説明

ターゲットパターンを使用して絶対位置を感知する位置測定システムおよび位置測定方法

【課題】光エンコーダのシステム構成に関しては、少なくとも前述した公知の光エンコーダの欠点を克服する必要性がある。
【解決手段】位置測定システムと、チップ上の位置測定システム(LSoC)および方法が記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、37C.F.R.§1.53(b)に基づく一部継続(CIP)出願であり、35U.S.C.§120の下で(特許文献1)の継続である2007年5月24日出願の「system for sensing an absolute position in two dimensions using a target pattern」と題された(特許文献2)(代理人明細書番号第10041390−06)に対し優先権の恩典を主張する。本出願と引用特許はいずれも本譲受人であるアジレントテクノロジー社(Agilent Technologies,Inc.)に譲渡される。引用特許出願および特許の開示は、参照として特に本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
多くの用途において、対象物の場所や位置を精密に測定する必要性がある。たとえば、多くの製造工程では、動いているステージや対象物の精密位置決めを必要とする。動いている対象物の位置を測定するいくつかの手法が開発されている。これらの手法のいくつかを以下に説明する。
【0003】
動いているステージの位置を測定する1つの方法は、光符号化を必要とする。ある公知の光符号化構成では、光源からの光が対象物のターゲットパターンに入射する。光センサがターゲットパターンの画像を取得し、この画像から対象物の位置が測定される。
【0004】
残念ながら、公知の光エンコーダは比較的大きく、いくつかの設定ではその実施が制限される。さらに、これらの比較的大きい光エンコーダの熱膨張によって、被測定寸法よりも大きい測定誤差が生じる可能性がある。さらに、多くの測定環境では、光エンコーダを適当なハウジングで密閉して環境要素(埃と汚れなど)による光エンコーダの汚染を防ぐことが有用である。当然のことながら、ハウジングが加わることによってエンコーダのサイズがさらに大きくなる。
【0005】
サイズに関する弱点のほかに、多くの公知の二次元光エンコーダには計算速度が比較的遅いことによる制限がある。たとえば、いくつかの光エンコーダでは、対象物の各次元の位置が順番に測定されなければならない。当然のことながら、このことによって測定データの処理速度が低下する。多くの設定では、比較的遅い処理速度が障害となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、光エンコーダのシステム構成に関しては、少なくとも前述した公知の光エンコーダの欠点を克服する必要性がある。
【特許文献1】米国特許第7,230,727号
【特許文献2】米国特許出願第11/753,508号
【課題を解決するための手段】
【0007】
代表的な実施形態では、位置測定システムは、ターゲットパターンのサブセットの画像を取得するように適合されたイメージセンサを含む。さらに、位置測定システムは、画像からピクセル値の行の合計を表わす第1の画像ベクトルと画像からピクセル値の列の合計を表わす第2の画像ベクトルとを生成する働きをするプログラマブルロジックデバイス(PLD)も含む。PLDは、ターゲットパターンの原点に対する少なくとも二次元のサブセットの絶対位置を画像ベクトルから測定するように構成される。
【0008】
他の代表的な実施形態では、チップ上の位置測定システム(LSoC)がターゲットパターンのサブセットの画像を取得するように適合されたイメージセンサを含む。また、LSoCは、画像からピクセル値の行の合計を表わす第1の画像ベクトルと画像からピクセル値の列の合計を表わす第2の画像ベクトルとを生成する働きをするプログラマブルロジックデバイス(PLD)も含む。PLDは、ターゲットパターンの原点に対する少なくとも二次元のサブセットの絶対位置を測定するように構成される。
【0009】
さらに他の代表的な実施形態では、位置の測定方法が二次元のターゲットパターンを有するターゲットを照明することと、ターゲットパターンのサブセットの画像を取得することを含む。この方法は、さらに、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)で、画像からピクセル値の行の合計を表わす第1の画像ベクトルと画像からピクセル値の列の合計を表わす第2の画像ベクトルとを生成することと、およびターゲットパターンの原点に対する少なくとも二次元のサブセットの絶対位置を測定することとを含む。
【0010】
