説明

タンパク質間相互作用の高感度検出方法

【課題】著しく検出感度の高いスプリットルシフェラーゼによるアッセイ系を提供する。
【解決手段】相互に結合能を有する第1のタンパク質と第2のタンパク質との結合を検出する際、第1のタンパク質を特定のアミノ酸配列からなるペプチドに融合させた第1の融合タンパク質を作製し、第2のタンパク質を他の特定のアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列からなるペプチドに融合させた第2の融合タンパク質を作製し、第1の融合タンパク質と第2の融合タンパク質とを相互作用させ、複合体を形成させたあとで、その複合体の発光活性を調べる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質間相互作用を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、スプリットルシフェラーゼのフラグメントの相補性を利用して、目的とする2つのタンパク質の相互作用を検出する系が開発された。タンパク質間相互作用を検出するため、相補性を利用する方法としては、一般に、スプリットしたリポータータンパク質の各フラグメントを、目的とするタンパク質と融合するが、その際、そのどちらのフラグメントも自らは有意な活性を保持しないようにしておく。目的とするタンパク質同士が相互作用すると、2つの不活性なリポータータンパク質フラグメントは、活性を復活するように互いに相補し、そのタンパク質間相互作用を間接的に追跡するための読み出しシグナルを出す。
【0003】
ジヒドロ葉酸還元酵素、β‐ラクタマーゼ緑色蛍光タンパク質をはじめとする様々なレポータータンパク質に関して、このような相補性を利用する方法が用いられてきた。また、ウミシイタケルシフェラーゼ、ホタルルシフェラーゼ、赤色発光コメツキムシルシフェラーゼ、緑色発光コメツキムシルシフェラーゼなど、数種類のルシフェラーゼも用いられてきた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Kim, S. B., Ozawa, T., Watanabe, S., Umezawa, Y., 2004.Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 101, 11542-11547
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、著しく検出感度の高いスプリットルシフェラーゼによるアッセイ系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意努力したところ、ブラジル産ヒカリコメツキムシ(Pyrearinus termitilluminans)に由来するルシフェラーゼを用い、配列番号1を有するC端側断片と配列番号2〜6のいずれかを有するN端断片を、それぞれ、相互に結合する2つのタンパク質に融合させ、その2つの融合タンパク質を結合させたときに、従来より約30倍以上の強度の光が放出されることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明の1つの実施形態はアミノ酸配列番号1のアミノ酸配列を有する融合タンパク質である。また、別の実施形態は、アミノ酸配列番号2〜6からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する融合タンパク質である。
【0008】
なお、本明細書で、「タンパク質がアミノ酸配列を有する」とは、当該タンパク質が当該アミノ酸配列を含んでいることを意味し、当該アミノ酸配列以外のアミノ酸配列を含んでもよいものとする。また、「融合タンパク質」とは、ヒカリコメツキムシ・ルシフェラーゼに由来するペプチド(本発明において、具体的には、アミノ酸配列番号1〜6からなる群より選択されるアミノ酸配列からなるペプチド)とヒカリコメツキムシ・ルシフェラーゼに由来しないペプチドとが融合したタンパク質のことをいう。
【0009】
また、別の実施形態は、アミノ酸配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドを有する融合タンパク質とアミノ酸配列番号2〜6からなる群より選択されるアミノ酸配列からなるペプチドを有する融合タンパク質の複合体である。
【0010】
また、別の実施形態は、アミノ酸配列番号1〜6からなる群より選択されるアミノ酸配列からなるペプチドをコードするDNAである。また、このDNAを含み、アミノ酸配列番号1〜6からなる群より選択されるアミノ酸配列からなるペプチドに融合させた融合タンパク質を発現することができる発現ベクターであってもよい。
【0011】
さらに、別の実施形態は、アミノ酸配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドを有するタンパク質を発現する発現ベクターと、アミノ酸配列番号2〜6からなる群より選択されるアミノ酸配列からなるペプチドを有するタンパク質を発現する発現ベクターを含有するタンパク質相互作用検出キットである。
【0012】
さらに、別の実施形態は、アミノ酸配列番号1のアミノ酸配列を有する融合タンパク質を検出する方法であって、当該融合タンパク質を、アミノ酸配列番号2〜6からなる群より選択されるアミノ酸配列を有し、当該融合タンパク質に結合する結合融合タンパク質と相互作用させ、複合体を形成させる工程と前記複合体から放出される光を検出する工程と、を含むことを特徴とする方法である。
