説明

ターボ分子ポンプ、その起動方法および真空処理システム

【課題】ポンプ内部の反応生成物の堆積を防止する。
【解決手段】ターボ用コントローラ50は、定格回転数のDCモータ42の電流値が所定の閾値を超えたか否かを判断する。閾値は、反応生成物がターボ分子ポンプ本体1に流入した際の、ターボ分子ポンプの負荷に対応しており、電流値と閾値との比較によって、反応生成物流入を常時監視し得る。反応生成物のターボ分子ポンプへの流入が開始すると、電流値は急激に上昇し、閾値を超える。内部温度がポンプ設定温度閾値以上であれば、反応生成物の堆積は生じることはないが、ポンプ設定温度閾値未満であれば堆積が生じる可能性がある。そこで、ターボ用コントローラは、定格回転数運転時に電流値が閾値以上となり、かつ内部温度が閾値未満のときに、インターロック動作を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置等で使用されるターボ分子ポンプの起動時の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体や液晶パネルの製造工程におけるドライエッチングやCVD等、高真空のプロセスチャンバ内で処理を行う工程では、プロセスチャンバ内のガスを排気して、一定の高真空度を形成する手段として、例えばターボ分子ポンプのような真空ポンプが用いられている。
【0003】
このような工程で発生した反応生成物は、ターボ分子ポンプを通して排気されることになり、ターボ分子ポンプの内部温度が反応生成物の昇華温度より低い場合には、反応生成物がポンプ内部に堆積する。この堆積物がロータに付着したときには、ロータがステータやステータ翼に接触し、損傷の原因となるため、ヒータ等により、ポンプ内部を加熱するポンプが使用されている。これによって、反応生成物は堆積することなく排気される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のポンプでは、ポンプを起動した直後、内部温度が充分昇温する前にプロセスが始動した場合、反応生成物がポンプ内部に堆積する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)請求項1の発明は、モータによってロータを高速回転して真空処理室を真空排気するターボ分子ポンプにおいて、ターボ分子ポンプを起動する際、前記ロータが定格回転数まで上昇するように前記モータを制御する制御手段と、前記真空処理室から流入する反応生成物の堆積を防止すべくポンプ内部の加熱を行う加熱手段と、前記ロータ回転数が定格回転数に達した後、前記真空処理室での処理の開始を監視する監視手段と、前記真空処理室での処理の開始が検出されると、前記加熱手段により加熱されたポンプ内部の温度(内部温度)を検出する温度検出手段と、前記ロータが定格回転数に達した後に前記真空処理室での処理の開始が検出されたとき、前記内部温度が所定の閾値以下であるときはインターロック動作を実行する実行手段とを備えることを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、モータによってロータを高速回転して真空処理室を真空排気するターボ分子ポンプにおいて、前記ロータの回転数を検出する回転数センサと、前記真空処理室から流入する反応生成物の堆積を防止すべくポンプを昇温させるヒータと、前記ヒータによる加熱対象部位に相関するポンプの内部温度を検出する温度センサと、前記モータの電流値を検出する電流センサと、前記回転数センサ、前記温度センサ、前記電流センサの検出信号に基づいて、前記ロータが定格回転数に達した後、前記電流が所定の閾値以上のときの前記内部温度が所定の閾値以下であればインターロック動作を実行するターボ用コントローラとを備えることを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項1または2に記載のターボ分子ポンプにおいて、インターロック動作は、前記ロータの回転を停止する停止動作、および/または、異常を出力するウォーニング動作であることを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、モータによってロータを高速回転して真空処理室を真空排気するターボ分子ポンプの起動方法において、ターボ分子ポンプを起動する際、前記ロータが定格回転数まで上昇するように前記モータを制御し、前記真空処理室から流入する反応生成物の堆積を防止すべくポンプの内部をヒータで加熱し、前記ロータ回転数が定格回転数に達した後、前記真空処理室での処理の開始が検出されたとき、前記内部温度が所定の閾値以下であればインターロック動作を実行する。
