説明

タービンエンジン用のシール及びタービンエンジンを組立てる方法

【課題】タービンエンジン用のシールを提供する。
【解決手段】タービンエンジンの隣接する燃焼器の側部端縁部をシールするサイドシール(260)は、延長端部(262/264)を含む。サイドシールの延長端部は、内側及び外側円周方向シール(250/254)に当接しかつ該内側及び外側円周方向シールに接触してシールして、燃焼ガスの漏洩を防止する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発電設備に用いられるある種の陸用タービンエンジンでは、エンジンの周辺部周りに複数の燃焼器が配置され、燃焼器の各々は、エンジンのタービンセクション内に高温燃焼ガスを送給する。タービンセクションへの入口は、内側環状壁及び外側環状壁を備えたアニュラスとして形成される。燃焼器の出口は、タービン入口アニュラスに接合される。各燃焼器の出口は、基本的に矩形形状になっている。しかしながら、出口の上方及び下方側部は、弓形になっていて、燃焼器の全てをタービンエンジンの外部周辺部の周りで横並びに配置した時に、燃焼器の出口は、エンジンのタービンセクションの円形形状入口アニュラスに接合される。
【0002】
タービン入口の内側及び外側環状壁と燃焼器出口の対応する表面との間には、円周方向シールが設けられる。加えて、隣接する燃焼器の各対の側部間には、サイドシールが設置される。
【0003】
燃焼器の各々の出口及びタービン入口アニュラスは、エンジンが作動している時に極度に高温の燃焼ガスを内包している。その結果、タービンが作動状態になった時に、燃焼器の出口部分及びタービン入口アニュラスの要素の両方が、温度スイングを受ける。室温と正常作動時に存在する高温との間の温度サイクリングにより、大きな熱膨張が発生する可能性がある。また、入口アニュラスに集まる個々の要素の複雑な形状の故に、膨張は均一でなくかつ予測不能である可能性がある。その結果、入口アニュラスと燃焼器の出口との間に、小さな開口が形成されるのが一般的である。そのような形成された開口の1つの一般的な位置は、燃焼器出口のコーナ部であり、このコーナ部において、隣接する燃焼器間のサイドシールは、内側及び外側円周方向シールと交わる。これらの開口は、高温燃焼ガスが漏洩するのを許す。また、この燃焼ガスの漏洩は、望ましくない効率損失を生じることを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5289677号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの態様では、本発明は、タービンエンジンの入口アニュラスに対して複数の燃焼器をシールする方法として具現化することができ、本方法は、入口アニュラスの周りに複数の燃焼器を配置する段階と、内側環状壁と燃焼器出口の各々の対応する表面との間に内側円周方向シールを取付ける段階と、外側環状壁と燃焼器出口の各々の対応する表面との間に外側円周方向シールを取付ける段階とを含む。本方法はまた、隣接する燃焼器出口の各対間に該燃焼器出口の側部間の空間をシールするようにサイドシールを取付けて、各サイドシールの第1の端部が外側円周方向シールの後側に当接しかつ該外側円周方向シールのほぼ高さ全体に延在するようにする段階を含む。
【0006】
別の態様では、本発明は、タービンエンジンの入口アニュラスに対して複数の燃焼器をシールする方法として具現化することができ、本方法は、入口アニュラスの周りに複数の燃焼器を配置する段階と、内側環状壁と燃焼器出口の各々の対応する表面との間に内側円周方向シールを取付ける段階と、外側環状壁と燃焼器出口の各々の対応する表面との間に外側円周方向シールを取付ける段階とを含む。本方法はまた、隣接する燃焼器出口の各対間に該燃焼器出口の側部間の空間をシールするようにサイドシールを取付けて、各サイドシールの第1の端部が内側円周方向シールの後側に当接しかつ該内側円周方向シールのほぼ高さ全体に延在するようにする段階を含む。
【0007】
別の態様では、本発明は、タービンエンジンの入口アニュラスに対して取付けられる隣接する燃焼器出口の側部間の空間をシールするサイドシールとして具現化することができる。本サイドシールは、2つの隣接する燃焼器出口の側部端縁部間の空間をシールするように構成された中央部分と、中央部分から延在すると共に外側円周方向シールの後側に当接しかつ該外側円周方向シールの後側に接触してシールしまた該外側円周方向シールのほぼ高さ全体に延在するように構成された第1の端部とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】タービンエンジンの部分断面図。
【図2】タービン入口アニュラスに対して2つの隣接する燃焼器出口を接合する方法を示す斜視図。
【図3】タービン入口アニュラスに対して取付けられる2つの隣接する燃焼器の上方表面を示す部分斜視図。
【図4】燃焼器出口に対してサイドシールを結合する方法を示す燃焼器の上方側コーナ部の部分断面図。
【図5】2つの隣接する燃焼器出口に対してサイドシールを接合する方法を示す部分斜視図。