【0013】
また、別の実施形態は、アミノ酸配列番号2〜6からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する融合タンパク質を検出する方法であって、当該融合タンパク質を、アミノ酸配列番号1のアミノ酸配列を有し、当該タンパク質に結合する結合融合タンパク質と相互作用させ、複合体を形成させる工程と前記複合体から放出される光を検出する工程と、を含むことを特徴とする方法である。
【0014】
また、別の実施形態は、アミノ酸配列番号1のアミノ酸配列を有する第1の融合タンパク質と、アミノ酸配列番号2〜6からなる群より選択されるアミノ酸配列を有し、第1のタンパク質に結合する結合融合タンパク質との複合体の検出方法であって、前記複合体から放出される光を検出する工程を含むことを特徴とする方法である。
【0015】
また、別の実施形態は、相互に結合能を有する第1の融合タンパク質と第2の融合タンパク質との結合を検出する方法であって、第1の融合タンパク質はアミノ酸配列番号1のアミノ酸配列を有し、第2の融合タンパク質はアミノ酸配列番号2〜6からなる群より選択されるアミノ酸配列を有し、第1の融合タンパク質と第2の融合タンパク質とを相互作用させ、複合体を形成させる工程と、前記複合体から放出される光を検出する工程と、を含むことを特徴とする方法である。また、この検出方法は、アミノ酸配列番号1のアミノ酸配列を第1のタンパク質に融合させて、第1の融合タンパク質を製造する工程と、アミノ酸配列番号2〜6からなる群より選択されるアミノ酸配列を第2のタンパク質に融合させて、第2の融合タンパク質を製造する工程と、をさらに含んでもよい。
【0016】
さらに、別の実施形態は、第1の融合タンパク質に結合する結合融合タンパク質を融合タンパク質ライブラリーからスクリーニングする方法であって、第1の融合タンパク質はアミノ酸配列番号1のアミノ酸配列を有し、融合タンパク質ライブラリーに含まれる複数の第2の融合タンパク質はアミノ酸配列番号2〜6からなる群より選択されるアミノ酸配列を有し、第1の融合タンパク質と第2の融合タンパク質とを相互作用させる工程と、放出される光を検出することにより、第1の融合タンパク質と複合体を形成する結合融合タンパク質を同定する工程と、を含むことを特徴とする方法である。
【0017】
また、別の実施形態は、第1の融合タンパク質に結合する結合融合タンパク質をスクリーニングする方法であって、第1の融合タンパク質はアミノ酸配列番号2〜6からなる群より選択されるアミノ酸配列を有し、複数の第2の融合タンパク質はアミノ酸配列番号1のアミノ酸配列を有し、第1の融合タンパク質と第2の融合タンパク質とを相互作用させる工程と、放出される光を検出することにより、第1の融合タンパク質と複合体を形成する結合融合タンパク質を同定する工程と、を含むことを特徴とする方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によって、著しく検出感度の高いスプリットルシフェラーゼによるアッセイ系を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1−1】図1Aはヒカリコメツキムシ・ルシフェラーゼのcDNAの塩基配列である。
【図1−2】図1Bは、本発明の一実施例において、plucNおよびplucCを作製するのに用いたPCRプライマーのリストである。
【図1−3】図1Cは、pcDNA3.1/myc-His(B)において、pcDNA3.1のマルチクローニングサイトに挿入されたDNAの塩基配列である。
【図1−4】図1Dは、pcDNA4/V5-His(B) において、pcDNA4のマルチクローニングサイトに挿入されたDNAの塩基配列である。
【図2−1】本発明の一実施例において、pFRB-lucC389〜pFRB-lucC391とplucN404-FKBP〜 plucN417-FKBPとの組み合わせを用い、ルシフェラーゼスプリットアッセイにおける発光強度を調べた結果を表すグラフである。各サンプルにつき、棒グラフの左棒がラパマイシン含有培地での結果であり、右棒がDMSO含有培地での結果である。
【図2−2】本発明の一実施例において、pFRB-lucC392〜pFRB-lucC394とplucN404-FKBP〜 plucN417-FKBPとの組み合わせを用い、ルシフェラーゼスプリットアッセイにおける発光強度を調べた結果を表すグラフである。各サンプルにつき、棒グラフの左棒がラパマイシン含有培地での結果であり、右棒がDMSO含有培地での結果である。
【図3−1】本発明の一実施例において、pFRB-lucC394〜pFRB-lucC399とplucN404-FKBP〜plucN417-FKBPとの組み合わせを用い、ルシフェラーゼスプリットアッセイにおける発光強度を調べた結果を表すグラフである。各サンプルにつき、棒グラフの左棒がラパマイシン含有培地での結果であり、右棒がDMSO含有培地での結果である。
【図3−2】本発明の一実施例において、pFRB-lucC400〜pFRB-lucC403とplucN404-FKBP〜plucN417-FKBPとの組み合わせを用い、ルシフェラーゼスプリットアッセイにおける発光強度を調べた結果を表すグラフである。各サンプルにつき、棒グラフの左棒がラパマイシン含有培地での結果であり、右棒がDMSO含有培地での結果である。
【図3−3】本発明の一実施例において、pFRB-lucC404〜pFRB-lucC407とplucN404-FKBP〜plucN417-FKBPとの組み合わせを用い、ルシフェラーゼスプリットアッセイにおける発光強度を調べた結果を表すグラフである。各サンプルにつき、棒グラフの左棒がラパマイシン含有培地での結果であり、右棒がDMSO含有培地での結果である。
