説明

タービンブレード用のエンジェルウィングシール並びにステータ、ロータ及びウィングシール輪郭を選択する方法

【課題】タービン(10)用のエンジェルウィングシール(34)を記載する。
【解決手段】1つの態様では、タービン内のロータブレード(22)とノズル(18、20)との間のエンジェルウィングシールは、タービンを通って流れる高温ガス流からタービンホイールスペース(40)内への高温ガスの吸込みを阻止する。例示的な実施形態では、シールは、ブレードのシャンク(25)からほぼノズルに向かって延びるシール本体(122)を含む。シール本体は、少なくとも1つの凹状面(116、118)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、総括的には回転機械に関し、より具体的には、エンジェルウィングシールに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンのホイールスペース空洞は、ホイールスペース及びロータの温度を所望の温度範囲内に維持しかつ高温ガス通路での吸込みを防止するために、圧縮機からの冷却空気でパージされる。ホイールスペース空洞を密封するために、エンジェルウィングシールが設けられる。具体的には、エンジェルウィングシールは、タービンロータブレードつまりバケットの軸方向延長部であり、タービンの固定構成部品の一部を形成するノズルシールランドと重なり合うことによってシールを形成する。一般的に、エンジェルウィングシールは、ブレード又はバケットの一部として一体形に鋳造される。エンジェルウィングシール及びステータ表面の特殊な輪郭は、高温ガス通路での吸込みを防止するのを可能にしかつ冷却空気の使用を減少させるように選択すべきである。
【特許文献1】米国特許第6,923,616号公報
【特許文献2】米国特許第6,773,229号公報
【特許文献3】米国特許第6,727,459号公報
【特許文献4】米国特許第6,672,832号公報
【特許文献5】米国特許第6,558,121号公報
【特許文献6】米国特許第6,506,016号公報
【特許文献7】米国特許第6,402,471号公報
【特許文献8】米国特許第6,390,774号公報
【特許文献9】米国特許第6,382,914号公報
【特許文献10】米国特許第6,132,174号公報
【特許文献11】米国特許第6,095,750号公報
【特許文献12】米国特許第5,924,843号公報
【特許文献13】米国特許第5,388,962号公報
【特許文献14】米国特許第5,302,086号公報
【特許文献15】米国特許第5,224,822号公報
【特許文献16】米国特許第5,211,536号公報
【特許文献17】米国特許第4,883,405号公報
【特許文献18】米国特許第4,815,933号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
1つの態様では、タービンを通って流れる高温ガス流からタービンホイールスペース内への高温ガスの吸込みを阻止するために、タービン内でロータブレードとノズルとの間に配置されるシールについて記載する。例示的な実施形態では、本シールは、ブレードのシャンクからほぼノズルに向かって延びるシール本体を含む。シール本体は、少なくとも1つの凹状面を有する。
【0004】
別の態様では、タービン内にシール装置を形成するための方法について記載する。タービンは、軸線の周りで回転可能なロータと、ロータによって支持されて該ロータと共に回転するようになったブレードと、ノズルとを有する。エンジェルウィングシールは、タービンを通って流れる高温ガス流からタービンホイールスペース内への高温ガスの吸込みを阻止するために、ロータブレードとノズルとの間に設けられる。エンジェルウィングシールは、ブレードのシャンクからほぼノズルに向かって延びる本体を有する。本方法は、エンジェルウィング本体内に少なくとも1つの凹状面を形成する段階を含む。
【0005】
さらに別の態様では、タービン内において軸線の周りで回転可能なロータのエンジェルウィングシールについて記載する。タービンにおいて、ブレードは、ロータによって該ロータと共に回転するように支持され、またタービンはさらに、ノズルを含む。本エンジェルウィングシールは、タービンを通って流れる高温ガス流からタービンホイールスペース内への高温ガスの吸込みを阻止する。本エンジェルウィングシールは、ブレードのシャンクからほぼノズルに向かって延びるシール本体を含む。シール本体は、少なくとも1つの凹状面を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は、全体を参照符号10で表したガスタービンの断面を概略的に示しており、ガスタービン10は、軸方向に間隔を置いて配置されたロータホイール12とスペーサ14とを有するロータを含み、これらロータホイール12及びスペーサ14は、複数の円周方向に間隔を置いて配置されかつ軸方向に延びるボルト16によって互いに結合される。タービン10は、例えば第1段ノズル18及び第2段ノズル20のようなノズルを有する様々な段を含み、これらのノズルは、円周方向に間隔を置いて配置された複数のステータブレードを有する。これらのノズルの間に位置しかつロータと共に回転する例えばそれぞれ第1段及び第2段ロータブレード22及び24のような複数のロータブレードを示している。