本教示は、添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むと最もよく理解される。特徴は必ずしも一定の縮尺で描かれていない。可能な限り、同じ特徴を同じ参照番号で表している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
限定ではなく説明を目的とする以下の詳細な説明では、本教示が十分に理解されるよう具体的な詳細を開示する代表的な実施形態を記載する。実施例の説明が不明瞭になることを避けるため、周知のデバイス、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、方法、およびシステムの説明を割愛することができる。とはいえ、当業者の範囲内にあるこのようなハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、デバイス、方法、およびシステムを、代表的な実施形態に従って使用することもある。
【0012】
以下の詳細な説明は、コンピュータ可読媒体、関連プロセッサ/コントローラ、およびプログラマブルロジックデバイス(PLD)の内部におけるデータビットの操作のルーチンおよび記号表示によって実施され得る方法を示す。方法とは、本明細書では一般に所望の結果に至る一連のステップまたは処理であると理解され、したがって、「アルゴリズム」、「ルーチン」、「プログラム」、「対象物」、「関数」、「サブルーチン」、および「手続き」などの技術用語を包含する。
【0013】
本明細書に記載される実施形態において有用なソフトウェアに関しては、当業者は、記載された計算プロセスを実行するソフトウェアを作成するための種々のプラットフォームと言語が存在することを認識している。いくつかの実施例は、位置測定システムとLSoCの様々な構成要素に有用な公知の複数の異なる種類の機械語のいずれかを使って実施され得る。しかし、当業者は、あるタイプのシステムに有効に作用するものでも他のタイプのシステムには有効でないことがあるというように、確かなプラットフォームと言語の選定は構成される実際のシステムの仕様に左右される場合が多いことも認識している。さらに、いくつかの実施形態では、位置測定システムのPLDなどの構成要素のモジュール(本明細書では同じ意味でソフトコアまたは単に「コア」と呼ぶ)とともに使用するように適合された市販のソフトウェアを実装していくつかの有益な態様を実現することもできる。市販のソフトウェアの中には例証目的として注目されるものもある。
【0014】
図1は代表的な実施形態による位置測定システム100の簡略回路図である。システムは、PLD101、ディジタルイメージセンサ102、および照明光源103を含む。図示のPLD101は、コントローラ104、および本明細書でさらに詳しく説明するソフトウェアで作成される1つまたは複数のコア(またはモジュール)を含む。システム100は、対象物106上のターゲットパターンの位置を提供する。対象物106およびこの上のターゲットパターンは、通常、代表的な実施形態のシステム100の一部分とみなされないことが強調される。
【0015】
作動中の照明光源103は、対象物106のターゲットパターンに断続的に光を照射する。たとえば、光源103は、断続的に照明する(ストロボなど)1個または複数個の発光ダイオード(LED)やレーザを備えてもよい。ディジタルイメージセンサ102は、ターゲットパターンの照明の各区間でターゲットパターンの画像107を取得する。画像データ108は、センサ102からPLD101のそれぞれのコア105に提供される。コア105は、対象物106の絶対位置データ109を測定する原出願および引用(特許文献1)の方法を実施するように適合されたソフトウェアを備える。この後,位置データ109は後で使用できるようにユーザ(図示せず)に提供される。
【0016】
代表的な実施形態および原出願および引用特許では、画像データ108を受け取った後のPLD101は、画像107からのピクセル値の行の合計を表す第1の画像ベクトルを生成し画像107からのピクセル値の列の合計を表す第2の画像ベクトルを生成するように適合される。画像ベクトルが計算されると、PLD101はターゲットパターンの原点に対する二次元のサブセットの絶対位置を画像ベクトルから測定するように構成される。本教示によって絶対位置の二次元より多くの測定が考えられることが強調される。
【0017】
絶対位置の測定のほかにも、PLD101は特にターゲットパターンの照明および画像取得に関する制御機能を備える。たとえば、PLD101はイメージセンサ102から信号を受け取って画像の受取りに関するステータスを表示することができる。センサ102がそのステータス信号を受信状態にあるものとして送出すると、PLD101は画像が取得されるようにターゲットパターンを断続的に照明(ストローブ)する照明光源103に制御信号を送出する。あるいは、PLD101は照明光源103をストローブする制御信号を送出し、さらにイメージセンサ102に制御信号を送出してストロボ光とセンサ102による画像の取得を同期させることができる。
