タンパク質及び/またはポリペプチド及びコロイド粒子を含む医薬組成物
治療有効量のタンパク質またはポリペプチド及びコロイド粒子を含む非経口投与用医薬組成物。前記粒子は生体親和性親水性ポリマーで誘導体化された両親媒性脂質を約1〜20モル%含む。前記タンパク質またはポリペプチドは(a)前記コロイド粒子に外部結合し得るタンパク質またはポリペプチド、(b)ポリアルキルエーテル、ポリ乳酸及びポリグリコール酸ファミリーのポリマーに結合し得るタンパク質またはポリペプチド及び(c)S/T−X/I/V−I/V/Q/S−S/T−X−X−X−E(ここで、Xは任意のアミノ酸であり得、S、T、L、I、V、E及びQは一般的意味を有する)のコンセンサス配列を含むタンパク質またはポリペプチドからなる群から選択される。前記タンパク質またはポリペプチドは第VIII因子(FVIII)でなく、コロイド粒子中に封入されていない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種タンパク質及びポリペプチドの向上した半減期、効果及び安定性のための医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
血友病Aは最も頻繁に起こる遺伝性凝固疾患の1つである。血友病A患者は凝固系の1つ以上の機能不全(misfunctions)の結果として頻繁に出血しやすい。血友病の原因の1つは血液中の第VIII因子(FVIII)の欠乏である。この問題は第VIII因子濃縮物を用いて治療され得る。しかしながら、患者の約15%では第VIII因子中和抗体(所謂、阻害剤)ができ、よって第VIII因子濃縮物を用いる治療は殆ど不可能である。
【0003】
FVIIIを阻害剤による不活化から防ぐための2つの基本的アプローチが文献に記載されている。
【0004】
Hemkerの国際特許出願公開第80/01456号パンフレットは、リン脂質から形成した0.5〜1.0ミクロンのリポソーム内にFVIIIを取り込んで含む経口投与に適した医薬組成物を開示している。前記リン脂質は実効電荷を有し、FVIIIはリポソームの層間に取り込まれている。血漿中のFVIIIレベルは50時間にわたり正常値の約5%以上に保たれていると記載されている。
【0005】
Horikoshiの米国特許第4,348,384号明細書は、Hemkerに記載されている組成物を製造したが、満足な結果が得られなかったと述べている。従って、HorikoshiはFVIIIのタンパク質分解を防ぐためにFVIIIと一緒にプロテアーゼ阻害剤をリポソーム中に配合している。FVIIIの正常血漿レベルの3%が6時間にわたり得られた。
【0006】
Woodleの米国特許第5,013,556号明細書は、各種薬物を血流を介してデリバリーするのに用いるためのリポソーム組成物を開示している。このリポソームはポリアルキルエーテルで誘導体化された両親媒性脂質を1〜20モル%含む。このリポソームには薬物化合物も捕捉されている。前記リポソーム組成物はStealth(登録商標)小胞(SUV;リン脂質及び該リン脂質に共有結合しているポリエチレングリコール(PEG)からなる単ラメラ小胞)の名前で市販されている。
【0007】
このアプローチの別の問題は、直径の大きいリポソームは半減期が短いことである。従って、前記リポソームは高圧力下で小型化されなければならず、これにより凝固第V因子及び第VIII因子の場合と同様にタンパク質活性に悪影響を与える恐れがある。
【0008】
第2のアプローチで、T.W.Barrowcliffeら, J.Lab.Clin.Med., 101:34-43(1983)は、FVIIIをヒト及び/または動物脳から抽出したリン脂質と混合するとインビトロでFVIIIに対して十分な保護を与えることを教示している。このアプローチでは、リン脂質はFVIIIを封入するのではなくFVIIIに結合している。G.Kemball-Cook及びT.W.Barrowcliffe, Thromb.Res.,67:57-71(1992)は、FVIII結合のためには負に帯電したリン脂質表面が必要であると教示している。負に帯電したホスファチジルセリン及びホスファチジン酸はFVIIIへの結合において非常に活性であることが判明したが、ホスファチジルコリンは不活性であった。しかしながら、負に帯電したリン脂質は有毒であり、脳組織由来のものは病原性物質を有していることがある。
【0009】
欧州特許出願公開第689,428号明細書は、親水性ポリマー鎖の外表面層を有するリポソームを含むリポソーム組成物を開示している。ポリペプチドまたはポリサッカライドエフェクター分子は、エフェクターカップリング前に脂質アンカーを活性化することによりポリマー鎖の末端に共有結合している。
【発明の開示】
【0010】
本発明の目的は、治療のためにタンパク質またはポリペプチドを含む医薬組成物を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、血流中で長い半減期を有する形態でタンパク質またはポリペプチドを提供することである。
【0012】
本発明の更に別の目的は、血液凝固疾患、特に血友病を患っている患者の治療方法を提供することである。
【0013】
本発明の1態様では、治療有効量のタンパク質またはポリペプチド及びコロイド粒子を含む非経口投与用医薬組成物を提供し、前記粒子は生体親和性親水性ポリマーで誘導体化された両親媒性脂質を約1〜20モル%含み、前記タンパク質またはポリペプチドは(a)前記コロイド粒子に外部結合し得るタンパク質またはポリペプチド、(b)ポリアルキルエーテル、ポリ乳酸及びポリグリコール酸ファミリーのポリマーに結合し得るタンパク質またはポリペプチド及び(c)S/T−X−L/I/V−I/V/Q/S−S/T−X−X−E(ここで、Xは任意のアミノ酸であり得、S、T、L、I、V、E及びQは一般的意味を有する)のコンセンサス配列を含むタンパク質またはポリペプチドからなる群から選択される。前記タンパク質またはポリペプチドは前記コロイド粒子中に封入されていない。
【0014】
好ましい実施態様において、コロイド粒子は実質的に中性であり、ポリマーは実質的に実効電荷を持たない。本明細書中、用語「実質的に中性(substantially neutral)」及び「実質的に実効電荷を持たない(substantially no net charge)」は正にも負にも帯電していないことを意味する。しかしながら、ゼロの実験誤差範囲内(within experimental error of zero)の非常に低い測定電荷は上記した用語の意味に含まれるとする。
【0015】
本発明は、生体親和性親水性ポリマーで誘導体化された両親媒性脂質を含むリポソームが、タンパク質またはポリペプチドを結合させるため、タンパク質またはポリペプチドの薬物動態パラメーター(半減期及び曲線下面積)を向上させるため、及びタンパク質またはポリペプチドを血流中の阻害剤から保護するために使用され得るという驚くべき予期せぬ知見に基づく。使用する両親媒性脂質は合成であり、非毒性であり、よって治療のためにインビボで使用され得るので、本発明により従来技術の組成物に比して優れた作用効果が得られる。更に、小型リポソームは細網内皮系(RES)により除去されず、調合されるタンパク質またはポリペプチドの活性は損なわれない(インビトロ及びインビボで注射直後に十分な活性が認められた)のでインビボでより長い半減期を有する小型リポソームが使用され得るようにリポソームはタンパク質またはポリペプチドを封入していない。以下に詳記するように、タンパク質またはポリペプチドは、欧州特許出願公開第689,428号明細書に開示されている組成物とは異なりリポソームの外表面上のポリマー鎖と共有的に相互作用せず、ポリマー鎖を活性化するために化学反応を行わない。
【0016】
用語「前記コロイド粒子に外部結合し得るタンパク質またはポリペプチド(proteins or polypeptides capable of externally binding said colloidal particles)」は、凝固第VIIa因子(FVIIa)、第V因子(FV)、第IX因子(FIX)及び第X因子(FX)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、インターフェロンγ及びグルカゴン様ペプチド(GLP−1)、インターフェロンγ及びグルカゴン様ペプチド(GLP−1)、及び4アミノ酸(L−ala、L−glu、L−lys及びL−tyr)の反復単位からなるコポリマー(イスラエルに所在のテバ社のコパキソン)のようなタンパク質を含む。これらのタンパク質の同一性は当業者に公知のように実験的に確認し得る。
【0017】
本発明の医薬組成物は、当業者に公知のように各種疾患を治療するために使用され得る。例えば、コパキソンを含む組成物は、中枢神経系(CNS)細胞をグルタメート毒性から保護するため、グルタメート毒性に起因するかまたはグルタメート毒性により悪化する損傷または疾患を治療するために使用され得る。前記組成物は、米国特許出願第20020037848号明細書に記載されているように多発性硬化症、糖尿病性神経障害、老人性認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、顔面神経(ベル)麻痺、緑内障、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、てんかん重積持続状態、非動脈炎性視神経異常症及びビタミン欠乏症を治療するためにも使用され得る。
【0018】
用語「ポリアルキルエーテル、ポリ乳酸及びポリグリコール酸ファミリーのポリマーに結合し得るタンパク質またはポリペプチド」は、任意の非共有メカニズム(例えば、イオン相互作用、疎水性相互作用、水素結合及びファンデルワールス引力)によりポリアルキルエーテル、ポリ乳酸及びポリグリコール酸ファミリー、及びその誘導体のポリマーに結合するタンパク質またはポリペプチドを含む(T.Arakawa及びS.N.Timasheff, Biochemistry, 24:6756-6762(1985);J.C.Lee及びL.L.Y.Lee, J.Biol.Chem.,226:625-631(1981))。ポリエチレングリコール(PEG)が前記ポリマーの好ましい例である。
【0019】
用語「治療有効量」は、所望治療効果を有する血流中のタンパク質またはポリペプチドレベルを生ずるタンパク質またはポリペプチドの量を指すと理解されたい。この量は、異なる量のタンパク質またはポリペプチドを含む組成物を投与することと、投与後の様々な時間に血中レベルを調べることとにより実験的に決定され得る。
【0020】
コロイド粒子を作成するために使用される両親媒性脂質は天然または合成起源から入手し得る。最も好ましい脂質にはリン脂質、例えばホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミン;及びカルバメート結合非帯電リポポリマー、例えばアミノプロパンジオールジステアロイル(DS)が含まれる。生体親和性親水性ポリマーの目的はSUVを立体的に安定化させて、インビトロでは小胞の融合を防止し、インビボでは小胞のRSEによる吸収を避けることである。ポリマーは好ましくは約500〜約5000ダルトン、最も好ましくは約2000ダルトンの分子量を有する。
【0021】
コロイド粒子は好ましくは約0.03〜約0.4ミクロン、最も好ましくは約0.1ミクロンの平均粒径(mean particle diameter)を有する。これは、インビボでの循環時間を延長させ、RESによる吸収を防止するためである。両親媒性脂質は粒子の約0.5〜20モル%、好ましくは約1〜6モル%、最も好ましくは3モル%を構成する。
【0022】
各種の公知カップリング反応が親水性ポリマーで誘導体化された脂質を形成する小胞を作成するために使用され得る。例えば、ポリマー(例えば、PEG)は塩化シアヌル酸基を介してホスファチジルエタノールアミン(PE)のような脂質に誘導体化され得る。或いは、キャップドPEGをカルボニルジイミダゾールカップリング剤を用いて活性化すると活性化イミダゾール化合物が形成され得る。カルバメート結合化合物を製造するには、p−ニトロフェニルカルボネートを生成すべくMPEG(メトキシPEG)の末端ヒドロキシをp−ニトロフェニルクロロホルメート(p-nitrophenyl chloroformate)と反応させ得る。次いで、この生成物を1−アミノ−2,3−プロパンジオールと反応させると、中間体カルバメートが生ずる。ジオールのヒドロキシ基をアシル化すると、最終生成物が生ずる。1−アミノ−2,3−プロパンジオールの代わりにグリセロールを用いて同様に合成すると、国際特許出願公開第01/05873号パンフレットに記載されているカルバメート結合生成物が生成され得る。他の反応も公知であり、例えば援用により本明細書に含まれるとする上記米国特許第5,013,556号明細書に記載されている。
