説明

ターボ機械の分析のための方法およびシステム

【課題】ターボ機械のパフォーマンス変化の原因を分析するための方法およびシステムを提供する。
【解決手段】ターボ機械10を分析するためのシステムは、ターボ機械10の1つまたは複数の部品についてヒストリカルセンサーデータを分析してフィルター処理されたトレンドを作成するように構成される知的ターボ機械フィルター(ITF)を含む。システムはさらに、フィルター処理されたトレンドに基づいてターボ機械パフォーマンスの根本原因を決定するように構成される検出および診断システムを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にターボ機械に関し、より詳しくはターボ機械でのトレンドを分析するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ターボ機械は、タービン、圧縮機、またはポンプなどの装置を含むこともある。ターボ機械が動作するとき、効率およびパフォーマンスが、時間とともに変わることもある。このパフォーマンス変化は、摩耗または部品損傷などのさまざまな要因に起因することもある。このパフォーマンス変化の根本原因を発見することは、例えばターボ機械をそれの元の動作効率まで回復させるためにどんな種類の整備をターボ機械に行うべきかを決定するのに有用なこともある。しかしながら、ターボ機械パフォーマンスの根本原因の決定には、ターボ機械動作の停止を必要とし、その後にさまざまなターボ機械部品の視覚分析が続くこともあり、それは、非効率的で費用がかかる。
【発明の概要】
【0003】
当初に特許請求されている発明と範囲が同等のある実施形態が、以下で要約される。これらの実施形態は、特許請求される本発明の範囲を限定することを意図しておらず、それどころかこれらの実施形態は、本発明の可能な形態の簡単な要約を提供することだけを意図している。実際、本発明は、以下で説明する実施形態に似ていることがある、または異なっていることがあるさまざまな形態を包含してもよい。
【0004】
一実施形態では、ターボ機械を分析するためのシステムが提供される。システムは、ターボ機械の1つまたは複数の部品についてヒストリカルセンサーデータを分析して、フィルター処理されたトレンドを作成するように構成される知的ターボ機械フィルター(ITF)システムを含む。システムはさらに、フィルター処理されたトレンドに基づいてターボ機械パフォーマンスの根本原因を決定するように構成される検出および診断システムを含む。
【0005】
第2の実施形態では、ターボ機械を分析するための方法が提供される。本方法は、ターボ機械に関係するセンサーデータを受け取るステップと、センサーデータをある時間にわたってセンサーデータベースにヒストリカルセンサーデータとして保存するステップとを含む。本方法はさらに、前処理分析をヒストリカルセンサーデータに適用するステップと、前処理分析に基づいてトレンド信号を導き出すステップとを含む。本方法は加えて、検出および診断分析をトレンド信号に適用してターボ機械に関係する診断データを導き出すステップを含む。
【0006】
第3の実施形態では、非一時的機械可読媒体が提供される。非一時的機械可読媒体は、センサーデータをセンサーデータベースにターボ機械に関係するヒストリカルセンサーデータとして蓄えるように構成される命令と、前処理分析をヒストリカルセンサーデータに適用するように構成される命令とを含む。非一時的機械可読媒体はさらに、前処理分析に基づいてトレンド信号を導き出すように構成される命令と、検出および診断分析をトレンド信号に適用してターボ機械に関係する診断データを導き出すように構成される命令とを含む。
【0007】
本発明のこれらのおよび他の特徴、態様、および利点は、類似の文字が図面全体にわたって類似の部分を表す添付の図面を参照して次の詳細な説明を読むとき、より良く理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ターボ機械、例えばガスタービンシステムの実施形態のブロック図である。
【図2】ターボ機械を分析するのに適したセンサーデータベースならびに診断および検出システムの実施形態の情報流れ図である。
【図3】知的ターボ機械フィルター(ITF)ならびに図2の診断および検出システムの実施形態の情報流れ図である。
【図4】知的ターボ機械フィルター(ITF)ならびに図2の診断および検出システムの実施形態の情報流れ図である。
【図5】ターボ機械パフォーマンスを分析するのに適したプロセスの実施形態の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の1つまたは複数の具体的な実施形態が、以下で述べられることになる。これらの実施形態の簡潔な説明を提供するために、実際の実施態様のすべての特徴が本明細書で述べられているとは限らないこともある。任意の工学または設計プロジェクトでのような、任意のそのような実施の開発において、多数の実施に特有の決定が、実施ごとに変わることもあるシステム関連およびビジネス関連の制約の順守などの、開発者の特定の目的を達成するためになされなければならないと理解すべきである。その上、そのような開発努力は、複雑で、時間のかかる可能性もあるが、しかしそれでもなおこの開示の利益を有する当業者にとって設計、製作、および製造の日常的な取り組みであることになると理解すべきである。
【0010】
本発明のさまざまな実施形態の要素を導入するとき、冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、および「前記(said)」は、要素の1つまたは複数があることを意味するよう意図されている。用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」は、包括的であり、記載した要素以外の追加の要素があってもよいことを意味するよう意図されている。