【0018】
図示の実施形態において、PLD101はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)であり、コントローラ104はその中のソフトウェアで作成される。あるいは、コントローラ104はFPGAと独立した構成要素であってもよい。とにかく、一部のコア105はターゲットパターンの位置データを測定してターゲットパターンの絶対位置を提供するように適合される。一実施形態では、各コア105は測定次元のそれぞれの位置を測定するように適合される。たとえば、三次元デカルト座標系(すなわち、x、y、z)における対象物の位置を測定することが有用な場合、1つのコアが各測定次元に対応した3つのコアが必要なことになる。前記FPGAの構成については本教示による変形が考えられる。たとえば、対象物106の位置を計算する代りに、あるいはこれを計算することに加えて、コア105は対象物106の回転、またはピッチ、または傾き、または針路からの逸れ(yaw)、または、これらの組合せを計算するように適合され得る。さらに一般的に、PLD101は、様々な位置計算を行うために原出願および引用特許の方法またはアルゴリズムに基づいて構成され得る。PLDは比較的アクセスしやすい構成であるため、コア105、または追加コア、またはこの両方のソフトウェアの修正によって様々な寸法計算を実現することもできる。さらに、そして先に少し触れたように、FPGAのコア105は、各次元の位置データの計算を同時に実行するように適合され得る。当然のことながら、これによって、システム100の計算速度を多くの既知のシステムに比べて向上させることができる。
【0019】
具体的な実施形態では、PLD101は市販のXilinx(登録商標)Spartan III FPGAであり、コア105はFPGAと同期させるためにXilinx(登録商標)ISEソフトェアで作成される。前述のように、コア105のソフトウェアは原出願および引用特許の方法を実行するように適合される。方法を実行するコアのプログラミングは、当業者の範囲にあり、代表的な実施形態の説明が不明瞭になることを避けるため、本明細書では詳しく説明しない。
【0020】
他の代表的な実施形態では、PLD101はコントローラ104とコア105の機能を実行するように適合された特定用途向け集積回路(ASIC)を含む場合がある。あるいは、1より多くのPLDをシステムに実装することもできる。たとえば、図4に関連してさらに詳しく説明される実施形態では、システムは、一方がディジタルイメージセンサ102、照明光源103、およびPLD101を含み、他方が別のPLDとコントローラを含む他の部分で提供される。他の引用実施形態のPLDでは、当業者には既知の1個または複数個の様々なPLDとすることができる。
【0021】
代表的な実施形態では、ディジタルイメージセンサ102は、アクティブピクセルセンサ(APS)であり、これは、各々が光検出器を内蔵しアクティブトランジスタのリセットおよび読出し回路に接続された、ピクセルセンサのアレイを含む集積回路からなる。好都合なことに、センサ102は比較的に高速で高感度の特性を有する。一実施形態では、センサ102は、ウィンドウイングを含み、一定のピクセルマトリクスの選択的使用が可能である。他の実施形態では、センサ102は、ターゲットパターンの画像を適正に取得するために必要な、選ばれた多くのピクセルを備えたカスタム集積回路である。
【0022】
前述のように、コントローラ104はPLD101に集積化され得るが、システム100と独立の構成要素であってもよい。実装には関係なく、コントローラ104は、制御データ110をセンサ102に送出することによりセンサ102を制御する機能を備える。これらのデータ110は、ゲイン、表示されるピクセル数、およびイメージセンサからPLD101に送られるデータのビット順などの設定データであり得る。さらに、コントローラ104は、FPGAのコア105に制御データを送出し、FPGAのコア105からいくつかのデータを受け取る。図において、コア105は、位置データ109の計算中にいくつかのパラメータデータを算出し、このようなデータをコントローラ104に送出することができる。コントローラ104は、これらのデータの診断解析を実行してリアルタイムで改善策を講じるように適合され得る。たとえば、コア105からのパラメータは、センサ102の中心がずれているか、回転が不適切であることを示すことがある。代替的または追加的に、コア105から受け取られるパラメータデータは照明レベルが低すぎるか、または高すぎることを示すことがあり、センサ102が適切に焦点を結んでいないことを示すこともある。これらのデータを使って、コントローラ104は、必要な調整を決定して制御指令を送出し、必要に応じて心合せ、または照明、または焦点の必要な調整を行うように適合される。代替的または追加的に、適切な措置のための診断データがユーザに提供され得る。