【0023】
本発明の組成物は注射により、好ましくはiv、scまたはimにより投与され得る。従来技術の組成物は、リポソーム組成物を注射したときに生ずる副作用のために経口使用のみを意図していた。一方、本発明の組成物は、明らかに大きさが小さく、有毒なリン脂質を含んでいないので注射しても有毒でない。ラットにおいてPEG化リポソーム及びFVIIIの毒性は研究されており、500単位/kgの用量で毒性はみられなかった。最高0.5gm/kg体重の量の本発明のコロイド粒子が検出可能な毒性症状なしに注射された。本発明で使用されるタンパク質及びポリペプチドは遊離形態では血管系において短い半減期を有しているが、前記タンパク質及びポリペプチドを本発明の組成物の形態で投与すると半減期は少なくとも1.5倍長くなると予想される。本発明の組成物は「オンデマンド」で患者の予防治療において有効であると予想される。
【0024】
本発明の別の態様で、8アミノ酸のコンセンサス配列が本発明のリポソームに結合するタンパク質内にあるが、リポソームに結合しないタンパク質中には存在しないことが判明した。このコンセンサス配列はS/T−X−L/I/V−I/V/Q/S−S/T−X−X−E(ここで、Xは任意のアミノ酸であり得、S、T、L、I、V、E及びQは一般的意味を有する)である。
【0025】
本発明の別の態様で、PEG化リポソーム(PEGylated liposomes)をタンパク質の注射と別に注射するとタンパク質の半減期は長くなり、長期間有効であることが判明した。
【0026】
本発明の更なる態様で、コレステロールが医薬組成物に補充(supplemented)されている。
【0027】
本発明を理解し、本発明を実際どのように実施し得るかを確かめるために、好ましい実施態様を非限定的実施例により添付図面を参照しながら説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
1.実施例1〜8
1.1 材料及び方法
【0029】
リポソーム作成:パルミトイル−オレオイル−ホスファチジルコリン(POPC)及びジステアロイルホスファチジルエタノールアミンメチルポリエチレングリコール2000(DSPE−PEG2000)(スイス国リースタルに所在のGenzyme Pharmaceuticals)(モル比97:3)からなるリポソーム、POPC及びジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)(米国アラバマ州アラバスターに所在のAventi Polar Lipids)(モル比97:3)からなるリポソームを以下のように作成した。脂質をtert−ブタノール(ドイツ国ゼールシェに所在のReidel−de Haen)中に10%(w/v)まで溶解し、凍結し、溶液を凍結乾燥させた。生じた乾燥脂質粉末を50mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)中に2〜13%(w/v)まで再懸濁させてリポソームを形成した。このリポソームをLiposoFast TM−100押出機(カナダ国オタワに所在のAventin Inc.)を用い、1.2μm、0.2μm、0.1μm及び0.05μmのサイズのポリカーボネートフィルター(米国カリフォルニア州リバーモアに所在のPoetics Corp.)を介して濾過して、80〜100nmのサイズのリポソームを形成した。次いで、このリポソーム溶液を0.2μm酢酸セルロース滅菌フィルター(米国マサチュセッツ州ベッドフォードに所在のMillipore Corporation社のSterivex TM)に通し、2〜8℃で保存した。
【0030】
(リアルタイム相互作用)
表面プラズモン共鳴分析:結合研究をBiacore TM2000バイオセンサー器具(スウェーデン国ウプサラに所在のBiacore AB)を用いて実施した。以下のタンパク質を業者が指示するアミンカップリングキットによりCM5−センサーチップ(スウェーデン国ウプサラに所在のBiacore AB)上に1500RU(〜1.5ng/mm2)で固定した:FVIII(米国カリフォルニア州バークリーに所在のBayer社のKogenate−FS)、FIX(米国マサチューセッツ州ケンブリッジに所在のGenetics Institute社のBenefix)、G−CSF、GM−CSF、IFN−γ、エリスロポエチン、ヒト成長ホルミン、インターフェロンα2a、インターフェロンα2b(イスラエル国ネスジオナに所在のProSpec−Tany TechnoGene Ltd)、GLP−1、インスリン(Sigma)、コパキソン(イスラエル国のTeva Pharma)、IgG及びHSA(イスラエル国テルアビブに所在のOmrix)。SPR分析は、PEG化リポソームまたは対照リポソームを0.2〜2mMの最終濃度で用いて50mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)中25℃で10μl/分の流速で4分間評価した。センサーチップ表面は、チップを1mM NaOHで10μl/分の流速で1分間洗浄することにより再生させた。会合定数、解離定数及び親和性定数についてのSPRデータの分析をBIA評価ソフトウェア(スウェーデン国ウプサラに所在のBiacore AB)を用いて実施した。
【0031】
(多重アラインメント)
多重配列アラインメントをMUSCAソフトウェア(http://cbcsrv.watson.ibm.com)を用いて実施した。多重アラインメントのために以下のSwiss−Protデータベース受託番号を使用した:ヒト(h)FVIII(P00451)、hFIX(P00740)、hG−CSF(P09919)、hGM−CSF(P04141)、hIFN−γ(P01579)及びhGLP−1(P01275)
【0032】
1.2 結果
タンパク質/ペプチドのPEG化リポソームに対する結合:
タンパク質及びペプチドのPEG化リポソームに対する結合をBiacore器具(スウェーデン国ウプサラに所在のBiacoe)を用いる表面プラズモン共鳴(SPR)測定により分析した。タンパク質/ペプチドをCM5センサーチップ(スウェーデン国ウプサラに所在のBiacoe)上に固定化した後、同一のサイズ(80〜110nm)および濃度のPEG化リポソームまたは対照リポソームを注入し、タンパク質/ペプチドの流動摂取リポソームへの結合を測定および分析した。
【0033】
POPC及びDSPE−PEG2000からなるPEG化リポソームはFVIII(図1a)に結合する。POPC及びPOPC:DSPEからなる2種の対照リポソームはFVIIIに結合しなかった(図1a)ので、この結合はDSPE脂質に結合しているPEGポリマーに依存していた。また、PEG化リポソームはヒト血清アルブミン(HSA)に結合しなかった(図1b)ので、この結合はFVIIIに特異的であった。2部位結合モデルを用いる代表的曲線(図1a)の結合分析は、PEG化リポソームがそれぞれ3.83×105及び3.37×106M−1S−1の会合速度定数(Kon)、1.72×10−3及び6.6×10−3S−1の解離速度定数(Koff)及び1.96nM及び4.5nMの親和性定数(Kd)値でFVIII上の2部位に結合することを示している。
【0034】
ポリクローナル抗ヒト第VIII因子抗体[抗FVIII抗体(阻害剤)を発現している患者の血清]はPEG化リポソームの両部位への結合と競合する(図1c)。対照実験は、全ヒト免疫グロブリンG(IgG)はPEG化リポソームに対するFVIIIの結合と競合しなかったことを示している(データ示さず)。このことは、PEG化リポソームが抗ヒト第VIII因子抗体と同一のタンパク質ドメインに特異的に結合することを示している。
【0035】
数種の追加の組換え及び精製タンパク質を用いてSPR測定を実施した。以下のタンパク質はPEG化リポソームに結合することが判明した:第IX因子(FIX)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、インターフェロンγ及びグルカゴン様ペプチド1(GLP−1)(図2〜6)。また、以下のタンパク質はPEG化リポソームに結合しないことが判明した:HSA、IgG、インスリン、インターフェロンα2a、インターフェロンα2b、ヒト成長ホルモン及びエリスロポエチン。
【0036】
更に、ポリクローナル抗ヒト第IX因子抗体(Sigma)はPEG化リポソームの両部位に対する結合と競合する(図7)。このことは、PEG化リポソームが抗ヒト第IX因子抗体と同一のタンパク質ドメインに特異的に結合することを示している。
アミノ酸配列分析は、8アミノ酸(S/T−X−L/I/V−I/V/Q/S−S/T−X−X−E)のコンセンサス配列がPEG化リポソームに結合するタンパク質内にある(図8a)が、PEG化リポソームに結合しないタンパク質中には存在しないことを示している。コンセンサス配列及びFVIII上の同定結合部位を試験するために、FVIIIのアミ酸1783−1796から誘導されるペプチドを合成し、そのPEG化リポソームに対する結合を調べた。このペプチドは2.25nMのKdでPEG化リポソームに結合したが、対照POPCリポソームには結合しなかった(図8c)。このKdは前に調べたFVIII及びPEG化リポソームのKd値と同等である(表1)。
【0037】
各種タンパク質及びペプチドのKon値、Koff値及びKd値を表1に要約して示す。
しかしながら、4アミノ酸(L−ala、L−glu、L−lys及びL−tyr)の反復単位からなる合成ランダムコポリマーであるコパキソン(イスラエル国のテバ社)はコンセンサス配列を含まないが、PEG化リポソームに結合する(図9)。
【0038】
【表1】
【0039】
各種タンパク質及びペプチドのPEG化リポソームに対する会合及び解離は「材料及び方法」の欄に記載したように評価した。試験したPEG化リポソーム濃度はFVIII、FIX、G−CSF、GM−CSF、IFN−γで18.355nMであり、GLP−1で183.55pMであった。すべてのタンパク質について得たデータをBIA評価ソフトウェアを用いて会合速度定数(kon)、解離速度定数(koff)及び親和性定数(kd)を計算するために分析した。
【0040】
2.実施例9〜10
2.1 材料及び方法
【0041】
PEG化リポソームとのFIX及びG−CSFの調合:PEG化リポソームは、タンパク質をリポソーム溶液(1mlのリポソーム溶液/200単位のFIX及び1mlのリポソーム溶液/10μgのG−CSF)に溶解することによりFIX(Octapharma社のOctanine)またはG−CSF(イスラエル国ネスジオナに所在のProSpec−Tany TechnoGene Ltd)と調合した。バイアルを33rpm、振幅16mmで回転するSRT1ローラーミキサー(英国レッドヒルに所在のStuart Scientific)を用いて室温(20〜25℃)で10分間(G−CSF)または60分間(FIX)インキュベートした。
【0042】
リポソーム調合したG−GSF及び遊離G−CSFのマウスにおける薬物動態:2群のC57黒色マウスにa)50μlのPEG化リポソームと調合したG−GSF(10μg/ml)、b)50μlの50mM クエン酸Na緩衝液中に溶解させたG−GSF(10μg/ml)を皮下(s.c.)注射した。注射後の異なる時点でマウスの眼窩後洞からクエン酸ナトリウム(最終濃度20mM)収容微量遠心管に放血させ、血漿を4℃で2,700×gで10分間遠心させて分離した。マウス血漿中のG−CSF濃度を製造業者の指示に従ってELISA(R&D社のG−CSF DouSet ELISAキット)により測定した。
【0043】
PegLip−FIX及び遊離FIXの血友病マウスにおける薬物動態:3群のC57BLマウスの尾静脈に50μlのa)200単位/mlのPegLip−FIX、b)非調合FIX、c)緩衝液をIV注射した。注射後の異なる時点でマウスの眼窩後洞からクエン酸ナトリウム(最終濃度20mM)収容微量遠心管に放血させ、血漿を4℃で2,700×gで10分間遠心させて分離した。マウス血漿中のFIX活性を製造業者の指示に従って(Stagod試薬及びST4凝固装置を用いて)1段階凝固アッセイにより測定した。C57BLマウスは血漿中に内因性FIX活性を有しているので、(対照マウスで測定した)この内因性活性を治療群の各時点で測定した活性から差し引いた。
