説明

タンパク質相互作用、及び、抗がん剤とそのスクリーニング方法

【課題】プロテアソームの形成機序を解明すること、その機序に基づいた全く新規な抗がん剤を提供すること。
【解決手段】本発明者らは、DSCR2とHCCA3とが複合体を形成すること、プロテアソームとDSCR、HCCA3、及び、hUMP1とがそれぞれ相互作用すること、などを新規に見出した。これらの新知見は、DSCR2とHCCA3とが複合体を形成し、その複合体がプロテアソームのαサブユニットと結合してαリングを形成し、hUMP1がプロテアソームのβサブユニットと結合してハーフプロテアソームを二量体化し、20Sプロテアソームを形成するという、一連のプロテアソーム形成機序を示唆する。これらの新知見は、新規な作用機序に基づく抗がん剤又はそのスクリーニング方法などに応用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質相互作用、及び、抗がん剤とそのスクリーニング方法に関する。より詳細には、DSCR2とHCCA3との相互作用、プロテアソームとDSCR2又はHCCA3との相互作用、プロテアソームとhUmp1との相互作用、それらの相互作用を阻害又は抑制する物質を含有する抗がん剤、DSCR2、HCCA3、若しくはhUMP1の発現を抑制する物質を含有する抗がん剤、及び、抗がん剤のスクリーニング方法、などに関する。
【背景技術】
【0002】
細胞内における主要なタンパク質分解系として、ユビキチン−プロテアソームシステムが知られている。このシステムは、細胞内における選択的なタンパク質分解を担う。ユビキチンは、分解するタンパク質に結合し、ポリユビキチン鎖を形成する(ポリユビキチン化修飾)。プロテアソームは、ポリユビキチン化修飾されたタンパク質を特異的に分解する。
【0003】
近年、細胞周期・アポトーシス・代謝調節・免疫応答・シグナル伝達・転写制御・ストレス応答・DNA修復など、生命科学のあらゆる領域において、このシステムが中心的な役割を果たしていることが、明らかになりつつある。また、近年、プロテアソームの機能阻害ががん治療に有用である可能性があることが、各論文で示されている(例えば、非特許文献1〜7参照)。
【0004】
以下、本発明に関わりのあるタンパク質として、プロテアソーム、DSCR2、HCCA3、並びにhUMP1について、説明する。
【0005】
プロテアソームは、分子量250万で、約100個のサブユニットから構成される細胞内タンパク質分解装置である。活性型の26Sプロテアソームは、20Sプロテアソームの両端に、19Sプロテアソームが会合した分子複合体である。20Sプロテアソームは、タンパク質分解の活性部位であり、19Sプロテアソームは、20Sプロテアソームの制御を行う。20Sプロテアソームは、αリングとβリングがαββαの順で会合した円筒型粒子のプロテアーゼ複合体である。αリングは、リング状に集まった7種類のサブユニット(α1〜α7)から構成される。同様に、βリングは、リング状に集まった7種類のサブユニット(β1〜β7)から構成される。なお、αリングとβリングが一つずつ会合した状態(20Sプロテアソームの半分の状態)を、ハーフプロテアソームという。
【0006】
DSCR2(Down Syndrome Critical Region Gene 2)は、C21LRP(Chromosome 21 Leucine−Rich Protein)とも呼ばれるタンパク質である。その遺伝子は、ダウン症に関連する遺伝子として同定された(非特許文献7参照)。
【0007】
HCCA3(Hepatocellular Carcinoma−Associated Protein 3)は、その遺伝子が肝臓がん関連遺伝子として同定された(非特許文献8)。
【0008】
UMP1(Ubiqitin−mediated Proteolysis)は、分子シャペロンとしてプロテアソーム形成にかかわる酵素であり、酵母では、ハーフプロテアソームを重合させ、20Sプロテアソームの形成を促進することが知られている。また、ヒトなどにおけるUMP1のホモログ(hUMP1)は、20Sプロテアソームと相互作用することが報告されている(非特許文献9)。
【非特許文献1】Hideshima T. et al, “Small-molecule inhibition of proteasome and aggresome function induces synergistic antitumor activity in multiple myeloma” PNAS vol.102 no.24 8567-8572(2005)
【非特許文献2】Boccadoro M. et al, “Preclinical evalution of the proteasome inhibitor bortezomib in cancer therapy” Cancer Cell International 2005, 5:18
【非特許文献3】Pajonk F. et al, “The proteasome inhibitor MG-132 sensitizes PC-3 prostate cancer cells to ionizing radiation by a DNA-PK-independent mechanism” BMC Cancer 2005, 5:76
【非特許文献4】Fernandez Y. et al, “Differential Regulation of Noxa in Normal Melanocytes and Melanoma Cells by Proteasome Inhibition: Therapeutic Implications” Cancer Res 2005; 65 (14). July 15, 2005
【非特許文献5】Ogiso Y. et al, “Protesome Inhibition Circumvents Solid Tumor Resistance to Topoisomerase II-directed Drugs” CANCER RESEARCH 60, 2429-2434, May 1, 2000
【非特許文献6】HONG-DUCK KIM et al, “Glucose-Regulated Stresses Cause Degration of DNA Topoisomerase IIα by Inducing Nuclear Proteasome During G1 Cell Cycle Arrest in Cancer cells” JOURNAL OF PHYSIOLOGY 180:97-104 (1999)
【非特許文献7】Vidal-Taboada JM. et al, “Identification and characterization of a new gene from human chromosome 21 between markers D21S343 and D21S268 encoding a leucine-rich protein” Biochem Biophys Res Commun. 250(3): 547-54 (1998)
【非特許文献8】Wang ZX et al, “Expression of liver cancer associated gene HCCA3” World J Gastroenterol. 7 (6): 821-5 (2001)
