において時間的に機能する配列に対応する予め定められた空間的順序にある。用いることができる基層の例は、チップ、クロマトグラフィーのマトリクス、リポソーム、およびビーズである。
【0028】
多様なタンパク質-DNA複合体のアレイライブラリは、一つまたは複数の一本鎖プローブを含む基層および多様なタンパク質-DNA複合体のライブラリを一緒に混合することによって作成することができる。各タンパク質-DNA複合体は融合タンパク質および核酸分子を含む。融合タンパク質はTusタンパク質および結合ポリペプチドを含む。核酸分子の第一の部分は二本鎖であり、核酸分子の第二の部分は一本鎖である。第一の部分はTer配列を含み、第二の部分はアドレス配列を含む。それぞれのアドレス配列は、固有または対応する結合ポリペプチドを含む融合タンパク質と複合体化される。アドレス配列と結合ポリペプチドの間には対応関係がある。一本鎖プローブはそれぞれ、タンパク質-DNA複合体の核酸分子内のアドレス配列に相補的である少なくとも6ヌクレオチドの配列を含む。混合されると同時に、タンパク質-DNA複合体は、Watson-Crickハイブリダイゼーションによって、相補配列を有する一本鎖プローブに結合する。用いることができる結合ポリペプチドは、scFvフラグメント、リガンド、受容体、酵素の基質、基質類似体、酵素、および酵素阻害物質を含む。アレイライブラリは、シリコンチップもしくはスライドガラスを含む基層上の地理的なアレイにて、またはビーズもしくはクロマトグラフィーのマトリクスを含む基層上の浮動するアレイにて、整列され得る。
【0029】
DNA複製終結タンパク質であるTusは大腸菌(E. coli)および関連する細菌種において染色体複製の最終段階でレプリソームの進行を遮断する(Mulcair 2006, Torigoe 2005, Mizuta 2003, Neylon 2000, Duggin 1995, Duggin 1999, Skokotos 1994, Skakotos 1995)。Tusタンパク質は、複製フォークトラップを形成するような方法で細菌の染色体の末端領域に位置するTer部位に対してモノマーとして結合する(図4)。フォークの進行は(複合体の非許容性表面から)一方の方向に移動すると停止するが、他方(許容性表面)では停止しない。従って、両方向に移動する複製フォークは末端領域に侵入することはできるが、それを離れることはできない。Tus:TerB相互作用はタンパク質-リガンド相互作用の中の最も強力な一つであり、モノマーDNA結合タンパク質が関与する最も強力な公知のDNA-タンパク質相互作用である。ネイティブのTusタンパク質は、例えば、150mMグルタミン酸カリウム、pH 7.5において、3.4×10-13Mの平衡解離定数(KD)でTerB部位に結合する。
【0030】
Tus-TerB複合体は極めて安定であり、半減期は550分で、解離速度定数は2.1×10-5s-1、会合速度定数は1.4×108M-1s-1である。プラスミドR6KのTerR2の位置に結合するTusタンパク質の同様の測定値は、Tus-TerB相互作用の1/30の親和性を示した。この差は主としてTus-TerR2複合体のより早い解離が原因であった。標準的な化学的修飾技術を用いて、Tus-TerB相互作用のDNA-タンパク質の接触を調べた。同定されたすべてのTer部位に共通の高度に保存された11塩基対の「コア」配列において、Tusタンパク質とTerB配列の間の広範囲な接触が観察された。大腸菌のTer部位であるA-JならびにR6KのTerR1およびTerR2の共通配列は

である。許容可能な置換(括弧内に示す)は1(N)、3(G)、4(N)、13(T)、14(G)および16(N)の位置で起こり得る。
【0031】
Tus:Ter複合体の結晶構造(Kamada 1996)は、タンパク質のコアのDNA結合ドメインがDNAの主溝に存在する2対の逆平行のα鎖からなることを示す。Kamadaら(Kamada 1996)は、Ter DNAに対して配列特異的な接触を作る14個の残基を特定した。これらのうちの10個はコアのDNA結合ドメインに存在し、4個はその外側に存在する。
【0032】
大腸菌以外の細菌の種、特にその他のグラム陰性細菌、特にその他の腸内細菌、特に大腸菌のその他の系統に由来する細菌のTusタンパク質およびTer配列が用いられ得る。例えば、11、12、13または14ヌクレオチドのコアを含むTer配列が用いられ得る。Ter配列であるA-J、ならびにR6KプラスミドのTer配列であるTerR1およびTarR2のいずれかの配列を含むその他の大腸菌のTer配列を用いてよい。Ter共通配列はSEQ ID NO:7に示されており、この共通配列に一致する任意の配列も使用することができる。
【0033】
望ましくは、Tusタンパク質および/またはTer配列の変異型は10-12未満、10-11未満、または10-10未満のKdを保持する。典型的には、変異型はSEQ ID NO:5または7から、10%未満のアミノ酸もしくはヌクレオチド残基、5%未満のアミノ酸もしくはヌクレオチド残基、2%未満のアミノ酸もしくはヌクレオチド残基、または1%未満のアミノ酸もしくはヌクレオチド残基が変異する。
【0034】
Tus:Ter相互作用および自己集合タンパク質アレイの開発における応用
チップ、ビーズ、またはバイオセンサー装置上の組換え型タンパク質のハイスループット堆積は自己集合によって大幅に促進される。タンパク質のオリゴヌクレオチドへのコンジュゲーションを介在としたDNA指向性固定化(DDI)はこの目的に非常に適している。タンパク質のDDIは、タンパク質の基層上への直接のスポッティングに比して、精製したタンパク質材料の使用において100倍経済的であると推定されている[Nedved 1994]。この利点は、より低いタンパク質濃度およびより小さなスポットサイズを用いることができればさらに顕著となる。DNAアレイに関する現在の技術はスポットサイズに関して40μmの範囲であるが、ソフトリソグラフィーの技術は40nmの寸法のアレイを作出することができる。このようなアレイは、Seeman[2003]によって述べられるように二次元および三次元のDNA集合の格子と組み合わせることができる。DNAアレイにおけるこのような進歩は、自己集合の過程において、タンパク質クラスターまたはさらには単一のタンパク質分子のアレイの正確な位置付けを可能とする。DDIは少なくとも現在のスポッティング方法と同程度に有効であり、堅固で高い機能のscFvアレイを提供する。
【0035】
一つの局面において、大腸菌の溶菌液からTus融合タンパク質を単離して、それらをDNAアドレス配列(またはZipCode)に付着させることができる。単離および/または精製中にTus融合タンパク質が大腸菌の染色体の内因性のTer部位に結合することは、Tus融合タンパク質の大量の過剰発現によって抑えることができる。Tus融合タンパク質の発現は、所望ならば、Ter欠乏性である細菌株において達成してもよい。