(5)請求項5の発明は、請求項4に記載のターボ分子ポンプの起動方法において、インターロック動作は、前記ロータの回転を停止する停止動作、および/または、異常を出力するウォーニング動作であることを特徴とする。
(6)請求項6の発明による真空処理システムは、プロセスガスを真空処理室内に導入して基板に各種の処理を施す真空処理装置と、モータによってロータを高速回転して前記真空処理室内を真空排気するターボ分子ポンプ本体と、前記真空処理装置によるプロセスを制御するメインコントローラと、前記ターボ分子ポンプ本体の動作を制御するターボ用コントローラと、前記ロータの回転数を検出する回転数センサと、前記真空処理室から流入する反応生成物の堆積を防止すべくポンプを昇温させるヒータと、前記ヒータによる加熱対象部位温度に相関するポンプの内部温度を検出する温度センサと、前記モータの電流値を検出する電流センサとを備え、前記ターボ用コントローラは、前記回転数センサ、前記温度センサ、前記電流センサの検出信号に基づいて、前記ロータが定格回転数に達した後、前記内部温度が所定の閾値以下であり、かつ前記電流が所定の閾値以上のときにインターロック動作を実行することを特徴とする。
(7)請求項7の発明は、請求項6に記載の真空処理システムにおいて、インターロック動作は、前記ロータの回転を停止する停止動作、および/または、異常を出力するウォーニング動作であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ポンプ内部の反応生成物の堆積を確実に防止することができる。
また本発明の真空処理システムによれば、ターボ分子ポンプの起動が中断されたときに真空処理装置は不要なガスを供給することがない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明によるターボ分子ポンプの実施の形態を示す縦断面図。
【図2】図1のターボ分子ポンプの制御系を示すブロック図。
【図3】図2の制御系の動作を示すグラフ。
【図4】図2の制御系におけるターボ用コントロールを示すフローチャート。
【図5】図2の制御系におけるメインコントロールを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に本発明によるターボ分子ポンプの実施の形態を図面を参照して説明する。
磁気軸受式のターボ分子ポンプ本体1は、ターボ分子ポンプ部2とネジ溝ポンプ部3とを有する高ガス負荷対応型のターボ分子ポンプである。ターボ分子ポンプ部2は複数段の動翼19と複数段の静翼21とで構成され、ネジ溝ポンプ部3はネジロータ20とネジステータ23とで構成されている。
【0009】
複数段の動翼19およびネジロータ20はロータ4に形成されており、ロータ4はスピンドルハウジング24内に回転自在に設けられた回転軸8に固定されている。スピンドルハウジング24内には、図示上側から順に、上部ラジアルセンサ13、上部ラジアル電磁石9、モータステータ12、下部ラジアル電磁石10、下部ラジアルセンサ14およびスラスト電磁石11が設けられている。
【0010】
回転軸8はラジアル電磁石9、10およびスラスト電磁石11によって非接触支持され、モータステータ12と、回転軸8側のモータロータ(図示省略)とで構成されるDCモータ42により回転駆動される。回転軸8の浮上位置は、各ラジアル電磁石9,10およびスラスト電磁石11に対応して設けられたラジアルセンサ13、14およびスラストセンサ15によって検出される。回転軸8の上下に設けられた保護ベアリング16、17は機械式のベアリングであり、磁気軸受が作動していない場合に回転軸8を支持するとともに、回転軸8の浮上位置を制限するものとして機能する。
