説明

タービンにおける隙間を調節するためのシステムおよび方法

【課題】タービンブレードおよびタービンケーシングは、起動時および作動中に、熱状態に起因して膨張したり収縮したりする。このため、タービンブレードとタービンケーシングの間の隙間は、膨張と収縮に起因して変わる可能性があり、隙間調整システムを提供する。
【解決手段】システムは、1つまたは複数のタービンブレードと、1つまたは複数のタービンブレードを取り囲むタービンケーシングと、タービンケーシングの周囲の少なくとも一部に配置された熱電気要素110を含むことができ、この熱電気要素110は、タービンケーシングの少なくとも一部を加熱または冷却することによって、タービンケーシングを膨張または収縮させ、これにより1つまたは複数のタービンブレードとタービンケーシングの間の隙間を調節する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は一般にタービンに関するものであり、より詳細にはタービンにおける隙間を調節するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タービンブレードおよびタービンケーシングは、タービンの起動時および作動中に、タービンの熱状態に起因して膨張したり収縮したりする場合がある。したがってタービンブレードとタービンケーシングの間の隙間は、タービンブレードおよびタービンケーシングの膨張と収縮に起因して変わる可能性がある。一般に、タービンブレードとタービンケーシングの間の隙間が小さい程、作動中のタービンの効率は大きくなる。さらにタービンブレードとタービンケーシングの間の隙間が大きい程、タービンの起動が速くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第102006012977号公報
【発明の概要】
【0004】
上記の要望および/または問題の一部または全ては、本発明の特定の実施形態によって対処することができる。開示される実施形態は、タービンにおける隙間を調節するシステムおよび方法を含むことができる。本発明の実施形態により、特定のタービンシステムが開示されている。システムは、1つまたは複数のタービンブレードと、1つまたは複数のタービンブレードを取り囲むタービンケーシングと、タービンケーシングの周囲の少なくとも一部に配置された熱電気要素を含むことができ、この熱電気要素は、タービンケーシングの少なくとも一部を加熱または冷却することによって、タービンケーシングを膨張させたり収縮させたりし、これにより1つまたは複数のタービンブレードとタービンケーシングの間の隙間を調節する。
【0005】
本発明の別の実施形態によると、タービンにおける隙間を調節する方法が開示されており、このタービンは、1つまたは複数のタービンブレードを取り囲むタービンケーシングを備えており、方法は、タービンケーシングの周囲の少なくとも一部に1つまたは複数の熱電気要素を位置決めするステップと、1つまたは複数の熱電気要素によってタービンケーシングの少なくとも一部を加熱または冷却することによって、タービンケーシングの膨張または収縮を制御し、1つまたは複数のタービンブレードとタービンケーシングの間の隙間が調節されるステップを含んでいる。
【0006】
さらに本発明の別の実施形態によると、別のタービンシステムが開示されている。システムは、1つまたは複数のタービンブレードと、1つまたは複数のタービンブレードを取り囲むタービンケーシングと、タービンケーシングの周囲の少なくとも一部に配置された少なくとも1つの熱電気要素と、少なくとも1つの熱電気要素と通信する制御装置を含むことができる。制御装置は、コンピュータプロセッサと、コンピュータプロセッサと通信することで、コンピュータ実行可能命令を記憶するように作動可能なメモリを含むことができる。コンピュータ実行可能命令は、少なくとも1つの熱電気要素によってタービンケーシングの少なくとも一部を加熱または冷却することによって、タービンケーシングの膨張または収縮を制御するように作動可能であってよく、この場合、1つまたは複数のタービンブレードとタービンケーシングの間の隙間を調節することができる。
【0007】
本発明の他の実施形態、態様および特徴は、以下の詳細な記載、添付の図面および添付の特許請求の範囲より当業者に明らかになるであろう。
【0008】
ここで添付の図面を参照するが、この図面は必ずしも縮尺通りではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態による、タービンにおける隙間を調節することを目的とした、コンピュータ環境のブロック図を含む一例のタービンシステムの概略図である。
【図2】本発明の一実施形態による一例の熱電気要素の詳細を示す概略図である。
【図3】本発明の一実施形態による一例のタービンシステムを示す概略図である。