【非特許文献9】Burri L. et al, “Identification and characterization of a mammalian protein interacting with 20S proteasome precursors” 10348-10353 PNAS vol.97 no.19 (2000)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来、ハーフプロテアソームが自立的に形成されると漠然と推測されているのみで、現在に至るまで、ハーフプロテアソーム形成がどのような機序で行われているか、全く知られていなかった。
【0010】
一方、上述の通り、プロテアソームの機能阻害ががん治療に有用である可能性があることが示唆されており、ハーフプロテアソームの形成機序は、新たな抗がん剤の標的となる可能性がある。
【0011】
そこで、本発明は、プロテアソームの形成機序を解明すること、その機序に基づいた全く新規な抗がん剤を提供すること、などを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、DSCR2とHCCA3とが複合体を形成すること、プロテアソームのα5サブユニット及び/又はα7サブユニットとDSCR2又はHCCA3とが相互作用することを新規に見出した。また、本発明者らは、UMP1のヒトにおけるホモログ(hUMP1)は、プロテアソームのβサブユニットと相互作用することを新規に見出した。
【0013】
そこで、本発明では、まず、DSCR2とHCCA3との相互作用、プロテアソームのα5サブユニット及び/又はα7サブユニットとDSCR2又はHCCA3との相互作用、及び、プロテアソームのβサブユニットとプロテアソームのβサブユニットとの相互作用を提供する。
【0014】
これらの相互作用は、以下のようなプロテアソーム形成機序を示唆する。まず、DSCR2とHCCA3とが複合体を形成し、プロテアソームのα5サブユニットやα7サブユニットと結合し、αリングを形成する。次に、αリングとβリングが会合してハーフプロテアソームが形成され、また、hUMP1がプロテアソームのβサブユニットと結合する。そして、hUMP1がハーフプロテアソーム同士を会合させ、20Sプロテアソームを形成する。
【0015】
即ち、本発明により、ハーフプロテアソームは自立的に形成されるのではなく、タンパク質相互作用に基づき、順次、各サブユニットが組み立てられて、形成される可能性が高いことが分かった。このことは、プロテアソーム形成機序解明の一助となるだけでなく、プロテアソームに関わる生理的機構や様々な疾患の発症機序などの解明にも役立つと考える。
【0016】
続いて、本発明では、DSCR2とHCCA3との相互作用を阻害又は抑制する物質、プロテアソームとDSCR2又はHCCA3との相互作用を阻害又は抑制する物質、プロテアソームとhUmp1との相互作用を阻害又は抑制する物質、DSCR2、HCCA3、又は、hUMP1のいずれかの発現を抑制する物質、のいずれか又は複数を少なくとも含有する抗がん剤を提供する。
【0017】
上述の通り、プロテアソームの機能阻害ががん治療に有用である可能性があることが示唆されている。本発明に係る物質は、前記各相互作用又は前記各タンパク質の発現を阻害又は抑制することにより、プロテアソームの新規形成を抑制できるため、抗がん剤として有用な可能性が高い。
【0018】
なお、本発明に係る抗がん剤は、プロテアソームの働き自体を阻害又は抑制するわけではなく、プロテアソーム形成に関わるタンパク質相互作用又はそのタンパク質の発現を阻害又は抑制することにより、プロテアソームの新規形成を抑制するのみであるため、副作用が少ない可能性が高いという利点がある。
【0019】
以下、本発明に係るタンパク質について、説明する。
【0020】
本発明に係るDSCR2は、配列番号1のアミノ酸配列を有するタンパク質、若しくはDSCR2のアミノ酸配列と相同性を有し、HCCA3、プロテアソームのα5サブユニット又はα7サブユニットと相互作用する領域を保持するタンパク質である。即ち、例えば、前記タンパク質のスプライシング・バリアントや、前記アミノ酸配列中の一部に、置換、欠損、挿入、付加部分が含まれる場合も、本発明に係るDSCR2に包含される。
【0021】
本発明に係るHCCA3は、配列番号2のアミノ酸配列を有するタンパク質、若しくはHCCA3のアミノ酸配列と相同性を有し、DSCR2、プロテアソームのα5サブユニット又はα7サブユニットと相互作用する領域を保持するタンパク質である。即ち、例えば、前記タンパク質のスプライシング・バリアントや、前記アミノ酸配列中の一部に、置換、欠損、挿入、付加部分が含まれる場合も、本発明に係るHCCA3に包含される。
【0022】
本発明に係るhUMP1は、配列番号3のアミノ酸配列を有するタンパク質、若しくはhUMP1のアミノ酸配列と相同性を有し、プロテアソームのβサブユニットと相互作用する領域を保持するタンパク質である。即ち、例えば、前記タンパク質のスプライシング・バリアントや、前記アミノ酸配列中の一部に、置換、欠損、挿入、付加部分が含まれる場合も、本発明に係るhUMP1に包含される。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、プロテアソーム形成機序解明の一助となる。また、新規な作用機序に基づく抗がん剤又はそのスクリーニング方法などに応用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
<プロテアソーム形成機序について>
プロテアソーム形成機序について、図1を用いて、以下説明する。
【0025】
図1は、20Sプロテアソームの形成機序を示した模式図である。
【0026】
DSCR2とHCCA3はシャペロン分子複合体になり、7種類のαサブユニットがαリングを形成する土台を形成する。そして、DSCR2とHCCA3との複合体は、プロテアソームのα5サブユニットやα7サブユニットと結合し、αリングを形成する。また、この複合体は、αリングが異常な凝集体を形成することを防ぐ働きもあると予想する。
【0027】
次に、αリングとβリングが会合してハーフプロテアソームが形成され、また、hUMP1がプロテアソームのβサブユニットと結合する。そして、hUMP1がハーフプロテアソーム同士を会合(二量体化)させ、20Sプロテアソームを形成する。なお、二量体化の際、hUMP1は解離し、分解される。また、DSCR2とHCCA3の複合体も、20Sプロテアソーム形成後、解離し、分解される。
【0028】
<DSCR2とHCCA3との相互作用を阻害又は抑制する物質を少なくとも含有する抗がん剤について>
本発明に係る抗がん剤として、DSCR2とHCCA3との相互作用を阻害又は抑制する物質、プロテアソームとDSCR2又はHCCA3との相互作用を阻害又は抑制する物質、プロテアソームとhUmp1との相互作用を阻害又は抑制する物質、のいずれか又は複数を少なくとも含有する抗がん剤が想定できる。以下、図2から図4を用いて順に説明する。
【0029】
図2は、DSCR2とHCCA3との相互作用を阻害又は抑制する物質を示す模式図である。
【0030】
DSCR2(符号1)は、HCCA3との相互作用部位11と、プロテアソームα5サブユニット又はα7サブユニット(符号3)との相互作用部位12を有する。HCCA3(符号2)は、DSCR2との相互作用部位21と、プロテアソームα5サブユニット又はα7サブユニット(符号3)との相互作用部位22を有する。そして、DSCR2とHCCA3は相互作用し(符号A)、複合体を形成する。また、DSCR2及びHCCA3は、プロテアソームα5サブユニット又はα7サブユニットと相互作用し(符号B)、プロテアソームのαリング形成を促進する。