【0044】
薬物動態分析:薬物動態パラメーター(半減期及びAUC)はコンピューターソフトウェア(MicroMath Inc.のRSTRIP)により分析した。
【0045】
統計分析:スチューデントのt検定。
【0046】
2.2 結果
リポソーム調合タンパク質のマウスにおける薬物動態:
遊離及びリポソーム調合のFIX及びG−CSFの薬物動態パラメーターをマウスにおいて調べた。表2〜3に示す結果は、PEG化リポソームと調合したタンパク質の半減期及び曲線下面積は遊離タンパク質より高かったこと示している。
【0047】
【表2】
【0048】
G−CSFを50mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7)を用いて再構成するかまたはPEG化リポソームと調合し、マウス(1群あたり6匹のマウス)にs.c.注射(50μl)した。血漿中のヒトG−CSF濃度(pg/ml)を酵素結合免疫検定法(ELisa)により測定した。各マウスについて薬物動態パラメーターを計算した。値は平均値±標準偏差である。PegLip−G−CSF対G−CSFの半減期についてのスチューデントt検定 P<0.002。
【0049】
【表3】
【0050】
各マウスについて薬物動態パラメーターを計算した。値は平均値±標準偏差である。PegLip−FIX対FIXの半減期についてのスチューデントt検定 P<0.15。
【0051】
3.実施例11
3.1 血友病マウスにおけるインビボでPEG化リポソームと調合したFVIIIの薬物動態及び生物学的活性
未調合第VIII因子を注射してから1時間後にリポソームを注射することによりインビボでPEG化リポソームと調合した第VIII因子の薬物動態及び生物学的活性を血友病マウスにおいて調べた。血友病マウスにa)遊離(未調合)FVIIIを注射し、b)遊離FVIIIを注射し、1時間後にPEG化リポソームの第2回注射をした。注射後の異なる時点にマウスから放血させた。FVIII活性を凝固アッセイにより測定した。リポソーム調合FVIIIのインビボ止血効果を試験し、遊離FVIIIの効果と比較するために、注射したマウスの尾を注射後の異なる時間に切断し、注射したマウスの生存数を調べた。
【0052】
表4及び図10の結果は、インビボでPEG化リポソームと調合した第VIII因子の半減期及び曲線下面積は遊離VIIIよりも高かったことを示している。従って、FVIIIを注射し、1時間後にリポソームを注射したマウスの生存数は有意に高かった。
【0053】
【表4】
【0054】
組換えFVIII(バイエル社のKogenate−FS)を水で再構成し、血友病マウス(各群10匹のマウス)の尾静脈に注射した(40μl)。1時間後にPEG化リポソーム(9%脂質,w/v)をマウスの1群にi.v.注射した(40μl)。各時点のプール血漿サンプルについてFVIII活性を1段階凝固アッセイにより調べた。薬物動態パラメーター(半減期及びAUC)をコンピュータープログラム(MicroMath Inc.のRSTRIP)により分析した。
【0055】
4.実施例12
リアルタイム相互作用分析により、POPC及びカルバメート結合非帯電リポポリマーからなるリポソームに対するFVIIIの結合をPOPC及びDSPE−PEGからなるリポソームに対するFVIIIの結合と比較した。カルバメート結合非帯電リポポリマー、すなわちmPEGアミノプロパンジオールジステアロイル(DS−c−PEG)及び1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルエタノールアミン−N−メトキシポリエチレングリコール(DSPE−PEG)の概略構造を以下に示す。
【0056】
【化1】
【0057】
結果を図11に示し、両タイプのリポソームがFVIIIと相互作用することを示す。
【0058】
5.実施例13
凝固第VIIa因子は通常、阻害剤を有する血友病患者を治療するため及び外傷性出血(例えば、戦争負傷、自動車事故)を止めるために使用されている。PEG化リポソームと調合した第VIIa因子の薬物動態をラットにおいて調べた。Sprague Dawley(SD)ラット(180g)に遊離(未調合)FVIIa(Nova Nordisk)またはPEG化リポソームと調合したFVIIaを36μg/ラット注射した。注射後の異なる時間にラットから放血させ、FVIIa活性を凝固アッセイ(Stago)により測定した。表5及び6の結果は、インビボでPEG化リポソームと調合した第VIIa因子の半減期及び曲線下面積は遊離FVIIaよりも高かったこと示している。
【0059】
【表5】
【0060】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】PEG化リポソームの固定化FVIIIに対するリアルタイム相互作用を示す。a:PEG化リポソームは固定化rFVIIIに結合するが、対照POPCリポソーム(PC)もPOPC:DSPEリポソーム(PC:PE)も固定化rFVIIIに結合しない。b:PEG化リポソームは固定化rFVIII(FVIII)に結合するが、固定化HSAに結合しない。c:PEG化リポソームは抗FVIII抗体(20ベセスダ単位/mlの力価)を発現している血友病A患者の希釈(×100)血清の非存在下及び存在(阻害剤)下で固定化rFVIIIに結合する。応答を共鳴単位(RU)で示す。a〜cの応答はHSA被覆チャネルへの非特異的結合について補正した。この非特異的結合は固定化FVIII被覆チャネルへのPEG化リポソームのリアルタイム相互作用の5%未満であった。
【図2】PEG化リポソームの固定化FIXに対するリアルタイム相互作用。a:PEG化リポソームは固定化FIXに結合するが、固定化HSAに結合しない。b:PEG化リポソームは固定化FIXに結合するが、対照POPCリポソームは固定化FIXに結合しない。応答を共鳴単位(RU)で示す。応答はHSA被覆チャネルへの非特異的結合について補正した。この非特異的結合はFIX被覆チャネルへの結合に比して固定化FIXに対するPEG化リポソームのリアルタイム相互作用の5%未満であった。
【図3】PEG化リポソームの固定化G−CSFに対するリアルタイム相互作用。a:PEG化リポソームは固定化G−CSFに結合するが、固定化HSAに結合しない。b:PEG化リポソームは固定化G−CSFに結合するが、対照POPCリポソームは固定化G−CSFに結合しない。応答を共鳴単位(RU)で示す。応答はHSA被覆チャネルへの非特異的結合について補正した。この非特異的結合はG−CSF被覆チャネルへの結合に比して固定化G−CSFに対するPEG化リポソームのリアルタイム相互作用の5%未満であった。
【図4】PEG化リポソームの固定化GM−CSFに対するリアルタイム相互作用。a:PEG化リポソームは固定化GM−CSFに結合するが、固定化HSAに結合しない。b:PEG化リポソームは固定化GM−CSFに結合するが、対照POPCリポソームは固定化GM−CSFに結合しない。応答を共鳴単位(RU)で示す。応答はHSA被覆チャネルへの非特異的結合について補正した。この非特異的結合はG−CSF被覆チャネルへの結合に比して固定化GM−CSFに対するPEG化リポソームのリアルタイム相互作用の5%未満であった。
【図5】PEG化リポソームの固定化インターフェロンγに対するリアルタイム相互作用。a:PEG化リポソームは固定化IFNγに結合するが、固定化HSAに結合しない。b:PEG化リポソームは固定化IFNγに結合するが、対照POPCリポソームは固定化IFNγに結合しない。応答を共鳴単位(RU)で示す。応答はHSA被覆チャネルへの非特異的結合について補正した。この非特異的結合はIFN−γ被覆チャネルへの結合に比して固定化IFN−γに対するPEG化リポソームのリアルタイム相互作用の5%未満であった。
【図6】PEG化リポソームの固定化GLP−1に対するリアルタイム相互作用。a:PEG化リポソームは固定化GLP−1に結合するが、固定化HSAに結合しない。b:PEG化リポソームは固定化GLP−1に結合するが、対照POPCリポソームは固定化GLP−1に結合しない。応答を共鳴単位(RU)で示す。応答はHSA被覆チャネルへの非特異的結合について補正した。この非特異的結合はGLP−1被覆チャネルへの結合に比して固定化GLP−1に対するPEG化リポソームのリアルタイム相互作用の5%未満であった。
【図7】PEG化リポソームは、希釈(×10)家兎ポリクローナル抗ヒトFIX抗体(Sigma)の非存在下及び存在(抗体)下で固定化FIXに結合する。
【図8】コンセンサス配列及びPEG化リポソームに対するFVIII結合部位。a:各種タンパク質中のPEG化リポソームを結合するためのコンセンサス配列。保存アミノ酸は赤で示し、非保存アミノ酸は青で示す。b:ヒトFVIIIのドメイン構造。ヒトFVIIIの不連続ドメイン構造はその一次構造から類推した。リポソーム結合部位は黒四角で示す。Tで示す赤色矢印はトロンビン活性化部位を表す。c:PEG化リポソームまたはPOPCリポソーム(PC)のCM5センサーチップに固定化したFVIII配列由来ペプチド(1783−1796アミノ酸)に対する結合。応答を共鳴単位(RU)で示す。
【図9】PEG化リポソームの固定化コパキソンに対するリアルタイム相互作用。a:PEG化リポソームは固定化コパキソンに結合するが、固定化HSAに結合しない。b:PEG化リポソームは固定化コパキソンに結合するが、対照POPCリポソームは固定化コパキソンに結合しない。応答を共鳴単位(RU)で示す。応答はHSA被覆チャネルへの非特異的結合について補正した。この非特異的結合はコパキソン被覆チャネルへの結合に比して固定化コパキソンに対するPEG化リポソームのリアルタイム相互作用の5%未満であった。
【図10】尾切断後の血友病マウスの生存数。血友病マウスにFVIII(バイエル社のKogenate−FS)またはFVIIIを注射し、(1時間後に)PEG化リポソームを注射した場合をKaplan−Meierbプロットで示す。T検定統計分析は群間の統計上有意な差を示す(p<0.05)。
【図11】モル比97:3のPOPC:DSPE−PEG2000(スイス国リースタルに所在のGenzyme Pharmaceuticals社の脂質)からなるPEG化リポソーム及びモル比97:3のPOPC:DS−c−PEG2000(スイス国リースタルに所在のGenzyme Pharmaceuticals社の脂質)からなるPEG化リポソームの固定化FVIIIに対するリアルタイム相互作用。
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種タンパク質及びポリペプチドの向上した半減期、効果及び安定性のための医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
血友病Aは最も頻繁に起こる遺伝性凝固疾患の1つである。血友病A患者は凝固系の1つ以上の機能不全(misfunctions)の結果として頻繁に出血しやすい。血友病の原因の1つは血液中の第VIII因子(FVIII)の欠乏である。この問題は第VIII因子濃縮物を用いて治療され得る。しかしながら、患者の約15%では第VIII因子中和抗体(所謂、阻害剤)ができ、よって第VIII因子濃縮物を用いる治療は殆ど不可能である。
【0003】
FVIIIを阻害剤による不活化から防ぐための2つの基本的アプローチが文献に記載されている。
【0004】
Hemkerの国際特許出願公開第80/01456号パンフレットは、リン脂質から形成した0.5〜1.0ミクロンのリポソーム内にFVIIIを取り込んで含む経口投与に適した医薬組成物を開示している。前記リン脂質は実効電荷を有し、FVIIIはリポソームの層間に取り込まれている。血漿中のFVIIIレベルは50時間にわたり正常値の約5%以上に保たれていると記載されている。
【0005】
Horikoshiの米国特許第4,348,384号明細書は、Hemkerに記載されている組成物を製造したが、満足な結果が得られなかったと述べている。従って、HorikoshiはFVIIIのタンパク質分解を防ぐためにFVIIIと一緒にプロテアーゼ阻害剤をリポソーム中に配合している。FVIIIの正常血漿レベルの3%が6時間にわたり得られた。
【0006】
Woodleの米国特許第5,013,556号明細書は、各種薬物を血流を介してデリバリーするのに用いるためのリポソーム組成物を開示している。このリポソームはポリアルキルエーテルで誘導体化された両親媒性脂質を1〜20モル%含む。このリポソームには薬物化合物も捕捉されている。前記リポソーム組成物はStealth(登録商標)小胞(SUV;リン脂質及び該リン脂質に共有結合しているポリエチレングリコール(PEG)からなる単ラメラ小胞)の名前で市販されている。
