説明

タンパク質機能のインビトロ分子進化の方法

本発明は、親ポリヌクレオチド配列から1つのポリヌクレオチド配列または配列集団を生成する方法を提供する。該方法は、(a)ポリヌクレオチド分子の第1集団およびポリヌクレオチド分子の第2集団であって、親ポリヌクレオチド配列のプラスおよびマイナス鎖を一緒になって構成する第1および第2集団を提供するステップと、(b)ポリヌクレオチド分子の第1および第2集団を、ヌクレアーゼで消化してポリヌクレオチドフラグメントを生成するステップと、(c)プラス鎖から生成された前記ポリヌクレオチドフラグメントを、マイナス鎖から生成されたフラグメントと接触させるステップと、(d)互いにアニールするフラグメントを増幅して、親ポリヌクレオチドにコードされたものと比べて変化したアミノ酸配列を有する1つまたは複数のタンパク質モチーフをコードする、少なくとも1つのポリヌクレオチド分子を生成するステップとを含み、ステップ(d)で産生された少なくとも1つのポリヌクレオチド分子の選択領域における配列変異性の程度は、予め決められた変異性の1つまたは複数のオリゴヌクレオチドを付加することで制御され、オリゴヌクレオチドは、親ポリヌクレオチド分子の3'または5'末端ヌクレオチドの間にある(ただし、3'および5'末端ヌクレオチドは除く)配列にアニールする。本発明はまた、本発明の方法により得られたポリヌクレオチドおよび同ポリヌクレオチドによりコードされたポリペプチドも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親タンパク質の選択領域に導入された変異性に対する制御を可能にするタンパク質機能のインビトロ分子進化の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質機能は、部位特異的突然変異誘発(Alberら、Nature、5;330(6143):41〜46頁、1987年)、コンビナトリアルクローニング(Huseら、Science、246:1275〜1281頁、1989年;Marksら、Biotechnology、10:779〜783頁、1992年)、および適切な選択系と組み合わせたランダム突然変異誘発(Barbasら、PNAS. USA、89:4457〜4461頁、1992年)を含む種々の方法によりインビトロで改変および改善することができる。
【0003】
選択と合わせたランダム突然変異誘発方法は、タンパク質機能を改善するのに幾つかのケースで使用されており、2つの異なる戦略が存在する。第1は、所望の特徴を有する変異体(突然変異体(mutant))タンパク質の選択と組み合わせた遺伝子配列全体のランダム化と、これに続くランダム突然変異誘発および選択の新規ラウンドである。この方法は、次いで、最適と考えられるタンパク質変異体が見出されるまで繰り返すことができる(Schier R.ら、J. Mol. Biol. 1996年 263(4):551〜567頁)。ここで、突然変異(mutation)を導入するための従来の手段は、突然変異率約0.7%のエラープローンPCRである(Leungら、Technique、1:11〜15頁、1989年)。第2は、遺伝子の一定の領域を、縮重プライマーにより突然変異誘発することができ、最大100%の突然変異率を可能にする(Griffithら、EMBO. J、113:3245〜3260頁、1994年;Yangら、J. Mol. Biol. 254:392〜403頁、1995年)。
【0004】
ランダム突然変異は、抗体工学の分野で広範に使用されている。インビボで形成された抗体遺伝子は、インビトロでクローン化することができ(Larrickら、Biochem. Biophys. Res. Commun. 160:1250〜1256頁、1989年)、可変の重鎖および軽鎖遺伝子をコードする遺伝子のランダムな組合せが、選択にかけられうる(Marksら、Biotechnology、10:779〜783頁、1992年)。これらの方法により選択された機能性抗体フラグメントは、ランダム突然変異誘発、およびさらなる選択ラウンドによりさらに改良することができる(Schier R.ら、J. Mol. Biol. 1996年 263(4):551〜567頁)。
【0005】
典型的には、ランダム突然変異誘発戦略には、後に選択が続く。興味深い特徴を有する変異体が選択されてよく、それぞれが興味深い特徴を有する、異なる変異体からの変異DNA領域を、1つのコード配列に結合することができる(Yangら、J. Mol. Biol. 254:392〜403頁、1995年)。
【0006】
コンビナトリアルな遺伝子の対合も、タンパク質機能、例えば、抗体親和性を改善するのに使用されている(Marksら、Biotechnology、10:779〜783頁、1992年)。
【0007】
「DNAシャッフリング」と呼ばれることが多い、タンパク質機能のインビトロ変異のためのもう1つの知られた方法は、DNAランダムフラグメント化およびフラグメントのアセンブリを機能性コード配列に利用する(Stemmer、Nature 370:389〜391頁、1994年)。DNAシャッフリング方法は、組換えによる多様性をもたらし、個々の遺伝子からの有用な変異を組み合わせる。これは、異なるタンパク質、例えば、酵素およびサイトカインの人工進化に使用するのに功を奏している(ChangらNature Biotech. 17、793〜797頁、1999年;ZhangらProc. Natl. Acad. Sci. USA 94、4504〜4509頁、1997年;ChristiansらNature Biotech. 17、259〜264頁、1999年)。遺伝子は、DNase Iを用いてランダムにフラグメント化され、次いで互いの組換えによりリアセンブリされる。出発物質は、単一遺伝子(エラープローンPCRを用いて最初にランダムに変異される)、または自然発生の相同配列(いわゆるファミリーシャッフリング)のどちらかであってよい。
【0008】
DNase Iは、ピリミジンヌクレオチドに隣接する部位でDNAを選択的に加水分解するため、DNAのランダムフラグメント化に適した選択である。しかし、活性はMgまたはMnイオンに依存し、Mgイオンがフラグメントサイズを50bpに制限するのに対し、Mnイオンはフラグメントサイズを50bp未満にするであろう。したがって、組換えで可能性のあるサイズを全て得るには、問題の遺伝子は、2つの異なる該イオンのどちらかの存在下で少なくとも2回DNase Iで処置し、続いてこのまさに同じイオンを除去する必要がある。
【0009】
理論では、どのクローン間でもDNAをシャッフルすることは可能であるが、その結果得られるシャッフルされた遺伝子が、発現および活性の点で機能性となる場合、シャッフルされるクローンは、低レベルのランダム突然変異を除いて、好ましくは関連があるかまたは同じでなければならない。遺伝学的に異なるクローン間のDNAシャッフリングは、一般に非機能性遺伝子を産生することになる。
【特許文献1】EP-A-415731
【特許文献2】WO 90/07936
【特許文献3】米国特許第5,252,479号
【特許文献4】WO 93/07282
【特許文献5】WO 02/48351
【特許文献6】WO 03/097834
【特許文献7】米国特許第4,683,195号
【非特許文献1】Alberら、Nature、5;330(6143):41〜46頁、1987年
【非特許文献2】Huseら、Science、246:1275〜1281頁、1989年
【非特許文献3】Marksら、Biotechnology、10:779〜783頁、1992年
【非特許文献4】Barbasら、PNAS. USA、89:4457〜4461頁、1992年
【非特許文献5】Schier R.ら、J. Mol. Biol. 1996年 263(4):551〜567頁
【非特許文献6】Leungら、Technique、1:11〜15頁、1989年
【非特許文献7】Griffithら、EMBO. J 113:3245〜3260頁、1994年
【非特許文献8】Yangら、J. Mol. Biol. 254:392〜403頁、1995年
【非特許文献9】Larrickら、Biochem. Biophys. Res. Commun. 160:1250〜1256頁、1989年
【非特許文献10】Stemmer、Nature 370:389〜391頁、1994年
【非特許文献11】ChangらNature Biotech. 17、793〜797頁、1999年
【非特許文献12】ZhangらProc. Natl. Acad. Sci. USA 94、4504〜4509頁、1997年
【非特許文献13】ChristiansらNature Biotech. 17、259〜264頁、1999年
【非特許文献14】www.hgmp.mrc.ac.uk/GenomeWeb/nuc-mult.html
【非特許文献15】Thompsonら、(1994年) Nucleic Acids Res 22、4673〜80頁
【非特許文献16】Parmleyら、Gene、73:305〜391頁、1988年
【非特許文献17】McCaffertyら、Nature、348:552〜554頁、1990年
【非特許文献18】Barbasら、PNAS. USA、88:7978〜7982頁、1991年
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【非特許文献21】GrabherrらBiotechniques 22:730〜735頁、1997年
【非特許文献22】BuchholzらNature Biotechnol 16:951〜954頁、1998年
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【非特許文献24】BoderおよびWittrup Nat. Biotechnol 15:553〜557頁、1997年
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【非特許文献26】GranzerioらJ Immunol Meth 203:131〜139頁、1997年
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【非特許文献28】www.blocls.fhcrc.org
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【非特許文献30】Skerraら(1988年)Science 240、1038頁
【非特許文献31】Birdら(1988年)Science 242、423頁
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【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、インビトロタンパク質進化の改善された方法を提供しようとするものである。特に、本発明は、親ポリヌクレオチド配列の選択領域に導入された変異性の程度を制御できるようにする方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
故に、本発明の第1の態様によれば、親ポリヌクレオチド分子から変異体ポリヌクレオチド分子、またはこの集団を生成する方法であって、
(a)ポリヌクレオチド分子の第1集団およびポリヌクレオチド分子の第2集団であって、親ポリヌクレオチド分子のプラスおよびマイナス鎖を一緒になって構成する第1および第2集団を提供するステップと、
(b)ポリヌクレオチド分子の第1および第2集団を、ヌクレアーゼで消化してポリヌクレオチドフラグメントを生成するステップと、
(c)(フラグメントのアニーリングを可能にする条件下で)プラス鎖から生成された前記ポリヌクレオチドフラグメントを、マイナス鎖から生成されたフラグメントと接触させるステップと、
(d)互いにアニールするフラグメントを増幅して、親ポリヌクレオチド分子とは配列が異なる少なくとも1つのポリヌクレオチド分子を生成するステップと
を含み、ステップ(d)で産生された少なくとも1つのポリヌクレオチド分子の選択領域における配列変異性の程度が、予め決められた変異性の1つまたは複数のオリゴヌクレオチドを付加することで制御され、オリゴヌクレオチドは、親ポリヌクレオチド分子の3'および5'末端ヌクレオチドの間にある(ただし、3'および5'末端ヌクレオチドは除く)配列にアニールする方法が提供される。
【0012】
本発明の方法により提供される重要な利点は、予め決められた変異性の1つまたは複数のオリゴヌクレオチドを付加することで、親ポリヌクレオチド配列に導入された配列変異性の程度を制御できるようになる点である。このようなオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の親ポリヌクレオチド配列に存在する内部標的配列に(好ましくはハイストリンジェントな条件下で)アニールすることができる。
【0013】
予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドは、(オリゴヌクレオチドが3'または5'末端ヌクレオチドにアニールできないように)親ポリヌクレオチド分子の3'または5'末端ヌクレオチドの間にある(ただし、3'または5'末端ヌクレオチドは除く)内部配列にアニールすることができる。故に、「予め決められた変異性のオリゴヌクレオチド」という用語は、3'もしくは5'末端プライマー配列または完全長の鋳型を包含することを意図するものではない。しかし、ステップ(c)がさらに、アニーリング条件下で、少なくとも1つの親ポリヌクレオチドの3'および/または5'末端にアニールするプライマー配列を付加することを含みうることは理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
ポリヌクレオチドの第1および第2集団が一本鎖である、本発明の方法の好ましい実施形態では、予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドは、ステップ(b)の前にまたはステップ(b)において付加され、親ポリヌクレオチドを消化するのに使用されるヌクレアーゼは、一本鎖ポリヌクレオチドに特異的である(例えば、S1ヌクレアーゼ、Exo I、Exo Tおよびマングビーンヌクレアーゼ)。このように付加された場合、オリゴヌクレオチドは、一本鎖親ポリヌクレオチドの第1および第2集団にアニール/ハイブリダイズするため、二本鎖領域を産生し、二本鎖領域は故に、一本鎖特異的ヌクレアーゼからの消化から保護される(図2参照)。この結果、この保護配列内の変異性は、ステップ(d)で産生され得られる変異体ポリヌクレオチドにおいて制御される。