【0011】
タービンエンジン(例えば、ガスまたは蒸気タービン)、圧縮機、またはポンプなどのターボ機械は、動作中にパフォーマンスの変化または転換を受けることもある。例えば、タービンエンジンは、操作者またはコントローラがタービンエンジンにどんな変更も加えることなく、ある1分間当たりの回転数(RPM)での動作からより低いまたはより高いRPMでの動作に切り替わることもある。ターボ機械の動作変化(例えば、RPM、温度、圧力、振動の変化)は、摩耗した部品、燃料組成(例えば、燃料中の水)の不要な変化、予期しない整備事象(例えば、翼のひび)、および同様のものなどの、ある条件に帰することができる。一実施形態では、ターボ機械は、温度、圧力、振動、速度、流量、クリアランス(例えば、2つの部品間の距離)、および同様のものなどのパラメーターを測定するのに適した複数のセンサーを含んでもよい。センサーデータは、例えば将来の分析のためのセンサーデータベースに蓄えられてもよい。しかしながら、センサーデータは、予定切り替え(例えば、燃料タイプの切り替え)によって引き起こされる効果または外界、環境効果(例えば、周囲の温度および圧力の変化)、振動効果、過渡効果(例えば、制御過渡事象)、その他などの、望ましくない測定効果または測定外界を含むこともある。すなわち、センサーデータは、測定効果または外界によって影響を受けていることもあり、データにある間違いを生じさせる。例えば、タービンシステムでの温度および圧力センサー示度は、周囲の温度および圧力の変化に起因して「真の」または正しいタービン温度および圧力示度からの不要な変動を組み込むこともある。
【0012】
一実施形態では、知的ターボ機械フィルター(ITF)が、センサーデータベースに蓄えられたデータを前処理し、データの前処理に基づいてあるトレンドを導き出すことができる。例えば、ITFは、測定効果または外界に起因する変動を含む不要な変動を取り除くさもなければフィルター処理するのに有用な、以下でより詳細に述べるようなフィルター処理技術を適用してもよい。加えて、ITFは、温度、圧力、振動、クリアランス、流量、燃料比、パワー、および速度(例えば、軸速度)の時間ベースのグラフなどのデータトレンドを導き出してもよい。前処理されたデータは次いで、例えば前処理されたデータの根本原因を診断するときに使用するのに適した診断システムに提供されてもよい。実際、前処理されたデータは、ひびの入った翼、低質燃料、閉鎖された入口、その他などのデータトレンドの根本原因を導き出すために使用されてもよい。根本原因のリストは、とても長いこともあり(例えば、何千もの項目で)、ターボ機械パフォーマンス変化またはパフォーマンス劣化の任意の根本原因を含んでもよいことを理解すべきである。
【0013】
データを前処理することに加えてまたは別法として、ITFは、データを後処理してもよい。すなわち、ITFは、データを診断システムから受け取り、診断システムによって提供されるデータを取り除くまたはさもなければフィルター処理するのに適したフィルター処理技術を適用してもよい。例えば、一実施形態では、診断システムは、入力データを国際標準化機構(ISO)グラフの出力に変換してもよい。より具体的には、入力データは、ターボ機械のパフォーマンスをベースラインISOグラフと対照して診断するまたは比較するのに有用な、ある基準温度、圧力、クリアランス、振動、流量、燃料比、パワー、および速度でのISOグラフを導き出すために使用されてもよい。例えばベースラインISOグラフは、ISO文書2314「ガスタービン−受け入れ試験」などの文書で見いだすことができる。ITFは、診断システムによって提供されるISOグラフをフィルター処理してもよく、より正確なフィルター処理されたISOグラフはその後、ベースラインISOグラフと対照して比較するために使用されてもよい。診断システムによって処理する前にかつ/または診断システムによって処理した後にデータをフィルター処理することによって、ITFは、ターボ機械パフォーマンスのより正確なセンサー測定および改善された診断を提供することができる。
【0014】
前述のことを考慮して、図1で例示するタービンシステム10などの、本明細書で開示する技術を組み込むターボ機械の実施形態を述べることは、有用なこともある。描写するように、タービンシステム10は、燃焼器12内のチャンバーで燃焼させるための燃料および空気を受け取る燃焼器12を含んでもよい。この燃焼は、熱い加圧排気ガスを生み出す。燃焼器12は、排気ガスを高圧(HP)タービン14および低圧(LP)タービン16を通って排気出口18の方へ向ける。HPタービン14は、HPローターの一部であってもよい。同様に、LPタービン16は、LPローターの一部であってもよい。排気ガスが、HPタービン14およびLPタービン16を通り抜けると、ガスは、タービン翼に駆動軸20をタービンシステム10の軸に沿って回転させることを強いる。例示するように、駆動軸20は、HP圧縮機22およびLP圧縮機24を含む、タービンシステム10のさまざまな部品に接続される。
【0015】