【図4】本発明の一実施例において、pFRB-lucC394とplucN412-FKBP〜plucN416-FKBPとの組み合わせを用い、ルシフェラーゼスプリットアッセイにおける発光強度を調べた結果を表すグラフ及び表である。表においては、Rap+は結合を誘導した時の発光強度、DMSOは結合を誘導しない時の発光強度(すなわち、バックグラウンド)、STDEV-RはRap+で結合を誘導した時の標準偏差、STDEV-DはDMSOで結合を誘導しない時の標準偏差を表す。グラフにおいては、各サンプルにつき、棒グラフの左棒がラパマイシン含有培地での結果であり、右棒がDMSO含有培地での結果である。
【図5】本発明の一実施例において、plucN415-FKBP とpFRB-lucC394の組み合わせと、従来のpTlucN-FKBPとpFRB-GlucCの組み合わせとを用い、ルシフェラーゼスプリットアッセイにおける発光強度を比較した結果を表す表である。記号は図4と同じ意味を表す。
【図6】本発明の一実施例において、pSSTR2-lucC394とplucN415-arrestinを導入してSSTR2-lucC394とlucN415-arrestinをそれぞれ一過的に発現させたHEK293細胞に対し、ソマトスタチンを添加した場合としない場合において、発光強度を比較した結果を示すグラフである。x軸はソマトスタチンの有り(+)と無し(−)を、y軸は光子数(x104個)を表す。
【図7】本発明の一実施例において、HEK293-ARRB2-SSTR2細胞株を、様々な濃度のソマトスタチンまたはそのアナログ(RIM23052またはBIM23056)で刺激した後に発光を測定したときのdose-responseカーブを示すグラフである。x軸は各試薬の濃度(log[モル濃度])を、y軸は光子数(x104個)を表す。
【図8】本発明の一実施例において、HEK293-ARRB2-SSTR2細胞株を1x10-6Mのソマトスタチンで刺激した後、時間経過を追って発光を測定したときのtime-responseカーブを示すグラフである。x軸は時間(分)を、y軸は光子数(x104個)を表す。
【図9】GPCRに対して行った実験において、用いたGPCRの名前、融合タンパク質を発現する発現ベクターを作製する際に用いたPCR用鋳型とプライマー配列、刺激するために用いたリガンド、発光が検出されたリガンド濃度(EC50)(単位はモル濃度)、最大発光が観察される刺激後の時間(T)を記載した表である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、上記知見に基づき完成した本発明の実施の形態を、実施例を挙げながら詳細に説明する。実施の形態及び実施例に特に説明がない場合には、J. Sambrook, E. F. Fritsch & T. Maniatis (Ed.), Molecular cloning, a laboratory manual (3rd edition), Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York (2001); F. M. Ausubel, R. Brent, R. E. Kingston, D. D. Moore, J.G. Seidman, J. A. Smith, K. Struhl (Ed.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons Ltd.などの標準的なプロトコール集に記載の方法、あるいはそれを修飾したり、改変した方法を用いる。また、市販の試薬キットや測定装置を用いている場合には、特に説明が無い場合、それらに添付のプロトコルを用いる。
【0021】
なお、本発明の目的、特徴、利点、及びそのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば、容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態及び具体的な実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図並びに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々な改変並びに修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
【0022】
==原理==
本発明は、検出感度の高いルシフェラーゼスプリットアッセイ系を提供する。本アッセイ系では、ヒカリコメツキムシ・ルシフェラーゼ(図1Aに配列を記載)に由来する、アミノ酸配列番号1からなるアミノ酸配列と、アミノ酸配列番号2〜6からなる群より選択されるアミノ酸配列とを利用する。以下、本アッセイ系を行う方法について詳細に述べるが、ルシフェラーゼスプリットアッセイはすでに周知の技術であり、本明細書に記載されていない部分については、当業者は技術常識によって実行可能である。
【0023】
まず、アミノ酸配列番号1のアミノ酸配列(この部分ペプチドをlucCmaxと称する)を有する第1のタンパク質(第1の融合タンパク質と称する)と、アミノ酸配列番号2〜6からなる群より選択されるアミノ酸配列(この部分ペプチドをlucNmaxと称する)を有する第2のタンパク質(第2の融合タンパク質と称する)を合成する。ここで、第1のタンパク質と第2のタンパク質は、特定の条件で結合しうるタンパク質とする。