【0015】
別の好ましい実施形態では、予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドは、ステップ(b)の後およびステップ(c)の前またはステップ(c)において付加される。この実施形態では、ヌクレアーゼ消化により産生されたポリヌクレオチドフラグメントは、オリゴヌクレオチドで「スパイク」され、次いでアニーリング/ハイブリダイゼーション中に、ステップ(d)で産生された変異体ポリヌクレオチドへ組み込まれる(図3参照)。この場合も、ポリヌクレオチドの第1および第2集団は、この実施形態では一本鎖であることが好ましい。
【0016】
本発明の方法により産生される変異体ポリヌクレオチドに導入された変異性の制御は、予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドの使用を通じて実現される。例えば、種々の程度のヌクレオチド配列変異性(変異性なしから高変異性まで)を組み込んでいるオリゴヌクレオチドは、エラープローンPCRなど当技術分野でよく知られた方法を用いて、またはオリゴヌクレオチド合成装置(MWG Biotech社(エベルスベルク、ドイツ)から市販されているものなど)を用いて産生することができる。故に、予め決められた変異性のオリゴヌクレオチド配列に関する知識が最重要なのではなく、重要なのは、オリゴヌクレオチド内の変異性の程度がわかっている(絶対的な意味ではないにしても、少なくとも相対的な意味で)ことであることが理解されよう。
【0017】
有利には、予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドは、親ポリヌクレオチド配列の内部配列と少なくとも90%の配列同一性、例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を共有する。2つのポリヌクレオチド間のパーセント配列同一性は、適切なコンピュータプログラムを用いて決定することができる。適切なコンピュータプログラムの多くは、オンラインで入手可能である(例えば、www.hgmp.mrc.ac.uk/GenomeWeb/nuc-mult.html参照)。
【0018】
例えば、配列同一性は、Clustal Wプログラムを用いて解析することができる(Thompsonら、(1994年) Nucleic Acids Res 22、4673〜80頁)。使用パラメータは以下であってよい。
【0019】
ファーストペアワイズアラインメントパラメータ:K-タプル(ワード)サイズ; 1、ウィンドウサイズ; 5、ギャップペナルティ; 3、トップダイアゴナル数; 5。スコアリング方法:xパーセント。
マルチプルアラインメントパラメータ:ギャップオープンペナルティ; 10、ギャップ延長ペナルティ; 0.05。スコアリングマトリックス:BLOSUM。
【0020】
好ましい実施形態では、予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドは、親ポリヌクレオチド配列の内部配列と100%の配列同一性を共有する。故に、オリゴヌクレオチドは、全てが1つの同じヌクレオチド配列であってよい。
【0021】
別の実施形態では、予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドは、少なくとも2つの異なる配列である。好ましくは、オリゴヌクレオチドは、親ポリヌクレオチド配列の同一の内部配列の変異体である。
【0022】
予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドは、親ポリヌクレオチドの同一の内部配列または異なる内部配列を標的にすることができることが理解されよう。
【0023】
好ましい実施形態では、予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドは、親ポリヌクレオチドの少なくとも2つの異なる領域と100%の配列同一性を共有する、または該領域の変異体である。
【0024】
予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドは、完全長の鋳型を構成しないことを条件にいずれの長さであってもよいことが理解されよう。しかし、好ましくは、オリゴヌクレオチドは、10および500ヌクレオチド長の間である。より好ましくは、オリゴヌクレオチドは、例えば約100ヌクレオチド長など、50および200ヌクレオチド長の間である。
【0025】
本発明は、親ポリヌクレオチド配列の変異型を生成する方法を提供する。
【0026】
本発明の方法は、例えば、抗体または抗体の一部、酵素または受容体など、結合または触媒特性を有するいずれのタンパク質を含め、ポリペプチド産物をコードするいずれのポリヌクレオチドにおいても実施することができることが理解されよう。さらに、触媒RNAなど、変化されうる機能を有するいずれのポリヌクレオチドも、本発明により変異されうる。1つまたは複数のタンパク質モチーフをコードする親ポリヌクレオチドは、少なくとも12ヌクレオチド長、より好ましくは少なくとも20ヌクレオチド長、さらにより好ましくは50ヌクレオチド長超である。少なくとも100ヌクレオチド長、またはさらに少なくとも200ヌクレオチド長であるポリヌクレオチドが使用されてよい。酵素または抗体などの巨大タンパク質をコードする親ポリヌクレオチドが使用される場合、これは数百または数千塩基長になりうる。本発明は、いずれのサイズの親ポリヌクレオチドにおいても実施することができる。
【0027】
有利には、ステップ(d)で産生された少なくとも1つのポリヌクレオチド分子の変化した配列は、この結果コードされたポリヌクレオチドまたはポリペプチドの変化した特性または特徴を伴う。
【0028】
本発明の方法により生成されたポリヌクレオチドまたはポリペプチドの変化した特性または特徴は、野生型(親)ポリヌクレオチド、またはこれがコードするポリペプチド、タンパク質もしくはタンパク質モチーフの正常な活性におけるいずれのバリエーションまたは変質(alteration)でありうる。例えば、本発明の方法は、以下のことに適用することができる。
(i)酵素の触媒活性を、正または負に調節、
(ii)抗体の結合特異性および/または親和性を調節、
(iii)(リガンドおよび/または受容体の変異体を産生して)リガンド-受容体相互作用、例えばインターロイキンおよびこの受容体の結合特異性および/または親和性を調節、
(iv)多量体構造、例えば、ワクチン用ウイルスコートタンパク質を形成するポリペプチドモノマーの能力を調節、
(v)免疫原に対する特異的抗体産生を刺激する免疫原の能力を調節、
(vi)タンパク質の安定性を調節(例えば、ホルモンおよび成長因子の血清安定性)。
【0029】
故に、本発明の方法は、いずれのタンパク質、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの特性/機能を変化させるのに使用できることが理解されよう。
【0030】
変化した特性について、本発明の方法により生成された変異体ポリヌクレオチドまたはポリペをテストする方法は、当技術分野でよく知られている。例えば、分子ライブラリーからの機能性タンパク質の選択は、ファージディスプレイ技術の開発により激変した(Parmleyら、Gene、73:305〜391頁、1988年; McCaffertyら、Nature、348:552〜554頁、1990年; Barbasら、PNAS. USA、88:7978〜7982頁、1991年)。この方法では、表現型(タンパク質)は、対応する遺伝子型(DNA)に直結しており、これが、次いでタンパク質機能を改善するためにさらなる修飾を受けうる遺伝物質の直接クローニングを可能にする。ファージディスプレイは、サイズが最大1011の形質転換体を有する種々の分子ライブラリーから機能性結合剤をクローン化するのに使用されている(Griffithら、EMBO. J. 113:3245〜3260頁、1994年)。故に、ファージディスプレイは、分子ライブラリーから機能性結合剤を直接クローン化するのに使用することができ、最初に選択されたクローンをさらに改善するのに使用することもできる。タンパク質ライブラリーの表面発現およびこの選択に使用されている他の種類のウイルスは、バキュロウイルス(BoublikらBiotechnol 13:1079〜1084頁 1995年; MottersheadらBiochem Biophys Res Com 238:717〜722頁、1997年; GrabherrらBiotechniques 22:730〜735頁、1997年)およびレトロウイルス(BuchholzらNature Biotechnol 16:951〜954頁、1998年)である。
【0031】
分子ライブラリーからの機能性タンパク質の選択は、細胞表面ディスプレイにより行うこともできる。ここでも、表現型は、対応する遺伝子型に直結している。細菌細胞表面ディスプレイは、例えばカルボキシメチルセルラーゼ(CMCase)の改善された変異体のスクリーニングに使用されている(KimらAppl Environ Microbiol 66:788〜93頁、2000年)。この目的に使用されうる他の細胞は、酵母細胞(BoderおよびWittrup Nat. Biotechnol 15:553〜557頁、1997年)、COS細胞(HiguchiらJ Immunol Meth 202:193〜204頁、1997年)および昆虫細胞(GranzerioらJ Immunol Meth 203:131〜139頁、1997年; ErnstらNucleic Acids Res 26:1718〜1723頁、1998年)である。
【0032】
親ポリヌクレオチドは、好ましくは1つまたは複数のタンパク質モチーフをコードする。これらは、特徴的なタンパク質機能を有するポリペプチド(すなわちアミノ酸)配列をコードする、ポリヌクレオチド配列の領域または要素として定義されている。例えば、タンパク質モチーフは、エピトープ、切断部位または触媒部位等のような、タンパク質全体の一部を規定することができる。
【0033】
MOTIF、PROSITE、SMARTおよびBLOCKS(www.blocls.fhcrc.org)など、タンパク質モチーフおよび潜在的なタンパク質モチーフに関する幾つかの検索可能なデータベースが利用可能である。
【0034】
好ましくは、変異性の程度が制御される親ヌクレオチド分子の選択領域は、1つまたは複数のこうしたタンパク質モチーフに相当している(すなわちコードしている)。故に、予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドは、タンパク質モチーフをコードする親ヌクレオチド分子の内部配列を標的にすることができる。
【0035】
本発明の方法は、親ヌクレオチドとして、ハイブリダイズ可能な任意の核酸出発物質を用いて、二本鎖の相補的ヌクレオチド配列、例えばゲノムDNA(gDNA)または相補的DNA(cDNA)を形成するのに操作されうることが、当業者には理解されよう。好ましくは、ポリヌクレオチドの第1および第2集団はcDNAである。
【0036】
好ましい実施形態では、ポリヌクレオチドの第1および第2集団は一本鎖である。
【0037】
好都合には、ポリヌクレオチドの第1集団は、親ポリヌクレオチド分子のプラス鎖から成り、ポリヌクレオチドの第2集団は、親ポリヌクレオチド分子のマイナス鎖から成る。あるいは、ポリヌクレオチドの第1および/または第2集団は、親ポリヌクレオチド分子のプラスおよびマイナス鎖の両方を含むことができる。
【0038】
上記の通り、本発明の方法は、任意の親ポリヌクレオチド配列の変異型を産生するのに使用することができる。
【0039】
有利には、親ポリヌクレオチド配列は、単一の親ポリヌクレオチド配列の突然変異誘発により得られる。すなわち、親ポリヌクレオチド配列は、単一のポリヌクレオチド配列の変異型を構成する。親ポリヌクレオチド配列のランダム突然変異は、エラープローンPCRなど、上記の任意の従来方法により実現することができる。
【0040】
本発明の方法の好ましい実施形態では、親ポリヌクレオチド配列は、リガンドポリペプチドをコードする。「リガンドポリペプチド」により、本発明者は、インビボまたはエクスビボで別の生物分子(別のポリペプチドまたはポリヌクレオチドなど)と相互作用する任意のポリペプチドを包含する。好ましくは、予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドは、生体分子、例えば結合部位または調節部位と直接または間接的に相互作用するアミノ酸配列をコードする親ポリヌクレオチド配列の領域と、配列同一性を共有する、または該領域の変異体である。
【0041】
さらなる好ましい実施形態では、親ポリヌクレオチド配列は、Fab様分子(Betterら(1988年)Science 240、1041頁);Fv分子(Skerraら(1988年)Science 240、1038頁);一本鎖Fv分子(ScFv)分子(Birdら(1988年)Science 242、423頁;Hustonら(1988年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85、5879頁)および単一ドメイン抗体(dAbs)(Wardら(1989年)Nature 341、544頁)などの抗体または抗体フラグメントをコードする。この実施形態では、予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドは、好ましくは相補性決定領域(CDR)をコードする親ポリヌクレオチド配列の領域と配列同一性を共有する、または該領域の変異体である。あるいは、予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドは、フレームワークポリペプチドをコードする親ポリヌクレオチド配列の領域と配列同一性を共有してよく、または該領域の変異体であってよい。
【0042】
さらなる好ましい実施形態では、親ポリヌクレオチド配列は、酵素またはこの触媒活性フラグメントをコードする。「酵素」という用語が使用されているが、これは、酵素様活性、すなわち触媒機能を有する任意のポリペプチドも包含すると解釈されるべきである。例えば、酵素の一部であるポリペプチドは、依然として触媒機能を保有することができる。さらに、インターフェロンおよびサイトカインなどのタンパク質が包含される。この実施形態では、予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドは、好ましくは、活性部位、または調節部位(例えば、補因子結合部位などのアロステリック制御部位など)または酵素の安定性に関与する領域(プロテアーゼ切断部位など)をコードする親ポリヌクレオチド配列の領域と配列同一性を共有する、または該領域の変異体である。