【図4】本発明の一実施形態によるタービンにおける隙間を調節するための一例の方法の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の例示の実施形態を、添付の図面を参照して以下でより十分に記載するが、この図面には、本発明の全てでなく一部が示されている。本発明は、多くの異なる形態において具現化することができ、本明細書に記載される実施形態に限定されるものと解釈すべきではなく、このような実施形態が提供されることで、本開示は適用可能な法的な条件を満たすであろう。同様の数字は、図面を通して同様の要素を指している。
【0011】
本発明の例示の実施形態は、とりわけタービンにおける隙間を調節するシステムおよび方法を対象としている。本発明の特定の例示の実施形態は、タービンケーシングの周囲の少なくとも一部に配置された熱電気要素を対象としており、タービンケーシングの少なくとも一部を加熱または冷却することによってタービンケーシングを膨張または収縮させ、これにより1つまたは複数のタービンブレードとタービンケーシングの間の隙間を調節することを目的としている。
【0012】
一部の実施形態において、熱電気要素は、コールドシンクとヒートシンクの間に配置されたペルティエ素子であってよい。このペルティエ素子に電圧を印加することで、コールドシンクとヒートシンク間の熱伝達を制御することができる。コールドシンクとヒートシンクは、ペルティエ素子に印加される電圧の極性に依存し得る。一部の態様では、コールドシンクとヒートシンクはセラミック製のプレートを備えることができる。他の態様では、ヒートシンクは、通気システムと連通することができる。さらに他の態様では、熱電気要素は、1つまたは複数のタービンブレードと一直線になるようにタービンケーシングの周囲の少なくとも一部に円周方向に配置することができる。
【0013】
本発明の特定の実施形態は、1つまたは複数のタービンブレードとタービンケーシングの間の隙間を調節するための技術的な解決策を提供することができる。一実施形態において、1つまたは複数のタービンブレードとタービンケーシングの間の隙間を小さくすることで作動中の効率を上げることができる。このような方法で、タービンケーシングを冷却することで、それを1つまたは複数のタービンブレードの周りで収縮させることができる。別の実施形態において、1つまたは複数のタービンブレードとタービンケーシングの間の隙間を大きくすることで、起動時の効率を上げ、起動速度を上げることができる。このような方法でタービンケーシングを加熱することで、それを1つまたは複数のタービンブレードの周りで膨張させ、1つまたは複数のタービンブレードが起動時に膨張するのを可能にすることができる。さらに別の実施形態において、1つまたは複数のタービンブレードとタービンケーシングの間の隙間を調節することで、変換時の効率を上げることができる。
【0014】
図1は、タービン102における隙間を調節する詳細を示す一例のタービンシステム100を提供している。タービン102は、1つまたは複数のタービンブレード104(またはロータ)を含むことができる。タービン102はまた、タービンケーシング106(またはステータ)を含むことができることで、タービンケーシング106が、1つまたは複数のタービンブレード104を取り囲んでいる。1つまたは複数のタービンブレード104は一般に、タービン102の中心軸の周りを回転する。タービン102は、1つまたは複数のタービンブレード104の遠位端と、タービンケーシング106の内側半径の間に隙間108を含むことができる。
【0015】
タービンシステム100は、タービンケーシング106の周囲の少なくとも一部に配置された熱電気要素110を含むことができる。特定の実施形態において、この熱電気要素110は、タービンブレード104と一直線になるように、タービンケーシングの周囲の少なくとも一部に配置することができる。熱電気要素110は、熱電気要素110と連通するタービンケーシング106の一部を加熱または冷却することができる。熱電気要素110によってタービンケーシング106を加熱および冷却することで、タービンケーシング106の少なくとも一部を、それぞれ膨張させたり収縮させたりすることができる。タービンケーシング106を膨張および収縮させることで、1つまたは複数のタービンブレード104とタービンケーシング106の間の隙間108を調節する。1つまたは複数の熱センサをタービンケーシング、1つまたは複数のタービンブレードに、またはその周りに、ならびに/あるいはタービン上のまたはその周りの任意の他の場所に配置してタービンシステム100を監視することができる。
【0016】
特定の実施形態において、熱電気要素110は、熱電気要素110からの熱を消散させるためのヒートシンク111を含むことができる。1つまたは複数の熱電気要素110の加熱または冷却作業は、電源132から受け取る電圧と極性に依存する。例えばヒートシンク111は、熱電気要素110によって受け取った電源の極性に依存するヒートシンクまたはコールドシンクであってよい。したがって熱電気要素が加熱モードであるか、あるいは冷却モードであるかは、電源132の極性に依存する。
【0017】