【0023】
さらに、コントローラ104は、ユーザからの入力を受け入れるように適合され得る。その場合、コントローラ104はその入力を実行するためにPLD101に送出する。たとえば、コントローラ104がPLD101に実装される実施形態では、ユーザはコントローラ104に対して入力パラメータを設定することができ、コントローラ104はこのパラメータをコア105に送出する。
【0024】
いくつかの有用なパラメータ設定値を、代表的な本実施形態に関連させて説明する。これらの設定値はシステム100の機能を説明することのみを目的とするもので、本教示の範囲を決して限定するものではないことが強調される。代表的な実施形態では、入力パラメータの設定に、新たなコードをシステム100のメモリ(図示せず)に送出することが含まれる。このメモリは、フラッシュメモリなどの適当なメモリであってよい。この新たなコードは、新たなベクトルシーケンスを提供するができ、新たなセンサ位置や出力解像度を設定することができる。後者については、システム100の適用環境によって解像度の要件が決まることが多い。システム100では、解像度を具体的な用途に合わせて設定することができる。たとえば、ある用途では解像度が約1.0μmに設定されることがあるが、他の用途では解像度が約100.0nmに設定されることもある。特に、およそ0.1nmもの高い解像度の設定が考えられる。
【0025】
他の代表的な実施形態では、センサウィンドウを設定し、それによってセンサ102が対象物106から収集する画像の位置を設定するために、入力パラメータの設定はPLD101に新たなコードを提供することを含む。
【0026】
さらに他の実施形態では、入力パラメータの設定としてほんの数例であるが、位置ベクトルと位置データの計算に使用すべきテストパターンの原点の設定、報告すべき誤差の種類と閾値、および診断モードに入るべき時点の指示が挙げられる。当然のことながら、システム101へのユーザパラメータの入力は、代表的な実施形態のPLD(特にFPGA)を構成することができることから比較的簡単である。
【0027】
図2は、代表的な実施形態による位置測定システム202のそばを通る対象物201(ステージとも呼ばれる)の概念図である。位置測定システム202は、図1に関連して前述した通りであり、本明細書の図3A〜図4に関連して後述する通りである。対象物201は、対象物の表面に配置されたターゲットパターン203を含む。実際には、通常、唯一の位置測定システム202と1つのターゲットパターン203が表面の1つに備えられる。本概念図は、位置測定システム202について2つの可能な実施形態を示しているだけである。
【0028】
対象物201は、方向204に沿って移動する例を示しており、この方向は代表的な実施例ではy方向である。原出願および引用特許でさらに詳しく説明されているように、ターゲットパターン203の画像はセンサ102によって取得され、センサ102からのデータはPLD101に送出されて、これによって画像ベクトルを計算するように適合される。画像ベクトルから、PLD101はターゲットパターンの原点205に対して少なくとも二次元のターゲットパターン203のサブセットの絶対位置を測定する。
【0029】
図3Aは、代表的な実施形態によるLSoCの簡略ブロック図である。LSoC300の構成要素は、図1に関連して説明した位置測定システム100の構成要素と実質的に同じである。これらの構成要素とそれらの機能の説明は、簡略にするために繰り返さない。
【0030】
前述のように、物理的に比較的小さいサイズの位置測定システムを提供する必要性がある。LSoC30は、様々な技術の1つを使って一体型で提供され得る。たとえば、個々の構成要素は個々にパッケージ化されたデバイスとして提供され得るもので、これは一般に半導体デバイスである。これらの個々にパッケージ化されたデバイスは、比較的小型であり、適当な基板上に形成され得る。前記の構成要素を内蔵した完全な集積回路を備えるLSoCも考えられる。このために、LSoC300は、全構成要素が公知の方法で集積化されたチップ上の完全なシステムであってもよい。当然のことながら、多くの公知のシステムと比較すると、LSoC300は実質的に小型化を実現することができる。好都合なことに、これによって位置測定システムと多くの環境との一体化が容易になる。
【0031】