【図6a】タービン入口アニュラスの外側環状壁に対して燃焼器出口を接合する方法を示す部分断面図。
【図6b】タービン入口アニュラスの外側環状壁に対して燃焼器出口を接合する方法を示す部分斜視図。
【図6c】タービン入口アニュラスの内側環状壁に対して燃焼器出口を接合する方法を示す部分断面図。
【図7a】異なるタイプのサイドシールを使用してタービン入口アニュラスの外側環状壁に対して燃焼器出口を接合する方法を示す部分断面図。
【図7b】異なるタイプのサイドシールを使用してタービン入口アニュラスの外側環状壁に対して燃焼器出口を接合する方法を示す部分斜視図。
【図7c】異なるタイプのサイドシールを使用してタービン入口アニュラスの内側環状壁に対して燃焼器出口を接合する方法を示す部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、発電設備で使用される一般的なタービンエンジンの主要な要素の一部を示している。タービンエンジン100は、流入空気を加圧しかつ加圧空気を燃焼器104に送給する圧縮機セクション102を含む。加圧空気は、燃焼器104内で燃料と混合され、かつ空気燃料混合気が点火燃焼される。得られた高温燃焼ガスは次に、燃焼器104の出口を通してタービンセクション106の入口アニュラス内に送られる。
【0010】
上述したように、タービンエンジン100の外部周辺部の周りには、複数の燃焼器104が配置される。燃焼器104の各々の出口は、タービンエンジン100のタービンセクション106内に開口した入口アニュラスに対して取付けられる。
【0011】
図2は、タービンエンジン100のタービンセクション106内に開口した入口アニュラスに対して2つの隣接する燃焼器出口を接合する方法を示している。入口アニュラスは、内側アニュラス(環状)壁202及び外側アニュラス(環状)壁204によって形成される。燃焼器220の出口の上方及び下方弓形表面は、内側及び外側環状壁202及び204に対して接合される。内側環状壁202と燃焼器出口の各々の下方壁との間に、内側円周方向シールが取付けられる。同様に、外側環状壁204と個々の燃焼器出口の各々の上方壁との間には、外側円周方向シールが取付けられる。
【0012】
さらに、隣接する燃焼器出口の各対の側部表面間には、サイドシール240が設置される。サイドシール240は、隣接する燃焼器間にシールを形成して、燃焼器出口の側部間から燃焼ガスが漏洩することができないようにする。
【0013】
図3は、2つの隣接する燃焼器の出口のより詳細図を示している。図3に示すように、出口は、側壁部分212及び上方壁部分216を含む。対応する下方壁部分(図示せず)は、各燃焼器出口の底部に設置される。外側円周方向シールは、各燃焼器出口上方壁216の頂部に設置された傾斜又は湾曲外側シール表面218に接触させて取付けられる。内側円周方向シールは、各燃焼器出口の底部上の同様な傾斜又は湾曲内側シール表面に接触させて取付けられる。湾曲又は傾斜表面は、設計要件及びその他の考慮事項に応じて、平坦なものとすることができる。
【0014】
図4は、隣接する燃焼器出口の各対間にサイドシール240を取付ける方法を示している。この図に示すように、サイドシールは、燃焼器出口の側部の後方で下方に延在する後方フランジ表面217に接触させて取付けられる。図5は、2つの隣接する燃焼器出口の隣接する後方フランジ表面217に接触させてサイドシール240を取付けて隣接する燃焼器間にシールを形成する方法を示している。
【0015】
図6a及び図6cは、2つの隣接する燃焼器出口の側部間のギャップに沿って取った部分断面図である。従って、図6a及び図6cは、燃焼器出口の側部表面を示している。図6bは、その接合部を示す斜視図である。これらの図は、燃焼器出口とタービン入口アニュラスの内側及び外側環状壁との間に内側及び外側円周方向シールを取付ける方法を示している。これらの図はまた、燃焼器出口の側部に沿って延在するサイドシールを示している。
【0016】
図6a及び図6bに示すように、燃焼器出口の外側シール表面218と外側環状壁204との間には、複数層外側円周方向シール250が取付けられる。さらに、サイドシール240は、燃焼器出口の側壁の後面上に形成された後方フランジ表面217と係合状態になるように押圧される。
【0017】
図6cに示すように、内側環状壁202と燃焼器出口の底部端縁部上に設置された内側シール表面219との間には、内側円周方向シール254が取付けられる。
【0018】
サイドシール240が図6a及び図6bに示すような長さを有する場合には、高温燃焼ガスにより様々な部品に膨張が生じた時にシールのコーナ部又は端縁部に小さな開口が形成される可能性がある。
【0019】
図7a〜図7cは、シールとタービン入口アニュラス及び燃焼器出口の様々な部品との間に開口が形成されるのを防止する働きをすることができる代替サイドシールの設計を示している。図7a及び図7bに示すように、代替サイドシール260の第1の端部262は、図6a及び図6bに示すサイドシール240の第1の端部よりもさらに外側に延在する。図7a及び図7bに示すように、代替サイドシール260の第1の端部262は、外側円周方向シール250の後方表面全体と係合状態になるように押圧される。サイドシール260は、該サイドシール260が可撓性であるようにまた該サイドシール260が外側円周方向シール250の後方表面に当接しかつ該後方表面に接触してシールすることができるように意図的に構成される。
