説明

タービンロータ

【課題】
本発明は、少なくとも2つのロータの突合せ部を、溶接部を介して連結したタービンロータにおいて、裏波を形成させずに、強度信頼性の高いタービンロータを提供することを目的とする。
【解決手段】
低圧側ロータと高圧側ロータとを、互いの端部を溶接することにより一体化した蒸気タービンロータにおいて、前記タービンロータは中心孔を有し、前記低圧側ロータ及び前記高圧側ロータの端部は、少なくとも半径方向及び軸方向の二つの面で接触し、かつ少なくとも前記端部の一部が溶接されていることを特徴とするタービンロータである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービンロータに関する。
【背景技術】
【0002】
環境問題の高まりから、蒸気タービン発電プラントには高効率化及び出力の大容量化が求められ、蒸気の高温化・高圧化が進められている。蒸気タービンロータのロータ材に要求される特性は、高圧(高温)では高温クリープ破断強度であり、低圧では引張強度,靭性である。しかし、高圧と低圧の双方の特性を一つの材質で満足することは困難である。従って、蒸気タービンロータを複数の段落に分け、各部位に最適なロータの材料を選択し、一部ずつをボルト締結,溶接接合等により連結して一本のロータを構成する方法が知られている。
【0003】
溶接により構成される溶接構造型タービンロータは、起動時の応力を低減するため、ロータを組み上げた際に中心部に密閉された空洞を有する構造である。溶接により構成されるタービンロータでは、溶接金属をロータ中心孔部にまで貫通させて、裏波を形成させる。しかし、ロータ中心孔の内部は、不活性雰囲気に置換できず空気雰囲気であるため、酸化抑制用のバックシールドを適用できない。従って、外周側から溶接トーチを投入して溶接すると、溶接金属が中心孔内の空気と反応して、裏波は過剰酸化を起こす。過剰酸化した裏波の形状は不規則となり、設計図とは大きく異なるものになったり、欠陥を生じる場合がある。
【0004】
このようなロータ中心孔側に形成した裏波を形状検査しないことは、強度信頼性の観点から望ましくない。特開2000−64805号公報(特許文献1)、特開平9−108883号公報(特許文献2)、特開2000−186509号公報(特許文献3)では、形成された裏波を検査するためにロータ外周から中心孔に通じる貫通する検査穴を設け、放射線線原やカメラなどを中心孔に投入して放射線透過試験(RT)や目視試験(VT)を行うことが提案されている。
【0005】
また、裏波の欠陥を防止するため、中心孔にガス注入用の貫通孔を設けてバックシールドを注入することも提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開2000−64805号公報
【特許文献2】特開平9−108883号公報
【特許文献3】特開2000−186509号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のようにロータに貫通孔を設けると、ロータは回転体であるため、応力集中を受ける可能性があり、強度維持,製品信頼性の観点から望ましくない。そこで、本願発明の目的は、裏波を形成させずに溶接した溶接ロータを提供することにある。その結果、溶接ロータの裏波の形状検査を不要とし、溶接部の強度信頼性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、低圧側ロータと高圧側ロータとを、溶接金属を含む溶接部を介して少なくとも一部分を接合することにより一体化した蒸気タービンロータに関する。上記課題を解決する本発明の特徴は、前記低圧側ロータと高圧側ロータとを互いの端面を溶接することにより一体化する際、低圧側ロータ及び前記高圧側ロータが半径方向および軸方向に伸びる2つの接触面で接触していることを特徴とする。
【0009】
また、溶接部は、少なくとも一部が軸方向の接触面上に位置していることが望ましい。また、半径方向に伸びる接触面が、溶接開先の中心線から低圧側に配置されたことが望ましい。さらに、半径方向に伸びる接触面の長さが、0.5〜2.0mmであることが好ましい。また、軸方向に伸びる接触面は、その一端が溶接開先の中心よりも低圧側に位置する、あるいは、軸方向に伸びる接触面は、その一端が半径方向に伸びる接触面よりも高圧側に位置することが望ましい。
【0010】
さらに、蒸気タービンロータは中心孔を有する構造であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、裏波の欠陥,形状検査を勘案することが不要であり、溶接部の信頼性向上に寄与できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