駆動軸20は、例えば同軸に整列されてもよい1つまたは複数の軸を含んでもよい。駆動軸20は、HPローターを形成するためにHPタービン14をHP圧縮機22に接続する軸を含んでもよい。HP圧縮機22は、駆動軸20に結合される翼を含んでもよい。それ故に、HPタービン14でのタービン翼の回転は、HPタービン14をHP圧縮機22に接続する軸にHP圧縮機22内の翼を回転させることになる。これは、HP圧縮機22で空気を圧縮する。同様に、駆動軸20は、LPローターを形成するためにLPタービン16をLP圧縮機24に接続する軸を含む。LP圧縮機24は、駆動軸20に結合される翼を含む。それ故に、LPタービン16でのタービン翼の回転は、LPタービン16をLP圧縮機24に接続する軸にLP圧縮機24内の翼を回転させることになる。HP圧縮機22およびLP圧縮機24での翼の回転は、空気吸気口26を介して受け取る空気を圧縮する。圧縮空気は、燃焼器12に供給され、燃料と混合されてより高い効率の燃焼を可能にする。それ故に、タービンシステム10は、二重同軸系配置を含んでもよく、LPタービン16は、駆動軸20中の第1の軸によってLP圧縮機24に駆動するように接続され、一方HPタービン14は同様に、第1の軸の内部にあり第1の軸と同軸の駆動軸20中の第2の軸によってHP圧縮機22に駆動するように接続される。軸20はまた、負荷28に接続されてもよく、それは、発電所での発電機または航空機のプロペラなどの、車両または静止負荷であってもよい。負荷28は、タービンシステム10の回転出力によってパワーを供給される任意の適切なデバイスであってもよい。
【0016】
タービンシステム10はまた、タービンシステム10の動作およびパフォーマンスに関係する複数のエンジンパラメーターを監視するように構成される複数のセンサーを含んでもよい。センサーは、例えばHPタービン14、LPタービン16、HP圧縮機22、および/またはLP圧縮機24の入口および出口部分にそれぞれ隣接して置かれる例えば入口センサー30および出口センサー32を含んでもよい。入口センサー30および出口センサー32は、例えば周囲の温度および周囲の圧力などの環境条件、ならびに排気ガス温度、ローター速度、エンジン温度、エンジン圧力、ガス温度、エンジン燃料流量、排気流量、振動、回転部品と静止部品との間のクリアランス、圧縮機排出圧力、汚染(例えば、微粒子総数)、およびタービン排気圧力などの、タービンシステム10の動作およびパフォーマンスに関係する複数のエンジンパラメーターを測定してもよい。さらに、センサー30および32はまた、バルブ位置および可変形状部品(例えば、空気入口)の幾何学的位置などのアクチュエータ情報を測定してもよい。複数のセンサー30および32はまた、タービンシステム10のさまざまな動作段階に関係するエンジンパラメーターを監視するように構成されてもよい。複数のセンサー30および32によって取得される測定結果は、モジュール配線34、36、38、および40を介して送られてもよく、それは、センサーデータベース(DB)42に通信可能に結合されてもよい。例えば、モジュール配線34は、LP圧縮機24からの測定結果を送るために利用されてもよく、一方モジュール配線36は、HP圧縮機22からの測定結果を送るために利用されてもよい。同様に、モジュール配線38は、HPタービン14からの測定結果を送るために利用されてもよく、一方モジュール配線40は、LPタービン16からの測定結果を送るために利用されてもよい。それ故に、モジュール配線34、36、38、および40は、タービンシステム10の個別モジュールからの測定結果をセンサーDB42に送ってもよい。しかしながら、センサーDB42のデータは、図2に関して以下でより詳細に述べるように、「真の」または正しい測定結果からのある変動を含むこともある。
【0017】
図2は、センサーDB42に含まれる蓄積センサーデータ44を有する図1のタービンシステム10の実施形態を描写する情報流れ図である。例示する実施形態では、蓄積センサーデータ44は、「真の」または正しいデータ46および変動データ48の組合せを含むこともある。すなわち、周囲温度の変化、周囲圧力の変化、予定した切り替え(例えば、合成ガスからディーゼルへの燃料切り替え)、制御過渡事象(例えば、プロセスコントローラシステムが出す調整)などの測定効果に起因する変動48またはより一般的に測定誤差は、センサー測定活動中に「真の」データ46と結合することもあり、その後に蓄積センサーデータ44としてデータベース42に保存されることもある。したがって、蓄積センサーデータ44は、所望するよりも高い信号対雑音比(SNR)を有することもある。例えば、もしタービンシステム10が、南部米国地区などのより暖かい気候の地域または世界の熱帯地方に位置するならば、タービンシステム10から集められる温度測定結果は、世界のより寒い地域から集められる温度測定結果よりも高いこともある。同様に、特に暑い日の間に集められる温度測定結果は、より寒い日の間に集められる温度測定結果と異なることもある。「真の」値46からのそのような変動48は、パフォーマンス効果よりもむしろ環境効果に起因する可能性が高い。
【0018】
同様の変動48は、周囲圧力および/または高度によって導入されることもある。例えば、高気圧またはより低い高度の場所は、タービンシステム10にとってより高い圧力測定結果をもたらすこともある。反対に、低気圧およびより高い局所的高度は、タービンシステム10にとってより低い圧力測定結果をもたらすこともある。予定した切り替えがまた、変動48を引き起こすこともある。例えば、タービンシステム10は、燃料タイプを第1の燃料として合成ガスを使用することから第2の燃料としてディーゼルを使用することに、または逆に切り替えるように予定されることもある。制御過渡事象がまた、変動48を引き起こすこともある。一例では、コントローラは、あるアクチュエータ(例えば、バルブ、スイッチ、モーター)を始動させる制御行動命令を出すこともある。過渡事象(例えば、一過性測定)は、コントローラが定常状態条件から別の条件に変化するとき進展することもある。そのような過渡事象はまた、変動48をもたらすこともある。描写するように、「真の」データ46が変動48と結合するとき、結果として生じる蓄積センサーデータ44は、所望するよりも高いSNRを有することもある。
【0019】