【0043】
さらなる好ましい実施形態では、親ポリヌクレオチド配列は抗原をコードする。「抗原」により、本発明者は、哺乳類宿主に長期投与または急性投与された場合に免疫応答を誘導することができる抗原ペプチドを包含する。この実施形態では、予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドは、好ましくはエピトープをコードする親ポリヌクレオチド配列の領域と配列同一性を共有する、または該領域の変異体である。
【0044】
ポリヌクレオチドフラグメント、例えばエキソヌクレアーゼ、エンドヌクレアーゼもしくは制限酵素、またはこれらの組合せを生成するのに、任意のヌクレアーゼを消化ステップ(b)で使用できることが当業者には理解されよう。個々の消化されたフラグメントは精製され、混合され、PCR技術によりリアセンブルされる。アセンブルされた(再構成された)遺伝子は、次いでタンパク質を発現させるため発現ベクターの中にクローン化することができる。タンパク質は、次いで変化した特徴について分析することができる。
【0045】
「ヌクレアーゼ」とは、本発明者は、核酸分解活性を有するポリペプチド、例えば酵素またはこのフラグメントを意味する。好ましくは、ヌクレアーゼは、エキソヌクレアーゼである。より好ましくは、ポリペプチドのエキソヌクレアーゼ活性は、ポリペプチドのエンドヌクレアーゼ活性より大きい。より好ましくは、ポリペプチドは、エキソヌクレアーゼ活性を有するが、実質的にはエンドヌクレアーゼ活性はない。
【0046】
適切なエキソヌクレアーゼには、BAL31、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼV、エキソヌクレアーゼVII、エキソヌクレアーゼT7遺伝子6、バクテリオファージラムダエキソヌクレアーゼおよびエキソヌクレアーゼRec Jfが挙げられる。
【0047】
好ましくは、ポリヌクレオチドの第1および第2集団は、ステップ(b)で別々に消化される。
【0048】
ヌクレアーゼ消化反応のパラメータを制御することで、ポリヌクレオチドフラグメントのサイズを制御することができる。このようにポリヌクレオチドフラグメントの長さを決定することは、所望の長さのフラグメントをゲルから精製するといったさらなるステップを提供しなければならない必要がない。
【0049】
有利には、ポリヌクレオチド分子の第1集団の消化に使用される少なくとも1つの反応パラメータは、ポリヌクレオチド分子の第2集団の消化反応に使用される同等のパラメータとは異なる。「同等のパラメータ」とは、本発明者は、一本鎖ポリヌクレオチド分子の他の集団の消化反応に使用される同一のパラメータを意味する。異なりうる適切な反応パラメータには、ヌクレアーゼの種類、ヌクレアーゼの濃度、反応量、消化反応持続時間、反応混合物の温度、反応混合物のpH、親ポリヌクレオチド配列の長さ、親ポリヌクレオチド分子量および反応混合物の緩衝液組成が挙げられる。
【0050】
ポリヌクレオチド分子の第1および第2集団の消化に使用される異なる反応パラメータの使用は、本発明の方法により産生される変異体ポリヌクレオチドにおいて変異性の増加という利点をもたらす。
【0051】
故に、本発明の第1の態様の好ましい実施形態は、ポリヌクレオチドフラグメントを組み合わせて変異体ポリヌクレオチド配列を生成する方法を提供し、方法は、
(a)(好ましくは線状)親ポリヌクレオチドをヌクレアーゼで消化して種々の長さのフラグメント集団を生成するステップと、
(b)ステップ(a)から得られた配列からポリヌクレオチド配列をアセンブルするステップと
を含み、予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドは、得られたポリヌクレオチド配列の選択領域における変異性の程度を制御するのに使用される。
【0052】
好ましくは、方法は、(c)アセンブルされたポリヌクレオチド配列によりコードされた結果として生じるタンパク質を発現させるステップと、(d)変化した特性または特徴についてタンパク質をスクリーニングするステップとをさらに含む。
【0053】
本発明はまた、(好ましくは、変化した/所望の特徴を有するポリペプチドをコードする)変化したヌクレオチド配列を有する、上記方法により得られた、または得ることができるポリヌクレオチド配列も提供する。これらのポリヌクレオチド配列は、遺伝子療法ベクターおよび複製欠損遺伝子療法コンストラクト、またはDNAベースのワクチン接種用ワクチン接種ベクターを生成するのに使用することができる。さらに、このポリヌクレオチド配列は、研究ツールとして使用することができる。
【0054】
本発明はまた、変化した/所望の特徴を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを選択することができる、上記方法により生成された配列のポリヌクレオチドライブラリーも提供する。ポリヌクレオチドライブラリーは、DNAまたはcDNAライブラリーであることが好ましい。
【0055】
本発明はまた、上記方法により生成された野生型のものと異なる特徴を有する酵素、抗体、および受容体などのタンパク質も提供する。これらのタンパク質は、個別にまたは薬学的に許容できる担体内で、療法のためのワクチンまたは薬剤、例えば、免疫原、抗原として、またはさもなければ特異的抗体を得るうえで使用することができる。これらはまた、研究ツールとして使用することもできる。
【0056】
生成されたポリヌクレオチド配列の発現を得るため、ポリヌクレオチドは、この発現を制御するポリヌクレオチド配列に操作可能に結合された制御配列を有するベクターに組み込むことができる。ベクターは、挿入されたポリヌクレオチド配列の発現を促すプロモーターまたはエンハンサーなどの他の配列、さらに、ポリペプチドによりコードされたタンパク質が、宿主細胞で産生されたタンパク質が該細胞から分泌されるような分泌シグナルをコードする、融合タンパク質および/または核酸として産生されるようなポリヌクレオチド配列を包含することができる。ポリヌクレオチド配列によりコードされたタンパク質は、次いで、ベクターが機能する宿主細胞にベクターを形質転換し、タンパク質が産生されるように宿主細胞を培養し、宿主細胞または周囲培地からタンパク質を回収して得ることができる。原核および真核細胞は、大腸菌株、酵母株、およびCOSまたはCHO細胞などの真核細胞株を含め、当技術分野でこの目的のために使用される。宿主細胞の選択は、例えば、タンパク質が宿主細胞に沈着する場所を制御する、またはタンパク質のグリコシル化といった特性に影響を与えるなど、宿主細胞で発現されるタンパク質特性を制御するのに使用することができる。
【0057】
ポリヌクレオチド配列にコードされたタンパク質は、当技術分野でよく知られた方法により発現することができる。好都合には、発現は、タンパク質発現をもたらすまたは可能にする適切な条件下で、ベクターなどを含有する宿主細胞を培養増殖して実現することができる。
【0058】
種々の異なる宿主細胞におけるタンパク質のクローニングおよび発現系は、よく知られている。適切な宿主細胞には、細菌、哺乳類および酵母などの真核細胞、ならびにバキュロウイルス系が挙げられる。また、レトロウイルス系をクローニングおよび発現に使用することは、このウイルスが幾つかの細胞種と共に使用できることから、良い代替方法である。異種ポリペプチド発現のため当技術分野で利用可能な哺乳類細胞系には、チャイニーズハムスター卵巣細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎細胞、COS細胞および多くの他の細胞が挙げられる。一般的な、好ましい細菌宿主はE. coli.である。
【0059】
プロモーター配列、ターミネーターフラグメント、ポリアデニル化配列、エンハンサー配列、マーカー遺伝子および必要に応じて他の配列を含む、適切な調節配列を含有する、適切なベクターが選択または構築される。ベクターは、必要に応じて、プラスミド、例えばファージなどのウイルスベクター、またはファージミドであってよい。さらなる詳細は、例えば、Molecular Cloning: a Laboratory Manual: 第3版、SambrookおよびRussell、2001年、Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。例えばポリヌクレオチドコンストラクトの調製、突然変異誘発、配列決定、DNAの細胞への導入および遺伝子発現、ならびにタンパク質の分析など、ポリヌクレオチド配列の操作に関する多くの公知の技法およびプロトコルは、Current Protocols in Molecular Biology、Ausubelら編、John Wiley & Sons、1992年に詳しく記載されている。
【0060】
システムは、所望のタンパク質機能について幾つかの方法でスクリーニングすることができる可変配列を含むDNAライブラリーの作製に使用することができる。酵素機能は、例えばCMCase活性、β-グルコシダーゼ活性および熱安定性などの実際の酵素機能に特異的な方法により、スクリーニングすることができる。さらに、ファージディスプレイおよび細胞表面ディスプレイは、酵素機能に関するスクリーニング(Crameri A.ら、 Nature 1998年 15; 391 (6664):288〜291頁; Zhang J. H.ら、PNAS. USA 1997年 94 (9): 4504〜4509頁; Warren M.S.ら、Biochemistry 1996年、9; 35(27): 8855〜8862頁; Kimら、Appl Environ Microbiol 66:788〜93頁、2000)、および例えば抗体の変化した結合特性に関するスクリーニングに使用されうる(Griffithら、EMBO J. 113: 3245〜3260頁、1994年)。
【0061】
本発明により提供されるポリペプチドは、この活性または機能に影響を与えるまたは調節する分子に関するスクリーニングで使用されうる。このような分子は、治療の(おそらく予防の)コンテキストにおいて有用となりうる。
【0062】
本発明はまた、上記方法により生成されたポリヌクレオチド配列を含むベクターも提供する。
【0063】
本発明はまた、上記方法により生成された、ポリヌクレオチド配列、ポリヌクレオチド配列またはポリペプチドを含むベクター、および薬学的に許容できる担体または研究目的に適切な担体を含む組成物も提供する。
【0064】
本発明はさらに、上記方法により所望の特徴を有するポリヌクレオチドまたはポリペプチドを同定した後、場合により追加のポリペプチドまたはポリヌクレオチドと組み合わせた、このポリペプチドまたはポリヌクレオチドの全部または一部の製造を含む方法を提供する。
【0065】
故に、本発明のさらなる態様は、変化した/所望の特性を有するポリペプチドを作製する方法であって、以下の
(a) 本発明の第1の態様による方法を用いて親ポリヌクレオチドの変異型を生成するステップと、
(b) ステップ(a)で産生された変異体ポリヌクレオチドを発現させて変異体ポリペプチドを産生するステップと、
(c) 変異体ポリペプチドを所望の特性についてスクリーニングするステップと
(d) 所望の特性を有するポリペプチドを変異体ポリペプチドから選択するステップと
を含む方法を提供する。
【0066】
本発明はさらに、上記方法により得られるポリペプチドを提供する。
【0067】
変化した/所望の特徴を有するポリヌクレオチドまたはポリペプチドの同定後、これらは、次いでPCR、クローニングおよび宿主内での発現などよく知られた方法により数を増やすように製造することができる。
【0068】
得られたポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、工業用酵素、例えば活性増加は低温が好ましい洗濯洗剤酵素の調製において使用されうる。あるいは、製造されたポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、研究ツールとして使用されうる、すなわち抗体は免疫アッセイで使用することができ、ポリヌクレオチドはハイブリダイゼーションプローブまたはプライマーとして使用することができる。あるいは、結果として得られるポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、以下に記述されるように診断使用、医薬使用、療法等の薬剤の調製において使用されうる。
【0069】
本発明の方法により生成され、変化した特徴を有することが同定されたポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、医薬組成物に処方することができる。これらの組成物は、上記の物質の1つに加えて、薬学的に許容できる賦形剤、担体、緩衝剤、安定剤または当業者によく知られた他の物質を含んでよい。このような物質は、非毒性であるべきであり、活性成分の効力を妨げてはならない。担体または他の物質の正確な性質は、投与経路、例えば経口、静脈内、皮膚または皮下、鼻腔、筋肉内、腹腔内経路に依存しうる。
【0070】
経口投与用の医薬組成物は、錠剤、カプセル、粉末または液体型であってよい。錠剤は、ゼラチンまたはアジュバントなどの固体担体を包むことができる。液体医薬組成物は、一般に、水、石油、動物または植物油、鉱油または合成油などの液体担体を包む。生理食塩水、デキストロースもしくは他のサッカライド溶液またはエチレングリコール、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコールなどのグリコールが含まれうる。
【0071】
静脈内、皮膚または皮下注射、または疾患部位での注射では、活性成分は、ピロゲンフリーで、適切なpH、等張性および安定性を有する非経口的に許容できる水溶液の形態となるであろう。当業者は、例えば、塩化ナトリウム注射、リンゲル注射、乳酸加リンゲル注射などの等張性ビヒクルを用いて適切な溶液をうまく調製することができる。防腐剤、安定剤、緩衝剤、抗酸化剤および/または他の添加剤は、必要に応じて含まれうる。
【0072】
故に、本発明は、さらに、薬剤に使用するための本発明の方法により産生されたポリヌクレオチドまたはポリペプチド、および疾患の治療、療法および/または診断に使用するための薬剤の調製における、本発明の方法により産生されたポリヌクレオチドまたはポリペプチドの使用を提供する。