従来の一体型ロータの場合、蒸気温度538℃〜600℃の高圧,中圧蒸気タービンには、1%CrMoV系鋼,12%Cr系鋼が使用されていた(特許第1833108号公報、ASTM A470 Class8等)。また、蒸気温度400℃以下の低圧蒸気タービンには3〜4%Ni−Cr−Mo−V系鋼が使用されていた(ASTM A470 Class7)。538〜566℃の蒸気温度で高圧から低圧までを同一材質で一体成形した高低圧一体型ロータでは、2%Ni−2%Cr−Mo−V系鋼等が使用されている(特許第3106121号公報)。これらのロータは、更なる高温化,大容量化には適していない。
【0013】
本発明のタービンロータは、ロータ材を複数の部材に分け、それぞれを連結して構成される。大型の蒸気タービンロータにおいて、ロータ材に要求される特性は、高圧(高温)では高温クリープ破断強度であり、低圧では引張強度,靭性である。要求される特性はタービンロータの段落毎に異なっている。また、大型の蒸気タービンロータのロータ材に要求される、高圧と低圧の双方の特性を一つの材質で満足することは困難である。製造工程の再溶解時に、異なる材質のインゴットでタービンロータを製造する場合は、大型ロータの製造と比べて、高品質な鋼塊が得られやすく、大規模な製造設備を必要としない。段落毎または複数段落毎に最適なロータの材料を選択して段落または複数段落を形成し、これらの段落または複数段落をボルト締結,溶接接合等により連結して一本のロータを構成する方法が知られている。
【0014】
そこで、タービンロータの段落毎、または複数段落毎のように、小鋼塊を接合してタービンロータを製造する方法が特公昭56−14842号公報に示されている。段落または複数段落を溶接接合により連結したタービンロータが三菱重工技報、Vol.37、No.3(2000−5)に示されている。
【0015】
また、本発明のタービンロータは、ロータ材の内部に中心孔を有する。通常、一の段落または複数段落を溶接して構成するタービンロータでは、溶接金属をロータ中心孔部にまで貫通させて、裏波を形成させる。しかし、ロータ中心孔はロータを組み上げた際に密閉となるため、ロータ中心孔の内部を不活性雰囲気に置換できないので、空気雰囲気のままである。この状態で外周側から溶接トーチを投入して溶接すると、溶接金属が中心孔内の空気と反応して、裏波は過剰酸化を起こす。過剰酸化した裏波の形状は、不規則となり、設計図とは大きく異なるものになる。この防止策として、ロータの中心孔に不活性ガスを注入するために、溶接開先に穴を設けたもの(富士時報 Vol.77, No.2(2004))などがある。しかし、溶接開先に設けた穴を溶接過程で封止するには、多大な労力を必要とする。さらに、このような防止策により、裏波を形成したとしても、その形状健全性、すなわち設計形状との合致性については、溶接後に検証する必要がある。通常の検査方法としては、溶接部表面に対しては浸透探傷試験(PT)、溶接部内部に対しては超音波探傷試験(UT)が行われる。しかし、これらは、欠陥の検出や欠陥寸法の測定が主な目的であるため、裏波の形状検査に対しては適用できない。それに対して、放射線透過試験(RT)や目視試験(VT)は、裏波形状を検査することが出来る。しかし、これらの試験では、放射線線原やカメラなどを中心孔に投入する必要がある。
【0016】
一方、ロータ外周から中心孔に通じる貫通する検査穴を設けることも提案されている。しかし、ロータに貫通孔を設けることは強度信頼性の観点から望ましくない。また、ロータ中心孔側に形成した裏波を形状検査しないことも、強度信頼性の観点から望ましくない。
【0017】
次に、発明者らは、形状検査を必要とする裏波を形成させずに、強度信頼性を確保できる方法について検証した。例えば、特公平6−78721号公報で示されているインロー形状を呈する突合せ部を溶接した場合、裏波を形成させないためには、溶け込み深さが突合せ部を貫通しないように溶接時の入熱量を調整することになる。予備試験として、入熱量を調整して溶接した結果、溶接中に溶接金属が噴出し、健全な溶接部を形成できなかった。この原因は、溶接入熱時の温度上昇に伴い、密閉した中心孔内に残存している空気が膨張したため、溶融状態の溶接金属を噴出させたと推察された。従って、健全な突合せ部の形成には、溶接前の突合せ部形状を規定するのみでは不十分である。
【0018】