図3Bは、代表的な実施形態に従って対象物201の上方に配置されたLSoC(パッケージ)301の斜視図である。パッケージ301は、図3Aに関連して説明したようなLSoCを含む。パッケージ301は、具体的な測定用途または環境に適した1つまたは複数の様々な材料から製作され得る。パッケージLSoC301は広範な測定用途での使用が考えられるため、材料の範囲も多様である。簡単に言えば、このパッケージは既知のプラスチック材料で作ることができる。
【0032】
パッケージ301は、ケーブル302が接続され、信号と電源の接続部を含むLSoCとの接続部が備えられる。代表的な実施形態では、パッケージLSoC301は実質的に密閉されており、したがって環境要素から著しい汚染を被ることはない。好都合なことに、このため、環境汚染物質が広がっていて位置測定システムの機能を損なうおそれのある多くの環境(たとえば、製造環境)においてLSoCを実装することができる。
【0033】
LSoC300およびパッケージLSoC301は、比較的小型で十分に保護された位置測定システムを備えるだけでなく、大型システムに比べて熱膨張に起因する誤差も生じにくい。前述のように、比較的大型で既知の位置測定システムは、測定寸法よりも大きい測定誤差を招くことがある。それに反して、代表的な実施形態による比較的小型のシステムでは熱膨張により生じる測定誤差が比較的小さい。
【0034】
比較的小型のパッケージLSoC301は、比較的広範の測定用途にその適合性が見出されるようになっている。たとえば、いくつかの実施形態では、パッケージLSoC301は、測定データを蓄積することができる比較的小さいステージ内に備えられる(すなわち、本質的に比較的小さいステージで囲まれる)可能性がある。公知のエンコーダはステージを移動させるには大き過ぎるため、公知の位置測定システムを使用したこのような測定値の収集は現実的でもなく可能でもないことになる。好都合なことに、物理的サイズが比較的小さいパッケージ301では、比較的小さいステージから位置データを収集することができる。
【0035】
LSoCパッケージ301の他の有用な態様は、現存するシステムにおいて使える状態にある。特に、サイズが比較的小さいパッケージ301では、現存するシステムの改装と扱いにくいエンコーダの交換が可能である。
【0036】
図4は、代表的な実施形態による位置測定システム400の斜視図である。システム400は前述の実施形態の構成要素と機能の多くのを含む。これらの構成要素と機能の詳細の多くは、ここに記載する実施形態の説明が不明瞭になることを避けるため、繰り返さない。
【0037】
システム400は、第1の部品401と第2の部品402、および第1と第2の部品401、402間の接続部(たとえば、ケーブルまたはバス)403を含む。一実施形態では、第1の部品401はディジタルイメージセンサ102と照明光源103を含み、第2の部品402はPLD101(これは図ではFPGAである)を含む。図示の実施形態では、第1と第2の部品401、402は、前記の構成要素を含むパッケージである。このパッケージは、パッケージLSoC301に関連して説明したパッケージと外観が類似している。
【0038】
前述したように、位置測定システムの熱膨張を可能な範囲で軽減することは一般に有益である。本実施形態では、ターゲットの照明と取得に必要な構成要素が第1の部品401の中に備えられ、絶対位置の計算とシステム400の様々な構成要素の制御とに必要な構成要素が第2の部品402の中に備えられる。それによって、主要な発熱源である電子部品は、測定精度への熱膨張の影響を軽減するために隔離される。
【0039】
他の実施形態では、第1の部品401はディジタルイメージセンサ102、照明光源103、および第1のPLDを含む。第2の部品402は第2のPLDを含む。第1のPLDは、原出願および引用米国特許に記載された方法のいくつかの計算を実行するように適合される。図において、第1のPLDは、取得された画像からのピクセルの行と列の合計など、いくつかのデータ蓄積を実行するソフトウェアモジュールを含み得る。この後、第2のPLDは画像からのピクセル値の行と列の合計を表わすそれぞれの画像ベクトルを生成し、原点に対するターゲットパターンのサブセットの絶対位置を測定することができる。さらに、第2のPLDは、他の実施形態のPLD101に関連して説明した制御機能も含んでいてもよい。
【0040】
本実施形態のPLDは、前述のような1つまたは複数の様々なPLDであってもよい。図示のPLDは、位置測定システム400の機能を実行するソフトウェアモジュール(コア)で作成されたFPGAであってもよい。さらに、PLDの機能の説明区分は、例示を目的とするものにすぎない。当業者は、システムに2つよりも多くのPLDを使用することと同様に、PLD間の機能の他の区分も容易に理解し得ることが強調される。
【0041】
図5は、代表的な実施形態による位置の測定方法500のフローチャートである。この方法500は前述の様々な位置測定システムにおいて実施され得る。