【0036】
ハイスループット抗体の発見
プロテオミクスという用語は、生物によってコードされる大半またはすべてのタンパク質の機能解析を可能とする並列処理システムを説明するための試みに対して適用されている。現在、プロテオミクス解析の速度はmRNAプロファイリングアプローチによって達成され得る速度に匹敵するものではない。しかし、本明細書において開示される技術の多くはmRNAのプロファイリングアプローチをタンパク質のプロファイリングのために転用することを可能とする。
【0037】
抗体、特にモノクローナル抗体(mAb)は、試料中のタンパク質の同定および定量のためのプロトタイプの親和性試薬である。図2は一般的な抗体構造を示す。ハイブリドーマ技術(図3A)の開発は、標的抗原に関して所望の親和性および特異性を有するmAb選択のための画期的なアプローチであった。このアプローチは抗体作出のために反復して成功裏に用いられているが、プロテオミクスのアフィニティーセットの作成に用いるにはコストが掛かりすぎる上に冗長である。高品質のmAbを作成するために用いられる二番目の方法はファージディスプレイ(図3B、およびLee 2004;Sheets 1998)である。この方法では、一本鎖可変性フラグメント(scFv)抗体のライブラリは、M13バクテリオファージgpIIIの表面にgpIIIタンパク質との遺伝的融合物として提示され、関心対象の抗原に対する「バイオパニング」方法において用いられる。ファージディスプレイはハイブリドーマ技術に比べて効率性およびコスト節約を約束するが、現在顕在している複数のバイオパニング、洗浄、播種、およびELISAの工程の必要性は、何万もの抗体の作成において説得力のあるアプローチを与えるものではない。標的抗原に対するscFvを選択するための自動化された酵母ツーハイブリッドアプローチは、これらの要求を満たすことができる(R. Buckholz, et al., Automation of Yeast Two-hybrid Screening 1999, JMMB Communication 1:135-140)。
【0038】
近接連結アッセイ
PLAは、抗体に連結しているオリゴヌクレオチドのDNA連結反応を介した、標的タンパク質の抗体ベースの検出の結果、分析に適した増幅可能なDNA鎖が形成される、近年開発されたタンパク質分析のための方法である[Dahl 2005, Fredriksson 2002, Gullberg 2003, Gullberg 2004, Gustafsdottir 2007, Jarvius 2007, Landegren 2004 Schallmeiner 2007, Soderberg 2007, Zhu 2006]。PLAでは、オリゴヌクレオチド伸長物を含むタンパク質(この場合は抗体)のペアは、標的タンパク質に対して対で結合して、近接した際に連結によって増幅可能なタグ配列を形成するように設計される(図1Bおよび5を参照されたい)。連結可能な末端の反応性が、同時に起こる標的結合の際に大幅に増大することによって、優れた感度が確実となり、リアルタイムPCRによる増幅DNA検出と組み合わせて、増加した相対濃度により、極めて少量の連結産物の測定を可能とする。PLAは固相法を用いることによっても実施することができ、その近接依存性のシグナルのために、別のDNAベースのタンパク質検出アッセイであるイムノPCRよりも高い感度を示している[Adler 2005, Barletta 2006]。図6は標的タンパク質レベルの定量のためのPLAの使用例を示す。
【0039】
PLAは、それが均質であるように設計できる、即ち、洗浄の工程を伴わず、手順がインキュベート混合物に(1)試料および(2)連結-PCR混合物の順次の添加のみを必要とすることから、ハイスループットの適用における自動化に適している。PLAの高感度は1μlの試料アリコートのモニターを可能とし、これは試料の消費量を最小限として、これにより従来の技術では測定できない極めて少量しか得られない試料の分析を可能とする。さらに、標準的なELISAに比べてアッセイ当たり1/1000の抗体を使用し、同等の試薬濃度ですべてのアッセイが都合よく遂行されるので、新しいアッセイは多くの最適化を必要としない。近接連結の精度は現時点ではリアルタイムPCR検出のレベルであるが、核酸の定量的検出方法が改善されれば精度のさらなる向上が提供され得る[Soderberg 2006]。PLAは多重化された検出に理想的であり、これは開発中の多くの技術、特に抗体をベースとするマイクロアレイの目標である。より多くの検出反応が並行して実施されるので、抗体交差反応性の問題は拡張性を限定する大きな問題となる。それぞれの同属近接プローブペアに関して固有の連結接合部が用いられるならば、PLAはこの問題に対して実現可能な解決法を与える。最後に、それぞれの異なる抗体に付着しているオリゴヌクレオチド内に、固有の増幅可能なZipCode配列を含むことによって、PLAを用いた並行分析が可能であり得、標準的なオリゴヌクレオチド捕捉アレイは異なるタンパク質の多くのセットの絶対的または相対的測定に使用することが可能となる。
【0040】
分子反転プローブ(MIP)技術[Hardenbol 2003, Moorhead 2006, Wang 2005]
PLAに関連する一つの技術は分子反転プローブとして公知である(図7 7)。MIPは、配列にハイブリダイズした際に1bpのギャップを残す(そのほかは前記配列と相補である)2つの特異的相同配列を有する[Wang 2005]。MIPは、最終的にはDNAマイクロアレイに結合する特異的なタグ配列も含む。各プローブに特異的であるこれらの要素に加えて、すべてのプローブに共通する2つのPCRプライマーがある。これらのプライマーは互いに反対向きであり、従って、増幅を促進することはできない。プローブをハイブリダイズさせた後、ヌクレオチドを試験管に加える。ギャップは適切なヌクレオチドの存在下にて埋められる。続いて、単一分子の連結事象が触媒される。エキソヌクレアーゼを用いてプローブの一本鎖部分を除去した後、互いに対向する共通プライマーを用いたPCRを試験管内で実施する。シグナルの増幅に加えて、PCRプライマーによって蛍光標識が導入される。その後、反応物はタグアレイ上にハイブリダイズされる。個々の試料に由来する22,000もの一塩基多型(SNP)マーカーを調べることができる。MIP技術は、オリゴヌクレオチドアレイを用いたその他の方法を上回る、この適用に有利な複数の特徴を有する。アッセイでは、独特な単分子プローブデザインおよび技術の極めて高い多重化も可能とする選択的酵素学の組み合わせを介して、高い特異性が達成される。タグをベースとする読み取りアレイはさらに異なる利点をもたらす。アレイ上のシグナルを分離するためにゲノム配列の使用を避けることによって、異なるプローブ間の交差ハイブリダイゼーションのレベルを極めて低レベルに維持することが可能であり、シグナルを高い精度で定量することが可能となる。