次に、溶接後の突合せ部の溶け込み状態を検討した。例えば、特開2005−344527号公報では、溶接後の突合せ部が、斜め、あるいはジグザグ形状であることを示している。特開2001−123801号公報では、溶接後の突合せ部が、溶接前のインロー形状を保っていることを示している。いずれの形状も、ロータを組み上げる際のロータの位置合わせ、つまりロータ回転時の偏芯低減を目的として設計されているため、初層溶接時の噴出し抑制への効果は小さい。予備試験の結果、これらの突合せ部の形状は、必ずしも初層溶接時の噴出しを抑制できなかった。
【0019】
本発明者らは、上記のような事情に鑑み、ロータの突合せ部を、溶接部を介して連結したタービンロータに裏波を形成させず、強度信頼性を高める検討を行った。その結果、初層溶接時の噴出しをなくし、かつ外周から中心孔に通じる貫通孔をなくしたため、強度信頼性の向上に寄与できる。さらに、裏波形状の検査工程が不要であって、製造工程の短縮化に寄与できる。
【0020】
本発明は、低圧側ロータと、高圧側ロータとを、中心孔部分の周囲で、半径方向及び軸方向の少なくとも二つの面で接触させる。また、接触面の少なくとも一部を溶接し一体化するタービンロータである。
【0021】
例えば、高圧側ロータの低圧側ロータとの接触端面に段差を設け、外側からロータの半径方向に平行な面,垂直な面,平行な面とする。他方の低圧側ロータにも、高圧側ロータと組み合わさるように対応する段差を設ける。このように、接触面のうち、半径方向に平行な面を少なくとも二箇所設け、最外に位置する接触面を溶接により接合する。溶接は外側の接触面全部を覆うように行っても、一部残しても構わない。その結果、ロータの半径方向に平行な接触面が連続ではないため、裏波が形成されない。また、中心孔内部の空気の噴出も防止される。
【0022】
半径方向に平行な面のうち、内側の部分は外側の部分よりも低圧ロータ側にあることが好ましい(つまり、ロータの軸方向に平行な面は溶接部より低圧ロータ側に伸びていることが好ましい。)。また、ロータの半径方向に平行な面は、設計上可能な範囲で、ロータの半径方向と平行であることが好ましい。なお、ロータの軸方向に平行な面はロータの軸に平行でなくてもよい。
【0023】
以下、本発明のタービンロータを実施するための最良の形態を具体的な実施例によって詳細に説明する。
【実施例1】
【0024】
本発明の第1の実施例について図1から図11を用いて説明する。図1は本発明に係る高圧蒸気用のタービンロータの断面図である。図1の高低圧蒸気用のタービンロータは、高温側ロータ61,低温側ロータ62の2つに分割されており、各々が溶接部6で接合されてタービンロータが構成されている。溶接部6で接合される継手部には中空部64が形成され、軽量化が図られている。高温側ロータ61は1%Cr−Mo−V系鋼で構成されている。低温側ロータ62は、3〜4%Ni−Cr−Mo−V系鋼で構成されている。表1は代表的なタービンロータのロータを構成する母材及び溶接ワイヤの化学組成(重量%)を示し、残部がFeである。
【0025】
【表1】

【0026】
本実施例では、高温側ロータ61の母材のCr含有量が1.13%であり、低温側ロータ62の母材のCr含有量が1.83%であった。化学組成だけに着眼すると、溶接ワイヤは両ロータの中間に位置するCr含有量とすべきである。しかし、溶接後の熱処理特性を考慮して、両ロータの最終焼き戻し温度以上の熱処理でも、強度低下を起こさないために、Cr含有量を両ロータよりも高い(A)1.22%、あるいは(B)2.22%とした。
【0027】
図2は、本発明に係るタービンロータの溶接継手部の部分断面図である。高温側ロータ母材1と低温側ロータ母材2に設けた溶接開先30の底部には、両ロータの位置合わせをするための、突合せ部7が設けてある。溶接開先30に溶接ワイヤを充填することで、溶接部6を形成して、ロータ母材1,2を溶融接合し、タービンロータが構成される。ロータ母材1,2の内部には、軽量化を図るために、中空部3を設けてある。実機負荷応力が突合せ部7に集中するのを回避するために、中空部3には中空部4,5が設けてある。
【0028】
図3は、タービンロータを溶接するためのタービンロータ溶接装置の模式図を示す。本例は、タングステン・不活性ガス(TIG)溶接法によるタービンロータ溶接装置である。タービンロータ溶接装置8は、電極9が取り付けられるトーチ10,溶接部6を形成する溶接ワイヤ11、トーチ10及び溶接ワイヤ11を支持固定するアーム12,電極9に所定値の電流を供給する溶接電源13,溶接部6の酸化を抑制するために電極9周囲から噴射する不活性ガスを供給するガスボンベ14,タービンロータを支持しながら回転させるためのタービンロータ回転装置15及び溶接ワイヤ11を溶接部6に送給する溶接ワイヤ送給装置16を備える。電極9には、溶接電源13からの送電線17が取り付けられてあり、溶接電源13から電流が供給される。