【0073】
個体へ与えられるのが、本発明による生成後に同定された、例えば抗体またはこのフラグメントなどのポリペプチド、酵素、ポリヌクレオチドまたは核酸分子であろうとなかろうと、投与は、好ましくは「予防的有効量」または「療法的有効量」(場合によって、予防は療法と見なされうるが)においてであり、これは個体に対する利点を示すのに十分である。実際の投与量、ならびに投与速度および投与の時間的経過は、治療対象の性質または重症度によって決まるであろう。治療の処方、例えば投与量等の決定は、一般開業医および他の医師の責任の範囲内であり、典型的には治療する障害、個々の患者の状態、送達部位、投与方法および開業医に公知の他の要因を考慮する。上記の技法およびプロトコルは、Remington's Pharmaceutical Sciences、第16版、Osol, A. (編)、1980年で見出すことができる。
【0074】
あるいは、標的療法は、抗体または細部特異的リガンドなどの標的系の使用により、活性薬剤をより特異的にある種の細胞へ送達するのに使用することができる。標的は、種々の理由で望ましい場合がある。例えば、薬剤が許容しがたい毒性がある場合、またはさもなければ高すぎる投与量を必要とするような場合、またはさもなければ標的細胞に入ることができないような場合である。
【0075】
これらの薬剤を直接投与する代わりに、これらは、例えばウイルスベクターなどの細胞に導入されたコード遺伝子からの発現により標的細胞において産生することができよう(VDEPT法の改良型、すなわち、例えば酵素などの活性化剤が、ウイルスベクターにおけるコードDNAからの発現によりベクター中で産生される)。ベクターは、治療する特異的細胞を標的にすることができよう。またはベクターは、標的細胞により多かれ少なかれ選択的に切り替えられる調節要素を含有できよう。
【0076】
あるいは、薬剤は、治療する細胞において産生される、または該細胞を標的にする活性化剤により活性型へ転換するため、前駆体型で投与することができよう。この種のアプローチは、ADEPTまたはVDEPTとして知られることもある。前者は、細胞特異的抗体への接合により活性化剤に細胞を標的させることに関係し、一方後者は、ウイルスベクターにおけるコードDNAからの発現によりベクター中で、例えば酵素などの活性化剤を産生することに関係する(例えば、EP-A-415731およびWO 90/07936参照)。
【0077】
組成物は、単独投与されてよく、または他の治療と併用して治療する疾患に応じて同時投与もしくは連続投与されてよい。
【0078】
さらなる代替として、本発明の方法による生成後に所望の特徴を有すると同定されたポリヌクレオチドは、該ポリヌクレオチドによりコードされた活性ポリペプチドを合成することができない、または正常レベルでこれを合成することができない患者を治療するため、遺伝子療法において使用することにより、対応する野生型タンパク質により提供される効果を提供することができよう。
【0079】
ウイルスベクターなどのベクターは、ポリヌクレオチドを多種多様な異なる標的細胞に導入する従来技術において使用されてきた。典型的には、ベクターは、所望のポリペプチド発現から有用な治療または予防効果をもたらすのに十分な割合の細胞でトランスフェクションが起こりうるように、標的細胞に曝露される。トランスフェクトされた核酸は、各標的腫瘍細胞のゲノム中に永久に組み込まれ、長期的な効果をもたらしうるか、あるいは治療を定期的に繰り返さなければならない場合がある。
【0080】
ウイルスベクターおよびプラスミドベクター共に、種々のベクターが当技術分野で公知であり、米国特許第5,252,479号およびWO 93/07282を参照のこと。特に、幾つかのウイルスは、SV40などのパポバウイルス、ワクシニアウイルス、HSVおよびEBVを含むヘルペスウイルス、ならびにレトロウイルスを含め、遺伝子導入ベクターとして使用されている。当技術分野では多くの遺伝子療法プロトコルが、不活化ネズミレトロウイルスを使用している。
【0081】
ウイルスベクターを使用する代替として、核酸を細胞に導入する他の既知の方法には、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム共沈、マイクロインジェクションなどの機械的技法、リポソームに媒介される転移、直接DNA取り込みおよび受容体媒介DNA転移が挙げられる。
【0082】
上記の通り、ポリペプチド、またはこの活性部分をコードする核酸を用いる遺伝子療法の目的は、野生型ポリペプチドレベルが欠如している、または低レベルでしか存在しない細胞における核酸発現産物量を増加することである。こうした治療は、既に癌にかかった細胞の治療では療法となりえ、または感受性アレルを有する、したがって、例えば、癌の素因を有することがスクリーニングを通じて既知である個体の治療では予防となりうる。
【0083】
本発明はまた、ssDNA調製用試薬、例えば、熱安定性DNA(ヌクレオチド)などの、PCR法を実施するためのエキソヌクレアーゼおよび成分、ならびに例えば、EGTAなどの停止デバイスを含む、所望の特徴の1つのポリヌクレオチド配列または配列集団を生成するキットも提供する。
【0084】
上記に概説した通り、本発明は、好都合には突然変異した酵素遺伝子配列、および所望の特徴を有する機能性酵素とこれのランダムな組合せをもたらす。本発明のこの態様の例として、酵素遺伝子は、約0.7%の突然変異率をもたらすエラープローンPCRにより突然変異される。得られた突然変異した酵素遺伝子プールは、次いでエキソヌクレアーゼ、例えばBAL31により消化され、この反応は、EGTAの添加によりまたは異なる時点での熱不活化により阻止され、結果として異なるサイズの一連のDNAフラグメントを生じる。これらは、次いで上述されたようなPCRベースのリアセンブリを受けることができる。得られたリアセンブルされたDNAフラグメントは、次いでクローン化され、遺伝子ライブラリーが構築される。クローンは、次いでこのライブラリーから選択されえ、配列決定されうる。
【0085】
この技術のさらなる適用は、さらなる選択および解析に使用することができる可変DNA配列集団の生成である。例えば抗体フラグメントおよび酵素などの巨大タンパク質のコーディングに加えて、DNAは、分子の機能的特徴が、異なる選択システムのデザインに使用されうるペプチドをコードすることができる。ペプチドをコードする組換えDNA配列の選択は、以前に記載されている(Fischら、PNAS. USA 1996年 Jul 23; 93(15):7761〜7766頁)。さらに、可変DNA集団は、例えば触媒活性を有するRNA分子集団の産生に使用することができる。Vaishら(PNAS. USA 1998年 Mar 3; 95(5):2158〜2162頁)は、触媒RNAを選択するための機能的システムのデザインを示し、Eckstein F (Ciba Found. Symp. 1997年;209;207〜212頁)は、触媒RNAの細胞への特異的導入による触媒RNAの適用を概説している。該システムは、組換えDNA配列に基づく、触媒活性を有する機能性ペプチド/分子の選択において、配列スペースをさらに検索するのに使用してもよい。
【0086】
本発明の態様および実施形態は、これより、添付図を参照して、例証により説明されるであろう。さらなる態様および実施形態が、当業者に明らかとなろう。
【実施例】
【0087】
本発明の方法は、図1から3で概略的に示されている。方法は、WO 02/48351およびWO 03/097834に記載されている通り、1つまたは複数の親ポリヌクレオチド配列のインビトロ分子進化でAlligator Bioscience社のFIND(商標)技術を利用する。
【0088】
本発明の代表的な実施形態の詳細な記載は、以下に与えられる。
【0089】
(実施例1)
FIND(商標)技術
FIND(商標)技術は、WO 02/48351およびWO 03/097834に記載されている。
【0090】
試薬
AmpliTaq(登録商標)ポリメラーゼはPerkin-Elmer Corp.社から、dNTPsはBoehringer Mannheim Biochemica社(マンハイム、ドイツ)から、およびBAL31ヌクレアーゼはNew England Biolabs Inc.社(ベバリー、USA)から購入した。制限酵素は全て、New England Biolabs Inc.社(ベバリー、USA)から購入した。臭化エチジウムは、Bio-Rad Laboratories社(Bio-Rad Laboratories社、ハーキュリーズ、CA、USA)から購入した。T4 DNAリガーゼは、New England Biolabs Inc.社(ベバリー、USA)から購入した。EDTAおよびEGTAは、Kebo Lab社(スウェーデン)から購入した。
【0091】
プライマーは全て、ラボでデザインし、Life Technologies社(テービー、スウェーデン)およびSGS-DNA社(ショーピング、スウェーデン)から入手した。
【0092】
PCR
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は全て、自動サーモサイクラー(thermocycler)(Perkin-Elmer Cetus 480、ノーウォーク、CT、USA)で行った。核酸増幅のためのPCR法は、米国特許第4,683,195号に記載されている。PCR法の一般的使用の参考文献には、Mullisら、Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol.、51:263、(1987年)、Ehrlich(編)、PCR technology、Stockton Press, NY, 1989年、Ehrlichら、Science、252:1643〜1650頁、(1991年)、 "PCR. protocols; A Guide to Methods and Applications"、Innisら編、Academic Press、New York、(1990年)が挙げられる。
【0093】
配列決定
コンストラクトは全て、BigDye Terminator Cycle Sequencingキット(Perkin-Elmer社、エルマービル、CA、USA)の使用により配列決定した。配列決定は、ABI Prism 377 DNA Sequencerで行った。
【0094】
アガロース電気泳動
DNAのアガロース電気泳動は、トリス酢酸緩衝液中0.25μg/ml臭化エチジウム (TAE-buffer 0.04M Tris-acetate, 0.001M EDTA)を含む2%アガロースゲル(AGAROSE(FMC Bioproducts社、ロックランド、ME、USA))により行った。電気泳動用の試料は、25%フィコールおよびブロモフェノールブルーから成る滅菌濾過ローディング緩衝液と混合し、2%アガロースゲル中のウェルに添加した。電気泳動は、0.25μg/ml臭化エチジウムを含むトリス酢酸緩衝液中で、他に指定のない限り90Vで45分間行った。適切なサイズのバンドは、必要に応じてQiaquick Gel Extractionキット(Qiagen GmbH、ヒルデン、ドイツ)を用いてゲル精製した。分子量標準として、DNA分子量マーカー1kbラダー(Gibco BRL社)を使用した。ゲル抽出産物のDNA濃度は、分光光度計を用いて推定した。
【0095】
細菌株
形質転換用の細菌宿主として、大腸菌株TOP10F'を用いた。この株の化学的コンピテント細胞は、基本的に、Hanahan, D. 1983. Studies on transformation of Escherichia coli with plasmids. J. Mal. Biol. 166:557〜580頁に記載されている通りに産生した。この細菌株のエレクトロコンピテント細胞を産生した(Dower, W.J.、J. F. Miller & C.W. Ragsdale. 1988年: High efficiency transformation of E. coli by high voltage electroporation. Nucleic Acids Res. 16:6127頁)。
【0096】
プラスミド
遺伝子操作は全て、Sambrook、Molecular cloning; a laboratory manual(第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989年)に記載されている通り、pFab5chisで行った。pFab5chisベクターは、SfiIおよびNotI部位間に挿入されたいずれのscFv遺伝子も有するようにデザインされる(Emgbergら、1995年、Methods Mol. Biol. 51:355〜376頁参照)。SfiI部位はpelBリーダーに位置し、NotI部位はVL領域の直後に位置するため、VH-リンカー-VLが挿入される。この場合、CD40に対する抗体を使用した。
【0097】
プライマー
pFab5chisの抗体遺伝子を囲む2つのビオチニル化プライマーは、指定された固有の制限部位を含む以下の配列によりデザインした。
1736 SifIフォワードプライマー
5'-ATT ACT CGC GGC CCA GCC GGC CAT GGC CCA CAG GTC AAG CTC GA
および1735 NotIリバースプライマー
5'-TTA GAG CCT GCG GCC GCC TTG TCA TCG TCG TCC TT
(ここで、'▼'は、切断部位を指す)
【0098】
pFab5chisの抗体遺伝子を囲む2つの非ビオチニル化プライマーは、指定された制限部位を含む以下の配列によりデザインした。
1664 SifIフォワードプライマー
5'-ATT ACT CGC GGC CCA GCC GGC CAT GGC CCA CAG GTC AAG CTC GA
および1635 NotIリバースプライマー
5'-TTA GAG CCT GCG GCC GCC TTG TCA TCG TCG TCC TT
【0099】
標準PCR
標準PCR反応は、以下のプロフィールから成る25サイクルで行った:変性(94℃、1分間)、プライマーアニーリング(55℃、1分間)および伸長(72℃、3分間)。各PCR反応物は、10mMトリス塩酸、pH8.3、50mM KCl、1.5mM MgCl2、200μM dNTP、1μMフォワードプライマー、1μMリバースプライマー、1.25U AmpliTaq(登録商標)熱安定DNAポリメラーゼ(Perkin-Elmer Corp.社)、および50ng鋳型を最終容量100μl中に含有した。