【0041】
二本鎖DNAは比較的剛性の分子杵状体として行動する。骨格内のニックまたは一本鎖の切断は分子がもう一方の鎖の回りを回転することを可能として、これによって構造に柔軟性が導入される。ニックは単一のホスフェートの連結によって、またはニッカーゼ酵素を使用することによって作ることができる。核酸骨格における柔軟性または回転の導入、これは、DNA(Terを含む)に付着しているタンパク質サブユニット(Tus-ハイブリッド)の空間的な相関関係を最適化するための試みにおいて特に有用である。
【0042】
T4 DNAリガーゼは、3'ヒドロキシル基に隣接する少なくとも一つの5'ホスフェートを有する二本鎖DNAを必要とする。単一のホスフェートおよび隣接するヒドロキシルを有する二本鎖DNAの連結は、ニックの入った分子を作成して、これは構造に柔軟性を付与する。反対に、核酸骨格は、例えばロックされたヌクレオチド(LNA)などの修飾されたヌクレオチドを用いてさらに硬化させることができる。
【0043】
ニッカーゼ酵素は、非対称のDNA配列を認識してDNAの(両方ではなく)一方の鎖にニックを入れる点を除いて、制限酵素とほぼ等しい。Nb.BbvCI、Nb.BsmI、Nb.BsrDI、Nb.BtsI、Nt.AlwI、Nt.BbvCI、Nt.BspQI、Nt.BstNBI、Nt.CviPII、New England Biolabs, Beverly, MAを含む、ニックを入れるエンドヌクレアーゼのいくつかは市販されている。
【0044】
Tus融合物は、IgG分子または修飾されたIgG分子をモデリングする目的で、DNA分子上にscFvのような結合ポリペプチド、およびFc領域、GFP、βgal、HRP、ルシフェラーゼなどを含むその他の官能基を配置するために用いることができる。このことは、インビボまたはインビトロにおけるアッセイにおいて調べるために偽IgG様分子を簡便に作成することを可能とする。Tus融合物の空間的な立体構造を変化させるためにT4 DNAリガーゼおよび/またはニッカーゼの酵素を使用することができる。このようなアッセイにおいて適切な結合scFvが特定されると、scFv構築物からCDRをクローニングして、完全な抗体(例えば、IgG)の分子を再構成するために用いることができる。一つの態様において、2つの異なる適切な結合scFvは偽IgG様分子の一部として標的抗原に効果的に結合することが見出されており、完全な抗体分子のそれぞれのFab領域における2つの異なる適切な結合scFv由来のCDRの導入は、高い親和性結合を生じるばかりでなく標的抗原における高い特異性も付与する異種抗体を作成する。
【0045】
多重の官能基(この例では、三量体scFvキメラ)は、異なる細胞タイプに結合するキメラtus融合物-DNA分子を鑑別するために用いることができる。この例において、細胞タイプAは細胞表面に3個中1個の抗原を提示して、細胞タイプBは表面に3個中もう1個の抗原を提示するが、細胞タイプCは3個すべての抗原を提示する。結合分子は、キメラ三量体を細胞タイプAまたはBに対してよりも細胞タイプCに対してより高い親和性で結合することを可能にする結合親和性を引き出すように速やかに試験される。
【0046】
前記の開示は本発明を一般的に説明する。本明細書に開示されるすべての参照は、参照によって明確に組み入れられる。より完全な理解は、例証のみの目的のために本明細書において提示されかつ本発明の範囲を制限することを意図しない以下の具体的な実施例に対する参照によって得ることができる。
【0047】
実施例
以下の具体的な実施例および代替となる実施例では、(1)TerBは21ntの二本鎖DNA TerB配列

および示される場合は、TerBオリゴヌクレオチドの一方または双方の(即ち、ワトソンおよび/またはクリック)の鎖から伸長している短い一本鎖のZipCode DNA配列を指す;(2)ZipCodeおよびcZipCodeは一本鎖DNAの20〜30ntの相補配列である;(3)簡潔さのために、また本発明者らのこれまでの経験により、以下の具体的な実施例に記載する例は固体支持体としてLuminex(商標)ビーズを使用するが、オリゴヌクレオチドアレイのその他の方式(非限定的な例として、例えば、Affymetrix(商標)およびNimblegen(商標)など)は、多重反応に追加のZipCodeおよびcZipCodeを組み入れることによって分析を拡大することができる。実施例において、本発明者らはポリペプチド結合相互作用としてscFv:抗原を使用する。
【0048】
相互作用するペアがscFv部分を伴わない可能性がある多くの実施例が存在する点に留意すべきである。寧ろ、親和性試薬がDNA分子に結合できるのであれば、scFv以外の親和性試薬を用いて標的分子をアッセイするために記載される技術が用いられることは極めて容易に想像できる。このように、親和性試薬のペアは同一であっても、または非同一であってもよく、ホモオリゴマーまたはヘテロオリゴマーを形成することができる。ペアの一つのメンバーはscFvであり得、一つのメンバーは、例えば同一または異なるエピトープまたは抗原に結合する受容体またはリガンドであり得る。
【0049】
相互作用するペアがタンパク質である必要はない。その他のリガンドおよびタンパク質に結合するリガンドについて調べるために、記載される技術を用いることが可能である。インタラクトームについて調べるために、記載される技術を用いることが可能である。
【0050】
DNAの特異的な配列または特異的な形態を認識するTus以外のDNA結合タンパク質は当技術分野において公知であり、タンパク質およびそれらの同属配列のこのような組み合わせは、それらの相互作用のKdが1010未満であれば、本発明において使用することができる。このようなDNA結合タンパク質の例には、recA、DNA制限酵素、DNAメチル化酵素、DNAリガーゼ、ruvA、ruvB、ruvC、またはDNA不適正塩基対を認識するその他の酵素、DNA修復酵素、ヘリカーゼ、ポリメラーゼ、転写因子が含まれる。チオール化したATP(ガンマSチオールADP)分子はrecAタンパク質をDNAに不可逆性に結合するために用いることができる。
【0051】
方法は、RNA結合タンパク質、例えばtRNA合成酵素、キャッピング酵素、RNAポリメラーゼに適応させることができる。
【0052】
方法はタンパク質結合タンパク質に適応させることができる。融合-結合は、ペプチドまたはペプチド反復単位のタンパク質またはポリマーに対してであり得る。最後に、以下を含む、記載される技術の複数のさらなる例がある:(a)タンパク質のリン酸化をモニターするための抗ホスホチロシンモノクローナル抗体PY20を用いたPLA;(b)鎖状に連結された(catenated)Ter配列のポリTer配列の使用によるscFv結合活性の増大;異なるTer-Tusはカラムクロマトグラフィーにおいて樹枝状の樹脂のタイプとして用いられる酵素経路融合物を作成することを可能とする;(c)Tusは、タンパク質-タンパク質相互作用のトラップにおいてDNA結合パートナーとなることができ、またはインビボもしくはインビトロのシステムにおいて内因性の抑制物質として作用することができる;(d)融合物の結合は一過性または不可逆性であり得る。不可逆性の場合は、それは化学的または例えばUV照射などのその他の方法によってあり得る。