さらに図1を参照すると、特定の例示の実施形態において、タービンシステム100は、制御装置デバイス112を含むことで、1つまたは複数のタービンブレード104とタービンケーシング106の間の隙間を調節することができる。制御装置デバイス112は、開示される機能、およびこれに限定するものではないが図4を参照して記載されるものなどの付随する方法を実践することができる任意の好適な計算デバイスとして構成することができる。限定ではなく一例として、好適な計算デバイスには、パーソナルコンピュータ(PC)、サーバー、サーバーファーム、データセンター、または開示される機能の全てまたは一部を記憶し実行することが可能な任意の他のデバイスが含まれてよい。
【0018】
1つの例示の構成において、制御装置デバイス112は、少なくとも1つのメモリ114と、1つまたは複数の処理ユニット(またはプロセッサ)116を備えている。プロセッサ116は、必要に応じてハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはそれらを組み合わせたものに実装することができる。プロセッサ116のソフトウェアまたはファームウェアの実装形態は、任意の好適なプログラミング言語で書かれたコンピュータ実行可能またはマシーン上で実行可能な命令を含むことで、記載される様々な機能を実行することができる。
【0019】
メモリ114は、プロセッサ116にロード可能であり、そこで実行可能なプログラム命令、ならびにこのようなプログラムを実行する際に生成されるデータを記憶することができる。制御装置デバイス112の構成およびタイプによって、メモリ114は、揮発性(例えばランダムアクセスメモリ(RAM)および/または非揮発性(例えば読取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリなど)であってよい。計算デバイスまたはサーバーはまた、付加的な取り外し可能記憶装置118および/または取り外し不可能な記憶装置120を含む場合があり、これには、これに限定するものではないが、磁気記憶装置、光ディスクおよび/またはテープ記憶装置が含まれる。ディスクドライブおよびそれに関連するコンピュータ読取り可能媒体により、コンピュータ読取り可能命令、データ構造、プログラムモジュール、および計算デバイスの他のデータの非揮発性の記憶を行なうことができる。一部の実装形態において、メモリ114には、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、動的ランダムアクセスメモリ(DRAM)またはROMなど多種多様な異なるタイプのメモリが含まれてよい。
【0020】
メモリ114、取り外し可能記憶装置118および取り外し不可能な記憶装置120は、コンピュータ読取り可能記憶媒体の全ての例である。例えばコンピュータ読取り可能記憶媒体は、いずれかの方法または技術において実践される揮発性および不揮発性、取り外し可能および取り外しができない媒体を含むことで、例えばコンピュータ読取り可能命令、データ構造、プログラムモジュールまたは他のデータなどの情報を記憶することができる。メモリ114、取り外し可能記憶装置118および取り外し不可能な記憶装置120は、コンピュータ記憶媒体の全ての例である。存在し得る追加のタイプのコンピュータ記憶媒体には、これに限定するものではないがプログラム可能なランダムアクセスメモリ(PRAM)、SRAM、DRAM、RAM、ROM、電気的消去可能なプログラム可能読取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリまたは他のメモリ技術、コンパクトディスク読取り専用メモリ(CD−ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)または他の光記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶デバイス、あるいは所望の情報を記憶するのに使用することができ、サーバーまたは他の計算デバイスによってアクセスすることが可能な任意の他の媒体が含まれる。上記の任意の組み合わせも、コンピュータ読取り可能媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0021】
あるいはコンピュータ読取り可能通信媒体には、コンピュータ読取り可能命令、プログラムモジュール、あるいは搬送波などのデータ信号、または他の送信信号の範囲において送信された他のデータを含むことができる。
【0022】
また制御装置デバイス112の中には通信接続122が収容されており、これにより制御装置デバイス112が記憶されたデータベース、別の計算デバイスまたはサーバー、ユーザ端末ならびに/あるいはネットワーク上の他のデバイスと通信することが可能になる。制御装置デバイス112はまた、例えばキーボード、マウス、ペン、音声入力デバイス、タッチ式入力デバイスなどの入力デバイス124と、ディスプレイ、スピーカー、プリンターなどの出力デバイス126を含むことができる。
【0023】