【0024】
各融合タンパク質は、化学合成しアッセイ系に導入してもよいが、後述するように、融合タンパク質をコードする発現ベクターを構築し、アッセイ系内で融合タンパク質を発現させてもよい。その場合、一過性発現でも恒常的発現でも構わない。なお、アッセイ系がin vitroの系の場合は前者が好ましく、細胞などのin vivoの系の場合は後者が好ましい。なお、各融合タンパク質において、lucCmaxまたはlucNmaxと、各タンパク質は、それぞれ、直接結合させてもよく、リンカーを介して結合させても良い。リンカーは、適当な長さを有する部分ペプチドであることが好ましい。
【0025】
アッセイ系に、両方の融合タンパク質を導入すると、第1のタンパク質と第2のタンパク質が結合する。それによってlucCmaxとlucNmaxが相互作用するような位置に来て、lucCmaxとlucNmaxがルシフェラーゼを再構築してルシフェラーゼ活性を回復し、適当な発光条件が与えられた時に光るようになる。ルシフェラーゼ活性の測定には、アッセイ系が細胞の場合、細胞培地にルシフェリンを投与してもよく、細胞抽出物を調製し、そこでルシフェラーゼ活性を測定してもよいが、市販のEmerald Luc Luciferase Assay Reagent/Lysis Solution(TOYOBO社)等を用いると容易に活性を測定できる。
【0026】
このアッセイ系では、lucCのアミノ酸配列を、アミノ酸配列番号1とし、lucNのアミノ酸配列を、アミノ酸配列番号2〜6からなる群より選択されるアミノ酸配列とすることによって、従来の約30倍以上の発光の強度が得られる。
【0027】
==発現ベクターの構築==
上述したように、アッセイ系内に融合タンパク質を導入するには、各融合タンパク質をコードする発現ベクターを構築し、アッセイ系内で融合タンパク質を発現させてもよい。
【0028】
ここで、アミノ酸配列番号1〜6からなる群より選択されるアミノ酸配列をコードするDNAを含むベクターを予め作製することにより、各融合タンパク質をコードする発現ベクターを容易に構築できるようになる。
【0029】
このベクターは、例えば、以下のような構成を有してもよい。アッセイ系内で機能する発現プロモーターの下流に、開始コドンであるATGを付加したlucNmaxをコードするDNAが挿入され、その直後にマルチクローニングサイトが設けられ、その後に転写終結シグナルがあるというような構成である。このマルチクローニングサイトに、目的のタンパク質をコードするDNAを、フレームを合わせて挿入することにより、lucNmaxとそのタンパク質との融合タンパク質を容易に発現させることができる。
【0030】
同様に、アッセイ系内で機能する発現プロモーターの下流に、開始コドンであるATGがあり、その下流に、マルチクローニングサイト及びlucCmaxをコードするDNAが、この順で挿入され、その後に転写終結シグナルがあるというような構成である。このマルチクローニングサイトに、目的のタンパク質をコードするDNAを、フレームを合わせて挿入することにより、lucCmaxとそのタンパク質との融合タンパク質を容易に発現させることができる。
【0031】
さらに、アミノ酸配列番号1のアミノ酸配列、すなわちlucCmaxをコードするDNAを含むベクターと、アミノ酸配列番号2〜6からなる群より選択されるアミノ酸配列、すなわちlucNmaxをコードするDNAを含むベクターとを含有するキットとすれば、タンパク質相互作用の検出等の目的で、容易に、lucCmaxまたはlucNmaxを有する融合タンパク質の発現ベクターを構築することができる。
【0032】
==アッセイ系の利用==
本発明系のアッセイ系を用いて、例えば、以下のような利用方法が考えられる。
【0033】
まず、lucCmaxを有する融合タンパク質を検出することができる。例えば、検出対象のタンパク質にlucCmaxを融合させた第1の融合タンパク質がアッセイ系内にある時、その検出対象タンパク質に結合する結合タンパク質にlucNmaxを融合させた第2の融合タンパク質をプローブとして準備し、アッセイ系内に導入する。すると、第2の融合タンパク質内の結合タンパク質は、第1の融合タンパク質内の検出対象のタンパク質に結合し、lucCmaxとlucNmaxが相互作用して、ルシフェラーゼ活性を有するようになる。そのルシフェラーゼ活性を検出することにより、lucCmaxを有する検出対象の融合タンパク質を検出することができる。具体的な一例としては、第1の融合タンパク質を発現する発現ベクターを作製し、細胞に導入する。第2の融合タンパク質を発現する発現ベクターを作製して第1の融合タンパク質を発現する細胞に導入した後、上述のように細胞のルシフェラーゼ活性を測定することにより、lucCmaxを有する融合タンパク質を検出できるようになる。
【0034】
次に、lucNmaxを有する融合タンパク質を検出することができる。例えば、検出対象となるタンパク質にlucNmaxを融合させた第1の融合タンパク質がアッセイ系内にある時、その検出対象タンパク質に結合する結合ペプチドにlucCmaxを融合させた第2の融合タンパク質をプローブとして準備し、アッセイ系内に導入する。すると、第2の融合タンパク質内の結合ペプチドは、第1の融合タンパク質内の検出対象ペプチドに結合し、lucNmaxとlucCmaxが相互作用して、ルシフェラーゼ活性を有するようになる。そのルシフェラーゼ活性を検出することにより、lucNmaxを有する検出対象の融合タンパク質を検出することができる。具体的な一例としては、第1の融合タンパク質を発現する発現ベクターを作製し、細胞に導入する。第2の融合タンパク質を発現する発現ベクターを作製して第1の融合タンパク質を発現する細胞に導入した後、上述のようにルシフェラーゼ活性を測定することにより、lucNmaxを有する融合タンパク質を検出できるようになる。