トーチ10には、ガスボンベ14から不活性ガスの供給をうけるためにガスホース18が取り付けてある。タービンロータには、電極9とタービンロータとの間で電気アークを発生するために、電気線19が取り付けてある。タービンロータ回転装置15には、回転信号線20が取り付けてあり、溶接電源13からの制御信号を受けてタービンロータ回転装置15の回転速度および回転方向が制御される。溶接ワイヤ送給装置16は、送給信号線21からの制御信号を受けて溶接ワイヤ22の送給速度が制御されるように構成されてある。本発明では溶接装置として、図3で示したタングステン・不活性ガス(TIG)溶接法に加えて、サブマージアーク(SAW)溶接法,被覆アーク溶接法,金属・不活性ガス(MIG)溶接法および、これらの組み合わせを採用することができる。さらに、図3では、ロータを水平に配置して下向きに溶接しているが、ロータを垂直に配置して横向きに溶接しても構わない。
【0029】
図4は、本発明に係るタービンロータにおいて、複数のロータを溶接して接合する溶接工程フローの一例を示している。まず、ステップ101で溶接工程を開始する指示がでると、ステップ102で、溶接時の熱応力を緩和するために、ロータを予熱する。そして、ステップ103において、図3で示したタービンロータ溶接装置によって複数のロータを溶接して接合するための本溶接を行う。ステップ104では、本溶接で溶接部6に入った熱を均一化するために応力除去焼鈍を行う。ステップ110で溶接部6の溶接欠陥検査を行う。ステップ111で欠陥を検出して、さらにステップ112欠陥サイズが機械強度上許容できない場合、ステップ108で溶接部6を切除して、さらにステップ109でロータ端面を開先加工する。ステップ111で欠陥を検出しなかった、あるいはステップ112で欠陥サイズを許容することが確認できた場合、ステップ113に進んで接合工程を終了する。
【0030】
参考までに、図5に、本実施例に拠らない場合の溶接工程フローの一例を示している。溶接工程フローは、図4のステップ104とステップ110の間に、ステップ105〜ステップ109が追加されている。ステップ105で、裏波の形状検査を行う。ステップ106で裏波形状が設計図面に適合するかを判断する。非適合の場合はステップ107で、その裏波形状が許容できるかを判断する。裏波形状が機械強度上許容できない場合、ステップ108で溶接部6を切除して、さらにステップ109でロータ端面を開先加工する。そして、再度、ステップ103に戻り本溶接を行う。ステップ106で裏波形状が設計図面と合致すること、あるいはステップ107で許容することが確認できた場合、ステップ108で溶接部6を切除する。図4と図5を比較すると、本実施例によれば、ステップ105からステップ109、すなわち裏波形状の検査工程、および裏波の再溶接工程が不要となるので、工期短縮に寄与できる。
【0031】
図6は、溶接前の溶接部近傍の断面を示している。高圧側ロータと低圧側ロータは、インロー(鍵状)形状に加工された突合せ部で接触している。接触面は、外側から配置している順に、半径方向に伸びる外側の接触面31,軸方向に伸びる接触面32,半径方向に伸びる内側の接触面33から構成されている。本実施例では、軸方向に伸びる接触面32は、低圧側ロータ母材2側に配置する。これは、突合せ部7の噛み合わせを容易にするために、予熱する場合に、図示していない加熱器具を低圧側ロータ母材2の方が取り付け易いためである。また、半径方向に伸びる内側の接触面33の長さL3は、1.8mmである。これは、図7に示すような、両ロータ材料と溶接金属11から構成する溶接継手の材料強度試験の実験結果を基に決定した。図7の横軸は、ロータ母材1,ロータ母材2、及び溶接金属11から構成する溶接継手に導入した切欠き34の長さである。縦軸は、溶接継手の材料強度である。また、縦軸には、実機運転時においても、溶接部が破損しないために必要とする設計仕様のレベルを併記した。本結果から、切欠き34の長さの増大に伴い、溶接継手の材料強度は減少する傾向があった。これより、材料強度の設計仕様を満たすためには、切欠き34の長さは最大許容長さLmax以下でなければいけない。例えば、本実施例の場合、切欠き34の最大許容長さLmaxは2.0mmであった。一方、ロータを上下方向に組み上げる際に、半径方向に伸びる内側の接触面は、ロータ自重を支持するための下限値がある。図8に、半径方向に伸びる内側の接触面33の長さL3と、そこに負荷する応力の関係の計算結果例を示す。縦軸は、上側に位置するロータの自重Pを、半径方向に伸びる内側の接触面33の面積Aで割った値(σ=P/A)である。また、縦軸には、材料が破損を引き起こす上限値σmaxを併記した。半径方向に伸びる内側の接触面33の長さL3が増大すると、負荷する応力は減少する。これより、材料が破損を引き起こす上限値σmaxを下回るには、半径方向に伸びる内側の接触面33の長さL3は、最低限必要な長さLmin以上でなければいけない。例えば、本実施例の場合、半径方向に伸びる内側の接触面33の長さL3は、最低限必要な長さLminは0.5mmであった。以上の結果から、半径方向に伸びる内側の接触面33の長さL3は、式(1)に示すように0.5から2.0mmの範囲とする必要がある。