【0031】
DSCR2とHCCA3との相互作用を阻害又は抑制する物質としては、例えば、(1)DSCR2の立体構造中の、HCCA3との結合部位に対して特異的に結合する物質、(2)DSCR2の立体構造中の、HCCA3との結合部位の近傍に結合することにより、前記相互作用を阻害又は抑制する物質、(3)DSCR2と結合して、前記タンパク質の立体構造を変化させる物質、(4)HCCA3の立体構造中の、DSCR2との結合部位に対して特異的に結合する物質、(5)HCCA3の立体構造中の、DSCR2との結合部位の近傍に結合することにより、前記相互作用を阻害又は抑制する物質、(6)HCCA3と結合して、前記タンパク質の立体構造を変化させる物質、(7)抗DSCR2抗体、抗DSCR2アプタマー、抗HCCA3抗体、抗HCCA3アプタマー、などが想定できる。
【0032】
(1)DSCR2の立体構造中の、HCCA3との結合部位に対して特異的に結合する物質について:
例えば、この物質(符号M1)が、DSCR2の立体構造中の、HCCA3との結合部位11に対して特異的に結合した場合、DSCR2とHCCA3との複合体形成が阻害又は抑制されるため、プロテアソームのαリング形成、新規のプロテアソーム形成が阻害又は抑制される。従って、この物質は、抗がん剤として、有効な可能性がある。
【0033】
(2)DSCR2の立体構造中の、HCCA3との結合部位の近傍に結合することにより、前記相互作用を阻害又は抑制する物質について:
例えば、この物質(符号M2)が、DSCR2の立体構造中の、HCCA3との結合部位の近傍に結合した場合、前記と同様、DSCR2とHCCA3との複合体形成が阻害又は抑制されるため、プロテアソームのαリング形成、新規のプロテアソーム形成が阻害又は抑制される。従って、この物質は、抗がん剤として、有効な可能性がある。
【0034】
(3)DSCR2と結合して、前記タンパク質の立体構造を変化させる物質について:
例えば、この物質(符号M3)がDSCR2と結合して、DSCR2の立体構造を変化させた場合、前記と同様、DSCR2とHCCA3との複合体形成が阻害又は抑制されるため、プロテアソームのαリング形成、新規のプロテアソーム形成が阻害又は抑制される。従って、この物質は、抗がん剤として、有効な可能性がある。
【0035】
(4)HCCA3の立体構造中の、DSCR2との結合部位に対して特異的に結合する物質について:
例えば、この物質(符号M4)がHCCA3の立体構造中の、DSCR2との結合部位に対して特異的に結合した場合、前記と同様、DSCR2とHCCA3との複合体形成が阻害又は抑制されるため、プロテアソームのαリング形成、新規のプロテアソーム形成が阻害又は抑制される。従って、この物質は、抗がん剤として、有効な可能性がある。
【0036】
(5)HCCA3の立体構造中の、DSCR2との結合部位の近傍に結合することにより、前記相互作用を阻害又は抑制する物質について:
例えば、この物質(符号M5)がHCCA3の立体構造中の、DSCR2との結合部位の近傍に結合した場合、前記と同様、DSCR2とHCCA3との複合体形成が阻害又は抑制されるため、プロテアソームのαリング形成、新規のプロテアソーム形成が阻害又は抑制される。従って、この物質は、抗がん剤として、有効な可能性がある。
【0037】
(6)HCCA3と結合して、HCCA3の立体構造を変化させる物質について:
例えば、この物質(符号M6)がHCCA3と結合して、HCCA3の立体構造を変化させた場合、前記と同様、DSCR2とHCCA3との複合体形成が阻害又は抑制されるため、プロテアソームのαリング形成、新規のプロテアソーム形成が阻害又は抑制される。従って、この物質は、抗がん剤として、有効な可能性がある。
【0038】
(7)抗DSCR2抗体、抗DSCR2アプタマー、抗HCCA3抗体、抗HCCA3アプタマーについて:
抗DSCR2抗体又は抗DSCR2アプタマー(符号M7)、及び、抗HCCA3抗体又は抗HCCA3アプタマー(符号M8)は、DSCR2又はHCCA3と特異的に結合し、その機能を抑制する。そのため、前記と同様、DSCR2とHCCA3との複合体形成が阻害又は抑制することができ、プロテアソームのαリング形成、新規のプロテアソーム形成を阻害又は抑制できる。従って、この物質は、抗がん剤として、有効な可能性がある。ここで、アプタマーは、抗体代替分子であり、標的分子を特異的に認識するオリゴヌクレオチドである(以下同じ)。抗体又はアプタマーは、公知の方法により作製できる(以下同じ)。
【0039】
<プロテアソームとDSCR2又はHCCA3との相互作用を阻害又は抑制する物質を少なくとも含有する抗がん剤について>
プロテアソームとDSCR2又はHCCA3との相互作用を阻害又は抑制する物質を少なくとも含有する抗がん剤について、図3を用いて、以下説明する。
【0040】
図3は、プロテアソームとDSCR2又はHCCA3との相互作用を阻害又は抑制する物質を示す模式図である。
【0041】
DSCR2(符号1)及びHCCA3(符号2)は、それぞれ、プロテアソームαサブユニット(α5又はα7、符号3)との相互作用部位12、22を有する。プロテアソームαサブユニット(α5又はα7、符号3)は、DSCR2又はHCCA3との相互作用部位31を有する。そして、DSCR2又はHCCA3と、プロテアソームαサブユニット(α5又はα7)とは、相互作用し(符号B)、αリングが形成される。
【0042】
プロテアソームとDSCR2又はHCCA3との相互作用を阻害又は抑制する物質としては、例えば、(1)プロテアソームのα5サブユニット又はα7サブユニットの立体構造中の、DSCR2又はHCCA3との結合部位に対して特異的に結合する物質、(2)プロテアソームのα5サブユニット又はα7サブユニットの立体構造中の、DSCR2又はHCCA3との結合部位の近傍に結合することにより、前記相互作用を阻害又は抑制する物質、(3)DSCR2又はHCCA3の立体構造中の、プロテアソームのα5サブユニット又はα7サブユニットとの結合部位に対して特異的に結合する物質、(4)DSCR2又はHCCA3の立体構造中の、プロテアソームのα5サブユニット又はα7サブユニットとの結合部位の近傍に結合することにより、前記相互作用を阻害又は抑制する物質、(5)DSCR2又はHCCA3と結合して、前記いずれかのタンパク質の立体構造を変化させる物質、(6)抗DSCR2抗体、抗DSCR2アプタマー、抗HCCA3抗体、抗HCCA3アプタマー、抗プロテアソームα5サブユニット抗体、抗プロテアソームα5サブユニットアプタマー、抗プロテアソームα7サブユニット抗体、抗プロテアソームα7サブユニットアプタマー、などが想定できる。
【0043】
(1)プロテアソームのα5サブユニット又はα7サブユニットの立体構造中の、DSCR2又はHCCA3との結合部位に対して特異的に結合する物質について:
例えば、この物質(符号M1)が、プロテアソームのα5サブユニット又はα7サブユニットの立体構造中の、DSCR2又はHCCA3との結合部位31に対して特異的に結合した場合、プロテアソームのαリング形成が阻害又は抑制されるため、新規のプロテアソーム形成が阻害又は抑制される。従って、この物質は、抗がん剤として、有効な可能性がある。
【0044】
(2)プロテアソームのα5サブユニット又はα7サブユニットの立体構造中の、DSCR2又はHCCA3との結合部位の近傍に結合することにより、前記相互作用を阻害又は抑制する物質について:
例えば、この物質(符号M2)がプロテアソームのα5サブユニット又はα7サブユニットの立体構造中の、DSCR2又はHCCA3との結合部位31の近傍に結合した場合、前記と同様、プロテアソームのαリング形成が阻害又は抑制されるため、新規のプロテアソーム形成が阻害又は抑制される。従って、この物質は、抗がん剤として、有効な可能性がある。
【0045】
(3)DSCR2又はHCCA3の立体構造中の、プロテアソームのα5サブユニット又はα7サブユニットとの結合部位に対して特異的に結合する物質について:
例えば、この物質(符号M4)が、DSCR2又はHCCA3の立体構造中の、プロテアソームのα5サブユニット又はα7サブユニットとの結合部位22に対して特異的に結合した場合、前記と同様、プロテアソームのαリング形成が阻害又は抑制されるため、新規のプロテアソーム形成が阻害又は抑制される。従って、この物質は、抗がん剤として、有効な可能性がある。
【0046】
(4)DSCR2又はHCCA3の立体構造中の、プロテアソームのα5サブユニット又はα7サブユニットとの結合部位の近傍に結合することにより、前記相互作用を阻害又は抑制する物質について:
例えば、この物質(符号M5)が、DSCR2又はHCCA3の立体構造中の、プロテアソームのα5サブユニット又はα7サブユニットとの結合部位の近傍に結合した場合、前記と同様、プロテアソームのαリング形成が阻害又は抑制されるため、新規のプロテアソーム形成が阻害又は抑制される。従って、この物質は、抗がん剤として、有効な可能性がある。
【0047】
(5)DSCR2又はHCCA3と結合して、前記いずれかのタンパク質の立体構造を変化させる物質について:
例えば、この物質(符号M6)が、DSCR2又はHCCA3と結合して、いずれかのタンパク質の立体構造を変化させた場合、前記と同様、プロテアソームのαリング形成が阻害又は抑制されるため、新規のプロテアソーム形成が阻害又は抑制される。従って、この物質は、抗がん剤として、有効な可能性がある。
【0048】
(6)抗DSCR2抗体、抗DSCR2アプタマー、抗HCCA3抗体、抗HCCA3アプタマー、抗プロテアソームα5サブユニット抗体、、抗プロテアソームα5サブユニットアプタマー、抗プロテアソームα7サブユニット抗体、抗プロテアソームα7サブユニットアプタマーについて:
抗DSCR2抗体又は抗DSCR2アプタマー、抗HCCA3抗体又は抗HCCA3アプタマー、抗プロテアソームα5サブユニット抗体又は抗プロテアソームα5サブユニットアプタマー、若しくは抗プロテアソームα7サブユニット又は抗プロテアソームα7サブユニットアプタマーは、DSCR2、HCCA3、プロテアソームのα5又はα7サブユニットのいずれかと特異的に結合し、それらの機能を抑制する。そのため、前記と同様、プロテアソームのαリング形成、新規のプロテアソーム形成を阻害又は抑制できる。従って、この物質は、抗がん剤として、有効な可能性がある。
【0049】
<プロテアソームとhUmp1との相互作用を阻害又は抑制する物質を少なくとも含有する抗がん剤について>
プロテアソームとhUmp1との相互作用を阻害又は抑制する物質を少なくとも含有する抗がん剤について、図4を用いて、以下説明する。
【0050】
図4は、プロテアソームとhUmp1との相互作用を阻害又は抑制する物質を示す模式図である。
【0051】
プロテアソームαサブユニット(符号3)は、7種類(α1〜α7)が凝集し、αリングを形成する。また、プロテアソームβサブユニット(符号4)も、7種類(β1〜β7)が凝集し、βリングを形成する。そして、αリングとβリングが会合し、ハーフプロテアソームが形成される。ハーフプロテアソーム形成過程において、hUMP1(符号5)は、プロテアソームのβサブユニットと相互作用する(符号C)。プロテアソームのβサブユニットは、hUMP1との相互作用部位41を有し、hUMP1は、プロテアソームβサブユニットとの相互作用部位51を有する。
【0052】
プロテアソームとhUmp1との相互作用を阻害又は抑制する物質としては、例えば、(1)プロテアソームのβサブユニットの立体構造中の、hUmp1との結合部位に対して特異的に結合する物質、(2)プロテアソームのβサブユニットの立体構造中の、hUmp1との結合部位の近傍に結合することにより、前記相互作用を阻害又は抑制する物質、(3)hUmp1の立体構造中の、プロテアソームのβサブユニットとの結合部位に対して特異的に結合する物質、(4)hUmp1の立体構造中の、プロテアソームのβサブユニットとの結合部位の近傍に結合することにより、前記相互作用を阻害又は抑制する物質、(5)hUmp1と結合して、hUmp1の立体構造を変化させる物質、(6)抗hUmp1抗体、抗hUmp1アプタマー、抗プロテアソームβサブユニット抗体、抗プロテアソームβサブユニットアプタマー、などが想定できる。
【0053】
(1)プロテアソームのβサブユニットの立体構造中の、hUmp1との結合部位に対して特異的に結合する物質について:
例えば、この物質(符号M1)が、プロテアソームのβサブユニットの立体構造中の、hUmp1との結合部位41に対して特異的に結合した場合、プロテアソームのβサブユニットとhUMP1との相互作用が阻害又は抑制されるため、ハーフプロテアソームの形成が阻害又は抑制され、新規のプロテアソーム形成が阻害又は抑制される。従って、この物質は、抗がん剤として、有効な可能性がある。
【0054】
(2)プロテアソームのβサブユニットの立体構造中の、hUmp1との結合部位の近傍に結合することにより、前記相互作用を阻害又は抑制する物質について:
例えば、この物質(符号M2)が、プロテアソームのβサブユニットの立体構造中の、hUmp1との結合部位41の近傍に結合した場合、前記と同様、プロテアソームのβサブユニットとhUMP1との相互作用が阻害又は抑制されるため、ハーフプロテアソームの形成が阻害又は抑制され、新規のプロテアソーム形成が阻害又は抑制される。従って、この物質は、抗がん剤として、有効な可能性がある。
【0055】
(3)hUmp1の立体構造中の、プロテアソームのβサブユニットとの結合部位に対して特異的に結合する物質について:
例えば、この物質(符号M4)が、hUmp1の立体構造中の、プロテアソームのβサブユニットとの結合部位51に対して特異的に結合した場合、前記と同様、プロテアソームのβサブユニットとhUMP1との相互作用が阻害又は抑制されるため、ハーフプロテアソームの形成が阻害又は抑制され、新規のプロテアソーム形成が阻害又は抑制される。従って、この物質は、抗がん剤として、有効な可能性がある。
【0056】
(4)hUmp1の立体構造中の、プロテアソームのβサブユニットとの結合部位の近傍に結合することにより、前記相互作用を阻害又は抑制する物質について:
例えば、この物質(符号M5)が、hUmp1の立体構造中の、プロテアソームのβサブユニットとの結合部位51の近傍に結合した場合、前記と同様、プロテアソームのβサブユニットとhUMP1との相互作用が阻害又は抑制されるため、ハーフプロテアソームの形成が阻害又は抑制され、新規のプロテアソーム形成が阻害又は抑制される。従って、この物質は、抗がん剤として、有効な可能性がある。
【0057】
(5)hUmp1と結合して、hUmp1の立体構造を変化させる物質について:
例えば、この物質(符号M6)が、hUmp1と結合して、hUmp1の立体構造を変化させた場合、前記と同様、プロテアソームのβサブユニットとhUMP1との相互作用が阻害又は抑制されるため、ハーフプロテアソームの形成が阻害又は抑制され、新規のプロテアソーム形成が阻害又は抑制される。従って、この物質は、抗がん剤として、有効な可能性がある。
【0058】