【0007】
このアプローチの別の問題は、直径の大きいリポソームは半減期が短いことである。従って、前記リポソームは高圧力下で小型化されなければならず、これにより凝固第V因子及び第VIII因子の場合と同様にタンパク質活性に悪影響を与える恐れがある。
【0008】
第2のアプローチで、T.W.Barrowcliffeら, J.Lab.Clin.Med., 101:34-43(1983)は、FVIIIをヒト及び/または動物脳から抽出したリン脂質と混合するとインビトロでFVIIIに対して十分な保護を与えることを教示している。このアプローチでは、リン脂質はFVIIIを封入するのではなくFVIIIに結合している。G.Kemball-Cook及びT.W.Barrowcliffe, Thromb.Res.,67:57-71(1992)は、FVIII結合のためには負に帯電したリン脂質表面が必要であると教示している。負に帯電したホスファチジルセリン及びホスファチジン酸はFVIIIへの結合において非常に活性であることが判明したが、ホスファチジルコリンは不活性であった。しかしながら、負に帯電したリン脂質は有毒であり、脳組織由来のものは病原性物質を有していることがある。
【0009】
欧州特許出願公開第689,428号明細書は、親水性ポリマー鎖の外表面層を有するリポソームを含むリポソーム組成物を開示している。ポリペプチドまたはポリサッカライドエフェクター分子は、エフェクターカップリング前に脂質アンカーを活性化することによりポリマー鎖の末端に共有結合している。
【発明の開示】
【0010】
本発明の目的は、治療のためにタンパク質またはポリペプチドを含む医薬組成物を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、血流中で長い半減期を有する形態でタンパク質またはポリペプチドを提供することである。
【0012】
本発明の更に別の目的は、血液凝固疾患、特に血友病を患っている患者の治療方法を提供することである。
【0013】
本発明の1態様では、治療有効量のタンパク質またはポリペプチド及びコロイド粒子を含む非経口投与用医薬組成物を提供し、前記粒子は生体親和性親水性ポリマーで誘導体化された両親媒性脂質を約1〜20モル%含み、前記タンパク質またはポリペプチドは(a)前記コロイド粒子に外部結合し得るタンパク質またはポリペプチド、(b)ポリアルキルエーテル、ポリ乳酸及びポリグリコール酸ファミリーのポリマーに結合し得るタンパク質またはポリペプチド及び(c)S/T−X−L/I/V−I/V/Q/S−S/T−X−X−E(ここで、Xは任意のアミノ酸であり得、S、T、L、I、V、E及びQは一般的意味を有する)のコンセンサス配列を含むタンパク質またはポリペプチドからなる群から選択される。前記タンパク質またはポリペプチドは前記コロイド粒子中に封入されていない。
【0014】
好ましい実施態様において、コロイド粒子は実質的に中性であり、ポリマーは実質的に実効電荷を持たない。本明細書中、用語「実質的に中性(substantially neutral)」及び「実質的に実効電荷を持たない(substantially no net charge)」は正にも負にも帯電していないことを意味する。しかしながら、ゼロの実験誤差範囲内(within experimental error of zero)の非常に低い測定電荷は上記した用語の意味に含まれるとする。
【0015】
本発明は、生体親和性親水性ポリマーで誘導体化された両親媒性脂質を含むリポソームが、タンパク質またはポリペプチドを結合させるため、タンパク質またはポリペプチドの薬物動態パラメーター(半減期及び曲線下面積)を向上させるため、及びタンパク質またはポリペプチドを血流中の阻害剤から保護するために使用され得るという驚くべき予期せぬ知見に基づく。使用する両親媒性脂質は合成であり、非毒性であり、よって治療のためにインビボで使用され得るので、本発明により従来技術の組成物に比して優れた作用効果が得られる。更に、小型リポソームは細網内皮系(RES)により除去されず、調合されるタンパク質またはポリペプチドの活性は損なわれない(インビトロ及びインビボで注射直後に十分な活性が認められた)のでインビボでより長い半減期を有する小型リポソームが使用され得るようにリポソームはタンパク質またはポリペプチドを封入していない。以下に詳記するように、タンパク質またはポリペプチドは、欧州特許出願公開第689,428号明細書に開示されている組成物とは異なりリポソームの外表面上のポリマー鎖と共有的に相互作用せず、ポリマー鎖を活性化するために化学反応を行わない。
【0016】
用語「前記コロイド粒子に外部結合し得るタンパク質またはポリペプチド(proteins or polypeptides capable of externally binding said colloidal particles)」は、凝固第VIIa因子(FVIIa)、第V因子(FV)、第IX因子(FIX)及び第X因子(FX)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、インターフェロンγ及びグルカゴン様ペプチド(GLP−1)、インターフェロンγ及びグルカゴン様ペプチド(GLP−1)、及び4アミノ酸(L−ala、L−glu、L−lys及びL−tyr)の反復単位からなるコポリマー(イスラエルに所在のテバ社のコパキソン)のようなタンパク質を含む。これらのタンパク質の同一性は当業者に公知のように実験的に確認し得る。
【0017】
本発明の医薬組成物は、当業者に公知のように各種疾患を治療するために使用され得る。例えば、コパキソンを含む組成物は、中枢神経系(CNS)細胞をグルタメート毒性から保護するため、グルタメート毒性に起因するかまたはグルタメート毒性により悪化する損傷または疾患を治療するために使用され得る。前記組成物は、米国特許出願第20020037848号明細書に記載されているように多発性硬化症、糖尿病性神経障害、老人性認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、顔面神経(ベル)麻痺、緑内障、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、てんかん重積持続状態、非動脈炎性視神経異常症及びビタミン欠乏症を治療するためにも使用され得る。
【0018】
用語「ポリアルキルエーテル、ポリ乳酸及びポリグリコール酸ファミリーのポリマーに結合し得るタンパク質またはポリペプチド」は、任意の非共有メカニズム(例えば、イオン相互作用、疎水性相互作用、水素結合及びファンデルワールス引力)によりポリアルキルエーテル、ポリ乳酸及びポリグリコール酸ファミリー、及びその誘導体のポリマーに結合するタンパク質またはポリペプチドを含む(T.Arakawa及びS.N.Timasheff, Biochemistry, 24:6756-6762(1985);J.C.Lee及びL.L.Y.Lee, J.Biol.Chem.,226:625-631(1981))。ポリエチレングリコール(PEG)が前記ポリマーの好ましい例である。
【0019】
用語「治療有効量」は、所望治療効果を有する血流中のタンパク質またはポリペプチドレベルを生ずるタンパク質またはポリペプチドの量を指すと理解されたい。この量は、異なる量のタンパク質またはポリペプチドを含む組成物を投与することと、投与後の様々な時間に血中レベルを調べることとにより実験的に決定され得る。
【0020】
コロイド粒子を作成するために使用される両親媒性脂質は天然または合成起源から入手し得る。最も好ましい脂質にはリン脂質、例えばホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミン;及びカルバメート結合非帯電リポポリマー、例えばアミノプロパンジオールジステアロイル(DS)が含まれる。生体親和性親水性ポリマーの目的はSUVを立体的に安定化させて、インビトロでは小胞の融合を防止し、インビボでは小胞のRSEによる吸収を避けることである。ポリマーは好ましくは約500〜約5000ダルトン、最も好ましくは約2000ダルトンの分子量を有する。
【0021】
コロイド粒子は好ましくは約0.03〜約0.4ミクロン、最も好ましくは約0.1ミクロンの平均粒径(mean particle diameter)を有する。これは、インビボでの循環時間を延長させ、RESによる吸収を防止するためである。両親媒性脂質は粒子の約0.5〜20モル%、好ましくは約1〜6モル%、最も好ましくは3モル%を構成する。
【0022】
各種の公知カップリング反応が親水性ポリマーで誘導体化された脂質を形成する小胞を作成するために使用され得る。例えば、ポリマー(例えば、PEG)は塩化シアヌル酸基を介してホスファチジルエタノールアミン(PE)のような脂質に誘導体化され得る。或いは、キャップドPEGをカルボニルジイミダゾールカップリング剤を用いて活性化すると活性化イミダゾール化合物が形成され得る。カルバメート結合化合物を製造するには、p−ニトロフェニルカルボネートを生成すべくMPEG(メトキシPEG)の末端ヒドロキシをp−ニトロフェニルクロロホルメート(p-nitrophenyl chloroformate)と反応させ得る。次いで、この生成物を1−アミノ−2,3−プロパンジオールと反応させると、中間体カルバメートが生ずる。ジオールのヒドロキシ基をアシル化すると、最終生成物が生ずる。1−アミノ−2,3−プロパンジオールの代わりにグリセロールを用いて同様に合成すると、国際特許出願公開第01/05873号パンフレットに記載されているカルバメート結合生成物が生成され得る。他の反応も公知であり、例えば援用により本明細書に含まれるとする上記米国特許第5,013,556号明細書に記載されている。
【0023】
本発明の組成物は注射により、好ましくはiv、scまたはimにより投与され得る。従来技術の組成物は、リポソーム組成物を注射したときに生ずる副作用のために経口使用のみを意図していた。一方、本発明の組成物は、明らかに大きさが小さく、有毒なリン脂質を含んでいないので注射しても有毒でない。ラットにおいてPEG化リポソーム及びFVIIIの毒性は研究されており、500単位/kgの用量で毒性はみられなかった。最高0.5gm/kg体重の量の本発明のコロイド粒子が検出可能な毒性症状なしに注射された。本発明で使用されるタンパク質及びポリペプチドは遊離形態では血管系において短い半減期を有しているが、前記タンパク質及びポリペプチドを本発明の組成物の形態で投与すると半減期は少なくとも1.5倍長くなると予想される。本発明の組成物は「オンデマンド」で患者の予防治療において有効であると予想される。
【0024】
本発明の別の態様で、8アミノ酸のコンセンサス配列が本発明のリポソームに結合するタンパク質内にあるが、リポソームに結合しないタンパク質中には存在しないことが判明した。このコンセンサス配列はS/T−X−L/I/V−I/V/Q/S−S/T−X−X−E(ここで、Xは任意のアミノ酸であり得、S、T、L、I、V、E及びQは一般的意味を有する)である。
【0025】
本発明の別の態様で、PEG化リポソーム(PEGylated liposomes)をタンパク質の注射と別に注射するとタンパク質の半減期は長くなり、長期間有効であることが判明した。
【0026】
本発明の更なる態様で、コレステロールが医薬組成物に補充(supplemented)されている。
【0027】
本発明を理解し、本発明を実際どのように実施し得るかを確かめるために、好ましい実施態様を非限定的実施例により添付図面を参照しながら説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
1.実施例1〜8
1.1 材料及び方法
【0029】