【0020】
同様に、サイドシール260の第1の端部264は、図6cに示すサイドシールの第2の端部よりもさらに内側に延在する。従って、図7cに示すサイドシール260の第1の端部264は、内側円周方向シール254の後面に当接しかつ該後面に接触してシールすることができる。
【0021】
図7a〜図7cに示すようなサイドシール260は、タービン入口アニュラス及び燃焼器出口の様々な部品間に一層良好なシールを形成することができる。サイドシールは、燃焼ガスが漏洩するのを許す開口の形成を防止することができる。従って、サイドシールは、タービンエンジン100の全体効率を向上させることができる。
【0022】
内側及び外側円周方向シールは一般的に、その各々が金属マット内に包まれた複数層で形成される。同様に、サイドシールは、これもまた金属マット内に包まれた材料の1つ又はそれ以上の層で形成することができる。しかしながら、サイドシールの第1及び第2の端部は、それら端部が内側及び外側円周方向シールの後面の形状に適合してサイドシールと内側及び外側円周方向シールとの間に良好なシールを形成するのに十分なほどの可撓性を有するように製作しなければならない。
【0023】
現時点で最も実用的かつ好ましい実施形態であると考えられるものに関して本発明を説明してきたが、本発明は、開示した実施形態に限定されるべきものではなく、逆に、特許請求の範囲の技術思想及び技術的範囲内に含まれる様々な変更及び均等な構成を保護しようとするものであることを理解されたい。
【符号の説明】
【0024】
100 タービンエンジン
102 圧縮機セクション
104 燃焼器
106 タービンセクション
202 内側環状壁
204 外側環状壁
210 トランジションピース
212 側壁部分
214 下方壁部分
216 上方壁部分
217a フランジ表面
217b フランジ表面
218 外側シール表面
219 内側シール表面
220 燃焼器
240 サイドシール
250 外側円周方向シール
254 内側円周方向シール
260 代替シール
262 第1の端部
264 第2の端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンエンジンの入口アニュラスに対して複数の燃焼器をシールする方法であって、
入口アニュラスの周りに複数の燃焼器を配置する段階と、
内側環状壁と燃焼器出口の各々の対応する表面との間に内側円周方向シールを取付ける段階と、
外側環状壁と燃焼器出口の各々の対応する表面との間に外側円周方向シールを取付ける段階と、
隣接する燃焼器出口の各対間に該燃焼器出口の側部間の空間をシールするようにサイドシールを取付けて、各該サイドシールの第1の端部が外側円周方向シールの後側に当接しかつ該外側円周方向シールのほぼ高さ全体に延在するようにする段階と
を含む方法。
【請求項2】
各サイドシールの第2の端部が、内側円周方向シールの後側に当接しかつ該内側円周方向シールのほぼ高さ全体に延在する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
内側円周方向シールを取付ける段階が、内側環状壁と燃焼器出口の各々の対応する表面との間に複数の弓形シールセグメントを取付ける段階を含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
外側円周方向シールを取付ける段階が、外側環状壁と燃焼器出口の各々の対応する表面との間に複数の弓形シールセグメントを取付ける段階を含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
各サイドシールを取付ける段階が、燃焼器出口の側部に沿って延在する側部フランジの後面に接触させて該サイドシールを取付ける段階を含む、請求項2記載の方法。
【請求項6】
各サイドシールを取付ける段階が、
各サイドシールの第1の端部を外側円周方向シールの後側と係合状態になるように押圧して、該第1の端部が該外側円周方向シールの形状に適合しかつ該外側円周方向シールの後側に接触してシールするようにする段階と、
各サイドシールの第2の端部を内側円周方向シールの後側と係合状態になるように押圧して、該第2の端部が該内側円周方向シールの形状に適合しかつ該内側円周方向シールの後側に接触してシールするようにする段階と
を含む、請求項5記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【公開番号】特開2011−21601(P2011−21601A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152603(P2010−152603)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】