【0032】
0.5≦L3≦2.0 式(1)
【0033】
図9は、溶接後の溶接部近傍の断面を示している。溶接トーチから放出するアーク熱により溶接金属11を溶融させて、溶接開先30の内部に溶接金属11を充填することにより、高圧側ロータ母材1と低圧側ロータ母材2とを、冶金的に接合させる。溶接金属11は、母材中にも溶け込む。その際、半径方向に伸びる外側の接触面31は、溶接金属11の溶け込みにより全て消失している。軸方向に伸びる接触面32は、溶接金属11の溶け込みにより消失しているが、少なくとも一部は残存している。本実施例では、軸方向に伸びる接触面32の長さL2は、2.0mmであった。溶接前では、軸方向に伸びる接触面32の長さL2は2.5mmであったが、溶接金属11による溶け込みにより、0.5mm減少した。すなわち、溶接金属11の溶け込み先端が、軸方向の接触面上にある。半径方向に伸びる内側の接触面は、溶接金属11を溶け込ませないため、全て残存している。
【0034】
図10に、入熱量Qと溶け込み深さDの関係を示す測定結果例を示す。母材はCrMoV鋼、溶接方法はTIGである。横軸は、式(2)で表される入熱量である。これは、トーチと母材間に発生するアーク熱と走査速度により決定付けられる単位長さ当たりの母材に投入する熱量を表す。
【0035】
Q=EI/v 式(2)
【0036】
Eは、トーチと母材間に掛かる電圧値、Iはアークに流れる電流値、vは熱源(トーチ)が母材と相対的に移動する際の走査速度である。縦軸は、入熱により母材が溶融した深さを示す溶け込み深さDである。これは、各入熱量にて母材表面に溶接ワイヤを投入して溶接を行い、その後、母材断面を切断および研磨して、溶け込み部を光学顕微鏡にて撮影し、撮影像から溶け込み深さを測定した結果である。溶け込み部は、溶接トーチ直下を中心として、母材表面から半円形状である。本測定では、溶け込み深さDは、溶接トーチと平行方向の長さを代表値とした。図10より、溶け込み深さDは、入熱量Qと共に増加する傾向があった。これは、入熱量Qを調整することにより、溶け込み深さDを制御することができることを意味している。
【0037】
図11は、図9の突合せ部の詳細図を示している。本実施例では、半径方向に伸びる外側の接触面の長さは2mmなので、図8の測定結果より、約36kJ/cmの入熱量Qを投入して溶接することにより、3つの接触面のうち、図11のような半径方向に伸びる外側の接触面のみを溶接金属11で溶け込ませることができる。
【0038】
図12は、突合せ部を溶接する際の手順、および物理現象を示している。まず、突合せ部形状(L1,L2,L3)を読み込み(S201)、溶け込み深さDと入熱量Qとの関係データベースと照合して(S202)、式(3)が成立するように入熱量Qを選定する(S203)。
【0039】
1≦D<√(L12+L22) 式(3)
【0040】
ここで、裏波を形成しないように、式(3)と式(4)を同時に満たすように、入熱量Qを選定する必要がある。
【0041】
1≦D<(L1+L2) 式(4)
【0042】
次に、溶接入熱を付与して(S203)、半径方向に伸びる内面接触面(S205)と、軸方向に伸びる接触面の一部を残す(S206)。前者については、裏波を形成していないので(S207)、形状検査が不要となる(S208)。これにより、溶接ロータの製造工期の短縮に寄与する第1の効果がある。また、検査用の貫通孔が不要となるので(S209)、強度信頼性の向上に寄与する第2の効果がある。しかし、貫通孔がないため、ロータ中心孔は密閉状態になる(S210)。溶接入熱(S204)により、ロータ中心孔内の残存空気が加熱されるため、膨張する(S211)。その結果、初層溶接時にロータ中心孔内が軟化した箇所で、噴出しを起こしやすくなる。この噴出しは、軸方向に伸びる接触面の一部を残すことで、解消することができる。溶接入熱(S204)により、母材は膨張する(S212)。ここで、軸方向に伸びる接触面近傍の温度分布模式図を、図13を用いて説明する。軸方向に伸びる接触面は、熱伝導方向に対して直角に近い角度で交わる。さらに、接触面は、微視的に見ると、全面が均一に接しているのではなく、微小凹凸が点、あるいは面接触して構成している。その故に、接触面間には空隙が存在するため、熱伝達性は低下する。これにより、熱伝導が先に起きる母材Aと、軸方向に伸びる接触面を介した熱伝達後に熱伝導する母材Bとの間では、温度勾配に不連続が生じる。つまり、母材Aでは温度が高く、母材Bでは温度が低い状態となり、式(5)が成立する。