【0035】
さらに、lucNmaxを有する融合タンパク質とlucCmaxを有する融合タンパク質の複合体を検出することができる。これらの融合タンパク質が複合体を形成すると、lucNmaxとlucCmaxが相互作用して、ルシフェラーゼ活性を有するようになり、そのルシフェラーゼ活性を検出することにより、その複合体を検出することができるからである。検出方法としては、複合体が存在するアッセイ系をルシフェラーゼ活性が検出できる条件におけばよい。アッセイ系が細胞の場合、上述のようにルシフェラーゼ活性を測定すればよい。
【0036】
さらに、相互に結合能を有する第1のタンパク質と第2のタンパク質との結合を検出することができる。つまり、予め、第1のタンパク質にlucNmaxを融合させて第1の融合タンパク質を合成し、第2のタンパク質にlucCmaxを融合させて第2の融合タンパク質を合成しておけば、第1の融合タンパク質と第2の融合タンパク質とが結合した場合にルシフェラーゼ活性が検出されるようになるからである。この方法を用いれば、例えば、第1のタンパク質と第2のタンパク質が結合するかどうか調べることができる。つまり、第1のタンパク質にlucNmaxを融合させた第1の融合タンパク質と第2のペプチドにlucCmaxを融合させた第2の融合タンパク質を同一のアッセイ系に導入することにより、もし、第1のタンパク質と第2のタンパク質が結合すれば、ルシフェラーゼ活性が検出され、第1のタンパク質と第2のタンパク質が結合しなければ、ルシフェラーゼ活性は検出されない。具体的な一例としては、第1の融合タンパク質と第2の融合タンパク質を発現する発現ベクターをそれぞれ作製し、同一の細胞に導入する。その後、上述のようにルシフェラーゼ活性を測定することにより、細胞内で再構成されたルシフェラーゼが発光すれば、第1のタンパク質と第2のタンパク質が結合すると判断でき、発光しなければ、第1のタンパク質と第2のタンパク質が結合しないと判断できる。
【0037】
さらに、第1のタンパク質に結合する結合タンパク質をタンパク質ライブラリーからスクリーニングすることができる。すなわち、第1のタンパク質にlucNmaxまたはlucCmaxを融合させて第1の融合タンパク質を作製し、タンパク質ライブラリー中の第2のタンパク質に、それぞれlucCmaxまたはlucNmaxを融合させて第2の融合タンパク質を作製する。第1の融合タンパク質と第2の融合タンパク質とを相互作用させると、第2の融合タンパク質の中で、第1のタンパク質に結合する結合タンパク質を持つ融合タンパク質だけが、第1の融合タンパク質と複合体を形成する。従って、複合体から放出される光を検出し、その融合タンパク質を同定することにより、第1のタンパク質と複合体を形成する第2のタンパク質を同定することができる。具体的には、例えば、第1のタンパク質にlucNmaxを融合させた第1の融合タンパク質を発現する発現ベクターで形質転換した細胞を準備する。この細胞に、タンパク質がlucCmaxと融合した形態で発現するように構築されたcDNAライブラリーを導入した後、培地にルシフェリンを添加して発光した細胞を同定し、クローン化する。それぞれのクローンから、ライブラリー由来のDNAを回収して、発現している遺伝子を特定する。このようにして、第1のタンパク質と複合体を形成する第2のタンパク質のcDNAを得ることができる。
【実施例】
【0038】
<実施例1>
本実施例では、ラパマイシンの存在下で結合能をもつ相互作用タンパク質であるFKBP(NM_054014)およびFRB(NM_019906)を、それぞれヒカリコメツキムシ・ルシフェラーゼのN端側配列を有するペプチドlucNおよびC端側配列を有するペプチドlucCと融合させ、これらの融合タンパク質の組み合わせによって、発光能力が変化すること、また、その中でも、lucNmax(配列番号2〜6;1-412〜416番目のアミノ酸配列)およびlucCmax(配列番号1;394-542番目のアミノ酸配列)を用いた時、著しく発光活性が増強されることを示す。
【0039】
まず、ヒカリコメツキムシ・ルシフェラーゼのcDNA(図1Aに配列を示す)を鋳型とし図1Bに示すプライマーを用いてPCRを行って、N末端のアミノ酸から404番目〜417番目のアミノ酸配列を有する14種類のペプチドをコードするDNA断片14種類(これには、N-PtGR-F001とN-PtGR-R404〜R417の各ペアを用いた)、およびC末端のアミノ酸から389番目〜413番目のアミノ酸配列をコードするDNA断片25種類(これには、C-PtGR-R542とC-PtGR-F389〜F413の各ペアを用いた)を得た。N端領域をコードするDNAをHindIIIおよび BamHIで、pFKBPをBamHIおよびXhoIで、pcDNA3.1/myc-His(B)をHindIIIおよびXhoIで切断し、3分子ライゲーションを行い、14種類のplucN-FKBPを作製した。また、C端領域をコードするDNAをXhoIおよび SacIIで、pFRBをBamHIおよびXhoIで、pcDNA4/V5-His(B)をBamHIおよびSacIIで切断し、3分子ライゲーションを行い、25種類のpFRB-lucCを作製した。なお、pcDNA3.1/myc-His(B)(図1Cに、pcDNA3.1のマルチクローニングサイトに挿入されたDNAの塩基配列を示す)及びpcDNA4/V5-His(B) (図1Dに、pcDNA4のマルチクローニングサイトに挿入されたDNAの塩基配列を示す)は、それぞれ、配列番号7及び8の挿入配列を有するプラスミドベクターである。