【0100】
エラープローンPCR
エラープローンPCR反応は、500mM NaCl、100mMトリス塩酸、pH8.8、5mM MgCl2、100μgゼラチンを含有する10x緩衝液で行った(Kuipersら、Nucleic Acids Res. 1991年、Aug 25;19(16):4558頁に従ったが、MgCl2濃度は2mMから5mMに増加した)。
【0101】
各100μl反応物に対して、以下を混合した。
dATP 5mM 5μl
dGTP 5mM 5μl
dTTP 10mM 10μl
dCTP 10mM 10μl
20μM 3'プライマー 1.5μl
20μM 5'-プライマー 1.5μl
10x Kuipers緩衝液 10μl
滅菌mp H2O 46.3μl
【0102】
pFab5chisベクター中の鋳型は、50ngの量で付加した。10μlの10mM MnCl2を添加し、MnO2沈降が生じてしないかチューブをチェックした。最後に5ユニットのTaq酵素を添加した。エラープローンPCRを、以下の温度で25サイクル、ホットスタートなしで行った:94℃で1分間、45℃で1分間、72℃で1分間+72℃で7分間。得られた産物は、750bpのエラープローン(すなわち突然変異)インサートであった。このインサートを、さらなる処理の前にGibco PCR精製キットで精製した。
【0103】
ビオチニル化プライマーによる一本鎖DNAの生成
目的のフラグメントを、2つの別個のPCR反応で増幅した。これらの反応は、上述されているような標準PCR、またはこれも上述されているようなエラープローンPCRであってよい。プライマーは、1つの反応でフォワードプライマーがビオチニル化され、もう1つの反応でリバースプライマーがビオチニル化されるように設計するべきである。例えば、上記のプロフィールを有する、A)プライマー1736および1635ならびにB)プライマー1664および1735によるPCR反応を、pFab5chis抗体を鋳型として25サイクル行った。これは、約750bpのPCR産物を生じ、Aでは上の鎖がビオチニル化され、Bでは下の鎖がビオチニル化された。
【0104】
非ビオチニル化鎖を、例えばダイナビーズなどのストレプトアビジンでコートした固体マトリックスを用いて精製により回収した。電磁ビーズを、PBS/1%BSAおよび5mMトリスpH7.5、1M NaCl、および0.5mM EGTAを含有するB&W緩衝液で洗浄し、平衡化した。各PCR産物100μlを2x B&W緩衝液に溶解した100μlビーズと混合し、室温で15分間、回転させながらインキュベートする。非結合PCR産物を、B&W緩衝液で2回、念入りに洗浄して除去する。捕獲したDNAの非ビオチニル化鎖は、DNAを25μl 0.1M NaOHと共に室温で10分間インキュベートして、アルカリ変性により溶出する。溶液をビーズから分離し、7.5μl 0.33M HClおよび2.5μl 1Mトリス pH8により中和する。
【0105】
ファージによる一本鎖DNAの生成
目的のフラグメントを、PstI/HindIII制限酵素を用いてバクテリオファージM13ベクターM13mp18およびM13mp19にクローン化した。バクテリオファージは、従来方法により大腸菌株TOP10F'を用いて繁殖した。上の鎖用の一本鎖DNAをバクテリオファージベクターM13mp18から、および下の鎖用の一本鎖DNAをバクテリオファージベクターM13mp19から調製した。簡単には、1.5mlの感染細菌培養液を、12000gで5分間、4℃で遠心分離した。上清は、200μl 20% PEG8000/2.5M NaClにより沈殿させた。ペレット化したバクテリオファージを100μl TE中で再懸濁した。トリス塩酸(pH8.0)で平衡化した50μlフェノールを添加し、試料をボルテックスで撹拌した。12000gで1分間、室温での遠心分離後、DNAを含有する上相を移し、エタノールで沈殿させた。DNAペレットを、50μl TE(pH8.0)に溶解し、-20℃で保管した。(Sambrookら、Molecular cloning、A laboratory manual第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989年、第4章)。ファージから調製された一本鎖DNAは環状であり、BAL31処理の前に開裂されなければならない。これは、一本鎖DNAを切断できるエンドヌクレアーゼにより行うことができる。
【0106】
非対称PCRによる一本鎖DNAの生成
PCR産物は、スピンカラムを用いて精製し前回のPCRからの余分なプライマーを除去する。精製産物150ngは、1.5mM MgCl2(Applied Biosystems社)、200μMの各dNTP(New England BioLabs社)、1.25U AmpliTaq(登録商標)DNA Polymerase(Applied Biosystems社)および1.0μMの一本鎖プライマーを含有する1x GeneAmp(登録商標)10x PCR緩衝液100μlで行われる線形増幅において鋳型として使用する。PCRサイクル条件は、94℃で1分間の変性、94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で1分間の後、72℃で7分間の伸長を35サイクルである。
【0107】
非対称PCR産物は、1%アガロースゲル上の二本鎖鋳型からサイズ分離し、Qiaquick Gel Extractionキット(Qiagen社)を用いて精製する。
【0108】
ラムダエキソヌクレアーゼによる一本鎖DNAの生成
初めに、dsDNAフラグメントを、5'および3'末端にそれぞれ固有の制限酵素(RE)を備えたDNAをもたらす標準PCR反応により産生する。PCR反応物を2つに分け、それぞれRE消化して3'オーバーハングまたは平滑末端をもたらす制限酵素により、5'リン酸化を選択的にもたらす。消化は、適切な緩衝液中で一晩行い完全消化を実現する。5'オーバーハングをもたらす酵素を使用しなければならない場合、オーバーハングは、DNAポリメラーゼを用いて埋めることができる。精製後、1〜4μg dsDNAを、10Uのラムダエキソヌクレアーゼ(例えばNovagen社製Strandase(商標)またはNEB社製ラムダエキソヌクレアーゼ)により、付随の特異的緩衝液中で30分間37℃で処理し、反応を10分間75℃で停止する。ssDNAを、アガロースゲル上で標準ゲル抽出方法により任意のdsDNAからさらに分離する。
【0109】
BAL31による一本鎖フラグメント化DNAの生成
ssDNA鎖(それぞれ、上の鎖および下の鎖を含有する)を、例えば、BAL31を用いて別々の酵素処理にかけた(すなわち、上の鎖を下の鎖とは別に消化した)。各消化反応は、0.02μg/μl ssDNA、600mM NaCl、20mMトリス塩酸、12mM CaCl2、12mM MgCI2、1mM EDTA pH8.0およびBAL 31を、0.1〜5U/mlの範囲の種々の酵素濃度で含有した。反応物を30℃でインキュベートし、消化したssDNA画分を、10秒、30秒、60秒および120秒以上で連続的に回収した。EDTAを添加して反応を停止し、65℃で10分間熱処理した。ssDNAフラグメントをフェノール/クロロホルム抽出により精製し、エタノールを沈殿した。ssDNAを10mM トリスpH8.0で再懸濁する。
【0110】
消化パターンを、1%アガロースゲル電気泳動で評価した。
【0111】
消化により産生したフラグメントの精製
消化したDNAフラグメントは、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール抽出により精製した。50μlの緩衝フェノールを、クロロホルムおよびイソアミルアルコールの混合液(24:1)50μlと共に試料100μlの入った各チューブに添加した。チューブを30秒間ボルテックスで撹拌し、次いで14000r.p.m.にてマイクロフュージで1分間遠心分離した。次いで、上相を回収し、2.5容量の99.5%エタノール(1/10は3M酢酸ナトリウム、pH5.2であった)と混合した。DNAを-80℃で1時間沈殿させた。次いで、DNAを、14000r.p.m.にてマイクロフュージで30分間遠心分離してペレット化した。ペレットは、70%エタノールで1回洗浄し、次いで滅菌水10μlに再溶解した。
【0112】
アガロースゲルにおける消化により産生した精製フラグメントの分析
各時点および各ブランクからの溶解したペレット5μlを、ローディング緩衝液2.5μl(25%フィコールおよびブロモフェノールブルー)と混合し、2%アガロースゲル中のウェルに添加した。異なる時点の電気泳動を、上記の通りに行った。
【0113】
完全長フラグメントのリアセンブリ
ssDNAフラグメントのリアセンブリを、2つの連続したPCR反応により実現した。第1のPCR反応は、10mM トリス塩酸、pH8.3、50mM KCl、1.5mM MgCl2、200μM dNTP、0.3U Taqポリメラーゼおよび2μl BAL31処理した試料を、全て最終容量25μlで含有すべきであり、以下のプロフィールを有する5サイクルにかけた:94℃で1分間、50℃で1分間および72℃で2分間+72℃で5分間。第2のPCR反応は、10mM トリス塩酸、pH8.3、50mM KCl、1.5mM MgCl2、200μM dNTP、0.6U Taqポリメラーゼ、1μM フォワードプライマー、1μM リバースプライマー、および第1のPCR反応からの試料5μlを、全て最終容量50μlで含有すべきであり、以下のプロフィールを有する15サイクルにかけた:94℃で1分間、55℃で1分間および72℃で2分間+72℃で7分間。
得られた産物は、アガロースゲル電気泳動により評価することができる。
【0114】
リアセンブルしたフラグメントおよびプラスミドのSfiIおよびNotIによる制限消化
リアセンブルしたフラグメントおよびプラスミドpFab5chisは先ず、BSAおよび11U酵素/μg DNAを含むNEB緩衝液2を用いてSfiIで切断した。反応は、50℃で4時間行った。この後、DNAを、変換緩衝液および6U酵素/μg DNAを添加してNotIで切断した。この反応は、37℃で一晩行った。
【0115】
制限消化したベクターおよび制限消化したリアセンブルフラグメントのゲル精製
切断反応物を1%アガロースゲルで分析した。制限消化したインサートは、約750bpの切断産物を示した。これは、予測したサイズと十分に一致する。切断したインサートおよびプラスミドのバンドを切り取り、前述の通りにゲル抽出した。
【0116】
リアセンブルした制限消化フラグメントと制限消化pFab5chisとのライゲーション
精製し切断したpFab5chisを、精製しリアセンブルした制限消化フラグメントと12℃の水槽で16時間ライゲートした。このベクター50μlを、インサート50μlおよび10x緩衝液15μl(酵素を供給)、7.5μlリガーゼ(5U/μl)ならびに滅菌水と混合し、最終容量150μlとした。いかなるインサートも含まない制限消化したpFab5chisのライゲーションも、同様の方法で行った。
【0117】
ライゲートしたリアセンブルインサートおよびpFab5chisによる化学的コンピテントなE coli TOP10F'の形質転換
ライゲーション反応物を、上記のフェノール/クロロホルム抽出により精製した。抽出物から上相を回収し、2.5容量の99.5%エタノール(1/10は3M酢酸ナトリウム、pH5.2であった)と混合した。DNAを-80℃で1時間沈殿させた。次いで、DNAを、14000r.p.m.にてマイクロフュージで30分間遠心分離してペレット化した。ペレットは、70%エタノールで1回洗浄し、次いで滅菌水10μlに再溶解した。5μlの各ライゲーションを別々に、氷上で1時間インキュベートした95μlの化学的コンピテントなE coli TOP10F'と混合し、次いで形質転換した(Sambrookら、Molecular cloning、A laboratory manual第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989年)。1時間の増殖後、2つの形質転換物からの細菌を、アンピシリン含有寒天プレート(100μg/ml)上に塗布した。プレートは、上下を逆にして37℃のインキュベーターで14時間増殖した。
【0118】
(実施例2)
予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドを用いた変異性の制御I
緒言
この一連の実験に関する理論的根拠は、多くの場合、抗体のCDR領域において見られるような、目的の領域を特異的に突然変異させフレームワークを未変化に保つか、またはこの領域において、組換えイベントを阻止する酵素の活性部位といった非突然変異領域を付加するかのどちらかに対する関心があったであろうことであった。
【0119】
ここで使用した試験遺伝子は、CD40に対する特異性を有する2つのscFvクローン、A2.30およびA2.54(Ellmarkら2002年 Molecular Immunology 39:349〜356頁)であった。
【0120】
材料および方法
予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドの産生
A2.30のCDR2の変異型に対応する、予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドは、以下のように産生した。
【0121】
エラープローン条件(表1aおよび1b参照)による連続2回のPCRを、A2.30のbp56からbp352をカバーする突然変異PCR産物をもたらすプライマー#137および#138(表1c参照)を用いて、A2.30クローンに対し行った。エラープローン条件によるPCRの1/3は、A2.30クローンのbp104からbp221の内部配列をカバーするCDR2フラグメントをもたらす、プライマー#351および#357*または#354*および#350(*は5'-ビオチン標識を示す)を用いて行った。これらのPCR産物を、同じプライマーによるGene Morph(登録商標)PCR突然変異誘発キット(Stratagene社)を用いてさらに突然変異させた。ビオチニル化PCR産物から、ssDNAを、μMACS Streptavidinキット(Miltenyi Biotec社)を用いて精製し、さらなる精製をアガロースゲル上で行った。ssDNAは、Recochip(TaKaRa社)を用いて回収した。ssDNAを、NaAc/エタノールで沈殿させ、次いで10mMトリス塩酸 pH8.0に再溶解した。
【0122】
【表1】