【0053】
試薬は、結合活性の増大のためにTus-Terを用いて開発することができる。このような試薬は、同一または異なる標的結合ポリペプチドを含むTus融合タンパク質を用い得る。例えば、多数のTer配列を含む核酸骨格は多数のTus融合分子を付着させるために用いることができる。融合タンパク質が同一の結合ポリペプチドを含む場合、標的分子が二番目のポリペプチドから遊離する際に、二番目のポリペプチドの近くの一番目の結合ポリペプチドが標的分子に結合することができるというメカニズムによって、結合活性が増大し得る。このように、結合部分の数の増加は、標的分子がTus-Ter複合体に結合していないのではなく結合している時間の量を増加させる。逆に、融合タンパク質が、標的分子の異なる部分、例えば、単一の抗原の2つのエピトープに結合する異なる結合ポリペプチドを含むならば、単一の標的分子は単一のTus-Ter複合体の2つの結合ポリペプチドに同時に結合され得るため、結合活性が増大する。このように、結合活性の高い試薬を作成するために、異質性および同質性の双方の結合ポリペプチドが、TusおよびTerを介して単一の核酸分子に結合することができる。本発明者らは作用メカニズムについてのいかなる理論によっても拘束されることを意図しない。
【0054】
特異的な代謝経路(例えば、エタノール産生)に関与する酵素は、触媒転換においてより効率的であるクロマトグラフィーのカラムまたはその他の基層を作成するために鎖状に連結され得る。溶液中および極めて近接した状態において活性な酵素を有することの効率は、拡散律速反応が一層迅速に進行することである。同様に、本発明者らは酵素の順序付けられたアレイを作成するために、より長いDNAフラグメント上に順序付けられた方法でZipCodeを連結またはハイブリダイズすることができる。分枝オリゴヌクレオチドを用いて、本発明者らは無作為または順序付けられた酵素の三次元格子を構築することができる。
【0055】
実施例1
品質制御試薬:タンパク質およびオリゴヌクレオチド結合ビーズ
非限定的な例として、Tusタンパク質と結合ポリペプチドまたはGFPのいずれかとの融合物は、T7発現システムを用いて大腸菌からクローニングして精製することができる[Neylon 2000]。非限定的な例として、His6親和性タグはタンパク質のアミノ末端に融合することができる。このタグは酵素活性を変化させないことが示されている。GFPおよびscFvの双方のタンパク質がカルボキシルおよびアミノ末端融合に耐容性を示し得ることが公知である。本発明者らは既に、大腸菌の細胞質において発現することができる複数のscFv mAbを選択して単離している。
【0056】
(1)タンパク質のクローニングおよびタンパク質の精製。Tusは

のプライマーペアを用いて大腸菌 XL1Blue(Stratagene, La Jolla, CA)から増幅することができる。非限定的な例として、GFPはphMGFP Vector(Promega Corp, Madison, WI)から増幅することができる。本発明者らは試験抗体として独自のまたはその他のscFvを使用することができる。遺伝子はT7 RNAポリメラーゼpETMCS his6親和性タグベクター(Stratagene)にクローニングして発現させることができる。融合構築物を作る過程は当技術分野において周知である。IPTGを用いて細胞を誘導して、室温(RT)または30℃のいずれかにおいて一晩、継続して増殖させることが可能である。細胞は超音波処理によって可溶化することができ、タンパク質の精製は、適用可能であればNi(III)およびサイズ排除カラムクロマトグラフィーを使用することができる。Tus含有融合タンパク質を含む最終的な画分は保存用緩衝液(50mM トリス-HCl、pH 7.5、100mM NaCl、1mM DTT、1mM EDTA、20% w/vグリセロール)中に交換して、吸引透析装置(Schleicher and Schuell)を用いて濃縮し、-80℃に保存することができる。Tus融合タンパク質の濃度はそのUV吸収スペクトルから求めることができる。(2)TerBおよびリバースTerB(rTerB)、ZipCodeおよびcZipCodeのデザインおよび合成。

は市販の供給元(IDT)から購入可能である。ZipCodeおよびcZipCodeは、Luminex(商標)ビーズを用いた遺伝子型同定において以前に用いられたオリゴヌクレオチドZipCodeの非交差ハイブリダイズセットに基づくことができる[Taylor 2001参照]。cZipCodeオリゴヌクレオチドのLuminex(商標)ビーズへの付着は、非限定的な例として、標準的なEDC(1-エチル-3-[3-ジメチルアミノプロピル]カルボジイミドヒドロクロリド)をベースとする結合を用いることができる。結合反応の成功は、cZipCode配列に相補的な過剰モルの蛍光標識されたオリゴヌクレオチドを用いて、結合したミクロスフェアをハイブリダイズすることによって評価することができる。本発明者らの経験は、有効な結合反応は平均蛍光強度(MFI)2000〜4000Uを有するミクロスフェアを産生することを示している。1000未満のMFIを有するミクロスフェアは置き換えてよい。
【0057】
代替の実施例
(1)scFvおよびGFPの遺伝子クローンはいずれも合成構築物であってよく、細菌の細胞質内で十分に発現するように設計され得る。必要ならば、その他の宿主発現生物体(非限定的な例として、昆虫、アデノウイルス、桿菌、大腸菌、哺乳動物、および酵母の発現システム)。(2)様々なサイズの伸長した親水性リンカー[例えば、非限定的な例として、一般的なタイプの(Gly4Ser)N]をTusおよび融合パートナーの間に位置付けることができる。(3)本発明者らは誘導方法を変化させることによって発現を制御することもできる[RT、30℃または37℃において一晩、IPTG誘導物質の時期および濃度を修正する、ならびにチオレドキシンの存在下または非存在下においてタンパク質を発現させる]。大腸菌の発現の場合、タンパク質はペリプラズムに分泌されるように設計することができ、これはいくつかのケースにおいて細胞質の凝集を抑制することが示されている。非限定的な例として、scFvおよびGFPの双方は融合ハイブリッドのアミノ末端にあり、リーダーペプチドに適切に遺伝的に融合されると効率的に分泌されることが公知である。(4)上記の実施例において、His6親和性タグは精製を促進するためにタンパク質融合物に含まれるが、当技術分野において公知であるその他の親和性タグは、精製を促進するために融合タンパク質に組み入れられることが可能である。(5)ビーズ蛍光は、Luminex(商標)プレートリーダーおよびLuminex(商標)ソフトウェアを備えたLuminex(商標)100血球計算器を用いて測定することができる。