より詳細なメモリ114の内容に戻ると、メモリ114は、作動システム128と、1つまたは複数のアプリケーションプログラムまたはサービスを含むことで、隙間モジュール130を含めた、本明細書に開示される機能を実践することができる。隙間モジュール130は、1つまたは複数の熱電気要素110を介してタービンケーシング106の少なくとも一部を加熱または冷却を制御することによって、タービンケーシング106の膨張や収縮を制御することで、1つまたは複数のタービンブレード104とタービンケーシング106の間の隙間108が、タービンケーシング106の膨張または収縮によって調節されるように構成することができる。隙間モジュール130は、1つまたは複数の熱電気要素110によって電源から132から受け取った電圧および極性を制御することによって、1つまたは複数の熱電気要素110の加熱または冷却作用を制御することができる。すなわち熱電気要素110の加熱または冷却作用は、それが電源132から受け取った電圧の極性に依存する。特定の実施形態において、電源132からの電力が増大すると、タービンケーシング106の加熱または冷却作用は恐らく増大する。逆に他の実施形態において、電源132からの電力が減少すると、タービンケーシング106の加熱または冷却作用は恐らく低下する。
【0024】
本明細書に記載される様々な教示、方法および技術は、1つまたは複数のコンピュータあるいは他のデバイスによって実行される例えばプログラムモジュールなどの、コンピュータ読取り可能命令の一般的な文脈にあるとみなすことができる。一般にプログラムモジュールは、ルーティン、プログラム、オブジェクト、構成要素、データ構造などを含むことで、特定のタスクを行なったり、特定の抽象データ型を実践したりする。このようなプログラムモジュールなどは、ネイティブコードとして実行することができる、あるいは例えば仮想機械または他のジャストインタイムのコンパイル実行環境にダウンロードされ実行される場合もある。典型的には、プログラムモジュールの機能は、様々な実施形態において所望通りに組み合わせたり分散させたりすることができる。このようなモジュールおよび技術の実装形態は、何らかの形態のコンピュータ読取り可能記憶媒体に記憶することができる。
【0025】
図1に示される一例の制御装置デバイス112は、単なる例として提供されている。多数の他の動作環境、システム構造およびデバイス構成が可能である。したがって本開示の実施形態は、特定の動作環境、システム構造やデバイス構成に限定されるものと解釈すべきではない。
【0026】
図2は、一例の熱電気要素200の詳細を示す概略図である。特定の実施形態において、熱電気要素200は、少なくとも1つのペルティエ素子を含むことができる、あるいはペルティエ効果を利用する、あるいはそうでなければペルティエ効果を実現する構成要素を含むことができる。例えば熱電気要素200は、N−型不純物イオンがドープされた半導体202と、P−型不純物イオンがドープされた半導体204を含むことができる。N−型およびP−型のドープ後半導体素子202および204は、導体206および208によって併せて接続されることで、直列電子回路と並列熱回路を形成することができる。熱伝達基板210と、212によって、導体206と208をそれぞれ封鎖することができる。熱伝達基板210および212は、コールドシンクまたはヒートシンクであってよく、これは熱電気要素200の極性に依存する。
【0027】
ペルティエ式の熱電気要素で知られているように、熱電気要素200に電流214を印加することで、ペルティエ式熱電気要素におけるエネルギーの差が、加熱または冷却に変換されるため、接合部および/または導体における局所的な加熱および/または冷却が促進される。したがって熱電気要素200は、ある箇所では加熱作用が行なわれ、別の場所で冷却作用が行なわれるように、また逆もまた同様であるように構成することができる。
【0028】
熱伝達基板210および212は、熱電気要素200に印加される電圧の極性に依存するコールドシンクまたはヒートシンクであってよい。例えば図2に表されるように、熱伝達基板212は、コールドシンクであり、熱伝達基板210は、ヒートシンクである。他の実施形態では熱伝達基板212がヒートシンクで、熱伝達基板210がコールドシンクの場合もある。
【0029】
図3は、一例のタービンシステム300を示す概略図である。タービンシステム300は、タービン302を含むことができる。タービン302は、タービンケーシング304を含むことができる。タービンシステム300はまた、タービンケーシング304の周囲の少なくとも一部に配置された熱電気要素306を含むことができる。熱電気要素306は、熱電気要素306と連通するタービンケーシング304の一部を加熱または冷却する。タービンケーシング304を熱電気要素306によって加熱および冷却することで、タービンケーシング304の少なくとも一部をそれぞれ、膨張させたり収縮させたりする。タービンケーシング304が膨張および収縮することで、1つまたは複数のタービンブレードとタービンケーシング304の間の隙間を調節する。熱電気要素306は、通気システム308と連通することができる。例えば、熱電気要素306が冷却モードにあるとき、これは図1に表される外側のヒートシンク部111を含むことができる。このヒートシンク部は、タービンケーシング304から伝達された熱を周辺環境に消散させることができる。通気システム308は、熱電気要素306のヒートシンク部から消散された熱を離れた場所に誘導することができ、ここで熱を再利用したり処分したりすることができる。