【0040】
14種類のplucN-FKBPと25種類のpFRB-lucCの組み合わせのうち、元のルシフェラーゼのアミノ酸配列と比較して、元通りに再構築されるか(アミノ酸の重なりが0)、部分的に重なりを持って再構築されるか(アミノ酸の重なりが1以上)の場合である339通りにおいて、各発現ベクターの組み合わせを、96ウエルのプラスティック培養皿で、TtansIT Transfection Reagents (TAKARA社)を用いてCOS7細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションから約16時間後にラパマイシン1μMを含む培地に交換し、さらに24時間培養後にELA(TOYOBO社)を添加して、TriStar LB941(Berthold Technologies社)にて発光測定を実施した。
【0041】
図2及び図3に示されているように、pFRB-lucC394で高いシグナルが得られ、中でもplucN412-FKBP〜 plucN416-FKBPで最も高いシグナルが得られた。(pFRB-lucC408〜pFRB-lucC413を用いた場合は、シグナルがほとんど得られなかったので、図に示していない。また、図3において、plucN415-FKBPを用いた場合は、実験の不具合のためシグナルが得られなかった。)
【0042】
そこで、plucN412-FKBP〜 plucN416-FKBPで、再度実験を行ったところ、図4に示すように、plucN412-FKBP〜 plucN416-FKBPでほぼ同じ程度で最も高いシグナルが得られた。
【0043】
このようにして最適であることが示された、plucN415-FKBP とpFRB-lucC394の組み合わせによる発光強度を、従来最適と考えられていたpTlucN-FKBPとpFRB-GlucCの組み合わせによる発光強度と比較した。なお、pTlucN-FKBPは、赤色発光コメツキムシルシフェラーゼのcDNAを用いて下記プライマーによってPCRでN末端断片を増幅させ、plucN-FKBP同様に構築したベクターであり、pFRB-GlucCは、緑色発光コメツキムシルシフェラーゼのcDNAを用いて下記プライマーによってPCRでC末端断片を増幅させ、pFRB-lucC同様に構築したベクターである。
(TlucN-1) 5’AAGCTTGCCATGGTAAAGCGTGAGAAAAATGTC 3’(配列番号9)
(TlucN-2) 5’GGATCCTCCGCCTCCTCCGCCGTCGTCGATGGCCTC 3’(配列番号10)
(GlucC-1) 5’aggCTCGAGTGGAGGCGGCGGAGGCTGGCTGCACTCTGGCGACTTC 3'(配列番号11)
(GlucC-2) 5’cgcGGGCCCAGCTTAGAAGCCTTCTCCATCAGGGC 3'(配列番号12)
【0044】
図5に示すように、plucN415-FKBP とpFRB-lucC394の組み合わせで、従来のpTlucN-FKBPとpFRB-GlucCの組み合わせに対し、約30倍の発光強度が得られた。このように、ヒカリコメツキムシ・ルシフェラーゼを用い、lucC394 のC末端断片およびlucN412〜 lucN416のN末端断片を用いてルシフェラーゼスプリットアッセイを行うことにより、従来の約30倍以上の発光強度を得ることが可能になった。
【0045】
<実施例2>
本実施例では、FKBPおよびFRBの代わりに、GPCR(G-protein coupled receptor)であるソマトスタチン受容体(SSTR2;somatostatin type2 receptor)(NM_000794)とβ−アレスチン(arrestin, beta 2)(NM_004313)を用いた。SSTR2は、細胞膜上に存在する膜タンパク質で、ソマトスタチンがGPCRの細胞外ドメインに結合すると、SSTR2の細胞内ドメインが、細胞質に存在するアダプター分子であるβ−アレスチンに結合し、シグナルが下流に送られる。そこで、SSTR2のC端をElucのC端に結合させ、β−アレスチンのN端をElucのN端に結合させ、それら融合タンパク質を培養細胞内で発現させて、ソマトスタチンを培養細胞に投与し、細胞からの発光を調べた。
【0046】
まず、ヒト脳cDNAライブラリ(TAKARA)を鋳型として、以下に示すプライマーを用いてPCRを行い、arrestin、SSTR2をコードするDNA断片を得た。
ARRB2-nestF2:AAAGGATCCATGGGGGAGAAACCCGGGACCAGGGTCT(配列番号54)
ARRB2-nestR-Eco:AAGAATTCCAGCAGAGTTGATCATCATAGT(配列番号55)
SSTR2_start_Bam:TTGGATCCATGGACATGGCGGATGAGCCAC(配列番号56)
SSTR2_R1107end_XhoI:TTTCTCGAGCCGATACTGGTTTGGAGGTCTCCATTG(配列番号57)
【0047】
arrestinをコードするDNAはBamHIとEcoRIで切断し、BamHIとEcoRIで切断したplucN415とライゲーションし、plucN415-arrestinを得た。ここで用いたplucN415は実施例1で作製したplucN415-FKBPよりlucN415をコードするDNAをHindIIIとBamHIで切り出し、HindIIIとBamHIで切断したpcDNA3.1/myc-His(B) とライゲーションを行って得た。