【0011】
一方、ケーシング7内のベース6上には、複数の静翼21およびネジステータ23が設けられている。各静翼21は上下をリング状のスペーサ22によって挟持されるようにベース6上に保持されており、ケーシング7をベース6にボルト締結することにより、静翼21およびスペーサ22がケーシング7の上端とベース6との間に固定される。その結果、各静翼21は動翼19間の所定位置に位置決めされる。ネジステータ23は、ベース6上にボルト締結されている。
【0012】
吸気口7aには、たとえばCVD装置の真空チャンバ18などが接続され、ターボ分子ポンプは真空チャンバ内を真空排気する。以下の説明では、吸気口7aに接続される真空チャンバ18などを総称して真空処理室と呼ぶ。
【0013】
吸気口7aから流入したガス分子はターボ分子ポンプ部2によって図示下方へと叩き飛ばされ、下流側に向かって圧縮排気される。ネジロータ20はネジステータ23の内周面に近接して設けられており、ネジステータ23内周面には螺旋溝が形成されている。ネジ溝ポンプ部3では、ネジステータ23の螺旋溝と高速回転するネジロータ20とにより、粘性流による排気が行われる。ターボ分子ポンプ部2で圧縮されたガス分子は、さらにネジ溝ポンプ部3によって圧縮され、排気口6aから排出される。
【0014】
ベース6には、ターボ分子ポンプ本体1の内部温度PT(図3)を検出するための温度センサ30が埋設されている。温度センサ30の検出温度は、そのまま内部温度として使用され、あるいは、内部温度との関係をあらかじめ測定して、より内部温度に近い値に校正して使用される。
【0015】
本明細書中、内部温度とは、反応生成物がターボ分子ポンプ内に堆積し始めるか否かを判定するために測定する温度であり、温度センサ30を反応生成物が堆積する部位の近傍に設置するのが好ましいが、上記部位の温度と相関する温度を示す部位であれば、上記部位の近傍ではない箇所に温度センサ30を設置してもよい。
【0016】
さらに、ベース6の外周に、ターボ分子ポンプ本体1を加熱するヒータ44が装着され、適宜ターボ分子ポンプ本体1を加熱するように構成されている。なお、符号25,35は冷却配管である。
【0017】
DCモータ42の電源ラインには電流センサ32が設けられ、一方、ロータ4には回転数センサ34が設けられている。電流センサ32の出力値からDCモータ42の負荷状態を検出し、回転数センサ34の出力値からターボ分子ポンプ本体1が動作しているか否かを検出する。
【0018】
図2は、本発明によるターボ分子ポンプ本体1を制御する制御系を説明する図である。メインコントローラ52は、半導体製造工程等の全体プロセスを制御するための制御装置であり、たとえばCVD装置であれば、真空処理室で行われる成膜プロセスを制御する。ターボ用コントローラ50は、メインコントローラ52によって制御されつつターボ分子ポンプ本体1を制御する制御装置である。これらコントローラ50,52は、CPUとその周辺回路を含んで構成されている。
【0019】
ターボ用コントローラ50には、温度センサ30、電流センサ32、回転数センサ34、DCモータ42、ヒータ44が接続され、ターボ用コントローラ50は、温度センサ30、電流センサ32、回転数センサ34の検出信号に基づいて、DCモータ42およびヒータ44を制御する。
【0020】
さらに、ターボ用コントローラ50にはマニュアル操作盤54が接続され、DCモータ42およびヒータ44を適宜マニュアル操作し得るとともに、温度センサ30、電流センサ32、回転数センサ34の校正設定の操作等を行うことができる。
【0021】
図3を参照して、半導体製造工程等のプロセス開始時のポンプ各部の状態を説明する。
メインコントローラ52からターボ用コントローラ50にポンプ起動指令が出力されると、ターボ用コントローラ50は、ヒータ44を起動するとともに、DCモータ42を起動する。ヒータ44の起動によって、図3の2点鎖線で示すように、ターボ分子ポンプ本体1の内部温度PTは徐々に上昇する。内部温度PTが、反応生成物の昇華温度以上のポンプ設定温度閾値Tθ(同図参照)以上に昇温されると、反応生成物の堆積が防止される。一方、同図の実線で示すように、DCモータ42は、その起動後、定格回転数まで急速に上昇し、その後、定格回転数に保持される。