【0030】
図4は、本発明の一実施形態による、タービンにおける隙間を調節するための方法400の一例のフローチャートを示している。1つの例において、図1の例示の制御装置デバイス112および/または例示の制御装置デバイス112の1つまたは複数のモジュールは、単独でまたは組み合わせて、方法400の記載される作用を実行することができる。
【0031】
この特定の実装形態において、方法400は、図4のブロック402から開始することができ、このブロックにおいて方法400は、タービンケーシングの周囲の少なくとも一部に1つまたは複数の熱電気要素を位置決めするステップを含むことができる。1つまたは複数の熱電気要素は、1つまたは複数のタービンブレードと一直線になるように、あるいは1つまたは複数のタービンブレードに隣接するように配置することができる。さらに1つまたは複数の熱電気要素が、タービンケーシングの円周全体、またはタービンケーシングの円周の一部のみを囲むように位置決めされる場合もある。1つまたは複数の熱電気要素は、任意の場所および任意のパターンでタービンケーシング上に、またはそれを囲むように位置決めされる場合もある。
【0032】
ブロック402の後にブロック404が続く。ブロック404では、方法400は、1つまたは複数の熱電気要素によってタービンケーシングの少なくとも一部を加熱または冷却することによって、タービンケーシングの膨張または収縮を制御し、1つまたは複数のタービンブレードとタービンケーシングの間の隙間が調節されるステップを含むことができる。例えば特定の実施形態において、方法400は、1つまたは複数のタービンブレードとタービンケーシングの間の隙間を小さくして、作動中の効率を上げる、すなわちタービンケーシングが冷却されることで、それを1つまたは複数のタービンブレードの周りで収縮させる。別の実施形態において、方法400は、1つまたは複数のタービンブレードとタービンケーシングの間の隙間を大きくして、起動時の効率を上げる、すなわちタービンケーシングが加熱されることで、それを1つまたは複数のタービンブレードの周りで膨張させ、1つまたは複数のタービンブレードが起動時に膨張することができるようにすることができる。
【0033】
例示のシステムおよび方法は、タービンにおける隙間を調節することを目的として記載されている。このようなシステムおよび方法の一部または全ては、上記の図1に示されるものなどの構造によって少なくともその一部を実装することができるが、必ずしもそうである必要はない。
【0034】
複数の実施形態が、構造上の機能および/または方法論的な作用に特有の言葉で記載されているが、本開示は必ずしも記載される特有の機能または作用に限定されないことを理解すべきである。むしろこの特有の機能および作用は、本実施形態を実践する例示の形態として開示されている。
【符号の説明】
【0035】
100 タービンシステム
102 タービン
104 タービンブレード(ロータ)
106 タービンケーシング(ステータ)
108 隙間
110 熱電気要素
111 ヒートシンク
112 制御装置
114 メモリ
116 プロセッサ
118 取り外し可能記憶装置
120 取り外し不可能な記憶装置
122 通信接続
124 入力デバイス
126 出力デバイス
128 作動システム
130 隙間モジュール
132 電源
200 熱電気要素
202、204 半導体素子
206、208 導体
210、212 熱伝達基板
214 電流
300 タービンシステム
302 タービン
304 ケーシング
306 熱電気要素
308 通気システム
400 方法
402 タービンケーシングの周囲の少なくとも一部に1つまたは複数の熱電気要素を位置決めする。
404 熱電気要素によって前記タービンケーシングの少なくとも一部を加熱または冷却することによって、前記タービンケーシングの膨張または収縮を制御し、1つまたは複数のタービンブレードと前記タービンケーシングの間の隙間が調節される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数のタービンブレードと、
前記1つまたは複数のタービンブレードを取り囲むタービンケーシングと、
前記タービンケーシングの周囲の少なくとも一部に配置された熱電気要素を備えるタービンシステムであって、
前記熱電気要素が、前記タービンケーシングの少なくとも一部を加熱または冷却することによって、前記タービンケーシングを膨張させたり収縮させたりし、これにより前記1つまたは複数のタービンブレードと前記タービンケーシングの間の隙間を調節するシステム。
【請求項2】
前記熱電気要素が、コールドシンクとヒートシンクの間に配置されるペルティエ素子を備える、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記ペルティエ素子に電圧を印加することで、前記コールドシンクとヒートシンクの間の熱伝導を制御する、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記コールドシンクとヒートシンクが、前記ペルティエ素子に印加される電圧の極性に依存する、請求項3記載のシステム。