【0058】
実施例2
自己集合タンパク質アレイに関するパラメータ
ZipCodeおよびcZipCode配列のDNA-DNAハイブリダイゼーションは、DNA指向性固定化およびPLAを可能とすることができる。Tus複製停止の方向性は、Tus:Ter複合体の非対称性によって説明され得る。相互作用の方向性によって、融合ハイブリッドを一方の方向においてより効率的に機能させることができる。本発明者らは、TusハイブリッドをTerBおよびリバースTerB(rTerB)の双方に結合させることによって、このことを調べることができる。
【0059】
実験デザインおよび期待される結果
(1)cZipCode結合ビーズに結合するGFP-Tus:TerB-ZipCodeおよびGFP-Tus:rTerB-ZipCode。2つの配向における融合タンパク質のZipCode結合について調べるために、本発明者らはHis6-GFP-TusハイブリッドをTerB-ZipCode1およびrTerB-ZipCode1のDNA配列に別々に結合させた後、それらをcZipCode1のビーズに結合させることができる。タンパク質の溶液はTus:TerB結合緩衝液(50mMトリス-HCl、0.1mM EDTA、0.1mM DTT、0.005%ノニデットP-20、150mM KCl、pH 7.5)で希釈することができる。5倍の過剰なモル量のTerB-ZipCode1(またはrTerB-ZipCode1)を加えることができる。タンパク質は、非限定的な例として、Ni(III)カラムを用いて遊離オリゴヌクレオチドから分離することができる。タンパク質はカラムから溶出することができ、cZipCode1結合ビーズおよび陰性対照のビーズ(陰性対照のビーズは第二の非相補のcZipCode2結合ビースであってもよい)の双方に加えることができる。ビーズは上記の通り洗うことができ、結合したGFPの量は分光計またはLuminex 100のいずれかで測定することができる。(2)cZipCode1およびcZipCode2のビーズに結合するHis6-scFv-Tus:TerB-ZipCode1およびHis6-scFv-Tus:rTerB-ZipCode1。前記の具体的な実施例(2.1)の条件を用いて、本発明者らは2つの配向におけるscFv-Tusハイブリッドの有用性を調べることができる。本発明者らは、非限定的な例として、抗GCN scFvを試験抗体として用いることができる。本発明者らは、陽性対照試験リガンドとして蛍光標識したGCNペプチドに対する結合を用いることができる。
【0060】
さらなる非限定的な実施例
(1)本発明者らは、cZipCode1に結合するTus-融合物:TerB-ZipCode1を調べることができる。cZipCode1を蛍光で標識し、この標識したオリゴヌクレオチドをHis6-Tus:TerB-ZipCode1とハイブリダイズさせ、次いで、非限定的な例としてNi(III)カラムを使用して、タンパク質複合体を精製してcZipCode1がZipCode1にハイブリダイズするかどうかを調べる。本発明者らは、複合体の結合サブユニット間の距離を伸ばすために、非限定的な例として、TerBおよびZipCodeの間に10ユニットの脱塩基のデオキシヌクレオチドスペーサーを加えることができる。必要ならば、本発明者らは一連のより長いZipCodeを用いることもできる。任意の工程として、本発明者らは、T4 DNAリガーゼがTus:TerB複合体をビーズまたはcZipCodeされたアレイのいずれかに共有結合性に結合させる能力を使用することができる。複合体をこの方法で結合させるために、安定性の利点の分け与え(impart)があり得る。(2)本発明者らは、陰性対照として非相補のZipCodeに融合したGFP-Tus:TerBを使用することができる。非特異的な相互作用が問題である場合は、本発明者らは複数の遮断物質(非限定的な例として、例えば、脱脂粉乳、BSA、tRNAなど)を試験することができる。本発明者らは、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションに関連する条件について調べるために、システムのそれぞれの構成要素を別々および一緒に調べることができる。ハイブリダイゼーションを可能にするために、より長いハイブリダイゼーションプローブを使用することができる。Tus:TerB相互作用は、DNA-DNAハイブリダイゼーションと適合性のある緩衝液中で生じる。具体的な実施例4については、TerBの両端にZipCodeタグを有することによって本発明者らが固相ハイブリダイゼーションおよびPLAの双方を同時に実施できることにも留意されたい。
【0061】
実施例3
自己集合タンパク質アレイの融合ライブラリに関する保存パラメータ
理想的には、本発明者らは、多くの異なる自己集合タンパク質を単一のライブラリ溶液中で一緒に保存することを望んでいる。従って、融合タンパク質間でTerBの配列がほとんどないし全く交換されないことが望ましい。Tus:Ter相互作用の解離速度が与えられると、本発明者らはクローンを数時間にわたって一緒にインキュベートすることができ、TerB配列の交換はごく僅かであることを期待することができる。
【0062】
本発明者らは、別々に、溶液中に、複合体化されたGFP-Tus:TerB-ZipCode1に対してTerB-ZipCode2を加えないまたは過剰量を加え、続いて混合物をcZipCode1のビーズに結合させることができる。溶液の相のTerB-ZipCode2によってTus結合TerB-ZipCode1が交換されると、続いて、cZipCode1ビーズにおいて結果的なシグナルの消失が起こるはずである。逆の実験において、本発明者らはGFP-Tus:TerB-ZipCode2に、過剰なTerB-ZipCode1を加えて、続いて混合物をcZipCode1ビーズに結合させることができる。交換があれば、続いて、本発明者らはcZipCode1ビーズにおいてシグナルの増強が見られることを期待する。一連の非限定的な条件として、これらの試験は時間(1、2、4、6、8、10および24時間)、温度(4℃、RT、30℃および37℃)、ならびにKCl濃度(0、50、100、200および400mM)の関数として反復することができる。(2)20%グリセロールまたは代用の低温貯蔵試薬中のTus:TerB-ZipCodeの溶液は液体窒素で急速凍結して、-80℃にて少なくとも一晩保存することができる。溶液は氷上で融解することができる。これらの溶液は、この場合も、タンパク質が活性のままであり、タンパク質-DNA相互作用が完全性を保っているかどうかを調べるために、異なる保存時間および条件にて上記のように用いることができる。