蓄積センサーデータ44は、近似的に50から500ミリ秒、50ミリ秒から5秒、1秒から1分、または1秒から1時間ごとに取り出されるセンサーデータを含んでもよい。蓄積センサーデータ44は、ヒストリカルデータを含んでもよい。すなわち、蓄積センサーデータ44は、1時間と1日と、1時間と1週間と、1週間と1ヶ月と、1週間と5年との間の期間などの、ある期間にわたって獲得されてもよい。実時間データの代わりにヒストリカルデータ44を処理することによって、本明細書で開示するシステムおよび方法は、タービンシステム10のパフォーマンスの変化をより正確に検出し、検出した変化の1つまたは複数の根本原因をより正確に診断することができる。
【0020】
例えば、検出および診断システム50は、蓄積センサーデータ44を処理するために使用されてもよい。検出および診断システム50は、統計モデル、物理学ベースのモデル、またはそれらの組合せを使用して、パワー出力の減少、排気18の流量の変化、燃焼器12の燃焼の変化、タービン14、16、および圧縮機22、24のパフォーマンス変化、ならびに負荷28と関連する変動などの、タービンシステム10での変化を検出することができる。実際、タービンシステム10のすべての部品は、部品のパフォーマンス変化の根本原因を検出し、導き出すために検出および診断システム50によって分析されてもよい。例えば、熱的挙動、機械的挙動をシミュレートし、予測するのに適しており、より一般的には、タービンシステム10およびそれの部品の挙動をシミュレートするのに有用である、物理学ベースのモデル、統計モデル、および/または知識ベースのモデル(例えば、エキスパートシステム、ファジー論理モデル)が、使用されてもよい。物理学ベースのモデルは、低サイクル疲労(LCF)寿命予測モデル、計算流体力学(CFD)モデル、有限要素解析(FEA)モデル、パラメトリックソリッドモデル、ノンパラメトリックソリッドモデル、3次元から2次元へのFEAマッピングモデル、またはそれらの組合せなどのモデルを含んでもよい。統計モデルは、回帰分析モデル、データマイニングモデル、またはそれらの組合せなどのモデルを含んでもよい。
【0021】
一例では、検出および診断システム50は、ISO基準値を有する導出ISOグラフなどの診断データ52を出力してもよい。実際、診断データ52は、システム50によって導き出される、ISO温度グラフ、ISO圧力グラフ、ISO振動グラフ、ISOクリアランスグラフ、および/またはISO流れ測定グラフ(例えば、流量)などの、導出ISOグラフを含んでもよい。各ISOグラフは、温度、圧力、振動、クリアランス、および/または流れについての標準的基準条件を含んでもよい。例えば、導出ISOグラフは、タービンシステム10のパフォーマンスをターボ機械の製造業者が提供するベースラインISOパフォーマンスグラフと対照して比較するために使用されてもよい。導出ISOグラフとベースラインISOパフォーマンスグラフとの間の比較は、タービンシステム10のパフォーマンスの望ましくない変化を検出するのに有用なこともあり、またパフォーマンス変化の根本原因を導き出すのに使用されてもよい。しかしながら、蓄積センサーデータ44に組み込まれた変動48は、診断データ52に影響を及ぼすこともあり、診断データ52に間違いを引き起こす。これらの間違いは、検出および診断システム50が行う分析に影響を及ぼすこともあり、それは次に、誤った根本原因決定につながることもある。したがって、本明細書で述べるシステムおよび方法は、変動48の除去またはフィルター処理を可能にすることもある。例えば、知的ターボ機械フィルター(ITF)は、図3、4および5に関して以下でより詳細に述べるように、蓄積センサーデータ44および/または診断データ52から変動48を最小化するまたは除去するために使用されてもよい。
【0022】
図3は、蓄積センサーデータ44などのデータを前処理して、図2で示す変動48などの不要な変動をフィルター処理することができるITF54の実施形態を描写する情報流れ図である。ITF54は、本明細書で開示する技術を実施するために計算デバイスが使用できるコードまたはコンピュータ命令を蓄える非一時的機械可読媒体を含んでもよい。描写する実施形態では、ターボ機械56は、多数のセンサー58を含んでもよい。ターボ機械56は、例えばローターと流体との間でエネルギーを移動させるのに適しているタービン(例えば、ガスもしくは蒸気タービン)、ポンプ、または圧縮機であってもよい。ターボ機械56は、例えば図1に関して上でより詳細に述べたタービンシステム10であってもよい。別法として、ターボ機械56は、蒸気タービン、水力タービン、または風力タービンであってもよい。
【0023】
ある実施形態では、センサー58は、温度センサー、圧力センサー、流体レベルセンサー、振動センサー、流体流量センサー、汚染物質排出センサー、および/またはクリアランスセンサー(例えば、回転部品と静止部品との間の間隔を測定する)を含んでもよい。描写する実施形態では、センサー58からの測定結果は、センサーDB42に記録されまたは蓄えられてもよい。すなわち、センサー58示度は、センサーDB42に送られて(矢印59)もよい。センサーDB42は、リレーショナルデータベース、ファイル、分散データベース、または情報を蓄え、取り出すのに適した任意のデータベースであってもよい。ある実施形態では、測定結果は、近似的に50から500ミリ秒、50ミリ秒から5秒、1秒から1分、または1秒から1時間ごとなどの、あるサンプルレートでサンプリングされ、送られて(矢印59)もよい。サンプリングされたデータは、近似的に1時間、1日、1週間、1ヶ月、1年、5年の期間などの、ある期間にわたって獲得されてもよく、センサーDB42に蓄積センサーデータ44として保存されてもよい。
【0024】