(6)抗hUmp1抗体、抗hUmp1アプタマー、抗プロテアソームβサブユニット抗体、抗プロテアソームβサブユニットアプタマーについて:
抗hUmp1抗体又は抗hUmp1アプタマー(符号M7)、若しくは抗プロテアソームβサブユニット抗体又は抗プロテアソームβサブユニットアプタマー(符号M8)は、hUMP1又はプロテアソームβサブユニットと特異的に結合し、それらの機能を抑制する。そのため、前記と同様、UMP1との相互作用を阻害又は抑制するため、ハーフプロテアソームの形成を阻害又は抑制し、新規のプロテアソーム形成を阻害又は抑制する。従って、この物質は、抗がん剤として、有効な可能性がある。
【0059】
<DSCR2、HCCA3、hUMP1のいずれかのタンパク質の発現を抑制する物質を少なくとも含有する抗がん剤について>
上述の通り、DSCR2、HCCA3、及び、hUMP1は、いずれも、プロテアソーム形成(組立て)に深く関与する。従って、それらのタンパク質の発現を抑制することにより、新規プロテアソームの形成を抑制できる可能性がある。
【0060】
(1)DSCR2の発現を抑制する物質について:
例えば、この物質(図示せず)によりDSCR2の発現が抑制された場合、DSCR2とHCCA3との複合体形成やプロテアソームのαリング形成が阻害又は抑制されるため、新規のプロテアソーム形成が阻害又は抑制される。従って、この物質は、抗がん剤として、有効な可能性がある。
【0061】
このような物質として、例えば、DSCR2をコードする遺伝子の塩基配列の一部と同じ塩基配列を有する二本鎖RNAであって、RNA干渉によって、そのタンパク質の発現を抑制する二本鎖RNA、及び、DSCR2のプロモーター領域に作用する物質、が挙げられる。なお、RNA干渉に基づく二本鎖RNAは、公知方法により設計・作製できる(以下同じ)。
【0062】
(2)HCCA3の発現を抑制する物質について:
例えば、この物質(図示せず)によりHCCA3の発現が抑制された場合、前記と同様、DSCR2とHCCA3との複合体形成やプロテアソームのαリング形成が阻害又は抑制されるため、新規のプロテアソーム形成が阻害又は抑制される。従って、この物質は、抗がん剤として、有効な可能性がある。
【0063】
このような物質として、例えば、HCCA3をコードする遺伝子の塩基配列の一部と同じ塩基配列を有する二本鎖RNAであって、RNA干渉によって、そのタンパク質の発現を抑制する二本鎖RNA、及び、HCCA3のプロモーター領域に作用する物質、が挙げられる。
【0064】
(3)hUmp1のの発現を抑制する物質について:
例えば、この物質(図示せず)によりhUMP1の発現が抑制された場合、プロテアソームのβサブユニットとhUMP1との相互作用が阻害又は抑制されるため、ハーフプロテアソームの形成が阻害又は抑制され、新規のプロテアソーム形成が阻害又は抑制される。従って、この物質は、抗がん剤として、有効な可能性がある。
【0065】
このような物質として、例えば、hUmp1をコードする遺伝子の塩基配列の一部と同じ塩基配列を有する二本鎖RNAであって、RNA干渉によって、そのタンパク質の発現を抑制する二本鎖RNA、及び、hUmp1のプロモーター領域に作用する物質、が挙げられる。
【0066】
<本発明に係るスクリーニング方法について>
上述の通り、プロテアソームの機能阻害ががん治療に有用である可能性があることが知られている。従って、DSCR2とHCCA3との相互作用、プロテアソームとDSCR2又はHCCA3との相互作用、プロテアソームとhUmp1との相互作用のいずれかを阻害又は抑制する物質を探索することにより、新規抗がん剤を見つけ出すことができる可能性がある。
【0067】
相互作用の検出は、例えば、タンパク質間の結合を検出することによって行うことができる。タンパク質間の結合は、既知の方法、例えば、共免疫沈降法、ウエスタンブロット法、カラムを用いたプルダウン法、質量分析計を用いた方法、蛍光標識を用いたイメージング、又はそれらの組み合わせなどにより行うことができる。
【0068】
本発明に係るスクリーニング方法は、キット化が可能である。その場合、例えば、DSCR2、HCCA3、プロテアソームα5サブユニット、同じくα7サブユニット、同じくβサブユニット、抗DSCR2抗体、抗HCCA3抗体、抗プロテアソームα5サブユニット抗体、抗プロテアソームα7サブユニット抗体、抗プロテアソームβサブユニット抗体、相互作用検出(共免疫沈降法、ウエスタンブロットなど)に用いる試薬などを、検出方法に応じて適宜組み合わせ、キット化する。
【実施例1】
【0069】
実施例1は、DSCR2及びHCCA3とプロテアソームとが相互作用することを示す実験である。
【0070】
まず、DSCR2及びHCCA3をFlagタグで標識した融合タンパク質をコードするDNAを調製した後、「FuGENE 6 transfection reagent(Roche社製)」を用いてHEK293T細胞にそのDNAをトランスフェクトし、細胞内にFlagで標識されたDSCR2(又はFlagで標識されたHCCA3)を発現させた。
【0071】
次に、それらの細胞を、1%Triton X−100 lysis bufferを用いて溶解し、細胞抽出液を得た後、M2アガロース(Sigma社製)を用いて免疫沈降を行った。「M2」は抗Flag−M2モノクローナル抗体のことであり、Flagタグに特異的に結合する。従って、M2アガロースを用いて免疫沈降を行うことにより、Flagタグで標識されたタンパク質とその相互作用複合体を特異的に回収できる。
【0072】
次に、M2アガロースから相互作用複合体を溶出し、その相互作用複合体についてSDS−PAGE(ドデシル硫酸−ポリアクリルアミドゲル電気泳動、以下同じ)を行った後、抗プロテアソーム抗体又は抗Flag−M2モノクローナル抗体を用いて免疫ブロットを行った。
【0073】
結果を図5に示す。図5は、抗Flag−M2モノクローナル抗体を用いて免疫沈降を行った場合における免疫ブロット写真である。
【0074】
図中、「Flag−PAC1」はFlagタグで標識されたDSCR2をトランスフェクトし、免疫沈降を行った場合における免疫ブロット写真であることを、「Flag−PAC2」はFlagタグで標識されたHCCA3をトランスフェクトし、免疫沈降を行った場合における免疫ブロット写真であることを、「Flag」は、Flagタグのみをトランスフェクトし、免疫沈降を行った場合における免疫ブロット写真(コントロール)であることを、それぞれ表す。
【0075】
図中、「IP(ImmunoPrecipitation)」は免疫沈降を行った場合における免疫ブロット写真であることを、「Input」は免疫沈降を行う前の細胞抽出液について行った免疫ブロット写真(コントロール)であることを、それぞれ表す。
【0076】
図中、「MG132」の欄は、IG132添加の有無を示し、「+」は、トランスフェクトしたHEK293T細胞の培養液中に、IG132を添加したことを、「−」は添加していないことを、それぞれ表す。なお、「IG132」は、プロテアソーム活性阻害剤である。
【0077】
図中、「Flag」、「α6」、「β5」、「β6」の各段は、それぞれ、抗Flag抗体(抗Flag−M2モノクローナル抗体)、抗プロテアソームα6サブユニット抗体、抗プロテアソームβ5サブユニット抗体、抗プロテアソームβ6サブユニット抗体を用いて免疫ブロットを行ったことを表す。
【0078】