【0063】
または、Tus融合部分の混合集団におけるタグ付けされた配列の無作為化を防ぐために、本発明者らは使用する準備ができるまでTus:TerB試薬を別々に維持することができる。本発明者らは異なる低温貯蔵用の凍結試薬を選択することができる。本発明者らは、長期保存のためにタンパク質を凍結乾燥するための方法として凍結乾燥の技術を使用することができる。
【0064】
本発明者らは、この開示が成功を収めるためとしてタンパク質をライブラリとして保存する必要はない。大半のタンパク質は、ポリエチレングリコール、DMSOなどのような様々な添加剤を加えた、または加えていない20%グリセロール中で凍結することができる。
【0065】
実施例4
抗原濃度を測定するためのPLAの使用は、溶液、特に多重の様式における抗原の低濃度の測定を可能とする。
【0066】
洗浄の工程が必要でなく、インキュベートに先ず試料を、次に連結-PCR混合物を順次加えるのみであるので、均質なPLAはハイスループットの適用における自動化に適している。高いアッセイ感度は、1μlの試料アリコートが近接連結によってモニターされることを可能として、試料の消費量が抑えられ、極めて少量しか得られない試料の分析が可能となる。さらに、標準的なELISAに比べてアッセイ当たり実質的に少ないmAbが用いられ、ほぼ等しい試薬濃度ですべてのアッセイが都合よく遂行されることが期待されることから、新しいアッセイは多くの最適化を必要としない。近接連結の精度は現時点ではリアルタイムPCR検出のレベルであるが、核酸の改善された定量的検出方法は精度のさらなる向上を提供し得る。
【0067】
(1)近接プローブはscFv1-Tus:Ter-ZipCode1およびscFv2-Tus:Ter-ZipCode2の複合体から構成され得、2つのscFvはそれぞれ、同一抗原の異なるエピトープを認識する。本発明者らは、2つの異なる親和性タグを用いた標準的なELISA型の反応を用いてサンドウィッチ方式において、非限定的な例として、標的抗原のエピトープの異なるペアに対して本発明者らが得ていたscFvを使用することができる。この様式で適切に機能するscFvはHis6-Tusハイブリッドとすることができ、scFvおよびTusの活性は具体的な実施例1および2の通りに実証される。(2)PLAは、プローブ連結およびqPCRに必要な成分を含む45μl混合液の添加前に、試料を近接プローブと共に5μlインキュベートにて1時間、インキュベートすることによって実施することができる。混合液は、50mM KCl、20mM トリス-HCl(pH 8.4)、2.5mM MgCl2、T4 DNAリガーゼ(Amersham Pharmacia Biosciences)0.4ユニット、400nM 架橋オリゴヌクレオチド、80μM ATP、0.2mM dNTP、0.5μMプライマー、5'ヌクレアーゼアッセイ用のプローブ200nM、およびプラチナTaq DNAポリメラーゼ(Invitrogen)1.5ユニットを含むことができる。RTにて5分間の連結反応後、反応物はExoIIIで1時間処理して、続いて65℃にて15分間加熱し、以下の温度サイクルにおいてqPCR装置に移す前にNthおよびUDG(NEBiolabs)で処理することができる:95℃で2分間、続いて95℃で15秒間、および60℃で60秒間、45回反復する(Applied Biosystems PRISM 7700または7000)。(3)本発明者らは、反応における4つの構成要素である近接パートナー、架橋オリゴヌクレオチド、および抗原の濃度を数桁の規模の範囲にわたって変化させて、上記の通りアッセイを反復することができる。必要ならば、合成P1-ZipCode1-ZipCode2-P2オリゴヌクレオチドおよびTaqManアッセイを陽性対照として用いることができる。(4)近接連結における任意の工程。本発明者らは任意で連結前にギャップ充填の工程を用いることができる。MIPを用いたSNP遺伝子型同定者は特異性を高めるためにこの工程を使用する;本発明者らは記載する対照を用いて本発明者らのシステムにおいてそれを使用することができる。連結したオリゴヌクレオチドは、タンパク質-核酸複合体から回収されるならば、より効率的に増幅され得る。複合体から連結されたP1-ZipCode1-ZipCode2-P2オリゴヌクレオチドを遊離させるために、本発明者らはヘリカーゼを使用することができる。しかし、ヘリカーゼ代替物として、本発明者らはdUTPを用いてTerオリゴヌクレオチドを合成することができる。ウラシル-DNAグリコシラーゼ(UDG)およびエンドヌクレアーゼIII(Nth, New England Biolabs)は、より再現性のあるqPCRを可能とすることを目的に、タンパク質-核酸複合体からP1-ZipCode1-ZipCode2-P2オリゴヌクレオチドを効果的に遊離させるために用いることができる。
【0068】
代替物
(1)アッセイプロトコル。インキュベート内に適用される近接プローブの濃度がそれらの親和性に基づいて調整されるべきかどうかを調べるために、本発明者らは解離定数の範囲にわたってバックグラウンドを上回る予想されるシグナルを算出することができる。Gulbergは、0.1から10nMのKd値を有するプローブを使用すると、双方のプローブの一定の少量を使用することが適切であることを見出した[Gulberg 2004]。但し、リアルタイムPCRが高い精度を提供する範囲内において、安定したタンパク質非依存性のバックグラウンドを生成するためには、アッセイにおいて十分なプローブが使用されなければならない。これは、50μL中で連結および増幅される、5μLインキュベート容量中の近接プローブ 5〜25pMに相当する約50〜500の単位複製配列で達成される。(2)試薬の純度。試薬の純度はアッセイの性能にとって重要である。遊離mAbおよび遊離オリゴヌクレオチドのように近接プローブの生成から派生する不純物は、精製によって除去することができる。多量の遊離mAbはプローブの結合を遮断することによってシグナルを抑えることが期待されるが、アッセイは標的飽和条件を下回って実施されるため、これよりも少ない量は有害でない。これに対して、不活性タンパク質結合物を有する近接プローブと同様に、遊離オリゴヌクレオチドはバックグラウンドを上昇させることによってアッセイの性能を低下させる[Gulberg 2004]。近接プローブに用いられるオリゴヌクレオチドは十分な長さであり得、それらの配列はコネクターオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションおよびプローブ間ハイブリッドの形成を防ぐことができる二次的構造を避けるように選択できる。(3)近接プローブの長さ。本発明者らは、架橋オリゴのもう一方の末端を見出すために、Tus-scFv-抗原-scFv-Tus複合体の周囲に達するのに十分な長さではあるが溶液中で浮遊する遊離オリゴヌクレオチドに接近し始めるほどの長さではないように、DNAフラグメントの長さを至適化することができる。本発明者らは、一方または双方の近接プローブの長さを、非限定的な例として、試験当たり10塩基において10から60ヌクレオチドに変化させることができる。(4)多重検出。より多くの検出反応が並行して実施されるため、mAb交差反応性の問題は拡張性を限定する大きな問題となる。それぞれの同属近接プローブペアに関して固有の連結接合部が用いられるならば、MIP技術と結合させたPLAはこの問題に対する解決法を与える。