【0022】
図3の破線で示すように、ターボ用コントローラ50は、DCモータ42の起動時には、一旦大きな起動電流をDCモータ42に供給し、DCモータ42が定格回転数に達したとき、電流値Iを定常電流に制御する。
【0023】
定常電流値になったときには、ターボ用コントローラ50は、DCモータ42の回転数Nを時々刻々監視し、回転数Nを一定に保持するように、DCモータ42の電流値Iを調節する。吸気口7aに接続された真空処理室内で成膜などの処理を行うために真空処理室内にプロセスガスや材料ガスが導入されて処理が開始される前後において、モータ定常電流値は変動する。すなわち、真空処理室内で各種の処理が開始される以前においては、真空処理室から反応生成物が流入されないので、定常電流値は極めてわずかの無負荷電流値となる。真空処理室内で各種の処理が開始されて反応生成物が流入すると、モータ電流値が上昇する。
【0024】
ターボ用コントローラ50は、定格回転数で回転するDCモータ42の電流値Iが所定の閾値Iθ(図3参照)を超えたか否かを判断する。閾値Iθは、反応生成物がターボ分子ポンプ本体1に流入した際にターボ分子ポンプ本体1に作用する負荷に対応しており、電流値Iと閾値Iθとの比較によって、真空処理室内にプロセスガスが導入されて反応生成物がターボ分子ポンプに流入し始めたことを常時監視することができる。
【0025】
図3に示すように、時刻Tsの時点で、反応生成物がターボ分子ポンプ本体1へ流入し始めると、電流値Iは急激に上昇し、閾値Iθを超える。このとき、内部温度PTがポンプ設定温度閾値Tθ以上であれば、反応生成物の堆積は生じることはないが、ポンプ設定温度閾値Tθ未満であれば堆積が生じる可能性がある。
【0026】
そこで、ターボ用コントローラ50は、DCモータ42が定格回転数で運転されている時、電流値Iが閾値Iθ以上となり、かつ内部温度PTが閾値Tθ未満のときに、インターロック動作を実行する。インターロック動作が実行されると、ターボ分子ポンプ本体1を停止するとともに、メインコントローラ52に異常を報せる。異常通報を受けたメインコントローラ52は、真空処理室内でのプロセスを停止するため、プロセスガスの供給を停止する。
【0027】
このようなインターロック動作の処理フローについて、図4を参照して説明する。図4の処理はターボ用コントローラ50により実行される。
【0028】
ステップS41:ターボ用コントローラ50はメインコントローラ52からの制御信号によって、ターボ分子ポンプ本体1を起動し、その後、自律的にターボ分子ポンプ本体1の運転を継続する。
【0029】
ステップS42:ステップS41に続いて、回転数Nが定格回転数に達したか否かを判断する。回転数Nが定格回転数に達したときは、ステップS43に進み、回転数Nが定格回転数に達していないときは、ステップS41に戻る。回転数Nが定格回転数に達したときには、電流値Iは定常電流値になっており、反応生成物流入前には無負荷電流値となる。
【0030】
ステップS43:電流値Iが閾値Iθ以上になった否かを判断する。電流値Iが閾値Iθ以上のときは、ステップS44に進み、電流値Iが閾値Iθ未満のときは、ステップS41に戻る。すなわち、反応生成物の流入が開始されたか否かを判断し、流入が開始されていればステップS44に進み、流入前であればステップS41に戻る。
【0031】
ステップS44:内部温度PTが閾値Tθ以上であるか否かを判断する。内部温度PTが閾値Tθ以上のときは、ステップS41に戻り、内部温度PTが閾値Tθ未満のときは、ステップS45に進む。すなわち、反応生成物の堆積が生じる可能性があるか否かを判断し、可能性があるときはステップS41に戻り、可能性がなければステップS45に進む。
【0032】
ステップS45:ターボ分子ポンプ本体1を停止し、ステップS46に進む。
ステップS46:メインコントローラ52に異常を通知するアラーム動作を実行し、処理を終了する。