リポソーム作成:パルミトイル−オレオイル−ホスファチジルコリン(POPC)及びジステアロイルホスファチジルエタノールアミンメチルポリエチレングリコール2000(DSPE−PEG2000)(スイス国リースタルに所在のGenzyme Pharmaceuticals)(モル比97:3)からなるリポソーム、POPC及びジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)(米国アラバマ州アラバスターに所在のAventi Polar Lipids)(モル比97:3)からなるリポソームを以下のように作成した。脂質をtert−ブタノール(ドイツ国ゼールシェに所在のReidel−de Haen)中に10%(w/v)まで溶解し、凍結し、溶液を凍結乾燥させた。生じた乾燥脂質粉末を50mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)中に2〜13%(w/v)まで再懸濁させてリポソームを形成した。このリポソームをLiposoFast TM−100押出機(カナダ国オタワに所在のAventin Inc.)を用い、1.2μm、0.2μm、0.1μm及び0.05μmのサイズのポリカーボネートフィルター(米国カリフォルニア州リバーモアに所在のPoetics Corp.)を介して濾過して、80〜100nmのサイズのリポソームを形成した。次いで、このリポソーム溶液を0.2μm酢酸セルロース滅菌フィルター(米国マサチュセッツ州ベッドフォードに所在のMillipore Corporation社のSterivex TM)に通し、2〜8℃で保存した。
【0030】
(リアルタイム相互作用)
表面プラズモン共鳴分析:結合研究をBiacore TM2000バイオセンサー器具(スウェーデン国ウプサラに所在のBiacore AB)を用いて実施した。以下のタンパク質を業者が指示するアミンカップリングキットによりCM5−センサーチップ(スウェーデン国ウプサラに所在のBiacore AB)上に1500RU(〜1.5ng/mm2)で固定した:FVIII(米国カリフォルニア州バークリーに所在のBayer社のKogenate−FS)、FIX(米国マサチューセッツ州ケンブリッジに所在のGenetics Institute社のBenefix)、G−CSF、GM−CSF、IFN−γ、エリスロポエチン、ヒト成長ホルミン、インターフェロンα2a、インターフェロンα2b(イスラエル国ネスジオナに所在のProSpec−Tany TechnoGene Ltd)、GLP−1、インスリン(Sigma)、コパキソン(イスラエル国のTeva Pharma)、IgG及びHSA(イスラエル国テルアビブに所在のOmrix)。SPR分析は、PEG化リポソームまたは対照リポソームを0.2〜2mMの最終濃度で用いて50mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)中25℃で10μl/分の流速で4分間評価した。センサーチップ表面は、チップを1mM NaOHで10μl/分の流速で1分間洗浄することにより再生させた。会合定数、解離定数及び親和性定数についてのSPRデータの分析をBIA評価ソフトウェア(スウェーデン国ウプサラに所在のBiacore AB)を用いて実施した。
【0031】
(多重アラインメント)
多重配列アラインメントをMUSCAソフトウェア(http://cbcsrv.watson.ibm.com)を用いて実施した。多重アラインメントのために以下のSwiss−Protデータベース受託番号を使用した:ヒト(h)FVIII(P00451)、hFIX(P00740)、hG−CSF(P09919)、hGM−CSF(P04141)、hIFN−γ(P01579)及びhGLP−1(P01275)
【0032】
1.2 結果
タンパク質/ペプチドのPEG化リポソームに対する結合:
タンパク質及びペプチドのPEG化リポソームに対する結合をBiacore器具(スウェーデン国ウプサラに所在のBiacoe)を用いる表面プラズモン共鳴(SPR)測定により分析した。タンパク質/ペプチドをCM5センサーチップ(スウェーデン国ウプサラに所在のBiacoe)上に固定化した後、同一のサイズ(80〜110nm)および濃度のPEG化リポソームまたは対照リポソームを注入し、タンパク質/ペプチドの流動摂取リポソームへの結合を測定および分析した。
【0033】
POPC及びDSPE−PEG2000からなるPEG化リポソームはFVIII(図1a)に結合する。POPC及びPOPC:DSPEからなる2種の対照リポソームはFVIIIに結合しなかった(図1a)ので、この結合はDSPE脂質に結合しているPEGポリマーに依存していた。また、PEG化リポソームはヒト血清アルブミン(HSA)に結合しなかった(図1b)ので、この結合はFVIIIに特異的であった。2部位結合モデルを用いる代表的曲線(図1a)の結合分析は、PEG化リポソームがそれぞれ3.83×105及び3.37×106M−1S−1の会合速度定数(Kon)、1.72×10−3及び6.6×10−3S−1の解離速度定数(Koff)及び1.96nM及び4.5nMの親和性定数(Kd)値でFVIII上の2部位に結合することを示している。
【0034】
ポリクローナル抗ヒト第VIII因子抗体[抗FVIII抗体(阻害剤)を発現している患者の血清]はPEG化リポソームの両部位への結合と競合する(図1c)。対照実験は、全ヒト免疫グロブリンG(IgG)はPEG化リポソームに対するFVIIIの結合と競合しなかったことを示している(データ示さず)。このことは、PEG化リポソームが抗ヒト第VIII因子抗体と同一のタンパク質ドメインに特異的に結合することを示している。
【0035】
数種の追加の組換え及び精製タンパク質を用いてSPR測定を実施した。以下のタンパク質はPEG化リポソームに結合することが判明した:第IX因子(FIX)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、インターフェロンγ及びグルカゴン様ペプチド1(GLP−1)(図2〜6)。また、以下のタンパク質はPEG化リポソームに結合しないことが判明した:HSA、IgG、インスリン、インターフェロンα2a、インターフェロンα2b、ヒト成長ホルモン及びエリスロポエチン。
【0036】
更に、ポリクローナル抗ヒト第IX因子抗体(Sigma)はPEG化リポソームの両部位に対する結合と競合する(図7)。このことは、PEG化リポソームが抗ヒト第IX因子抗体と同一のタンパク質ドメインに特異的に結合することを示している。
アミノ酸配列分析は、8アミノ酸(S/T−X−L/I/V−I/V/Q/S−S/T−X−X−E)のコンセンサス配列がPEG化リポソームに結合するタンパク質内にある(図8a)が、PEG化リポソームに結合しないタンパク質中には存在しないことを示している。コンセンサス配列及びFVIII上の同定結合部位を試験するために、FVIIIのアミ酸1783−1796から誘導されるペプチドを合成し、そのPEG化リポソームに対する結合を調べた。このペプチドは2.25nMのKdでPEG化リポソームに結合したが、対照POPCリポソームには結合しなかった(図8c)。このKdは前に調べたFVIII及びPEG化リポソームのKd値と同等である(表1)。
【0037】
各種タンパク質及びペプチドのKon値、Koff値及びKd値を表1に要約して示す。
しかしながら、4アミノ酸(L−ala、L−glu、L−lys及びL−tyr)の反復単位からなる合成ランダムコポリマーであるコパキソン(イスラエル国のテバ社)はコンセンサス配列を含まないが、PEG化リポソームに結合する(図9)。
【0038】
【表1】
【0039】
各種タンパク質及びペプチドのPEG化リポソームに対する会合及び解離は「材料及び方法」の欄に記載したように評価した。試験したPEG化リポソーム濃度はFVIII、FIX、G−CSF、GM−CSF、IFN−γで18.355nMであり、GLP−1で183.55pMであった。すべてのタンパク質について得たデータをBIA評価ソフトウェアを用いて会合速度定数(kon)、解離速度定数(koff)及び親和性定数(kd)を計算するために分析した。
【0040】
2.実施例9〜10
2.1 材料及び方法
【0041】
PEG化リポソームとのFIX及びG−CSFの調合:PEG化リポソームは、タンパク質をリポソーム溶液(1mlのリポソーム溶液/200単位のFIX及び1mlのリポソーム溶液/10μgのG−CSF)に溶解することによりFIX(Octapharma社のOctanine)またはG−CSF(イスラエル国ネスジオナに所在のProSpec−Tany TechnoGene Ltd)と調合した。バイアルを33rpm、振幅16mmで回転するSRT1ローラーミキサー(英国レッドヒルに所在のStuart Scientific)を用いて室温(20〜25℃)で10分間(G−CSF)または60分間(FIX)インキュベートした。
【0042】
リポソーム調合したG−GSF及び遊離G−CSFのマウスにおける薬物動態:2群のC57黒色マウスにa)50μlのPEG化リポソームと調合したG−GSF(10μg/ml)、b)50μlの50mM クエン酸Na緩衝液中に溶解させたG−GSF(10μg/ml)を皮下(s.c.)注射した。注射後の異なる時点でマウスの眼窩後洞からクエン酸ナトリウム(最終濃度20mM)収容微量遠心管に放血させ、血漿を4℃で2,700×gで10分間遠心させて分離した。マウス血漿中のG−CSF濃度を製造業者の指示に従ってELISA(R&D社のG−CSF DouSet ELISAキット)により測定した。
【0043】
PegLip−FIX及び遊離FIXの血友病マウスにおける薬物動態:3群のC57BLマウスの尾静脈に50μlのa)200単位/mlのPegLip−FIX、b)非調合FIX、c)緩衝液をIV注射した。注射後の異なる時点でマウスの眼窩後洞からクエン酸ナトリウム(最終濃度20mM)収容微量遠心管に放血させ、血漿を4℃で2,700×gで10分間遠心させて分離した。マウス血漿中のFIX活性を製造業者の指示に従って(Stagod試薬及びST4凝固装置を用いて)1段階凝固アッセイにより測定した。C57BLマウスは血漿中に内因性FIX活性を有しているので、(対照マウスで測定した)この内因性活性を治療群の各時点で測定した活性から差し引いた。
【0044】
薬物動態分析:薬物動態パラメーター(半減期及びAUC)はコンピューターソフトウェア(MicroMath Inc.のRSTRIP)により分析した。
【0045】
統計分析:スチューデントのt検定。
【0046】
2.2 結果
リポソーム調合タンパク質のマウスにおける薬物動態:
遊離及びリポソーム調合のFIX及びG−CSFの薬物動態パラメーターをマウスにおいて調べた。表2〜3に示す結果は、PEG化リポソームと調合したタンパク質の半減期及び曲線下面積は遊離タンパク質より高かったこと示している。
【0047】
【表2】
【0048】
G−CSFを50mM クエン酸ナトリウム緩衝液(pH7)を用いて再構成するかまたはPEG化リポソームと調合し、マウス(1群あたり6匹のマウス)にs.c.注射(50μl)した。血漿中のヒトG−CSF濃度(pg/ml)を酵素結合免疫検定法(ELisa)により測定した。各マウスについて薬物動態パラメーターを計算した。値は平均値±標準偏差である。PegLip−G−CSF対G−CSFの半減期についてのスチューデントt検定 P<0.002。
【0049】
【表3】
【0050】
各マウスについて薬物動態パラメーターを計算した。値は平均値±標準偏差である。PegLip−FIX対FIXの半減期についてのスチューデントt検定 P<0.15。
【0051】
3.実施例11
3.1 血友病マウスにおけるインビボでPEG化リポソームと調合したFVIIIの薬物動態及び生物学的活性
未調合第VIII因子を注射してから1時間後にリポソームを注射することによりインビボでPEG化リポソームと調合した第VIII因子の薬物動態及び生物学的活性を血友病マウスにおいて調べた。血友病マウスにa)遊離(未調合)FVIIIを注射し、b)遊離FVIIIを注射し、1時間後にPEG化リポソームの第2回注射をした。注射後の異なる時点にマウスから放血させた。FVIII活性を凝固アッセイにより測定した。リポソーム調合FVIIIのインビボ止血効果を試験し、遊離FVIIIの効果と比較するために、注射したマウスの尾を注射後の異なる時間に切断し、注射したマウスの生存数を調べた。
【0052】
表4及び図10の結果は、インビボでPEG化リポソームと調合した第VIII因子の半減期及び曲線下面積は遊離VIIIよりも高かったことを示している。従って、FVIIIを注射し、1時間後にリポソームを注射したマウスの生存数は有意に高かった。
【0053】
【表4】
【0054】
組換えFVIII(バイエル社のKogenate−FS)を水で再構成し、血友病マウス(各群10匹のマウス)の尾静脈に注射した(40μl)。1時間後にPEG化リポソーム(9%脂質,w/v)をマウスの1群にi.v.注射した(40μl)。各時点のプール血漿サンプルについてFVIII活性を1段階凝固アッセイにより調べた。薬物動態パラメーター(半減期及びAUC)をコンピュータープログラム(MicroMath Inc.のRSTRIP)により分析した。
【0055】
4.実施例12