【0069】
参照
引用される各参照の開示は本明細書に明確に組み入れられる。







【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のモノマーを含むポリマーであって、
各モノマーが、
融合タンパク質と
核酸分子と
の非共有結合性の複合体を含み、
融合タンパク質が、ポリペプチドおよびSEQ ID NO:5記載のTusタンパク質を含み、核酸分子が、SEQ ID NO:7記載のTer部位を含む、
ポリマー。
【請求項2】
ホモポリマーである、請求項1記載のポリマー。
【請求項3】
ヘテロポリマーである、請求項1記載のポリマー。
【請求項4】
多数のモノマーにおける融合タンパク質が、同一のポリペプチドを含む、請求項1記載のポリマー。
【請求項5】
多数のモノマーにおける融合タンパク質が、多数のポリペプチドを含む、請求項1記載のポリマー。
【請求項6】
核酸分子が、少なくとも一つの非天然のデオキシヌクレオチドを含む、請求項1記載のポリマー。
【請求項7】
モノマーが、核酸分子間の二本鎖の結合によって連結されている、請求項1記載のポリマー。
【請求項8】
ポリマー内の一つまたは複数のモノマーが、核酸分子間の一本鎖の結合によって連結されている、請求項1記載のポリマー。
【請求項9】
ポリペプチドがscFvフラグメントである、請求項1記載のポリマー。
【請求項10】
少なくとも一つのポリペプチドがscFvフラグメントであり、少なくとも一つのポリペプチドがFcドメインである、請求項1記載のポリマー。
【請求項11】
少なくとも2つのポリペプチドがscFvフラグメントであり、少なくとも一つのポリペプチドがFcドメインである、請求項1記載のポリマー。
【請求項12】
少なくとも2つのscFvフラグメントが同一である、請求項11記載のポリマー。
【請求項13】
少なくとも2つのscFvフラグメントが異なる、請求項11記載のポリマー。
【請求項14】
少なくとも一つのポリペプチドがプロドラッグである、請求項1記載のポリマー。
【請求項15】
少なくとも一つのポリペプチドが蛍光性である、請求項1記載のポリマー。
【請求項16】
少なくとも一つのポリペプチドが酵素である、請求項1記載のポリマー。
【請求項17】
酵素経路において機能する多数の酵素を含む、請求項1記載のポリマー。
【請求項18】
多数の酵素が、該酵素が酵素経路において時間的に機能するように、ポリマー内で空間的に順序付けられている、請求項17記載のポリマー。
【請求項19】
以下の工程を含む、多数のモノマーを含むポリマーへと集合させる方法:
DNAリガーゼ酵素を用いて多数のモノマーを互いに連結させる工程であって、
各モノマーが、
融合タンパク質と
核酸分子と
の非共有結合性の複合体を含み、
融合タンパク質が、ポリペプチドおよびSEQ ID NO:5記載のTusタンパク質を含み、かつ核酸分子が、SEQ ID NO:7記載のTer部位を含む、
工程。
【請求項20】
核酸分子が5'粘着末端および3'粘着末端を有する、請求項19記載の方法。
【請求項21】
核酸分子の5'粘着末端と3'粘着末端が同一である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
核酸分子の5'粘着末端と3'粘着末端が異なる、請求項20記載の方法。
【請求項23】
多数のポリペプチドが酵素経路の酵素である、請求項19記載の方法。
【請求項24】
連結させる工程が、酵素が生合成経路において時間的に機能するように酵素をポリマー内で空間的に順序付ける、請求項23記載の方法。
【請求項25】
ポリマーを基層に付着させる工程をさらに含む、請求項19記載の方法。
【請求項26】
連結されたモノマーの核酸分子に、一つまたは複数の一本鎖のニックを導入する工程をさらに含む、請求項19記載の方法。
【請求項27】
融合タンパク質と
核酸分子と
を含むタンパク質-DNA複合体であって、
核酸分子の第一の部分が二本鎖であり、かつ核酸分子の第二の部分が一本鎖であり、
第一の部分が、SEQ ID NO:7記載のTer配列を含み、かつ第二の部分が、少なくとも6ヌクレオチドのアドレス配列を含み、
融合タンパク質が、結合ポリペプチドおよびSEQ ID NO:5記載のTusタンパク質を含む、
タンパク質-DNA複合体。
【請求項28】
請求項27記載の多数の多様なタンパク質-DNA複合体を含む組成物であって、
各アドレス配列が、固有の結合ポリペプチドを含む融合タンパク質との複合体内に存在する、
組成物。
【請求項29】
固有の結合ポリペプチドを有する各複合体が、固有に同定可能な固体支持体に付着している、請求項28記載の組成物。
【請求項30】
地理的に(geographically)位置付けられた一本鎖プローブを有する基層をさらに含む組成物であって、
一本鎖プローブがそれぞれ、核酸分子内のアドレス配列に対して相補的である少なくとも6ヌクレオチドの配列を含み、アドレス配列が一本鎖プローブとハイブリダイズし、それによってタンパク質-DNA複合体を基層に付着させる、
請求項28記載の組成物。
【請求項31】
一本鎖プローブが、非共有結合性の相互作用を介して基層に付着している、請求項30記載の組成物。
【請求項32】
一本鎖プローブが、共有結合性の相互作用を介して基層に付着している、請求項30記載の組成物。
【請求項33】
一本鎖プローブが、ビオチン-ストレプトアビジンの相互作用を介して基層に付着している、請求項30記載の組成物。
【請求項34】
結合ポリペプチドが、リガンド、受容体、酵素、酵素基質、scFvフラグメント、および酵素阻害物質からなる群より選択される、請求項27記載の組成物。
【請求項35】
以下の工程を含む、2つの異なる結合ポリペプチドによって結合され得る標的分子を測定するための方法:
混合物を形成するために、第一および第二の結合ポリペプチドを標的分子と混合する工程であって、各結合ポリペプチドが、SEQ ID NO:5記載のTusタンパク質との融合タンパク質の一部であり、Tusタンパク質が、二本鎖部分および一本鎖部分を含むDNA分子と結合しており、二本鎖部分がSEQ ID NO:7記載のTer配列を含み、一本鎖部分がタグ配列を含み、tag配列が結合ポリペプチドに固有に対応している、工程;