【0048】
また、SSTR2をコードするDNA断片はBamHIとXhoIで切断し、pcDNA4/V5-His(B)のマルチクローニングサイトに挿入しpSSTR2を得た。さらにlinker長を22アミノ酸まで伸ばしたlucC394をコードするDNAをXhoIとSacIIで切断してpSSTR2のXhoI−SacII部位に挿入し、pSSTR2-lucC394を得た。なお、lucC394のリンカー長は、まずpFRB-lucC394を鋳型にlinkerC12-F-XhoI(配列番号58)とPtGR-R542-SacII(配列番号61)のprimerを用いてPCR増幅したものをXhoIとSacIIで切断し、pSSTR2のXhoI−SacII部位に挿入し、さらにこれを鋳型にlinkerC17-F-XhoI(配列番号59)とPtGR-R542-SacII(配列番号61)でPCR増幅したものをXhoIとSacIIで切断し、pSSTR2のXhoI−SacII部位に挿入し、最後に、これを鋳型にlinkerC22-F-XhoI(配列番号60)とPtGR-R542-SacII(配列番号61)でPCR増幅したものをXhoIとSacIIで切断し、pSSTR2のXhoI−SacII部位に挿入する、という様にして22アミノ酸まで順次伸ばした。
linkerC12-F-XhoI:AGGCTCGAGTGGCGGTGGAGGTAGTGGAGGCGGCGGAACAAA(配列番号58)
linkerC17-F-XhoI:AGGCTCGAGTGGTGGTGGGGGCAGTGGCGGTGGAGGTAGTGG(配列番号59)
linkerC22-F-XhoI:AGGCTCGAGTGGAGGTGGCGGTTCTGGTGGTGGGGGCAGTGGCGGT(配列番号60)
PtGR-R542-SacII:TTTCCGCGGCAGCTTAGAAGCCTTCTC(配列番号61)
【0049】
このようにして作製したpSSTR2-lucC394とplucN415-arrestinを、96ウエルのプラスティック培養皿で培養したHEK293細胞に、TtansIT Transfection Reagents (TAKARA社)を用いてトランスフェクトした。トランスフェクションから約40時間後にソマトスタチン1μMを含む培地で12分間培養し、ELA(TOYOBO社)を添加して、TriStar LB941(Berthold Technologies社)にて発光測定を実施した。なお、コントロールとして、ソマトスタチンを添加しない細胞を用いて同様に発光を測定し、結果を比較したところ、図6に示すように、ソマトスタチンを添加することにより、発光は有意に増強し、その強さは8倍になった。
【0050】
次に、6cmプラスティック培養皿を用いてplucN415-arrestinを同様にトランスフェクトしたHEK293細胞を、20日間0.8mg/mLのG418を含有した培地で培養することにより、lucN415-arrestinを恒常的に発現するHEK293細胞株HEK293-ARRB2を作製した。この細胞株に、さらに、pSSTR2-lucC394を同様にトランスフェクトし、20日間0.8mg/mLのG418と0.04mg/mLのZeocinを含有した培地で培養することにより、lucN415-arrestin とSSTR2-lucC394を恒常的に発現するHEK293細胞株HEK293-ARRB2-SSTR2を作製した。
【0051】
この細胞を96ウエルのプラスティック培養皿で培養し、12分間、様々な濃度のソマトスタチンまたはそのアナログ(RIM23052またはBIM23056)で刺激した後に、同様に発光測定を実施した。得られた結果で、リガンド濃度と発光強度の関係を表すdose-responseカーブを作成した。
【0052】
図7に示すように、ソマトスタチンを用いた場合、3x10-9から3x10-7Mの濃度で発光が増強し、それ以上ソマトスタチンを増やしても、発光は増強しなかった。ソマトスタチンのアナログを用いた場合、同じ濃度では、発光の増強は検出されなかった。このように、本発明のルシフェラーゼスプリットアッセイを受容体と細胞内結合因子に適用したアッセイ系を用いることによって、受容体に対するリガンドの活性を定量的に検定することが可能になる。
【0053】
さらに、HEK293-ARRB2-SSTR2を1x10-6Mのソマトスタチンで刺激した後、3分、6分、12分、15分、30分、40分、50分、90分と、時間経過を追って発光を測定したところ、図8に示すように、5分で最大発光レベルの90%になり、12分で最大発光レベルに達した。その後は、徐々に発光が低下したが、90分後でも、最大発光レベルの80%を維持していた。このように、本発明のルシフェラーゼスプリットアッセイを適用したアッセイ系においては、これまでのタンパク質相互作用を検出する系より、速やかに結合の検出が可能になる。
【0054】
なお、本発明のルシフェラーゼスプリットアッセイは、SSTR2以外のGPCR、すなわち、ADRB2(adrenergic beta2 receptor, surface)(NM_000024)、AGTRL1(apelin receptor)(NM_00516)、EDNRB(endothelin receptor type B)(NM_000115)、CCKBR(cholecystokinin B receptor)(NM_17685)にも適用可能であり、同様の実験系において、図9に示すような結果が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ酸配列番号1のアミノ酸配列を有する融合タンパク質。