【0043】
A>TB 式(5)
【0044】
温度上昇による母材の熱膨張ΔLは、式(6)で表される。
【0045】
ΔL=α(T−r.t.)L 式(6)
【0046】
αは熱膨張係数、Tは加熱後の温度、r.t.は室温(=約27℃)、Lは加熱される部位の長さである。
【0047】
Lを一定とすると、式(3)と式(4)より、式(7)が成立する。
【0048】
ΔLA>ΔLB 式(7)
【0049】
これより、母材Aが母材Bよりも膨張量が多いことが分かる。この結果、図10に示した物理現象は、下記のようになる。軸方向の接触面にある微細空隙は、母材Aの膨張(S212)により圧縮され(S213)、緻密に接触しやくなる。これにより、軸方向の接触面が中心孔内の膨張した残存空気の噴出す経路を遮断するので(S214)、初層の噴出しを阻止する(S215)。初層の噴出しは一種の溶接欠陥であるので、図4で示した溶接欠陥検査(S110)の対象となる。しかし、初層の噴出しを阻止することにより、溶接欠陥の削減につながるので、第2の効果である強度信頼性の向上に寄与できる。
【実施例2】
【0050】
本発明の第2の実施例について図14を用いて説明する。本実施例は、実施例1とは、軸方向に伸びる接触面32の長さのみが異なり、その他については同じなので、説明は割愛する。
【0051】
まず、本実施例の前に行った事前検証試験の結果を説明する。軸方向に伸びる接触面32の長さL2を、溶接前後ともに2.5mmであった。すなわち、溶接金属11の溶け込み先端が、軸方向の接触面上にはなかった。この場合、図11で説明した軸方向に伸びる接触面32の圧縮による、噴出し抑制効果が得られなかった。このことから、噴出し抑制効果を得るためには、溶接金属11の溶け込み先端は、軸方向の接触面上にあることが必要であることが分かった。この結果より、溶接後の溶接部近傍の断面は、図14のようになる。例えば、溶接後の軸方向に伸びる接触面32の始点は、溶接開先30の中心から0.05mmの位置とした場合、図11と同じ、噴出し抑制効果を得た。
【実施例3】
【0052】
本発明の第3の実施例について図15を用いて説明する。本実施例は、実施例1とは、軸方向に伸びる接触面32の長さのみが異なり、その他については同じなので、説明は割愛する。
【0053】
まず、本実施例の前に行った事前検証試験の結果を説明する。軸方向に伸びる接触面32の長さL2を、溶接前は2.5mmであったものを、溶接後は0mmであった。すなわち、溶接金属11が、軸方向の接触面の全域を包含していた。この場合、軸方向に伸びる接触面32がないため、噴出し抑制効果が得られなかった。このことから、噴出し抑制効果を得るためには、軸方向の接触面の残存は、必要不可欠であることが分かった。この結果より、溶接後の溶接部近傍の断面は、図15のようになる。例えば、軸方向に伸びる接触面32の長さL2を0.05mmにした場合、図11と同じ、噴出し抑制効果を得た。
【実施例4】
【0054】
本発明の第4の実施例について図16を用いて説明する。本実施例は、実施例1とは、軸方向に伸びる接触面32の長さのみが異なり、その他については同じなので、説明は割愛する。
【0055】
まず、本実施例の前に行った事前検証試験の結果を説明する。軸方向に伸びる接触面32の長さL2を、溶接前は4.0mmであったものを、溶接後は4.0mmであった。すなわち、溶接金属11の溶け込み先端が、軸方向の接触面上にはなかった。この場合、軸方向に伸びる接触面32がないため、噴出し抑制効果が得られなかった。このことから、噴出し抑制効果を得るためには、溶接金属11の溶け込み先端は、軸方向の接触面32上にあることが必要であり、この傾向は軸方向に伸びる接触面32の長さには関係ないことが分かった。この結果より、溶接後の溶接部近傍の断面は、図16のようになる。例えば、溶接後の軸方向に伸びる接触面32の始点は、溶接開先30の中心から0.05mmの位置とした場合、図11と同じ、噴出し抑制効果を得た。
【実施例5】
【0056】
本発明の第4の実施例について図17を用いて説明する。本実施例は、実施例1とは、軸方向に伸びる接触面32の長さのみが異なり、その他については同じなので、説明は割愛する。
【0057】