図5中、一番左側の免疫ブロット写真(コントロール)と真ん中の免疫ブロット写真とを比較した場合、一番左側の免疫ブロット写真では、右側の二つのレーンにおいて、「α6」、「β5」、「β6」の各段でバンドは検出されなかったのに対し、真ん中の免疫ブロット写真では、右側の二つのレーンにおいて、「α6」、「β5」、「β6」の各段でバンドが検出された。この結果は、抗Flag抗体を用いて免疫沈降を行い、Flagで標識されたDSCR2(Flag−PAC1)の相互作用複合体を回収するとその免疫沈降物中に、プロテアソームの各サブユニットが存在することを示す。
【0079】
同様に、図5中、一番左側の免疫ブロット写真(コントロール)と一番右側の免疫ブロット写真とを比較した場合、一番左側の免疫ブロット写真では、右側の二つのレーンにおいて、「α6」、「β5」、「β6」の各段でバンドは検出されなかったのに対し、一番右側の免疫ブロット写真では、右側の二つのレーンにおいて、「α6」、「β5」、「β6」の各段でバンドが検出された。この結果は、抗Flag抗体を用いて免疫沈降を行い、Flagで標識されたHCCA3(Flag−HCCA3)の相互作用複合体を回収するとその免疫沈降物中に、プロテアソームの各サブユニットが存在することを示す。
【0080】
なお、発明者らによるその後の解析により、DSCR2及びHCCA3は、ともに、プロテアソームのα5サブユニット又はα7サブユニットと、直接、相互作用することが分かった。従って、本実験結果は、DSCR2及びHCCA3が、α5サブユニット又はα7サブユニットを介して、α6、β5、β6の各サブユニットとも相互作用していたと推測する。即ち、本実験結果は、DSCR2及びHCCA3が、α5サブユニット又はα7サブユニットと、直接、相互作用するとともに、プロテアソーム全体と相互作用することを示唆する。
【実施例2】
【0081】
実施例2では、DSCR2及びHCCA3が、プロテアソーム形成のどの過程でプロテアソームと相互作用するか、密度勾配超遠心法を用いて検証した。
【0082】
まず、Flagタグで標識したDSCR2又はHCCA3を安定的に発現するHeLa細胞を樹立した。次に、その細胞をIFN−γ存在下で培養し、プロテアソームを成熟化させた後、1%Triton X−100 lysis bufferを用いて溶解し、細胞抽出液を得た。次に、32〜8%グリセロールを順に重層し、その上にさらに細胞抽出液を重層した後、10万Gで22時間超遠心を行った。そして、密度勾配により、22のフラクションに分画した。
【0083】
次に、各フラクションからサンプル(タンパク質複合体)を回収した後、各フラクションについて、実施例1と同様に、抗Flag抗体を用いて免疫沈降を行い、Flagタグで標識されたタンパク質又はその相互作用複合体を回収した。そして、回収した相互作用複合体についてSDS−PAGEを行った後、抗プロテアソーム抗体を用いて免疫ブロットを行った。
【0084】
結果を図6に示す。図6は、密度勾配超遠心法により回収した10番目と16番目のフラクションについて、抗Flag−M2モノクローナル抗体を用いて免疫沈降を行った場合における免疫ブロット写真である。
【0085】
図中、「IP:anti−Flag」は、抗Flag抗体を用いて免疫沈降を行い、Flagタグで標識されたタンパク質とその相互作用複合体を回収したことを表す。
【0086】
図中、「Flag−PAC1」は、免疫沈降により、Flagタグで標識されたDSCR2とその相互作用複合体を回収した結果であることを、「Flag−PAC2」は、免疫沈降により、Flagタグで標識されたHCCA3とその相互作用複合体を回収した結果であることを、「Mock」は、Flagで標識されたタンパク質を発現させていない細胞を用いて同様の実験を行った場合の結果(コントロール)であることを、それぞれ表す。
【0087】
図中、「Fr#」は、フラクション番号を表す。なお、フラクション10は、20Sプロテアソーム形成過程の未成熟な20Sプロテアソームが回収される分画であり、フラクション16は、成熟した20Sプロテアソームが回収される分画である。
【0088】
図中、「Flag」、「α3」「α6」、「β1i」、「hUMP1」の各段は、それぞれ、抗Flag抗体、抗プロテアソームα3サブユニット抗体、抗プロテアソームα6サブユニット抗体、抗プロテアソームβ1iサブユニット抗体、抗hUMP1抗体を用いて免疫ブロットを行ったことを表す。なお、プロテアソームβ1iサブユニットは、β1サブユニットの活性化状態(成熟した状態)である。
【0089】
図中の右側に記載された矢印は、検出されるバンドの位置を表す。即ち、「PAC1」の矢印はDSCR2のバンドの位置を、「PAC2」の矢印はHCCA3のバンドの位置を、それぞれ表す。また、「Precursor」の矢印は、プロテアソームβ1サブユニットの未成熟型のバンドの位置を、「Mature」の矢印は成熟型のバンドの位置を、それぞれ表す。
【0090】
図6の真ん中の免疫ブロット写真において、フラクション10のレーンでは、「α3」「α6」、「β1i」、「hUMP1」の各位置のバンドが濃く検出されたのに対し、フラクション16のレーンでは、「α3」「α6」、「β1i」、「hUMP1」の各位置のバンドが薄くなった。
【0091】
同様に、図6の右側の免疫ブロット写真においても、フラクション10のレーンでは、「α3」「α6」、「β1i」、「hUMP1」の各位置のバンドが濃く検出されたのに対し、フラクション16のレーンでは、「α3」「α6」、「β1i」、「hUMP1」の各位置のバンドが薄くなった。
【0092】
この結果は、DSCR2及びHCCA3が、プロテアソーム形成の初期段階で、プロテアソームと相互作用すること、即ち、両タンパク質が、プロテアソームの組立ての初期段階に深く関わっていることを強く示唆する。
【実施例3】
【0093】
実施例3は、DSCR2とHCCA3が直接相互作用し、複合体を形成することを示す実験である。
【0094】
まず、pGEX6P−1(Amersham社製)を用いて、GSTタグ及びHAタグを融合したDSCR2又はHCCA3のcDNAをサブクローン化した。次に、「TNT T7 QUICK for PCR DNA system(Promega社製)」を用いて、無細胞タンパク質合成系でそれらの融合タンパク質を合成し、かつ、35Sメチオニンで放射性ラベル化した。
【0095】
次に、GSTタグを融合したDSCR2とHAタグを融合したDSCR2又はHCCA3、並びにGSTタグを融合したHCCA3とHAタグを融合したHCCA3又はDSCR2、をそれぞれ同一試験管内に入れ、1時間インキュベートした後、Glutatione−Sepharose 4Bビーズ(Amersham社製)にGST融合タンパク質(DSCR2)を吸着させた。次に、ビーズに吸着したGST融合タンパク質を溶出バッファーで溶出し、SDS−PAGEを行い、オートラジオグラフィーにより、各タンパク質のバンドを検出した。
【0096】
結果を図7に示す。図7中、左側の写真は、GSTタグを融合したDSCR2とHAタグを融合したDSCR2又はHCCA3を混合した場合におけるオートラジオグラフィー写真、右側の写真は、GSTタグを融合したHCCA3とHAタグを融合したHCCA3又はDSCR2を混合した場合におけるオートラジオグラフィー写真である。
【0097】
図中、「pulldown」は、Glutatione−Sepharose 4Bビーズを用いてGST融合タンパク質を回収した場合におけるオートラジオグラフィー写真であることを、「Input」は、無細胞タンパク質合成系で合成した全タンパク質についてのオートラジオグラフィー写真(コントロール)であることを、それぞれ表す。
【0098】