【請求項5】
前記コールドシンクとヒートシンクが、セラミック製のプレートを備える、請求項2記載のシステム。
【請求項6】
前記ヒートシンクが、通気システムと連通している、請求項2記載のシステム。
【請求項7】
前記1つまたは複数のタービンブレードと前記タービンケーシングの間の隙間を小さくすることで、作動中の効率を上げる、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記1つまたは複数のタービンブレードと前記タービンケーシングの間の隙間を大きくすることで、起動時の効率と起動速度を上げる、請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記熱電気要素が、前記1つまたは複数のタービンブレードと一直線になるように、前記タービンケーシングの周囲の少なくとも一部に円周方向に配置される、請求項1記載のシステム。
【請求項10】
タービンにおける隙間を調節するための方法であって、前記タービンが、1つまたは複数のタービンブレードを取り囲むタービンケーシングを備えており、
前記タービンケーシングの周囲の少なくとも一部に1つまたは複数の熱電気要素を位置決めするステップと、
前記1つまたは複数の熱電気要素によって前記タービンケーシングの少なくとも一部を加熱または冷却することによって、前記タービンケーシングの膨張または収縮を制御し、前記1つまたは複数のタービンブレードと前記タービンケーシングの間の隙間が調節されるステップを含む方法。
【請求項11】
前記熱電気要素が、コールドシンクとヒートシンクの間に配置されるペルティエ素子を備える、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記ペルティエ素子に電圧を印加することで、前記コールドシンクとヒートシンクの間の熱伝導を制御する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記コールドシンクとヒートシンクが、前記ペルティエ素子に印加される電圧の極性に依存する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記コールドシンクとヒートシンクが、セラミック製のプレートを備える、請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記ヒートシンクが、通気システムと連通している、請求項11記載の方法。
【請求項16】
前記1つまたは複数のタービンブレードと前記タービンケーシングの間の隙間を小さくすることで、作動中の効率を上げる、請求項10記載の方法。
【請求項17】
前記1つまたは複数のタービンブレードと前記タービンケーシングの間の隙間を大きくすることで、起動時の効率を上げる、請求項10記載の方法。
【請求項18】
前記熱電気要素が、前記1つまたは複数のタービンブレードと一直線になるように、前記タービンケーシングの周囲の少なくとも一部に円周方向に配置される、請求項10記載の方法。
【請求項19】
1つまたは複数のタービンブレードと、
前記1つまたは複数のタービンブレードを取り囲むタービンケーシングと、
前記タービンケーシングの周囲の少なくとも一部に配置された少なくとも1つの熱電気要素と、
前記少なくとも1つの熱電気要素と通信する制御装置を備えるタービンシステムであって、前記制御装置が、
コンピュータプロセッサと、
前記コンピュータプロセッサと通信することで、コンピュータ実行可能命令を記憶するように作動可能なメモリを備えており、前記コンピュータ実行可能命令が、
前記少なくとも1つの熱電気要素によって前記タービンケーシングの少なくとも一部を加熱または冷却することによって、前記タービンケーシングの膨張または収縮を制御するように作動可能であり、前記1つまたは複数のタービンブレードと前記タービンケーシングの間の隙間が調節されるタービンシステム。
【請求項20】
前記少なくとも1つの熱電気要素が、コールドシンクとヒートシンクの間に配置されたペルティエ素子を備える、請求項19記載のシステム。

【図2】
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【図4】
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【図1】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−108492(P2013−108492A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−246955(P2012−246955)
【出願日】平成24年11月9日(2012.11.9)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】