描写する実施形態では、ITF54は、検出および診断システム50の上流で蓄積センサーデータ44を前処理してもよい。より具体的には、ITF54は、以下でより詳細に述べるように、蓄積センサーデータ44を取り出し(矢印61)、いくつかの数学的かつ/または知識ベースの技術を適用して、蓄積センサーデータ44が検出および診断システム50によって分析される前に変動48(図2で示す)を蓄積センサーデータ44から低減するまたはさもなければ取り除くことできる。前処理されたデータは次いで、検出および診断システム50に提供されて(矢印63)もよい。一例では、ウィーナー(Wiener)フィルターが、蓄積センサーデータ44に適用されてもよい。ウィーナーフィルターは、信号を所望の無雑音信号の推定と比較することによって、センサーデータ44に含まれる信号などの信号に存在する「雑音」の量を低減することを可能にする。信号を劣化させていることもある「雑音」がその結果、取り除かれることもある。この実施形態では、所望の無雑音信号は、例えばターボ機械56の製造業者が提供するベースラインISO温度、圧力、振動、クリアランス、および/または流量曲線であってもよい。
【0025】
加えてまたは別法として、カーネルスムーザーが、不要な変動48を低減するまたは取り除くために使用されてもよい。カーネルスムーザーは、実数値関数のためのパラメトリックモデルがわかっていないときに関数の「雑音の多い」観測データを使用することによって実数値関数を推定するための統計方法を使用することができる。この特定の技術は、2つの次元を有する蓄積センサーデータ44で非常に有用である。さらに、サビツキー−ゴーレイ(Savitzky−Golay)法がまた、不要な変動48を低減するまたは取り除くために使用されてもよい。サビツキー−ゴーレイ法は、少なくともk+1点の一連の値についてk次多項式回帰を行うことができ、各点は、直列に他の点と等間隔であるとして扱われる。回帰は、各点について平滑値を導き出す。別の例では、ダグラス−ポイカー(Douglas−Peucker)法が、蓄積センサーデータ44をフィルター処理するためにITF54によって使用されてもよい。ダグラス−ポイカー法は、わかっている信号を使用して、より少ないデータ点を有するよく似た簡易信号を見いだすことができる。その方法は、わかっている信号と簡易信号との間の最大距離に基づいて用語「似ていない」を定義する。
【0026】
K平均クラスタリング技術がまた、変動48を低減するまたは除去するために使用されてもよい。K平均クラスタリングでは、n個の観測データは、各観測データが、最近接平均を有するクラスターに属するように、k個のクラスターに分割されてもよい。K平均クラスタリング技術は次いで、データでのナチュラルクラスターの中心を見いだそうとして、クラスタリング手法を繰り返し精緻化する。繰り返しはその結果、データの「雑音」を低減するまたは除去することができる。別の例では、局所重み付き散布図平滑化(LOESS)が、蓄積センサーデータ44をフィルター処理するために古典的なフィルター処理および回帰(例えば、線形回帰)を非線形回帰と組み合わせてもよい。LOESSは、簡単なモデルを蓄積センサーデータ44の局所的サブセットに適合させて、変動48の決定論的要素をデータ点ごとに数学的に記述する関数を構築することができる。滑らかな信号または曲線がその結果、プロットできる。回帰スプライン法がまた、蓄積センサーデータ44をフィルター処理するためにITF54によって使用されてもよい。この方法は、縮小した一組の既知のものを有する一組のスプライン基底関数を使用する。データは次いで、例えば最小二乗適合を使用してその組のスプライン基底関数に適合される。
【0027】
他のフィルター処理方法が、ITF54によって使用されてもよい。例えば、α−βフィルターおよび/またはローパスフィルターが、使用されてもよい。α−βフィルターは、カルマン(Kalman)フィルターに密接に関係しており、オブザーバの簡易形(例えば、線形状態オブザーバ)を使用して、推定、データ平滑化、および制御応用を行う。有利には、α−βフィルターは、観測下でターボ機械56の詳細なモデルを必要としなくてもよい。ローパスフィルター(例えば、高域遮断フィルター)は、定常状態信号などの低周波数信号を「通す」またはさもなければ許可してもよいが、しかし所望の遮断周波数よりも高い周波数を持つ信号を減衰させることができる。より高い周波数は、「雑音」であることもある。このようにして、「雑音」は、低減できるまたは除去できる。
【0028】
上で述べた技術(例えば、ウィーナーフィルター、カーネルスムーザー、サビツキー−ゴーレイ法、ダグラス−ポイカー法、K平均クラスタリング、LOESS、回帰スプライン法、α−βフィルター、およびローパスフィルター)はすべて、単独でまたは組み合わせて使用されてもよいことに留意すべきである。例えば、ITF54は、前述の技術を使用して、図2で示す「真の」または正しいデータ46を近似するトレンド信号またはトレンド曲線60を導き出すことができる。トレンド曲線60は次いで、検出および診断システム50に提供されて(矢印63)もよい。蓄積センサーデータ44の代わりにトレンド曲線60を使用することによって、検出および診断システム50は、ターボ機械56のパフォーマンスの変化をより精密に検出することができ、パフォーマンスの変化の根本原因のより正確な推定を導き出すことができる。検出および診断システム50の出力は次いで、検出および診断システム50が見いだしたどんな問題もユーザー(例えば、プラント運転員、制御技術者)に通知するために、トレンド通知システム62に提供されて(矢印65)もよい。加えて、または別法として、ITF54は、図4に関して以下でより詳細に述べるように、検出および診断システム50が提供するデータを後処理してもよい。
【0029】
図4は、診断データ52などのデータを後処理して、SNRを低減する、より一般的には不要な変動53をフィルター処理することができるITF54の実施形態を描写する情報流れ図である。図は、図3で見られるのと類似の要素を含有するので、これらの要素は、類似の参照番号を使用して表示される。上で述べるように、予定切り替え(例えば、燃料タイプの切り替え)によって引き起こされる効果または外界、環境効果(例えば、周囲の温度および圧力の変化)、振動効果、および過渡効果(例えば、制御過渡事象)などの、ある効果は、検出および診断システム50が、望ましくないSNRを有する診断信号52を導き出すという結果をもたらすこともある。ITF54は、診断データ52でのSNRの低減を可能にすることもあり、それ故により正確なフィルター処理された診断データ64を提供する。