【0007】
図2を参照すると、各ロータブレード、例えばロータブレード22は、シャンク25上に取付けられた翼形部24を含み、シャンク25は、プラットフォーム26とシャンクポケット28とを含み、シャンクポケット28は、一体形のカバープレート30と、ロータホイール12(図1)上に形成されたほぼ対応するダブテールスロットに連結するためのダブテール32とを有する。バケット22は一般的に、一体形に鋳造され、軸方向に突出したエンジェルウィングシール34を含む。シール34は、隣接するノズル上に形成されたランド36(図1参照)と協働して、高温ガス通路を通って流れるその全体を矢印38(図1)で表した高温ガスのホイールスペース40内への吸込みを制限する。
【0008】
一般的に、エンジェルウィングシール34は、エンジェルウィング本体42と、その遠位端における上向き部つまり先端部44と、それぞれ参照符号46及び48で表した上部及び下部エンジェルウィング根元ブレンド部と、それぞれシール本体上及び下表面50及び52とを含む。従来通り、上及び下表面50及び52は、根元ブレンド部から先端部44まで延びる直線的表面であって、一般的に上表面50は、ロータの回転軸線の周りで同心の円弧状表面を有する。
【0009】
図3は、本発明の1つの実施形態によるエンジェルウィング100、ロータ本体102及びステータ104の輪郭を示す。これらの輪郭は、ホイールスペース106内における高圧及び低圧のパターンを形成するのを可能にする。これらの輪郭は、少なくとも部分的にベルヌーイの法則に基づいて選択され、ベルヌーイの法則により、定常流になった非粘性かつ非圧縮性流体の場合には、単位体積当たりの圧力、位置エネルギー及び運動エネルギーの和があらゆる点において一定であることになる。より具体的には、ベルヌーイの法則は、変動する流れ及び高さ条件下における流体の挙動を説明しており、次式となる。
P+1/2pv+pgh=一定
上式において、Pは、静圧(ニュートン/mで表す)であり、pは、流体密度(kg/mで表す)であり、vは、流体流の速度(m/秒で表す)であり、gは、重力加速度であり、またhは、基準面からの高さである。この等式の第2項は、動圧として知られている。
【0010】
図3に示すように、またこの例示的な実施形態では、ステータ104は、凹状面108及び110とステータ突出部112とを含み、またロータ本体102は、ロータ突出部114を含む。エンジェルウィング100もまた、凹状面116及び118と外向き湾曲下面120とを含む。ステータ104、ロータ102及びエンジェルウィング100におけるこれらの輪郭形状は、以下の方法、つまり鋳造、機械加工、溶接及びTBC/アブレイダブル皮膜のいずれか1つ又はそれらの組合せによって形成することができる。
【0011】
エンジェルウィング100(本明細書においては、シールと呼ぶこともある)については、ウィング100は、ブレードのシャンクからほぼノズル104に向かって延びるシール本体122を含む。シール本体122は、少なくとも1つの凹状面を有する。この実施例としての実施形態では、シール本体122は、その先端部124における第1の凹状面116と、ロータから延びる本体部分126の長さに沿った第2の凹状面118とを有する。シール本体122は、本体部分126の長さに沿った外向き湾曲面120を有する。ノズル104は、ロータ102に向かって延びる第1の突出部112と凹状面108及び110とを有する。ロータ102は、突出部114を有する。
【0012】
言うまでもなく、多くのその他の構成及び輪郭も可能である。一般に、突出部112及び114は、圧力の低下を引き起こし、また凹状面108、110、116及び118は、圧力の増大引き起こす。より具体的には、漏洩/流れ面積の変化により、速度及び圧力におけるその後の増大又は低下が生じる。高速度から低速度への移行の間に、ホイールスペース空洞内で空気が膨張して圧力が増大し、この増大した圧力が「バッファ」を形成するようになる。
【0013】
本明細書において幾度か述べたように、ステータ104及びロータ102(エンジェルウィング100を含む)は、高温ガス通路での吸込み並びにロータ102を冷却するための冷却空気の効率的使用を可能にしてロータ102を選択した作動温度範囲内及び温度勾配に維持するシール装置又は組立体を形成する。本明細書に記載及び/又は図示した方法及びシステムは、回転機械、より具体的にはガスタービンに関して記載及び/又は図示しているが、本明細書に記載及び/又は図示した方法及びシステムの実施は、ガスタービンに限定されるものではない。むしろ、本明細書に記載及び/又は図示した方法及びシステムは、例えば蒸気タービンを含む多くの異なるタイプのタービン上でシール装置を組立てるのに適用可能である。
【0014】
以上、シール装置の例示的な実施形態を詳細に説明している。本方法は、本明細書に記載した特定の実施形態にもまた組立てた特定のシール装置にも限定されるものではなく、むしろ本シール装置は、本明細書に記載したその他の方法とは独立してかつ別個に利用することができ、或いは本明細書に記載していないシール装置を組立てるために利用することができる。例えば、その他のシール装置もまた、本明細書に記載した方法を用いて組立てることができる。