【請求項2】
アミノ酸配列番号2〜6からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する融合タンパク質。
【請求項3】
アミノ酸配列番号1のアミノ酸配列を有する融合タンパク質とアミノ酸配列番号2〜6からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する融合タンパク質の複合体。
【請求項4】
アミノ酸配列番号1〜6からなる群より選択されるアミノ酸配列をコードするDNA。
【請求項5】
アミノ酸配列番号1〜6からなる群より選択されるアミノ酸配列をコードするDNAを含むベクター。
【請求項6】
アミノ酸配列番号1のアミノ酸配列をコードするDNAを含むベクターと、アミノ酸配列番号2〜6からなる群より選択されるアミノ酸配列をコードするDNAを含むベクターとを含有するキット。
【請求項7】
アミノ酸配列番号1のアミノ酸配列を有する融合タンパク質を検出する方法であって、
当該融合タンパク質を、アミノ酸配列番号2〜6からなる群より選択されるアミノ酸配列を有し、当該融合タンパク質に結合する結合融合タンパク質と相互作用させ、複合体を形成させる工程と
前記複合体から放出される光を検出する工程と、を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
アミノ酸配列番号2〜6からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する融合タンパク質を検出する方法であって、
当該融合タンパク質を、アミノ酸配列番号1のアミノ酸配列を有し、当該タンパク質に結合する結合融合タンパク質と相互作用させ、複合体を形成させる工程と
前記複合体から放出される光を検出する工程と、を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
アミノ酸配列番号1のアミノ酸配列を有する第1の融合タンパク質と、アミノ酸配列番号2〜6からなる群より選択されるアミノ酸配列を有し、第1のタンパク質に結合する結合融合タンパク質との複合体の検出方法であって、
前記複合体から放出される光を検出する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
相互に結合能を有する第1の融合タンパク質と第2の融合タンパク質との結合を検出する方法であって、
第1の融合タンパク質はアミノ酸配列番号1のアミノ酸配列を有し、第2の融合タンパク質はアミノ酸配列番号2〜6からなる群より選択されるアミノ酸配列を有し、
第1の融合タンパク質と第2の融合タンパク質とを相互作用させ、複合体を形成させる工程と、
前記複合体から放出される光を検出する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の検出方法であって、
アミノ酸配列番号1のアミノ酸配列を第1のタンパク質に融合させて、第1の融合タンパク質を製造する工程と、
アミノ酸配列番号2〜6からなる群より選択されるアミノ酸配列を第2のタンパク質に融合させて、第2の融合タンパク質を製造する工程と、
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
第1の融合タンパク質に結合する結合融合タンパク質を融合タンパク質ライブラリーからスクリーニングする方法であって、
第1の融合タンパク質はアミノ酸配列番号1のアミノ酸配列を有し、融合タンパク質ライブラリーに含まれる複数の第2の融合タンパク質はアミノ酸配列番号2〜6からなる群より選択されるアミノ酸配列を有し、
第1の融合タンパク質と第2の融合タンパク質とを相互作用させる工程と、
放出される光を検出することにより、第1の融合タンパク質と複合体を形成する結合融合タンパク質を同定する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
第1の融合タンパク質に結合する結合融合タンパク質をスクリーニングする方法であって、
第1の融合タンパク質はアミノ酸配列番号2〜6からなる群より選択されるアミノ酸配列を有し、複数の第2の融合タンパク質はアミノ酸配列番号1のアミノ酸配列を有し、
第1の融合タンパク質と第2の融合タンパク質とを相互作用させる工程と、
放出される光を検出することにより、第1の融合タンパク質と複合体を形成する結合融合タンパク質を同定する工程と、
を含むことを特徴とする方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図1−4】
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【図5】
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【図9】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−4734(P2011−4734A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37921(P2010−37921)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【出願人】(508007075)株式会社ProbeX (3)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】