【0030】
描写する実施形態では、検出および診断システム50は、どんな前処理もITF54によって行われることのない、蓄積センサーデータ44などのデータをセンサーDB42から受け取る(矢印67)ことができる。他の実施形態では、ITF54は、データの前処理およびデータの後処理の両方を行ってもよいと理解すべきである。図4で例示する実施形態では、ITF54は、診断データ52を検出および診断システム50から受け取る(矢印69)ことができる。ITF54は次いで、図3に関して上で述べるようなウィーナーフィルター、カーネルスムーザー、サビツキー−ゴーレイ法、ダグラス−ポイカー法、K平均クラスタリング、LOESS、回帰スプライン法、α−βフィルター、および/またはローパスフィルターなどの技術を使用して診断データ52を後処理して、不要な変動53を診断データ52から取り除くことができる。実際、ITF54は、蓄積センサーデータ44をフィルター処理するのに適した同じまたは同様の技術を再び使用して、「雑音」を診断データ52から低減するまたはさもなければ取り除くことができる。前述の技術を診断データ52に適用することによって、ITF54は、フィルター処理された診断データ64を導き出すことができる。
【0031】
フィルター処理された診断データ64は、診断データ52と比較すると、より正確なこともあり、より小さなSNRを有することもある。このようにして、ITF54は、データの前処理、データの後処理、またはそれらの組合せを行って、ターボ機械56のより正確なパフォーマンス分析を提供することができる。同様に、ターボ機械56での問題の根本原因決定は、より精密に導き出すことができる。ITF54は次いで、フィルター処理された診断データ64を関係者(例えば、制御技術者、ターボ機械製造業者)への配布のための通知システム62に提供する(矢印71)ことができる。
【0032】
図5は、蓄積センサーデータ44の前処理、出力診断データ52の後処理、またはそれらの組合せのために使用されてもよいプロセス66の実施形態を例示する流れ図である。データ44および52を前処理しかつ/または後処理することによって、プロセス66は、ターボ機械56でのパフォーマンス変化の検出を改善し、パフォーマンス変化についての根本原因の決定の精度を向上させることを可能にすることもある。プロセス66は、非一時的有形コンピュータ可読媒体に蓄えられる実行可能コード命令として実施されてもよい。プロセス66は、加えてまたは別法として、プロセッサ、コンピュータ(例えば、ワークステーション、ラップトップコンピュータ、タブレット)、および/または計算デバイス(例えば、携帯電話)によって行われる方法として実施されてもよい。
【0033】
描写する実施形態では、プロセス66は、センサーデータを受け取ることができる(ブロック68)。例えば、図1および2で示すセンサー58は、温度、圧力、流体レベル、振動、流体流量、汚染および/またはクリアランス(例えば、回転部品と静止部品との間の間隔)を監視してもよい。プロセス66は次いで、センサーデータを蓄えることができる(ブロック70)。例えば、センサーDB42が、蓄積センサーデータ44のための保管場所として使用されてもよい。上で述べるように、蓄積データ44は、予定切り替え(例えば、燃料タイプの切り替え)、環境効果(例えば、周囲の温度および圧力の変化)、振動効果、および/または過渡効果(例えば、制御過渡事象)によって引き起こされる変動48などの、不要な変動48を含むこともある。したがって、プロセス66は、変動48を蓄積センサーデータ44から低減するまたは除去するのに適した前処理分析を適用する(ブロック72)ことができる。
【0034】
一実施形態では、プロセス66は、変動48をフィルター処理するまたはさもなければ取り除くためにITF54を使用することによって前処理分析を適用する(ブロック72)ことができる。図3および4に関して上で述べるように、ITF54は、ウィーナーフィルター、カーネルスムーザー、サビツキー−ゴーレイ法、ダグラス−ポイカー法、K平均クラスタリング、LOESS、回帰スプライン法、α−βフィルター、および/またはローパスフィルターなどの技術を、変動48を有する蓄積データ44に適用することができる。前述の技術は、変動48を蓄積データ44から取り除きまたは低減して、蓄積データ44よりも低いSNRを有するトレンド信号60を作成することができる。実際、前述の技術は、「真の」または正しいデータ46に近似的に似た値を有するトレンド信号60を作成することができる。トレンド信号60を提供することによって、プロセス66は有利には、ターボ機械56でのパフォーマンス変化の検出および変化の根本原因の決定を改善することができる。
【0035】
例えば、プロセス66は、検出および/または診断分析(ブロック74)を前処理分析(ブロック72)によって導き出されたトレンド信号60に適用することができる。一実施形態では、プロセス66は、検出および診断システム50を使用して検出および/またはトレンド分析(ブロック74)を提供することができる。より具体的には、トレンド信号60は、検出および診断システム50への入力として使用されてもよく、検出および診断システム50は次いで、トレンド信号60を分析することができる。上で述べるように、検出および診断システム50は、統計モデル、物理学ベースのモデル、またはそれらの組合せをトレンド信号60に適用して、ターボ機械56のパフォーマンスの変化を検出しかつ/またはパフォーマンス変化の根本原因を導き出すことができる。