左側の写真中、「GST−PAC1」はGSTタグを融合したDSCR2を、「HA−PAC1」はHAタグを融合したDSCR2を、「HA−PAC2」はHAタグを融合したHCCA3を、それぞれ表す。また、右側の写真中、「GST−PAC2」はGSTタグを融合したHCCA3を、「HA−PAC2」はHAタグを融合したHCCA3を、「HA−PAC1」はHAタグを融合したDSCR2を、それぞれ表す。そして、「+」はその融合タンパク質を添加したことを、「−」は添加しなかったことを、それぞれ表す。なお、各写真の右側に記載された矢印は、各タンパク質のバンドの位置を表す。
【0099】
図7の左側の写真が示す通り、GSTタグを融合したDSCR2とHAタグを融合したHCCA3とを混合した場合は、HAタグを融合したHCCA3のバンドが検出されたのに対し(一番右側のレーン参照)、GSTタグを融合したDSCR2とHAタグを融合したDSCR2とを混合した場合は、HAタグを融合したDSCR2のバンドは検出されなかった。
【0100】
同様に、図7の右側の写真が示す通り、GSTタグを融合したHCCA3とHAタグを融合したDSCR2とを混合した場合は、HAタグを融合したDSCR2のバンドが検出されたのに対し(右から二番目のレーン参照)、GSTタグを融合したHCCA3とHAタグを融合したHCCA3とを混合した場合は、HAタグを融合したHCCA3のバンドは検出されなかった。
【0101】
これらの結果は、DSCR2とHCCA3は、ヘテロダイマー(複合体)を形成すること、及び、それぞれのタンパク質同士のホモダイマーは形成しないことを示す。
【実施例4】
【0102】
実施例4では、RNA干渉により、DSCR2、HCCA3、hUMP1の各タンパク質の発現をそれぞれ抑制した場合における、プロテアソームαサブユニットの動態を調べた。
【0103】
まず、siRNA(short interfering RNA)を作製した。DSCR2を標的としたsiRNAの塩基配列を配列番号4に、HCCA3を標的としたsiRNAの塩基配列を配列番号5に、hUMP1を標的としたsiRNAの塩基配列を配列番号6及び配列番号7に、それぞれ示す。なお、hUMP1を標的とするsiRNAは、両者を混合して用いた。
【0104】
次に、「FuGENE 6 transfection reagent(Roche社製)」を用いて、HEK293T細胞に各siRNAをそれぞれトランスフェクトし、標的とするタンパク質の発現を抑制した。
【0105】
次に、トランスフェクションから72時間培養を行った後、それらの細胞を、1%Triton X−100 lysis bufferを用いて溶解し、細胞抽出液を得た。
【0106】
次に、その細胞抽出液についてSDS−PAGEを行った。これにより、細胞中において、単独で存在した各サブユニット及び20Sプロテアソームを分離した。
【0107】
次に、抗プロテアソームαサブユニット抗体を用いて免疫ブロットを行った。そして、単独で存在する各αサブユニットと、20Sプロテアソームとして存在する各αサブユニットの両者を染色した。抗プロテアソームαサブユニット抗体には、それぞれ、抗α3抗体、抗α4抗体、抗α5抗体、抗α6抗体、抗α7抗体、の各抗体を用いた。
【0108】
次に、免疫ブロットの結果をコンピューターに取り込み、バンドの濃淡を数値化した。そして、細胞中において単独で遊離して存在しているサブユニット(free form)を示すバンドと、20Sプロテアソームを示すバンド(20Sプロテアソームの構成サブユニットとして存在しているサブユニットを示すバンド)の両者について、その濃淡を表す数値を取得し、前者を後者で除して、各αサブユニットの動態に関する相対値を取得した。
【0109】
結果を図8に示す。図8は、RNA干渉により各遺伝子の発現を抑制した場合における、プロテアソームの各αサブユニットの動態を示すグラフである。
【0110】
図8のグラフの縦軸「Relative Ratio(Free/20S)」は、各αサブユニットの動態に関する相対値を表す。特定の抗プロテアソームαサブユニット抗体を用いて免疫ブロットを行った場合における、細胞中において単独で遊離して存在しているサブユニット(free form)のバンドの濃淡を表す数値を、20Sプロテアソームを示すバンドの濃淡を表す数値で除した値である。
【0111】
図8のグラフの横軸は、RNA干渉(RNA interference;RNAi)により発現抑制を行ったタンパク質を表す。「PAC1」の欄はDSCR2の発現を抑制したことを、「PAC2」の欄はHCCA3の発現を抑制したことを、「hUMP1」の欄はhUMP1の発現を抑制したことを、それぞれ表す。「Control」はRNA干渉による遺伝子の発現抑制を行わなかった場合における結果(コントロール)であることを表す。
【0112】
図中、「α3」〜「α7」は、それぞれ、その抗プロテアソームαサブユニット抗体を用いて免疫ブロットを行った場合の結果であることを表す。
【0113】
図8では、いずれの抗プロテアソームαサブユニット抗体を用いた場合においても、DSCR2又はHCCA3の発現を抑制すると、20Sプロテアソームの構成サブユニットとして存在するサブユニットに比べ、単独で遊離して存在するサブユニットの割合が増大した。このことは、DSCR2及びHCCA3が、20Sプロテアソームの形成に関与することを示唆し、また、それらの遺伝子の発現を抑制することにより、プロテアソーム形成を抑制できることを示唆する。
【0114】
加えて、図8では、いずれの抗プロテアソームαサブユニット抗体を用いた場合においても、hUMP1の発現を抑制すると、20Sプロテアソームの構成サブユニットとして存在するサブユニットに比べ、単独で遊離して存在するサブユニットの割合が大幅に増大した。このことは、hUMP1が、ヒトにおいても、20Sプロテアソーム形成に関与していることを示唆し、また、hUMP1の発現を抑制することにより、プロテアソーム形成を抑制できることを示唆する。
【0115】
なお、発明者らの別途解析では、hUMP1の発現を抑制した場合、プロテアソームのαリング形成量は正常であるが、20Sプロテアソーム形成量は減少することが示唆された。従って、それらの各知見を総合すると、hUMP1は、ヒトにおいても、20Sプロテアソーム形成、特に、ハーフプロテアソームの二量体化に関与していると考える。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】20Sプロテアソームの形成機序を示した模式図。
【図2】DSCR2とHCCA3との相互作用を阻害又は抑制する物質を示す模式図。
【図3】プロテアソームとDSCR2又はHCCA3との相互作用を阻害又は抑制する物質を示す模式図。
【図4】プロテアソームとhUmp1との相互作用を阻害又は抑制する物質を示す模式図。
【図5】実施例1において、抗Flag−M2モノクローナル抗体を用いて免疫沈降を行った場合における免疫ブロット写真。
【図6】実施例2において、密度勾配超遠心法により回収した10番目と16番目のフラクションについて、抗Flag−M2モノクローナル抗体を用いて免疫沈降を行った場合における免疫ブロット写真。
【図7】実施例3において、DSCR2とHCCA3がヘテロダイマーを形成することを示すオートラジオグラフィー写真。
【図8】実施例4において、RNA干渉により各遺伝子の発現を抑制した場合における、プロテアソームの各αサブユニットの動態を示すグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロテアソームと相互作用するDSCR2。
【請求項2】