【0123】
【表2】

【0124】
【表3】

【0125】
一本鎖親ポリヌクレオチドの産生(ステップ'a')
標準PCR反応(表2aおよび2b)を、プライマー#224および#333*または#332*および#226*(*は5'-ビオチン標識を示す)によりA2.30およびA2.54クローンに対し行った。親ポリヌクレオチドの機能を果たすssDNAは、上記のように精製した。
【0126】
一本鎖親ポリヌクレオチドの消化(ステップ'b')
エキソヌクレアーゼ処理を、メーカーにより指定された緩衝系において、表3に示したような別々のセンス鎖およびアンチセンス鎖に対し行った。
【0127】
【表4】

【0128】
【表5】

【0129】
【表6】

【0130】
変異体ポリヌクレオチドの生成(ステップ'c'および'd')
リアセンブリは、2段階で達成した。第1のリアセンブリ反応(PCR1、表4aおよび4b)では、7.5ngエキソヌクレアーゼによりフラグメント化された、それぞれA2-30およびA2-54からのセンスおよびアンチセンスssDNAを、5ng CDR2センスフラグメントと混合した(後者は予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドを構成。上記参照)。25サイクルのPCR1後、全反応混合物を、増幅のため第2のPCR反応に添加した。ここで、プライマーを添加して完全長ポリヌクレオチドを形成できるようにした(PCR2 表4aおよび4b)。
【0131】
得られたPCR産物を、pGEM-T Vector System(Promega社)においてライゲートし、配列決定した。
【0132】
【表7】