リアルタイム相互作用分析により、POPC及びカルバメート結合非帯電リポポリマーからなるリポソームに対するFVIIIの結合をPOPC及びDSPE−PEGからなるリポソームに対するFVIIIの結合と比較した。カルバメート結合非帯電リポポリマー、すなわちmPEGアミノプロパンジオールジステアロイル(DS−c−PEG)及び1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルエタノールアミン−N−メトキシポリエチレングリコール(DSPE−PEG)の概略構造を以下に示す。
【0056】
【化1】
【0057】
結果を図11に示し、両タイプのリポソームがFVIIIと相互作用することを示す。
【0058】
5.実施例13
凝固第VIIa因子は通常、阻害剤を有する血友病患者を治療するため及び外傷性出血(例えば、戦争負傷、自動車事故)を止めるために使用されている。PEG化リポソームと調合した第VIIa因子の薬物動態をラットにおいて調べた。Sprague Dawley(SD)ラット(180g)に遊離(未調合)FVIIa(Nova Nordisk)またはPEG化リポソームと調合したFVIIaを36μg/ラット注射した。注射後の異なる時間にラットから放血させ、FVIIa活性を凝固アッセイ(Stago)により測定した。表5及び6の結果は、インビボでPEG化リポソームと調合した第VIIa因子の半減期及び曲線下面積は遊離FVIIaよりも高かったこと示している。
【0059】
【表5】
【0060】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】PEG化リポソームの固定化FVIIIに対するリアルタイム相互作用を示す。a:PEG化リポソームは固定化rFVIIIに結合するが、対照POPCリポソーム(PC)もPOPC:DSPEリポソーム(PC:PE)も固定化rFVIIIに結合しない。b:PEG化リポソームは固定化rFVIII(FVIII)に結合するが、固定化HSAに結合しない。c:PEG化リポソームは抗FVIII抗体(20ベセスダ単位/mlの力価)を発現している血友病A患者の希釈(×100)血清の非存在下及び存在(阻害剤)下で固定化rFVIIIに結合する。応答を共鳴単位(RU)で示す。a〜cの応答はHSA被覆チャネルへの非特異的結合について補正した。この非特異的結合は固定化FVIII被覆チャネルへのPEG化リポソームのリアルタイム相互作用の5%未満であった。
【図2】PEG化リポソームの固定化FIXに対するリアルタイム相互作用。a:PEG化リポソームは固定化FIXに結合するが、固定化HSAに結合しない。b:PEG化リポソームは固定化FIXに結合するが、対照POPCリポソームは固定化FIXに結合しない。応答を共鳴単位(RU)で示す。応答はHSA被覆チャネルへの非特異的結合について補正した。この非特異的結合はFIX被覆チャネルへの結合に比して固定化FIXに対するPEG化リポソームのリアルタイム相互作用の5%未満であった。
【図3】PEG化リポソームの固定化G−CSFに対するリアルタイム相互作用。a:PEG化リポソームは固定化G−CSFに結合するが、固定化HSAに結合しない。b:PEG化リポソームは固定化G−CSFに結合するが、対照POPCリポソームは固定化G−CSFに結合しない。応答を共鳴単位(RU)で示す。応答はHSA被覆チャネルへの非特異的結合について補正した。この非特異的結合はG−CSF被覆チャネルへの結合に比して固定化G−CSFに対するPEG化リポソームのリアルタイム相互作用の5%未満であった。
【図4】PEG化リポソームの固定化GM−CSFに対するリアルタイム相互作用。a:PEG化リポソームは固定化GM−CSFに結合するが、固定化HSAに結合しない。b:PEG化リポソームは固定化GM−CSFに結合するが、対照POPCリポソームは固定化GM−CSFに結合しない。応答を共鳴単位(RU)で示す。応答はHSA被覆チャネルへの非特異的結合について補正した。この非特異的結合はG−CSF被覆チャネルへの結合に比して固定化GM−CSFに対するPEG化リポソームのリアルタイム相互作用の5%未満であった。
【図5】PEG化リポソームの固定化インターフェロンγに対するリアルタイム相互作用。a:PEG化リポソームは固定化IFNγに結合するが、固定化HSAに結合しない。b:PEG化リポソームは固定化IFNγに結合するが、対照POPCリポソームは固定化IFNγに結合しない。応答を共鳴単位(RU)で示す。応答はHSA被覆チャネルへの非特異的結合について補正した。この非特異的結合はIFN−γ被覆チャネルへの結合に比して固定化IFN−γに対するPEG化リポソームのリアルタイム相互作用の5%未満であった。
【図6】PEG化リポソームの固定化GLP−1に対するリアルタイム相互作用。a:PEG化リポソームは固定化GLP−1に結合するが、固定化HSAに結合しない。b:PEG化リポソームは固定化GLP−1に結合するが、対照POPCリポソームは固定化GLP−1に結合しない。応答を共鳴単位(RU)で示す。応答はHSA被覆チャネルへの非特異的結合について補正した。この非特異的結合はGLP−1被覆チャネルへの結合に比して固定化GLP−1に対するPEG化リポソームのリアルタイム相互作用の5%未満であった。
【図7】PEG化リポソームは、希釈(×10)家兎ポリクローナル抗ヒトFIX抗体(Sigma)の非存在下及び存在(抗体)下で固定化FIXに結合する。
【図8】コンセンサス配列及びPEG化リポソームに対するFVIII結合部位。a:各種タンパク質中のPEG化リポソームを結合するためのコンセンサス配列。保存アミノ酸は赤で示し、非保存アミノ酸は青で示す。b:ヒトFVIIIのドメイン構造。ヒトFVIIIの不連続ドメイン構造はその一次構造から類推した。リポソーム結合部位は黒四角で示す。Tで示す赤色矢印はトロンビン活性化部位を表す。c:PEG化リポソームまたはPOPCリポソーム(PC)のCM5センサーチップに固定化したFVIII配列由来ペプチド(1783−1796アミノ酸)に対する結合。応答を共鳴単位(RU)で示す。
【図9】PEG化リポソームの固定化コパキソンに対するリアルタイム相互作用。a:PEG化リポソームは固定化コパキソンに結合するが、固定化HSAに結合しない。b:PEG化リポソームは固定化コパキソンに結合するが、対照POPCリポソームは固定化コパキソンに結合しない。応答を共鳴単位(RU)で示す。応答はHSA被覆チャネルへの非特異的結合について補正した。この非特異的結合はコパキソン被覆チャネルへの結合に比して固定化コパキソンに対するPEG化リポソームのリアルタイム相互作用の5%未満であった。
【図10】尾切断後の血友病マウスの生存数。血友病マウスにFVIII(バイエル社のKogenate−FS)またはFVIIIを注射し、(1時間後に)PEG化リポソームを注射した場合をKaplan−Meierbプロットで示す。T検定統計分析は群間の統計上有意な差を示す(p<0.05)。
【図11】モル比97:3のPOPC:DSPE−PEG2000(スイス国リースタルに所在のGenzyme Pharmaceuticals社の脂質)からなるPEG化リポソーム及びモル比97:3のPOPC:DS−c−PEG2000(スイス国リースタルに所在のGenzyme Pharmaceuticals社の脂質)からなるPEG化リポソームの固定化FVIIIに対するリアルタイム相互作用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療有効量のタンパク質またはポリペプチド及びコロイド粒子を含む非経口投与用医薬組成物であって、
前記粒子は生体親和性親水性ポリマーで誘導体化された両親媒性脂質を約1〜20モル%含み、
前記タンパク質またはポリペプチドは(a)前記コロイド粒子に外部結合し得るタンパク質またはポリペプチド、(b)ポリアルキルエーテル、ポリ乳酸及びポリグリコール酸ファミリーのポリマーに結合し得るタンパク質またはポリペプチド及び(c)S/T−X−L/I/V−I/V/Q/S−S/T−X−X−E(ここで、Xは任意のアミノ酸であり得、S、T、L、I、V、E及びQは一般的意味を有する)のコンセンサス配列を含むタンパク質またはポリペプチドからなる群から選択され、
前記タンパク質またはポリペプチドは第VIII因子(FVIII)でなく、
前記タンパク質またはポリペプチドはコロイド粒子中に封入されていない前記医薬組成物。
【請求項2】
前記コロイド粒子は実質的に中性であり、前記ポリマーは実質的に実効電荷を持たない、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記コロイド粒子は約0.03〜約0.4ミクロンの平均粒径を有する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記コロイド粒子は約0.1ミクロンの平均粒径を有する、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記両親媒性脂質は天然または合成起源のリン脂質である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記両親媒性脂質はホスファチジルエタノールアミン(PE)である、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記両親媒性脂質はカルバメート結合非帯電リポポリマーである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記両親媒性脂質はアミノプロパンジオールジステアロイル(DS)である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記コロイド粒子は更に天然または合成起源から得られる第2の両親媒性脂質を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記第2の両親媒性脂質はホスファチジルコリンである、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
コレステロールが前記組成物に補充されている、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記生体親和性親水性ポリマーはポリアルキルエーテル、ポリ乳酸及びポリグリコール酸ファミリーからなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記生体親和性親水性ポリマーはポリエチレングリコールである、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記ポリエチレングリコールは約500〜約5000ダルトンの分子量を有する、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記ポリエチレングリコールは約2000ダルトンの分子量を有する、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
タンパク質またはポリペプチドはプロトロンビン、第VIIa因子、第X因子、第V因子、第IX因子(FIX)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、インターフェロンγ、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)及びコパキソンからなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記ポリペプチドはコパキソンであり、前記組成物は多発性硬化症、糖尿病性神経障害、老人性認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、顔面神経(ベル)麻痺、緑内障、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、てんかん重積持続状態、非動脈炎性視神経異常症、及びビタミン欠乏症から選択される疾患の治療のために使用される、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記ポリペプチドは第VIIa因子であり、前記組成物は阻害剤を有している血友病患者において外傷性出血を治療するために使用される、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記タンパク質またはポリペプチドはS/T−X−L/I/V−I/V/Q/S−S/T−X−X−E(ここで、Xは任意のアミノ酸である)のアミノ酸コンセンサス配列を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項20】