【0042】
ステップ501では、二次元のターゲットパターンを有する対象物が照明される。この照明は、前述の照明光源103によって行われる。この方法は二次元を超えるターゲットパターンのサブセットの絶対位置測定に拡張され得る。二次元を超える位置測定の詳細は、本実施形態の説明が不明瞭になるのを避けるため、説明しない。
【0043】
ステップ502では、ターゲットパターンのサブセットの画像がディジタルイメージセンサ103などによって取得される。前述のように、照明と画像取得の同期化はPLD101によって制御される。
【0044】
ステップ503では、画像データ108がディジタルイメージセンサ103からPLD101に送出された後、第1の画像ベクトルと第2の画像が生成される。画像ベクトルの生成は、たとえば、PLD101のそれぞれのコア105において行われる。もしくは、図4に関連して説明したような実施形態では、画像ベクトルの生成が第1のPLD、または第2のPLD、またはこれらの組合せにおいて行われ得る。画像ベクトルの生成方法の具体的な詳細は、前記の代表的な実施形態に関連して説明され、原出願および引用特許において提供されている。
【0045】
ステップ504では、画像ベクトルが生成された後、ターゲットパターンのサブセットの位置の絶対位置がターゲットパターンの原点に対して測定される。さらに、位置の測定は、代表的な実施形態のPLDのそれぞれのコアと、原出願および引用特許に記載された方法とによって行われる。これらのデータは位置データ109としてユーザに提供される。
【0046】
本開示に鑑みて、本明細書において記載された様々な方法と装置はハードウェアおよびソフトウェアで実施され得ることに留意すること。また、様々な方法とパラメータはあくまでも例であって限定的な意味も有するものではない。本開示に鑑みて、当業者はそれぞれの技術とこれらの技術の実施に必要な装置を決定する際に添付の特許請求の範囲内に留まりながら、本教示を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】代表的な実施形態による位置測定システムの簡略回路図である。
【図2】代表的な実施形態による位置測定システムのそばを通過する物体の概念図である。
【図3A】代表的な実施形態によるLSoCの簡略ブロック図である。
【図3B】代表的な実施形態によるパッケージLSoCの斜視図である。
【図4】代表的な実施形態による位置測定システムの斜視図である。
【図5】代表的な実施形態による位置の測定方法のフローチャートである。
【符号の説明】
【0048】
100 位置測定システム
101 PLD
102 ディジタルイメージセンサ
103 照明光源
104 コントローラ
105 コア
106 対象物
107 画像
108 画像データ
109 位置データ
201 対象物
202 位置システム
203 ターゲットパターン
204 方向
205 原点
300 LSoC
301 パッケージLSoC
302 ケーブル
400 位置測定システム
401 第1の部品
402 第2の部品
500 測定方法
501 ステップ
502 ステップ
503 ステップ
504 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置測定システムであって、
ターゲットパターンのサブセットの画像を取得するように適合されたイメージセンサと、
前記画像からのピクセル値の行の合計を表わす第1の画像ベクトルと、前記画像からのピクセル値の列の合計を表わす第2の画像ベクトルとを生成する働きをするプログラマブルロジックデバイス(PLD)と、
を備え、
前記PLDは前記ターゲットパターンの原点に対して少なくとも二次元のサブセットの絶対位置を前記画像ベクトルから測定するように構成される、位置測定システム。
【請求項2】
前記PLDに接続され、前記PLDの動作パラメータを入力するように適合されたコントローラをさらに備える、請求項1に記載の位置測定システム。
【請求項3】
前記PLDに接続され、前記PLDからデータを受け取り、前記データに基づいて前記位置測定システムの動作パラメータのステータスを判断するように適合されたコントローラをさらに備える、請求項1に記載の位置測定システム。
【請求項4】
前記PLDはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を備える、請求項1に記載の位置測定システム。
【請求項5】
前記FPGAは少なくとも2つのコアをさらに備え、前記コアの各々は次元のそれぞれ1つに対する絶対位置を測定する働きをする、請求項4に記載の位置測定システム。
【請求項6】