【0133】
【表8】

【0134】
結果および結論
本発明の方法を用いて、上記の通りに産生した20クローンを配列決定し、A.2-30およびA.2-54と比較した突然変異について分析した。
【0135】
全般的な突然変異頻度は、1突然変異/1000bpであった。これは、標準PCR増幅(すなわちエラープローンPCRではない)による突然変異の通常の頻度と一致する。
【0136】
しかし、20クローン中7クローン(35%)は、内部78bp CDR2領域に1つまたは2つの突然変異を有した。これは、明らかにPCR誘導突然変異のみの可能性を上回るものであり、したがって、予め突然変異したCDR2オリゴヌクレオチド(すなわち予め決められた変異性のオリゴヌクレオチド)をステップ(c)で付加することにより誘導されたとしか説明できない。CDR2領域に突然変異を有するクローンは全て、2つの最初のクローンA2.30およびA2.54の間に組換えがあることを示した。これらのクローンにおける組換え数は、1つから4つであった。このライブラリーの全般的な組換え頻度は、1配列あたり1.4組換えであった。
【0137】
結論として、この実験は、予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドが、scFv分子をコードする親ポリヌクレオチドの選択領域(CDR2)内の変異性を選択的に増加するのに使用されうることを示している。
【0138】
(実施例3)
予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドを用いた変異性の制御II
緒言
以下の実験も、A2.30およびA2.54 scFvクローンを用いて行った。
【0139】
材料および方法
予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドの産生
突然変異したCDR1、CDR2、CDR3およびCDR1+2 ssDNAフラグメントに対応する、予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドは、以下のように産生した。
【0140】
エラープローン条件(表5aおよび5b参照)による連続2回のPCRを、A2.30のbp56からbp352をカバーする突然変異PCR産物をもたらすプライマー#137および#138(表5c参照)を用いて、A2.30クローンに対し行った。エラープローン条件によるPCRの1/3は、表6に示したフラグメントをもたらすプライマーを用いて行った。これらのPCR産物を、上記と同じ表6に示したプライマーによるGene Morph(登録商標)PCR突然変異誘発キット(Stratagene社)を用いてさらに突然変異させた。
【0141】
pGEM-T Vector System(Promega社)においてライゲートし、配列決定した後、A2-30と比較した突然変異頻度を、表7に示したように算出した。
【0142】
【表9】

【0143】
【表10】

【0144】
【表11】

【0145】
【表12】

【0146】
【表13】

【0147】
表6に示したビオチニル化PCR産物から、ssDNAを、μMACS Streptavidinキット(Miltenyi Biotec社)を用いて精製した。さらなる精製をアガロースゲル上で行った。ssDNAは、Recochip(TaKaRa社)を用いてアガロースゲルから回収した。
【0148】
以下の実験では、予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドの機能を果たすssDNAは、NaAc/エタノールで沈殿させ、次いで10mMトリス塩酸 pH8.0に再溶解した。
【0149】
親ポリヌクレオチドの産生(ステップ'a')
標準PCR反応(表8)を、指定されたプライマー(表9)によりA2.30およびA2.54に対して行った。親ポリヌクレオチドの機能を果たすssDNAは、上記のように精製した。
【0150】
一本鎖親ポリヌクレオチドの消化(ステップ'b')
エキソヌクレアーゼ処理を、表10に示したような別々のセンス鎖およびアンチセンス鎖に対し行った。
【0151】
【表14】

【0152】
【表15】

【0153】
【表16】

【0154】
変異体ポリヌクレオチドの生成(ステップ'c'および'd')
一連のライブラリーを作製した。リアセンブリPCRは、2段階で作製した。第1の、PCR1では、エキソヌクレアーゼによりフラグメント化された、それぞれA2-30およびA2-54からのセンスおよびアンチセンスssDNAを、表11aおよび13bに示したように、CDR1、CDR2および/またはCDR3の変異型と対応するオリゴヌクレオチド('予め決められた変異性のオリゴヌクレオチド')と混合した。
【0155】
25サイクルのPCR1(表12aおよび12b)後、全反応混合物を、末端特異的プライマーも含有する第2の反応(PCR2;表12aおよび12b)に添加し、20サイクルを行った。PCR産物をpGEM-T Vector System(Promega社)においてライゲートし、配列決定した。
【0156】
【表17】

【0157】
【表18】

【0158】
【表19】

【0159】
【表20】

【0160】
結果および結論
全般的な突然変異頻度は、1突然変異/1000bpであった。これは、標準PCR増幅(すなわちエラープローンPCRではない)による突然変異の通常の頻度と一致する。
【0161】
異なるライブラリーではクローンの11%〜56%が、付加した予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドに対応するCDR領域において突然変異を示した(表13)。変異したストレッチは、CDR1、CDR2、CDR3に対してそれぞれ30bp、78bp、46bpであった。CDRフラグメントの付加後のこれらの領域における突然変異の発生は、明らかにPCR誘導突然変異のみの可能性を上回るものであり、したがって、予め突然変異したオリゴヌクレオチドの付加により説明することしかできない。
【0162】
【表21】

【0163】
結論として、この実験は、予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドが、scFv分子をコードする親ポリヌクレオチドの複数の選択領域(CDR1、CDR2およびCDR3)内の変異性を選択的に増加するのに使用されうることを示している。
【0164】
(実施例4)
予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドを用いた変異性の制御III
緒言
以下の実験は、ヌクレオチド配列の1つの領域/複数の領域の、エキソヌクレアーゼによる変性からの保護を実証するために行った。この理論的根拠は、エキソヌクレアーゼに消化されない1遺伝子の複数の領域において本来の配列を保持することで、FIND(登録商標)反応における組換えから、該領域を保護できることであった。以下のFIND(登録商標)反応では、これらの消化されない領域は常に親型であり、故に組み換わらない。
【0165】
実験レイアウト
1つのビオチニル化プライマーおよび1つの非ビオチニル化プライマーにより、2つの別個のPCRを行い、ssDNA調製の鋳型として使用される2つの異なるPCR産物を作製した(表14および15参照)。ssDNA調製後、異なるサイズおよび極性の2つの得られたssDNAをハイブリダイズした。得られたハイブリッド分子を、次いでエキソヌクレアーゼIおよびエキソヌクレアーゼVIIでそれぞれ処理し、消化産物をアガロースゲルに流して実験結果を評価した(図4参照)。
【0166】
【表22】

【0167】
【表23】

【0168】
材料および方法
【0169】
【表24】

【0170】
【表25】

【0171】
【表26】

【0172】
DNAポリメラーゼ Amplitaq(5U/μl)、Applied Biosystems社
【0173】
PCR産物を、JetQuick PCR精製システム(Genomed社)により精製。合計収量:52.5μg、濃度:132.6ng/μl
【0174】
【表27】

【0175】
【表28】

【0176】
【表29】

【0177】
DNAポリメラーゼ Amplitaq(5U/μl)、Applied Biosystems社
【0178】
PCR産物を、JetQuick PCR精製システム(Genomed社)により精製。
【0179】
【表30】

【0180】
・カラムは、「核酸適用の平衡緩衝液」と平衡化し、2×100μl 1×B&W(5mMトリス pH7.5、0.5mM EDTA、1M NaCl)を続いてカラムに流した。
・dsDNAをビーズと混合し適用した。
・カラムを100μl 1×B&Wで4回洗浄し、ssDNAを150μl 0.1M NaOH(-20℃で保管された、解凍したての)で溶出し、この後45μl 0.33M HClおよび15μl 1Mトリス塩酸 pH8.0を溶出液に添加してssDNAを中和した。
【0181】
Recochip(TaKaRa社)によるゲルからのssDNAの精製
65μl ssDNA/ウェルを、60分間100Vで1%アガロース/1x TAEゲルに流した。recochipを挿入し、10+2分間100Vで逆極性により流した。recochipのDNA含量をUVで検証した。Recochipをチューブ(提供された)に除去し、チューブを5秒間5000rpmで遠心分離した。2.5容量の95% EtOHおよび0.1容量の3M NaAc pH4.6により沈殿させた後、CT17 760およびCT17 285を、それぞれ50μlおよび35μl 10mMトリスpH8.0に溶解した。
【0182】
【表31】

【0183】
試料をPCR機で95℃にて5分間ハイブリダイズし、続いて温度をサイクル毎に1℃下げる、各1分間の45サイクルから成るヘテロ二本鎖ステップを実施した後、試料を1.5%アガロースゲルに流した。
【0184】
【表32】

【0185】
試料中のDNAの最終濃度は44ng/μlであった。
【0186】
試料をPCR機で95℃にて5分間ハイブリダイズし、続いて温度をサイクル毎に1℃下げる、各1分間の45サイクルから成るヘテロ二本鎖ステップを実施した。沈殿を上記のように行い、ペレットを40μl 10mMトリスpH8.0に溶解した。
【0187】
ExoIでハイブリダイズしたCT17 760bp-CT17 285bpのフラグメント
【0188】
【表33】

【0189】
【表34】

【0190】
ExoIおよびハイブリダイズしたDNAを、37℃の予熱した水/緩衝液混合液に添加した。試料1では、17.5μlを、10分および15分でそれぞれ除去し、10分間96℃で加熱不活化した。試料2では、全容量を除去し、15分後、10分間96℃で加熱不活化した。10分および15分からの全対照反応(60ng)および2.8μl(60ng)を、1.2%アガロースゲルに流した。
【0191】
ExoVIIでハイブリダイズしたCT17 760bp-CT17 285bpのフラグメント
【0192】
【表35】