【0036】
検出および診断システム50が行う検出および/または診断分析(ブロック74)は、蓄積センサーデータ44から導き出されるISO曲線などの診断データ52を出力することができる。しかしながら、診断データ52は、変動48をなお含むこともあり、不要なSNRをもたらす。したがって、プロセス66は、後処理分析(ブロック76)を診断データ52に適用して変動48を低減するまたは除去することができる。一実施形態では、蓄積センサーデータ44を前処理する(ブロック72)ために使用される技術はまた、診断データ52を後処理するために使用されてもよい。実際、ウィーナーフィルター、カーネルスムーザー、サビツキー−ゴーレイ法、ダグラス−ポイカー法、K平均クラスタリング、LOESS、回帰スプライン法、α−βフィルター、および/またはローパスフィルターが、診断データ52に適用されてもよい。後処理分析の出力は、診断データ52よりも小さいSNRを有するフィルター処理された診断データ64を含んでもよい。フィルター処理された診断データ64は、関係者に次いで送られて(ブロック78)もよい通知を含んでもよい。データ44、52を前処理しかつ/または後処理することによって、本明細書で述べるシステムおよび方法は、ターボ機械56のパフォーマンス変化のより正確な検出を可能にすることもあり、変化の根本原因のより精密なリストを提供することができる。
【0037】
本発明のある実施形態は、本発明の例となる実施形態によるシステム、方法、装置および/またはコンピュータプログラム製品のブロック図および流れ図を参照して上で述べられている。ブロック図および流れ図の1つまたは複数のブロック、ならびにブロック図および流れ図でのブロックの組合せはそれぞれ、コンピュータ実行可能プログラム命令によって実施できることが理解されよう。同様に、ブロック図および流れ図のいくつかのブロックは、必ずしも提示される順番で行う必要がなくてもよく、または必ずしも本発明のいくつかの実施形態に従って行う必要が全くなくてもよい。
【0038】
これらのコンピュータ実行可能プログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、プロセッサ、または特定の機械を作製するための他のプログラム可能データ処理装置にロードされてもよく、その結果コンピュータ、プロセッサ、または他のプログラム可能データ処理装置で実行される命令は、流れ図の1つまたは複数のブロックで指定される1つまたは複数の機能を実施するための手段を作り出す。これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置に特定の様式で機能するように指示することができるコンピュータ可読メモリに蓄えられてもよく、その結果コンピュータ可読メモリに蓄えられる命令は、流れ図の1つまたは複数のブロックで指定される1つまたは複数の機能を実施する命令手段を含む製造品を作製する。一例として、本発明の実施形態は、その中で具体化されるコンピュータ可読プログラムコードまたはプログラム命令を有するコンピュータ使用可能媒体を含む、コンピュータプログラム製品を提供してもよく、前記コンピュータ可読プログラムコードは、流れ図の1つまたは複数のブロックで指定される1つまたは複数の機能を実施するために実行されるように適合される。コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置にロードされて、一連の動作要素またはステップをコンピュータまたは他のプログラム可能装置に行わせて、コンピュータまたは他のプログラム可能装置で実行される命令が流れ図の1つまたは複数のブロックで指定される機能を実施するための要素またはステップを提供するようなコンピュータ実施プロセスを作成してもよい。
【0039】
したがって、ブロック図および流れ図のブロックは、指定機能を果たすための手段の組合せ、指定機能を果たすための要素またはステップの組合せおよび指定機能を果たすためのプログラム命令手段をサポートする。ブロック図および流れ図の各ブロック、ならびにブロック図および流れ図でのブロックの組合せは、指定機能、要素もしくはステップを行う専用のハードウェアベースのコンピュータシステム、または専用ハードウェアおよびコンピュータ命令の組合せによって実施できることもまた理解されよう。
【0040】
本発明の技術的効果は、蓄積センサーデータでの変動の低減または除去を含む。さらなる技術的効果は、診断データでの変動の低減または除去を含む。一実施形態では、知的ターボ機械フィルター(ITF)が、蓄積センサーデータを前処理してデータの信号対雑音比(SNR)を低減するために使用されてもよい。ITFは、ウィーナーフィルター、カーネルスムーザー、サビツキー−ゴーレイ法、ダグラス−ポイカー法、K平均クラスタリング、LOESS、回帰スプライン法、α−βフィルター、および/またはローパスフィルターを含む技術を適用してもよい。これらの技術は、蓄積データでの変動を効果的に低減するまたは除去することができ、それ故にSNRを低減する。前処理された蓄積センサーデータは次いで、検出および診断システムに提供されてもよい。
【0041】
検出および診断システムは、前処理された蓄積センサーデータを分析することによってターボ機械パフォーマンスの変化およびパフォーマンスの変化の根本原因をより最適に検出することができる。検出および診断システムは次いで、ISO曲線データなどの診断データを出力することができる。一実施形態では、ITFは、ウィーナーフィルター、カーネルスムーザー、サビツキー−ゴーレイ法、ダグラス−ポイカー法、K平均クラスタリング、LOESS、回帰スプライン法、α−βフィルター、および/またはローパスフィルターを診断データに適用することによって診断データを後処理することができる。後処理は、診断データでの変動を低減するまたは除去することができ、ターボ機械のパフォーマンス変化およびパフォーマンス変化の根本原因のより正確な診断をもたらす。