血友病を患っている患者に対して治療有効量の血友病の治療に有効なタンパク質またはポリペプチド及びコロイド粒子を含む非経口投与用医薬組成物を投与することを含む前記患者の治療方法であって、
前記粒子は生体親和性親水性ポリマーで誘導体化された両親媒性脂質を約1〜20モル%含み、
前記タンパク質またはポリペプチドは(a)前記コロイド粒子に外部結合し得るタンパク質またはポリペプチド、(b)ポリアルキルエーテル、ポリ乳酸及びポリグリコール酸ファミリーのポリマーに結合し得るタンパク質またはポリペプチド及び(c)S/T−X−L/I/V−I/V/Q/S−S/T−X−X−E(ここで、Xは任意のアミノ酸であり得、S、T、L、I、V、E及びQは一般的意味を有する)のコンセンサス配列を含むタンパク質またはポリペプチドからなる群から選択され、
前記タンパク質またはポリペプチドは第VIII因子(FVIII)でなく、
前記タンパク質またはポリペプチドは前記コロイド粒子中に封入されていない治療方法。
【請求項21】
前記患者はタンパク質またはポリペプチドに対する阻害剤抗体を発現している、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
治療有効量のタンパク質またはポリペプチド及びコロイド粒子を含む血友病患者を治療するための非経口投与用医薬組成物の製造におけるコロイド粒子の使用であって、
前記粒子は生体親和性親水性ポリマーで誘導体化された両親媒性脂質を約1〜20モル%含み、
前記タンパク質またはポリペプチドは(a)前記コロイド粒子に外部結合し得るタンパク質またはポリペプチド、(b)ポリアルキルエーテル、ポリ乳酸及びポリグリコール酸ファミリーのポリマーに結合し得るタンパク質またはポリペプチド及び(c)S/T−X−L/I/V−I/V/Q/S−S/T−X−X−E(ここで、Xは任意のアミノ酸であり得、S、T、L、I、V、E及びQは一般的意味を有する)のコンセンサス配列を含むタンパク質またはポリペプチドからなる群から選択され、
前記タンパク質またはポリペプチドは第VIII因子(FVIII)でなく、
前記タンパク質またはポリペプチドは前記コロイド粒子中に封入されていない前記使用。
【請求項23】
前記患者は前記タンパク質またはポリペプチドに対する阻害剤抗体を発現している、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
治療有効量のタンパク質またはポリペプチド及びコロイド粒子を含む非経口投与用医薬組成物の製造におけるコロイド粒子の使用であって、
前記粒子は生体親和性親水性ポリマーで誘導体化された両親媒性脂質を約1〜20モル%含み、
前記タンパク質またはポリペプチドは(a)前記コロイド粒子に外部結合し得るタンパク質またはポリペプチド、(b)ポリアルキルエーテル、ポリ乳酸及びポリグリコール酸ファミリーのポリマーに結合し得るタンパク質またはポリペプチド及び(c)S/T−X−L/I/V−I/V/Q/S−S/T−X−X−E(ここで、Xは任意のアミノ酸であり得、S、T、L、I、V、E及びQは一般的意味を有する)のコンセンサス配列を含むタンパク質またはポリペプチドからなる群から選択され、
前記タンパク質またはポリペプチドは第VIII因子(FVIII)でなく、
前記タンパク質またはポリペプチドはコロイド粒子中に封入されていない前記使用。
【請求項25】
病気を患っている患者に対して治療有効量の前記病気の治療に有効なタンパク質またはポリペプチド及びコロイド粒子を含む非経口投与用医薬組成物を投与することを含む前記患者の治療方法であって、
前記粒子は生体親和性親水性ポリマーで誘導体化された両親媒性脂質を約1〜20モル%含み、
前記タンパク質またはポリペプチドは(a)前記コロイド粒子に外部結合し得るタンパク質またはポリペプチド、(b)ポリアルキルエーテル、ポリ乳酸及びポリグリコール酸ファミリーのポリマーに結合し得るタンパク質またはポリペプチド及び(c)S/T−X−L/I/V−I/V/Q/S−S/T−X−X−E(ここで、Xは任意のアミノ酸であり得、S、T、L、I、V、E及びQは一般的意味を有する)のコンセンサス配列を含むタンパク質またはポリペプチドからなる群から選択され、
前記コロイド粒子と前記タンパク質またはポリペプチドを別々に投与し、
前記タンパク質またはポリペプチドは前記コロイド粒子中に封入されていない前記方法。
【請求項26】
前記タンパク質またはポリペプチドは第VIII因子(FVIII)でない、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記コロイド粒子はリポソームであり、前記タンパク質またはポリペプチドは第VIII因子(FVIII)である請求項25に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療有効量のタンパク質またはポリペプチド及びコロイド粒子を含む非経口投与用医薬組成物であって、前記粒子は生体親和性親水性ポリマーで誘導体化された両親媒性脂質を約1〜20モル%含み、
前記タンパク質またはポリペプチドは:
(a)前記コロイド粒子に外部結合し得るタンパク質またはポリペプチド;
(b)ポリアルキルエーテル、ポリ乳酸及びポリグリコール酸ファミリーのポリマーに結合し得るタンパク質またはポリペプチド;及び
(c)S/T−X−L/I/V−I/V/Q/S−S/T−X−X−E(ここで、Xは任意のアミノ酸であり得、S、T、L、I、V、E及びQは一般的意味を有する)のコンセンサス配列を含むタンパク質またはポリペプチド;
からなる群から選択され、
前記タンパク質またはポリペプチドは第VIII因子(FVIII)でなく、前記タンパク質またはポリペプチドは前記コロイド粒子中に封入されていない前記医薬組成物。
【請求項2】
前記コロイド粒子は実質的に中性であり、前記ポリマーは実質的に実効電荷を持たない請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記両親媒性脂質は天然または合成起源のリン脂質である請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記両親媒性脂質はホスファチジルエタノールアミン(PE)である請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記両親媒性脂質はカルバメート結合非帯電リポポリマーである請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記両親媒性脂質はアミノプロパンジオールジステアロイル(DS)である請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記コロイド粒子は更に天然または合成起源から得られる第2の両親媒性脂質を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記生体親和性親水性ポリマーはポリエチレングリコールである請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記タンパク質またはポリペプチドはプロトロンビン、第VIIa因子、第X因子、第V因子、第IX因子(FIX)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、インターフェロンγ、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)及びコパキソンからなる群から選択される請求項1〜8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記ポリペプチドは第VIIa因子であり、前記組成物は阻害剤を有している血友病患者において外傷性出血を治療するために使用され得る請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
治療有効量のタンパク質またはポリペプチド及びコロイド粒子を含む非経口投与用医薬組成物であって、前記粒子は生体親和性親水性ポリマーで誘導体化された両親媒性脂質を約1〜20モル%含み、
前記タンパク質またはポリペプチドは:
(a)前記コロイド粒子に外部結合し得るタンパク質またはポリペプチド;
(b)ポリアルキルエーテル、ポリ乳酸及びポリグリコール酸ファミリーのポリマーに結合し得るタンパク質またはポリペプチド;及び
(c)S/T−X−L/I/V−I/V/Q/S−S/T−X−X−E(ここで、Xは任意のアミノ酸であり得、S、T、L、I、V、E及びQは一般的意味を有する)のコンセンサス配列を含むタンパク質またはポリペプチド;
からなる群から選択され、
前記タンパク質またはポリペプチドは前記コロイド粒子中に封入されておらず、前記コロイド粒子及び前記タンパク質またはポリペプチドは独立している前記医薬組成物。
【請求項12】
前記タンパク質またはポリペプチドは第VIII因子(FVIII)でない請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記コロイド粒子はリポソームを含み、前記タンパク質またはポリペプチドは第VIII因子(FVIII)でない請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項1】
治療有効量のタンパク質またはポリペプチド及びコロイド粒子を含む非経口投与用医薬組成物であって、
前記粒子は生体親和性親水性ポリマーで誘導体化された両親媒性脂質を約1〜20モル%含み、
前記タンパク質またはポリペプチドは(a)前記コロイド粒子に外部結合し得るタンパク質またはポリペプチド、(b)ポリアルキルエーテル、ポリ乳酸及びポリグリコール酸ファミリーのポリマーに結合し得るタンパク質またはポリペプチド及び(c)S/T−X−L/I/V−I/V/Q/S−S/T−X−X−E(ここで、Xは任意のアミノ酸であり得、S、T、L、I、V、E及びQは一般的意味を有する)のコンセンサス配列を含むタンパク質またはポリペプチドからなる群から選択され、
前記タンパク質またはポリペプチドは第VIII因子(FVIII)でなく、
前記タンパク質またはポリペプチドはコロイド粒子中に封入されていない前記医薬組成物。
【請求項2】
前記コロイド粒子は実質的に中性であり、前記ポリマーは実質的に実効電荷を持たない、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記コロイド粒子は約0.03〜約0.4ミクロンの平均粒径を有する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記コロイド粒子は約0.1ミクロンの平均粒径を有する、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記両親媒性脂質は天然または合成起源のリン脂質である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記両親媒性脂質はホスファチジルエタノールアミン(PE)である、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記両親媒性脂質はカルバメート結合非帯電リポポリマーである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記両親媒性脂質はアミノプロパンジオールジステアロイル(DS)である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記コロイド粒子は更に天然または合成起源から得られる第2の両親媒性脂質を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記第2の両親媒性脂質はホスファチジルコリンである、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
コレステロールが前記組成物に補充されている、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記生体親和性親水性ポリマーはポリアルキルエーテル、ポリ乳酸及びポリグリコール酸ファミリーからなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記生体親和性親水性ポリマーはポリエチレングリコールである、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記ポリエチレングリコールは約500〜約5000ダルトンの分子量を有する、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記ポリエチレングリコールは約2000ダルトンの分子量を有する、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