相補DNA一本鎖が二本鎖を形成する条件下で、前記混合物に架橋オリゴヌクレオチドを加える工程であって、架橋オリゴヌクレオチドが第一および第二の部分を含み、第一の部分が第一の結合ポリペプチドのタグ配列に相補的であり、かつ第二の部分が第二の結合ポリペプチドのタグ配列に相補的であり、架橋オリゴヌクレオチドの第一の部分と第二の部分が0〜6ヌクレオチド離れている、工程;
DNAリガーゼを前記混合物に加える工程であって、該リガーゼが、該第一のタグ配列と該第二のタグ配列の間の連結された接合部を含む分析物DNA鎖を形成するために、ニックの入った二本鎖DNA分子の5'末端と3'末端をつなぎ合わせる、工程;
増幅された分析物DNA鎖を形成するために、第一のタグ配列、連結された接合部、および第二のタグ配列を増幅する工程;
増幅された分析物DNA鎖の混合物中の量を測定するためにアッセイする工程であって、増幅された分析物DNA鎖の量が標的分子の量と関連する、工程。
【請求項36】
架橋オリゴヌクレオチドの第一の部分と第二の部分が1〜6ヌクレオチド離れており、以下の工程をさらに含む、請求項35記載の方法:
DNAリガーゼを加える前に、DNAポリメラーゼおよび一つまたは複数のデオキシヌクレオチドを混合物に加える工程であって、該DNAポリメラーゼが、二本鎖DNA分子内の7ヌクレオチド未満の一本鎖のギャップを埋める、工程。
【請求項37】
架橋オリゴヌクレオチドの第一の部分と第二の部分が0ヌクレオチド離れている、請求項35記載の方法。
【請求項38】
DNAリガーゼを加える工程に続いて、ニックの入った二本鎖DNA分子の、連結されていない5'および/または3'末端を分解するために、混合物にエキソヌクレアーゼが加えられる、請求項36記載の方法。
【請求項39】
DNAリガーゼを加える工程に続いて、ニックの入った二本鎖DNA分子の、連結されていない5'および/または3'末端を分解するために、混合物にエキソヌクレアーゼが加えられる、請求項37記載の方法。
【請求項40】
結合ポリペプチドが、標的分子のリガンド、標的分子の受容体、標的分子の基質、酵素、scFvフラグメント、および標的分子の阻害物質からなる群より選択される、請求項35記載の方法。
【請求項41】
以下の工程を含む、酵素を基層に付着させるための方法:
共有結合性または非共有結合性の結合によって核酸分子を基層に付着させる工程であって、核酸分子がSEQ ID NO:7記載のTer配列を含む、工程;
核酸分子と融合タンパク質の間の複合体を形成する工程であって、融合タンパク質が、SEQ ID NO:5記載のTusタンパク質および酵素を含む、工程。
【請求項42】
核酸分子が、非共有結合性の相互作用を介して基層に付着される、請求項41記載の方法。
【請求項43】
核酸分子が、共有結合性の相互作用を介して基層に付着される、請求項41記載の方法。
【請求項44】
核酸分子が、ビオチン-ストレプトアビジンの相互作用を介して基層に付着される、請求項41記載の方法。
【請求項45】
核酸分子が、多数の融合タンパク質と複合体化される、請求項41記載の方法。
【請求項46】
核酸分子が、酵素経路において機能する酵素を含む多数の融合タンパク質と複合体化される、請求項41記載の方法。
【請求項47】
核酸分子が、予め定められた空間的な順序で多数の融合タンパク質と複合体化され、該融合タンパク質が、酵素経路において機能する酵素を含み、予め定められた空間的な順序が、酵素が生合成経路または代謝経路において時間的に機能する順序である、請求項41記載の方法。
【請求項48】
形成の工程が付着の工程の前に行われる、請求項41記載の方法。
【請求項49】
形成の工程が付着の工程に続いて行われる、請求項41記載の方法。
【請求項50】
以下の工程を含む、多様なタンパク質-DNA複合体のアレイライブラリを形成する方法:
整列された一本鎖プローブを含む一つまたは複数の基層と、多様なタンパク質-DNA複合体のライブラリとを一緒に混合する工程であって、
各複合体が、
融合タンパク質と
核酸分子と
を含み、
核酸分子の第一の部分が二本鎖であり、かつ核酸分子の第二の部分が一本鎖であり、
第一の部分がSEQ ID NO:7記載のTer配列を含み、かつ第二の部分がアドレス配列を含み、
融合タンパク質が、結合ポリペプチドおよびSEQ ID NO:5記載のTusタンパク質を含み、
各アドレス配列が、固有の結合ポリペプチドを含む融合タンパク質と複合体化され、
一本鎖プローブがそれぞれ、核酸分子内のアドレス配列に対して相補的である少なくとも6ヌクレオチドの配列を含み、
それによって、混合されると同時に、タンパク質-DNA複合体が、相補配列を有する一本鎖プローブに結合する、
工程。
【請求項51】
結合ポリペプチドが、リガンド、受容体、基質、酵素、scFvフラグメント、および阻害物質からなる群より選択される、請求項50記載の方法。
【請求項52】
一つまたは複数の基質が、地理的に整列された一本鎖プローブを含む、請求項50記載の方法。
【請求項53】
一つよりも多い基層が混合の工程で用いられ、かつ各基層が、一本鎖プローブおよび対応する固有の検出可能な標識を含む、請求項50記載の方法。
【請求項54】
以下の工程を含む、多数のモノマーを含むポリマーへと集合させる方法:
第一および第二の融合タンパク質を、予め第三の融合タンパク質に結合させた核酸分子と混合する工程であって、各融合タンパク質が、ポリペプチドおよびSEQ ID NO:5記載のTusタンパク質を含み、かつ核酸分子が、SEQ ID NO:7記載の少なくとも3つのTer部位を含み、第一および第二の融合タンパク質が、ポリペプチドとして第一および第二のscFvフラグメントを含み、かつ第三の融合タンパク質が、ポリペプチドとして免疫グロブリン分子のFcフラグメントを含む、工程。
【請求項55】
以下の工程を含む、多数の融合タンパク質を含むポリマーへと集合させる方法:
核酸分子を多数の融合タンパク質と混合する工程であって、各融合タンパク質が、ポリペプチドおよびSEQ ID NO:5記載のTusタンパク質を含み、かつ核酸分子が、所望の数の融合タンパク質を結合するのに十分な数のSEQ ID NO:7記載のTer部位を含む、工程。
【請求項56】
ポリペプチドが、リガンド、受容体、酵素基質、酵素、scFvフラグメント、および酵素阻害物質からなる群より選択される、請求項55記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−539942(P2010−539942A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527190(P2010−527190)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【国際出願番号】PCT/US2008/077887
【国際公開番号】WO2009/045906
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(510046435)アフォミックス コーポレイション (3)
【Fターム(参考)】