【0015】
様々な特定の実施形態に関して本発明を説明してきたが、本発明が特許請求の範囲の技術思想及び技術的範囲内の変更で実施することができることは当業者には分かるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】タービンの一部分の概略部分断面図。
【図2】タービンブレードの拡大斜視図。
【図3】実施例としてのステータ及びロータ輪郭の概略図。
【符号の説明】
【0017】
10 タービン
12 ロータホイール
14 スペーサ
16 ボルト
18 第1段ノズル
20 第2段ノズル
22 ロータブレード
24 翼形部
25 シャンク
26 プラットフォーム
28 シャンクポケット
30 カバープレート
32 ダブテール
34 エンジェルウィングシール
36 ランド
38 矢印
40 ホイールスペース
42 エンジェルウィング本体
44 上向き部又は先端部
46 上部エンジェルウィング根元ブレンド部
48 下部エンジェルウィング根元ブレンド部
50 シール本体上表面
52 シール本体下表面
100 エンジェルウィング
102 ロータ本体
104 ステータ
106 ホイールスペース
108 凹状面
110 凹状面
112 ステータ突出部
114 ロータ突出部
116 第1の凹状面
118 第2の凹状面
120 外向き湾曲下面
122 シール本体
124 先端部
126 本体部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線の周りで回転可能なロータと、前記ロータによって支持されて該ロータと共に回転するようになったブレード(22)と、ノズル(18、20)とを有するタービン(10)における、前記ロータブレードとノズルとの間に配置されてタービンを通って流れる高温ガス流からタービンホイールスペース(40)内への高温ガスの吸込みを阻止するようになったシール(34)であって、
前記ブレードのシャンク(25)からほぼ前記ノズルに向かって延びるシール本体(122)を含み、
前記シール本体が、少なくとも1つの凹状面(116、118)を含む、
シール。
【請求項2】
前記シール本体(122)が、その先端部(124)に第1の凹状面(116)を含む、請求項1記載のシール。
【請求項3】
前記シール本体(122)が、前記ロータから延びる本体部分(126)の長さに沿った第2の凹状面(118)を含む、請求項1又は2に記載のシール。
【請求項4】
前記シール本体(122)が、前記ロータから延びる本体部分(126)の長さに沿った外向き湾曲面(120)を含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシール。
【請求項5】
前記ノズル(104)が、前記ロータに向かって延びる第1の突出部(112)を含む、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシール。
【請求項6】
前記ノズル(104)が、少なくとも1つの凹状面(108、110)を含む、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシール。
【請求項7】
前記ロータが、少なくとも1つの突出部(114)を含む、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシール。
【請求項8】
ノズル(18、20)を含むタービン(10)内において軸線の周りで回転可能でありかつブレード(22)をそれと共に回転させるように支持するロータのエンジェルウィングシール(34)であって、
該エンジェルウィングシールが、タービンを通って流れる高温ガス流からタービンホイールスペース(40)内への高温ガスの吸込みを阻止するように設けられ、
該エンジェルウィングシールが、前記ブレードのシャンク(25)からほぼ前記ノズルに向かって延びるシール本体(122)を含み、
前記シール本体が、少なくとも1つの凹状面(116、118)を含む、
エンジェルウィングシール(34)。
【請求項9】
前記シール本体(122)が、その先端部(124)における第1の凹状面(116)と、前記ロータから延びる本体部分(126)の長さに沿った第2の凹状面(118)とを含む、請求項8記載のエンジェルウィングシール(34)。
【請求項10】
前記シール本体(122)が、前記ロータから延びる本体部分(126)の長さに沿った外向き湾曲面(120)を含む、請求項8又は9に記載のエンジェルウィングシール(34)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−85340(P2007−85340A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−249241(P2006−249241)
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】