まず、本実施例の前に行った事前検証試験の結果を説明する。軸方向に伸びる接触面32の長さL2を、溶接前は3.0mmであったものを、溶接後は0mmであった。すなわち、溶接金属11が、軸方向の接触面の全域を包含していた。この場合、軸方向に伸びる接触面32がないため、噴出し抑制効果が得られなかった。このことから、噴出し抑制効果を得るためには、軸方向の接触面の残存は必要不可欠であり、この傾向は軸方向に伸びる接触面32の長さには関係ないことが分かった。この結果より、溶接後の溶接部近傍の断面は、図17のようになる。例えば、軸方向に伸びる接触面32の長さL2を0.05mmにした場合、図11と同じ、噴出し抑制効果を得た。
【実施例6】
【0058】
本発明の第6の実施例について表2を用いて説明する。
【0059】
【表2】

【0060】
本実施例は、実施例1とは、母材と溶接ワイヤの組み合わせのみが異なり、その他については同じなので、説明は割愛する。高温側ロータ61は12%Cr系鋼で構成されている。低温側ロータ62は、CrMoV系鋼で構成されている。表2は、タービンロータのロータを構成する母材及び溶接ワイヤの化学組成(重量%)を示し、残部がFeである。
【0061】
本実施例では、高温側ロータ61の母材のCr含有量が10.4%であり、低温側ロータ62の母材のCr含有量が1.13%であった。化学組成だけに着眼すると、両ロータの中間に位置するCr含有量とすべきである。しかし、溶接後の熱処理特性を考慮して、高温側ロータ側に施すバタリング材は、9%Cr系鋼とした。また、両ロータの最終焼き戻し温度以上の熱処理でも、強度低下を起こさないために、Cr含有量を両ロータよりも高い1.22%、あるいは2.22%Crとした。表2に、代表的な溶接ワイヤの化学組成を示す。母材および溶接ワイヤの組み合わせが異なる場合でも、実施例1で示した効果は変わらない。
【実施例7】
【0062】
本発明の第7の実施例について表3を用いて説明する。
【0063】
【表3】

【0064】
本実施例は、実施例1とは、母材と溶接ワイヤの組み合わせのみが異なり、その他については同じなので、説明は割愛する。高温側ロータ61と低温側ロータ62は、3〜4%NiCrMoV系鋼で構成されている。表3は、タービンロータのロータを構成する母材及び溶接ワイヤの化学組成(重量%)を示し、残部がFeである。
【0065】
本実施例では、高温側ロータ61および低温側ロータ62の母材のNi含有量が3.71%であった。化学組成だけに着眼すると、溶接金属11は両ロータの中間に位置するNi含有量とすべきである。しかし、熱処後の割れ発生を抑制するために、Ni含有量を両ロータよりも低い2.87%、あるいは3.21%Niとした。表3に、代表的な溶接ワイヤの化学組成を示す。母材および溶接ワイヤの組み合わせが異なる場合でも、実施例1で示した効果は変わらない。
【実施例8】
【0066】
本発明の第8の実施例について図18から図20を用いて説明する。本実施例は、実施例1とは、溶接部6の位置のみが異なり、その他については同じなので、説明は割愛する。図18は本発明に係る高低圧用のタービンロータの断面図の模式図である。これは、実施例1の図1で示した高低圧蒸気用のタービンロータと形状は同じであるが、溶接位置が高圧側に位置点のみが異なる。また、溶接部は、図19に示すように低圧側に位置しても構わない。さらに、溶接部は、図20に示すように2箇所、あるいは図には示さないが2箇所以上あっても構わない。溶接部は、そのタービンロータに要求される圧力および温度と、高温側と低温側ロータ母材の素材コストを基に、最も対費用効果が優れる位置とすることが望ましい。
【実施例9】
【0067】
本発明の第9の実施例について図21から図23を用いて説明する。本実施例は、実施例1とは、軸方向に伸びる接触面32、あるいは半径方向に伸びる内側の接触面33、又は軸方向に伸びる接触面32と半径方向に伸びる内側の接触面33の向きのみが異なり、その他については同じなので、説明は割愛する。
【0068】
図21は、軸方向に伸びる接触面32が、高圧ロータ母材1側ではロータ外側方向に、低圧ロータ母材2側ではロータ内側方向に向いた突合せ部の模式図である。この方向が逆の形状は、高圧ロータ母材1と低圧ロータ母材2とを組み立てられないため、好ましくない。図22は、半径方向に伸びる内側の接触面33が、ロータ内側では低圧ロータ母材2に向いた突合せ部の模式図である。この方向が逆の形状は、高圧ロータ母材1と低圧ロータ母材2とを組み立てる際に、突合せ部を破損しやすいため、好ましくない。図23は、軸方向に伸びる接触面32が、高圧ロータ母材1側ではロータ外側方向に、低圧ロータ母材2側ではロータ内側方向に向いて、また半径方向に伸びる内側の接触面33が、ロータ内側では低圧ロータ母材2に向いた突合せ部の模式図である。これら方向が逆の形状は、図21及び図22で説明したような欠点が生じるため、好ましくない。本実施例で示した突合せ部の形状においては、実施例1で示した効果は変わらない。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施例1に係る高低圧タービン用溶接ロータの断面図。