ここで、ステップS45、S46の動作をインターロック動作と呼ぶ。
【0033】
一方、図5に示すように、メインコントローラ52は、以下の各ステップによってターボ分子ポンプ本体1に関連した制御を実行する。
ステップS51:まず、ターボ分子ポンプ本体1を起動するための信号を、ターボ用コントローラ50に対して出力し、ステップS52に進む。
【0034】
ステップS52:ターボ用コントローラ50から異常の通知(ステップS46)を待つ。異常の通知があったときは、ステップS53に進み、異常の通知がなかったときはそのまま待機状態を維持する。
ステップS53:ターボ用コントローラ50から異常の通知があると、プロセスガスや材料ガスの真空処理室への供給を停止し、処理を終了する。
【0035】
以上説明した実施の形態のターボ分子ポンプによれば、次のような作用効果を奏することができる。
(1)ターボ分子ポンプ起動時、内部温度が反応生成部の堆積するか否かに応じて設定される所定値を越えるまでは、真空処理室でのプロセスを中止するようにした。したがって、ターボ分子ポンプに反応生成物が堆積することを抑制できる。その結果、ターボ分子ポンプの寿命を向上させることができる。
【0036】
(2)ロータが定格回転数で回転した後、モータ電流により負荷を監視し、モータ電流から反応生成物の流入が開始されたことが検出されたとき、ターボ分子ポンプ10の内部温度が設定温度以下の場合はポンプを停止するようにした。したがって、モータが定格回転数で運転された後に、モータ負荷を判定せず、内部温度が設定温度に達していないという条件でポンプを停止する方法を採用する場合に比べて、起動時に不必要にポンプが停止することがない。
【0037】
(3)ターボ分子ポンプ本体と真空処理装置により構成される真空処理システムにあっては、ターボ用コントローラ50から異常通報を受けたメインコントローラ52がプロセスガスの供給を停止するようにしたので、不必要にガスを供給する必要がない。
【0038】
なお、ターボ分子ポンプ本体1の起動停止はメインコントローラ52の主導で実行することも可能である、したがって、インターロック動作を次のようにしてもよい。すなわち、ステップS45を省略し、ステップS46の異常の通知のみ行うウォーニング動作としてもよい。作業者は、必要に応じて、ウォーニング出力により真空処理室内でのプロセスを中止することができる。
【0039】
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではない。したがって、本発明は、ターボ分子ポンプ本体を起動する際、ロータが定格回転数まで上昇するようにモータを制御し、真空処理室から流入する反応生成物の堆積を防止すべくポンプ内部の加熱を行い、ロータ回転数が定格回転数に達した後、真空処理室での処理の開始が検出されると、ポンプ内部の温度(内部温度)を検出し、ロータが定格回転数に達した後、真空処理室での処理の開始が検出されたときの内部温度が所定の閾値以下であるときはインターロック動作を実行するターボ分子ポンプおよびその起動方法にも適用される。
【0040】
さらに、ターボ分子ポンプ本体で真空排気する真空処理装置はCVD装置に限定されず、真空処理室内で基板に対して各種処理(たとえば、エッチング処理)を施すようにした種々の真空処理装置とターボ分子ポンプ本体とを有するシステムにも本発明を適用できる。
また、真空処理室から反応生成物が流入したか否かをモータ電流で判定するようにしたが、モータ負荷をモータ電流以外のパラメータで検出してもよい。あるいは、真空処理装置のメインコントローラ52からターボ用コントローラ50へプロセス開始信号を出力するように構成すれば、反応生成物の流入に伴うモータ負荷を検出する必要もない。
【符号の説明】
【0041】
N: 回転数 I: 電流値
Iθ: 閾値 PT: 内部温度
Tθ: 閾値
1:ターボ分子ポンプ本体 4:ロータ
30:温度センサ 32:電流センサ
34:回転数センサ 42:DCモータ
44:ヒータ 50:ターボ用コントローラ