HCCA3と複合体を形成することを特徴とする請求項1記載のDSCR2。
【請求項3】
プロテアソームのα5サブユニット及び/又はα7サブユニットと相互作用することを特徴とする請求項1記載のDSCR2。
【請求項4】
プロテアソームと相互作用するHCCA3。
【請求項5】
DSCR2と複合体を形成することを特徴とする請求項4記載のHCCA3。
【請求項6】
プロテアソームのα5サブユニット及び/又はα7サブユニットと相互作用することを特徴とする請求項4記載のHCCA3。
【請求項7】
プロテアソームと相互作用するhUmp1。
【請求項8】
プロテアソームのβサブユニットと相互作用することを特徴とする請求項7記載のhUmp1。
【請求項9】
DSCR2とHCCA3の相互作用を阻害又は抑制する物質を少なくとも含有する抗がん剤。
【請求項10】
前記物質は、DSCR2の立体構造中の、HCCA3との結合部位に対して特異的に結合する物質であることを特徴とする請求項9記載の抗がん剤。
【請求項11】
前記物質は、DSCR2の立体構造中の、HCCA3との結合部位の近傍に結合することにより、前記相互作用を阻害又は抑制する物質であることを特徴とする請求項9記載の抗がん剤。
【請求項12】
前記物質は、DSCR2と結合して、前記タンパク質の立体構造を変化させる物質であることを特徴とする請求項9記載の抗がん剤。
【請求項13】
前記物質は、HCCA3の立体構造中の、DSCR2との結合部位に対して特異的に結合する物質であることを特徴とする請求項9記載の抗がん剤。
【請求項14】
前記物質は、HCCA3の立体構造中の、DSCR2との結合部位の近傍に結合することにより、前記相互作用を阻害又は抑制する物質であることを特徴とする請求項9記載の抗がん剤。
【請求項15】
前記物質は、HCCA3と結合して、前記タンパク質の立体構造を変化させる物質であることを特徴とする請求項9記載の抗がん剤。
【請求項16】
前記物質は、抗DSCR2抗体、抗DSCR2アプタマー、抗HCCA3抗体、抗HCCA3アプタマー、のいずれかであることを特徴とする請求項9記載の抗がん剤。
【請求項17】
プロテアソームとDSCR2又はHCCA3との相互作用を阻害又は抑制する物質を少なくとも含有する抗がん剤。
【請求項18】
前記物質は、プロテアソームのα5サブユニット又はα7サブユニットの立体構造中の、DSCR2又はHCCA3との結合部位に対して特異的に結合する物質であることを特徴とする請求項17記載の抗がん剤。
【請求項19】
前記物質は、プロテアソームのα5サブユニット又はα7サブユニットの立体構造中の、DSCR2又はHCCA3との結合部位の近傍に結合することにより、前記相互作用を阻害又は抑制する物質であることを特徴とする請求項17記載の抗がん剤。
【請求項20】
前記物質は、DSCR2又はHCCA3の立体構造中の、プロテアソームのα5サブユニット又はα7サブユニットとの結合部位に対して特異的に結合する物質であることを特徴とする請求項17記載の抗がん剤。
【請求項21】
前記物質は、DSCR2又はHCCA3の立体構造中の、プロテアソームのα5サブユニット又はα7サブユニットとの結合部位の近傍に結合することにより、前記相互作用を阻害又は抑制する物質であることを特徴とする請求項17記載の抗がん剤。
【請求項22】
前記物質は、DSCR2又はHCCA3と結合して、前記いずれかのタンパク質の立体構造を変化させる物質であることを特徴とする請求項17記載の抗がん剤。
【請求項23】
前記物質は、抗DSCR2抗体、抗DSCR2アプタマー、抗HCCA3抗体、抗HCCA3アプタマー、抗プロテアソームα5サブユニット抗体、抗プロテアソームα5サブユニットアプタマー、抗プロテアソームα7サブユニット抗体、抗プロテアソームα7サブユニットアプタマーのいずれかであることを特徴とする請求項17記載の抗がん剤。
【請求項24】
プロテアソームとhUmp1との相互作用を阻害又は抑制する物質を少なくとも含有する抗がん剤。
【請求項25】
前記物質は、プロテアソームのβサブユニットの立体構造中の、hUmp1との結合部位に対して特異的に結合する物質であることを特徴とする請求項24記載の抗がん剤。
【請求項26】
前記物質は、プロテアソームのβサブユニットの立体構造中の、hUmp1との結合部位の近傍に結合することにより、前記相互作用を阻害又は抑制する物質であることを特徴とする請求項24記載の抗がん剤。
【請求項27】
前記物質は、hUmp1の立体構造中の、プロテアソームのβサブユニットとの結合部位に対して特異的に結合する物質であることを特徴とする請求項24記載の抗がん剤。
【請求項28】
前記物質は、hUmp1の立体構造中の、プロテアソームのβサブユニットとの結合部位の近傍に結合することにより、前記相互作用を阻害又は抑制する物質であることを特徴とする請求項24記載の抗がん剤。
【請求項29】
前記物質は、hUmp1と結合して、前記タンパク質の立体構造を変化させる物質であることを特徴とする請求項24記載の抗がん剤。
【請求項30】
前記物質は、抗hUmp1抗体、抗hUmp1アプタマー、抗プロテアソームβサブユニット抗体、抗プロテアソームβサブユニットアプタマーのいずれかであることを特徴とする請求項24記載の抗がん剤。
【請求項31】
請求項1記載のDSCR2の発現を抑制する物質を少なくとも含有する抗がん剤。
【請求項32】
前記物質は、DSCR2をコードする遺伝子の塩基配列の一部と同じ塩基配列を有する二本鎖RNAであって、RNA干渉によって、前記タンパク質の発現を抑制する二本鎖RNAであることを特徴とする請求項31記載の抗がん剤。
【請求項33】
前記物質は、DSCR2のプロモーター領域に作用する物質であることを特徴とする請求項31記載の抗がん剤。
【請求項34】
請求項4記載のHCCA3の発現を抑制する物質を少なくとも含有する抗がん剤。
【請求項35】
前記物質は、HCCA3をコードする遺伝子の塩基配列の一部と同じ塩基配列を有する二本鎖RNAであって、RNA干渉によって、前記タンパク質の発現を抑制する二本鎖RNAであることを特徴とする請求項34記載の抗がん剤。
【請求項36】
前記物質は、HCCA3のプロモーター領域に作用する物質であることを特徴とする請求項34記載の抗がん剤。
【請求項37】
請求項7記載のhUmp1のの発現を抑制する物質を少なくとも含有する抗がん剤。
【請求項38】
前記物質は、hUmp1をコードする遺伝子の塩基配列の一部と同じ塩基配列を有する二本鎖RNAであって、RNA干渉によって、前記タンパク質の発現を抑制する二本鎖RNAであることを特徴とする請求項37記載の抗がん剤。
【請求項39】
前記物質は、hUmp1のプロモーター領域に作用する物質であることを特徴とする請求項37記載の抗がん剤。
【請求項40】
DSCR2とHCCA3との相互作用を阻害又は抑制する物質を探索する抗がん剤のスクリーニング方法。
【請求項41】
プロテアソームとDSCR2又はHCCA3との相互作用を阻害又は抑制する物質を探索する抗がん剤のスクリーニング方法。
【請求項42】
プロテアソームとhUmp1との相互作用を阻害又は抑制する物質を探索する抗がん剤のスクリーニング方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−119382(P2007−119382A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−312041(P2005−312041)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】