【図2】本発明に係るタービンロータの溶接継手部の部分断面図。
【図3】タービンロータを溶接するためのタービンロータ溶接装置の模式図。
【図4】本発明の実施例1に係るタービンロータ溶接工程を示すフロー図。
【図5】従来方法によるバタリング層を施工した場合の溶接工程フローの一例。
【図6】溶接前の溶接部近傍の模式図。
【図7】溶接継手の材料強度試験結果例。
【図8】接触面への負荷応力計算結果例。
【図9】本発明の実施例1に係る溶接後の溶接部近傍の模式図。
【図10】入熱量と溶け込み深さとの関係調査結果例。
【図11】本発明の実施例1に係る突合せの模式図。
【図12】本発明に係る突合せ部を溶接する際の手順および物理現象フロー。
【図13】本発明に係る接触面近傍の拡大模式図。
【図14】本発明の実施例2に係る突合せの模式図。
【図15】本発明の実施例3に係る突合せの模式図。
【図16】本発明の実施例4に係る突合せの模式図。
【図17】本発明の実施例5に係る突合せの模式図。
【図18】本発明の実施例8に係る高圧タービン用溶接ロータの断面図。
【図19】本発明の実施例8に係る高圧タービン用溶接ロータの断面図。
【図20】本発明の実施例8に係る高圧タービン用溶接ロータの断面図。
【図21】本発明の実施例9に係る突合せの模式図。
【図22】本発明の実施例9に係る突合せの模式図。
【図23】本発明の実施例9に係る突合せの模式図。
【符号の説明】
【0070】
1 高圧側ロータ母材
2 低圧側ロータ母材
6 溶接部
8 タービンロータ溶接装置
9 電極
10 トーチ
11 溶接ワイヤ
12 アーム
13 溶接電源
14 ガスボンベ
15 タービンロータ回転装置
16 溶接ワイヤ送給装置
17 送電線
18 ガスホース
19 電気線
20 回転信号線
21 送給信号線
30 溶接開先
31 半径方向に伸びる外側の接触面
32 軸方向に伸びる接触面
33 半径方向に伸びる内側の接触面
34 切欠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低圧側ロータと高圧側ロータとを、互いの端部を溶接することにより一体化した蒸気タービンロータにおいて、前記タービンロータは中心孔を有し、
前記低圧側ロータ及び前記高圧側ロータの端部は、少なくとも半径方向及び軸方向の二つの面で接触し、かつ少なくとも前記端部の一部が溶接されていることを特徴とするタービンロータ。
【請求項2】
請求項1に記載されたタービンロータであって、
前記溶接は溶接金属を含む溶接部を介してされており、前記溶接部の少なくとも一部は、前記軸方向の接触面上に位置していることを特徴とするタービンロータ。
【請求項3】
請求項1に記載されたタービンロータであって、
前記溶接は溶接金属を含む溶接部を介してされており、
前記半径方向の接触面は、前記溶接部よりもタービンの低圧側に配置されていることを特徴とするタービンロータ。
【請求項4】
請求項1に記載されたタービンロータであって、前記半径方向の接触面は、半径方向の長さが0.5〜2.0mmであることを特徴とした請求項1に記載のタービンロータ。
【請求項5】
請求項1に記載されたタービンロータであって、前記軸方向の接触面は、前記溶接部よりもタービンの低圧側に配置されていることを特徴とするタービンロータ。
【請求項6】
請求項1に記載されたタービンロータであって、前記軸方向の接触面は、前記半径方向の接触面よりも高圧側に配置されていることを特徴とする請求項1ないし4記載のタービンロータ。
【請求項7】
請求項1に記載されたタービンロータであって、
前記ロータの外周面上に前記中心孔に通じる貫通孔のないことを特徴とするタービンロータ。
【請求項8】
低圧側ロータと高圧側ロータとを、互いの端部を溶接することにより一体化した蒸気タービンロータにおいて、前記タービンロータは中心孔を有し、
前記高圧側ロータ及び前記低圧側ロータの端部は、互いに組み合わさる段差構造を有し、ロータの半径方向の接触面が少なくとも二以上であることを特徴とするタービンロータ。
【請求項9】
請求項8に記載されたタービンロータで、前記ロータの半径方向の接触面のうち、最外に位置する接触面が溶接されていることを特徴とするタービンロータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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