前記FPGAに埋め込まれたコントローラをさらに備え、前記FPGAに動作パラメータを入力するか、または前記FPGAからのデータを受け取って前記データに基づいて前記位置測定システムの動作パラメータのステータスを判断するか、あるいはこれらの両方を行うように適合される、請求項4に記載の位置測定システム。
【請求項7】
前記PLDにデータを提供するように適合される他のPLDをさらに備える、請求項1に記載の位置測定システム。
【請求項8】
前記コアの各々は前記FPGAで作成されるソフトウェアコアである、請求項5に記載の位置測定システム。
【請求項9】
前記コントローラはソフトウェアに埋め込まれる、請求項6に記載の位置測定システム。
【請求項10】
前記コアはそれぞれの次元の絶対位置を同時に測定する、請求項5に記載の位置測定システム。
【請求項11】
前記位置測定システムは、
前記イメージセンサ、照明光源、および前記PLDを含む第1の部品と、
他のPLDを含む第2の部品と、
をさらに備える、請求項1に記載の位置測定システム。
【請求項12】
前記位置測定システムは、
前記イメージセンサおよび照明光源を含む第1の部品と、
前記PLDを含む第2の部品と
をさらに備える、請求項1に記載の位置測定システム。
【請求項13】
チップ上の位置測定システム(LSoC)であって、
ターゲットパターンのサブセットの画像を取得するように適合されたイメージセンサと、
前記画像からピクセル値の行の合計を表わす第1の画像ベクトルと、前記画像からピクセル値の列の合計を表わす第2の画像ベクトルとを生成する働きをするプログラマブルロジックデバイス(PLD)と、
を備え、
前記PLDは少なくとも二次元の前記ターゲットパターンの原点に対して前記サブセットの絶対位置を測定するように構成される、チップ上の位置測定システム。
【請求項14】
前記PLDに接続され、前記PLDに動作パラメータを入力するように適合されたコントローラをさらに備える、請求項13に記載のチップ上の位置測定システム。
【請求項15】
前記PLDに接続され、前記PLDからデータを受け取り、前記データに基づいて前記位置測定システムの動作パラメータのステータスを判断するように適合されたコントローラをさらに備える、請求項13に記載のチップ上の位置測定システム。
【請求項16】
前記PLDはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)である、請求項14に記載のチップ上の位置測定システム。
【請求項17】
前記FPGAは少なくとも2つのコアをさらに備え、前記コアの各々は次元のそれぞれ1つに対する絶対位置を測定する働きをする、請求項16に記載のチップ上の位置測定システム。
【請求項18】
前記FPGAに埋め込まれたコントローラをさらに備え、前記FPGAに動作パラメータを入力するか、または前記PLDからデータを受け取って前記データに基づいて前記位置測定システムの動作パラメータのステータスを判断するか、あるいはこれらの両方を行うように適合される、請求項16に記載のチップ上の位置測定システム。
【請求項19】
前記LSoCは前記PLDにデータを提供するように適合される他のPLDをさらに備える、請求項13に記載のチップ上の位置測定システム。
【請求項20】
前記コアの各々は前記FPGAで作成されるソフトウェアコアである、請求項17に記載のチップ上の位置測定システム。
【請求項21】
前記コントローラはソフトウェアで具体化される、請求項20に記載のチップ上の位置測定システム。
【請求項22】
前記コアはそれぞれの絶対位置を同時に測定する、請求項17に記載のチップ上の位置測定システム。
【請求項23】
位置の測定方法であって、
ターゲットパターンを有する対象物を照明し、
前記ターゲットパターンのサブセットの画像を取得し、
フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)で、前記画像からピクセル値の行の合計を表わす第1の画像ベクトルと、前記画像からピクセル値の列の合計を表わす第2の画像ベクトルとを生成し、
少なくとも二次元の前記ターゲットパターンの原点に対して前記サブセットの絶対位置を測定することを含む、位置の測定方法。
【請求項24】
前記測定は少なくとも二次元で同時に行われる、請求項23に記載の位置の測定方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−292475(P2008−292475A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−117205(P2008−117205)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(399117121)アジレント・テクノロジーズ・インク (710)
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.
【Fターム(参考)】