タンパク質またはポリペプチドはプロトロンビン、第VIIa因子、第X因子、第V因子、第IX因子(FIX)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、インターフェロンγ、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)及びコパキソンからなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記ポリペプチドはコパキソンであり、前記組成物は多発性硬化症、糖尿病性神経障害、老人性認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、顔面神経(ベル)麻痺、緑内障、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、てんかん重積持続状態、非動脈炎性視神経異常症、及びビタミン欠乏症から選択される疾患の治療のために使用される、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記ポリペプチドは第VIIa因子であり、前記組成物は阻害剤を有している血友病患者において外傷性出血を治療するために使用される、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記タンパク質またはポリペプチドはS/T−X−L/I/V−I/V/Q/S−S/T−X−X−E(ここで、Xは任意のアミノ酸である)のアミノ酸コンセンサス配列を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項20】
血友病を患っている患者に対して治療有効量の血友病の治療に有効なタンパク質またはポリペプチド及びコロイド粒子を含む非経口投与用医薬組成物を投与することを含む前記患者の治療方法であって、
前記粒子は生体親和性親水性ポリマーで誘導体化された両親媒性脂質を約1〜20モル%含み、
前記タンパク質またはポリペプチドは(a)前記コロイド粒子に外部結合し得るタンパク質またはポリペプチド、(b)ポリアルキルエーテル、ポリ乳酸及びポリグリコール酸ファミリーのポリマーに結合し得るタンパク質またはポリペプチド及び(c)S/T−X−L/I/V−I/V/Q/S−S/T−X−X−E(ここで、Xは任意のアミノ酸であり得、S、T、L、I、V、E及びQは一般的意味を有する)のコンセンサス配列を含むタンパク質またはポリペプチドからなる群から選択され、
前記タンパク質またはポリペプチドは第VIII因子(FVIII)でなく、
前記タンパク質またはポリペプチドは前記コロイド粒子中に封入されていない治療方法。
【請求項21】
前記患者はタンパク質またはポリペプチドに対する阻害剤抗体を発現している、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
治療有効量のタンパク質またはポリペプチド及びコロイド粒子を含む血友病患者を治療するための非経口投与用医薬組成物の製造におけるコロイド粒子の使用であって、
前記粒子は生体親和性親水性ポリマーで誘導体化された両親媒性脂質を約1〜20モル%含み、
前記タンパク質またはポリペプチドは(a)前記コロイド粒子に外部結合し得るタンパク質またはポリペプチド、(b)ポリアルキルエーテル、ポリ乳酸及びポリグリコール酸ファミリーのポリマーに結合し得るタンパク質またはポリペプチド及び(c)S/T−X−L/I/V−I/V/Q/S−S/T−X−X−E(ここで、Xは任意のアミノ酸であり得、S、T、L、I、V、E及びQは一般的意味を有する)のコンセンサス配列を含むタンパク質またはポリペプチドからなる群から選択され、
前記タンパク質またはポリペプチドは第VIII因子(FVIII)でなく、
前記タンパク質またはポリペプチドは前記コロイド粒子中に封入されていない前記使用。
【請求項23】
前記患者は前記タンパク質またはポリペプチドに対する阻害剤抗体を発現している、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
治療有効量のタンパク質またはポリペプチド及びコロイド粒子を含む非経口投与用医薬組成物の製造におけるコロイド粒子の使用であって、
前記粒子は生体親和性親水性ポリマーで誘導体化された両親媒性脂質を約1〜20モル%含み、
前記タンパク質またはポリペプチドは(a)前記コロイド粒子に外部結合し得るタンパク質またはポリペプチド、(b)ポリアルキルエーテル、ポリ乳酸及びポリグリコール酸ファミリーのポリマーに結合し得るタンパク質またはポリペプチド及び(c)S/T−X−L/I/V−I/V/Q/S−S/T−X−X−E(ここで、Xは任意のアミノ酸であり得、S、T、L、I、V、E及びQは一般的意味を有する)のコンセンサス配列を含むタンパク質またはポリペプチドからなる群から選択され、
前記タンパク質またはポリペプチドは第VIII因子(FVIII)でなく、
前記タンパク質またはポリペプチドはコロイド粒子中に封入されていない前記使用。
【請求項25】
病気を患っている患者に対して治療有効量の前記病気の治療に有効なタンパク質またはポリペプチド及びコロイド粒子を含む非経口投与用医薬組成物を投与することを含む前記患者の治療方法であって、
前記粒子は生体親和性親水性ポリマーで誘導体化された両親媒性脂質を約1〜20モル%含み、
前記タンパク質またはポリペプチドは(a)前記コロイド粒子に外部結合し得るタンパク質またはポリペプチド、(b)ポリアルキルエーテル、ポリ乳酸及びポリグリコール酸ファミリーのポリマーに結合し得るタンパク質またはポリペプチド及び(c)S/T−X−L/I/V−I/V/Q/S−S/T−X−X−E(ここで、Xは任意のアミノ酸であり得、S、T、L、I、V、E及びQは一般的意味を有する)のコンセンサス配列を含むタンパク質またはポリペプチドからなる群から選択され、
前記コロイド粒子と前記タンパク質またはポリペプチドを別々に投与し、
前記タンパク質またはポリペプチドは前記コロイド粒子中に封入されていない前記方法。
【請求項26】
前記タンパク質またはポリペプチドは第VIII因子(FVIII)でない、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記コロイド粒子はリポソームであり、前記タンパク質またはポリペプチドは第VIII因子(FVIII)である請求項25に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療有効量のタンパク質またはポリペプチド及びコロイド粒子を含む非経口投与用医薬組成物であって、前記粒子は生体親和性親水性ポリマーで誘導体化された両親媒性脂質を約1〜20モル%含み、
前記タンパク質またはポリペプチドは:
(a)前記コロイド粒子に外部結合し得るタンパク質またはポリペプチド;
(b)ポリアルキルエーテル、ポリ乳酸及びポリグリコール酸ファミリーのポリマーに結合し得るタンパク質またはポリペプチド;及び
(c)S/T−X−L/I/V−I/V/Q/S−S/T−X−X−E(ここで、Xは任意のアミノ酸であり得、S、T、L、I、V、E及びQは一般的意味を有する)のコンセンサス配列を含むタンパク質またはポリペプチド;
からなる群から選択され、
前記タンパク質またはポリペプチドは第VIII因子(FVIII)でなく、前記タンパク質またはポリペプチドは前記コロイド粒子中に封入されていない前記医薬組成物。
【請求項2】
前記コロイド粒子は実質的に中性であり、前記ポリマーは実質的に実効電荷を持たない請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記両親媒性脂質は天然または合成起源のリン脂質である請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記両親媒性脂質はホスファチジルエタノールアミン(PE)である請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記両親媒性脂質はカルバメート結合非帯電リポポリマーである請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記両親媒性脂質はアミノプロパンジオールジステアロイル(DS)である請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記コロイド粒子は更に天然または合成起源から得られる第2の両親媒性脂質を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記生体親和性親水性ポリマーはポリエチレングリコールである請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記タンパク質またはポリペプチドはプロトロンビン、第VIIa因子、第X因子、第V因子、第IX因子(FIX)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、インターフェロンγ、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)及びコパキソンからなる群から選択される請求項1〜8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記ポリペプチドは第VIIa因子であり、前記組成物は阻害剤を有している血友病患者において外傷性出血を治療するために使用され得る請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
治療有効量のタンパク質またはポリペプチド及びコロイド粒子を含む非経口投与用医薬組成物であって、前記粒子は生体親和性親水性ポリマーで誘導体化された両親媒性脂質を約1〜20モル%含み、
前記タンパク質またはポリペプチドは:
(a)前記コロイド粒子に外部結合し得るタンパク質またはポリペプチド;
(b)ポリアルキルエーテル、ポリ乳酸及びポリグリコール酸ファミリーのポリマーに結合し得るタンパク質またはポリペプチド;及び
(c)S/T−X−L/I/V−I/V/Q/S−S/T−X−X−E(ここで、Xは任意のアミノ酸であり得、S、T、L、I、V、E及びQは一般的意味を有する)のコンセンサス配列を含むタンパク質またはポリペプチド;
からなる群から選択され、
前記タンパク質またはポリペプチドは前記コロイド粒子中に封入されておらず、前記コロイド粒子及び前記タンパク質またはポリペプチドは独立している前記医薬組成物。
【請求項12】
前記タンパク質またはポリペプチドは第VIII因子(FVIII)でない請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記コロイド粒子はリポソームを含み、前記タンパク質またはポリペプチドは第VIII因子(FVIII)でない請求項11に記載の医薬組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2006−523683(P2006−523683A)
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507607(P2006−507607)
【出願日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【国際出願番号】PCT/IL2004/000327
【国際公開番号】WO2004/091723
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(500498671)オッパーバス・ホールディング・ビー・ブイ (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【国際出願番号】PCT/IL2004/000327
【国際公開番号】WO2004/091723
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(500498671)オッパーバス・ホールディング・ビー・ブイ (1)
【Fターム(参考)】
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