52:メインコントローラ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータによってロータを高速回転して真空処理室を真空排気するターボ分子ポンプにおいて、
ターボ分子ポンプを起動する際、前記ロータが定格回転数まで上昇するように前記モータを制御する制御手段と、
前記真空処理室から流入する反応生成物の堆積を防止すべくポンプ内部の加熱を行う加熱手段と、
前記真空処理室での処理の開始を監視する監視手段と、
前記ロータ回転数が定格回転数に達した後に前記真空処理室での処理の開始が検出されると、前記加熱手段により加熱されたポンプ内部の温度(内部温度)を検出する温度検出手段と、
前記ロータが定格回転数に達した後に前記真空処理室での処理の開始が検出されたとき、前記内部温度が所定の閾値以下であるときはインターロック動作を実行する実行手段とを備えることを特徴とするターボ分子ポンプ。
【請求項2】
モータによってロータを高速回転して真空処理室を真空排気するターボ分子ポンプにおいて、
前記ロータの回転数を検出する回転数センサと、
前記真空処理室から流入する反応生成物の堆積を防止すべくポンプを昇温させるヒータと、
前記ヒータによる加熱対象部位に相関するポンプの内部温度を検出する温度センサと、
前記モータの電流値を検出する電流センサと、
前記回転数センサ、前記温度センサ、前記電流センサの検出信号に基づいて、前記ロータが定格回転数に達した後、前記電流が所定の閾値以上のときの前記内部温度が所定の閾値以下であればインターロック動作を実行するターボ用コントローラとを備えることを特徴とするターボ分子ポンプ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のターボ分子ポンプにおいて、
インターロック動作は、前記ロータの回転を停止する停止動作、および/または、異常を出力するウォーニング動作であることを特徴とするターボ分子ポンプ。
【請求項4】
モータによってロータを高速回転して真空処理室を真空排気するターボ分子ポンプの起動方法において、
ターボ分子ポンプを起動する際、前記ロータが定格回転数まで上昇するように前記モータを制御し、
前記真空処理室から流入する反応生成物の堆積を防止すべくポンプの内部をヒータで加熱し、
前記ロータ回転数が定格回転数に達した後、前記真空処理室での処理の開始が検出されたとき、前記内部温度が所定の閾値以下であればインターロック動作を実行することを特徴とするターボ分子ポンプの起動方法。
【請求項5】
請求項4に記載のターボ分子ポンプの起動方法において、
インターロック動作は、前記ロータの回転を停止する停止動作、および/または、異常を出力するウォーニング動作であることを特徴とするターボ分子ポンプの起動方法。
【請求項6】
プロセスガスを真空処理室内に導入して基板に各種の処理を施す真空処理装置と、
モータによってロータを高速回転して前記真空処理室内を真空排気するターボ分子ポンプ本体と、
前記真空処理装置によるプロセスを制御するメインコントローラと、
前記ターボ分子ポンプ本体の動作を制御するターボ用コントローラと、
前記ロータの回転数を検出する回転数センサと、
前記真空処理室から流入する反応生成物の堆積を防止すべくポンプを昇温させるヒータと、
前記ヒータによる加熱対象部位温度に相関するポンプの内部温度を検出する温度センサと、
前記モータの電流値を検出する電流センサとを備え、
前記ターボ用コントローラは、前記回転数センサ、前記温度センサ、前記電流センサの検出信号に基づいて、前記ロータが定格回転数に達した後、前記内部温度が所定の閾値以下であり、かつ前記電流が所定の閾値以上のときにインターロック動作を実行することを特徴とする真空処理システム。
【請求項7】
請求項6に記載の真空処理システムにおいて、
インターロック動作は、前記ロータの回転を停止する停止動作、および/または、異常を出力するウォーニング動作であることを特徴とする真空処理システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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