【0193】
ExoVII
濃度:10U/μl
希釈:2U/μl
製造元:USB
ロット番号:108705-005
【0194】
【表36】

【0195】
・H2Oおよび緩衝液は、10分間37℃で予熱する。
・ExoVIIを添加する。
・ハイブリダイズしたDNAを添加する。
・試料1では、17.5μlを、20分および30分でそれぞれ取り出し、10分間96℃で加熱不活化する。
・試料2では、30分で全容量を取り出し、10分間96℃で加熱不活化する。
・20分および30分からの全対照反応(60ng)および2.8μl(60ng)を、1.2%アガロースゲルに流す。
【0196】
結果
ssDNAの調製
2つの別々のPCR反応を行い、以下のPCR産物、CTR17 760bp(3'ビオチニル化)およびCT17 285bp(5'ビオチニル化)を産生した。これらのdsDNA鋳型から、ssDNAを調製した(上記、材料および方法参照)。
【0197】
CTR17 760bpおよびCT17 285bpの試験ハイブリダイゼーション
2つの異なるハイブリダイゼーション緩衝液、10mMトリスpH8.0および1x PCR緩衝液(Applied Biosystems社)を評価した(材料および方法参照)。全反応物をアガロースゲルに流した(図5参照)。
【0198】
CTR17 760bpおよびCT17 285bpのハイブリダイゼーションならびにExoIおよびExoVIIによる消化
CTR17 760bpおよびCT17 285bpを、モル比1:5で1x PCR緩衝液中でハイブリダイズし、次いで2つの別々の反応においてExoIおよびExoVIIにより消化した(材料および方法参照)。
【0199】
各消化産物60ngをアガロースゲルに流した(図6参照)。
【0200】
考察
2つのフラグメントの試験ハイブリダイゼーションは、PCR緩衝液中でハイブリダイズされた試料においてハイブリダイゼーションが生じることを明らかに示し、dsDNAの1領域およびssDNAのいずれかの側にあるオーバーハングを有するハイブリッドに相当するバンドが見られる。このバンドは、予測したサイズの760bpより小さいが、これはおそらく、ssDNAオーバーハングにより付与された変化した突然変異特性によるものである。
【0201】
ssDNAは、アガロースゲル中でdsDNAとは異なる移動をし、対応するdsDNAの約半分のサイズで移動する場合が多い。
【0202】
他の試料ではいかなるハイブリダイゼーションも見られず、2つの本来のssDNAに対応するバンドが見られるのみである。これは、PCR緩衝液のイオン強度が適切であるのに対し、10mMトリスは、ハイブリダイゼーションが生じるには十分でないことを示している。全てのさらなるハイブリダイゼーションはPCR緩衝液中で行った。
【0203】
ExoIおよびExoVIIによる消化は、予測した結果をもたらしている。3'→5'からのみ消化するExoIは、ssDNAオーバーハングが5'末端に依然として存在するが、3'末端では除去されるバンドを残す。このバンドは、やはり予測したサイズ(558bp)より小さいが、5'末端のssDNAオーバーハングは、おそらくゲル中の移動パターンを変化させる。5'→3'および3'→5'の両方から消化するExoVIIは、全てのオーバーハングssDNAを除去し、285bpのdsDNAのみを残す。
【0204】
これらの実験は、相補的ssDNAによるハイブリダイゼーションにより、ヌクレオチド配列の選択領域がエキソヌクレアーゼ消化から保護されうることを明らかに示している。
【図面の簡単な説明】
【0205】
【図1】Alligator Bioscience社のFIND(商標)技術(WO 02/48351に記載されている)を用いたインビトロ分子進化の一般原則を示す図である。
【図2】予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドがステップ(b)で付加される、本発明の方法の好ましい実施形態を示す図である。
【図3】予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドがステップ(c)で付加される、本発明の方法の好ましい実施形態を示す図である。
【図4】A. 異なる長さおよび極性の2つの異なるssDNAのハイブリダイゼーションB. 3'→5'からのExoIによるハイブリッド分子の消化C. 5'→3'および3'→5'からのExoVIIによるハイブリッド分子の消化を示す図である。
【図5】試験ハイブリダイゼーションのゲル画像を示す図である。レーン1: 1kb DNAラダー(Invitrogen社)レーン2: 10mMトリスにおけるCT17 760bpおよびCT17 285bpのハイブリダイゼーションレーン3: 1x PCR緩衝液におけるCT17 760bpおよびCT17 285bpのハイブリダイゼーションレーン4: ssDNA CT17 760bpレーン5: ssDNA CT17 285bp
【図6】ExoIおよびExoVII消化のゲル画像を示す図である。レーン1: ExoI緩衝液における消化されないCT17 760bp/CT17 285bpハイブリッドレーン2: ExoIで10分間消化したCT17 760bp/CT17 285bpハイブリッドレーン3: ExoIで20分間消化したCT17 760bp/CT17 285bpハイブリッドレーン4: ExoVII緩衝液における消化されないCT17 760bp/CT17 285bpハイブリッドレーン5: ExoVIIで20分間消化したCT17 760bp/CT17 285bpハイブリッドレーン6: ExoVIIで30分間消化したCT17 760bp/CT17 285bpハイブリッドレーン7: EZload Precision Molecular Mass Standard(Bio-RAD社)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親ポリヌクレオチド配列から1つのポリヌクレオチド配列または配列集団を生成する方法であって、
(a)ポリヌクレオチド分子の第1集団およびポリヌクレオチド分子の第2集団であって、親ポリヌクレオチド分子のプラスおよびマイナス鎖を一緒になって構成する第1および第2集団を提供するステップと、
(b)ポリヌクレオチド分子の第1および第2集団を、ヌクレアーゼで消化してポリヌクレオチドフラグメントを生成するステップと、
(c)(フラグメントのアニーリングを可能にする条件下で)プラス鎖から生成された前記ポリヌクレオチドフラグメントを、マイナス鎖から生成されたフラグメントと接触させるステップと、
(d)互いにアニールするフラグメントを増幅して、親ポリヌクレオチド分子とは配列が異なる少なくとも1つのポリヌクレオチド分子を生成するステップと
を含み、ステップ(d)で産生された少なくとも1つのポリヌクレオチド分子の選択領域における配列変異性の程度が、予め決められた変異性の1つまたは複数のオリゴヌクレオチドを付加することで制御され、オリゴヌクレオチドが、親ポリヌクレオチド分子の3'および5'末端ヌクレオチドの間にある(ただし、3'および5'末端ヌクレオチドは除く)配列にアニールする方法。
【請求項2】
親ポリヌクレオチドが、1つまたは複数のタンパク質モチーフをコードする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリヌクレオチドの第1および第2集団がcDNAである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ポリヌクレオチドの第1および第2集団が一本鎖である、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項5】
ポリヌクレオチドの第1集団が、親ポリヌクレオチド配列のプラス鎖から成り、ポリヌクレオチドの第2集団が、親ポリヌクレオチド配列のマイナス鎖から成る、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ポリヌクレオチドの第1および第2集団が、ステップ(b)において別々に消化される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(b)のヌクレアーゼがエキソヌクレアーゼである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
エキソヌクレアーゼが、BAL31、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼV、エキソヌクレアーゼVII、エキソヌクレアーゼT7遺伝子6、バクテリオファージラムダエキソヌクレアーゼおよびエキソヌクレアーゼRec Jfから成る群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(d)で産生された少なくとも1つのポリヌクレオチド配列の変化したアミノ酸配列が、コードされたポリペプチドの変化した特性を伴う、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドが、ステップ(b)の前またはステップ(b)において付加され、ヌクレアーゼが、一本鎖ポリヌクレオチドに特異的である、請求項4から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドが、ステップ(b)の後およびステップ(c)の前またはステップ(c)において付加される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドが、親ポリヌクレオチド配列の内部配列と少なくとも90%の配列同一性、例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を共有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドが、親ポリヌクレオチド配列の内部配列と100%の配列同一性を共有する、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドが、単一のヌクレオチド配列である、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドが、少なくとも2つの異なる配列である、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドが、親ポリヌクレオチド配列の同一の内部配列の変異体である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドが、親ポリヌクレオチドの少なくとも2つの異なる領域と100%の配列同一性を共有する、または該領域の変異体である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドが、エラープローンPCRによりまたはオリゴヌクレオチド合成装置を用いて生成される、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドが、10および500ヌクレオチド長の間である、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドが、50および200ヌクレオチド長の間である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
親ポリヌクレオチド配列がリガンドをコードする、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドが、生体分子と直接または間接的に相互作用するアミノ酸配列をコードする親ポリヌクレオチド配列の領域と配列同一性を共有する、または該領域の変異体である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
親ポリヌクレオチド配列が、抗体または抗体フラグメントをコードする、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドが、フレームワークポリペプチドをコードする親ポリヌクレオチド配列の領域と配列同一性を共有する、または該領域の変異体である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドが、CDRをコードする親ポリヌクレオチド配列の領域と配列同一性を共有する、または該領域の変異体である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
親ポリヌクレオチド配列が、酵素またはこの触媒活性フラグメントをコードする、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドが、酵素の安定性に関与する活性部位、調節部位または領域をコードする親ポリヌクレオチド配列の領域と配列同一性を共有する、または該領域の変異体である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
親ポリヌクレオチド配列が抗原をコードする、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
予め決められた変異性のオリゴヌクレオチドが、エピトープをコードする親ポリヌクレオチド配列の領域と配列同一性を共有する、または該領域の変異体である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
ステップ(c)が、アニーリング条件下で、少なくとも1つの親ポリヌクレオチドの3'および/または5'末端にアニールするプライマー配列を付加するステップをさらに含む、請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
ステップ(b)において、ポリヌクレオチド分子の第1集団の消化に使用される少なくとも1つの反応パラメータが、ポリヌクレオチド分子の第2集団の消化反応に使用される同等のパラメータとは異なる、請求項1から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
反応パラメータが、ヌクレアーゼの種類、ヌクレアーゼの濃度、反応容量、消化反応持続時間、反応混合物の温度、反応混合物のpH、親ポリヌクレオチド配列の長さ、親ポリヌクレオチド分子量および反応混合物の緩衝液組成から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
親ポリヌクレオチド配列が突然変異誘発を受けた、請求項1から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
ステップ(b)において生成されたフラグメントの一方の集団または両方の集団が、突然変異誘発を受ける、請求項1から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
突然変異誘発がエラープローンPCRである、請求項33または34に記載の方法。
【請求項36】
ステップ(b)が、さまざまな長さの一本鎖フラグメント集団を生成するために行われる、請求項1から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
ステップ(b)が、約50ヌクレオチドを超える平均長を有する一本鎖フラグメント集団を生成するように制御される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
ステップ(d)で生成された少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を発現させて、コードされたポリペプチドを産生するステップをさらに含む、請求項1から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
変化した特性についてコードされたポリペプチドを試験するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項40】
請求項1から39のいずれか一項に記載の方法により得られた、または得ることができるポリヌクレオチド。
【請求項41】
請求項40に記載の複数のポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドライブラリー。
【請求項42】
請求項40に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項43】
変化した特性を有するポリペプチドを作製する方法であって、以下の
(a)請求項1から39のいずれか一項に記載の方法による、親ポリヌクレオチドの変異体を生成するステップと、
(b)ステップ(a)において産生された変異体ポリヌクレオチドを発現させて変異体ポリペプチドを生成するステップと、
(c)変化した特性について変異体ポリペプチドをスクリーニングするステップと、
(d)変化した特性を有するポリペプチドを変異体ポリペプチドから選択するステップと
を含む方法。
【請求項44】
請求項43に記載の方法により得られた、または得ることができるポリペプチド。
【請求項45】
請求項40に記載のポリヌクレオチドまたは請求項44に記載のポリペプチドおよび薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物。
【請求項46】
医薬に使用するための請求項40に記載のポリヌクレオチドまたは請求項44に記載のポリペプチド。
【請求項47】
疾患の治療、療法および/または診断のための薬剤の調製における、請求項40に記載のポリヌクレオチドまたは請求項44に記載のポリペプチドの使用。
【請求項48】
請求項1から39のいずれか一項に記載の方法により、変化した配列または特徴を有するポリヌクレオチドおよび/またはコードされたポリペプチドを同定した後、前記ポリヌクレオチドおよび/またはコードされたポリペプチドを薬学的に許容できる担体に付加するステップを含む、医薬組成物の調製方法。
【請求項49】
請求項1から39のいずれか一項に記載の方法により、変化した配列または特徴を有するポリヌクレオチドおよび/またはコードされたポリペプチドを同定した後、このポリヌクレオチドおよび/またはコードされたポリペプチドの全部または一部を医薬に使用することを含む方法。
【請求項50】
医薬における使用が、疾患の治療、療法および/または診断においてである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
請求項1から39のいずれか一項に記載の方法により、変化した配列を有するポリヌクレオチドを同定した後、試料中の標的ポリヌクレオチドの検出および/または増幅にこのポリヌクレオチドを使用することを含む方法。
【請求項52】
実施例を参照して前記に詳述した、1つのポリヌクレオチド配列または配列集団の生成方法。
【請求項53】
実施例を参照して前記に詳述した、変化した特性を有するポリペプチドの作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−515546(P2009−515546A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540691(P2008−540691)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【国際出願番号】PCT/GB2006/004294
【国際公開番号】WO2007/057682
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(503211529)アリゲーター・バイオサイエンス・アーベー (4)
【Fターム(参考)】