【0042】
この書面による明細は、例を使用してベストモードを含む本発明を開示し、また当業者が、任意のデバイスまたはシステムを作りかつ使用することおよび任意の組み込まれた方法を行うことを含み、本発明を実施することも可能にする。本発明の特許可能な範囲は、クレームによって定義され、当業者に思いつく他の例を含んでもよい。そのような他の例は、もしそれらがクレームの文字通りの言葉と異ならない構造要素を有するならば、またはもしそれらがクレームの文字通りの言葉と実質的に異ならない等価な構造要素を含むならば、クレームの範囲内であることを意図している。
【符号の説明】
【0043】
10 タービンシステム
12 燃焼器
14 高圧(HP)タービン
16 低圧(LP)タービン
18 排気出口
20 駆動軸
22 HP圧縮機
24 LP圧縮機
26 空気吸気口
28 負荷
30 入口センサー
32 出口センサー
34 モジュール配線
36 モジュール配線
38 モジュール配線
40 モジュール配線
42 センサーデータベース(DB)
44 蓄積センサーデータ
46 正しいデータ
48 変動データ
50 検出および診断システム
52 診断データ
53 不要な変動
54 知的ターボ機械フィルター(ITF)
56 ターボ機械
58 センサー
59 矢印
60 トレンド曲線
62 トレンド通知システム
64 フィルター処理された診断データ
68:センサーデータを受け取る
70:センサーデータを蓄える
72:前処理分析を適用する
74:検出/診断分析を適用する
76:後処理分析を適用する
78:通知を送る

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボ機械を分析するためのシステムであって、
ターボ機械(56)の1つまたは複数の部品についてヒストリカルセンサーデータ(44)を分析してフィルター処理されたトレンド(60、64)を作成するように構成される知的ターボ機械フィルター(ITF)システム(54)と、
前記フィルター処理されたトレンド(60、64)に基づいてターボ機械パフォーマンスの根本原因を決定するように構成される検出および診断システム(50)とを含むシステム。
【請求項2】
前記ヒストリカルセンサーデータ(44)は、少なくとも近似的に1時間、1日、1ヶ月、1年、5年、または10年の期間にわたって蓄えられるデータを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記検出および診断システム(50)は、診断データ(52)を導き出すように構成され、前記ITFシステムは、前記診断データ(52)を分析してフィルター処理された診断データ(64)を導き出すように構成される、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記診断データ(52)は、国際標準化機構(ISO)温度グラフ、ISO圧力グラフ、ISO振動グラフ、ISOクリアランスグラフ、ISO流れ測定グラフ、またはそれらの組合せを含む、請求項3記載のシステム。
【請求項5】
前記ITFシステム(54)は、ウィーナーフィルター、カーネルスムーザー、サビツキー−ゴーレイ法、ダグラス−ポイカー法、K平均クラスタリング、局所重み付き散布図平滑化(LOESS)、回帰スプライン法、α−βフィルター、ローパスフィルター、またはそれらの組合せを、前記ターボ機械(56)の1つまたは複数の部品についての前記ヒストリカルセンサーデータ(44)に適用して前記フィルター処理されたトレンド(60、64)を作成するように構成される、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記ITFシステム(54)は、ウィーナーフィルター、カーネルスムーザー、サビツキー−ゴーレイ法、ダグラス−ポイカー法、K平均クラスタリング、局所重み付き散布図平滑化(LOESS)、回帰スプライン法、α−βフィルター、ローパスフィルター、またはそれらの組合せを、前記診断データ(52)に適用して前記フィルター処理された診断データ(64)を導き出すように構成される、請求項3記載のシステム。
【請求項7】
前記検出および診断システム(50)は、前記フィルター処理されたトレンド(60)に基づいて前記ターボ機械パフォーマンスの変化を検出するように構成される、物理学ベースのモデル、統計モデル、またはそれらの組合せを含み、前記検出および診断システム(50)は、前記ターボ機械パフォーマンスの前記変化に基づいて前記根本原因を導き出すように構成される、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記ターボ機械(56)は、タービンシステム(10)、ポンプ、または圧縮機の少なくとも1つを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記タービンシステム(10)は、ガスタービン、蒸気タービン、水力タービン、風力タービン、またはそれらの組合せを含む、請求項8記載のシステム。
【請求項10】
前記ヒストリカルセンサーデータ(44)は、温度、振動、速度、流量、圧力、燃料測定値、汚染測定値、クリアランス測定値、またはアクチュエータ位置の少なくとも1つを含む、請求項1記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−44326(P2013−44326A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−180002(P2012−180002)
【出願日】平成24年8月15日(2012.8.15)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】